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2016年8月11日 (木)

菅官房長官の「移設・移動・予算リンク論」とは

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島尻さんが沖縄担当相補佐官になりました。

素直に、うれしいことです。

それを伝える沖タイ(8月10日)の記事です。既にご存じの方は引用下からどうぞ。

「政府が島尻安伊子前沖縄担当相を内閣府の大臣補佐官として起用する方向で調整に入ったことが9日、分かった。沖縄振興の分野を担当し、鶴保庸介沖縄担当相に助言する役割を担う。政府関係者が明らかにした。
 島尻氏は7月の参院選沖縄選挙区で落選。今月3日の内閣改造で沖縄担当相を退任した。
 島尻氏は第5次の沖縄振興特別措置法(沖振法)の成立や西普天間住宅地区跡地での国際医療拠点構想に深くかかわり、沖縄担当相時代には沖縄の子どもの貧困対策事業の予算確保と同施策展開に尽力するなど、沖縄振興に精通している。
5年目の折り返しを迎えた沖振法の後期に向けた取り組みなどについて助言するとみられる。
 大臣補佐官は2014年4月に成立した公務員制度改革関連法で新設された特別職。政策の立案などに関し大臣を補佐し、助言する役割を担う。」

あれだけ参院選でネガキャンに加担したのですから、もう少し苦々しく書くかと思っていましたが、第5次沖振法で、西普天間住宅地跡地の医療拠点建設に尽力したことや、子供貧困問題で予算確保したことを公平に取り上げています。

おもしろいですね。

地元紙は島尻さんを落としたことによって、かえって厳しい状況になったことに、今頃気がついたようです。

というのは、新たに沖縄相に任じられた鶴保庸介(つるほ)氏は、島尻さんの島内部から眼とは違うスタンスの人物だからです。

沖縄の保守穏健派に属する島尻さんを落とせば、それに替わってもっとはっきりと物申す人物が沖縄相になるのは当然です。

鶴保氏は、沖縄内部の複雑な利害関係から自由な分だけ、政府の意向の忠実な代弁者の要素が強くなります。

島尻さんを落として沖縄が参院へ送り出した伊波氏は、1年生の無所属。しかも参院。まったく国政に影響力はありません。

政府中枢に沖縄の声を届けられるダイレクトのパイプであった彼女を、寄ってたかって「腐りナイチャー」と呼んで潰したのは、あんたらでしょうに。

それはさておき、鶴保氏が就任と同時に発言したのが、「振興予算と基地問題はリンクしている」という発言でした。

朝日新聞(8月4日)です。

鶴保庸介沖縄・北方相は4日の就任会見で、「沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクしている」と述べ、米軍普天間飛行場宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設作業が遅れた場合、沖縄振興予算を減らす可能性に言及した。県内移設に反対する同県の翁長雄志(たけし)知事を牽制するもので、県側の反発は必至だ。
政府はこれまで「振興策と基地問題はリンクしない」としてきた。
ところが鶴保氏は移設作業の遅れで跡地利用などが進まない場合、「予算額を減らすのは当然。消化できないものを無理やりお口開けて食べてくださいよでは、全国民の血税で使われているお金を無駄遣いしているという批判に耐えられない」とした。」

島尻さんなら、こういう言い方はしなかったでしょう。鶴保氏のやや雑な言い方が気になります。

移設と予算措置との関連をもう少し細かく説明しないと、一部だけ切り取られて、「辺野古移転に賛成しなきゃ、予算減らしてやるぞ」と短絡してとられますよ。

Photo産経新聞2015年05月14日

これをホローするように、菅氏が同日の官房長官記者会見でこう述べています。
首相官邸ホームページ 内閣官房長官記者会見

菅氏は琉新記者の質問に答えて、学校の先生よろしく噛んで含めるように説明しています。

まず、政府がどのような状況を目指しているのかについて、菅氏はこう言っています。

「米軍は沖縄に2万8,000人いるといわれてますけれども、そのうち9,000人の海兵隊が県外に出て行くというそういう状況を出来る限り早く作っていきたい」

これが沖縄海兵隊の9千人移動計画です。

菅氏は2万8千人と言っていますが、それは定員一杯の数で、常にローテション配備で、あっちこっちに出払っているために、いつも沖縄にいる海兵隊員の数は1万人を切ると言われています。

このうちから、常に常駐している海兵隊司令部要員をグアムに9千人移動し、さらに昨年5月にはハワイ州知事が2700名引き受けると明言しています。

これがうまくいけば、1万1700名程度の大規模移転が実現します。

結果、事実上海兵隊の常駐数は、定数で1万6千人ていど、実態としては5千人前後規模まで削減されるわけです。

これについては日本政府と米国政府の交渉は終了していて、グアム移転のためのインフラ整備のための費用は、2012年米会計年度で全体で86億ドルとされていました。

うち日本政府が、最大31億ドルを負担するという予算措置までできていました。

日本政府は着々と沖縄基地軽減策に手を打ってきていたわけですね。

Photo_2
これをひっくり返した者がいました。ご存じ、Loopy鳩山氏の「国外・最低でも県外」発言です。

もうくだくだ説明するのもイヤですが、これがまったくの思いつきであったことがわずか1年後に分かります。

Photo_3
この鳩山氏の「県外移設」撤回は二つの負の遺産を生みます。

ひとつは見えかけた希望が消えたことにより、怒りに燃え上がった県民感情と、そしてグアム移設予算の凍結です。

順を追ってご説明します。

菅氏はこう言います。

「現実的に民主党政権が『最低でも県外』こう発言した時に、グアムの基地建設の予算は凍結をされています。」

実は、普天間基地の過疎地への移設計画と、海兵隊員9千の移動計画は包括的パッケージになっていました。

ですから、移転計画がポシャると、兵員移動計画の予算も凍結されるのです。

返り咲いた自民党政府は兵員移転予算の凍結を解除しました。

「で、私どもの政権になって、埋め立ての承認を頂いて、今工事を始めたんですけれども、そういう中でグアムの凍結された予算も解除されました。そして9,000人の海兵隊が日本国内から出て行くことになっています。そういう意味合いも含めて辺野古移設というのはしっかり進めて行きたい」

普天間基地が残る限り、沖縄の包括的海兵隊削減にならないために、グアム移転もぶっ止まったきりだということです。

ですから、移設計画が進まないと、兵員移転予算も凍結解除されたとはいっても、事実上執行されないのです。

そして、移設に断固反対の翁長知事が誕生し、兵員移転も、基地移設も共にデッドロックに乗り上げてしまいました。

すると、どうなるのでしょうか。

再び菅氏の説明を聞いてみましょう。

「工事が進まなければ予算も少なくなるというのは、これは当然のことじゃないでしょうか。(工事がスムーズに進めば)工事の費用は当然減るわけですから。
そして米軍との間でも、嘉手納以南の土地の約7割が返還されることが決まってますから、そこは工事の進み具合によって早く返還するということになるのも、これは現実的にはそのように思います。
ですから、跡地利用が遅れれば予算が少なくなっていくというのも、そこは現実問題として、そうじゃないでしょうか。」

移設工事は、今、反対運動と和解期間だということもあって完全に停止しています。

福岡高裁の判決が翁長氏勝利となった場合、新たな移設先が具体化しない限り、包括的海兵隊予算措置は、事実上凍結したままになります。

いままでの流れを見ると、この可能性もなしとは言えません。

その場合、工事が減るわけですから、当然のこととして予算も減ります。

これが菅氏が言っている「基地移設-兵員移動-予算リンク論」です。

協力しなければ振興予算を減らすぞ、という短絡した話ではありません。

ガサツな言い方をすれば、鶴保氏の言ったように「消化できないものを無理やり口開けて食べてくださいよ」ということになります。

それにしても、県民を子供扱いしているようなこのこの言い方、なんとかならないのでしょうか。

島尻さん、うまく補佐してやって下さい。

なお8月10日、翁長氏と菅氏は会談して、菅氏は「3000億円台の確保はぜひやりたい」と応じたそうです。

いずれにせよ、間近に迫った高裁判決が分水嶺になります。

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コメント

こちらが本日のメイン記事ですね、朝からコメント欄でお世話かけてすみません。

島尻氏かこれからも積極的に地元貧困解消育児支援にあたられるのを何より嬉しく思います。
島尻さんの無念を乗り越えて志をつなげられる姿を落とした者達は支えながら、あっち向いて文句こっち向いて不平でなく、今度こそ本当に大切な事を見つめればよいと思います。

蛇足ですがこれは誤記ですね。
>鶴保氏が就任と同時に発言したのが、「振興予算と基地問題はリンクしない」という発言でした。
その下の引用記事に揃えてリンクする、と変更よろしくお願いしますm(__)m

ふゆみさん、よかったですね!

流石に大臣ではありませんでしたが。
参院選後、こちらのコメントにふゆみさんが「島尻さんを民間大臣に」と書き込まれたのを見たかのような官邸の英断ですね。
また、私もそうですが溜飲が下がる思いをした人もすくないでしょう。

ふゆみさん、すみません。

 ふゆみさんが純粋に沖縄の為になる事を喜んでもらっているのに、茶化すようなコメントいれてしまい。不愉快に思われたら申し訳ないです。

umeさん、大丈夫ですよ(^^)
島尻氏の言動を他所から見るに、男には面子絡みで踏ん張れない地点に立たされても彼女なら越えて受けられるのではと思っての以前のコメントでした。大臣と上手く連携できるとよいのですが。

リンク論に関する一連の報道から伺えるいささかの心配は、沖縄政策に関して「自民党は本当に一枚岩なの?」という事です。
と言いますのは、鶴保氏は二階幹事長の秘蔵っ子であって、自民党内強硬派に配慮した二階氏の本音を鶴保氏が代弁したスタンスであったろう、と考えるからです。
それを打ち消すような官邸の反対意思が働き、「仲井眞氏との約束の3000億円」を強調、県自民党とのパイプ役としての「島尻氏の補佐官就任」を急決断したように見えました。
逆に、一連の動きが芝居がかって見える場面もありました。

しかし、そんな些事は実際のところどうでもいいんですね。
結果的には沖縄に当面3000億円内外の拠出をしながらも、強硬派の満足と同意を得、かつ(これが最大の収穫ですが)虚偽の「リンク無し論」を政府の立場から微塵に帰してしまう事が可能となったんです。
これで赤嶺議員あたりが頭に来て、質問趣意書を政府にぶつけ、かえって「リンクしている事」が閣議決定となれば万々歳です。

芝居にしても党内異論の結果としても、実に八方穏健に収めながらも、所期の目的は完全に完遂する官邸の底力は最大限に評価できます。
政治のダイナミズムを感じさせてくれる出来事でした。

沖縄振興予算の中味には防衛防衛を含まれているんですね

名無しさん、HN無しは厳禁ですよ。

防衛防衛?
意味不明です。なにそれ、美味しいの?

名無しさん。HNはお願いね。

「防衛防衛」とは防衛費のことだとおもいますが、防衛予算はまったく別枠です。
軍用地主への地代や辺野古移設に関わる費用はすべて別です。

工事が遅れるから振興費も減る。その工事とは何か?基地建設の工事でしょ?
沖縄振興予算の中味に基地建設も含まれている、そういうことでしょうか?

香川さん。明日記事にします。

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