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2016年9月 3日 (土)

中国の「短期激烈戦争」の恫喝に屈する日本

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Dsc_52262週間ちかくかけて延々と核武装問題と、それをめぐるテーマについて議論してきました。 

そろそろ今回で終了します。 

昨日、中国が米国と相互確証破壊システムを完成させるためには、絶対に宮古島南西から南東海域に広がる深き沖縄トラフが必要だと書きました。 

おさらいを兼ねて、これを家にたとえてみます。 

門扉に当たるのは、宮古島の北方180キロにある尖閣諸島です。 

この尖閣諸島という門扉を破れば、その先には庭である東シナ海が広がり、そこの支配権も手に入れることが可能になるでしょう。

このような軍事的支配権を確立させた海域のことを、「内海化」と呼びます。

冷戦期に旧ソ連がオホーツクの「内海化」を目指し、日米に阻まれましたが、その目的も核戦略でした。

この尖閣の実効支配→東シナ海の内海化という一連の地ならしが終われば、次はいよいよ目的である家の中に侵入します。 

この家の扉に当たるのが宮古島です。

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宮古島は、中国艦艇、特に潜水艦の安全地帯を提供する絶好の軍事拠点となります。 

また宮古海峡は、日本有数のチョークポイントで、ここを扼すことができれば、中国艦隊は自由に太平洋に進出できることになります。 

そして、彼らの核ミサイルを搭載した戦略原潜は、水深2200mに及ぶ世界有数の深海である沖縄トラフを安住の地とすることでしょう。 

ここに中国は初めて、米国を核攻撃するための水中核ミサイル基地を作ることが出来たのです。 

これによって中国は核戦略の3本の柱(トライアド)である、空中、地上、水中の三つの投射手段を得ることができ、米国との半世紀をかけた相互確証破壊体制がここに完成します。

1963年に毛沢東が、「たとえ百年かかっても、ズボンをはかなくても原爆を作る」と言った狂気の夢は、ついに百年を待たずして完成の日を迎えたわけです。
参考文献 伊藤實中国の「核」が世界を制す」

もうあまりくどくど書くのもいやですが、日本人はいいかげんなぜ尖閣を中国が取りにくるのか、どうして東シナ海の覇権を握ろうとしているのか、なぜ宮古島が重要なのか、その意味を知るべきです。

ではなぜ、南シナ海のように、いきなり中国は軍事侵攻をしないのでしょうか。

理由はひとつしか思いつきません。

在日米軍がいるからです。

尖閣についてはグレーゾーンですが、宮古島に軍事侵攻があった場合、日米安保はさすがに機能するはずです。

ただしそれが有効なのは、日米が想定しているような、台湾侵攻のために宮古島を保障占領するといったシナリオか、あるいは日中の尖閣水域での戦闘などの場合です。

もちろんこのシナリオは大いにありえるでしょうが、中国は取らないと私は見ます。

中国が取るのは「短期激烈戦争」と呼ばれる、長距離ミサイルの飽和攻撃です。

緒戦において中国軍が、長距離巡航ミサイルの千発ちかい短時間飽和攻撃をおこなった場合、それで勝敗は決します。

これは数波に及び、日本全土の枢要な政治中枢、基地、石油ターミナル、原発が攻撃対象となります。

迎撃は事実上不可能です。

専守防衛というわが国が半世紀の間後生大事にしてきたドクトリンは、わずか30分以内に砕け散って跡形もなくなるでしょう。

しかし一方これは、中国にとっても、米中全面戦争を招きかねない危険な賭ですから、安直に踏み切るとは思えません。

軍事力という刃は、抜いたらお終いなのです。

中国は、米国が日本を見捨てたと明確に見切った時に、この攻撃が可能となったと判断します。

国内的には、日米同盟廃棄のスローガンを掲げた政治勢力が政権を握った時です。

日本には左右に、このような考え方をする勢力が現実に存在します。野党第1党内部にも多数存在します。

米国内では、トランプのような自国中心主義の人物が政権を取った場合です。

このような極端な立場の政治思想の持ち主が日米に出現しない限り、中国はこの長距離ミサイルの飽和攻撃という軍事オプションを、政治恫喝にのみに使用します。

日中間で、国家主権に関わる重大な衝突が起きた場合です。

たとえば尖閣諸島の領有権、東シナ海の日中境界線確定などが激化し、それが膠着した場合、つまり今のような状況です。

このような状況で、軍事オプションの前段としてミサイル攻撃をチラつかせることは、<恫喝>手段としてきわめて有効です。

もちろん、密室の交渉でほのめかせるていどでしょうが、まだ1発のミサイルも撃たれていないのですから、日本防衛の頼みの綱の日米同盟は動きようがありません。

その時、中国に過度に宥和的な人物が政権に座っていたり、あるいは逆に、軍事的に必要以上に自衛隊を過信した政治家が首相だった場合、日本の悲劇です。

とまれこのように、わが国は現在いつ中国の長距離ミサイル攻撃という軍事恫喝を受けても耐えられないのだということを、しっかりと認識に落とすべきです。

バランスの取れた眼を養いましょう。

中国が明日攻めてくるなどというのはデマですが、あるいは正反対に「平和な島」と叫んで警官隊と衝突してみても平和は来ません。

今、リアルに沖縄を取り巻く環境を見て、できることから考えていかねばなりません。

中国を過度に敵視する必要はありませんが、中国の危険さと弱みを知り、その意図の裏をかくていどのことを考えましょう。

まだまだ語り尽くしていませんが、いちおうここでこのテーマには区切りをつけます。

来週月曜から、1週間の夏休みを頂戴します。 

 

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コメント

二、三日前の産経新聞の一面に、中共が尖閣を狙う理由として、メタンハイドレード資源が主要因であるだろう、との記事が載っておりました。
中共のメタンハイドレード探査技術や実用化に向けた研究は他国に抜きん出ており、記事の様な要因は間違ってはいないと思われます。
ですが、やはり一番の理由は本記事が突くように、当面の資源問題よりも安全保障の必要からの行動であって、2020年には完成させると言われる目標を急いで、早期の「米ロ間との相互確証破壊システム構築計画実現」に向けたものと確信します。

そうすると、実は宮古島が、与那国や尖閣を擁する石垣市よりも物事の最前線に立っている危険性が大です。
ところが宮古島市では、防衛上最良の自衛隊駐屯地第一候補地を海峡側の旧大福牧場跡地を曖昧な「水資源保護」との理由で却下し、市中央部の千代田カントリークラブに差し替えました。
しかも、ヘリパッドや地対艦誘導弾、地対空誘導弾を保管する設備はない、と言います。
これに「一安心した」、という市長の談話が地元紙に掲載されています。
下地宮古島市長にかぎらず大勢が「危機は西から順次来る」と信じ込んでいるようで、保守系市長でありながら、「宮古が一番危険では?」と水を向ける私に、泡盛を吹いて大笑する有様です。

こうした危機感のない状況は何も宮古島や沖縄に限った事ではなく、広く日本の病です。
ブログ主様がコメント常連各氏と比べ自身を評して「私が一番左拠り?」とおっしゃってましたが、それは違います。
まずここの常連さんの中で、一番の左寄りは私でしょう。
馬鹿にされるようで言いたくなかったが、白状すれば、もはや日本が救われる道は「国家社会主義的政策」を採る以外ない、と考える事がしばしばだからです。

山路さんは宮古島在住なのでよくご存知だと思いますが、沖縄の政治家って実質保守も革新も関係ない人がほとんどなんですよ。目と鼻の先のことにしか眼中に入らない。だから遠いところで起こっている尖閣騒動もさらに遠い南シナ海のことも関係ないのです。その辺り、本当に残念です。

中共は外からの攻撃よりも国内からの内圧のほうに恐怖を感じていると思います。
日米ともにその辺りは十分わかっていて、それでいまのチキンレースになっているのではと思います。時間をいかに自分ところに見方につけるかです。持久戦ですね。
それに耐え抜くためにはせめて海保と防衛予算は十分にしてほしいものです。で、一般の国民は普通に生活をして働いて真面目に納税して経済を廻してと、おのおの出来ることをするしかないのでは?と思っています。

マクロな国vs国はともかく、実際に中共が南西諸島へ
押し寄せて来て実効支配した時の、ミクロな一般民衆
の行動も気になるところです。将来の奪還、主権復活
のカギになるからです。

「待ってたんだよー、中共さん!熱烈歓迎ですわ」なのか、
「非服従で抵抗してやる、チベット人に負けらりょかー」
なのか? 日本も昔は冊封国になりすましていたことが
あったので、本土も自冶領にされる恐れ大です。私も
覚悟しなければいけません。

被支配地域の民衆の反応が世界に報道されます。報道
合戦になりますが、当然「絵」は事実側に有利になり、
偏向ニセ報道は馬脚を表すでしょう。

なんか一抹の不安があります。私自身が平和ボケして
いるのは自覚していますし、銃の撃ち方さえ知らず、
剣道は10級です。敵兵の占領地域でのお約束の、略奪
・暴力・婦女暴行を見て「日本人ナメとんのかー」と
向かって行き、ボコられてもボコられても抗議を続け
られるスピリットがあるのか? うーん、日和見しそう。

世界中のお茶の間TVを見ていた人々から「日本人喜ん
でんじゃん、中共の占領は結局良かったじゃん」なんて
言われたりして・・

山路さん、市長にあの手この手でプロパガンダ宜しくお願いいたします。でも宮古の市長さんはやもりさんのおっしゃるように、平和夢想ではなくて呑気な訳ですね。
昨日の記事にあったように、過度な危機感ではなくバランスよく見るのが大切だと私も思いました。
核廃絶の倫理戦で中国を包囲する国民力は、私の目から見た日本人には力不足だと言わざるを得ないです。外務省も腹立ちますが、私達1人ひとりの性質として、倫理戦に耐える執拗なしつこさやふてぶてしさや開き直る力が他国に比べて足りないと感じます。
今年、オバマ広島で経年使い続けられる抱擁写真を撮ることができたのは、日米の手柄だと思います。
ハグされた方は後々嫌な思いかもしれませんが、落とした側と落とされた側の和解写真は、どんなに後から「やっぱりあのスピーチは嫌」とか許してないとか記事を重ねても無しに出来ないインパクトです。

山路さんの最も左寄りコメント、ウケました(^^)
私はさしずめ、最も西洋かぶれっすね。
管理人さん、良い夏休みを!でもまた台風…?f^_^;)

山路さん

国家社会主義…
代表的な例だと所謂ナチスですよね。
なぜファッショ的な政策でしか日本を救うことができないのか理由が是非とも聞きたいです。

個人的には防衛屋の予算獲得の方便でしかないような脅威論やそのレベルにも値しないような陰謀論に耽溺する手合が増えていることに危機感を覚えますね。

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