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2016年10月

2016年10月31日 (月)

オスプレイは危険機か?その2 リスク管理が根本からわからない地元紙

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いまだに沖縄ではオスプレイが欠陥機であって、「落ちてくる」と思っている人が多いのは事実です。 

今回も高江ヘリパッドに危険なオスプレイが飛来するようになる、というのが紛争の発端でした。 

受け入れ自治体の首長も、「オスプレイの安全性が確認されたら」という言い方で言葉を濁しています。 

しかし、少し落ち着いて考えてみませんか。 

米軍が自国の青年の生命を危険にさらすような欠陥機を、大量に配備するかどうか。 

そしてそんな「欠陥機」に米議会が予算執行を許すかどうか。 

ありえません。予算削減に苦しんでいる米軍が、欠陥機と知りながら生産・配備を続けることなどありえません。 

普天間基地にオスプレイが配備されたのは、米軍のオスプレイ世界的配備計画を背景にして、CH46とCH53いう古くなった大型ヘリを更新したかったからです。 

CH46も、CH53も今や立派な空飛ぶポンコツで、こんなものを飛ばしていると、いつ落ちるかわからないという心配が、米軍当局にあったからです。 

現実にCH53は、普天間基地のフェンス脇の沖縄国際大学に墜落しました。 

Photo_3

この事故が普天間基地が市街地にあることの危険性を肌身で分からせたわけです。 

だから、対策としては、普天間の市街地から、過疎の辺野古に移転することがひとつ。 

そしてふたつめは、老兵の大型ヘリを新型に更新することでした。 

しかし、このふたつの解決案に対して、反基地運動派は強く反対しました。 

移設は「新基地建設であって、基地負担を増やすものであり、オスプレイは欠陥機だ」という主張です。 

辺野古移設については私も懐疑的(※)ですし、将来的に海兵隊キャンプは削減されるべきなので無駄だと考えていますから、分からないわけではありませんが、オスプレイ批判は米軍批判の材料にはなりえません。※私はシュワブ、ないしはハンセン陸上案を支持しています。 

基地反対派は、基地問題と機体問題を意図的にすり替えて、かえって解決を遅らせてしまっています。 

沖縄地元紙は大量に誤報道を流し続けました。 

現実は、たしかにオスプレイはまったく新しいティルトローター機(※)なので、開発は難行し、その過程では多くの事故を起こしたが、いまは完全にトラブルは解消されていて、通常の大型ヘリより安全性が高いのです
※ローター(プロペラに似た回転翼)を、機体に対して傾ける(ティルトする)ることができる機体。ヘリのように垂直離発着でき、飛行機のように高速で飛行できる。

これは、基地移設問題と違って極めて技術的なテーマであって、基地移設のようにオレはこう思う、いやこうもあるというテーマではないのです。 

たとえば、2015年5月に、ハワイでオスプレイが訓練中に事故をおこした時に、琉球新報はまさに欣喜雀躍の有り様で、号外すら出しました。 

Photo_2
地元ハワイの新聞が騒がないのに、米軍の「空飛ぶトラック」が落ちて号外まで出す新聞は、間違いなく琉球新報ただ1社でしょうね。

オスプレイが事故を起こしたのは3年ぶりで、琉新はこれで「殺人機」であることが証明されたとばかりに、反基地闘争の燃料を投下したかったようです。

翁長氏は沖縄に落ちたわけでもないのに、待ってましたとばかりに飛行停止の声を上げていますが、あいにく米軍は至って冷静でした。

20150519071043asd3_3

 翁長氏はこの事故後にわざわざハワイまで事故現場を見に行ったそうで、その執念に驚かされます。

まぁ、翁長氏が知事になれたのも、オスプレイのおかげでしたからね。

翁長氏はオスプレイ配備で仲井真氏のさらに左の位置を取ることで、共産党・社民党と手を握り、一気にクーデターにまでもっていったわけです。

オスプレイがなければ、いまでも自民党県連ボスあたりでくすぶっていたかもしれません。

Photo_4http://withnews.jp/article/f0141116002qq0000000000...

とはいえ、自治体首長としては異常なる情熱です。

オスプレイが核ミサイルを積む戦略爆撃機かなにかならば、これだけ騒ぐのも分からないではありませんが、しょせん輸送機です。

いわば、空飛ぶトラックか、バスです。

バスが事故を起こしたといって、外国の知事がわざわざ海を渡って現地視察に来るのを、ハワイ住民はどんな眼でながめていたのでしょうか。

それはさておき、問題はこれが、このオスプレイ固有の欠陥によるものか、どうかです。

もし固有の原因ならば、米軍は即刻、世界中で飛行する約200機以上の同型機を飛行停止措置にしたはずです。

しかし米軍の対応はこうです。

「在沖米海兵隊は19日、普天間飛行場の垂直離着陸型輸送機MV22オスプレイの飛行を中止せず、訓練などを続行した」(沖タイ2015年5月30日)。

お分かりになるように、訓練飛行はまったく停止されませんでした。米軍は重大な事故だと認識していないのです。

オスプレイは安い機体ではありません。一機が86億円(米国調達価格)もする高価なものです。

もし、ほんとうに機体の構造的欠陥が疑われるのなら、米軍は即時にオスプレイ全機を飛行停止にしたことでしょう。

さてこの2015年のハワイ事故の原因も特定できています。 土埃です。

ハワイの事故機が降りた着陸地点が土埃が立ちやすい地表だったことが、事故原因です。

ですから、、コンクリート舗装の滑走路で運用する普天間のオスプレイとは無関係だから、普天間で飛行停止する必要はなかったのです。

元々、オスプレイに限らず垂直離発着するヘリは、一般的に土埃に弱いという欠点を共有しています。

2003年にバクダッドに攻め上った米陸軍のAH64アパッチは、わずか1カ月間で実に17件もの墜落事故を起こしました。

この墜落原因は自分の機体が巻き上げる土埃の中にスッポリと入ってしまい、パイロットが自機の姿勢を制御できなくなる「ブラウンアウト」という現象です。

この現象は、ヘリパッドの外の不整地で起きやすいといわれています。

このハワイで落ちたオスプレイの場合、着陸アプローチ時に、自機の巻き起こしたダウンウオッシュ(※下向きに吹きつける風)によって巻き上げられた土埃で、パイロットが瞬間的にコントロール不能になったためです。

また、巻き上がった砂埃をエンジンが吸ってしまったために、左側エンジンがコンプレッサーストール(※)を起こしたために出力低下を起こしてしまいました。
※なんらかの理由でエンジンに入る気流が乱れ、異常燃焼や出力低下を起こす現象のこと。

後に事故機を調査したところ、ターボシャフト内部のファン・ブレードが大きく破損していたそうです。

原因が分かれば対策は容易です。

米軍は着陸地点を土埃の起きる地表を避け、ブラウンアウト時のホバリング(空中停止)時間を従来1分間としていたものを、その半分の35秒に短縮するように通達を出しました。

また、土埃がエンジンに進入しないようにメッシュを細かくするなどの対策を施して、以後このような事故は発生していません。

このように事故が起きれば、その原因を分析し、対策が実施されていきます。

それが工学的解決方法であって、「そら見ろ、欠陥機だ」と騒ぐのはあまりに非科学的に過ぎます。

何度も繰り返しますが、オスプレイは機械です。

機械は誤って使うと事故を起こし、正しく使えば事故を減らすことができます。

今回、高江にヘリパッドを作らせないと言っている基地反対派は、不整地にオスプレイを降ろすほうがいいということなのでしょうか。

そのほうがはるかに事故の確率は高まりますが。

ハワイ事故後、米軍は地元紙を呼んで、オスプレイのパイロットにレクチャーさせています。

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この時の沖タイの記事(2015年6月11日写真も)は典型的なゼロリスク論です。

沖タイはレクチャーをしたパイロットが、「残念ながらこのような事故は完全には避けることはできない」と述べたことに関して、「事故を容認すると受け取れるような発言」と噛みついています。

沖タイさん、「事故を容認」もなにも、リスク管理というのは「事故を容認」、すなわち「事故は起こり得ることだ」が大前提なのですよ。

そんなリスク管理のイロハも知らないので、記事を書いているのですか。

それとも米軍が「事故は絶対起きないから安全です」と、かつての原発関係者のような精神論を言ってほしかったのでしょうか。

だから、パイロットはあたりまえのことを、あたりまえに言ったまでです。

逆に、もし米軍が「事故は完全に避けられる。100%安全だ」と言ったなら、そのほうが嘘です。

エンジニアなどの工学系関係者は、「100%安全」という言い方を絶対に避けます。

「事故は起こりうる」ということを前提にして発想しないと、事故対策自体を構築することができないからです。

「絶対安全」論と「ゼロリスク」論というのは、一見真逆に見えますが、ひとつのありえない確率<ゼロ仮定>から生えた二本の奇妙な樹のようなものです。

一方は「事故は起きるはずがない」と言い、方や「少しのリスクもあってはならない」としていても、発想の根は一緒で、ありえない<確率ゼロ>から発想している点で、同類なのです。

こんな根本的なことすら分からないで、オスプレイ危険説をまき散らし続けている地元紙のほうが、世界的には「珍しい」のです。

※改題しました。

2016年10月30日 (日)

日曜写真館 山茶花(さざんか)の秋

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日曜雑感 運玉義留さんにお答えして 私の「分」について

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運玉義留さんからコメントを頂戴しました。

「ここのブログの人は手登根さんや江崎さんを始め沖縄のマトモな言論人がずーっとコツコツと左翼に攻撃されながらも続けてきた頑張りの上澄みだけを掬いあげて自分の手柄にしてるような気がするんだよね。
この前の選挙の時だって島尻さんだけ応援して手登根さんのこと全く触れないことに違和感を覚えました。
今回のオスプレイのことだって手登根さん率いるオスプレイファンクラブの活動の後追いだわな。
そこらに辺ちょっとモヤモヤしたものを感じてしまいます。
やっぱ先達があって今があるわけだし、そこら辺どうなのありんくりん?って感じです!」

「手柄にしている」(した記憶がありませんので)という表現は引っかかりましたが、おっしゃることはよくわかります。 

何回か同じことを言われた記憶があります。 

その都度答えていましたが、私は県外に住んでいる者であり、沖縄県人にはなれません。

かつて私は沖縄に住民票を置く者ではなく、土着の「沖縄人」そのものを志願し、挫折しました。 

その限界をわきまえた上で、沖縄問題を語ることにしています。 

それがいわば私のけじめです。 

特に昨今、本土から昔の夢よもう一度、という年金生活者が大挙して高江におしかける姿を見ると、逆に私にできることは「見る」ことなのだと自覚しています。

いまの私に出来ることは、良識ある沖縄県民にがんばれと声をかけることであって、安易に助っ人をすることではないのです。

そして距離を開けて、沖縄を「見る」ことです。

それを「上澄みを掬う」といわれるなら、そのとおりです。その批判は甘んじて受けます。

なぜなら、沖縄に唄者があり、奏者があるように、私は拙いながら「論者」を目指す者なのだからです。

私のめざすものは、沖縄でなにが起きているのか、沖縄を包む国際情勢はどうなっているのか、政治-軍事的環境はどうあるのかなどを考えていくことなのです。

ですから私は、論者としての「分」をわきまえて書いているつもりです。

その意味で、島尻さんの応援は、私としては初めて自分の分を超越したものでした。

それは島尻さんという女性政治家を、現時点で沖縄から失うことが余りに大きいと判断したからです。

また、私は沖縄だけがテーマはありませんので、誤解なきようにしてください。

その部分も、沖縄の優れた論者の方たちと異なる所でしょう。 

江崎さん、あるいは又吉さん恵さんの書いたものは、ほぼ全部目を通しています。手登根さんのSNSも拝見しています。 

特に又吉康隆氏には、影響を受けた時期があります。又吉氏の自費出版本は沖縄から直接取り寄せました。 

そのリスペクトの気持ちをかつて、「私は沖縄の勇敢な抵抗者を応援します」と題して記事にしています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0234.html 

この記事ではシンボルとして我那覇氏をとりあげましたが、他の論者の方々にも同様に深い敬意を抱いております。

多数に奢り、多数の力にあぐらをかき、本土には弱者の仮面をかぶり、県内では居丈高な権力者然としている左翼インテリと、この方たちの孤立をも恐れぬ勇気は較べるべくもありません。

もちろん論じている意見は違いますし、論者である以上当然そうあるべきだと思っています。

ところで、江崎さんのブログで無断転載に抗議した一件ですが、あれはあらかじめメールで江崎さんに私の原則をお伝えし了解をとったものです。

ブロガーにとって、無断で切り取られて転載されるのは困ったことです。

著作権うんぬんではなく、転載先に婿入りした記事に対して、書いた私が責任がもてなくなるからです。

ですから転載はかまいませんが、事前にひとこと下さいというのが私の原則です。

オスプレイは連載しますが、淡々と事実と資料に基づいて書いていきます。

そしてできる限りかみ砕いてお話します。分かりにくいことは書きません。

専門用語にはすべて注釈をつけます。

オスプレイ・デマは、「オール沖縄」が作った最大のインチキであって、彼らの原点です。

特に翁長氏が知事に上り詰めた手品のネタでした。

ですから、あえていま論じる意味があると思っています。

人それぞれには立場があり、立場が違った者同士が、それを認め合うことで共になにかをできないかと思っている次第です。

県外者の私に見えることがあり、県民でしかわからないことがあるのです。

それがうまく補完すれば、より視野が拡がるかも知れません。

運玉義留さんは私も毎日拝見している、いま沖縄でもっともアクティブなツイッターの方とお見受けしましたが、ご理解いただけましたら幸いです。 

2016年10月29日 (土)

オスプレイは危険機か?その1 パイロットの操縦ミスだったモロッコ事故

038
昨日も書きましたが、オスプレイというのは、ただの機械です。
 

確かに「先進的なヘリ」ですが、しょせんフライング・マシーンであることには違いありません。 

機械ですから、間違って使うと壊れます。 

高い機械ですから、ポンポン落ちたらたいへんです。 

第一、米国は議会が軍の税金の使い道まで厳しく監視しているので、しょちゅう落ちるような装備を買いでもしたら、大騒ぎになります。 

軍のお偉方が毎日委員会に呼び出されて、こってり絞られて、予算を削られます。 

ですから、そもそもオスプレイが配備され続け、米議会がそれを承認しているのは、問題がなかったことの現れなのです。 

さてマスコミがオスプレイ危険機キャンペーンに励んでいた頃、こんな映像をたびたび見ませんでしたか。 

ショッキングですね。動画というのは分かりやすい上に、特にこの事故はまさにオスプレイが得意とする垂直離陸をする時に起きたために、世界をびっくりさせました。

日本のマスコミはこの動画を繰り返して放映し、いまでもたまにオスプレイというとこの映像がでるほどです。

これが日本人の頭に、オスプレイ=危険機というイメージを作り上げたのです。

Photohttp://overdplanes.doorblog.jp/archives/37653882.html

これは1991年6月11日に、試作5号機がグァシャーンとやった時のものですが、なんと軽傷者2名で済んでいます。 

え、だから危ないだろうって。こんなものを沖縄で飛ばすなって。

Photo_5

う~ん、気持ちは分かりますが、何年前の事故でしょうか?なんと25年前、四半世紀前の事故です。

そしてこれは試作品でした。試作品はなんのために作るのでしょうか。

はい、ハードウェアやソフトウェアの欠点を洗い出すためですね。

試作機が事故を起こすのはある意味、当然で、名機と呼ばれた機体も試作時にはよく落ちています。

零戦と後に呼ばれる12試艦戦などは、なんと空中分解してしまったことがあります。

B29試作2号機は、エンジン火災を起こして主翼桁が炎上し、シアトル工場に墜落して、多数がなくなりました。

他にも、グリペン、YF-22、F-14、アントノフAn70、P.1127・ケストレル(AV8ハリアーの原型)、ミラージュIIIV、フォージャー、Su-33など、試験飛行中に落ちた機械は珍しくはありません。

では、このオスプレイ試作5号機はどうして落ちたのでしょうか。

理由はあっけらかんとしています。工員の配線ミスです。

最終調整工程で、飛行制御システムの3系統あるロールレイト・ジャイロのうち、2系統を逆に配線してしまったためです。

そのために左右が逆に運動してしまい、このようなこととあいなったわけです。

理由はすぐに判明して、この事故の5日後には別な試作機でテストが再開されています。 

一方、反オスプレイ派は原理的な設計ミスだとしています。
北上大公式ブログhttp://blog.kitakamidai.com/

「横風とかローターの回転不足か、なんらかの原因で左側のローターの揚力が減少すると、上のやじろべえと同じように左に大きく傾く。これが地上付近で発生すれば、ひとたまりもなく墜落してしまうのだ。
右側に示した実際の墜落シーンの写真と瓜二つだろう。
これって、ひどい設計ミスじゃないのか?」(北上大公式ブログより)

残念ですが、まったく違います。

「なんらかの原因で片方のローターの揚力が減少したため」としていますが、なぜローターが揚力を失ったのか分からないと、この説は成り立ちません。 

オスプレイの事故で有名なものに、実用化されてからの2012年4月11日のモロッコの事故があります。

問題は、むしろ機体と大気との相対速度である「対気速度」が不足したことなのです。

このモロッコ事故はちょうど普天間に配備する前後に持ち上がったために、大騒ぎになりましたが、原因は特定されています。

国防総省はこの事故について公式の報告書を出しています
Command Investigation into the Facts and Circumstances Surrounding the Class "A" Mishap Involving the MV-22B Crash That Occurred Near Cap DRA'A Morocco On 11 April 2012

ひとことでいえば、パイロットの操縦ミスです。

パイロットは操縦マニュアル違反で、重大な過失を3つしています。

①追い風の中に入って転換飛行に入った。
②機首下げ姿勢を直さず転換飛行に入った。
③速度不足のまま転換飛行に入った。

特に③の速度不足がこのモロッコ事故の主原因です。

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オスプレイは離陸する時に、プロペラ(正確にはプロップ・ローター・回転翼)がついているナセルと呼ばれる部分を徐々に傾けていきます。

上の写真で翼の先端についているものがナセルです。

オスプレイはヘリのように垂直に上がって、ナセルをぐるりと前に回して、固定翼機のように前進飛行するわけてす。

このグルリと回す間のことを、「転換飛行」と呼びます。

この時、前進して飛行するためには、一定のスピードに達していなければなりません。

これはオスプレイに限らず、すべての航空機も同じです。

固定翼機(ようするにフツーの機体)は、滑走路を走って離陸速度にまで速度を上げて揚力を得ています。

オスプレイの場合、この大気との相対速度(対気速度)が40ノット以上でなければなりません。

航空機の速度はノットで計測します。1ノット=1.852㎞/hですから40ノットは約74㎞です。

Photo_4防衛省 

しかしこの落としたパイロットは、わずか5ノット(約9キロ)しか出していない時に、ナセルを倒して、無理矢理に転換飛行しようとしたのです。

上図には対気速度は書かれていませんが圧倒的な速度不足で、しかも左上から右上にかけての機体の角度にご注意ください。機首を下げています。

ダメです。この時機首をさげるとたいへんに危険です。

ところが事故機のパイロットは、この転換飛行中は水平に飛ばねばならない決まりなのに、機首を5°~10°に下げてしまいました。

速度不足のうえに、機首下げをしたら揚力は発生しません。

そしてさらに不運は重なります。

このパイロットは、当時の風向きを考慮していませんでした。

そもそも背風15~27ノットでは、固定翼はもとよりヘリコプターですら離着陸はしないでしょう。

どんな航空機でも墜落の危険があったのです。

風向きによる危険領域は、オスプレイに限らずすべての航空機にあるものです。大きな飛行場には横風対策として横風滑走路がついています。

オスプレイの場合は下図のように定められていました。

Photo_3
http://obiekt.seesaa.net/article/288275831.htmlより引用しました。ありがとうございます。

上図で黒い斜線が、AVOIDゾーン(回避領域)です。

反オスプレイ派はよく「オスプレイは横風に弱い」といいますが、正確ではありません。

右斜め30°~60°、左斜め300°~330と、及び後方150°~210°が危険な風向きと指定されています。

この時、せめてパイロットが40ノット以上出して機首を水平にしていたならば、この危険な風向きにも対応可能だったのですが、スピード不足で機首を地面に向けていたために衝突してしまいました。

機械は正しく使えば正確に動きます。誤って使えば事故を起こします。

航空機事故の7割はヒューマン・エラーです。

このパイロットはCH53Eのパイロット(普天間で落ちたやつ)だったために、追い風の時にヘリは頭を下げて前進するくせをやってしまったのです。

ある意味、ただそれだけのことであって、事故には原因があり、それを明らかにしていかに事故を減らしていくのかということに尽きます。

ものごとにはゼロリスクはありえません。

 

※Q&A形式の問答はこの連載の最後にまとめとしてします。

2016年10月28日 (金)

高江紛争の「正体見たり枯れ尾花」とは

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マスコミはとうとう豊洲問題で、ヒ素、ベンゼン、水銀、強アルカリなどについてひとことも触れなくなりました。 

まったく問題がないことが分かったからです。 

水銀の時も騒ぐかと思いましたが、さすが学習したみたいで、有機水銀と無機水銀の違いくらいわきまえたようです。 

というか、自分で調べる気があれば、そもそも安全性議論など記事にするべきではなかったのです。 

ところが「ヒ素が基準値4割」という共産党のプロパガンダに乗って「豊洲祭り」に加担しあげく、どこかで科学部の記者に、「お前ら基準値の読み方も知らねぇで、書くんじゃなんねぇ」とでも怒られたんでしょうかね。 

かくしてマスコミはいまや、安全性の「あ」の字も口にしません。 

大騒ぎした「謎の地下施設」も安全対策であったことがバレると、「安全対策の盛土をしていなかった」という表現も、ただの「盛土をしていなかった」に変わってしまいました。 

ただし、なんの自己検証も誤報訂正もなく、「いつの間にか」です。 

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実は、オスプレイも同じです。あれほど「落ちる。落ちる」と騒ぎまくった本土マスコミで、いまオスプレイの安全性を問題視するのは、熊本地震の時の朝日と赤旗くらいです。

しかし、例によって誤報を訂正しないでひそかにフェードさせてしまったために、どこが間違っていたのか、何が正しいのか科学的判断が宙に浮いたままになっています。

さてオスプレイという航空機に対して流されたマスコミのデマほど、日本社会に深刻な後遺症を残したものはないでしょう。

それは単なる技術的デマでは止まらず、反安保・反米・反基地勢力に徹底して政治利用されたからです。

しかも、例によって自分の誤報は断固として認めないメディアは、誤報を訂正して正しい知識に置き換えるという責務を放棄したために、デマだけが残ってしまいました。

そのくせいつの間にか、「欠陥機オスプレイの危険」から「オスプレイの騒音」に問題をすり替えてしまいました。

誠実さのかけらもない対応です。

下の写真はたわむれにシュワブ・ゲート前で、毎日メガホンでドナっている反対派と、上空を飛ぶオスプレイとどっちがうるさいか計ってみたもののようです。

まぁ、よほど反対派のアジ演説のほうがうるさいようで(苦笑)。

もちろん、こんな計測にはなんの科学的根拠もありませんが(対象への距離が恣意的です)、普天間に来ればオスプレイの静かさはわかることです。

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今回の高江紛争も根をたどっていくと、正体見たり枯れ尾花ならぬ、正体見たりオスプレイ・デマです。

いわく、「危険なオスプレイが高江にやってくる」「欠陥機オスプレイは村に落ちるぞ」みたいなね。

反対派サイトにいけば、いまだこんなことを書いています。
http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/c1e25e714801a799433a8ef314de4622

「自分たちの暮らしている地域にMV22オスプレイが飛ぶことはないから、墜落の危険性もない。爆音に悩まされることもない。自分たちがよければ沖縄県民はどうなってもいい、という腐りきった根性で、今日も高江で住民弾圧を指揮している。その様子は大量にインターネット上に残り、やがて子どもらが見る日が来るだろう。」

オスプレイはしょせん空飛ぶ機械です。ハードウェアにすぎません

ですから、社会現象と違って技術的に分析可能です。

ということは定量化して、数値で結果を知ることができます。

あたり前だろうって。

いえ、高江でオスプレイか落ちてくる」と騒いでいる反対派は、自分の心理尺度でしかものを言っていないために、聞く耳を持ちません。

だからいつまでも永遠かつ、無条件で「危ない」のです。

そして今やこれだけ過激化して紛争化してしまうと、初めになにが原因で騒いでいたのか、当事者も忘れてしまっています。

これでは余りに漠然としていて議論にならないので、二つのことをしてみましょう。

①オスプレイの安全性

②オスプレイの騒音の度合い

こういう尺度、物差しを作って話を進めたいと思います。

長くなりましたので、Q&Aは次回からにしましょう。

2016年10月27日 (木)

高江の人斬り以蔵・「しばき隊」添田起訴される

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高江をめぐる状況は、大きなコーナーを曲がったような気がします。.

本土では週刊新潮がトップで、「沖縄ヘリパッド反対派・野放図な「抗議活動」と題して特集を組むに至っています。

反対運動の実態は、山城暴行事件をきっかけにして、本土でも急速に知られつつあります。

地元紙が金科玉条のように言い続けてきた、「逮捕権など圧倒的な公権力を持つ警察側と、非暴力で声を上げる市民の抗議」(沖タイ10月26日)という構図は、もはや過去ものになりつつあるのです。

沖タイが言うところの、「平和的に声を上げた市民」である「しばき隊」・添田充啓(別名・高橋直輝)が10月26日,起訴されました。

「那覇地検は26日、防衛省がヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事を進める米軍北部訓練場(沖縄県東村高江など)で、工事への抗議活動中に防衛省職員にけがを負わせたとして、傷害罪と公務執行妨害罪、米軍施設内に侵入した日米地位協定に伴う刑事特別法違反の罪で、無職の添田充啓容疑者(43)を起訴した。
 7月から着手されたヘリパッド工事への抗議活動を巡り、起訴されたのは初めて。
 起訴状によると、添田被告は9月24日、正当な理由がないのに立ち入り禁止の北部訓練場内に入り、防衛省職員の胸を突き飛ばして転倒させ、けがを負わせた、としている。」(共同2016年10月26日)

これは先月9月24日に防衛局職員を押し倒し、全治2週間の頭部挫傷を負わせ逮捕された件です。

彼は東京で2014年の在特会関係者に対する暴行事件で、実刑10カ月、執行猶予3年をくらっていますので、前の事件と合わせて実刑確定です。

検察は拘留期限ギリギリ一杯使って取り調べしていますが、おそらく本庁の公安関係検事なども同席しているはずです。

頂戴したコメントに「公安案件になった」というものがありましたが、その読みで正しいと思われます。

政府は過激化の一途を辿る高江・辺野古の反対運動の裏で蠢く、モロモロの闇の勢力の解明と摘発に本格的に乗り出したとみてよいでしょう。

ほぼ同時期に逮捕された山城氏は完全黙秘をしているそうですが、添田はベラベラ自白したとみられています。

さてその9月24日の現場動画が公開されていますので、今回も静止画像に切りとってみました。https://m.youtube.com/watch?v=8kJVWFIGW3I&feature=youtu.be

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黒いTシャツの背中が添田、白い服が防衛局職員のようです。

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基地内に侵入しようとする添田を職員が制止しようしていますが、添田は罵声を吐き散らしながら進み続けます。

添田は職員の腕を掴んで、強く旨胸を突き飛ばします。倒れた所は写っていません。

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そのまま行き過ぎようとした添田に、警備の警官が倒れた職員を指を指しています。

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添田が突き飛ばして倒れた職員は意識不明となり、道路端に仰向けに倒れています。

もうひとりの同僚が、付き添って必死に介抱しています。

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さて、今回単純な傷害罪・公務執行妨害罪ではなく、日米地位協定絡みの刑事特別法を起訴理由にしていることです。

公務執行妨害は、おそらく傷害罪と統合されるでしょうから、基本は傷害罪と刑特法の2件です。

といっても消滅するわけではなく、量刑が重くなります。

前者は、頭部挫傷の場合、後遺症が残ることもありえますので、厳しく問えば、殺人未遂も立件可能だったと思われます。

いままで「しばき隊」は、在特会への襲撃事件で立件された場合、傷害罪の場合直ちに罪を認めて示談に持ち込み、早期に釈放されるという戦術を取ってきました。

しかし、今回は、傷害を負わせた相手が公務中の公務員ですので、示談はありえません。

また刑事特別法は、日米安全保障条約に基づく行政協定の中のひとつです。

これは在日米軍施設・基地への侵入、機密探知・収集などについての罰則を持っています。

北部訓練場は、中部の航空基地と違って、高いフェンスがない代わりに鉄条網が張られています。

山城氏はこれをペンチで切断して侵入したわけで、現行犯逮捕だったようです。

またこの際、ペンチで職員の頭部を殴ったようです。幸いヘルメットのおかげで無事でしたが、無帽だったなら大変なことになっていました。

ほんとうにこの人ときたら、いい歳をして・・・!

64にもなってペンチで人の頭を殴れば、大怪我することくらいわからないのですか。

逮捕の際、山城氏はこのペンチを証拠隠蔽のために、仲間に手渡していることもわかっています。

というわけですから、山城氏が起こしたN1裏ベースにおける暴行事件も、まったく添田と同じカテゴリーです。

そのうえ山城氏には、別な日に職員をテントに拉致して、防衛局職員から警備状況を記した文書を強奪していることもわかっています。

一方、添田は「人斬り以蔵」のようになってしまったようです。 

左翼陣営は冷たく添田を切り捨てたのです。

地元紙にはこのケースで大きく踊る「不当逮捕」の活字は影を潜め、いつもは名護署に押しかけるデモ隊も見られなかったそうです。

救援活動がされているかどうか不明ですが、この様子ですと、「知らぬ存ぜぬ。わが陣営とは無関係だ」となるやもしれません。

気の毒に(苦笑)。鉄砲玉の末路です。

いいように利用し、面倒が起きると容赦なく切り捨てる、添田がかつていたヤクザ業界の非情さと瓜二つです。

実在の岡田以蔵は、幕末のテロリストで、高知の勤皇革命家である武市半平太に使われ、最後は無情に切り捨てられて獄死します。

添田が以蔵ならば、武市は添田を「暴力装置」として利用した反ヘイト運動の有田議員、SEALDsの奥田氏、反基地運動の山城氏あたりとなりますが、さらにもっと大きな存在も背景にはいそうです。

■明日から出張を予定していましたが、治らないのでどうも無理みたいです。通常どおりの運営となります。

2016年10月26日 (水)

非暴力直接行動をはき違えた高江の反対運動

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ueyonabaruさんに、かつて私が「左翼だったので遠慮していた」と書いて頂いて恐縮です。 

私や山路氏は、かつて左翼であったことを隠していません。 

人生の通過点として左翼に深く関わり、失望し離脱しました。 

私が左翼と決別したのは、彼らの内部に骨絡みの暴力に対する信仰があったからです。 

私は左翼の暴力主義をこの眼でなんどとなく見せつけられ、それに無感覚でいられるようになる自分を恐れました。 

暴力主義を嫌悪した私は、非暴力直接行動という行動様式に救いを求めました。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_809c.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_bb68.html 

手に何も持たない人が、沈黙を貫いたまま静かに「物体」のように抗議する、という思想です。 

かつて私は、相模原戦車搬出阻止闘争で機動隊にデコボコにされながら、心でこう唱えていました。 

「オレの身体はコンクリートブロックだ。オレは自動車止めだ。ベトナムに戦車を送らせないための、ただの自動車止めだ」と。 

当時の機動隊は今のように優しくはなく、私は腕の骨を折られ、爪を剥がされました。

このように、ほんとうはこの非暴力直接行動ほど恐ろしい戦術はないのです。 

しかし、これもわが国では根付かないとすぐに知らされました。 

左翼はなにひとつ変わっていなかったからです。 

非暴力直接行動と名乗っても内実は一緒で、火炎瓶や爆弾は逮捕されるから使わないだけにすぎません。 

相手が反撃できないとみるとハイエナのように群がり、噛み付き拷問・リンチにかけ平然としていられます。 

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このどこが非暴力直接行動なのでしょうか。

その罵声はもはや芸術的に汚く、ありとあらゆる憎悪表現が並びます。 

彼らの罵声を聞いただけで、非暴力直接行動の本質をわかっていないと思いました。 

非暴力直接行動とは、我が身をさらすことで、無言で「叫ぶ」ことなのです。 

その姿を多くの国民に見てもらうことで、いま何が起きているのかを知らせようとすることです。 

機動隊が逮捕しないことを知り尽くした安全地帯に片足を突っ込んだまま、ネット超しに機動隊を挑発し、「土人発言」を引き出すと、鬼の首でもとったように大喜びします。

あ、そうそう。書き間違いではありません。「大喜び」しているのです。

激怒していると見せているのは、ただの見せかけです。

だって、敵失じゃないですか。嬉しくないはずがありません。

地元紙は、山城氏の暴力沙汰による逮捕でピンチになった反対運動を救った目取真氏に、抱きつきたいような気分じゃなかったのでしょうか。

こういう喜怒哀楽にまで、政治的効果のそろばんを弾くという左翼のすれっからしぶりも、私が左翼を止めたひとつの理由でした。

こんなことを何十年もやっていると、自分の素の感性のありどころがわからなくなり、政治的効用だけでものごとを判断するようになっていきます。

左翼業界にはこのテの人間が掃いて捨てるほどいます。

それはさておき、反基地運動の皆さん、なにかはき違えていませんか、と私は思います。

暴力的言葉を使えば、暴力的言葉が返ってくるのです。

今回の「土人」発言事件は、この暴力的言葉の累積の上に咲いた醜悪な花です。

反基地運動家たちは、鉄パイプや火炎瓶の代わりに暴力的言辞という武器を選択しているだけにすぎません。 

いま、本土から年金手帳を持った、元公務員や教師たちが高江に大挙押し寄せています。

彼らは自分の青春の夢をもう一度みたい、しかも特等席で安全に鑑賞したいと考えているだけです。

年金暮らしという安全地帯に暮らす老人たちに、ふゆみさんが危惧するような、テロリストになる度胸などあるはずがありません。

その可能性が残るのは、山城氏たち沖縄反基地運動の側です。

今でこそ山城氏たち反基地運動家は武器を手にしていませんが、それを手にすることにはなんのためらいもないはずです。 

しない理由は、現時点でそのような過激派まがいのことをすれば、「オール沖縄」を共に構成する共産党に批判の材料を与えることになるからです。

なんのことはない、ただの目先の政治的理由にすぎません。

山城氏たちは、暴力集団「しばき隊」添田を受け入れた時点で、暴力に対しての敷居を極端に下げてしまいました。

また、合法との境界もあいまいにしてしまったようです。

冒頭に上げた私が10代末に経験した相模原闘争は、自分たちが違法行為をしているとはっきりと認識していました。

公道の路上に座り込んで米軍トラックを阻止することが、合法のはずがありません。

だから当然「弾圧」を受けるだろうし、それについては受け入れようと私は思っていました。

それが当時の私の、せめてもの「覚悟」のようなものだったのです。

ところが、高江の運動を見ていると、彼らは本気で自分の合法性を確信しているようです。

昨日来た「香川」という人のコメントを読んで、私は心底驚きました。

もうこの人たちは合法と非合法、法の境目が認識できなくなっているのです。彼らはこう思っています。

「なにをやってもいい。なにをしても許される。いや、許されるべきだ。なぜなら自分は正義だから」

こういう人たちはやがてなし崩し的に、さらに暴力をエスカレートさせていくでしょう。

その一里塚として、今回の高江事件は記憶されることになるかもしれません。

まことに住民にとっては迷惑なことです。

 

 

2016年10月25日 (火)

2016年8月5日 東村高江地区N1裏反対派テントで起きたこと

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本日は、8月4日の山城氏指揮による防衛局暴行事件の動画から、静止画に切りとってみました。
https://www.youtube.com/watch?v=8eS4o-CxyjI&feature=youtu.be 

切り取るといっそう何をしているのかが、鮮明になるはずです。写真はクリックすると大きくなります。

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8月5日(金)、防衛局職員3名が、不法占拠を続けている反対派N1裏テントに、「関係者以外通行禁止」の警告を貼り始めました。

これに激昂した居合わせた山城氏たち反対派約20名ほどは、一斉に職員に掴みかかろうとします。

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黒いシャツの男は眼鏡の職員の帽子をはぎ取り、複数で肩を押さえ込んで連れ去ろうとしています。

この時点で既に暴行罪は成立しています。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けた有形力の行使を言う。有形力とは物理的な力のこと、典型的には殴る、蹴るなどがこれに当たり、その範囲はかなり広い。」(ウィキ)

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個人の自由意思に反してよその場所に強制的に連れ去ることを、「拉致」と呼びます。

ただし「拉致罪」はありませんので、その拉致がなにを目的としたものかによります。

すると、山城氏は後に「こんどはうちのテントに連れ込むからな」と職員に叫んでいますので、テントに監禁することも念頭にあったと思われます。

厳しくとれば、拉致監禁未遂ということになるかもしれません。

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上の1枚だけは時系列で最後です。連れ込まれていたら・・・ゾー。

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反対派は職員の顔写真を撮るために、マスクや帽子・タオル・サングラスを力づくでむしり取っています。 

これは強盗罪です。

強盗罪(ごうとうざい)は刑法236条で定められた罪。暴行又は脅迫を用いて、他人の 財物を強取」すること。(ウィキ)  

職員は草むらに逃げようとしますが、力づくで引きずりだされてしまいます。もちろん暴行罪です。

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職員は衝撃と恐怖でぐったりしていますが、無理矢理に引き起こされます。これは強要罪です。

強要罪とは、暴行や脅迫を用いて、相手に義務のないことを行わせる(強要)犯罪です。  まず強要罪の成立要件ですが、刑法223条には「生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加えることを告げて脅迫・暴行を用いて、義務のないことを行なわせ」ることです。(刑事事件弁護士ナビ)

公務員の写真を撮ること自体は公務員の肖像権が認められていないために合法ですが、このように暴行・脅迫を用いて撮影するのは違法です。

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若い職員はなんどとなく止めてくれと訴えますが、何人もではがい締めにされてしまいます。

見かねた警官が止めなさいと介入しようとしますが、反対派は「協議している」と言って聞く耳を持ちません。

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無理矢理に正座させて「尋問」を開始します。もはや拷問・リンチです。

なお、実際に拷問による尋問は、大勢で罵声を浴びせ、正座させ、人間の尊厳を奪って「自白」あるいは「謝罪」に追い込みます。

戦前には特高警察が常用した拷問でしたが、いまは左翼が用いているようです。

ここで反対派が取っている方法は、明らかに「拷問」、ないしは「リンチ」と認定されてもいたしかたありません。

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画面左から2人目が琉球新報の記者です。

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山城氏が手前の職員に大声で恫喝をしています。

耳元で怒鳴られると、人間はそれだけで恐怖を覚え、相手の意図に服従しようとします。

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職員が持っていたトランシーバーを股間をまさぐって取り上げようとしています。

またもや強盗行為であるばかりでなく、このときにあきらかに股間を触っています。

反対派にもはや節操はないのでしょうか。

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もはや抵抗力を失った職員たちに対して、反対派から罵声が浴びせられます。

以上です。

元のソースの映像は某宗教団体のものですが、完全にノーカット編集であり、途中一カ所も映像は途切れていません。

したがって資料価値は高いと思われます。

高江反対派が、常識も法治精神も喪失して、熱病にかかったようになっているのがお分かりいただけたでしょうか。

また、この場には地元紙記者も居合わせていますが、止めるふうもなく眺めています。

警官は止めに入りますが、多勢に無勢なのか、適格な救助をすることができないまま終わっています。

ただし、司法警察官として一部始終を目撃していますから、裁判時の有力な証人にはなるでしょう。

ずれにしても、ここで山城氏たち反対派がしていることは「拷問」です。

拷問の定義をみると、そのまま当てはまる事に驚くでしょう。

拷問(ごうもん、 Torture)とは、被害者の自由を奪った上で肉体的・精神的に痛めつけることにより、加害者の要求に従うように強要する事。特に被害者の持つ情報を自白させる目的で行われることが多い。文脈によっては苦痛を与えることそれ自体を目的とする行為も拷問と呼ばれることがある。」(ウィキ)

2016年10月24日 (月)

山城氏の「ゲリラ戦術」を破綻させた添田の暴走

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どうしてここまで高江の運動は、頽廃してしまったのでしょうか? 

昨日の「ネトウヨハンター」と称する人のコメントを読んでふと感じたのですが、彼らもまた「高江の反対運動の暴力化」という事態に、自分でも驚いているかのように見えます。 

だから、現実を見たくないので、「第9条を守れば平和だ」みたいな抽象論に逃げているともいえます。 

ちなみに昨日リンクをアップした高江での山城氏に指揮された暴行現場は、8月5日に撮られたものですが、もはや一線を越えています。
https://www.youtube.com/watch?v=snc4jV_uGII&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=8eS4o-CxyjI&feature=youtu.be 

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単に法の枠を超えたというだけではなく、彼らが運動内部の一線を超えたのです。

これを見ていた琉球新報記者は(動画にも写っています)、「揉め事があった」と書き流しています。 

しかし、そんな暴力に寛容なメディアこそが、結局反対派の中にある「自分たちは正義なのだから何をしても許されるべきだ」という歪んだ考え方を助長したのです。

元々沖縄「平和運動」の中には、自分たちは「いいこと」をしているんだから、警察は見て見ぬふりをしてくれる、という奢りに似た感覚がありました。

確かに、彼らが日々やっていたシュワブのゲート前などの米兵への日常的いやがらせを、県警は表面的に規制したふりをするだけで放置し続けてきました。

高江においても初期においては、同じような反対運動と県警のあうんの呼吸とでも言うべき馴れ合いがあったと思われます。

それでなくては、県道を完全に車両で塞ぐようなまねができるはずがありません。

Photo出典不明 添田充啓

これを一変させたのは、、「しばき隊」の添田充啓の高江における登場です。

「しばき隊」は、本土で在特会狩りをしていた暴力団体です。

彼らの「狩り」の様子の映像をリンクしておきます。

上の山城氏たちの政府職員を取り囲む様子と較べると、あまりに酷似していることに驚きます。
https://www.youtube.com/watch?v=X2471cxZzbk

「しばき隊」は、多数で少数の敵対者を逃げられないように取り囲み、その壁の中で殴る蹴るを常態化させていました。

そして、勝利しました。

添田は、自分の成功体験であるあからさまな暴力を高江に持ち込みました。

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上の写真は高江における添田ですが、横にいて警官と何か会話しているのは山城氏のようです。 

「ねぇねぇ、山城さん。なんなのこの男?かんべんしてよ」「いや、オレはさ、頼まれちゃってさ。大丈夫だから」、とでも言っているのかもしれません。

こういう反対運動リーダーと警備陣のなんとも言えない馴れ合いは、本土でも沖縄でもよくあることです。

一方、添田は腰に手を当てて、入れ墨を隠すふうもありません。

添田はこのような警備とのあうんの呼吸を熟知していました。

この沖縄でも、彼ら流の流血路線が見逃されるはずだとタカをくくっていたはずです。 

添田は7月に反ヘイト法が成立してしまい、暇をもてあましている所を、社民党の福島瑞穂、池田幸代、そして辛淑玉たちに「沖縄は燃えてるよ。行ってみない」と誘われました。

言われた添田も、いままでのよう在特会狩りの血まみれの裏ビジネス業界から、もっと陽の当たる坂道を登って、いっぱしのリベラル人士の顔も持ちたいと思っていたようです。

あるいは、沖縄における基地利権の匂いでも嗅ぎ当てたのかもしれません。

いずれにしても、沖縄の反対運動にも添田を受け入れる空気がありました。 

それは「平和運動」の側が、当時、深刻な「兵隊」不足に悩んででいたからです。

日曜日には大勢来ても、日常的に高江に常駐できる者はごくわずかで、工事関係者はウィークデイに仕事をするのですから、押される一方になりかかっていました。

しかも、本土から来る支援は老齢者ばかり。

「反ヘイトで頑張ったイキのいい若い衆がいるよ」と福島氏から声をかけられて、山城氏は一も二もなく、ろくに添田や「しばき隊」のことを調べもせずに迎え入れてしまったようです。 

ところがこの人物によって、高江の現場の雰囲気は一気に変化します。

暴力が前面に飛び出したのです。

従来の高江紛争において、逮捕者は思いの外少なく、すべて拘留延長が認められていませんでした。

しかし、添田が作り出した暴力と血の匂いのする<空気>は、着実に山城氏たちの「非暴力路線」を蝕んでいくようになります。

山城氏の今までの戦略は、ゲリラ戦のように山を自在に使って出没して工事を妨害し、警備陣を翻弄しくたびれさせ、工事関係者たちに厭戦気分を起こさせることでした。

この間に、「警備陣の暴力」を全国に訴えて世論を喚起し、世論の力で「政府はやりすぎだ。高江にヘリパットを作るのはおかしいんじゃないか」という気分をかもし出そうとしました。

この戦術は見事に当たって、政府は苦しい立場に追い込まれていました。

これは山城氏のアイデアというより、オーソドックスなゲリラ戦術で、かつて北ベトナムは米国にこの方法で勝利しています。

米国を泥沼の戦場に引きずり込み、兵士たちに厭戦気分を起こし、国内に反戦運動を爆発させ、米国内部からベトナム撤退に導いたのは、周到な北ベトナム労働党の方針でした。

このゲリラ戦術をそのまま踏襲したのが、山城氏です。

山城氏はN1裏側地域を山岳根拠地にして、「兵士」たちを縦横に駆使して、工事側の補給路を車両や検問で封鎖しました。

そして地元紙はここぞとばかりに「過剰警備」を叫んで、<平和を希求する非暴力市民たちvs残虐な機動隊>という構図を意図的に作り上げました。

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すべては山城氏の思惑通りに順調に進んでいました。

山城氏がバカでなければ、最高裁判決が敗訴に終わるのは見えており、1月には工事が再開されます。

山城氏はそれを読んでいました。

このまま年末から来年まで「ゲリラ戦」で粘ることができれば、政府側は辺野古工事警備と二正面となり、厳しい対応を迫られます。

あと2カ月、たった60日間持久できればよかったのです。

しかし、ここで山城氏は痛恨の誤りを犯しました。

それが「しばき隊」添田たちが政府職員に重傷を与えたことで逮捕されたことです。

この添田暴行事件は、政府に攻勢をかけるきっかけを与えてしまいました。

そしてあろうことか、山城氏本人も添田に影響をうけてしまったのです。

山城氏は、いままでの非暴力路線を捨てて、むき出しの暴力による抵抗運動を開始してしまいます。

そして、今まで控えていた訓練場内への侵入を開始します。まさに自滅の道です。

政府は敏感に反応し、従来から機会を狙っていた山城氏逮捕に踏み切ります。

そこまでに、警察は山城氏について大量の違法行為の証拠を集めており、逮捕のタイミングを狙っていたのです。

かくして山城氏は逮捕され、一斉に家宅捜索の手が伸びました。

県警から家宅捜索を申請された地裁裁判官は、机に積み上げられた違法行為の物証の数々に声を失ったことでしょう。 

警察は山城氏のような重要人物を逮捕する場合、「兵隊」とは違い、逮捕した後に立件できるかを考えます。

立件し裁判に耐えられるとにらんで、山城逮捕に踏み切ったのです。

今回の「土人発言」事件は、山城逮捕に対する地元紙と共産党が仕掛けたカウンターだったわけですが、かえって反対派の違法行為をあぶり出される結果になりそうです。

 

2016年10月23日 (日)

日曜雑感 県議会の機動隊撤収決議と、沖縄出身の嵩原安三郎弁護士の勇敢なコメント

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県議会が機動隊の撤退を決議しそうです。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/67699

「21日には与党3党であらためて対応を協議し、代表者間で「土人」などの発言そのものに抗議すると同時に、「問題の根幹は反対運動の現場への機動隊動員にある」とし、撤退要求に踏み込むことを確認した。」(沖タイ10月23日)

「問題の根幹が現場への機動隊導入」ですって。

呆れたもんだ。白を黒というにもほどがあります。

国民はネットから真実を知りつつあります。

沖縄の皆さん。「土人」発言への怒りだけで、ほんとうにこんな決議をとおしていいのですか。

今後、たいへんな禍根を残しますよ、こんなもの通したら。この決議は沖縄のこの混乱を肯定し、さらには他県の支援が要らないということなのです。

たまには本土から見てご覧なさい。

今まで機動隊を乏しい県予算をやりくりして沖縄に派遣してみれば、現地で左翼集団の手厚い出迎えを受けて疲労困憊し、あげくひとりの隊員の失言によって、「お前らは差別者だ。来るな」と極悪人呼ばわりの撤退決議までされる・・・。

他県にとって、たまったもんじゃありませんね。

私が知事なら、「あ、そうもう二度と沖縄にはいかんわ。二度と支援なんかせんわ。あー、せーせーした」と思うでしょう。

決議には拘束力はありませんし、この最終段階で国が引き下がることはあり得ません。

現実的には、国は他県の機動隊を下げて、最精鋭で、もっとも統制のとれた9ツある警視庁機動隊の1個隊をローテーションで常駐配備することになるかもしれません。

                      ~~~~

ネット言論の反論情報もあって、10年前とは違うのが救いです。

これが10年前だったら首相謝罪まで行ったことでしょうからね。

沖縄出身の嵩原安三郎弁護士の勇敢なコメントとツインターhttp://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1961.html
https://mobile.twitter.com/yasusaburot?ref_src=twsrc%5Etfw

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「反対派は地元住民ともトラブル起こしてる。すごく迷惑がられてる。現場の警察官の帽子や眼鏡を取ったり座らせたり、テントに引きずり込むぞと言ったり、個人攻撃すごい。異常事態。あれは沖縄人じゃない。僕ら認めてない。」

「これね、まずその、現場、ま、今は、最近はツイッターなんかでも上がってる、動画でも上がってるので、ぜひ現場で何が起こってるのか見てほしいんですよ。そうすると、あれ反対派の住民じゃないですからね。反対派ですから。

「住民じゃない。もちろん沖縄の人間も少しは混じってますけど、実際あの反対派と呼ばれる人たちは、地元ともトラブルを起こしていますから。対立していますから。」

「で、個人攻撃もすごいんですよ。あれ、いまの日本で、あんなことか行われているってことはもう、非常に、異常事態なんです。」

「それに対して、(土人という言葉が)出るっていうのは、仕方がないのかなというのもあれ(現場)を見ると出てくる。どっちが悪いのかというと、先に(暴力を)出してくるのは反対派の人たちです。
で、これがひとつです。で、あとね、ただ、今回、その、土人っていう報道ね、沖縄人が土人だとこう言われてるってことを、さんざん報道してるじゃないですか。あれね(苦笑)、すっごい傷ついてて、沖縄人としては。」

「薄~くあるんですよ。で、それを出てきて、で、誰も、こっちの人は否定しないと(苦笑)。沖縄人は土人じゃないって言わないっていうことについて、すっごい怒ってるんですよ。」

「みんなそう思ってると思ってるから、思ってるっていう感情が出てきてるんですよ。だから今の報道ってていうのは、僕、すごく腹立たしい。」

「沖縄人としてはすごく腹立たしい。逆に、逆差別っていうか、煽っているとしか思えない。」

・・・百聞は一見にしかず。動画をご覧ください。高江でなにが行われているのかよく分かります。

防衛省職員に対する暴行現場動画
※某宗教団体の提供する番組ですが、映像自体は編集が加えられておらず、信用に足るものだと思われます。
https://www.youtube.com/watch?v=snc4jV_uGII&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=8eS4o-CxyjI&feature=youtu.be

相手に手をかけていますし、何人もで力ずくで正座させようとしています。

サングラスやマスクも奪っていますから、暴行・脅迫・公務執行妨害・威力業務妨害、さらには監禁未遂、強盗傷害なども完全に成立すると思われます。 

山城氏が率先して集団暴行を指揮している様が、そのまま収録されています。

それにしても、こんな暴行現場を白昼堂々と、複数のカメラやビデオの前でやってのけるのですから、山城氏の平衡感覚は既にそうとうに狂ってきています。

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名護署前での山城氏による警官暴行現場の動画https://video.twimg.com/ext_tw_video/789093915068510209/pu/vid/640x360/7qnpH6gk6W-uGM93.mp4

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警官の首を締める反対派動画
https://www.youtube.com/watch?v=gdzm6g6HlY0

反対派による道路封鎖動画
https://www.youtube.com/watch?v=TSbJlNS9rmU

おまけ 報道特集金平キャスター

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金平キャスター「差別的な発言を本来は戒めるべき立場にある大阪の松井知事が『…出張ご苦労様』と擁護するような発言をしている。 今回の暴言は、沖縄に対する本土の一部に蔓延しているゆがんだ姿勢を象徴しているように思えた。」 

「外から来た人だけが反対しているというのは言いがかり」(金平氏が番組中で紹介している反対派夫婦は本土からの外来者)

山城氏などの反対派は、いままで沖縄メディアの寵児でしたから、なにをしても報じられないと確信していたのでしょう。

しかしそれはマスコミの話。いまやネットで情報は共有される時代なのです。

日曜写真館 秋に咲く

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仕事を休めないせいか、風邪が抜けてくれません。

う~、つらい。テンションが下がります。頭が回転しません。

昨日などは後半を全面的に書き換えたほどです。ま、言い訳ですが。

今週も高江テーマを続けるかどうか思案中です。

あそこの反対派の人たちの、誤った認識と、歪んだ正義、共感を拒否する運動形態と長時間つきあっていると、こちらまでおかしくなりそうです。

                       ~~~~

なお、今週は10月28日(金)~10月31日までの4日間、出張のためにお休みさせていただきます。

ノート持っていって旅先で書こうかとおもったんですが、ムリでしょうな。

それまでに治さねば。

2016年10月22日 (土)

いわゆる「土人発言」事件その後

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とうとう国家公安委員長まで答弁させられました。 

沖縄県議会与党は、他県の支援を要請した県公安委員会を追及、沖縄維新の会は松井府知事に抗議文も出したようです。 

2警官に対しては戒告処分が出ました。 

「今月18日、沖縄県東村で米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事の警備中に、大阪府警の機動隊員が「土人」や「シナ人」など差別的な発言をした問題で、大阪府警は29歳の巡査部長と26歳の巡査長の2人を戒告処分としました。
2人は調査に対し、「感情が高ぶって口をついて出てしまった。侮辱する意図はなかった」と話しているということです。」(TBS10月22日)

 府警は「著しく警察の名誉を傷つけた」としています。いかにも警察官僚がやりそうなトカゲのシッポ切りです。 

大阪府知事のように、まずはこんな煮えたぎった前線に派遣された隊員たちに対して、ねぎらいの言葉のひとつもないのかと思います。

私は就任早々に、部下たちを整列させて、メディアの前で叱りつけた小池さんより、まともだと思いますがね。

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大阪のメディアは松井氏の記者会見冒頭部分をカットし、「ご苦労さま」の部分だけを伝えています。 

松井知事の発言はこうです。 

「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」https://mobile.twitter.com/gogoichiro?ref_src=twsrc%
映像https://www.youtube.com/watch?v=u6qPzhVQ-n4&feature=youtu.be

また、肖像権にはことのほか神経質で、通行人にすら顔モザイクをかけるメディアが、琉球新報の映像をそのままお茶の間に流してしまうとは、驚きでした。 

いいですか、大阪はあの添田たち「しばき隊」の本拠地ですよ。 

添田たちはかつて大阪において仲間うちで、相手を半殺しにするような無残な「しばき隊リンチ事件」(十三ベース事件)を起こして逮捕されています。
※十三ベース事件
http://critic20.exblog.jp/25658919/

このような暴力集団のホームグラウンドで、好餌を与えてどうするのですか。

しかし従来、東京と大阪においては、警察と「しばき隊」と奇妙な共存関係にありました。

しばき隊とは暴力を政治に活用するゴロツキ集団である。関西弁で「しばくとは「暴力をふるう」という意味だ。
彼らはそれを「超圧力」と呼んでいるが、暴力の行使が軍団の原点であり、本来の行動様式であり、暴力で相手を叩き潰して目的を遂げるのがしばき隊の日常と習性だ。
(略)沖縄の公権力である防衛局は、しばき隊と仲良しの東京・大阪の公安警察と同じではない。」(『世に倦む日々』)
http://critic20.exblog.jp/26069601/

警察にとってはデモ隊の過激分子を、文字通り「しばき」倒してくれる「味方」であったから、添田たちは泳がされていたのです。

添田の逮捕後も、「しばき隊」の残党たちは大阪に残っていますから、反ヘイトを名目にこの2警官にテロを仕掛ける可能性があります。

さて、反ヘイト団体「のりこえねっと」辛淑玉氏が、添田たち「しばき隊」を沖縄に連れていくきっかけを作りました。

ここでも添田たちは、唯一彼が知っている暴力(彼らの言い方で「超圧力」)を公然と行使したわけですが、結果はご承知のとおりです。

そしてそれだけにはとどまらず、「しばき隊」を頼もしい助っ人として迎え入れた山城議長側も、やがて添田のやり方に染まっていきます。

れでなくても添田を受けいれる親和性が、沖縄の左翼陣営にはありました。

沖縄だけは、自分たちがなにをしようと警察は見逃してくれるという思い上がりが、反基地団体に色濃くあったのです。

今回の高江で彼らがやったことの数々、・・・県道に車両でバリケードを築き、ピケット要員にその下にもぐりこませ、警官隊に実力で抵抗し、私的検問をする・・・それらすべてが違法です。

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出典不明

Photo_6http://matome.naver.jp/odai/2146910355497003201

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http://matome.naver.jp/odai/2147428540852607501

これに対して警察は少なくとも初期においては、まったく無規制に等しい状況でした。

上の3枚目の写真は、反対派のツイッターからのものですが、なんと警察車両を「検問」していると得意気に書き込んでいます。

絶句します。ここは日本ですか?

いや、世界広しといえど、警察車両を「検問」する集団がいる地域などないでしょう。

もしあったとしたら、そんなものは武装民兵が跋扈する崩壊国家だけです。

これをさも「いいこと」のようにやってのける人たちが地域外や県外から数百人も押し寄せた地域、それが高江だったのです。

いたしかたなく東村では役場が、高江出荷組合のプレートをつけるから見逃してくれと反対派に「要請」したほどです。

行政が反対運動の「実効支配」を認めてしまっていたわけです。

そもそも今もめているN1ヘリパッドは、高江の隣村の国頭村にあります。高江はただの通り道だったにすぎません。

国頭にはいっさいの反対運動はなく、東村には共産党の議員がいたから、こんな紛争に発展しただけなのです。

このような法からの逸脱と暴走は止めどなく、本土では考えられもしない、警備の警官たちの顔写真と実名を公共の場にさらすような行為さえ、警察から黙認されてきましてた。 

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上の写真は辺野古のものですが、こんな警備の警官の顔を大きな横断幕に仕立てて、掲示しているという神経そのものが、私たちの理解を越えます。 

どこの世界に警備の警官の顔写真を出した横断幕なんか作る者がいるのですか!呆れてものが言えません。

これに対して行政や警察はなんの注意もしない、いや出来ない、それが沖縄の現状でした。

また警官たちは、街を歩けば「おまえの子供を学校に通わせなくしてやる」「八つ裂きにしてやる」(産経10月20日)「お前の家の前で街宣してやる」と聞くに耐えない脅迫に日常的にさらされているわけです。 

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さぞかし他の都道府県から派遣されてきた警官たちは、このような異常な状況に歯噛みしたことでしょう。

それはそうでしょう。

高江は今や法律の外にある無法の地になり果てていたからです。

他の府県の警官たちが愕然となり、怒りを燃やして当然です。

こんな空気が充満している中で起きるべくして起きたのが、あの「土人発言」事件なのです。

しかも毎日のように汚い言葉で罵声を浴びせられ、眼の前の柵を揺さぶられたら・・・。

もしあなたがまだ20代の若者だとして、それに耐えられますか?

もちろん発言内容は大いに問題です。暴言にはちがいありません。

しかし、それが言われた背景を少しは斟酌してやってもいいのではないでしょうか。

私はこの「土人」発言には差別的意図はなかったと思っています。

あったのは、違法行為を恥じることもなく続ける、反対派の狂態に対しての警官としての怒りです。

2警官は厳しく処罰されました。

ならば、反対派も少しは自省心というものをもったらいかがでしょうか。

※ お断り 大幅に加筆修正しました。いつもすいません。
中国の新聞は警官の顔が写っているために削除しました。(午前10時)

2016年10月21日 (金)

高江で起きていることの「流れ」から切り離して、事件を見てはいけない

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風邪を引きました。熱があって頭はグルグル、鼻はジュルジュル、喉はイガイガ(涙)。

さて、今回のいわゆる「土人」発言問題は、典型的な印象報道の手口を使っているのに気がつかれました? 

なんどとなくこのブログで取り上げてきましたが、印象報道とは、あらかじめメディアが喚起したい意図に沿って、衝撃的な「事実」をぶつけて来る方法です。

客観報道の手法ではなく、プロパガンダの手法です。

読む者、聴く者をショッキングな「事実」の前にひれ伏させて、狙った結論に強引に短絡させてしまいます。

今回ならば、アナクロな「土人」発言です。

そこだけ聞いた人はびっくりして、年中こんなことを警官は言いながら、「市民」をいたぶっているのかと思ったはずです。

もちろん違います。

地元紙が言う「事実」は、正確には「事実」の一部です。 地元紙は、都合いい一部だけを切り取ったにすぎません。

あのやりとりも3度に渡って、柵を揺らして叩きながら「ヤクザ」を連呼した流れから生まれています。 いわば売り言葉に買い言葉なのです。

これが小状況ならば、もう少し視野を広げてみましょう。

警備の警官たちが、日頃、反対派からどんな対応を受けているのかについて、地元紙は意図的に報道していません。 

それは警官に対する脅迫行為が、日常的に反対派からなされている事実です。

「ある沖縄県警の機動隊員は反対派の活動家から「おまえの子供を学校に通わせなくしてやる」「八つ裂きにしてやる」と言われたと明かす。
休日に家族と買い物をしていると、出くわした反対派から「こんなところで何をやっているんだ」と難癖をつけられたこともあるという。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古では、反対派が設置したテントに機動隊員の写真と氏名と役職が張り出されている。
自身や家族の危険を感じながらも、機動隊員は「私たちはプロですから」と耐え忍んで違法行為を辞さない反対派の妨害活動に向き合っていた。」(産経10月20日)

警官たちが日常的に、顔写真をベタベタと公開(※)された上で、「家族にまで類が及ぶぞ」「八つ裂きにしてやる」といわれ続けている状況を考えると、口先だけの脅迫とは思えない効果があると思われます。
http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/c1e25e714801a799433a8ef314de4622 

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このように警官の顔写真が無規制に拡散するようなことが続き、「家族に危害をくわえるぞ」などと平気で言える人たちが増えれば、警官はバラクバ帽で顔を隠さねば公務につけなくなる時代がくるでしょう。

それが日本の民主主義にとっていいことなのかどうか、少しは考えてみるのですね。

今回も琉球新報は、当該警官の顔がはっきり写った映像を使用しています。

メディアの歪んだ正義はここまでするのです。

これに対して、松井府知事が警官の名の公表を拒んだのは当然です。

つまり、「土人」という表現はけっして許されるものではありませんが、このような言葉が出る素地は充分にあったということです。

そしてさらに視野を広げれは、この「土人発言」報道は、高江で起きていることの流れ全体からも切断してしまっています。

下の写真はツイッターから取ったものですが、このような驚くべき状況が放置されていました。https://mobile.twitter.com/nishincyu3231?p=s

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上の写真は道路封鎖すること止めた後に、路側両側に大量に車両を放置し、反対派が道路上を占拠しています。

次の写真は、反対派が道路を塞いで、車両の下に潜り込んでいます。

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3枚目の写真は、反対派の「検問」です。彼らは、勝手に公道上で車両を止め、「お前は通ってよし」「お前は帰れ」ということをしていました。

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裏道までびっしりと違法駐車をしています。住民の要請もまったく無視されました。

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Photo_4そして高江の村の中でも、容認派とみると通行を妨害して通しません。

もはや村全体が反対派の実効支配に置かれてしまいました。

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そして基地内に進入しようとしては逮捕されます。

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逮捕されれば、仲間たちが大挙して名護警察署におしかけて奪還を計ろうとします。

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そしてとうとう元暴力団員の「しばき隊」添田を高江に入れて、重傷者をだすまで暴れさせてしまいました。

添田は逮捕。

これを仲介したのは、社民党の福島瑞穂前党首です。

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ご覧になってなにを感じられましたか。

反対するのも容認するのも、それぞれの自由です。

しかし反対派が「高江を守る」といいながら、高江を蹂躙してしまったことがご理解いただけたでしょうか。

高江住民はこう訴えています。

反対の応援団だった沖縄タイムス沖タイ(9月8日も、こう報じざるをえなくなりました。http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/61153

「決してヘリパッドに賛成ではない。ただ、彼らのやっていることはわれわれの生活の破壊。もう爆発寸前だ」と憤慨する。当初の機動隊への怒りの矛先は市民側に変わりつつある」
「宮城尚志校長は「反対運動を否定しないが、もっと別にやり方はないのかと思う」と首をかしげる」
「仲嶺区長は「区民のストレスは限界に来ている。早くヘリパッドを完成させた方がいいとの声も出ている」と打ち明ける。」

今回の事件は、このような流れの中のひとこまだったのです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-1f27.html

知事でありながら、このような高江の状況を放置した翁長氏の罪は重いと言わざるを得ません。

2016年10月20日 (木)

高江紛争 いわゆる「土人」発言について

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機動隊が「土人発言」したとのことで、お祭り騒ぎです。 

実際、琉球新報(10月19日)の映像を見ると、小声ですが確かに言っていますね。http://ryukyushimpo.jp/movie/entry-377736.html 

やれやれ。ちゃーならんさ。 

「18日午前9時45分ごろ、訓練場N1地区ゲート横の丘に設置された仮設フェンス(金網)沿いで抗議をしていた市民に対し、基地提供施設内のフェンスの内側にいた機動隊員1人が「どこつかんどんじゃ、ぼけ。土人が」と発言した。当時、市民数人がフェンスに上ったり揺らしたりするなどして抗議していた。」(同)

 まず、この警官の発言した「土人」という表現については、謝罪するしかないでしょうね。

反対派と警官のやりとりの部分です。

・警官「立ち去りなさい」
・反対派(目の前で柵をバンと叩く)「このやくざ」
・警「立ち去りなさい」
・反「お前こそ出て行け大阪府警」(反対派絶叫、目の前で柵をバンと叩く)
・警「なにやってんじゃこのボケ、…土人めが」

このように一般的に言ったわけではなく、再三に渡って「ヤクザ」と挑発された前後に出た売り言葉に買い言葉です。

警官も人の子だと言ってあげたいのですが、公務員としては弁解の余地がありません。

この映像をみると、帽子に2本線が入っていますから小隊指揮官だと憶測されます。

現場指揮官が、こんなこといっちゃダメです。懲戒ものですね。
※追記  大阪府警は「処分を検討している」と発表しました。

さっさと引っ張らずに謝罪したほうかいいと思います。

無駄に引っ張ると、「沖縄差別」という沖縄左翼得意の暗黒世界に引きづり込まれますよ。

この押し迫った状況で、この発言を差別だと騒ぎ立てて、敗色濃厚な状況を立て直したいというのが、反対派の目論見ですから。

菅氏はただちに遺憾の意を表明しました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161019-00000029-ryu-oki

「菅義偉官房長官は19日午後の会見で、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設で、工事に反対する市民に対して機動隊員が「土人」と発言した問題について「警察官が不適切な発言を行ったことは大変残念だ。今後はこのようなことがないよう警察で適切に対応するだろう」と苦言を呈した。工事への影響については「法に基づいて適切に進めていくべきだ」と述べ、引き続き計画を推進する考えを示した。」(産経10月19日)

ダメージ・コントロールとしては見事です。

ただね、私が疑問なのは、こんな映像だれが撮ったのでしょうか。

昨日もアップしましたが、反対派はなぜかいつもビデオを回しています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-5149.html

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こんな一般市民を襲撃まがいの「検問」をする時ですら、ビデオで相手の顔を撮りまくっています。

自分の違法行為の証拠を残すという素晴らしい法治精神です。

反対派サイトにいけば、警官の顔写真展覧会のようになっています。http://blog.goo.ne.jp/koube-69/e/c1e25e714801a799433a8ef314de4622

この反対派ブログはこんなことを書いています。

「自分たちの暮らしている地域にMV22オスプレイが飛ぶことはないから、墜落の危険性もない。爆音に悩まされることもない。自分たちがよければ沖縄県民はどうなってもいい、という腐りきった根性で、今日も高江で住民弾圧を指揮している。その様子は大量にインターネット上に残り、やがて子どもらが見る日が来るだろう。」

はいはい、オスプレイ・デマなんていう難しいことを言うつもりはないが、公務とあなた方の「運動」とは違う次元なのですよ。

警官も好きで来ているわけじゃないことくらい、子供じゃないんだからわかりそうなもんですが。

まぁ言ってもしょうがないだろうな。

このブログを書いているのはプロテスタントらしいですが、日本のキリスト教界隈にはホントに左翼が多いなぁ。

まぁこの文章を読めば、彼らが現場で警官になんと喚いているかおおよそ察しがつくというもんですがね。

自分たちはサングラスに覆面で、撮られた映像に顔が出ていれば左翼弁護士を使ってすぐに肖像権がどーたらと訴訟を起こしますが、公務員はかまわないようです。

普通こういう場所に来て、「襲撃」の状況を逐一ビデオに撮る人のことを「市民」とはいわないと思いますがね。

「左翼活動家」と正しく呼んであげましょう。

今回の状況も一緒です。

普通、ウィークデイにこんな辺鄙な山の中にまで来て、基地の柵を揺さぶって警官を罵る人たちのことを、「市民」とは呼ばないと思うゾ。

なぜかメディアは在特会がデモをすれば「右翼団体」(※)という表現を使って「市民」と呼ばないのに、不思議ですね。
※追記 「極右」とまで言っている媒体はないので、「右翼団体」と訂正しました。

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かねてから反対派は日本人警備員に、「お前らの顔は写真に撮った。住所もわかっている」と明らかな脅迫をしています。

この人物は山城氏だという説があります。

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ましてや高江で公務に就く警官に対して、汚らしい罵声を浴びせるのは日常茶飯事だといいます。

現場では、「米国の犬。辞めちまえ。このゴミ!」などという言葉が警官に浴びせられています。
三上智恵の沖縄〈辺野古・高江〉撮影日記
https://www.youtube.com/watch?v=7vHDfRcEjM4&feature=youtu.be

ちなみに,「くるさりんどー」(※)という言葉は、山城議長の大好きな言葉で、年中使っていたために「くるさりんど山城」というニックネームがついてしまったほどです。
※追記 直訳すると「殺されるぞ」ですが、コメントのご指摘によれど「叩くぞ」「なぐるぞ」の意味だそうですので、修正しました。)

あたりまえですが、警官にも人権があります。

反対派「市民」が警官に対してなにを言ってもよく、公務員はいかんというのもいかがなものかと思います。

毎日、このような罵声に耐えて黙々と職務をこなしていれば、こういうことが起きるべくして起きるのです。

本土の左翼インテリにおかれましては、こういうフリクションを煽るのではなく、双方に対して冷静に対処しろと説くべきではないでしょうか。

■追記 山城氏に防衛省職員の書類を強奪した疑いが浮上しました。http://www.sankei.com/politics/news/161020/plt1610200002-n1.html

「沖縄県警は19日、同県の米軍北部訓練場(東、国頭両村)のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に対する妨害で逮捕した沖縄平和運動センター議長、山城博治(ひろじ)容疑者(64)が防衛省沖縄防衛局職員に暴行を加え、内部資料を盗んだとして、20日にも窃盗や暴行容疑で再逮捕する方針を固めた。」(産経10月20日)

2016年10月19日 (水)

高江紛争 ひとりの「大人」もいない反対派

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不思議な構図です。 

沖縄ではかねてから、米軍基地の現状固定を望む反対派と、なんらかの形で基地を縮小しようと少しずつ前進している政府側が、激しく対立しています。

これは本来逆ではありませんか。

基地固定化をもくろむ政府と、それに反対して負担軽減を叫ぶ基地反対運動。

これが本土から見た構図です。しかし、現実は逆です。

基地縮小推進派が政府、基地固定派が反対運動。それが本当の姿です。

こう書くと、「固定化なんか望んでいないぞ。全基地・全面撤去だ」と反対派から言われそうですが、それは実現不可能な要求です。 

それはなぜでしょうか。

ちょうどロシア相手に、共産党の主張のように南樺太まで返せといっているのと一緒です。 

もちろんそんな要求をロシアに出しても、鼻先でせせら笑われるだけですから「言うだけ要求」にすぎません。 

こういう所作をスタンドプレイというのです
※「いちびる」と書きましたが、
大阪の人からニュアンスが違うと指摘されましたので修正しました。 

言っている当人たちは正論を吐いた気になっていますから、気分がいいことでしょうが、現実は1ミリも動きません。 

その意味で、実現不可能な要求を出すことは、現実の解決を遅らせているという意味で、「有害」ですらあります。 

結果どうなるのかといえば、「要求」と実現可能性の間が1光年も開いてしまって、なにひとつ問題は解決しないことになり、そんなお題目にしがみついている限り、運動は必然的に硬直します。 

反対派が最大限要求にしがみついているのは、真面目に基地縮小を考えていないからです。 

常々「沖縄に対する基地負担は大きすぎる」ということをお題目のように唱えているのですから、具体現実的にどうすれば負担が減るのか、少しは真剣に考えてみたらよさそうなものです。 

今回の高江紛争では、反対派は具体的要求をまったく提示していませんし、それ以前に政府との話し合いのテーブルそのものを拒否してしまっています。 

本気で解決したいのなら、反対派は具体要求を政府に示すべきでした。 

たとえば、北部訓練場を半分返すというのは一定の前進として評価を与えつつ、ならば北部訓練場の外に新たなヘリパッドを作るな、と主張すべきです。 

おそらく政府は突っぱねるでしょうから、ならばヘリパッドの数がこんなにいるのか、どうして村落周辺に作るのだと、どんどんと追及していけばいいわけです。

また、オスプレイが危険だというなら、どこがどう危険なのか、具体的に航空技術の専門家を交えて詰めていけばよいのです。

ところがそのような具体的対応をしないために、「オスプレイが飛来するから危険だ」として、オスプレイを主な反対理由に上げているくせに、その認識は7年前のオスプレイ・デマ発生時から一歩も前進していません。

対話のプロセスから、次善の案が生まれるかもしれないのに、話合いテーブル自体が存在しないのです。

ると闘争というのは、一種の生き物みたいなものですから、自己増殖を開始します。 

闘争というモンスターが、自ら一人歩き始め、自己増殖を開始するのです。

その結果、どうなったでしょうか。

反対派はどんどんと戦術をエスカレートさせて、とうとう添田のような元暴力団を招き入れ、山城議長は基地侵入を戦術化したために逮捕されてしまいました。 

反対運動の過激化と暴力路線です。 

基地の外でシュプレッヒコールをするのと、基地に侵入して抗議行動をするのとは本質的に別次元です。 

かねてから山城氏たちは、その境界のグレーゾーンを、巧みに泳ぎ渡ってきました。 

シュワブ・ゲートで、入場者にイヤガラセをしているうちは、ギリギリセーフでした。

たとえば以下のようなシーンです。これは2014年7月にシュワブ・ゲートにおいて撮影されたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=k6ce3UXO7o4  

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最初の写真で大出力トラメガを抱えて走ってきたクバ笠の人物が山城氏です。 

山城氏は入場しようとした運転者が、容認派の周辺住民だと見ると、車を止めて「検問」し、トラメガで大声で罵声を浴びせながら、キイを抜き取ろうとしています。 

ひと頃高江でやられていた反対派「検問」の原型がこれです。

え、沖縄県警はどうしてこんな違法行為を放置しているのかって。

もう一枚この4枚の前の映像を見てみるとわかります。

これが県警が山城氏たちがたむろしているゲート前の外周警備線です。はるか離れた場所です。ここから内部は数人の警官がいるだけです。

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警備線から中は、反対運動に仕切らせていたのかと勘繰りたくなります。

要は、沖縄県警は反対運動に関わりたくないから、見て見ぬふりを貫き通していたのです。

なぜでしょうか。それは県警の上司が翁長氏だということもありますが、それ以上に逮捕すれば毎回名護署の前は常にこの有り様です。

Photohttp://saigaijyouhou.com/blog-entry-7055.html情報速報ドットコムより引用

これを毎回やられたら警察も人の子、ドン引きますよね。

県警は「民意」の敵にはなりたくなかったのです。

かくして反対運動と県警の、ぬるい共存関係が生まれてしまいました。

しかしそれをいいことに、反対派は過激化の一途を辿りました。

そして統治が容認できる限界の一線を超えました。

日米同盟によって接受国が保障せねばならない基地内の保安を脅かす行為を、山城氏は堂々と開始したのです。

それはかつてのシュワブ前のライン越えと違って、有刺鉄線を切断して侵入するという意図的なものでした。

うっかりという言い訳が成り立つ状況と、鉄条網を破って侵入すのとはまったく別次元です。

初めから有刺鉄線を切断するワイヤーカッターを用意している以上、うっかりと入ったという言い訳はききません。

計画的かつ悪質、恒常的だと警察が認識しても当然です。

このようなことを反対運動の指導者自らが犯すようになったなら、もう話し合いによる解決には手遅れです。

山城氏の逮捕は、ひとつの時代が終わったことを示しています。

山城氏の猪突猛進の肉体派指導は限界に達したのです。

山城氏は沖縄の反戦運動を象徴する人物でしたが、決して「大人」ではありませんでした。

ひとりの「大人」もいないことが悔やまれます。

 

2016年10月18日 (火)

ネットはコメント欄と一対になった双方向型言論空間です

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昨日も荒れましたね。

高江をテーマにすると必ず荒れます。

作法は決まっていて、重箱の隅をつつくようなことを取り上げて、「ほら見ろ、この一点でわかるように、デタラメだぁ」とやるわけです。

こういうのは「揚げ足取り」、別名「ケチつけ」といって典型的な詭弁論理学なんですが、あんがい効くんで、ネット言論ではいまだにはびこっています。

印象操作の手口で、全体で筆者が何をいわんとしているかというテーマ部分をあえて視野からはずして、恣意的に一点だけを攻撃するわけです。

自分が全体の内容を批判できないから、お手軽に眼につくところだけ集中攻撃するという反則技です。

ディベートに馴れている人だと、「ああ、また姑息な手段でやっているな」とわかりますが、一般の人には「そうか、こんなに論拠がいいかげんなのか」と妙に納得してしまうわけです。

それを延々とコメント欄で連投すれば、もうこの記事が何をいいたかったことなのか、完全にテーマから脱線します。

おっと、こう書くと、「お前は細部の検証が不要と言っているな。この一点を見ればわかるように」と入れられそうですが、そうではなく、包括的な検証を前提としないそれは意味がないといいたいのです。

Photo高江における添田。あいかわらず入れ墨をひけらかしている。引用元 tomtom

昨日がそうでした。

私は添田といういかがわしい人物を高江紛争に入れてしまい、その結果、運動側に悪い影響が出たことを書きたかったわけです。

これはなにも右翼的批判ではなく、『世に倦む日々』などといった左派系ブログや、鹿砦社などの左翼メディアでも指摘されていることです。
http://critic20.exblog.jp/

ところが沖縄左翼は、このようなしごくまっとうな内在的批判すら受け入れない体質が強くあります。

ですから地元メディアは、添田が暴行で逮捕された時に沈黙してしまいました。

山城氏グループの過激行動を批判したのも、共産党だけだったのは皮肉な話です。

結局、山城氏は昨日、逮捕されましたが、地元メディアがまるで基地侵入を英雄的行為のように褒めそやすからこうなったのです。
http://www.sankei.com/affairs/news/161017/afr1610170028-n1.html

本来ならばメディアが、「こんな暴力主義者を高江反対運動に入れてはいけない。山城さんたちつられてはいけない」と諭すべきだったのです。

私は山城さんに忠告などする立場にありませんが、あんなことを続けていれば、やがて警察のごやっかいになるのは分かりきったことじゃないですか。

山城さんは県警相手のシュワブのゲート前で味をしめて、警察をなめていました。

ですから、今や国が前面で出てきている状況に鈍感だったのです。

そのあたりは、在特会相手で甘やかされて、高江で逮捕された添田と同じです。

しかし、いままで地元メディアは基地反対運動に対するいかなる批判も許さないという言論封殺をしてきた張本人でしたから、自縄自縛になってしまったのです。

このように沖縄の左翼運動が硬直するのは、良質な批判者不在という側面もあるわけです。

それはさておき、今回、添田の素性の部分で引っかかって、そこから先に行かせない人が出たのも同じ文脈です。

アゴラッこさんは、こういう三段論法を使っています。気がつきましたか。

「添田がヤクザだという証拠を提示していない」⇒「だからネットはいいかげんなのだ」⇒「ネットの高江反対派批判はデタラメだ」

ね、飛躍しているでしょう。

なんのことはない、このアグラッこという御仁は、自分が「知らなかったから、お前はデタラメだ」と決めつけているわけです(苦笑)。

自分の物知らずが、攻撃兵器に転化するとはなかなか渋い。

しかし生憎、添田がヤクザだったことは、別に新しくもない公知の事実であって、特に資料を添付する性格ではないから省いただけなのですが、それを一方的に「根拠なし」と決めつけます。

あのねアグラッこさん、すくなくとも添田やしばき隊を語ろうとするものが、あの有名な「ヤクザ宣言」を知らなかったでは済まんですがな。

そしてこれだけのことで、「この一点を見ればわかるように」というニュアンスで、「だから信頼できない」と一気に飛躍して全否定します

これはちょっと前に、「よーぞーは管理人の騙りだ」と騒いで、「中身はどうなの」と問われると、「こんなウソツキの書くもんなんか、読んでおらんわ」(爆)とヌケヌケと言い放った「4ツのHN」氏と同じです。

結局、彼らは、「高江反対運動を批判しているのはこんな奴らなんだ」とやりたいわけでしょう。

アゴラッこさんは最後の部分こそ書いていませんが、充分にその認識へと誘導される仕組みになっています。

このように議論を脱線させて混乱させて、一点突破・全面否定することが、こういう人たちの目的なのです。

いわゆる「炎上」目的の火付けです。

今回なら、添田という男が自分で自分のヤクザとしての来歴をしゃべっている記録があるのに、なぜかそれ当たろうとしないわけです。

「添田 ヤクザ」だけで膨大にヒットしますが、そんな簡単なことすらしないから困る。

また、根本的にこういう人たちが勘違いしているのは、ネット言論というのは双方向型の言論世界だということてす。

今回しつこく絡んできたアゴラッこさんなどが決定的に理解できていないのは、この部分です。

ネット言論は一方的に注入される既存メディアは違って、一種の<集合知>なのですよ。

相手を腐すだけでは成立しない。

自分の知見も持ち寄って、<共同の認識>を構築するのがネット言論の最大の特徴なのです。

既存のメディアに馴れた人は、ここがわからないから、ネット言論の粗探しをして、それがリテラシーだと思っていますが、ぜんぜん違うんです。

私はコメント欄はそのためにあると思っています。

「私はこう思う」「私はこういう知見を持っている」「私はこういう角度で見ている」、それがコメント欄の醍醐味なのです。

私の拙いブログは、このコメント欄と一体となって成立します。

近頃ならば、蓮舫氏の重国籍問題では、よもや読者にその専門家がいたとは思いませんでしたし、豊洲問題では建築の専門家に大いに教えられて、記事を大幅訂正したほどです。

こういう知的作業のことを、リテラシーと呼びます。

リテラシーとは状況や事態を読み解く能力のことですが、これはなにも筆者の側だけが要求されるのではなく、読む側も同様に問われているのです。

つまりは、私の記事だけでは半分であって、コメント欄と組み合わされてひとつの「記事」となるわけてす。

ぜひここを、建設的な場にしていきませんか。

 

2016年10月17日 (月)

しばき隊がとどめを刺した高江紛争

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高江紛争に分水嶺があったとすれば、10月4日のしばき隊の添田充啓(別名・高橋直輝)の逮捕です。 

防衛局職員に頭部打撲による重傷を負わせた傷害容疑でした。 

いままで高江では何人も逮捕されていますが、いずれも拘留却下されていたのに対して、初めて司法が厳しい判断を下したケースとなりました。 

ここを分岐点として、政府は従来の揉め事は避けるソフト路線から転じて、過激分子に対しては逮捕・拘留・裁判で臨む強い姿勢に転じました。 

添田は、本土では反ヘイトの名で知られるようになった、要するにならず者です。

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上の食欲がなくなるような写真が、添田が「組長」を努めるしばき隊の戦闘部門・「男組」です。

うー、気持ち悪い。

添田は向かって左から2人目のサングラスの男で、男を売り物にしているわりにタプタプした身体に、墨を入れていきがっています。

どう見てもヤクザにしか見えませんが、まさにその通り、当人の談話によれば、指定暴力団・神戸山口組二次団体・山健組の元組員(※)で、前科三犯、今回が4度目の逮捕です。

追記 添田が山健組構成員であったというのは、当人の談話によりますが、否定する情報も存在します。
添田の来歴については、彼自身がユーチューブで大量に語っています。
①https://www.youtube.com/watch?v=BweV2YcJIPo
②https://www.youtube.com/watch?v=BweV2YcJIPo
③https://www.youtube.com/watch?v=-07bMw2Tqsk
④https://www.youtube.com/watch?v=T_Hf5-v6tio
⑤https://www.youtube.com/watch?v=bGctJSOBN_w

過去3年間、反ヘイトと称する運動で3度逮捕され、いずれも暴行・脅迫で有罪となっています。 

鹿砦社という左翼出版社の『ヘイトと暴力の連鎖』によれば、しばき隊は去年の安保法制の時にこのような動きをしたようです。 

「昨年の安保法制反対運動では、しばき隊がSEALDsの防衛隊を務めて、(略)暴力的に、異なるグループを排除しています。これは公知の事実で、映像もネットで出回っていますので否定しようもないでしょう。」 

この本にはしばき隊の反ヘイト運動の実態が多く報告されていますが、左翼系ライターが「在特会がかわいそうになった」というような正直な声を漏らすほど、すさまじい暴力をふるっていたようです。
※しばき隊の活動実態http://nippon-end.jugem.jp/?eid=4449

添田たちは、隠れもしない暴力の信奉者なのです。 

意見が異なる者は、在特会ならば情け容赦なく暴力振るい、左翼陣営の中でも反ヘイト運動やSEALDsを批判した者には、同じくリンチを加えています。

実力行使にとどまらず、去年SEALDsを批判した辺見庸氏や韓国留学生に対して、熾烈なネットリンチを加えて、辺見氏を謝罪に追い込んでいます。 

そして、とうとう添田たちによる「しばき隊リンチ事件」(十三ベース事件)という、連合赤軍まがいの内部リンチ事件まで引き起こしました。
※十三ベース事件
http://togetter.com/li/974584
http://critic20.exblog.jp/25658919/

いわば添田は、SEALDsの裏の顔、ダーティな仕事を請け負った責任者だったわけです。 

さて、この添田が公然と高江に乗り込んだのは、下のポスターにある「ないちゃ~大作戦会議」前後からだったようです。

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添田は高橋直輝の名で報告者に名を連ねています。

なお、主催者である「のりこえねっと」の辛淑玉氏は韓国籍で、他にも現地事務局に朴氏という韓国人がいることが知られています。

外国人が他国の安全保障問題に介入するのはいかがなものでしょうか。

それはさておき、ポスター下には「市民特派員を沖縄・高江に送ろう」と記されてあり、「往復の飛行機代5万円支援します」とあります。

これで何人の本土からの運動家が、高江に渡ったのか公表されていませんが、この「のりこえねっと」以外に複数の支援網が存在し、高江に本土からの外人部隊を数多く送り込んだと見られています。

添田は福島瑞穂氏が高江を応援に訪れた際に、終始行動を共にしており、旧社会党系と行動を共にしていたようです。 

この添田逮捕に、反対運動の沖縄サイドは複雑な対応を見せます。

いままで逮捕者に対して英雄的行動として手放しで礼賛していた地元2紙は、奇妙な沈黙を守ります。

また反対運動内部でも、対応に亀裂が生じます。

添田がいたN1裏は平和運動センターの分担地域で、山城博治代表自らが直接指揮を取っていた重要拠点でした。

ここでの添田の防衛省職員暴行事件は、山城氏の容認の下に行われたと見るべきでしょう。

事実、添田逮捕後にこれに呼応するように山城氏は、いままで手控えていた訓練場内部に、一斉に侵入を開始しました。

これに対して、共産統系統一連は強い反発を見せます。

現地・東村の共産党村議で「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐真次氏は、こう述べています。

「逮捕者が出て世論に受け入れられるかどうか」「社会に認められ、一緒に頑張れる運動にしたい」

また、統一連事務局長の瀬長和男氏もこう発言しています。

「建設を止めたい思いは一つだが、方法論で異なる」

このいずれの発言も、共産党のオーソドックスな考え方です。

なお、県統一連(安保廃棄・沖縄統一連)の加盟組織は以下です。

共産党県委員会、民医連、医療生協、県労連、新日本婦人の会、民青同盟、沖縄平和連などです。

バリバリの共産党組織です。

彼ら共産党が言う、「(山城氏たちとは)方法論が違う」という認識は重要です。

つまり共産党は山城氏たちが、従来の暴力闘争をしないという暗黙のルールを超越し、しばき隊的な暴力主義に一歩足を踏み込んだと理解したと思われます。

山城氏の新路線は必然的に、刑特法、威力業務妨害、暴行罪を引き出し、沖縄の反基地闘争全体を危機にさらすと認識しているはずです。

コメントに、「今後も高江周辺での抗議行動は続くだろう」という読みがありましたが。私はないと思います。

反対運動は越えてはならない境界を、無自覚に乗り越えてしまいました。

それは本土から安易に助っ人として添田のようなしばき隊暴力集団を呼び込んだこと、そして自らもそれに誘発されて基地侵入を路線化したことです。

共産党、特に地元で反対運動をしていた伊佐氏などは、それでなくても地元からの強い反発を受けているのに、これ以上過激化すれば、完全にムラで浮き上がると恐怖したはずです。

これによって運動は、従来の擬似的な「統一戦線」が破綻し、山城氏たち反対派主流の急進的路線と、共産党・統一連の穏健派に分裂しようとしています。

地元から浮き上がり、運動内部にも亀裂が入り、しかも闘争目標が喪失したという3条件が揃った場合、高江紛争は収束過程に向かいます。

それでなくても、1月から辺野古で工事が再開されるでしょうから、高江の「終わった」闘争にかまけている余裕はもうないはずです。

2016年10月16日 (日)

日曜雑感 ネット言論を大事にしましょう

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私は過激な表現を好みません。というか、嫌悪感すら感じます。

それは他者に、自分の正義を押しつける行為だからです。第一、その殺伐とした空気がたまりません。

この言語による暴力行為は左右両翼に存在し、日本の言論空間をいっそう貧相にしている原因になっています。

いまやネット言論は、既存の報道機関を凌駕する質と量を持ち始めてきています。

それは10年前には想像もつかなかったほどです。

慰安婦問題頃から顕著となり、原発・放射能問題で鍛え上げられました。

私もこの中でブログを書き始めています。

昨今では蓮舫重国籍問題はそもそもネットがなければ始まらず、NHKなどは完全に無視していたおかげで、今になってあわてて報道しています。

豊洲問題もまともな意見を吐いているのは、ネットだけといった有り様でした。

高江紛争などは、地元紙の「英雄的闘争」報道に本土メディアが追随したために、「市民の平和的抵抗」のイメージ形成が半ば成功しかかっていました。

今やどちらがまともな言論空間なのかわからないほどです。

このようにネット言論は既存メディアの劣化に対して、しっかりとした事実と論説を対置できる言論世界にまで成長してきています。

朝日新聞が、かつてのように思うままに世論をコントロールできる時代は去ったのです。

Cuo2kq1vuaafktl(「昨年開催された辺野古の大綱引き。3年に1度行われます。キャンプシュワブのマリーン達も多数参加して物凄い盛り上がりでした。しかし、この輪の中に稲嶺名護市長は入ってこれません。」ツイッター・ガジュマル喫茶様より引用させていただきました。ありがとうございます。100%上のような写真はメディアには乗りません。私はこのツイッターのファンです。お人柄が忍ばれる穏当さでほっとします)

しかし、いまだネット言論が大人の言論として認知されていない最大の理由は、この「口の悪さ」です。

ネット界では、相手をくさすていどではなく、全否定し、罵り倒します。

えてして表現も実に汚く、美しい日本語を使うということをハナから放棄しているようにすら見えます。

これがネット言論がいまだわが国において、一人前の言論世界だと認知されていない大きな原因となっています。

これはネット特有の匿名性が原因なのでしょうが、匿名であるならなおさら自分を律せよと私は思います。

本来、意見の表明は実名であるべきです。

そう思って私も実名ブログを3年間続けましたが、余りにえげつない荒らしに懲りて、今は名前を伏せざるをえなくなっています。

覆面をかぶった瞬間、別な人格になったらシャレになりません。

ネットは匿名であるが故に闊達な言論を保障されているのですから、それを汚したら自傷行為であると気がつくべきです。

特に、沖縄は既存の報道機関があの調子ですから、彼らに批判的な人たちはネット言論だけが頼りです。

だから、なおさらみんなで大事にしましょう。

強い言葉を使えば、内容の切れ味がよくなるわけではなく、かえってその過激な言葉に引っかかって全体を読む気にならなくなってしまいます。

したがって立場が違う者たちのことを「発狂」と呼んだり、「メンタル系の病院に行け」ということなどは、このブログのコメント欄では絶対に止めて下さい。

このような表現をされた場合、無条件で削除対象とします。

また別なサイトでお前はウンヌンという言説も、無意味ですのでお止めください。

狭い沖縄のネット言論で、「あそこでお前はこう言っていた」とやり始めるのは不毛です。

といいつつもここは自己表出の場でもあるので、山路さんが「自分語り」をすることはまったくかまいません。

むしろ他の方にもお願いしたいくらいです。

今回は許容範囲ギリギリだったためにいちいち私が規制することでもないと思って流れにお任せした次第です。

保守とは<常識>の言い換えなのです。

みなさん優れた論者なのですから、よろしくお願いまします。

■写真 (左)高安、(右)嘉風 仲良く談笑していました。

日曜写真館 砂と汗

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大相撲土浦場所に行ってきました。

砂と汗。

初めて400ミリを振り回してきました。望遠の世界はこれから修行です。

2016年10月15日 (土)

翁長氏の最悪シナリオが始まった

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菅官房長官が訪沖しました。

「菅義偉官房長官は8日午後、米軍北部訓練場を抱える伊集盛久東村長や同村の仲嶺久美子高江区長、宮城久和国頭村長と名護市内で会談し「ヘリで(上空から)視察したが、着実に(米軍北部訓練場へのヘリパッド建設)工事は進ちょくしている。過半の返還が年内で実現できるように政府としては全力で対応していく。米軍にも年内返還として交渉していきたい」と述べ、年内にヘリパッド建設工事を終えた上で、米軍北部訓練場の年内返還を目指す考えを明言した。
 伊集東村長は「工事に反対する人たちが村高江に入り、生活に問題が生じている。早めに正常な形にしてほしい」などと求めた。
 宮城国頭村長は「年内の過半の返還はきょう初めて聞いた。返還した場所に国立公園にして、世界遺産登録を目指していきたい」などと強調した。」(琉球新報2016年10月8日)

菅氏の動きには無駄がありません。目的は明瞭です。 

ひとつは北部訓練場の半分の返還を年内に終了を優先させることによって、高江紛争を早期に鎮静化することです。 

年内に返還が実施された場合、高江は闘争目標を喪失します。 

ここまで現地から嫌悪された闘争は放っておいても自滅しますが、目標がなくなれば自動消滅します。 

Okinawa_3琉球新報 2016年9月29日 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-366092.html

既に運動体内部でも、基地内侵入を始めた山城議長に対して、共産党系から強い反発がなされています。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/66087?page=2

「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐真次・東村議は基地内行動の趣旨は理解しつつ「逮捕者が出て世論に受け入れられるかどうか」と懸念。「社会に認められ、一緒に頑張れる運動にしたい」と思う。
 統一連の瀬長和男事務局長は「建設を止めたい思いは一つだが、方法論で異なる。那覇の路上で抗議する人もいるし、国の強行に対抗する手段として、みんなが模索している」と言う。5(沖タイ10月15日

伊佐議員は共産党員で、現地の数少ない反対派のリーダーです。

統一連もまた共産党系団体ですが、旧社会党系の平和センター・山城議長の過激戦術のたために、いつ刑事特別法、威力業務妨害罪で逮捕されてもおかしくない状況に危機感を募らせているようです。 

高江紛争の消滅後は、その総括を巡って、ここまで誤った急進的戦術指導を重ねた山城議長の責任問題にまで発展する可能性があります。 

元々平和センターと統一連は、系統が違うためもあって不仲で、主導権争いしていましたので、「オール沖縄」分裂の火種へと発展しかねません。

山城氏はいわばテンパッテている状態なのです。

山城氏の、違法を承知の上で行くところまでやってやるという愚かな指導には自ずと限界があります。

ついていけない団体が脱落し、分裂するのです。

その場合、いままで現場指揮を仕切ってきた旧社会党系から、共産党へと主導権シフトがされるでしょう。 

山城氏は宿痾を抱えていますから、病気引退とでもすればよいのではないですか。 

第2に、年内と予想される最高裁判決によって、移転問題に決着をつけることです。 

福岡高裁判決が覆って、政府が敗訴する可能性はゼロです。 

翁長氏がそう思っていなければ、よほどのお人好しです。 

以上2ツは、早ければ年内、遅くとも来年の初めには出揃います。 

この二つの紛争の解決を、政府は既に視野に納めている以上、県としてはいかに損害の極小化を計るしか方途がないことになります。 

菅氏は翁長氏に、言外にこう問うています。 

「辺野古、高江、共に騒いでいられるのも今年までです。さて、翁長さんどう軟着陸させますかね。いいかげん大人になりなさい」 

損害がもっとも大きい場合を想定してみましょう。

翁長氏の脳裏には、政府が去年突きつけた重い警告が蘇ったはずです。

「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設で、沖縄県の翁長雄志知事が海底ボーリング調査などの作業停止を求めている問題で、防衛省は27日、県に対する損害賠償請求の検討に入った。
移設作業が遅れれば作業船や資材の契約解除などを余儀なくされる恐れがあるためで、中谷元防衛相は同日の記者会見で「(作業が)中断した場合、損害の発生が想定されている」と述べた 。」(産経2015年3月27日)

県は既に、政府から賠償請求された場合の法務対策を検討していると報じられています。 

おそらく数百億円規模のものになると思われます。

そして、翌11月から始まる振興予算交渉において、いかなることになるのか翁長氏が考えないはずがありません。

つまり翁長氏が放置したために、高江での過激行動で支持母体の「オール沖縄」は空中分解し、移転訴訟でも「和解条項9」判決の遵守条項に縛られて動きがとれません。

県と国が今年3月に交わした、「和解条項9)」を押さえておきましょう。こう書いてあります。

「9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。」

これが法律用語でいう「誠実条項」です。最高裁が出たら、県はそれに従う義務があります。
※和解条項についての解説記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-08d4.html

翁長氏が「いかなる手段でも戦いを継続する」と息巻いても、なにも戦術は残されていないのです。

共産党はこのような「地雷」がしかけてあった「和解条項」を、うかつにも呑んだ翁長氏の責任を追求するでしょう。

ただし、当時、地元紙までふくめて「オール沖縄」は、「勝った、勝った、工事停止に追い込んだ」と大喜びしていたのですがね。

安倍さんというより菅さんが工事停止10カ月間という苦渋を呑んだのには、理由があることが今頃わかりましたか。

もし翁長県政が「和解条項9」を守らなければ、県民は「9条を守らせる会」をつくらねばなりません。

そのうえに泣き面にハチで、移転遅延請求を出され、振興予算は減額される可能性すらあります。

こういう状況を万策尽きたといいます。

この最悪シナリオを翁長氏が回避するには、方法はひとつしかありません。

「オール沖縄」と一線を画して、行政官としての本来の職責を自覚することです。

県民に公約を達成出来なかったと潔く認めて、辞任するのも方法です。

来年早々といわれる衆院選に、民進党から出してもらったらいかがでしょうか。政治生命だけはつながりますよ。

このように政治は冷厳に進みます。

振り上げたこぶしを静かに置くことは、振り上げる10倍以上難しいのです。

■写真 バナナをアップしたのですが、気持ち悪いとの声がありましたので:ばらに入れ換えました(笑)。

 

2016年10月14日 (金)

やんばるの山の民はタフネゴシエーターなのです

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私は短い期間ですが、やんばるの森を仕事場にしてきた経験あります。 

やんばるの森こそが、私の最初の仕事場であり、同時に生活の場でした。 

だから、やんばるの山の民が、どのようにやんばると接しているのか、皮膚感覚で分かります。

前々から高江紛争か勃発した時に、なんか変な気分が残っていました。

押しかけている人がやんばるをまったく知らないし、知ろうとしないで「やんばるの森を守る」とか、果ては「高江を守る」とか叫んでいるからです。

もし、本気で「高江を守る」気があったのなら、高江の住民が街に出るためのたった一本の生活道を封鎖することなんかしませんよね。

生活の場に押しかけて、そこで警官隊と揉め事を起こしませんよね。

そんなことをやったら生活破壊ですから。

ましてや、本土から入れ墨を入れたヤクザまがいの外人部隊まで入れて、逮捕者を出すことなどするはずがありません。

さて、昨日頂戴したコメントでこのようなものがありました。

「高江は確か二回ほどヘリパッドに対してNOをつきつけていますし、抗議運動をしている人の中にも高江に住んでいる人がいます。
辺野古にも言えることですが、お金で地域の人を分断するような真似をして無理矢理にヘリパッド建設の言質を引き出すことが本当に住民の為になるのですか?」(「名護住み」さん)

直接ではありませんが、「お金で地域を分断する」ことになるのかどうか、お答えしていきます。

前に一度書いた気がしますが、山の民は「森」を抽象的には考えません。 

具体リアルに考えます。そりゃそうでしょう。 

過疎のムラで生きていくために「地球にやさしく」なんて街の人みたいなことは言えないし、かといって乱開発してしまえば、孫子に地域資産として何も残せなくなるからです。 

やんばるの森は、「地域の資産」、つまりは地域共同の生きる糧なのです。

ある意味で、基地さえも「地域資産」のひとつにすぎません。 

そう言えば、沖縄におけるもうひとつの紛争地である辺野古で、ちょっと前にこんな奇怪なことが起きました。 

米軍はかねがね海兵隊基地であるキャンプ・ハンセンの用地162ヘクタールを2011年末から再三予定通り返還したい、と申し出てきました。 

米軍が返すと言っているのですから、はい、ありがとうね、でオシマイじゃないですか。 

ところが米軍と日本政府の返還提案に対して反対したのが、反戦運動家の稲嶺市長だったからややっこしい。

「早々に返したい」「ちょっと待ってくれ」「いやもう待てない」という、本土の人間が聞いたら仰天するような交渉が延々と続きました。 

「米軍基地は過重だ。沖縄の負担軽減!」と主張して当選した稲嶺さんがなぜ?と思うでしょうが、それにはわけがありました。

実は、この土地の所有権は名護市にあり、現況山林にもかかわらず年間1億3千万円の借地料が市に入ります。 

この基地使用料は一部が、地元の幸喜、許田、喜瀬の三地域に分配金という名目で支払われています。 

市所有地の基地使用料をこのように分配するのはあくまでも慣習であって、法的根拠はないそうです。

「慣習」というのはかつて市有地になるまえには、ここがムラの入会地だったからです。

入会地とは聞き慣れない言葉でしょうか、入会地は北部によくあったムラで有していた土地のことです。

だいたい斜面ばかりの山で、薪炭・用材・ 肥料用の落葉・カヤなどを共同で採取しました。

そこがキャンプ・シュワブに組み入れられてしまったので、市が元の持ち主だったムラに分配金として補償しているわけです。 

しかし、その額がもっとも多い喜瀬地区などは年間3千200万円(※)にも登りますから、名護市や地元地域も返還されては困るわけです。 ※この数字に関しては異説があります。

一地区に3千万というのは、地区の主要財源です。

地元からすれば、返還されたら財源がなくなってしまって、使いようがない斜面の山林を返してもらってもしかたがない、とまぁそういうことです。

入会地で使っていた昔は、もっと村人もいましたしね。

実は、沖縄の基地はこんな所ばかりなのです。 

狭い島中央の平坦部を米軍基地が占有している事実には変わりありませんので、その負担が大きいことには事実です。

しかし米軍基地の大部分は、嘉手納基地以北の「跡地利用困難」な山岳地域が占めています。

高江が隣接する北部訓練場、辺野古があるキャンプシュワブやハンセンだけで、県内基地面積の3分の2に達します。

つまり、沖縄における米軍基地の大部分を引き受けているのは、他ならぬこのやんばるの山の民たちなのです。

はっきり言いましょう。山の民にとって右も左もありません。政府側も反政府もない。 反戦平和も安保護持もない。

もし選択肢があるとすれば、自分の生きる地域が、どの方向に向かって進めば栄えるのか、です。 

北部のように基地が自治体の大きな交付金財源であるなら、返さないでほしいし、逆に普天間地区のように、基地があるために都市再開発ができないならば、さっさと返せ、なのです。 

高江地区にとって、眼前に広大に拡がるやんばるの森が返還されるのですから、新たな仕事と雇用を生むチャンスでしょう。

やんばるの広大な手つかずの自然は、高江のみならず北部全体の大きなビジネスチャンスとなりえますからね。

ただしここで山の民は、こうも心配するはずです。

基地だったから交付金が落ちてなんとか貧乏自治体でもやりくりできたが、こんなに返されたらピンチだぁ、って。

だから、「いくらで補償してくれるんだ、今後も政府は別な形で金を落としてくれるのか」、という厳しい交渉をして、そのうえで東村は「容認」となったのです。

東村が2回反対したということをよく反対派は言いますが、山の民にとっては交渉のハードルを上げたのです。

やんばるの山の民はナイーブではないので、政府相手に条件闘争をしただけです。

辺野古もそうでした。

かつてシュワブを受け入れたときもそう、新たに海を埋め立てる計画を受け入れた時も同じです。

よくそれを「容認」という表現を使いますが、これはこの条件じゃないと政府の言うことは呑めないからねということです。

だから、とりあえずは反対します。

初めから政府の言い値で交渉を終了するはずがありません。

身体は老人、気分はデモ学生のままの老人たちが気軽に叫ぶ「やんばるの森を守れ」とは、一味もふた味も違うことがお分かりいただけたでしょうか。

山の民が「やんばるの森を守れ」という時には、必ずその裏に「やんばるの森で生きているオレたち住民の生活を守れ」がついてくるのです。

やんばるは生活すること自体が厳しい場所です。

街は遠く、仕事が少ないので、若いものは残りません。離島と一緒です。

高校は名護まで行って下宿しなければなりませんし、病院もないので急患があればヘリが出動します。

だから、山の民はタフネゴシエーターなのです。

 

2016年10月13日 (木)

昨日のコメント炎上について

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皆様、昨日の荒れたコメント欄で、高江で騒いでいるいわゆる反対派の方たちの「空気」を追体験していただけたと思います。

昨夜いく人かの読者の方からのメールを頂戴しました。

その中に「高江をテーマにしたとたん、ものすごい炎上ぶりですね。怖くてコメントできず、ごめんなさい」という声をいただきました。

お気遣いありがとうございます。

そう、もっとも問題とすべきことは、彼らがやっていることが「恐怖による支配」だということです。

考えてもご覧なさい。ただ「老人をこんな場所に出すのは危ないですよ」と書いただけで、なんでこんな仕打ちを受けねばならないのでしょうか。

異常です。

彼らは高江の反対運動を批判すると、いかに恐ろしいことになるのか、それを骨身に徹して国民に教え込みたいのです。

今回は、その見せしめ祭壇に登ったのが、この私だっただけの話です。

どうしてこんな微温的な記事まで攻撃するのでしょうか。

それは、先鋭な右派より穏健保守の私を攻撃したほうが、受けるショックも大きく効果的だからです。

攻撃ポイントを意図的に低く設定することで、一切の批判を暴力的に封じようとしているのです。

彼らはこう言外に言っています。

「こんなぬるい批判でも、オレたちに目をつけられたら、このザマだ。こいつのようになりたくなかったら黙って引っ込んでいろ」

高江のような県道一本で暮らしている過疎の村を、外部から住民より多い人数で道路を占拠したらどのようになるのでしょうか。

裏道まで使えぬように、人を配置し、通行する「怪しい車両」を止めて「検問」したら、地元の人はどう感じるでしょうか。

ここでも彼らは、こう言葉にせずに叫んでいます。

「一般人は高江に近づくな」「高江はオレたち反対派が押さえた左翼運動の聖地なんだ」、と。

高江現地の人たちは心情的には初めは反対派にも道理があると思っていましたが、いまは明確に迷惑だと発言するようになっています。

沖縄タイムス(10月18日)の記事です。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/61153

「ヘリパッド建設予定地に近い国頭村の安波小学校では5日、「牛歩作戦」の影響で教員1人が授業に間に合わず、学校側は授業を急きょ変更した。
宮城尚志校長は「反対運動を否定しないが、もっと別にやり方はないのかと思う」と首をかしげる。
 高江共同売店では物品の入荷日を抗議集会のある曜日は避けるようにした。仲嶺区長は「区民のストレスは限界に来ている。早くヘリパッドを完成させた方がいいとの声も出ている」と打ち明ける。
通勤、保育園送迎、通院などに支障が出ていると苦情は絶えない。 
7日早朝、抗議行動を遠目で眺めていた与党県議は「これでは反対していた人たちまで離れていく。工事を進めたい国の思うつぼだ」とつぶやいた。」

この記事がでると、さすがにまずいと思ったのか、反対派は「検問」を止めたそうです。

しかし、あいかわらず時速5キロでノロノロと運転する「順法闘争」は続いており、狙った車輌の前に付けるそうです。

それは彼らが「推進派」だと目した人の車だったり、「怪しげな外部の車」だったりします。

断基準は「反対闘争に協力的か否か」です。

そして、今回のコメント欄のように、なにか「けしからん奴」が現れれば、連絡網でたちまちワっと集合します。

本当に恐ろしい限りです。

そして土日ともなれば、いまや本土からの外人部隊が半数を占めるようになった運動家たちが集合し、車の下に潜り込んで流血沙汰をくりかえしています。

まるで高江地区は法の支配が及ばない地域のようです。

私が昨日書いたことは、「過激な抗議行動は市民の迷惑になるから自制して下さい、老人を危険な場所にださないほうがいいですよ」ていどのことでした。

彼らの主張についてひとことも触れていません。表現についてはわれながら微温的だと思えるほど抑制したつもりです。

しかしどうやらわがブログは「反動的」だと目されていると見えて、さっそくわらわらと揚げ足取りに多くの反対派が集まりました。

それでもまだ、まともな論理を対置するなら討論が成立しますが、私がなりすましをしたろうと延々と粘着的攻撃をするのですから手に負えません。

しかも、この中心的人物は4ツのHNを使いわけていたことが、IPから判明するというおまけつきです。もはや病的です。

・・・正直言って、私ですらこの執拗さには怖くなりました。

多くの人がこれを見て、高江については何も発言しないほうが無難だと思って当然です。

何せ「法を守っておやりなさい」ていどのことを書いたくらいで、この炎上ぶりなのですから。

恐怖による高江地区の実効支配と言論空間の統制。

これが反対派の目的なのです。

もはやこのような運動を、本土左翼インテリが褒めそやすような、「市民的抵抗」「非暴力直接行動」とは呼べないと思います。

このような人たちばかりではないと信じておりますが、民主主義をはき違えた態度といわざるをえません。

反対運動をしたいのなら、地元に迷惑がかからない方法でやりなさい。

諫言されたくらいで、逆上して個人サイトに乱入し、放火してまわるような蛮行は止めなさい。


2016年10月12日 (水)

高江 思想は法律の上位概念ではない

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少しは頭を冷やしたらどうなのでしょうか。 

私はこの間、高江における反対派の姿を、唖然とする思いで眺めていました。 

私は立場は違いますが、島袋文子さんに共感する部分があります。 

彼女の驚嘆すべき粘りは、ただのイデオロギーからは生まれません。 

誰しもが言うように、島袋さんの戦争体験がその源なのなのでしょう。 

叶えられない望みでしょうが、島袋さんの生きてきた道をじっくりお聞きしたいものだとかねがね思っていました。

By1nnlrcqaak5blhttp://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/602a81dc14d163b69889e95e8c62d4af

ですから、島袋さんが指に数針縫うけがをしたと聞いた時には驚きました。

お怪我はいかがでしょうか。お見舞い申し上げます。

彼女に対してババァ呼ばわりする者がいますが、厳に慎むべきです。

さて沖タイ(10月12日)は、このようにその状況を伝えています。http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/58718 

「沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設に反対する市民らは22日午前9時半ごろ、県道70号の高江橋に車約20台を道幅いっぱいに並べて封鎖した。機動隊が市民や車を排除し、工事用トラック10台が北部訓練場内に入った。市民らはトラックが通過するまで、約2時間にわたり機動隊のバス2台の間に押し込められた。」 

下の写真はその時のものです。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/gallery/58718?ph=1

Photo沖縄タイムス10月12日より参考のために引用いたしましたありがとうございます。http://www.okinawatimes.co.jp/articles/gallery/58718?ph=1

抗議側は車両の下にもぐり込んでいます。

そして排除しようとする警官隊との間で、激しい攻防があったと伝えられています。

ということは、この車両はなにかの弾みで動く可能性があるということです。

もし仮にパーキングブレーキが緩んだりした場合、この抗議者たちは大怪我では済まないことになるのは目に見えています。

頭部を轢かれて死亡する可能性すらあるわけです。

「常軌を逸する」という表現があります。

「常識を逸脱した暴走行為」という意味で使います。

この表現がこの抗議行動の有り様にそのまま当てはまるでしょう。

公道において、車両の下に潜り警官と対決することは、違法行為であるばかりではなく、重傷や死亡事故を誘発する危険行為そのものです。

このような場所に、80過ぎの老人を座り込ませた、反対派の現場責任者の判断をお聞きしたいと思います。

仮に島袋さんが望んだとしても、彼女のような老女をそのような場所に置くことそのものが、常軌を逸しています。

反対派はこの現場で何を望んでいるのでしょうか?

「ヘリパッドの工事を実力阻止する」と唱えていますが、知事と現地自治体の首長が容認している以上、それは一部の人たちの意志を押しつけることにほかなりません。

もしこれを「民意」だと言いたいのなら、反対派の道路封鎖活動が東村民から強い抗議を受けていることはどう考えたらよいのでしょうか。

地元住民の反対運動に対する怒りは、反対派の声だけ伝え続けた沖タイですら無視しえないまでになっています。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/61153

私はそれを政治活動による、過疎のムラに対する「ムラ殺し」だと感じました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-1f27.html

ものには限度があります。なるほど抗議する権利は反対派にあります。

届け出を出して認められれば、デモ行進し、集会を開く権利もあります。ビラも自由に撒かれたらよろしい。

ただし憲法で保障された権利はそこまでです。

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左翼ツイッターから引用しているという指摘がありましたので写真を差し替えます。「沖縄に内なる民主主義はあるか」様から引用いたしました。ありがとうございます。http://hijai.ti-da.net/e8985654.html

反対派が愛してやまない日本国憲法は、公共の生活道たる公道を占拠し封鎖する権利など一行たりとも認めていません。

それは道路交通法、威力業務妨害という刑法に抵触する立派な犯罪行為です。

よく反対派は、「やんばるの森を守るための必死の抗議行動です」と叫んでいます。

これは思想が正しければ法律を無視してよい、という意味でしょうか。

あるいは、法律は思想を斟酌しろという意味でしょうか。

では、誰があなた方の思想を斟酌するのでしょうか?

警察ですか?裁判所ですか?はたまた行政ですか?

いえ、誰もあなた方の思想まで裁くことはできません。

それは本質的に民主国家は「思想」を裁くことをしない、という大前提で成り立っている社会だからです。

もしそんなことが可能なら、日本は法治国家であることを止めて、人の思想が法の上位にあるような人治国家とならねばならなくなります。

裁けるのは、唯一今現に反対派が行っている行為、即ち道路封鎖、車両の下に潜り込み警官に実力で抵抗するという「行為」に対してだけなのです。

反対派はこのような違法行為の修羅の現場に、老女を置くということの意味を、自分の胸に問い直してみるべきです。

※改題しました。いつもすいません。

※オスプレイについての関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-d31a-1.html

2016年10月11日 (火)

豊洲祭りの後は

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わが民族の祭りの基本は無礼講です。 

祭りだから許される、祭りの逸脱暴走も、ま、いいんじゃないと、普段はもっともらしい顔した年寄りたちからして赤い顔をして、ウヘウヘとだらしなく笑っているのですから、こりゃダメだ。 

しかし、こうもひんぱんに祭りをやっていると、祭りの後が心配になります。 

都知事選祭りは盛大なフェスタとして小池氏を祭主に選出し、彼女の祝詞に合わせて豊洲祭りをオッ始めた時には、私も多少のわくわく感があったことを白状します。(遠い眼) 

しかし、あたりまえですが、祭りは必ず終わります。 

祭の間は永遠に夏だと思っていても、祭りの後は秋、そして冬にと向かいます。 

ピュー♪カラカラカラ~ン。(枯葉が転がる音)

漢武帝の秋風辞はこう言ったものです。

「歓楽極まりて哀情多し」。遠くで梵鐘の音が聞こえるようです。 

祭の後にハっと我に帰ると祭の負債がのしかかることになります。 

豊洲祭りはもうオシマイです。

豊洲市場は十二分にブランドとして棄損されました。大破炎上中でしょう。

「築地」という名が、国民にとって「美味いものがそこに行けばある」場所ならば、一方「豊洲」は「そこにいけば汚染がある」という強い刷り込みをしてしまったわけで、これは生鮮市場としては致命的です。

このブランド再建はたいへんに難しいでしょう。

かといってあんな特殊な建物は潰しが効きませんから、買い手がつかないでしょう。

もうさっさと取り壊して、公園にでもして「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」というモニュメントでも建てるのですね。

風評被害には根がありません。科学的根拠がなく、ほとんど「気分」という心理的なものです。

理屈ではないから、かえってやっかいです。

「猛毒ヒ素が」「強アルカリが」「ベンゼンが」と、立ち止まって考えれば、打ったばかりのコンクリート床がアルカリになるのは当然のこと。

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あんたの風呂場の床を塗り直したら強アルカリになりますよ、といってもダメです。

これが強酸性だったら鉄筋が腐食するよと教えても、コワイものはコワイのです。

「ヒ素が基準値4割」というのは安全だということですよ、と基準値の読み方を説いても、気持ちが悪いのでしょう。

ベンゼンが猛毒ならば、トラクターや漁船、トラックなどの排気からはベンゼンが排出されていますから、ほぼすべての食品は食べられなくなります。

ある弁護士は、「土壌汚染対策法」の求める地下水の基準を超えたのだから設置できないと言い出した時には失笑しました。

ならばこの土壌汚染対策法がいう地下水基準値とはなんなのです。それは地下水を飲用するための基準です。

同法の想定は、「70年間、1日2Lの地下水を飲用すること」です。

ぶ、はは!豊洲の地下水を70年間、つまりは一生の間、毎日2ℓのペットボトル1本飲み続ける、あの弁護士さん、あなたやってみます?

基準値というのは、実験動物で得られた数値をさらに人体だからということで10倍し、それに安全パイで10を掛けたものなのです。

普通の排水基準値なら0.1ミリグラム/ℓ、つまり飲用水基準値の10倍です。

しかも、豊洲の地下水は飲まないし、業務用水としても一切使用できない設計です。

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それに地下水管理システムが稼働すれば、「謎の地下空間」には地下水がでてきませんから。

誰も知らないうちに、「謎の地下空間ができていた」ですって。

公共建築でそんなことありっこないでしょう。豊洲は忍者屋敷か、つうの。

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あ、そうそう。石原氏が日テレに、2011年当時「事務方から報告を貰っていた」と認めましたね。

「築地市場の移転先の豊洲市場で、土壌汚染対策の「盛り土」が行われていなかった問題で、設計に地下空間が入った2011年当時に知事だった石原慎太郎元知事が日本テレビの取材に対し、『盛り土から、地下空間のある設計に変更したと都の事務方から報告を受けていた』と話した。」(日テレニュース24 2016年9月16日)http://www.news24.jp/articles/2016/09/16/07341109.html

騏驎も老いれば駑馬に劣る、とはよくいったものです。私はあなたに多少の敬意を持っていたのでがっかりしました。

あなたが「自分は知らない。被害者だ」と馬鹿を言ったから、事態はもつれたのです。

2008年12月15日の第8回技術会議で、都の技術職員は正式に地下施設を報告しています。
平成20年(208年)12月15日第8回会議録 (167KB)P.7、8参照

第8回技術会議議事録はこう述べています。

地下施設の建設規模についてですけども、これは街区ごとの卸売場と仲卸売場の地下部分としてございます。
5街区が3ha、6街区が4ha、7街区が3ha で合わせて10ha ございます。これもちょっとまた図面のほうをごらんいただきたいんですけど、この配置図の右下の部分、このブロックが5街区です。左上が6街区、左下が7街区となってございます。
ここの地下空間として使う部分は、それぞれの街区の網かけといいますか、ドットになっている部分、その部分がちょうど売場になっていまして、そこの下の地下空間を利用するということでございます。その面積が3ha、4ha、3ha で合わせて10ha ということでございます。」

ご覧のように、既に2008年に地下施設は10hあると、都の技術系職員は技術会議でテーマのひとつに取り上げています。

石原氏は2012年10月まで知事をしていたのですから、知らされていないはずがありません。

あなたボケたのですか。聞いたが、決めてないなんて言わないで下さいね。慎太郎さんらしくもない。

と言うわけで、これではまるで「疑惑」のタマネギ剥きです。最後にはなにも残らない空っぽです。

つまり豊洲の「危険な猛毒地下水」とは、実は十重二十重のオーバースペックの産物であり、さらに安全対策の重層化のために地下ピットを設けたのです。

本来はこの排水基準値を適用すべきだったのを、豊洲が石炭ガス化施設の跡地だったことから、政治的な配慮からこんな手厚い対策を施してしまったわけです。

そもそも、こんな政治的配慮をせにゃならんところを選ぶなよ、慎太郎!

おかげで、大田あたりに作っていれば10年以上前に、はるかに安く出来上がっていたものを、延々と専門家会議、技術会議をやり、それでもなお共産党に批判され続け、やっと出来てみればこの有り様です。

原発事故後に起きたことと、まったく同じことが繰り返されています。

福島の避難区域の復興が遅れた原因は、除染の失敗です。

除染そのものに失敗したのではなく、過剰な年間20ミリシーベルトなどというアホな除染基準を作ったために、作業は遅々として進まず、膨大なコスト増を招いたからです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-8022.html

しかも、これによって帰還が大幅に遅れ、避難先でお年寄りは亡くなり、若い夫婦婦は新たな職と住を作ってしまいました。

除染が完了しても、住むべき住民が激減してしまってはなんのための除染だか分かりません。

こういうことを、最適化を忘れた非現実的目標数値と呼びます。

結局、国民を守るような基準に見えて、その内実は除染染業者の焼け太りです。

同様の事が豊洲でも起きています。

おそらく、豊洲市場はブランドとして再建不可能ですから、更地にして「危険な土地」として二束三文で民間に再開発用地として払い下げられることでしょう。

そしてもう一回作り直しです。

さぁ、この責任だれが取るのでしょうか。

祭りは必ず終わります。

煽った皆さん、ただ村の祭りと違って、この後かたづけはゴミ拾いていどでは済みませんよ。 

2016年10月10日 (月)

日本外交の瑞兆と凶兆

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日本人が豊洲祭りに興じているとき、アジアではトンデモな事態が起きています。 

ひとつは瑞兆、ひとつは凶兆です。

瑞兆はロシアとの交渉が、たいへんに面白いことになっています。 

ロシアとの関係を狭く北方領土で切り取るのではなく、対中関係で捉えるととたいへんに面白いことになりますので、これは別稿に譲ります。 

凶兆は北朝鮮の核実験だろうって?

もちろん北の核ミサイルは日本が標的ですから大きな凶兆には違いありませんが、日本が核保有国に対してできることは限られています。 

北朝鮮が核兵器を保有すると決意した以上、残念ですが、それを抑制する手段を日本は持ちません。 

経済制裁措置があるだろうって?あんなものはまったく効いていません。 

敵地攻撃能力を検討すべきだろうって?残念ですが、そもそも自衛隊には、その能力が付与されていません。 

国連制裁もまったく尻抜けです。

ロシアと友好関係が作れれば、多少変化する可能性があるかもしれませんが、その頃には北朝鮮は完全な核保有国に仕上がってしまっているでしょう。 

日本にできるのは、6カ国協議の再開を呼びかける程度です。 

しかしこれも、中国が北朝鮮をコントロールできるという共同の幻想の上に成立している虚構であることは、さすがの韓国ですら気がついたほどです。 

本気でやるなら、スパイ防止法を制定し、朝鮮総連とその関連団体の資産を対テロ措置として凍結した上で、パチンコも賭博行為として非合法化すれば、それなりに有効な北へのパンチになるでしょう。

しかしこれも、現状で日本政府に即実行可能だとは思えません。 

つまり、北朝鮮の核保有に対して幻想なくいえば、日本にできることはほぼありません。

あえていえば、核武装論議を活発化させて、その議論自体を抑止として使うことくらいでしょうか。 

さて、もうひとつの凶兆です。 

国際司法裁判所の南シナ海裁定が出た後に、中国政府がこんなことを言っています。 

「暗雲が消え太陽が昇ってきた」 

「暗雲」はわかりますよね。当然、国際司法裁判所裁定のことです。では、「太陽」ってなんなんてのでしょう? 

この発言は実は、駐フィリピン中国大使のものです。中国の瑞兆は、日本の凶兆です。

お分かりになりましたね。ドゥテルテの登場です。

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ドゥテルテは、米国との関係を断ち、中国にすり寄り、「米軍との演習はこれが最後だ」「在任中に米国との関係を絶つ」とまで言い切っています。

ドゥテルテは、9月12日に南部ミンダナオ島でイスラム過激派の掃討作戦を行ってきた米軍に対し、「出ていけ」と述べ、翌13日には、「敵対的な行動に関与したくない」と、今年4月に米国と合意していた南シナ海における米比共同の哨戒活動を中止する方針を示しました。

さらに、麻薬密売人や反政府勢力と戦うため、米国に代えて、中国から軍事装備を買うように命じました。

詳細は明日に回しますが、もしドゥテルテがこのまま突っ走れば、中国はもはや南シナ海の人工島作りに精出す必要すらなくなります。

スカボロー礁などはおおっぴらに中国の軍事基地となるでしょうし、最悪の場合、中比安保条約でも結ばれてしまうと、堂々とスービック軍港と、クラーク空軍基地に五星紅旗が翻ることになります。

ドゥテルテは中小企業を一代で作った社長のような体質ですから、他人の言うキレイゴトには反吐が出るタイプです。

キレイゴトしか言わない学級委員長タイプのオバマと、相性がいいわけはありません。

このオバマが、まんまとドゥテルテの口撃に本気で対応してしまって、米比関係は最悪になりました。

オバマの外交的失敗です。

このまま推移すると、国際司法裁判所がなんといおうと、南シナ海の中国内海化の完了が見えて来ることになります。

もはや訪日において、安倍氏の手腕に期待するしかなくなってきました。

というわけで、こちらの凶兆に対しては、日本は打つ手があります。

2016年10月 9日 (日)

日曜写真館 「あ」はアカバナーの「あ」

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アカバナーの花は本土でも条件が合えば咲くのですが、見るたびに締めつけられるような沖縄への郷愁にかられます。

私の沖縄への想いは複雑ですが、その憧れの部分を象徴するような花です。アイウエオの「ア」の花、それがアカバナーのようです。

2016年10月 8日 (土)

豊洲問題Q&A

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先週の土曜日に問題点を整理して、1週間たとうとしています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-38c7.html 

あいかわらず鎮静化の気配はなく、いまだマスコミは「汚染対策の盛り土をしなかった」という枕言葉をつけて報道しています。 

微妙にバイアスかけてますね(苦笑)。 

では簡単に今私が理解しているレベルで、自分の問いに答えていこうと思います。 

まず、私は大枠で3つくらいにわけられるかと考えました。

①豊洲の安全性評価
②東京都のガバナンスのあり方の問題点
③豊洲移転と都政利権

私は頭が冷えれば、①の安全性評価くらいは早々に終了すると思っていましたが、あいからわずこっちがダメならあっちはどうかみたいになっていますね。 

なにか既視感があるなぁと思ったら、福島第1原発事故の時と一緒です。 

あの時は「検出されず」でも低線量被曝がぁ、と騒いでいましたからね(苦笑)。 騒いでいる人たちもだいたい一緒です。

これは小池知事が真正面からリスク・コミュニケーションしないことが、大きな原因だと先日書きました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-c4fa.html

そもそも最初のボタンをかけたのが、あの共産党です。

このひとたち特有のネチッコさで、「汚染土対策として予定されていた4.5mの盛り土が無く、コンクリートの空洞になっていた」と指摘しています。 

よしゃいいのに、小池知事はこれに相乗りしてしまい、「全都庁の職員にこの点について、改めてシュクセイをしていきたい」と言ってしまいました。 

初めはシュクセイって、「粛清」かと思って、スターリン・ユリコ現ると早とちりしてしまいました。もちろん綱紀「粛正」のほうのシュクセイです。 

しかし、テレビカメラの前で副知事以下ズラっと並べて怒れば、限りなく「粛清」に近いですがね。 

さて、最初のボタンを掛け違うとどうなるかといえば、その下のボタンも間違った穴に入れてしまい、その次も・・・、ということになります。

こういう時は整理するに限る、というのが私のいつものやり方です。先週土曜日に出した問いにQ&A方式で答えていきましょう。

                    ~~~~~~~~ 

 ●豊洲問題Q&A

●Q1 豊洲市場は安全でしょうか?

A 安全と言っていいレベルです。

問題となった地下水の「基準値」は、大事をとって飲料水基準値であって、飲むわけでも、海産物にかけたりするわけではありません。

すべて処理されて、排水路に流されていきます。

そもそも検出されたこと自体が、地下水管理システムが作動する前に、共産党が計ったためです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-3.html

●Q2 東京都の豊洲立地選択は正しかったでしょうか?

A2 結果論となりますが、間違っていたと思います。

豊洲市場は東京ガスの工場跡地に建設されました。

このガス工場は、都市ガスを供給する為の石炭のガス化施設で、1956年から1988年まで操業していました。

石炭ガス化工場は化学プラントですから、ガス化由来のベンゼンなどが高濃度で土壌汚染をしていたことが分かりました。

私はよりによってこんな高濃度汚染地点に、東京の台所を持って来る必要はなかったと思っています。

ここでなければ、巨額の税金を使って浄化する必要など、そもそもなかったのです。

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ガス工場の跡地などに移転せずに、大田市場と統合するなど方法はいくつもあったと思いますが、なぜ石原知事が豊洲を選んでしまったのかは謎です。

●Q3 築地市場の老朽化と安全性は大丈夫ですか?

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A3  非常に問題です。現時点で豊洲市場と築地市場を比較するのは適当ではありませんが、築地の施設の老朽化は限界を越えつつあります。

半世紀以上前に作られた施設なために、地下水は大雨のたびに溢れ、海産物を扱うのに冷房施設もありません。

また、密集して店舗が並ぶために、東京直下型地震が起きた場合、大火災となる可能性があります。

これに石原氏の危機感を抱いて、移設を決断したことは知られています。それ自体は誤りではありません。

●Q4 豊洲の有害物質の除染作業は適格に行われたのでしょうか?

A4 されたと思います。当初から有害物質の除去が大問題でしたから、東京都は放送大学・平田健正特任教授を座長にした「土壌対策の専門家会議」を招集しました。

専門家会議は2008年に、2mの深さで汚染土を除去し、浄化処理された土を4.5m盛土すべしと提言しています。

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この専門家会議の「盛り土すべし案」を都が遵守していなかったために、今回の問題が爆発しました。

●Q5 どうして専門家会議の提言は守られなかったのでしょうか?

A5 まず、専門家会議は諮問会議ですので、決定権限はありません。遵守するしないは最終的には東京都の判断です。

東京都は施設地下に盛り土をしてしまうと、軟弱地盤になり工期が遅れることや、建設コストが増大するのを恐れたようです。

それでなくても、建設用地選定ミスによって過剰な浄化対策の必要が生まれてしまい、入札時の当初予算を大きく上回っていく状況でした。

折から、首都銀行東京の破綻処理に巨額の財政補填をせねばならず、そちらとの兼ね合いからコスト削減を計ったという説もありますが、はっきりしたことはわかりません。

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●Q6 地下施設など作って大丈夫なのでしょうか?

A6 まったく問題ありません。特に豊洲市場だけに地下施設があるわけではなく、すべてのビルの地下には「地下ピット」という名で存在しています。

構造的には、砕石層の上に地下ピットの空洞層を直接乗せるのは、地盤沈下対策としても有効です。

強度的には、地盤に対して柱で支えていますから、空洞があっても脆弱になりません。

そもそも、もし強度に問題があったらなら、建築基準法の確認検査に通りません。

また安全性ですが、汚染の可能性がある地下水は、砕石層でブロックされて、さらに地下ピット床のコンクリートで防がれます。

万が一下層の砕石層から汚染水が染みだしても、この地下ピットに溜まるので、上部建造物への影響がありません。

また天井が高いために、排除作業がしやすいという利点もあります。

また、地下水管理システムがあるために水位は一定に保たれ、浄化して排水系にまわされます。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-b8a0.html

なお今回の問題が起きて作られた、「市場問題PT」での専門家たちの意見は以下です。

「これを作ったのは英知であり、決して責められることではない」「地下空間は、非常に正しい選択だった」
http://www.j-cast.com/2016/09/29279374.html

●Q7 東京都はなぜ「盛り土」を止めて、地下ピットに切り換えたことを公表なかったのでしょうか?

A7 わかりません。小池知事は共産党と相乗りして怒りの鉄拳を振り上げたので、今後この問題の責任者を探すつもりでしょう。

市場長は全員知らないと言っていますが、ありえません。当時の知事が知らないこともありえません。

しかし、注意せねばならないのは、あくまでこれは統治(ガバナンス)の問題であって、豊洲の安全性と絡めて議論するのは間違いだと思います。

●Q8 今後小池知事はどうすべきでしょうか?

A8 まず、都民に対して真摯に豊洲の安全性についての説明をすべきです。

次に、環境問題と東京都のガバナンス問題を切り離して、移転業務自体を進行させるべきです。

小池知事が環境アセスをやり直すという報道が一部で出ましたが、そのために1年以上の遅滞がでるので、手直していどにとどめたほうがいいと思います。

知事の政治的思惑を、移転問題の進行とからませるべきではありません。

事件は起こすより、治めるほうがたいへんなので、小池知事の手腕の見せどころとなるでしょう。

以上で、中間的なまとめとします。

まだ出てくるでしょうが、来週からテーマを変えます。

2016年10月 7日 (金)

小池「大統領」はなにを目指すのか?

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小池百合子という政治家の特異性は、その旺盛な上昇志向と、その都度自分を戦うアイコンに仕立てて見せる、イメージ操作が武器だという点です。 

常に悪辣な敵を作り、敵と戦い、敵を打ち破るというストーリーが彼女には絶対に必要です。 

ですから、防衛相時代は「防衛省のドン」と呼ばれた守屋武昌次官であり、今回は同じ手法で「都議会のドン」こと内田茂氏を敵としました。 
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-74a7.html

彼らは大いに問題のある人たちだと私も思いますが、その功罪は置くとして、このドンたちとの戦いこそが小池氏の「都政」のようです。 

小池氏が描くセルフイメージは、非妥協的な内部革命者だと思われます。 

そのような彼女にとって自分の挙措のすべてが<政治>です。 

都知事選は、彼女が都知事になったらどのようにふるまうかを示唆しています。遠い昔のようですが、簡単に振り返ってみます。 

都知事になると決意した小池氏は、あえて党内異端の位置を選択します。 

党内での人選が終わらないうちに手を上げたのです。 

当時、自民党は官僚出身候補との交渉にかかりっきりでしたから、小池氏などは選考の外でした。 

安倍氏も参院選を前にして、都知事選を分裂選挙にすることは避けたかったはずですし、 都連が増田氏を推したのは、いうまでもなく、言う通りに動かせると踏んだからです。

その逆風に対して、小池氏はマスコミを引き連れて、わざわざ無人の時間を選んで自民党都連事務所に要請文を届けに行くというパーフォーマンスを演じてみせます。

ここで都連会長であるジュニアとのガチンコ対決になるわけですが、ここでもうひと芝居打ってみせます。 

ジュニアが設定した説得会談の後、小池氏は「出馬の意志は変わらない」と単独記者会見してしまいます。

なかなかできないまねです。 

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 さぁ、ジュニアの怒るまいことか。父親から才能は受け継がず、似たのは傲慢とイラチだけですからね、あの人。

まことにあざとい。 

マスコミは保守分裂選挙と書き立てましたが、違うでしょうね。 

正しくは<自民党vs小池百合子ひとり>です。あるいは<既得権益者vs改革者>といったところでしょうか。 

自民が押した増田氏の第一声を聞いて、官邸がたまげたという噂があります。

増田氏がまるで村役場の住民課課長のように、精彩がなかったからです。 

それに対して小池氏は、ギャンブラーのようにギラギラしていました。

このギラギラした権力への意志こそが、彼女の真骨頂です。 

「東京都大統領」を選ぶ戦いにおいて、住民課長と出身母体全部を敵に回したギャンブラーでは勝負になりません。 

ご承知のように、小池氏は浮動票を総取りにするようにして圧勝します。 

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この都知事選を思い出すと、小池氏のやることにはすべて政治的な意味があり,無駄がありません。

その意味で、完全な政治的人間です。 

積み上げ・根回し型が多いわが民族の政治家としては、希少種に属するでしょう。

私も彼女の類型は、小池氏と安倍氏が共に政治の師と仰ぐ、小泉純一郎氏ていどしか思いつきません。

そういえば小泉氏は、都知事選前に記者会見で支持を表明していましたね。宣伝カー乗るかと思っていましたが、さすがそこまではしませんでしたが。

さて、彼女はなにをしたいのでしょうか。小池氏は明確な政権公約をしなかったために全貌はまだ見えてきません。

しかし、小池氏が引き連れてきた16人の「チーム小池」を見れば、その外観は理解できます。

この16人の外部識者のチームリーダー格が、かつて大阪維新の会の頭脳と呼ばれた上山信一氏だからです。

Photo_4上山信一氏

上山氏は、外資系経営コンサルタント会社・マッキンゼー日本支社の共同経営者だった人物で、彼が辣腕を振るったのが、橋下氏と組んだ大阪府改革です。

上山氏はかつての橋下氏のいちばんのブレーンだった人物で、橋下氏との連絡役も果たしていると思われます。

彼のほかに、山梨広一氏と町田裕治氏もまたマッキンゼーがらみの人脈で,安川慎一郎氏、本多正俊氏も揃って経営コンサルタントです。

そして飯塚正史氏は、会計検査院の出身です。

また談合情報情報に精通しているといわれている、政府調達苦情検討委員長だった加毛修氏も加わっています。

彼ら経営コンサルタントと会計検査院・談合調査グループが目指すのは、ミニ国家にまで膨張した都庁職員と財政「改革」以外にありえません。

そして、行政と議会の議事録と帳簿を読める、東京地検特捜出身の若狭勝氏ほど、これにうってつけの人材はいないでしょう。

政官談合のみならず、天下りまでに手を入れると思われます。

それ以外にも小島敏郎氏は、小池氏が環境大臣の時の環境省幹部で京都議定書作りに関わっていました。

今回の豊洲問題でも、小島氏がなんらかのアドバイスをしたと見るべきでしょう。

とまぁ、錚々たる「改革派」の顔ぶれが、小池氏と共に都庁に乗り込んだわけです。 

小池知事は、このようなことを述べています。

「私を筆頭に、外部の方々は別にリットン調査団やGHQとして乗り込むわけではない」

いや、そのつもりでしょう。

小池氏が狙っているのは、橋下氏型都政改革とみて間違いないでしょう。

今回、その「盟友」橋下氏から小池氏が、豊洲対応で手厳しい批判を食らっているのは面白いことです。

「豊洲問題。豊洲の安全基準は感性で決めるものではない。論理で決めるもの。小池さんは間違っている。
豊洲の地下水は飲むものでもなく利用するものでもない。ゆえに原則は下水扱いで排水基準が目標。しかし建物下のみ揮発性物質を考慮して余裕のある環境基準を目標。しかしこれも飲むための基準ではない。」

ここで橋下氏が指摘するように、豊洲で「基準値」と呼んでいるのは、あくまでも安全パイを大きく取って飲料水基準です。
地下水が仮に地下施設に染みだしたとしても、それを飲んだり、生鮮食品の業務用水で使うわけではありません。
地下水管理シテスムが排水として浄化して、外へ流すだけにすぎません。
その排水基準は飲料水基準値の10倍の0.1㎎/ℓですから、騒ぐほうがおかしいのです。
このあたりのリアリティの有無が、実際の地方自治体の長だった橋下氏との違いでしょうか。
そもそもこのような大規模な浄化作業をせねばならないような豊洲に立地してしまった石原氏の責任は免れないでしょう。
大田市場に集約するなり、選択肢はあったはずです。
であったしても、、1カ月後の公式の水質検査結果を受けて、小池氏は現実的決断すべき時に入っています。

2016年10月 6日 (木)

小池知事のミスリードとリスク・コミュニケーションの失敗

Img_4139
昨日は、丁寧に専門家会議の議事録を読み込まなかったために、短絡した記事となってしまいました。 

専門家会議をゼロリスク論者と決めつけて、技術会議と対置したのはあきらかな間違いでしたので、記事の当該部分を大幅に削除いたしました。お詫びいたします。

私はもつれた問題を分かりやすく書くということをモットーにしていますが、自分のあらかじめ意図した図式に当てはめてしまうという失敗を犯したことになります。 

今後の教訓といたします。ご指摘を頂いたHNひこ~さんには深く感謝いたします。 

それにしてもこのブログのコメント陣はスゴイ。国籍の専門家や建築の専門家までいるんですから。

さて、気分を入れ換えていきます(鉢巻きを締める)。

Photohttps://www.youtube.com/watch?v=64JDX9_ZXtk

今回の事件報道が都民に大きな不安心理を与えたことは事実です。 

それは当然、メディアのことあれかしという歪んだバイアスによりますが、それ以上に東京都の情報の出し方に問題があります。

今回、東京都は正しいリスク・コミュニケーションをしていません。それが徒にデマを拡散させる原因となってしまっています。

たとえば、今回、「環境基準」をわずかに上回るベンゼンなどが検出されたことが大きく報じられて不安をいっそうかきたてました。

ヒ素や六価クロム、シアン化合物や鉛も検出されましたが、環境基準値以下か、ほぼ不検出といっていい数値でした。

問題はこの「意味」です。

なぜそれを東京都はきちんと「説明」しないのでしょうか。

今回の豊洲騒動の火付け役となった共産党都議団の「基準値の4割」という主張のおかしさに、東京都 が素早い対応をすれば、冒頭で事態は治まった可能性があるのです。

チェルノブイリ原発事故後のスウェーデン政府の対応について、広く検証した本がでています。

『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』(合同出版)という邦訳があります。

スウエーデン政府は、バニックは事故直後の情報発信の失敗により起きるとしています。

報告書冒頭でスウエーデン当局は、このように自らを省みています。

「チェルノブイリ原発事故によって被災した直後のスウェーデンにおける行政当局の対応は、『情報をめぐる大混乱』として後々まで揶揄されるものでした。」 (同書)

原発事故と豊洲問題を並列するのは適当とは思いませんが、危機的状況の大きさと質は違っていても、行政当局が取るべき対応は同じでなければなりません。

スウェーデン政府は、この危機発生時の冒頭で適格な情報発信をしなったと、反省しています。

「行政当局は、ときに、国民に不安をあたえることを危惧して、情報発信を躊躇する場合があります。
しかし、各種の研究報告によれば、通常、情報発信によってパニックの発生を恐れる根拠は無く、むしろ、多くの場合、十分に情報が得られないことが大きな不安を呼び起こすのです。とりわけ、情報の意図的な隠蔽は、行政当局に対する信頼を致命的に低下させかねません。」 (同)

このようにリスク発生時冒頭において、行政は事態の大きさと深刻さを自分でも理解していない場合が往々にしてあります。

その場合、後に情報の隠蔽ととられてもしかたがない対応をとってしまう場合があります。

今回もそうでした。

小池都知事と都官僚は、当初これが危機管理の対象だと認識していなかったふしがあります。

ですから、彼らがどう考えたのか伝えられていませんが、「猛毒ヒ素が基準値の4割」というリスクに対して、具体的な反論や説明を怠っていました。

この時点で小池知事、あるいは担当職員が、地下ピットがなぜ存在するのか、その安全対策上の理由を説明していれば、この後に起きる「謎の地下空間」騒動は抑えられたはずです。

都の担当職員はそんな地下水計測データは、都のHPで常時公開しているという思い込みがあったはずです。

「珍しくもない、なに言っていやがんだ」と思ったでしょう。そのような思い込みが鈍い対応につながります。

ですから、この「猛毒ヒ素」問題が、地下ピットの存在そのものにまで及んでいくことを予想すらしていなかったと思われます。

ここで必要なことこそが、リスク・コミュニケーションでした。

なぜ地下ピットになぜ地下水が溜まっているのか、その水質の安全性はどうであるのか、地下水管理システムは今稼働しているのか、というイロハから都は説明しませんでした。

あとは、次から次にベンゼンは出るわ、シアン化合物は出るわと、メディアの垂れ流し報道に任せたために、豊洲市場の安全は大きく揺らいでいきます。

この時点で東京都に必要なことは、ひとつでした。豊洲市場の安全への疑問に徹底的に答えることと、具体的対策案の「説明」です。

これ以外の道で都民の理解を得られようはずがありません。

都官僚たちは、「なぜ安全な数値なのに騒ぐのか」と思ったのでしょうが、根本的にリスクコントロールを勘違いしています。

専門家ならぬ一般国民にとって、安全と安心はイコールではないのです。

「安全」な数値でも「安心」ではない、その間を埋めるのが「説明」です。別名リスクコミュニケーションと呼びます。

2http://www.jiji.com/jc/p?id=20160910190520-0022301...

さて、私は小池知事に、この失敗の原因の多くがあると思うようになっています。

知事はこの危機に対して「なぜ地下施設があるのか。盛り土をなぜしなかったのか」というテーマを自分で立ててしまい、都官僚の責任を追及するというあらぬ方向に、問題を導いてしまいました。

違うでしょう、小池さん。

あなたは政治的人間過ぎます。政治家である前に、東京という世界有数の大都市の護民官なのですよ。

まず眼前のヒ素などの有害物質が検出されたということを徹底的に説明せねばならなかったのではありませんか。

それを「なぜ地下施設かあるのか。盛り土がないのか」という方向に導けば、まるで地下施設があってはならない、盛り土がないことが今回の危険の原因だと国民は理解してしまいました。

そのとおりに事態は進行し、地下施設を作った犯人探しと、環境アセスのやり直しという事態にまで発展してしまいました。

これは小池知事のミスリードが原因です。

共産党が着けた火を、人もあろうに都知事が煽ってはしょうがありません。

小池さんは、共産党の告発を返す刀で、政敵石原・内田、そして都官僚を叩けると考えたのでしょう。

こういう発想をリスクコミュニケーションをとる前にひらめいてしまうというのが、どうやら小池百合子という政治家の業のようです。

困ったものです。私もこの人に対する評価を、変えねばならなくなりそうです。

2016年10月 5日 (水)

豊洲問題 なぜ「地下空間」はできたのか?(改訂版)

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東京都はなぜ「地下空間」を作ったのでしょうか?

その経緯を追ってみます。

まず東京都に土壌汚染対策の専門家として招かれたのは、平田健正氏を座長にした4人で作る専門家会議(「土壌汚染対策等に関する専門家会議」)のメンバーでした。 

専門家会議の提言は議事録が残っていますから、お読み下さい。http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/siryou/senmon_siryou/

この第1回議事録で、当時東京都サイドの責任者だった後藤新市建設調整部長はこう述べています。
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/pdf/senmonkakaigi/01/1gijiroku.pdf

「後藤新市場建設調整担当部長 市場という施設そのものが割と高層化になじまない、また地下というものになじまない施設でございますので、当初から割と平屋、あるいは2階ぐらいの建物しか考えておりません。
また、特に水産関係は水等を使いますので、地下の利用はほとんど考えてございませんので、先生からご心配いただいている部分につきましては、例えば下水とか、そういった部分で地下に入る部分だと考えられます。
したがいまして、そういったものにつきましても、現在A.P.2メートルまでは処理するという考えでございますので、それより深くには埋設しないことを基本に考えていきたいと思っております。」

これが東京都側の当初案です。

この都の「地下は使わない」とする立場が、大きく変化していきます。

東京都は専門家会議の最終報告を受けて、新たに原島文雄氏を座長にした技術会議(「土壌汚染対策工事に関する技術会議」を設置しました。 

東京都は第8回技術会議でこう言っています。
http://atsushi-mandai.com/2016/10/01/post-509/

東京都 せっかく(汚染された土壌を)取ったところを、(埋め戻さないで)なんとか地下空間として活用できないか

これがおそらく当時の東京都の「本音」です。明らかに変化しています。

誰かひとりの意志で変化したというより、積み上げ式の議論を専門家としているうちに、東京都側の御家事情の変化が生じたのでしょう。

背景は首都銀行東京の破綻だったと言われていますが、いずれにしても都は豊洲市場地下に、通常の大型施設のような地下ピットを設けることに方針転換したのです。

この二つの案を比較してみましょう。

当初案になかった地下ピットが出現しています。

Photo_2
旧案概念図

Photo_3
新案概念図

もし、盛り土で地下を塞いでしまった場合、どのようになったでしょうか?

今、地下ピットとなっている約10ヘクタール(東京ドーム2個分)が、そのまま地上部1階部分となります。

青果棟、水産卸売場棟、水産仲卸棟の1階がなくなって、地下施設にあった機械施設、排水処理施設などが占有することになります。

しかも盛り土をするために必要な重機、追加工事だけで膨大なコストの追加となります。

さらに盛り土の軟弱な基盤の上に大規模建造物を作るとなると、数年の養生期間が必要となります。

結果として、極めてコスト高の新施設となってしまったことでしょう。

当初案による盛り土工法のコスト試算は千2百億円です。

それに対して地下施設工法ならば、5百86億円(最終的に8百58億円に膨張)でした。

当案のどおりに作れば、コストは必ず膨張しますからたぶん約2千億円ちかいコストとなり、果たして民間業者でしかない卸売り業者の施設にこれだけの税金投入をすることが妥当かという議論も起きたと思われます。

これらを勘案して、当初案は退けられたのです。

このように、基本的流れにおいて東京都は間違った判断をしたとは思えません。

ただし、マスコミが不用意にゼロリスク論に火をつけてしまった以上、安全=安心ではないというあの放射能風評被害に似た騒ぎはまだしばらくは続くことでしょう。

小池知事は自分が火をつけた部分もある、この「豊洲祭り」をうまく軟着陸させるしかありません。

聞くところでは、小池さんは環境アセスをやりなおすと言っているらしいのですが、小池さん本気ですか?

そんなことをしたら1年以上の空白期間が生まれて、いっそう開場の時期が不透明になるだけではなく、オリンピックにまで影響が出ますよ。

その前に行政官としてやるべきことをなしてから、そんなことは議会と一緒に決めてください。

まず、豊洲の安全性についてのさまざまな疑問に対して、自分の口でデータを使って答えることです。

都のHPをご覧くださいではダメですよ。

今まで都の役人はそういうやり方をして不信感を植えつけてしまったのですから、小池氏の口でしっかりと説明するべきです。

次になぜ専門家会議案から、技術会議案に変更されたのか、その理由と意志決定権者を明示せねばなりません。

それもできないうちから、環境アセスのやり直しでは順番が違うのではないでしょうか。

                  ~~~~~~

■お詫び ひこーさんのご指摘を受けて、専門家会議に対するゼロリスク論という部分を削除し、「専門家案」という表現を「当初案」としました。
また「技術会議案」という表現も、「新案」といたしました。

私は本記事で、安直な図式的解説をしたと反省しています。
ただし、大筋において論旨に変更はありません。

また改訂にあたって、冒頭の部分は冗長なので大幅に削除し、タイトルも変更しました。

2016年10月 4日 (火)

豊洲市場 地下水管理システムが稼働する前に計測した共産党

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小池知事も、豊洲問題から、やっと疑惑本丸のオリンピック施設予算に焦点が移行させたいようです。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20161001/plt1610011530002-n1.htm

けっこうなことです。やっとここにたどりついたかという気分です。 

こちらが内田権勢に切り込む、ほんとうの戦場です。 

小池知事が、豊洲の「盛り土を誰が決めたのか」を問うならば、はるかに根が深く巨額なオリンピック施設予算に切り込まねばウソです。 

共産党の「猛毒ヒ素汚染水」告発と、それに迎合したメディアの「豊洲祭り」で、あらぬ方向に飛んでいきかかっていました。 

言い出した共産党はこの「汚染水」という言い方を使うことで、福島第1の放射能汚染水とイメージをダブらせて国民のパニック心理につけこもうとしました。

毎度のことですが、この政党は人の恐怖心理を巧みに利用して、自分の政治に利用しようとします。

Photo東京都 豊洲市場についてより 以下図版同じ 

怯えている方は、ぜひ一度真面目に東京都の出している資料を読むことをお勧めします。
豊洲市場について|東京都中央卸売市場

福島第1原発事故の時にも思いましたが、官庁や公共機関は、常に情報を出しています。

意図的に秘匿したりすると、後がバレた時に倍返しになるからです。

今回の豊洲市場の工事の詳細な経緯は、ネットで手軽に読むことができます。

東京ガスの製造プラント跡地に作られたために、汚染対策は当初から最大の問題になっていました。

それについて豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?|東京都中央卸売市場はこう答えています。

●調査方法
①約40ヘクタールの豊新市場予定地(40h)の敷地全域を、土壌汚染対策法が定める最小の調査区画である10㎡四方の正方形で区切った4,122地点を調査点とする。
②地盤面から深さ50㎝の掘り下げたと土壌と地下水を分析する。

●調査結果
①環境基準を超える地点は、土壌または地下水で1,475地点(36%)。
②うち1,000倍以上の汚染物質が検出されたのが、土壌で2地点、地下水で13地点。

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上の添付図を見るとわかるのは、汚染が広域に広がっているのではなく、6区の一部に集中していることです。

浄化作業は以下の手順でなされました。

1.盛土の掘削
2.遮水壁の設置
3.土壌の掘削
4.汚染土壌の処理
5.地下水浄化
6.埋戻し
7.液状化対策
8.盛土と井戸の設置

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今問題となっている地下水は、各所の観測井戸からくみ上げられて、検査を受けています。
観測井戸http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/waterlevel/map.pdf

土壌対策専門家会議・平田健正座長はこのように説明しています。
豊洲市場における土壌汚染対策等の専門家会議を設置|東京都

  • 1473705050
    ① 豊洲では荒川工費基準面「AP.+2.0m」(ほぼ海面)まで汚染土を除去する
      これは用地の地下水の上昇上限が「AP.+1.8m]なので、それよりも上のレベルとしたため。

    ② 掘り下げた地面の上の「砕石」を敷く
      これは毛管現象で地下水が土壌の中を上昇して来る事を防ぐ目的
      「砕石」の隙間は大きいので、地下水はこの層でブロックされる

    ③ 砕石の上に2mの浄化済みの土壌を埋戻して東京ガスの工場敷地のレベルを回復
    ④ その上にさらに2.5mの盛土をして、これを市場の地盤レベルとした

上の図では、建物の下も盛土されていますが、当然建物の下には「謎の地下空間」こと地下ピットが存在していますから、その部分に盛土はありません。

1473703132第18回技術会議資料14年11月27日「地下水管理システムに関する説明資料」より。既に地下ピットが書いてある

地下水管理システムの概要はこうです。

① 汚染土を除去したAP.+2.0よりも下の滞水層まで揚水井戸を堀る
② そこから汚染地下水をくみ上げて浄化施設で浄化する
③ AP.+2.0には砕石層を設置する
④ 道路や緑地などは4.5mの盛土層の上に作られる
⑤ 建屋は砕石層の上に地下ピットを建造し、その上の構築される

まぁ、土壌汚染対策法が求めている盛り土は50cmですから、過剰すぎる安全対策のような気もしますが。

専門家によれば、砕石層の上の地下ピットを含むコンクリートの空洞層を直接乗せるのは、地盤沈下を考えれば合理的な方法です。

地下ピットの高さが、4.5mもある理由は、大型建造物の地下によくあるように電気室や空調機械室を設置するためだろうと思われます

猪瀬さんがどこかで言ったように、いざというときにブルを入れるためというのは、なにかの勘違いでしょう。重機の入口がありませんから。(※追記 重機搬入口はあるという説もあります。)

地下水は砕石層でブロックされていますから、地下ピットの底に溜まっている水は雨水と考えてもいいと思われます。

問題が残るとすれば、青果棟の地下ピットの床が砕石層のままでコンクリート処理されていなかったことですが、これは謎ですが、頭上の1Fのコンクリート床が45cmもあるために、現実的問題にはならないでしょう。

それに地下水管理システムが稼働すれば、地下水自体が処理できないほど上昇するとは考えにくいと思われます。

詳細はこの報告書をご覧いただくとして、これが稼働して初めて、豊洲の地下水管理システムは万全となります。これは去年6月30日から工事が始まり、今年10月17日に竣工予定です。

つまりまだこの管理浄化システム稼働していない時を狙って、共産党が計測して風評化を企んだようです。

まことにタチが悪い、としかいいようがありません。

憶測ですが、共産党は地下水管理システムが稼働開始する10月17日以前を狙って調査したのだと思われます。

ただ水質調査結果が知りたいのなら、上記の豊洲市場報告書のPDFに報告されているので、新たなネタが欲しかったのでしょう。
各種検査結果http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/siryou/tyousa_siryou/

Img_0_mhttp://blogs.yahoo.co.jp/yt_4158/71454523.html

そもそもこの地下水管理システムは地下ピットの水漏れを汲み上げるシステムですから、地下水位全体をコントロールすることが出来ます。

したがって、常識的に考えれば、システムが正常に稼働すれば、上の写真のような漏水自体がなくなるはずです。

専門家会議座長が記者会見で丁寧な説明しています。ニコ生にアップされていますので、ご覧下さい。
※豊洲市場問題 専門家会議座長 記者会見  2016年 9月 17日
 地下水を管理するという前提で豊洲は作られている
    
https://youtu.be/ln4u9GoNlas

危険だ、危険だと騒ぐのは勝手ですが、関わった専門家の意見を聞き、都の報告書に眼をとおしていくのが理解の近道ではないのでしょうか。

  • 2016年10月 3日 (月)

    小池都知事は豊洲問題を政争の具とするな

    Img_4074
    豊洲問題をもう少し続けます。 

    今回の問題が、実に複雑怪奇に見えてしまうのは、いくつか原因があります。

    時系列で見てみましょう。 

    まず、この豊洲移転問題を政治化したいと考えて、先手を打ったのは共産党でした。

    共産党の思惑はいうまでもなく、先日の都知事選で一敗地にまみれた失地回復です。

    いくら赤旗で「勝った、勝った」と叫んでみても、これでは盛り下がる一方で、来年7月の都議会選も危なくなってしまいます。
    関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-9bb1-1.html

    そのためには是が非でも、最大与党の自民党都連を追い落として、一挙に「首都共産党ここにあり」を、都民のみならず国民全体に見せつけねばなりません。

    Photo_2地下施設の水が強アルカリだと「衝撃」の発表をする共産党都議団

    そしてここまで共産党が独自調査を急いだのは、当時小池都知事が豊洲移転について明確な答えを出していなかったからです。

    小池氏は都知事就任と同時の8月31日、「築地市場の移転延期」とぶち上げたのはいいのですが、なにが延期の理由なのか、いつどこまでをめどにして移転を完了させるのか、そのためにどうしていくのかなど、一切明らかにしていませんでした。

    というか、小池さんも聞かれてもわかんなかったんでしょうね。

    なにせ、豊洲新市場は既に完成していて、これ以上の移転の遅滞が続けば、経済的損失だけではなく社会問題化する事態になることは見えていました。

    しかし小池知事は、都知事選で事実上の公約として築地移転延期を掲げていました。

    それは豊洲伏魔殿に切り込むことで、内田氏たち自民党都連の利権構造のあぶり出しに利用したかったわけです。

    しかし、その知事の思惑の鼻面を、漁夫の利よろしく共産党がおいしいところだけ取ろうとしたのを、知事サイドが嗅ぎつけたのが、9月7日頃だったといわれています。

    Photo_3http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160910-00000004-wordleaf-pol

    9月10日、この共産党の動きを知った小池都知事は緊急記者会見を行い、その場で「盛り土がなくコンクリートに覆われた地下空間があった」という事実を発表します。

    この時点で地下施設の環境測定値を公表しなかったのは、公式の測定が出揃っていなかったからでしょう。

    惜しいことをしました。ここで公式測定値を出していれば、完全に共産党のそれは二番煎じに終わったのですが。

    替わって小池氏は、「盛り土」に焦点を当てます。

    小池氏は都の説明文書にある盛り土がなく、代わりに地下空間があったという建設仕様の変更があったことを公表し、「都政は信頼を失った」として「説明責任を果たせぬ都庁官僚」を、テレビカメラの前に集めてさらし者にします。

    都官僚出身の安藤副知事が、深々と頭を下げたシーンは、記憶に残っているでしょう。

    やれやれ、よーやるね、この人。

    この小泉首相直伝のパーフォーマンスのエグイまで冴えと、対応の素早さが小池百合子という政治家の真骨頂なのでしょうね。

    優秀な人なんだろうが、どうにも好きになれないなぁ。

    だって、これって批判が小池氏に来ないようにと狙った、ただの保身じゃないですか。

    というのは小池さんが今、行政官という立場で求められているのは、今さら都官僚をつるし上げることではないはずだからです。

    舛添前知事の放漫な金の使い方を放置し、それどころか豪華大名旅行にお相伴していたような都庁役人が腐敗していないはずがありません。

    腐敗していて当然。

    しかし、それがただ今現在のメーンテーマではないでしょう。

    記者会見で小池さんが口走った「粛清」(おいおい)は、後でゆっくりおやんなさい。

    知事が今なすべきテーマははっきりしています。

    東京都の台所移転を、いかに速やかに移転させるかです。

    800pxtsukiji_fish_market築地市場 ウイキ

    移転をめぐる騒ぎとは別に、築地市場の老朽化は誰しも認めるところです。

    寄る年波。築75年
    ※コメントで「終戦後というのは誤り」というご指摘をいただき、当該部分を削除しました。

    ですから、築地市場は生鮮市場にもかかわらず冷房設備すらなく、下水処理設備も老朽化し大雨のたびに下水が溢れ、開放構造のために外部の廃気ガスが場内に侵入してくる有り様です。

    そして築地市場の地盤沈下は激しく、往年の圧倒的シェアは崩壊し、いまや水産2割、青果に至っては1割といったのが現状です。

    いまや大手量販店の築地市場をバイパスする流れは、主流となりかかってきています。

    このまま築地市場が手をこまねいていれば、延命が難しいのはわかりきっています。

    れにもかわらず小池氏は、共産党に主導権を奪われまいと、まず「疑惑」の断罪から入ってしまいました。

    盛り土と地下施設(ピット)については別稿に譲りますが、冷静に小池氏が判断すれば、冒頭にブチ上げて、ここから始めるような問題ではなかったはずです。

    なぜなら、盛り土ではなく地下ピットであったとしても、その下の土壌はきれいな土壌との入れ換えが完了しているからです。

    ですから、共産党が煽るように、地下施設の床からフツフツと大量の「猛毒」が染みだして来るような状況ではないのです。

    地下水環境調査は7回とも基準値以下。空気も同じく基準値以下。

    コンクリート床がなく、採石層がむき出しになっているためにもっとも危険だとされた青果棟地下ですら、基準値の4分の1に止まります。

    一部で基準値を上回る数値が出ましたが、深刻になる必要もない量で、その原因を特定し、浄化装置に回すか、それでも足りないならばブルを入れて持ち出せばいいだけです。

    そもそも地下ピットの天井があそこまで高いのは、ブルを動かす空間を想定していて設計したからではないですか。

    書類上の不備を断罪し、都官僚に頭を下げさせるのは、もっとずっと後でよかったのです。

    小池知事は、自らの責任に降りかからないように、都官僚をバッシングの生贄として差し出したことになります。

    この手法は翁長氏が承認取り消しの時に、部下の県担当者をつるし上げたやり方に似て、うんざりさせられます。

    左右の違いはあれど、圧倒的支持率に支えられた政治家出身の知事は、人気こそが権力の源泉です。

    だからかえって官僚出身の知事より、人気取りに走りがちです。

    小池さん、こういう巨額の税金を使うインフラ整備を政争の具にしてはいけません。

    普天間移転もそうでしたが、本来シンプルであるべき移転問題に、べっとりと政治の垢をなすりつけてしまうと、身動きがとれなくなりますよ。

    2016年10月 2日 (日)

    日曜写真館 わずかに紅葉

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    2016年10月 1日 (土)

    豊洲問題を切り分けましょう

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    まったくうんざりしますね。豊洲以外、日本にはニュースがないんでしょうか。 

    よくある「初めのボタンの掛け違い」による混沌現象です。 

    初めにマスコミは、共産党の「猛毒ヒ素が基準値4割」というプロパガンダ大会に大喜びで乗ってしまいました。 

    これはひとつには、都政伏魔殿に切り込む白馬に乗った<小池ジャンヌダルクvsジャバザハット内田の戦い>という分かりやすい「絵」を作りたかったからでしょう。 

    まぁ、それに豊洲で煽れば蓮舫さんの二重国籍問題は、この騒動の裏に隠れてしまいますしね。 

    結果、彼女の二重国籍問題は、まったくといっていいほど報じられないままオシマイになりかけています。 

    うちわやカレンダーで政治生命を取られた政治家がいるのに、まぁなんとのどかなことよ。

    それはさておき、マスコミは豊洲問題の起爆剤に「猛毒ヒ素検出」という、筋が悪いトラップに引っかかってしまったために、いまやマスコミ同士が煽り合って日々「新事実」の報道合戦に興ずるようになってしまいました。

    マスコミがお祭りモードに入ったら、手がつけられません。

    「疑惑の解明」を叫びながら、疑惑ともいえないことをつつき出しては、電波に乗せています。

    いわく、微量の有害物質が基準値越えをしたからどうした、耐震構造がアブナイからこーした、いやいや移設が不透明だからオリンピック道路が間にあわないぞとか・・・、まだまだ出るんでしょうね。

    このような法律によらず、集団の圧力で私的に吊し上げることを、俗に「人民裁判」と言います。 

    Photo_2文革における人民裁判という名の公開処刑

    舛添氏の時にも、その匂いが立ち込めていました。

    今回もまた、こういうことばかりしていると、感情ばかりがエスカレートして解決がさらに遠のきます。

    ひとつひとつ冷静に検証せずに、テキヤよろしく机の上に「疑惑」をドーっと並べて、「うわー、こんなにキケンだったんだ」と驚いてみせ、延々と飽きることなく手を変え品を変えて同じ情報を注入し続けます。

    その結果さらに混乱が拡大し、移転が遅れるわけですが、遅れれば遅れたで、「こんなに遅れると税金がたくさん失われるぞぉ。責任は誰がとるんだぁ」とやるわけです。

    まったくバカかと思います。本来シンプルな問題を、ややっこしくして誤誘導をしているのは、あんたらメディアのせいだろうと言いたくなります。

    こうまで「豊洲祭り」に熱中しているマスコミの姿を見ていると、本気で都政伏魔殿に切り込む気があるのかさえ疑わしくなってきます。 

    問題は猪瀬直樹元知事がツイッターしているように、「豊洲の問題は建造物に談合はないか、そこに影の権力が及んでいないか」が真のテーマなはずです。https://mobile.twitter.com/inosenaoki/status/780747167749111808?p=v 

    それを共産党の人民裁判戦術に引っかかってこのザマです。 

    Photo_3
    では、豊洲問題を切り分けてみましょう。

    大枠では3ツです。

    ①豊洲の安全性評価
    ②東京都のガバナンスのあり方の問題点
    ③豊洲移転と都政利権

    この3ツをもう少し細かく見れば、こうなります。

    第1に、豊洲の安全性評価。 起爆剤となってしまった有害物質の値が、正当な環境評価に値するのか、どうか。

     またその後に出た東京都測定による微量有害物質を、どう評価しその除去はどうしたらよいのか。

     第2に、豊洲立地問題。東京都の豊洲立地選択の評価。

    第3に、築地市場の老朽化問題と安全性評価。

    第4に、豊洲の有害物質の除染作業は適格に行われたのかどうか。

    第5に、専門家会議の提言に反しているといわれるが、専門家会議はどこまで権限を持っていたのか、どうか。

    第6に、専門家会議の提言はどのような理由で退けられたのか。

    第7に、東京都側の決定権限者は誰で、誰の責任において「盛り土」を中止したのか。

    第8に、当時の都知事はそれに関知していたのか、どうか。

    第9に、「盛り土」工法についての評価。

    第10に、「謎の地下空間」はなんのために作られ、どのような目的があったのか。

    第11に、移転に際して内田氏ら自民都連の政治家の利権が絡んでいたのか、どうか。

    第12に、豊洲開場が遅延した場合の損失・影響評価。

    もちろんまだまだあるでしょうし、ひとつの問題から派生して次々に新たなテーマが生まれるとは思います。

    しかし大事なことは、このようなお祭り状態になった時には、ひとつひとつ問題点を明らかにして切り分け、個別に解決することではないのでしょうか。

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