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2016年11月

米国議会 米中経済安保調査委員会報告書を読む

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古森氏が紹介した米国議会の資料が、HN「山口」さんのご尽力で見つかりましたのでアップしておきます。

これをもってしても尚、「有機ギルダー」氏の以下のような言い分が成り立つものかどうか、ご自身で確認してください。

「『検証可能性がある情報』と言えばほとんどの情報はそこに分類されるでしょうし、公的機関の文章を名乗った偽情報なら腐るほどあります。
問題なのは未検証の情報を事実であるかのように紹介するのは大いに問題(略)、外国発の情報を意図的に大げさに訳したり歪めたものが多々ありました。」

では、私を「東日本大震災時に放射能デマばら蒔いてた連中と同じだ」とまで罵ったこの人物が言うように、「公的機関を名乗った偽情報」で、「意図的に大げさに訳して歪めたりしたもの」かどうか、見てみましょう。

原文と仮訳です。

読みやすくするために、直訳ではないことをお断りしておきます。太字は引用者です。

原文出典

http://origin.www.uscc.gov/sites/default/files/Research/USCC%20Staff%20Report%20on%20China%20Countering%20US%20Military%20Presence%20in%20Asia.pdf

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「March 15, 2016 
“ China’s Efforts to Counter U.S. Forward Presence in the Asia Pacific “
Author: Kristien Bergerson, Senior Policy Analyst, Security and Foreign Affairs

 ■U.S.-China Economic and Security Review Commission    8 
Okinawa: As with Guam, Beijing is likewise concerned about the U.S. force projection capability on Okinawa.

沖縄:中国は、グアムと同様に沖縄における米国の戦力投射能力について懸念している。

However, China’s attempts to shape Japanese behavior through economic coercion have not been very successful.
James Reilly, a senior lecturer in the Department of Government and International Relations at the University of Sydney, notes that in response to Chinese “consumer boycotts and economic pressure, Japan has refused to backdown over the enkaku/Diaoyu islands ... [and] strengthened its cooperation with other Asian neighbors, signed a fisheries accord with Taiwan, and secured statements of support from the United States.

 しかしながら、経済的圧力によって日本の動きを押さえつけようとする中国の試みはあまり成功していない。
ジェームズ・ライリー(シドニー大学政府国際関係学部・上級講師)は、「中国の貿易ボイコットや経済的圧力に対応して、日本は尖閣諸島・釣魚島だけではなく、他のアジア諸国との協力を強化し、台湾と漁業協定を締結し、米国の外交的声明を支持した」と述べた。

Japanese press reporting indicates Chinese investors have acquired property near U.S. DOD facilities on Okinawa.
China likely maintains a presence of intelligence officers and agitators to both collect intelligence against the U.S.military presence on the island and complicate aspects of the U.S.-Japan alliance by participating in anti-base activities.
 

日本の報道によると、中国の投資家は沖縄の米国防総省の施設の付近で不動産を取得している。
中国の政治工作員は沖縄住民の米軍基地に対する不満や怒りを扇動することに努める。
そのために中国の諜報工作者が沖縄の米軍基地反対の集会やデモに実際に参加することもよくある。
その結果、(中国は)沖縄住民の反米感情を煽り、日米同盟への懐疑を強め、日米間の安保協力をこじれさせることを企図している。

Fumio Ota, a retired Japan Maritime Self-Defense Force vice admiral and a former director of the Japan Defense Intelligence Headquarters, notes “China has  supported Okinawa’s independence activities, which were developed by pro-Chinese Okinawans and probably Chinese  agents as well.”
Dr. Ota goes on to say that the Chinese press in September 2012 “reported the result of  2006 referendum of Ryukyu citizens 75 percent of them supported independence from Japan and reinstating free trade with China ... [when there] was in fact no referendum by Ryukyu citizens, and the vast majority of Okinawans want to be a part of Japan.
”Aggressive Chinese activities intended to challenge Japan’s administration of the Senkaku Islands and statementsby Chinese academics and military officials questioning the status of Okinawa as part of Japan probably will increase concerns about China’s long-term intentions in the region.
China will likely continue both espionage and agitation activities on Okinawa aimed at monitoring U.S. and apanese force posture and seeking to complicate the U.S.-Japan alliance by attempting to facilitate resentment about the continuing U.S. military presence.

自衛隊の情報本部長(※)だった太田文雄夫(※)氏は、中国は、沖縄の独立運動を支援している。沖縄の独立運動は、中国の沖縄人や中国によって生み出された、と述べている
太田文雄 - Wikipedia
情報本部 - Wikipedia

また、大田氏は、2012年9月の中国のメディア報道は、「2006年における琉球市民の国民投票の結果75%が日本からの独立を支持している」と書いたが、実際には
沖縄県民によるそのような住民投票はなかった。
大半の沖縄人は日本の一部であると考えている。
中国は日本の尖閣諸島の行政権への挑戦を意図している。
日本の尖閣諸島の行政権に挑戦することに熱心な中国の活動や、日本の一部としての沖縄の地位に疑問を抱く中国の学者や軍の声明は、地域の中国の長期的な意向への懸念を高めていくことだろう。

中国は、米軍や軍人の動向を監視し、米軍の動向に対する怒りを増幅させることで日米同盟を分断するために、沖縄における諜報活動と扇動活動の両方を継続する可能性が高い。」
 

なお同報告書には、中国が、慰安婦問題や歴史認識、あるいは竹島領有問題などで、韓国の立場を支援することによって分断しようとする企みについても記述されています。

さて、上記の議会報告書についての、古森氏の論考の要約です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47344

すべて、米国議会報告書に記述に照応しており、恣意的乖離は見られません。

なお、上記の仮訳にない部分は、他の部分の報告書記述に存在します。 箇条書き番号は引用者です。

「①中国軍幹部たちは、米国が中国を封じ込めるために広域に戦力を展開していると見ている。つまり、北地域では日本と韓国、南地域ではオーストラリアとフィリピンを拠点とする軍事基地システムを築いている。そしてグアム島をその中核とし、中国の深部まで長距離の戦略兵器で攻撃ができるようにしている、と見ている。

②中国軍はその中でも、特に沖縄駐留の米軍が有する“遠隔地への兵力投入能力”に懸念を抱き、多角的な方法でその弱体化を図っている。例えばその1つの方法として、中国の政府機関が沖縄の米軍基地の近くに不動産を購入し、沖縄の反米闘争の支援に利用している。

中国はこうした目的のために経済的圧力を頻繁に行使する。フィリピンに対してはフルーツ類の輸入を大幅に制限し、かなりの効果を得た。日本に対してはレアアース(希土類)の輸出を規制したが、効果をあげられず、他の方法を試みている。

中国は沖縄に、米軍の軍事情報を集める中国軍の諜報工作員と、日本の米軍基地反対運動をあおるための政治工作員を送りこみ、日本と米国を離反させようとしている。また、中国は沖縄の親中勢力をあおって沖縄の独立運動も支援している。

沖縄にいる中国の諜報工作員たちは、米軍基地を常にひそかに監視して、米軍の軍事活動を詳細にモニターしている。また、米軍と自衛隊の協力体制も調べている。さらに中国の政治工作員は、沖縄住民の米軍基地に対する不満や怒りを扇動しようとしている。

中国の官営報道機関は、「琉球で2006年に行われた住民投票で、住民の75%が日本からの独立を望むという結果が出た」と報道した。だが、実際にはそのような住民投票は実施されておらず、沖縄住民のほとんどが日本に留まることを欲している。」

なお、中国の対沖縄工作については、参議院議員・青山繁晴氏の発言がありますので、資料としてリンクを貼っておきます。
http://japan-plus.net/724/ 

私としてはこの青山情報についてかねてから聞いていましたが、裏を取りようもない話ですので記事にはしておりません。 

議会報告書と重ね合わせて改めて読むと、ありえるとは思いますが、今回はそれにとどめておきます。

何度か繰り返していますが、外国の諜報機関の動きは一般人には分かりません。

たとえば資金提供ひとつにしても、様々なトンネル・ルートを通じてロンダリングされながら供給されます。

戦前の日本共産党は、立花隆の『日本共産党研究』によれば、コミンテルンから上海ルートで武器と資金提供を受けていました。

それが途絶えた時、彼らは銀行強盗を「軍事作戦」として展開するようになり自滅します。

そしてそれが明らかになったのは、それから数十年たってのことなのです。

現在の沖縄でいかなる中国の工作があるのか、それはどのような規模で、どのようになされているのか、やがて分かる日が来るでしょう。

メディアはこのような微妙な問題には絶対に触れません。

独自取材が不可能に近く、公安(外事)情報に頼るしかないからです。

そして公安は体質的に情報を抱え込みます。

たまさか漏れてくるのは、公安が刑事警察を使って取り締まらねばならないほど緊急なことが起きた場合だけです。

そもそもスパイ防止法が日本にはないために、スパイを摘発しても外為法違反とか、旅券法違反などといった微罪で逮捕できるだけです。

そして多くはそれを察知すると、直ちに国外に出てしまいます。

ですから、ひとり工作員を捕らえるより泳がせて、そのネットワークを探ることのほうを、公安は選んでいるわけです。

それまで公安はひたすら情報を蓄積し、外国諜報機関を泳がせ続けます。

メディアは報じない、警察も公表しない、政党も動かないという一種のエアポケットのような存在が外国のインテリジェンス機関の動きなのです。

ですから、このような真実の断片をジグゾーパズルのように組み立てていくしかないわけです。

じっれったいでしょうが、しかたがありません。

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HN「有機ギルダー」自分は英文は読めないが、お前が読まないのはデマッターだ(笑)

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HN「有機ギルダー」という者から、以下のコメントがきました。

「古森氏の正論に載せた記事が誰からも注目されないのはかつて誤報で産経新聞を謝罪に追い込んだ過去があり、今回の記事も肝心の資料の原文を載せないという胡散臭さ満点だからです。
記事の裏付けよりも内容が自分にとって「如何にもっともらしいか」を優先するなら、東日本大震災時に放射能デマばら蒔いてた連中と変わりませんよ。」

次にこんなものも入れています。

「私は管理人さんの態度について「東日本大震災時に放射能デマばら蒔いてた連中」と同じだと指摘した」

これは私が武田邦彦、岩上安身、早川由紀夫、上杉隆など同列の人格だと言うに等しいものです。

直接に言われたのなら、その場でコップの水をこの男にかけてやったことでしょう。許しがたい侮辱です。

私のブログは傷だらけです。

そしてこの傷は、紛れもなく、彼らデマッターとの戦いを斬り結ぶ中で生まれたものです。

ところがこの男は、私が放射能デマッターだとこの男は言うのです。

2013年以降このブログとおつきあいいただいている方は、私が放射能パニックの連中からなんと言われてきたのかご存じのはずです。

「お前が農業をやめることが最大の復興支援だ」
「ここに毒を撒くテロリストがいますよ」
「東日本はもう住めない」

これに対して私はおそらく100本以上の反撃記事を書いています。

当時私のブログは、自分でいうのもおかしいですが、東日本で有数の反「放射脳」拠点サイトでした。そのために何度となく炎上を繰り返しました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-6638.html

この男がもし福島事故において、デマッターたちの攻撃に耐えて、土壌放射線量を計るために走った経験があるなら、こんなことを平気で書けないはずです。

市場から返品されてくる農産物の山を見たことがある者なら、到底書けません。

作った作物を、穴に投棄する身を切られるような苦痛を知っているなら、こんなことを他人に言えるはずがありません。

潰れかけた農場の借金をどうしたらよいのかわからず、天を仰いだことがない者だけが書けることです。

放射能の恐怖と、それと戦ったことがない者が、したり顔で当事者の私に説教がましい口をきかないで欲しい。

こんな下劣な男に対して、まともに反論する気がなくなりました。

といってもこのての輩は勝利宣言でも上げかねないので、数点書いておきます。

                       ~~~~

私は記事の冒頭にこう書いておきました。

「記事中で古森氏が紹介した米国議会の調査報告書は、元資料に当たれませんので、そういうものとしてご理解ください。
内容的にみて、妥当だと思えますので紹介いたします。今回はメモ程度とお考えください。」

私は明確にこの時点では、「元資料に当たれない」と記しています。

つまりあくまでも「紹介」であって、一次情報の開示ではないと断っているのです。

私はあくまでも古森氏の論説を「紹介」したに止まっており、その論者も明示しています。

これが「検証不可能な情報の無責任な拡散」、さらには「東日本のデマッターと一緒」などといわれる筋合いは断じてありません。

次に、今回、古森氏の「ブラック・ジャーナリスト」問題です。 

この事件について、ウィキから長文ですが引用します。 

「2006年(平成18年)8月、外務省管轄下にある財団法人日本国際問題研究所のホームページにJIIAコメンタリーとして掲載された玉本偉論文について、古森が問題と考える点(日本政府から資金を得て運営されているJIIAが時の日本政府の政策方針を批判したこと等)を産経新聞紙面にて公開質問状の形で指摘した。結果、研究所は、理事長名で当該論文の問題点、編集体制の杜撰さを認め、「厳しく反省」し「編集体制を一新する」と表明し、JIIAコメンタリーの刊行を中止し、バックナンバーの公開も中止した。
一方で、
ワシントン・ポストに、この古森の行為が「ジャーナリストとしてあるまじきもの」とする執筆者論文が掲載された。
産経新聞は、2006年(平成18年)9月18日付産経抄において、かつての「教科書誤報事件」を思い起こさせるものであると評し、古森がワシントンポストに送った反論をポスト紙が未だ掲載しないことに「言論の自由」との関連で疑問を呈した。古森の反論は、産経新聞による再度の催促ののち、2006年11月11日付のワシントン・ポストに掲載された。
新聞紙面の議論と並行して、ネット上では
NBR JAPAN FORUM古森のブログおよびクレモンスのブログであるThe Washington Noteにて論争が継続されていたが、ワシントンポストが古森反論を掲載したのと前後して収束している。」

これがなにかといえば左翼論者たちが引き合いに出す、「古森誤報事件」です。

古森氏は外務省管轄の外郭団体のHPが、日本政府の外交方針を批判したことを産経紙上で問題視し、それをWPが批判したわけです。

メディア同士の批判-反論などよくあることで、ただそれだけのことです。

この経過を読んでどこが問題で、どこで「産経が謝罪に追い込まれた」のか教えていただきたいと思います。

また、今回の米議会報告書について、この「有機ギルダー」氏は「自分で英語力が貧弱で読めなかった」と妙に正直なことを書いています(苦笑)。

わ、はは。この男は1次資料と読み比べて、ここが古森氏の改竄箇所だと言っているのではないのです。

あくまでも古森氏が嫌いだから、嘘つきだ、それを紹介した私も嘘つきだ、と書き散らしているだけです。

他人には「元資料に当たったのか」と絡んできたくせに、自分は都合よくスルーというわけで、まったく度しがたい愚か者です。

ダブスタ以前の問題です。

ならば、そもそもこんなえらそうなことをコメントするんじゃないよ、と言いたくもなります。

なんのことはない、HN「有機ギルダー」の言っている論理構造はこういうことです。

自分は英語力がなくて元資料を読めない⇒古森氏というブラックジャーナリストが言うんだからデタラメに違いない⇒それを紹介した私もデマッターだ

このていどの貧相な三段論法で、私は福島事故のデマッターと同列にされたのです。

メディアが取り上げないことがデタラメだということの証明のように書いていますが、その理由は簡単です。

NHK、朝日以下の本土メディアは、沖縄の反戦「市民」たち贔屓だからですよ。

まるで腫れ物に触るように、慎重にこの話題は避けています。

それに、なにぶんインテリジェンス機関がからまることなど記事には微妙すぎて書きにくい類のものだからです。

地下で繰り広げられているスパイ工作などは、一般ジャーナリストには裏取りが不可能なため書けるとしても、週刊誌のようにより柔らかな媒体です。

ですから、もしメディアにインテリジェンス機関の工作が書かれることがあるなら、それは警察が摘発した後か、意図的リークがあってのことです。

それもよほど大事件ではない限り、一般紙には載らずに、週刊誌かネットに出てきます。

そんな常識的なことも分からないで、やれ産経がどうしたの、幸福の科学がどーたらと、私を批判しているのがこの人物です。

したがって、古森氏の論説も、議会資料をそのまま訳出し、それに肉付けしただけに止まっています。

私もそれをそのまま紹介したに止まります。

たかだかそんなていどの話にすぎないのに、なにをトチ狂ったのか、こういう暴言を吐くとは。

呆れてものが言えません。批判に来るのは結構です。

しかし、まともな論理構築をして、礼儀をわきまえて来なさい。

私だって生身の人間なのです。

今日の写真のような穏やかな心の平和が欲しいです。

※怒りのあまり感情的になったので、改題して、修正しました。

 

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沖縄そばを仲良く食べているおふたり

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今日はなごやかな話題です。

秋も深まる中、自民党本部の沖縄物産展で、ふたり仲良く沖縄そばをすすっているのは翁長氏と二階幹事長です。

「自民党は6日、党本部で「沖縄物産展」を開き、二階俊博幹事長や翁長雄志沖縄県知事が出席した。沖縄振興の一環として2005年以降、ほぼ毎年実施している同物産展に現職知事が参加するのは初めて。
 二階氏はあいさつで「沖縄が発展することなら何でもやる」と強調。翁長氏は物産展の開催について「大変感激している」と述べた。」(共同2016年10月6日 下の写真も)

この二人のオールド自民党的体臭がすてき。きっと妙に馬が合うでしょう。

少なくとも理論家肌の石破さんよりも、はるかに親和性がありそうです。

Origin_1http://this.kiji.is/156594350544322562

毎年やっているそうですが、こういう時期にあえて党本部に翁長さんをお招きするというのが、いかにも二階さんらしい憎さです。

おそらく翁長氏はいまや迫りくる来月と予想される最高裁判決に向けて、千々に乱れる知事心といったところでしょう。

もはや「名誉ある撤退」をいかに遂行するのか、二階さんのような古狸と相談したくてたまらなかったでありましょう。

Img_0005_2

ここまで状況が煮詰まってしまったら、救命浮輪は政府からも県からも投げられません。

政府は建前どおり辺野古埋め立てを壊れたレコード(←古い)のごとく繰り返すしかないでしょうし、一方翁長氏にとってもガチガチの共産党を説得することは不可能です。

したがって中間的和解案は両者から出てきません。

だとすれば、「オール沖縄」にも片足を突っ込んでいて、なおかつ政権与党である公明党あたりから、「ねぇ、こんな案があるんだけど」と持ち出すことです。

私のお勧めはズバリ、シュワブないしはハンセン陸上案です。

安い・早い・(面子が)立つの三拍子です。

この案は既存基地内の増設ですから、新基地とは言わせませんし、何といっても美しい海を埋めないで済みますから環境破壊とは言わせません。

もちろん提案に当たっては、自民党と事前に話をつけておく必要がありますから、そういう表に出せない政治工作は二階さんの十八番です。

具体的な話は、年中東京に出向いて、政府とゴソゴソと話をしている副知事あたりにさせておけばいいのです。

時あたかも、恒例の来年度予算折衝時期。

あつらえたような手仕舞いの季節です。最高裁判決が出たらもう引くに引けませんよ。

「名誉ある撤退」もなにも、全面敗北です。

翁長さん、悪いことは言わないからこのタイミングを逃しなさんな。

ああ、名護の丸隆そばのソーキが食べたくなったぁ。

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日曜雑感 米国議会調査委員会による中国の対沖縄工作についてのメモ

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再度アップします。これは今日午前中にアップしたものの加筆版です。

記事中で古森氏が紹介した米国議会の調査報告書は、元資料に当たれませんので、そういうものとしてご理解ください。

内容的にみて、妥当だと思えますので紹介いたします。今回はメモ程度とお考えください。

というのは、中国のインテリジェンス(諜報機関)の動きは、一般人には把握することが困難です。

たまさか、中国人による基地周辺の不動産買い漁りのように、メディア報道の表面に浮かびあがったものは、実は大きな氷山の一角にすぎません。

今回は米国議会調査委員会の資料に、その記述があったことを古森氏からの孫引きとしてご紹介するにとどめます。

またこの記事を初回にアップした際に、HN「田浜雪夫」という人物が執拗に絡んできて、さんざん荒らしていきました。

内容は古森氏が信用ならないとするものですが、一定の傾向を持つ人たちからみれば古森氏はそう見えるのでしょう。

論者を色分けし、自分と違う立場ならウソデタラメとする態度は、程度の低い政治的人間につきものの悪癖です。

この人たちにかかると、世の中は悪者と善人の二種類しかいないようです。

その論者がいかなる傾向を持とうと、要はその言説の内容です。

妥当なら議論構築の糧として採用するし、脳内妄想のような内容なら採用しないということです。

それは右に対しても左に対しても、私の一貫した姿勢です。

たとえば、私は井上達夫氏とは政治的に反対の立場にいますが、氏を深く尊敬しています。

人を信じる、その「論」を信じるということは、結局そういうことなのです。

                    ~~~~

沖縄がその地政学的条件から、中国の工作対象の筆頭になっていることは、客観的にみても間違いないところですが、その実態は闇の中です。

この間、在沖中国人居留数の伸びは、米国人をはるかに凌ぎ外国人数で2位です。

彼らの中にインテリジェンス機関の人間がいないと思うほうが、かえって不自然でしょう。

公安調査庁や、警察の公安、内調などはとっくに動いているでしょう。

ただし、公安調査庁には逮捕権限がなく、公安に通知するだけですし、内調は弱体の上にここにも逮捕権限は与えられていません。

ここは一番、沖縄県警の公安に期待するしかないのですが、まぁ、ご承知のように県警自体の長年の体質が、左翼勢力との対立を徹底回避するという宥和路線ですから・・・。

なにぶんワールドスタンダードのスパイ防止法すらないという、憲法前文そのままの国家ですからね、わが国は。

いや、まともな情報機関さえない国でした。

さて、中国の非軍事的な外国への介入には、「関与」、「威圧」、「同盟分断」があります。

「関与」とは、ASEAN諸国やパキスタンなどとの合同軍事演習や、韓国にたいする圧力などです。

「威圧」とは、尖閣水域への絶えざる侵犯や軍艦の領海侵入です。
あるいは、尖閣で衝突が起きるとレアアースの輸出を止めたりすることです。

「同盟分断」について、米国議会の報告書「アジア太平洋での米軍の前方展開を抑える中国の試み」はこう述べています。(2016年 米中経済安保調査委員会)

以下、古森義久氏の論考によりました。引用します。
http://japan-indepth.jp/?p=29534

「沖縄では中国が米軍基地反対運動をあおり、米軍へのスパイ活動を展開している――こんなショッキングな警告がアメリカ議会の政策諮問の有力機関から発せられた。
中国は長期戦略として日米同盟を骨抜きにすることを図り、その具体策として沖縄での米軍基地反対運動へのひそかな支援や米軍の活動への秘密裡の軍事諜報工作を展開しているのだという。

アメリカ側の政府や議会の関連機関が日米同盟の光や影、虚や実について論じ、内外への注意を喚起するという作業は長年、続いてきた。
だが沖縄での米軍基地問題に関して中国の干渉を正面から指摘したという実例はきわめて珍しい。
アメリカ側としてはそれだけ沖縄での中国の動きを危険視するにいたったということだろう。日本側としては日米同盟の堅固な保持を望む限り、その警告を真剣に受けとめざるを得ないであろう。」

「沖縄あるいは日本全体を拠点とするアメリカの軍事力が弱くなることを最も歓迎するのは誰か。いまや東アジア、西太平洋の全域でアメリカの軍事的な存在を後退させようとする中国が米軍弱化の最大の受益者であることは明白である。

中国がそのためにソフト、ハード両面での多様な措置をとっていることはすでに歴然としているが、これまで沖縄での反米軍基地運動への中国の関与は提起されることはまずなかった。しかも中国の対沖縄工作の最終目的は日米同盟分断だというのだ。」

古森氏によれば、この対沖縄の工作を、米国は「スパイ活動(Espionage)」、あるいは「扇動(Agitation)」と名指ししているそうです。

以下、議会調査委報告書の記述です。

「中国は沖縄米軍の弱体化の一端として特定の機関や投資家を使い、沖縄の米軍基地の近くに不動産を購入している」

「中国は沖縄に米軍の軍事情報を集めるための中国軍の諜報工作員と日本側の米軍基地反対運動をあおるための政治工作員を送りこみ、日米両国の離反を企図している」

「沖縄での中国の諜報工作員たちは米軍基地を常時ひそかに監視して、米軍の軍事活動の詳細をモニターするほか、米軍の自衛隊との連携の実態をも調べている」

「中国の政治工作員は沖縄住民の米軍基地に対する不満や怒りを扇動することに努める。そのために中国側関係者が沖縄の米軍基地反対の集会やデモに実際に参加することもよくある。その結果、沖縄住民の反米感情をあおり、日米同盟への懐疑を強め、日米間の安保協力をこじれさせることを企図している」

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日曜雑感 HN「鉄槌」氏に答えて

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HN「鉄槌」氏からこのようなコメントを頂戴しました。
この人は前にも入れてきたことがあります。

「チューゴクの珊瑚泥棒すらまともに追っ払えない国がすでに骨抜きになった9条を改憲した所で何ができるのやら。
むしろ現政権の改憲における本丸は人権条項じゃねーの。
かつてこの国を亡国の淵に追いやったのが何であったのか改めて考えてみるのも必要かと。
何時の世も徒に外の脅威を煽る輩にご用心!」

困りましたね。人権条項とは憲法第13条などのことですか。どこかにそれを改正する運動でもありますか。

政府が人権条項を廃止したいなどと言っていますか?自民党案にそんなことが書かれていますか?

ないことをさもあるように言って、煽るのはよくないですね。

ないことを「ある」というのは、あることを「ない」と同じくらいに馬鹿な行為ですよ。

なぜならそういう姿勢は、真実を公平に見て、突き放して事実を観察することを阻みますから。

こういう傾向を世の中では、無意識なら「妄想」、知っててやるのだったら「アジテーション」と呼びます。

やめましょうね。無意味に疲れるから。

あいにくですが、9条は骨抜きにはなっていません。

ご安心ください、9条はしっかり矛盾しつつ機能しています。

もうこれについては今週さんざんやったので、井上達夫氏の指摘を読んで下さい。

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次に「中国のサンゴ泥棒も追い払えなかったくせに」ですか。

泥棒というより、強盗団ですが、まぁいいか。

海保はSST(特殊警備隊)をヘリで空中機動させて降下させ、指導的な中国漁船を確保しています。

また多くの巡視艇が当該海域に向かい、可能な限り規制し情報収集に当たっています。

あれだけの規模の漁船団を、実力で追い払える国は世界にありません。

中国としては、もちろん対日圧力をかけつつ、日本の対応を見たかったのでしょうね。

まずは、中国のその筋の者が、「サンゴのお宝が眠っているぞ」と煽り、欲に目が眩んだ漁民に漁船団を組織させ、その中に海上民兵や情報機関の者たちを紛れ込ませて、小笠原水域に向かわせたのです。

それとも漁船相手に海自をだせとでも?

そんなことをしたら、それこそ緊張が高まりますよ。

日本の対応はベストではないにせよ、よくやったと評価しています。

おそらく中国は、日本が簡単に挑発に乗らない紳士的な国だと分かったはずです。

中国なら海軍が蹴散らしています。「紳士的」とは弱腰のふぬけととることでしょう。

またこれだけの大規模漁船団を繰り出していけば、海保は対応が難しくなるのも分かったでしょう。

きみがなにをいいたいのかわかりません。

「鉄槌」氏は、一方で9条は骨抜きになったと叫ぶかと思えば、一方でサンゴ泥棒をどうするんだとも言うわけで、一体なにを言いたいんでしょうね。

密漁船に対して厳重に対処ができるような強面国家になってほしいのか、9条を骨抜きにして人権条項を潰そうとするような「ファシスト」国家がまずいのか、一体どっちなんでしょう。

よく頭を整理してくださいね。

ところで、「外の脅威を煽る輩に注意」ですか。

ひょっとして、この私に言っているの?ご冗談を。

脅威は厳然としてあるものはあるのだから、冷静に対処せよと言っているだけです。

私は自衛隊は出すな、海保で対応せよと繰り返し述べてきています。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-961f.html

ところで、「かつてこの国を亡国の淵に追いやったのが何であったのか改めて考えてみるのも必要」があると言っています。

そのとおりです。

しかし、そういうきみは先の大戦がなぜ起きたのか、なぜ敗北したのかについて、まじめに学びましたか?

あれはきみが言いたいような、一握りの「外敵の脅威を煽る輩」、つまりは戦争挑発者がいて起きたわけではありませんよ。

むしろそんな単純だったらいいのにと思うくらいです。

日本にはひとりのヒトラーもいませんでした。

大戦の序曲となった泥沼の日中戦争のきっかけは、第2次上海事変でした。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-616c.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-2338.html

208uw

国際法(※)による侵略の定義を押さえておきます。
※根拠 国連総会決議3314(1974年12月14日)

①宣戦布告なき先制攻撃
②計画された準備期間

③他国領土、ないしは、それに準じる地域への軍事攻撃

当時租界は外国の「領土」と国際的に認められていましたから、これを襲撃する行為は侵略に当たります。

70万の長期間訓練されたドイツ装備の軍を上海に集中し、上海租界を強襲したのは中国でした。

すなわち、日中戦争を仕掛けたのは中国側です。

この時点に限定していえば、日本は被侵略国です。

ただし、中国軍を撃退したのち、南京まで兵をすすめてエスカレーションをした外交判断の誤りは日本側にもあります。

さらにその後、幾度かあった中国との和解を蹴飛ばして、直接の大戦突入の責任者となった近衛は、身辺に尾崎のような大量のソ連のスパイを侍らせた凡庸な政治家にすぎませんでした。

この馬鹿がいなければ、あるいは日本は大戦に突入することを避けられたかもしれません。

近衛を引き継いだ東條に至っては、回避不可能なところで政権を引き受けてしまった不運な軍事官僚でした。

日本が戦争へ傾斜していくことをよく、「軍部の暴走」なんて言っていますが、そんなに単純なものだったら、いいのにと思うくらいです。

そもそも戦後によく言われた、「軍部」なんてものはありませんから。

「軍部」の内実は、陸軍と海軍は犬猿の仲であり、さらに陸海軍内部でも親独派と親英米派に別れ、そのうえ陸軍内部でも対中拡大派と統制派に分裂し、統一された「軍の意志」などどこにもなかったのです。

こんな状況の上に立つ、天皇陛下がいかに苦慮されたのか分かります。

いうまでもなく、陛下は一貫した戦争回避派でした。

陛下が親政を敷かれたのならば(帝国憲法上ありえませんが)、絶対に戦争突入はありえませんでした。

こんなていたらくだから、大陸に100万の兵を貼り付けたまま、北はアッツ島から南はガダルカナル、そして西はインパールまで戦線をむやみと拡大してしまったのです。

これで勝てたら奇跡です。

こんなスラップステイックな軍中枢と政府の意思決定を、現場力で支えたというのが戦中の日本です。

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福島第1事故の時の状況と瓜二です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-b103.html

半狂乱の菅首相とその取り巻き、それを掣肘できない保安院の専門家たち。

そして腰抜けの東電中枢。

それに足をからめとられつつ、最後まで死を賭して戦った現場を預かる吉田昌郎所長以下64名の所員たち。

涙が出ます。

私が心から「英雄」と呼べるのは、吉田昌郎所長と、そして彼と共に戦った戦士たちだけです。

それはさておき、この「鉄槌」氏の言うことを聞いていると、右にも左の人にもありがちですが、極端なことを平気で言うことです。

極端なことを言うことは、逆にものすごく易しいことです。

「鉄槌」氏のように、「政府は人権条項をつぶしたいんだ」とか、「一部の中国脅威論者が煽っているから戦争になるんだ」(こうは言っていないがそういうことになります)というのは、相当にバイアスがかかっています。

逆に、「すべて特亜が悪いんだ」「こいつも工作員だ」「工作員を日本から追放せよ」みたいな、一部の右の人の言説も極端にすぎます。

こんなことを言うのも、世界情勢が混沌としていて、どちらに進めばいいのかわからなくなっているからです。

だから単純化したがるのです。

極端なことを言えば、あたかもものごとが単純にスッキリ見えた気がしますからね。

しかし現実はあいにく、そんなにシンプルじゃないですよ。

鉄槌さん。他人に鉄槌を浴びせる前に、その手を降ろして、いろいろな本を読み、他人の意見にも耳を傾けることです。

※お断り 日曜雑感の1は削除しました。

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日曜写真館 紅の奔流

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井上達夫『憲法の涙』の自己分裂

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井上達夫氏の『憲法の涙』を読んでいます。

ご承知のように、井上氏の9条削除論がまとめられた本です。 

一種の覚醒の書であると同時に、分裂の書でもあります。 

井上さんはこの9条削除論を提唱する動機を、こう書いています。

少し長いですが引用します。

「自衛隊という戦力をわれわれは既に海外に出しています。伊勢崎賢治さん流に言うなら、9条下で既に『戦争』をしています。が、これを縛るなんの戦力統制規範も憲法の中にありません。日米安保に対する憲法の縛りもありません。
なぜなら、9条によって、日本には戦力がない事になっているからです。憲法上ないはずの戦力を統制する規範を憲法が規定できるはずがない。
つまり、9条があるために自衛隊という軍事組織と、日米安保という軍事同盟が、憲法害の存在として肥大化しているのです。(略)
そしていまや安倍政権の改釈改憲によって、その憲法外の存在、自衛隊と安保をどんどんと肥大化しようとしている。これが私がいちばん危惧していることです。」

ひとことで要約すれば、井上さんは自衛隊は化外の地で、時の為政者のためにどんどんと「肥大化」しているからをこれをしっかり「縛りたい」のです。

憲法という中に正式に「軍隊」として位置づける代わりに、統制規範を作って自衛隊と安保をこれ以上「肥大化」させるなと言っているわけです。

そして具体的にはこのようにしろと書いています。

「戦力に歯止めをかけるためにも、つまり平和主義のためにも、9条を削除せねばならない。
9条削除まで踏み切れないなら、少なくとも専守防衛明記改憲をして、専守防衛の枠を越えて戦力が濫用されないための統制規範を憲法に盛り込まなければならない。」

初めは読み違ったのかと眼をこすりました。そうではなかったのです。

読み間違いする余地なく「専守防衛明記憲法」の必要性を訴えた後に、井上さんはこんなことも続けて書いています。

前文の平和主義にふれた部分です。

「私の原理的立場から言えば、安全保障の基本政策は憲法に入れるべきではない、ということなので、前文が特定の安全保障政策をもりこんでいるんだったら、それを変えるか、削るかしなければならない」

二つの文章をつなげてみます。

憲法には特定の安全保障政策を盛り込むべきではないが、専守防衛を明記すべきである

何を言っているのか理解できません。明らかな矛盾です。わずか2頁のうちで、まったく別のことを井上さんは書いてしまって、平然としています。

気がつかないのです。

<専守防衛>という概念が、「軍隊であって軍隊でない何者か」である自衛隊が生み出した、苦し紛れの防衛ドクトリン、すなわち井上さんが自分で憲法に盛り込むなと言っている「安全保障の基本政策」だということに。

そしてこのドクトリンを作ったものこそ、まさに井上さんが鋭くその矛盾をえぐった9条そのものなのです。

<専守防衛>とは平たく言えば、「自分の国だけ守って引きこもっていたい。それも攻めてきたら守備する程度にしたい」という考え方です。

そもそも世界には、「専守防衛」に相当する外国語がありません。

「個別的自衛権」という、去年盛んに登場した用語に当たる外国語もありません。

存在するのは唯一、「自衛権」 right to defenseだけです。

防衛に集団的も個別的もなく、「専守」がないように「侵略」だけの軍隊もないのです。

「自衛隊」という表現は日本語ではなんとなくフツーに聞こえますが、欧米諸国で the Self‐Defense Forcesとは、「自分を守るための軍隊」という奇妙な意味となります。

余談ですが、かつて幹部自衛官が、外国で他国の将校たちと歓談していた際に、Self‐Defense Forcesと自己紹介すると、嘲笑を込めた爆笑に迎えられたそうです。

Self‐Defense Forcesとは直訳すれば、「自分だけを守って国民を守らない軍隊」という意味になってしまうからです。

この自衛官は憤然として、帰国後退官したそうです。

私はこういう退嬰的、かつ思考停止的な思考を、<9条ワールド>と皮肉をこめて呼んでいます。

井上さんはどうやら、<9条ワールド>を守りたいために9条削除論を唱えているわけです。

氏が誠実なことは大いに認めますが、分裂しきっています。

井上さんはいかにも憲法学者らしく、安全保障領域の現実をほとんど理解していないようです。

現代における戦争は、戦後憲法が生まれた終戦直後から劇的に変化しています。

去年安保法制の審議で、野党はしきりと「どこまでが戦闘地域か」とか「どこまでが後方支援か」と執拗に問いただそうとしていました。

私はそれを聞きながら失笑した記憶があります。

この制限・限定論の論理自体が、古色蒼然たるもので、世界の現実を知らない空論です。

では、できるだけかみ砕いてご説明しましょう。

まず現代においての<戦争>は、冷戦期の大国間の正面戦はほぼありえないと考えられています。

なぜかといえば、核戦争の恐怖によって、大国間の全面戦争をすれば己も滅亡することがわかっているからです。

この核兵器による「恐怖のバランス」のことを、「相互確証破壊」(MAD)と呼びます。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-18eb.html

そして全面戦争の代わりに登場したのが、冷戦崩壊とともに起きた各国の独裁政権の崩壊後の状況でした。

独裁政権は、たとえばイラクのフセインなどが典型ですが、国内的には恐怖政治を敷きながら、一方では宗教対立や民族紛争を押さえ込んできた側面があったわけです。

それを米国が打倒してしまったわけですから、まるで地獄の釜の蓋を開けたように宗教紛争と民族紛争が吹き出しました。

イラクに侵攻した、世界最強を誇る米軍はイラク正規軍をたちまち片づけましたが、その後に彼らを待っていたのは延々と続く、対テロ戦争でした。

軍服を着ない民間人を装ったテロリストが、身体に爆弾を巻き付けて米軍のパトロール部隊に飛び込んでくるわけです。

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(写真 イラクにおける路肩爆弾。手製信管を砲弾に取り付けて、携帯で信号を送る。市街地をパトロール中の米軍はこれに苦しめられた。Wikipedia)

大砲の弾丸に手製の起爆剤をつけた路肩爆弾が、米軍車両をようしゃなく襲いました。

イラク戦争における4千人もの米兵の戦死者の大部分は、イラク正規軍との戦闘によるものではなく、テロリストによって市街地の路上に仕掛けられた手製爆弾と自爆テロによるものでした。

そして脳天気にも、米国が支援した「アラブの春」は、統治の外にある崩壊国家を大量に作り出してしまいました。

そしてその混沌の中から、史上最凶のテロ集団であるISが生まれます。

彼らはウイルスのように各国で増殖し、パリ同時テロのように今までテロの対象とされていた軍隊や国家機関ではなく、市民が憩うカフェや劇場といった無防備な場所を血の海に変えました。

このような新しい形の戦争の特徴は、前線と後方の区別がなくなり、戦闘員と非戦闘員の区別もなくなってしまったことです。

つまりハーグ陸戦条約が通用しない世界が誕生したのです。

思い止まりましたが、米国は苛立ち、ジュネーブ協定からの離脱を言い出したことすらあります。

ですから、去年の安保法制の時に論じられた「どこまでが戦闘地域か」などという、地域限定論が存立する基盤それ自体がそもそも消え失せているのです。

前線も後方もなく、したがって危険地帯と安全地帯の区別すらもない世界、それが現代における<戦争>なのです。

そしてテロリストだけではなく、大国すら扉を開けて正面から襲ってくるのではなく、秘かに気がつけば浸透されていた、という浸透戦略を公然と取るようになります。

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(写真 ウクライナ領内におけるロシア軍。国籍マークを取り、顔を隠している。いうまでもなく、ハーグ陸戦条約違反)

また、ロシアのクリミア侵攻や、東ウクライナでの戦法は、国籍マークを外した軍隊の浸透でした。

ロシアはウクライナ紛争において、この浸透戦術とロシア系住民による住民投票を絡み合わせています。

ちなみに、私は中国の沖縄に対する攻勢は、この浸透と住民投票という戦法を使うと思っています。

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(写真 中国漁船団。漁民の中に大量の特殊部隊員や海上民兵を紛れ込ませるのが常道。いうまでもなくハーグ陸戦条約違反だが、この中露が拒否権つき常任理事国であるために、国連は機能マヒになってしまった)

さてその中国ですが、かの国が南シナ海をいつの間にか埋め立てて、軍事基地化してしまったのはご承知の通りです。

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(写真 軍事基地化されたファイアリー・クロス礁)

中国については大量に書いていますから、そちらをご覧ください。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-1ebd.html

そして今やもっとも熾烈な戦闘空間は、米中間の電子上のサイバー戦争てす。

サイバー戦争に至っては、前線も後方もあったもんじゃありません。

これらすべての現象が、20世紀末から21世紀に入って立て続けに起きました。

つまり、日本を囲む国際軍事環境は急激に変化し、それに対応して「軍事における革命」(RMA)といわれる新たな対処が生まれました。
軍事における革命 - Wikipedia

「軍事における革命」は単に技術的なものに止まらず、テロや紛争などの脅威に対して国際社会が軍隊を出し合って、ひとつの大きな集団を作り対抗しようとする所まで進んでいます。

井上さんはいまだに、「対米従属の肥大化」という古くさい左翼用語を使っていますが、現代の<戦争>はそんなに分かりやすいものではありません。

具体的には、現代の戦争は各国の軍隊を、ひとつの指揮・情報・命令系統に束ねて、ネットワークでつなぎ、ひとつのユニット単位で行動します。

日本国内で考えられているように、ここまでが多国籍軍、ここからが後方支援の自衛隊という線引き自体が、前世紀の遺物なのです。

おそらく井上氏は、これら現代の<戦争>の動向をまったく学んでいないはずです。

学んでいればのんきに、「集団的自衛権は国連のみに認める」といったレトロなことを言えるはずがありません。

そのPKO自体も第2世代PKOとして、かつてのPKF的な任務に変化してきています。

現代は大きな流れが、渦を巻いて急激に変化する時期にあたっています。

このような時期に1952年の現実である、専守防衛明記憲法など、新たに作ってどうするのですか。

日本国憲法を改憲するなら、新たな「縛り」を作る井上流9条削除論ではなく、この国際情勢の変化にいかようにも対応できる柔軟なものでなくてはなりません。

経済と安全保障は生ものです。

憲法にこまかく書着込むもんじゃないのです。

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9条があるために歯止めがなくなってしまった

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先日から井上達夫氏の護憲的改憲論を紹介してきています。 

井上氏が面白いのは、リベラル左翼でありながら、去年の「戦争法案」反対運動を、手厳しく批判していることです。 

私も当時安全保障の立場からまやかしの運動だと批判しましたが、井上氏もまったく別の角度から同じようなことを述べているのがおもしろいですね。 

井上氏は、「個別的自衛権の枠内、専守防衛の枠内で自衛隊と安保を維持しつつ、安倍政権が集団的自衛権に進むのは政治的に愚かだ」としています。 

この立場自体は井上氏のネーミングでいう修正主義的護憲論で、あのやたらテレビに登場した長谷部恭男氏、小林節氏などと似ているのですが一点違う所があります。

Photohttp://www.j-cast.com/2015/06/15237802.html?p=all

それはその理由付けを、長谷部氏たちがまるで聖職者よろしく、「民よ、戦争法案は憲法違反だぞよ。だから許されないのであーる」とやったことです。
 

いつの間にか政治的なことが、「憲法違反だから反対」という神学論争にすり替わってしまったわけです。

そして浅はかなメディアはこれを「憲法学者の蜂起」ともて囃したものですから、すっかり舞い上がってしまったこの「聖職者」たちは新たに護憲政党まで作ってしまいました。(すぐにコケましたけど) 

つまり、「アベ政治を許さない」イコール「憲法を守れ」「憲法を壊すな」という具合になってしまったわけです。 

悲惨なことには、言っている当人たちが言っている中身を、よく理解していないことです。 

Photo_2http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/0b06ffa7d1b04a...

井上氏はこう嘆きます。

「『憲法を守れ』ということが、集団的自衛権反対、つまり『専守防衛を守れ』ということにすり替わるのはおかしい。憲法を守れ、9条を守れ、というなら、9条に書かれているのは非武装中立なのだから、『非武装中立を守れ』ならわかるけれども。(略)
この人たちは『憲法を守れ』ということがどういうことなのか、これでは一般の人たちにわからなくなってしまいます。」(『憲法の涙』)

まぁ、そういうことです。 

「蜂起した憲法学者」は安全保障論議を、自分たち「聖職者」のご神託の領域に引きずりこんでしまったわけです。 

しかも、自分たちの立場はちゃっかり、「自衛隊・安保容認」であるにもかかわらず、ころっとそれを忘れて「護憲」はないだろうじゃありませんか。 

そして本来安全保障問題として議論すべき野党政治家たちまで、「違憲だから反対」というわかりやすく、実はトンデモの方向へ導いてしまったわけです。 

Photo_3赤旗 2015年6月16日

憲法学者ワールドでは安全保障問題は、一種の「あってはならない不浄の何か」なんですね。
 

安全保障問題など、アンタッチャブルな領域で、触ると汚れるって空気が憲法学者の間に立ち込めていたわけです。 

大江健三郎がかつて言った、「防大生は戦後世代の恥」という感覚ですね。

この律法学者たちは、自衛隊や安保をテーマにして、それを憲法との関わりで見ていこうとする井上さんのような傾向が出ると、「平和主義に反する」「安倍政権批判運動を分断してけしからん」という声を上げて、すぐに封じ込めてしまいました。

おかげで憲法学者のくせに、「怖いオジさん」とされたと、井上氏は苦笑しています。 

やれやれ、です。 

本来は憲法学者たちの多くは、井上氏が提唱するように、自衛隊・安保の現実を是認しているわけですから、憲法の「矛盾を解消するために必要な専守防衛明記の新9条を政治的に求める改憲運動」が必要だったはずです。 

しかし建前では9条護持が大前提ですからできません。自己欺瞞は深まる一方です。

一方、改憲派は、改正発議のために「三分の二以上」を取ることを目指しているのですから、スッキリと自己欺瞞はありません。 

では井上氏が、改憲派と同じ文脈でそう言っているのかといえば、これが違うのですなぁ。 

井上氏は自説の9条削除論をこう説明します。 

まず井上氏は、「憲法は硬性でなければならない」とします。 

私も鳩山由紀夫氏や菅直人氏などのような人外魔境的政治家が首相になるたびに、憲法をいじられたらたまったもんじゃないと思いますので、賛成です。

ハトさんだと憲法に永久中韓謝罪条項をいれそうですし、管氏だと「民主的独裁」の一項を作りそう(おお、コワ)。

それはさておき、憲法の役割は民主主義のルールを定めることです。 

「公正なルールや手続きを明確にして、政治的に勝ったからルールを変更できないようにせねばならない」と、井上氏は述べます。 

「民主主義のルール」は勝手に書き換えてはならないのです。まぁそのとおりです。 

続いて井上氏は、憲法に「外部環境に依存することは書いてはならない」とします。 

武装中立化非武装中立かといった(安全保障上の)戦略は、端的に憲法マターではない。だから削除すべきです。」 

ここまでは私も同感です。

安全保障問題はその時の時代情勢に大きく影響を与えられるものですから、硬性憲法に書き込んでしまっては、そのつど改憲せねばなりません。 

現実にはいちいち国民投票するわけにはいかないわけですから、どうしても「だましだまし改憲」という事になります。 

結果として、憲法条文とはえらく乖離してしまったわけです。 

井上氏はただ9条を削除するだけではダメだ、「どのような戦略が選ばれようと、それが濫用されないための戦力統制規範を憲法に入れろ」と主張します。

この戦力統制規範は、通常の法律にあるだけで、現行憲法には存在しません。

なぜなら、皮肉にも9条が壁になっているからです。

本来、自衛隊も安保も、9条ワールドには「あってはならないはず」ですから、憲法には書かれていないのです。

ですから、護憲派が「ない」というファンタジーを作ってしまって、それを不磨の大典としてしまったために、憲法において安全保障領域だけがゴソっと欠落しているという重大欠陥を持つ事になってしまいました。

井上氏はこう叫びます。

「9条があるから歯止めになる、それは逆なんです!9条があるから歯止めが利かなくなっている、それが現実です。」

かくして日本においては、「9条に基づく法律と、安保の法律が二本立てになってしまっている」という珍現象が生じてしまいました。

これも自衛隊・安保をしっかりと憲法に位置づけないから起きた現象です。

では井上氏はどうすべきかと言えば、ここで「専守防衛を憲法に明記した改憲をして、専守防衛の枠を越えて戦力が濫用されないために統制規範を憲法に盛り込め」と述べています。

ありゃ~、ここで私は嘆息しました。

統制規範を持ち、それを憲法に書き込むところまでは結構です。

ただし、それは自衛隊をしっかり「軍隊」として位置づけ、さらに集団的自衛権を有することを明記した上で、だれが指揮・統帥権を持つかを定めた統制規範です。

井上氏はここまで非常に柔軟に議論を展開しながら、やはりここで護憲派の馬脚を現してしまいました。

これでは井上氏が批判していたはずの、その時代状況を反映する安全保障政策を憲法に明記してしまうことになります。

1945年には1945年の、1952年には1952年の、1960年には1960年の、そして2015年には2015年の現実があるのです。

そして2020年にはどのような現実が日本を待ち構えているのか、誰にも分かりません。

このような<現実>に規定される国防戦略を、硬性憲法に書き込んでしまってどうするのですか。

別稿で詳述しますが、おそらく日本はアジアにおいて、日米同盟を機軸としたNATO型の集団安全保障体制へと進んでいくことでしょう。

それがベストです。

あるいは、それに失敗して国際的な孤立の道に進むかもしれません。

後者にならないことを祈るばかりですが、いずれにしても「専守防衛」などという9条ワールドだけで通用するファンタジーを、新たな憲法に書き込むべきではありません。 

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沖縄防衛局作成資料 「違法かつ悪質な妨害活動の例」

沖縄防衛局が作成した資料をそのまま転載します。
クリックすると大きくなります。大きくしてご覧ください。

これに対しての琉球新報の報道
琉球新報http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-396868.html

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同じ穴のムジナとしての護憲派と改釈改憲論


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井上達夫氏の本を枕にして、憲法を考えています。

「高江と何が関係あるんだ」というコメントをもらいましたが、ないよ、そんなもんと言いかけて、まぁありますな。

ただし、広い意味でですが。

沖縄には米軍基地があって、多くの米兵が駐屯しています。

これが火種になって、沖縄県民の不公平感を常にかき立てているわけです。

もちろん、米軍は法的根拠なしに沖縄にいるわけではありません。

日米安全保障条約に基づいた、日米地位協定によって合法的にいるのです。

では、さらにこの日米安保条約が「合法」かといえば、憲法に照らせば9条の「戦力をもたない」に抵触する思われます。

ということは、自衛隊もアウトですし、米軍という世界最強の「戦力」との共同防衛を前提としている以上日米安保条約も同じく「違憲」です。

ですから9条がいう「戦力」を持たず、「交戦権」をもたないということは、外国が侵略してきても抵抗してはいけないという、宗教的無抵抗主義なのです。

Photo_22013年10月26日朝日新聞

井上氏はこれを「原理主義的護憲論」と呼んでいます。

かつて旧社会党が非武装中立論というのを唱えていましたが、憲法9条とはまさにそれです。

国家は国民の生命・財産を守るのが一義的な義務ですから、国が国民を守らないのは究極の無責任国家ということになります。

つまり、憲法に忠実たらんとすれば、沖縄に万が一(いまや「万が7千」くらいですが)攻撃を受けた場合、手も足も出ません。

島民はまたもや狭い島で逃げまどい、一方的に殺戮される事になります。

いや白旗を掲げればと思っても、その先に待ち構えるのは異民族支配の自由なき収容所のような社会です。

平和は壊れ物です。

安全保障とは、現在の今にも壊れそうな平和を、そっと大事に壊れないようにするためにあります。

そのためには最低限の防備が必要です。

沖縄の基地負担は取り除かねばなりませんが、同時に米軍の能力も最低限維持しておかねばなりません。

普天間移転や高江問題が共通して大変になるのは、基地負担縮小と基地機能維持というあい矛盾することを同時に行っているからです。

基地反対派の人たちは好んで「9条を守れ」と言いますが、それが意味することは、日米安保を破棄して、さらに自衛隊も解体しろということなのですから、どうぞそこまでわかって言って下さい。

このように沖縄の基地問題を突き詰めていくと、かならず憲法9条に突き当たります。

おそらく山城博治さん、地元紙、共産党、あるいは稲嶺名護市長などは、旧社会党の非武装中立論をそのまま護持していますから、9条どおり自衛隊も安保もいらん、と言うでしょうね。

いくらなんでもそれはファンタジーだというのが、井上さんの分類では「修正主義的護憲主義」という事になります。

「自衛隊も専守防衛ていどならいいんじゃないですか、安保もしょうがないよね、いくらなんでもこの修羅の巷の世界で、それじゃぁ生き残れないからね、こっちから攻めるわけじゃないしね」的なスタンスです。

おそらく沖縄県民の大多数は、この修正主義的護憲論に近いと思います。

翁長氏もこのへんだと思います。

憲法学界では去年、自民党のバカが参考人で呼んで赤恥をかいた、長谷部泰男さんなどがそうです。

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井上氏がもう一冊の、『リベラルのことを嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』でこう書いています。

「(修正主義的護憲論の)解釈は結局、旧来の内閣法制局見解と一緒ですね。『専守の範囲なら自衛隊と安保は9条に違反しない』。」

そうです。戦後日本は、吉田の「自衛隊は軍隊ではありません」から始まって、その時代の要請を受けて改釈改憲を重ねてきました。

井上さん流にいえばこうなります。

「(長谷部さんのような修正主義的護憲論は)新しい憲法改釈から古い改釈を守ったにすぎない。自分たち自身が改釈改憲をしているのだから、安倍政権の改釈改憲を批判する資格はない。
安全保障に関する政治的選好を改釈改憲で実現・維持しようと自分たちがしておきながら、安倍政権が、自分たちと違う政治的選好を改釈改憲という同じ手法で実現するのはけしからん、というのは筋が通らない。」

井上さんは、冒頭写真の朝日記事を要約すれば、このように問うています。

「今まで55年体制のような政権交替がなく、軽武装と経済成長が国民的コンセンサスだったから、深刻に憲法を考える必要はなかったために、政府も憲法学者も現状を追認するだけで済んできた。きちんとした民主主義のルールで公正に決めていくべきではないでしょうか。」

結局、政府は改憲を棚に上げて小手先の改釈改憲に安住し、一方護憲派もまた「良心の証」にだけ9条を都合よく使って、その便益だけ享受してきたわけです。

それは同じ穴のムジナではないかと、井上氏は言います。

では、どうすればいいのか。井上氏の9条削除論はここから誕生します。

実は、この9条削除まで、私はほぼ井上氏の論に頷けるのですが、ここからそうとうに違ってきます。

長くなりましたので、次回に回します。

すいません。なかなか先に進まない(苦笑)。


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護憲派の「死んでもラッパを放しませんでした」とは

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井上達夫氏の『憲法の涙』を読んでいると、護憲派内部の葛藤が手にとるようにわかります。

井上氏は安倍政権に反対する運動をやっている方で、決して保守サイドにいる人ではありません。

柔軟ですが、バリバリのレフトです。

それゆえ私は、井上氏には失礼な読み方ですが、告発の書として読んでしまいました。

さて、井上氏が護憲派を強く批判しているのは、このようなことです。

「平和のために何もしない、なにもできない、その怠慢や無力をごまかすために、9条がつかわれてきた節がある。」

昨日も触れましたが、9条は余りに現実と乖離した条文のために、条文解釈どおりに統治すると、スッポンポンの無防備国家となってしまうわけです。

「いや、それでもいいんだ、チューゴクが攻めてきたら酒を持って行って、話し合えばいいのさ」という福岡SEALDs の可愛いい坊やが去年いましたが、まぁそのていどの脳味噌のレベルならそれはそれでいいでしょう。

ま、現実に侵攻軍のピリピリしている警戒線に対して、瓶を持った現地の男が大声を上げて接近すれば、タッタでお終いですが。

あるいは某県の地方紙のように脅威そのものを否定して、「チューゴクの脅威などない。それを煽ってアベが軍拡することを警戒せよ」というのも、いいでしょう。

結局人は、見たいものしか見えないのですから。

しかし、法学者という看板をかけている人たちがそうでは、いかがなものか、と井上氏は問うています。

井上氏は護憲派憲法学者たちが、自己欺瞞に陥っていると考えています。

原理的に9条を解釈すればするほど、それは戦後日本の「軽武装国家」というといういわばビジネス・モデルを破壊してしまうからです。

軽武装国家を破壊するということは、すなわち日米安保を廃棄、ないしは縮小するということですから、日本はそれなりに防衛力を強化していかねばなりません。

今回、トランプさんが登場してまだ何がどうなるのかは分かりませんが、日本に対してよりいっそうの負担を要求してくることだけは間違いないでしょう。

これがよく言われるような駐留経費といった金銭的な問題だけならともかく、今までの9条があるために禁じられてきた様々なアジア安定のための枠組みに参加することを求められると思われます。

こういう時代状況の安全保障はどうするという時に、無防備国家にしようでは、解答になっていません。

あまりに幼稚、あまりに退嬰的です。

世間離れした護憲学者も大人ですから、自分からはあまり言わずに、SEALDsのような若者に言わせて、自分らは同伴知識人をするというスタンスです。

「純粋に平和を希求する若者がこんなに沢山いるぞ」、とうるうるするわけです。

去年、全国の大学に大量に出ましたね、こんな先生たち。

Photo_2http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/0b06ffa7d1b04a723bd55a4fafd79f5d

井上氏はこういうことは、「良心の陥穽」だとバッサリ斬り捨てます。

氏は、「死んでもラッパを離しませんでした、という話。突撃ラッパを吹いていたときに亡くなったけれど、ラッパはくわえたままだった、という武勇伝」になぞらえます。

丸山真男が、日本共産党にも戦争責任はあると言った時に使った比喩です。

井上氏は丸山の共産党批判を、護憲派に被せています。

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丸山に言わせれば、共産党指導者たちは「不転向」だけを錦の御旗にして、それを自分の潔癖性の証にしたわけですね。

長く共産党の委員長を務めたミヤケンこと宮本顕治のように、「獄中12年」が共産党の金バッチでした。

それを丸山はお前たちは軍部の独走を止められなかったではないか、その政治責任はどう考えるのだ、と詰め寄りました。(丸山真男『戦争責任論の盲点』)

その時、比喩でだしたのがこの「死んでもラッパを放しませんでした」という寓話です。

井上氏はこう言います。

「良心の潔癖を、政治的無力や敗北の免罪符にするべきではない」

「私に言わせれば、護憲派が、9条と現実との乖離を克服できないまま、今でも『9条だけはマモリマシタ」と良心を満足させるなら、やはり「死んでもラッパを」と同じです。
9条を護符とする甘えを断ち切って、9条の精神を活かす政治改革を民主主義の闘技場で進めるべきなくです。」

井上氏が唱える「政治改革」の中身については、とりあえず置きます。そうとうに私の考えとは違います。

ただし護憲派の中に、9条の持つあまりにも大きな現実との隔たりを、どのようにして埋めていくのか、自衛隊や安全保障政策をどのように憲法に位置づけていくのかについて、議論できる人が現れたことには、拍手を惜しみません。

とまれ、「死んでもラッパを」の護憲派とは、議論そのものが成立しないからです。

私としては、やっと気がついたか、といいたいのはやまやまですが、論点が交わる議論をしたいものです。

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井上達夫氏の『憲法の涙』を読む

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東京大学大学院で法哲学を教えている、井上達夫氏の刺激的な2冊の本があります。 

『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』と『憲法の涙』です。 

この井上氏は、日本で極めて珍しい<リベラル>の立場に立つ人です。 

あ、そうそう日本で俗に言われている「リベラル」とは、世界基準ではまるっきりの左翼のことです。 

別に左翼なら左翼だと名乗ればいいのですが、「国会前に来ないものに憲法を語る資格はない」(SEALDs)と言ってのける人達や、高江リンチ事件をするような人達までが、「オレはリベラルだ」と僣称するからおかしくなります。 

Cxwu3eeusaasbrx他者の言論を認めない者は、「リベラル」の大原則である「他者の言論の自由の容認」に反しています。 

また暴力を用いて他者を威嚇したり、自らの意見を通そうとする行為を、リベラルと呼ぶことはありません。 

ガサツな物言いですが、この二点さえ守れば、安倍政権に賛成だろうと反対だろうと、集団的自衛権が必要だと思うと思うまいと、<リベラル>の立場を共有できると思います。

私も<リベラル>の末席につらなっているつもりです。 

つまり、<リベラル>とは一定の政治的見解、あるいは立場そのものではなく、互いの<自由>を尊重する精神のあり方のことなのです。 

それはさておき、井上氏の『憲法の涙』は、護憲論のうさんくささに辟易しつつも、保守的改憲論の一本調子にもなじめない方にはうってつけの一冊です。 

全体を読み通して、私は井上氏の言説の半分にはおーおーと頷き、半分にはちょっと違うな首をかしげますが、本に対する距離はそのていどでよいのですよ。 

井上氏はこの本の中で、「9条は『非武装中立』を命じているとしか、考えられない」と述べています。

というのは9条2項には、「陸海空軍その他の戦力は、保持しない」「国の交戦権は認めない」と書いてあるわけです。

あまりにも有名な一節ですね。

ここで注目しなければいけないのは、さりげなく入れてある「戦力」という用語です。

自衛隊はどうなんだという事になりますが、むりやり2項冒頭の「前項の目的を達するため」という一節で、自衛のためだから「戦力」ではないとしています。

いうまでもなく、無理筋です。

現行憲法は条文の中に、あらかじめ解釈改憲の時限爆弾が仕掛けられてあったということになります。

では、自衛隊のドクトリン(基本原則)は何かといえば、外敵が攻めてきたら米軍と共同して戦うというものです。

あれ?よもや世界最強の米軍まで「戦力」ではない、なんて言いませんよね(苦笑)。

そうなのです。 自衛隊・日米安保、全部ひっくるめてダメ、これが9条の立場です。

しかし、いくらなんでもこりゃファンタジーすぎるというので、護憲派の憲法学者にも自衛隊くらいいいんじゃないか、いや日米安保だってこの際、と温度差が生じています。

井上氏は憲法学会も一枚岩ではないと書いています。

最左派の原理主義的護憲派は「オレが一番正しい解釈だ」としながらも、何もしません。

というか、できないのです。

自衛隊解体・日米安保破棄という国民運動は、60年安保でとうに終わっているからです。

政党でいえば共産党がこの立場ですが、野党連合をつくるために最近はあまりおおっぴらに言わなくなりました。

かろうじてこの人たちにできるのは、集団的自衛権のような、専守防衛からちょっと首を出した時に、「ちょっとだけ反対する」(井上氏)だけです。

井上氏はこの人たちを、学問的には原理主義だが、「実際は自衛隊と日米安保を容認しているし、その便益も享受している」と手厳しく述べています。

また、この原理主義を貫くために、若者を利用していると井上氏は書きます。

「自衛隊・安保自体が違憲だと若者的純真さを偽装して主張するほうが政治的には一層効果的だ、『大人の知恵』で妥協するには一見『非妥協的』な違憲論から出発するほうが得策だというわけです。」

井上氏はこうも書きます。

「原理主義的護憲派の自衛隊に対する態度は、私生児を作っておいて、いつまでも認知しない、そのくせ『一朝ことあらば命をかけてオレを守れ』と言っている身勝手な男に例えました。
それは人間として許されない欺瞞だと。
『人間として』といういう最大級の表現を使いたくなるのは、そこに彼らの、自衛隊員を公正に扱われるべき『他者』として尊重せずに、利用されるべき『道具』と見下す、エリート臭を嗅ぎ取るからです。」

では、9条のキモである「交戦権」とはなんなのでしょうか。端的に言えば、国家が「戦争する権利」のことです。

こう書いただけで、SEALDsの皆さんはジンマシンが出て、「戦争法案反対!若者を戦場に行かすな!」と叫びそうですが、侵略目的だろうと自衛戦争だろうと「戦争」に違いはないのです。

現代では、侵略する権利などは国際法で認められていません。

ただし「戦争する権利」はあります。

それが可能なのは国連憲章で認められた、個別的自衛権と集団的自衛権、そしてPKOだけです。

ですから9条が「交戦権を認めない」と言っているのは、自衛戦争もできないということです。

これをいわゆる護憲派的「立憲主義」で解釈すれば、憲法は政府に対する命令だそうですから、政府は外敵が侵入し、国民の虐殺をほしいままにしたとしても、「交戦」してはならない、という事になります。

平たく言えば、<9条的国家>とは国民にこう言っているわけです。

「外国が諸君らを殺しにきたり、諸君らの家や町を焼き払ったとしても、国は諸君らを守らない。子供たちが殺されたり、浮浪児になってもなにもしない。国民諸君、勝手に生き延びよ」

究極の無責任国家です。

なぜなら、国民保護と領土保全こそ、近代国家の国民に対しての最大の義務ですから。

これを井上氏は「絶対的平和主義」、あるいは「原理主義的護憲論」と呼んでいます。

絶対的平和主義とは、ガンジーやキング牧師の精神ですね。

「殺されるかもしれない、殺されても殺し返さない、峻厳な自己犠牲の精神」と井上氏は説明しています。

たとえば外敵が侵略してきても、バラを持って戦車の前に座り込むという行為です。

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上の写真は1989年の六四天安門事件の写真ですが、この高貴な精神を持つ人物の消息は不明です。
六四天安門事件 - Wikipedia

おそらく下の写真のように、ゴミのように打ち捨てられてゴミとして処理されてしまったと思われています。

虐殺された数千あるいは数万とも言われる死体は、遺族の元に帰ることなく処分されてしまいました。

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このよう自らの生命と引き換えにして、侵略や抑圧と戦うことは多くの国民にとって不可能です。

生き方としては立派でも、これを国民に要求することは不可能です。

というか、私はそのようなことを政府が国民に命じることは、狂気の沙汰だと思います。

井上氏がいみじくも言っているように、「立派すぎる理想」だからです。

なぜなら、生命に対する価値観が隔絶した国家、(上の写真の国などですが)に侵略された場合、自国民に対してすら大量虐殺を厭わない国ですから、他民族に対してはまさに情け容赦ない殺戮が待っているでしょう。

よく安易に市民が武装すれば軍隊はいらないと言う人がいますが、高度に近代化した侵略軍に、にわか市民兵が立ち向かうことは自殺行為です。

また、それは国内を戦場に想定しているという意味で、かつての帝国陸軍が絶叫した「1億火の玉・本土決戦」の精神となんら変わりありません。

しかし、9条が要求している「立憲主義」とは、まさにこれなのです。

9条は敵の戦車の前に身を投げ出せと義務づけていますが、しかしそれを押しつけることは余りに過酷です。

井上氏はこう述べています。

「この義務を課す9条が現にある以上、それを無視したり解釈改憲ですり抜けるのは立憲主義を骨抜きにするからダメ、正規の改憲手続きで9条を削除せよ、あるいは次善策として、専守防衛明記改憲をせよ、と主張しています。」

井上氏はみずからのこの立場を、「消極的正戦論」、あるいは「消極的改憲論」と呼んでいます。

私の考えはこれとはやや違うのですが、9条全削除がリベラル派から出てきたことを興味深く思います。

この稿続けます。

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戦後憲法とハーグ陸戦条約とポツダム宣言

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鬼一さんのコメントにお答えする形で考えていきます。 

前半はコメント欄に書いたので、その続きとなります。

鬼一さんは、私がベアテ・ゴードン氏を「目の敵にしている。24人も同罪だろう」と書いておられます。
 

そのとおりです。残り23名ももちろん同罪です。 

ただ、彼らG2(民政局)の文官が戦後、米国社会に戻って世俗の人となったのに対して、ゴードンさんは自伝を著し、一躍日本の護憲派メディアのアイコンとなったから取り上げたのです。 

私が問題としているのは、ゴードン氏個人ではなく、こういう取り上げ方をする日本メディアの側の問題です。 

彼らはこう言いたいわけです。 

「押しつけられただって。とんでもない。米国は愛情を込めて憲法を作ってくれたんだ。これは米国民主主義者からのプレゼントだ」。 Photo実際ゴードン氏の映画(※)では、自分が書くことに関わった戦後憲法を、そのものズバリ「ベアテからのギフト(贈り物)」という表現を使っています。※著作のように書いてしまいましたが映画です。 

当人が善意をいささかも疑っていないのが、痛々しいというかなんつーのか。

私はそのような遅れた非文明人に文明を授けてやる的発想そのものが、白人教宣教師のようで、たまらなく不愉快です
※「土人」発言の一行は誤解を招くので、削除しました。

かつてイラクを占領した時、ブッシュは、「民主化はうまくいく。日本でもうまくいったのだから」と言いました。 

多くの日本人は失笑したと思います。日本には戦前から議会制民主主義が存在し、政党政治をしていた長い歴史があるからです。 

米国人の日本の歴史に対する無知と傲慢は、時々底知れないと思います。 

メディアは米国から強要されてできたという戦後憲法の出生の秘密を隠しきれなくなったために、新たな神話が欲しかっただけのことです。 

つまり、「確かに米国が作ったのかもしれないが、米国人は進んだ人権思想を抱いて憲法を書いてくれた。素晴らしい平和憲法をプレゼントしてくれた米国、ありがとう!」といったかんじでしょうか。

いつもは反米的な論調の護憲メディアが、こと憲法問題になると、いきなりウルトラ米国好きに変身してしまうのが微笑ましいですね。 

要するに、論点ずらしですね。 

問題は完全に米国が99.99%書いて、日本側は9条2項の「前項の目的を達するため」の11文字を挿入しただけ、という本質をはぐらかしたかったのです。 

鬼一さんはゴードン氏が書いたとされる第24条が、よくできているとおっしゃいます。そのとおりです。 

問題はむしろこのような第24条を与えることで、日本社会の仕組みそのものが変化したかどうかです。

また、ゴードン氏はそこまで深く、日本社会の旧弊な仕組みのあり方や成り立ちを知っていたかです。 

そうは思えません。彼女はアメリカン・リベラルの理念を書いている以上以下でもないと思います。 

当時のGHQ民政局には、多くの米国左翼人士が在籍していたと言われています。 

彼らは米国でできなかったうすら赤い夢を、強大な軍事力を背景にして、日本で実験したかったのです。

黒人参政権すらなかった当時の米国が、他国の民主主義ウンヌンを言う資格などありません。 

日本側は、このような社会変革を伴う条項については、自らの国の内部から議論するから、「暫時、待て」と主張すべきでした。 

「いいことだから」では済まないのです。 

ゴードン氏が所属するGHQ、即ち占領軍司令部がすることでは断じてありません。 

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さて、戦後憲法は国際法に反していないという護憲派法律学者の意見を紹介しておきます。http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51802524.html

この方によれば、GHQが「押しつけた」などというのは、素人の妄想のようなもので、法律学専門家は相手にもしていないそうです。

その理由は

「この「ハーグ陸戦条約」は、その名称からもわかるように、戦時国際法です。
ですから、この条約の適用があるのは戦争(交戦)中の場合ですし、同条約第43条の適用があるのは戦争(交戦)中の占領者です。
それゆえ、交戦後(休戦中)の占領には適用がありません。
日本国憲法が”制定”されたのは、日本が不条件降伏した後ですから、そもそも「陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約」=ハーグ陸戦条約の適用はないのです。

問題となっているハーグ陸戦条約を押さえておきましょう。

「ハーグ陸戦条約第四三條 
國ノ權力カ事實上占領者ノ手ニ移リタル上ハ占領者ハ絶對的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ囘復確保スル爲施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ盡スヘシ」

まず国際法ですが、これはあくまで慣習法で、どこかに「国際法」と書いた大典があるわけではありません。

各種の条約・宣言など、その時代の通念を文字化したものです。

ですから、国際法は強制法ではなく、文明として確立してきた慣習法のために、破ろうがどうしようが、非文明国というレッテルさえ恐れなければ、破っても罰せられるわけではありません。

ですから、条約に調印して初めて守る義務が生じるのではありません。

つい先日、中国は国際海洋法に基づく国際司法裁判所の判決を、「紙くず」だと言ってのけました。

かの国が条約に調印しようとしまいと、「紙くずだ」と言ってしまっては、自分が非文明国だと自白していることになります。

同じく米国副大統領のバイデン氏が「日本国憲法は米国が作った」というのも一緒で、「オレの国はもう国際法なんか紙くずだと思っている野蛮国だ」と言っているに等しいわけです。

では上記の法律家のように、「戦後憲法は戦争が終わった後に作られたから、陸戦条約の範疇外だ」という意見はどう考えたらいいのでしょうか。

ハーグ陸戦条約は、「国権が占領者の手に移って、占領者が絶対的な権力を掌握して、支障がない限り占領地の現行法律を尊重しろ」と書いてあります。

これも慣習法です。この法律家は「ハーグ陸戦条約は戦争中のことで、終わったら適用されない」と書いていますが、ほんとうでしょうか。

違うと思います。

戦後憲法が作られた1945年から1946年にかけての日本はまさにハーグ゙陸戦条約が想定しているとおりの軍事占領下にありました。

日本政府が形だけであり、軍隊も解体され、GHQの「絶対的な権力」によって軍事占領下に置かれ、「国権を奪われて」しまった状態でした。

どうやらこの人はハーグ陸戦条約が、戦争中のルールだけを規定していると思っているようですが、条文を素直に読めば、第43条は一国の他国に対する軍事占領についてやってはならないことが書いてあると分かるはずです。

百歩譲ってこの人が説くようにハーグ陸戦条約は、「戦争中」だけが適用範囲だととしましょう。

ならば、わが国の最高法を書き換えた米国の根拠法はなんでしょうか。

この人は、日本が「不条件降伏」したと書いています。不条件降伏?有条件でも無条件でもなく「不」条件。愚鈍な素人にはまったく意味がわかりません。

近似した無条件降伏で考えてみましょう。日本は無条件降伏などしていません。

あくまでもポツダム宣言を受諾しただけの、有条件降伏です。

「無条件降伏」したのは、ポツダム宣言第13条の日本軍に対してだけです。

第13条を見れば、無条件降伏が日本軍だけを対象としているとわかるはずです。

「我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める」

 ですから、日本政府は第13条に忠実に従い、日本軍は進駐軍に1発の銃弾も撃たず、ゲリラ闘争も行わなかったのです。

第5条以下には、連合国側の要求として、「軍国主義の追放」「領土占領」「日本領土は本州、北海道、九州、四国と諸小島」「戦争犯罪人の処罰」「民主主義復活」「平和的政府の樹立」などが列挙されています。

もちろん「憲法の改変」などは、影も形もありません。

こんなことは受諾条件に一切なかったとして、GHQから憲法改定を言い渡された当時の日本政府は、頑として突っぱねたのです。

またハーグ陸戦条約が言うように、占領に支障があったのかどうかですが、旧憲法が彼らの占領に差し障りになったとは到底思えません。

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天皇や政府は占領に抵抗することなく、平和的にものごとを進めたいと思っていましたし、軍事抵抗する余力などひとかけらも残されていませんでした。

したがって、マッカーサーのしたことはただの軍事占領の障害を排除したのではなく、「国権を奪った後の軍事占領下における国家改造」なのです。

この人の意見では、なぜ当時のGHQが、あくまで戦後憲法は「日本国政府に対して9条が米国政府の意志のように提示し、米国政府には幣原政府の意志であるかのように言い募った」(セオドア・マクネリー)ことの理由が分からなくなってしまいます。

マッカーサーが二枚舌を使ったのは、軍事占領下の相手国の憲法を書き換える、いや全文自分で書いて「プレゼント」することが、何の法的根拠がなく、国際法違反に当たることを自ら理解していたからにほかなりません。

現地占領軍司令官が自分で書いてしまっては、米国政府・議会から非難を受けると思ったから、徹底的に秘匿したのです。

違反していなければ、日本政府が独自に実施したというカバーは不要だったはずです。

米国が秘匿したいのは理解できますが、日本側がその弁護をする必要などまったくありません。

このような護憲派の人たちは、当時日本は「無条件降伏」していたのだから、米国に何をやられても文句は言えなかったというような発想をしているようです。

まぁ共産党は当時から、米軍を「解放軍」と呼んで大歓迎していましたから、一貫しているとは思いますが。

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日曜雑感 日本は「暫定憲法」を主張すべきだった

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憲法というのは大テーマなので、随時やっていきたいので、私の、まぁ憲法に対する感想のようなものです。

ここにいらっしゃっている方はよくご存じのように、日本国憲法は一種のマッカーサーの落書きです。

「落書き」と言って悪ければ、メモにすぎません。

メモだからよもや半世紀以上護持されるだろうとは、執筆責任者の民政局(G2)チャールズ・ケーディスすら思っていませんでした。

ケーディスは1990年代まで生きた長寿の人で、西修氏はその証言を聞き取っています。

当時の日本国政府の名誉のために言っておけば、日本政府は終戦の年の10月にすでに、マッカーサーから「憲法を変えろ」と命じられています。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-dcd9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-dd6e.html

しかし、日本側はたしかにポツダム宣言は受諾したが、憲法改定などとはひとことも飲んだ覚えがない、と突っぱねます。

なかなか骨があります。

当然です。国際法において、軍事占領下の政体の改変は許されていないからです。

するとマッカーサーは、直ちに彼らを収監するか、公職追放に処してしまいます。

しかたがなく、日本政府が苦吟してできたのが、終戦の翌年2月に出された松本試案です。

しかし、これもマッカーサーはろくすっぽ読まないで屑籠に放り込みます。

なぜなら、もう既にこの男は自分で書くつもりだったからです。Gs11

そこで、部下の民政局ケーディスを呼んで、ペラペラのメモを渡して「1週間で仕上げろ」と命じます。

軍隊の命令関係ですから、ケーディスには拒否権はありません。

このマッカーサー・ペーパーには、3点が書かれていました。

「日本には軍隊は持たせない」
「交戦権は認めない」
「外敵からの自衛も認めない」

いうまでもなく、これが日本国憲法第9条の骨格です。

おそらくマッカーサーは、日本からいっさいの武力を取り上げ、重工業も完全解体した後に、米国の保護領である農業国にでもする気だったようです。

ですから、国家が緊急事態に直面したときに、誰がいかなる権限で、国民保護をするべきなのかという肝心なことが一行も書かれていません。

マッカーサーに言わせれば、そんなもんはオレらがするに決まっているだろうというわけです。

だから書かなかったのです。

書かれているのは、「国は国民を外敵から守らない。守る備えもしない」という、おそらく世界でただ一国しかないであろうと思えるような第2項です。

護憲派はこう言うと必ず、コスタリカがあるさぁ、といいますが、あなた人口476万で、しかも周囲に米国以外に軍事大国がいない国を較べないで下さいね。

コスタリカはその米国と防衛条約結んでいますから。

かくして、わが国は東日本大震災と福島事故という未曾有の国家非常時に、菅直人氏というこれ以上不適格な人物は想像がつかない人に指揮を執らせるはめになってしまいました。(あな、おそろしや・・・)

それはさておき、ケーディスは25名のスタッフを招集して、まったくのズブの素人たちがワーワーいいながら書いたのが、日本国憲法です。

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女性の事務職員ベアテ・ゴードン氏は、自分の国ですら実現していていない女性の権利を、他人の国の憲法に書きこんで恍惚となりました。

さぞ、書くだけで「理想の国」ができたような興奮を覚えて、楽しかったでありましょう。

善意だったのでしょうが、大変に迷惑です。

ゴードンさん、あなたがしていることは内政干渉そのものです。

そのようなことは日本人が国柄に合わせて一歩一歩国民的議論を深めながら決めていくことで、武力をもって支配している外国に押しつけられるものではないのです。

ードンさんがやったことは善意の押しつけ、さらにいえば独善、もっといえば日本人を愚民視しています。

うんざりするのは、上の写真記事のように日本メディアが、涙を流さんばかりにして、それを喜んでいる様です。

こういう精神的傾きを奴隷根性といいます。

ただし、ボスのケーディスは西氏のインタビューで、「私は自衛権を認めないのは余りに非常識だと思ったから握りつぶした」と言っています。

ほんとうかどうかは知りません。

というのは、この「自衛権は平和条項の前文、あるいは9条1項と矛盾しない」といういわゆる芦田修正が、日本側からでているからです。

芦田の証言です。

「私は一つの含蓄をもってこの修正を提案したのであります。『前項の目的を達するため』を挿入することによって原案では無条件に戦力を保持しないとあったものが一定の条件の下に武力を持たないということになります。
日本は無条件に武力を捨てるのではないということは明白であります。そうするとこの修正によって原案は本質的に影響されるのであって、したがって、この修正があっても第9条の内容には変化がないという議論は明らかに誤りであります」(1957年12月5日憲法調査会)

とまれ、マッカーサーは、これを2月13日に幣原首相に手渡し、「2月22日の閣議で承認せよ」と命じ、公布日まで命じます。

ちなみに公布日は明治天皇の誕生日であり、戦前日本の重要な記念日だった明治節でした。

もちろん偶然ではありません。

米国が、日本を完全に解体したぞ、という勝利宣言だったからです。

翁長氏ふうに言えば、「銃剣とブルドーザーで作った憲法」が現行憲法なのです。

さて私はかねがね、日本側が徹底的に抵抗すべきだったと思うことがあります。

それはこのGHQ製憲法に、暫定憲法だという一項を挿入することです。

「はい、確かに受け取りました。発効しましょう。ただし、これは連合国の統治下にいる間だけであって、独立回復と共に再度検討します」

この1項を、閣議承認の唯一の条件として、是が非でも付け加えることを条件にすべきだったと思います。

現実にドイツは同じ敗戦国でありながら、東西分裂を言い訳にしてガンとして憲法とは呼ばず「基本法」と呼んで、あくまで暫定的なのだということを明確にしています。

まぁ、負け馴れているともいえますが。

負け馴れていない日本は、しぶとい抵抗が苦手だったようです。

その結果どうなったかといえば、日本国が自らの意志と正当な手続きを経て制定された憲法という事になりました。

それを狙ってマッカーサーは裏であれこれ言って、その後徹底した報道管制を敷いたのです。

米国の日本国憲法研究のセオドア・マクネリーは、こう述べています。 

「マッカーサーは日本国政府に対して9条が米国政府の意志のように提示し、米国政府には幣原政府の意志であるかのように言い募った。
ある時はその起源は天皇だと述べ、ある時は日本国民がこの9条を入れることを望んだと主張した。
つまり、彼の言ったあれもこれも、結局、日本に9条を押しつけた自分の責任を曖昧にするものだった」
(『日本の憲法 国民主権の論点』)

したがって、いまだ米国政府の公式見解は、「日本政府の意志」なのです。

もちろんバイデン発言のように、米国においても誰もが虚構だと知っていても口にしてはならないことが「良識」なのです。

もちろん、日本においておや、です。

というわけで、残念ながらコメントにあったような、「無効宣言」は出来ません。

もしする気ならば、それは真正面から米国と対決し、日米同盟をこちらから破棄する覚悟ですることです。

もしこの時点で、暫定憲法という歯止めがあれば、日本はじっくりと、明治憲法とGHQ憲法とを比較して、国民的議論の対象とすることが可能でした。

明治憲法は、細々としたことを書き込まないヨーロッパ型憲法典であって、その上に立った立憲主義の側面を持っていました。

ある意味、ポジティブリストのよろしく細々とした枝葉を書き込んだあげく、新たな現実に立ち遅れてしまった現行憲法より優れているとも言えます。そりゃそうです。

現行憲法は、1945年現在の常識で書かれているからです。

当時、中国がかくも巨大な軍事帝国になるなど誰ひとりとして想像もつきませんでしたものね。

そもそも、中華人民共和国なるものすらなかったのですから。

枝葉にこだわって、しかも事実上憲法改正ができない仕組みまで作ってしまってはどうにもなりません。

護憲派にとっても、宮澤俊義学派のようにむりやり「八月革命」などというファンタジーにすがる必要もなかったのです。

「暫定」というリミッターさえあれば、昭和30年代まで、憲法学のみならず、政治家の中にも明治憲法が共有された憲法観として残存していたので、比較してよりよい憲法を作ることも可能だったでしょう。

しかし、70年も立ってしまってはそれもかないません。

いずれにしても、現行憲法の賞味期限は、1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約締結までだったのです。

自分で自分の国の最高規範を書くことができない不幸、それが日本人です。

憲法論議というのは避けて通れないテーマですが、なんともいえない無力感が漂うのはそのためです。

辛気臭いやね。

※改題しました。あんまりシンキ臭いんで(笑い)。

※追記 篠原氏などの後援会の告知を貼った瞬間に荒らしが来ました。こんな連中につきあって削除し続けるのもイヤなので、今回は降ろします。残念です。
それにしても告知ていどで荒らすという神経がわかりません。

リンクのみ貼っておきます。https://www.facebook.com/MasakoGanaha/posts/10202202591663224
https://www.facebook.com/events/1163817560365994/
 

 
  
  
  

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日曜写真館 早い夕暮れ

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HN「ネトウヨハンター」さんにお答えして 第9条と日米同盟は表裏一体です

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HN「ネトウヨハンター」さんのご質問にお答えする形で、考えていきましょう。

「なぜ日米同盟を解体すれば、憲法9条を変える必要があるのですか。
自衛隊だけでは守れないんですかね?
よく安保法制賛成派から、「軍事同盟を結ばなければスイスみたいに徴兵制になる」みたいな言葉が聞かれましたが
日本とスイスでは、防衛費はたしかほぼ一緒ですよね?
自衛隊だけで日本を守ることが、なぜ出来ないのでしょうか。」

いい質問だと思います。 

9条と自衛隊の関係というのは、いろいろな答え方ができるテーマですので、どこからお話しようかと迷ってしまいました。 

私も過去記事で大量に書いています。
現状http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-1c47.html
歴史的経緯http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-7775.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-dd6e.html 

というのは憲法問題とは、詰まるところ自衛隊のあり方の問題だからです。 

いいかえれば、自衛隊を一般の国の「軍隊」として認知するのか、しないのかということです。 

さて、先日バイデン米国副大統領がトランプの核容認発言に反発して、こんなことを言い出しました。

それを伝えるニューズウィーク(2016年8月16日)です。

「今週15日にペンシルベニア州で大統領候補のヒラリー・クリントンのキャンペーンに合流して演説をした際、バイデンは次のように語っています。
Does he not realize we wrote the Japanese constitution so they could not own a nuclear weapon? Where was he in school? Someone who lacks this judgement cannot be trusted.(核武装を持てないように我々が日本の憲法を書いたことを、彼は知らないのではないか。彼は学校で習わなかったのか。トランプは判断力に欠けており、信用できない)」

 なかなか渋い発言ですが、日本メディアの多くはスルーしてしまったようです。

ニューズウィークも述べているように、非核は憲法には書かれていないし、芦田修正もあります。

しかし米国要人がストレートに日本国憲法は「オレたちが与えた」と言ったのは、おそらく初めてではないでしょうか。 

別に秘密でもなんでもなく、護憲派も昔から知っていて、憲法学宮澤派のように「あれは外形的には与えられたものだが、日本国民が8月革命で勝ち取った成果なのだ」という説まで生まれました。 

それについては、上に挙げた過去記事を読んで下さい。 

問題なのはむしろ、米国にとって日本がどうあって欲しいかという「思惑」の問題です。 

米国は今まで一貫して日本の軍事的・政治的な自立を嫌がってきました。 

なぜって?それは簡単です。 

日本は第2次世界大戦末期まで、世界中の国々が米国と同盟を結ぶか、中立の立場になるか、あるいは降伏した時に、唯一頑強な抵抗を見せた国だからです。 

米国は見せしめ的に核兵器を2発使用し、全国の都市をくまなく焼き払うといった戦時国際法違反の民間人大量虐殺を演じてみせて、やっと日本の息の根を止めたのです。 

そして戦後日本は、経済力において米国に次ぐ第2位の位置に長く居ました。

高度な技術と、教育水準が高く、規律正しい国民を1億人以上持っています。

当人は大国とは思っていないようですが、充分に「大国」です。ただし軍事面を別にしてですが。

こんな国が再び独自の戦略的意志を持ち、米国に従属しない軍隊を持つことは、米国にとってまさに悪夢だからです。 

だから、米国は大きな枷を日本にはめました。 

それが日米同盟であり、その裏付けとなる日本国憲法9条第2項です。

抽象的で分かりにくいと思いますので、ちょっとケーススタディしてみましょう。

Photo_2日本向けミサイルのノドン

「自衛隊だけで日本が守れるのか」というご質問ですが、結論的には不可能です。

つい先日、北朝鮮が、日本に向けてノドンの発射実験をしてきましたね。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post.html 

もちろんただの「実験」ではなく、「いつでもお前らを核攻撃できるんだぞ。オレに逆らうな」という政治的恫喝です。

こういった時に必ず保守派の一部から出るのは、「発射基地を攻撃しろ」という敵地攻撃論です。

まぁ確かに、NATOなら即座に緊急理事会が開かれて、NATO条約第5条、別名「自動参戦」条項の発動が検討の対象となるでしょう。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-bf87.html

残念ながらアジアには、NATOのような集団安保体制自体がないために不可能です。

一方護憲派からは、「北朝鮮に名を借りた軍拡策動に警戒しろ」という声が上がります。

Photo_3スプートニクhttps://jp.sputniknews.com/japan/20150716589329/

こういう議論がでてくるのは、どちらも自衛隊を知らないからです。

自衛隊にはそもそも「敵地攻撃」能力など、まったくありません。

日本は、自国の安全が脅かされていようと海外に軍隊を展開する能力を持ちません。

え、PKOはって?あれは国連平和維持活動で、まったく別の次元の話です。

外国に軍隊を派遣するには、パワープロジェクション(戦力投射)能力が必要です。

数十万規模の外征型陸軍を持ち、緊急展開軍を備え、それを乗せる大型輸送機、揚陸艦を多数保有し、さらに敵の拠点を攻撃する攻撃機を発進させる空母艦隊、そして長距離ミサイルなどが必要です。

さらに、相手国が核武装をしている場合、それを封じるために自らも核武装せねばなりません。

これらすべての能力を、日本は保有していません。

説明が長くなりそうなので省きますが、日本は北朝鮮のミサイル基地を空爆する能力もありません。 

つまり、日本には単独で北朝鮮の攻撃を阻止する能力、あるいは北朝鮮に日本攻撃を思い止まらせる能力(抑止力と呼びますが)そのものが欠落しているのです。

唯一、日本において北朝鮮を空から攻撃できる能力を持つのは、三沢基地にいる米空軍のWW(ワイルドウィーゼル)部隊だけです。

このように、日本は外国からの攻撃に対して防衛しきれない「穴」を沢山持っています。

ミサイル攻撃などは撃った後では意味がないので、あらかじめ発射しそうだと分かったら叩く必要があるわけですが、日本は憲法的制約の為に自衛隊はその能力を持たされていないのです。

また憲法的制約ばかりではなく、、いかに自国の安全のためといえど「先制攻撃」をするという行為は、それをした時点で、終結のシナリオまで持っていなければなりません。 

山本五十六の有名な言葉にこんなものがあります。大戦突入寸前に当時首相だった近衛文麿に言ったものです。

「初め半年や1年は随分と暴れてご覧にいれる。然しながら、2年、3年となればまったく確信は持てぬ。かくなりし上は、日米戦争を回避するように極力御努力願いたい」(『近衛日記』。

山本に対する評価は別にして、これは先制攻撃をするならば、終わり方まで考えてやれ、という意味です。

結果としてわが国は、「半年や1年は存分に暴れ」、「2年、3年で勝利の確信」を失い、南太平洋の島々と深い海に膨大な草むす屍、水漬く屍をさらすことになります。

当時も今も本質において何の変化もありません。

終わり方を考えぬ戦争は、絶対にしてはならないのです。

その意味で私は、保守反戦主義者です。

そしてこのような日本が唯一「戦争の終わり方」を依頼できる国は、世界に一国しか存在しません。

それは泣いて笑っても、かつて日本の息の根を止めた米国だけです。

そしてその米国の意志は、日本に自立した軍事展開能力を与えないということでした。

また日本は「専守防衛」というドクトリン(基本原則)をもっていますが、国内防衛すら沖縄を見ればわかるように、米軍なしで構想できないままでいます。

もし沖縄から米軍がいなくなったら、中国はそう遠くない日に手を伸ばしてくることでしょう。

このように国は憲法を与えて自衛隊をがんじがらめにする代わりに、日本周辺の安定を保障する役割を受け持ちました。

日本が9条的に「専守防衛」に徹し、その代わり米国は、日本を取り囲む国際状況の安定維持のために尽力する、この役割分担を定めたのが日米安保条約です。

このように日米同盟と第9条は、表裏一体のものだということがご理解いただけたでしょうか。

Photo_4


民主党が作った「戦争法案は徴兵制になる」というポスター

なお、去年盛んに民主党が言っていた、「戦争法を通すと徴兵制が来る」というのは100%デマです。

少子化が進む先進国で、20歳から2年間も貴重な青年層を引き抜いて、しかもたった2年では後方での仕事ていどしか任せられないような「兵隊もどき」しかできません。

こんなハンパなものを大量に作ってどうするんだということです。

米国、ドイツなど先進国は、ことごとく徴兵制は止めています。

スイスは人口が少ない重武装中立国家なので、一般の国とは比較できません。

実際、自衛隊は徴兵制などまったく求めていませんし、唯一ありえるシナリオとしては日米同盟が破棄された場合です。

日本は自立した自衛力を構築せねばなりませんから、大増員計画を実行せねばなりません。

たとえば一隻の大型空母を中心とする空母艦隊(空母打撃群)は第7艦隊を例にとれば、それを護衛する9隻の駆逐艦、3隻の原潜、揚陸艦3隻、その他で構成されています。

自衛隊が空母を持たせろという話は保守派の居酒屋談義にはよく出ますが、そんなものを持ったら海自の兵員を大幅にそこに注ぎ込まねばなりません。

とうぜん兵員不足になりますから、限定的徴兵制も考慮の対象となるでしょう。

したがって、徴兵制が登場するとすれば、それは日本が日米同盟を解消して、軍事的自立の道を歩む時以外ありえないと思われます。

それですら私は英仏などを見るかぎり、ないと思います。

2回の世界大戦と違って、現代戦は国民全部を巻き込むような総力戦ではないからです。

護憲派は盛んに「戦争法制は米国いうがままに戦争することだ」などと言っていましたが、正反対です。

米国と同盟を結んでいるから戦争をせずに済んで、9条とデイブレイクが作り上げた「カエルの楽園」に安住できたのです。

Photoデイブレイク「カエルの楽園」の主役のひとり。

百田尚樹氏の『カエルの楽園』という寓話を、:著者自身に紹介してもらいましょう。http://www.dailyshincho.jp/article/2016/06010557/?all=1

「『カエルの楽園』はカエルが主人公のファンタジー小説です。生まれ故郷をダルマガエルに追われた2匹のアマガエルが、平和な楽園「ナパージュ」という国に辿りつくところから物語が始まります。
ナパージュには「三戒」という奇妙な戒律がありました。それは「カエルを信じろ」、「カエルと争うな」、「争うための力を持つな」というものです。
そこに棲むツチガエルたちは、「この国の平和は三戒によって守られている」と信じていました。
「三戒」があることで、南の沼に棲む凶暴なウシガエルもナパージュにやってこないというのです。」(週刊新潮 2016年11月24日号)

この「三戒」はいうまでもなく憲法9条です。

では、デイブレイクとは「朝が開ける」という意味ですが、なんなんでしょうね(笑)。

それはさておき、私は「トランプ後」の世界を日本が生き抜くためには、改憲も避けられないと考えています。

しかし、それは安易な日本の軍事的自立ではなく、日米同盟を機軸にしたアジア・太平洋の集団的安保体制作りへと向かうための一里塚にすぎません。

トランプ登場は、日本人にこれらをしっかり考える素地を作ったともいえます。

憲法と日米同盟は話だすと、いくらでも切り取り方があるので、とりあえず今日はここまでとします。

理解の一助になれば幸いです。

 

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日本は「自立」を真剣に考える時期に入ったようだ

063
不思議なことに憲法審議会が発足しても、野党のスタンスは護憲一色です。のんきなものです。

「トランプ以降」がまったく考えられている節がありません。

トランプ登場に際して民進党の狼狽ぶりは醜態を極めました。

「民進党の榛葉賀津也参院国対委員長は9日の記者会見で、米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が優勢となったことを踏まえ、与党の国会運営を厳しく批判した。
 榛葉氏は、与党が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の早期成立を目指していることについて「トランプ氏はTPPに絶対反対といっていた。国会でTPPをやっている場合ではない。やっても、何の国益にもならない」と指摘。
「これだけ株が下がってアベノミクスどころではない。可及的速やかに予算委員会を開き、経済問題や日米外交を議論すべきだ」と主張した。
さらに、安倍晋三首相が今年9月の訪米時に民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官と会談したことを念頭に「首相は片方のクリントン氏と会談し、トランプ氏をスルーした。これは大きな失態だ」と批判した。」(産経11月9日)

これが野党第1党の国対委員長のお言葉です。

こういう姿勢を彼ら野党は今まで、「米国べったり」とか、「従属外交」と呼ぶんじゃなかったのでしょうか。

しかもこの民進党の台詞は、トランプが勝ちそうな時間に言われています

そりゃあなた、後出しジャンケンならなんでもいえるよ(笑)。

クリントンに会っていたから批判とは、「失態」もなにもクリントン一本に賭けていたのは自分らではないですか。

もし、首相がクリントンにあったことを「失態」だと言うなら、その時点で「トランプにも会え」と主張すればよかっただけです。

結果がわかってから、なにを今さら。

結局、首相は賢明にも、トランプ陣営の幹部とも面談していたと後に分かるというオチまでついています。

まぁそうでなければ、こんな早期の会談なんかありえませんからね。

「トランプ氏がTPPに反対していたから、自分らも反対」にいたっては爆笑ものです。

「トランプの登場によって、TPPは難しくなった、チャラにする可能性が出てきた」という予測ではなく、日本での国会審議まで止めたのですから、開いた口が塞がりません。

米国をもう1回TPPに引きずり戻すにはどうしたらよいのか、ASEANの会議が迫る中、いかなる外交的トランプ包囲網がありえるのか知恵を出すべき時期なのに、審議拒否をした上に「これで終わった」はないもんです。

米国なしでは国会審議ひとつできないというのですから、子供か、あんたらは。

いままで野党は盛んに口を開けば、自民党を「対米従属」であって、「米国のいうがままに地球の裏側まで自衛隊を派遣するのか」と言ってきました。

去年もさんざんSEALDsと一緒になって安保法制時に叫んでいましたね。

Photo_2http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=6053

ならば、トランプが選挙戦中盤間で盛んに言っていた、「日本は日米安保にタダ乗りしている」「米軍駐留費を全額負担しなければ米軍を日本から撤退させる」「日本は核兵器を自前で開発・保有しろ」などの発言を、核保有は別にして歓迎しているのかと思っていました。

なにせ米国様のほうから、「オレに頼るな。自立しろ」と有り難くも言っていただいているのですから、対米従属がイヤなら万々歳でしょうに。

私は民進党や共産党は隠れトランプだと思っていましたよ。

ところが、「その時」が来た瞬間、慌てふためいて涙目となるのですから矛盾もいいところです。

大喜びして、トランプに面会したいと叫んだ翁長氏のほうが一本筋が通っています。

さて私は昨日、当面はトランプによる激変はないだろうと書きましたが、それは当初だけです。

大きな眼で見れば、トランプ現象が示す米国のセットバック(後退)傾向は、一時だけのものではなく、長期間に渡るものだとかんがえられるからです。

したがってトランプ登場によって、日本の70年に渡った<戦後>は終了したと見るべきです。

日本はあらゆる外交課題に対して、日本独自の方針と戦略を持って臨まねばなりません。

最低でもその<覚悟>は必要です。

北朝鮮が日本に向けてミサイル発射をしようと、中国が日本の領海に軍艦を入れてこようが、はたまた南シナ海を軍事要塞化しようと、すべて「米国なし」という状況を想定せねばなりません。

最悪シナリオとしては、トランプが中国やロシアと準同盟関係に入るG3体制すら、あながちブラックジョークではなくなったわけです。

このような状況で、いまで通りに9条護持を叫んでいられる神経の図太さが羨ましい。

自分の国は自分で守る、沖縄には米軍基地はいらない、自衛隊だけで防衛する、その<覚悟>がなければ話は始まりません。

野党はトランプの登場で、砂に首を突っ込むダチョウ状態になっています。※本物のダチョウは足が速いので、砂に頭を突っ込んだりしませんが。

憲法9条は、日米同盟が大前提にあります。

別に私が言挙げしなくても、そんなことは大人の常識です。

Photo_3新華社http://jp.xinhuanet.com/2016-05/04/c_135332561.htm

しかしお気の毒にも、この「護憲反安保」という護憲スローガンは、実は分裂しています。 

なぜなら、日本を国家として自立させないためにこそ、日米安保はあるのです。

ですから日米安保を取ってしまったら、日本は独自に中規模軍事大国の道を歩むしか選択肢がなくなります。

中規模軍事国家とは、とりもなおさず「フランス化」することです。

下の写真はフランス海軍の原子力空母シャルル・ドゴールです。

Charles_de_gaulle_pascalsubtil_1Wikipedia

あるいは、戦略原潜も必須です。

Photo戦略パトロール中のル・トリオンファン級

この大型空母と戦略原潜は、技術的には問題なく保有できるでしょう。

ただしあくまでも「技術的」であって、現実化するには政治的難関とは別に、様々なネックがありますが、国家が大方針とすればやってやれないことはありません。

そうそう、その前提に核武装も避けて通れない道となります。

日本は米国の容認さえあれば、核実験のシミュレーションが貰えますから、あまり時間をかけずに一定の核武装は可能です。

財政的にもNATO諸国のように、GDP2%ていどの防衛費があれば可能です。

Photo_4ストックホルム国際平和研究所http://www.garbagenews.net/archives/2258868.html

軍事ケインズ主義で、景気がよくなるかもしれません(苦笑)。

どうしてこんな簡単なことが、護憲派と称する一群の人たちにわからないのか、そのほうが私には不思議です。

見なければなくなるわけではありませんよ。

日本は軍事大国になる条件である他国への侵攻用の武装を一切保有する意志はない、と国際社会に明言してきました。  

それは別の言い方をすれば、日米安保によって米国が「面」的に安全保障の基盤を作っていてくれたからです。 

日本は「点」である日本列島の基地を米国に提供する代償として、建前上は「米軍に守ってもらっていることにしようね」という暗黙の了解がありました。 

福島瑞穂氏がしたり顔で、「在日米軍は日本を守るためにいるわけじゃない」なんていかにも秘密の暴露のように言っていますが、そんなことはわかりきった話です。

なにを今さら。 

福島氏の言うとおり、横須賀軍港を「母港」とする第7艦隊は日本防衛のためにいるわけではないし、三沢基地も朝鮮半島や沿海州有事のための空軍基地です。 

普天間基地やキャンプ・シュワブは、台湾と朝鮮半島有事に備えた前線基地です。  

この米国が提供している安全保障基盤のことを、国際関係論では「安全保障インフラ」という場合があります。  

そう、日米安保は、道路や通信、港湾などと一緒の一種のインフラストラクチャー、「下支えする構造」なのです。 

ですから日米安保とは、国際的広がりを持つ安全保障の「公共財」です。 

この安全保障インフラがあるから、去年からの安保法制の審議も、日本人は賛成反対を問わず大部分が、「安保はこのまま未来永劫続く」という大前提で議論できました。  

普天間基地の移設の時もそうです。

賛成反対も共に、「このまま在沖米軍はいる。なぜなら米軍が居続けたいからだ」というぼんやりとした認識を前提にして議論していました。 

沖縄左翼の人たちは、口では「全基地撤去」なんて言っていても、実は「よもやそんなことはできまい。できないからどんどん言ってやって、政府を追い詰めてやる」と思っていたはずです。

一方保守派も、「米軍は基地を置きたくて仕方ないのだから、言うことを聞いていればなにかいいことがある」という思い込みがあったはずです。 

では、向こうから「もう居る必要がなくなったから。出て行きます」と言われたらどうしましょう?

どうやら、その時が来たようです。

いまやトランプの登場で、そのことは大いにありえる状況になりました。

トランプはオバマ時代のセットバック現象に、アクセルをかけるでしょう。※軍拡になるという異説もあります。これについては別稿にします。

当座は穏やかにUSSトランプは進水するでしょう。

しかし、何年か先はわかりません。

トランプがこのような考えの持ち主であることは、変えられない事実だからです。

いずれにせよ、日本は「自立」の準備を真剣に検討すべき時代に突入したようです。

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アマルガム氏のコメントにお答えして

Dsc_2922

アマルガム氏からコメントを頂戴しています。

「トランプに対するデモの参加者の大半が「不法移民」であるというのは何か根拠や裏付けがあるのでしょうか?
ぜひとも教えて頂きたいです。
また、ロサンゼルス、ニューヨーク、シアトル、サンフランシスコの大都市がトランプの「不法移民の強制送還」に抗議して不法移民の保護を掲げていますよ。」

私が参考にしたのは以下の報道です。

「オレゴン州ポートランドでは「反トランプ」デモで暴徒化した112名が逮捕されたが、うち実際に投票をした有権者はたったの30%ほどだった。
少なくとも現時点で79名が未投票、もしくは選挙人名簿に登録されていなかったことが地元メディアKGWの調査で明らかになった。」

B34283c1

ポートランドは最もデモが過激化して荒れた都市ですが、選挙人登録していない者が逮捕者の約7割いたということになります。 

選挙人登録していないということはセキュリティナンバーをもたない可能性があり、不法移民、ないしは未成年の学生である可能性が高いと思われます。 

ふゆみさんのおっしゃるように「不法移民は逮捕を恐れている」という指摘もうなずけますが、私はこの暴動をともなった反トランプデモで放火などして暴れたのは、金をもらって騒乱をするように指示された何者かだと考えています。

バスで移動していたという目撃例もあって、背後に何らかの組織的背景があるのかもしれません。(未確認でソロス氏という説もあるようです。)

穏健な反トランプデモは、不法移民も含むアメリカン・レフトでしたが、その中に職業的騒乱屋がいたのではないかと思っています。

あえて修正するなら、こう書き換えましょう。

「反トランプデモには選挙に行かなかった者が多くを占め、その中には選挙登録しない者もおり、不法移民も含まれていた。」

いずれにしても、選挙結果が出てから騒乱を起こすというのは、反民主主義と言われてもいたしかたがないことです。

アマルガムさん、国内に1100万人も不法移民がいる現実を想像したことがありますか?
労働集約型職場は、不法移民が独占しているに近い状況だということです。
 

これはニューカマーの不法移民が、以前に入国したオールドカマーであるヒスパニック系の職を奪うことになったとみられます。 

ですから、「移民」と一言でいっても、内情は複雑なのです。 

その結果   民主党の磐石の支持層と見られていたヒスパニックが離反したのです。 

またABCニュースによる2万人以上を対象にした出口調査によれば、以下の投票動向があったようです。 

・世帯年収3万ドル(約300万円)以下の低所得者・・・トランプに投票41%
                                                                      ヒラリーに投票53%
・年収5万ドル以上のすべての所得層でトランプが勝利
・大卒白人有権者                                        ・・・トランプに投票49%
・                                                                    ヒラリーに投票45%

このように中間層からの支持で、トランプが勝利したことがわかります。

これが私が今回のできごとを、「中間層による合法的革命」と呼ぶゆえんです。

島田洋一福井県立大学教授によれば、この現象はオバマケアが、25万ドル以上の中間層からの税金で、貧困層の皆保険をしようとしたことによって、さらなる中間層の収奪とみられたためだと言われています。

また、ヒラリー支持だとおもわれて いたヒスパニック層は分解した上に、不法移民層は数は多くても選挙権がありませんでした。

なぜなら、選挙人登録すれば不法移民だとバレて送還されますからです。

これではヒラリー票に反映出来ません。アマルガムさんは、不法移民を保護する都市もあると言いますが、強制送還するについては各州、各都市の意見が異なるのは当然です。

不法移民の労働力がぜひとも必要な地域は、強制送還などされては困るおいえの事情があるからです。  

アマルガムさんは米国のリベラル派メディの影響を受けられているようですが、彼らの主張するポリティカル・コレクトネスだけを判断基準にしていると、今回のように大はずしをする結果となります。

私も同じくハズしたひとりですので、距離を置いて米国で何が起きていのか知ろうとしています。 

ちなみにアマルガムさんはトランプが、「不法移民を強制送還する」と書いていますが、正確ではありません。

選挙後に彼は、「犯罪を犯した経験のある不法移民は強制送還する」と言っています。

短絡して書かないでください。

なお私はトランプ支持うんぬんではなく、この部分は常識的だと思っています。

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トランプは初め2年はおとなしくしているだろう

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トランプは石破茂氏が指摘するように、「政治経験も軍隊経験も全くない初めての大統領」です。
http://blogos.com/article/197661/

つまり、政治には素人であって、ワシントンの手垢がついていない希有な人物です。

政治的来歴がないために、一体彼が何を考えているのか、これから何をしたいのか、皆目見当がつきません。

なにせ、トランプはかつて民主党党員であり、ヒラリーのスポンサーのひとりだったくらいです。

大統領選のはるか前に、トランプの講演の最前列で拍手しているヒラリーの姿が写真に残っています。

2009年に民主党から共和党に移動しました。

なんらかの心に期するものがあったのだろうと言ってあげたいのですが、よく分かりません。

わかっている確かなことは、トランプが類まれなるリアリストだということくらいです。

政策的にはほぼ何も持っていないはずです。

でなければ、米国海軍を350隻にして、海兵隊を大幅増強し、NATOや日米同盟と諍いを演じたいといった分裂したことを言えるはずがありません。

黒井文太郎氏ではありませんが、「トランプが言ったことを全部やれば米国は必ず潰れる」からです。

たぶんトランプは、大統領選の「公約」をあっさりと初期化し、最適化を計ろうとするでしょう。

よく言ってあげれば柔軟な対応力をもつウルトラ付き現実主義者、悪く言えば・・・、まぁなんとでも言えますよね(笑)。

トランプはたぶん自身が何をすべきかその筋道がよくわかっていない、可塑性のある何ものかだからです。

ですから、当座は大統領に就いたトランプは、周囲のアドバイスに従って、国の舵を取る事になるでしょう。

この重要なアドバイザーのひとりにマイケル・フリン元DIA(国防情報局)長官がいます。

Photo出典 中日新聞2016年11月11日http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016111102000065.html

実はフリンはつい先だって訪日し、政府中枢や石破茂氏とも会談をしています。

「10月初旬に、来日中だったトランプ氏の軍事顧問的な存在であるマイケル・フリン元DIA長官(退役陸軍中将)と長時間意見交換する機会を得たのですが、運用や情報に極めて精通し、米軍内で信望の厚い、なおかつ民主党員である同氏が、職を辞してまでトランプ氏の顧問になるからには、トランプ氏に有能な人材を集める吸引力が備わっているのかも知れません。
来年1月の政権発足後に数か月をかけて編成されるスタッフや上下両院で過半数を占めた共和党議員がトランプ新大統領を良い意味でコントロールできるかどうかがカギとなります。なお、マイケル・フリン氏は新国防長官にもその名前が挙がっています。」(前掲)

ここで石破氏は米国の恥部になるので、あえて触れていませんが、「民主党員だった彼がDIA長官の職を辞して」と書いているきっかけは、フリンが暴露した米国のIS支援疑惑です。

Photo_2http://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/5ff077760027053ee0c2cc47556c6a96

2015年5月、マイケル・フリンはDIAの電子メールで、「ISISはオバマとヒラリー・クリントンが資金提供をしている」というショッキングな内部告発をしたことが、情報公開法によって明らかになりました。

フリンは翌月、その内容が事実であると認めています。
英語原文はこちらからIan56

「テロの脅威は、意図的に製造されたことによって悪化した。
米国はサダム・フセインを転覆するためにイ
ラクに介入したが、得られものは予測可能だったはずの宗派間内戦だった。
また、リビアでカダフィを転覆するためにアルカイダの過激派を利用し、リビアを失敗国家としてしまった。
シリアではアサドを転覆しようとして、アルカイダやISISなどを秘かに支援し、シリアを大混乱に陥れた。」(仮訳)

このメールの中で、フリンは米国の秘密工作の結果、アルカイダやISが生まれ、さらにモンスターにまで成長させたと批判しています。

おそらくフリンは、次期国防長官になると予想されています。

このような内部告発者だったフリンが、いかなる中東政策の転換をもたらすのか注目せねばなりません。

いずれにせよ、フリンはつい先だってまで現役の陸軍将官だっただけに、極めて常識的な安全保障観を持っています。

石破氏が言うように、至極まともな国防政策を選択すると思われます。

トランプは政治家でなかったために「公約」を票を取るためのパーフォーマンスの一種ていどに考えているはずです。

したがって現実家トランプは、大統領になった瞬間、「公約」のほとんどすべてを自らから骨抜きにするはずです。

大統領としての適格性を疑われて、議会から突き上げられるようなまねは慎重に回避せねばならないからです

つまり、日米同盟の解体や日本の核武装容認(※)などは絶対にありえないシナリオだという事になります。※日本の核武装容認については既に否定しています。

TPPに関しても、何らかの再交渉をオファーしてくる可能性は捨てきれませんが、TPPの持つ対中包囲網という性格を、アドバイザーたちから叩き込まれているはずです。

ですから、私はトランプが習とねんごろな関係になる可能性は、かぎりなくないと考えています。

こうしてトランプは、まともな保守政治家の仮面をかぶることになります。

人種差別主義者で、日本に核武装を勧めるようなクレージーなキャラを期待していた向きには、衝撃的なくらいに「普通の大統領」になると思います。

どんなイカレポンチが大統領になるのかと気が気ではなかった共和党本流は、ホっと胸をなぜ下ろすでしょう。

すくなくとも初めの2年間は。 

後は分かりません。

このまともな保守政治家のスタンスは、彼を熱狂的に支えた中間層をいたく失望させるはずだからです。

「なんだつまんねぇ。今までと一緒だぜ」という声は、全米各地で起きます。

いまのような初めから反トランプだった人たちの反発は読み込み済でしょうか、今度は足元からのブーイングに遭遇することになります。

初めは「われらの大統領」として熱狂的に支えた階層は、トランプから急速に離反していきます。

たぶん就任から2年たたずに、トランプはリベラル層と保守的中間層の両側から批判を浴びる事になるかもしれません。

それが端的に現れるのが支持率です。

その場合、それを打開する方法は、選挙期間中の「暴れん坊トランプ」に回帰することでしょう。

私がこう書いたところで、これもまた占いのようなもので、一体トランプ大統領が何者なのか、それを知るのは2カ月後の大統領就任式以降になります。

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不法移民とトランプの登場

027_2

残念ですが、「オスプレイ欠陥機」問題は、簡単に決着がつかないでしょう。

オスプレイ反対運動をバネにして知事になった翁長氏が知事であり続けるかぎり、オスプレイ反対の神輿を担ぎ続けねばならないからです。 

「オスプレイ危険機」論はただのメカニカルなテーマではなく、「オール沖縄」の政治的教条と化していますから。 

彼らにとって憲法9条みたいなもので、疑うことすら不信心なのです。 

下の写真はオスプレイ反対運動の先頭に立つ知事になる前の翁長知事と稲嶺名護市長ですが、左翼デビューしたての翁長氏には赤ゼッケンがまだチグハグですが、いまや様になってきました。 

Photo_2出典不明

 県の姿勢がこうである以上、東村と高江区は、11月13日の行政懇談会のようにならざるをえません。 

東村の姿勢としては、「確たる安全性が担保されない限りはオスプレイ配備には反対」、そして伊集村長自ら「国からの交付金については高江区にたいする迷惑料」という事だそうです。 

これで「現地もオスプレイ飛来に反対」ということになって、これがまたフィードバックされて反対派の「オスプレイ危険機」論はいっそう磐石となり、それがまた現地の意思決定を縛るといことになります。 

永遠にこの不毛のループです。 

つまるところ、翁長氏が知事を退任する日まで、「オスプレイ危険機」論は不磨の大典であり続けるのでしょう。

私は、県民の皆さんにオスプレイを考える材料を提供することしかできませんでしたが、ぜひご自分の頭でほんとうにオスプレイが危険機なのかどうか、真剣にお考えいただければ幸いです。
 

まだオートローテーション、排気加熱問題、着陸地点の生態系への影響などのテーマも残していますが、別の機会とします。 
※オートローテーションについての過去記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/20-e3fd.html
※排気加熱問題についての過去記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-d31a-1.html

ともかく反対派が重箱の隅をつつくように、あれこれ盛りだくさんにあげつらったために、「空飛ぶトラック」とは思えないほどテーマが多いこと多いこと(笑)。

また機会を見つけて続けます。 

B34283c1出典不明

さて、今日からテーマを変えます。
 

日本では上の写真のように、反トランプ・デモばかりが報じられています。 

メディアは、自分が大はずしした腹いせのように、いかにトランプが米国市民から嫌われているのかをアピールしたいようです。 

まるでこれが米国の良心で、民主主義の現れだと言うリベラル人士もいます。

民主主義の正常な手続きを経て選ばれた次期大統領に対して、暴動じみたデモを好意的に報じるのは、根本的に民主主義をはき違えています。

これはどこかでよく聞くいわゆる「民意」のようなもので、選挙という民主主義の大原則を侮辱した民主主義の否定です。

デモをしている多くは不法移民です。
※追記 この部分をご指摘をいただき変更します。
「反トランプデモには選挙に行かなかった者が多くを占め、その中には選挙登録しない者もおり、不法移民も含まれていた。」

そもそも不法移民がデモをして暴徒化し、国旗を焼くことのどこが民主主義なのでしょうか。 

不法移民には選挙権がなかったから不平等だった、とでもいいたいのでしょうか。 

トランプは不法移民の送還を掲げましたが、これに不法移民が反発するのは当然です。 

米国の不法移民はいまや国土安全保障省(DHS)によれば、2011年1月現在で1150万人と発表されています。 

ピュー・ヒスパニック・センターの調査によれば、不法移民は2007年の1200万人をピークにして、2009年には約1110万人に下がり、以降同ていどで推移しているといいます。

 

America_01独法 労働政策研http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2010_3/america_02.html


国土安全保障省のデータから、箇条書きで不法移民のポイントを押さえておきましょう。

①不法移民の齢構成は25歳から44歳。26パーセントが24歳以下、59パーセントが25歳から44歳、そして15パーセントが45歳以上。
②不法移民の出身国の59%がメキシコ。アジアでは中国、フィリピン、インド、韓国、ベトナムなど。
③男女比率、男性53%、女性47%
④多く居住する州は、4分の3以上がカリフォルニア、テキサス、フロリダ、ニューヨーク、イリノイ州など。
⑤職業は、農場、修理工場、建設現場など。
⑥不法移民のピークは2007年で、1000万人台で推移している。

「違法」移民に反対している人たちは、彼らを不法に雇っている人たちが州、連邦政府に支払うべき税金とか、社会保障費とか、医療費とか払ってないのに、不法移民は州、連邦政府からのプログラムで恩恵をうけてる、と主張しています。

また治安の悪化を指摘する声も大きいようです。

一方、合法移民となるためにハードルが高いのが問題だという声もありますが、そもそも不法に国境を超えた時点で犯罪性を帯びているわけで、犯罪者に対して国籍のハードルが高いのもむべなるかなという気もします。

Photo_4UNHCR http://eumag.jp/question/f0115/

実はこの米国が抱えている不法移民問題は、EUが抱え込んでしまった移民・難民問題と共通しています。

EUが苦しんでいる最大のテーマは、シリアや北アフリカからヨーロッパに侵入する「難民」という名の不法移民の大群です。

たとえばドイツでは、かつての1950年代以降の高度成長期に、旧西ドイツが人手不足に陥ったために、安易に南欧やトルコの移民を呼び寄せたことが始まりです。

当初ドイツ当局は、移民があくまでも一時的なゲストアルバイター(出稼ぎ労働者)だと位置づけていたのですか、やってみると彼らの大部分は、家族を作りそのまま居ついてしまいました。

これは、受け入れた企業側も短期でやめられるとまた教え直しですから、長期雇用を希望したためという理由もありました。

結果、ドイツは移民国家に変容します。

昨年ドイツに流入した移民と難民数は、実に110万。

2016年6月時点で給与を得られる職に就いている移民・難民は、前年同月比で2万5千人にすぎません。

第二次世界大戦後にドイツが受けれた外国移民の数は、5千万人に登り、現在は国民の8人に1人は外国生まれです。

これらの移民・難民は家族を呼び寄せ、同民族だけの居住地域に集住化し、「国の中の国」を作っていきました。

こうしてドイツは外国人の国へと変容していったのです。

同じことが米国でも展開されており、トランプ大統領を生んだのでした。

不法移民に関してトランプは犯罪を犯した者や、逮捕経験者など違法行為に手を染めた者から一気に強制送還し、段階的に締めつけ強化をすると見られています。

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オスプレイは危険機か? その7 砂塵による機械故障とブラウンアウトは別のものではない

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気が向きませんが、仕方がありません。
 

ほとんど昨日の記事とコメント欄で、「改修命令」氏との議論は終わっています。 

終了しないのは、いくら論破されても同じことをブツ切りでダラダラと入れてくるからです。 

おそらくこの人物は今日の記事を読んでも主張をまったく変えず、あいかわらすオスプレイは「構造欠陥機」と言い続けることでしょう。 

なぜでしょうか。はい、そうです。 

私の記事やコメンターの皆さんがせっかく調べてきた文献などを、いっさい読んでいないからです。 

読むとしてもアラ探しばかりです。

たとえば私が「ゴム風船」のコラージュを10分間アップすると、揚げ足取りのコメントを即座に入れてきたHN「小林啓介」という者もいました。 
※コメントしたHNを明らかにしておきました。一部挑発的な言い方をした部分を削除しました。私もイライラが募っているので、すいません。

おそらくはこんな枝葉の「敵失」にでもすがりたいからでしょう。 

それにしても、反基地派の作法の悪さは格別です。 

私がエッセイでシーベを虻と書いてしまったミス(ほんとうはブヨの類)を上げつらい、「こんな奴が」と大騒ぎします。 

まともに正面扉から入って来てテーブルに着きなさい、ちゃんと議論する気があるならおつきあいしますと、くどいほど言っていてもダメです。 

反対派は、長年の間、甘やかされた閉鎖的言論空間で生きてきたために、今や意見の違う者ときちんとした討論ができない身心になってしまったのです。 

20160920231957琉球新報9月20日

上の琉新の記事はスペースの都合で下半分が切れていますが、ありがたくも反対派が高江につながる唯一の県道70号線の封鎖を解除したことを報じています。 

いいでしょうか、上の琉新の写真に軽トラが写っていますが、このような農家の作業車も通行出来なかったのです。

村でひとつの共同売店の運営にも支障が出てきていました。

なぜなら反対派が暴力的に県道70号を「封鎖」していたからです。正気の沙汰ではありません。

いまさら言う必要もない違法行為です。この反対派の行動のどこが「高江を守る」ことなのでしょうか。

これがいかに高江集落の平常な生活と生産を阻害してきたのか、いかに住民は怒りをこめて反対派を見ているのか、察して余りあります。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-44f8.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-1f27.html 

地元紙の記事には、こんな蛮行を働いている反対派への批判はおろか諫言のひとかけらもありません。 

いや、白昼堂々と報道機関の目の前でリンチ拷問行為が展開されていようと、平然と見逃しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8eS4o-CxyjI&feature=youtu.be
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/20165-b8be.html
 

Photo

本土で同じことをすれば警察に拘束されるような高江集落の封鎖や、一般市民への検問行為をやろうが、はたまた、山中でのリンチ暴行事件も、地元紙にかかれば「平和的市民をいじめ抜き、差別語を吐き散らす機動隊」と報じてくれます。 

かくして、反対派は同じことを本土ですれば即刻逮捕されるようなことも、この沖縄だけでは許されると勘違いしてしまいました。 

上の高江山岳ベースリンチ事件の動画を見た多くの本土の人たちは、なぜ沖縄だけでこんな無法が許されているのか首をひねったはずです。

この驚愕こそが、この動画が73万回も再生された原因です。

このような風土から、自分たちだけは何をしても、何を言っても許されるという特権意識が芽生えたのでしょうね。 

反対派特有の、他者に対する非寛容、傲岸、そして礼節の欠落などの特徴は、この沖縄特有の言論空間から生まれたものです。

確かに反対派が主張するように、「沖縄差別」は存在します。

ただし差別は差別でも、逆差別ですが。 

                     ~~~~

さて、今回でハワイ事故については終わりにします。 

TPPやトランプ、そして新たな国際環境など議論したいことはやまほどあるのに。 

さて歪んだ論者は、歪んだ標的を自ら偽造し、歪んだ的に向けて矢を放ちます。 

そして「ほら見ろ」とうそぶくわけです。 

このHN「改修命令」氏はその典型です。 

この人はこう書いています。

「あなたはブラウンアウト「が原因」と書きましたが、ブラウンアウトやホワイトアウトは、ごくふつーに起きることであり、「目の前真っ茶色」なったくらいで墜落したんでは(軍用でなくても)パイロットは務まりません。」

私はこの連載2回でこう書いています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-0e0c.html

 「この墜落原因は自分の機体が巻き上げる土埃の中にスッポリと入ってしまい、パイロットが自機の姿勢を制御できなくなる「ブラウンアウト」という現象です。
この現象は、ヘリパッドの外の不整地で起きやすいといわれています。
このハワイで落ちたオスプレイの場合、着陸アプローチ時に、自機の巻き起こしたダウンウオッシュ(※下向きに吹きつける風)によって巻き上げられた土埃で、パイロットが瞬間的にコントロール不能になったためです。
また、巻き上がった砂埃をエンジンが吸ってしまったために、左側エンジンがコンプレッサーストール(※)を起こしたために出力低下を起こしてしまいました。

※なんらかの理由でエンジンに入る気流が乱れ、異常燃焼や出力低下を起こす現象のこと。
後に事故機を調査したところ、ターボシャフト内部のファン・ブレードが大きく破損していたそうです。
この墜落原因は自分の機体が巻き上げる土埃の中にスッポリと入ってしまい、パイロットが自機の姿勢を制御できなくなる「ブラウンアウト」という現象です。」

長いですが誤解の余地がないように、私の結論部分を丸ごと引用しました。 

さぁこれをそのまま読んで、「私がブラウンアウトの原因だけで墜落した」と読めますか? 

私がそんな短絡したことを書いていると読めたら、そのほうがエライ。 

私はあくまでも、「砂塵」よる視界不良がパイロットの操作ミスを誘発し、砂塵内での滞空時間遅滞による、大量の砂塵の吸い込みがコンプレッサー・ストールを引き起して落ちた、と連続して絡まりあった事象として書いているのです。 

これは私だけの珍しい特異な意見ではありません。

防衛省HPにある「オスプレイについて」 防衛省仮訳 
http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/index.html
教示頂いたコメンターの皆さんに感謝します。 

「事故調査の結果、事故に寄与した主たる要因は、パイロットのパフォーマンスと着陸帯「ガル」の不適切な現地調査であると判明した。
パイロットは、いかなる規則及び飛行手順にも違反しなかったが、パイロットの意思決定には、事故につながる事象が考慮されていなかった。
最初の着陸を試みた際、着陸帯「ガル」における「低視界着陸レベル」が想定よりもずっと高いことが分かった。
適切なリスク評価を行っていたなら、パイロットは異なる飛行の態様、経路または着陸帯を選定し、深刻な低視界状態を局限又は回避できたであろうということを、事故調査は明らかにした」
 

「2回連続で砂塵の中で着陸を試み、設計上想定されている以上に砂塵の中に止まった際、エンジン内に過剰に砂塵を吸入
左側エンジン内の空気流量が著しく低下し、出力を喪失(機体は地表へ落下)」

 ここで防衛省ハワイ事故報告が、「深刻な低視界状態」と書いているのがブラウンアウトです。

特にブラウンアウトと記していないだけで一緒です。

航空関係者だと思われるHNスナフキン氏のコメント。 

「ブラウンアウトあるいはホワイトアウトについてですが、これは砂塵または雪が自身のダウンウォッシュにより巻き上げられ、結果として操縦者の視界を遮断してしまうという現象のことを表し、離着陸時に起こり得る事象です。
この事象はヘリコプターであることが前提で、砂塵または積雪のある地面に対し低高度でホバリングすることで起こり得ます。
対応としては起こらないような接地面にするまたは起こらない場所を選定するという準備段階としての対策と、ホバリング時間を最短にする、すなわち着陸地点への進入を例えるとある程度前進速度を残したまま高度を下げ、着陸点へ進入する操縦法での対策になります。
オスプレイであるからとかCH47だからというわけではなく、ヘリコプターであれば、条件によってどの機種でも起こり得ることであり、また、操縦の仕方によっても起こり得ます。
次に空間失調についてですが、これはヘリコプターがどうとかの問題ではなく、人間であればだれでも起こり得る現象のことです。
モヤっとした雲の中とか、視界の効かない空間の中でまっすぐ進んでいると仮定してください。
その状態で上下左右の感覚が麻痺してしまう現象です。この時、航空機はまっすぐ水平を保っているにも関わらず、麻痺した人間の感覚が勝ってしまうと、わざわざ操縦に関与しとんでもない飛行姿勢としてしまって事故に至るケースが存在しています。
これは人間の生理現象に起因するので機種がどうのというものではありませんし、飛行機でも起こり得ます。」

ありがとうございます。大変に参考になりました。 

これ以上付け足す必要がないと思いますが、解説しておきます。 

ハワイ事故は、パイロットが砂塵の中に二度突入してしまい、設計上許されている以上の時間(マニュアルの約2倍の110秒)滞空した結果、過剰な砂塵をエンジンが吸い込んだ結果パワー不足に陥ったために起きたのです。 

これはスナフキン氏が書いておられるように、オスプレイ特有の事象ではありません。 

それを「改修命令」氏はこう書きます。 

「目の前真っ茶色になったくらいではパイロットはつとまらない」 

すいません。

この一行読んだとき、私はあなたがオスプレイのみならず、ヘリのような垂直離陸機一般についても何ひとつ知らないで書き散らしていることを確信しました。 

「英文事故報告書を英語が読めるなら読め」とか、日本における航空事故調査の第一人者である「松尾氏は間違っている」と書き込んできたので、ものスゴイ航空専門家が来たのかとビビってましたもんで(笑)。

ほんとうの専門家ならば、ハワイ事故の前に起きたアフガンの事故を検証してていなければうそです。

なぜならこの二つの事故は、大変によく似た事故だからです。 

アフガン事故を分析してから、「目の前真っ茶色になったくらいでパイロットはつとまらない」なんて言って下さい。

アフガン事故は2010月4月8日に発生しました。

その原因についてこう述べられています。
CV-22 crash not caused by mechanical failure | lightglobal
http://obiekt.seesaa.net/article/148155312.html

The BellBoeing CV-22 crash in Afghanistan on 8 April was not caused by a mechanical failure, according to a source familiar with preliminary findings of the US military investigation.
The fatal crash, which killed four and injured others, occurred after the pilot lost situational awareness while landing in a wadi around 1am under brown-out conditions, the source says.

4 月 8 日、アフガニスタンにおいて CV 22が事故でクラッシュした。調査団の調査結果、機械故障によって引き起こされたわけではない
パイロットなど4人死亡
した。
ソースによれば、原因は
 ブラウンアウト条件下でパイロットが認識を誤り、 1 ワジに着陸しようとしたためである。

ここでこの英文サイト・フライトグローバルは、墜落原因をbrown-outの状況下で起きたことで mechanical failure(機械的故障)ではないと記述しています。※誤訳していました。修正しました。ご指摘に感謝します。

「改修命令」氏が、ブラウンアウトを定義しろと言っていますからしておきます。

「ヘリコプターなどの回転ローターが巻き上げる砂塵あるいは土煙の中に入って、パイロットの視界が極度に低下する状態」

その結果、パイロットは空間識失調(バーティゴ)の状態になり、自機の姿勢が判らなくなってしまうことがあります。

バーティゴも押さえておきます。 
空間識失調 - Wikipedia 

「主に航空機パイロットなどが飛行中、一時的に平衝感覚を失う状態のことをいう。健康体であるとないとにかかわりなく発生する。
機体の姿勢(傾き)や進行方向(昇降)の状態を把握できなくなる、つまり自身に対して地面が上なのか下なのか、機体が上昇しているのか下降しているのかわからなくなる、非常に危険な状態。しばしば
航空事故の原因にもなる。」

ブラウンアウトは、「改修命令」氏のいうように「フツーに起きることで、計器を見ていれば大丈夫さぁ」みたいなものではありません。

ドクターヘリのような小型ヘリでも、緊急で未舗装の校庭に着陸せねばならない場合、急いで着陸予定地に水撒きをしているのすら知らないようです。

特に超低空の着陸態勢の時にバーティゴに陥ると、着陸するべき場所を誤ったりしてクラッシュする可能性が高くなり、大変に危険です。

まったくもって操縦しているパイロットにとっては、「フツーの状況」ではありません。生きるか死ぬかです。

今回のハワイ事故もブラウンアウトに陥ったパイロットが、機位を誤り、回避すべき経路をとらず、エンジンが砂塵を吸い込んでパワー不足を起こして墜落しました。

これはスナフキン氏が言うように、オスプレイ特有の現象ではありません。

下の画像はオランダ軍のCH47チヌークが、ブラウンアウトに遭遇した時のものです。
Dutch Chinook conducting a brown-out landing in Afghanistan 
https://www.youtube.com/watch?v=AIQY1O2wXts

Mqdefault

パイロットにとって、「目の前が真っ茶色」になるとは、どんなことなのかよく分かります。

アフガンでは、オスプレイだけではなく、「世界最強の戦闘ヘリ」とうたわれたAH64だけで17機がブラウンアウトで墜落しています。 

これらの十数人のパイロットは皆揃って、「改修命令」氏が言うように、いたってフツーの現象であるブラウンアウトに遭遇して、パイロットがつとまらない人だったわけでしょうか。 

わけはありません。

それほどブラウンアウトは、ヘリやオスプレイのような垂直離陸機にとって危険な現象なのです。

昨日の記事でも紹介したテクニカル・ライターの井上孝司氏は、「航空とIT」でこう述べています。
http://news.mynavi.jp/column/airplane_it/056/ 

舞い上がった土埃がエンジンに吸い込まれれば、エンジンのパーツを傷めたり、摩耗させたりすることになりそうだ。
そもそもそれ以前の問題として、土埃のせいで視界不良になったのでは、安全な降着が難しくなる。

下の地上の状況がよく分からないままに、着陸操作を行わなければならないからだ。それで障害物に接触したのでは危険である。」

井上氏はここで、砂塵が大量に舞い上がるとコクピットを包み隠して、パイロットが視界不良になるだけではなく、エンジンに吸い込まれてパーツを破損させると、ブラウンアウトとエンジントラブルを関連づけて説明しています。  

私が記事を書くに当たって参考にしたのは、この井上氏の見解です。 

「改修命令」氏の硬い脳味噌は、二者択一的にブラウンアウトか、砂塵セパレーターの故障かとぶつ切りにしてしまっています。

一連のことは砂塵による有機的関連を持つ事象の連鎖なのです。

「改修命令」氏よ。

皮肉ではなく忠告しますが、もうあなたは私とコメンテーターの人たちによって、完膚なきまでに論破されています。

これ以上私に、余計な時間を浪費させないで、静かにフェードしてください。

さようなら。

■追記 皆様。「改修命令」より無礼千万なコメントが入りました。
話にならない愚かさで、技術的議論を回避して傲岸に見下した態度で、私の非をなじっています。

このような「改修命令」対応して、アクセス禁止を言い渡しました。

■改題してシリーズのひとつにしました。

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オスプレイは危険機か?その6 改修命令氏にお答えして オスプレイに「根本的欠陥」はありません

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今日は、HNその名も「改修命令」という、「オスプレイは機体に根本的欠陥がある」という方との討論なので、けっこう分かりにくいと思います。  

ごめんなさい。でも一個一個、オスプレイ・デマを潰さないといけないのです(涙)。

ただし、あらかじめお断りしておきますが、確かに私はオスプレイが政争の具とされて必要以上に「欠陥機」扱いされることは批判しています。

特に目に余るのが共産党と沖縄地元紙です。

オスプレイは「構造的欠陥機」なので明日にも頭に落ちてくる、「だから高江にオスプレイパッドを作らせないぞぉ」とという人は、共産党を中心にして多く存在します。

この人たちは「欠陥機オスプレイ」という表現を、政治用語にまで高め上げてしまいました。

Photo_3琉球新報2015年5月19日

地元紙などはさらに、「欠陥機を押しつける本土政府は沖縄差別をしている」とまで言い出しています。

たしかに普天間移設とオスプレイ配備が時期的に重なったのが刺激的だったとは思いますが、オスプレイは世界的な配備計画の一環であって、かねてから決まっていたことです。

別に「沖縄差別」したくて、オスプレイを配備したわけではありません(あたりまえだ)。

どうしてこうまで牽強付会するのか、理解できません。

13_01_23ss
しかしだからといって、なにがなんでも、いかなる状況でも、どんな使い方をしてもオスプレイが安全だなどと言ってはいません。

方や「絶対的危険機」、方や「絶対的安全機」には立たないということです。

この両極端は一見正反対な立場に見えますが、実は同根です。

リスク管理の上で「絶対は存在しない、事故は起きうる。事故対策を重ねて安全性を高めるべきだ」というのが、かねてから繰り返している私の考え方です。

当然のことですが、オスプレイも事故を起こしています。その原因を知ることは、重要です。

HN「改修命令」さんのコメントです。

「コンプレッサー・ストール(によるエンジン停止)が原因と自分で書いているのになぜブラウンアウトと結論付けるのでしょうか。
エンジン停止すれば、ブラウンアウトしていなくとも墜落します。砂塵対策をすれば問題ない」が、「着陸地を選んで」という意味なら軍用機失格です。」

まったく矛盾しません。

軍用機は民間機と同じで、着陸地点を選びますし、選んだからといって「軍用機失格」ではありません。

皆様、今日は専門的な話が続きますので、できるだけかみ砕いて書きますが、我慢しておつきあい下さい。

まず2015年5月ハワイ事故の原因だと私が思っているのは、砂塵による「ブラウン・アウト」現象と、同じく砂塵によるコンプレッサー・ストール(失速)のふたつです。 

順番にいきましょう。

まずブラウンアウトですが、ブラックアウトが「目の前真っ暗」、ホワイトアウトが「目の前真っ白」ですから、これは「目の前真っ茶色」ていどの意味です。

濃密な砂塵に包まれて自分の機体の位置がパイロットにわからなくなり、操縦を誤ることの多い現象です。  

ブラウンアウトの原因物質は「砂塵」です。  

002http://news.mynavi.jp/column/airplane_it/056 

上の写真は米国のユマ訓練場でのオスプレイのものですが、これがブラウンアウト現象です。
 

ブラウンアウトについて、テクニカル・ライターの井上孝司氏は、「航空とIT」でこう述べています。
http://news.mynavi.jp/column/airplane_it/056/ 

舞い上がった土埃がエンジンに吸い込まれれば、エンジンのパーツを傷めたり、摩耗させたりすることになりそうだ。
そもそもそれ以前の問題として、土埃のせいで視界不良になったのでは、安全な降着が難しくなる。

下の地上の状況がよく分からないままに、着陸操作を行わなければならないからだ。それで障害物に接触したのでは危険である。」

井上氏はここで砂塵が大量に舞い上がるとコクピットを包み隠して、パイロットが視界不良になるだけではなく、エンジンに吸い込まれてパーツを破損させると関連づけて説明しています。 

特に緊張を要求される低空の着陸態勢の時にブラウンアウトになると、高度がわからなくなってハードランディングさせてしまう可能性があります。

改修命令氏がわざわざリンクを貼った航空事故の専門家の松尾芳郎氏は、「トウキョウ・エクスプレス」(2015年8月28日)でこう述べています。

「米海軍は「海軍航空訓練および操縦方法の基準」(略)で、V-22の操縦について次のように定めている。すなわち
『各ミッションで実施する「視程が悪い場合の着陸操作(RVL=restricted visibility landing operation)」は60秒以内で行うこと。そして[RVL]操作は、高度150 ft (50 m)以下、かつ、前進速度20ノット以下で行う離着陸操作に適用する。
しかしハワイの事故機の場合[RVL]操作は110秒間も続いていた。」

松尾氏は、本来マニュアルで60秒で完了せねばならない着陸操作を110秒もかけてしまって、さらに多くの砂塵を吸い込む結果になったとしています。 

この砂塵によるブラウンアウト現象は、特にオスプレイ特有の現象ではありません。 

前の記事にも書きましたが、2003年にはイラクでたった1カ月に17件もAH64アパッチが、同じブラウンアウトで落ちました。  

下はアフガニスタンのバグラム基地に着陸しようとしているHH60です。  

001http://news.mynavi.jp/column/airplane_it/056  

オスプレイのほうが、ブラウンアウトの原因となるダウンウオッシュ(※下向きに吹きつける強い風のこと)が大きいという説もありますが、CH46のような大型ヘリとほとんど一緒か、やや強いていどです。 

これについても共産党は「ネパールでオスプレイは民家を飛ばした」と嬉しげに報道していますが、2005年のスマトラ沖地震の救援の際、自衛隊のCH47もインドネシアで民家の屋根を飛ばしたことがあります。

次にハワイ事故において墜落した機体のエンジンは、ファンブレードが破損してコンプレッサー・ストール(失速)を起こしていました。

下の写真は松尾芳郎氏「トウキョウ・エクスプレス」の前掲論文から引用させていただいた、ハワイ事故機のエンジン内部の写真です。  

ちなみにこの松尾氏の当該記事は、共産党関係のブログで都合よく切り取られて、あたかもオスプレイが構造的欠陥機であることの技術的証明のように使われています。

もちろん松尾氏はそんなことを一行も書いておらず、恣意的解釈にすぎません。

松尾氏はこのように解説しています。

「左側2枚は今回の事故機の左エンジンの高圧タービン・ノズル。右側2枚は2013年8月にネバダ州クリーチ空軍基地(Creech AFB, Nevada)でハード・ランデイング事故となった機の高圧タービン・ノズルとブレード。
左側2枚のノズルにはガラス状の凹凸付着物が沢山付いており、これで高圧タービン出力が落ちコンプレッサー・ストールとなった。右側写真でも同様な付着物があるが、やや少ない。」

Dfv22crash1_usnavyRR, US Navy

エンジンのファンブレードが破損した原因物質は、これも「砂塵」です。  

両方とも「砂塵」が原因ですが、もちろん偶然ではあるはずがありません。  

パイロットがブラウンアウトになるくらいの濃厚な砂塵を、エンジンも吸い込んだからコンプレッサーストールを起こしたのです。 

松尾氏は「トウキョウ・エクスプレス」で、事故調査報告書に基づいてこう述べています。 

素人の私たちには難解ですから、引用下の私のまとめに飛ばれてもけっこうです。

「事故機は当日2度目の「視程が悪い場合の着陸操作=RVL」中に、高度150 ft (50 m)より下で、左エンジンがコンプレッサー・ストール(失速)を起こし、出力を失った。
すぐに右エンジンの出力がクロス・シャフテイング・システム(cross-shafting system)を介して左ローターに伝達され、左右のローターが同じ回転となり機の姿勢は水平に保たれた。しかし、パワー不足で適正な降下率を維持できず、墜落に至った。」
 

「米海軍は「海軍航空訓練および操縦方法の基準(Natops=Naval Air Training and Operating Procedures Standardization)」で、V-22の操縦について次のように定めている。すなわち
『各ミッションで実施する「視程が悪い場合の着陸操作(RVL=restricted visibility landing operation)」は60秒以内で行うこと。そして[RVL]操作は、高度150 ft (50 m)以下、かつ、前進速度20ノット以下で行う離着陸操作に適用する。
しかしハワイの事故機の場合[RVL]操作は110秒間も続いていた。」
 

「事故調査報告書案によると、パワー・ロスの原因は、熱で反応し易い[CMAS]と呼ぶ鉱物を含んだ砂をエンジンが吸い込んだため、と云う。(略)
[CMAS]がタービン・ノズル・ベーンに付着し空気流を阻害するので、タービン/コンプレッサーの回転数が低下して“サージング(失速)”に対する余裕が少なくなる。この状態でパワーを出そうとレバーを進めると警報音が鳴らなくてもストールになる。」
 

「ハワイ事故と似た事故が2010年4月にアフガニスタンで起きている。
これは空軍のオスプレイCV-22Bが山間部に着陸する際に起きたもので、当該事故報告書の結論とは別に、当時の事故調査担当の専門家は『事故前の点検で、左エンジンの「砂塵セパレーター(EAPS= engine air particle separator)」の目詰りがあったが、そのままミッションに出発、このため着陸時に左エンジンがストールしたようだ』と語っている。
この時は、地表から200 ftの高さで突然降下率が増え、通常の4倍にもなる2,000 ft/分となり機首から墜落した。」
 

「エンジン・インレットに取付ける新しい「砂塵セパレーター(EAPS)」の研究は2013年から始まっている。
新「EAPS」はオイルを含浸させた綿製フィルターとなり、離着陸時のみに使用し、巡航になるとバイパス・ドアが開いて空気をそのままエンジンに吸入する仕組みになる。2017年には完成する予定で、全機の改修が始まるのはその後になる。」

かみ砕いてまとめるとこうです。

①パイロットが「視界が悪い場合の着陸操作」中に失速を起こした。
②本来、この視界の悪い中の降下は60秒以内と定められていたが、このパイロットはその倍にちかい110秒も行ってしまった。
③50mの高度で右エンジンが鉱物を含む砂塵でストール(失速)した。
④ストールした右エンジンの回転不足と釣り合うように左エンジンも同調したが、パワー不足のため適正な降下率を維持できずに墜落した。
⑤アフガンで同様な事故があったが、原因はエンジンの砂塵セパレーターの目詰まりによるストール。
⑥エンジン吸入口に取り付ける新型砂塵セパレーターの配備予定は2017年以降となる。

改修命令氏は、コンプレーサー・ストールとブラウンアウトを別なことのように書いていますが、一緒のことです。  

なぜ、パイロットはマニュアルに定められた倍の時間、「視界不良の場合の着陸操作」をしてしまったのでしょうか。  

倍の時間も砂塵の中でモタモタしていたから、この時間に砂塵セパレーターで処理しきれないほど大量の鉱物を含んだ硬い砂塵を吸い込んでしまって、エンジンブレードを破損させてしまったのです。  

つまり、こういう事故の流れはこうです。

①ブラウンアウトによる視界不良⇒
②着陸操作に手まどって滞空時間が増加⇒
③エンジンが砂塵を吸い込みパワー不足を起こす⇒
④墜落

ヘリでも着陸態勢に入ってエンジン停止すれば、ズドンと落ちます。  

いちおうCH46はオートローテーション出来ることになっていますが、ハワイ事故のような超低空の場合、ズドンと落ちて壊れます。

軍事評論家の小川和久氏によれば、自衛隊でも大型ヘリのオートローテションは、いちおうシミュレーション装置で訓練しますが、現実にはやったら壊すぞと教えているそうです。  

オートローテーションについては、オスプレイ攻撃の材料となっていますので別稿で詳述します。  

というわけでオスプレイのリスクは、大型ヘリのリスクとほとんど一緒です。  

米軍は新型砂塵セパレーターを開発している真っ最中ですが、配備は2017年からです。  

これをもってして、日本共産党機関紙・赤旗などは「改修が間に合っていないのに配備を強行している」と批判していますが筋違いです。※追記 風船妨害行動の写真と解説部分は削除しました。

それはさておき、米軍がオスプレイのエンジンを改修するのは、安全性の問題よりも経済性の問題です。  

松尾氏は、オスプレイの新型砂塵セパレーターの開発動機についてもこう述べています。

「V-22のエンジンRR AE 1107Cの寿命についてだが、(略)今では860時間までに改善されている。
エンジン寿命は使用環境で大きく左右され、不整地使用が多い場合と、舗装されたランウエイや空母の甲板上で使う場合とではかなり異なる。
しかし輸送用双発ヘリCH-47FチヌークのエンジンT55-L-714A (ハニウエル製)の寿命は3,000時間で、両者にはまだ大きな開きがある。」

松尾氏が指摘するように、米軍が新型砂塵セパレーターを開発しているのは、共産党や改修命令氏が言うような現行モデルに「構造的欠陥」があったためではありません。  

単に、オスプレイのエンジン寿命が、不整地で使うこともあるために860時間ていどでCH47の3分の1ていどで不経済だからにすぎません。 

もし本質的な構造欠陥ならば、新型砂塵セパレーターが登場する2017年までオスプレイを飛行停止にするはずです。 

どうもこのような人たちは、軍はおそろしく野蛮な場所で、欠陥機でも平気で飛ばしているような集団だという変な思い込みがあるようです。  

当然のことですが、軍用機といえど慎重に着陸する場所を、マニュアルによって定められています。  

改修命令氏は軍用機は、「着陸場所を選ばない」なんて思っていたのですか。   

とんでもない。それはハリウッド映画の見すぎです。  

固定翼機は当然のこととして、ヘリでも着陸地点(LZ)は慎重に選びます。  

特に大型ヘリはそうです。  

よくUH1やUH60のような小型ヘリが、救助のためにアクロバットのような飛行をしているので、勘違いしているのかもしれませんが、着地地点の原則は整地してある硬い場所です。  

やたらな場所に着陸しようとして、高価な機体を壊して、人身事故でも起こしたら大変ですからですね。  

何度も書いていますが、オスプレイは特に安全な機体でもない代わりに、特に危険な機体でもありません。  

特にうるさい機体でもない代わりに、特に静粛な機体でもありません。 

オスプレイは、静粛性や機体の安全性に関しては旧来のヘリと同等で、性能的にはかけ離れて優秀です。  

私にはなぜCH46のような大型ヘリと、オスプレイを「差別」するのか、その理由がわかりません。  

最後に、「改修命令」さん。 あなたは初めから「沖縄の話などしていない」と言い切っています。  

残念ですが、私はあくまでも「沖縄における」オスプレイの安全性」を問うています。 

それを世界いかなる国での安全性にまで拡張してしまっては、なにがテーマかわかりません。

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日曜雑感 やんばるの森という魔界

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植物園の熱帯館に行って、なごみたいくせに思い出すのは、因果なことに、やんばるの森の深さと怖さです。

私、沖縄の街暮らしはあまり知りません。

知っているのは、ほとんどがジャングル暮らしだけです

森で仕事をしている時、うっかり鎌で指をズバっと切ってしまいました。

蔓で巻いて片手で密林かき分けて出ようとしても、トラックを置いた森の出口が分からないからパニくったわけです。

たったひとり、やんばるの山の中。

切った指からは白い骨が見えます。

出血はなかなか止まりません。

動転して腰に差してあったマチェットという大きな山刀で、バサバサと切り分けながら進むのですが、何百mか行って出た空き地には見覚えがありました。

そう、リングワンデリングと言って、グルグル周回してしまったのです。

そのうち樹の枝からポツリと冷たいものが落下してきます。

うっかりしてタオルを首筋からはずしていたのです。落ちててきたのは山ヒル。

それがいくつも落下して首筋に吸いつき、さらに背中の下のほうに落ちていきます。

無理に取ろうとすると皮膚が破れます。

しかしあれがハブでなくてよかったと思います。ハブもきっと私を樹の枝からじっと観察していたでしょうが、ハブだったら死んでいました。

そのうち巨大な虻が、こんどは大群で襲ってきました。

刺されると、やんばるの虻は顔が歪むほど腫れ上がります。

蔓に足を取られて転倒して、腐葉土を鼻に詰まらせながら、マチェットを振り回しながら、こけつまろびつ逃げまどいました。

どうにか数時間後出られたのですが、これが私が知るやんばるの森という魔界です。

そこは人が立ち入ってはならない植物の城。

人の生存を拒否する禁断の地。

植物の海。

その怖さを知った上で、「やんばるの森を守る」と言って欲しいものです。

 

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日曜写真館 植物園の神秘

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くたびれた時には植物園が一番。

植物園独特の、初冬の日本ではありえないような熱帯植物館にいくと、なごむんだなぁ、これが。

まったりと重い湿気をたっぷりと含んだ空気。

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マーボウさんにお答えして TPPに「絶対賛成」も「絶対反対」もない

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マーボウさん。私は情勢次第では、TPPなどやらぬほうがいいと、今でも思っていますよ。 

ひとことで言えば、情勢が変わったのです。 

今は、かつて私が反対論を唱えていた当時のように、参加の是非が問われた時期ではなく、一定の結果が出た時代なのです。 

覚えていますか、TPP参加反対論でよくあったのは、「交渉したら米国の言うことを丸飲みにすることになる」、あるいは「例外なき関税撤廃を押しつけられる」というものでしたね。 

そうなりましたか? 

私は日本のコメ作りは国家主導の生産カルテルで、21世紀ずっとこのようなカルテルをはめているわけには行かないと思っていました。 

JAはいまでも自由化すればコメ作がダメにになるように言っていますが、本格的に大規模米作に取り組んでいる農家はそうは思っていません。 

いきなり自由化は困るが、時間をかけて段階を踏めば、むしろ大規模集約が可能だと考えています。 

今のように、生産制限をかけられて、せっかくのコシヒカリを米粉にしたり、飼料米に転換するなんて馬鹿なことはしたくないのです。

豚肉も同じです。結局は、今でなくてもいつかは来ると思っていたのが、TPPで現実化しそうなので、震え上がったわけです。 

かつて私が心配したのは、コメよりもむしろサトウキビでした。 

サトウキビが自由化されたら、沖縄農業の柱は崩壊するでしょう。特に離島はひどい打撃です。 

すぐに代替作物は見当たりません。 

すると台湾まで無人の畑が続き、島によっては人口減少すら生じるかもしれません。 

これは、文字通り国の安全保障上の問題でもあると考えました。 

しかし、ご承知のようにTPP交渉の結果、コメもサトウキビも、そんなことはなかったわけです。 

GMO(遺伝子組み替え農産物)にしても同じです。別に米国の言うがままになる必要もなかったし、実際、そういう結果になりました。 

交渉開始時には、最大限のリスクを想定しておきます。 

甘い見通しで交渉に臨んで、その結果、国がボロボロになるより、これだけのリスクがあるからしっかり交渉せよ、と国に主張したほうがよいのです。 

それがリスク管理の原則です。

だから、私は最悪シナリオをいく通りも考えました。それが、数年前の私のTPPに対する考え方です。 

いまでも左翼の人は大反対で、反原発・反基地に並んで反TPPをスローガンにしていますが、私からみれば硬直した政治的反対論です。

Photohttp://hatarogu.blogspot.com/2016/10/blog-post_32....

TPPもオスプレイと一緒で、機体の安全性が問題なのではなく、オスプレイやTPPを政争の具にしたいだけなのです。

あくまでもTPPは交渉事であって、そのつど変化するのです。 

変化は交渉主体が、自民党に替わったということです。 

こう書くと「安倍信者」といわれそうですが、彼が任命した甘利氏は相手方のUSTRのフロマンからも激賞されるようなタフネゴシエーターでした。 

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民主党に甘利氏のような人材がいますか?

2011年1月に、TPPをやると言いだしたのは菅直人首相でしたが、彼の内閣のメンツを見るとゾッとします。

2014年4月にオバマが日本に来ましたが、当時のオバマは米議会の圧力に抗しきれず、自ら日本に出向いてサシで呑ませようとしました。

内容的には、とうてい日本が呑めないような、無茶ぶりの「高い玉」だったと言われています。

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ここでオバマは、尖閣は日米安保条約第5条の適用範囲だという声明を出す手土産の代わりに、貿易上の米国の利害を呑ませようとしたわけです。

私は危機感を感じて、ここで安倍氏が屈したらたいへんな事になると思って記事を書いた記憶があります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/m-91c3.html

ここで安倍氏がみせた外交手腕はすごかったですね。

尖閣を第5条の適用範囲とするという言質をとった上で、シラっとして「わが国も国会決議があって譲れないのです」と言い放ったのです。

オバマが使った論理を逆手にとったわけです。

さて、このように安全保障上のこととTPPが絡むのは当然のことです。

このことに関して、私は数年前まで安全保障とTPPは連動しないと思って、そう書いて来ました。

しかし、これも情勢が変化したのです。 

TPP交渉開始後になって、TPPに危機感を覚えた中国がAIIBを仕掛けてきました。 

中国主導の貿易ルールでアジア・太平洋圏の貿易を支配しようとしようというのが、その思惑です。 

今の南シナ海の人工島建設や、尖閣海域の緊張に見られるような、新冷戦が開始されたのです。

Photo_3ベトナム領を埋め立てて作られた中国軍基地

ここで日米が主軸となったアジア・太平洋地域の広範な貿易ルール作りをすることは、端的に中国と対抗する自由貿易圏作りを意味します。

これが軍事的政治的意味がないはずがありません。いわば経済上の集団的自衛権と言ってもよいでしょう。

これが、交渉参加した後に生まれた新たなTPPの性格です。 

このような経緯を踏んで私はTPPに対して容認に変化しました。その時もキチンと変化した理由を書きました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-092e.html

トランプが今になって脱退といっているのは、米国はTPP交渉が不調に終わったと認識し始めているからです。 

逆に、今、日本政府が米国の大統領選の動向を無視して批准を進めているのは、米国に「TPP交渉のやり直しはありえないですよ」という外交メッセージです。

おそらくこのあたりの機微は、オバマとの呼吸もあるような気もします。

民進党蓮舫代表のように、「新大統領に対して失礼にあたるのではないかとも思い、懸念しているからTPP批准反対」では、米国従属もいいところですね。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161111-00000591-san-pol

旧民主党もそうでした。

ハトさんが日米同盟に打撃を与えたために米国の怒りを買うと、次の菅氏は一転して「平成の開国」とTPPをぶち上げて、揉み手路線に転向してしまいました。

しかも菅氏の「鎖国」の代表的なものを、農業だと考えていました。

事実は、高関税農産物はコメ、コンニャク、落花生、麦、バター、砂糖ていどときわめて限られていて、農業の中核である野菜、果樹、鶏卵などは、ほぼゼロ関税でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-6b58-1.html

こんな知的レベルで「開国」なんかやられたら、たまったもんじゃありません。

確固とした外交・経済政策がないために、こういう反米と従属を繰り返すのがあの人たちです。

Maxresdefaulthttps://www.youtube.com/watch?v=jO4a6s7oRj4

まぁそれはともかく、トランプがなれば、当然チャラにされる可能性が出ていますが、かならずしもそうとだけは言えない可能性もあります。 

思い出してほしいのですが、そもそもTPPを提案したのは米国ですね。

外交案件は、政権が替わってしまえば白紙になるという性格ではありません。

それが出来るのは革命国家だけで、そんな国は国際社会で相手にされません。

トランプもTPPで交渉妥結した事実に制約を受けるのです。

そんなもんは前の大統領が勝手にやったんだ、などと言えば、米国の威信は崩壊します。

実際、世界最大の貿易国の米国にとって、TPPによるメリットは計り知れないのです。

トランプが憂慮する米国の製造業にとっても、大きなチャンスとなり得ます。

トランプがその辺が分からないような愚か者だとも思えません。

まぁ当分は、ありとあらゆるチャンネルを使って、TPPのメリットを分からせねばなりません。

それでもトランプが頑迷にノーなら、いっそう米国ぬきのTPP貿易圏を作ってしまって、そこから排除されることのデメリットをしっかりと味わってもらうのもひとつの手でしょう。

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トランプ 中間層による「合法的革命」と、なぜメディアは予測を誤ったのか?

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米国内の巨大な地殻変動について、三浦瑠麗氏の「山猫日記」を参考にしてかんがえていきます。
http://lullymiura.hatenadiary.jp/ 

「世界中の専門家が選挙戦の予想をしていたのに、ここまで大きな読み違えがあったのは、いくつかの要因が重なったからです。
第一は、北部の
民主党支持と思われていた州における人口動態や投票率を読み間違えたこと。
第二は、
世論調査が人々の本音を反映していなかったこと。
そして、最大の第三は、偏見にとらわれてトランプ現象の本質を理解せずに都合の良い数字ばかりを追いかけていたことです。」(山猫日記)

今回の米国大統領選におけるヒラリーの敗因は、今まで民主党が鉄板だとしてきた産業州をことごとく落としたことです。 

知られているように、米国の巨大勢力は労働組合です。鉄鋼労組、自動車労組、運輸労組などの産別組合は、自分たちの政治部として民主党を支えてきました。 

これが今回まったく労組の統制が効かず、労働者それぞれの自由意志による投票といった崩壊現象を起こしました。 

結果、北部の重要な産業州であるミシガン、オハイオで落とし、さらにペンシルバニアでもヒラリーは苦汁を飲んでいます。 

全米の獲得州をみてみましょう。 

Electoralcollege2016_svg


ElectoralCollege2016 

獲得州地図に全米地図を重ねます。 

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ヒラリーはかろうじてミネソタ、イリノイを押さえたに過ぎません。 

このように北部産業州を落とし、さらに中西部から南部に伸びるコーンベルト地帯という伝統的共和党支持地域を落とせず、最大の選挙人を持つフロリダの29名をごっそりとトランプに持っていかれては、勝てる道理がありません。 

これらの産業州のワーキング・クラスこそ、米国の骨格とでもいうべき中間層を成していました。 

彼らは、米国の人口の約6割を占め、地域社会の中核であり、かつ米国経済の働き手であり、したがっていくたびもの戦争で最大の戦死者を出して来た階層です。

彼らには、「我々こそがグッドアメリカンだ」というプライドがあります。

ところが、この十数年の間にグッドアメリカン階層は、急激な没落に見舞われました。

下の写真はオキュパイド・ウォールストリート運動のものですが、彼らが掲げる「私たちは99%だ」というプラカードは数字でも証明されています。

Photo_2

http://www.mdsweb.jp/doc/1203/1203_03u.html

下図は米国の所得分配比率が、1979年~2007年の28年間にどう変化したかを示したグラフです。

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図 藤井巌喜氏による 下も同じ

グラフ中央のミドルクラスにご注目ください。

これを見ると、米国所帯がどのように推移しているのかわかります。

・最富裕層(人口の1%)                 ・・・1979年43%⇒2007年53%
・中間層(人口の60%)                   ・・・        17%⇒           14%

中間層が減り、グラフ右端の人口の1%にすぎない最富裕層が10%も伸びています。

この最富裕層に準じる準富裕層(右から2番目)すらも、減少に転じていることが分かります。

つまり米国の富は、中間層と中流上位から、最富裕層に一気に流れ込んだのです。

さらにこの格差の天文学的な乖離が実感で分かるのは下のグラフです。

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 ・最富裕層1%の1979年から2007年までの伸び率  ・・・275%
・上位20%のうち残りの19%                             ・・・65%
・中間層 (人口の60%)                                        ・・40%
・最貧困層                  ・・・18%                                                                         

 三浦氏はこう述べています。

「逆転劇を支えたのは、トランプを支持した白人層の投票率が大幅に上昇し、マイノリティーのそれが伸び悩んだことです。米国製造業の不振を直接的に受けてきたこれらの地域の有権者を不満のエネルギーをクリントン陣営も、メディアも予想できませんでした。民主党の牙城と思われていた労組票も離反したようですから、影響は今回の選挙を超えて続くでしょう。」

つまり、これは中間層による「合法的革命」だったのです。

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さて今回メディアは、穴を掘って死にたいと思えるほどはずしました。

その理由は、メディアがNYタイムスやCNNのようにリベラル派だったという理由は表層にすぎます。

まず第1に、選挙予測に使う統計母集団そのものが、流動化していたからです。

たとえば、選挙予測では統計的手法として、民主党支持母体として産業州の労組を母集団と見立てるでしょう。

産別労組がうん十万人組織しているから、民主党票はこれだけとカウントするわけです。

ところが、これがまったく当てにならず、労働者は労組のヒラリー指示を無視して、日頃の鬱屈をトランプにぶつけたわけです。

また第2に、リベラルが過度に押し進めたポリティカル・コレクトネスが、米国民から浮き上がっていることも深刻でした。
ポリティカル・コレクトネス - Wikipedia

ポリティカル・コレクトネスとは、「政治的に正しい言葉使い」「政治的に差別がや偏見のない表現」ていどの意味ですが、現実は米国版言葉狩りとなっています。

米国では、徹底的に言い換えが進行しました。

・ビジネスマン businessman ⇒ businessperson
・カメラマン cameraman ⇒ photographer
・議長 chairman ⇒ chairperson
・消防士 fireman ⇒ firefighter
・警察官 policeman ⇒ police officer
・セールスマン salesman, saleswoman, saleslady ⇒ salesperson

米国では、アンパンマンは不可、アンパンパーソン、筋肉マンは筋肉パーソンというのだそうです(もちろん冗談です)。

昨日の「香川」や「十三」のように「精神異常者」とか「基地外」という表現を討論相手に投げつけた瞬間、米国ならば社会的生命は終了です。

ま、日本でもそうですけどね。

ですから、メディアに街頭でアンケートを取られれば、キレイゴトしか言わないという現象が膨大な数で大々的に起きたようです。

皮肉にも、米国一般ピープルのメディア不信が、トランプを生んだのです。

ニューズウィーク(2016年11月10日)は、「敗戦の辞 トランプに完敗したメディアの「驕り」」として、こう反省の弁を述べています。

「結果として、今回メディアは世論調査に出てこない「隠れトランプ支持層」の存在を見誤っていた。
いや、その存在は分かっていたし、私も教養のある共和党員と話すほどに「隠れトランプ支持者」の存在を実感してはいたが、メディアはその数がここまで多くて、彼らが実際にトランプに投票しに行くとは思っていなかったのだろう。
もちろん、とらえきれなかったのは「反エスタブリッシュメント」「クリントン嫌い」「アンチ民主党」の根深さかもしれないし、他にも「予想が外れた理由」は今後議論されていくことになる。
だがとにかく、今回の大統領選はメディアと世論調査、統計学や専門家の完全なる敗北だった。」

大声で移民は帰れと言い、女性差別丸出しのトランプ氏を支持していますといえば、お前もそういう考えなんだなと言われてしまいますからね。

今までは聞かれれば正直に答えていたのですが、今回はメディアに聞かれたらちょっとリベラルを気取ってヒラリーと言って、実はトランプに入れたというわけです。

その「本音」を巧みに票にする術を、トランプは知っていたのです。

日本のトランプ報道は米国メディアのネガキャンを孫引きしていたのですから、もっと悲惨でした。

しかも、ニューズウィークのように「敗戦の辞」もなく、あっけらかんと「安倍首相とトランプの相性は」とか、「変化の兆し 翁長氏トランプと面会に」などとやっているわけですから、もはや不治の病です。

 

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HN「香川」の差別発言について 政治的立場は精神鑑定の対象なのか?

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皆様に臨時にお伝えします。

本日朝9時30分頃、例の「香川」からコメントが入りました。

この人物はとうにアクセス禁止を言い渡されているにもかかわらず、その都度IPを替えて侵入してきています。

実にその数は片手の数を越えます。

今回は以下の内容です。

「精神に異常がある人の作文ってこんな感じだよ。」

私はこの発言を断じて許しません。

「香川」という男は精神害者を、悪しき物の「例え」として書いています。

「香川」にとって悪=精神障害者なのです。

ならば、精神障害者は皆悪人なのかということです。

香川氏よ、この言葉を自覚して使いましたか。

きみは単に朝起きて、PCを眺め、パンでも食いながら、「また荒らしてやろう」ていどで侵入したはずです。

そしていとも気軽に私を「精神異常者」と呼び捨てたわけです。

第2に、私が現実にかれが言うように「精神異常者」かどうかではなく、もし仮にこの一文を家族に精神に障害を持つ人が読んだらどう思うでしょうか。

あるいは、発症に怯えている人が見たら、怯えると考えないのでしょうか。

いや、そうでなくても、沖縄という狭い社会で今のエスタブリシュメントそのものである「オール沖縄」に逆らったら、「精神障害者」呼ばわりされてしまうと思うことでしょう。

となると政治的立場は、そのまま精神鑑定の対象となります。

そうか沖縄で基地反対派を批判したら、自分は「精神障害者」にされるんだ、と思っても不思議ではありません。

「オール沖縄」に与する人たちは、実は私個人を攻撃したいのではなく、私を支持している無名の県民の口を封じたいのです。

そして第3に、「香川」のような精神的傾きがある人物が絶対的権力を握った場合、おそらく沖縄という島は収容所島になるでしょう。

現実にかつてのスターリン時代には、自由主義者あるいはトロツキストとされた者は精神病院に収容され、大量の精神安定剤を飲まされ、ロボトミー手術を受けさせられました。

そして多くは廃人と化しました。

その時、抵抗者を薬で黙らせるのは、「警官はいかなる罵倒を受けようと精神的ストレスはない」と言い放ったような某女性精神科医のような人なのでしょうね。

旧ソ連において精神科医とは、「白衣を着たKGB」でした。

このような歴史を知ると、「香川」のコメントは、明瞭な精神障害者に対する差別であるばかりでなく、言論統制の芽が忍んでいます。

いまのように県の権力と報道機関が一体化し、それが経済権力の一部と癒着した場合、彼らを批判することは社会的抹殺を意味します。

名を名乗って政治主張することは、社会的に不利だから沈黙することになります。

そしてこのような島左翼が目指す「琉球共和国」とは、言論の自由なき「共和国」です。

私は言葉狩りには否定的でしたが、このような差別語を論争の相手に平然と使えるその精神にこそ、私は恐怖します。

またこのような差別的言辞が、リベラルを自認する沖縄基地反対派の一角から出たということを哀しみます。

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常識的トランプ占い

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トランプが新大統領に決まりました。 

世界中でおそらく数十億のため息がでたことでありましょう。 

産経から朝日、NYタイムスからワシントンポストまで悲鳴を上げました。 CNNなどのリベラル・メディアはお通夜状態のようです。

見事、右から左まで総はずしです。はい、この私も負け組です。 

アホンダラ1号さん、あなたはスゴイ。ただの願望だったとしてもスゴイ。アホンダラ1号のHNは永久欠番とします。 

日本でこれを当てたのは、有本香氏、木村太郎氏、藤井厳喜氏、西村幸佑氏、倉山満氏、そして三浦瑠麗氏などほんのひと握りでした。

当てたのは傾向として、米国に厳しい保守系論者です。

いわゆるリベラル系は、香山リカ氏を先頭にして、ハルマゲドン到来状態のようです。

リカ先生はこんなツィートをしています。https://mobile.twitter.com/rkayama/status/796214254273597440?p=v

「泣かないで気持ちタフにして、せめて祈ってほしいです…「トランプ大統領誕生後の日米関係」とかの先読み予測も「ヒラリーは何を読み間違えたのか」とかの振り返り分析もまだ見たくないです。」

Photo出所:My Big Apple NY via Fox

 はいここで、希有の目利きとなった三浦氏からのひとこと。
https://mobile.twitter.com/lullymiura?lang=ja 

Keep Calm and Carry On  

英国が大戦直前に国民に向けた標語だそうで、2000年頃に再発見されました。 

意味は、「平静を保ち、普段の生活を続けよ」です。 

せっかく三浦さんが「平静に」と言っているのに、翁長氏は、なにをはしゃいでいるのか、トランプに面談を求めて訪米するそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161109-00070420-okinawat-pol

あの「沖縄県駐米大使」が無能で米国になんのパイプもないことくらい、翁長さんだって思い知っているでしょうに。

あのね、今、世界で一番の時の人が、日本の首長なんかに会ってくれるわけないしょ。(苦笑)

この人の夜郎自大というか、オレはビッグだぜぇ意識って、どこから来ているんでしょうかね。 

どうせ辺野古移設計画を中止してくれ、と言いに行くのでしょうが、翁長さん、トランプならこう言うでしょうね。 

Onaga Who? 

え、あんまり色気がないって。ならば、こうかな。 

「ガバナー・オナガ、あたしゃ、キミが好きなハトヤマとは正反対なんだ。

オレはビジネスマン。理想じゃ動かない。得か損かでしか判断しないんだよ。 

いいよ、いいですよ。移転は米国も金がかかるし、機能的には劣化するし、反米感情も強くなるようだから、これは損。移転は中止しましょう。 

ん、なに?普天間も撤去してくれ?いいよ、いいですよ。 

聞けば、毎日中ゲート前でゲラアウトと叫ばれているようだから、損ですから、本気でゲラアウトしちゃいましょうかね。

というわけで、移転は中止、しばらく普天間を使わせてもらって、やがて出ていきますよ、言われなくたって。 

しばらくもいやだって、すぐ出て行けって。何いってんの?

うちらの国はあんたらを守ってやるためにカネとヒトだしているのに、感謝の言葉ひとつないで、その言い方はねぇだろう。 

必要な期間は居て、その気になったら出て行きます。

その時期は一介の知事ごときあんたとじゃなくて、日本国政府と協議します。

出て行くに際しては、日本政府に立ち退き料だの移転コストだのを相談せにゃならんからね。

そうそう、日本にはTHAADも売りつけなきゃいかんし、いろいろ買わせるもんが沢山あるんだった。

それをキミの県で払ってくれんの? 

払ってくれるなら、じっくりご相談しましょう。ただそっちの要求だけ言いにくるような奴は損。時間の無駄。帰る扉はあそこだ。

こっちとら、ジエータイが海兵隊の代替になるかどうか、知ったこっちゃないですからね。得か損。それだけ。 

日本の防衛に穴が開くって日本政府はいうでしょうが、オナガさんはコミュニストだから別にそれでいいんでしたよね。 

え、コミュニストじゃないって、コンサバだったの、ウッソー!おー、ソーリー。ガハハ」 

チャンチャン♪ 

まぁ:今のは冗談ですが、いきなりってことはないですが、駐留軍経費の負担増から始まって、あれこれ言ってくるでしょうね。 

日本としては、今の海兵隊の撤退プロセスが一気に加速されることは覚悟すべきでしょう。 

なにせとっくに決まった規定の計画ですからね。 

グアムに9000人、ハワイ州も2700人受け入れると言っていますし、オージーも色気がありそうですから、一気に進むでしょう。 

ただし、トランプは「海軍350隻体制、海兵隊5割増し」などと外征型軍隊の増強も口にしていますので、正直よくわかりません。

日本としては、駐留軍経費総体を引き下げて、独自防衛の強化にシフトするしかないでしょう。 

こんな時に辺野古の埋め立てなんかで、3000億円の無駄金をかけている余裕はありません。 

すっきりと陸上案にして工事を進めることです。これなら海上埋め立ての3分の1以下、やり方次第では1年程度で出来てしまいますからね。 

第一、コストがまるで違います。 

シュワブかハンセンの兵舎ぶっこわして更地にして、滑走路と航空付属施設を作るだけですから。 

嘉手納以南の基地返還交渉も前倒ししましょう。

そうなってくるといよいよ、振興予算は上積みどころか、減額ですか。しゃーないですな。

基地がなくなるに連れて、沖縄は「普通の県」になっていきます。いいことです。 

その代わりと言ってはナンですが、米軍がフェードする以上、代替として在沖自衛隊は強化されることになるのは決定的流れです。 

今は旅団規模しか駐屯していませんが、師団規模に増強されることだと思います。

日本も真剣に核武装について、おおぴらに議論をしていく時期になりました。

私は核武装には反対ですが、議論だけでも意味があります。

ちなみにTPPなんかチャラです。米国が加わらないTPPなど、イチゴのないショートケーキですから。 

ま、オバマが任期中に批准してくれれば別ですが、無理でしょう。

というわけで、今日のご教訓。

いつまでもあると思うな日米同盟。皆んなで渡ったその先に待っていたのはただの崖。(乱調)

まぁ、今日は皆様で議論ください。

追記 マイク・ホンダ、落選。上品な私としては言いたくはないが、やはりざまぁみそ漬け。

 

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高江問題 報道と過激暴力集団とのコラボ

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昨日は嬉しい出会いがあったために、ひとり祝杯を上げてしまって二日酔いです。 

うぃ~、なにも思いつかんぞ・・・(笑)。 

私がいつ寝ているのかなどという余計なお節介が書き込まれていましたが、ブログを書くようになった6年前頃から夜は8時くらいにお休みなさいで、朝というか真夜中の2時、3時にノソノソと起きて、記事の仕込みを始めます。 

だいたい脱稿は6時を目指していますが、テーマによっては七転八倒して7時近くになることもあります。 

仕事開始は夏は7時開始なので、もつれ込むと泣きながら書くハメに。 

8時くらいの書き込みに、「オジイチャン、お休み」なんて書かれましたが、馬鹿め、オレはその時間は仕事だ。 

「四六時中PCに向かっているネトウヨ」だなんて書き込まれたこともありますが、あのボク、昼間は表で お天道様の下で働く農業者なんですが。 

早く校了できれば、カメラを持って湖に走っていけますが、ここのところ厳しいですなぁ。 

さて、高江を巡って若干の動きがありました。 

沖タイ11月8日です。

「東村高江の米軍北部訓練場工事用道路で侵入防止フェンスを設置していた沖縄防衛局職員(42)に暴行を加え、けがを負わせたなどとして、県警警備1課は8日、東京都の無職の男(43)=別の容疑で起訴済み=と、三重県の職業不詳の男(63)、名護市の職業不詳の男(54)を公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕した。
 逮捕容疑は8月25日午前8時20分ごろ、通称「N1裏地区」付近で、工事現場への侵入防止フェンスを設置していた男性職員の体を引っ張り、手足を押さえつけて激しく揺さぶるなどの暴行を加え、男性に頸椎(けいつい)捻挫と右腕打撲のけがを負わせた疑い。」

沖タイはなぜか名前を伏せていますが、この「東京都無職43歳」というのが、添田充啓容疑者(高橋直輝)です。 

執行猶予中の再逮捕ですから、今回は臭い飯となるでしょうね。

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 上の映像でシャツから入れ墨を見せている男が添田です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-d19e.html 

横にいるのは、おそらく山城博治容疑者のようです。 

自称元山口組(ウソみたいですが)、しばき隊分派「男組」組長のコワイ人です。 

本土では野放しで在特会狩りに勤しんでいましたが、その手法をそのまま高江に持ち込んで暴力事件を引き起こした事になります。

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上の写真は在特会の桜井誠氏と見られる人物が、集会が終わったあとに地下道で襲撃されている映像です。

この動画には添田が、手下を連れてダースベイダーよろしく登場するのが見られます。

反ヘイト法が実施されて、することがなくなった添田たち「男組」を高江に送り込んだのは福島瑞穂氏だとわかっています。

ここから時系列で見てみましょう。 

添田が現地・高江に入ったのは7月末か、8月初めだと推測されています。

ほぼ同時期にTBS報道特集の金平茂紀キャスターが、高江現地入りしています。

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そして8月5日のN1裏テントにおいて、あの忌まわしい山城容疑者が主導したリンチ事件が発生しました。

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なぜ8月5日に起きたのかといえば、防衛局が反対派テントに対しての撤去期限としていたからです。

だから防衛局職員が張り紙をしに反対派テントに向かい、あの暴行を受けたわけです。

まったく同じ時期に金平氏は、安次嶺氏を「地元住民代表」としてインタビューしています。

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このインタビューの中で、安次嶺氏は5年前に越してきたと述べています。

第1期工事は9年前から開始されていますから、安次嶺氏はちょうど第1期工事の完了時期に合わせたように移住してきたわけです。

もちろん第2期工事が始まるのは知り得ていたはずで、なぜわざわざN4地点から「400m」しか離れていない場所に越して来たのか謎です。

何も知らない本土からのロハス志向の家族ならありえるでしょうが、安次嶺氏がそれまで住んでいたのは普天間、嘉手納です。

爆音がどのようなものか、知らないはずがありません。

つい勘繰りたくはなりますが、裏が取れないためにここまでとします。

それはさておき、金平氏が8月5日に防衛局がテント立ち退き勧告に来るという重大情報を知らないはずがなく、高江に居ながらもしN1裏テントにスタッフを派遣していなければ「特オチ」です。

おそらく金平氏はこの暴行事件を知りながら、「不都合な真実」は隠蔽することに決めたのでしょう。

高江はあくまでも、「暴力的な機動隊が非暴力の市民に暴力をふるっている」、下の地元紙のようなイメージでなければならないからです。

金平氏は下のような場面を撮りに現地に来てみたら、正反対に暴力をふるっていたのは反対派だったというわけです。

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ですから、金平氏は、ちょうど去年、本土の反ヘイト運動や、去年の安保法制デモの裏側で、添田たち「男組」が暗躍して暴力をふるっていたのを意図的に見過ごしたように、今回も彼らをあえて視界からはずしました。

8月10日にも、映像に添田が映り込んでいるのが確認されています。
https://www.youtube.com/watch?v=RiC9Mt15Lbw#t=100 

そして今回の逮捕容疑となった、下の映像の8月25日の職員暴行事件へとつながっていきます。
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そして金平氏は9月9日には、添田容疑者と「ホットケナイ、ないちゃ~大作戦会議」で同じ報告者として共に登壇しています。

金平氏に客観報道をしろなどと野暮はいいませんが、それにしても都合の悪い事実は伏せて、見せたいことだけ報じる姿勢はいかがなものでしょうか。

その上暴力沙汰を起こした添田容疑者と共に集会で演説するとなると、報道者の則を大きく逸脱したことになります。

これでは報道と過激暴力集団とのコラボではないですか。

地元2紙の暴走ぶりはつとに有名ですが、このようなメディアと反対運動との癒着によって、かえって解決を遠ざけてしまっています。

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昨日の記事の雑感と高江反対運動のふたつの「神話」について

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昨夜も荒れましたね。毎度のことながら、心底がっかりします。

篠原氏が訪問されたのは嬉しい驚きでしたが、氏に対する悪口雑言は聞くに耐えないものでした。

島をあれだけ愛している人が、かくも無残に詐欺師よばわりされる・・・。

島左翼は、島としっかり距離を開けた本土の保守知識人には、なんの反応も示しません。

彼らは手厳しく辺野古や高江の狂態を批判しているのですが、聞こえないそぶりです。

金平氏や佐藤氏のように、島左翼の耳に快いことをいう者は歓迎されます。

一方篠原氏のように島をよく知り、島の空気と風景、音楽、そしてなによりも島人を愛した人が、「少しやりすぎですよ」ていどのことを言っても、すさまじいネガティブ・リアクションを見せます。

私も似たような罵声を浴び続けていました。

だから、高江について書くのは正直言って極めて憂鬱で、長い時間書かないでいたほどです。

必ず荒らしが相当件数来るからです。

正当な批判があるなら、真正面から証拠と数字を上げて反論すればいいのに、まずは口汚く罵ることから開始するから困ります。

こういう人たちは、よほど自分が生息する行動範囲の中で甘やかされているのでしょう。

なにを言ってもいい、なにを書いても許されると思っているようです。

あるいは、よくある自分が「絶対的正義」とでも勘違いしている「正義真理教」なのかもしれません。

私は昨日の記事において、篠原氏の現地取材を引用する形で書いています。

そしてそれを根拠としたと記事中で明記しています。

篠原氏の功績は、思い入れ過多か、ともすれば上っ面だけの論評が多い沖縄評論が溢れる中で、正確に沖縄社会の内面にある矛盾を鋭く分析してきたことです。

特に、振興予算が沖縄社会の宿痾の根にあって、それが保革を超えたいわば「役割分担」から生じているという指摘は、かつての私にとって鮮烈でした。

また基地問題を、「騒音と米兵犯罪に苦しむ人々」という平板な描き方から、基地と折り合いをつけてきた島人のしたたかさと絡めて一歩掘り下げたのも氏の功績です。

氏の詳細な資料検証に裏打ちされた議論は、たいへんに説得力があります。私も大いに学ばせていただきました。

立場は左右に傾かず、いわゆる保守の人から見れば、むしろリベラル寄りでしょう。

氏も私も共に、辺野古移設には懐疑的であって、むしろこのような新規の埋め立てはやめるべきであるという考え方です。

さて、反対派の皆さん。

私に対してもそうですが、反論があるなら、汚い罵倒語で唾を飛ばす前に、落ち着いてエビデンス&フィギュア(証拠と数字)を明示して議論を仕掛けてください。

多くは、いわば「バロー、バロー、ネトウヨ死ね」という中坊の喧嘩レベルで話になりません。
よくて琉新か沖タイ記事の丸写しで、自分の思考で格闘した形跡がゼロです。知的頽廃ではありませんか。

昨日の記事では、「高江集落から400mしか離れていない場所にヘリパッドを作っている」という通説に挑みましたが、その反論の挙証ひとつなくただ罵倒するだけでした。

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改めて確認してみましょう。

ある反対派のツイートは昨日になっても、相変わらずこういう言い方を続けています。

「オスプレイ・パッドから一番近い民家は4~500mのところなのですが、家が揺れる被害で、23時近くでも飛びます。今は2パッドのみの使用ですが、今やっている建設が完成してしまうと年間の訓練回数が4,700回になるのです。」

その「400mの民家」が上図の赤点です。

ここは安次嶺氏宅で、そこを起点として400mの円を描いたものです。

さらに拡大します。

画像をクリックすると大きくなりますので、拡大してみてください。

人家まばらというよりも、集落から隔絶した山中に安次嶺氏宅があるのがわかるでしょう。

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N1地点は白い線に見える道路の西側で、ヘリパッドは画像にも丸く写っていますが、どう見ても400m以上あるように見えます。

そこで、私は集落全体は平均2㎞以上ヘリパッドから離れていて、「400m」という一人歩きしている数字は、あくまでも集落の外の安次嶺氏宅からもっとも近いN4地点「だけ」のものだと書きました。※N1と誤記していましたので修正しました。

これでは、「極端な例の一般化」という詭弁だといわれても仕方ないでしょう。

もし違うなら、どうぞ集落全体から「400m」だという証拠と数字を見せて下さい。

出せないのに食ってかかるのはお止めなさい。見苦しい。

実は高江の反対運動は、ふたつの「神話」によって支えられていました。

ひとつは、今述べた集落から「400m」という近傍に、政府はヘリパッドを作ろうとしているから暴挙だとする点です。

ある本土の青年のサイトにはこうあります。

これが本土の高江についての、心優しき人の平均的認識です。http://blog.goo.ne.jp/suzuki_juju/e/7350b1a0ef405ee3ee27125ca70db3d3

「このSACO合意の内容、高江の方に何の説明もなしに決められてしまっていたものなんです。
集落に一番近いヘリパッドは、民家から400mの近さ。自分の家から近い場所に米軍のヘリパッドが出来ると新聞でいきなり知ったらびっくりしちゃうよね。何でそれ、先に言ってくれなかったんだ!となるのは当然のこと。」

ほら、「民家から400m」がひとり歩きしていますね。

この人のイメージでは、集落民家の軒スレスレに飛ぶオスプレイの姿が見えたのかもしれません。

しかし私たちが検証したように事実は、高江集落はどのヘリパッドからも平均2㎞以上離れていて、しかもその間に分厚い防音壁のような原生林が入っているなら、事情は違ってきます。

そして東側のN4地点は、既存のLZ17ヘリパッドの整備増設にすぎません。

これを「新航空基地」と呼ぶのはいかがなものだと思いますが、かねてからN4地点ではCH46の訓練が頻繁に行われていました。

代わってオスプレイとなるわけですが、どちらがどううるさいのかは、今後の騒音調査を継続的に行う中でわかってくるでしょう。

そしてふたつめの「神話」は、オスプレイが「殺人機」だということです。

これについて詳細に検証しました。まだし尽くしていませんが、今なおわが国でオスプレイを「殺人機」だとするような専門家はひとりも存在しません。

言っているのは、沖縄左翼と地元紙、あるいはその界隈の識者だけだと指摘しておきます。

このようなことから、私は反対派が叫ぶような、「高江にはもう暮らせない」(琉球朝日放送における安次嶺雪音氏の発言)という主張はプロパガンダにすぎないと結論づけました。

そして私は、「高江を守れ」といいながら、ムラの生活道を封鎖したりする行動に象徴されるように、住民不在、いや住民の生活を奪うような反対運動はいかがなものでしょうかと言っているだけです。

私はいくつもの本土での自然保護運動をみてきました。私自身参加しています。

しかし、私は辺野古や高江のような、実力で衝突するような運動はひとつも知りません。

たとえば、勝利した自然保護運動には、瀬戸内海の景勝地「鞆(とも)の浦」(広島県福山市)の埋め立てと架橋建設計画についての反対運動があります。

元の人たちが中心になって、地道に訴え続けて理解の輪を拡げていったのです。

行政との対話も積極的に行ってきました。

高江のように、外部から「お前の村を守ってやる」と叫んで大挙して押しかけ、国有地を勝手に伐採して重機でならして、テントを建てて居ついてしまったのではありません。

本土の自然保護運動において、現地拠点づくりに重機で原生林を踏み荒らすなどありえないことです。

もちろん暴力沙汰がひんぱんに発生し、リンチ事件までに発展するような高江のような事態も、聞いたことがありません。

どうして沖縄の「自然保護運動」だけがこのように荒れるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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高江ヘリパッド 「400m」から始まる通説の検証

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昨日のコメント欄は末尾でおかしな人が乱入した以外、たいへんに興味深い内容となりました。 

テーマは「集落から400mしかヘリパッドと離れていていない」という反対派が流布している「通説」の素朴な再検証から始まりました。 

反対派はわずか「400m」の距離で、ヘリパッドが高江集落を「包囲」しているとまで言ってきました。 

そのうえ、「米軍は高江集落の住民をゲリラに見立てて、機上からの銃撃訓練の標的にしている」とまで言っていました。 

すごい想像力ですね。まさに「標的の村」です。 

では、この「400m」がよく思われているように高江集落からヘリパッドまでの距離だとすれば、確かに「集落避難」も考慮せねばならないような近距離です。 

まずは、この「400m」という妙に具体的な響きを持つ距離数字の出所から検証は始まりました。 

わかってきたのは、どうやらここか「400m」の発信源のひとつのようです。 

「現地ではすでにオスプレイの運用が始まっていて、6月には午後10時以降の離着陸訓練が集中して行われる、これまでにない状況も生まれた。
 ヘリパッドから約400メートルの至近距離に住み、「騒音で子どもたちが眠れなくなってしまった」という安次嶺雪音(あしみねゆきね)さん(45)は、中1から5歳までの子ども5人を連れ、隣村での避難生活を強いられている。
「2カ所ですらこの状態。6カ所も造られたら、高江にはもう暮らせない。政府のやり方はあまりにもひどい」(三山喬 AERA 2016年8月1日号)

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この安次嶺氏夫婦は、ひんぱんにメディアや集会に登場します。現地反対運動の共同代表です。

オーバーにではなく、高江ヘリパッド反対運動のカリスマ的存在でしょう。

上の写真は琉球朝日放送の特集番組からのものです。

「10月1日。オスプレイ帰れの声が上がる普天間基地ゲート前に東村高江の人々の姿がありました。
年間1200回もオスプレイがくる高江のヘリパッドから、わずか400Mの所に自宅がある安次嶺現達さん。反対運動をし、通行妨害だと裁判にもかけられました。今日は家族8人で駆けつけました。
安次嶺雪音さん「昨日の夜、もう子どもたちも、明日だけは学校休んでみんなで行こうって言って、朝早く出てきたんだけど」
息子「オスプレイ来たら大変だもん」
雪音さん「オスプレイ来たら、ほんとに、学校どころじゃないから、もう今日だけはちゃんと」
息子「学校、来たらもう、オスプレイの音でうるさくて授業できない、聞こえない」
息子「オスプレイ今日来ちゃうの?いやだなぁ、もう引っ越したい」」
(琉球朝日放送 「検証動かぬ基地 vol.119 強行配備1カ月 (3)高江の現状」)
http://www.qab.co.jp/news/2012110539088.html

 先日の報道特集で金平キャスターがインタビューしていたのも、この安次嶺氏でした。

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安次嶺氏たちが経営していたのが「カフェ山甌」(現在閉鎖中)です。 

では、その場所をGoogle Earthで確認してみます。 

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 続いて、この安次嶺氏たちのカフェと高江集落の位置を重ねてみます。 

高江集落の高江小中学校(沖縄県国頭郡東村高江83-8)にポイントを置きました。 

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 安次嶺氏の「カフェ山甌」の位置が、集落の中心から約3.5㎞離れた、はずれのそのまたはずれにあることがお分かりになると思います。

Google Earthでは、安次嶺氏宅の近辺に人家は見えません。 

では、高江の中心部から4㎞の円を描いてみましょう。 

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 この高江中心部からの4㎞円に、ヘリパッドの位置を重ねます。

上のGoogle Earthには1㎞の物差しがついていますから便利です。 

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すると、高江集落からヘリパッドまでのおおよその距離はこのようになります。(近い順から)

・N4まで  ・・・約1.5㎞
・H地区まで・・・約2㎞
・N1まで  ・・・約2.5㎞
・G地区   ・・・約2.8㎞

続いて、安次嶺氏たちの住んでいた「カフェ山甌」からの400m円を描いてみます。

「400m」とはいうまでもなく、安次嶺氏の主張するN4ヘリパッドとの距離です。 

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私の計測では、約600m(※)ありますが、ここで争う気はありません。当人たちがそういう以上そうなのでしょう。※1㎞から訂正しました。

このように、「400m」と言うのは、ムラのはずれの近隣に住宅ひとつない場所に住んでいた安次富氏宅からN4ヘリパッドまでの距離にすぎないのです。

これを高江集落全体で「400m」とするのは、極端な例を一般化してしまう詭弁だと思います。

高江集落からヘリパッドまでは平均して2㎞以上の距離があり、しかもその間には分厚い原生林がはさまっています。

高江現地取材をした篠原章氏は、昨日のコメントにこう述べられています。

「N4ヘリパッドは、ご指摘にもありましたように、既存のLZ17ヘリパッドの整備であり、「増設」といっても既存の施設のあったところに造られたものです。
従来からCH46の訓練が頻繁に行われていた場所ですね。騒音については個人差がありますが、仲嶺高江区長に訊ねたところ、「以前より騒音は大きいと思う」というお答えでした。
ただ、時期によって騒音の大きさは異なるようです。オスプレイの訓練が始まってから、高江小中学校では騒音を理由とした心身の不調を訴えて欠席した生徒が3名いると教育委員会が報告しているようですが、欠席期間や診断書の有無など実態はあまり公表されていません。」

今後、継続的に騒音は計測されねばなりませんが、このことによって「集落移転」などはありえないことです。

反対派とメディアは安次嶺氏というムラで特異な位置を占める人を、あたかも住民代表のように見立てるのは止めたほうがいいと思います。

というのは安次嶺氏が、新住民だからです。

そして今や安次嶺氏は運動家です。篠原氏はこう指摘します。

「民宿やカフェは奥さんとボランティア(体のいい無賃労働者ですが)に任せて、現達さん自身は高江での活動に取り組んでいます。
反対派のテント村の敷地(国有地)も、彼が重機などを用いて「造成」したものです。全国各地で開催されている基地反対派の集会や研究会の講師としても引っ張りだこです。」

さて私は、安次嶺氏たち自然の中で生きることを求めて移り住んだ人にとっては、はなはだお気の毒なことになったと同情しています。おためごかしではありません。

私もまた30年以上前に、まだ就農という言葉が珍しかった時の、極初期の新規就農者だったからです。

私は何度か書いてきているように、最初に農業体験したのはやんばるの森の中のとある超過疎の村でした。

結局、紆余曲折の末、今のムラに根を生やしましたが、安次富氏たちの行動には既視感があります。

篠原氏はコメントでこう書かれています。

「「自然のままに生きること」が彼のモットーでしょう。子どもを学校に通わせず、「フリースクールで学ばせている」とのことでしたが、登校すべき時間帯に村内を裸で走り回る安次嶺さんの子どもたちを見て、住民の方たちは眉をひそめていたようです。」

実は私は安次嶺氏のような新住民を、多く見てきました。

私の知っている新規就農者の一部には、自由人的というか、ヒッピーのような人が多く含まれていたからです。

その中には子供を学校にやらない、戸籍を取らせないという人たちが多くいました。※一部誤解を招く表現がありましたので削除しました。

ですから、安次嶺氏のフリークな行為は、別に驚くに値しないものです。

ただし地域の住民にとって、自分が先祖代々暮らしてきたムラを泥足で踏まれたような気分を持つ人が圧倒的多数だったのもまた事実です。

安次嶺氏について詳しくは知りませんが、おそらく容易に想像できるのは、受け入れ側の地域住民と接することが薄く、むしろ高踏的な立場から見ていたのではないでしょうか。 

地域から住民として認められるには、それなりの「掟」を守らねばなりません。

「掟」とは、たとえば安次嶺一家が消防団に入っていたかどうか、班に属していたかどうか、豊年祭りに加わっていたかどうか、あるいはPTAやママさんバレーなどの地域の組織、行事に加わっていたかどうかなどです。

安次嶺氏は過疎の村で、子供を学校に行かせないという致命的行為を犯しています。

ここが大都市ならば勝手にしてください。フリースクールでもなんでもするがいいのです。

ただし、ここは都市ではなくムラです。

離島ややんばるの過疎のムラにとって、就学期の子供は喉から手が出るほど欲しい宝ものです。

沖縄の過疎地においては、「子乞い」という言葉がいまでも生きているのです。

なぜなら、入学する子供が減り続ければ、学校は定員不足で潰れますから。

学校が死ねば、ムラも死ぬからです。そのリアリティがない人は、住民ではありません。

おそらく学校長は、安次嶺氏宅に毎日のように「学校に来てくれ」と通ったことでしょう。

ムラでは都市と違って、住民票を移せば「住民」ではないのです。

ムラの学校に通わせ、行事、祭りに参加して、初めて「住民」として受け入れられます。

安次嶺氏はオスプレイが「400m」先に来ると、さっさと店を畳んで出て行ってしまいました。

これがどういう意味なのか、わかってやっているのでしょうか。

もし反対派が言うように、これがムラが集団移住せねばならないようなムラ全体の危機ならば、決して逃げないはずです。

安次嶺は、危険と見れば軽々と「逃げる」ことができるのです。

こういう人を村人は「住民」とは呼びませんし、ましてや自分たち高江住民の「代表」だとも思っていないでしょう。

ちなみに、新規就農者が多いある地域では、放射能騒ぎがあったとたん、真っ先に逃げたのは、「大地の命をいただく」と日頃消費者に説教していた新規就農者の一群でした。

しぶとく残って放射能と戦ったのは、むしろ既存の農家でした。

安次嶺氏が「高江にはもう暮らせない」と言うのは、自由です。

しかしその台詞は、政府に対してではなく高江の住民に対しての侮辱だと知るべきです。

なぜならほんとうの住民にとって、逃げる場所などありませんから。

ほんとうの住民なら、街から高江に通じる唯一の生活道路を車両で「封鎖」するような愚挙は絶対やりませんから。

だから、安次嶺氏のようなさっさと逃げた人の口から、「高江にはもう暮らせない」などと言われたくはないのです。

■謝辞 今回、多くの知見を頂戴した篠原章氏に心から感謝いたします。またコメンターの皆さんにも深く感謝します。ありがとうございました。

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日曜写真館 金色の朝

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オスプレイは危険機か?その5 オスプレイで集落移転はありえない

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高江のヘリパッドについて、HN小百合さんから質問がきています。

お答えしていく前に、私のスタンスみたいなものを明らかにしておきます。 

私はかつて霞ヶ浦再生運動に関わってきました。 

こう書くとご想像いただけるように、私は環境破壊は最小限にとどめるべきだという考えの持ち主です。 

ただし、人間が社会生活を営む以上、「ゼロ負荷」はありえません。 

それは人類という貪欲な生き物が地球の支配者であるかぎり、残念ですがそれは避けられないことだからです。 

人類は存在して、生活し生産すること自体が、既に地球の異物です。

人類が滅びてもいい、地球環境が残ればいいというのでは意味がないのです。 

人間の営みを完全否定してしまえば、それはスッキリとクリーンになりますが、それによって人類がなんらかのリスクを受けるなら、環境負荷リスクを押してでもするべきな場合があります。 

要は、環境と人間の営みとの間の緊張関係、言い換えれば<折り合い>の問題なのです。 

環境負荷より、社会的ベネフィット(利益)が大きいならば、慎重に環境への影響を計った上で、実施することも否定できないでしょう。 

この<折り合い>のことを、「リスク評価」と呼びます。 

ですから、私は両極端を排除します。 

方や、「一本の草も枯らしたらダメだ」という超理想論があり、一方は「大の虫を活かすためには小の虫は潰してかまわない」的な悪しき現実主義がありますが、共に極論です。 

そのようなわけで私は、辺野古問題については海の埋め立ては下策であって、回避可能ならばより環境負荷が少ない陸上案にするべきだとかねがね主張してきました。 

ただし、左翼の人たちはもはや「次善」という概念を失くしてしまったようで、「絶対反対」という硬直した立場から出てこようとしません。 

本来、反対派のほうから積極的に政府に、「こうしたらもっといいんじゃないか」といった具体案を提示すべきなのです。 

ところが、この土壇場の時機になってもあいもかわらず、「全基地撤去・安保反対」一本では話になりません。 

彼らは環境問題を、政治の道具にしてしまっています。

とくに共産党には辟易します。

下の写真は共産党・吉良佳子議員のサイトからのものですが、「安全であろうが、なかろうが」だそうで、ここまで来るともはやドグマの域に達しています。

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一方、政府も別の意味で硬直しています。

せっかく提案した「和解」期間も、現行案の説得一本だけならばうまくいくはずがないではないですか。 

公明党を表に立ててでもいいから、禍根を残すだろう現行案の修正を計るべきです。 

高江ヘリパッド問題も、結局は同じことなのです。 

新たにヘリパッドを作るリスクと、作ったことによる社会的利益を天秤にかけていただきたいのです。 

4000ヘクタールもの手つかずに等しい原生林が、国民の手に戻ってくるというのは素晴らしいことです。

沖縄本島の原生林は、日本唯一の亜熱帯域の宝石のような原生林です。 

この認識において、私は環境的反対派と意見を同じくします。

ただし、ここから先が違います。

今まで軍事目的でしか利用されてこなかった原生林が、その軛からはずされることによって、様々な学問研究も含めた民間利用が可能となっていきます。

一方リスクは、直径45mの着陸帯と外周囲15mのヘリパッドを6箇所、計3.2ヘクタール分を作ることにすぎません。

ですから自然環境の天秤では、<利益>のほうが<損失>よりはるかに上回ると、私は評価します。

次に、反対派が言うような「集落移転せねばならない」ような、住民に対しての社会的損失を伴うものかどうかという事になります。 

HN小百合さんの質問にお答えする形で考えていきます。

「人が住む集落から400mのところ、囲むようにオスプレイも利用するヘリパッドが作られようとしていますが、世界的にも居住区の近くにこのような訓練施設が作られたという前列はあるのでしょうか」 

現在のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)は、こういう配置になっています。

Photo_2沖縄タイムスによる

選定理由は以下です。

Photo_3同上

上の沖タイの資料によれば、新たに6カ所という言い方が誤解を呼ぶ表現で、N4・1 N4・2は、既に「既存着陸帯の中に整備された」と記してあります。

つまり既存のヘリパッドの増設であって、新設ではありません。

いま、反対派が集結しているG地区は、専門家が既に「環境影響が最小限になる」点を選んでいます。

同じくH地区も選定理由は、「環境影響が小さいこと」です。

つまり政府は、そもそも選定基準として「環境負荷が少ない」ことを真っ先に考えているわけです。

ところが、反対派は民家から400mの近距離に作ろうとしていると主張しています。

そこで、ひとつ疑問なのですが、よく反対派の中で流布されている「400m」という数字ですが、ソースがわかりません。
追記 HN千葉県民さんのコメントには2016年7月28日付のアエラだとあります。
150人の村を500人の機動隊で制圧、混乱続く沖縄のヘリパッド ...欄外一部引用

高江のどの集落からどこの建設予定地までの距離なのでしょうか。

※追記 航空法については私の勘違いでしたので、この部分を削除しました。ひこーさん、ご指摘、ありがとうございます。

一説では数㎞という説もあり、私自身迷うところです。

次にヘリパッドは、反対派が言うような「新たな航空基地」ではありません。

たかだかというと怒る人もいるでしょうが、たまに使うこともある緊急用、あるいは訓練用「場外離発着帯」にすぎません。

年間休日を除いて、毎日使われ続ける本格的航空基地ではありません。

たまに訓練の時に必要があれば使う程度で、その頻度は比較すること自体馬鹿げています。

かつての厚木基地周辺住民としての経験から言えば、離発着する騒音もさることながら、参ったのは整備時に出すエンジンテストのドギャーといういうような爆音でした。

高江には普天間基地と違って、エンジンテストがありません。

しかも利用するのはヘリ、ないしは、オスプレイです。

これが双発のジェット戦闘機かなにかならば、反対派が言うように「集落移動」もやむなしでしょうが、たかだかヘリです。

こう言ってしまえるのは私は何度か書いてきましたが厚木基地という全国屈指にうるさい米軍基地のすぐ脇で育ったからです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-1e6a.html

Atsugi

米海軍厚木基地

この厚木基地の写真をみると、滑走路まで数百メートルていどですね。

しかも運用されているのは4発固定翼機とヘリ、そしてカミナリの親玉のようなジェット戦闘機などです。
大和市/厚木基地の航空機騒音などの問題

自慢になりませんが、厚木にいるF/A-18Eスーパーホーネットは大和市・綾瀬市の騒音測定器で最高120デシベル(ビル工事現場)を記録しています。

それに対して、オスプレイの騒音については以下の資料があります。

Img_4556米軍環境レビュー

ヘリの騒音を間近で聞いた方はおわかりでしょうが、ヘリはたいへんに遠方からうるさいバタバタというローターが空気を叩く音を出しながら接近してきます。

ヘリの騒音はエンジンではなく、この空気が叩かれる音(ラップ音)にあるのです。

オスプレイは飛行中は固定翼機なので、ブーンという音しか出しませんから、ヘリより静かだと実感できるわけです。

巡航中のオスプレイは高度1500mで77デシベル、低空の75mで93デシベルです。
※図はフィート表示。1フィート≒0.3m

またオスプレイ着陸地点から150mの騒音は、上図の中段にありますが94デシベルです。

以上の資料は米軍が作った環境レビューに乗っているものです。米軍は慎重に飛行ルートと、着陸地点の環境アセスメントを実施しています。

2012年6月にまとめられたもので、220頁にもなる膨大なものです。日本語の仮訳もあります。

もう一点、高江ヘリパッドが普天間と異なる点は、平坦地ではなく、集落との間に原生林の壁が長く伸びていることです。

森林は大きな遮音壁になります。仮に着陸地点で94デシベルあったとしても、相当に減殺されているはずです。

遮るものがスカスカのフェンスしかない普天間より、はるかに静かではないでしょうか。

私はオスプレイが際立って静かだとはいいませんが、「集落を移転する必要がある」とは到底思えません。

もしそうなら、厚木や嘉手納周辺など、とっくに無人地帯になっていますからね。

お答えになったかどうかわかりませんが、遺跡、植生等への影響については長くなりましたので、とりあえず別な機会に回します。

 ■参考資料 MV22の沖縄配備及び日本での運用に関する環境レビュー
2014年4月

 ①エグゼクティブ・サマリー
 
http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/02_MV22.pdf
 ②本文
 
http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/04_MV22.pdf
 ③MV-22オスプレイ環境レビュー等データ集
 
http://www.oki-kan.net/pdf/MV22/03_MV22.pdf

■朝日新聞アエラ
2016年7月26日

「(略)ヘリパッドから約400メートルの至近距離に住み、「騒音で子どもたちが眠れなくなってしまった」という
安次嶺雪音(あしみねゆきね)さん(45)は、中1から5歳までの子ども5人を連れ、隣村での避難生活を強いられている。
「2カ所ですらこの状態。6カ所も造られたら、高江にはもう暮らせない。政府のやり方はあまりにもひどい」
 翁長知事は沖縄基地問題の根源を語る時、米軍統治時代に行われた土地接収を指す「銃剣とブルドーザー」という歴史的形容をしばしば口にする。(略)」

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オスプレイは危険機か?その4 オスプレイは「普通に安全な機体」です

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シンプルな真理ですが、正しい正当性のある要求は受け入れられるでしょう。 

逆に、間違った知識を基にする要求は、受け入れられずに無視されて、やがて消えていく運命にあります。 

要求されても、それが事実でない以上、政府は受け入れようがないからです。 

ですから、間違った知識と、そこから生まれる歪んだ正義感は、簡単にドグマに転化しやすいのです。 

私は沖縄基地反対派が、4年前のマスコミの流行に乗って、「オスプレイ反対」を基地反対のすべての根拠に据えてしまったことは、大きな失敗だと思っています。 

「すべての根拠」がオスプレイだって、そりゃオーバーじゃないか、と思われるでしょうが、では思い出してご覧なさい。 

普天間基地の撤去要求は、住宅地の真ん中にあったということと、「オスプレイが飛んで来る」という恐怖心が中心になっていました。 

もちろん、反対運動はあの忌まわしい少女レイプ事件が背景にありましたが、それは怒りの火薬庫に点火したきっかけにすぎませんでした。 

高江ヘリパッド反対運動などは、もっと直接に「オスプレイパッドを作るな」をスローガンにしています。 
Photo_7
https://henokorelay.wordpress.com/2016/04/13/416takae/

こんな「オスプレイ危険機」論だけを頼りにして運動を煽ると、オスプレイのハードウェアとしての安全性が証明されるにつれて、「あれ、なんで反対してたんだったっけ」となっていくことになります。
 

一方オスプレイ配備に賛成している人たちにも、「安全保障上必要なんだ」と大きな網を被せたような言い方をする人がいますが、いかがなものでしょうか。 

こういう言い方をすれば、「なぜ、沖縄だけが大きな負担を被っているのだ」という、定番的反対派の「民意」とまったく噛み合いません。 

こういう議論をしている限り、基地問題と機体の安全性の混同はほぐれていかないでしょう。 

ですから私は、切り分けて考えてみようと提案しています。

基地問題とオスプレイの機体の安全性は別次元なのです。 

ほんとうにオスプレイは「危険機」かどうかについては、機械工学的なハード面のことですから、心理的尺度と違って明確に定量的分析が可能です。 

いままで何回か書いてきましたが、私はオスプレイが「絶対危険だ」というのが誤りなように、逆に「絶対に安全だ」という立場にも立ちません。 

安全性を追及する中で、事故は減っていくのです。 下図は、沖縄に配備されているMV-22オスプレイの事故率で、飛行10万時間あたりの重大事故率を示しています。 

Photo防衛省

 重大事故はクラスAというカテゴリーですが、上図作成時からハワイ事故でやや上昇して、今はちょうど3~4の中間ていどです。 

よく保守派の人は、「オスプレイは米軍全体でもっとも安全な機体のひとつだ」くらいにいいますが、それは言い過ぎです。

まぁ、それほど突出して低いわけでもなく、かといって「未亡人製造機」でもなく、要するに「普通に安全な機体」だと考えて下さい。
 

ただし、世界に200機以上飛んでいるオスプレイを「危険機」だという反対運動があるのは、私が知る限り世界でもここ沖縄だけです。 

かつてメディアは、「オスプレイは未亡人製造機と呼ばれている」と盛んに言っていましたが、それはすべて開発過程のことです。 

沖縄では知られていないようですが、海外では英国にもオスプレイが配備されていますが、ビッグベンの横を飛行したりしている写真もあります。 

Photo_2V22 Osprey Flies Over Big Ben 

ちなみにマンハッタンの上空を飛んでいる映像もありますし、オスプレイのようなティルトローター機を使ったミニ飛行場も計画されています。 

Photo_3http://book.geocities.jp/bnwby020/osprey120927.htm

欧米では、オスプレイのようなティルトローター機の開発は次々に公表されていて、反対運動どころか、市民の日常生活に溶け込もうとしています。 

今後、騒音がうるさく、しかも鈍速なヘリに変わって垂直離発着機はティルトローター機が主流になると思われます。 

Photo_4http://book.geocities.jp/bnwby020/osprey120927.htm...

ではどうしてこのような、オスプレイ=「危険機」というデマが生まれたのでしょうか。 

それはオスプレイが、ティルトローター機の先駆けだった事にあります。 

ティルトローター機とは、主翼先端のナセルというエンジン格納部分を、垂直離発着するときは、グルリとティルト(傾ける)ことができる航空機のことです。

ティルトって言葉は、ティルトハンドルとかカメラのティルト液晶モニターなんかでよく聞くでしょう。

Photo_8防衛省http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/kaisetsu/

離発着時はまるでヘリのように、そしていったん空中に飛び上がれば固定翼機のようにビューンと飛んでいくことができます。

航続距離もへりより長いので、「速い、長い、静か」という三拍子が揃ったことになるわけです。

技術的に新機軸だったので、1980年代に開発が始まり、配備されたのは21世紀に入ってからでした。 

すべての航空機は、開発・試作段階から配備初期に事故が起こりやすいと言われています。 

また、機体が老朽化すると再び事故率が上がっていきます。 

この現象を、「故障率のバスタブ曲線」(故障率曲線)と呼びます。

これは小はスマホから、大は航空機やロケットまで共通の現象です。
 

Photo_5 http://eetimes.jp/ee/articles/1207/26/news014.html 

バスタブ曲線を押さえておきましょう。

「故障率曲線とは、機械や装置の時間経過tに伴う故障率 の変化を表示した曲線のこと。
その形からバスタブ曲線と呼ばれて、時間の経過により初期故障期、偶発故障期、摩耗故障期の3つに分けられる。」

故障率曲線 - Wikipedia

オスプレイ反対派が持ち出す数字や映像の大部分は、この「初期故障期」のものです。

反対派はオスプレイ憎しに凝り固まってしまったために、 事故分析のイロハであるバスタブ曲線も勉強していないようです。

試作段階での事故や、初期故障だけ切り取ってプロパガンダすれば、いつまでたってもオスプレイは「未亡人製造機」なわけです。

一方、普天間基地で沖国大に落ちたCH53などは、自衛隊の用廃機から部品をもらっているような老朽機で、典型的な「磨耗損傷期」にあたっています。 

また、事故率を多くみせかける手法としては、事故の度合いを考慮せずにひとくくりにしてしまう方法です。 

よく、「量産決定後の2006年-2011年の5年間で58件の事故が起こっている」という言い方をする人がいますが、こういう言い方を聞いたら眉に唾をつけて下さい。 

この58件という数字は、実は空軍仕様のCV-22と海兵隊仕様のMV-22の事故件数を勝手に合計し、しかもクラスA(重大事故)4件、クラスB(中規模事故)12件までもを合算した数字なのです。 

配備後に起きたクラスA(重大事故)は、海兵隊型MV22に限って見ると3件です。 

もっと水増ししたいのなら、クラスC(小規模事故)まで入れれば20件以上増えて見えます。 

なお、クラスCとは、「整備士が整備中に作業台から滑って転落」のような、オスプレイの性能とは直接関係のないうっかり事故までが多数含まれています。 

では、海兵隊型オスプレイの重大事故である、モロッコとフロリダ、ハワイはどうかといえば、先日の記事で述べたように人為的操作ミスでした。
MV-22オスプレイの沖縄配備について - 防衛省・自衛隊

モロッコ事故などは、「これぞオスプレイが危険な証拠」と騒がれましたが、背風15~27ノットで離陸しようとしており、これでは固定翼はもとよりヘリコプターですら離着陸はしないでしょう。

現時点で冷静に判断すれば、オスプレイの機械的欠陥は発見されていません。

いや、米軍や日本政府は何か隠しているという陰謀論に立つのは勝手ですが、もしそんなことがバレでもしたら国防長官の首が飛ぶ程度では済まない大スキャンダルです。

機体の欠陥が見いだせなくなると、「オートローテーションができないので危険機だ」とか、「低周波でノグチゲラが死んだ」とか、「飛行経路が危険だ」とかありとあらゆる重箱の隅をつつくことになります。

これについては回を改めて詳述します。

それにしても、高江が最後の「オスプレイ祭り」だと信じたいものです。

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なぜ既存米軍基地内移転は退けられたのか?付録 与世田兼稔元副知事提案

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実は私も山路さんと哀しいかな、同意見です。

翁長氏が何も考えていないことは、山路氏が喝破したとおりで、ほぼ間違いないところだと思います。

翁長氏は古いタイプの島政治家であって、混迷すればするほど利権がどこからか湧いて出るとほくそ笑んでいるのかもしれません。

南島特有の「伸びきった時間尺度」の中で、解決も敗北もグダグダにしながら任期一杯まで務め上げ、「民意を掲げて全力で戦った」という言葉のひとつも置き土産にして、沖縄政界のドンにでも納まる気でしょう。

ため息が出ることに、たぶんそうなります。

これほどまで本土との深い亀裂を与えておきながら、結局、ありきたりの本土政府との補助金ゲームのワンシーンで終わるのかもしれません。

そもそも「オール沖縄」の司令塔である共産党は、「敗北」自体を頑として認めないでしょう。

無謬の党には、「敗北」の二文字は似合わないからです。

永久に「勝利」の山頂にまで石を運び上げ、そしてまた谷底に落ちた石を山頂にまで運ぶ・・・、こんなシジホスの渇き(※)に似た宿命が、共産党という世にも不思議な党なのです。※誤記したので訂正しました。

である以上、「闘争の大爆発を勝ち取った」という勝利総括しかありえず、最高裁判決がいかに出ようと、「負けたのではなく。本土の司法が不当なのだ」という倒錯した論理でグダグダにしていきます。

社大党も社民党も同じ穴のムジナである以上、これに追随し、逆に「これで本土司法も含めて、本土政府の先住民差別構造が明らかになった」として、最高裁判決すらも「独立」の燃料とすることだと思います。

彼らは、現実的な解決を望まず、永遠にあいまいな関係のまま「戦って」いたいのです。

この光景は、もう既に終わったもののように、私の目に浮かびます。

そしてどうしようもない無力感に囚われます。

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さて、10年間以上も普天間移設交渉に関わってきた、守屋武昌・元防衛省事務次官(2003年・小泉内閣~2007年・第1次安倍内閣在任)が書いた『普天間交渉秘録』という本があります。

普天間移設問題を知る上での、当事者が記した第1級の史料です。

この本の中で守屋氏が書き残していることに、この辺野古移転が決定されたいきさつがあります。

移転先は、いったんキャンプシュワブ陸上案で、本土政府と沖縄県、米国は合意していました。

しかし、この合意は一瞬にして覆されます。

地元沖縄の受け入れ自治体であった名護市と、土木業者団体を中心にする経済界が、米軍に働きかけることでひっくり返したのでした。

守屋氏の立場は、当初から県内に新たな基地を拡張することは県民感情が許さないというものでした。

だから、既存の米軍基地内移転に候補地を絞ったのです。

いかにもリアリスト官僚らしい守屋氏の炯眼であったといえます。

そもそもこの普天間移転は、橋本元首相のいわば「優しさ」から始まった綱渡りのようなものでした。

もっともこの「優しさ」もしっかりと派閥利害に裏うちされており、以後、沖縄には野中氏や額賀氏などの大物政治家が張りつき、沖縄自民党を取り込んで行くようになります。

ちなみに守屋氏が仕えた防衛庁長官は額賀氏でした。

Photo守屋武昌・元防衛省事務次官

事態は守屋氏が予想したとおりに進行します。

本土政府がいかに普天間で返還される面積が辺野古建設で埋め立てられる面積より大きい(※)と力説しても、反対派はまったく聞こうとしませんでした。※うっかりミスで逆に書いていました。教えて頂いてありがとうございます。

それは、高江のヘリパッドのように返還4000対ヘリパッド3.6という絶対的比率でも同じことだったわけです。

あくまでも既存の基地の外に出たら、その瞬間に「新基地」なのです。

もはや論理ではなく感情ですが、が故に根強いのです。

それはさておき、米軍基地内移転である以上、伊江島案、勝連海上案などは退けられました。

そして、嘉手納基地統合案も嘉手納周辺の負担増加につながるとして否定され、嘉手納弾薬庫案を経て、キャンプシュワブ陸上案に一本化されました。

この途中でこの本では触れられていませんが、小川和久氏のハンセン敷地内の旧軍チム飛行場跡地を使うハンセン陸上案も浮上しました。

守屋氏と小川氏が協調した時機もあったようです。

ここで強調したいことは、本土政府は当初から海上埋め立て案に対しては消極的であって、既存の米軍基地内での移転案こそが基本構想だったということです。

これは基地の拡張を伴わず、海の埋め立てによる環境破壊も伴わない、もっとも合理的、かつ安価な方法だったはずでした。

仮にこの案が実行された場合、「オール沖縄」が主張するすべての反対理由は消滅します。

難癖はつけられても、闘争自体成立しなかったかもしれません。

少なくとも、本土と沖縄に分断の楔を打ち込まれる原因には、ならなかったはずでした。

ところが、日本側がシュワブ陸上案でゴールする間際、守屋氏のもとに寝耳に水の新たな提案が、名護市と米軍からほぼ同時に舞い込みました。

これがシュワブ前の海を埋め立てて拡張して、そこに滑走路を作るという現行案です。

守屋氏は、この埋め立て案の真の考案者は米軍ではなく、沖縄の経済団体と名護市だとしています。

守屋氏によれば、地元沖縄側が長年の基地建設で、親交が深い米軍司令官らを動かし、米軍側の意志であるかのように装って埋め立て案を出したとしています。

米軍側は高位になればなるほど意外なほど、地元との調和を重要視しています。その一端はエルドリッジ氏解任劇でもわかります。

米軍側としては、他ならぬ旧知の仲である地元土建業者や名護市から苦情を寄せられた以上、シュワブ陸上案は持つまいと判断したようです。

米軍が反対理由としたのは、シュワブ陸上案では辺野古弾薬庫上空にアプーローチ・エリアが伸びるという点でした。

実は既にこの点も含めて検討されていたにもかかわらず、米軍を前面に立てた地元側の作戦はズバリと当たり、シュワブ陸上案はいとも簡単に覆されます。

地元と米軍に反対されて、それを押し通す力量は、いまの日本政府にすらありませんから。

そして、辺野古集落に飛行経路がぶつからないようにとL字案、V字案などに姿を変えて、現行案となっていきます。

私は普天間移設は、あまりにも沖縄らしいグダグダの時間の狭間に転落した案件であったと思っています。

この結果が、軍事基地でありながら、軍事的合理性を欠落させた「新基地」建設となるわけです。

そして、沖縄県にとっては汲めども尽きぬ振興予算の源泉であり、沖縄左翼陣営にとってはネバーエンディング・ストーリーの始まりだったのです。

共産党がこの島で常に大きな力を持ち続けているのは、このいわく言い難い本土とのグダグダの関係に正当性の論理を与えているからです。

ですから、この歪んだ本土との関係が修正されない限り、共産党は有力な政治勢力として島の一角に存在し続けることになるでしょう。

今回、公明党県連がどのような「もうひとつの移転先」を提出するのか、内容はわかっていません。

私は陸上案を支持してきました。

しかし、先日も書いたとおりその選択の幅は極めて狭く、いちど沖縄側が覆しているという歴史があることをお忘れにならないでください。

そして政権与党の一員として提案する以上、鳩山氏のように「言ってみました」ではなく、責任を以て提案し、かつ最後までその行方を見届けることを望みます。

[追記]
昨日予告いたしました、元沖縄県副知事・与世田兼稔氏の「名誉ある撤退」提案を追加いたしました。

私は昨日、公明党案と元沖縄県副知事・与世田兼稔氏の「名誉ある撤退」案を紹介しました。

残念ながら翁長氏に聞く耳があると思って、書いたわけではありません。

たぶんかつて仲井真氏とペアを組んだ経験もある、与世田氏もそうであるでしょう。

与世田氏が提案したのは、高裁が示した「抜本的解決A案」です。

ここにはこうあります。

①辺野古新施設は30年後に沖縄県に無条件返還するとの合意を米国より事前に取得すること。
②返還後は、同施設を県民空港として利用できるように国の責務で整備すること。
相当額の軍用地収入が地元に還元されるような仕組みを創設すること。
④土地所有権のうち、将来、県民空港とするに必要な土地部分については沖縄県に無償で譲渡すること。
⑤埋立工事の順調な進行が確認された場合には、キャンプ・キンザー等の返還を前倒しして返還すること。
⑥辺野古新施設の運用に関しては、その利用につき、法的拘束力を有する協定も交えて制定すること。

非常に優れた案です。

与世田氏は、こう翁長氏に呼びかけています。

100年基地を作らせないという理想論ではなく、確実に基地が返還される新たなルールを創設する名誉ある役割を担うべきだ。
最高裁の判決がでていないこの時機は、沖縄県が優位な立場で和解交渉に望める最後のチャンスだと確信している
。」

私たちの予想どおりなら、翁長氏はまったく聞く耳を持たず袋小路に飛び込み、しかもそこに平然と居すわる事になるのかもしれません。

しかし、それが現実に沖縄県民にとって基地縮小につながることなのか、と与世田氏はあえて尋ねています。

※お断り 追記で与世田氏提案を補足し、結語を差し替えました。
ついでに扉写真もいじってビビッドにしてしまいました。よーやるわ(笑)。

 

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翁長知事の三つの「出口」

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連載の途中ですが、年内に出ると言われている辺野古訴訟最高裁判決を前に、いくつかの動きが出ました。 

今日はそちらいきましょう。 

まず順を追って、今後の最高裁判決後のシナリオを考えてみることにします。

福岡高裁那覇支部は9月16日、おおむねこのように述べています。

「普天間基地の危険除去には辺野古移設以外なく、埋め立ての必要性は高い。翁長知事が埋め立て承認の取り消し処分を取り消さないことは違法」

読み間違いする余地なく、翁長知事の言い分は完全に司法によって否定されています。

しかも、この判決は「約束つき」です。

というのは、翁長知事と国は裁判前に、「判決がでたら従おうね」と約束してしまっているからです。

「是正の支持の判決確定後は、直ちに、同判決に従い(略)手続きを開始する」(和解条項9)

これでは、よくある「不当判決フンサ~イ!我々は負けないぞぉ!」というわけにはいきません。

ジ、エンド、行き止まりです。

一縷の望みとしては、最高裁判決が福岡高裁判決を逆転させることですが、まずありえないことは、「オール沖縄」の皆さんも含めてわかっているはずです。

では最高裁で判決が完敗となった場合ですが、いまだ翁長氏は「あらゆる手段で戦う」と言っていますが、ただの共産党などに対するタテマエにすぎないことは、翁長氏本人がよくわかっているはずです。

できるのは、せいぜい埋め立て作業の妨害ていどだけとなります。

左翼行政法学者はいろいろと知恵をつけるでしょうが、結果は変わりません。

結局、シャックリよろしく一時的に工事が止まっても、国が違法申し立てをすれば、裁判所は違法認定するでしょう。

最終的には、知事権限の出る余地はまったくなくなり、粛々と工事は進行します。

翁長氏と「オール沖縄」の完敗です。

以上が冷徹に見た、翁長氏が置かれた現況です。

ようやく判決まで一月を迎えて、「このまま最高裁判決を聞いてしまえば、落城となってしまいますよ、翁長さん、それでいいのですか?」と問う声が県内でも上がり始めました。

ひとつは政府与党内で、もっとも「オール沖縄」に近いスタンスに位置する公明党県連が検討しているという「もうひとつの移転案」の登場です。

強硬派筆頭の沖タイ(10月24日)が、妙な色気を見せているところが面白いですね。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/67864

「辺野古唯一論に一石? 沖縄県が公明陸上案に期待感を示す理由

本当は『辺野古が唯一』ではないのかもしれないと、国民が考えるきっかけになるのではないか」。
県幹部は、知事が会見で公明案を「全否定」しなかった理由をこう説明した。
 県にとり、現段階での公明の「県内移設案」は、日本維新の会が提案している馬毛島(鹿児島県)への訓練移転案と「同じレベル」(県幹部)との認識だ。
「今、県が賛成できるかどうかは関係ない」。政府が沖縄の民意を顧みない状況の中、県幹部は、今は計画の賛否を問わず、辺野古以外の案が提示されることを重視する。
 一方、県には、「あらゆる手法」で新基地建設を阻止する知事の考えと、辺野古以外の「代替案」が米国に“化学反応”をもたらすのではないか、との期待感がある。 
実際、米側には工事の遅れを懸念する声が出ている。
最高裁判決後も複数の知事権限を行使して工事が止まる中、別の案が日本側から出てくれば、米国内に「辺野古断念」という想定外の選択肢が生まれるのではないか、との期待だ。 だが、防衛省関係者は「米側は公明案をのまない」と断言する。
現行案よりも基地内移設の方がより集落に近いことから、「知事も陸上案を認められるはずはない」と指摘。さらに、公明が与党連立パートナーである点に触れ、「党の案として本当にまとまるのか」と実現性をいぶかしむ。」

具体的にどのような移設プランを、公明県連が念頭に置いているのかは分かりませんが、ざっと上げてみましょう。 

①従来計画案・「辺野古埋め立て案」
②シュワブ陸上案
③ハンセン陸上案(小川案)
④黒毛島案・沖縄維新(下地案)
 

①の辺野古埋め立て案は、決してベストプランではありません。

それは政府も米軍も理解しているはずです。

なんといっても美しい海岸線を埋めるという行為自体に対する、拭いがたい嫌悪感があります。

まだ手つかずの自然環境が残されているやんばるの海岸線を、あえてコンクリートで埋めることはないと私も思います。

水深も海岸からいきなり深くなるために、工事も難行を予想されます。

そしてこの難工事を押して出来上がったとしても、計画案自体が妥協の産物です。

Photo


http://obiekt.seesaa.net/article/383697707.html

3 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-18/2015031803_01_0.htmlu日本共産党資料より;

大事なことは、軍事的に見てこの移転してできるものが、「改悪」だということです。

なんといっても出来上がる滑走路が、1200m×2本(※)とハンパに短いという最大の欠陥があります。

共産党は、「新基地」を少しでも大きく見せたいために上図のように、オーバーランエリアを入れて護岸ギリギリで1800mにとっていますが、実質は1500mていどにすぎません。

また共産党は普天間にない「新基地」の機能として燃料桟橋やホバークラフトの上陸用斜面を上げていますが、筋違いです。

そんなものは本筋から離れた付加価値にすぎません。

あくまでも、今回は「飛行場の滑走路の移設」がメーンテーマであって、滑走路が従来の普天間の2800mから半分に短くなってしまっては「改悪」と呼ばれてもしかたがないでしょう。

これでは本国から飛来するC17などの大型輸送機が、ペイロード一杯で離発着できず、わざわざ嘉手納に一回荷を降ろしてから、それを積み替えて受け取りにいくというバカな事になります。

381C17大型輸送機

内陸の高地にあった普天間基地と違って、海岸に突き出した海上基地なために、少し海が荒れると基地機能停止となるでしょう。

海から上がってくるテロリストに対しても脆弱で、警備が難しくなります。

というわけで、「新基地」になったら格落ちではシャレにならんというのが、マリーンの本音のようで、そのために「移動したい隊員はいない」とまで言われています。

このためにユーザーたる海兵隊にとっては、実戦基地を機能を維持したまま引っ越すという手間の上に、引っ越し先が狭いということになって、踏んだり蹴ったりです。

だから、米軍の本音は、17年も日米交渉をしてきた手前、もういい加減にしてほしいという気持ちで、日本政府案を立てているにすぎません。

本音は住み慣れた普天間のままでいいのです。

このように埋め立て案が政治的妥協の産物であったために、軍事基地であるにもかかわらず軍事的合理性が欠落するという事になってしまっています。

また将来的にも、沖縄海兵隊は削減方向にあるために、あえて巨費を投じる必要があるのかという問題もあります。

これが私が埋め立て案を、次善の案だとする理由です。

私は、このように最高裁で仮に国が完勝したとしても、その結果不十分なものしか出来ないのなら、もっとましなものを作ることを検討したらよさそうなものだと思います。

本来、この県と国の和解期間中に、徹底的にその具体案を揉むべきでした。

10カ月もありながら、翁長氏は漫然とこの貴重な時間を消費してしまいました。

しかしまだ1カ月あります。

翁長氏にとって、「出口」はいよいよ三つに絞られてきています。

ひとつは完敗して辞任。あるいは、「オール沖縄」からも見放されてレームダック化。

二つ目は、公明県連などの出す「もうひとつの移設案」。

三つ目は「正論」12月号で公表された、与世田兼稔氏(元副知事)の提唱する「名誉ある撤退」論。

長くなりそうなので、ふたつめ三つ目の「出口」については、次回に回します。

 

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オスプレイは危険機か?その3 オスプレイ強依存症となった反対派

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このオスプレイ問題かややっこしくなった理由は、純粋に機体の安全性評価、あるいはその飛行訓練方法などをテーマとして議論されるべきにもかかわらず、ミソもクソも一緒にして「危険機が危険飛行している」と論じられてしまったことです。 

その原因は、沖縄の基地反対派に安易に同調する本土大手マスメディアが、壮絶なまでの量のネガキャンをしたためです。 

その発信源をたどると、赤旗であったり、沖縄地元2紙だったりするわけですが、ご承知のとおり、オスプレイ反対派は基地反対派と完全に重なっています。 

配備直前の琉球新報を見ると、「強行配備は差別」というおどろおどろした題字が踊っています。 

今回の「土人」発言でも飛び出した伝家の宝刀「沖縄差別論」は、この頃あたりから公然と地方紙上で叫ばれるようになってきました。

こうして生まれた「沖縄差別論」の上に咲いたのが、「民族自決論」あるいは「琉球独立論」です。

もし仮に「琉球共和国」が出来ることがあれば、政府庁舎の前庭にはオスプレイの金色の像でも建立するのですね。

Photo_2

この人たちはそもそも米軍基地に反対な人たちで、「オスプレイだから反対」なのではなく、「基地反対だからオスプレイにも反対」なのです。 

ですから、本土大手メディアは、意識的かどうか分かりませんが、反基地運動の宣伝戦に加担してしまった事になります。 

要するに、オスプレイは反基地運動にとって、絶好の「ネタ」だったにすぎません。

しかしあまりに宣伝戦が成功しすぎて、オスプレイが危険でないと証明されると、自動的に基地反対の論拠も一緒に崩壊してしまうという副作用を反対派にもたらしてしまいました。
 

つまり「基地負担を縮小するための運動」なのか、「オスプレイ反対のための運動」なのかの境がなくなってしまったのです。 

たとえば、高江ヘリパッド反対運動を見てみましょう。 

そもそもこのヘリパット建設は、米軍基地縮小計画に付随したものでした。

米軍が使用していた県の米軍基地の大部分を占める北部訓練場の約半分を返還する見返りに、日本側が国頭村と東村にヘリパッドを6カ所作るという計画でした。

・返還される面積 ・・・3987h(≒4千h)
・ヘリパッドの面積・・・ 3.6h

4000対3.6です。ケタが3ツ違います。

適切な例えかわかりませんが、「借りた4千万円返すから、3万6千円メンドー見て」というようなものです。

それを、反対派は、「3万6千円は払わないゾ。4千万も返さなくていい」、と言っているようなものです。

常識的に考えて、反対する理由づけの方が難しくはありませんか。

これをヘリパッド反対派は、強引に「新航空基地に危険機オスプレイが飛んで来る」とアジりました。

Photo_5http://www.sankei.com/west/news/160722/wst16072200...

意地の悪いことを言うようですが、上の写真(産経16年7月22日)を見ると、反対派は「オスプレイ(ヘリ)パッドはいらない」そうですので、ならば通常型のヘリ用ヘリパッドならば賛成したのですね。

CH46をスクラップ゚置き場から再生して、オスプレイの代わりに飛ばせば満足なのでしょうか。

なにが反対の芯なのでしょうか。

「オスプレイが高江に来る」ことですか、違うのですか。

それとも、「いかなる米軍基地にも反対」なのでしょうか。

こんな奇妙な絡め方を続けているから、自分でもわけがわからなくなってしまったのです。

ヘリパッドごときを「新航空基地」と呼ぶ誇大広告は置いたとしても、オスプレイ反対運動なのか基地反対運動なのか、はたまた基地返還反対運動なのかハッキリさせましょう。

オスプレイ反対運動ならば、世界でこんな運動は絶無です。

もはや沖縄一カ所しかなく、共産党は佐賀や横田でも反対運動をしたかったようですが、かつての迫力はありません。

というか本土では、この4年の間に、さすがの大手メディアにも堂々とオスプレイ危険機報道などすれば赤恥をかくていどの認識くらいは生まれたのです。

ちなみに、航空専門家でオスプレイが欠陥機だという人がいまだにいれば、どうぞその勇敢なお名前を教えて下さい。

米国におけるニューメキシコとハワイの運動は、オスプレイ反対が目的ではありません。これについては次回詳述します。

オスプレイは世界で200機も飛んでいますが、世界唯一の反対運動が、この沖縄のオスプレイ反対運動なのです。

さて第2の基地反対運動ならば、初めから「返還計画とセットになっていようとどうしようと、米軍基地だから絶対反対だ」と主張の筋を通すべきです。

ただしこの場合、基地縮小計画の一環として普天間移転や高江ヘリパッドは進んでいますので、この二者を切り離す以上代案を出してもらわねばなりません。

え、なになに?安全保障は政府の専管事項だから、代案なんか出せないって。

おや、ならば初めから国の専管事項に介入せねばよかったのではないでしょうか。ダブスタですね。

私はかねてから言ってきているように、海を埋め立てる辺野古移転には反対です。

ハンセン内の旧軍が建設したチム飛行場跡を利用すべきだと考えています。

ただし、今や辺野古移転自体が、不幸にも左翼陣営と政府の対立軸となってしまったために、政府からの譲歩はありえなくなりました。

このハンセン移動案は小川和久氏が大田知事に提案したのが初めですから、当然翁長氏は知っているはずで、ここを落とし所にできないのは、いかに翁長氏が共産党にがんじがらめになっているかの証明です。

これについては、そのうち詳述したいと思っています。

本土では一部共産党界隈をのぞいて、かつてのように「オスプレイ=悪玉」という御旗を掲げれば論理展開不要という時代は、とうに終わっています。

普天間基地はオスプレイが飛ぶから危険だ、オスプレイの「新基地」ができるから辺野古移設は反対だ、高江にオスプレイが飛ぶヘリパッドができるから反対だ、ノグチゲラが死んだのも、ペースメーカーが狂ったのも、みんなみんな全部オスプレイのせいなんだ!

これではオスプレイ強依存症といわれてもしかたないでしょう。

沖縄の基地反対運動もオスプレイへの強依存を止めて、論点を整理して、しっかりと個別具体論で政府と交渉する時ではないのでしょうか。

※改題して、結び部分を書き換えました。私のブログは熟成する必要があるみたいで。ほんとにすいません。

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