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2016年11月12日 (土)

マーボウさんにお答えして TPPに「絶対賛成」も「絶対反対」もない

Img_4644
マーボウさん。私は情勢次第では、TPPなどやらぬほうがいいと、今でも思っていますよ。 

ひとことで言えば、情勢が変わったのです。 

今は、かつて私が反対論を唱えていた当時のように、参加の是非が問われた時期ではなく、一定の結果が出た時代なのです。 

覚えていますか、TPP参加反対論でよくあったのは、「交渉したら米国の言うことを丸飲みにすることになる」、あるいは「例外なき関税撤廃を押しつけられる」というものでしたね。 

そうなりましたか? 

私は日本のコメ作りは国家主導の生産カルテルで、21世紀ずっとこのようなカルテルをはめているわけには行かないと思っていました。 

JAはいまでも自由化すればコメ作がダメにになるように言っていますが、本格的に大規模米作に取り組んでいる農家はそうは思っていません。 

いきなり自由化は困るが、時間をかけて段階を踏めば、むしろ大規模集約が可能だと考えています。 

今のように、生産制限をかけられて、せっかくのコシヒカリを米粉にしたり、飼料米に転換するなんて馬鹿なことはしたくないのです。

豚肉も同じです。結局は、今でなくてもいつかは来ると思っていたのが、TPPで現実化しそうなので、震え上がったわけです。 

かつて私が心配したのは、コメよりもむしろサトウキビでした。 

サトウキビが自由化されたら、沖縄農業の柱は崩壊するでしょう。特に離島はひどい打撃です。 

すぐに代替作物は見当たりません。 

すると台湾まで無人の畑が続き、島によっては人口減少すら生じるかもしれません。 

これは、文字通り国の安全保障上の問題でもあると考えました。 

しかし、ご承知のようにTPP交渉の結果、コメもサトウキビも、そんなことはなかったわけです。 

GMO(遺伝子組み替え農産物)にしても同じです。別に米国の言うがままになる必要もなかったし、実際、そういう結果になりました。 

交渉開始時には、最大限のリスクを想定しておきます。 

甘い見通しで交渉に臨んで、その結果、国がボロボロになるより、これだけのリスクがあるからしっかり交渉せよ、と国に主張したほうがよいのです。 

それがリスク管理の原則です。

だから、私は最悪シナリオをいく通りも考えました。それが、数年前の私のTPPに対する考え方です。 

いまでも左翼の人は大反対で、反原発・反基地に並んで反TPPをスローガンにしていますが、私からみれば硬直した政治的反対論です。

Photohttp://hatarogu.blogspot.com/2016/10/blog-post_32....

TPPもオスプレイと一緒で、機体の安全性が問題なのではなく、オスプレイやTPPを政争の具にしたいだけなのです。

あくまでもTPPは交渉事であって、そのつど変化するのです。 

変化は交渉主体が、自民党に替わったということです。 

こう書くと「安倍信者」といわれそうですが、彼が任命した甘利氏は相手方のUSTRのフロマンからも激賞されるようなタフネゴシエーターでした。 

Photo_2
民主党に甘利氏のような人材がいますか?

2011年1月に、TPPをやると言いだしたのは菅直人首相でしたが、彼の内閣のメンツを見るとゾッとします。

2014年4月にオバマが日本に来ましたが、当時のオバマは米議会の圧力に抗しきれず、自ら日本に出向いてサシで呑ませようとしました。

内容的には、とうてい日本が呑めないような、無茶ぶりの「高い玉」だったと言われています。

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ここでオバマは、尖閣は日米安保条約第5条の適用範囲だという声明を出す手土産の代わりに、貿易上の米国の利害を呑ませようとしたわけです。

私は危機感を感じて、ここで安倍氏が屈したらたいへんな事になると思って記事を書いた記憶があります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/m-91c3.html

ここで安倍氏がみせた外交手腕はすごかったですね。

尖閣を第5条の適用範囲とするという言質をとった上で、シラっとして「わが国も国会決議があって譲れないのです」と言い放ったのです。

オバマが使った論理を逆手にとったわけです。

さて、このように安全保障上のこととTPPが絡むのは当然のことです。

このことに関して、私は数年前まで安全保障とTPPは連動しないと思って、そう書いて来ました。

しかし、これも情勢が変化したのです。 

TPP交渉開始後になって、TPPに危機感を覚えた中国がAIIBを仕掛けてきました。 

中国主導の貿易ルールでアジア・太平洋圏の貿易を支配しようとしようというのが、その思惑です。 

今の南シナ海の人工島建設や、尖閣海域の緊張に見られるような、新冷戦が開始されたのです。

Photo_3ベトナム領を埋め立てて作られた中国軍基地

ここで日米が主軸となったアジア・太平洋地域の広範な貿易ルール作りをすることは、端的に中国と対抗する自由貿易圏作りを意味します。

これが軍事的政治的意味がないはずがありません。いわば経済上の集団的自衛権と言ってもよいでしょう。

これが、交渉参加した後に生まれた新たなTPPの性格です。 

このような経緯を踏んで私はTPPに対して容認に変化しました。その時もキチンと変化した理由を書きました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-092e.html

トランプが今になって脱退といっているのは、米国はTPP交渉が不調に終わったと認識し始めているからです。 

逆に、今、日本政府が米国の大統領選の動向を無視して批准を進めているのは、米国に「TPP交渉のやり直しはありえないですよ」という外交メッセージです。

おそらくこのあたりの機微は、オバマとの呼吸もあるような気もします。

民進党蓮舫代表のように、「新大統領に対して失礼にあたるのではないかとも思い、懸念しているからTPP批准反対」では、米国従属もいいところですね。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161111-00000591-san-pol

旧民主党もそうでした。

ハトさんが日米同盟に打撃を与えたために米国の怒りを買うと、次の菅氏は一転して「平成の開国」とTPPをぶち上げて、揉み手路線に転向してしまいました。

しかも菅氏の「鎖国」の代表的なものを、農業だと考えていました。

事実は、高関税農産物はコメ、コンニャク、落花生、麦、バター、砂糖ていどときわめて限られていて、農業の中核である野菜、果樹、鶏卵などは、ほぼゼロ関税でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-6b58-1.html

こんな知的レベルで「開国」なんかやられたら、たまったもんじゃありません。

確固とした外交・経済政策がないために、こういう反米と従属を繰り返すのがあの人たちです。

Maxresdefaulthttps://www.youtube.com/watch?v=jO4a6s7oRj4

まぁそれはともかく、トランプがなれば、当然チャラにされる可能性が出ていますが、かならずしもそうとだけは言えない可能性もあります。 

思い出してほしいのですが、そもそもTPPを提案したのは米国ですね。

外交案件は、政権が替わってしまえば白紙になるという性格ではありません。

それが出来るのは革命国家だけで、そんな国は国際社会で相手にされません。

トランプもTPPで交渉妥結した事実に制約を受けるのです。

そんなもんは前の大統領が勝手にやったんだ、などと言えば、米国の威信は崩壊します。

実際、世界最大の貿易国の米国にとって、TPPによるメリットは計り知れないのです。

トランプが憂慮する米国の製造業にとっても、大きなチャンスとなり得ます。

トランプがその辺が分からないような愚か者だとも思えません。

まぁ当分は、ありとあらゆるチャンネルを使って、TPPのメリットを分からせねばなりません。

それでもトランプが頑迷にノーなら、いっそう米国ぬきのTPP貿易圏を作ってしまって、そこから排除されることのデメリットをしっかりと味わってもらうのもひとつの手でしょう。

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コメント

経緯や過程をしっかり振り返って見る事、当初あった懸念と現在の交渉の結果を分別し、現在状況を勘案しながら正確に事象を認識する事が重要。
馬鹿げて単純な「反対」論はもはやナンセンス。

あのころ、「TPPは米国の謀略だ」という趣旨を言う識者はたくさんいました。
私もそう思いました。
今でもあの時点においては、そういう要素も少なからずあったのではないか、と思います。
なぜなら、当時の民主党のTPP推進の内実が、鳩山が傷つけた日米関係を修復する為の一種のペナルティとして民主党政権内に位置づけられていた事が疑いのない事実としてあったから。
TPPの本質的な意義が明らかになって来たのは、ようやく甘利=フロマン交渉によってでした。

民進党は当時も今も、極度の「対米従属」の姿勢が生々しすぎる。
蓮舫代表は、「日本がTPPを推進する事はトランプさんに失礼」とワケの分からぬ事を言い、あの長島昭久氏までが「(TPPがもはや実現不可能な事は)一昨日の時点で明白だった。にも拘らず、トランプ勝利以前に作成された「古いカレンダー」に従って、昨日の衆院本会議のTPP採決はなされた」という。
そこにはこれまでの経緯や、「日本の主体性」というものは皆無です。
しかも、いまだにTPPの本質的意味を理解されていない如くです。
彼らは「超保守派」なのでしょう。

今の交渉結果を持ってしても、TPPは米国経済や世界戦略にとって重要な意味がある。
商務省はそれを十分理解している。
トランプや議会が時間をかけてそれを理解するかどうかわからないし、理解せずに終わるかも知れない。
しかし、日本は既定方針どおり進める事が外交巧者たり得るし、すぐに悲観的になるのではなく、少なくも米国内でTPPの火を消させない努力をすべきところでしょう。

日本が先に批准して、アメリカにプレッシャーをかけるのって、別に悪いことではない気がします。
アメリカがTPPから脱退するなら、その後、日本が中心になって新しい協定を結べば良いだけではないかと。
TPPが発行しなくても、今までの貿易関係は何ら変わらないのですから、日本としては別に失うものはありません。

しかし、アメリカは違います。もしアメリカがTPPを抜けると言えば、その時点でアメリカの信用は丸つぶれ。仮にTPPなきあとにアメリカが貿易の2国間協議を持ち掛けてきても、それは反故にされかねないと日本は言って、突っぱねることも可能かと。

またTPPは多国間協議なので、アメリカ一国の都合だけでは物が決まらなかったのも大きかったのではないでしょうか?

TPPが発行しても→×
TPPが発行しなくても→○

すみません。TPPがとん挫してもと言うことです。

太平洋岸の4カ国EPAの傘をASEANに広げる。
その広げ方をUSAが主導して
米国色のでっかい傘でどうだ!
日本も勿論持ち手部分で入るよな!
えー持ち手ですか損しそうだけどココんとこ譲ってくれたら良いよ。←まで甘利氏がもってってくれたと、理解していました。例えがアホっぽくてすみません。
AIIBの始まりでTPPに通商だけでない役割がプラスされたというくだりに同意です。私もこれと甘利さんの交渉と併せて、TPPへの見方を修正しました。
今日の記事の最後の部分、米国抜きのTPPの模索は、日本自身の体力と、ならばこの先対米では個別にFTAをトランプ大統領と交渉する過程に入るのか、その際甘利2号が果たして踏ん張れるのか。
こんなタフさが必要とされる時代に入る際、闘争と反対が勝負の反対派が雑音若しくは反社会活動でしかなくなるのは確かだと思います。

 「ありんくりん」さん山路さんとほとんど同じ考えです。難しいこと詳細についてはまだ理解していない面もありますが、自由貿易が大事でありそれに伴うルールの設定も必要だと思うのです。

 農家の保護が必要であれば、できるだけ関税によるのではなくて政府の支援金で救済すればよいと思う(フランスやアメリカと同じように)。

 TPPが提案されたのは、中国主導の経済秩序は是としない考えが根底にはあると思う。習近平の夢に対するアンチ テ-ゼである。

 TPPの締結により、日本の農業がアメリカのカ-ギルという巨大会社により牛耳られてしまうと三橋貴明氏はしきりに言うが、日本に政治力があればそれは避けられるのではないか。

 沖縄のサトウキビは政府の直接支援をしていただきたい。そうでないと離島などでの住民生活が成り立たない。

 TPP締結により関税自主権が失われるということはないのではないか。これが失われれば、国家に主権がなくなってしまうことになるのだから。

 コメの減反政策はよくない。日本農業積極論者が言うように、コメを輸出商品として成長させたい。

 いろいろと分からないこともあり、諸賢のご意見をお聞かせ願いたい。

今回のトランプ氏の大統領選結果に伴い、TPPを取り上げたブログを幾つか拝見しました。

インターネットでざっと調べてみても、どこもTPPに参加することによるデメリット、懸念を述べて反対を表明するブログ、
或いは参加することによるメリットを述べて賛成を表明しているブログはあっても、
交渉の結果、メリット・デメリットはこうなりました。懸念事項はこの様になりました。と、書かれてるところがあまり見当たりません。

ここに基本的な結果が分かりやすく出てますが
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/sp/700/229557.html
未だに公表されてい無い条文によっては、情勢も変わってくるかもしれませんね。
TPPは複雑怪奇で無知な私には余り理解出来て無いのが現状です。

三毛猫さんが貼ってくれたリンク先にこうありました。
>2年間のうちに全ての国が批准できなかった場合、全体のGDPの85%を占める6ヵ国が批准すれば、2ヶ月後には協定は発効することになっている。ただアメリカは参加国全体のGDPの62%を占めていますので、実質的にアメリカが批准できなければ、協定は発効しないことになる。

このスケジュールを頭の端に置いてニュースを拾います。ありがとうございます。

>蓮舫氏「トランプ氏に失礼」ブーメラン
産経新聞のこの言葉を見た時、またブーメランかと思って笑ってしまいました。
野田さんだって、自分がTPP批准に積極的だったから黙っているのかと思っていましたが、ここでまさかの攻撃ですから。

それにしても、TPPはホントに難しい。
最初こそ、米国の利益を守るために日本などに押し付け的な交渉をしてきたのだと思っていましたが、現状では全く反対になり、米国は自国の利益を守るためにTPPに批准しない、って事になっているのですから。

ここで面白く感じるのは、やはりフィリピンの存在でしょう。大統領は米国に対してあの態度ですが(笑)、TPPに対しては積極的で、8月時点で米国と非公式会議をしていました。
しかし、どちらの大統領候補でもTPP反対を訴えていたことを考えれば、TPP米国参加がならなかった時の為に中国に近づいていたのではないか、とも思えます。
そして先日の日本訪問による、日本へのすり寄り。中国に見切りをつけたと言うより、強かに蝙蝠のような態度を見せる……。
TPPの行方を決めるのは、日本や米国ではないのかもしれませんね。

 トランプ氏が勝ってから、世界が何かしら変わったような雰囲気が感じられる。これは私の直観でしかないが、クリントン氏がアメリカ大統領なっていた場合を想像したときに、その思いは強くなる。また、オバマ氏が大統領であったとき(現在)からは、明らかに現実的にも変わっていくのだろう。

 伸び伸びとしたアメリカになってもらいたいと願うばかりだ。

変わった感じしますね。私も伸び伸びとしてくれる事を祈りますが、今のところデモや火付け方面にエネルギーが向かっているようです。
あっちにいながらここを読んでいる在米日本人の方とかがもしいたら、実際の印象を書き込んでもらいたいな。
私は誰かに杞憂が過ぎると前に書かれましたが、最悪の想像がたくましく(可能性としてパターンを出しているだけです)、このUSA分断はいくつかの州の離脱につながる第一歩になるかもしれないなとも、思います。

決まってからデモとかで騒ぐのは、何か既視感がありますね。
そんなのに遭うのだから、トランプ氏の立ち位置は「あっち」ではないのかもしれませんね。

今のところ、尖閣諸島や南シナ海における中国の動きも中国高官の発言も目立ちません。
トランプ氏の中国嫌いに気を使っているのでしょうか。
少なくとも、トランプ氏勝利が日本にとって完全マイナスとは言えないと思っています。

当選当初は驚愕の事件でしたが、日本の外交次第でどうとでもなるような気がしてきました。

選挙後のデモは、現在生息しているサヨク脳の断末魔
でしょう。彼等のリベラルな理想は、オバマさんの政権
下でも実現しなかった。そこで、サンダース爺にすがり
ついたけど、嫌われ者女に負けちゃった。

なのになのに、トランプさんという超非サヨクな大統領
が現出した。もうパニくってお先真っ暗、ヤケおこして
暴動でもしないとやってられない! そんな気持ちは良
くわかります。


トランプさんは、TPPじゃなくて各国と1対1の協定を結
びたい、と言っていたハズです。私は今の国連のゴタゴタ
が米国の脳裏にあるのだと思います。一国一票ですから、
名も知らない小国の一票も、超大国の一票も平等に同じ
です。そこに、中共のような者が袖の下攻撃をしかけて
来たら、どないもならん。小国の主権で不正の立証もでき
ない。

国連には、かろうじて最後の「USちゃぶ台返し」があり
ますが、TPPには無い。他国共が票を束にして米国に挑
んでくると負けてしまう。超大な市場を提供しておきながら、
TPP加盟国の中では只の一国に過ぎない立場に追い
やられる。そんなことは、トランプ親ビンは許さないと
思いますわ。国別に挑んで来ると思います。

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