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2016年11月 2日 (水)

翁長知事の三つの「出口」

043

連載の途中ですが、年内に出ると言われている辺野古訴訟最高裁判決を前に、いくつかの動きが出ました。 

今日はそちらいきましょう。 

まず順を追って、今後の最高裁判決後のシナリオを考えてみることにします。

福岡高裁那覇支部は9月16日、おおむねこのように述べています。

「普天間基地の危険除去には辺野古移設以外なく、埋め立ての必要性は高い。翁長知事が埋め立て承認の取り消し処分を取り消さないことは違法」

読み間違いする余地なく、翁長知事の言い分は完全に司法によって否定されています。

しかも、この判決は「約束つき」です。

というのは、翁長知事と国は裁判前に、「判決がでたら従おうね」と約束してしまっているからです。

「是正の支持の判決確定後は、直ちに、同判決に従い(略)手続きを開始する」(和解条項9)

これでは、よくある「不当判決フンサ~イ!我々は負けないぞぉ!」というわけにはいきません。

ジ、エンド、行き止まりです。

一縷の望みとしては、最高裁判決が福岡高裁判決を逆転させることですが、まずありえないことは、「オール沖縄」の皆さんも含めてわかっているはずです。

では最高裁で判決が完敗となった場合ですが、いまだ翁長氏は「あらゆる手段で戦う」と言っていますが、ただの共産党などに対するタテマエにすぎないことは、翁長氏本人がよくわかっているはずです。

できるのは、せいぜい埋め立て作業の妨害ていどだけとなります。

左翼行政法学者はいろいろと知恵をつけるでしょうが、結果は変わりません。

結局、シャックリよろしく一時的に工事が止まっても、国が違法申し立てをすれば、裁判所は違法認定するでしょう。

最終的には、知事権限の出る余地はまったくなくなり、粛々と工事は進行します。

翁長氏と「オール沖縄」の完敗です。

以上が冷徹に見た、翁長氏が置かれた現況です。

ようやく判決まで一月を迎えて、「このまま最高裁判決を聞いてしまえば、落城となってしまいますよ、翁長さん、それでいいのですか?」と問う声が県内でも上がり始めました。

ひとつは政府与党内で、もっとも「オール沖縄」に近いスタンスに位置する公明党県連が検討しているという「もうひとつの移転案」の登場です。

強硬派筆頭の沖タイ(10月24日)が、妙な色気を見せているところが面白いですね。
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/67864

「辺野古唯一論に一石? 沖縄県が公明陸上案に期待感を示す理由

本当は『辺野古が唯一』ではないのかもしれないと、国民が考えるきっかけになるのではないか」。
県幹部は、知事が会見で公明案を「全否定」しなかった理由をこう説明した。
 県にとり、現段階での公明の「県内移設案」は、日本維新の会が提案している馬毛島(鹿児島県)への訓練移転案と「同じレベル」(県幹部)との認識だ。
「今、県が賛成できるかどうかは関係ない」。政府が沖縄の民意を顧みない状況の中、県幹部は、今は計画の賛否を問わず、辺野古以外の案が提示されることを重視する。
 一方、県には、「あらゆる手法」で新基地建設を阻止する知事の考えと、辺野古以外の「代替案」が米国に“化学反応”をもたらすのではないか、との期待感がある。 
実際、米側には工事の遅れを懸念する声が出ている。
最高裁判決後も複数の知事権限を行使して工事が止まる中、別の案が日本側から出てくれば、米国内に「辺野古断念」という想定外の選択肢が生まれるのではないか、との期待だ。 だが、防衛省関係者は「米側は公明案をのまない」と断言する。
現行案よりも基地内移設の方がより集落に近いことから、「知事も陸上案を認められるはずはない」と指摘。さらに、公明が与党連立パートナーである点に触れ、「党の案として本当にまとまるのか」と実現性をいぶかしむ。」

具体的にどのような移設プランを、公明県連が念頭に置いているのかは分かりませんが、ざっと上げてみましょう。 

①従来計画案・「辺野古埋め立て案」
②シュワブ陸上案
③ハンセン陸上案(小川案)
④黒毛島案・沖縄維新(下地案)
 

①の辺野古埋め立て案は、決してベストプランではありません。

それは政府も米軍も理解しているはずです。

なんといっても美しい海岸線を埋めるという行為自体に対する、拭いがたい嫌悪感があります。

まだ手つかずの自然環境が残されているやんばるの海岸線を、あえてコンクリートで埋めることはないと私も思います。

水深も海岸からいきなり深くなるために、工事も難行を予想されます。

そしてこの難工事を押して出来上がったとしても、計画案自体が妥協の産物です。

Photo


http://obiekt.seesaa.net/article/383697707.html

3 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-18/2015031803_01_0.htmlu日本共産党資料より;

大事なことは、軍事的に見てこの移転してできるものが、「改悪」だということです。

なんといっても出来上がる滑走路が、1200m×2本(※)とハンパに短いという最大の欠陥があります。

共産党は、「新基地」を少しでも大きく見せたいために上図のように、オーバーランエリアを入れて護岸ギリギリで1800mにとっていますが、実質は1500mていどにすぎません。

また共産党は普天間にない「新基地」の機能として燃料桟橋やホバークラフトの上陸用斜面を上げていますが、筋違いです。

そんなものは本筋から離れた付加価値にすぎません。

あくまでも、今回は「飛行場の滑走路の移設」がメーンテーマであって、滑走路が従来の普天間の2800mから半分に短くなってしまっては「改悪」と呼ばれてもしかたがないでしょう。

これでは本国から飛来するC17などの大型輸送機が、ペイロード一杯で離発着できず、わざわざ嘉手納に一回荷を降ろしてから、それを積み替えて受け取りにいくというバカな事になります。

381C17大型輸送機

内陸の高地にあった普天間基地と違って、海岸に突き出した海上基地なために、少し海が荒れると基地機能停止となるでしょう。

海から上がってくるテロリストに対しても脆弱で、警備が難しくなります。

というわけで、「新基地」になったら格落ちではシャレにならんというのが、マリーンの本音のようで、そのために「移動したい隊員はいない」とまで言われています。

このためにユーザーたる海兵隊にとっては、実戦基地を機能を維持したまま引っ越すという手間の上に、引っ越し先が狭いということになって、踏んだり蹴ったりです。

だから、米軍の本音は、17年も日米交渉をしてきた手前、もういい加減にしてほしいという気持ちで、日本政府案を立てているにすぎません。

本音は住み慣れた普天間のままでいいのです。

このように埋め立て案が政治的妥協の産物であったために、軍事基地であるにもかかわらず軍事的合理性が欠落するという事になってしまっています。

また将来的にも、沖縄海兵隊は削減方向にあるために、あえて巨費を投じる必要があるのかという問題もあります。

これが私が埋め立て案を、次善の案だとする理由です。

私は、このように最高裁で仮に国が完勝したとしても、その結果不十分なものしか出来ないのなら、もっとましなものを作ることを検討したらよさそうなものだと思います。

本来、この県と国の和解期間中に、徹底的にその具体案を揉むべきでした。

10カ月もありながら、翁長氏は漫然とこの貴重な時間を消費してしまいました。

しかしまだ1カ月あります。

翁長氏にとって、「出口」はいよいよ三つに絞られてきています。

ひとつは完敗して辞任。あるいは、「オール沖縄」からも見放されてレームダック化。

二つ目は、公明県連などの出す「もうひとつの移設案」。

三つ目は「正論」12月号で公表された、与世田兼稔氏(元副知事)の提唱する「名誉ある撤退」論。

長くなりそうなので、ふたつめ三つ目の「出口」については、次回に回します。

 

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コメント

そもそも海兵隊が少女を惨たらしくレイプしなければこんな基地に追いやられることもなかったのでは?
普天間飛行場は老朽化の問題もありますが移転のきっかけになったのは少女強姦事件です。
沖縄に限らず日本各地で何度も何度も何度も血腥い不祥事を駐留米軍、特に海兵隊は起こしてきました。

米軍の日本の安全保障における重要性は理解しますが国民の生活が第一であり、沖縄の負担軽減と言いつつ県内で基地を押し付けあう構図になってしまうのは腑におちません。

せめて泥棒、飲酒運転、強姦、殺人はしないよう「綱紀粛正」を駐留米軍が徹底してくれれば良いのですが。

 翁長さんは知事選に出るべきではなかった。当時、沖縄は翁長さんを必要とはしていなかったと私は今でも思う。

 翁長さん、これから何をしようとするか? もう、あなたの役割は何もないのだ。潔く、辞任してもらいたい。政府へ抵抗するのか、嫌がらせををやるのか。

 琉球独立を考えたりするのかな。そんなに中国が好きなのか? 

 翁長知事の出口など考える気持ちも起こらないというのが今の私の状況だ。この方に、正直、誠実、一徹という人間的なものが微塵も感じられない。この方が、沖縄の振興とかいって、政府にすり寄ったりするのを見ると、へどが出そうにもなる。

 翁長知事よ退陣せよ! 

トランプ親ビンが大統領になる可能性は、0%ではありま
せん。親ビンが当選すれば、米軍の世界戦略についての
大本が変わってしまう。最高裁判決も大事だけど、こっち
の方がもっと効く。 「核を持たせい、ワシらは撤退じゃ」
親ビンは商売人なので、どこまで本気かわかりませんが。

自分達に出来る事と言ったら、早く狂惨党など過激サヨク
の呪術から醒めて、沖縄が現実的な幸福を目指せるよう
にして欲しい。管理人さんの言う地上案も含めて、もう
一度練り直すチャンスにして、最も合理的な案での実施
として欲しい。

翁長氏自身は「出口戦略」など持ち合わせていないし、その必要も全然感じてはいないんだろうと思います。
かと言って、先行きの見通しが明るいなどとは、これも一切考えておりませんでしょう。

上手く表現出来ませんが、要するに翁長氏は沖縄独特の旧タイプに属する政治家で、その政治手法は土着的な風土、誤解をおそれずに言えば「悪因習」がもたらしているものだろうと思うのです。
つまり、未だにあまり「追い込まれた」とは考えていないのみならず、それはそもそも解決に向かって物事を進める合理的で明確な意思を、最初から持っていない事に起因するのです。
あるいはそれを持つことそのものが、「自らの敗北」につながるとさえ考えている節がある。

もはや「普天間飛行場の危険性の除去」を自ら無視出来る立場に立った以上、沖縄に流れる豊潤でゆったりと無限にのびきった「時間」は翁長氏の最大の味方です。

また、私や本土の方々が常識的に考えるのと違い、翁長氏にとっての高裁判決~予想される最高裁判決ですら、「痛打」には違いないが決定的なものではありません。

日本を代表する優秀な行政マンだった仲井眞氏や、その右腕だった与世田弁護士(元副知事)であれば、きつい「対案」や「条件」と言ったものものを常に政府に突きつけました。
時にそれが傲慢にすら見えた事もありましたが、「事態を進捗させる」「問題を解決する」という、目的的合意は日本政府との間で一応、しかし確かに存在していました。

しかして、翁長氏はそうした問題解決に向けた能動的行為そのものが仲井眞氏自身を追い詰め、「埋め立て承認」に導いた大失態の原因だった、と理解している。

このうえは、公明党や維新からの提言ふくめ、あらゆる対案や妥協は時間の浪費であって、それを少しでも政府が咀嚼しようものならば、それはそのまま翁長知事に結果的に利するものとなるでしょう。

ブログ主様が言われるように、陸上案がより優れたものである事は理解したうえで、それが翁長知事から発せられる可能性は無いし、政府から取り上げるべきものでもないと考えます。

高裁判決は日本政府の全面勝利で、この先の最高裁でも同様なのでしょう。
しかし、見方を変えれば判決文の水も漏らさぬ完璧ぶりが、かえって政府の取り得る施策を狭め、安易な妥協を許さない拘束性や逆作用が生じた事は明らかです。
ですが私にはそれこそ僥倖と思え、沖縄的理論を乗り越える矜持になり得たと思えるのです。


少しこれまでの私の考えと違う面もありますが、最近の状況も加味し、このような考えに至りました。

当選した時点で既に出口が無いような、抜け穴を自ら壊したか、辺野古の工事は再開され、そうはさせまいと(県民のため!?)足掻きながら結果を出せずに任期満了で終わりそうです。


トランプ大統領の可能性も出てきましたし、どうなる日本。

 山路さん

> 日本を代表する優秀な行政マンだった仲井眞氏や、その右腕だった与世田弁護士(元副知事)であれば、きつい「対案」や「条件」と言ったものものを常に政府に突きつけました。  

 仲井間氏には力量がありましたね。大衆受けしない面がありましたが、沖縄の知事ではとても優秀な方だった
と思います。翁長氏の方は、とてもそれだけの力はないですよね。沖縄のマスコミが応援したので当選できたのです。マスコミの知性が低いので、そのような結果になりました。

 仲井間氏にも、しかし難点があったと私は評価しております。辺野古へのあいまいな態度、消極的な態度です。
国防問題は、政府の所管だといって終始消極的でしたね。知事の立場で分限をわきまえた大人の態度とも言えましょうが、県民は仲井間知事は辺野古移設に反対していたのに、県民を最後には裏切ったという印象が県民には行き渡りました。マスコミの狙いもあったのでしょう。印象操作をしていたと思うのです。

 鳩山政権時への反発もあって、仲井間氏の政府要人への応対が横柄に見えることもありましたね。これも失策だったと思うのですよ。

 でも、仲井間氏への私の評価は基本的に上等なのです。あと一期、仲井間氏でいきたかった。彼は、国防のことも心配はしていたようです(青山氏)。

 翁長氏はどうなっていくのでしょうかね。

 山路さんの見方は大方同意します。

仲井真前知事の言葉が印象に残っています。
1、沖縄は貧しい県で、それこそ日本中に移住した。それを受け入れてくれた本土の方々に多くの沖縄県民は感謝しているんですよ。
2、沖縄独立なんて、酒の席での与太話なんですよ。それを本気で語る先生方がいるから困ったもんだ。
3、沖縄が自立するには、もう少し時間がかかります。今しばらく国には力を貸して頂きたい。

翁長知事にも、仲井真前知事と同じ気持ちが有るのか無いのか。あっても口に出して言えないのか。私にはわかりませんが、仲井真前知事の発言の方が私には理解しやすいですね。今後翁長知事が進めた、浦添沖への那覇軍港の移設も予定されています。
翁長知事と小沢一郎氏の姿がダブるのは私だけでしょうか。

仲井真前知事、ほんとうにリアリストで先を見ることが出来る素晴らしい沖縄県知事でした。
その知事としての評価は、官選ではありますが、島田叡元知事と並べてもいいと思っています。

仲井真さん、大田昌秀元沖縄県知事の時代には副知事を担当なさってましたね。その頃から癖のある切れ者って感じで、沖縄にもこんな優秀な政治家がいたのかと、驚いたものです。当然、当時から仲井真ファンになりましたよ。

現実的に沖縄のことを考えて、目先のことだけでなく、ずっと先のことまで考えることが出来た方でした。

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