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日曜雑感 HN「鉄槌」氏に答えて

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HN「鉄槌」氏からこのようなコメントを頂戴しました。
この人は前にも入れてきたことがあります。

「チューゴクの珊瑚泥棒すらまともに追っ払えない国がすでに骨抜きになった9条を改憲した所で何ができるのやら。
むしろ現政権の改憲における本丸は人権条項じゃねーの。
かつてこの国を亡国の淵に追いやったのが何であったのか改めて考えてみるのも必要かと。
何時の世も徒に外の脅威を煽る輩にご用心!」

困りましたね。人権条項とは憲法第13条などのことですか。どこかにそれを改正する運動でもありますか。

政府が人権条項を廃止したいなどと言っていますか?自民党案にそんなことが書かれていますか?

ないことをさもあるように言って、煽るのはよくないですね。

ないことを「ある」というのは、あることを「ない」と同じくらいに馬鹿な行為ですよ。

なぜならそういう姿勢は、真実を公平に見て、突き放して事実を観察することを阻みますから。

こういう傾向を世の中では、無意識なら「妄想」、知っててやるのだったら「アジテーション」と呼びます。

やめましょうね。無意味に疲れるから。

あいにくですが、9条は骨抜きにはなっていません。

ご安心ください、9条はしっかり矛盾しつつ機能しています。

もうこれについては今週さんざんやったので、井上達夫氏の指摘を読んで下さい。

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次に「中国のサンゴ泥棒も追い払えなかったくせに」ですか。

泥棒というより、強盗団ですが、まぁいいか。

海保はSST(特殊警備隊)をヘリで空中機動させて降下させ、指導的な中国漁船を確保しています。

また多くの巡視艇が当該海域に向かい、可能な限り規制し情報収集に当たっています。

あれだけの規模の漁船団を、実力で追い払える国は世界にありません。

中国としては、もちろん対日圧力をかけつつ、日本の対応を見たかったのでしょうね。

まずは、中国のその筋の者が、「サンゴのお宝が眠っているぞ」と煽り、欲に目が眩んだ漁民に漁船団を組織させ、その中に海上民兵や情報機関の者たちを紛れ込ませて、小笠原水域に向かわせたのです。

それとも漁船相手に海自をだせとでも?

そんなことをしたら、それこそ緊張が高まりますよ。

日本の対応はベストではないにせよ、よくやったと評価しています。

おそらく中国は、日本が簡単に挑発に乗らない紳士的な国だと分かったはずです。

中国なら海軍が蹴散らしています。「紳士的」とは弱腰のふぬけととることでしょう。

またこれだけの大規模漁船団を繰り出していけば、海保は対応が難しくなるのも分かったでしょう。

きみがなにをいいたいのかわかりません。

「鉄槌」氏は、一方で9条は骨抜きになったと叫ぶかと思えば、一方でサンゴ泥棒をどうするんだとも言うわけで、一体なにを言いたいんでしょうね。

密漁船に対して厳重に対処ができるような強面国家になってほしいのか、9条を骨抜きにして人権条項を潰そうとするような「ファシスト」国家がまずいのか、一体どっちなんでしょう。

よく頭を整理してくださいね。

ところで、「外の脅威を煽る輩に注意」ですか。

ひょっとして、この私に言っているの?ご冗談を。

脅威は厳然としてあるものはあるのだから、冷静に対処せよと言っているだけです。

私は自衛隊は出すな、海保で対応せよと繰り返し述べてきています。
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ところで、「かつてこの国を亡国の淵に追いやったのが何であったのか改めて考えてみるのも必要」があると言っています。

そのとおりです。

しかし、そういうきみは先の大戦がなぜ起きたのか、なぜ敗北したのかについて、まじめに学びましたか?

あれはきみが言いたいような、一握りの「外敵の脅威を煽る輩」、つまりは戦争挑発者がいて起きたわけではありませんよ。

むしろそんな単純だったらいいのにと思うくらいです。

日本にはひとりのヒトラーもいませんでした。

大戦の序曲となった泥沼の日中戦争のきっかけは、第2次上海事変でした。
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208uw

国際法(※)による侵略の定義を押さえておきます。
※根拠 国連総会決議3314(1974年12月14日)

①宣戦布告なき先制攻撃
②計画された準備期間

③他国領土、ないしは、それに準じる地域への軍事攻撃

当時租界は外国の「領土」と国際的に認められていましたから、これを襲撃する行為は侵略に当たります。

70万の長期間訓練されたドイツ装備の軍を上海に集中し、上海租界を強襲したのは中国でした。

すなわち、日中戦争を仕掛けたのは中国側です。

この時点に限定していえば、日本は被侵略国です。

ただし、中国軍を撃退したのち、南京まで兵をすすめてエスカレーションをした外交判断の誤りは日本側にもあります。

さらにその後、幾度かあった中国との和解を蹴飛ばして、直接の大戦突入の責任者となった近衛は、身辺に尾崎のような大量のソ連のスパイを侍らせた凡庸な政治家にすぎませんでした。

この馬鹿がいなければ、あるいは日本は大戦に突入することを避けられたかもしれません。

近衛を引き継いだ東條に至っては、回避不可能なところで政権を引き受けてしまった不運な軍事官僚でした。

日本が戦争へ傾斜していくことをよく、「軍部の暴走」なんて言っていますが、そんなに単純なものだったら、いいのにと思うくらいです。

そもそも戦後によく言われた、「軍部」なんてものはありませんから。

「軍部」の内実は、陸軍と海軍は犬猿の仲であり、さらに陸海軍内部でも親独派と親英米派に別れ、そのうえ陸軍内部でも対中拡大派と統制派に分裂し、統一された「軍の意志」などどこにもなかったのです。

こんな状況の上に立つ、天皇陛下がいかに苦慮されたのか分かります。

いうまでもなく、陛下は一貫した戦争回避派でした。

陛下が親政を敷かれたのならば(帝国憲法上ありえませんが)、絶対に戦争突入はありえませんでした。

こんなていたらくだから、大陸に100万の兵を貼り付けたまま、北はアッツ島から南はガダルカナル、そして西はインパールまで戦線をむやみと拡大してしまったのです。

これで勝てたら奇跡です。

こんなスラップステイックな軍中枢と政府の意思決定を、現場力で支えたというのが戦中の日本です。

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福島第1事故の時の状況と瓜二です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-b103.html

半狂乱の菅首相とその取り巻き、それを掣肘できない保安院の専門家たち。

そして腰抜けの東電中枢。

それに足をからめとられつつ、最後まで死を賭して戦った現場を預かる吉田昌郎所長以下64名の所員たち。

涙が出ます。

私が心から「英雄」と呼べるのは、吉田昌郎所長と、そして彼と共に戦った戦士たちだけです。

それはさておき、この「鉄槌」氏の言うことを聞いていると、右にも左の人にもありがちですが、極端なことを平気で言うことです。

極端なことを言うことは、逆にものすごく易しいことです。

「鉄槌」氏のように、「政府は人権条項をつぶしたいんだ」とか、「一部の中国脅威論者が煽っているから戦争になるんだ」(こうは言っていないがそういうことになります)というのは、相当にバイアスがかかっています。

逆に、「すべて特亜が悪いんだ」「こいつも工作員だ」「工作員を日本から追放せよ」みたいな、一部の右の人の言説も極端にすぎます。

こんなことを言うのも、世界情勢が混沌としていて、どちらに進めばいいのかわからなくなっているからです。

だから単純化したがるのです。

極端なことを言えば、あたかもものごとが単純にスッキリ見えた気がしますからね。

しかし現実はあいにく、そんなにシンプルじゃないですよ。

鉄槌さん。他人に鉄槌を浴びせる前に、その手を降ろして、いろいろな本を読み、他人の意見にも耳を傾けることです。

※お断り 日曜雑感の1は削除しました。

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コメント

逆に昨日のTBS報道特集のように
日本会議をまるで日本を裏で操る悪の組織かのような印象操作も同様に感心しませんな。陰謀論大好きな人には受けるんでしょうけど。

投稿: 山形 | 2016年11月27日 (日) 07時07分

> しかし、そういうきみは先の大戦がなぜ起きたのか、なぜ敗北したのかについて、まじめに学びましたか?

 学んでないでしょうね。ほとんどの日本人がそうなんです。

> あれはきみが言いたいような、一握りの「外敵の脅威を煽る輩」、つまりは戦争挑発者がいて起きたわけではありませんよ。

 大方の日本人は戦争挑発者が戦争に導いたという単純な答えに満足していますね。

> 大戦の序曲となった泥沼の日中戦争のきっかけは、第2次上海事変でした。

 発端は満州事変だと考える人が多いでしょうね。私も日本史は高校時代に学んでおりませんでしたので、ここら辺り良く知らなかったのですが、最近は後れを取り戻すべく頑張っております。みなさん、近現代史など学校では詳細に教えてくれませんよ。

 私に言わせれば、憲法論よりまずは歴史を先に学ぶべきではないかと言いたいのです。歴史観が不正確だと憲法論がホントは語れないのでしょう。自虐史観では未来の日本を開けません。

> ただし、中国軍を撃退したのち、南京まで兵をすすめてエスカレーションをした外交判断の誤りは日本側にもあります。

 あのように不当に上海租界を攻撃をされては、一気に南京を陥落させようと陸軍が思ったのも、分からないことではない。近衛宰相は共産主義者に誑かされて残念。東条首相にはご苦労様と言いたい。あなたは立派な帝国軍人です。再評価の必要あり。

> 私が心から「英雄」と呼べるのは、吉田昌郎所長と、そして彼と共に戦った戦士たちだけです。

 吉田吉田昌郎所長と部下たちを称えます。

投稿: ueyonabaru | 2016年11月27日 (日) 12時45分

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