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日本は国際海峡中央部を領海に組み込め

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中国爆撃機編隊が対馬海峡を通過しました。
 

それを報じる産経新聞(1月9日)です。

「防衛省統合幕僚監部は9日、中国空軍機が対馬海峡の上空を往復したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したが、領空侵犯はなかった。中国軍は日本周辺の海空域で活動を活発化させており、防衛省は中国軍の意図について分析を進めている。
 統幕によると、対馬海峡上空を通過したのはH6爆撃機6機と、Y8早期警戒機、Y9情報収集機の各1機の計8機。長崎県の対馬の南側を通り、東シナ海と日本海を往復した。
 中国空軍機は昨年1月31日に初めて対馬海峡を通過。昨年12月25日には中国初の空母「遼寧」が沖縄県の宮古海峡を太平洋に向けて通過するなど日本周辺での動きが目立っている。」

中国軍機の機種は、H6Gという海軍タイプで、旧式なために巡航ミサイルの運用能力はありません。 

そもそも日本海側に抜けるという意図が不明です。たぶん大好きな挑発なのでしょうが、なぜ日本海へ抜けるのか理由は不明です。

あんがい空軍がハデにやっているので、海軍も遅れてならじと思っていたりしてね。

軍事が党内政治に直結している国なので、そんな子供っぽい手柄合戦をする国なのです。

そんなことで、戦争を挑発されたらたまったものではありませんがね。 

さて、先週の続きです。 

先日、宮古海峡が国際海峡ではないことを述べました。 

ですから、宮古海峡において外国軍艦は領海に入りさえしなければ、行動の自由は規制されません。 

いわゆる無害通航義務すらないわけで、いわばやり放題です。
無害通航 - Wikipedia 

では、おいおいこんな緊張する海域の海峡管理する義務を日本が放棄してよいのか、という疑問が湧いてきますね。 

では、宮古海峡を国際海峡に格上げしたらどうでしょうか。

結論からいえば、.法的に条件を満たしているかどうかを別にして、したところでたいして変わりはありません。

国際海峡から押さえておきます。

国連海洋法条約第3部2節37条によって、公海又は排他的経済水域の一部分と公海又は排他的経済水域の他の部分との間にある国際航行に使用されている海峡
国際海峡 - Wikipedia

具体的に、宮古海峡と同じ東シナ海に面した国際海峡の大隅海峡を見てみましょう。

薄い青で塗ってある部分が、公海に準じている水域です。海峡中央部が公海なのがわかります。
公海 - Wikipedia

Photo_2「海洋の区分」http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/mg000824.htm

日本は領海を沿岸の基線から12カイリ(約22キロ)幅と定めて、主権を行使しています。

しかし、意外なことには、日本が定めた国際海峡はである宗谷海峡、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡、東水道、同西水道の五つの海峡については、「特定海域」として領海の幅を3カイリ(約5.6キロ)に狭めています。

つまり、日本は国際海峡指定に当たって、本来主張できる4分の1しか主権を行使していない事になります。

そのために、国際海峡の中心部は領海でありながら、国家主権に属する水域管轄権を放棄しています。

国連海洋法条約では、国際海峡に指定すると、軍艦も含む国際船舶航行の自由、の自由通航、潜水艦の潜航したままの通過、航空機の上空通過などの「通過通航権」を認める事になります。

ただし、です。

同じ国際海峡であっても領海内であれば、他国の艦船による無許可の海洋調査、示威的活動、特別な理由のない滞留は禁止されます。

外国軍艦にやりたい放題ではなく、無害通行権を課せるのです。

また、船舶の航路を指定する「分離通航帯」を明確に定め、厳格な航行管制を行うことも可能になります。
分離通航方式 - Wikipedia

しかし日本はなぜか、「領海内国際海峡」の権利を放棄してしまっています。 
※理由については欄外参照

では、重要な国際海峡を持つ諸外国は、どのように運用しているのでしょうか。

マラッカ海峡は、年間9万隻を超える船舶が通航する世界有数の国際海峡ですが、沿岸国のインドネシア、マレーシア、シンガポールの沿岸国は領海を放棄していません。

Photo_5https://www.spf.org/opri-j/projects/information/ne...

沿岸3カ国は領海主権を放棄するどころか、領海と宣言することによって、国家として責任をもって航行管制や海洋安全の義務を果たしています。

ですから、わが国が国際海峡の中間部の主権放棄は、国際常識から見れば、沿岸国の責任放棄ですらあるのです。

その結果、宗谷海峡を2013年7月、中国海軍艦隊5隻が北海道の宗谷海峡を通過し、同じく6月には鹿児島県の大隅海峡を艦隊2隻の中国軍艦が通過しています。

ロシア艦隊は、ひんぱんに北方の国際海峡を往来しています。

外国軍艦に通るなとは国際海洋法上いえません。

しかし、通るなら礼儀をわきまえろとは言えるわけです。無害通航権の行使です。

少なくとも、宮古海峡航行時の「遼寧」艦隊のように、艦載へりを領空スレスレまで飛ばして嘲笑するような挑発行為を止めさせる権限を日本は持つべきです。

それすらないのが今の日本の現状です。

このように、日本の国際海峡中央部は公海扱いなために、日本は5海峡を通過する外国の軍艦に無害通航義務を課すことができないままでいます。

海峡中央部水路を通る限り、中国軍艦が砲塔をグルグル旋回させて挑発したり、艦載機を飛ばしたり、情報艦が探索しようと、あるいはいつまでも滞留するといった挑発行為をしていようとも、残念ですがなすすべがありません。

また一般船舶への警察権もありませんから、仮に北朝鮮が麻薬やミサイルを運んでいるのがわかったとしても、警察が臨検することもできません。

海洋に取り囲まれた国でありながら、驚くべき安全保障意識の欠落です。

ひんぱんに中国軍艦がロシア海軍と協調するように国際海峡を出入りする状況で、日本は国際常識である国際海峡中央部も領海に組み入れるべきでです。

このことのみならず、現在のわが国の海洋法は、中国海軍の軍拡にまったく対応できていません。

海保と海自の現場力だけで支えるには限界があります。

もちろん自衛隊を国軍として位置づける改憲も必要でしょうが、それだけではなくこのような細々とした法的抜け落ちをひとつひとつ埋めていく必要があるのです。

今、包括的領海法が求められています。EEZについては次回にします。

これもこれで各国の見解が分かれているうえに、中国は毎度のことながらダブスタですので奇怪です。

■[追記 ] なぜ国際海峡を12カイリに設定しなかったのかについては、こういう説もあります。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009062202000057.html

「外務次官経験者によると、領海幅を十二カイリとする七七年施行の領海法の立法作業に当たり、外務省は宗谷、津軽、大隅、対馬海峡東水道、同西水道の計五海峡の扱いを協議。六〇年の日米安保改定時に密約を交わし、米核艦船の日本領海通過を黙認してきた経緯から、領海幅を十二カイリに変更しても、米政府は軍艦船による核持ち込みを断行すると予測した。
 そこで領海幅を三カイリのままとし、海峡内に公海部分を残すことを考案。核艦船が五海峡を通過する際は公海部分を通ることとし、「領海外のため日本と関係ない」と国会答弁できるようにした。
 ある次官経験者は「津軽海峡を全部、日本の領海にしたら『米軍艦は核を積んで絶対に通らないんだな』と質問された場合、『積んでいない』と答えなければならない。しかしそれはあまりにもうそ」と言明。「うそをつかないために」公海部分を残したと証言した。」
(共同2006年6月22日)

しかし、当時の冷戦期から半世紀。

すでに米艦は空母、駆逐艦搭載トマホークからすべて核の撤去を完了して久しく、戦略原潜もまた日本海に入らなくても米国領海からSLBMを発射できる射程を有しています。

ですから、今、米艦の核持ち込みを理由にして国際海峡12カイリ宣言をできない理由にはなりません。

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コメント

中国軍機は対馬を往復したのち韓国の防空識別圏でも出入りを繰り返したようです。


何故に日本は領海を放棄したのでしょうかね、これではドM国家じゃないですか

投稿: 多摩っこ | 2017年1月10日 (火) 12時41分

半世紀前といえば、冷戦中のえーと昭和四十年前半かな?
当時の核持込絶対ダメという日本領海を通過するための苦肉の策だったのは、仕方ないなと思います。
>すでに米艦は空母、駆逐艦搭載トマホークからすべて核をの撤去を完了して久しく、戦略原潜もまた日本海に入らなくても米国領海から発射できる射程を有しています。
ですから、今、米艦の核持ち込みを理由にして国際海峡12カイリ宣言をできない理由にははなりません。

このあたりだけど、そうではあるが、それが出来なくなった新たな理由がでてきたのでは?と、勝手に妄想しております。

投稿: やもり | 2017年1月10日 (火) 13時16分

やもりさん

米軍に配慮してのことなんですね、ありがとうございます。

再び領海として復活宣言が出来るのなら行うべきではと思うのは私だけじゃないですよね。

投稿: 多摩っこ | 2017年1月10日 (火) 14時42分

>わが国が国際海峡の中間部の主権放棄は、国際常識から見れば、沿岸国の責任放棄ですらあるのです。
>今、米艦の核持ち込みを理由にして国際海峡12カイリ宣言をできない理由にははなりません。

こんなことを言っては何ですが、これは逆の捉え方なんじゃないでしょうか。
すなわち、日本は責任を放棄していますので、その海域でなにがあっても(例えば中国と米国で艦船同士の戦闘があっても)日本は関わりませんよ、ということです。

冷戦時代において、済し崩し的に戦争に巻き込まれていくような状況を減らしたかった、とか。
……いや、まあ、日本の立場からすれば、日本近海で米国と中ソ朝が争うような状態になっていれば、例えば第二次朝鮮戦争なんてことになっていれば、どうやったって戦争に巻き込まれていたんでしょうけれども。

投稿: 青竹ふみ | 2017年1月10日 (火) 14時52分

多摩っこさん

>再び領海として復活宣言が出来るのなら行うべきではと思うのは私だけじゃないですよね。

出来れば復活宣言して欲しいですよね。
どうせなら海面に旭日旗をブイで浮かべて欲しいw

投稿: やもり | 2017年1月10日 (火) 14時53分

>ひんぱんに中国軍艦がロシア海軍と協調するように国際海峡を出入りする状況で、日本は国際常識である国際海峡中央部も領海に組み入れるべきでです。
これで領海内の国際海峡を通過する船舶の威嚇や有害行為を取り締まる事を可能にするのは賛成です。
今までご自由にどうぞと放棄していた海道を立て札付きにする訳で、どんな風にとり締まるのかは明解に振舞わなければならないし、無力を晒すと一気に付け込まれる可能性もあります。
自衛隊の皆さんが板挟みのままではいけません。

投稿: ふゆみ | 2017年1月10日 (火) 17時45分

青竹ふみさん

現在、仮に狭い海峡で米中がドンパチを始めたら日本の領土領海にも影響がでると予想されますので、集団的自衛権を行使して自衛隊が米軍に加勢する形になりますね。

投稿: 多摩っこ | 2017年1月10日 (火) 20時35分

日本の政治組織は、寄合型で本来の意味のリーダー
(トランプ親ビン等)を作らないので、いい加減に濁して
先送り先送りします。で、その先に現在が追いつくと、
今度の政治組織も又、先送り先送りします。

財政が実質破綻し、年金が実質破綻し、公的医療保険が
実質破綻しているのに、先送り先送りです。改憲も先送
り先送りです。寄合型とは全員合意がその前提なので、
アルマゲドンが来ても、皆が悪い≒誰も悪くないとなり、
あらゆる責任は何処かへ行ってしまうのです。例え、
人々がどんなに酷い目に合おうとも・・


韓国が日本超の多重寄合国なので、せっかくの日本側の
(従軍でない)慰安婦に対する補償契約をあからさまに破
ったのは腹立たしいですが、こんなものは「オカシイわ、
捏造じゃん!」と発覚したその時に日本がネジ込むべき
でした。今となっては先送りした無能外務省が一級戦犯
ですわ。韓国があの程度なのは解っていたのだから。


記事の領域の概念ですが、現在の合理性に照らし合わせ
てサッサと改変するべきです。先送り先送りしていると
「策士、策に溺れる」で、その内トンデモナイ辻褄合わせ
を強制されますよ。退官したヘボ役人共ではなく、一般
の平凡な国民が皆、彼等の緩いケツを拭かされるのです。
ウ〇〇まみれにされるのイヤですわ。

投稿: アホンダラ1号 | 2017年1月11日 (水) 00時46分

 アホンダラ1号さん

 名調子です。同感です。大統領制にすれば良いと思います。

投稿: ueyonabaru | 2017年1月11日 (水) 02時02分

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