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2017年2月17日 (金)

金正恩が送りつけたふたつのメッセージとは

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北朝鮮がふたつのシグナルを発しました。 

ご存じのように、「北極星2号」の発射実験と金正男の暗殺です。 

ほぼ同時になされました。 

先日書いたように、「北極星2号」は画期的な弾道ミサイルとなりました。 

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北朝鮮が出したシグナルは明瞭です。

私はこれを、よくあるように単なる独裁者の恐喝、ましてや「米国との話し合いを望んでいる」などと解釈しません。 

北朝鮮は、日本(潜在的には中国の一部も)をいつでも自由に核攻撃できる手段を手にしたのです。

これが北朝鮮からの第1のメッセージです。

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そして同時に、金正恩は実の兄である金正男を暗殺しました。

正男は長年にわたり、北朝鮮の世襲体制に疑問を呈しており、張成沢(チャンソンタク)と共に中国型開放改革経済の導入を提唱していた人物です。

しかも近年、韓国の脱北者に臨時亡命政府構想を持ちかけられていました。

もちろんこのような話には常に中国が裏にいたはずでしたが、今回まったく中国差し回しの警備陣の姿は見えません。

これはたまたまか、失敗なのか、はたまた故意なのか現時点ではわかりません。故意ならば、中国は正男を切り捨て、正恩にすりよったことになります。

情報は錯綜していますが、とりあえず16日現在の最新ニュースです。 

「マレーシアのクアラルンプール国際空港で13日、北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、マレーシアの主要英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズ(電子版)は16日、同国の捜査当局が、北朝鮮の対外情報・工作機関、朝鮮人民軍偵察総局に所属する男(40)の行方を追っているとみられるという情報を伝えた。
 同紙は、犯行に要した時間が5秒超で、周到に練られた手口は「最初から最後まで非の打ち所がない」と指摘。マレーシア警察高官は同紙に「外国の工作員の仕業だったと確信する理由がある」と強調した。
 またニュー・ストレーツ・タイムズ紙は捜査関係筋の話として、金正男氏を空港内で襲撃したと伝えられている女2人組のうち、1人は男が女に偽装していた可能性を示す情報が寄せられていると伝えた。この男が、当局が行方を追っているとされる北朝鮮工作員の可能性がある。 」(時事2月16日)

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犯人の実行犯の女性は2名でしたが、おかしなことには、最初に逮捕された犯人は暗殺後遠方に逃げるでもなく、平然と近隣のホテルに投宿し、監視カメラに写るような派手な動きをしていました。

逮捕時にはうすら笑いを浮かべていたそうです。もし工作員ならば、通常はありえない表情と行動です。

大韓航空機爆破犯の金賢姫(キムヒョンヒ)がそうでしたが、北朝鮮工作員は、その場で奥歯に仕込んだ青酸カプセルをかみ砕いて自殺しようとします。

この2名が東南アジア系であることから、北朝鮮偵察総局が現地雇用し、暗殺をさせた後におとりとして振る舞うように指示したのかもしれません。

このような暗殺者を現地雇用するのは、旧ソ連やロシアがよくやった手段で、犯人像を隠蔽する手段として有効です。

また、真犯人は2名が襲撃した後に駆け込んだトイレに潜んでいた「女装の男性」とする情報もでています。(産経2月17日)

すると、女性2人+男4人のグループは全員が陽動部隊ということになります。

マレーシアは法医学解剖の結果、死因は不明としていますが、大変に不思議です。

短時間で痕跡を消滅させる毒物もあるとは聞きますが、ならば逆にそれが周到な暗殺計画の証拠となるはずです。

韓国情報ではVX ガスとありますが、不明です。

遺体も強い北朝鮮の要求で返還したそうですが、これもよほど見られたくない何かがあるだろうと勘繰ってしまいます。

例えばトイレに潜んでいたといわれるの女装の男が真犯人ならば、別の痕跡があるかもしれません。

マレーシア政府は屈してしまいそうですが、詳細な法医学記録と病理細胞のサンプルが取ってあれば新たな発見がある可能はあたます。

ですから、遺体の行方が重要となります。

それにしても、常識的主権国家ならば、外国の国家機関が自国内で暗殺行為を働くことは重大な主権侵害行為ですので、事次第では断交事由にもなりえるのにこのざまかとは思います。

こういう対応をしたこと自体、マレーシアが迷惑以外何者でもないと考えているのが分かります。

逮捕された女性2名は捜査してもたいしたものは出ないでしょうから、案外幕引きは早いかもしれません。

では、私たちはこの正男暗殺をどのように考えたらいいのでしょうか。

常識的回答は、ここまで正恩体制は揺らいでいるのか、というものかもしれません。

私はそうではないと思います。

私は北朝鮮の体制は揺らいではおらず、逆に正義恩体制を磐石にする事業が完成の域に近づいたと思っています。

正恩体制が行った最大の粛清は、2013年12月の叔母の配偶者であった叔父・張成沢の処刑でした。

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中国をバックにし、正恩を侮り、中国型開放改革経済に走った叔父を抹殺したのです。しかも極めて残虐な方法で。

張成沢処刑には、当時、私も強い衝撃を受けた記憶がありますが、長くなりますから置きます。

正恩体制に入ってから粛清されたのは240人以上と言われています。

「粛清」とは共産主義国家特有の用語で、殺害して抹殺することです。

九属に及ぶとされて、家族は当然、親類縁者まで殺されるか、収容所に送られることになります。260人は当人だけのカウントです。

これは現時点では、父親の金正日より少ないそうですが、遠からず父親の記録を凌ぐことでしょう。

今回の正男暗殺を見ると、張成沢型だと思えます。

正恩にとって体制護持の障害になるものは、公衆の面前で見せしめ的に残虐に殺害するスタイルを取ります。

ISの公開石打ち刑と発想は一緒です。 法治国家ウンヌンというより、数千年前の古代国家と思ったほうがいいでしょう。

ただ戦車とか戦闘機を持って洋服を着ているから目がだまされますが、やっていること自体は数千年前の古代国家そのままです。

2012年には、正男は中国国内でこれも現地雇用の暗殺者に交通事故を見せかけて殺されかかりましたが、単に暗殺目的ならばこれで済むわけです。

そのほうが国際社会から「兄殺しの国」という指弾を浴びずに済みますし、知らぬ存ぜぬとシレっとしていればいいだけです。

わざわざ監視カメラが作動しているマレーシアの首都空港で、白昼堂々と女性を交えた5人から6人の暗殺者で殺したというのは、抹殺・排除以外のもう一つの政治効果を狙ったとしか考えられません。

この暗殺に答えるように、金永南・最高人民会議常任委員長は、15日の金正日生誕75周年式典でこのように発言しています。

「偉大な将軍様は後継者問題を完全に解決した。最も偉大な業績である」

この文言は珍しくないそうですが、この正男暗殺の日に述べられたのは偶然とは思えません。

このような北朝鮮政治を同日付けのニューヨークタイムスはこう評しています。

"Madman Theory"、すなわち、「好戦性と予測不可能性で武装し、敵に狂人と見せることで交渉を有利な局面に導こうとするという論理」のことで、そしてこれは「残酷性と冷静な計算は矛盾するものではなく、互いに協調関係にある」としています。

つまり常に不安定でいるように見せること、発狂しているように振る舞うこと、残忍なビーストであるように見せることで国際社会を手玉に取り、有利な状況を作ろうとすることが彼らの手法なのです。

もっとも3代続けて凶暴なビーストを続けると、もはやつけた仮面がはがれなくなっていそうですが。

いずれにせよ、このふたつの事件は東アジアの激変の開始を告げるものとなりました。

春の米韓共同軍事演習は、とうぜんこの新たな事態に対応したものとなるでしょうが、このあまりの北朝鮮ビーストぶりに、我慢強いとはいえそうもないトランプがどのような対応するのか予測することができなくなりました。

防衛相の首を取って遊んでいる場合ではありません。

■お断り  「北極星2号」部分を大幅に削除しました。

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コメント

>防衛相の首を取って遊んでいる場合ではありません。

これも一連の行動の一つとして、雇った外国人の女にやらせているのだったりして。

本日も素敵なエントリーにみなさんの含蓄あるコメントを期待してるのですが、なんですかこのロシア語は(´・ω・`;)?

私の管理しているサイトのブログにも、スパムコメントがやたらついて毎日消しまくったのですが、せめて日本語でお願いと思うものです。

最近は外国語でガンガンスパムされるから、迷惑この上ない。なんで日本語のサイトにスパムしてくるかー。と思わずに入られません。

もしかしてこれも北朝鮮の陰謀なのでは?とか思ってしまいます。いやまじでそうかも(´・ω・`;)?

年度末が近づいて忙殺されています。とはいえ今日の記事は、不確定要素が多すぎてコメントがまとまらないというのが私としては正直なところです。

しらんがな

しらんがなさん、そうですね、私事はさておき。
テレビが正男良い人ニュースで覆い尽くされたり、記事にあるように防衛大臣口撃で誰が助け舟とか書く記事の方がニュースランキングで上にきているのは異常だと思います。
本来日本が1番問題視すべきなのはミサイル発射の方です。

> 北朝鮮は、日本(潜在的には中国の一部も)をいつでも自由に核攻撃できる手段を手にしたのです。
これが北朝鮮からの第1のメッセージです。

 これが大きな問題となります。

> こういう対応をしたこと自体、マレーシアが迷惑以外何者でもないと考えているのが分かります。

 迷惑ですよね。

> 正恩体制に入ってから粛清されたのは240人以上と言われています。

 こんな国が存在するという不条理な現実。それにどう対応するのかだれもなんとも言えないのでしょう。だから、今日のコメント数が少ないのではないか。北朝鮮を抹殺するわけにもいかないし、どうすればいいのか?

> ただ戦車とか戦闘機を持って洋服を着ているから目がだまされますが、やっていること自体は数千年前の古代国家そのままです。

 そうなんでしょう。中国だって、程度はそんなに違わないと思えるのだ。

> 「偉大な将軍様は後継者問題を完全に解決した。最も偉大な業績である」
この文言は珍しくないそうですが、この正男暗殺の日に述べられたのは偶然とは思えません。

 後継者問題が大きなものなんですね。国民のことや、国民の生活はどうなのかがテ-マになりませんね。

> いずれにせよ、このふたつの事件は東アジアの激変の開始を告げるものとなりました。

 どのように展開していくのか不安である。

> 防衛相の首を取って遊んでいる場合ではありません。

 日本の政治家達も問題への対処ができないようです。稲田さんの問題より、国防対策がテ-マになるべきですが、真剣に問題を受け止めてはいないようです。実際にミサイルが打ち込まれないかぎり、政治家も国民も真剣にはならないのでしょう。真剣に問題として捉えているのは防衛省の人たちのみでしょうか?

経済制裁の渦中にありながらも、現在の北朝鮮国内はむしろ生活物資が豊富になりつつあるのだとも聞きます。
もちろん「野天市場経済」的なものに過ぎないのでしょうが、一時的にせよ国民は「収容所内的自由主義」に一定の安息を見出してる、とも。
また、軍が握っていた利権を貿易商人達が受け継いで、これが機能している事も寄与しているようです。

金正恩が「戦略的」に今回の二件の事件を企てた、などとは思えないですが、こうした内政の安定化方向が「脱中国」路線を促進しているようにも思います。
しかし孤立無援の冒険主義的に見えながらそうでもなく、武器輸出先国との関係は保ってる。

北朝鮮が米国を標的としたICBMの発射実験を行えば、トランプ氏は空爆をやるのではないか。
いずれケリをつけなければならないのはハッキリしていると考えますが、そこに中共の奸計が必ず出て来るハズ。
その時、日本はどう出るのか? 
どうやって国土を守るのでしょうかね?

日本はさっさと憲法を改正し、核武装して中共が手を出さないようにした上で、北朝鮮の軍事施設を攻撃すべき。

間違ってはいけないのは、金正恩さんは殺してはいけない。そのまま残して統治させ、おかしくなったら、軍事施設は破壊。

あとは国民が自身の手で金体制を打倒して自身の手で穏やかに統治するのを見守るだけにすべきです。

そうしないと、金さんを倒したあとの混乱の責任を問わされるし、韓国の事例を見ても、その後貧しいのは、日本が攻撃して偉大な指導者を殺したからだと歴史を捏造して逆恨みをされかねませんからね。

今回はちょっとコメントしづらかったです。
正恩の幼少時からの環境(母は大阪出身、専属料理人は日本人で日本料理も好み、来日経験も数回ある、留学先はスイスで、ヨーロッパアメリカ諸国の西欧文化に慣れ親しんでいる等)からみても、むしろ北のほうが中国を切りたがっているのでは?と、妄想したりしていました。
中東から東南アジア、朝鮮半島と、情勢不安な状態が重なってきました。今後の展開が気になります。

すいませーん。まとまらない記事になってしまいました(汗)
情報は錯綜しているし、書いている最中にあたらしい情報はとんどん上がってくるし。
そっっちを増やすと、こんどは前半の弾道ミサイルが重たくなりすぎると七転八倒。
今後、このての事件はちょっと時間をおくようにしますね。

いつも疑問に思うのですが、同じ独裁国家でもイラクのフセイン大統領やリビアのカダフィー大佐は排除し北朝鮮の金王朝は排除しないのでしょうか。
あくまで個人的な考えですが。

1、イスラエル(ユダヤ人国家)の保護。つまり今も昔もアメリカを支配しているのは実質ユダヤ人であり、トランプ政権にも随分入り込んでいる。エルサレム問題などにも口を出し、今後国際問題に発展するのは必至である。
2、比較して北朝鮮はアメリカ(ユダヤ人)にとってさほど脅威ではない。また後ろにいる中国を刺激するのが怖い。

中国の意のままにならないとは言っても、今後も中国は韓国、日本への揺さぶりとして北朝鮮を利用すると思います。イラクはイスラエルにスカッドミサイルを撃ち込みフセインは排除された。
北朝鮮がもし日本にミサイルを撃ち込めば、中国も北朝鮮を擁護できなくなります。北朝鮮もそんなバカなことはしないと思うのです。ただし金正恩が馬鹿でなければの話ですが。

karakuchiさん

原油が豊富にあるイラクと違って朝鮮半島の土地自体に価値が無いのと中国を刺激するからじゃないですか?

karakuchi さん。いろいろありますが、最大の理由は周辺国が北朝鮮の崩壊を望んでいないことです。

中国は、韓国という米軍を駐留させる国と直接に国境を接するのはイヤですし、韓国や米国にとっても北朝鮮は中国の脅威の衝立になっていてくれました。

こういう国を「バッファ・ランド」(緩衝国)と呼びます。
こういう奇妙な地政的位置のために、金王朝がそのまま温存されることになったのです。
残念ですが、この地政的位置はかわりませんので、簡単にあの金王朝はつぶれませんし、よしんば正恩が失脚しても別の形で温存されることになります。

ちなみにカデフィやフセインも、独裁国家ですが複雑な人種や宗教を押さえ込んでいた役割があったのですが、愚かにも米国がフセインは直接に手を下し、カダフィはアラブの春を支援するという愚策をとって、滅ぼしてしまいました。

かくしてイラク、リビアは統治が崩壊し、テロリストの温床になっているのはご承知のとおりです。

管理人様

バッファ・ランドですか。つまり生かさず殺さずと言うところでしょうか。そしてあまり自己主張しても困ると言うわけですね。
リビア、イラクの場合は結果的に絶対的独裁者が必要だったことは事実です。そこに簡単に民主化できると読んだアメリカ外交の失敗はありますね。

ブルースジュニア 様

その石油資源を一手に握っているのが、ユダヤ系財閥です。古今東西の紛争にはどうもユダヤ資本が動いているように思えてなりません。


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