« 松本市長再選 新しい沖縄政治の胎動か | トップページ | 時勢の悍馬から落ちた翁長知事に新疑惑  »

北朝鮮 「北極星2号」発射実験

151
北朝鮮がまたやってくれましたね。恐ろしい勢いで核武装技術を習得しています。

2月12日午前8時ごろ、北朝鮮は北西部から東に向けて弾道ミサイルを発射し、500km飛翔した後に日本海に落下しました。

また昨日、金正恩の異母兄に当たる正男がマレーシアで暗殺されました。

しかも顔を布で覆って(スプレー説もあり)毒針で殺すという、古代王朝の宮廷芸のひとこまのような方法でした。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6230125

まず「北極星2号」です。

北朝鮮国営メディアは戦略弾道ミサイル「北極星2号」の実験が成功したと発表しています。

これは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である、「北極星1号」(KN-11)の地上型のようです。

下の写真が労働新聞が発表した「北極星2号」です。2_2

今回の実験の大きな特徴は三つあります。

このミサイルは実戦を本気で考えている弾道ミサイルです。独裁者のプロパガンダではなく、現実に使用するに耐える弾道ミサイルに仕上がっています。

まず第1に、従来のノドンやムスダンの難点は、液体燃料方式だったことです。

Photo
上の写真はムスダンの発射時の画像ですが、下の「北極星2号」のものと比較してください。

2

「北極星2号」は、ムスダンの発展型ですが、噴射ガスの色が「北極星2号」は白っぽいのに対して、ムスダンは赤っぽいのがお分かりになるでしょうか。

これは「北極星2号」が個体燃料方式だからです。

ムスダンは見た目は派手でプロパガンダ向きですが、これだとすぐに熱感知されてしまいます。

そのうえ液体燃料は長期間充填したままにすると酸化して使い物にならなくなるために、発射直前に充填せねばなりませんから、早くから察知が可能です。

そりゃそうでしょう。ジッと発射台で座り込んでいたら、いい目標です。

下の写真はムスダンの発射時のものですが、こんな風にのどかにやっていたら、本番では一瞬で爆撃されます。

平和目的ならともかく、相手国で何十万も殺すために撃とうとしているのですから当然です。

Photo_7
撃たれる私たちの側も、自衛隊の迎撃ミサイルやイージス艦を展開する時間的余裕があります。

石垣島に展開したことを覚えておられるでしょうが、この固体燃料式の場合、燃料注入の時間が節約できるため、迎撃のために展開している時間的余地はゼロに等しくなります。

固体燃料は燃料注入をせずに常に移動式発射機の上にセットしたままで、森林の中のシェルターに隠しておけます。

第2にもうひとつ画期的な技術進化がありました。それは「コールド・ローンチ」(cold launch)技術を使っていることです。

「北極星2号」は、発射時には圧縮空気や不活性ガスを使って飛び出しています。

1枚上の写真をみると:、「北極星2号」の噴射ガスの色が変化しているのがわかるでしょうか。

発射してしばらくたつと白色に変わりますが、これはロケット・モーターに点火したからです。

30m上空でロケットモーターに空中点火し、「ホット・ローランチ」に転換して上昇していきます。

Photo_4
この技術は水中や地上サイロから発射する際に、発射器を使い捨てにしないために考えられました。

「北極星2号」ならば、何回でも発射器を使えるわけです。

またこの固体燃料は、移動を容易にすることができます。

そこで第3に重要なことは、従来のような地上で固定式発射台から発射するのではなく、移動式発射機で発射していることです。

実はこれは大変にやっかいな技術なのです。

この発射移動機は「輸送起立発射機(transporter erector launcher・TEL)」と呼ばれています。Photo_5上が今回使われた移動式発射機です。無限軌道(商品名キャタピラ)で動く装軌式となっています。

従来は移動に際して10輪の大型トレーラーを使った装輪式です。下の写真がムスダンのものです。

Photo_3
無限軌道で移動することによって、相当な不整地でもミサイル発射機を乗り入れることが可能となります。

北朝鮮は深い山岳地帯が沢山ありますから、多くの「北極星2号」を無限軌道の発射機に載せたまま秘匿しておくことが可能です。

よく先制攻撃でミサイル基地を潰してしまえという威勢のいいことを言う政治家がいますが、場所が分からないのにどうやって空爆するのでしょうか。

結局、かつての湾岸戦争のように、特殊部隊のチームを多数浸透させて、根気よくシラミ潰しに捜索せねばなりません。

絶望的に難しい作業ですので、発射後に探知するしかありませんが、それすら固形燃料方式は熱量が少ないために困難でしょう。

というわけで、正直、大変にやっかいなものを作ってくれたと思います。

ちなみにこの「北極星2号」は、日本の在日米軍基地を標的にしています。

今回の発射試験で、「北極星2号」は水平距離500km、最大到達高度550kmを飛行しましたが、これはロフテッド軌道で打ち上げたものです。

専門用語が多くて恐縮ですが、「ロフテッド軌道」とは山なりの軌道のことです。

Photo_6

上図はムスダンの;ものですが、弟分の「北極星2号」も山なりに上げずに通常の弾道で発射した場合には最大射程が1000~1200kmになります。

米国本土やグアムには到達できませんが、すっぽりとわが国を射程圏内に置くことができます。

これは高い上空まで打ち上げてから再突入させるために、迎撃は自衛隊が配備しているSAM3ブロック1Aでなら迎撃可能ですが、難易度は高くなります。

また、発射地点から半径500kmをコンパスで地図で円弧を描くと、中国領が拡がっています。

そして中国が最重要軍事拠点としている青島海軍基地は、南西500kmにあります。

ここが唯一の空母「遼寧」の母港です。

いまや北朝鮮の核攻撃の目標は全方位なのです。

なお、金正恩は兄の正男を白昼公然と暗殺しました。

正男のバックには中国がついており、「北極星2号」と同時に暗殺が実行されたことを見ると、もはやいかなる意味でも、中国の北朝鮮に対するコントロールは無効になったと考えるべきでしょう。

それにしても我が国国会は、こういう嵐を目の前にして、スーダンPKO部隊の日誌に「戦闘」とあったからどーした、前原氏のように首相をつかまえて「米国のチキンだ」などと太平楽なことです。

|

« 松本市長再選 新しい沖縄政治の胎動か | トップページ | 時勢の悍馬から落ちた翁長知事に新疑惑  »

コメント

偉い政治家の先生たちもこちらを読んで勉強してもらいたいものです。

二階俊博幹事長の、どこか人ごとみたいなコメントにも(当人にはそんなつもりはないのかもしれませんが)がっかりです。

http://www.sankei.com/politics/news/170214/plt1702140026-n1.html

投稿: かつて…(以下略) | 2017年2月15日 (水) 07時44分

 コールド・ラウンチ方式は、SLBMの実用化にも大いに関係しています。SLBMも、幕を突き破るまでは燃料ではなく別な動力で発射して、空中に出てから点火ですからね。SLBMは少ない核で目的地を叩くには効率がいいので厄介です。
 しかし、北はトランプ政権を甘く見ているのではないでしょうか。オバマ政権と違って、いざとなれば戦闘行為を実行する政権だと思われます。おそらく、金正恩の暗殺作戦を決行する可能性が高まっているでしょう。
 むしろ、日本と真面目に対話して、拉致問題をきれいにして経済制裁を解除してもらったほうが、楽なはずですが・・・・。

投稿: ednakano | 2017年2月15日 (水) 09時10分

正男氏の暗殺は中共のメンツ丸潰れ。

主体思想の良く言えば「独立不羈」、正確には「病的精神性」の前では、中共のグリップはまったく効きません。
それどころか、今だに習近平は親北の旧瀋陽軍区を治め切れておらず、北に対する実質的な経済支援を止められていない様子。
経済要因以外、安全保障面でも中共の国際社会での評価は失墜する一方ですね。

「北極星2号」の方も、幸か不幸か「平和ボケ」の日本では「正しく怖がる」事が不可能なので、「ああ、また何かやってるのね。自衛隊さん、頑張ってね!」程度の反応。
国会議員からしてそうで、マスコミにも問題を深く掘り下げる事で積極的に訴える能力も信用もない。
これによって日本の世論は「堅固な日米同盟」支持者が増えるのみで、したがって安倍支持者は増幅するが、逆に「改憲議論」にさえ結びつく事も全然ない。
支持率は増幅するが、安倍さんの舵取りはますます難しいものとなったと言える。
日本も病気を抱えてる。

しかし、韓国はどうなのか?
文在寅体制実現までは北もおとなしくしていると思ったが、全然違った。
これが韓国内の親北勢力のオウンゴールになるのかと思いきや、そうはならないだろう絶望は「天安艦」でも「延坪島」でも実証済みというところでしょう。

結局、頼みはトランプ大統領だが、こちらの方は米国内で「封じ込め」に会っている状態なので、この程度ではドラスティックな動きが取れない。

そして、これまでのように何となく忘却され、日本人には「馴れ」という病が高じ、追加されるので、さらに「政治的硬直」化が進むのでしょう。

投稿: 山路 敬介(宮古) | 2017年2月15日 (水) 09時52分

んー、北朝鮮は複雑怪奇ですね。米国としては、旧満州・旧清国の故地を分離独立させて、中国共産党を瓦解させる謀略を進めると思います。とすると、北朝鮮は対中国カードになる。日本向けたミサイルは、中国恫喝にもなるのかもしれない。いずれにしても日本は米中戦争の最前線であり、破局災害も予測さるなか、徴兵制か民兵組織を作り、今後の戦乱・災害に備えるべきですね。日本共産党が北朝鮮ミサイル発射に抗議しましたが、上記のシナリオを考えると意味深長ですね。もはや米中戦争に突入しているのに、国会ではマンガのような問答が行われているようです。巷では、金の亡者が毎日毎日詐欺行為なような取引を行い、絶対的剰余価値でしか稼げない時代遅れな社会で、徐々に国民が溺れはじめて、窒息寸前のようにも思える。まあ貧乏人のひがみかもしれまん。

投稿: オイラー | 2017年2月15日 (水) 12時43分

一回り見回しましたが、ミサイル発射と暗殺について、ここまで踏み込んだエントリーはどこにもなく、脱力するレベルです。

大丈夫かこの国はと思わずに入られません。

投稿: かつて…(以下略) | 2017年2月15日 (水) 19時54分

朝鮮半島情勢については、マスゴミの報道の仕方も問題ですが、私たち国民自体も他所のこととしか考えてないのではと思います。
ほぼ鎖国状態、部品も用具も(表に出ている映像等ではですが)ほぼ旧式の北でミサイル成功とミサイル発射実績を重ねていますから、ほんとうは恐ろしいことなんですがね。ちなみに隣の韓国はぜんぜんダメです。

さらに情勢が悪化、日本国内の法整備が出来上がっていない状態で北南両方から大量の難民が押し寄せてたときはどうするのか、想像するだけでも暗い気分になります。

投稿: やもり | 2017年2月15日 (水) 20時22分

金正男の暗殺、中国の警護がなかった。
もう利用価値が低いとして中国が庇護を打ち切りにしていたとの見方もあるようです。


脅威なのは北朝鮮のミサイル兵器の進歩ですね。
固形燃料で驚き、山岳などの不整形地に展開出来るキャタピラの移動発射機に驚き、今回のミサイルよりも大きなミサイル(飛距離も長い)も運用が可能であるとの小川さんの解説に驚きました。
不謹慎かもしれませんが対北朝鮮として日本も欲しいと思いました。

投稿: 多摩っこ | 2017年2月16日 (木) 02時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 松本市長再選 新しい沖縄政治の胎動か | トップページ | 時勢の悍馬から落ちた翁長知事に新疑惑  »