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« 北朝鮮危機 今週に最初の山場が来ます | トップページ | 北朝鮮ミサイル発射 なぜ、米中首脳会議の直前に撃ったのか? »

2017年4月 5日 (水)

北朝鮮危機 大陸間弾道ミサイルに大手をかけた金正恩

033
今までなんどとなく北朝鮮危機は叫ばれてきました。 

しかし今回ほど切迫したトーンで、米国が警告を発することはなかったはずです。 

それはタカ派のトランプだからだと思っている人もいるようですが、違います。 

米国は今や、北朝鮮を甘く見ていたツケを、一括返済せねばならない事態に立ち至っているのです。 

ほんの5年ほど前まで、多くの軍事専門家たちは北朝鮮が核実験をしたり、ミサイル発射するたびに、「騒ぐな。騒げば相手の思うつぼだ。北の脅威は低い」と言ってきましたが、いまやこの有り様です。 

北朝鮮は弾道ミサイルの最高レベルである、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発成功に大手をかけています。
大陸間弾道ミサイル - Wikipedia

そして米国は、ニューヨークタイムズ(3月4日)によれば、飛来する北朝鮮の弾道ミサイルを防ぐ確率が驚くほど低いことを自覚しています。 

米本土には、飛来するICBMを迎撃するためにアラスカとカリフォニア州にGBI(最新型ABM)を展開していますが、その過去の迎撃実験は56%失敗でした。 

ABM(anti-ballistic missile)とは、弾道弾迎撃ミサイルのことです。
弾道弾迎撃ミサイル - Wikipedia 

Gbi_bGBI インターセプター http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams01/md-09a.html

アイゼンハワー政権以来、営々と3000億ドルもABMに注ぎ込んできましたが、これでは米国の大都市は守りきれぬとオバマは判断したわけです。 

それが2014年前半のことだと言われています。

約6割の実験失敗のショックが、いかに大きかったかと拝察します。 

しかもこれは予告された迎撃実験であって、奇襲攻撃をかけられた場合、眼も当てられない確率となることがわかったからです。

かくしてオバマはABMでの迎撃を諦め(撤去したわけではありませんが)、サイバー攻撃によって妨害する方法に転換しましたが、成功したかどうかははなはだ疑わしいとされています。

おそらく数回のムスダンの実験を失敗に終わらせましたが、北朝鮮はそれ以降米国のサイバー攻撃をブロックすることに成功したようです。

ちなみに北朝鮮のサイバー戦能力は、中国と共同して開発・実施されており、能力的には世界トップクラスの水準にあると見られています。

先日のミサイル実験の失敗もサイバー攻撃だという声が上がっていますが、たぶんただの技術的失敗でしょう。

つまり、飛来する北朝鮮の核ミサイルが複数あった場合、かならず数発は大都市に着弾するということです。 

この「複数」という意味は、複数のミサイル本体ということを意味しません。 

多弾頭弾道ミサイル(MIRV)のことです。 

001http://www.gepr.org/ja/contents/20160425-02/

大陸間弾道ミサイルは、発射後地球の引力を振り切って大気圏外に出て、ミサイルの先端のキャニスターを開いて中に格納してあった複数の弾頭を放出します。 

そして6発ていどの弾頭に別れて、各々の目標に突入しますが、このうちのいくつかにはデコイ(囮)が混ぜ込まれていて、いっそう迎撃を困難にします。 

002多弾頭式核爆弾 同上 

北朝鮮は、いまやこの多弾頭式弾道ミサイルの開発に成功しつつあると見られています。 

さて、北朝鮮は3月19日、朝鮮中央通信を通じて「新型の大出力ロケット・エンジンの地上噴射実験に成功した」と発表しました。

この実験は、大変に大きな意味をもっています。正恩がたかだかエンジン実験で立ち会う意味を考えて下さい。

下の写真で正恩が見ている塔が、ロケット・エンジン実験塔です。今まで北朝鮮は、2016年4月、そして9月に既に2回ロケットエンジンの実験を行い、今回は3回目です。

Photo

ロケットの専門家である鳥嶋真也氏によれば、まず去年4月のものは、ムスダンのエンジンを2基、束ねたものでした。

この中距離ロケット・エンジンを束ねて推力を増し、第2段、第3段を継ぎ足して長距離大型ミサイルに仕立てるという方法はよくとられる方法です。

次の9月の実験は、西側専門家に論議を呼びました。いままでの旧式ミサイル・エンジンから明らかに新型に進化したからです。Photo_2

このロケット・エンジンは、ロシアのRD-250の北朝鮮バージョンであると推測されています。

RD-250エンジンは、大陸間弾道ミサイル用エンジンです。

旧ソ連はRD-250ロケット・エンジンを使って「R-36」というICBMを開発した実績があります。
R-36 (ミサイル) - Wikipedia

このR-36ミサイルは、4トンから6トンの弾頭を、1万~1万5000kmまで飛ばす性能をもつ、いわゆる「重ICBM」に分類されるミサイルです。http://www.geocities.jp/space_launches/LaunchVehicle/russia/Tsyklon.htm

Img_1R-36ロケット

R-36は旧ソ連最大のミサイルとして君臨し、西側の恐怖の的となったロケットです。

これをフルコピー(一部異なる箇所がありますが)としても、これだけ短期間で完成させてしまう北朝鮮の技術力を侮ってはいけません。

国力を一点に集中し、人民に飯を食わせなければ、まぁなんでもできるということです。

現在北朝鮮は、核弾頭を1トンまで小型化する能力を有していると思われていますから、最大6発の子弾頭を搭載できることになります。

Ajp20170210001900882_01_i

このように、北朝鮮は凄まじい勢いで核武装国家の大手をかけようとしています。

そして米国はそれを防ぐ術がないのです。

今後、上の写真のようにこの新型ロケット・エンジンを搭載した大型ミサイルの発射実験をすると思われます。

これは液体燃料ですから、燃料注入に長時間を要するうえに、スカッドERのような隠蔽も不可能です。空爆に脆弱な一瞬です。

この時トランプがどうするのか、注目せねばなりません。

■謝辞 参考文献 鳥嶋真也「脅威増す北朝鮮のロケット技術――「新型ロケット・エンジン」の実力を読み解く」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170329-00134849-hbolz-int

 ■追記 北朝鮮は米中会談前日にミサイルを発射しました。

韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は5日午前6時42分ごろ、東部の咸鏡南道新浦(ハムギョンナムドシンポ)から日本海に向かって弾道ミサイル1発を発射した。
 飛距離は約60キロ。韓国軍はミサイルの種類などの分析を急ぐとともに警戒を強めている。(朝日4月5日 7時33分)

 

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コメント

今朝もミサイル打ちましたね。日米首脳会談に対するメッセージでしょうが、どう見ても挑発効果しかない。

 今週中に山場がくるということですので、少々緊張します。政府が頑張って難局を乗り切ってもらうよう、祈るばかりです。

 アメリカの北朝鮮対応が間違っていたというお説はよく理解できるものです。素人の私ですら、アメリカの北朝鮮対応はおかしいと思っていたのですからね。

 私としては、アメリカが中国対し今回は強く出てほしいと思っております。中国商品への関税を減じることと北朝鮮の暴発を中国により停止せしめることをバ-タ-取引することも実行してもらいたい。

何度も何度もミサイルを飛ばされてるにも関わらず、我が国のメディアは森友~とか豊洲~とか、それでつぎは「今村復興大臣の暴言だぁ」て報じる始末。。。

もういい加減にせーよ!!!

今村復興大臣を怒らせた西中誠一郎という人物を「西中誠一郎 ニュース」と検索すると実に香ばしさ満載ですよ(苦笑)

ティラーソン米国務長官がもはや対話には応じないとばかりの声明を出したようですね。

在日米海兵隊が4月3日にyoutube、facebookに出した映像が4日にもtwitterに出してします。

「ステルス性能を持つ、第5世代ジェット戦闘機F-35が太平洋に展開を始めました」
https://twitter.com/mcipacpao

バンカーバスターらしき映像まで含まれているのが不気味です。警告でしょうか。

この状況下にも野党は相変わらずでどうしようもない。

トランプ氏は米中首脳会談で習氏に猛プッシュをかけるようですが、米は中共の「北朝鮮に対する影響力」を過大評価し過ぎているかも知れません。
「もし今でも決定的な影響力があるのならば、中朝首脳会談がとっくに行われているはず」(遠藤誉氏)と思います。

また、日本国内で「正恩の目的は王朝の継続性にあるのだから、そこを確約して会話による解決を摸索すべし」との論調が見られますが、これは誤りですね。
 正恩氏の当面の目的が「王朝の継続」にあるのだとしても、その後はその事を確実に担保する為にさらに、「日米同盟の破壊」や「東アジアからの米軍の撤退」を今以上に画して行く事が明らかだからです。
(ここの部分に関しては、中共の思惑に完全に合致します。)

さらに、事実上の「良い膠着状態」を意味する「相互確証破壊」なる概念は、最低限の信頼関係的なベースが相互にある場合を前提として有効な理論なのであって、北朝鮮のような「ウルトラ独裁専制国家」には通じないのではないでしょうか。
 そもそも北朝鮮が自国の国民の死や、自分の国土の破壊を一顧だにしないとすれば、概念上米国との「非対称性」は明らかであり、それゆえ米国がそうした選択をするとは思えません。
また、日本が頼りとする「拡大核抑止力」概念も根底から崩れるものと思われます。

 興味深いのは、JBプレスに載ったJW大学のニクシュ教授の(国務省の朝鮮問題専門家であった)トランプ政権の先制攻撃に関する認識を記した記事です。
 ニクシュ教授は「トランプ政権は中国こそが北朝鮮の殺生与奪の権を握っていると見てい」、「核弾頭の所在も、正恩氏の居所も確定出来ない」ながら、「認識されている長距離ミサイル関連施設だけに対する攻撃を想定している」、としています。
 その意味は、これまでの5015作戦では「全面戦争」の勃発の危険性が高かったが、「今ある現実的問題に対処する事に特化し、長距離ミサイル施設への爆撃を行うのみならば、北朝鮮の反撃も限定的であり、全面戦争への選択肢は取らないだろう」との見立てなのだそうです。
 この問題では米の報道も百花繚乱で何が本当かわかりませんが、このような「前提の変更」(あるいは解釈の変更)をニクシュ教授は「米国による新たな抑止」としているようです。

過去にアメリカは先に打たせてから世論を盛り上げ徹底的に相手をつぶしています。
そう考えたときに、本気モードになった時のアメリカの怖さを、正恩が知っているなら絶対に先に打たないと思います。ソ連がキューバにミサイル基地を作るのを断念しました。ケネディーが強力なメッセージを送ったからです。
今のトランプ大統領のメッセージを正恩が理解できるのか。それとも単なるバカなのか。
そんな時期にロシアへのイスラム過激派のテロが発生した。大国の戦力も分断されつつあります。
世界情勢は混沌としてきました。素人の私には今後どのような駆け引きがあるのか全く想像もつきません。
EUは相変わらず混乱しているし、カギはやはり今も昔もアメリカ、中国、ロシアが握っているのでしょうか。
このキー国たちも利害があり一枚岩ではない。
素人考えですが、まずチンピラを退治してから利害調整しようよとなればと思うのです。

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