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2017年4月17日 (月)

北朝鮮危機 正恩があいまい戦略をとったとしたら 

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多くの識者の意見には一定のポジションがあらかじめあるとみえて、その位置に従って材料を選んで立論しがちです。

特にいまのような先が見えない状況では、よくもまぁと思えるほどバラバラの意見となります。

ある者はあすにでも正恩の原爆が東京に降ってくるかのように言い、ある者は話合いで解決できる、トランプは挑発するなと主張します。

本来職業的ニュートラル感覚がなければならない外交官あがりの評論家さえ、「マッドマン・セオリ」(狂人の論理)と言い出したのには失笑しました。

マッド・トランプとマッド・ジョンウンとの闘争だから分からないよ、と元職業外交官はいうのですから、おいおいです。

待って下さい。正恩が投げたカードがどのようなものであったのか、あなた方はよく見ましたか。

おとといから昨日にかけて正恩から投げられたカードは、とりあえず3枚です。

①「中距離弾道弾の失敗」
②「核実験なし」
③「移動式発射機に乗った固形式燃料のICBM」

ここから推測できる文脈はなんなのでしょうか。

これもしょせん明日からの状況で変化していくことでしょうが、手さぐりで見ていきます

まず、訪韓のミサイル発射の挨拶を受けたベンス副大統領の反応です。

「【ソウル支局】米ホワイトハウス当局者は16日、北朝鮮が同日発射したミサイルについて「ICBM(大陸間弾道弾)ではない。おそらくは中距離ミサイルだ。発射後4~5秒で失敗した」と説明した。今後の対応については「大統領は軍事、外交など幅広い選択肢を持つが、今回の失敗したミサイルに特に対処する必要はない」と述べ、当面は静観する姿勢を示した。ペンス米副大統領のアジア歴訪に同行する記者団に語った」(毎日新聞2017年4月16日 )

トランプ自身の反応はマティスが、「大統領はこれ以上のコメントはない」と代弁しています。

まず1枚目の北朝鮮のカードです。

 デイと考えられていた15日太陽節の翌日、北朝鮮はスカッドER(北極星2号の異説もあります)を発射し、しかも原因不明で発射直後に爆発しました。

爆発した理由は、自爆説、サイバー攻撃説、と技術的失敗説がありますが、三回続けての失敗ですので、サイバー攻撃説の信憑性が強まってきました。

もちろん米国は、そんなことを公表するはずがありませんので、数十年後に「あの時はねぇ」で分かることでしょう。

これは先日の軍事パレードにも、移動式発射装置に載せて登場した中距離弾道ミサイルです。

ちなみに 、この中距離弾道ミサイルは日本に向けたものです。撃たれた私たちが天ボケしているので、撃ったほうも気抜けしていることでしょう。

PhotoスカッドER

次の「核実験なし」は、技術的には大型のおそらく水爆級だといわれる核兵器実験のことです。

これと投射手段のICBMはペアになっています。いくら破壊力があっても投射手段がなければただのバクダンです。

そこで3枚目のカードの、「移動式発射装置に乗った固形燃料型ICBM」をどう評価するかということになります

たぶん、これが今回正恩が切ったカードで一番国際社会に見せたかったものだったはずです。

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米国は敵が多い国ですが、その中でももっとも手に負えない奴だと認識しているのが、実はこの北朝鮮です。 

朝鮮戦争休戦以降、北朝鮮は巧みに米国を挑発しつつ、一線を越えることを回避してきました。 

それは米軍が国境から指呼の距離に展開しているということもあって、中国も巻き込みかねない全面戦争を避けるという暗黙の合意が両者の間に存在したからです。 

そしてなにより、米国は戦争するに際して国際社会の盟主として、常に疑う余地がない「大義」を掲げる必要があったからです。 

たとえば今回のシリア攻撃は、「毒ガスを子供に使用して多くを殺した」という大義がありました。 

裏を返せば、北朝鮮が米国を直接攻撃したり、米国民にテロを仕掛けたりしなければ、米国は手を出さないと彼らは知っていたことになります。 

少し時間を巻き戻してみましょう。 

1994年、クリントン政権は北朝鮮の核施設を空爆することを真剣に検討し、それを韓国に通告しました。 

辺真一氏によれば、当時韓国大統領だった金泳三は、クリントンの在韓米国人の秘かな救出作戦を知るや、怒ってクリントンにかみついたそうです。 

また別な説によれば、金日成からも「核武装する気はない。だから今回はかんべんしてくれ」との泣きが入ったからとも言われています。 

いま思えば、タイミング的にはこの時しかなかったのですが、クリントンの判断は「まだ放っておいても核武装はできまい」というものでした。 

送電線がない原発は核兵器製造以外の目的であるはずがないのにかかわらず、クリントンは「大義不足」と考え、結局、6カ国協議の20年間の泥沼に足を踏み込んだのでした。 

次のタイミングは、第1期オバマ政権時の2010年11月、北朝鮮軍の韓国の延坪島砲撃事件でした。 

この時、イ・ミョンバク韓国大統領は反撃を求めましたが、オバマは拒否しました。

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オバマは、空母打撃群を朝鮮半島水域に向かわせることで、ムニャムニャとお茶を濁すだけに止まりました。 

これはオバマ特有の「平和主義」だけではなく、まだ北朝鮮が核武装化が幼稚な段階にすぎず、少なくとも自分の2期内に完成するわけがないと思っていたからです。

こうして20年の「話合い」の時間が、北朝鮮に与えられました。 

そして今。

北朝鮮は中距離弾道ミサイル実験を「訓練」の域にまで高め、かつ即応性がある固体燃料ミサイルの同時発射というレベルにまで達しました。 

そして新型の大型ICBM用ロケットエンジン開発も、終盤に差しかかったと称しています。 

あまりにも急速の核武装化の進化に、中国からの技術供与、あるいは実物供与が疑われるほどです。 

つまり、北朝鮮は米国本土に到達する投射手段であるICBMに、その手をかけたことになります。 

これは北朝鮮の核が「放置してよい」段階を越えて、米国にとって直接の脅威に成長したことを意味します。 

言い換えれば、米国は北朝鮮攻撃の「大義」を得たことになりました。 

さて、15日の軍事パレードに搭乗した新型ICBMは2種類ありました。 

ひとつが下写真1番目の旧式のトレーラー牽引型であり、もうひとつが2枚目の16輪の重野戦機動トラック型のものです。 

Photo_3トレーラー牽引型ICBM 

Photo_5自走式移動発射装置型ICBM

この自走式ICBMの登場に、見ていた米国政府関係者は背筋に冷たいものが走ったはずです。
 

なぜならこれは原理的には、いつでもどこからでも自由な時間を選んで米国本土を攻撃しうる能力を北朝鮮が獲得した、あるいは、テストをしていませんから、「獲得しつつある」ということになります。 

ICBMの最大の欠点は、露天式の発射台に固定的に据えて発射するしかないことです。 

Yjimage銀河2号 

上の写真は銀河2号長距離ミサイルですが、大規模発射台に据えて、液体燃料を数日かけて注入してからおもむろに撃つという段取りになります。 

現実に、そんなことをトロトロしていたら、「対米核攻撃の兆候」と米国に認定されて、空爆されてお終いです。 

移動式発射台から発射するには、コールドローンチといって、2枚上の写真のようなキャニスター(収納筒)の中にミサイルを納めて、圧縮ガスによって打ち上げ、空中で推進剤に点火して上昇させます。 

Nkm702jpp023302152コールドローンンチで発射した北極星2号

コールドローンチできるICBMを移動式発射装置のキャニスターに入れたまま、山中に隠蔽し発射することが可能となるわけです。
 

この方法で発射されると、事前に捕捉して破壊することはほとんど無理です。 

さて、こうして見て来ると、北朝鮮のICBM発射を事前に察知して阻止することが大変に難しいことが分かってきます。

そう考えてくると、偶然にか意図的にか、正恩は難しい問いをトランプに突きつけたことになります。 

ICBMも実験することなく保有し、核実験はしないであえてあいまいな状態に置くことも正恩は取り得るからです。 

中距離弾道ミサイルはパカパカ撃つが、ICBMは撃たない、核実験はしないが核兵器を保有しているのは間違いないというあいまいな状態も可能だというわけです。

ただ保有しているだけですら、ホンモノかニセモノかは分からないし、分からないからこそ「あいまい戦略」なのです。

この「あいまい戦略」の目的は、米国の「大義」を封じることです。

この「究極の宙ぶらりん状態」は、米国政府中枢に取っても甘いささやきになるはずです。 

今までクリントンやオバマがさんざんやってきた、「大義が足りないから捨ておく」という選択肢も合理化できるからです。 

トランプがこの方法を取った場合、米国の敗北と見なされて、トランプはやるやる詐欺として2期目は諦めたほうがいいでしょう。

一方、正恩にとっては、現況で状況を固定化することで、国家と自分のリスクを回避し、米中の譲歩を引き出せる「あいまい戦略」はなかなか妙味のある考え方ではないのでしょうか。

現在、米中露三カ国による確執に満ちた共同圧力が加えられていることでしょうが、かんじんのトランプが、どのようにこれを判断するのか、私には予測がつかないと正直にお断りしておきます。

※追記 大幅に加筆修正しました。 

 

 

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コメント

北は、米軍事行動の「レッドライン」はどこか? という事について、しきりに探っているようでもあり、すでに見切っているようにも見えます。
ラインの手前までの行動を何回となく繰り返しまがら、頃合をみて必要不可欠な実験を実施する腹ではないか、と。
 中共の「サラミスライス戦術」に似た、飽くことのない執拗さと根気強さが北朝鮮にはあります。
一般に軍事力に勝る側はどうしても集中力が散漫になりがちだし、それ以外にも北は民主主義国の弱い部分を良く知ってると思います。

 一方のトランプ氏は移り気で前言撤回も数知れず、方針そのものが抜本的に変わるようにも見えます。
 もっと心配なのは中共を信頼し過ぎているきらいがありそうで、そうだとしたら必ずトランプはオバマの「二の轍」を踏む事でしょう。
中共ファクターがトランプの今後の「言い訳」にすらなる可能性もあり、その場合まんまと「あいまい戦術」に乗せられた結果、と言う事でしょうね。
 逆に、すでに中共に米軍の軍事行動を容認させているのなら、艦隊の集結を待つまでの「静寂」なのかも知れません。
(それにしても北朝鮮じゃないのですから、国際社会の大勢が認める「きっかけ」づくりは必要でしょうね)

IAEA元査察官で米安全保障研究所のオルブライト所長によれば、現在の北朝鮮の核弾頭の保有数は13~最大30発で、16年末までにわかっているプルトニウムと濃縮ウランの所有量だけからみても、2020年には60発程度は製造可能との事。
 ICBM向け核弾頭の現時点での完成は疑わしいものの、ノドンに搭載可能まで小型化したプルトニウム型はすでに少数保有しているのは確実のようです。

 ハッキリ言って、日本にはもう「危機」を先送りする選択肢は残されていないのではないか。
(にしても、日本のやれる事は「避難訓練」以外ないのですけれど)
 ブログ主様同様、私にもこれからの予測がつかないし、それどころか現在の状況すら解っていないようです。


そういえばTHHAD関連の報道も良くわかりませんね。

昨日は、ロイターによれば「韓国へのTHHD配備延期か」との記事が、ホワイトハウス関係者の話として報道されましたが、それは何故だったのでしょう。
もちろんペンス氏はすぐに原則論を言い、今日は韓国から米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の韓国配備について「引き続き、推進する」と表明。
さらに「(配備に反対している)中国の韓国に対する経済報復措置は問題がある」と語った、そう。
 そのうえで、「中国が北朝鮮に対応できなければ、米国と同盟国が対応する」と述べたとの事です。

もしかすると、まだこのあたりでの中共との攻防戦が白熱している段階なのかも知れません。

乱暴にではなく、大真面目に。東芝にでも核兵器発注して、「一夜にして」核武装する段階に来ているのではありませんか?我が国は?

核兵器もですが、サイバー攻撃でミサイルが失敗されるのであれば、逆に彼らからのサイバー攻撃も警戒しないといけないですね。

今後は。

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