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2017年5月

加計事件と鳩山元首相の「最低でも県外」

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いまの加計事件は、かつての鳩山元首相の「最低でも県外」と似た部分があります、と言ったら驚かれるでしょうか。 

鳩山氏がそんなに沖縄問題に力こぶをいれるとは思っていなかったので、いい意味で意外感があったのは確かです。 

私は充分に実現する可能性はあると思っていました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/10-f20f.html 

解決案は既に提示されていて、沖縄側にも伝えられていたからです。それはもちろん、小川和久氏の「キャンプ・ハンセン内移動案」です。 

Photo_2Google Earth キャンプハンセン

詳説はしませんが、ハンセン敷地内には、かつてチム飛行場という旧軍の飛行場跡があって、いまは兵舎が建っています。 

兵舎なんかブルでかたづければ滑走路のひとつくらい充分に出来ます。しかも、1800mとハンパに短い辺野古とは違って、普天間規模の滑走路を確保できます。

そして何といっても美しい海を埋め立てる必要がなく、しかも基地内移動ですから「新基地」という批判はあたりません。 

ところが、鳩山氏はさんざんアチラでもないコチラでもないと迷走し、徳之島案だの嘉手納統合案だのとやくたいもない案に飛びついたあげく、最後にはグアム案ときたもんだとなった時には、もうハチャメチャでした。 

なぜでしょうか? 

もちろん鳩山氏が、外交・安全保障のイロハのイである「抑止」概念すら知らないような度し難い無知な政治家だったということはありますが、それだけではありません。 

後に鳩山氏や彼を持ち上げる反基地運動家たちが口を揃えるように、「官僚が動かなかった」のが最大の原因です。

Photo_3

基地移転問題の必読文献に、10年間以上も普天間移設交渉に関わってきた、守屋武昌・元防衛省事務次官(2003年・小泉内閣~2007年・第1次安倍内閣在任)が書いた『普天間交渉秘録』という本があります。 

実は守屋次官在任時に、いったん移転先はキャンプシュワブ陸上案で、本土政府と沖縄県、米国の調整は終了していたのです。 

このままシュワブ陸上案に着地すれば、いまの移設をめぐる激しい紛争は回避できたはずです。 

ではなぜそうならなかったのかといえば、受け入れ自治体の名護市と、県内土木業者団体を中心にする経済界が反対し、米軍からそれを言わせることでひっくり返したからでした。 

結局これで辺野古埋め立て案が、消去法的に最終案に残ってしまったということになります。

沖縄にとっても、本土政府にとっても、不幸なことだったと思います。 

それはさておき、鳩山氏が政権を握った段階では、まだ最終案を揺さぶる余地は残っていました。 

なぜなら、今のように移転反対運動が激化する以前だったからです。 

いったん政治的対決構造ができてしまうと、もはや政府は引くに引けなくなります。 

政権にとって政治的ダメージになる上に、、後にやらねばならない他の米軍基地の縮小・移転計画がすべて見直しになってしまうからです。 

Photohttp://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-4132.html

鳩山氏がもし「最低でも県外」を強力に実行したいならば、官僚を味方につけねば勝てなかったでしょう。 

鳩山氏は辞任後こう述べています。

「鳩山氏は首相時代、防衛官僚から「米側の移設先の条件は沖縄から65マイル以内」と示されたことが事実無根だったことなどを挙げ「防衛、外務官僚は一度決めた辺野古移設を蒸し返されては困るから、米側の意向も忖度(そんたく)して辺野古しかないとリードした」と述べた。
大臣も役所に取り込まれ、大手メディアも既得権にどっぷり漬かり、壁を破れなかったのは私の力量不足だった」とした。」(琉球新報2015年9月7日)

なにが65マイル(約100㎞)は嘘だったですか。アホか。

そもそも米軍の要求は、航空基地と陸上部隊のキャンプを隣接させるのが原則です。

そんなことは調べればすぐわかることですし、安全保障の専門家に聞けばたちどころに教えてくれたでしょう。

自分の不勉強と無能さかげんを置いて、「日米安保村(鳩山氏の表現)の謀略」とまでいうのですから妄想入ってます。

それはさておき、ここで鳩山氏が今年の流行語大賞となりそうな「忖度」という言葉を使っているのが面白いですね。

官僚が強い者を「忖度」するのはあたり前。前例踏襲に凝り固まっているのも当然です。

この鳩山氏の場合、「日米安保村」とやらが米国の「ご意向を忖度」して、オレのやることを妨害したんだと言いたいようです。

「日米安保村」は、明らかに日米同盟を破壊する危険性がある、「最低でも県外」路線をサボタージュしたかったのです。

だから鳩山氏は官僚に面従腹背されて、狂乱しながら迷走してしまったわけです。

そのような構造を政治主導で崩すと言って官邸に乗り込んだのが、あなた方民主党政権だったはずです。

「忖度されたから負けた」ではなく、「官邸のご意向」を官僚に「忖度」させねばいけなかったのではありませんか。

これまでの交渉経緯を熟知している防衛官僚に、すべての情報を吐き出させれば、砂の中のダイヤモンドのように最良の解答であるハンセン移動案、ないしは次善のシュワブ移動案が見つかったはずです。 

どうせ官僚の力を借りなければ読み解く能力がなかったのでしょうから、小川氏を官邸に呼べばいいのです。

もちろん鳩山氏が言うように、7年間かけて積み上げたガラス細工を、もうこれ以上壊されたくない、米国と協調したい防衛・外交官僚は、おそらく徹底して「動かない」ことを暗黙のうちに申し合わせたはずでした。 

かくして官僚の協力を得られないまま、素人同然の民主党議員がいたずらに走り回ることになります。

ところで、官僚の憲法には、「第1条第1項・前例は踏襲されるべきこと」と明記してあります。

ちなみに前文には、「官僚は国の礎。故に神聖不可侵」と書いてあるそうです(うそ)。 

前任者のやったことを否定しない、外部からの「政治指導」は柳に風と受け流して、省益をダンコ防衛する、これが官僚の正しく生きる道、前川氏流にいえば「官庁の公平な判断」ということになります。 

鳩山氏がやるべきことは強力に官僚をグリップし、グーの音も出ないほど「政治主導」のプレスを掛け続けることだったはずです。 

辞めた後になって「官僚が動かなかった」ではなく、動かすのが政権の仕事でした。 

負けた後になって鳩山氏のように、「日米安保村の謀略に負けた」なんて泣き言は聞きたくありません。

官僚の既得権と戦うというのは、まさにそういうことなのですから。

政治が行政の既得権に切り込み、従わせることができなくて政権公約が果たせるはずがありません。 

私が冒頭で加計事件と似ている、と言ったのはこのことです。官僚をして官邸の意志を「忖度」せしめること、これか政治家の本来の仕事なのです。

鳩山さん、あなた方民主党が政権選択選挙で言っていた「政治主導」とはこのことですよね。

鳩山氏がぶつかったのは防衛・外務官僚がつくった「岩盤」です。 

これは半世紀以上、獣医学部が新設されなかった文科省の「岩盤」と本質的にはまったく一緒です。 

鳩山氏と安倍氏との違いば、鳩山氏は官僚から軽い神輿扱いされ、一方安倍氏は官僚に対してトップダウンでグリップする能力を獲得していることです。 

もちろん官僚機構には、所轄大臣がおり、その下に官房があって、次官以下の指揮命令系統が存在します。 

組織命令系統的にはトップダウンは出来にくいのですが、ならば大臣に腹心を据えればいいのです。 

いわば官邸の間接統治ですが、安倍氏の場合は首相の腹心である下村文科大臣を置きました。

いかに首相であろうと官僚に対して間接的命令しか出せないために、「忖度」というあいまいな言葉になってしまいます。

この命令の間接性が、今回の事件が一見曖昧な影響力行使、あるいは身贔屓に見えてしまった原因です。

一方、鳩山政権の防衛大臣だった北沢氏は、民主党議員としては例外的に優秀でしたが、しかし素人の域を抜けませんでした。 

本気で「最低でも県外」公約を果たす気ならば、もっと大物、たとえば小澤氏あたりにやってもらうというウルトラCもあったかもしれません。(ゾッとしませんけどね) 

とまれ「政治主導」をしたかったら、官邸-所轄大臣-次官という縦の命令系統を明確にするしか方法はないのです。 

日本は大統領制ではないのですっきりいかないのですが、官僚に任せ放しにしないで政権がしっかりと外交・財政・教育などを統率していく仕組み作りは、紆余曲折を経ながら進められてきました。

橋本行革による首相の基本方針発議権、内閣府の設置などから始まり、それは民主党政権時の国家戦略局構想に受け継がれています。

発想そのものは悪くないのですよ。予算案の骨組みから、外交・安全保障・財政まで一括したグランドデザインを作る機関を政府内に作ろうということですからね。

ところがこれが民主党政権の「政治主導」は、先に見た鳩山氏の挫折のように腰くだけになってしまい絵に描いた餅に終わってしまいました。

皮肉にもそれを形を変えて引き継いだのが、第2次安倍政権でした。

いまや民進党は安倍憎しのあまり真逆に走り、官僚と結託し始めましたが、それは数少ない民主党政権のポジティブな部分である内閣機能強化=「政治主導」を自己否定することになると気がついていないようです。

安倍氏は2014年に内閣人事局と国家安全保障局(NSC)を設置し、内閣機能を大幅に増強します。

官僚サイドからすれば、どんどんと自分の権限を削られていくという危機感があったはずです。

「岩盤」は堅牢たる構造そのものですから、強い政治力をもっています。 

国の金や許認可が動くところ必ず既得権者が存在し、彼らは政治資金を与えることで族議員を飼い馴らし、既得権団体に官僚を天下りで受け入れることで強大な<政-財-官>の「岩盤」を作り上げてきました。 

官僚にとっては大臣など、一時間借りしているお客さんにすぎないのです。 

この「岩盤」規制を改革するために作られた特区だったわけですが、ここでも文科省と既得権団体からすさまじい抵抗に合いました。 

そのひとこまが、今回の加計事件です。 

官僚に官邸の意志を「忖度」させることができなければ、いつまでも官僚が国のあり方を決めてしまい、なにひとつ変わらない「岩盤」は続くのです。

忖度にはいいものと悪いものがあります。

いい忖度は自らの政治理念・政策を貫徹させるために、官僚を使いこなすことです。高学歴エリート集団に畏怖させ、省益の壁を取り払うことです。

官僚をして、畏怖せしめねば政府ではありません。

一方悪い忖度は、ただの利権政治です。親族や選挙陣営に富とポストを配ります。就任直後の翁長知事がさんざんやったことです。

私は文科省の52年間も獣医学部を作らせなかったような奇怪な岩盤規制 を崩すのは、「いい忖度」だとしか思えません。

あるいは、鳩山氏がいった「最低でも県外」もまたいい忖度でした。皮肉ではなく、そう思います。

しかし彼には務能力、指導力、知見いずれもすべてが欠落していました。そのひとつでもあれば地上案も再度俎上に登ったことでしょうに。

ところが、最善がダメなら次善をという二枚腰の柔軟性にも欠けていれば、あのような無様な結果になるのは当然だったのです。

かつて「官僚の岩盤を壊せ!政治主導だ」と叫んでいた朝日や民進党が、なぜ今回になって掌を返したように官僚を持ち上げて、官邸の「いい忖度」を口を極めて罵るのか、私には理解できません。 

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ネット言論を知らない斜め読みの人たち

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クラッシャーさん。ありがとう。励まされます。最初、コメント欄に書きましたが、長いのでこちらに移しました。 

コメントに関心ない方は、波線下からお読みください。

「お金がない」氏以外、ふたつ同じようなディスりが来たので削除しました。記事とはまったく関係ないディスりを削除する権利はブログ主たる私にあります。

「お金がない」さんは残念です。かつて良き常連さんだったのに、どうしてもう少し冷静に見なれないのかと思います。

コメント欄でいったん削除した、彼のコメントを再生しておきます。

「ま、私がどう思われて嫌われようが、結果として独自色のある記事になってくれればいいけどさ。
嫌われついでに、もうちょっと怒らせます。
なに、管理人さんは、私が「どこよりも早く記事を」とか「全てのネット記事を確認して」とか言ってると思ったの?
管理人さんにそんな時間が無い事ぐらいわかってるわ。
目がぼやけて誤字が~とか1日3つ記事が~とか愚痴るより、休め。速報っぽい記事よりも、落ち着いて書いてくれ。
どこでも読めそうなキーワードの並び替えっぽい記事よりも、キレと毒のある記事を頼みます。」

とまぁこういう内容です。

まず言葉使いが汚いのでむかつきました。「もうちょっと怒らせます」ですか。あなたは私を挑発しているのですか。

こんなタメ口的2ch調を私は受け付けません。それだけで削除対象になると思って下さい。

同じことでも丁寧に書いても通じることを、なぜこういう調子で書くのでしょうか。

このような書き方をしなければ通じないほど、私が愚かだと思っているのでしょうか?普通に穏やかに書けば削除対象にはしませんでした。

内容的には、そもそもあなたを嫌ってなどいません。残念に思っているだけです。

確かに慌てて書いたものもあるのは事実です。ご忠告として素直に受けておきましょう。

ご忠告は有り難いのですが、仰せのとおり時間に追われて泣きながら書くこともあれば、スラスラ書ける時もあります。

それゆえ、クォリティにバラつきがあることも確かです。勉強不足です。だから眼がボケるとかグチを言います。お恥ずかしい限りです。

私はただの人で、鉄人ではありませんからお許しを乞います。

私はあなたが記事とは関係ないことを、性懲りもなく入れてきたのでアク禁にしましたが、私も大変につらかったことを知って下さい。

そのうち頭が冷えたら別のIPでいらっしゃい。待ってます。そのときは礼儀をわきまえて下さいね。

ディスりに来た者のひとりはIPアドレスから、何度となく来るいつもの常連ディスりです。 よほど私や山形さんが憎いらしい(苦笑)。

いわく、「リンクを貼っていたが元の記事にリスペクトがない」とか、「寄せ集め」で「読んだ感がある」んだそうです。 

こういうことを書く人は、そもそもネット言論が集合知、言い換えれば「寄せ集め」だということを知らない人たちです。 

こういう書き方自体で、この人がネット言論のことをまじめに考えたことがないことがバレてしまいます。そこから考えていきましょう。

                     ~~~~

ネット言論はひとりひとりの知見が寄せ集まって、相互に影響を与えながらひとつの知見を形成していくという、今までの活字文化にないまったく新しい言論形態です。

ネット言論は双方向ですから、その意見のやりとりの中で重複はとうぜん生れます。

ちょうど広場の一角のスピーク・イージーでしゃべっている人が大勢いて、それがやりあいながら一定の<広場>の言論にまとまっていくのと似ています。

かつて池田信夫氏が自ら創設した言論プラットホームを「アゴラ」、すなわち「広場」と名づけたのは、おそらくそういう含意でしょう。

ちなみに、新聞から来た編集長に代わって一気につまらなくなりました。

それはさておき、オールドタイプの言論はどこぞの大学か新聞社の奥の院に「知の巨人」がいて、雲の上から愚民に智恵と説教を垂れます。

これも例えれば、大学の教室で教授から講義を受けているのに似ています。これをレガシー・メディアと米国では呼んでいるようです。

それを革命したのがネット言論です。

名もなき一般人が乏しい時間をやりくりしながら知見を述べ、それに共鳴した人たちの知見も集まってより豊かな知見へと成長していきます。

ある種の直接民主主義といっていいのかもしれません。

たとえば今、レガシー・メディアは加計問題を「疑惑」に成長させようと必死に前川前次官を「正義の告発者」にしようと躍起になっていますが、ネット言論では別の論理が既に対置されています。

それは<規制改革vs既得権集団>の争いこそが、加計問題の本質だとする観点です。

私はそうとう初期からそう書いてきましたが、愚かなメディアは当然として識者でもこのことを言う人は数人いたにすぎません。

先日5月26日にアップされた岸博幸氏の「加計学園の報道されぬ真実、黒幕は総理・官邸・内閣府ではない」は大変に優れた論考でした。
http://diamond.jp/articles/-/129482

私は同じ5月26日に、記事で規制改革と既得権者との戦いとして記事をアップしました。書き終わった後に岸氏の論考に接し、大変に勉強になったことを記憶しています。ttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-ab49.html

「お金がない」さんが「そっくり」と書いた、窪田順生氏の「民進党に特大ブーメラン再び!加計学園を応援した過去」(5月25日)は、私と論点が相当に異なる上に、私の論理の軸芯とはまるでちがう「ブーメラン」がテーマです。
http://diamond.jp/articles/-/129323

言っては申し訳ありませんが、さほど触発されませんでしたので、どうせ「そっくり」を言うなら岸氏のほうにしてくれませんか(苦笑)。

保守系ネット言論は、いま、ほぼこの「岩盤規制をドリルでこじ開ける際に生じた事件」といった認識で揃いつつありますが、民進党の「ブーメラン」現象なんて私にはどうでもいいのですよ。

あの党は自分を省みずに、自分だけが追及できる特権を持てるという「告発者」根性が染みついていますから、法則的に前川氏の買春疑惑のように足元をすくわれるのです。

またリンクを貼って専門家の意見を引用することまで「ネタ元に尊敬がない」と書かれましたが、これに至っては意味不明です。 

特に国際政治-軍事関係において、専門家の意見をリンクして引用するのは当然のことです。 

「どこかで読んだ」とも言われていましたが、リテラシーがない人らしい書き方です。 

先ほども述べましたが、集合知を形成する過程で、一定の「読んだ感」が生じるのは当然で、たとえばさきほどの加計問題での「規制改革vs既得権者」、森友問題の「いい忖度vs悪い忖度」という認識は、いかに私が先に書こうと後に読めば「どこかで読んだ」になります。

まぁ、いまなおレガシー・メディアはこの視点を無視していますが、今は須田慎一郎氏などがこの方向で発言しています。 

こういうことを言われるといつも思うのですが、この人たちは自分で書く苦しみを味わったことがないんだろうな、気楽に他人の文章を斜め読みできていいなぁとつくづく思いますよ。 

本当にお気楽です。批判だけ垂れて私をあげつらっていればいいんですから、お気楽なものです。

ディスりに来た人は、要は私の記事が憎いのでしょう。反吐をぶちまけたいのでしょう。

ならば真正面から論戦に来なさい。 

くだらない斜め読みじゃなくて、記事が気に食わないなら私に論戦を挑みなさい。びっちり答えてあげるから。

最後にひとこと。「お金がない」さんが私に「キレと毒を」と要望されていましたが、私は「毒」など目指したことはありません。

むしろ冷やかに突き放して事象を見ようと心がけています。南九州の血を引くキャラなので、そう自分を抑えつけています。

また私に過剰な「キレ」を期待しないで下さい。

私は勉強をしながら、日々書きつづることを浮世離れした「行」と心得ている、ただの一市民にすぎません。

アフリエイトもつけていませんから、一円の金にもならない「勉強」です。カウンターもつけていませんから、何人来訪したのかも知りません。

「キレ」があるのはたまたま。8割は駄文です。そんなもんです。

それを承知でおつきあいいただけたら、幸いです。

 

 

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外交的得点だったタオルミナ・G7サミット

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タオルミナ・G7サミットで日本がグテレス国連事務総長から、好意的なコメントをもらったことは昨日報じました。 

要点はみっつです。 

①日韓合意の履行に「賛成」「歓迎」する
②北朝鮮に対する圧力強化を安保理事会を「有効なツール」として使っていく。
③ケナタッチ国連報告者は「個人の資格で活動しており、国連の総意ではない」。
 

私はケナタッチの「個人的活動」という立場が暴露されたこともさることながら、①②のほうが重要だと思っています。 

Photo_2https://matome.naver.jp/odai/2149592309197471301

ふゆみさんも書いておられましたが、欧州は基本的に日本を含む東アジアに対して文字どおり「ファーイースト」、東の極という認識しかもっていません。 

北朝鮮が弾道ミサイルを撃とうが、核実験をしようが、はたまた日本を標的にすると言おうが、知ったことではありません。 

なぜなら理由は簡単。、北朝鮮の弾道ミサイルは欧州には届かないからです。 

どこかで書いた気がしますが、<脅威>はこのような式で量られます。 

脅威=武力+意志+距離 

日本にとって、北朝鮮と中国の<脅威>はこの三要素において最高グレードに属します。 

しかしヨーロッパ諸国にとって、いずれも「自分の方を向いていないし、遠いから関係ないや」といったところです。

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ですから、サミットで無関心なヨーロッパ諸国に安倍氏が、サミット宣言で、従来の4月外相サミットで使った「新たな段階の挑戦」の表現を、「新たな段階の脅威」へと引き上げたのは大きな意味があります。 

つまり、単にアジアの「東のはずれ」の出来事ではなく、「世界全体の脅威」だと国際社会が認識したことになるからです。 

以後、日本はヨーロッパ諸国、特に北朝鮮と国交がある英・独・伊に対して経済面での制裁強化を求めることが可能になりました。 

北朝鮮が無謀としかいいようがない暴走を続けられるのは、実は国際社会で本気で憂慮しているのが、実は日米しかないということにあります。
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あんがい孤立していないのですよ、正恩の国は。
 

アジア諸国とは、今回のマレーシア正男暗殺事件ではしなくも分かったように、良好な関係を持っていましたし、中露は子分ていどに見ていました。 

親日国モンゴルでさえ、北朝鮮とはいい関係です。 

そして米国も「脅威」とは思っているのは確かですが、核が拡散していき、グアムが射程に入るのはまずいだろ、ていどの「脅威」なのです。 

おっと、忘れていました。韓国に至っては自分が攻撃されるとはまったく思っていないというお笑いです。 

本気で脅威と思うなら、この時期に日韓合意廃棄と北宥和を主張するムン・ジェインを選ぶこと自体ありえません。 

つまりは、北朝鮮を本気で<脅威>と考えているのは、わが国一国となります。 

首相はサミットの冒頭発言においてこう述べています。http://www.sankei.com/politics/news/170527/plt1705270005-n1.html

「20年以上平和的解決を模索したが対話は時間稼ぎに利用された。放置すれば安保上の脅威が伝染病のように世界に広がる」

北朝鮮の脅威を「伝染病」に例えたのは言い得て妙です。 

これは今ヨーロッパ全体を覆い尽くしているテロに、武器を供給しているのが北朝鮮であることを示唆したものです。 

あるいはヨーロッパが苦悩しているシリア難民を大量虐殺して難民に追いやったアサド政権のミサイルと化学兵器の供給元が、北朝鮮であったことを改めて欧州首脳におもいださせたわけです。 

そしてその上で、北朝鮮の<脅威>がいまやヨーロッパに暗雲を投げかけているとして、「国際的な包囲網を形成して、経済面での北の抜け道を出来る限りなくして、圧力を掛ける必要がある」と強調したわけです。

①の日韓合意を遵守することを「歓迎」するという言質を、事務総長から取り出したことも大きい前進です。 

これが前任者の「世界大統領」パン・ギムンなら何と言ったかと思うと、いい時にまともな事務総長に交替してくれたことを喜ぶべきでしょう。 

当然、サミットにお呼ばれしない韓国大統領・ムン・ジェインは苦虫を噛みつぶしたことでしょうが、国家間条約を「国民感情」を露わにすれば理解が得られると思うほうが異常なのです。 

そういえば余談となりますが、石破氏が面白いことを発言したようですね。 

「韓国紙の東亜日報(電子版)は23日、自民党の石破茂前地方創生担当相が慰安婦問題をめぐる平成27年の日韓合意に関し「(韓国で)納得を得るまで(日本は)謝罪するしかない」と述べたとするインタビュー記事を掲載した。
記事は、石破氏が日韓合意に反する発言をしたと受け取られかねないが、石破氏は24日、産経新聞の取材に「『謝罪』という言葉は一切使っていない。『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」と述べ、記事の内容を否定した。ただ、抗議はしない意向という」(産経5月24日)

馬鹿じゃないか、この人。

ファンタジーで自分の国の歴史を作ってしまった韓国に対して、「納得いくまで謝罪する」とは、正気でしょうか。

石破さん、それは未来永劫、子々孫々謝り続けるという意味なのですよ。

「謝罪」とは言わなかったということですが、同じことです。

石破氏は、韓国に永遠に謝罪しつづけることを拒否した日韓合意に内心反対だったんですねぇ。

やれやれです。安全保障に強くても、歴史観や国家観が欠落した政治家の限界なんでしょうか。

石破さん、民進党に移籍されたらいかがでしょうか。

■速報
官房長官「午前5時40分ごろ発射。日本のEEZに落下したとみられる」http://www.sankei.com/world/news/170529/wor1705290010-n1.html

菅義偉官房長官は29日午前6時40分ごろ、緊急記者会見し、同日午前5時40分ごろ、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、「日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる」と発表した。付近を航行する船舶や航空機への被害は確認されていない。
 菅氏は「北朝鮮による度重なる挑発行為を断じて許すことができない」と述べ、北朝鮮に強く抗議したことを明らかにした。
 政府は首相官邸の危機管理センター内の官邸対策室で情報収集を進めるとともに、国家安全保障会議(NSC)関係閣僚会議を開き、対応を協議する。

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日曜雑感 西川事件と前川事件は違う

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中華三振さんのコメントへの答えだったのですが、長いので記事に移しかえました。
 

毎日新聞記者だった西山氏は女性事務官に性関係を結び、籠絡して情報を漏洩させて、記者倫理と国家機密漏洩に問われました。 

しかし、いい悪いは別にして西山氏の場合、とりあえず職業意識がありました。 

今回の前川氏は自分では「貧困調査」だそうですが(笑)、要はただの買春行為にすぎません。 

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一、文科省次官がひとりで「調査」に行くことはありえません。公的な調査なら、文科省の調査スタッフがチームを組み、調査記録を残すのが常識です。 

百歩譲って個人調査ならば、調査記録か膨大に残されているはずですが、開示してください。 

それも数年間にわたり、1週間に3回から4回という頻度ですから、さすが次官、高給取りは違います。(感心している場合か) 

つまり前川氏の場合、ただ買春の深間にはまっただけであって、職業上の目的ではありません。 

それもかなりの期間に渡って、教育行政トップにあるまじき行為として官邸から警告を受け続けていました。 

しかもただの風俗ならともかく、出会い系風俗店で前川氏がいうような「おこずかいをあげた」、つまりは金銭で関係をもったら、即犯罪行為です。 

それを憂慮した官邸の警告を無視したから、辞任に追い込まれ逆恨みしたのです。 

もちろん規制改革に執拗に抵抗したという背景と、天下り斡旋の主犯格の上に、調査時に口合わせ偽証を命じたことなどが辞任に追い込まれた最大の理由ではあります。

それでもまぁ、事務次官が買春の常習者じゃシャレになりませんからね。

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文部科学省前局長の早稲田大学への再就職について、内閣府再就職等監視委員会は20日、同省が国家公務員法に違反し、組織的に「天下り」をあっせんしたとする調査結果を公表した。また、この他にも9件で同法違反のあっせん行為などがあり、うち2件では、当時、文部科学審議官だった前川喜平事務次官が直接関与していたと認定した」
(朝日2017年1月20日 図表も同じ)
http://www.asahi.com/articles/ASK1N36M6K1NUTIL00D.html

しかしとどめは何といってもこのケタはずれの買春行為でした。

週刊新潮今週号は、そこでの前川氏の所業も常連客にインタビューしているようです。

Photo_4週刊新潮今週号 

常連にしていた風俗店も特定されています。

俗にいう「ナンパバー」で・・・、ああ説明するのもバカバかしい。まぁ想像どおりの場所ですよ。それ目的以外の人は行きません。 

とまれ、警視庁の内偵が入っているような店で、脱法売春風俗です。 

よく「国が不都合な者を謀略で潰した」ということを言う人はたまにいます。 

植草某などは女子高生のスカートの中を盗撮していて捕まり、これは国家謀略だ、国策調査だとか、今でも言っています。 

前川氏の場合、仮にがこれが大臣、いやただのぺーぺーの自民党代議士ていどでも、マスコミは徹底的に叩いて議員辞職に追い込むでしょう。ダブスタもいいところです。 

フェミニストの人たちも前川氏を応援しているようですが、この人たちが女性の人権を守りたくてやっているのではなく、、ただの左翼運動だとわかります。

ああ~、今日は前川氏のおかげで、貴重な休みなのに3本も上げてしまいました。(号泣)

 

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速報 国連事務総長が日韓合意とテロ等準備罪に賛意 ケナタッチ特別報告者は個人の資格にすぎないと明言 

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コメントなしで速報しますが、簡単な解説をしておきましょう。

日本ではメディアがジョセフ・ケナタッチ氏のレポートを、「国連勧告」という表現を使っていますが誤報です。

正確にはグテレス事務総長の言うとおり、「個人の資格で活動している者」にすぎません。

ケナタッチ氏の報告書がひとり歩きし、氏みずから日本政府に抗議するなどという国連の権威をカサに来た暴走をしたために混乱しました。

本来は、この報告書は人権委や総会に上げられて採択してはじめて効力を発揮します。

それまでは「個人の資格」にすぎないわけですが、ケナタッチ氏は日本の伊藤和子氏(ヒューマンライツ・ナウ)などのNGOの言い分を丸のまま信じ込み、日本政府に聴取せずに喧嘩を始めてしまいました。

これでは、国連が加盟国と喧嘩しているように受けとられかねません。

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ですから、5月23日の報ステのインタビューのように、「共謀罪への懸念に対して、日本政府が国連に抗議したことを激怒」した」というのは、日本政府のほうが正しく筋を通しているのです。 

菅氏はケナタッチ氏の「激怒」に対して、「国連報告者個人の発言」としてとりあいませんでしたが、それが国連トップによって確認されたことになります。 

これでグテレス事務総長も、「安倍信者」「ネトウヨ」のカテゴリーに入ることになりましたね(苦笑)。

                      ~~~~~~

■国連事務総長が慰安婦の日韓合意に「賛意」「歓迎」 テロ等準備罪法案批判「国連の総意ではない」 安倍晋三首相との会談で(産経5月27日)


【タオルミナ(イタリア南部シチリア島)=杉本康士】安倍晋三首相は27日午前(日本時間27日夜)、タオルミナ市内で国連のグテレス事務総長と会談し、慰安婦問題に関する日韓合意について日韓双方が履行することの重要性を強調した。グテレス氏は合意に「賛意」と「歓迎」を表明した。首相がグテレス氏と会談するのは今年1月の事務総長就任後、初めて。

 首相は、日本政府が国際組織犯罪防止条約締結に向け「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の今国会成立を目指していることを説明。グテレス氏は改正案を批判した国連特別報告者のケナタッチ氏について「特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない」と述べた。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮も話題となり、首相は北朝鮮に影響力を持つ中国をはじめ関係諸国による圧力強化の必要性を強調した。グテレス氏は北朝鮮の行動を非難した上で「北朝鮮に対して圧力を強化するためのツールを国連安全保障理事会は有している。今後、関係国との間でも北朝鮮問題を真剣に取り上げる」と応じた。

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■首相 国連事務総長と会談 北朝鮮問題 緊密連携で一致
NHK5月27日

イタリアを訪れている安倍総理大臣は、国連のグテーレス事務総長と会談し、北朝鮮への対応について、「圧力を強化すべきであり中国の役割が鍵となる」と協力を求め、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて緊密に連携していくことで一致しました。

この中で、安倍総理大臣は、北朝鮮情勢について「今は北朝鮮に対する圧力を強化すべきであり、中国の役割が鍵となる」と指摘しました。

これに対し、グテーレス事務総長は「北朝鮮に対して圧力を強化するツールを国連安保理は有しており、今後、関係国の間でも北朝鮮問題を真剣に取り上げたい」と述べ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けて緊密に連携していくことで一致しました。

また、安倍総理大臣が、慰安婦問題をめぐる日韓合意の実施の重要性を指摘したのに対し、グテーレス氏は、日韓合意を支持する考えを示しました。

一方、グテーレス氏は、各国の人権状況を調査する国連人権理事会の特別報告者について、国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではないという考えを示しました。

国連人権理事会の特別報告者は、先に「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案について、「表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」などと懸念を示す書簡を安倍総理大臣に送付しています。

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日曜写真館 薔薇の季節

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歩く省益 前川喜平氏

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この「加計疑惑」に登場した前川喜平氏について、ふと素朴な疑問が浮かびました。 

なぜ、前川氏は政府の内部文書をもちだせたのでしょうか? 

天下り事件で前川氏は辞職に追い込まれたのは知られた話ですが、その時に問題視されて廃止された因習に「先輩証」という摩訶不思議なものがあります。

「文部科学省は18日、希望する同省OBに渡していた入構証を3月末で廃止したと明らかにした。「文部科学省先輩証」という名称と、持ち主の名前が記載されたカードで、入り口で見せると省内に自由に出入りできた。
天下り横行の温床になったと判断したという。先輩証には退職時の所属部署も記載され、裏面には「入構の際、便利となります」と書かれていた。同省人事課によると、2000年度から、退職時に国立大学法人、独立行政法人などに所属した職員を含め、本省勤務歴のある部長級以上のOBで申請をした人に渡していた。延べ1000枚を発行。他省庁に同様のカードはないという」(毎日 2017年4月18日)

下がその写真ですが、ネーミングからして笑えるというか、スゴイですね。 

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毎日は「他の省庁にはない」と書いていますが、あたりまえです。 

退職者が自由に省庁に出入りできること自体驚きですが、それを正式な身分証にしてしまという文科省の感覚がぶっ飛んでいます。 

この「先輩証」は去年4月に廃止されたようですが、このような一般企業なら考えられもしないグロテスクな身内意識が残存しているのが文科省というお役所なのです。

「人事課によると、組織的斡旋の調整役だった人事課OBの嶋貫和男氏(67)にも、先輩証が発行されていたという。(略)
松野博一文科相が3月30日に公表した天下り問題の最終報告書では、問題が発生した原因の一つとして「先輩やOBに対して必要以上に気配りする“身内意識”の組織風土」が指摘されており、現職の職員とOBとのかかわり方の見直しが求められている。
 先輩証廃止の理由を、人事課の担当者は「“身内意識”の表れの一つ。庁舎管理の観点からも、入り口で見せればフリーパスでセキュリティー上、問題がある」と説明する。所持者には、使えなくなったことを連絡したという。」(産経2017年4月30日)

セキュリティもなにも、「先輩」ならフリーパス同然で館内に立ち入れるのですから、「藤原メモ」など持ち出すのはお茶の子さいさいなわけです。 

彼自身がしなくても、「身内」がごまんと文科省には残っていますしね。 

ではこの「先輩証」は、現実に文科省内でどのように使われたのでしょうか。 

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ご想像どおり、最も威力を発揮したのは天下り斡旋です。

「官僚の再就職について、国家公務員法は省庁の斡旋や在職中の求職活動を禁じている。ところが、文科省はそんな法律などお構いなしに、組織的に官僚の天下り先を用意していた。
その仕組みを文科省関係者が明かす。
「人事課のOBが、文科省の退職予定者の求職情報と、学校法人や民間会社からの求人情報を人事課から入手し、そのOBが『マッチング』を行って、再就職先を斡旋していたのです。これらは明らかな法律違反です」
吉田大輔・前高等教育局長の早稲田大学教授への「天下り」斡旋も、こうした手口だった」(現代ビジネス2017年2月6日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50904

この文科省官僚の天下りを続けていた主犯格の人物が、今回「正義の告発者」としてリニューアルした前川喜平氏その人でした。 

天下りという行為は違法であるだけではなく、許認可権限を持つ官庁の天下り役人を受け入れることで、自分たちに有利に運んでもらおうという阿吽の業界癒着構造を生み出しました。 

今回の文科省天下り事件では、人事課が直接天下りに関与していて大騒ぎになったわけですが、「先輩証」を持つような外部の「先輩」が省外に天下り斡旋組織を作っていたことが発覚しました。 

悪質そのものの国家公務員法違反です。
国家公務員法の再就職等規制の概要 - 内閣府

早稲田大学の場合、大学教育に許認可を持つ前高等教育局長であった吉田大輔氏が天下っていました。 

どのような下心で文科省が吉田氏を送り込んだのか、どのような利益を期待して早稲田が教授職に迎い入れたのか、考えるまでもありません。 

今回の「加計疑惑」において、前川氏は「公平な行政が歪められた」と記者会見していましたが、それは獣医学部を新設させないという業界団体との「公平な」談合を、官邸によって破られたという意味です。 

前川氏のような官僚にとって「公平」とは既得権を死守し、まんべんなく文科省の役人とOBに分け前を分け与えることであり、許認可権限を握る業界の利権を守ることなのです。 

この文科省利権に介入し、獣医学部の新規建設を認めたばかりではなく、天下りを暴いて自分に詰め腹を切らせた安倍と菅か憎い、というわけです。

今回、なぜ加計学園が選ばれて、京都産業大学が落とされたのがおかしいという批判のされ方をしていますが、そもそもどこの大学が獣医学部を作ろうと、その教育内容が設置基準に達していれば問題にならないはずです。

京産大には日本でも稀なトリインフルの研究蓄積がありますから、ぜひ猛威を奮うトリインフルのプロパーを養成していただきたいし、加計にも四国地域に獣医学部自体がなかったのですから、こちらも優先順位は高いわけです。

つまり、どちらも切実な設立理由があったわけで、今治に特別区が設定されたために加速計画に決まったというにすぎません。

ところが、日本獣医師会が獣医を増やすと商売上がったりになるという業界益だけて反対し、それを文科省と厚労省などが癒着してきたわけです。それも50年以上も!

この構造自体おかしくありませんか、と私は思います。

こういうおかしな構造があるから、政治家が互いの後ろについて十数年かけて政治力を使って「押し込む」ことをしないと獣医学部や医学部設置は認められなかったわけです。

これは認可権限を文科省と厚労省が、国家として独占的に押さえてしまっているからです。

多すぎて困るといっているのは実は獣医業界だけで、多いか少ないかは獣医市場の需給法則で決定すればいいだけの話です。

多すぎて失業するならば、受験する人が減るというだけのことです。

公認会計士しかり、弁護士しかり、医者しかり、獣医師しかり、国が免許制を持っている職業において数をコントロールしているのは、国です。

国民は政府に教育のクォリティ管理をしてくれとは頼んでいますが、数まで規制しろとは頼んでいません。

しかも官僚は業界団体の言い分のみを聞いて、国民の声に耳を閉ざしています。

こういう業界と官庁の癒着を断ち切ろうというのが規制改革でした。

もちろん官僚たちは、省益の源泉である許認可権限を犯されるとして大反対しました。前川氏の言い方を借りれば「公平な行政がゆがめられた」と感じたわけてす。

規制改革を進めようとする官邸と、既得権益を守ろうとする官僚の暗闘の縮図が加計学園獣医学部新設問題だったのです。

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そしてお気の毒にも前川氏は破れたわけですが、ちゃっかりと国家公務員法違反には問われずに、めでたく依願退職となって退職金8000万満額を懐に入れて辞めています。 

 上の写真は辞職した際のものですが、つい去年のことなのにメディアはあれほど騒いだことをすっかりお忘れのようですので、思いだすのも無益ではないでしょう。 

ちなみに、世論の袋叩きにあって辞任した前川氏に、温かいエールを送った奇特なメディアがあります。 

朝日新聞です。 

「同省トップ自ら国家公務員法に違反する行為をしただけに「深く反省する」とする一方、「弱い立場、つらい境遇にある人たちに手を差し伸べることは、行政官の第一の使命だ」として、特に性的少数者への支援を訴えた。」(朝日2017年1月20日)http://www.asahi.com/articles/ASK1N5K7TK1NUTIL03P.html

おー、ビューティフル。前川氏は辞めるに際して、「性的少数者への支援を訴えた」ということです(爆笑)。

この異様な美化の仕方をみると、すでにこの時期から朝日は前川氏となんらかのパイプでつながっていたと思われます。

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前川氏が、週刊誌・新聞各紙に「藤原メモ」をポスティングしたことは、知られるようになってきましたが、朝日とはことのほか太いパイプがあったと憶測されます。

それはさておき、「性的弱者への支援」のために、現職事務次官当時から夜な夜な歌舞伎町の出会い系風俗俗に入り浸って、「女性の貧困調査」をしていたとは見上げた教育関係者であります。

その上貧困に苦しむ未成年女性に「おこずかいと食事」まで与えていたとは、まるで夜回り先生みたいな美談ですな。

なお、この出会い系風俗店は、未成年売春の温床として司直の監視下にあったそうです。前川氏は在職当時から強い警告を受けていました。
【加計学園】「さすがに強い違和感を覚えた」 菅義偉官房長官、前川喜平 ...

というわけで、前川氏はすでに、国家公務員法の天下り禁止、公文書漏洩、そして新たに児童買春と三つの法を犯してしまったことになります。
児童買春 - Wikipedia

特に3番目の児童買春は欧米ならば、これだけで社会的生命が断たれても文句がいえません。

ましてやそれが児童教育のトップなのですから、なんともかとも。

朝日さん、民進党さん、なんでよりによってこんな児童買春常習者を「正義の告発者」に仕立ててしまったんでしょう。

そのうち「調査対象」になった未成年女性も週刊誌に登場するでしょうから、民進党と朝日は覚悟しておくことですね。 

 

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前川氏の逆恨み 

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怪談の時期にはまだ早すぎます。 

籠池氏や前川氏のような輩が、墓場からゾロゾロ這い出して、恨めしや~とばかりに怨念をドロドロと言い募るという薄気味の悪さ。 

それだけでも充分に気色がわるいのに、そのウォーキング・ゾンビーたちをまるで「正義の告発者」に仕立てて、神輿に乗せて永田町内を練り歩く民進党や朝日以下のメディアの不気味さ・・・。 

う~たまらん。エクソシストでも呼ばにゃあならんのですかね、こりゃ。 

まずはっきりさせたいのですが、問題はなんなのでしょうか?先日私はこのように切り分けてみました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-c79c.html

①文書は偽造かどうか。あるいは存在する文書だとして、正式文書か部局内メモか?誰が執筆したのか?
②加計学園の獣医学部設立許可はなぜ遅れ、現時点で認可されたのか?
③違法性があるのか?

①に関しては政府は「探しているが見つからない」としていますが、名前がでているのは内閣府審議官・藤原豊氏、ないしは前川前事務次官自身が書いたものでしょう。 

問題となるのは、このメモを書いたことそのものより国家公務員の守秘義務を破って流出させたことです。 

政府の内部文書の漏洩ですから、漏洩した者にはそれ相応の罰を受けてもらわねばなりません。

退職していても、公務員法では遡及して責任を問われます。

■国家公務員法第100条
第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処す。

さもないと、ユーチューブで中国船の体当たり攻撃の映像を流出したとして、懲戒され辞職に追い込まれた一色正春元保安官に対して、法の下の平等が確保されませんからね。 

漏洩したのは、このいきさつを見ると前川喜平前事務次官以外考えられません。

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おそらく前川氏が、特区における学部新設の許認可権限を内閣府に奪われそうになって恨んだ藤原メモをなんらかの方法で入手して、漏らしたのでしょうね。 

「官邸のご意向を忖度した」と文科省官僚に恨まれる側に回った、内閣府の藤原氏自身が漏らすわけがありません。 

前川氏からすれば、オレを天下りの責任と、買春報道の責任を取らせてクビにしやがった官邸が憎い。

文科省官僚の省益を害した藤原が憎い。

有能なオレ様をロリ趣味くらいで潰しやがった安倍と菅が憎い。みんなまとめてくし刺しにしてやるぜ、といったところでしょう。やれやれです。
辞任の前川・前文科次官、出会い系バーに出入り : 社会 : 読売新聞 ...

世の中でこういうことを逆ギレ、あるいは逆恨みといいます。 

さて次に②の獣医学部新学部設立についてですが、ふたつあると思います。

まず第1に、「忖度」問題です。

忖度という行為自体はありふれた政治的行為であって、下は市会議員から、上は国会議員まで誰もがやっている通常の政治的行為です。

もし忖度が悪事ならば、間接民主主義のシステムが機能しなくなります。

仮に忖度を悪というなら、議員に陳情する行為自体が悪になってしまうからです。

行政のデコボコを埋めるのが陳情です。陳情は忖度だから悪というなら、議員なんかいりません。

政府において首相が自らの政策実現を命じるのは当然のことで陳情実現の見返りに金品をもらったりすれば斡旋収賄罪に問われるというだけのことです。

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たとえばこの問題で民進党側追及の先鋒だった玉木雄一郎幹事長代理は、加計獣医学部誘致を阻むことを獣医師会から「忖度」されていることが明らかになりました。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170522-00000539-san-soci

「日本獣医師会の会議報告によると、玉木氏は平成27年6月、東京都内の明治記念館で開かれた日本獣医師会の第72回通常総会に来賓として出席。あいさつの中で「教育の分野、あるいは医療の分野は、そもそも特区として、地域の例外を作り、進めるべき話ではない。おかしな方向に向かいそうになった際はしっかり止める」などと述べ、加計学園による獣医学部新設に反対する日本獣医師会を擁護する姿勢を鮮明にしていた」(産経5月22日)

しかも玉木氏は香川県獣医師会会長の息子であり、かつ獣医師会から2012年度に100万の献金を受けていました。

Photo_2そして玉木氏は、「教育の分野、あるいは医療の分野は、そもそも特区として、地域の例外を作り、進めるべき話ではない。おかしな方向に向かいそうになった際はしっかり止める」(前掲)と、はっきりと加計獣医学部新設を阻止すると業界団体の会合の席上で決意表明までしてしまっています。

つまり、金が絡まった斡旋収賄に問われかねない「悪しき忖度」です。

さて、もう一点は規制緩和についてです。

前川氏の記者会見だけ聞いていると、突然寝耳に水のように官邸が圧力をかけて、加計をねじ込んだように聞こえますが、正確ではありません。

朝日と民進党の「加計学園疑惑調査チーム」の主張では、文科省でも自民党内でも否定的意見の多い獣医学部新設を、安倍首相が強引に押し込んだのだから、加計学園と安倍氏はズブズブの仲だったというのが言い分です。

蓮舫さんには気の毒ですが、今治市で獣医学部新設を一貫して推進してきたのは、自民党でも、ましてや安倍首相でもなく民進党でした。

時系列を巻き戻してみます。

・2008年・・・第1次安倍政権。今治市と愛媛県は獣医学部新設を特区申請するも却下。以降15回申請。

・2010年・・・愛媛県に横山博幸愛媛県連幹事長が「民主党本部の幹事長室に上げろ」と示唆。

・2012年・・・新獣医学部新設に反対する獣医師会から玉木議員100万の献金を受ける。

・2013年・・・第2次安倍政権。今治市を特区に指定。

勘違いされがちですが、規制緩和の旗を立てて特区構想を進めているのは、自民党の中では安倍氏と一握りの者しかいません。

そもそも自民党はカネとポスト配分が生命線でしたから、既得権団体の代弁者の顔を持っています。

この獣医学部新設にしても、医学部を新設すること自体に反対してきたのは、ほかでもない自民党議員たちでした。

むしろ推進したのは、民進党の高井崇志氏と彼が秘書として使えた江田五月氏たちです。

このふたりは去年、加計学園が経営する岡山理科大学で加計氏と面談しています。

実は文科省は、医師会の「ご意向を忖度」して、実に37年間の間、新規医学部建設を却下してきました。

獣医学部に至ってはなんと52年間新設認められず、です。

もちろん業界団体と当該官庁の癒着が原因です。

成田の国際医療福祉大学もまた当然のことのように、文科省・厚労省によって頓挫しかかったものを、第2次安倍政権になって両省の反対を押し切って特区の事業として認められたものです。

文書中に「成田ほど時間はかけられない」という言葉がありますが、それは「今治は成田ほど時間はかけられない」と言う意味となります。

規制緩和による医学部新設を政権交替のシンボル事業としたのはかつての民主党政権であり、第2次安倍政権はそれを引き継いでさらにそれを具体現実化したものだということです。

私はそもそも国が、医師(獣医師)の総量規制をする権限を持つこと自体に懐疑的です。

医学部の教育内容について教育・研修内容に立ち入ることは正当な文科省・厚労省の権限内でしょうが、どの県にいくつなどとという医師の総量規制をするのはただの彼らの省益の確保にすぎません。

ですから前川氏は本来、ただの業界利権と省益が官邸によってコントロールされたことを、「公平行政が冒された」と逆恨みしたにすぎません。

この加計問題を取り上げるならば、この省益と業界利権の関係、あるいは学校を建てることをめぐる建設利権にまでつっこまねは意味がないでしょう。

民進党さん、聞く耳を持たないでしょうが、共産党とつるんでただの安倍叩きをやっているうちは、必ず民進党のお家芸であるブーメランとなっちゃいますよ。

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安倍首相の改憲シナリオとは

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活発なご意見をありがとうございます。 

改憲問題を考える時に、忘れられがちなのが「いつ」というタイミングの問題です。 

理想的な(といっても諸外国並のですが)憲法ができました。

しかしそれが数十年後でした。その時は尖閣はおろか沖縄まで某国自治区になっていた、ではなんの意味もありません。 

こういうことを言うと両方から殴られそうですが、私は護憲派と改憲頑固派はメダルの裏表だと思っています。 

護憲派の錯誤の源泉は、「9条が日本を守ってきた」という認識に今なおしがみついていることです。 

改憲派の立場ではなく、改良護憲派の井上達夫氏『憲法の涙』 にそれを批評してもらいましょう。

「ここではっきり言っておきましょう。9条が日本の平和を守ったというのは嘘です。
ふたつの問題を区別したほうがいい。ひとつは9条は海外の戦争・戦闘に日本が関わるのを防いだか?
もうひとつは、日本が侵略されなかったのは、9条のおかげか?」(前掲書)

井上氏も認めるように、護憲派のいう「戦後70年間、一発の弾も撃たずに済んだ」のは、9条があったからではなく、日本が米国と安保条約を結んでいたからにすぎません。

日本は軍事的根拠地である在日米軍基地を提供することで、米国の国際戦略を支えてきたわけで、その反面、米国の軍事根拠地を攻撃できないために日本は守られてきたのです。 

井上氏もこう嘆いています。

「戦後日本が外から侵略されることなく平和でいられたのは9条のおかげではなく、自衛隊と日米安保のおかげです。憲法の命じるとおり『非武装中立』でいたら、戦後日本が平和でいられたか、保証の限りではない」(同)

というわけで、いまや護憲派内部からも井上氏のような9条懐疑論が飛び出すように、9条護持派はいまやカルトの域に入りつつあります。 

むしろ問題は、自民党の側にあります。

井上氏は政府と護憲派が、実は表裏一体の存在ではないかと考えているようです。

「『9条があるのでちょっと』とか、こちらの手札としては9条は使おうと思えば使えた、ということですね。だからそういう動きを遅延させたかもしれないが、防衛費は増えていき、結果的には海外派兵しているわけですから、決め手にはなっていない。遅延させたが、抑止はできなかった。
『保守の智恵』のひとつだったかもしれないが、そういう9条頼みは、結局、大人の交渉力の陶冶を妨げた」(同)

米国と交渉する時に日本政府は、9条を楯にして自衛隊の海外派遣を拒否してきたのは事実でした。 

自民党は時には、野党にさんざんぱら反戦デモをやらせて、それすら交渉材料に使ったほどです。 

自民党が改憲を党是としながら、いっかな改憲発議という現実のプロセスに進まなかったのは、9条があったほうがなにかと都合よかったからです。

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思い出してほしいのですが、去年集団的自衛権審議の折りに、政府を背中から刺したのは他ならぬ自民党憲法改正推進本部長の船田元氏でした。

船田氏は、安保法制審議の際に、あろうことかゴリゴリの護憲派であるのことが天下に轟いている長谷部泰男氏を自民側参考人として招致するという利敵行為を演じたのです。

ここで集団的自衛権問題は、いきなり憲法論議にすり代わってしまい、政府は大変な困難に遭遇することになったのは記憶に新しいことです。 

ちなみに、朝日によると憲法学者で集団的自衛権はおろか自衛隊を憲法違反とするのは半数に登ります。

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「自衛隊は違憲だからいけん」と言っている憲法学者が、集団的自衛権を肯定するわきゃないじゃないですか。

そのボス的存在の長谷部氏を呼んだのが、自民党の改憲本部の代表の船田氏だったということが喜劇的に自民党の体質を物語っています。

Photohttp://toyokeizai.net/articles/-/116365

後に船田氏はインタビューの中でこう言っています。

「米国の世界戦略の中で日本が支援できることと、日本自身を守ることとは切り離して考えるべきです。憲法9条を改正するにしても、米国の世界戦略の中に組み込まれたり、巻き込まれることは避けるべきです」
http://toyokeizai.net/articles/-/116365

船田氏は実は9条があることが、日本に有利だと考えているはずです。 

なぜなら「米国の世界戦略に組み込まれる」ことを阻止するためには、いつまでも9条があったほうがはぐらかす「言い訳」になるからです。 

していまやこの「はぐらかし」が効く時代状況ではなくなってしまいました。 

尖閣が奪取されれば、日本は沖縄を失うでしょう。北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器を放置しつづければ、やがて私たちの頭上に核ミサイルが降って来ることになります。 

国民主権の中で明確に「軍」として位置づけるべき時期なことは確かです。 

すべての成熟した国家がそうであるように、「軍」をシビリアンコントロールする経験と智恵を蓄積するべき時期です。 

そのために自衛隊員の身分を「軍人」として正式に位置づけ、民事とは異なる法体系をもたせねばなりません。 

具体的には軍事法廷、交戦法規、兵士の顕彰などです。これらは大変に重要なことですが、ものには順番があります。

現況で自衛隊は、先の憲法学者の言うとおり、憲法上「あってはならないもの」なのですよ。

自衛隊そのものを「違憲番外地」に置いたまますべてを正常な形にするのは無理です。

まずは自衛隊を憲法の枠内に置いてから、これらの諸問題に手をつけるべきです。

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さて、安倍案に対する最大の批判者は石破氏ですが、その主張の核心は、2点です。 

「自衛隊を3項に加えても、それが軍隊なのかという矛盾が残る」 

そしてもう一点は、「実質的には自衛隊が警察権しか持たない現状の追認に過ぎなくなる」ということです。 

9条2項削除論ですが、原理的には正しい批判です。 おそらく安倍氏も純粋な論戦なら、そのとおりですというでしょう。

ただし今、それで自民党内部すらまとめきれますか?石破氏は総裁選にでるそうですが、勝てますか? 

石破派は結成以来20人という小派閥で、しかも石破氏には人望がありません。勝負勘が悪い上に、度胸がないからです。 

2012年の総裁選の時のように、安倍氏を初戦で凌駕しないかぎり勝てません。 

いまや自民党の議席という分母が違います。2012年時には、衆参で203人しかいなかったものが、安倍政権の4回の国政選挙の結果、411人に増加しました。ここで増えたのがいわゆる「安倍チルドレン」という新米議員です。 

彼らは安倍氏を支持票を投じると思われます。 

石破氏が2項削除論を争点とする限り、他派閥が応援することはないでしょう。 

安倍チルドレンは修行が足りず、次の総選挙では落選するものが多数でるでしょうから、18年12月任期一杯まで引っ張って、現有の力のまま改憲発議します。 

安倍氏は総選挙と改憲国民投票を同時に行うと言っていますから、この場合の大義は「自衛隊を憲法に位置づける」以外ありえません。 

「自衛隊を加憲する」ことに民進党は反対できないはずですから、野党連合は雲散霧消します。 

幹事長代行・下村博文氏は今後の段取りについてこう述べています。 

「年内にコンセンサスを作り、来年の通常国会には自民党から発議案を出せるようにする。総裁選の大きなテーマになることは間違いない」 

すると年内に改正案がとりまとめに入り、自民党発議案が決まれば、衆参憲法審査会に提出され原案可決、衆参本会議での3分の2以上での可決と発議となり、さらに60日から180日以内で国民投票、天皇による公布へと進みます。 

その場合、最速で2018年12月に国民投票・総選挙となるかもしれませんが、当然その節目節目で戦後日本政治史に残るような騒動になることは間違いありません。 

安倍氏は冷徹にここまで読み切った上で、安倍試案を出したのだと思われます。 

とまれ、突破口を開くこと。自民と野党が共に温存してきた生暖かい9条という寝床をしまうこと。

そしてこの突破口が開いた後に、新しい憲法に則って、原理原則を煮詰めていけばいいのではないでしょうか。

いわば安倍試案は、2段仕立てのロケットのようなものかもしれません。

まずは「3項加憲」で岩盤を打ち破り、そしてその後のいずれかの時期に2項を削除することを目指します。

初回で国民投票に失敗すれば二度と突破口は開きませんが、3項加憲の後にはもっと自由な国民的議論が起きるでしょう。

いや、起こさねばなりません。

 

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安倍改憲提案について考える

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安倍総裁の憲法改正提案について、初めはどう考えていいものかだいぶ迷いました。
https://www.youtube.com/watch?v=cKk3UaY9TkM

コメント欄に短く書いたのですが、「なんだこりゃ」というのが、私の最初の偽らざる印象でした。 

9条2項を削除しない改憲ならやらないほうがましだとばかりに全面否定の記事にしかけて、書きながらおそらく安部氏はこういう保守の反発も充分想定しているであろうな、と思い当たりました。

いうまでもなく、2項の「戦力放棄」「交戦権否認」こそが、憲法最大の病巣であってドグマでした。

これを変えない改憲はありえないというのは、一面の真実です。

Photo_2

ただし、安倍氏はそれを百も承知で、3項加憲を言っているのではないかと思います。 

なぜなら、安倍氏自身一貫して原則的改憲派であるのは知られた事実ですし、何十年も保守政治家をやってきた彼がそんな初歩的なことを知らないで提案するわけはないからです。 

ですからゴリゴリの保守理念の使徒だった第1次安部政権時に同じ改憲提案したら、9条全削除を前面に打ち出したはずです。 

そして3分の2発議は難行し、よしんば発議出来ても国民投票で善戦しても4対6くらいで負けます。 

いやもっと差が着く可能性があります。その場合、ほぼ半永久的に改憲は出来ないことになります。 

いいですか、改憲に失敗した場合、二度と金輪際、改憲は不可能になるのですよ。 

このリアリティを忘れて原則論で突っ張るということは、改憲をしなくていい、自衛隊の憲法上の位置づけはこのままでいい、ずっと戦後社会が生み出した私生児のままにしておけ、と言うのと同義になります。

たぶ安倍氏が恐れたのは、このことです。

実は私はこのところ、安倍氏が本気で改憲するのかどうか、はなはだ怪しいものだ思い始めていました

いまの彼は第1次政権時と違って、おそらくわが国で並ぶ者なき政治的リアリストです。

政治的リアリストには二種類あって、ひとつはジリジリと変えていくことを選ぶ漸進主義の立場であり、いまひとつは何も変えなくていいと考えている現実肯定主義です。

そして現実肯定派にも2種類あって、原則だけは高く掲げて何もしない者と、理念そのものが欠落して何もしない者に分かれます。

ちなみに、前者の典型は石破氏、後者は二階氏です。船田などという隠れ護憲派の小者は放っておきましょう。

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破氏が安倍案について言っている、「これでは自衛隊は警察でしかない」という指摘はそのとおりです。

ならば、あなたはどうやって自分の考える改憲にたどり着くのか、それが一体いつなのかロードマップを見せて下さい。理念的論議はされ尽くしています。

安倍案が出た以上、どのようにいつまでという具体現実の政治スケジュールに落し込んで語らねば、責任ある政治家ではありません。

それはさておき私には彼が父親ではなく、「昭和の妖怪」とまで言われた祖父に酷似し始めたような気がします。

自分の理念を妥協してでも獲得すべきは獲得する現実主義政治判断こそが、70年談話、オバマ広島訪問・真珠湾和解、日韓合意という成果を生み出した原動力だと考えています。

Photo_4http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK28H4N_Y5A221

いまの安倍氏のスタンスを最もよく現しているのは、日韓合意ではないでしょうか。

日韓合意は安倍氏がどのように考えて憲法改正提案をしたのか、推し量るひな型になります。

慰安婦を認めてしてしまいましたから、ご承知のように保守論壇では叩かれまくりました。

いまになって合意を詰めた理由が分かりましたね。

安倍氏は韓国は必ず裏切る、絶対にチャブ台返しを演じるということを読んだ上で、「不可逆的」という一項を入れ、なおかつ米国という仲介も入れて合意をしたのです。

そしてさっさと10億払ってしまいました。これでもう戻れません。

国家間条約が第三国の立ち会いの下に成立し、かつそれに伴う金銭の支払いが終了した場合、これを覆すことは少なくとも文明国同士の間ではできません。

やるなら、オレは非文明国だと言っているのと一緒だからです。

ムン・ジェインが、大統領選の大言壮語とは裏腹に、すり寄るようにして「わが国民の感情を考慮してくれ」などと言ってくるのは笑止です。

野党政治家ならともかく、大統領職であるなら国家間条約を一方的廃棄するというのは、外交関係断絶事案だとやっとわかりかけてきたのでしょう。

さて、憲法に話を戻します。文脈としては、日韓合意と同じだと思います。

つまり、妥協してでも一定の前進を勝ち取ることは、なにもしないで原則だけ語って放置するよりはるかにましであるという立場に立つのが政治漸進主義なのです。

日韓合意なら、いつまでも「慰安婦問題で強制はなかった。高給が支払われていたから性奴隷ではない」と保守の常識を繰り返していればいいのです。

憲法でいえば、9条全削除、さらには前文も含む総合的書き替えも視野に入ってきます。

繰り返しになりますが、それでは改憲派は永久に勝てませんよ。

まず現時点で改憲を実現するために必要なことは、発議に必要な3分の2議席を押さえることです。

説明する必要はないでしょうが、2020年まで改憲憲法を施行したいなら、この1年間で国民的な納得を得ねばなりません。

その結果が、この次の衆院選の構図を決定します。

別の言い方をすれば、次回の衆院選が改憲派が減少する予想があるならば、衆院は解散せずに、その前に発議をしてしまうという選択もありえるわけです。

おそらく安倍氏は、次回の衆院選で自民・公明・維新は票を減らすと判断していると思われます。

大きく勝った次の選挙では、必ずそのキックバックがあるからです。

民進党が野党連合という無節操な選挙戦術を選んだ場合(おそらく選ぶでしょうが)、私にもどのような結果になるのか読めません。

現状維持で精一杯。悪くすると減ります。それが、安倍氏をしてなかなか解散をしない理由となっています。

今回の安倍改憲案は、原則ばかりこねくって一歩も進まない改憲を、現実主義の力で一歩進めたことであり、一歩進めるためにはこれ以下はないほどハードルを低くしたのだと思います。

これは卑近には公明党対策ですが、それ以上に民進党内保守派にまで枠組みを拡げて安倍氏は考えているはずです。

そりゃそうでしょう。安倍改憲案は共産党とメディアが言うようにファシズムどころか、自衛隊の現状を少しも変えることなく、憲法に座る場所を与えただけなのですから。

まさに高い次元での現実肯定です。

これで文句があるなら、「自衛隊はいらない」というしかありません。

共産党はそのとおりの自衛隊解体論者ですが、民進党さん、そう言えますかね。言ったら最後、二度と政権奪還はなりませんよ。

一方国民は冷静に受け決めました。いままで3割程度だった改憲支持が、読売の世論調査では賛成が53%と増えて半数を越える一方、反対は35%をに止まりました。

ちなみに、改憲提案前には賛成49%、反対49%と同率ですから、明らかに国民の支持は安倍改憲を支持しているのが分かります。

長くなりましたので、このテーマは次回に続けます。


 

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北朝鮮 日本を標的とした弾道ミサイルを実戦配備すると宣言

018
「週刊北ミサイル」になりそうで怖いのですが、北のミサイルの詳報が北朝鮮の発表でわかりました。

「韓国軍などによると、北朝鮮は21日午後、内陸部の北倉から東方向に弾道ミサイル1発を発射。約500キロ飛行し、最高高度約560キロに達した後、日本海に落下しており、「成功」の報道はこれを指すとみられる。「北極星2型」は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」の射程を延長した地対地弾道ミサイル。固体燃料エンジンを利用、無限軌道式車両から発射する。米軍のコードネームはKN15で、射程は約2000キロとみられている。
 北朝鮮は2月13日にも「北極星2型」の発射実験に成功したと発表しており、朝鮮中央通信によれば、今回は「実戦配備のための最終試験発射」。無限軌道式車両からの発射、ミサイルの飛行誘導、高出力固体燃料エンジンの始動、信頼性などが「完全に検証された」と主張している。
 金委員長は「百点満点、完璧だ」と満足の意を示した。また「今や早期に大量生産し軍に配備しなければならない」と指示。「わが国の核戦力の多様化、高度化をさらに進めるべきだ」と強調した」(時事5月22日)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052200212&g=prk

今回の弾道ミサイルの標的は明確に日本です。 

特徴を列記しておきます。 

前回と同じKN15(北極星2号)で、潜水艦発射型弾道ミサイルだと称しています。 

とりあえず言っているだけで、実際に海中の潜水艦から発射するのは高度な技術が必要なので、実用化したかどうかは不明です。Photo_3労働新聞 

射程は約2000キロで、準中距離弾道ミサイル(MRBM)です。日本列島がスッポリと射程範囲に収まります。 

E054168d_2

 聯合ニュース

Photo_7防衛白書

今までノドンを持っていましたが、これより性能的に向上し、核弾頭を搭載可能な「北極星2号」を実用化したことになったわけです。 

そしてこれがやっかいなことですが、注入に時間がかかる液体燃料ではなく、即時発射可能な固体燃料エンジンです。 

上の北朝鮮の公式写真には白い噴射ガスが見られ、コールドローンチといって発射機にセットした状態のまま、弾体のロケットエンジンを起動せず、代わりに圧搾ガスでミサイルを発射する方法です。 

いままで、北朝鮮のミサイルは液体燃料といっていわば直火で飛ばしていましたが、これにより移動式発射装置から打ち上げ可能になりました。 

下の写真で腹をデッ張らせた正恩「将軍様」の後ろにあるのが、その移動式発射装置(TEL)です。 

車輪ではなく、無限軌道(キャタピラ)で移動でき、不整地に潜むことができる発射機です。Photo_5

 労働新聞 

これによって、この写真の背景にある大同江と思われる山地からも発射ができることが分かりました。 

これはあらかじめ分かっているミサイル基地から発射するのとは違って、事前に予防的に潰すことが事実上不可能に近いことを現しています。 

現時点では、米軍はほぼすべてのミサイル発射基地の位置をピンポイントで押さえていると言われていますが、この移動式発射装置と北極星2号のセットが大量に配備されると、大変に潰すのが難しくなります。 

おそらく湾岸戦争のように、特殊部隊を大量に北朝鮮国内にバラ撒いて場所を特定し、空爆を要請するという気の遠くなるようなことをするしか方法はなくなるからです。

しかし中東の砂漠と違って、朝鮮系の住民の中で白人は目立つ上に、隅々まで秘密警察網が張りめぐらされた北朝鮮で、それが可能かどうか、はなはだ疑問です。 

そして、正恩「将軍様」はありがたいことに、この発射実験の結果にいたくご満悦の様子だそうで、さっそく実戦配備をするように命じました。

日本人の多くも薄々気がつき始めていますが、相互確証破壊の下に作られた非核三原則や専守防衛などといった「きれいごと」の枠組みだけでは対応できなくなっています。

平和に安住して戦争反対を唱えるだけでは、現実にミサイルが降ってくることは防げません。

もちろん私は戦争を肯定するわけではありませんが、どうやったら自分たちの家族の安全を守れるのか、自分の生きる国の平和はどうすれば守れるか、ひとりひとり真剣に考えてもよい時期に来ています。

こういう岐路に立つ今、脅威などど吹く風とばかりに「加計疑惑」とやらに興じていられる野党やメディアは幸せ者です。 

                                                  ーーーーーーー

Photo_8前川喜平元文科省事務次官

蛇足ですが、「加計内部文書」をリークした役人の実名がわかりました。 情報源は「あの」リテラですから話半分で。http://lite-ra.com/2017/05/post-3179.html

元文科省事務次官の前川喜平氏のようです。

天下り問題引責と出会い系風俗に入り浸っていたことで、文科省を辞めさせられたことを逆恨みしていたようです。言ったら悪いが、そうとうなクズですな。

もっとも、リテラにかかるとこの風俗通いも、官邸の前川潰しだそうですが。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170521-OYT1T50148.html

自民党さん、前川氏を証人喚問したらどうですか?

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「加計疑惑」、なにが問題なの?

Dsc_8134
北朝鮮がミサイルを発射しました。今度は朝鮮半島から真西に撃って、わが国のEEZの手前に着弾しました。 

わが国が標的だということです。弾種その他の詳細情報は現時点ではわかりません。分かりましたらアップ致します。 

さて、自分の国が標的にされているのにどこ吹く風と、森友問題のニューバージョンで朝日と民進党がお祭騒ぎをしています。 

なんともかとも、懲りない人たちだね。朝日は第三者委員会の答申を聞き置いただけで、真摯な社内的総括をしていないようです。 でなければ、こんなことをまたするはずがありせん。

朝日さん、「社運を賭して」だそうですが、このままだと第2の吉田調書事件になりますよ。

吉田調書は福島第1原発事故に際して、吉田所長の命令に反して所員が逃げ出したという捏造記事でした。 

これで朝日は秋山社長が辞任に追い込まれます。
関連記事「朝日「吉田証言」の虚妄」全4回
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-f908.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-4637.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-ab8a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-aaf8.html
「朝日新聞の構造的腐敗」http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-b7c3.html 

今回もそうなりそうです。朝日は報道のイロハのイである、社論はあっていいが、記事は客観的に記述するのが新聞の責任であるという大原則がわからないのです。 

この新聞社はかつてのように、「世論はメディアが作る」という古き迷妄から醒めていないようです。 

吉田調書事件の第三者委員会が批判した、「記事に角度をつける」ことで世論を煽り、野党に政局を作らせるというのが、朝日のやり方でした。 

愚民は自分で考える能力もないだろうから、学歴エリートの自分たちが世の中のことを教えてやるよという選民意識です。

それは吉田証言・吉田調書のダブル吉田事件で完全に破綻したと思ったのですが、ホント懲りない人たちだねぇ。

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とりあえず、今回の「加計疑惑」とやらを3ツに切り分けてみます。

①文書は偽造かどうか。あるいは存在する文書だとして、正式文書か部局内メモか?誰が執筆したのか?
②加計学園の獣医学部設立許可はなぜ遅れ、現時点で認可されたのか?
③違法性があるのか?

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まさに「森友疑惑」の「付託」の新バージョンにすぎませんが、とどのつまり③の違法性の有無が最も重要なのです。 

違法性があったのか、なかったのか、さぁ朝日さん、どちらなんです。 

仮にこの文書が実物で、作った人間も明示され、かつ首相の「付託」があったとしても、そのどこが問題なのでしょうか。 

行政府の長たる首相が、行政機関に自分の政策を実施するように指示することが「違法行為」ならば、行政府はなにも政策を実行できません。

逆に官僚が、いわば会社社長である首相の政策の意図を「付託」して、それを実施段階に移すことのなにが「違法」なのでしょう。

トップが事細かく指示をださないのは政府も民間も一緒です。だからその政策意図を知り、実現するのが官僚の仕事なのです。

それを朝日や民進党は、「忖度するは悪行だ」なんて言いますが、冗談ではありません。

そういえば民主党政権は政治主導とか称して官僚に「余計なことはするな。言われたことだけやれ」と言ったために、官僚が仕事をしなくなりました。

震災の時すら「余計なことをしない。すると出世できない」と思っていた官僚は、政府の指示待ちだったいいます。その政府が脳死していたんですからシャレにもなりませんがね。

Hamaoka

それはさておき、福島事故収拾に失敗した民主党・菅直人首相は、電力会社に停止して検査をすることを「お願い」しました。結果、いまなお9割の原発は停止したままです。 

これはいうまでもなく法的根拠ゼロで、菅首相の「ご意向」を経産省官僚が「付託」し、中部電力に指示したのです。 たぶん電力会社にも「お願い」だったはずです。

このような「付託」は悪い付託です。理由は簡単。違法だからです。

したがって、当然ですが、官僚はいくら首相の「ご意向」だからといって、違法な付託に従う必要はないのです。

では翻って、今回朝日が言いたいことのキモはこうです。

「安部首相が国家戦略特区推進がらみで、留学中から友人だった加計孝太郎学園長の頼みを聞いて、今治市に設置するように動いた。官僚は首相の意志を忖度し加計の有利になるように動いた」

ここで安部氏が加計氏から直接に「学園の申請を頼む」と依頼されたとしても(そのような事実はありませんが)、問題にはなりません。 

なぜなら違法性を問われるのは、その付託が行政法上違法行為になるか、あるいは加計氏が首相の選挙区民であって、しかも安部氏に贈賄した場合に限られるからです。

友人だった?なんの関係もありません。どこの新聞でもいいから、首相動静コーナーを見て下さい。

毎日何十人もの人と会っています。公的にも私的にも首相職は無数の人脈の交点にあるからです。

その人脈上に「いた」というだけで事件性を問われたら、首相職は務まりません。

政治家は知ってのとおり、国民から「付託」されるのが商売です。付託されることで、行政の抜け落ちを政治がフォローできるからで、なんらやましいことではありません。 

もしこれがダメなら、たとえば地元で廃棄物の違法投棄が行われていて環境汚染がひどいという案件があって、地元選出議員の事務所に陳情にいっても、「それは付託ですから受け取れません」となっちゃいます。 

ならば議員なんか、国会で党議に従って手を上げているだけですから、こんなものいりませんよね。 

加計学園の獣医学部設置は、国家戦略特区に入っていたから「スピード感をもって」処理されたのです。 

戦略特区はアベノミクスの重要な柱だから、安部氏は推進したのでしょう。 

その証拠に、第1次安部政権では戦略特区自体が存在しなかったために認可が下りていません。 

あくまでも、加計のために認可を急いだのではなく、逆に特区の中に今治市と加計が存在したから認可がスピードアップしたのです。 

え、特区を今治市にかけたのは、安部氏の「付託」があったからだろうって。 

ちがいます。これは加計学園獣医学部新設の経緯をちょっと調べれば分かることです。

・第1次安倍政権・・・認可せず
・麻生内閣    ・・・認可せず
・鳩山内閣    ・・・今治市に教育特区を許可
・菅内閣      ・・・文部科学省・農水省、加速計画獣医学部のヒアリング実施
・野田内閣    ・・・規制改革推進で検討
・第2次安倍政権・・・民主党政権から引き継いで国家戦略特区とする

そこで切り分けの②です。

今治市を教育特区に指定したのはどこの政権だったでしょうか。はい鳩山政権でしたね(苦笑)。 

教育特区にしたのは、いうまでもなく加計学園獣医学部を誘致するためです。

これは一貫して加計獣医学部を今治市に誘致するのが、他ならぬ民進党が推進してきたことだからです。

今回の加計学園の案件を「付託」したのは、安部氏ではなく民進党の江田五月氏や高井崇志氏です。

高井氏は国会で石破地方創生大臣に、下のような質問をしています。

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上の写真の高井氏の質問の書き起こしです。

「愛媛県今治市に獣医学部が特区のメニューに入った。実はこれは10年来の悲願だ。実は私は民主党政権の時からずっとこの問題に取り組んできた。
実は獣医学部は半世紀新設されていない。偏在がある。獣医の数が(足りない)、(獣医学部が)四国にはない」

高井氏はかつて秘書として仕えていた江田五月氏と共に、今年3月には加計学園長と面接しています。

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やれやれ、さぞかし高井氏にとって、今回「加計疑惑」を朝日が取り上げ、こともあろうにそれを蓮舫代表が鬼の首でも取ったかのように、「究極の忖度があったと聞いている。内閣総辞職に値する」と叫んだことは、不本意であったことでありましょう。お察しします。

だって、今治に加計獣医学部を引っ張った工作をした手柄は、他ならぬ高井氏なんですからね。

しかも自分の親分である江田氏をわざわざ岡山まで連れていき、他ならぬ加計氏と面談をセットしたのが今年3月。

首相が「もし私が働き掛けて決めたならば責任を取る」と否定をしたのが3月。ドンピシャというのも、失礼ですが笑えてきます。

つまり、加計学園獣医学部設置を「忖度」してきたのは一貫して民進党で、それ自体は良いことなのです。

今治市は10年間15回も政府に要請しやっと叶ったばかりで、いかに悲願だっのか分かろうというものです。
今治市HP http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kouzoukaikaku_tokku/

民進党疑惑追及PTが、今治市を訪問した際には面会はおろか塩を撒かれんばかりだったのは当たり前です。

民進党などは胸を張って「安倍よりがんばったのはこのオレだ」と言っていればよかったのに、なにをトチ狂ったのか「安部が究極の付託をしたんだぁ」とキレるなんて・・、なんて究極のお馬鹿さんたち。

ちなみ、獣医師を増やしたくない獣医師会から100万円の献金を貰って、新設阻止を計ったのが 獣医師会会長の伜である玉木雄一郎・民主党議員というのですから腹の皮がよじれます。
http://www.sankei.com/affairs/news/170521/afr1705210002-n1.html

右手で推進、左手で反対。そして実現してみれば、「安倍が究極の付託をした。総辞職しろ 」ですから、頭は大丈夫ですか、民進党さん。

蓮舫さん、「加計疑惑」を総辞職要求として叩きつけるなら、まずご自分の党内で聞き取りしてからにされたらよかったのにと思います。

そこで①の文書ですが、たぶんホンモノでしょう。ただし、公文書に必須の日付、担当部局名、担当者名、印がありませんから、ただのメモです。

書いた人物の名も特定されて、聴取されていると思います。

で、ホンモノだったら、だからナニ。

いまの文科省は天下り問題でボロボロの屁たれ状態です。この特区も本来の管轄である自分たちの手から離れて、内閣府にイニシャチブを持っていかれていると聞きます。

文科省の官僚たちは、10年も獣医学部の新設に反対してきた獣医業界の利害を「忖度」して、加計獣医学部新設要請を握りつぶしてきました。

これが第2次安部政権で戦略特区に指定されるやいなや、すらすらと新設認可がされたことが憎い、腹が立つ、オレが天下りできなかったのも安部のせいだ、オレの退職後の人生を返せ、と思う小役人が朝日にリークしたのでしょうね。

やれやれ、くだらん。

こんなつまんないことで、いつまでもグダグダやってんじゃありませよ。しかしまぁ、昭恵さんというノイズが入らないだけましか。

 

 

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日曜写真館 砂と汗

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「朝鮮のない地球など破壊してしまえばいいのだ」と思う国

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デイリーNK顧問の朴斗鎮氏は、1941年大阪生れの在日朝鮮人研究者として金王朝三代を見てきました。 

朴氏の近著である『揺れる北朝鮮』で、北朝鮮は「崩壊の第2段階」に入ったとみています。

「旧ソ連をはじめとした社会主義陣営の崩壊と1990年代半ばから始まった北朝鮮の大飢饉によって、崩壊への第1段階を迎えた北朝鮮の金氏政権は、その延命を先軍政治に求めたが、金正日の急死による金正恩政権の登場で、過激な恐怖政治が付加されることになり崩壊への他い2段階を迎えている。それは正恩時代に入って急増した北朝鮮高官の亡命者数をみても明らかだ」((同)

そしてこのまま正恩が軌道修正をかけねば、これが最後の局面になるだろうとみています。

「正恩が開放経済に舵を切らず、このまま恐怖政治と核兵器による脅迫外交を続ければ、彼は間違いなく金王朝のラストエンペラーとなるだろう」

朴氏が指摘するとおり、北朝鮮は米中露の大国が干渉し合う地勢学的位置にあるためにそれがいつになるのかは明確には言えませんが、核を放棄しない限りおそらく滅亡することでしょう。

ただし、ひとりで自滅するのではなく、その災厄の渦に周辺国を巻き込みながら。

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米国は先だっての秘密交渉の席上で北朝鮮と以下のことを提案したと言われています。 

①北朝鮮と話しあう用意がある。
②正恩政権を倒すつもりはない。統一は急がない。
③38度線を越えて侵攻するつもりはない。
 

と、ここまでは実にトランプの表面だってのコワモテと違って宥和的ですが、最後にひとつだけその条件がつきます。 

④核兵器を廃棄する。 

北朝鮮代表(いちおう正式ではありませんが、あの国に「民間」などありません)がどのように答えたかはわかりませんが、たぶん米国の要求の①から③までは一致し、④の核兵器保有だけが違ったものと思われます。 

裏返して言えば、「核兵器放棄をしない限り話し合いはしない」ということになります。

それも米国だけそう思っているのではなく、米朝が一致して、同じように考えているようです。 

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これを裏付けたのが、話し合い解決を主張して大統領に当選したムン・ジェイン就任を祝賀するが如く発射された弾道ミサイルでした。 

これは6カ国協議を希望する習-プーチン会談当日にも当たり、あまりにも明確な意志表示です。 

北朝鮮はいかなる各国協議にも、あるいはサシの話し合いにも乗らないということです。 

よく安易に話し合い外交という人がいますが、残念ですがそれが通じる相手ではないし、仮に経済制裁や軍事的圧力、はたまた「田植え戦闘」をさせない干乾し戦略もすべてこの国には通じないのかもしれません。 

なぜなら、民が死ぬこと、民が餓死することなど意に介さない独裁国家だからです。

「金日成はかつて息子の金日正に「米国と戦って勝てるのか」と尋ねたことがあるという。その際、金正日の答えは、「朝鮮のない地球など破壊してしまえばいいのだ」だった」
(朝日新聞ソウル支局長・牧野愛博『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日)

黒井文太郎氏は、『北朝鮮に備える軍事学』の中でこう述べています。

「たとえば、戦争が起きて平壌が火の海となり、金正日がもはやこれまでと観念したとする。この際、生きてサダム・フセインのような醜態を晒すよりも、憎きアメリカになんとか一矢報いて栄光ある最後を遂げたい・・・、と考えるかもしれない。
すると、平壌でこんなやりとりが交わされる可能性が出てくる。
『いまわが共和国の軍にはどのような手段が残っている?』
『はい、将軍様。山中の極秘基地に隠した核搭載ノドンが1基だけ生き残っております。アメリカには届きませんが、在日米軍基地には届きます!』
『よし、それを発射せよ!』

黒井氏の著作時は正日時代でしたが、このシーンの正日を正恩に読み替えてみて下さい。 

状況はむしろある種の戦略家だった正日の手にはなく、堪え性がなく衝動的であり、父より子供じみた残忍性を持つ正恩の手にあります。

このまま状況が停滞して行き詰まった場合、韓国は米国に核武装化を強く働きかけるでしょう。

朝日ソウル支局長の牧野氏は既に韓国が、何回か核武装化を求めていると述べています。(前掲書)

それが現時点では、ニュークリア・シェアリングであることがまだ救いですが、本格的核武装も視野に入れているはずです。

そうなった場合、わが国は周辺国すべてが核保有国になるわけですから、自ずと選択肢は限られてきます。

好と好まざるとに関わらず、我が国も非核3原則の「持ち込ませず」を廃棄しニュークリアシェアリングに向かい、さらには独自核武装の現実的検討に入らねばならなくなるでしょう。

おそらくすべて技術的にクリアして、保有自体は1年以内に完了できるいわゆる「一歩前核武装」も議論の俎上に乗ることになります。

正恩だけで終わることはなく、周辺国すべてに核兵器の暗い影が覆うことになります。

このように核武装は連鎖する性格を持っていることを忘れてはいけません。

■結語を加筆しました。

 

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北朝鮮農業 自作農をつくるしか処方箋はないが

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北朝鮮農業を再生するもっとも近道は、協同農場・国営農場などといった反農業的な組織を段階的にでもいいから解体して、自作農を作ることです。 

これしか手はありません。 

農業を協同化すれば大規模化できるので効率化できるというのは、大きな国土を持つロシアなどではやってやれなくもありませんが、元祖・ソ連すらあのていたらくです。 

あ、その前に日本のJAは個人農の集まった協同組合ですから、一緒にしないで下さいね。 

Stalin_kolkhoz2http://www.tearsdeestrella.com/antistalin/02_jp.ht... ソ連のコルホーズ

私は若い頃恥ずかしいくらい頭デッカチだったので、「農業は協同でやるべし」と思っていたのですな。そのため2つも協同農場を渡り歩いてしまいました。 

効率的に見えて非効率なのです。建前は合議制ですから、細かいことまで議論して取り決め、それに反して自分で考えた工夫を出すと、なぜ決まったことを守らないんだと批判されます。 

夜は連日会議、また会議。農業をしているのか、会議をしているのか分かりません。

後に共同農場をやめて、自分で土地を買い(膨大な借金を作りましたが)自営農家になった時の清々しさは忘れられません。 

自分の眼を信じ、自分が手をいれることでいくらでも工夫改良の余地があるということに新鮮な驚きを感じたものです。 

こういう体験をしてやっと身に染みてわかってのですが、農業は個としての農業者とその家族が、土を愛し、土を育て、家畜と共に時間をかけて作り上げるものなのです。 

大規模化したいなら集団化する必要はありません。私の友人のように個人会社でどんどんと自分の責任で金を都合し、自分の才覚で売るために水田を借りて増やしていけばいいのです。 

協同農場は何カ所も見たことがありますが、往々にして農業道具が汚い場合があります。手入れをしない、放たらかしにしてサビさせて平気です。

 なぜでしょうか。「自分のモノではない」からです。笑っちゃうでしょうが、「誰のものでもない」という共同所有は相互無責任を容易に生み出します。 

収穫物に対してすらそうです。たとえば収穫したばかりのタマネギのコンテナに芯腐りが出たとしますね。 

個人農なら家族をフル動員して、コンテナからシートの上に全部出して一個一個腐敗チェックをします。 

放置すると腐敗は伝播し、気がつかないで出荷すれば、店に着くあたりで腐りが出てクレーム対象になって信用を落すからです。 

もっとも農家と農家が集まって集団化するやり方をするグループもないわけではありませんが、つきものなのはお定まりの主導権争いと金の問題です。 

分裂する時に、これはオレが拠出した、これはオレの金で買った、などというみっともない分捕り合戦になるケースも見たことがあります。 

ヒト・モノ・カネという事業の三大要素は、自分が責任を持つ、成功しても失敗しようと農業者が背負う、これが農業の大原則です。 

古今東西これは不変ではないでしょうか。 現代史上、唯一この大原則に背いたのが共産主義国家でした。

元来、共産主義とはコミュニズム、コミューン主義、直訳すれば「共同体主義」ですからね。

農民に土地を放棄させて集団農場に追い込み、上からノルマを与えて働かせるのですから、ハナからうまくいく道理がありません。 

脳内に赤いモヤがかかっている頭デッカチの思いつきにすぎませんから、必ず失敗します。
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ただ失敗するなら可愛いのですが、共産主義特有の一党独裁・ひとり独裁という政治構造の中の一部ですから始末が悪い。

修正が効かないのです。異議を唱えるのは独裁に対する抵抗とみなされるからです。

おかしいんじゃないか、と言おうものなら、「反党分子」・「人民の敵」として流刑。悪くすれば家族もろとも死刑です。

その上、北朝鮮の独裁者など意図的に飢餓を作り出している節があります。

腹が減っては抵抗できないからです。なまじ食料増産なと許せば、その方法は農民に自分個人の土地(自留地)を認めなければなりません。

ということは、自由を与えて独裁政権を批判する温床を作りかねないわけです。

実際に中国において自作を認めた結果、農民反乱は日常的行事になってしまいました。

いま、中国の民主化運動の火薬庫は、かつてのような学生ではなく、農民階層なのです。

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北朝鮮の「主体思想」は、金一族「白頭山の血脈」に奴隷的服従をすることを、2歳の幼児の時から叩き込みます。

北朝鮮には私たちが考える「自由」という概念自体存在しません。あくまでも国家という有機体の手足の一部となって生きる「自由」があるだけです。

「主体」を持つのは唯一国家であって、それは「無謬の指導者同志」と同一なのです。

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ですから、北朝鮮のいう「主体農業」というのは、農業の一から十までいっさいを国家が管理することです。

アレを作れ、ここに作れ、これだけ作れ、こうして作れと農民に命じます。

本来連作すれば障害がでることが分かりきっているトウモロコシを、土留めもしない段々畑に何十年も連作させたりします。

結果、大雨になれは土砂が斜面を下って、川に流れ込み、川底を浅くして水害を頻発させました。いまや河口から、湾や沿岸部にまで拡がって、遠浅になってしまいました。

すると林業や漁業もダメになります。

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120万人、兵役適齢は17歳から49歳。なんと人口の5%も徴兵するために農村は恒常的若者不足となって、都市の学生や労働者、兵まで田植え稲刈りに一定時期に一斉動員することにてりました。いわゆる「田植え戦闘」です。

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本来、地域ごとに稲の生育状況は微妙にちがいますし、苗の生育状況や植えつける時期も違います。

ましてや稲刈りなど出来かたに1月ていどの幅があることなどザラです。それを一斉に刈ったものだから、未熟米が多く混ざることになりました。

本来そんな判断は、個々の農家が稲と相談して決めればいいことなのです。

繰り返します。北朝鮮農業を再生させ、食料を増産したければ協同農場を解体し、自作農を育てることです。

それしか方法はありませんが、ただしそれを実行すれば金王朝は倒れることになります

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北朝鮮農業 1991年ナイアガラ瀑布現象とは

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沖縄からちょっと離れて北朝鮮農業に戻ります。 

北朝鮮はいわば多臓器疾患の重病患者のようなもので、内臓諸器官がなにからなにまで全部ダメになったうえ上に、それが絡み合って手もつけられない状況になっています。 

その原因のひとつが農業です。農業は大きくふたつの顔を持っています。ひとつは食料生産部門としての顔で、いまひとつが国土の姿です。 

まずは北朝鮮の農業生産の推移を見てみます。 

先にお断りしますが、北朝鮮の出す統計数字は眉唾モノで、国連に救済をも申し出た自然災害年(1996年、97年、2000年、2007年)の数字だけが意図的に落ち込むように作られています。 

Photo北朝鮮の食糧生産量(単位千トン)出典「レポート」 2011http://www.sukuukai.jp/report/20120418/1-1.html

このグラフが正しいならば、コメの生産量300万トン(2008年~09年度)のコメの生産量300万トンもあり、これを北朝鮮の人口2275万人で割ると、1人あたり年132㎏にも達します。
 

これは日本の2倍で、10アール(1反)あたり10俵以上ていどできたことになってしまいます。

おいおい、基盤整備と機械化が進み品種改良が世界で最も高度化した日本ですら8俵ていどですよ(苦笑)。 

李佑泓『どん底の共和国』によれば、統計を取るに当たって協同農場などでは一袋の量をごまかしてノルマを達成したと報告することが常態化しているということなので、まぁそう思って5掛か6掛ていどで見てください。 

なおこの数字はなまじ国連の機関(FAO/WFP)が出している数字なので、北朝鮮関連の分析資料には必ずでてきますが、しょせん北朝鮮の自己申告の数字にすぎません。

社会主義計画経済にありがちな、初めに目標値があって、あとから統計数字をおっつけたのでしょうが、統計数字がデタラメでなにが「計画経済」だつうの。まぁいいか。

というわけで到底ありえない数字ですが、生産量推移の傾向はわかります。 

むしろこれでわかるのは、1991年という節目です。 

なにが起きた年でしょうか。歴史的といっていい年ですが、ソ連が崩壊したのです。 

Photo UNDP(国連開発計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の農業復興・環境保護に関する円卓会議(Thematic Roundtable Meeting)-農業の基本的発展』(1998年5月)と、FAO (国連食糧農業機構)およびWFP(国連世界食糧計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の作物収穫と食糧供給に関する特別報告書』による。  

数字は怪しいですが、ソ連が崩壊するまでとりあえず800万トンを超えた生産高が、もっとも落ちた96年には200万トンと4分の1にまで下落しています。 

これは食料の輸出量にも現れています。 Photo_2

 グ゙ラフ中央でナイアガラ瀑布状態になっている年が、1991年・ソ連崩壊の年です。 

この91年ナイアガラ瀑布現象は、ソ連の衛星国で共通して起きたことです。 

ちなみにキューバもこんなかんじです。ソ連崩壊と同時にドッカーンと吹き飛んでしまい、そのまま停滞してしまったのは北朝鮮と似ています。

Photo_3http://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=3692

キューバの場合、国際サトウキビ価格より高めの価格でソ連に売り、見返りに石油や穀物を輸入していました。 この差額が支援となります。

国際的物々交換というわけで、バーター貿易と呼びます。 

国際市場価格より高めな差額が支援なわけです。これとまったく同じ構造は北朝鮮も持っており、石油や機械製品、穀物などを安価に提供されていました。 

キューバはソ連崩壊まで、ガチガチのソ連型社会主義統制経済を敷いていたのは、北朝鮮と一緒です。

それが一切なくなったわけです。たちまち、農業機械を動かす石油や化学肥料、資材などが、いやそれを作る工場まで半死半生状態になってしまったわけです。 

実際に東欧圏の共産主義国家は、親亀こけたら皆こけたとばかりにドミノ倒しのようにバタバタと崩壊していきます。

ならば北朝鮮も、それまでに国が自立できる農業の仕組みを作っていればよかったのですが、あいにく「主体農法」という独裁者の思いつきで農業をいじくったために、目もあてられないことになってしまいました。 

この「主体農法」については後述しますが、よくもまぁコンナ馬鹿げたものを考えだしたもんだ、と妙に感心してしまうようなシロモノで、「農法」の名に値いしません。 

そもそも、社会主義農業は、大規模化・集団化がミソであって、それによる効率化がなされるのが前提です。 

つまり大規模化に必須の機械化こそキモなのですが、輸入は途絶するわ、国内の工場は動かないわではどうにもなりません。 

しかしキューバは発想の転換を果たして、有機農業へとシフトします。 

というか石油を使わない農法は有機農業しかなかったからで、特にカストロがエコロジストだったわけではありません。 

しかしこのキューバ農業政策の転換は、国のサイズから言ってもまったく正解でした。有機農業は本来、大規模農法には向いていないのです。

化学肥料が輸入できないなら、その代替に天敵利用やハーブ防虫を利用して害虫を寄せつけない工夫をするには、小規模な畑のサイズのほうが向いているのです。

というわけで、キューバは従来の単作プランテーション栽培を縮小し、小規模に適した有機農法を広めていきます。

キューバについては現地に旅してきましたので、そのうち記事にします。 

なおひとこと付け加えれは、キューバ農業が「100%有機農業で自給自足できている」という人がよくいますが、環境農業研究家の西尾道徳氏が指摘するように「誤った宣伝」にすぎません。http://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=3692

現実には窒素系化学肥料を国内製造しており、広範に使用しています。

それはさておき北朝鮮は、キューバのような柔軟な転換ができませんでした。

もちろんカストロと金日成という指導者の人間としての資質の差もありますが、北朝鮮にはキューバにはない妄執があったからです。 

それがながなんでも「パンツを履かないでも核兵器保有国なるんだ」という妄執です。 

このパンツ談義は、中国の毛沢東の言った台詞ですが、毛は数千万人の餓死者を出しながらほんとうに原爆を作ってしまいます。 

それをまねしたのが金日成でした。彼は中国の核武装路線をそのまま模倣し、国のリソースのすべてを核兵器につぎ込んでしまったというわけです。 

その結果がいま私たちの眼前に悪夢としてあります。  

 

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伊勢佐木ローズ氏の返信コメント その2

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本日は伊勢佐木氏のリプライの2回目を掲載いたします。
 

頂戴したいくつかのコメントに答えていきます。 

「池田ノビーのワナビーへ」氏へ。 

「伊勢佐木ローズってまた唐突な…。多少コメント欄で他の連中と絡ませてから論考掲載にしないと「自作自演」疑われても仕方ないくらいに不自然でっせ」 

不自然だろうがどうだろうが、いままでコメント欄に来ようと来まいと、内容的掲載に値すれば載せます。ただそれだけです。 

仮にあなたから、私がうなるようなもの頂戴できれば、喜んで載せます。 

私は「自作自演」などをする趣味はありませんし、そもそも今回も伊勢佐木氏に負けないくらい書いてしまっているので、それじゃあ別名にする意味がないじゃないですか。(苦笑) 

再度言っておきますが、伊勢佐木氏は私の別名ではありません。 

桜井氏を「スター」にした媒体側のキャスターだったからといって、それを理由に我那覇氏を批判するのは筋違いです。 

これでは「ニュース女子」で司会をしたが故に、東京新聞において「降格」された長谷川幸洋氏に対する攻撃と一緒ではありませんか。 

金城氏については私は詳しく知りませんが、「その筋」というようなあいまいに匂わせる言い方で批判するあなたの思考様式のほうが問題です。 

「その筋」だろうとなんだろうと、私はその人ときっちり向かい合ってやりとりしたいと思います。 

私は共産党員だろうと在特会だろうと、個人でくるならお受けします。 

我那覇・金城=「その筋」=カルト。Q. E. D(証明終了)というのでは知的頽廃ではありませんか。

先日のコメント欄に多く見られたように、島で政治的意見を表明すること自体憚られる空気があります。

Photohttp://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/1c79feac4f62dc248f85f7619f6ec215

政治的意見を公言できるのは、背後にしっかりした守ってもらえる組織がある場合に限られます。

左翼陣営は強力な組織力を持ちます。県内各地に張りめぐらされた労組や反基地団体、左翼政党などです。

労組は本土では必ずしも左翼イコールではありませんが、島では完全にイコールです。

一方保守の側は唯一、某新興宗教があるのみで、保守的意見は「幸福か統一原理」と、まるでカルトのように言われます。

非常に不幸なことですが、彼らしか保守的意見を言う組織がないためにそうなってしまっています。

それを知ってか知らずか、意見を自由に言える本土の人間が、「その筋」で批判した気になるのはいかがなものでしょうか。

初見さんについてお答えします。 

「日本」の安全保障問題以上に沖縄県民が肉まん頬張るために基地に依存しているとばかり私は思っていました」

この誤解は本土によくある誤解なので、解いておきます。 

「沖縄が肉まんを食べる」というのは振興予算のことでしょうが、「肉まん」を食べるために基地があるのではありません。

そんな簡単な構造ではありません。

日本は安全保障上、沖縄を必要としていますし、米国は世界戦略上、利害を共有しています。

双方の国益で沖縄に基地が長期に固定化されるという事態が生じました。 

米国が沖縄にいる理由は、東アジア有事の備えです。

逆に言えば朝鮮半島と南シナ海、東シナ海で中国が海洋膨張政策を放棄し、かつ朝鮮半島の非核化が進めば、在沖米軍は駐留する意味が希薄になります。 

一方、日本は東アジア有事もさることながら、独力で沖縄本島・宮古・石垣を守る力がありません。

ですから、米軍に今はいてもらわねば困るのです。 

Cimg1590

在沖米軍は、大戦で沖縄を武力支配したままの延長したまま居すわったために、疑似占領軍的性格をもった「島の異物」でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-ae80.html

凶悪な米軍犯罪には、彼らの中に占領軍意識が残っていると批判されても仕方がないものもあったことは事実です。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-8595.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-9e07.html

私は、沖縄から米軍基地を縮小を促進していくべきだと考えていますし、いまの辺野古、高江などは「新基地」ではなく逆にその負担軽減策の一環だと思っています。 

振興予算が自立を蝕ばむ依存体質を持ち始めているのは、残念な事実です。

しかしそれも「拒否せよ」というのは簡単ですが、その代替案を具体化しつつ切っていかねば、いまの北部振興予算を「拒否」して、名護経済を干上がらせた稲嶺名護市長と一緒になります。

来年の知事選にむけて振興予算も焦点のひとつになるでしょうが、具体的に経済ビジョンをもって自立化に進まねば「翁長なき翁長体制」になるかもしれないと危惧しています。 

次にこうも書いておられます。

「(「ニュース女子」が)おおよそ沖縄県外の人間が基地反対運動に参加している実態を糾弾したいという趣旨でしょう。しかし、それを主張すると基地問題は”沖縄県民”が決めるべき事、という逆説が成立してしまうが、基地賛成派の皆さんはそれでいいのかな?」 

原則は沖縄県民の意見がもっとも尊重されるべきだと思っています。さらに限定していえば受け入れる当該地域・集落の意見がもっとも尊重されるべきです。

その意味では、辺野古住民の多くは容認ですし、高江も「いた仕方かない」という立場で反対派はひと握りでした。

Photo_5

しかし大量の県外者、はては外国人までが現地を我が物顔で占拠し、デモ・座り込み、自動車による県道封鎖、果てはしばき隊などの暴力分子の導入といった事態まで発展してしまいました。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-c44c.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-c27b.html

いくらなんでもそれはいきすぎだろう、というのが私の意見です。

「ニュース女子」が問題視したのは、在日外国人が資金提供してまで高江に組織動員をかけたことに対しての異議申し立てであって、まったく正当な批判だと思っています。

ただし、ひとことお断りしますが、保守陣営の一部にある「北朝鮮・中国による赤化拠点の沖縄」という言い方は大げさに過ぎます。

現時点では彼らの姿は見え隠れしていますし、北朝鮮を崇拝する(!)主体研究会も活動していますが、その実態は未だ解明されていません。 

それと言葉尻を捉えるようですが、沖縄で「基地賛成派」、あるいは移転推進派などほとんどいません。

その理由がわかるから、あるいはあきらめて「容認」しているにすぎません。私ですらそうです。

賛成-反対で分けられるほど単純ではないのです。

前置きのはずの私の記事が長くなりました。 

今回は中断してしまった伊勢佐木ローズ氏のリプライの2回目です。 

                        ~~~~~~~~~ 

伊勢佐木ローズ氏の返信コメント その2 

2.自由民主主義について
私は今回の投稿で、「自由民主主義」を尊重する立場だと申し上げました。その上で、
真子さんが傾いている「復古的な右翼思想」に疑問を呈しました。

率直に申し上げて、自由民主主義を「保守」と呼ぶのが適切かどうかわかりません。
 

自由民主主義はかつて「リベラル」と呼ばれていたからです。

現在のリベラルは「左翼嫌いの左翼」または「人権や環境を過剰に強調する被害者原理主義」のことを指し
ていますが、かつては自由な言論を保障しつつ、民主主義によって最大多数の最大幸
福を追求する自由民主主義はリベラルに含まれていたと思います。

主要メディアや識者は、現代を「右傾化社会」と批判しますが、私はそれは間違いだと思っています。

どちらかといえば「左傾化社会」になっているために、自由民主主義は、保守どころ
か「右翼」に括られているのだと思います。

自由民主主義的な考え方は戦前にもありましたが、やはり敗戦と日本国憲法によって
定着したものだと思っています。

そして、それが戦後の大切な出発点だとも考えています。

「戦後レジームの見直し」の趣旨には基本的に賛成ですが、この自由民主主義という出発点は否定してほしくないと思います。

このようなかたちで戦後を出発した日本という国家の主な仕事は、国民の命と健康と財産を守り、個人の自由を最大限保障することだと考えています。

しかし、個人や集団の利害は往往にして対立します。

そうした対立を調停するシステムが民主主義であり、民主的に制度化された司法制度
だと思います。

民主主義は、特定の個人や集団の自由を制約することもありますが、それは国民全体の自由を守るためのやむをえざる「対価」です。

その対価を最小限に食い止めるために何が必要か考えつづけるのが私たちの宿命です。

私は、国旗も国歌も尊重すべきだと思いますし、自衛隊も憲法で認められるべき存在
だと思います。

けれども、自国民や自民族の絶対的優位を主張する選民思想的なナショナリズムや「進め一億火の玉だ」といった全体主義は、自由主義も民主主義も壊すことになると思いますから、反対したいと思います。

真子さんに私のこの考え方を押しつけたいとまで思っていませんが、私の考え方は、
日本国民の大多数が共有している考え方に近いと思っています。

真子さんにとって「肉まん」はたんなる比喩以上のものではないのかもしれませんが、「肉まんを頬ばる自由」を守るために国家があり、国防があり、外交があり、安全保障があると私は考えています。

「肉まんを頬ばる自由」を奪い取る国家であってはならない、ということです。このポイントについて、これ以上詳しく語るつもりはありませんが、私の意図はぜひご理解頂きたいと存じます。


他にも論点はあると思いますが、コメントを下さった方々の大半が、私以上に事態を
正しく理解されていると感じました。

このブログでは、非常にバランスのとれた議論が展開されていて、とても安心しました。

「リベラル」や「左翼」を自称して、自分たちの考え方が唯一絶対であるかのように主張する方々にはない「自由」と「知性」を感じました。重ねて御礼申し上げます。 

異論はあっても理解する。そうした姿勢の積み重ねが私たちの国や社会をより豊かにしていくと思います。

真子さんにも、私たちのこうした思いが届くことを心から願っています。

                                               (了)

 

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北朝鮮弾道ミサイル発射成功 ICBMの前段階実験か?

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本日は伊勢佐木氏のリプライの予定でしたが、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したという緊急事態のためにそちらを優先します。伊勢佐木氏論考は明日に掲載いたしますのでご了承下さい。

技術的解説が煩雑な方は、記事中断の「技術的まとめ」から先にご覧ください。

今回は爆発せずに、ウラジオストック近くの日本海に着弾しています。


(CNN) 米政府当局者は14日、北朝鮮が同日未明に発射した弾道ミサイル1発は北朝鮮の北方に位置するロシアのウラジオストク地域から南へ60マイル(約97キロ)離れた海域に着弾した可能性があることを明らかにした。
CNNの取材に述べた。ウラジオストクにはロシア軍の太平洋艦隊の司令部がある。
北朝鮮が今回のミサイルに設定していた弾道の詳細は不明。米当局は、関連データを詳しく分析し、ミサイルの種類などの特定に努めている」(CNN5月15日)

Photohttps://www.cnn.co.jp/world/35101118.html

北朝鮮はこのように発表しました。

「ソウル 15日 ロイター 北朝鮮は15日、金正恩朝鮮労働党委員長による監督の下、14日に中長距離ミサイルの試験発射を実施し、成功したと発表した。ミサイル発射は「大型核弾頭」搭載能力を確認することが目的だったとした。
国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、金委員長は米国に対し、本土が
北朝鮮の「攻撃の射程内」にあることを忘れてはならないと警告した。
KCNAによれば、周辺国の安全保障に影響しないよう、発射は最も高い角度で行われ、飛行距離は787キロメートル、高度は2111.5キロメートルに達した」(ロイター5月15日)
http://jp.reuters.com/article/idJPT9N1FZ005 

今回は新型の「火星12」と称しているようです。 

これはスカッド系「ノドン」準中距離ミサイル(MRBM)の改良型のようです。このミサイルは移動式発射台(TEL)に乗せて、どこからでも発射可能です。 

またその公表された赤い噴煙から、固体燃料ではなく液体燃料のようです。
ノドン - Wikipedia

Photo_5北朝鮮の労働新聞が15日掲載した、新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験の写真(共同)産経5月15日より引用

Photo北朝鮮の労働新聞が15日掲載した、新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」と、金正恩朝鮮労働党委員長(中央)の写真(共同)産経5月15日より引用

下図の左端が「火星」です。技術自体は旧ソ連の開発した1990年代の「枯れた技術」を、北朝鮮流にいじりまわしたもののようです。

Missiles北朝鮮が保有するミサイルの飛距離(キロ)。左から「火星」、「北極星」、ノドン、ムスダン(以上、開発済み)。さらに開発中のKN14、KN08(資料・米ジェイムズ・マーティン不拡散研究センター) http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39703046

西泰之・静岡県立大学グローバル地域センター特任助教はこのミサイルが太陽節軍事パレードに登場したものと同一なことから、2段め切り離し実験である可能性を指摘します。

5月14日の弾道ミサイル発射のもう一つの可能性は、ICBMの第1段の試射である。2段以上のロケットを開発中、第2段に推進剤を入れないで打ち上げ、第1段の推進機能、第2段の分離機能、計測・通信機能だけをテストすることは、過去の外国の例でも少なくない。(略)
北朝鮮が5月14日に発射したミサイルがIRBMだったのか、それともICBMの第1段だったのかは、上昇中に物体の切り離しが観測されたかどうかの情報を待つほかないが、北朝鮮は着実にICBM保有への歩みを進めている」
(「NEWSを疑え」第584号 5月15日特別号より引用 下写真2枚も同じ)

Photo_2中距離弾道ミサイル・ムスダン延長型

Photo_4中距離弾道ミサイル・ムスダン延長型の前部

西氏の指摘どおりならば、これはICBMの前段階実験であることになります。

さて今回問題となるのは、その対空時間の長さで、30分と発表されています。 

97㎞飛んで30分というのはロフテッド軌道といって、高い高度に打ち上げて着弾させる技術を用いたものだと推測されています。ロフテッドとは「高く上げる」ていどの意味です。
https://twitter.com/Kosmograd_Info?lang=ja

「14日に新型の中・長距離弾道ミサイル「火星12」の発射試験に成功したと発表した。最大到達高度は2111.5km、飛距離は787kmで、新開発のエンジンや再突入システムの試験を行った」(北朝鮮・朝鮮中央通信)

ロシアの早期警戒衛星Cosmos-2510がオホーツク上空にいて、補足に成功したようです。

Photo_3ロシア早期警戒衛星Cosmos-2510

「政府は北朝鮮が14日に発射した弾道ミサイルを新型とみて分析を進めている。焦点は最大射程だ。今回は通常より高い角度で打ち上げ、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」での発射とみられ、最も距離の出る角度で撃てば米国の一部が射程に入る可能性がある。北朝鮮のミサイル技術は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「一歩手前まで来た」(自衛隊幹部)との見方が強まっている。
北朝鮮の弾道ミサイル発射。推定射程が4000㎞とされ、グアムが射程に入る。分析が進むが、大気圏再突入時の弾頭部の耐熱性が担保され実用化したと見れば、アメリカは次の対応を考えると予想される。北朝鮮によるさらなるミサイル発射にも警戒が必要だ。夕方上京し、専門家と意見交換を行う予定だ」(産経5月15日)
 

Photo_2North Korea’s Missile in New Test Would Have 4,500 km
http://allthingsnuclear.org/dwright/north-koreas-missile-in-new-test-would-have-4500-km-range#.WRezhYCzFmM.twitter

ロフテッド軌道で発射されると上図のように、極めて高い高度からほぼ垂直に着弾するために迎撃が困難になります。

また通常の軌道で発射した場合射距離が伸びて、グアムに充分到達すると考えられます。 

今回はサイバー攻撃は失敗しました。弾種などの条件により当たりハズレがあるようで、均等に破壊できるわけではなさそうです。

■技術的まとめ
①発射されたのは準中距離弾道ミサイル「火星12」である。
②移動式発射台から発射された。
③液体燃料方式である。
④ロフテッド軌道で高度2000㎞、通常発射の場合約5000㎞で、中国大陸全土、グアムを射程範囲とする。
⑤ICBM技術のための2段目切り離し実験の可能性がある。
⑥ロシア早期警戒衛星が捕捉した。
⑦サイバー攻撃は今回は失敗した。

さてこの北朝鮮の弾道ミサイル発射の政治的意味を考えていきましょう。

正恩にとって大変にすっきりと政治=軍事です。大きな意味では世界各国同じですか、これほどシンプルに軍事行動が政治的デモンストレーションである国は稀です。

習とプーチン会談があった、「一帯一路」会議翌日にわざわざぶつけてきました。これはもちろんその日を狙ったのです。

北朝鮮は去る5月4日に肩書なし論文で中国の圧力に対して名指しで批判しました。

「北朝鮮が中国を名指しで批判した。国営メディアの朝鮮中央通信が伝えた。肩書のない個人名の論評を3日付で発表する形をとった。北朝鮮が中国を直接批判することは極めて異例。論評は、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、中国が米国と歩調を合わせることに強い不快感を示した」(朝日5月4日)

共産国家のコメントにはグレードがあるそうで、最上級は完全な無署名・無肩書で、これは国家の公式意志です。

それに準じるのが今回の肩書なし論文です。

つまり、北朝鮮は公式に中国を名指しで威嚇したことになります。今回はそれを具体的に軍事力の形で表現したわけです。

習は、今年最大の外交イベントと位置づけた「一帯一路」会議の主催者として、正面から顔にパイを投げつけられた形になりました。

また14日には習-プーチン会談がされており、それを狙ったものだとされています。

今回の着弾地点は、前回の在日米軍基地を狙ったものとは方角がズレて、ロシア太平洋艦隊の母港の眼前に落としています。おそらく意識的にその場所に落したのです。

これはロシアに対しても、米中と協力して制裁に乗り出せば許さないぞ、という政治的表現と考えられますが、それに対するプーチンの反応です。

「プーチン氏は「核クラブの拡大に断固反対する」と語り、北朝鮮の核ミサイル開発を認めない立場を示した。一方で北朝鮮に圧力をかけることは軍拡競争につながると指摘。
「北朝鮮との対話に戻る必要がある。北朝鮮を脅すことをやめ、平和的解決を探らなければならない」と語り、圧力を強める米国などをけん制した」
(時事5月15日)

ロシアは事実上北朝鮮唯一の延命パイプと成りかかっていますが、どのような判断に出るのかわかりません。 

常識的には、欧州正面戦線であるウクライナ、中東で唯一の足掛かりであるシリアの上に、さらに極東でも緊張を高めるのはそうとうに困難です。

その上に、原油価格が50ドルを切って外資が払底しつつある現状では、介入は難しいように思えますが、なにぶん経済合理性を無視することの多いプーチン氏のことですからわかりません。 

一方でトランプ大統領にとっては、「神風」と考えそうです。 

これを転機と判断して、コミーFBI長官解任疑惑事件を吹き飛ばせると政局的に判断する可能性もあります。 

トランプにとってロシアが安保理で反対に回ればむしろ嬉しいはずで、「これがロシアとはなにもなかった証拠だ」と胸を張れる上に、北朝鮮を一気に追い詰めるきっかけに成り得るからです。 

あ、忘れちゃいけない。韓国の新大統領となったムン・ジェインは、さっそく正恩からテストされたことになります。

ムンが政権ナンバー2の秘書室長として仕えたノ・ムヒョン政権は、防衛情報が北にダダ漏れだったのは有名です。

たぶん、正恩は韓国軍のみならず在韓米軍の情報が、どのていどの速度でピョンヤンに伝わるか試したことでしょう。

いきなり抜き打ちテストされたムンは、さぞびびったことでしょうね。

ロナルド・レーガンの定期整備と公試が終了しました。昨日4時、横須賀を出港し、北朝鮮作戦海域に向かただろうと見られています。

正恩が田植え戦闘の開始の代わりに打ち上げたミサイルのために、いったん消えかかった軍事オプションの警告灯が:再び灯りました。

                       ~~~~

訂正をひとつ。

弾道ミサイルにVXやサリンのような化学兵器を積めないという韓国情報を報じましたが、どうやら間違いのようです。
※謝辞 JSF「よく分かる軍事情報解説」https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt 

ミサイル用クラスター化学弾頭M190という化学兵器用弾頭が実在しているようで、弾頭内部にはサリンが詰まったM139子弾が入っています。 

2クラスター化学弾頭M190 

下図は子弾がはじけてサリン弾を広範囲に着弾させている想像図です。 

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仮に北朝鮮が核兵器の小型化に成功していなくても、化学兵器を保有しているのは金正男暗殺事件であきらかですので、大変にイヤなことになりました。 

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伊勢佐木ローズ氏の返信コメント その1

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北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。これで一気に状況が混沌としてきました。それについては別途記事にします。 

伊勢佐木ローズ氏から、皆さまの投稿に対する返信コメントを頂戴しました。 

長文ですので、2回分載の記事枠で掲載させていただきます。 

コメントを寄せられた皆さま、そして伊勢佐木氏に感謝いたします。 

                  ~~~~~~~~

                                        伊勢佐木ローズ 

今回の私の拙い投稿で、ブログ主様もコメントを寄せられる方々も、つねに質の高い
議論を心がけておられることが、あらためてよくわかりました。
 

皆様のご意見、ご指摘に深謝致します。

お一人お一人に返信を差し上げるべきところですが、話が散漫になってしまう恐れがありますので、論点を「我那覇真子さんの活動」と「自由民主主義」に整理した上でまとめて返信させていただきます。失礼をお許し下さい。

1.我那覇真子さんの活動について
真子さんの活動には、私も共感を抱いてきました。だからこそ、最近の「脱線」が大
いに気になっているのです。

真子さんがおじいさま、お父上の影響下に活動を始められ、現在もお父上のお考えを
何よりも尊重しながら発言されていることは承知しています。
 

だからといって、彼女がたんなる「操り人形」だとは思いません。真子さんという個性的な演者がいなければ、お父上のお考えも埋もれるだけだったでしょう。

逆にいえば、真子さんにも、運動の先頭に立つリーダーとしての強い自覚がもっと必
要だということになります。
 

政治的な理念や思想への真子さんの理解、政治・社会・経済の現状に対する真子さんの認識などは、まだ発展途上だとお察ししますので、不足する点は補って頂きながら、今後も活動を続けて頂きたいと願っています。

私がいちばん懸念するのは、真子さんが初心を忘れることだと思います。
 

真子さんは沖縄県民の声なき声を体現する方だと思います。 

私たちは、沖縄という足元をしっかり見つめながら、日本全国や世界に向けて発信していく彼女の姿に感銘を受けたのです。 

在日問題や慰安婦問題を取り組みの主題にしてしまうと、沖縄の抱える問題が霞んでしまいます。 

真子さんには在日や慰安婦を語る資格がない、といっているのではありませんが、こうした問題を主題とするには、直感力だけでなく、問題の背景や現状を知る努力と想像力が必要です。 

真子さんの発言は、あくまで「直感」に留まっているように見えます。在日にも慰安婦にも、沖縄の基地問題とはまた異なる根の深さと広がりがあります。そのことをまず認識して頂きたいと願っているのです。

横須賀ヨーコさんは厳しいご意見を書きこまれましたが、かなり本質的なところを突いていると思います。
 

小林よしのりさんによって「全体主義の島」と批判された沖縄の同調圧力は、真子さんなどの活動でかなり知られるようになってきました。 

真子さんは「自分たちの活動を次の段階に進めなければならない」とお考えの上で、在日や慰安婦を持ちだしたのかもしれませんが、あくまで同調圧力の現状が知らるようになっ
ただけであって、同調圧力が弱まったわけではありません。
 

今、知事選があっても翁長さんがまた当選する可能性は高いと思います。一人でも多くの県民が「同調圧力」を跳ね返す行動に出なければいけないのに、それぞれの地域や職場で声を挙げる人は稀です。 

「真子さんさえいれば闘える」「真子さんを先頭に立てていれば安心」というものではありません。

来たるべき選挙はもちろん大事ですが、日常の暮らしのなかに、個人個人が政治的な
意思を表明する場を地道につくっていかなければ、自由と民主主義はなかなか守れま
せん。

そこで思い起こすのは金城テルさんの活動です。
 

テルさんは、市長時代の翁長さんの
施策に疑問を持ち、義憤に駆られて龍柱建造問題と孔子廟移設問題に取り組み、孔子
廟移設問題では那覇市を相手に裁判で闘っています。
 

6月15日に福岡高裁那覇支部(多見谷裁判長)の判決が予定されていますが、公有地を無償で久米崇聖会(孔子廟の運営団体)に貸与した那覇市の行政行為を不当として訴えたこの裁判は、「政治と宗教の分離」を争う憲法裁判(日本国憲法第20条および第89条違反)の性格を帯びつつあります。

真子さんもテルさんの活動にはエールを送っていますが、事実上、テルさんと大阪の徳永信一弁護士が原告として孤軍奮闘しています。
 

テルさんのような活動を皆で支えることこそ、基地問題をめぐる偏った言論を是正する力となり、沖縄の政治と社会経済の改善につながると思いますが、「正す会」としての応援は限られているようで、そのことがとても残念です。 

沖縄にも、組織的な言論封殺や社会的不正と闘おうという志を持った方は何人もいらっしゃると思います。そうした方々に勇気と刺激をもたらし、背中を押すような活動が真子さんに求められていると思います。

コメント欄にはまた、真子さんとSEALDs(シールズ)を比較しながら語る方々もいらっしゃいました。
 

SEALDsは、「自由と民主主義を守るための運動」を自称していた団体です。私は、若者たちがSEALDsのような活動をすること自体に違和感を抱いたことはありません。

むしろこうした団体が出てくるのは、少し遅すぎたぐらいだと思いました。

正直にいいますと、彼らにはまったく期待しませんでした。が、若者たちが政治や社会のことを考えるきっかけになれば、それでいいと思っていました。
 

ただ、その活動方針を読むと、(古くさい言い方ですが)「進歩的知識人」の敷いたレールの上を走っているだけ、という印象でした。 

最初の一歩から、新鮮さはまるでありませんでした。

ところが、朝日、毎日、東京などの「おやじメディア」と「おやじメディアで活躍する識者」は、SEALDsを熱心に応援しました。
 

その現象を見て、「溺れる者は藁をもつかむ」という喩えを想いだしましたが、結局はたんなるパフォーマンスで終わりました。SEALDsは何の遺産も遺さなかったと思います。

私は、真子さんの活動のほうが、SEALDsより意義深いと思っていますが、真子さんという「ジャンヌ・ダルク」に依存しすぎる現状には懸念を抱いています。
 

守備範囲を広げようとする真子さんの最近の言動にも不安を感じます。もう一度初心に戻って、
沖縄の問題に専心して頂きたいと切に願うばかりです。
 

                                                (続く)

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日曜写真館 クレマチスの重なり

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投稿 我那覇真子さんへの手紙 その3

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今回が最終回になります。

伊勢佐木氏は、復古的な保守思想とリベラルな民主主義としての保守思想の違いを丁寧に説明されておられます。

私から見ても、我那覇氏は保守急進主義、あるいは復古主義的保守主義に傾斜しているように見えます。

かつて私はこう書いたことがあります。

「左翼リベラルの急進主義は、反安保・反原発・移転阻止・反基地など、どれもこれも急進主義一色なので見えやすいのですが、自民党や保守層の中にもあります。
小池都政が妙に共産党と親和性があるのは、その急進主義の根が共通しているからです。
保守急進主義は、かつてあった栄光の復元です。それがなまじかつて現実に実在していたものの復古ですので、見えにくいだけです。
しかし、言っている内容は正反対ですが、同根です」
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-3388-1.html

焦っては負けです。徒に戦線拡大することは危険です。

あくまでも誰がほんとうの<敵>なのか、しっかり見つめて進まねばならない時期です。

名護市長選・知事選に勝利して、「オール沖縄」を完全に葬らねばなりません。いまはそれに集中すべきです。

安易な本土保守との「連帯」は危険です。本土には本土のテーマがあり、沖縄には沖縄のテーマがあるのです。

互いに「保守」だからと安易に繋がれば、圧倒的に層が厚い本土保守運動に呑み込まれます。

本土に「反基地」以外の考えがあることを伝えるのは大事ですが、それは全国保守運動センターのようなものを作ることとは別次元なはずです。

あくまでも我那覇氏が県民に共感を与えているのは自由な言論を封殺してきた地元2紙と、彼らが支える疑似共同体の「オール沖縄」とただひとり果敢に戦ってきたことに対してだということを忘れないで下さい。

沖縄に根付いた実感を伴った運動を!

さもないと、真子さんの素晴らしい情熱が空回りしてしまいますよ。

私も抱いた老婆心を代わりに書いて頂いた伊勢佐木氏に感謝いたします。

                      ~~~~~

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    「我那覇真子さんへの手紙」 その3
                                          伊勢佐木ローズ
 

承前 

最後に、真子さんの最近のツイートで気になったものを取り上げておきたいと思いま す。  

「私の前には今、休日の横浜中華街で美味しい肉まんを頬張っている平和ボケした日本人が通って行く姿があります。保守運動は同好会ではなくこの一般の人達の目を覚まさなければなりません」(真子さんの4月29日のツイート) 

この真子さんのツイートに対して、なぜか新潟県知事の米山隆一さんが皮肉を込めた リツイートで応えたことで、ちょっとした「炎上」を招きました。  

ご本人は大真面目かもしれないので恐縮ですが、面白いです。 

休日の横浜中華街で、 美味しい肉まんを頬張らずにいったい何をしろというのでしょうか(笑)。 

控えようと思っていましたが、あまりに面白いので一句捧げます。 

「肉まんの 熱きお肉に 触れもせで 寂しからずや 保守を説く君」〉(米山隆一新潟県知事の5月2日のリツイー ト) 米山さんに「保守」を語る資格があるかどうか疑問ですし(それに「一句」ではなくて「一首」です)、知事として真子さんに噛み付くのも品位がないと思いますが、米山さ んのいいたいことはわかるような気はします。  

私も横浜中華街にはよく行きますが、肉まんを頬張りながら歩いている観光客の行儀の悪さは気になっています。 

保守運動を「同好会」と捉える真子さんの感覚にも異存はありません。 

が、中華街の観光客を「平和ボケ日本人」の象徴として捉え、「危機にある日本の現状に覚醒せよ」と説く態度には違和感を憶えました。これに関連して、真子さんのいう「保守」についてちょっとだけ考えたいと思います。 

戦後日本の「保守」とは、「自由民主主義」を標榜する自由民主党のことです。自由 民主主義の出発点は個人の自由の尊重です。 

ただし、集団的な利害に関わることは民主的な意思決定に任せるという考え方です。 

それよって個人の自由や人権の一部が制約されることはありますが、社会全体の自由は守られるという立場です。 

私は、「言論の自由」を始め個人の「自由」を最大限尊重する日本は良い国だと思い ます。 

「自由民主党」の「自由」の部分がこれに当たります。 

「沖縄には基地反対以 外の世論はない」といわんばかりの沖縄二紙の姿勢が問題なのは、沖縄における「言 論の自由」を妨げる要因となっているからです。  

他方、個人の「自由」の無制限の保障は、自由と自由の衝突を生みだし、社会全体の秩序と平和を破壊してしまいます。 

個人の自由の無制限な肥大化を制約することが、 社会全体を守ることになります。無制限な自由に歯止めをかけるシステムが民主主義です。 

「自由民主党」の「民主」の部分がこれに当たります。 

民主主義は原則として多数決の世界ですから、「民主的な意思決定」は、それとは異なる意見を持つ人びとの「自由」を束縛します。 

つまり、「自由」と「民主」は対立 概念になりうるということです。 

けれども私たちは、民主主義に取って代わるような意思決定の仕組みを不幸にして持ち合わせていません。 

少なくとも今は、民主主義と いうシステムに則った意思決定を皆で尊重せざるをえないということです。 

民主的な意思決定の中身を批判する自由はありますが、「民主的な意思決定を受け入れない自由がある」と主張することは、民主主義の否定につながります。 

民主主義を否定する となると、一人または一握りの専制的な支配者や支配組織に集団的・共同的な意思決 定を委ねるか、あらゆる自由を無制限に認めるアナーキズムに移行するほかありませ ん。 

真子さんが、日本における自由主義や民主主義、あるいは自由民主主義の展開を理解した上で、こうツイートしているとしたら、戦後日本の保守の築いてきた伝統とは異なる「保守主義」を提案していることになります。 

「私の前には今、休日の横浜中華街で美味しい肉まんを頬張っている平和ボケした日本人が通って行く姿があります。保守運動は同好会ではなくこの一般の人 達の目を覚まさなければなりません」(真子さんの4月29日のツイート)
https://twitter.com/ganaha_masako/status/858141916386410496

真子さん は「中華街で肉まんを頬ばる自由」に疑問を呈しているからです。 

おそらく真子さん のいう保守主義は、個人よりも国家を上位に置く復古的な「国家有機体説」に基づく右翼思想だと思います。 

これは、自由民主主義とは相いれないものです。 

「戦後レジー ムからの脱却」に自由民主主義の放棄まで含めてしまってよいのでしょうか。私はそ うは思いません。

 

日本の保守は「中華街で肉まんを頬ばる自由」を最大限尊重する自由民主主義を掲げ てきました。 

北朝鮮による核攻撃や中国による尖閣占領の可能性があるからといって、 「中華街で肉まんを頬ばる自由」が犠牲にされていいと私は思いません。 

真子さんに は、戦後日本の「保守」についてもっと多面的に理解して頂きたいと思います。 

また、 中華街が台湾(国民党)系華僑が苦労して築き上げてきた街であるという歴史的事実も忘れてほしくありません。 

これらを理解した上で、「国民一丸となって北朝鮮、中国と闘う準備をすべきだ、中華街で肉まんを頬ばる自由は制約されるべきだ」と主張さ れるなら、それはそれでやむをえませんが、新味のない復古的な右翼思想で、もはや時代にそぐわないと私は思います。 

ただ、真子さんがご自分の主張にこだわるというのであれば、米山知事に対して、せめて「返歌」で応ずるウィットは見せてほしかったと思います。 

そうした知的な営為の積み重ねが真子さん自身の活動をより豊かにしていくと思います。 

そこで、締めくくりにあたり、「真子さんに成り代わって」米山知事に返歌を返した篠原章さんのツイートを記しておきます。 

こうしたウィット、つまり知性の厚みが真子さんに求めら れているものだと思います。  

米山新潟県知事が我那覇真子さんに宛てた与謝野晶子まがいの首が話題ですが、真 子さんに成り代わり知事に返歌を差し上げます。

「反原発 群れつつ極道 来るのみぞ あたら米山とがにはありける」難行法師 「散ればこそ いとど米山めでたけ れ 憂き世になにか久しかるべき」詠み人知らず〉(篠原章さんのの5月7日のツイー ト) https://twitter.com/akiran0723/status/861057733759442944

伊勢佐木ローズによる首の解釈。

「反原発 群れつつ極道 来るのみぞ あたら米山 とがにはありける」 反原発と唱えることで、道を外れた人びとばかり集まっているが、これはもう米山新潟県知事の罪である。 

「散ればこそ いとど米山めでたけれ 憂き世になにか久しかるべき」 米山知事は、散ってこそ(選挙に負けてこそ)価値のある存在になれるのです。この世に永遠などありません。

 

                                                   (了)

 

 

 

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投稿 我那覇真子さんへの手紙 その2 

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北朝鮮農業シリーズをいったん中断して、頂戴した伊勢佐木氏の投稿を掲載しています。 

北朝鮮農業と韓国情勢については、まだ書くべきことが多く残っているので、来週月曜日からの再開といたします。 

さて伊勢佐木氏の論考は、かねてから私も感じ始めていた我那覇氏の昨今の傾向についての危惧を述べられています。 

かつて沖縄左翼は本土の解同と交流し、彼らの「差別論」を密輸入して、「琉球独立論」を作り上げました。
関連記事 かつて「沖縄差別」について書いた記事です。よろしかったら目をとおして下さい。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-aad6.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-f380.html 

解同が<部落民vs一般国民>の関係を、永遠に和解することのない構造的差別論と建てたことを模倣して、沖縄左翼は「基地があるかぎり永遠に沖縄県民は被差別者である」という主張を始めました。

Pakukunes
実はこれは韓国の日本に対する考え方と同一です。

パク・クネはかつて「加害者と被害者の歴史的立場は千年たっても変わらない」と述べましたが、解同や在日運動家の考え方はこれと瓜二つで、これが沖縄に持ち込まれたのです。

Photo_2_2琉球新報 

このような考えは、本土と沖縄を決して許し合うことがない永遠の民族対立構造で捉えるものです。 

地元紙、特に琉球新報はその宣伝機関となってしまい、いまや公然と「琉球独立」に紙面を与えています。

オスプレイ配備は「差別」、辺野古移転は「差別」、高江ヘリパッドは「差別」、反論をすればそれも「差別」。

こりゃ便利な言葉ですな。内容をキチンと分析しなくても、全部「沖縄差別」の一発で批判できちゃうんですから、たまらない。

高江に乗り込んで来た辛氏の主張は、この「差別」という手垢のついた表現を「ヘイト」というさも新しそうに見える包装紙に変えただけの陳腐なものです。 

とまれ、いままで島内でも極少派にすぎなかった「沖縄構造的差別論」を、全面的に県政の柱として採用したのが、青年時代日の丸を振っていた翁長氏でした。  

かくして、基地問題は安全保障上のテーマから大きくズレて、<日本人vs沖縄民族>の対決という新たな次元に突入していったわけです。

辛淑玉氏たち在日運動家たちが高江に大挙して登場したのは、この流れの中でした。

そのアンチとして、我那覇氏の昨今の発言があります。

伊勢佐木氏もふれられていますが、彼女の「妓生像設置運動」論は、この人は慰安婦問題や韓国という民族をまじめに考えたことがあるのだろうかという疑念すら湧きました。

真子さん、そんなことで慰安婦問題という歴史偽造は解決しませんよ。かえってこじらせるだけです。

それはさておき、それが顕在化したのが、3月26日の「東京MXTV問題の本質 辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作を糾弾する国民集会」でした。

私の前置きが長くなりました。貴重な投稿を頂いた伊勢佐木氏に、改めて感謝いたします。 あともう一回続きます。

                    ~~~~~~~ 

 

Photo_2産経新聞より引用 

              「我那覇真子さんへの手紙」 その2
                                          伊勢佐木ローズ
 

承前

去る3月26日、真子さんのグループが主催する「東京MXTV問題の本質 辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作を糾弾する国民集会」が東京で開かれました。 

集会のタイトルを見るかぎり、沖縄の基地反対運動や沖縄二紙の報道姿勢がテーマではありません。 

「在日朝鮮人の反日反米工作」がテーマです。もちろんこれが、1月2日に放映された東京MXTV「ニュース女子」の沖縄特集を非難して、番組をBPOに訴えた辛淑玉氏を批判する集会だということは知っています。 

Photo沖縄タイムスより引用 

その点に異論はありません。取材と編集が不十分だったとはいえ、基地問題報道に関する沖縄の偏った言論を正常化するという意味で、「ニュース女子」の放映には意義があったと思います。 

この番組を「沖縄差別」「植民地意識の発露」として糾弾した辛淑玉氏らの姿勢は、たんなる問題のすり替えに過ぎないと思いますから、批判されて当然です。

けれども、「辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作」が問題の本質であるかのように言い切ることには疑問を感じました。
 

「ニュース女子」問題は、本来、基地問題の一環として語られるべき言論空間の問題ではないでしょうか。問題を在日朝鮮人の「反日反米工作」にまで広げてしまうと、基地反対運動の欺瞞性や言論の歪みが議論の枠の外にはみ出してしまいます。 

基地反対運動に在日団体が関わっていることは確かだと思いますし、彼らの運動は、北朝鮮などからの何らかの「指示」に基づくものかもしれません。 

が、それは基地反対運動全体を左右するほどのものではないないと思います。基地反対運動の主導権は、あくまで翁長雄志沖縄県知事と共産党、社民党などの政党が握っています。 

在日団体の活動は警戒する必要はありますが、「辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作」の糾弾は、問題の本質を不透明にしてしまいます。 

そればかりか、基地問題を在日問題にすり替えてしまいかねない危険性があると思います。 

これでは、在特会などの主張と重なるだけで、真子さんの主張の独自性や新しさはどこかへ消えてしまいます。 

特定の事実関係の過剰な強調や歪曲によって、力任せにナショナリスト感情を煽る本土右翼の手法への接近は、「沖縄差別を許すな」と訴える人びと対して、「在日朝鮮人は出ていけ」と応酬するようなもので、結果的に真子さんの志に水を差すことになるのではないかと懸念しています。

結果的に、3月26日の集会では、在日朝鮮人による具体的な「反日反米工作」にはほと んど触れられなかったようです。
 

在日朝鮮人団体の基地反対運動への参加、沖縄で活 発に活動する金日成・金正日主義研究全国連絡会(主体〈チュチェ〉思想研究会)の存在以外に、明らかになっている活動はありませんから、「糾弾」の材料は乏しかったのだと思います。 

もっとも、この集会で「在日朝鮮人の工作活動」を「糾弾」したと しても、基地問題を差別問題・植民地問題にすり替えた辛淑玉氏に対する反論にはな りません。 

辛淑玉氏などのように、差別とは無関係な政治的発言を「ヘイトスピーチ」と断定して攻撃する「左派」「リベラル」の基地問題への関わり方を批判する活動こそ必要だと思います。 

「在日朝鮮人の反日反米工作」に焦点を当てた活動に、実りある成果は期待はできません。  

真子さんはこの集会の後、「沖縄発日本再建国民運動」を始めました。真子さんの「国士」のような勇ましい姿勢に共感できる部分はありますが、手垢のついたクラシッ クな国家観が垣間見えるような気がします。 

真子さんは「時代に適応した新しい保守像の追及」ではなく「古典的な右翼の復権」の立場を選んだのでしょうか。 

国を愛す る心は尊重します。真子さんが、沖縄だけでなく日本全体に発信したい気持ちもわかります。 

沖縄の現状を見れば、左派・リベラルはもちろん、保守の側にも大きな責任があることもはっきりしています。 

でも、グローバリゼーションと技術・知性の世界 的平準化が否応なく進む世界のなかで、復古的な右翼思想を土台にした活動に意義が あるとは考えにくいと思います。 

真子さんはどういう活動理念と活動方針をお持ちな のでしょうか。そのあたりがはっきり示された形跡がないことがとても残念です。 

Photo_4ムン大統領と慰安婦像 

最近の真子さんは、韓国人グループが 各地に設置している慰安婦少女像に対抗して、アンチ慰安婦像を建てる運動を始めました。 

「虚偽の慰安婦像には真実の妓生像で対抗するべきでしょう。悪貨は良貨によって駆 逐される」(真子さんの4月27日のツイート)  https://twitter.com/ganaha_masako/status/857599476583718912 

拡散された反日イメージを正しいイメージによって駆逐するという趣旨のようですが、これもまた気持ちはわかりますが、慰安婦少女像とアンチ慰安婦像との「設置競争」を加速させ、日本の品位を貶める活動になりかねないと危惧しています。 

このツイー トへのリプライやリツイートを見ると、真子さんの支持者のなかにも「アンチ慰安婦像を建てることには反対」という意見が多かったと思います。 

日韓関係では、「毅然とした姿勢を保ちながら、感情に走らない抑制的な姿勢で臨む」という安倍政権の対応が最善だと思います。 

韓国人グループの挑発に乗り、同じ土俵で闘うことよりも、各国語による発信力を高めていくほうが、はるかに効果的です。 

また、国際機関や海外でのロビー活動や情宣活動にもっと力を入れるべきでしょう。けれども、お互いのナショナリスト感情をぶつけ合うやり方で前に進むことはできま せん。 

韓国に対しては、知性と品位をもって抑制的に対応するのがいちばんです。真子さんにはもう少し広く深い視点で、慰安婦問題を見つめて頂きたいと思います。

                                          (続く)

 

 

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投稿 我那覇真子さんへの手紙その1

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投稿を頂戴しました。

たいへんにコクのある論考で、長文のために分割させていただきました。内容的には、清新でバイタリティ溢れる我那覇真子氏への「友情ある助言」となっています。

この論考の中で伊勢佐木氏が指摘されているように、我那覇氏の持つ画期的な位置は、彼女が従来の保革の外から登場したことです。

今まで沖縄の基地と振興予算をめぐる保革のしがらみとは無関係な場所から、彼女は私たちの前に姿を現しました。

基地と振興予算ほど、沖縄を内部からむし蝕ばみ、自立を妨げているものはないと考えています。

今や「地域資産」と化した基地は自治体財政の柱となり、県財政は振興予算に強依存しています。

ですから、沖縄の政治家・運動家が左右を問わずなんらかのつながりがある中で、それと無関係な彼女の登場の衝撃は、私の中に清新な感動を呼び覚ましました。

その意味で、我那覇氏は沖縄が生んだ、初めてのピュアな「市民運動家」だったのかもしれません。

そして取り上げたテーマが、「沖縄最大のタブー」である地元メディアによる言論封殺だったということもまた、私を驚かせました。

いままで沖縄自民でさえ平伏せざるを得なかった地元メディアの専横に対して、この若い女性はただひとり立ち上がり、ただひとりで戦ったのです。

沖縄左翼はなんとしてでも貶めようとして、彼女が新興宗教の信者であることを喧伝しましたが、それはかえって彼女の負けじ魂に火をつける結果になったようです。

今や彼女の活動は、沖縄にとどまらず全国に展開しようとしていますが、だからこそ今言っておきたいことがあると、伊勢佐木氏は考えたようです。

緻密な論理構築がなされてた論考を頂戴したことに感謝致します。

                      ~~~~~

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                  「我那覇真子さんへの手紙」 
                                          伊勢佐木ローズ
 

はじめまして。貴ブログは毎日のように拝読しています。ブログ主様、コメントを寄せる皆様の達見にはいつも感銘を受けています。 

これだけレベルの高い議論が行われ ているブログを寡聞にして存じません。 これまで私のようなものが意見を申し上げる隙はあまりないと思っていましたが、居 ても立ってもいられないことが起き、僭越ながら投稿させて頂きました。 

「居ても立っ てもいられないこと」とは、貴ブログでもときどき取り上げられる沖縄の我那覇真子 さんのことです。 

今回は「我那覇真子さんへの手紙」というかたちをとりながら、真子さんの活動に対する私見を公開させて頂きたいと思います。  

我那覇真子さんの活動を初めて知ったときは驚きました。基地反対運動を除いて、沖縄で市民運動は育たないと思っていたからです。 

私は沖縄に関わりの深い内地の人間 ですが、自ら起ち上がって「沖縄の体制」と闘う我那覇さんのようなタイプの沖縄の女性を、私はあまり見たことがありません。 

異論を許さず、無条件の同調を求めるよ うな沖縄の言論のあり方に異存を唱えた、勇気ある最初の女性市民運動家として、私は真子さんに注目し、彼女が代表運営委員を務める「琉球新報、沖縄タイムスを正す 県民・国民の会」の活動を心から応援しました。 

真子さんに感じた、良い意味で「沖縄らしくない」斬新なところは、利権などとは直結しない一般の県民レベルで、沖縄には基地反対論だけではなく基地容認論もある、 と声を挙げたところです。 

真子さんは、翁長知事が国連人権理事会に出向いて「琉球 民族の自決権」を訴えると知り、自らジュネーブに乗りこんで、知事の意見は県民の 総意ではないと反論スピーチを行いましたが、その判断力と行動力にも驚きました。

私は沖縄のこと、沖縄の人をよく知っているほうだと思いますが、多くの人が指摘す る沖縄の「同調圧力の強さ」は事実だと考えています。 

基地問題についていうと、基地に反対することこそウチナーンチュの「矜恃」だと思っている人がたくさんいます が、そうした人びとの声に配慮して、「基地反対」に疑問を抱いている県民は滅多に 声をあげませんでした。 

真子さんは、そうした現状を打破しようと、「基地反対という矜恃」を押しつけるような報道を続ける琉球新報や沖縄タイムスを「正す」と声を あげました。 

それは画期的なことだったと思います。

ところが、残念なことに、今年(2017年)になってから、真子さんには、首をかしげな くなるような言動が増えています。

真子さんのこうした変化について、今日は問題提 起させて頂きたいと思います。

                                               (続く)

 

 

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北朝鮮農業 人災としての飢餓と水害多発

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ムン・ジェインが当選したそうです。韓国国民は、北朝鮮の脅威が現実に頭上にある時に、「当選したらピョンヤンに駆けつける」という男を選んだわけです。

ぜひ、盧武鉉師匠がやり残した「夢」を実現してください。

願いましては、 戦時統制権返還、 在韓米軍追放、 財閥解体・財閥資産の国有化、 「高麗連邦」、そしてなにより日韓条約廃棄と、国交斬絶 。

韓国国民の皆さん、たいしたものです。首吊りの木の台を自分で蹴飛ばしてしまったのですから。まぁ、半年間は気がつかないのでしょうね。 

北朝鮮と米国の秘密交渉が始まったという噂もありますから、これに親北派のムンが絡んで核実験さえしなければいい、弾道ミサイルも米国に届く長距離さえ撃たねばいいというような、妙に腰折れした妥協点が出てくる可能性が浮上してきたのが気がかりです。 

いずれにしても軍事オプションは、ほぼなくなったとみるべきでしょう。 

さて、本題に入ります。 

先日来、北朝鮮を農業の眼で眺めてきました。北朝鮮でなにを注目すべきなのかと問われれば、私はためらいもなく農業だと答えるでしょう。 

農業とひとことで言っても、食料生産高や輸入量も大事ですが、それ以上にこの国の為政者がなにをしたかったのか、なにに躓いたのかの足跡がはっきり残っているのが、北朝鮮農業だからです。 

農業をただの食料生産部門として考えると、そこで止まってしまいます。 

もう一歩深堀して、北朝鮮農業がどんな国土の形を作ってしまったのかを見れば、色々なことが見えてくるはずです。 

北朝鮮の抱える内政上の病気はふたつあります。

慢性的な食糧難と水害です。

国民を食わせられない、天災から守れない、つまりは 国家が国家であるための基礎の基礎の部分が崩れているのです。

共に重病で、国民は常に飢餓線上、そして年中行事で「建国以来最大の水害」が見舞います。 

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上の写真は去年の大水害のものですが、8月29日から2日間の豪雨で、咸鏡北道一帯の洪水状況は、死者138人、行方不明400人、倒壊、流出家屋2万9800戸、被災者延べ14万人に登りました。 

また破損した公共施設900棟、道路180か所、崩壊した橋60本以上、そして2万7440町歩(1町歩=約3000坪)の農耕地に浸水などの被害が出たといわれています。 

これは特に例外的なことではありません。水害を年譜で追ってみましょう。 

・2015年・・・経済特区の咸鏡北道・羅先市で洪水が発生。死者40人、被災者1万1000人を出し、公共施設99棟、鉄橋51か所が倒壊、流出、破損。 

・2012年・・・6月から8月にかけて長期の水害が発生。死者300人、行方不明者600人、被災者29万8050人。倒壊、浸水した家屋は8万7280戸。※2016年水害より大型。 

・2007年・・・8月から9月と連続して水害被害。8月中旬に平壌市、黄海北道、平安南道、江原道を中心に、死者・行方不明者600人。倒壊、浸水家屋24万戸、被災民は90万人。9月中旬の3日間の豪雨で家屋1万4000戸が浸水、13万町歩の農耕地が浸水。 

Photo_7平壌の浸水

・2005年・・・解放60周年記念。6月から8月の豪雨により死者・行方不明者500人。浸水家屋1万4千戸の被害。
 

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 ・1995年・・・7月末から8月中旬の全国規模の豪雨と洪水により最大最悪の被害。農産物の被害約190万トン。国連機関に食糧支援を緊急要請。 

日本は95年水害に際して、日本はコメ50万トン(無償15万、有償35万トン)と医療品50万ドルの緊急支援を行い、翌年から2年間で合計で8万2千トンのコメを援助しました。 

また、2000年にもコメ60万トンを支援しています。総額約300億円を越える大型支援でしたが、未だ感謝の言葉のひとこともありません。 

おっと、丁寧にテポドンでお礼がありましたっけね。 すごいね、コメのお礼の代わりにミサイルか(苦笑)。さすがだぞ、北朝鮮。

別のテーマなので詳述しませんが、北朝鮮はこの洪水被害まで外交カードに使います。 

2007年には、核開発の査察を巡って米朝緊張が高まると、査察を受け入れるふりをしながら結局はチャブ台返しをしてみせました。 

この時に使ったのが水害被害です。緊張を高めながら、一転して宥和のふりをしてみせ、テーブルにつくやいなや同情カードを出してきます。 

<緊張⇒宥和⇒同情⇒うやむや>、このサイクルが北朝鮮の常套手段であることをお忘れなく。 

おそらく今回も似たことを、考えていると思ったほうが無難です。 

ムンはたぶん6カ国協議の再開と、北朝鮮への経済支援を率先して言い出すでしょう。 

それはさておき、かつて10年ていどの間隔だった大水害が10年間隔からいまや3年にまで短縮されてきているのがわかります。 

最大の原因は、金日成から始まる水利事業を放棄したまま、耕作地を無計画に拡げようとしたことにあります。 

日本統治時代に作られた水豊ダムのような多目的ダムを継承しておきながら、北朝鮮は毎年恒例のようにして大水害を引き起こします。  

この現地報告書があります。現地指導に入った在日農業技術者である李佑弘氏が著わした『暗愚の共和国』です。 

この本は北朝鮮礼賛の空気が支配していた70年代に登場し、衝撃を与えました。 

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昨日の記事タイトルは、この勇気ある本を書かれた李氏へのリスペクトでつけさせて頂いたものです。
  

金日成は主食をコメの慢性的不作に業を煮やし、トウモロコシの大規模作付けを命じました。 

北朝鮮で作付けされている品種は「平南6号」「キョンセン4号」「鴻恩11号」「銀千」「銀山5号」などですが、いずれも 私たちが食べるような甘いものではなく、飼料用トウモロコシのような食味を無視した品種です。 

これを粉にして食べるわけですが、固めて米粒のようにしたオクサルのようなものまで、北朝鮮にはあります。 

農業に無知な金日成が忘れていたことは、トウモロコシが痩せた荒れ地に向いていると思う勘違いをしたことです。もちろん素人にありがちな大間違いです。 

トウモロコシは実は大飯ぐらいです。

世界最大のトウモロコシ産地の米国穀倉地帯は、もともと地下数mに及ぶ表土層と、地下に世界最大のオガララ帯水層を併せ持つという理想的条件を有していました。
オガララ帯水層 - Wikipedia
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-cccb.html
 

またトウモロコシは横に根を張らずに、垂直に下に根を伸ばします。 

その結果、トウモロコシを連作すると、土壌の地味を吸いつくし、根が浅いために表土を保持する力がないので表土の流出を招きます。 

つまりは金日成は、よりによって砂漠化に最適品種を選んでしまったということになります。 

その上に金日成は生産量を急激に増やしたいために、ありとあらゆる土地にトウモロコシを植えるように命じました。 

そもそもトウモロコシに手を伸ばしたのは、水利・灌漑の失敗によって水田が満足にできなかったからですが、それを解決せずにトウモロコシで食料危機を手当てしようとしたのです。

命じられた側はいわれる通りに、山の上までトウモロコシ畑を作って「ご覧ください、首領様。この壮大な風景を。人民は耕して天に昇るのでございます」みたいなことを言ったのでしょう。 

下の写真がその典型例です。 

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 土留めが不完全なまま開発されたトウモロコシ畑http://ameblo.jp/major-kim/theme2-10000059649.html 

その上に生産量増大のために山間地の河川斜面にまでトウモロコシを植えたために、河岸が崩壊していきました。 

その理由は簡単。段々畑は土留めせにゃならんのです。だから一気に段々畑はできんのですよ、首領様。

下の写真をよく見ると、なんの土留め措置もしていないまま川べりまで植えているのがわかります。

大雨が降った場合どのようなことになるのか容易に想像がつきます。

傾斜地に降った雨は急流となって、段々畑を崩壊させながら土砂流となって川に流れ込むことでしょう。

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日本のミカン農家の段々畑を見ていただきましょう。

段々畑とはこういうふうに作るのです。畑の石を取り除きながら、それを石壁に積み上げて土留めとしていくという気の長い作業を日本の農家はしてきました。

ですから、日本の段々畑は大雨でも崩壊することはありません。農業にとって時間は友なのです。

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こうやってガッチリと石壁を作るようにして、日本農家は傾斜地を耕地に変えていったのです。

それを省いて、金日成がやったような「全国土の段々畑化の速度戦」をしたために、国土は砂漠化し、いまや世界に冠たる「水害強国」となったのでした。

河川は川底が浅くなったために急流化し、元々治水など頭にない国土設計をしたために、ちょとした大雨でも堤が簡単に決壊し、田畑や人家を押し流します。

おまけに燃料のために「日帝国」時代の遺産だった山の木を乱伐したために裸山ばかりでしたから、もう目も当てられません。

わが国ならよくある程度の大雨のたびに大水害です。

まさに人災という以外、言いようがありません。

食料危機は旧ソ連圏からの石油無償援助という延命治療のチューブが切れたと同時に顕在化しました。

当時、同じように延命チューブを切られたキューバは、サトウキビの単品栽培から多品種の有機農業へと国策転換をしていきます。

私もキューバは訪れましたが、様々な問題は抱えていても「食う」ことは手離していないカリブの民は強かに生きていました。

しかしこれとてもフィデルが自らを神格化された一人独裁体制を作らなかったからこそ可能だったわけです。

北朝鮮は金一族が自らを「白頭山の血」として神格化することを国の基石に置いている以上、金日成が敷いた「暗愚の共和国」の道はどこまでも続くのでしょう。

 

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北朝鮮農業 暗愚の王国

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北朝鮮の最大のウィークポイントは経済です。その中でも直接国民の食料を生産する農業こそが、この国のアキレス腱となっています。 

せめて自給自足体制くらいできていれば、いかに国際社会から制裁にあおうと、中国から原油を半ば止められるはめになっても、なんとかしのげたことでしょう。 

まぁ、実は社会主義と農業ほど水と油なものはありません。社会主義農業は、かならず共同農場や国営農場という形で、農業を集団化しますが、農業はこれが大嫌いです。 

ある日本人ロシア研究者の話を聞いたことがあります。 

彼はソ連留学中に、希望していたコルホーズ(共同農場)を見学したのですが、とある倉庫からものすごい腐敗臭がしたそうです。 

案内の人に「なんなんですか、この匂いは」と聞くと、こともなげに答えていわく、「ああ、ジャガイモが腐っているんだよ」とのこと。 

なんと今年収穫したジャガイモの大半が管理が悪いために、グチャグチャに腐敗していたんだそうです。 

私も経験ありますが、コンテナのひとつに腐敗が入るとたちまち感染して全体に拡がっていくんですよね。 

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 腐りを出したこともさることながら、ロシア人が平然としているのが解せませんか。 

いいんです。コルホーズは分業化されていますから、事務職員の彼には責任がないからです。 

そしてさらに街まで運ぶのは、鉄道部門の仕事だそうで、このジャガイモは既に鉄道部門の管理下にあったんだそうです。 

では、この腐ってビチャビチャなジャガイモはどうするのかといえば、「捨てるしかないだろうね、オレの仕事じゃないから」とまったくの無関心なお答え。 

私たちの自由主義社会ではぜったいにありえません。作物を腐らせるのを黙って見ていられる図太い神経を持った農業者などひとりもいないでしょう。 

ところが、社会主義ではできるのですね、これが。

だって、 社会主義には「農民」はいませんからね。いるのは農業労働者です。

後に共産党書記長になったブレジネフの自伝に、コルホーズで働いていた時に、倉庫のものを皆で分けて食ったと堂々と書いてあります。 

おいおい、そりゃ盗みだろうと思いますが、ブレジネフには罪の意識などありません。「全人民所有」だからだそうです。 

共同化・集団化では、農業に必須な精神である、作物をよく観察する、まめに手を入れる、という「眼」と「手」そのものが否定されます。

自主性も摘み取られますから、「やる気」が殺されてしまうのです。 

いかにひとりの農業労働者がもっとこうしたらいいんじゃないかと思って提案しても、「上の命令に背く」ということで潰されてしまからです。 

もっとこうやれば収益が上がる、と皆んなに言っても、仕事が増えるからなぁといわれてお終いです。

サボっても働いても給料は一緒。ならば働いちゃ損、数字いじって報告書だせばいいじゃん、ってわけです。

農業は自営業ですから、働いた分だけ手元に入ります。工夫と努力次第でお金が貯まります。

社会主義では、悪くすれば仲間から「指導者の命令に背く反革命分子」として密告されて流刑場行きとあいなります。 

結局、ソ連もあまりの生産性の悪さに、自留地といって個人の農地を一定枠で認めるやいなや、こんどはコルホーズで働かないかわりに、せっせと自分の農地で換金作物を作るようになってしまいました。

結果的にはこれで農業生産がハネ上がったのですから、なんともかとも。

ところで、社会主義農業に利点があるとしたら、それは個人の零細な資力で維持されている小規模農場を共同化することで大規模化できることです。 

大規模にすることで、ひとりでは難しかった機械化や田畑の集合化がはかれ、生産力の向上につながるという理屈です。 

Photo農村に視察に出かけた金日成、張成沢、金正日

北朝鮮の建国の父である金日成は、ソ連と中国のまねをして社会主義集団農業を導入しました。

「金日成時代には、農業の機械化を図り、ゆくゆくは協同体的所有を全人民的所有(国家所有)に転化することで農業の工業化を図り、都市と農村の差をなくすことで共産主義へと向かうビジョンがあった。そのためには工業が農業を支援し、都市が農村を支援せねばならないとされていた。これが金日成の出した『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』の基本思想である」(朴斗鎮 『揺れる北朝鮮』)

さて、結論から言えば、この金日成の社会主義農業政策は失敗しました。

なぜでしょうか? 

ひとつは機械化大型化の挫折です。「機械化できる」という点が、細分化されていた今までの小規模自営農業に対する優位性でしたが、機械化がまったく進まなかったのです。 

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上の写真を見ると、いまだ江戸時代のようなことをしています。日本の農村には一戸にひとつは必ずあるコンバインなど姿形もありません。 

そしてたかだかこのていどの労働にわらわらと5名もかけて、しかもやる気がなさそうなダルな雰囲気がここまで漂ってくるようです。 

ここで第2の問題点が浮かんできました。つまり農業者に「やる気」がないのです。

農民に約束したはずの農業の機械化はおざなりになりました。その理由は金一族のカリスマ化のために、3大非生産的浪費をしまくったからです。

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「資金が設備投資やインフラ整備に充てられるなど経済基盤の強化に向けられれば良いが、実際はそうでない点だ。資金は金正恩体制の統治資金や箱もの展示物の建設に向けられ、変化を見せるための宣伝に浪費されている」
(同上)

まったくどうしようもない馬鹿野郎です。 

農村を機械化し、農民にやる気をださせる政策をとれば自ずと金一族に権威がついていくものを、大型箱ものと銅像を作りまくって貴重な資金を浪費してしまったわけです。 

実は、核武装国家も弾道ミサイルも皆、この金一族の神格化政策の産物でもあるのです。 

在日朝鮮人で、現在デイリーNK顧問をしている全掲書の著者である朴斗鎮氏はこう述べています。

「金正義恩はまず、先軍政治の継承者、強い軍事戦略家に見せるために長距離弾道ミサイルや核兵器をはじめとした武器開発に巨額投資を続け資金を浪費している」(同上)

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朴氏によれば、北朝鮮のミサイル発射には、弾道部分、ミサイル本体、実験場建設と運用費用だけで1発あたり6億ドルかかるといいます。 

一発で、北朝鮮GDP3兆円の1.5%にも相当し、この資金でトラクターやコンバインなど必要最小限の農業機械を購入すれば、飛躍的に農業生産は延びるはずです。 

いや、ただの食料輸入に回してもいい。トウモロコシを買えば175万トンも輸入可能です。それは北朝鮮全住民の約1年分弱に相当します。

北朝鮮が一発弾道ミサイルを撃つごとに、住民の食糧1年分が吹き飛んでいるのですよ。あー、たまらん。 

あらゆる家庭と行政機関に自分の肖像画と太陽像(金日成と金正日像)を1700万個作り、全国に新たな金日成像を建てまくり、ザブザブと金を浪費しています。 

金日成のミイラが安置してある太陽宮は、ベルサイユ宮殿を模しているそうです(笑)。 

その他、乗馬クラブ、遊園地、スキー場、3Dシアター、大浴場、鉄板焼きダイニング、などやくたいもない、国民の生活とかけ離れた「箱もの」建設に夢中のようです。

金正義恩は国を自分の遊園地だと思っているようです。馬鹿もここまで来ると底光りする神々しさですね。 

 

 

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国民を食わせられない国家はもはや国ではない

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フランスではマクロンが63%(6時現在)の得票率で勝ったようです。

結論が出てから見ていくとして、もう少し北朝鮮の農業を考えてみましょう。 

私は農業者です。一種の職業病で、国を見るときに、「農業」の眼を通して見てしまいます。 

車窓からの風景も、「ああ、痩せた土地だな。オレならこの川から水を引くな」みたいなことを考えながら観光するという有り様です(笑)。

ところで、素朴な質問から始めたいと思います。国はなんの為にあるのでしょうか? 

つまるところ、民草が「食う」ことが目的ではないかと私は思います。 

民が食えてなんぼ、民が安定した家庭生活を営めるために、国防があり、治安機関があり、法律体系があり、そしてそれを支えるために租税システムを持つ「国家」が存在しています。 

そして家庭の中心には家族が集うテーブルがあり、温かい会話と湯気をたてる食事がある、それを維持し続けるために国家の諸制度があるのであって、国を支えるために国民がいるわけではありません。 

ですから、こう言い切ってかまわないと思います。国民を飢えさせる国家はいらない。 

さて、いま北朝鮮はアジアのみならず、世界全体の秩序の紊乱者と化していますが、それは見方を変えれば、この国のあり方が表に出てきたにすぎないと私は思います。 

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上の写真は、デイリーNKが撮った北朝鮮の耕作風景です。私はこの写真が100年以上前に撮られたといわれても納得してしまうでしょう。  

労役に牛が使用されていることは、まだいいとしましょう。東南アジアや台湾、沖縄の先島ではつい最近まで牛が農業に使われていましたから。 

それにしても使役牛はひどい栄養状態です。あばら骨が浮きだし、もっとも筋肉がついていなければならない腰と太股周辺の肉はごっそりと脱落しています。 

牛の哀しげな眼が見えるようです。そしてそれを使う農民の眼は、なにを写しているのでしょうか。 

乾燥しきって小石が多そうな地味からは、施肥がまったくされていないことが伺えます。

この写真の情景はプラウ(鋤)を入れて天地返しをし、土壌に空気を送り込んでいる作業ですが、土壌診断をしてみなければわかりませんが、おそらく荒れ地とかわらない低栄養な地質ではないかと推測できます。

日本ではメタボ土の原因と批判されることが多い、硝酸態窒素や可給態リン酸といった植物が利用できる養分は欠乏し、PHもアルカリ化していそうです。

つまりは、砂漠化しているのです。

もし、満足な収穫を得ようと思うなら、プラウを入れる前段で大量の施肥が必要です。 

中国もそうですが、北朝鮮にも「堆肥を積む」という伝統がないようです。その上、化学肥料も絶望的に不足しているようです。

またこの土は、致命的に渇ききっています。ここまで乾燥しているといくら種播きをしても芽がでません。 

これはこの土地が長年干ばつと水害によって、豊かであるあるべき表土をはぎ取られてきた結果です。 

干ばつと水害は一見逆な現象ですか、同じ原因によって生じます。 

田んぼや畑を満足な灌漑システムが潤していないために、干ばつが起きます。干ばつはただ作物が枯死するだけではなく、表土が流出していきます。 

植物の根がしっかりと張れば、土壌の崩壊を食い止めることができるからです。 

しかし水と施肥が共に不足した死んだ土地においては、土壌もまた剥ぎ取られたようになって風で飛んでいきます。 

この北朝鮮の写真の土地は、強風が吹けば砂嵐が立ち込めるはずです。 

このような土地はいったん雨が多ければ、それを吸収すべき植物も土壌の団粒構造もないために保水性がなく、そのまま奔流となって畑を押し流し、村を潰しながら、川にむけて流れ込んでいくでしょう。

これが北朝鮮でひんぱんに報じられる水害の原因です。 

下のハザード・マップは2016年の大水害の模様です。

「国連人道問題調整事務所(OCHA)の11日付の声明は、北朝鮮政府の発表として、豆満江沿いの地域で10万7000人が避難を余儀なくされていると述べている。また、住宅3万5500棟が被害を受け、うち69%が全壊したほか、公共の建物も8700棟が被害に遭ったという。
 このほか農地1万6000ヘクタールが冠水し、少なくとも14万人が緊急支援を必要としているという」(AFP2016年09月12日)

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水害は、北朝鮮を定期的に襲っていますが、特に2016年10月の大水害は建国以来最大の水害となり、ハフィントン・ポスト(2016年10月5日)はこう伝えています。
http://www.huffingtonpost.jp/lee-aeran/flooding-nuclear_b_12326006.html

「北朝鮮駐在の国連人道問題調整事務所(OCHA)が先月咸鏡北道で発生した洪水被害を「50~60年ぶりの最悪水準」だとし、北朝鮮当局に総合的な対策づくりを促した。OCHAが公開した「2016年咸鏡北道合同実査報告書」によれば「茂山郡被害世帯が5万世帯以上、延社郡と会寧市は1万~5万世帯」だという」 

「今回の洪水は、金正恩政権が招いた人災中の人災である。
洪水が発生した地域は、金日成の森林開発政策の当時に千年の樹林を誇る高原地帯が裸山に化した地域。その上、この地域にある西頭水(ソドゥス)水力発電所の圓峯(ウォンボン)貯水池は老朽化し、普段から水漏れの危険が指摘されていた。そんな中、今年8月の集中豪雨で水量が急速に増し、貯水池の堤が耐えられず切れそうになると、危機感を感じた北朝鮮当局が地域住民に何ら予告もしないで(!)水門を開けて放水をしたそうだ。
一方、この地域の住民の多数は、圓峯貯水池は5回にわたって核実験が行われた豊渓里(プンゲリ)よりわずか70キロメートルの距離なので、核実験によって地盤が揺れた影響で貯水池の堤防が弱くなった可能性も否定できないと主張している」
 

Photohttps://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20160913-00062136/ 

ハフィントン・ポストはキム・ジョンイル時代の森林の乱伐採と、ダムやため池の老朽化による貯水機能の喪失や核実験による地殻変動などを上げています。 

それもあると思いますが、このように頻発し毎年巨大化する水害は、根本から水利・灌漑システムが崩壊しているか、そもそもそんなものは初めからなかったのどちらかだと、私は思います。 

わが国と同様に山がちな北朝鮮においては、治水政策が国作りの大元になければなりません。 

治水があって水利が発達し、田畑が潤い、大水から田畑や町を防ぎ、干ばつに際しては貯めた水を放出して、国民を守るのです。 

北朝鮮のダム・貯水施設の大部分は「日帝」時代に作られたものです。 ちなみに「日帝」という呼称は、南北共通の「日本帝国主義」の統治時代を指します。

韓国では「日帝暗黒時代」などといわれています。

ずいぶんとひどいいわれ方ですが、皮肉にも日本統治36年間がコリア史上もっとも食糧生産が安定した時代でした。

昨日も書きましたが、「日帝」は裸山だった山を植林して雨水を涵養するところから始めました。

田んぼを作るためには、まず豊かな水が必要です。その水を蓄えるのは山の森林です。

だからこそ、遠回りに見えても山に木を植える植林が必要なのでした。

そして育った山の樹で涵養した雨水を、ダムやため池に導き、水力発電をしてエネルギー源にしたり、田畑を潤しました。

日照りの夏はため池から水を補給し、水害の時はいったんダムやため池に水を溜めて、人々の暮らしを守りました。

そしてそこに植えられたのは、日本人が苦心惨憺して作り上げた耐寒品種の「陸羽132号」でした。 

残念なことに、日本人は「朝鮮」の国作りに3分の1しか力になれませんでした。

というのは、山の植林は3代、100年かかるからです。植えて初代、育てて2代、その報酬を受け取るのが3代目なのです。

治水もただ護岸を作ればいいのではなく、地域を包括するエコシステムとしてじっくり作らねばなりません。

台湾にはその時間がありました。だから八田与一氏がいまだ顕彰され続けているのです。

しかし「朝鮮」には不幸な大戦のために、農業にとってもっとも大切な持続の時間が途絶えました。

いまや「日帝」の遺産は、継承されるどころか捨て去られ、老朽化してムクロをさらすだけになっています。 

この国をまともにするには、弾道ミサイルもましてや核兵器などは不要です。 

農業を一からやり直すことが迂遠であっても、最良の道なのです。

いくら大量の兵士がおり、戦車があろうと、はたまた米国にまで届く原爆を持とうと「民を食わせられない」ような国家は、既に国家足り得る資格をうしなっています。 

こんな国には自暴自棄の戦争すら起こす力はありません。  

軍隊とは農村から引き剥がされた軍服を着た、飢えた農民でしかないからです。 

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日曜雑感 国の呼称についてちょっと考える

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国の呼称について中華三振さんがコメントしておられます。

韓国を「南朝鮮」と呼ぶことについてですが、少しこのことについて考えてみます。

基本的に私は国の呼称についての表記は以下です。

①価値中立の呼称
②当該国の自称
③国際的に通用している通称
④民族差別的蔑称は使わない。

大韓民国については、「韓国」以外ないと私は考えます。

北朝鮮については昔はプレスコードで「朝鮮民主主義人民共和国」とダラダラと呼んでいましたが、いまや彼らの暴力性が露わになるに連れて「北朝鮮」一本です。

つまり時代によって、国際通称も変化するのです。

北朝鮮の場合、1970年代までは「金日成父さんの作った理想国家」のような錯覚が流布していましたが、いまそんなイリージョンは影も形もありません。

「南朝鮮」は北朝鮮が韓国を呼ぶ場合の呼称です。「朝鮮民主主義なんじゃら共和国の南半分だという政治的意味があります。

韓国もまた「北韓」(プッカン)と呼んでいますが、これも同じことのネガポジです。

台湾は「中華民国」ですが、中国はガンとして「台湾省」です。これもコリアと一緒です。

おっと、いま「コリア」と書きましたが、私はこれを南北をトータルに呼ぶ場合に使っています。

問題は中国です。

書くと長くなるのですが、「支那」の呼称は、今はプレスコードに引っかかります。

おかしな話でChina、つまりシナは世界呼称です。英語でチャイナ、仏語でシノワ、日本語読みすればシナです。

まったく同じ語源ですが、なぜか中国は日本からシナと呼ばれるのが大嫌いなようです。

これは中国にとって、英仏米からよばれるのはいたしかたがないとして、中華帝国にも入れなかったアジアの目下国如きが生意気な、ということのようです。

はいはい。日本では外務省が音頭をとって、NHK、新聞すべて統一されて「中国」ないしは「中華人民共和国」です。

もうひとつ嫌いな呼ばれ方は「中共」です。

これは中華人民共和国、あるいは中国共産党の略ですからどうして文句をいわれるのかわかりませんが、ともかくお嫌いなようです。

中華人民共和国の国号は、実は価値中立呼称ではありません。

「中華」は世界の中心を意味し、他民族や他国家との法的平等を否定した古代的呼称です。

ご承知のように、最初の統一王朝である秦(チン)を語源としており、差別語どころか自称であって、価値中立的呼称です。
支那 - Wikipedia

というわけで、本来私は欧米と同じように「支那」と呼ぶべきだと思っていますが、日本における統一呼称に従って不本意ながら「中国」と書いています。

さもなくば「チャイナ」と呼ぶことにしています。

ただし、「支那」と呼ぶ人には圧倒的に右サイドの人士が多いので、ちょっとなぁという気分が私の中にあるのも確かです。

まぁ、国の呼称はそれ自体価値判断を帯びるので、できるだけ価値中立で書くことにしているというわけです。

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日曜写真館 江戸散歩

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要注意 5月15日から北朝鮮の「田植え戦闘」が始まります。

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北朝鮮について書かれているのを読むと、なんだかなぁと思うことがいくつもありますが、そのひとつに、北朝鮮農業について触れられた論考がほぼ皆無に等しいことです。 

ほとんど日本では省みられていないことで、デーリーNKなどが現地からの声を細々と伝えるに止まっています。 

私は自分の専門柄、どうしても 農業に眼が行きます。私はその国の農業を見れば、国柄が分かるというのが持論なのです。

特に今の田植えシーズンに北朝鮮農民諸君はどうしているのか、と複雑な心境になることもままあります。 

前にも一度書きましたが、この5月の田植えシーズンと8月の稲刈りシーズンに政治的緊張を高めてしまうと、食物生産がフイになります。 

それは北朝鮮が「田植え戦闘」というヘンなことを兵隊にやらしているからで、お前らのメシは自分でまかなえやということのようです。 

なんせ、兵隊だけで137万9千人もいますからね。わずか2516万人の人口の国ですから、うちの国の比率に換算するとなんと自衛隊員が650万もいる勘定となります。

正恩、あんたは馬鹿か。 そんなに大量の若い労働者を生産部門から奪ったら、国はどうなるんです。

もちろんこんな馬鹿げたまねができるのは、17歳から30歳までを徴兵で取るからです。

「北朝鮮がまもなく改正発表する予定の「軍事服務法」には、女性の義務兵役制の導入だけでなく、軍服務期間を男性は10年から11年に、女性は6年から7年にそれぞれ増やす内容も含まれているという。」(東亜日報2014年9月20日)http://japanese.donga.com/List/3/all/27/426058/1

有事ではなく、平時にこのような動員をかければ、大戦中の日本のように農村や工場から青年が姿を消します。 

もっとも馬力があり、将来の技能を蓄積すべき年代を奪うことが、いかにその国の力を削ぐのかは、先の大戦末期にイヤというほど日本人は身に沁みています。 

日本が野党の皆さんの期待も虚しく徴兵制をとらないのは、兵器システムの高度化だけではなく、この一生のうちでもっとも有為な年代をゴッソリ奪うということが国力を削ぐことを知っているからです。

逆に言えば、130万もの青年層を、国民が食糧生産から引き離しているわけですから、罪が深い。 

おそらく機械化が極度に遅れている北朝鮮の農業現場では、深刻な労働力不足が恒常化しているはずです。 

それは翻って兵士層の飢えも深刻化しています。

「金正日政権は、軍隊を最優先にし、軍隊を中心に体制運営をして行こうという「先軍政治」を掲げていた。金正恩氏を後継者に決めた新体制も、この「先軍路線」の継承をするとしているが、肝心の兵士たちが飢えに苦しんでいる。軍隊に栄養失調が蔓延しているというのは20年以上も前から指摘されてきたことであり、その証言と報告は枚挙にいとまがない。北朝鮮では「軍に入隊することは飢えること」というのが社会常識になっている。(略)
人民軍兵士たちを撮った写真を見ていただきたい。窪んだ目は虚ろで、焦点も定まらないように見える。頬骨は浮き出て、細い首で何とか支えている頭は、彼らには重過ぎるように見える。軍服はぶかぶかだ。何人かはすっかり虚脱してしまい、うつむいたまま全く動かない者もいる」(アジアプレス・ネットワーク 下写真も)http://www.asiapress.org/apn/author-list/ishimaru-jiro/1_85/

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ですから、軍内部で畑や養豚をしたり、田植えや稲刈りには総出でゴッソリと「支援」にかけつけます。 

これが世に名高い「田植え戦闘」という奴です。 

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上の「田植え戦闘」の写真を見ると、ものすごい人力動員ですね。信じられないくらいに労働力を突っ込んでいます。

日本で1mに3人入って、横一列で植えるなどということをプロ農家はぜったいにしません。

まぁ、学童の田植え体験ならするかもな。

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「田植え戦闘」とやらの写真を見ると、腰つき手つきまったくズブの素人です。たぶん都市の事務職の動員でしょうね。

日本なら産直交流のひとこまで、夕方うまいビールを飲もうで済みますが、この人たちにとって田植えはなにぶん「戦闘」ですから・・・。

日本の学童が食育でするようなことを、彼らは「苦難の行軍」とか、「田植え戦闘」とか言って1カ月間もしているのですから、痛ましいというか馬鹿馬鹿しいというか。

農業じゃありませんね。こんなもの。

下が日本の田植え風景ですので、比べて見てください。日本では手植えはもはや消費者交流で一部残るのみで、ゼロといっていいでしょう。

おそらく北朝鮮数十人分の仕事を、日本の田植機は半日でしてみせるでしょう。

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例年この時期になると、北朝鮮は都市部の青年にも動員をかけます。 

「北朝鮮で「田植え戦闘」の季節がやってきた。田植え戦闘とは、北朝鮮国民が、農業生産量を高めるために農作業に総動員される毎年恒例の行事だが、住民にとっては非常に厄介な行事の一つだ。(略)
北朝鮮当局は、5月15日からの1ヶ月間を「農村支援戦闘期間」に定め、全国の高等中学校(高校)と大学を休校とし、学生を農村支援に向かわせている。」(デイリーNK2016年05月29日)
http://dailynk.jp/archives/67769 

5月15日から1カ月間というと、さぁそろそろですね。

デイリーNKの編集長の高英起氏によれば、2013年の緊張の時も、5月15日に田植え戦闘の開始が報じられると、ほっとした空気が韓国民に流れたそうです。

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北朝鮮は、日本のよう稚苗を機械植えしているわけではなく、機械化の極度の遅れもさることながら、今も北朝鮮が使っているコメの品種が日本の置き土産だからです。

戦前の北部朝鮮地域では、日本の農事試験場が作った冷害に強い品種「陸羽132号」を使っていました。

当時の日本でも「陸羽132号」はもっとも冷害に強く美味な品種でした。これを惜しげもなく、日本は朝鮮に投入していたことがわかります。

「「陸羽132号」は、「亀の尾」よりも冷害に強く、1934、35年(昭和9、10年)の東北地方の大凶作を救いました。その後、作付面積を急速に伸ばし、東北6県を含めた全国16の県で奨励品種に指定され、1929年から52年までの24年間、東北地方で作付面積1位の座を保ち続けました。」(「陸羽132号の子供たち」)rikuu132.pdf

台湾における八田与一技師は、水利灌漑システムを整備し、常に安定した収穫ができる基盤を作っています。

このように日本はその「植民地」経営においてヨーロッパ型の収奪経営ではなく、日本農業の最良の技術を持ち込んで生産インフラづくりから始めています。

なお、日本においては「陸羽132号」はこしひかり、ササニシキ、ひとめぼれなどに受け継がれて、今なお品種改良が続けられていきました。

132gou一方、北朝鮮においては、愚かな農業知らずの指導者のためにその進化の歩みは戦前のままのようです。

「陸羽132号」は稚苗では冷害に弱いために、成苗植えを奨励していたといいます。

戦後「主体農業」がこれを一新したとは思えない以上、連綿と日本の70年前の遺産を食い潰していると思われます。

田植え時期をトウモロコシとズラしたりする改革は行われたと聞きますが、コメの品種改良がされたという情報は寡聞にして聞きません。

成苗を機械植えすることは、できなくもありませんが、日本においても特殊な田植機が必要です。

ですから、北朝鮮は根が切れないようにそっと苗床から取り、手作業で田植えをせねばならなくなります。

これがこの田植え時期に、全国の労働力を農村に集中せねばならない理由です。

さぁ、再来週からの北朝鮮中央通信が、例年のように元気よく「田植え戦闘」を報じるか注意しましょう。

それが報じられれば、なんらかの妥協が計られた可能性も浮上します。 

いずれにしても、この国を農業の眼じ判定すれば、「絶望国家」という以外ありません。

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集団的自衛権「巻き込まれ論」について

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中華三振さんのご質問に答えていきます。憲法について書くつもりでしたが、まぁいいか、大きな意味で憲法とも関係ありますしね。

「管理人は集団的自衛権の中で日本はアメリカのイラク戦争のような対外戦争(起きるかどうかは別です)に付き合わされることはない、断ることもできるとおっしゃりますが、それに関して説明していただけますか?
確か以前にイラク戦争におけるNATOの例を挙げていましたが、多国間での集団的自衛権と日米の一対一の集団的自衛権では状況も異なり、日本はちゃんとNOと主張できるのか心配だったので。」

安保法制の審議でもいきなり賛成か反対かといった二択から始まり、「どういう安全保障を目指すのか」というかんじん要のテーマが論じられずに、いきなり重箱の隅をつついたような各論に入ってしまいました。 

あげくに「徴兵制が来る」という話にもならないヨタですから、ため息も出ません。 

まずは前提知識から入りましょうね。

本来、国際社会においては<自衛権>は、「集団的」も「個別的」の区別はありません。あるのはただの自衛権です。 

というのはどの国も自分の国を守るためには、原理的にはふたつの方法しかないからです。 

おっと、三つ目があると共産、社民がいいそうなので三択としておきますか。 

①同盟を結ばずに、自分の国だけの防衛力で国民の平和と財産を守る。
②同盟を結んで、相互に協力関係を作って国民の平和と財産を守る。
③独自の武力も同盟も結ばずに、国民の平和と財産を守る。
 

①は、スイスに典型的な武装中立、あるいは自主防衛型です。
②は、日米安保や、その発展型としてのNATOのような「集団安全保障体制」です。
③は、侵略軍が来ても白旗を掲げて酒を呑めばお引き取り願えるという考えです。
 

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①のレアなケースはスイスですが、スイスの核シェルター普及率はなんと100%超ですが、日本は0.002%です。

日本でも核武装をと言う人がいますが、まずは核シェルターを大都市だけにでも完備してからにするべきでしょう。

撃たれ弱い核武装国家などはありえませんから。

全員が兵役の義務を負い、義務兵役の後には予備役招集されるために各家庭にはライフルが置いてあります。

ちなみに日本の陸自の弱点は、予備役の層が薄すぎることです。

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また外交的にも国連に加盟していないのにかかわらず、各種国際機関・会議に場を提供することで、国際的な義務を遂行しています。

一方我が国で①をとって場合、『コストを試算 日米同盟解体』という本の中で防衛大学の研究者が試算していますが、自主防衛に徹した場合22兆から23兆のコスト増です。 

よく安易に「米国の従属を拒否して自主防衛を」という人が保守にいますが、愚論です。 

日米同盟は相互に要求するものを与え合う双務性を持っています。 

米国は基地を日本に置かせてせてもらう代わりに、「日本列島にいる」というプレゼンス(存在感)で、大きな抑止力を提供しています。 

日本にとっては接受国負担(いわゆる「おもいやり予算」)などの年間約3600億ていどの負担で、世界最高水準の安全保障環境を手に入れることができました。 

つまり安全・安価・現実的という意味で、②の同盟関係を結ぶのが、もっとも上策です。 

③は朝日文化人好みですが、個人の非戦の誓いと国家の安全保障政策を混同しています。

個人がなにを信条にしようと自由ですが、国として「侵略軍が襲来しても、国民は勝手に生きろ。国は知らん」ということでは、なんかなぁ、です。 

②の同盟関係で自国の平和を維持する手法は、人類の歴史と共に始まっていて、近世の戦国時代にも合従連衡はあたりまえで、それが国家間協定として普遍化したものです。

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さらに2度の大戦を経ることで、「いかにしてドイツに3回目の大戦をやらせずに、新たな欧州秩序を作るのか」という問題意識からNATOが誕生しました。 

国連は当初は「国連軍」をおき、集団安全保障体制を目指しましたが、朝鮮戦争の勃発による東西冷戦で破綻したままになっています。

しかし、世界には悲惨が満ちあふれていて国連も放っておくわけにもいかず、苦肉の策で生れたのがPKOです。 

国連憲章の第7章、第8章では、集団安全保障を「国家の自然権」として認めていますが、今回日本でテーマとなった「集団的自衛権」のほうは、第7章末尾にチラリと書かれていることでわかるように、あくまでも例外的な選択です。 

どうしてそうなったのかといえば、日本の場合、周辺に欧州のような共通の文化圏や国力を持った国がなかったために、米国との同盟を活用するしか方法がなったからです。 

実は、日本国憲法は自衛権自体を否定している以上、集団的自衛権もクソもありません。

そりゃそうでしょう。

どこの国に「わが国は国民を守らない。周辺国の厚情を頼りに生きていくと決意した」と書く馬鹿がいるでしょうか。そんな非常識な国は、自慢ではありませんが世界広といえど、うちの国だけです。 

なんと憲法は世界の安全保障認識で相手にされていない、③の非武装中立主義だからです。ガーン。 

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枕が長くなりましたが、以上を頭に入れたうえで考えていきます。

中華三振さんのご質問は、「大国の戦争に巻き込まれないか」ということですね。

「集団的自衛権が戦後どう使われたのか検証が必要だ。ベトナム戦争、チェコ侵略、アフガン戦争。こういう例を見ると大国による侵略や軍事介入の口実にされた」(共産党・井上哲士議員2014年5月29日))

共産党の論理は、半世紀以上前からこの党が一貫して安保反対の理由に上げてきた、いわゆる「巻き込まれ論」です。

米国と既に集団的自衛権(=同盟)を結んでいて戦争になったのは、唯一ベトナム戦争だけです。

しかも北ベトナムを西側諸国は承認していなかったために、厳密には「第3国からの侵略」に該当しません。

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フォークランド紛争は、米国の同盟国のアルゼンチンと、同じく米国の同盟国であってなおかつNATO加盟国の英国の戦争でしたが、地理的範囲外ということで、米国も他のNATO諸国も介入しませんでした。

9.11同時多発テロ以降の対テロ戦争において、米国が集団的自衛権を使ったのではなく、使ったのは英仏独伊などのNATOです。

しかもこれはNATO第5条の自動介入条項を使ってはおらず、それぞれの国の判断に基づいた軍隊派遣でした。

日本では湾岸戦争において、米国が俺様主義で、世界を戦争に巻き込んだようにいわれていますが、そんなに単純ではありませんでした。

当時米国務長官だったジェームズ・ベーカーは、『シャトル外交激動の4年』という回想録をものにしています。

その中でベーカーは、同盟国やアラブ諸国を文字どおりシャトルのように走り回って多国籍軍への参加を呼びかけたのですが、もっとも手を焼いたのは英国だったと書いています。

どう口説いてもノー。どんなに条件を英国に有利にしてもノー。ベーカーが匙を投げかかったところで、やっと協力を得られたと書いています。

そんなものです。それでいいのです。ただし、英国は一回イエスといったら、最後まで献身的につきあってくれたとも書いています。

つまり、米国とつきあうかどうかはあくまでも、自国の国益を優先して判断するのはあたり前であって、その国がしっかりした外交方針を持つことが大事なので、集団的自衛権うんぬんとは別次元の話なのです。

そもそも集団的自衛権はNATOに典型的なように、勝手に自国の思惑だけで戦争することを防ぐ仕組みです。

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2014年7月に集団的自衛権を閣議決定したときに、マスコミは一斉に「戦争の歯止めあいまい」(東京7月2日)と書き立てました。

逆です。集団的自衛権は個別的自衛権を恣意的に使って、「自衛」の美名の下に暴走することを抑える仕組みだからです。

NATOは「ドイツを縛るため出来た」と、先ほども書きましたが、ドイツには単独自衛権が事実上与えられていません。

1949年4月にNATOを作ったのは、軍事大国ソ連の強大な圧力に抗するためにはドイツに最前線でがんばってもらわねばならず、かといってナチスの再来になられても困るという二律背反する命題の唯一の解決法でした。

この仕組みができてようやく、ドイツは再軍備が可能となりました。つまり、集団安全保障体制こそが「歯止め」そのものなのです。

これと似たことは、実は日本にも当てはまります。

日本は日米安全保障条約という集団的自衛権を締結することを条件として、自衛隊を持つことが可能になったのです。

実の話、当時も3択でした。

①自衛隊を持たず、占領軍にそのまま日本を守ってもらう。
②戦前と同じように再軍備する。
③日米安保を結ぶ。

日本は、③の集団的自衛権たる日米安保条約を締結しました。賢明な歴史判断だったと思います。

あまりおおっぴらにいわれませんが、米国は旧軍将校グループを過度に警戒していて、1950年代まで安保を「ビンの蓋」論で米国本国に説明していた時期があります。

日米安保は、歴史的にも日本の戦前復帰型暴走に対する集団的自衛権による「歯止め」だったわけです。

ただ集団的自衛権と名乗りを上げると、憲法上ややっこしいので、与党野党共に「大人の智恵」ということにして、「見ないようにしようね」と言ってきた報いが、2年前にやってきたのです。

かくして2年前の集団的自衛権論議は、既に日米安保という「あるものをない」が如く扱い、単独自衛権のほうが集団的自衛権より平和的だという、世界の流れを知らないところで語られていたことになります。

 

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憲法はシンプルなほうがいい

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昨日は憲法記念日でした。なんだか書く気になれませんでしたね。 

そもそも、あえて祝日まで作って顕彰しなければならないご大層な存在とは思えません。 

そのうえこの朝鮮半島有事の前夜の時期に、です。 

この間、もっとも面白かった憲法について書かれた本は、まちがいなく『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門』と『憲法の涙』でした。 

昨日の憲法記念日の発言を聞くと、「一行たりとも変えてはならない」とする共産党、あるいは「加憲として財政均衡主義は盛り込むが、9条は変えるな」という民進党、はたまたマッカーサー憲法から始まって9条批判に終始する保守派のテンプレのような改憲論議より、はるかに面白い本でした。 

井上さんがうまいことを言っていますが、憲法論議は一種の「お仲間トーク」になってしまっています。 

井上氏はリベラル派であるにもかかわらず、原理主義的護憲派についてこういうことを述べています。 

「いわば通勤電車の中でお化粧にはげむ若い女性と同じですね。その女性にとって他の乗客の視線はなきに等しく、ただのモノでしかない。こういう原理主義的護憲派にとって、彼らに批判的な人々の存在などなきに等しく、ただのモノだと思っている。相互批判的な対話のパートナーとして存在しない」 (『リベラルの・・・』以下同じ)

井上さんは原理主義的護憲派に対しての苦言として書いていますが、そっくり同じことが改憲派にもいえそうです。 

改憲派は、もはや改憲するかしないかということなど議論の対象としてはいません。 

いかなる方法で、いかなる時期に、誰が、という方法論に議論が移ってしまっているために、今さら原理主義的護憲論者と会話するだけ無駄だと考えています。 

互いにこの調子ですから、同じ日本国民でありながら、相手は「なきものに等しい」わけです。

双方共にポジショントークで、これでは憲法そのものの議論が盛んになるはずがありません。 

井上氏の議論が大変に面白いのは、その接点を作ろうとしていることです

もちろん歩み寄って中とって下さい、と言っているわけではなく、整理して論点を煮詰めています。 

Photo2015年 憲法記念日における野党統一護憲集会 

たとえばそうですね、今回の北朝鮮危機は、私たちの頭の上に北朝鮮の核ミサイルが落ちてくるかもしれないという状況もはらみながら展開しているわけです。 

ところが野党は、「今行われている日米共同訓練や米艦護衛など、憲法9条の威嚇だから違憲だ。避難訓練をするのは恐怖を与える」というわけです。

さすがここまで野党の病が進行しているとは、私も思いませんでしたね。 

「攻撃させないぞ」という意思表示や、ほんとうにそのような事態になったら国民の安全をどう守るのかということまで違憲として禁止してしまえば、私たち国民は9条をお守り袋に入れて念仏を唱えていればよいのでしょうか。 

ならば、この人たちはもはや宗教的平和主義者です。 

しかし、そうかといえばそうでもないようです。井上氏はこう苦言を呈しています。 

「自衛隊と安保条約が提供してくれている防衛利益を享受しながら、その正当性を認知しない。認知しないから、その利益の享受を正当化する責任も果たさない。
利益を享受しながらその正当性を認めない。私にいわせれば、これは右とか左とかに関係なく、許されない欺瞞です」
 

この北朝鮮危機に際して、避難訓練まで否定するならば、この人たちはこう政治主張せねばならないはずです。

「自衛隊を即時解体し、安保条約も即時廃棄しろ」、と。 

共産、社民は元来その考えですから別にして、野党第一党の民進党までが同調するとなると、これは私もひどい欺瞞だと思います。

つまり、自衛隊と安保は少なくとも今ないと大変なことになるというのは分かった上で、それを否定する「憲法を一行たりとも変えるな」と言っているからです。

大変に分裂していますが、そのことに気がつかないようです。

Photo_2日本共産党サイトより引用http://www.jcp-tokyo.net/2014/1025/150533/

憲法は自衛隊も、安保も否定しています。

9条に書いてあるように、「国際紛争の解決において交戦権を否認する」ということは、原理的には野党が言うようにこの半島有事において「なにもするな」ということです。

上の写真の護憲派集会のように、「憲法がありさえすれば命が守れる」と考える人は、どうぞそのまま信じていてください。

ただし、それはあなたたちの個人的信念にすぎないので、他の国民押しつけないでください。

一方、政党は個人とは違って権力を行使すること、言い換えれば、「自分たちの意見を押しつける」ことが使命です。

ですから「護憲」を叫ぶなら筋を通して、民進党は共産党と野党共闘をして、政権をとったら憲法どおりに自衛隊を解体し、安保を廃棄します、と公約して衆院選を戦うことです。

井上氏はこれは憲法論議の姿を借りた政策論だと断じます。

「ただ単に自分たちが維持したいと考える安全保障体制を、とにかく反対者に押しつけよう、と。そのために、憲法を使えるなら使え、と。彼らは『護憲派』と称しているけど、実際には自衛隊に永遠に違憲の烙印を押し続けることで、違憲状態を固定化しようとしている。それは『護憲』の名に値しない」

端的に、安全保障問題はただの政策論にすぎません。財政や福祉、教育などの分野と同じで通常の国家政策と同列に論じられるべき事案です。

ならばそれは、国会という民主的プロセスを経てフェアな政治競争で問われるべきです。

「憲法を一行たりとも変えない」という立場は、非武装中立主義、あるいは絶対的無抵抗主義なのですから、それでどうしたら北朝鮮のミサイルを防げるのか、具体的政策として国民に見せればよいのです。

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もちろん彼らもとりあえず大人ですから、実際は無理だと分かっています。だから見て見ぬふりをするのも「大人の智恵だ」、くらいに軽く考えてきました。

その心理の背景には、「北朝鮮や中国が危険だなんてただの右翼のデマだ」くらいの甘い情勢認識があったからです。

しかし実際に、脅威が現実の姿を取ると、今度は憲法論議にカモフラージュしてしまいます。

ずるくはないですか。

憲法は国の最高規範ですから簡単に書き換えることができない、いわゆる硬性憲法がいいと私は思っています。

ですから、憲法は余計なことを書き込まないシンプルなものがふさわしいです。政権の解釈によってふらつくようでは、最高法の名が廃ります。

解釈によって恣意的に変更できないものでなければ、憲法は空洞化するばかりです。

この部分に関して私は、護憲派と意見を共にします。

だから熱海の温泉旅館よろしく増改築をくり返してきた9条はいったん全削除し、すっきりと国軍規定するに止めるべきなのです。

交戦権かどうたらとか、いうようなことは書き込んではなりません。書けばくどくどとその概念規定を書かねばならず、政権の恣意になりかねないからです。

そうなりそうな部分は書き込まずに、骨組みだけ書き込んだらいいのです。

そして安全保障論議、あるいは国家戦略に属する部分は、民主的決定プロセスで開かれた討論をすべきです。

井上氏が憲法の役割としてこう述べておられるのは卓見です。

「憲法の役割というのは、政権交替がおき得るような民主的体制、フェアな政治競争のルールと、いくら民主制があっても自分を守れないような被差別少数者の人権保障、これらを守らせるためのルールを定めることだと私は思います」

「被差別少数者の人権」については政治利権がからむので賛成しかねます。替わって私が入れるべきだと思うことは、天皇条項でしょう。

天皇のあり方は、政権が変わるたびに変えられては困る国の根幹です。

日本国憲法がこと細かく(重複までしていますが)思いついたことを書き込んだために、時代にあわなくなったことを反省材料にすべきでしょう。

民進党や公明党は、「加憲」などと言っていますが、民進のように財政規律主義を書き込めば、その時の経済状況に応じた機動的な経済政策をとることができなくなります。

また、環境権もけっこうですが、CO2削減のために原子力を選択した時代もあり、いったん事故が起きれば真逆に走るわけです。

このような個別分野は憲法がすべき仕事ではありません。政治的立場によって変わるもの、あるいは時代の判断が必要なことを、憲法に書き込むことは止めるべきです。

憲法はシンプル・イズ・ベストなのです。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-fca9.html

■写真 野ばらです。すごくいい香りですよ。

 

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いつまでフランス国民戦線を「極右」と呼ぶのか

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新稿を起こそうかと思いましたが、まとまった形になっている2015年12月14日記事を再録することにします。

日本のみならず、世界での国民戦線に対してのバイアスはひどく、これではなぜ彼らが台頭し得たのかをまったく説明できなくなります。

マリーヌ・ルペンが父親にして創設者だったジャンを除名してまで、党改革をしたことを知るべきです。

さらに、マリーヌは今や、国民戦線の代表を下りてまで決戦投票に望もうとしています。

私は彼らの支持者ではありませんし、急進的なEU離脱はリスクがあまりにも高いでしょう。

しかし、メルケルが掲げている超緊縮財政は、財政均衡の美名の下にドイツ以外のヨーロッパ経済全体を長く不況にさらしてきました。

難民しかり。ISテロしかり。

主権国家が国境管理を放棄することがいかに大きな失敗だったのか、移民に依存した経済を作ることがいかに危険だったことだったのか、フランス人は身に沁みているはずです。

フランス国民の2割を越える人たちがEUという巨大グローバリズムから離脱をしたいと望み、ナショナルを掲げる彼女に投票したという事実を直視すべきだと思います。

これを「ネオナチ」「ファシスト」のひとことで切り捨ててきたつけが、いまようやく回ってきたのです。

今回は「フレグジット」は避けられるでしょうが、その後の国民議会選挙で、国民戦線は大きな位置を占めるはずです。

あるいはフレグジット党のような勢力を作り、国民戦線を発展的解消するかもしれません。

国民戦線は暖簾の古い党派ですが、「極右」の手垢がつきすぎました。

フレグジットと金融緩和・財政緩和・難民・移民対策に絞り込んだ新党にしたほうがいいかもしれません。

ユーロから離脱しフランに回帰する激痛に耐えることができる方法と展望を彼らが提示できれば、その波紋はスウェグジット(スウェーデン)、スペグジット(スペイン)と続き、やがて盟主ドイツ自身のジャーグジット(ドイツ)で終了します。

その後にゆるやかな国家間経済政治の協力関係は生れるかもしれませんが、二度とドイツ「第4帝国」もどきのものは生れることはないでしょう。

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それにしても嘆息してしまいますが、山路さんもおっしゃるように、日本の不幸はイギリスのメイ首相、そしてまたマリーヌ・ルペンのようなリアリズムに立脚した強かにしてチャーミングな女性政治家を日本が持たないことです。 

蓮舫氏、稲田氏、そしてあるいはと思わせた小池氏しかり。ああ。

                        ~~~~ 

フランス国民戦線(FN)について、もう少しお話しておきましょう。  

実は、国民戦線は、今や日本のメディアの常套句である「極右」「排外主義政党」と簡単に言えるような存在ではなくなっています。  

先代党首のジャン・マリー・ル・ペン氏です。この頑固そうなのがオヤジ・ル・ペンです。おお、ヤニ臭そう。 

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う~ん、いかにも生粋の「ザ右翼」って感じで、実に香ばしいキャラです。 

去年には、国民戦線を批判したフランスのユダヤ人歌手ブリュエルに対して、「今度はこちらが窯に入れてやる」という凄まじい発言をしています。 

「窯」が、アウシュビッツのガス窯であることはヨーロッパ人ならすぐ分かるわけで、こういうことを平気で言う政党だという猛烈な批判を浴びました。当然ですね。 

これに対して直ちに、この反ユダヤ主義の発言の削除と、厳重処分を言い渡したのがこの人、現党首のマリーヌ・ル・ペンです。

オヤジ・ル・ペンの三女です。おッ、シックなセンス。パリ第2大学卒の弁護士やってました。 

別に国民戦線は同族世襲会社をやっているわけではなく、彼女は副党首のカール・ラングや、全国代表のゴルニッシュを押えて党首に選出されています。 

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 このマリーヌがやったのが、オヤジ・ル・ペンの路線の大幅見直しでした。 

おお、いきなり骨肉の対立か、日本の家具屋お家騒動みたいだと思われるでしょうが、日本もそうであったように、この父娘は考え方の基本は一緒なものの、現実的な路線では水と油だったのです。 

この娘ル・ペンこそが、いままでヨーロッパ政界の色物扱いされてきた国民戦線を、まともな保守政党に変身させた人物だと言われています。 

まずはオヤジ・ル・ペンの路線です。まさに日本のマスコミの形容どおりの、「極右」「移民排斥政党」そのものです。 

  • 国民戦線旧路線
    移民排斥
    妊娠中絶反対
    ・治安強化
    ・EUからの脱退
    ・通貨の
    ユーロからフランへの回帰
    国籍取得制限の強化など
    2015/12/07 05:14・移民の入国制限。(ただし、フランスの文化を尊重、保護する移民は拒まない)

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これに対して、マリーヌ党首の新路線はこうです。ジャン親父のヤニ臭さがほぼ完全に一掃されているのに、驚きを感じるほどです。

国民戦線新路線
・フランス文化を尊重する移民は認める。
・フランス国籍を持つ移民や移民二世・三世でも、犯罪を犯した場合は出身国へ強制送還させる。
・伝統的な生活様式を保護する。特に農民を尊重する。
・麻薬の密売人、小児性愛などの性犯罪者、母親による児童虐待、殺人者、テロリストを対象とする死刑の復活(現在、EU圏内では死刑はない)
・EU脱退
・極左系団体に対する公的補助金の廃止。
・道徳の復権
・犯罪者や移民の犯罪者には寛容ゼロ (tolérance zéro) で臨む。
・同性愛・妊娠中絶の容認
・国籍の血統主義
・減税
※Wikipedia

  • まるで、別な政党になってしまったようです。この新路線の国民戦線を「極右」「移民排斥政党」とレッテルを貼るのはそうとうに困難でしょう。
  • もっとも重要な移民政策について国民戦線の新路線は、な、なんと「フランスの文化を尊重、保護する移民は拒まない」としています。
  •  
  • 国外追放するのは、「犯罪を犯した場合に限る」としています。
  •  
  • このあたりは、下の写真のように「在日韓国人は殺せ」などと叫んでいる日本の在特会あたりに聞かせたいほどです。
  • マリーヌなら、即刻国民戦線から除名ですぞ。
  • こういう愚かな者たちは、保守でもなんでもなく、ただのレイシスト(民族差別主義者)です。思想などという高尚な問題ではなく、人としての問題です。
  • 私はしばき隊には批判的ですし、ヘイトスピーチ規制に関しても懐疑的ですが、彼らが「日本人の恥」という気分だけは分かります。そのとおりです。
  • こんな連中が、移民反対だのと言って国旗を持ってデモをするので、移民問題の議論が深まらずにほんとうに迷惑です。
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    彼女はこういう在特会的レイシズム体質を持つ党員に対して、党籍剥奪処分で臨んでいます。
  • 父親にして創設者のジャンも、例外ではなかっただけです。

    日本の「愛国勢力」も、いつまでも在特会レベルに止まっているかぎり、まともな国民政党になれる可能性は限りなくゼロです。

    マリーヌ党首の移民についての考えは、朝日新聞(2015年1月27日)がインタビューしていますので、添えておきましょう。
    ※http://www.asahi.com/articles/ASH1P1RBXH1PUSPT002.html

    ――でも、今回のテロ(※シャルリ襲撃テロ)の容疑者たちは、移民とは言い難いのでは。移民家庭出身とはいえ、国内で生まれ育ったフランス人です。
     「いいえ。彼らは
    フランス人になることができた、というだけです。例えば(新聞社を襲撃した)クアシ兄弟。両親はアルジェリア人ですが、フランス領内で生まれたお陰で自動的にフランス国籍を取得しました。
    国籍へのもっと厳しい条件を課さなければなりません。ハードルが低すぎるから、移民も殺到し、
    フランス人から雇用などの権利を奪うようになるのです」
     「
    国籍法の改定も欠かせません。二重国籍を廃止すべきです。祖国は一つしかあり得ない。どちらか選ばなければなりません」
     ――日本では、国内で生まれただけだと国籍を取得できません。二重国籍も違法です。
     「私たちが求めるのは、まさにそのような制度なのです。出生地主義の廃止です。
    フランス人は、フランス人の親から生まれるか、フランスに帰化するかだけ。帰化自体は否定しませんが、そのためには罪を犯さず、規則と価値観を尊重し、フランス文化を共有し、運命を共にする意思を持つ必要があります」

    文化多元主義がお好きな朝日は、嫌悪感をこめてインタビューしているようですが、マリーヌさんの発言には、レイシズムの匂いはありません。

    日本マスコミはいいかげんにオヤジ・ル・ペン時代と、娘ル・ペンをゴッチャにするのはやめたほうがいいと思います。

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    フランス大統領選 左右の枠組みが崩れた後に出現したものとは

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    来週の韓国大統領選挙は、ムン・ジェインの雪崩的勝利に終わりそうですね。 

    1カ月前の時期にムンが大統領になっていると包囲網形成に支障が出たでしょうが、包囲網の扉は既にガチャンと締まってしまいました。 

    米国はこのまま正恩を干乾しにする予定のように思えますので、軍事オプションが遠のいてしまえば、ムンがなんと吠えようと知ったことではありません。 

    逆に言えば、ムンがなった場合、軍事オプションを取りにくくなるのは事実ですが。

    ムンは大統領になった暁には、公約どおりピョンヤンに駆けつけて、涙ながらに正恩とハグして、国際社会を白けさせて下さい。

    もう正恩にできるのは口撃だけです。憶測に過ぎませんが、ひょっとしてなんらかの妥協が中国を介してなされたのかもしれないとすら、私は思い始めています。

    いずれにしてもこう言ってはナンですが、韓国大統領選挙の結果はわが国にはうっとおしい限りですが、しょせんコップの中の嵐にすぎません。

    そんなに韓国民が自殺したいのなら勝手にして下さい。止めません。 

    さて、眼を西に移します。フランスでは、60年間も続いたフランス版55年体制が崩壊しました。 

    「左翼・右翼」という言葉の発祥地であるフランスにおいては、左派は社会党、右派は共和党の二大政党が仕切ってきました。 

    日本では自民党と社会党が表面的にはこのこのくぬくぬと争いながら、実は歌舞伎を演じていたわけですが、フランスも合従連衡を繰り返しながら、べた凪の政治構造を続けてきました。 

    今回の第1次投票ではその構造が大きく崩壊し、二大政党は3位、4位に落ち込み日本でいえば第3極政党のマクロンと、世界のマスコミから「極右」と罵倒され続けてきた国民戦線のルペンが決戦投票に臨むことになりました。 

    もっぱらの前評判では、基礎票を握る二大政党は、いままでの確執を忘れたようにどちらもマクロンを推薦して、EUからの離脱をなんとしてでも止めたいと考えているようです。

    Photo_2

    さて例によって日本のメディアは、ルペンを「極右」という冠をつけて報じています。

    メディアが「極右」という時は、言外に「このファシストどもめ」といったバイアスが張りついています。 

    困った人たちです。古くさい「左翼・右翼」の枠内でしか判断できないと見えて、今回のフランス大統領選で、その枠組み自体が崩壊したことに眼がいかないようです。

    今回のフランスの投票分布をみると、見事にフランスが真っ二つになっているのがわかります。

    それを伝える朝日(4月26日)です。http://www.asahi.com/articles/ASK4V5G78K4VUHBI02C.html

    「マクロン氏は都市部で圧倒的に強かった。パリで得票率約36%。ルペン氏は約5%の5位だった。
    反対にルペン氏が圧勝したのは北部エヌ県。約36%で、2位のマクロン氏の約18%の2倍の票を得た」

    Photo_3仏大統領選挙で各候補が得票1位だった県 朝日新聞より引用 AFPによる

    フランス東北部と南部地方はルペンが圧勝し、一方、西部、中央部及びパリではマクロンが勝利しています。

    またマクロンは都市部を征し、人口が多い上位10市では、国民戦線の地盤であったニース、マルセイユを除くすべての大都市で勝利しています。

    ルペン支持が多い東北部の中に浮かぶ孤島のように見えるパリでは、マクロンが36%に対して、ルペンはわずか5%にすぎません。

    まぁよくもこれだけくっきりと、地域間得票差がついたものだと感心します。

    イギリスのブレグジットと同様に、「地域間」「地方と都市」という断層でフランス国民が分断されていることが分かります。

    実はこの傾向は、先だってのブレグジットと酷似しています。

    Photo_7

    上図はブレグジットに賛成した地域が赤、反対した地域が青です。ここでも見事に色分けができています。

    ただし、英仏はEUについては、地方と都市の傾向が逆転しているところが面白いところです。

    これは英国からの独立傾向が強いスコットランドの場合、仮に独立した場合でもEUという域内で無関税で生きていけるという目算があるからです。

    もう一枚参考までに、米国大統領選挙の地域別得票を乗せておきます。

    Photo_8

    この米英仏での大きな選挙によってなにが起きたのか、グラフを睨んでいるだけで見えてくるものがありはしませんか。

    EU離脱の意志が強いフランス東北部は、基幹産業の炭鉱業が没落し、それにつれて鉄鋼業などの製造業も落ち込みが続いているフランス版「ラスト・ベルト」(錆びた地域)です。

    また、フランスは大農業国家ですが、農業もまたEUによって痛めつけられたという意識があります。

    メルケルが頑として譲らな財政規律原理主義のために、フランスもイギリスも長年の不況にあえいできました。

    フランスなどは失業率が10%に達し、地方の生活インフラはボロボロになったといわれています。

    このような流れの中で、ルペンの主張する金融緩和、財政拡大政策が、フランス版ラスト・ベルトで支持を得たわけです。

    おそらく、決選投票においてルペンは敗北するでしょうが、この勢いはその後の国民議会選挙に持ち込まれて、新たな政治地図を作り出して行くものと思われます。

    それは手垢のついた右左ではなく、グローバリズムか反グローバリズムか、ネーションを否定する勢力か、ネーションを大事にする勢力なのかをめぐっての新たな地図のような気がします。 

    ■すいません。今日は眼がぼやけていて、ミスタイプの連続でした。

     

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    どうやら米国のサイバーアタックが成功しているようだ

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    北朝鮮が4連続三振を喫しました。4月29日の弾道ミサイル実験のことです。 

    メディアによれば、なにやら「空母キラー」を発射したとのことですが、どうしていつもこのように煽った言い方しかできないんですかね。 

    カールビンソン打撃群を「無敵艦隊」と訳してみせたかと思えば、今度はそれを「一発で撃沈できる」(BBC4月24日)と豪語する北朝鮮の口まねをするように「空母キラー」の発射実験をしたと書いています。
    http://www.bbc.com/japanese/39689536 

    これを「『空母キラー』ミサイル開発加速=実戦配備へ連続発射か―北朝鮮」と報じた時事(4月29日)です。

    「米軍が原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島近海に派遣し、軍事的圧力を強める中、北朝鮮は空母に対抗するため、「空母キラー」の実戦配備に向けて開発を急いでいるとみられる。」
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170429-00000072-jij-kr

    Kn17KN17 

    北朝鮮がカールビンソンを「撃沈」するためにはこの「空母キラー」とやらを雨あられとばかりに100発撃っても、たぶん一発もあたらないでしょう。 

    時事さん、空母打撃群のイージス・システムを甘くみないほうがよろしいですよ。 

    そもそも海上になんの目標物も置かないで対艦ミサイルの試験をすること自体ありえませんから、「撃ったことに意味がある」という類のものです。 

    あ、そうそう、雨あられと撃つほど対艦ミサイルを保有していなかったっけ(笑)。

    それにはるか洋上を刻々と位置を変える米空母の位置を探知する哨戒能力が、かの国には欠落していますしね。やみくもに撃ってどないすんねん。

    結局、またもや国際社会を挑発し、自分の首を締める結果になってしまいました。この時期、 「偶然」にもフランス海軍が自慢の強襲揚陸艦「ミストラル」を派遣しました。http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN17V04C?pageNumber=2

    Photo_3http://jp.reuters.com/article/france-drill-idJPKBN17V04C?sp=true

    3月に訪欧した首相はオランド仏大統領との会談で、史上初の日米英仏による4カ国海軍共同訓練を提唱しました。

    「会談後の共同記者発表で、フランス海軍の練習艦隊が4月に訪日し、日仏米英4カ国による合同演習をグアム周辺海域などで行うと表明した」(産経3月21日)http://www.sankei.com/politics/news/170321/plt1703210014-n1.html

    もちろん今回の失敗の原因は、9割の確率でサイバー・アタックが成功したからです。 

    北朝鮮がわざと失敗してみせたなどと言う人がいますが、そのような凝ったまねをする理由がわかりません。 

    湿った線香花火を今やってみせたら、国民に恥をさらすだけです。 

    技術的な失敗の可能性もありますが、いくらなんでも手慣れたはずのスカッド系の中距離弾道ミサイを4連続失敗するというのは不自然すぎます。 

    いやいや、サイバーアタックは北朝鮮のようなクローズ系ネットには通用していという説もまことしやかに伝えられていますが、現在のサイバー・アタックの水準を読み違えています。 

    Photo韓国ソウルの鉄道駅で、北朝鮮の故・金日成主席の生誕105年を記念したパレードの映像を眺める人(2017年4月15日撮影)〔AFPBB News

    可能です。
     

    ディフェンス・リサーチ・センター研究員・横山恭三氏は、「クローズ系コンピューターネットワークが安全であるというのは神話である」と述べています。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49836

    「一般に、軍隊のシステムあるいは民間の重要インフラの制御系システムは、インターネットなど外部のネットワークに接続していないクローズ系コンピューターネットワークである。
    クローズ系はインターネットに接続されていないので安全であると思われがちであるが、2010年9月にイランの核施設で発生した「スタックスネット事件」など多くのサイバー攻撃がクローズ系コンピューターネットワークに対して行われ、かつ壊滅的なダメージを与えている。」

    横山氏によれば、北朝鮮は確かに閉鎖系のネットワーク環境ですが、穴はいくつもあるそうです。 

    横山氏は7つの手段を上げていますが、代表的なものはサプライチェーンへの侵入です。 

    正恩が「国産ミサイル」と豪語しても、情けないことにその実態は、9割9分外国製の部品に頼っていることです。 

    理由はわかりますね。あの国には精密加工技術も電子工業もなきに等しいからです。 

    となると、北朝鮮そのものに侵入しなくとも、部品の調達先の企業に侵入してしまえばいいわけです。 

    そしてすでに、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイルの部品調達先は相当に洗い出されているそうです。
    アメリカサイバ軍 - Wikipedia 

    となると、米国は容易に北朝鮮の弾道ミサイルのサプライチェーンに侵入できることになります。 

    横山氏はこう述べています。

    「攻撃を仕掛けた可能性は大きい。例えば、米国は北朝鮮のミサイル関連部品の購入先を特定し、北朝鮮向けの電子機器にマルウエアを挿入する、あるいは電子機器を偽物とすり替えることが可能である」(同)

    サプライチェーンとは、ロジスティクス用語で、 製造業において原材料調達・生産管理・物流・販売までを一つの連続したシステムのことを言いますが、このどこかひとつに侵入してマルウェアを仕込んでしまえばいいわけです。 

    マルウェアとは「不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称」のことですが、星の数ほどある部品のどれかに仕込めば正恩があるコマンドを入力すれば自動的にその瞬間自爆させることも可能となります。
    マルウェアとは|マルウェアの脅威とその対策 - JNSA 

    横山氏は元サイバーセキュリティ担当大統領特別補佐官・リチャード・クラークの著書、『世界サイバー戦争』の一説を紹介しています。

    「1980年代初頭、長大なパイプラインの運営に欠かせないポンプとバルブの自動制御技術を、ソ連は持っていなかった。彼らは米国の企業から技術を買おうとして拒絶されると、カナダの企業からの窃盗に照準を合わせた」
    「CIAは、カナダ当局と共謀し、カナダ企業のソフトウエアに不正コードを挿入した。KGBはこのソフトウエアを盗み、自国のパイプラインの運営に利用した」
    「当初、制御ソフトは正常に機能したものの、しばらくすると不具合が出始めた。そしてある日、パイプの一方の端でバルブが閉じられ、もう一方の端でポンプがフル稼働させられた結果、核爆発を除く史上最大の爆発が引き起こされた」

    3回ていどまでは技術的失敗が重なったとも見えますが、4回連続となるとこのサイバーアタックによるものという可能性が高まることになります。 

    今頃、北朝鮮のミサイル部門は必死になって、砂浜に埋めたマルウェアの毒針一本を探し出す作業に熱中しているはずです。

    Photo_2「田植え戦闘」のポスター

    そして米国が軍事的圧力をかけ続けている限り、正恩は今までのように軍民あげての恒例「田植え戦闘」を命じることができなくなります。

    おそらく6月ていどまでこの緊張は継続されるはずですから、それでなくとも飢餓国家である北朝鮮の食料生産は眼も当てられないことになるはずです。

    ましてや収穫期の8月、9月まで引っ張られた場合、大規模な飢餓が発生するのは必至です。

    北朝鮮人民には気の毒ですが、自分たちの指導者が招いたことですから、誰も恨めません。

    逆にいえば、「田植え戦闘」か報じられたら、それは正恩がなにかしらの妥協をして鉾を納めたこととなります。 

     

     

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