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2017年5月16日 (火)

北朝鮮弾道ミサイル発射成功 ICBMの前段階実験か?

Dsc_8233

本日は伊勢佐木氏のリプライの予定でしたが、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したという緊急事態のためにそちらを優先します。伊勢佐木氏論考は明日に掲載いたしますのでご了承下さい。

技術的解説が煩雑な方は、記事中断の「技術的まとめ」から先にご覧ください。

今回は爆発せずに、ウラジオストック近くの日本海に着弾しています。


(CNN) 米政府当局者は14日、北朝鮮が同日未明に発射した弾道ミサイル1発は北朝鮮の北方に位置するロシアのウラジオストク地域から南へ60マイル(約97キロ)離れた海域に着弾した可能性があることを明らかにした。
CNNの取材に述べた。ウラジオストクにはロシア軍の太平洋艦隊の司令部がある。
北朝鮮が今回のミサイルに設定していた弾道の詳細は不明。米当局は、関連データを詳しく分析し、ミサイルの種類などの特定に努めている」(CNN5月15日)

Photohttps://www.cnn.co.jp/world/35101118.html

北朝鮮はこのように発表しました。

「ソウル 15日 ロイター 北朝鮮は15日、金正恩朝鮮労働党委員長による監督の下、14日に中長距離ミサイルの試験発射を実施し、成功したと発表した。ミサイル発射は「大型核弾頭」搭載能力を確認することが目的だったとした。
国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、金委員長は米国に対し、本土が
北朝鮮の「攻撃の射程内」にあることを忘れてはならないと警告した。
KCNAによれば、周辺国の安全保障に影響しないよう、発射は最も高い角度で行われ、飛行距離は787キロメートル、高度は2111.5キロメートルに達した」(ロイター5月15日)
http://jp.reuters.com/article/idJPT9N1FZ005 

今回は新型の「火星12」と称しているようです。 

これはスカッド系「ノドン」準中距離ミサイル(MRBM)の改良型のようです。このミサイルは移動式発射台(TEL)に乗せて、どこからでも発射可能です。 

またその公表された赤い噴煙から、固体燃料ではなく液体燃料のようです。
ノドン - Wikipedia

Photo_5北朝鮮の労働新聞が15日掲載した、新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験の写真(共同)産経5月15日より引用

Photo北朝鮮の労働新聞が15日掲載した、新型の中長距離弾道ミサイル「火星12」と、金正恩朝鮮労働党委員長(中央)の写真(共同)産経5月15日より引用

下図の左端が「火星」です。技術自体は旧ソ連の開発した1990年代の「枯れた技術」を、北朝鮮流にいじりまわしたもののようです。

Missiles北朝鮮が保有するミサイルの飛距離(キロ)。左から「火星」、「北極星」、ノドン、ムスダン(以上、開発済み)。さらに開発中のKN14、KN08(資料・米ジェイムズ・マーティン不拡散研究センター) http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39703046

西泰之・静岡県立大学グローバル地域センター特任助教はこのミサイルが太陽節軍事パレードに登場したものと同一なことから、2段め切り離し実験である可能性を指摘します。

5月14日の弾道ミサイル発射のもう一つの可能性は、ICBMの第1段の試射である。2段以上のロケットを開発中、第2段に推進剤を入れないで打ち上げ、第1段の推進機能、第2段の分離機能、計測・通信機能だけをテストすることは、過去の外国の例でも少なくない。(略)
北朝鮮が5月14日に発射したミサイルがIRBMだったのか、それともICBMの第1段だったのかは、上昇中に物体の切り離しが観測されたかどうかの情報を待つほかないが、北朝鮮は着実にICBM保有への歩みを進めている」
(「NEWSを疑え」第584号 5月15日特別号より引用 下写真2枚も同じ)

Photo_2中距離弾道ミサイル・ムスダン延長型

Photo_4中距離弾道ミサイル・ムスダン延長型の前部

西氏の指摘どおりならば、これはICBMの前段階実験であることになります。

さて今回問題となるのは、その対空時間の長さで、30分と発表されています。 

97㎞飛んで30分というのはロフテッド軌道といって、高い高度に打ち上げて着弾させる技術を用いたものだと推測されています。ロフテッドとは「高く上げる」ていどの意味です。
https://twitter.com/Kosmograd_Info?lang=ja

「14日に新型の中・長距離弾道ミサイル「火星12」の発射試験に成功したと発表した。最大到達高度は2111.5km、飛距離は787kmで、新開発のエンジンや再突入システムの試験を行った」(北朝鮮・朝鮮中央通信)

ロシアの早期警戒衛星Cosmos-2510がオホーツク上空にいて、補足に成功したようです。

Photo_3ロシア早期警戒衛星Cosmos-2510

「政府は北朝鮮が14日に発射した弾道ミサイルを新型とみて分析を進めている。焦点は最大射程だ。今回は通常より高い角度で打ち上げ、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」での発射とみられ、最も距離の出る角度で撃てば米国の一部が射程に入る可能性がある。北朝鮮のミサイル技術は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「一歩手前まで来た」(自衛隊幹部)との見方が強まっている。
北朝鮮の弾道ミサイル発射。推定射程が4000㎞とされ、グアムが射程に入る。分析が進むが、大気圏再突入時の弾頭部の耐熱性が担保され実用化したと見れば、アメリカは次の対応を考えると予想される。北朝鮮によるさらなるミサイル発射にも警戒が必要だ。夕方上京し、専門家と意見交換を行う予定だ」(産経5月15日)
 

Photo_2North Korea’s Missile in New Test Would Have 4,500 km
http://allthingsnuclear.org/dwright/north-koreas-missile-in-new-test-would-have-4500-km-range#.WRezhYCzFmM.twitter

ロフテッド軌道で発射されると上図のように、極めて高い高度からほぼ垂直に着弾するために迎撃が困難になります。

また通常の軌道で発射した場合射距離が伸びて、グアムに充分到達すると考えられます。 

今回はサイバー攻撃は失敗しました。弾種などの条件により当たりハズレがあるようで、均等に破壊できるわけではなさそうです。

■技術的まとめ
①発射されたのは準中距離弾道ミサイル「火星12」である。
②移動式発射台から発射された。
③液体燃料方式である。
④ロフテッド軌道で高度2000㎞、通常発射の場合約5000㎞で、中国大陸全土、グアムを射程範囲とする。
⑤ICBM技術のための2段目切り離し実験の可能性がある。
⑥ロシア早期警戒衛星が捕捉した。
⑦サイバー攻撃は今回は失敗した。

さてこの北朝鮮の弾道ミサイル発射の政治的意味を考えていきましょう。

正恩にとって大変にすっきりと政治=軍事です。大きな意味では世界各国同じですか、これほどシンプルに軍事行動が政治的デモンストレーションである国は稀です。

習とプーチン会談があった、「一帯一路」会議翌日にわざわざぶつけてきました。これはもちろんその日を狙ったのです。

北朝鮮は去る5月4日に肩書なし論文で中国の圧力に対して名指しで批判しました。

「北朝鮮が中国を名指しで批判した。国営メディアの朝鮮中央通信が伝えた。肩書のない個人名の論評を3日付で発表する形をとった。北朝鮮が中国を直接批判することは極めて異例。論評は、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、中国が米国と歩調を合わせることに強い不快感を示した」(朝日5月4日)

共産国家のコメントにはグレードがあるそうで、最上級は完全な無署名・無肩書で、これは国家の公式意志です。

それに準じるのが今回の肩書なし論文です。

つまり、北朝鮮は公式に中国を名指しで威嚇したことになります。今回はそれを具体的に軍事力の形で表現したわけです。

習は、今年最大の外交イベントと位置づけた「一帯一路」会議の主催者として、正面から顔にパイを投げつけられた形になりました。

また14日には習-プーチン会談がされており、それを狙ったものだとされています。

今回の着弾地点は、前回の在日米軍基地を狙ったものとは方角がズレて、ロシア太平洋艦隊の母港の眼前に落としています。おそらく意識的にその場所に落したのです。

これはロシアに対しても、米中と協力して制裁に乗り出せば許さないぞ、という政治的表現と考えられますが、それに対するプーチンの反応です。

「プーチン氏は「核クラブの拡大に断固反対する」と語り、北朝鮮の核ミサイル開発を認めない立場を示した。一方で北朝鮮に圧力をかけることは軍拡競争につながると指摘。
「北朝鮮との対話に戻る必要がある。北朝鮮を脅すことをやめ、平和的解決を探らなければならない」と語り、圧力を強める米国などをけん制した」
(時事5月15日)

ロシアは事実上北朝鮮唯一の延命パイプと成りかかっていますが、どのような判断に出るのかわかりません。 

常識的には、欧州正面戦線であるウクライナ、中東で唯一の足掛かりであるシリアの上に、さらに極東でも緊張を高めるのはそうとうに困難です。

その上に、原油価格が50ドルを切って外資が払底しつつある現状では、介入は難しいように思えますが、なにぶん経済合理性を無視することの多いプーチン氏のことですからわかりません。 

一方でトランプ大統領にとっては、「神風」と考えそうです。 

これを転機と判断して、コミーFBI長官解任疑惑事件を吹き飛ばせると政局的に判断する可能性もあります。 

トランプにとってロシアが安保理で反対に回ればむしろ嬉しいはずで、「これがロシアとはなにもなかった証拠だ」と胸を張れる上に、北朝鮮を一気に追い詰めるきっかけに成り得るからです。 

あ、忘れちゃいけない。韓国の新大統領となったムン・ジェインは、さっそく正恩からテストされたことになります。

ムンが政権ナンバー2の秘書室長として仕えたノ・ムヒョン政権は、防衛情報が北にダダ漏れだったのは有名です。

たぶん、正恩は韓国軍のみならず在韓米軍の情報が、どのていどの速度でピョンヤンに伝わるか試したことでしょう。

いきなり抜き打ちテストされたムンは、さぞびびったことでしょうね。

ロナルド・レーガンの定期整備と公試が終了しました。昨日4時、横須賀を出港し、北朝鮮作戦海域に向かただろうと見られています。

正恩が田植え戦闘の開始の代わりに打ち上げたミサイルのために、いったん消えかかった軍事オプションの警告灯が:再び灯りました。

                       ~~~~

訂正をひとつ。

弾道ミサイルにVXやサリンのような化学兵器を積めないという韓国情報を報じましたが、どうやら間違いのようです。
※謝辞 JSF「よく分かる軍事情報解説」https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt 

ミサイル用クラスター化学弾頭M190という化学兵器用弾頭が実在しているようで、弾頭内部にはサリンが詰まったM139子弾が入っています。 

2クラスター化学弾頭M190 

下図は子弾がはじけてサリン弾を広範囲に着弾させている想像図です。 

Photo_4
仮に北朝鮮が核兵器の小型化に成功していなくても、化学兵器を保有しているのは金正男暗殺事件であきらかですので、大変にイヤなことになりました。 

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コメント

 今日の記事を読んで、アメリカの攻撃はあるかも知れないと思いました。シリア攻撃のようにトマホ-クを使うのではないかな。

 北朝鮮への攻撃がないまま推移すると北朝鮮はそのまま独裁国家恐怖政治のままで継続し、国民は苦しめられ続けるでしょうし、それに、やがてはICBMは完成し、アメリカにも害を及ぼしそうであり、トランプ大統領ならここで攻撃をしそうだ。

 

いつも勉強させていただいています、エントランスです。

質問なのですが、農作業が行われていないということであれば、北朝鮮の食糧事情は相当に悪化してそうです。
そんな状況でさらに軍事に突っ走るということは、北朝鮮としては短期的に状況を好転させたいという思惑があるのでしょうか?
となれば、あえて生殺し状態にして長期化させれば自ずと向こうから態度を軟化させてくる…というのは楽観的でしょうか?

 これで少なくとも、グアムとハワイには届く事が証明された、と言ってもいいのでしょうか?
そうだとすれば、日米各々の危機状況・認識が少し近づいたのかな、と。
(「喜んでどうする?」って話ですが。)

 しかしこれは、国際間の合意形成の努力をした形跡を残す為のポーズとしての「直接対話の意思あり」としたトランプ発信を、米国のバックギアと勘違いしたか、そそのかされて発射してしまったような感じもありますね。まんまと術中にハマったような。
大丈夫かな?北朝鮮。
だいぶ焦ってますね。

これじゃあ北は、「核放棄」する意志のカケラも見られません。
事態は確実に武力衝突にむけて着実に進んでいるようにしか見えません。
ロシアなんか自分の手を汚さず、既に「いかに戦後の発言権を確保する」かに注力している様子でもあります。

まったく心配してないですが、韓国。
これはもう、各国の思惑をよそに一人あさっての方向にむけて走り出そうとしています。
嗚呼、韓国よ!

トランプ『民主党は、コーミーを散々罵倒していたくせに、クビになったら嘆いてやがる』→籠池を散々罵倒していたくせに、籠池が安倍総理批判を始めたら、途端に擁護し始めた民進党とそっくりですね。
以上Twitterから。
日本も先制攻撃能力を持たせるためにトマホークの装備が検討されていますがどこまで役に立つものでしょうかね

日本への驚異も上がりましたね。ミサイルの直撃の確率が上がり、大型の核爆弾の搭載で被害が大きくなります。北朝鮮は日本、韓国を盾にアメリカの先制攻撃を抑止していることも考えられます。

当県でも酒田市(の一部ですが)、3月の秋田県男鹿市に続いて2例目のミサイル避難訓練を来月実施することになりました(県知事公式発表)
全く物騒なことになってきましたね。

内容はJアラート発令からいかに強固な建物の地下等に逃げるか・・・はい。それだけですが、まずこういったことを積み上げて行くしかないんでしょうねえ。

 悪いシナリオを描いてみます。

1 アメリカは先制攻撃をする

2 まず、ソウルに向いているという1000門の長距離砲を新型の強い破壊力のある砲弾で攻撃し破壊する

3 と同時にトマホ-クミサイルで軍事施設などを攻撃する

4 そのとき、米軍機は北朝鮮の上空にあり、発射される北朝鮮のミサイル発射点を攻撃する

5 米軍の攻撃から漏れた北朝鮮ミサイルが日本に発射され、大きな被害を与える 

 イヤなシナリオです。アメリカが攻撃をしないとしても、危機状態は継続していくわけですよね。

 北朝鮮の核への執着、韓国の反日、中国の覇権主義(独裁)などがなくなれば、アジアは大きく進歩をすると思うのだが・・・・・・。私たちの悩みは尽きません。アメリカ頼みしかできませんが、日本が核武装をすれば、大きな抑止力を独自で持てるのだろうという私の気持ちには已みがたいものがあります。

 

エントランスさん、金正日の時代だったと思いますが、萩原遼さんが言っていました。国民が飢えて死ぬことなどかれらは、歯牙にもかけない、と。

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