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北朝鮮農業 自作農をつくるしか処方箋はないが

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北朝鮮農業を再生するもっとも近道は、協同農場・国営農場などといった反農業的な組織を段階的にでもいいから解体して、自作農を作ることです。 

これしか手はありません。 

農業を協同化すれば大規模化できるので効率化できるというのは、大きな国土を持つロシアなどではやってやれなくもありませんが、元祖・ソ連すらあのていたらくです。 

あ、その前に日本のJAは個人農の集まった協同組合ですから、一緒にしないで下さいね。 

Stalin_kolkhoz2http://www.tearsdeestrella.com/antistalin/02_jp.ht... ソ連のコルホーズ

私は若い頃恥ずかしいくらい頭デッカチだったので、「農業は協同でやるべし」と思っていたのですな。そのため2つも協同農場を渡り歩いてしまいました。 

効率的に見えて非効率なのです。建前は合議制ですから、細かいことまで議論して取り決め、それに反して自分で考えた工夫を出すと、なぜ決まったことを守らないんだと批判されます。 

夜は連日会議、また会議。農業をしているのか、会議をしているのか分かりません。

後に共同農場をやめて、自分で土地を買い(膨大な借金を作りましたが)自営農家になった時の清々しさは忘れられません。 

自分の眼を信じ、自分が手をいれることでいくらでも工夫改良の余地があるということに新鮮な驚きを感じたものです。 

こういう体験をしてやっと身に染みてわかってのですが、農業は個としての農業者とその家族が、土を愛し、土を育て、家畜と共に時間をかけて作り上げるものなのです。 

大規模化したいなら集団化する必要はありません。私の友人のように個人会社でどんどんと自分の責任で金を都合し、自分の才覚で売るために水田を借りて増やしていけばいいのです。 

協同農場は何カ所も見たことがありますが、往々にして農業道具が汚い場合があります。手入れをしない、放たらかしにしてサビさせて平気です。

 なぜでしょうか。「自分のモノではない」からです。笑っちゃうでしょうが、「誰のものでもない」という共同所有は相互無責任を容易に生み出します。 

収穫物に対してすらそうです。たとえば収穫したばかりのタマネギのコンテナに芯腐りが出たとしますね。 

個人農なら家族をフル動員して、コンテナからシートの上に全部出して一個一個腐敗チェックをします。 

放置すると腐敗は伝播し、気がつかないで出荷すれば、店に着くあたりで腐りが出てクレーム対象になって信用を落すからです。 

もっとも農家と農家が集まって集団化するやり方をするグループもないわけではありませんが、つきものなのはお定まりの主導権争いと金の問題です。 

分裂する時に、これはオレが拠出した、これはオレの金で買った、などというみっともない分捕り合戦になるケースも見たことがあります。 

ヒト・モノ・カネという事業の三大要素は、自分が責任を持つ、成功しても失敗しようと農業者が背負う、これが農業の大原則です。 

古今東西これは不変ではないでしょうか。 現代史上、唯一この大原則に背いたのが共産主義国家でした。

元来、共産主義とはコミュニズム、コミューン主義、直訳すれば「共同体主義」ですからね。

農民に土地を放棄させて集団農場に追い込み、上からノルマを与えて働かせるのですから、ハナからうまくいく道理がありません。 

脳内に赤いモヤがかかっている頭デッカチの思いつきにすぎませんから、必ず失敗します。
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ただ失敗するなら可愛いのですが、共産主義特有の一党独裁・ひとり独裁という政治構造の中の一部ですから始末が悪い。

修正が効かないのです。異議を唱えるのは独裁に対する抵抗とみなされるからです。

おかしいんじゃないか、と言おうものなら、「反党分子」・「人民の敵」として流刑。悪くすれば家族もろとも死刑です。

その上、北朝鮮の独裁者など意図的に飢餓を作り出している節があります。

腹が減っては抵抗できないからです。なまじ食料増産なと許せば、その方法は農民に自分個人の土地(自留地)を認めなければなりません。

ということは、自由を与えて独裁政権を批判する温床を作りかねないわけです。

実際に中国において自作を認めた結果、農民反乱は日常的行事になってしまいました。

いま、中国の民主化運動の火薬庫は、かつてのような学生ではなく、農民階層なのです。

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北朝鮮の「主体思想」は、金一族「白頭山の血脈」に奴隷的服従をすることを、2歳の幼児の時から叩き込みます。

北朝鮮には私たちが考える「自由」という概念自体存在しません。あくまでも国家という有機体の手足の一部となって生きる「自由」があるだけです。

「主体」を持つのは唯一国家であって、それは「無謬の指導者同志」と同一なのです。

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ですから、北朝鮮のいう「主体農業」というのは、農業の一から十までいっさいを国家が管理することです。

アレを作れ、ここに作れ、これだけ作れ、こうして作れと農民に命じます。

本来連作すれば障害がでることが分かりきっているトウモロコシを、土留めもしない段々畑に何十年も連作させたりします。

結果、大雨になれは土砂が斜面を下って、川に流れ込み、川底を浅くして水害を頻発させました。いまや河口から、湾や沿岸部にまで拡がって、遠浅になってしまいました。

すると林業や漁業もダメになります。

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120万人、兵役適齢は17歳から49歳。なんと人口の5%も徴兵するために農村は恒常的若者不足となって、都市の学生や労働者、兵まで田植え稲刈りに一定時期に一斉動員することにてりました。いわゆる「田植え戦闘」です。

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本来、地域ごとに稲の生育状況は微妙にちがいますし、苗の生育状況や植えつける時期も違います。

ましてや稲刈りなど出来かたに1月ていどの幅があることなどザラです。それを一斉に刈ったものだから、未熟米が多く混ざることになりました。

本来そんな判断は、個々の農家が稲と相談して決めればいいことなのです。

繰り返します。北朝鮮農業を再生させ、食料を増産したければ協同農場を解体し、自作農を育てることです。

それしか方法はありませんが、ただしそれを実行すれば金王朝は倒れることになります

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コメント

 今日の記事、まったく賛成です。このようなことはソ連が崩壊する前にもレポ-トされていましたね。個人の耕作地を一部認めたら、ここからの生産が広大なコルホ-ズ、ソホ-ズでの生産よりはるかに単収が良かったというものです。

 北朝鮮の農家には自由に耕作をさせ、農地を私有にした方が良いようです。それはおっしゃるように体制の崩壊に繋がるわけです。

 ところで、中国の農家事情はどうなんでしょうか、キュ-バはどうなんでしょうか、現在のロシアはどうなんでしょうかと次々に疑問が湧いてきます。

 もしも、中国が個人の耕作が完全に認められているのであれば、中国の体制の崩壊も考えられます。規模の大きい中国ですから、こちらの体制崩壊は相当なインパクトがあります。中国では農民の反体制感情が強いということですが、そのあたりの実状も知りたいものです。

 実情を伝えてくれるべき中国マスコミが共産党政府に統制されているのですから実態がこちら日本人に伝わることは非常に少ないですね。西側のマスコミも自由な中国での取材は制限されているのですから、私たちが中国の農業・農家事情を知ることは非常に困難な状況です。

 北朝鮮の農業事情を今朝のフロント記事で知ることとなりましたが、明らかに農業政策が間違っていることが分かります。農業で国民の食料を十分に確保できないでいて、軍事で一流国を目指すなどもっての外です。農家を豊かにし、産業を興し、国全体が豊かになる道がある筈です。北朝鮮は、この常道に戻るべきです。

 北朝鮮の現体制はそのままで良いというのは明らかな過ちです。北朝鮮の体制がまず変わることが重要なんです。それが、北朝鮮国民の幸せにつながると思います。

投稿: ueyonabaru | 2017年5月19日 (金) 11時24分

お久しぶりです。
農業の話が入ると、政治がテーマでもわかり易くなりますね。本日のキーワードは「創意工夫」「権限と責任」そして仕事に対する「リターン」ということでしょうか。

私は現在農業者の端くれですが、以前は東京で工場(工業製品)の生産技術者として働いていました。

今日のテーマは農業、工業を問わず事業をする上で共通する普遍的な内容ではないかと思います。

若いころマルクス主義の洗礼?を受けた私も、ありんくりんさんと同じように、仕事は共同でやり成果は平等に分配すべきだ。個人で利益を追求するのは間違いだ、とかたくなに信じる”正義感”あふれる青年でした。

そんな私の転機となったのは、会社の「改善提案」という、仕事の創意工夫を奨励する制度でした。自分の仕事を効率的にし、ミスを無くすために様々な工夫をします。そして組織をまたぐ仕組み(ルール)に対しても、より良くするために改善案を提案します。

それが評価され、そしてより困難なテーマが与えられたり、より高度な職場に、と変化あふれる会社生活になっていきました。

外で”正義”を振りかざした市民運動や政治活動をやってきたことが、雲をつかむような、空虚なものに思え、次第にこの世界から遠ざかっていきました。

そして管理職になり、「努力が報われる社会」こそが望ましい社会であり、平等という概念自体が自由と対立する概念ではないか、とさえ考えるようになっていったのです。

現代の日本でも、公務員には、このような仕事に対する創意工夫という概念が無いようですね。決まったことを決まったように、でしょうか。ある時役所で、なにげに「そん仕事を定年までやって空しいとは思いませんか」と言ったら、きょとんとしていました。悪いこと言ったかな~と後で反省・・・

ソ連が崩壊したのは経済的に破たんしたからであり、その反省から中国やベトナムなど共産主義政党が支配する国家も、「努力した者がより多くのリターンを得る」という資本主義の仕組みを取り入れるようになったのではないでしょうか。

ありんくりんさんがおっしゃるように、”食わせてなんぼ”が国や政治の役割ですから、北朝鮮がどのような経緯をたどるかわかりませんが、遠からず同じようにならざるをえないと思います。(ここまでもっていること自体が、マカ不思議なこと)

※稀勢の里関はかなりムリしていますね。休場して来場所に備えるべきではないでしょうか

投稿: 九州M | 2017年5月19日 (金) 12時47分

自作農を認めることが、北朝鮮農業に打てる唯一の手段でしょうが、それ自体すでにかなり困難なところまで来ているのではないでしょうか。
治水事業がまともにできていないのが致命的に思えます。
例えば、水害対策と農業用水の確保をかねて溜め池をつくるという習慣は彼らにあるのでしょうか。
私が子供の頃に住んでいた家の近所にはたくさんありました。
中にはへら鮒等の淡水魚の養殖が行われているところも。

北朝鮮の水害は農業政策の失敗によって人為的に引き起こされたものですから、こういう習慣もおそらくはないのでしょうね。
もし農地の私有化が認められ、自作農ができたとしても(可能性は極めて低そうですが)気が遠くなるほど長い道のりになりそうな気がします。
農業のみならず、ほとんどの産業が人海戦術のど素人集団というのでは何をしても非常に厳しいかと。

投稿: 元大阪府民からの伝言 | 2017年5月19日 (金) 23時04分

同じ共産国のベトナムの農業はどうなんでしょうね。ドイモイで大きく変わったのでしょうか

投稿: 中華三振 | 2017年5月20日 (土) 10時52分

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