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2017年5月20日 (土)

「朝鮮のない地球など破壊してしまえばいいのだ」と思う国

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デイリーNK顧問の朴斗鎮氏は、1941年大阪生れの在日朝鮮人研究者として金王朝三代を見てきました。 

朴氏の近著である『揺れる北朝鮮』で、北朝鮮は「崩壊の第2段階」に入ったとみています。

「旧ソ連をはじめとした社会主義陣営の崩壊と1990年代半ばから始まった北朝鮮の大飢饉によって、崩壊への第1段階を迎えた北朝鮮の金氏政権は、その延命を先軍政治に求めたが、金正日の急死による金正恩政権の登場で、過激な恐怖政治が付加されることになり崩壊への他い2段階を迎えている。それは正恩時代に入って急増した北朝鮮高官の亡命者数をみても明らかだ」((同)

そしてこのまま正恩が軌道修正をかけねば、これが最後の局面になるだろうとみています。

「正恩が開放経済に舵を切らず、このまま恐怖政治と核兵器による脅迫外交を続ければ、彼は間違いなく金王朝のラストエンペラーとなるだろう」

朴氏が指摘するとおり、北朝鮮は米中露の大国が干渉し合う地勢学的位置にあるためにそれがいつになるのかは明確には言えませんが、核を放棄しない限りおそらく滅亡することでしょう。

ただし、ひとりで自滅するのではなく、その災厄の渦に周辺国を巻き込みながら。

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米国は先だっての秘密交渉の席上で北朝鮮と以下のことを提案したと言われています。 

①北朝鮮と話しあう用意がある。
②正恩政権を倒すつもりはない。統一は急がない。
③38度線を越えて侵攻するつもりはない。
 

と、ここまでは実にトランプの表面だってのコワモテと違って宥和的ですが、最後にひとつだけその条件がつきます。 

④核兵器を廃棄する。 

北朝鮮代表(いちおう正式ではありませんが、あの国に「民間」などありません)がどのように答えたかはわかりませんが、たぶん米国の要求の①から③までは一致し、④の核兵器保有だけが違ったものと思われます。 

裏返して言えば、「核兵器放棄をしない限り話し合いはしない」ということになります。

それも米国だけそう思っているのではなく、米朝が一致して、同じように考えているようです。 

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これを裏付けたのが、話し合い解決を主張して大統領に当選したムン・ジェイン就任を祝賀するが如く発射された弾道ミサイルでした。 

これは6カ国協議を希望する習-プーチン会談当日にも当たり、あまりにも明確な意志表示です。 

北朝鮮はいかなる各国協議にも、あるいはサシの話し合いにも乗らないということです。 

よく安易に話し合い外交という人がいますが、残念ですがそれが通じる相手ではないし、仮に経済制裁や軍事的圧力、はたまた「田植え戦闘」をさせない干乾し戦略もすべてこの国には通じないのかもしれません。 

なぜなら、民が死ぬこと、民が餓死することなど意に介さない独裁国家だからです。

「金日成はかつて息子の金日正に「米国と戦って勝てるのか」と尋ねたことがあるという。その際、金正日の答えは、「朝鮮のない地球など破壊してしまえばいいのだ」だった」
(朝日新聞ソウル支局長・牧野愛博『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日)

黒井文太郎氏は、『北朝鮮に備える軍事学』の中でこう述べています。

「たとえば、戦争が起きて平壌が火の海となり、金正日がもはやこれまでと観念したとする。この際、生きてサダム・フセインのような醜態を晒すよりも、憎きアメリカになんとか一矢報いて栄光ある最後を遂げたい・・・、と考えるかもしれない。
すると、平壌でこんなやりとりが交わされる可能性が出てくる。
『いまわが共和国の軍にはどのような手段が残っている?』
『はい、将軍様。山中の極秘基地に隠した核搭載ノドンが1基だけ生き残っております。アメリカには届きませんが、在日米軍基地には届きます!』
『よし、それを発射せよ!』

黒井氏の著作時は正日時代でしたが、このシーンの正日を正恩に読み替えてみて下さい。 

状況はむしろある種の戦略家だった正日の手にはなく、堪え性がなく衝動的であり、父より子供じみた残忍性を持つ正恩の手にあります。

このまま状況が停滞して行き詰まった場合、韓国は米国に核武装化を強く働きかけるでしょう。

朝日ソウル支局長の牧野氏は既に韓国が、何回か核武装化を求めていると述べています。(前掲書)

それが現時点では、ニュークリア・シェアリングであることがまだ救いですが、本格的核武装も視野に入れているはずです。

そうなった場合、わが国は周辺国すべてが核保有国になるわけですから、自ずと選択肢は限られてきます。

好と好まざるとに関わらず、我が国も非核3原則の「持ち込ませず」を廃棄しニュークリアシェアリングに向かい、さらには独自核武装の現実的検討に入らねばならなくなるでしょう。

おそらくすべて技術的にクリアして、保有自体は1年以内に完了できるいわゆる「一歩前核武装」も議論の俎上に乗ることになります。

正恩だけで終わることはなく、周辺国すべてに核兵器の暗い影が覆うことになります。

このように核武装は連鎖する性格を持っていることを忘れてはいけません。

■結語を加筆しました。

 

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コメント

私たちは非常に良く注意して、新聞やテレビで発せられる意見に耳を傾ける必要がありますね。
 往々にして「北と話し合え」とか「外交で解決を」とする意見の中には、「北の核保有」を前提として容認しようとする心底が含まれているケースが多いと考えられます。

 
 正恩はこの事態を正しく把握出来ていないのではないか、との不安も大きいです。
米国が「話し合いの用意あり」と発信したり、国際的な場を介して、一服している事の意味を取り違えているような気もします。
トランプの「ロシア疑惑騒動」も、北朝鮮を利する事には全くつながらないのだし。
 
 こうしたボタンの掛け違いが様々な戦争を産んで来ましたが、そもそも正恩には「ボタンをかける穴」が存在しないようでもあります。

金正恩についてですが、軍事にしろ北の内政にしろ、彼の判断だけでやっているのか、疑問です。
母親は西側諸国であるといってもいい日本生まれ、自身もスイス留学の経験もありということで、西側の価値観を持っている人物だと思います。そういう人物があれだけ攻撃的で無謀ともいえる判断が出来るのか、そのあたりが不思議です。

> 状況はむしろある種の戦略家だった正日の手にはなく、堪え性がなく衝動的であり、父より子供じみた残忍性を持つ正恩の手にあります。

 そうなんですよね。困った事態に日本は置かれています。

 やがて、正恩は暴発するでしょう。トランプは敢然とこれを潰しにかかるでしょう。これ以外のシナリオを今は考えられませんね。

 国民からの信頼はなし、農業も産業もダメな状況では、暴発し爆死するしか選択肢はないのだろうと思う。

やもりさん

 不思議なことは他にもあります。沖縄にある主体思想研究会でしたか親北グル-プがありますね、これも不思議なものです。金正恩の誕生日にはお祝いのパ-ティ-を毎年行っているようです。メンバ-は元社大党委員長島袋宗康氏ほか有名な方々がいるそうですよ。不思議です。日本の新聞社の偏向も不思議なものですね。どうしてそれほどまでに偏向できるのか不思議です。日本政府が防衛力を増やさないのも不思議ですね。世の中不思議だらけです。

ueyonabaruさん

>沖縄にある主体思想研究会でしたか親北グル-プがありますね、これも不思議なものです←←←

自由の国、日本の中の沖縄にいて北に親しみを感じてるんだから、ほんと不思議ですよね。謎です。

やもりさん、ueyonabaruさん。
自由の国で身の安全を保証されながら、理想を純化して唱え続けることで自らを養い社会的地位も確保し、少数派とはいえ結構な人数の群でステイタスを得られ、しかも気持ちよく熱いまま天寿を全うした人達もいますね。
そんなの文頭の自由の保証がない限り、実現しないんです。

誤解を生みそうな書き方になってしまいましたが、私はその自由が第一義で異論や論議の根っこだと思っているのです。
朝鮮のない地球は壊していい、という考えと、理想の為に日本を壊そうとする日本人(外国人工作員ではありません)の心根には、嫌悪感しか感じません。

やもりさん、ueyonabaruさん

 沖縄の主体思想研究会や親北グループの存在は、おっしゃるとおり不思議なものですね。
ですが、「思想信条の自由」も「言論の自由」も、必ず全幅的に担保される必要があるので、これを直接的に禁止する事は私ですら反対です。

 そうではなくて、拉致に関わり、北へ違法な送金をし続けてき、今なお様々な方法で金正恩を助ける「朝鮮総連」を違法化すべきなのです。
(副次的効果として日本国内の主体思想研究会など親北団体は、致命的な打撃を被るでしょう。)
 安倍政権たりともそれをしない・出来ないばかりか、限りなく違法に近い競売抜け穴方式により北の違法窓口としての総連本部の存在をも追認している有様です。

 我那覇氏らもそうですが、保守派と言われる人たちの主張それ自体はいいのですが、運動の持って行き先が誤っているのですよ。
安倍首相は権力者で、日本で最高位の為政者です。
 保守派は全体的に「お人好しのおバカさん」なので、どうしても安倍内閣が愛おしいあまり、これを保守派の視点から擁護する事に終始し、今の政府が肝心要のやるべき事をおざなりにしている事実を默過してしまう傾向にある事は非常に残念です。
 

山路さん

> 保守派は全体的に「お人好しのおバカさん」なので、どうしても安倍内閣が愛おしいあまり、これを保守派の視点から擁護する事に終始し、今の政府が肝心要のやるべき事をおざなりにしている事実を默過してしまう傾向にある事は非常に残念です。

 ここは、真っ当な批判ですね。賛成です。

ふゆみさん、山路さん
わたしの長年の不思議点への回答、ありがとうございます。

山路さんの最後のコメにある内容も、実はずーーーとあたまの中でぐるぐるしていまして、この点が安倍政権ならびに保守派に対する不満です。

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