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2017年6月

口蹄疫対処 英国の叡知 日本の無能

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前川喜平氏が言いたかったことは「行政が歪められた」ということです。あと色々と言っていますが、無視してかまいません。 

前川氏の怨念は、官僚主権で取り仕切ってきた行政が、政治家によって「歪められた」という一点から発しています。 

前川氏自身、朝日のように「首相がお友達を優遇した」とは思っていないはずです。

ただ、そう言っておけば俗耳に入りやすいので、メディアがヨダレを流して飛びつくと思って言っただけです。

この記者会見を聞いた竹中平蔵氏の発言です。

「最初から最後まで極めて違和感がある。今回の決定プロセスには1点の曇りもない」「『行政がゆがめられた』と言っているが、『あなたたちが52年間も獣医学部の設置申請さえも認めず行政をゆがめてきたのでしょう』と言いたい。それを国家戦略特区という枠組みで正したのだ。
2016年3月までに結論を出すと約束したのに約束を果たさず、『早くしろ』と申し上げたことを『圧力だ』というのは違う」

同じく特区諮問会議の座長を務めた、大阪大学名誉教授・八田達夫氏もこう述べています。

「獣医学部の規制は既得権による岩盤規制の見本のようなものであり、どこかでやらなければいけないと思っていた。『1つやればあとはいくつもできる』というのが特区の原理で、1校目は非常に早くできることが必要だった」

まぁ、今回の獣医学部新設についてはそのとおりですが、私はひとつひとつ吟味していかねばならないと思っています。 

200を越える規制改革メニューにも必要なものと、やっては危険なものが混在しているはずですから、是々非々て見ていかねばなりません。 

さて、規制緩和は利権の温床となっている旧態依然とした制度を、より柔軟に変えていこうとするものですから、当然「壊した後」のことも考えていかねばなりません。 

ではなんでも規制緩和してしまって、民間の市場原理に任せればいいのかといえば、私はまったく違うと思っています。 

民間ではできないこと、地方自治体では力量不足なことを、国が国家的リソースを注いで対処していくべき案件も多いはずです。 

その代表的事例が、口蹄疫やトリインフルエンザなどにみられる新型感染症や国境を越えて侵入してくる伝染病なのです。 

国が越境型伝染病や新型感染症を徹底して「国の仕事」と認識して、そのシステムを作り上げた国があります。それが英国です。 

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 NHKクローズアップ現代2010年6月7日放映より引用(以下同じ) 

英国の口蹄疫対策が日本と決定的に違うのは、これを安全保障上の問題として認識していることです。 

上の写真は英国の口蹄疫対処マニュアルですが、この冊子の中で英国は口蹄疫と確認された後のフローを明確にしています。 

まず通報を受けた英国農務省(デフラ/DEFRA/英国環境・食糧・農村地域省)は、関係省庁である家畜衛生局、保健省、外務省、そして首相官邸など30箇所以上の組織に電話で連絡をとります。 

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農務省が保健省を呼ぶのは、新型感染症においては人間にも健康被害がでる可能性かあるので分かりますが、官邸と外務省までもが招集されていることに注目してください。 

また当然、国防省や警察も連絡官を派遣していると思われます。 

これを見ると、英国はしょせん家畜のことだと見くびらずに、国の安全保障上の<脅威>だと認識しています。 

つまり英国は越境型伝染病は、「外敵の侵略」だと考えているわけです。

だからこそ、国家が自らのリソースを全力動員して、初期に制圧しようとしているわけです。 

一方、日本の宮崎口蹄疫事件においては、動物衛生研究所で口蹄疫が確認された段階で、通報を受けたのは県と農水省消費・安全局のふたつだけです。 

もちろん首相官邸にも、ましてや厚労省や防衛省、警察庁などは初めからカヤの外でした。 

ハト首相などは「県外」で頭が一杯でまったくの無関心、農水大臣は赤松氏というゴチック活字の無能な人物だったせいもありますが、後に30万頭を殺すことになる口蹄疫対策の初動としては、お粗末を通り越して絶望の一語に尽きました。

ちなみに公平を期すために言い添えますが、同じ民主党政権でも赤松氏の後任の山田正彦氏や篠原孝副大臣は極めて優秀な人材で、彼らがいなければ制圧ははるか後までズレ込んだはずです。

それはさておき、ここでも農水官僚たちはセクト主義をいかんなく発揮します。

口蹄疫は農水事案だから、当然のこととしてオレら農水が権限を持っている、他の省庁などにクチバシを突っ込ませるものか、ということです。

だから情報をひとつの省で抱え込んで平気なのです。

そして官僚からすれば、大臣など「腰掛けでいるお客」にすぎませんから、4月20日に口蹄疫を確認しておきながら、なんとその8日後の28日には赤松大臣は半分レジャーのカリブ海外遊に出発してしまっています(苦笑)。

特に英国を引き合いに出すまでもなく、行く大臣も大臣ですが、行かせた農水官僚も官僚です。彼らの脳味噌には腐ったヘドロが詰まっているようです。

かくして、口蹄疫を封じ込めるための国道や空港の消毒体制作りなどの管理統制の権限を持つ国交省は、「オレの権限事案じゃないもんね」と知らぬ顔を決め込んでいたようです。

ましてや、後に殺処分で動員される自衛隊など、カヤの外も外でした。

その上に、当時の家畜伝染予防法(家伝法)では、防疫の要となる殺処分の権限は県知事にあって、東国原知事は頑としてその権限を握って離さずに国と張り合って遅らせる始末ですから、目も当てられません。

このような状況を、国家の機能不全と呼びます。

昨日私は「防疫軍」と書いて驚かせてしまったようですが、英国の対処方法はまさに「軍事行動」を彷彿とさせるものです。

長くなりますので、次回に続けます。

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「防疫防衛軍」を作るには

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現役獣医師のHN「一宮崎人」さんからご意見を頂戴しました。

「獣医療教育の国際標準化についても同じようなことが言えると思います。獣医療教育に限らず教育や研究というものが、規制緩和自由化にそぐわないのではないでしょうか?
獣医療教育を例にとれば、今回の騒動で言われる獣医療には、単に愛玩動物に対する獣医療だけでなく、産業動物や公衆衛生という、国民の生活の安全に直接的に関係してくる分野がり、尚且つ、その分野の国際標準化が今求められているということです。
そのような分野を担う獣医療教育を全くの市場原理に委ねて良いのでしょうか?市場原理の究極は「悪貨は良貨を駆逐する」です。
極論を言えば、箸にも棒にもかからない獣医師を大量生産するかもしれないという危険が存在するのではないでしょうか?
そのような事態にならないため、また、求められる国際標準の獣医師を養成するためには、その分野に国策として資金をつぎ込んだほうがよっぽどましなような気がします」

これはおそらく私の昨日の記事の、この部分に対する批判だと思います。

「WG会議でも民間委員が発言しているように、獣医師が増えすぎたり、クォリティが落ちてきたら国家試験で絞り込めばいいだけです。
また増えすぎたなら、就職が難しくなって志願者が減るという市場機能が働くのであって、そもそも大元の養成機関の増減でいじり回す性質のものではないのです」

Photo_22010年6月、宮崎口蹄疫における殺処分された牛の埋却作業 

一宮崎人さんとは、2010年の宮崎口蹄疫事件からの古いおつきあいとなります。

常連コメンターの中であの惨状を同時進行で共有したのは、あとは「山形」氏くらいでしょうか。 

もちろん私と山形氏は応援団にすぎませんでしたので、一宮崎人さんの宮崎現地での苛烈な体験とは比較するのが愚かですが。 

誤解があるようです。私の舌足らずのために獣医師・防疫分野を全面的に規制緩和しろとお読みになったのだと思います。  

だとするなら、それは違います。 

私はその後段でも書いていますが、国民の生命・生活に直結する分野についての規制緩和は慎重にあるべきで、郵政民営化や電力自由化、高速道路民営化、あるいはバス参入の規制緩和のような、同じ失敗の轍を踏んではならないと考えています。 

では、獣医師分野についてはどうでしょうか。 

私は切り分けて考えるべきだと思っています。 

私自身はトリインフルエンザによる移動禁止区域が、首の皮一枚の距離まで来るという戒厳令下の状況を経験しています。 

その時、殺処分というつらく重い任務を遂行した多くの自衛隊員の姿を見てきました。彼らは暑苦しい防護衣を着て黙々と誰もやりたがらない殺処分を行いました。 

ではその時に、家畜衛生保健所(家保)の公務員獣医師はどうしていたのでしょうか。もちろん現場で汗みどろになって奮闘していました。

議事録の中で農水省と文科省は「獣医師の需給は下がっている」と、シャラっと言ってのけています。

耳を疑います。こういうズレきった感覚の者たちが、防疫体制の根幹である獣医師の数量を握ってきたのですから啞然とします。

それはあくまでも何も起きていない、海外悪性伝染病がなにひとつ越境して来ない「平時」においての話にすぎません。

ところが現実には、毎年のようにトリインフルエンザは全国各地で大発生しているのです。

防疫の暗黒大陸と暗黒半島が隣国にある限り 、この脅威から我が国は逃れることはできません。

そしていったん「有事」ともなれば、必要なのは専門職の「手」です。圧倒的に制圧する専門家の人数です。それが致命的に足りないのです。 

今話題となっている愛媛県など、産業系獣医師の数が家保・共済系合わせてわずか401人、高知県はその半分の247人にすぎません。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/140819siryou05_2.pdf#search=%27%E8%8C%A8%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E5%85%AC%E5%8B%99%E5%93%A1%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E6%95%B0%27 

その上この緊急時にも、獣医師全員を処分現場に投入するわけにはいきません。

同時並行で、どこまで感染が拡大したのかを調べる発生動向調査(サーベイランス)も継続せねばならないし、他の地域も危険が迫っている状況下でガラ空きにできないからです。 

下のグラフは宮崎口蹄疫の感染拡大の状況です。恐ろしいスピードで感染拡大しているのがわかるでしょう。 

発生が確認された4月23日からわずか1カ月で宮崎県東部を多い尽くし、最終的に殺処分総数29万7808頭、畜産関連の損失は1400億円、関連損失950億円が発生しました。 

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 この最大の原因は、初期制圧の失敗です。伝染病は待ったなしで出た瞬間に、徹底的に制圧してしまわねばなりません。 

初動制圧に失敗すると、人や自動車の移動によって瞬く間にウイルスは各地に飛び火して手がつけられなくなるからです。

いわば力でウイルスをねじ伏せるしか手がないのです。(ほんとうはワクチンがありますが、とりあえず置きます) 

宮崎口蹄疫は、初動制圧の鍵となる殺処分に投入できる獣医師が決定的に不足した上に、ポピュリスト知事による国との交渉で、さらに遅れてしまいました。 

大型動物である牛・豚を扱い馴れた獣医師は少なくなる一方であり、動員された県職員に至っては家畜に触ることすら初めのズブの素人だったのです。

県職員が逃げた豚を追いかける動画も残っています。

宮崎県では、家保獣医師と民間獣医師たちが文字どおり全国から駆けつけて殺処分に協力し、宮崎県東部でウイルスを封じ込めたのでした。 

これがわが国の現状です。そしていまだこの状況は、根本的にはなんの改善もありません。

そして今や海外悪性伝染病に対処する初動制圧任務は、「災害派遣」という名で自衛隊の存在を初めから当て込むのが当然のようになってしまっています。 

Photo_32016年11月、青森県で派生したトリインフル殺処分に出動した自衛隊
http://www.sankei.com/photo/story/news/161129/sty1...

こんな状況で、越境型海外悪性伝染病や新型人獣共通感染症をからわが国を守れるでしょうか? 

いわば「防疫防衛軍」のような産業系獣医師数が偏在し、不足している県が大部分を占めるような現況では、まったく無理です。

仮に産業系獣医師を「防疫防衛軍」にたとえるなら、獣医師は語弊がある表現ですが「兵隊」なのです。

一宮崎人さんとsnsnさんが指摘する「国際水準の獣医師」育成以前に、「兵隊」が足りない現状をまず変えねばなりません。

伝染病発生有事において、初発付近を中心として、サーベイランスをしらみ潰しに行い、消毒ポイントを設置し、地域を封鎖して、こと次第では直ちに殺処分に移ることが可能な「兵隊」がいるのです。

そのためには、産業系獣医師の補強が前提であって、その上に立って「国際水準の獣医師」をどのように育成していくのかというより高次のテーマに移るのではないかと思っています。

もちろんこれは、どちらが先ということではなく、同時並行的に政策されるべきなのはいうまでもありません。

とまれ、「防疫防衛軍」の「兵士」も、先進国並の国際水準の獣医師の育成も共にネグレクトしてきた日本獣医師会と文科省の罪は、犯罪的だとすら考えています。

その意味で、私は獣医師分野の規制緩和は「必要な規制緩和」だと思っています。

多い少ないというのは、求人状況がバランスするのであって、クォリティについては今までどおり国家試験で淘汰すればいいと思っています。

弁護士が劣化したのは、司法試験を簡単にした結果にすぎませんでした。

一宮崎人さんが危惧する、「悪貨が良貨を駆逐する」ような状況ならば、国家試験で締めればいいのではないでしょうか。 

さて私が海外悪性伝染病が起きるたびにいつも感じるのは、「国家の不在」でした。

なぜ国が主導する伝染病制圧体制を作らないのか、なぜ国が動物衛生研究所(動衛研)だけではなく、感染症ウィルス研究に国策リソースを投入しないのでしょうか。

長くなりましたので、これについては次回に回します。

 

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snsn氏寄稿 加計問題を俯瞰して その3 朝日の歪んだ正義と統帥権

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snsnさんの連載最終回です。ご苦労様でした。 

今回はメディアと歴史問題にまで踏み込んで分析されています。またぜひ寄稿ください。お待ちしております。 

さて、ネトウヨハンターさんの「獣医学部新設について納得がいかない」という質問に答えようと思ったのですか、皆さんが寄ってたかって(笑)回答されてしまったのでもう少し大枠を考えてみます。 

獣医学部が新設されて、教員が足りなくなるのはどなたかが答えていましたが、そもそも獣医学部が少ないために専門職員が不足しているからで、原因と結果が逆になっています。 

獣医師は偏在が激しく、一口に多い少ないとは言えません。また獣医といっても、大都市圏の獣医の多くは犬猫獣医です。 

分野別の獣医師はこのようになります。 

●獣医師総数に対する分野別分布
・獣医師総数          ・・・38,293人
・国家公務員          ・・・505
・都道府県職員         ・・・6981
・市町村職員          ・・・1823
・民間・団体職員        ・・・7585
・個人診療施設(犬猫病院等)・・・16659
・獣医事に従事しないもの  ・・・4509
 

・公務員系(家保など)の比率・・・24%
・民間団体系(共済など)   ・・・19%
・犬猫系             ・・・43%

 圧倒的に犬猫系が多いのがわかります。公務員系はその半分弱となっています。

次に獣医師の地域別分布をみます。

●人口1万人あたりの獣医師数
・1位鹿児島県・・・6.42人
・2位北海道 ・・・6.05人
・3位宮崎   ・・・5.76人
・26位愛媛県・・・2.83人

上位はすべて大畜産県が独占しています。今、話題となっている愛媛はドンっと下がって29位でした。 

グラフにするとこのようになります。 

Photo
http://todo-ran.com/t/kiji/16357 

愛媛県が薄い緑色で獣医師が不足している地域で、全国的に不足している地域のほうが圧倒的に多いことがわかります。 

ですから、WG議事録の中でも農水省や文科省の官僚が「獣医は足りている」というような発言をしていますが、それは「足りている地域もある」と言い直さねばなりません。

ましてや朝日のように、「杉並のペット獣医は獣医学部新設に困り顔」などという報道が、いかにトンチンカンかお分かりになると思います。

しかし、この偏在ぶりに眼をつぶってベタに「獣医師は増やさない」としてきたのが、獣医師行政でした。 

そしてその大元の獣医養成を握っていたのが、なんと畑違いの文科省だったわけです。 

ですから、私はこの加計騒動は、文科省問題であっていみじくも民間委員が指摘したとおりだと思っています。 

「○本間委員 (略)要するに獣医師が増えるか増えないかということは文部省のマターではないということです」
(2016年9月16日・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)のヒアリング議事録)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

WG会議でも民間委員が発言しているように、獣医師が増えすぎたり、クォリティが落ちてきたら国家試験で絞り込めばいいだけです。

また増えすぎたなら、就職が難しくなって志願者が減るという市場機能か働くのであって、そもそも大元の養成機関の増減でいじり回す性質のものではないのです。

しかも畜産についてなにも知らない門外漢の文科省ごときが!

ネトウヨハンターさんはそこは分かっていてこう述べています。 

「産業獣医師が不足している現状は確かだと思いますが、そもそも産業獣医師不足の原因は供給不足ではなく待遇にあると私は考えています」 

まぁそのとおりですが、公務員系の獣医師の待遇を決定するのは一宮崎人さんがいうように財務省が決定することです。 

共済なども公務員に準じるために、結局これはも財務省マターとなります。 

今問題となっている保育士や介護士と並んで、こういうところでテコ入れしていかないと、なり手がなくります。 

財務省を動かす強い政治力が必要となります。

こういうところまで踏み込んで野党は追及しているわけではなく、産業系獣医師や公務員獣医がなぜ不足するのか、そのためにはどのような政策が必要なのか、触れようともしません。 

民進党は、政府に産業系獣医師の待遇を改善しろと要求するならともかく、「加計理事長はアベのお友達。全国の特区を廃止しろ」と叫びながら、テレビを引き連れて官邸に乗り込むのですから、もう馬鹿丸出しとしか言いようがありません。 

もう一点。テレビ朝日系早朝の「スーパーモーニング」で、こんな珍妙なやりとりがあったそうです。 

「安倍首相が講演で、加計学園問題の反省を踏まえて「獣医学部は地域に関係なくどんどん新設を認めていく」などと発言したそうだ。
   「これまで積み上げた説明が根底からひっくり返ります」「もう、言ってることがめちゃくちゃですね。どうしちゃったのか」(羽鳥慎一キャスター)
「たぶん、(安倍首相は)矛盾に気付いてらっしゃらないんじゃないか」「そもそも、『総理大臣が指示を出したって、そんなことでは決まりません』とおっしゃってた。ところが、思いっきり(新設をどんどん認めると)指示、出してる。総理大臣として指示出して、決めてるじゃないですか。ということは、総理の意向で決められないと言ってたのと矛盾してるんですよ」(「モーニングショー」コメンテーターでテレビ朝日解説委員の玉川徹)」
(Jcastニュース6月27日)
https://www.j-cast.com/tv/2017/06/27301698.html

この人たち、心の底から阿呆かと思いましたね。なにが「根底からひっくりかえる」ですかヒックリかえるのは私たちのほうです。 

この連中がここまでなにひとつ戦略特区の意味と位置づけを勉強せずに、加計問題を「追及」してきたのがバレましたね。

こんなレベルの解説員に「解説」してもらう視聴者が気の毒です。 

国家戦略特区というのは、初めから全国展開をするためのただの「突破口」にすぎません。 

それは平成26年(2014年)2月25日に閣議決定された時点で明確にされています。

国家戦略特別区域基本方針
②規制の特例措置の追加に関する基本的考え方
(新たな規制の特例措置の追加)
「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」に盛り込まれた規制・制度改革事項は、あくまでも当面実施すべき項目が盛り込まれたに過ぎず、以下に定めるところによって、追加の規制の特例措置の検討をスピード感をもって進め、確実に実現につなげていくものとする。
当該検討に際しては、国家戦略特区における規制の特例措置として検討すべきもののほか、法第38 条第1項の規定に準じて構造改革特区制度の提案として検討すべきもの、また、全国規模の規制・制度改革として規制改革会議等との連携により検討すべきもの等の分類も併せて実施することで、規制・制度改革の実現に向けた選択肢を広げ、実現の可能性を高めていく。
(略)
規制所管府省庁がこれらの規制・制度改革が困難と判断する場合には、当該規制所管府省庁において正当な理由の説明を適切に行うこととする。
これらの調査審議等の結果、講ずることとされた規制の特例措置については、この章
(第五)に適宜反映していくものとし、速やかに措置することとする」

初めから政府は、ここに今ある特別区のメニューは単に「規制・制度改革事項は、あくまでも当面実施すべき項目が盛り込まれたに過ぎない」と断言しているわけです。 

そのために全国規模の規制改革会議と連携して、「スピード感をもって」実現に努力しろ、と述べています。 

ですから石破氏のように特区担当相でありながら、文科省と獣医師会に敗北して、既得権団体の主張を丸飲みしたような「4条件」など作ること自体がおかしいのです。 

ですから今回、首相が「獣医学部は地域に関係なくどんどん新設を認めていく」という発言は、当初の閣議決定に従っただけにすぎません。

念のために付け加えておきますが、私はなにがなんでも全面的に規制緩和することが善だとはまったく思っていません。

バスの転落事故にみられるような新規参入枠拡大などに典型ですが、安全を度外視した規制緩和は間違いです。

人命に関わるインフラ関連や生活インフラの規制緩和は、慎重に慎重を期さねばなりません。

その意味で、電力の自由化は、「不必要な規制改革」でした。
関連記事全13回http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-4b64.html

また規制改革の元祖である郵政改革もまったく不要だと思っています。
関連記事全4回http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/24-881d.html

このふたつに関してはシリーズ記事にしていますので、よろしかったらご覧になって下さい。

ですから特別区のメニューについても、全部反対、全部賛成ではなく、是々非々でひとつひとつ丁寧に検証する必要があります。

その上に立って、今治市の加速計画獣医学部新設は、「必要な規制緩和」だと私は考えています。

いまのようなメディアの言いがかり同然の「疑惑追及」によって、かえって規制緩和の本質が見えなくなってしまったことが問題でのです。

そうそう、電波媒体なんか目に余る特権的寡占ですので、大いに「必要な規制緩和」をしてくださいね。

                      ~~~~  

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               ■加計問題を俯瞰して その3
                                      snsn  
 

承前                                                                         

 (4)統帥権干犯問題と国体明徴声明
最後に、戦前の時局との比較を論じたいと思います。
 

1930年ロンドン海軍軍縮条約に調印した浜口内閣に対し、軍拡を志向していた野党及び軍部官僚が天皇の統帥権を盾に政治家を恫喝しました。 

メディアがそれを煽り立てたのはいうまでもありません。 

統帥権を持ち出され政治家が何も言えなくなった事、そして山路さんの緻密な分析通りメディア(特に朝日)の戦争への扇動、その後の悲劇は言うまでもありませんね。

僕は今の日本は戦前の「統帥権干犯問題」の頃に戻ったような雰囲気を感じます。
 

その象徴が朝日系”左派"知識人内田樹氏の「天皇主義者宣言」です。野党(左派)が天皇を担ぎ出したら危ない・・・。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12995417.html
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http://www.asahi.com/articles/DA3S12995417.html>

また当時「国体明徴声明」がありました。これは国家の統治権は天皇にあると立憲政友会、軍部、右翼が主張した事件です。
 

これにより岡田内閣は退陣し以降軍部の独走が始まるわけです。 

もちろん現在の憲法下では天皇に統帥権はありませんので同様の危機は来ないかもしれません、しかし歴史とは一見異なる外観を備えつつも本質は変わらないものが反復するのです。

現在、朝日新聞や野党が担いでいる”統帥権”に相当するものは”歪んだ正義”です。困ったことに朝日も野党も正義の行動を実行していると思い込んでいます。
 

全ては善意なのです「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉どおり歪んだ正義ほど怖いものはない。(マルクスには感心しませんが、この言葉を「資本論」に書き込んだ点は鋭いと思います) 

”歪んだ正義”を盾に政治家を黙らせること、、これはまさに現代の「統帥権干犯問題」であり、現代の「国体明徴声明」なのです。

大正デモクラシー以降現在まで何度も繰り返されていますが、政党政治への不信感、政治の腐敗は確かに存在します。
 

政党内の首相の不透明な選出は果たして民意を反映しているのか、贈収賄に関する数々の疑惑、世襲制、国益よりも党益重視などなど・・・。
その都度政党政治をメタレヴェルで<超越する存在>が要請されてきました、そしてメディアメディアがそれを煽ることで国民を誘導してきました。
 

あるいは全てを破壊するような革命思想が台頭してきました。 

繰り返しますが、確かに政党政治への不信感、政治の腐敗は確かに存在します。信託を受けたエージェントとしてまともに機能しないことも多々あります。 

正しく民意の反映されている選挙制度なのかという疑問もありますし僕も基本的には政治家には批判的です。 

しかしながら、だからと言ってメタレヴェルの<超越する存在>の要請や、破壊思想が正しいのでしょうか?ではその<超越者>の無謬性を我々はどうやって検証すればいいのでしょうか?

安易にメタレヴェルの<超越する存在>を要請するところから本当のファシズムが始まります。
 

あるいは全てを破壊するような革命思想による大粛清が始まります。 

その意味では極右思想と極左思想は同根なのです。

加計騒動の動きを見ていると、民主的憲法を否定しているのはむしろ朝日新聞的メディアなのです。なぜなら選挙で選ばれた
国民のエージェントである政治家ではなく官僚やメディアを信頼しろ=統帥権は我にありというわけですから・・・。

僕としては、数々の欠陥を抱えながらも<国民主権による民主主義>を市民として守るしかないと思っています。
 

そしてその欠陥は政権を論理的に批判しつつ一歩一歩改良するしかないのです。

以上長文失礼しました。
 

                                           (了)

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snsn氏寄稿 加計問題を俯瞰して その2 忖度の犯罪化という暴挙

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snsn氏寄稿の2回目です。

朝日・民進・前川連合が大同小異のクズ文書や加計への補助金がどーしたの、萩生田副官房長官の加計学園系列の千葉科学の客員教授がからどーだと、手数が多い割にどうでもいい周辺爆撃に没頭している間に、国民は徐々にこの事件の本質に迫りつつあります。 

ひとつは、高橋洋一氏や長谷川幸洋によって、文科省が獣医学部・医学部などに対して法律によらない新規参入をブロックしてきた手法が明らかになったことです。
謝辞・長谷川幸洋『加計騒動・やっぱり官邸より文科省の方がよっぽど「問題アリ」』http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52105 

それは省の「告示」です。 

2016年9月16日・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)のヒアリング議事録http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

「○浅野課長(文部科学省高等教育局専門教育課長) 資料3につきましても御説明させていただいておりますが、この設置等に係る認可の基準という文部科学省の告示の第1条第4号の中で、この獣医師の養成に係る大学等の設置もしくは主要定員増は除外されているということでございます。」 

「○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかるべく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。 

○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやるから文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得ないでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するということが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何もないでしょう。 

○浅野課長 ただ、獣医学部を出た卒業生は、獣医師国家試験の受験資格が与えられますので、当然そこの需給の問題というのはかかわってくる。 

○八田座長 それは先ほど本間先生がおっしゃったように、その能力があるかどうかを検査すべきで、そこで仮に数が多過ぎて競争によってだめな獣医師が退出して、優秀な獣医師に置きかえられるのは大いに歓迎するべきことです。 

「○本間委員 私も全く同じこと。繰り返しになりますけれども、要するに獣医師が増えるか増えないかということは文部省のマターではないということです」

笑えることには、こういう諮問会議WG最終局面でもなお、文科省は「文科省だけでは決められない」と農水省に需給予測を振っています。

ところが気の毒にも、当の農水省磯貝課長からこんなことを言われる始末です。

「○磯貝課長(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長) 農水省のほうとしては、大学・学部を新設されたいということに対しては、特段コメントをする立場にはないと思っております」

孤立無援・四面楚歌。ガラガラガラ、グァシャーン (←農水省権益城壁崩壊の音)

ここで浅野文科省課長が言っている「(大学・大学院・短期大学及び高等専門学校の)設置等に係る認可の基準に関わる文科省告示・第1条第4号」は、なにか堅牢な法律のように見えますが、法令ではありません。
筑波大学法科大学院非常勤講吉田利宏
http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201209_11.pdf 

「簡単にいえば、告示は「国民へのお知らせ」です。お知らせに過ぎないために一般的には法令ではないと考えられています」 

これは文科省・大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準 に記されています。http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/10/27/1260236_1.pdf

第1条4項 歯科医師、獣医師及び船舶職員の養成に係る大学等の設置若しくは収容定員増又は医師の養成に係る大学等の設置でないこと。」

はい、ここで文科省は獣医師の定員または増員について許認可は、オレのものだと言っているわけです。

しかも法律ではなく、国民の主権行使たる立法府にも、行政府たる政府にも通さないで済む一省庁の内々の「お達し」一本を使ってですから、まさに官僚の裏技を見た思いです。

この「お達し」ひとつで、実に52年間にわたって文科省は獣医師・歯科医師・船舶職員の「定員」を決定する許認可権限を握ってきたというわけです。 

またこれは、日本獣医師会の要請によるものだということも明らかになっています。

■特区民間議員 獣医学部1校限定は獣医師会の要望
NHK
6月26日

国家戦略特区での獣医学部新設に関連し、新設の決定に関わった諮問会議の民間議員らが26日夜、記者会見し、新設校を1校に限ったのは、日本獣医師会の要望を踏まえたものだと強調しました。また同席した自治体の長らは、規制緩和を進めるうえで国家戦略特区の意義は極めて大きいとして、制度への理解を求めました。
この中で、民間議員を務める、大阪大学の八田達夫名誉教授は獣医学部の新設について、「あくまで提案したところはどこでも適用できるような条件でやるというのが元来の趣旨だ。ところが、既得権側がさまざまな条件を付けてきた」と述べました。

そのうえで、八田氏は「最後に『1校だけに限る』ということを獣医師会が山本地方創生担当大臣に申し入れ。『これをやらなければ何もできないかもしれない』というふうに判断し、引き受けたというのが状況だ。1か所でできれば、ほかのどこでもできるという原則をまげたのは、むしろ獣医師会の側ではないか」と述べ、新設校を1校に限ったのは日本獣医師会の要望を踏まえたものだと強調しました。
また、特区に指定されている福岡市の高島宗一郎市長は「時代に合わなくなった岩盤規制に自治体や事業者の提案を起点としてスピード感を持って穴をあけ、全国に広げていくつもりでわれわれはチャレンジしている」と述べました。

そのうえで、高島市長は「国家戦略特区の意義は極めて大きい。政府には、地方自治体のためにも、そして日本経済のためにも国家戦略特区の取り組みをさらに推進してほしい」と述べました」

まさに典型的な官-業癒着です。

この傑作なやりとりを戯画化したものがあったので貼っておきます。笑えます。https://twitter.com/mouicchaushi/status/878789506333237248

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これが前川氏が「歪められた」と告発した、「公正公平であるべき行政」の実態です。

この官-業界癒着の重要パーツである組織的天下り斡旋の最高指揮官こそが前川喜平氏でした。

コラムニストの松尾貴史氏が、前川氏を「天下り斡旋を“人助け”と言い逃れをしている下衆官僚」(2月10日)と罵倒しているのはまったく正解です。

ところか6月24日になると急に、「どこを切っても人格者、官僚の鑑」というのは、リベラルの二枚舌がわかって実にすんばらしい。

ついでに民進党の阿部知子議員が、「前川氏を民進党首に」と叫んでいるのも、これまた実にすんばらしい。https://twitter.com/abe_tomoko?lang=ja

ぜひ実現してください。貴党にはまことにお似合いの党首キャラです。

すると幹事長は古賀茂明氏、ネクスト経産相は植草一秀氏、ネクスト外相は天木直人氏といった豪華なルサンチマン・ブラザースで決まりかな(笑)。

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              ■加計問題を俯瞰して その2
                                          snsn

承前

(2)官僚主導への逆コース

基本思想として官僚主導の流れに戻したい一群の人々がいます。今の日本の空気感は実に奇妙ですね、前川氏がヒーローのようになっている。 

僕は前川擁護の言説、特に左派知識人の言説を見てひっくり返りそうになりました。 

ちょっと前でしたら天下り斡旋について、あるいは震災時の大川小学校の犠牲者遺族の気持ちを踏みにじる行為など批判されてしかるべき人物です。
http://japan-newsforest.com/domestic-news/maekawa-izoku-haijyo170609/ <http://japan-newsforest.com/domestic-news/maekawa-izoku-haijyo170609/>

なお本稿では官僚に厳しいことを言いますが、もちろん官僚の良い面も理解しています。

なんだかんだ言って戦後高度成長を支えた有能さは評価に値するでしょうし、今でも国益を考え行動する官僚も多くいるでしょう。

しかしながら前川氏のような退官後に反逆国士気取りで虚言を弄し政局を混乱させるようなマネはそう言った優秀な官僚へも悪影響を与えると思います。

基本的に官僚の事務次官も新聞社の社長も我々市民は選挙で選ぶこともできないし、暴走したら落選させることもできない。

なぜそのような民主主義の原則に反する一群が国を動かそうとしているのか実に不気味です。

果たして人々は自分たちが選んだエージェント=政治家ではなく、自分たちが選べない官僚、メディアを信じられるのでしょうか?

今回の騒動で野党にはほとんど力がないことがわかりました、本質的に力があるのは朝日新聞などメディアと、自民党内の財務省派(石破、麻生)です。

石破が「大臣が変わるとなぜこんなに進むのか?」とポロっとこぼしましたね、また反アベノミクス勉強会に公然と自民党議員が大量参加しています。

そろそろ自民党内の安倍おろしの構図が顕在化しており、それに加え財務官僚と朝日新聞と野党で利害が一致しているという腐りきった野合状態なのでしょう。

(3)忖度の犯罪化という武器

今回の騒動で、野党及びメディアは”忖度の犯罪化”という武器を手に入れてしまいました。内閣支持率の低下を見るとまんまと成果があったわけです。

この忖度の犯罪化、これについて共謀罪での議論を思い出して欲しいと思います。

ただ、忖度自体は違法ではないので刑法との比較には慎重であるべきでしょうが、その違法でない忖度をメディアが大々的に取り上げることで擬似犯罪化し社会的制裁を与えられることから刑法との比較論にも一定の意味はあると思います。

刑法では、犯罪が実際に発生する前段階での刑罰化は今でも未遂犯や予備罪や陰謀罪という形で存在します。

しかしながら今回の共謀罪では犯罪類型が一気に277も増えました。これについて賛成反対の意見は法律家でも分かれていますが、

少なくとも両派の共通了解は未然犯罪の犯罪化や内心の犯罪化は厳密に運用されるべきであるという点です。

これは当然ですね、ここが乱用されては内心で想像しただけで犯罪になるような極端なことになりかねませんから。これは対立する立場を超えた法律の原理です。

しかし、”忖度の犯罪化”はどうでしょうか?ある権限を持った意思決定権者になんの犯罪的構成要件はなくても、周囲の忖度によって社会的制裁を受ける。

これは意思決定権者にとってはたまったものではありません。

忖度者の”内心”によって被忖度者が社会的制裁を受けることの危険性です。

でも権力者だから厳しい監視をするのは当然という意見もあるでしょう、しかし安倍というラスボス感のある人物像を一回忘れて民主主義の構造をよく考えてみましょう。

政治家は国民の信託を受けて政治を行ういわばエージェントです。

従って政治権力を真に持っているの、安倍ではなく国民なのです。

今回野党と朝日新聞は政治権力に対して”忖度の犯罪化”という暴挙にでましたが、それは民主主義の構造上は国民に対して”忖度の犯罪化”を行なったと同義です。

”忖度の犯罪化”が国民に向けられた時、行き着く先はそれこそ悪名高い治安維持法ですよ。

忖度者の”内心”によって犯罪を押し付けることができるような事態は明らかに常軌を逸しています。

刑法とは直接関係ないものの、刑法学者はこの点について追求すべきだと考えます。

                                               (続く)

 

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snsn氏寄稿 加計問題を俯瞰して その1 3層に切り分けみよう

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snsnさんから論考を頂戴いたしましたので掲載いたします。3回に分割いたしました。

snsnさんの論考に飛びたい方は、中段波線から下に飛んで下さい。

加計問題をただの応酬に終わらせず、いったん引いて多層的に切り分ける試みに挑戦されていて、意欲的な論考に仕上がっています。

日頃起きることに眼を奪われがちな私などが、腰を落ち着けて考えねばならないことを提示頂いて感謝しつつ読まして頂きました。

さて、おつきあい頂いている皆さんはご承知だと思いますが、このブログは「開かれた言論プラットホーム」を目指しています。

こう書くと必ず「アゴラみたいなものをめざすのか。おこがましい」と言われますが、とんでもありません。

あのようなプロ、あるいはセミプロのライターと、私たち市井に生きる一般ピープルとは自ずと次元が違ったものになって当然です。

言論が衰退する国のひとつの特徴は、モノトーン化することです。

方や黒なら、方や白。分かりやすくていいのですが、膨らみと距離がありません。

ですから問題がフェードすると、皆、忘却の彼方にと忘れ去られるものばかりです。

これは既に多くの人が忘れ掛かっている森友問題などを思い出すと、多少お分かりいただけるかもしれません。

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国民に忘れられたことに焦ったのか、「国策捜査」と戦っているつもりの(笑)籠池氏の再登場など、失礼ながら、まるでピエロでした。

籠池氏をさんざん利用して「正義の告発者」に持ち上げたメディア、助けてやんなさいよ。

このようになるのは、テーマの切り取り方の浅さと恣意性に起因します。

思索の探査針がテーマの奥深い部分に刺さっていないから、ツルツルと上滑りしているのです。

ひとつのテーマをあちらから見たり、こちらから透かしてみようとは思わず、自らの政治的立場、というより多くは好悪ていどの感覚でわかった気になります。

俗にいうアベノセイダーズの人たちなどが戯画的にやっていることをみれば、ご理解いただけるかもしれません。

彼らの多くは長きにわたって、官僚悪玉論を唱え、政治主導を絶賛してきました。

ところが加計問題では一転して、安倍憎しのあまり官僚規制と既得権との癒着は見えません見えませんとなり、「正義の告発者」が天下りの組織的斡旋で免職になりかかったとなると、これまた見えません見えません、という有り様です。

途詳述しますが、長谷川幸洋氏によれば、文科省は「告示」というやり方で獣医師、医師、船舶職員の養成学部新設を門前払いにしてきました。

今回できたのは、特区という例外規定を政府が作ったからにすぎません。

先日首相が、「全国に拡げる」と言ったのは、この文科省の悪しき省益を取り上げるという意味です。

「半世紀以上守られてきた硬い岩盤に風穴を開けることを優先し、獣医師会からの強い要望を踏まえ、まずは1校だけに限定して特区を認めたが、中途半端な妥協が国民的な疑念を招く一因となった。改革推進の立場からは限定する必要は全くない。速やかに全国展開を目指したい」(NHK6月24日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170624/k10011029101000.html

ただし

「文科省が獣医学部などの新設を「告示」で門前払いしている問題である。加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を設置できるからといって、文科省のトンデモ規制が消えてなくなったわけではない。それはいまも残っている」
(長谷川幸洋 現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52105

アベノセイダーズは今この時点で、どちらの側に立ってモノを言っているのでしょうか。

アベ憎しはさんざん聞きました。

では、あなた方は獣医学部を増やしていくことに反対なのですか。文科省が「告示」一枚で門前払いしてきたことが正しかったのですか。獣医師会と文科省の癒着はいいことなのでしょうか。

果ては前川氏の買春疑惑ですら、説明責任と女性の人権をことのほか重視してきたこの人たちが、むしろ今回に限っては「国家権力の謀略」だから無条件擁護ということのようです。

笑えるほどご都合主義なことよ。

これでは常日頃この人たちが言っている主張が、ただの看板の飾りでしかないことを暴露しています。

政治結論があらかじめあって、ゴールから逆走しようとするからこうなるのです。

よく左翼陣営は自らを「革新」、つまりプログレッシブと自称していますが、とんでもありません。真逆です。

彼らは言葉の正しい意味での、既得権益の守旧者たちです。

彼ら「革新」勢力の中心は、官僚主導によって守られた下級官僚による労組である官公労であり、はたまた労組の政治部である民進党であり、そしてメディアの独占構造によって手厚く保護されたマスコミなどであるのは偶然ではありません。

皮肉にも、「保守」政府はそれを「革新」しようとしています。

今回加計事件は、まさにその既得権構造を変えようとする「革新政権」と、変えさせてなるものかと抵抗する「守旧」勢力との戦いとなってしまいました。

私はこのような二分法的見方は好きではないのですが、今回この構図を意図的に作りだしたのは、自称「革新」の皆さんですので致し方ありませんね。

それはさておき、私もできるだけ多角的にみようという努力は心がけていますが、なにぶん力不足です。

多くの「集合知」が必要なのです。それもツイッターのようにぶつ切りの短文ではなく(それにはそれの良さがありますが)、大きく論理展開できるだけの分量を保障できる言論空間の存在です。

私のブログではコメント欄が、その役割を果たしてきました。

しかし、これでもなお展開が不足と思われる方は多くおられるでしょう。

snsnさんは、この政治的に正しければ何を言っても許されるという言論状況から、いったん身を引き剥がして、空飛ぶ鳥の眼からの俯瞰でこの問題を眺めようとしています。

本日掲載したsnsnさんの3ツの階層(レイヤー)論は、素晴らしい切り分け手法です。

このように切り分ければ、目先の政治的価値観に踊らされず、なにが本質なのかという軸芯を自分の内に持っていられるでしょう。

現状、多くの国民はメディアの濁流のような印象報道に押し流されています。

そのような時に、snsnさんのように鳥のように空から見下ろす視野が大切になるのではないでしょうか。

なおタイトルは、私がつけさせていただきました。

snsnさんごめん、また長くなってしまった。

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           ■加計問題を俯瞰して その1
                                             snsn

加計問題について全体を俯瞰した記事を書きたいと思います。

この問題は一獣医学校設置の問題だけでなく日本のメディア、官僚の問題点をあぶり出す事例だと考えています。

(1)3つのレイヤー(階層)の議論
加計問題で議論になっているのは3つのレイヤー(階層)であることがわかります。

*第一階層(個別論)
・加計学園に決定したプロセスの問題

*第二階層(業界論)
・日本に獣医は足りているのかどうか
・文科省の獣医学部や医学部規制のあり方

*第三階層(政治論)
・規制緩和方針の是非(特区という制度)
・政治主導か官僚主導か(内閣人事局という制度)

本件は当初第一階層(個別論)から議論がスタートしましたがここに問題がないことは議事録等ですでに明らかでありここでは繰り返しません。
 

              

僕が今回問題視しているのは、メディア、野党の論調が一気に第二階層(業界論)、第三階層(政治論)まで進んでしまっている点です。 

本来論理的には、加計学園決定プロセスと獣医不足問題、あるいは政治主導問題は別次元の話だと思います。 

仮に加計決定プロセスに問題があったとしましょう、しかしその時でも獣医は不足している(質量ともに)わけであり、(→唐木教授見解参照)
http://president.jp/articles/-/22413 <http://president.jp/articles/-/22413>
また官僚主導から政治主導への取り組みは実行されるべきです。

しかしながら、メディア、野党は第一階層(個別論)をきっかけに、第二階層(業界論)、第三階層(政治論)まで全階層を崩しにかかっています、全階層で安倍内閣の行うことにNOを突きつけています。
 

わかりやすくいえば、安倍さんがやっているから全部ダメという理屈にもならない理屈なのです。 

よく考えて欲しいのですが、 

・2010年の口蹄疫流行の時に初動対応の遅さ、獣医不足の問題が言われていました。
・国家戦略特区構想は小泉内閣から形を変え民主党政権に引き継がれ16年3月に安倍内閣特区が閣議決定されました。
・内閣人事局は、第一次安倍政権で検討開始され、その後は自民党がモタモタしていましたが、民進党の江田けんじ氏は内閣人事局を早く設置しろと2009年に進言しています。

http://www.eda-k.net/column/week/2009/09/20090928.html <http://www.eda-k.net/column/week/2009/09/20090928.html> 

その後安倍政権で14年4月に閣議決定されています。

この歴史的な流れの中で、メディア、野党は今回のような特大反対キャンペーンをやったでしょうか?
 

もし反対なのであれば、当時から猛然と反対すればよかったはずですよね。 

思い出して見ると当時はむしろ、政治主導すべし、族議員排除すべし、官僚の天下り反対、岩盤規制を突破すべしとメディア、野党は自民党を責めていたはずです。 

それが今回180度手のひら返しのポジションになっている。 

あまつさえ民進党は特区停止法案まで提出する始末。 

これは明らかに安倍政権を倒すことだけが自己目的化した醜悪な政局争いです。 

しかもその影響は日本の食の安全や教育水準、経済成長を毀損するものであり実害があります。

僕は小泉内閣も民主党政権も多くの問題があり支持できませんが、政治主導、規制緩和の流れについては党派を超えて政治家としての大義、国益を考えて引き継いできた良心をかろうじて感じます。
 

それをたった一校の新設の問題だけで、第二階層(業界論)、第三階層(政治論)のレベルで全体政策を破棄しようとしている。

言い方は悪いですが安倍を倒すためであれば、パンデミック防衛など日本の安全を無視しても構わないという破壊思想であり、源流はマルクスの暴力革命論に見ることができるでしょう。 

1968年のパリ5月革命で左翼学生活動家は労働者が豊かになることを心良く思っていませんでした。 

なぜなら豊かになった労働者は自分の勤務先の工場の破壊をしないからです。暴力革命論においては安心安全な社会になると全てを破壊する革命エネルギーが削がれるため困るというわけです、破壊すること自体が自己目的化しているのです。

僕個人はここにおいてまず民進党への不信感が最大限に達しています。彼らは政治をやりたいのではなく政局をやりたいだけです。安倍さえ引き摺り下ろせれば自分たちの過去の大義すらかなぐり捨てるという愚挙です。
 

ここに政治の死を見ます。 

先日民進党の高井議員のブログから過去記事が削除されましたね、http://takaitakashi.com/category/tatakai-nikki <http://takaitakashi.com/category/tatakai-nikki> 

それもそのはずです高井議員ブログには加計設置のために岩盤突破の努力を行なってきた足取りが書いてあったからです。 

党内指示でしょうが高井議員も忸怩たる思いでしょう。(→ネット上にはスクショが残っています。この辺はネット社会の良さですね)

ただ、まだ民進党についてはアホだなあ〜程度の感想なのですが、もっと恐ろしいのは朝日新聞及び自民党内の財務省派(石破、麻生)です。

 

                                            (続く)

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日曜写真館 初夏の蘭

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代理話者の「文科省文学」

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昨日は沖縄慰霊の日でしたが、あいかわらず亡くなった戦没者に手を合わせるのではなく、政治運動をやりたくてたまらない人たちの群れが出たようです。http://www.sankei.com/politics/news/170623/plt1706230057-n1.html 

いいかげんにしなさい。ここはあなた方だけの時間ではありません。遺族たちが戦没者の霊と語らっているその時、「安倍は帰れ」などという雑音を大声でがなる神経がわかりません。 

多くの亡くなった県民たち、沖縄を守るために命を捧げた本土の人たち、さらには米軍兵士たちを悼む時間です。 

そんな慰霊のルールも守れない人が、この日、摩文仁の丘に来るべきではありません。 

Photo朝日新聞より引用

さて前川喜平氏が記者会見をしました。いくつか面白いことを言っていました。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00362246.html 

前川氏は、「安倍総理や菅官房長官や萩生田官房副長官から直接の指示を受けたことはない」と述べていました。

かなり決定的発言のように思えますが、大部分のメディアはスルーしてしまったようです。 

だって、「直接の指示がない」なら、前川氏がいう「行政が総理の意向で歪められた」という告発は立証不可能になってしまいますからね。 

直接証拠が欠落している以上、後はすべて「誰それがこう書いていた」「私はこう言っていた」という伝聞証拠にすぎていまま「告発」したのだ、ということを前川氏自身が認めたことになります。

つまり、前川氏はわざわざ記者会見までして、オレにはなんの証拠もないんだ、どうだざまぁみろ、と居直っているだけで、これではただのマヌケです。

後は意味不明な泣き言とも、居直りともつかない繰り言です。

「文科省のトップにいた時に何もできなかった事は反省しているんですが、私が行動を起こしても変わらなかったと思うんですね。文科省としては敗戦処理的な、それを加担と言えば加担した事になるんでしょうけど

前川さん、だからなんなのさ。自分は無能で怯懦だったと言っているだけじゃないですか。

あなたは「行政が歪められた」と言っているわけですから、諮問会議WGの民間委員に対してに、あなたがいう「歪められていない情報」を出す義務がありました。

前川氏は自ら「敗戦」と呼ぶ特区諮問会議WG会議について、こんなことを言っています。

「(民間議員の発言に対して)一点の曇もないというのは客観的事実ではなくて、民間議員の方々から見て、曇りが見えていなかったのではないか。見ないようにしていたのではないか、見せられていなかったのではないか」

見せる努力もせずに、「見せられなかった」はないんもんです。

というか、「見せる」べきだった筆頭の、獣医師の需給予測の宿題をしてこなかっただけですよね、前川さん。

後は例の風俗スキャンダルが暴露されたことへのドロドロした恨み節全開です。無関係の山口敬之氏まで登場する始末です。さぞ奥さんに絞られたんでしょうな。

「前川氏は出会い系バーへの出入りを報じた5月22日付読売新聞の記事について「私への個人攻撃。官邸の関与があったのだと思っている」と断じた上で、「背後には何があったのか、メディア関係者の中で検証されるべきだ」と主張した」(産経6月23日)http://www.sankei.com/life/news/170623/lif1706230056-n1.html

ちなみに朝日の加計疑惑の社説です。

「問われているのは、首相の友人が理事長を務める学園が特区の事業主体に選ばれる過程が、公平公正であったかだ。
そこに疑問を持たざるを得ない文書や証言が次々と出ているのだ。首相は率先して事実を明らかにする責任がある」(朝日6月21日社説)

朝日さん、同じことを前川さんにも問うてみませんか。テンプレートを作って差し上げましょう。

「問われているのは、『貧困調査』と称して前川氏が週に2、3回も出会いバーに行く過程が、公平公正であったかだ。
そこに疑問を持たざるを得ない文書や証言が次々と出ているのだ。前川氏は率先して事実を明らかにする責任がある」

前川さん、買春疑惑をもたれた者として、説明責任を果たしてください、よろしくお願いします。 

なにせメディアによれば、疑惑をもたれたら最後、疑惑をもたれた当人が無罪証明せねばならないというんだからオットロシイ。

それにしてもメディアはすごいね。「疑惑」を追及するほうに立証責任があるのにシラばくれ、追及された側がその「疑惑」を晴らす義務があるっていうんですから、これはもう弁護人ぬき裁判の理屈です。

警察が見込み逮捕して:も検事は被疑者に、「お前が無実だという証拠をだせぇ。出せなかったらお前は有罪だ」って言うんだから、もう文明国じゃありません。

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ところで、「当初、爆弾的破壊力をもった「牧野メモ」も、「総理の意向」の5行下には「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」なんて種明かしまで書いてありました。 

この一行を朝日は読ませたくなかったのは見え見えですね。

朝日が当然するべき全文起こを資料として添えておいたなら、この加計問題自体が不発に終わったことでしょう。 

いいですか、ここにはこう書いてあったわけです。「総理の指示に見えるのではないか」ですよ(苦笑)。

官僚が報告書に淡々とファクトを書かず「こう書けばこう読めるだろう」という、憶測ないしは主観誘導を書く「文科省文学」の異常さを朝日は国民に読ませたくなかったのです。

朝日はこの一官僚の書いた「空想文学」を、あたかもファクトとしてスクープしたわけですが、元朝日新聞記者であった烏谷陽弘氏はその著書、『フェークニュースの見分け方』でこのように述べています。

「根拠として書く事実を取材してとらえることができなかった時、記者は事実を書く代わりに、その媒体が言いたいことを発言する話者を探す」

烏谷氏はそれを「代理話者」と呼んでいますが、今回、その役割を果たしたのが前川氏と「牧野メモ」だったわけです。

そして続けて烏谷氏はこうも書いています。

「代理話者の発言が掲載されたことは、裏付けとなる事実が取材できなかった・足りなかったという、記者にとっては敗北だったのである」

ですから、朝日が前川氏という代理話者を登場させた時点で、私たち国民は、「おや、独自取材していないな。眉にツバつけて読もう」となるべきだったのです。

Photo_2http://bunshun.jp/articles/-/2587?page=3

また、今、萩生田氏が「広域的にと指示した」ということが騒がれています。

朝日は社説(6月21日)でこう述べています。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12997034.html

加計学園の獣医学部新設をめぐり、萩生田光一・内閣官房副長官が昨年10月、文部科学省の局長に発言した内容とされる新たな文書が明らかになった。
 「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書には、「官邸は絶対やると言っている」などと記録されている。
 昨年10月といえば、特区での事業者が
加計学園に決まる約3カ月前だ。文書はこの時期に加計学園の具体名や立地にふれており、そのころから政府が加計学園ありきで調整を進めていたことがうかがわれる。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と首相の意向に言及する記述もある」

だからなんなのです、朝日さん。

この萩生田氏発言があったのは、2016年10月だとされています。朝日の得意技、時系列無視です。

加計に決まったのは、何度も書いてきたとおり、2回目の特区諮問会議WG会議があった2015年6月8日です。

「昨年10月といえば、特区での事業者が加計学園に決まる約3カ月前」ですって?なに言ってるんですか。朝日はその1年前のWG会議を握りつぶしています。

この2015年6月時点で、規制改革を進める内閣府と文科省は合意をしています。文科省の完敗で決まりです。

前川氏は記者会見て「事務次官なんか反対しても決まる」みたいなことを愚痴っていましたが、2015年6月以降、文科省がグジグジとしていたために荻生田氏が「開校期日の尻を切るぞ」と言わざるを得なかったのでしょう。

前川氏は記者会見で、「萩生田氏が文教族だったことから文科省が期待して文書を作った」と述べています。

たぶん省内には萩生田氏に、なんらかの「期待」があったのでしょうね。ところが逆に荻生田氏に尻を叩かれてしまったというお粗末の一席です。

朝日はこのWG会議決定を故意に報道せずに、あたかも萩生田氏が「総理の意向」を押しつけたという「絵」を書きたいだけです。

萩生田氏は文科省に対して、諮問会議で決まったことをさっさと実施しろ、いっているにすぎません。

またよく、萩生田氏が「広域的に」と言ったことが京都産業大学を意図的に落して、加計にする企みだったかのようにメディアは報じています。

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古賀茂明氏は朝日発行の『アエラ』(5月29日)で、「前川・前文科事務次官の乱は“平成の忠臣蔵” 大石内蔵助の登場は?」と題して、こう書いています。https://dot.asahi.com/dot/2017052800022.html

「仮に一つだけにするにしても、まず、両校に申請を出させて、正々堂々と国民の前で審査すればよかった。しかし、それだと、おそらく京都産業大に軍配が上がるのでまずいから、二つ目の仕掛けとして、応募要件に「広域的に」獣医師系養成大学が存在しない地域に「限り」認めるとして、大阪に獣医師養成コースがあるから京都産業大は資格がなくなるという要件設定がなされたのである。
 つまり、「規制緩和」という錦の御旗は単なる見せかけで、実態は、加計学園への利益誘導の手段として使われたに過ぎないということだ」

古賀氏は確か経産官僚だった時は、規制改革派だったと記憶していますが、どうやら宗旨替えして、「広域的」という意味も分からなくなってしまったようです。

それについて、財務官僚だった高橋洋一氏はこう説明しています。http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220005-n2.html

「地方行政をやっている者なら知っているはずだが、『広域的に』とは、複数の市町村に、という意味合いである」

広域的は当然、京阪神地域も含みます。

当然、京都産業大学にも資格はあるわけでしたが、まだ手を上げて間もなくで、今治市・愛媛県の驚異的粘りを知っている京産大は「わしらまだ一回目や。そんな野暮はいわんで、次点固めといて、来年改めて申請しましょう」、と思って辞退したにすぎません。

そもそもこの「1校に限る」は、先日にも書きましたが、獣医師会は「1校も作らせるな」といい、文科省は政府の規制改革に逆らえず「1校くらいならなんとか」という談合によるものです。

そこから変えていかねばなりませんが、まだ特区を作り枠を限って「1校に限り」という既得権益とのせめぎ合いの真っ最中なのです。

これをメディアが、「意向」とか、「忖度」といったあいまい語で報道するからおかしくなります。 

本来、この日本語特有の「あいまいさ」を洗いだして、裏取りするのがメディアの仕事のはずでした。 

具体的に「総理の意向」が、どのようなプロセスで政策決定を「歪めた」のかを明らかにすることです。

※改題し、大幅加筆しました。また「萩生田」を「荻生田」と誤記しましたので、訂正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

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さすが朝日!印象報道老舗の技

094
日本の言論について、朝日新聞を例にとって議論してきました。貴重な論考を頂戴した山路氏には改めて感謝いたします。
 

今回の加計問題がなぜあれだけ拡がってしまったのか、なぜ官邸が政権運営に障害となるまで放置してしまったのかについて、コント欄で議論がなされました。 

snsnさんのご意見です。

1)元々民主党案件を引き継いだ上、プロセスは公開しているのでなんの問題も無いとたかを括りすぎた
2)野党が議事録のプロセスベースではなく内部文書の存在/非存在という論点すり替えをしてきた。それに乗っかってしまった
3)政治主導を堂々と主張すればいいのだが、そうすることで独裁ガーと言われる可能性があり躊躇してしまった
4)日本獣医師会短信「春夏秋冬」に、石破へのロビー活動報告によると石破が岩盤規制側に立ち4条件及び、1校に絞るような動きをしていると読めるため、官邸としては自民党内部の族議員問題に飛び火することを恐れた。

私もおそらくそうだと考えています。 

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官邸には初動において「みくびり」がありました。それを伝える朝日(5月18日)です。 

これは、その前日の17日付朝刊の1面トップ記事に朝日が、「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」というスクープを出したことに答えたものです。

菅義偉官房長官は17日午後の記者会見で、「全く、怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と言い切り、記録文書の信頼性自体も否定した。
文書は役所の正式な文書ではない、とすることで政権へのダメージを回避し、特区をめぐる判断にも問題がないとの姿勢を維持する狙いがある。
森友学園問題で首相が追及を受けても内閣支持率が大きく落ち込むことはなかった経緯も、強気の背景にありそうだ。」

朝日のほくそ笑む顔が浮かんできそうですが、こういうハネつけ方をすると朝日は見込んでいただろうと思います。 

ソフトに受け流して、「調査をして回答します」ていどにしておけばいいのに、硬質に「怪文書の」ひとことでハネつけてしまうのは、善きにつけ悪しきにつけ、それが菅氏の持ち味というものです。 

官邸としては山積した重要法案、特にテロ準備罪をなにがなんでも会期中に成立せねばならないという焦りがありました。 

そうでなくともやくたいもない森友騒動で審議時間を空費していましたから、なおさら、「いいかげんにしろ」という気分になったことでしょう。 

一方巧妙にもこの時点で朝日は、「内部告発者」が他ならぬ前文科省事務次官の前川喜平氏だというカードをまだ隠しています。 

このエースカードを朝日が切ったのは、充分に疑惑のガスが充満したと見た5月25日でした。 

朝日は政権が「調査しても見つからない」と言うだろうということを見込んで、社会に不審の毒ガスを充分に社会に行き渡らせてから、本命の前川喜平御大を登場させます。

これでチュドーンです。 

たいしたもんです。朝日は策士です。 

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「学校法人「加計学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、「総理のご意向」を伝えたとされる文書の存在を認めた前川喜平・前文部科学事務次官が25日、東京都千代田区内で記者会見した。
改めて文書の存在を「間違いない」と認めたほか、特区での選定をめぐる経緯について「公正公平であるべき行政のあり方がゆがめられた」と問題視した。」
 

この前川氏の登場によって、官邸は背中から斬りつけられた格好になりました。 

いままでの日本の政治史で、つい先だってまで事務方トップをしていた高級官僚が「内部告発者」に変身して、政権批判をするなどというのは前代未聞ですからね。 

官僚のモラルとしてあってはならないことです。 

しかも前川氏は、この加計新学部で合意したその当事者だったのですから、官邸は呆れてものが言えないという状態だったのは想像に難くありません。 

まぁフツーいくら内心不満だったからとはいえ、元防衛省事務次官だった守屋氏のように、そうとうの期間たって政治的な影響が及ばない時期を見はからって詳細な回想録を公表するていどの良識はあるものです。 

ここから一気にすべてのメディアが、加計よさこい踊りの乱舞を開始します。

かくして、加計一色に日本社会を塗りつぶされたことは、ご承知のとおりです。 

前川カードを知り得なかったということはあるにしても、初動の失敗です。 

文科省官僚が調べたが「ない」と答えたのは、ただの自己保身にすぎません。 

もちろん相当数の官僚はこの「牧野メモ」を知っていました。なにせ類似のものまでふくめて複数枚あるのですから、かなりの数の役人が目にしたはずです。 

しかし、官僚は知らぬ存ぜぬを通しました。これは成り行きを見て決めようという役人特有の面従腹背の処世にすぎません。 

たぶん朝日は前川氏と相談して、このような省内の空気まで知っていたのかもしれません。 

ですからここでsnsnさんも指摘されているように、「官邸は文書がないといっているが、隠しているに違いない」という朝日の思う壺の「絵」に変化していきます。

つまりは文書の「あるなし」という、実に低次元の流れが作られてしまったわけです。

典型的な印象報道による世論の誘導です。

もちろんしょせん「印象」は実体にかないませんから、時間がたつに連れて整合性がないことがバレていきます。

まずは加計に決まった、2015年6月8日の国家戦略特区諮問会議WG会議の議事録が明らかになったことです。

このなかで文科省はコテンパンに論破されて、獣医の需給見通しすら出せないまま敗北している様が手にとるようにわかります。

この後に、当時内閣府に出向していた牧野課長補佐が、母体の文科省に送ったメモが、くだんの「牧野メモ」でした。

おそらく牧野氏が書いたのは2、016年9月から10月の期間です。

このメモには、朝日が当初は隠したかったに違いない重要な一行があります。

Photo_3

阿比留瑠比氏はこんな指摘をしています。

「記事に添えられた「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題された文章の写真が不可解である。写真はなぜか下側が暗く文字がよく読めないが、文科省が15日に発表した同様の文書をみると、その部分にはこうある。
 「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」
 つまり、安倍首相の指示だと取り繕ってはどうかという話であり、逆に首相の指示などないことを示している。
 ところが、そこが朝日の写真では不自然に隠された形となっている。これでは「印象操作」と言われても仕方があるまい」(産経6月23日)
http://www.sankei.com/premium/news/170623/prm1706230005-n1.html

上の朝日の公表した写真をご覧ください。丸いハイライトの中央下に確かに『諮問会議決定』という形にすれば総理が(不明)に見えるのではないか」と読めます。

この部分はもう少しハイライトを大きくすれば、「「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」です。

ところが朝日はこの部分を、当初意識的に画像処理して見せなかったのです。

つまりはなんのことはない阿比留氏の指摘どおり、こう書けば「総理からの指示に見える」という官僚の方便が書いてあるだけの「メモ」にすぎないとわかってしまうからです。

牧野課長補佐は当時、出向先がよりによって「敵方」の内閣府だったために、母体の文科省に「こう書けば、一番エライ人が押しつけたって読めるでしょう」と書くきゃなかったのでしょうね。

ただし、これはあくまでも行間の「含み」、あるいは「伝聞」にすぎず、事実そのものだと言い張るほど、彼女は厚顔無恥ではなったと思います。

厚顔無恥なのはこの文書を、懲戒免職になるところをお情けで救ってもらい、退職金をもらって安全地帯に逃げ込んだ後になって、「牧野メモ」を利用した前川喜平氏です。

この部分を当初は隠して「総理の意向と聞いている」という部分にだけ焦点を当てて、そして、1週間後に前川カードを登場させて「あれは本物だ」と言わせたわけです。

もはやここまで来ると、さすが昭和前期から大衆操作を数限りなくやってきた、手脂で黒光りするような老舗フェークニュース卸元だけの凄味があります。

なお蛇足ですが、石破4条件なるものは、それ自体が石破氏がいかにだらしない政治家で、本気で地方創生も規制緩和もやる気がない政治家なのか暴露しただけのシロモノです。

あれは獣医師会と「1校だけね」という安易な妥協をした産物にすぎませんし、あんなバカな妥協をしなければ京都産業大学も一緒に新設できたというだけの話です。

加計に決まったのは、申請努力をした期間が京産大とはケタ違いだからだったにすぎません。

それにしても石破さんは、反アベノミクスのグループを作ったりして、規制緩和反対・増税・金融・財政緩和反対で対立軸を作りたいようですね。

この数日、菅さんが降ろされるという噂が永田町に駆けめぐっているようですが、もしそうなれば、安倍氏は党内で数少ないアベノミクスの同志を失うことになります。

そのように考えると、朝日のほんとうの目的は安倍降ろしではなく菅降ろしだったのかもしれません。

                                                 ーーーーーー

Photo_4毎日新聞より引用

■あまり笑えるので載せておきます。籠池氏が安倍氏宅にワザワザ返却するとして持参した100万円と称する札束です。

上下2枚以外、ぜんぶ白紙なのが見え見えです(爆)。こんな時くらいホンモノを用意しろよ、と。

最近籠池氏は、前川氏がスターになって自分が忘れられたことを嫉妬しているようで、耳目を引きたかったんでしょう。

しかし、こんな人の言っていた「昭恵夫人から100万振込の証拠」とやらを丸々真実だと言っていた皆さん、どうお考えでしょうか。

 

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朝日に騙されない為に!その3    山路敬介(宮古)

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山路敬介(宮古)氏の論考の3回目です。

今現在も、飽きることなく延々と加計騒動が続いています。

まるで国家の一大事のように「新たな文書が出た」と、「首相の友人の加計学園」という枕詞つきで報じられています。

そんなに重大なことなの、ということを私は一貫して言ってきました。

残念ながら、私のような意見は少数派のようですが、これが山路氏も述べられている<リテラシー>、すなわち読み解く能力です。

Photo_3

上の写真は週刊文春誌特集面ですが、本来、出版社系週刊誌は、新聞媒体の毒消しカウンターバランスの役割を持っていたはずですが、今や週刊誌も朝日と同盟を組んで「文春砲」を乱射するていたらくとなっています。

また電波媒体は新聞系列下なので、これで新聞-電波-週刊誌のメディアの3本の柱が揃ってモリカケ騒動をすることとなりました。

おそらく史上空前規模のメディアスクラムではないでしょうか。普通、これに耐える内閣はありませんがね。

さて私は、森友と加計は本質的にまったく別の次元の問題だと見ています。

加計問題は、結局、文科省の内部問題にすぎません。

特区諮問会議WG議事録の前に、あの「牧野メモ」が書かれていたのなら、ほーこりゃなにかあるねと思われるかもしれませんが、時系列に着目してください。

WGが開かれたのは2015年6月8日です。この時点で規制改革を進める内閣府と、文科省は合意をしています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

手打ち終了です。文科省はいままで半世紀死守して来た認可権限の城壁の一部を壊されましたが、「1校に限る」という妥協を飲ませて、被害の極小化を図っています。

「牧野メモ」はこのWGの後になってその報告のために書かれたもので、「どうして負けたのか」という言い訳のためのメモにすぎません。

それも「総理の意向があると聞いた」みたいな内容で、なんのことはないただの「伝聞」です。

そりゃそうでしょうとも。課長補佐ていどのランクの小役人(失礼)が、首相に直接「おい、加計を通してやってくれ」なんて言われるはずもありません。

課長補佐ていどでは、首相臨席の会議には陪席すらできないんですからね。

今、メディアが大喜びしている「新文書」に至っては、WG会議にもでていない役人が書いたものです。そんなものになんの意味があるのでしょうか。

ただの伝言ゲームです。

だから前川文書とは、なんのことはない、「言い訳」と「伝聞」そして「伝言」で書いた妄想メモにすぎません。

いくらほじっても、ほじるだけ、文科省がいかに多くの利権を持っていたのか、本来は文部とは無縁の獣医師の数まで学校・学部許認可という武器で操ってきたのかがバレてしまいました。

そしてその見返りに、既得利権団体に大量の官僚を天下りをさせていたという醜悪な業界 癒着構造すら見えてきてしまいましたね。

それを天下り斡旋していたのが他ならぬ前川氏その人で、それが理由で辞めさせられました。

なんか誤解している人も多いようですが、前川氏は「反骨の正義漢」だから辞めさせられたのではありません。

Photo_5

在任中は音無しの構えで面従腹背(当人談)に徹し、加計でも事務次官として合意しておきながら、天下りが発覚して辞めさせられたにすぎません。

そしてこの勘違い男は、なぜかそれを逆恨みしたのです。あー、ばかばかしい私怨だ。

森友と一緒で、加計でも掘れば掘るほど隠したいことがズラズラと出てきちゃったわけです。

自爆テロを志願した前川さんも思わざる返り血を浴びそうですが、しっかりメディアは「報道しない自由」をしていますから大丈夫です。

まぁ、私は「新文書」が途切れた時が、終わりだと思っています。

国民は玉ネギの皮よろしく剥いて剥いても「疑惑」なんてなにもない、むしろ出てくるのは「告発者」の知られたくないことばかりということにそろそろ気がつくことでしょう。

国民はマスコミほど愚かではありませんから。

Photo_4https://dot.asahi.com/wa/2017031100005.html

一方、森友問題は要するに、「なぜあんなに巨額の値引きがあったか」が最大の焦点です。

籠池氏に昭恵氏から100万の寄付があろうとなかろうと、そんなものはどうでもいいことで、ただの籠池氏のフェイントにすぎません。

ところがそのフェイントに丸々とメディアが乗るのです。

というのは、「安倍がウルトラライトの学校建設に便宜を計った」という「絵」を書きたいからです。

ところが探っていくと、あの籠池氏が引っ掴んだ土地はたいへんに曰く因縁のある土地だと分かってきてしまいます。

中村地区という土地がやややこしいのですよ。ただし、たった一本補助線を引くとすっきり分かってきます。それは伊丹空港です。

航空記者だった高山正之氏によれば、あの森友建設用地付近は伊丹空港の離陸進入路に当った制限区域で、1970年代から騒音紛争が続いていた地域なのです。
※『WILL』2017年6月号による

Photo
よりによって籠池氏は、速く土地取得をしないと学校認可が取り消されるために、曰く因縁が充満するあの土地を高値で財務局につかまさてしまったようです。

籠池さん、セコそうですが肝心なことが慌てたあまり抜けていたんです。

そしてこの地域には在日朝鮮人が多く住んでいたこともあって、中村地域の住民が伊丹空港の航空会社カウンターで「鼻血がとまらないのは騒音のせいだ。この責任をとれや」と騒いで、血がついたティシュをぶちまけたそうです。

Na1154かつての中村地区。空港敷地内まで在日朝鮮人の居住区が入っていたために複雑になった。

本来運輸省に行くべきなのに、航空会社のほうが組みやすしというわけです。この強訴が実って、国から「騒音地域の手当て」として空港特別会計(空港特会)が支出されてしまいました。

このとき活躍したのは、共産党と当時の社会党で福島瑞穂党首の秘書をしていた木村真氏でした。

Photo_2中央が木村真氏 新社会党という親北朝鮮政党所属。関西生コン労組の元幹部

あれ、木村真?どこかで聞いた名ですね。そう、森友問題の最初の火付け役の豊中市議です。

共産党と旧社会党系議員が、伊丹空港周辺の空港特会に関わる11市協議会の窓口をしているわけです。

今回問題となった森友の建設用地も入っているし、同じようにすぐ隣の14億何千万円がたった2千万に値引きされた豊中市の公園や、豊中市の9億円値引きの給食センターもその絡みです。

その上、建設用地は阪神淡路大震災で近隣の住宅地が壊滅したために、その震災瓦礫処分用地に使われたというおまけまでついています。

ですから籠池氏は財務局に、「大幅値引きだなんて、よー言うわ。あそこはただでも誰も買わないでしゃっろ。隣地の公園のように2千万なら考えてもええわ」と言えばよろしかったのです。

このように見てくると、森友疑惑なんか、結局は、伊丹空港絡みの空港特会という利権がらみで、それを突ついていると、やがて辻本氏の名や関西生コンなんていう極左労組まで芋づる式にでてきてしまったのです。

辻本氏が浮かび上がった時点で、とんでもないものを突つき出してしまったというので、メディアは急に森友疑惑には関心を失ってしまいました。

そこで「総理の忖度」つながりで次なる獲物にしたのが、朝日の「スクープ」である前川文書だったというわけです。

やれやれ、いいかげんにせぇや、と思います。ほんと、フェーク・ニュースというのも厚かましい、フォールス・ニュース(虚報)ばかりです。

私たち国民は残念ですが、山路氏が言う<関心>まで提起できるほどの力はありません。

ですから、せめてネットや書籍からその背景を<情報収集>して、<なにが真実か>を見極める必要があります。山路さんが述べるように「知る労を惜しんではならない」のです。

これがリテラシー、すなわちメディアのフェークニュースを読み解く能力です。

すいません、前座が長くなってしまいましたので、このくらいに。すいません、山路さん。

                     ~~~~
 

          朝日に騙されない為に!その3    山路敬介(宮古) 

承前

 国民は、朝日から自分の身を守るにはどうしたら良いか。

 火の無い所にライターと油を持ってきて大火事にし、桜の枝に梅を接いで最後は「権力」にその責任を転化する度し難い「朝日新聞」に振り回されない為には、私たちの側でリテラシーを上げるより方法はありません。
 

それには、意見形成の過程を常に念頭に置くことが肝要です。 

 まずはじめに「関心」があります。 

 次はそれについて、出来るだけ多くの情報を集めます。 

 三番目は「何が真実か」を見る分析能力です。 

 四番目は、そこでようやく「最終的にどうすべきか」という判断を出します。 

 まぁ、一応こういうものでしょう。
 
 朝日の場合例えば「公害問題」の時、まず公害が発生してそこに国民の「関心が集まる」。
 

 でも、多様な情報を集めるとか的確な分析を試みるとか、そういう過程をすっとばして「これはやはり高度経済成長が悪かったのだ」、と自分の計画・好みに合致した短絡的結論を出します。 

 この馬鹿な短絡的結論の方が実は「早い」ゆえに国民にとっても好みのようで、それがセンセーショナリズムという形で現れて、だれも彼もプロセスを追う事をすっかり忘れてしまうのです。 

 それで「企業は悪だ」と流れ、経済成長を重視する政策を見直すべきと、矢継ぎ早にキャンペーンを張られることで、最初のプロセスの欠落はますます隠されボカされて行ってしまい、それがついに「国民の声」と認知され、政府も妥協点を見出すような中途半端な対策にせざるを得なくなるのです。 

 これは加計学園の問題にもピッタリ当てはまります。 

 しかし実は私たち読者の方にも、もちろん責任があります。 

 我々は「知る権利」などと始終口にしながら、実は「知る労」を免れたがっているのだろうと思うのです。 

 「知る労」を新聞あるいはテレビに負わせ、真に知ろうとする自主的精神に乏しいのかも知れません。 

 だから騙される。 それも何度も。 

 加計では時系列的に事実を追い、議事録を読み込めばそれだけでカンタンに問題の所在が分かるのです。 

 それなのに世論は今のところ「真実」と真逆に行っている。 

 本当のところ、たいがいの人は誰も知りたがってなどいず、ただ世間が知っている事を知らずにいるのが不安だったり、恥ずかしかったりするから知りたいだけの事かも知れないなぁ、という感慨を今回の「加計問題」で改めて思いました。 

                                             (了) 

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朝日に騙されない為に!その2    山路敬介(宮古)

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山路敬介(宮古)氏の論考の2回目です。

この朝日の戦争責任というテーマは、かつて私も長い期間考え続けてきたもので、どこかで短い記事にした記憶もあります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-10db.html

私にとって朝日はただの新聞一般ではなく、自己形成を語る上で避けては通れないほど染みついた価値観そのものでした。

中学生時代には文章修行のつもりで、天声人語と社説を毎日ノートに書き写していた時期すらあります。

「声」には何度も投稿し、採用された時には天にも登る気持ちでした(苦笑)。

Photo_5本多勝一「中国の旅」から、日本は永久に続く中国への謝罪の旅を始めねばならなくなった

高校時代などは、本多勝一の『中国の旅』の連載を毎日切り抜き、読書会をしたことすらあります。

この『中国の旅』は、本多記者が中国当局の紹介する「生き証人」を、なんの裏付け取材もすることなくそのまま事実として報じ、今に至る「南京大虐殺」論のルーツとなっています。

私は丸ごと真実だと疑ってもみませんでした。なにせ日本一のクォリティペーパーがおごそかに言っているんですからね。

かくて朝日は、中国の嘘八百、ないしは白髪三千丈を、無検証で丸ごと権威づけしてしまったことになります。

後に本多記者は裏付け取材をせずに書いたが、あれは「そのような証言をそのまま書いたノンフィクションだ」と居直ったものです。

おいおい、本多さん。当時の連載を読む読者の側に立ってごらんなさいよ。本多氏はひとこともこれが中国当局が提供した「証人」だとは書いていませんでした。

共産中国でそんな自由な取材なんか、ありませんもんね。

ですから、まるで『戦場の村』のように自分の足で書いたノンフィクションだと誰しもが思いこまされたわけです。

ところが違った。

あれは中国当局の「やらせ」であり、それをそのまま日本に報じてスクープにしたのです。

これこそが「朝日スタイル」です。

この本多記事は、証言をなにひとつ裏取をしないで祭壇に祭り上げました。

後の「従軍慰安婦」における吉田清治証言、福島事故における吉田所長調書、そして現在進行形の前川文書に至るまで、一貫した「朝日スタイル」の原型となっています。

そして、このことを外交カードに使う中韓に、わが国は苦しみぬくことになります。

その時、朝日はどちらについたかって?

ご承知のとおりです。朝日は外国の側に立って、外国の国益に沿って、外国の目線で日本と日本人を断罪し、反省と謝罪を迫ったのです。

当時の私は「朝日少年」、戦後リベラルの申し子そのものでしたが、朝日は私のような少年少女を大量に作りだし、彼らを安保闘争という「戦争」に駆り立てていきました。

この光景は、まるでかつて国民を戦場に駆り立てていった、この新聞の姿と二重写しになっていきます。

今の私の対象を突き放して見ようとする姿勢は、この反省から生れたものです。

さて、朝日の罪は、単に戦争中に軍部のプロパガンダに協力したというレベルだったら軽いものでした。

戦争協力といえば今は大変な罪悪のように語られていますが、総力戦においてそれは「国民の義務」だったにすぎないからです。

むしろ問題は、大戦に至る昭和の時期の節目節目に登場し、かならず間違った方向に国民を誘導してきたことにあります。

満州事変、国際連盟脱退、三国同盟、日中戦争といった曲がり角ひとつひとつに、朝日はこの道を選べば日米戦争となるしかない道をに国民を導いてきました。

山路氏が述べられているように、朝日は偏った報道を続けて情報を与えず、軍部のプロパガンダを耳に吹き込み、国民を戦争に追い込んだのです。

戦後もまた同じことを、立場だけ正反対にして延々と再演しています。

そして今もなお、なにひとつ自らを省みることなく・・・。

                    ~~~~~
 

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                 朝日に騙されない為に!その2
                                      山路敬介(宮古)

承前 

■ 日米開戦を寿いだ日本国民 

 
 少し話がかわります。
 先の日米開戦責任について、軍部の専横だとか陸軍の強硬派に専ら責任を帰す書物はあきれるほど読みましたし、なるほど詳細に知れば知るほど軍部の責任は軽いものではない事がわかります。

 しかし、国民はその「軍部」しか頼るすべはないと考え、したがって程度の差こそあれ国民の大部分が「支持」していたのもまた事実です。

 真珠湾攻撃をもって日米開戦の火蓋が切られた日、一般国民の感情は、「あぁ、これでやっと積年の憂いが終わった」、「光明が見えた」という、むしろ安堵に似た、ため息めいた感傷的なものだったといいます。

 これは初戦に大勝したからというだけのものでは決してなくて、「もう戦争しか残された道はない」という切羽詰まった意識が一般国民に強く感覚としてあったからです。

 その点、知識人も例外ではありませんでした。
 同様の開戦の日の心理描写は太宰治の小説他でも多数出てきますし、左右問わず例えば竹内好や斉藤茂吉、伊藤整などが書いたものにも多数残されています。

 あの高見順ですら、戦争反対・戦争憎悪の気持ちからでもない、戦争謳歌・開戦歓迎の気持ちでもないと前置きしつつ、「なんとも言えぬもの悲しい気持ち」と微妙な表現をしています。

 それでも一般人であれ知識人であれ、大勢は米国に「必ず勝てる」という確信があったわけでもなさそうで、私には、それなのになぜ多くの国民が「戦争への道」を肯定したのか?が、長らくの疑問だったし、そこにこそ隠された本当の「戦争責任」があるのだろうと思います。

 朝日は戦後、すでに通説となっている「多くの国民は戦争に反対していたが、軍部の強硬派が満州事変など様々な既成事実を作って日本を戦争に引きずり込んだ」と喧伝しましたが、国民が倦んでいた戦争は「日中戦争」であり、上述のように「日米開戦」は概ねその逆だっただろうと思うのです。 

 ここには講和のさいの戦争責任がからむ微妙な問題も存在するので、一口で非難しづらい部分ですが、このような誤謬は今では必要な憲法改正もせず、国家を敵するような人間を多く生む戦後の日本の潮流を作ってしまった一因になったと思え、嘘や誤謬から真実を生み、ある人々の「信念」に転化した悲惨な状況を今に生んだものと考えます。

Photo_21943年3月5日。朝日新聞が企画した35枚の100畳敷きの写真ポスターが有楽町の東京本社正面に掲げられ、10日には陸軍軍楽隊の演奏が行われた。朝日は一貫して一億火の玉をアジり続けたが、負けるやいなや、「あれは軍部に強いられたものだ」と述べた。


■朝日の戦争責任

 朝日新聞は戦後、自らの責任として「戦争を止められなかった事」を重畳反省する旨の論説を掲載した事があります。

 しかし朝日は外野席にいたのではなく、その責任は「戦争を止められなかった」などという一般論として濾過して語られては歴史を間違います。

 彼こそまさに陸軍と組んだ「主犯」であり、ともに国民を戦争の悲惨に引きずり込んだ重要な役割を果たしたと見るべきで、ある意味では陸軍以上に責任が重大であったと言わざるを得ません。

 当時はラジオ以外、少数の雑誌をのぞき新聞だけが国民の意見形成の手段でしたから、事実は新聞で拾うより方法がなく、俄然新聞の影響力は巨大だったのです。

 戦線を南方に展開させ、無謀な二正面作戦を実行させる契機となった昭和研究会や尾崎秀美に見るだけでなく、世界から離反せる決定的なナチスドイツとの同盟を「バスに乗り遅れるな」といって、大キャンペーンを張ったのは「朝日新聞」でした。

 戦争を煽った朝日ニュース映像は陸軍との合作でしたが、こんな事は陸軍の支持ではなく朝日が自から進んでやった事です。

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 なぜなら、海軍はヒトラーの有色人種差別を十分に理解しており猛反対でしたし、「わが闘争」がはっきりそれを示していた事も朝日は承知したうえで、それを一行も報じておりません。

 もし、それを報じたならば日本国民がヒトラーを受け入れるはずはありませんでした。
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 「満州は日本の生命線」という、大キャンペーンもありました。

 朝日は満州堅持の歌や映画・劇まで作り、国民意識の高揚に努めた結果、世論ゆえに満州放棄という戦争回避の為の最終的決定的カードも切れなくなったと言っていいでしょう。

 このような例はそれこそ無数にあり、それも国家にとって決定的重要な意思決定局面で、必ず「朝日の弊害」が立ち現れるのです。

 この朝日の病気は戦後も同様で、それを一々書くのも疲れますので割愛しますが、今はもう「私たち国民は、いかに朝日から身を守るか」を考えたほうが賢明のようです。

                                                (続く)

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 朝日に騙されない為に!その1  山路敬介(宮古)

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日本の新聞、TVなどのメディアが、まるでなかったかのように「ミンダナオIS戦争」をまったく伝えないのは、昨日書いたとおりです。

この時期「IS戦争」がアジアで勃発しているという逃れようもない事実は、テロ準備罪がこのような厳しい国際情勢の必要から生れていることを物語っています。

ミンダナオは、マンチェスターやパリとつながっています。ヨーロッパの昨日はミンダナオの今日であり、東京の明日なのです。

おそらくそう遠くない将来、我が国も国際テロに直面することになります。

そのための備えとしてテロ準備罪が提案されたのであって、不備があるのなら維新のようにどんどんと修正案を出して建設的審議をするべきでした。

しかし今回も安保法制時と寸分変わらぬ光景が展開されました。

深読みするまでもなく、メディアは「共謀罪」とそれを進める政権攻撃のために、不都合な事実は何も見せない、何も聞かせない、何も考えさせない報道を続けたわけです。

国の外からテロの嵐が迫って来ているのに、それを議論させない報道と政治とはいったいなんなのでしょうか。

メディアにとって、愚民たる我ら国民が知ってよいのは週刊誌的「総理の意向」とやらだけのようです。

メディアの社会的役割は、事実報道です。

メディアが選んだ素材を、メディアに料理してもらい、愚民教育されることではありません。

私は極めて単純なことを言っているにすぎません。

事実を伝えよ。解釈は社説欄でやれ。情報の取捨選択は国民がする。お前らが選ぶな、勝手に味付けするな、ただこれだけです。

このようなことは、かつて大戦に突入する時期にメディアがした犯罪行為と、本質においてまったく変わるところがありません。

さて、本日は山路敬介氏から寄稿いただいた論考を掲載します。

山路氏は表層のモリカケ騒動にとらわれず、この騒動の奥に隠れている問題を摘出されています。 

分量の都合上3分割いたしました。

なお、連載途中で状況次第で私の通常の記事が割り込むことがありえますので、山路ファンの皆さまにおかれましてはご勘弁のほどを。 

なお、原則無編集ですが、見やすくするために、一部長文節を分割し、難解な用語に関しては、注釈引用を付け加えました。

                                             ブログ主

                 ~~~~~~~
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                  朝日に騙されない為に!
                                         山路敬介(宮古)

■はじめに 

 今回の加計学園騒動はどうみても籠池学園問題以下でしかなく、次々と出てくる個々の事実も、「問題」と言えるような種類のトピックはまったく見当たりません。

 このような大きなバカ騒ぎの原因は、「前川氏による印象操作によるもの」と結論づけてよいでしょう。

 既に獣医学部一校のみ、それも今治市にほぼ決定し文科省も含めた既定路線であったにもかかわらず、前川氏はあえてそこを話さず、あたかも白紙の状態からの「総理の御意向あった」との、会見での印象操作を行いました。

 その後、さらに菅官房長官発言やら萩生田メールなど、マスコミによるつまみ食い的な些事のクローズアップによる後方支援もあって「印象」は肥大化し、国民の判断を狂わせる事となったのが顛末です。

 このような仕業は前川氏だけでとても出来るものではなく、タイムリーな前後の報道やえげつなく自己の過去の主張を顧みない反転主張、その「火付けの手法」からしても朝日新聞が得意の「絵」を描いた合作の「詭計」だったと言っても良いと思います。

 朝日の体質は「吉田証言問題」、「吉田調書問題」を経てもいささかも変わるところがなく、むしろ巧妙さにおいてグレードアップしているようで、その「害悪性」も戦前から一貫しています。

 ただ、その原因として「朝日」は戦前から常に「ひも付き言論」の府であって、戦前は物心両面で「国家・軍」を主人とし、戦後すぐは自己保存的必要から「米軍」へ、そして精神的に「ソ連」から「共産主義国家」と次々と寄りかかる権力・権威を変えてきた事があげられます。

そして現代においては、311以降(あるいは「吉田調書」「吉田証言問題」以降)、「朝日の主人」が見えづらくなりました。

 それは「中国共産党」ではないか?とも巷間言われますが、そうとも言えないと思います。

A・ネグリの「マルチチュード」概念と「朝日新聞」

 
 A・ネグリの共著「帝国」は難解な本で、私など最初はその半分も理解出来ませんでした。

アントニオ・ネグリ - Wikipedia

 この本が理解出来ない原因は、よく解説などで見かける「反グローバリゼーションという立場からの書物」であるという意味に狭めて読むからで、その点あらゆる解説書は誤ってはいないとしても結局のところ、ネグリの言う「マルチチュード」が一体何を意味するのか、そこがわからないから全然意味が通じなかったのでした。

 ネグリは左派(リベラルではない)知識人の理論的支柱であり、私の考えでは「社会変革」をどう起こすか? その為にせっせと世界的な「悪党」として認知済みの「帝国」概念を極大解釈しつつ、つまるところ資本主義を「悪」とします。

 そして、現今の民主主義は資本に侵され尽くしているという考えから、選挙による民主的な手法以外の「運動による変革」を強力に提唱し、もって明らかに「革命への意思」を持つべく知識人層に植え付けて回る宣教師的人物であって、マルクス主義の亜種に過ぎないと言わざるをえません。

 私の知る限り、この「マルチチュード」概念をもっとも平明・適切に意味を明らかにしたのは篠原章博士ただ一人です。

 批評com『敵は一体だれなのか、ネグリのマルチチュード~』(※)の中で氏が述べているとおり、「マルチチュードは階級概念」であり、「知的労働に従事する人びとが主体」なのであり、現代におけるその知的労働者とはつまり、「横文字商売人+一部メディア人」なのです。
http://hi-hyou.com/archives/832
マルチチュード - Wikipedia ラテン語で「民衆」の意

 朝日新聞は比較的社内に求心力が強かった木村社長が「吉田調書問題」で辞任し、記者たちを抑えることの出来ない「弱い」渡邉社長に代わりましたが、発行部数が著しく減ったとはいえ、不動産収入が潤沢に推移しているゆえに経営基盤は磐石とみられます。

 このような状況下で朝日新聞社内で起こる変化は、さらなる「経営と編集の分離」です。

 それは記者個人レベルの言論の自由の紙面への反映をもたらし、それゆえ、過去記事との整合性もかなぐり捨てて資本の論理から切り離された記者の甘えと奔放です。

 ただに記者達の既定する「悪」であるところ無闇な「権力への反発」だけの、結果的に我々が対面する事になる「荒れた紙面」にあらわれる事になります。

 そして、ネグリと朝日新聞を結びつける線は、ネグリの招聘を念願し実現させた「学者の会」がその大元です。
安全保障関連法に反対する学者の会 - Wikipedia

 「学者の会」の反原発・反安保法制に見られた非常識な運動の礼賛、反GDPなどに見られる論説の完全な一致は、「ネグリ的革命を意識した行動」といっても、決してオーバーではないと考えます。

 くわえて、「学者の会」と前川前次官の近さは良く知られているとおりです。

 まぁ、朝日は今後この線で行くのだろう、という見当はつこうというものです。

                                                 (続く)

 

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ISのマラウィ占拠 フィリピンのシリア化始まる

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フィリピンのミンダナオ島がシリア化しています。

既にISはミンダナオ中部のマラウィ(Marawi)を占領し、市民を「人間の楯」にして実効支配を続けています。

このミンダナオにおいてISが勝利すると、フィリピン全土のIS拠点化が進行します。

そしてそれは海を超えてインドネシア、マレーシアへと拡大していくかもしれません。

いままでISは一部のアジア内陸部で影響力を持っているだけでしたが、ここでISの疑似国家建設を許せば、アジアにおける「シリア」、すなわち八方へと伸びるテロ拠点が完成することにてります。

その場合、はかりしれないテロの脅威がアジア全域に拡がるでしょう。

まずは、私たちになじみの少ないミンダナオ島の位置からいきましょう。

ミンダナオは、首都マニラがあるルソン島に次ぐ2番目に大きな島です。
ミンダナオ島 - Wikipedia

面積だけで97530平方kmもあり、驚いたことには韓国と同じくらいの面積です。人口も2200万人で、これも北朝鮮の2500万人といい勝負です。

島というと小さなイメージですが、北海道の83450平方kmより大きく、沖縄の(1207平方km)の8倍以上もあります。

平野にも恵まれていて農業・漁業が盛んなうえに、東海岸には2000m級の山岳さえあります。

Photo_4
宗教はカソリックが多いフィリピンでは珍しく、イスラム教が支配的です。14世紀には既に布教が盛んに行われ、イスラム教のスールー王国の版図の一部でした。
スールー王国 - Wikipedia

この「スールー王国軍」を名乗るフィリピン人テロリストは、2013年3月1日にマレーシア・ボルネオのサバ州ラハダトゥで、マレーシアの治安部隊の間で銃撃戦を行い、双方あわせて14人の死者が出す事件を発生させています。

スールー王国軍は分離独立を目指しています。

Sulu4スールー王国軍

現職のロドリゴ・ロア・ドゥテルテ大統領は、このミンダナオ・ダバオの出身です。彼はダバオ市長で名を馳せました。
ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia

ミンダナオを拡大します。今回ISに実効支配を許しているマラウィの位置を確認してください。MarawiGoogle Earth

このマラウィを巡って、激しい戦闘が繰り広げられています。

Photo_6ニューズウィークhttp://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/isis-116_1.php

「政府軍と「マウテグループ」などイスラム過激派との交戦が続くフィリピン南部のミンダナオ島情勢で、地元住民が戦闘現場から逃れる際、最大100体の遺体を目撃したと証言していることが17日までにわかった。(略)
政府軍と戦闘になっているのは、主にマウテグループで過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に忠誠を誓っている。また、地元のイスラム過激派「アブ・サヤフ」とも共闘しているとされる」(CNN6月17日)

https://www.cnn.co.jp/world/35102883.html

政府軍は戒厳令を布告し、陸上部隊以外に空軍も投入し、空爆をしています。

「フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は23日夜、南部ミンダナオ島全土とその周辺地域に戒厳令を布告した。同島南ラナオ州の州都マラウィ市で、ISIS(自称イスラム国)とつながりのあるイスラム系武装組織と政府軍の間で衝突が激化したからだ。
東南アジアにおけるISISの指導者と目されるイスニロン・ハピロンが潜伏するマラウィ市内でフィリピン軍が捕獲作戦を行った際、ISISに忠誠を誓うマウテグループの戦闘員らが政府軍に発砲して銃撃戦に発展。衝突により、周辺の住民に外出をやめるよう通達が出た。同市では27日以降、反政府勢力が病院や刑務所などを占拠している。
戒厳令の期間は60日。ドゥテルテは以前から、イスラム系武装組織との闘争が続くミンダナオ島に戒厳令を敷くと公約していた。フィリピンは国民の大多数がキリスト教徒だが、2016年以降は同国南部が実質的な「ウィラーヤ」(イスラム国の支配地域)になるのではと懸念されていた」(ニューズウィーク5月29日)

練度が高いとは決して思えないフィリピン空軍の空爆は、シリアの例を見ると、市民の多くを巻き添いにし、結果的にISの側に走らせる原因を作る危険がありますのでお勧めできません。

占拠を続けるのはイスニロン・ハピロンが幹部を務めるテロ組織アブ・サヤフ・グループです。

Photo_5イスロン・ハビロン

アブ・サヤフは単一のテログループではなく、ジェマー・イスラミヤ、アルカイダなど世界的なイスラム・テロリスト・ネットワークと連動して動いています。
.アブ・サヤフ - Wikipedia

Photo_7IS旗を掲げるアブ・サヤフ

このハビロンは、2014年にISに加わり、シリアでの戦闘にも参加し、シリアのISの職業的戦闘員を100名ちかくミンダナオに連れて来ていると見られています。

そしてこの受け皿となったのが、地元のイスラム過激派です。

彼らは2016年1月には、ミンダナオにおいて、ISのカリフ制国家を樹立したと宣言しました。

これはフィリピンの4ツの過激派組織が手を組み、ISの指導者バグダディに忠誠を誓ったものです。

ドゥテルテはこう警告しています。

「ドゥテルテは戒厳令下のイリガン市で26日、政府軍の兵士を前に演説した。「ISISはすでにフィリピン国内にいる」「私からテロリストに告げるメッセージは、今ならまだ対話を通じて事態を打開できるということ。もしお前たちに停戦の覚悟ができないならそれまでだ。戦争になるぞ」(ニューズウィーク同)

おそらくマラウィ攻防戦は、かなりの長期戦になると思われます。

フィリピン軍は市民の人質をとられた状態ですので、力攻めをしにくいために長期戦を前提とした包囲戦と海上封鎖で対応すると思われます。

ミンダナオは回りが全部海で内陸が熱帯雨林ですので、非力なフィリピン海軍では完全な海上封鎖は不可能に等しいと思われます。

外国海軍の協力が必須ですが、問題はドゥテルテが誰に支援を要請するかです。

ドゥテルテがいままでのように中国を当て込んだ場合、中国海軍は喜んで南シナ海における海上封鎖・警備活動に協力するでしょう。

対IS戦は大義名分として、これ以上のものはないからです。

これがなされた場合、南シナ海の中国海軍の実効支配は完成します。

一方、いまでも既に米軍特殊部隊が軍事顧問としてマラウィにも従軍していますから、米国の支援を要請するという可能性も捨てきれません。

そもそも、ISの今回の攻勢は、ベトナム戦争直後のスービック・クラークの撤去要求と似た構図の下で発生しています。ドゥテルテは米軍との共同訓練すら拒み、反米親中を掲げました。

彼がどこまで本気かわかりませんが、米国に「信用できない同盟国」という強い印象を与えたことは間違いありません。

エドワード・ルトワックなどは゛フィリピンを信用するなと明快に言い切っているほどです。

米国の軍事力を追い出せば、そこに「軍事の真空」と呼ばれる危険な力の空白地帯が生じます。

現在進行形なのが、ひとつが中国の南シナ海の実効支配であり、いままたISがカリフ国の成立を宣言したわけです。

もしフィリピンにベトナム戦当時のような強力な米軍基地があった場合、ISは手をだせなかったことでしょう。

この原因を作った張本人が、今、ISに浸食されようとしているミンダナオを地盤とするドゥテルテだったのは皮肉なことです。

米国がどのていど真剣に対処してくれるかは未知数ですが、このまま推移すれば中国がなんらかの介入をする可能性もあるかもしれません。

それにしてもこんな状況は去年初めから続いていたのに、モリカケ祭りに没頭してまったく一行も報じない日本マスコミもそうとうなものです。

長くなりましたので、今日はこのくらいに。

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「フィッツジェラルド」の衝突事故

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現在分かっている情報の範囲で、米海軍「DDG-62 フィッツジェラルド」の衝突事故について速報します。
フィッツジェラルド (ミサイル駆逐艦) - Wikipedia

これを伝えるNHK6月17日 7時03分)です。

「17日午前2時半前、静岡県南伊豆町の石廊崎から、およそ20キロ沖合で、フィリピン船籍のコンテナ船から「アメリカ海軍の船と衝突した」と第3管区海上保安本部に通報がありました。
下田海上保安部やアメリカ海軍によりますと、衝突したと見られるのは長さ222.6メートル、総トン数2万9060トンのフィリピン船籍のコンテナ船と、長さ154メートル、総トン数8315トンのアメリカ海軍横須賀基地所属のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」だということです」

Photo時事

現時点では「フィッツジェラルド」は曳航されて、横須賀12バースに接岸しています。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170618/k10011021491000.html

「17日、静岡県南伊豆町の沖合でアメリカ海軍のイージス駆逐艦とコンテナ船が衝突し、イージス艦の艦長ら3人がけがをし乗組員7人が依然として行方不明になっています。第3管区海上保安本部はアメリカ海軍とともに乗組員の安否の確認を進めるとともに、アメリカ側と協議しながら事故の状況を詳しく調べることにしています」(NHK6月18日)

米海軍公式発表の写真です。
http://www.cpf.navy.mil/news.aspx/130153

Photo_2USS Fitzgerald (DDG 62) returns to Fleet Activities Yokosuka, June 17. (U.S. Navy/MC1 Peter Burghart)

まず、破損個所ですが、艦の中枢部分とも言えるブリッジ(艦橋)の真下の右舷側の前甲板と後甲板を結ぶトンネル通路周辺が潰されています。

同型のカーチス・ウィルバーの左舷側トンネルです。大変に暗く狭いのが分かります。
Dsc_4959
この一角はブリッジと、その直下にはCIC(戦闘指揮所)があります。

CICは、艦の中枢です。「現代の軍艦における戦闘情報中枢のことである。レーダーソナー通信などや、自艦の状態に関する情報が集約される部署であり、指揮発令もここから行う」(ウィキ)
戦闘指揮所 - Wikipedia

よりによって、イージス艦の脳神経を直撃してしまったことになります。

行方不明者が7名でているそうですが、おそらくこのCICか、近辺の無線室などの区画にいて閉じ込められていると見られます。無事の救助をお祈りします。

※追記 行方不明7名のご遺体が発見され、収容されました。居住区域の瞬時の浸水で亡くなられた模様です。ご冥福をお祈りします。
なお浸水した区域は米海軍の発表では居住区二つ、機械室、無線室とのことでした。

通常戦闘が開始されると艦長はCICに詰めます。艦長も負傷して病院に収容されましたが、交通量が多い海域の航行なのでブリッジにいたかもしれません。

また、コンテナ船はバルバス・バウという球状船首ですので、突き出した部分が喫水線の船腹を深くえぐって、そこから浸水した可能性があります。
バルバス・バウ - Wikipedia

ぶつかったコンテナ船「ACXクリスタル」は貨物船なので、容積トン数(載貨重量トン数)で4万トン、満載排水量で5~6万トンとなります。

一方ぶつけられた「フィッツジェラルド」は軍艦ですので、重量トン数8300tです。

ですから下のNHKのテロップは、意味がない比較です。

Photo_4

現実にはコンテナ船がどれだけ積んでいたのかわからない以上、比較はできません。

満載していたのなら、腰だめでイージス艦5倍から6倍の重量の船にぶつけられたことになります。乗用車とトラックの衝突を想像していただければ近いと思います。

Photo_7ACX Crystal

軍艦なのに簡単に潰れるのかと言っていた人がいましたが、第2次世界大戦時とは違って、現代の艦は機動性を重んじるために軽量に作られていて装甲は張られていません。

ですから、普通の民間艦と変わりません。

ちなみ、イージスレーダーを持ちながらなんで見つけられなかった、とバカを言っているコメンターもいましたが、イージスシステムは対空レーダーで、通常航行時に使っているのは民間船と同じ航海用レーダーです。

廃船にはならないでしょうか、大破です。

イージスの目玉であるSPYレーダーが組み込まれたブリッジ全体が歪んでしまって傾いているために、一回撤去して再構築となるかもしれません。

横須賀は世界屈指の艦船修理能力を持ちますが、修理するためのバース(埠頭)が開いているかどうかの問題があるために、こと次第では本国に送り返すことになるかもしれません。

おそらく修理は1年では効かないかもしれませんが、極度に緊張している朝鮮半島情勢を控えていますので、補充艦艇があてられるかもしれませんが、当然のこととして未定です。

その場合、この時期貴重なMD(ミサイル防衛)艦が一隻減る可能性が出てきました。

■追記 蛇足ですが、朝日の編集員の小滝ちひろという人物がツイッターで「戦場でもないところでなにやってんの、と」などと書き込んでいました。
https://mobile.twitter.com/chihiroktk?p=s

人としての常識を疑います。

あの海域は東京湾に向かう水路と、横須賀に向かう水路が交錯するところで、大変に交通量が多く、ただでさえ危険な水域です。

※「船乗り」さんから訂正を頂戴しました。ありがとうございます。
「東京湾に向かう水路と横須賀に向かう水路が交錯するとありますが誤りです。東京湾(東京・横浜・千葉)に向かう船も横須賀に向かう船もすべて幅1500mあまりの浦賀水道を通らなければなりません。」

しかも夜間で視界は悪かったと思われます。

事故原因が明確にならない前に、7名もの殉職者を出した米艦艇にむかって「なにやってんだ」はないでしょう。

軍隊に対してはなにを言ってもいい、どんなに侮辱してもそれが正義だ、それこそ反戦平和だから許されると勘違いしている朝日らしい言い草です。

※帰港したフィツジェラルドの動画
https://www.dvidshub.net/video/532916/uss-fitzgerald-pull-after-collision

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日曜写真館 6月の宝石

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ニュースにならないことをニュースにする人たち

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有本香氏の近著に『「小池劇場」が日本を滅ぼす』という本があります。おそらく体系的に小池都政を分析した、最初の本になると思います。

出てすぐに買いましたが、実におもしろい。 

私も小池都政には似たような失望があったので、そのうちご紹介したいと思いますが、その巻末に「ニュースにならないことをニュースにする人」という一章があります。 

その冒頭に興味深い一節があります。 

「本来ニュースにもならないことが大ニュースになってしまうー、これが小池劇場のこまった特徴である。
行政の仕事というのは、日々これ膨大かつ多岐にわたるが、ほとんどが地味な作業の積み重ねだ。その一つ一つが遺漏なく着実にこなされていることはふつうニュースにはならず、私たちもそれをあたりまえだと思っている。
ところが、小池百合子という人にかかるとそのあたりまえがいちいち『事件』になる。マスメディアにとっては、いっとき貴重な『ニュースメーカー』とはなるが、都民にとっては、あたりまえの行政をあたりまえにやらないトップは『トラブルメーカー』でしかない」

この「小池百合子」の部分を民進党、「都民」を国民と読み替えてパロってみましょう。

「ところが、民進党にかかるとそのあたりまえがいちいち『事件』になる。マスメディアにとっては、いっとき貴重な『ニュースメーカー』とはなるが、国民にとっては、あたりまえの行政をあたりまえにやらない政党は『トラブルメーカー』でしかない」

もちろん火元である、朝日新聞と読み替えて頂ても趣きが深まるでしょう。

ところで、朝日は「加計問題、官僚に責任押しつけ」という見出しの後に、こう書いています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170617-00000003-asahi-pol

「加計(かけ)学園の獣医学部新設計画で、「総理のご意向」などと書かれた文書をめぐり、内閣府が文部科学省と食い違う調査結果を出した16日。この日の国会審議で浮かんだのは、責任を役人に押しつける政権側の姿だった。疑問を残したまま、国会は事実上閉会した」(6月17日) 

朝日に言わせると、「政府は疑問を残したまま官僚に責任を押しつけて逃げきりを計った」ということのようです。

はて、「官僚に責任を押しつけた」ですか?なんの責任でしょう。

そもそもこの加計問題とは、純粋に文科省内部の問題だったのではありませんか。

このメモを書いたとされたのは牧野美穂課長補佐だそうですが、課長補佐レベルの官僚のメモにそんなニュース性があるのか不思議に思いませんか。

しかもこの「牧野メモ」は、大臣はおろか副大臣、政務官も一読もしていなかったものです。

前川氏が病めてから「告発」しているように、「総理の介入によって行政を歪められた大問題」だと思っていたら、なぜ「牧野メモ」を正式文書にして上位の文科大臣に上げなかったのでしょうか。

下の諮問会議の議事録でも分かるように、北山文科省課長は「獣医師、歯科医師、船舶職員は増やさない」と述べているわけです。

このような本来の教育とは縁も縁ない分野の専門職の需給構造の許可権限まで、文科省は握って離さないわけです。

権限は握って離さない、本来は伝えるべき上位には伝達しないで握り潰し、辞めた後になってからリベンジする・・・、これこそ「われこそは国家」の官僚の姿です。

もちろん、牧野課長補佐が「総理の意向」を直接安倍氏から聞く立場になるためには、彼女はまだまだ官僚の長い階段を登っていかねばなりません。

どこで、このメモを盗られたのか知りませんが、あなたが意図的に流したのでなければ、このような使われたことについて、どのようにお考えかお聞きしたいものです。

当の牧野氏はヒアリングでこう言っているそうです。http://www.sankei.com/affairs/news/170615/afr1706150021-n3.html

総理までお話が伝わっているのだろうとは思ったと。レベルの問題もあるがスピード感を持ってやりなさいということなのか、特定のことにこうしなさいと言っているのかは分からない

これは2015年6月8日、国家戦略特区ワーキンググループ・ヒアリングの会議に、牧野氏が出席した感想だと思われます。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

この議事録を丹念に読むと、牧野氏はほとんど発言していないことに気がつきます。

しゃべっているのはこの部分です。

「○八代委員 文科省にお聞きしたいのですが、文科省が新しい大学を認めるときに、例えば教授の数とか教授のレベルとかということ以外に、この獣医以外では、その学部の卒業生の就職先があるかないかということを新設の基準にしているのですか。そういう例があれば教えていただきたいのです。医学部は別にして、例えば歯科医師などは別にそうしていると思いませんしという就職口まで考えて新設大学の認可基準に入っているのかどうかということです。
○北山専門教育課長 お答えします。文部科学省の告示において新設を規制している分野として、歯科医師と獣医師と船舶職員というものがございます。
○八代委員 逆に医学部はしていないのですね。
○牧野課長補佐 医学部もしています。その就職口までをも設置基準なりに入れているかというと、そういうことはございません。」

あともう一カ所短い答えがありますが、ほぼこれだけです。

大部分の文科省側の発言は、北山文科省高等教育局専門教育課長がしており、牧野氏はサポート役でしかなかったのがわかります。

素朴におかしいと思いませんか。

サポート役ていどで顔を出した役人の書いた、ヘッダーには日時も発信者名・宛て先名をもないただの「メモ」がそんなに重要なのかどうか、常識で判断していただきたいと思います。

しかも書いた当人が正直に、「スピード感を持ってやりなさいということなのか、特定のことにこうしなさいと言っているのかは分からない」と言っているように、「わからない」のです。

わかるはずがありません。議事録には「総理」の「そ」の字も出てこないからです。

あるはずがありません。それは国家戦略特区はこんな多重構造になっているからです。

Photohttps://web.pref.hyogo.lg.jp/kk45/kokkasenryakutok...

菅官房長官が、「特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定などいずれのプロセスにおいても関係法令に基づく適切な処理がなされており、圧力が働いたりしていない」と記者会見で述べていましたが、そのとおりです。

どこを特区にするのかという選定自体、総理がするわけではありません。国家戦略特区諮問会議が決定します。

規制改革のメニューづくり、その事業者の選定なども各WGが行います。総理が介入できる余地はまったくありません。

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上の図をみていただければ、それが200案件以上に登ることがお分かりになるだろうと思います。

現在進行しているこれらの案件を、坊主憎けりゃ袈裟までよろしく戦略特区廃止法案を出すと息巻いている党があったようですが、バカじゃないでしょうかね(苦笑)。

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しかもそこの党首が、かつて政権時に行政刷新大臣をしていたというブラックジョークつきです。

2010年6月8日に、前任の枝野幸男氏から引き継いだ事案の中に、既に今治市・加計画学園獣医学部新設は入っていたはずですよ。忘れちゃったのかな、蓮舫さん。

それはさておき、これらの規制改革に総理の意志が働くとすれば、牧野補佐が言うにように「スピード感をもってやれ」ていど以上でも以下でもないトップとしての一般論です。

ハッキリいっておきましょう。仮に首相が大統領が如き強い権限を持つトップだとしても、これだけのレベルを通過させて、特定の贔屓にする事業者を押し込むことは不可能です。

課長補佐は、「特定のことをこうしなさいかわからない」などと言っていますが、牧野さん、あなた自分が出た議事録読み返して、まだそんな寝ぼけたことを言っているのですか。

同じ会議に出ていたWG座長の八代委員は、こう明解に言い切っています。

「政策判断と決定プロセスはすべて正当であり、何らかの意向でゆがめられた事実はない。
獣医学部新設が実現できずにきたのは、既得権者が新規参入を阻んできたためだ。この分野でようやく岩盤規制改革が実現したことは評価すべきである。
『加計ありき』で検討されたとの指摘は事実に反する。今回の一連の経過によって今後の岩盤規制改革が阻まれることを強く危惧する」(産経6月13日抄録)

この加計問題は、文科省内部の問題にすぎません。

獣医学部新設することを既得権益の侵害だと捉えた日本獣医師会と、それと癒着して52年間も新設を阻んできた文科省の眼に、加計獣医学部新設がどう写ったのかというただのあくまで「主観」の問題です。

前川前事務次官は森友学園騒動を見て、「お、忖度という手があったのか」と膝を打ったのでしょう。

思えば「忖度」とはうまい武器を見つけ出したものです。

なにせこの言葉は「相手の気持ちをおもんばかる」ていどのファジーな意味ですから、そう思ったら勝ちです。

テレパシーでもあるのかと思いますが、「ほらここにも疑惑が。また疑惑発見」と次々に繰り出せば、イメージ形成にはなります。

こういうのを印象操作といいますが、やり続ければ見ている視聴者も鈍感になりますからね。

いいんです、これで。ともかくニューの時間をこれ一色で占拠してしまえば、なんとなくそういう「気分」にさせられるからです。

いわば情報の綿菓子です。グシャっと潰せば飴ていどが元種でも、疑惑の雲で取り囲めば大きくなります。

そしてこの飴すらも、元を正せば証拠となる文書は、一課長補佐の「あたし、そう思ったんです」というていどなんですから、なんともかとも。

特区に関わったのは民間委員と文科省以外に内閣府があるわけですが、内閣府は自身の8文書を調査の結果、「総理の意向などと記された文書は確認されなかった」とした上でこう述べています。

「文科省作成の概要メモは必ずしも議事録そのものではなく、文科省の作成者の受け止め方を記したものだと考えられる。省庁間の対立が先鋭化し、調整が困難な局面で内閣府職員が時として使用する強い口調が反映されたのではないかと推察される」(産経6月17日)

その上で今回内閣府は、「総理の意向」とか、「スピード感をもって実現すべきだ」という「牧野メモ」のようなことを言った者は内閣府にはいないとしています。

おそらくはそんなところでしょう。あくまでも文科省が、そう「受け取った」ということにすぎません。

「行政の仕事というのは、日々これ膨大かつ多岐にわたるが、ほとんどが地味な作業の積み重ね」(有本氏前掲書)なことを完全に吹っ飛ばして、ひとりの官僚の「主観」がニュースになってしまうわけです。

普通、社会人はこんなことをやりません。それは自分の日々の営為に対する冒涜だからです。

ところが現実にやってしまったのが、「本来ニュースにならないことをニュース」にしたかった前川喜平氏と、朝日新聞と野党だったのです。

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山城氏の国連スピーチと文科省の「文書発見」

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山城博治氏が国連の人権委員で、「平和的抗議行動を行っている」と自己紹介したあとに「日本政府は市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣した」と訴えたそうです。
http://www.sankei.com/politics/news/170616/plt1706160005-n1.html 
山城スピーチ全文http://www.sankei.com/politics/news/170616/plt1706160008-n1.html

沖縄のことなど何も知らない外国人相手をよいことに、よくもまぁこうぬけぬけと言えるものだと思いました。 

Photohttp://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/206100

白を黒と言うに等しい言い草です。国はあまりに度をすごして過激化の道を走る高江の反対闘争を法の枠内で押さえ込んだだけです。 

極めて抑制された警備だったためにヘルメットも楯も持たず、丸腰でした。そのために負傷者は自傷を別にすればほとんどでなかったはずです。 

機動隊が本気で「暴力的排除」をする気なら、まったく別の形になったことでしょう。 

そもそも「市民を弾圧」するために警察部隊を派遣したのではなく、過激な暴力が警察部隊を呼び込んだのです。 

山城氏がしばき隊や辛淑玉氏などのプロ在日運動家たちを呼び込んで、全国化・暴力化路線に入らなかったら、県警部隊だけで済んだわけで、本土の応援部隊の出る幕はなかったはずです。 

本土機動隊を呼び込んだのは、他ならぬ山城氏自身だということをお忘れなく。

山城氏はこうも述べています。

「私は抗議活動の最中、微罪で逮捕され、その後、2回さかのぼって逮捕されました。勾留は5カ月間にも及びました。面談は弁護士以外との接見を一切禁じられ、家族とも会うことを許されませんでした」(同上)

「微罪」ですって?山城氏は都合よくお忘れかもしれませんが、下の写真は2016年8月5日の高江N1裏テントで撮影されたものです。

防衛局職員を後ろからはがい締めにして土下座させ「尋問」しようとしているピンクのタオルの男が山城氏です。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/20165-b8be.html

Img_4480

下の写真で防衛局職員の頭部を、ヘルメット越しにといえどペンチで殴打したのも山城氏です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-36a1.html

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山城氏は今や「良心の囚人」「沖縄のガンジー」気取りですが、ガンジーは無抵抗の人間をはがい締めにして土下座させたり、頭部を金属で殴ったりなどはしません。

接見禁止になったのは、山城氏が犯した暴行罪が、上の現場写真で分かるように、山城氏の指揮の下に集団で引き起こしたからです。

このようなケースの場合、刑事訴訟法は逃亡、または証拠隠滅、第三者との口裏合わせなどの疑いがあるとして被疑者に対して、弁護士以外の面会、書類(手紙)の受け渡しを禁止することができます。

さらに長期拘留になったのは、初回の公判が決まらなかったからです。

山城氏ははっきり言わないと分からないようですから、言ってあげましょう。

山城さん、あなたが逮捕されたのはその思想故ではなく、己が犯した集団の暴力行為によってです。

わが国には思想犯自体が存在しません。あなたはただの刑事被告人にすぎないのです。勘違いしないように。 

さて素朴にお聞きしたいのですが、ほんとうに山城さん自身、あの高江紛争は「平和的」だったと思っていたのでしょうか? 

本気で思っていたなら山城さん、あれだけの暴力が「平和的」なら、次はもう本物の武器を握るしかなくなりますよ。あなたは本気でそうしたいのですか。 

そして本物のテロ等準備罪に引っかかるような、真のテロリスト集団を率いたいのでしょうか。

今の山城氏たちの反基地運動は、暴力主義的運動と従来の大衆運動とのグレーゾーンにいます。ただし、高江で一気に前者にのめり込んで行ってしまいました。

私はまだ引き返し可能地点だと思っています。悪いことは言いませんから、引き返し下さい。 

この山城国連スピーチ問題は、我那覇氏のスピーチが分かってからまた取り上げることとします。

※追記 我那覇氏のスピーチもでています。
http://www.sankei.com/politics/news/170615/plt1706150037-n1.html

Photo_2https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0615/058780471...

さて、テーマを変えます。文科省が文書の存在を認めたそうです。

嬉しげに報じる毎日です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170615-00000117-mai-soci

「学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、「総理のご意向」などと記された文書について、文部科学省は15日に「確認できなかった」としていた説明を一変させ、文書の存在を認めた。
前回も調査したパソコンの共有フォルダーから文書が見つかったうえ、「記憶にない」と答えていた職員が今回は文書の存在を認めるなど、不自然さが次々に露呈。会見した松野博一文科相や調査担当者は苦しい説明に終始した。」(6月15日)

文科省はいままで、「前川文書」にタイトルがなかったために千もの文書をひとつひとつ開けていままでは「国家戦略特区」というフォルダーだけしらべて、「獣医学教育」は調べなかったのだそうです。

こういう言い逃れを言うから、文科省の信頼は地に落ちるのです。

たぶん官僚が自らの漏洩責任を恐れて、臭いものに蓋が出来るとでも思ったのでしょう。

書いた者も特定されたようです。

「これらの文書の一部を作成したと認めた同課の課長補佐は、前回のヒアリングに「記憶にない」と答えていたものの、「もう一度記憶を呼び覚ましたところ」(義本審議官)、回答が変わった。類似の文書を作成した記憶はあったものの、文書の様式が異なるものもあり、「短時間の調査で曖昧な記憶で答えるわけにはいかなかった」と説明したという」(毎日 同)

おいおい、課長補佐さんとやら、「もういちど記憶を呼び覚ましたら」ですって(苦笑)。

おそらくこの課長補佐は、特別区諮問会議に文科省を代表して出席した牧野美穂 ・高等教育局専門教育課長補佐だと思われます。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

国全体を騒がせている事件で注目されている自分が書いた文書くらい、すぐに思いだせないのかよ、と思います。

ただし、彼女に代わって弁解するなら、義本博司総括審議官は「文書は一定の作り直しがされている」と言っていますから、「前川文書」とは違うので牧野氏は「記憶にない」と言ってしまったのかもしれません。

もしそうなら、「前川文書」は前川本人か玉木氏が切り貼りして作った、偽造文書の可能性もでてきました。

政府が出所不明の怪文書としたことをいいことに、文科省官僚はこのまま逃げきれると思ったのでしょう。

大方、9月の定期人事異動の直前に、なぜこんなものを書いたのかと詰め腹を切らされたくなかったのでしょう。

だからこんなメモは「獣医教育」フォルダーにあることなど多くの者が知っていて、口裏を合わせて「知りません」ととぼけたのです。

芯から腐り切っていますな、この官庁は。

いつまでも「見つからない」なら、政府は「あるものをない」と言っていると疑惑追及され続けますから、国民の疑惑の眼は政府に向きますからね。

残念ですが、文科省官僚の思惑ははずれて、政府は一転して徹底調査を命じてしまいました。

政府は自らの落ち度がまったくない、という圧倒的自信をもっているからこそ再調査を命じたのです。

しかし、ここまで文書があるかないかを引っ張ったおかげで、国会は哀れ閉会となってしまったわけで、まことに文科省官僚の皆さんには痛いことです。

たぶんここまで再調査を引っ張ったのは、国会の閉会を睨んでの事だと思います。

早期に再調査してしまって今回のような「発見」となった場合、鬼の首をとったように民進党がはしゃいで、懸案のテロ等準備罪の国会審議がまたまた遅延します。

民進党からありとあらゆる委員会でモリ・カケをダラダラと質問され、果ては審議拒否までを連発されてきましたからね。

民進党はモリ・カケで時間を浪費させて審議未了に持ち込む算段でしたが、最後の最後になって、維新の議員の質問を中断させて問責決議案を出したために審議終了とみなされるというおまけつきでたね。

自分で招いておきながら、「審議が足りない。強行採決だ」はないもんです。

政府としては、ならぬ辛抱、するが辛抱の限界まで引っ張って、ポンっと閉会間際を狙ったのでしょう。

いずれにしてもこの「文書発見」は、前事務次官自身による漏洩とあいまって、文科省という官庁のモラルの腐敗を物語っています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-501d.html

後はこの課長補佐から、特区諮問会議の議事において、なにを「総理のご意向」と解釈したのか、なぜそういう表現をとったのか、どのような意図があったのか、その理由を明確にさせるべきでしょう。

■追記 牧野課長補佐ヒアリングでの回答。
「総理までお話が伝わっているのだろうとは思ったと。レベルの問題もあるがスピード感を持ってやりなさいということなのか、特定のことにこうしなさいと言っているのかは分からない」
http://www.sankei.com/affairs/news/170615/afr1706150021-n3.html

 

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朝日新聞 正しいフェークニュースの作り方その2




実は今述べたカメラの撮り方ひとつで受け取る印象がまったく異なるということは、報道一般でも同じことがいえます。

朝日のスクープは、必ずひとつの文書・証言にのみ焦点を当てるやり方をとります。

するとカメラでいえばちょうど大望遠で撮った映像のように、周囲がピンボケになって被写体だけ浮きだします。

慰安婦の吉田清治証言、福島事故の吉田調書、そして今回の加計の前川文書・証言など、いろいろ言っているようですが、それはまるで綿菓子のようなもので、手で握りつぶせば飴玉くらいの大きさに縮まってしまいます。

ひとつの証拠・証言が出た場合、焦って飛びつかずに背景を探り、裏取り取材をするのがジャーナリズムの定石ですが、朝日はこれで政府攻撃の好機到来とばかりに頭に血が登ってしまうと見えて、一切そのプロセスを省略してしまいます。

冷静に突き放して俯瞰でながめられないのですから、かならず蹴つまずきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

※メディアの体質の分析をする予定でしたが、2本アップはさすがきついので1本といたしました。体質分析は後日ということに。

■写真 湖に咲くアサザのシーズンです。


私は、朝日新聞の、「所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」(朝日新聞5月20日)というキャンペーンを読んで、どうしてこういう解釈ができるのかとため息すら出ました。

私が、朝日新聞のキャンペーンがおかしいと感じたのは、このキャンペーンは当時の吉田氏の「立場」をまったく理解していないことがすぐに分ったからです。 

当時の吉田氏は、福島第1原発所長として2つの責任を抱えていました。

①過酷事故に対応する緊急対処グループの現場指揮官
②約700名の女性、事務職、下請けまで含んだ人々の安全管理責任者
 

つまり彼は、おそらく世界中の誰ひとりとして体験したことのない巨大原子力事故の緊急対応指揮を執りながら、一方で700名もの人々の職員・労働者の生命を守っていたのです。

まさに超人的の一語に尽きます。退任してほどなく病床に就いたのは当然のことです。多くの人は、彼の死を「戦死」と敬意を込めて呼びました。

さて、2011年3月15日朝の状況をもう一度おさらいしてみましょう。状況は最悪に近づきつつありました。

①1、3号機は既に爆発。避難所であった重要免震棟近くの2号機も爆発寸前。
②食糧、電気、水の備蓄が切れかかり、トイレすら使用不可能になりつつあった。
③構内は最大で1万1930マイクロシーベルト/時という高線量になっていた。

このような状況下で重要免震棟は、放射能遮断設備があるここにしか避難するしかなかったために700名もの人々を収容して膨れ上がっていたわけです。 

それから数か月たってもなお、階段や廊下に倒れるように眠っている作業員の姿が見られています。 

ましてや事故当時の状態は、凄惨極まるものであったことは想像に難くないと思われます。 

この記事によれば、吉田氏は高線量で食糧も切れかかっている、電気、トイレも使えないという重要免震棟に、その上事故処理には役にたたない事務職員の女の子まで「戻ってこい」と言っているとされています。

第一、帰ってきてなにをするのですか、出金伝票の整理でも?

事務職系に仕事はないし、下請けに対しては、福島第2の所長は留まるように指示していますが、吉田氏はすべて東電社員のみで責任を被っていこうという姿勢を貫いています。

なぜなら、当時の状況において残留することは、すなわち「死」を意味したからです。

それを朝日は、比較的安全な福島第2への退避ではなく、2号機の爆発が迫っていた構内に「待機していろ」というのですからハンパではない冷血漢か馬鹿ということになります。 

私は朝日新聞記事のこの部分を読んだ時、失笑してしまいました。ありえないからです。 

吉田氏の人柄以前に、現場指揮官として、女性や事務職員までここにいろと言うこと自体ナンセンスです。それもひとりふたりではなく700人も!(苦笑) 

安全管理上はいうまでもありませんが、緊急対応で不眠不休の戦いをしていた吉田氏には、700名もの大人数の保護をする余裕などなかったことでしょう。 

きっとこの朝日新聞の記事を読んだ国民は、そうか吉田氏は日本を救った英雄的な人だと聞いていたが、ガッカリだと思われたことでしょう。 

おそらく朝日新聞のねらいは、まさしくそこです。 

鬼籍に入られた吉田昌郎氏という男を、冷酷な「汚れた英雄」、しかも馬鹿として貶めたかったのです。 

そして630名もの事故に耐えた名もなき人々には、「恐怖にかられて逃げ出した命令違反者」として唾を吐きかけたわけです。たいした感性です。

実際、週刊ポストによれば朝日新聞の報道を受けて、海外ではこのような報道がなされたそうです。

福島第1原発の作業員は危機のさなか逃げ去った」(英国BBC)
福島第1原発は日本版セウォル号だった。職員90%が無断脱出!」(韓国エコノミックレビュー)
2011年、命令にも関わらず、パニックに陥った作業員たちは福島原発から逃げ去っていた」(NYタイムス)

福島第1の現場職員たちは、朝日新聞によってなんとあの「セウォル号の船員」にされてしまったわけです。

ここでもデマを海外に拡散し続けている、朝日の姿が見て取れます。

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朝日新聞 正しいフェークニュースの作り方

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朝日新聞のフェークニュースの作り方の参考例を、2015年7月25日の記事からいくつかあげておきます。

これとまったく同じことを、朝日は2年後のテロ準備罪でも繰り返しているので失笑してしまいます。

朝日はなんどダマしても気がつかないほど、国民が馬鹿だと思っているんでしょうね。

なお本日の記事は別にあります。

                                         ~~~~~~~~~

特定秘密法の時に、朝日は大キャンペーンを張ったのですが、こういうかんじです。

もはや世界記憶遺産に登録申請したいような殿堂入りモノです。

「防衛産業で働くB男がA子と大学の同窓会で再会した。酔ったB男は『あまり知られていない話だけど』といって、数年前に北朝鮮が発射したミサイルが途中で失速して海に落ちたが、『もし失速していなかったらこの辺に落ちていたかも』という情報を暴露。
A子がブログで書き込み、ある防衛マニアかミサイルの飛ぶコースを推測してネットで拡散した。翌月、捜査機関が二人を訪ねて来た。B男は業務で知った秘密を漏らした疑い、A子は漏洩をそそのかした疑いだった」 (2013年12月6日)

この記事のキモはむしろイラストにあって、そこには思わせぶりに「有罪!」という字がデカデカと踊っているのですから、さぁお立ち会い! 

Photo_3朝日新聞デジタル 12月6日 秘密保護法案 条文解説ここが問題)規制の鎖、あなたにも

もちろん、本文には「逮捕される」も、ましてや「有罪」もありません。これが味噌です。ただ「捜査機関が訪れた」と記してあって、そこで寸止めです。逮捕まで書くとまるっきりの誤報だもんね(苦笑)。

そもそも、特定秘密法は、防衛省や製造に携わった関係者に対しての秘密保全義務に罰則規定を設けただけのもので、世界中どこの国にもあるものです。

たかだかミサイルの弾道を予測したらパクられるようなもんじゃありません。それを、「同窓会」だとか、「ネットでの拡散」とか、市民の身近な例に引き寄せて、恐怖を煽っています。

この手法は、民主党が今回の安保法制審議で、「徴兵制が来る」とやって、国民に身近な恐怖を煽ろうとした手口に通じます。実に卑劣です。

「ネット」も「同窓会」も、特定秘密法案にはなんの関係もありません(あたりまえだ)。

それをあたかも特定秘密法で、国が気に食わないことを言えば逮捕されて罰せられる、という恐怖を植えつける素材として持ち出します。

典型的な印象操作による歪曲報道のやり口ですが、これは<恐怖>を担保にしているだけに効くんだなぁ。

これに煽られたのか、リベラル文化人までが、「物言えぬ憲兵政治が戻って来る」と騒いだのですから、なんともかとも。

0b901139(写真 「プロメテウスの罠」を大々的に賛美する朝日新聞。2011年から2年間ていどは朝日の「良心の証」のような存在だったが、執筆記者が吉田調書でズッコケて、今や歪曲報道の殿堂入りに)

こういう書き方は朝日のオハコで、『プロメテウスの罠』でも使われています。 

たとえば、有名な町田の主婦の子供が「鼻血を出した」件などは、こういう書き方をしています。こちらも歪曲報道の殿堂入り記事です。

「有馬理恵(39)のケース。6歳になる男の子が原発事故後、様子がおかしい。4カ月の間に鼻血が10回以上出た。30分近くも止まらず、シーツが真っ赤になった。(中略)
原発事故後、子どもたちの体調に明らかな変化はありませんか」。すると5時間後、有馬のもとに43の事例が届いた。いずれも、鼻血や下痢、口内炎などを訴えていた。(中略)
こうした症状が原発事故と関係があるかどうかは不明だ。首都圏で内部被曝というのは心配しすぎではないかという声もある。しかし、母親たちの不安感は相当に深刻だ。たとえば埼玉県東松山市のある母親グループのメンバーは、各自がそれぞれ線量計を持ち歩いている」(朝日新聞2011年12月2日 太字引用者)

まず衝撃的な、「子供が放射能の影響で鼻血」という事例をぶつけて、読者を<恐怖>の前にひれ伏させます。 

ちなみに、この有森氏という女性はただの主婦ではなく、共産党系の女優で、集団的自衛権反対演劇などをしているプロの運動家です。 

こういうタイプの人物を、なんの注釈もなく登場させ、デマの発信源とするのが、朝日です。

それはさておき、記事は「町田という遠隔地にも子供に放射能が原因で鼻血が出た」というショックで思考停止に追い込んだ後に、「放射能の恐怖でお母さんたちがパニックになっている、東京都下まで放射能被害が及んでいる、子供がバタバタ倒れている」という印象を植えつけます。

もはや報道というよりアジビラですが、実に巧みです。

これと同じ手法は雁屋哲氏が、『美味しんぼ』で使い、こちらは失敗しました。

Photo_2(写真 「美味しんぼ・福島の真実」より。「鼻血が出た。放射能のせいだと訴える井戸川元町長。この人の鼻血は埼玉に逃げてもまだ止まらないようで、写真まで公開してバッチイ。当然のこととして、このマンガにも出てくる松岡医師のようなヘンな人しか、それを被曝とは結びつけていない。この大阪瓦礫焼却と鼻血の関係も、デタラメであることが完全に証明されている)

具体的病名も提示されなければ、医師の所見も「心理的なもんでしょうね」ていどのあいまいなものです。

全部ただの「印象」です。無関係な事例を、先入観とイデオロギーで接着しているだけです。

あのね、朝日と雁屋さん、、子供は年中鼻血くらい出すの。首都圏で募れば43件くらい簡単に集まるの。

これはこのブログで徹底的に書いたことですが、仮に放射能と鼻血が関連があるなら一時に高線量を浴びた急性被曝だけなのです。 

こんなことは少し放射線防護学を勉強すれば、すぐにわかることです。

しかし、これでいいのです。なぜなら、これらの情報の目的は、恐怖を植えつけて自分の意志に従わせることだからです。  

もちろん、朝日の記者自身もそれがありえないことを医師から取材しているはずで、ちゃんと言い訳を紛れ込ましています。  

記事中には巧みに、「関係があるかどうかは不明だ」、あるいは「心配しすぎではないか」と批判を受けた場合の逃げ道を作って、後から「あれはそのような人が出たという客観報道にすぎません」と、いざ追及された場合には逃げられるように、非常口も作ってあります。 

つまり、悪い意味での「プロの仕事」なのですから、余計に悪質です。

こういう、本来無関係な事柄を主観でくっつけて、自らの主観の方向に「角度をつける」報道を印象報道と呼びます。

どうしてこんな飛ばし記事が新聞協会賞なんかに選ばれるのでしょか。まぁ、新聞協会会長は朝日新聞社長でしたけど(笑)。 

もちろん事故から9か月しかたたない当時の状況で、大新聞にこのような書き方をされたら、情報を持たない一般読者は、「放射能の影響で子供を中心に健康被害がどんどん拡がっている。大変だ!子供を守れ!」という気分にさせられます。

そして朝日の思惑どおり、母親たちの脱原発サークルが大量に生れ、自主避難者の大群を作る結果につながっていったわけです。

雁屋氏のほうは、だいぶ情報が出揃ってからの時期だったから袋叩きにあいましたが、『美味しんぼ』が出たのが2011年夏あたりだったら、巨大な負のインパクトを与えたことでしょう。

ちなみに、この「プロメテウスの罠」を書いた木村英昭記者と宮崎知記者は、後に吉田所長調書を手に入れて、「所長命令に違反して所員は大部分逃亡していた」というヨタ記事に仕立て上げ、その嘘がバレて、記者生命を失っただけではなく、社長と朝日まで道連れにしています。

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(写真 謝罪会見する朝日木村社長。この後に第三者委員会で厳しい指摘があったが、いまもなおその報道姿勢には変化がない。いやむしろ、いっそうひどくなっている)

このような無関係、ないしは無関係かもしれない情報を、自分の主観で強引につなげて自分の説を強調する印象操作が、いかにメディア自身にとっても毒になったかわかるでしょう。

このような印象操作に基づく印象報道を、徹底的にメディア・リテラシーしてきたのが私たちブロガーたちでした。

もし、これらの朝日の歪曲報道に対して、ネット界から発信されるカウンターがなければ、一昔のように嘘が嘘のまま歴史的事実となっていったことでしょう。

思えば、慰安婦問題が流布される1990年代初期に、いまのようにネット言論が盛んならば、慰安婦虚報はここまで世界に拡がることはなかったはずです。

私も微力ながら、このリテラシーに参加できたことを、ささやかな誇りにしています。

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メディアの横並びはなぜ生れるのか?

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日本が報道の自由度ランキングで、アフリカの破綻国家並のランクにあるそうです。 

ここまでメディアの質が低い先進国って、世界でも稀ではないでしょうかね。

最悪のメイドインジャパン、それがマスコミです。 

ですから私は、自由度ランキングが低いことにことさら怒る気にもなれません。

メディアが慢性的に自殺している国の自由度ランキングなんぞ、低くて当然です。 

「権力の統制」とはなんの関係ありません。 

産経には「花田紀凱の週刊誌ウォッチング」という名物コラムがありますが、その中で花田氏はメディアの横並びをこう嘆いておられます。
http://www.sankei.com/premium/news/170611/prm1706110017-n1.html

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「意図的に安倍内閣批判に使っている朝日や民進党はしかたないとして、週刊誌まで、いつまで“前川発言”に振り回されているのか。
『週刊文春』(6月15日号)が「驕るな! 安倍首相」
『週刊朝日』(6・16)「安倍官邸に巣くう加計学園人脈」
『サンデー毎日』(6・18)「加計学園問題は便宜供与疑惑だ!」
雑誌界のリーダーたるべき『文芸春秋』まで7月号の右柱が「前川喜平前文科次官独占手記」には心底、がっかりした。“独占”でもないし」(6月11日)

原因は、メディアがよく言いたがる「権力の言論統制」などにはありません。

その証拠に今の報道は、森友・昭恵夫人バッシング・加速計画・前川文書など、全部が全部、画一的な政権批判ですからね。

おまけに地上波のテレ朝、TBS、NHKまで同調するんだから、うんざりします。

まるで全体主義国家のようです。 

統制しているのが権力ならば見えやすいのですが、メディア自らが自らを縛っているから始末に悪いのです。 

ですから、むしろなぜメディアがこんな横並びになってしまうのか、考えたほうがいいと思います。 

参考資料として、朝日のフェークニュースの作り方を書きましたので、よろしかったらご覧になって下さい。 

ではなぜ朝日ばかり数々の致命的な大誤報を仕出かすのでしょうか。それには大きな理由があります。 

前回の大誤報は、リークされた「吉田調書」を意図的にねじ曲げて、本来「論評」あるいは「社論」であるべき、原発=悪、あるいは東電=悪を、あたかも「報道」であるかのようにキャンペーンしてしまったことでした。 

私もこのキャンペーン開始直後から一連の批判特集を組んでいます。
朝日「吉田調書」の虚妄全4回
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-f908.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-4637.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-ab8a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-aaf8.html 

ノンフィクション作家の門田隆将氏は、『吉田調書を読み解く』の中でこう述べています。 

「私は朝日のキャンペーン記事を読みながらある疑念が頭を離れなかった。『この記事は現場の取材をまったくしないまま書いているのではないか』
それは、この一点に尽きた。
現場を取材していれば、これほど事実と真逆なことが書かれるはずがないからである。
朝日が書く『命令違反の撤退』をしたとされる人間は、おおよそ500人もいる。たった1人か2人しか取材対象の人間がいなくても、ジャーナリズムの世界では、真実のためにできるだけその対象者に肉薄しようとする。(略)
しかし朝日新聞の記事は、どこからも現場の息づかいが聞こえてこない。すなわち現場取材の形跡が見えてこないのだ」

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今回の「加計疑惑」もまったく同じ構図です。 

朝日は今回もソースの周辺取材を完全に置き去って、ただ一点「前川文書」の下の写真にあるただ一行だけを根拠にして大キャンペーを開始しました。 

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それに産経と読売以外ほぼすべての新聞、週刊誌、地上波が同調したわけですから、スゴイといえばスゴイ光景です。

日本のメディアの9割は、「事実」がなんであるかという求是をせずに、「こうあってほしい」という情緒的気分によって支配されて「論評」してしまったわけです。

つまり、門田氏がいう、「現場の息づかいが聞こえない」報道を大量に流し続けたのです。

この根底には、これまで情報を一握りのメディアが独占しているという鼻持ちならない特権意識があります。

この特権意識から生れたのが、世論は自分たちメディア・エリートが誘導できるという思い上がりです。

政治家も企業経営者もメディアにバッシングされることを望んでいません。

与党議員ですら悪く書かれると政治生命に響くので、メディアに及び腰になっていました。

たかだか私企業の一社員でしかない記者が、自分が何様であるかのような顔をして総理を呼び捨てにする愚かさはそこらじゅうにころがっています。

このメディアの歪んだ特権意識は、メディアという巨大資本による縦軸と横軸支配構造があります。

これについては長くなりそうなので、今日は枕ということで次回に続けることにします。

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拝啓 朝日新聞社様 

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参考として2014年9月8日の記事を再掲いたします。本日の記事は別にあります。

                                     ーーーーーーーー

拝啓 朝日新聞社様。貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 

さて、今回の貴紙8月4日付け検証記事を拝見し、数々の疑問を覚えました。つきましては、今回の慰安婦検証記事について多少質問させていただきます。 

朝日新聞はこう書いています。http://www.asahi.com/articles/ASG7X6753G7XUTIL053.html

「慰安婦問題に光が当たり始めた90年代初め、研究は進んでいませんでした。私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました。問題の全体像がわからない段階で起きた誤りですが、裏付け取材が不十分だった点は反省します。似たような誤りは当時、国内の他のメディアや韓国メディアの記事にもありました。
こうした一部の不正確な報道が、慰安婦問題の理解を混乱させている、との指摘もあります。しかし、そのことを理由とした「慰安婦問題は捏造」という主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できません」(朝日新聞8月4日)

この「他のメディア」ウンヌンは無視します。他のメディアは毎日、、NHKなどを除いてかなり前に訂正記事を出していますし、そもそもそのような相殺論法自体、朝日の罪を少しも軽くするものではありません。

慰安婦問題で朝日は長年、「よその国にも慰安婦がいたのに、なぜ日本だけが批判を受ける」という言い訳を断罪してきたはずです。 

最初の告発役を演じた朝日が誤報を認めずに牽引役を続けたために、ここまで事態は大きくなったのであって、その責任の重さは他社と比較になりません。

こういう態度を、世間では卑怯と呼びます。

さて、まず第1に、朝日は誤報の理由を「挺身隊」については研究が進んでいないため「全体像がわからなかった」時代状況のためとして、時代の研究水準が原因で、朝日には責任がなかったがごとく書かれています。

これも責任の転嫁、ないしは極小化と断じることが可能ですが、もう少し背景があります。

吉田証言は、遡ること1963年に週刊朝日の「私の八月十五日」で紹介されたのが最初です。

以降1983年の有名な「私の戦争犯罪」を経て、90年代にはたびたび紙面に登場し、92年には朝日新聞から「女たちの太平洋戦争」という書籍で大々的に取り上げています。

おそらくこの本で彼は朝日公認の生き証人となったと思われます。

金学順氏が裁判に踏み切ったことを受けて、状況は大きく拡大すると見て、今まで慰安婦報道を先行してきた大阪本社は、現地に元慰安婦団体の幹部ある梁順任氏の娘婿の植村隆氏を、急遽ソウルに派遣して記事にしたものだと思われています。

したがって、植村記者は吉田氏の証言をなんらかの形で知って、しかも大阪本社の上層部の意志でソウルに渡ったことになります。

元朝日ソウル特派員を務めていた前川恵司氏は、「植村氏が大阪社会部だったことをけげんに思った」「挺身隊が勤労動員だということは当時多くの生存者がいたので常識であり、すぐに修正されると思っていた」と述べています。

それが、朝日新聞(1991年8月11日)記事『元朝鮮人従軍 戦後半世紀重い口開く』です。

「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺(てい)身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦」』」(同記事)

この記事の致命的誤りは、当時日本国内でも実施されていた勤労動員である「女子挺身隊」と、従軍を意図的に混同して、それを「連行」という官憲の強制性としていることです。

女子挺身隊は1943年に実施された14歳以上25歳未満の女性の工場などへの勤労動員のことです。

これは当時の米英でも一般的であって、女性を「従軍慰安婦」にすることとはなんの関係もありません。

これは単なる表記ミスにとどまらず、後に勤労挺身隊の数が20万人だったことから「20万人の女性が挺身隊として慰安婦にされた」という捏造につながっていきます。

これは朝日が述べるような大げさな「当時の研究水準」などといったものに転化するべきでははなく、当時まだ大量に生存していた経験者に取材すれば済むことでした。

なぜかかる初歩的ミスをそのまま放置したのでしょうか。

第2に、また、吉田清治証言についても「見抜けなかった」、つまりは自分も騙された可哀相な被害者であったとしています。

「読者のみなさまへ
 吉田氏が済州島でを強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました」(同)

ではこの裏取り取材をしたのは、この「吉田証言」報道がなされて実に32年後です。ここには「再取材」と書かれていますから、前に一回したようです。 

その取材は、現地にいったが何も見つからなかったという実にとぼけたことを書いていますが、フジテレビ14年8月9日「真報道2001」の数時間の調査でもあっさりと否定されています。

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これでは朝日が極端に取材力が欠如していたのか、はじめからアリバイ作りをするために「行ってみた」だけにすぎないと思われます。

そこで、現地調査の実施年月日はいつでしょうか。92年の秦郁彦氏(当時千葉大教授)の現地調査の前でしょうか、後でしょうか。 

前ならば、いかなる調査結果が出たのか、今年の現地調査と当然異なって「吉田証言が真実である」という結果が出たから、後にも吉田証言を繰り返し使い続けていたわけですから、その調査結果と共に理由をぜひ教えて頂きたいものです。 

また後ならば、これまた秦調査を否定する内容だったとしか考えられませんから、その内容と、取材先、取材方法などと、なぜ当時紙面で公開しなかったのか、その理由をお聞かせ下さい。 

第3に、今回の検証特集記事を読めば、今年の取材で(32年前の裏取りを今やっていること自体が驚きですが)吉田氏の遺族から吉田氏の妻が書いたとされる日記自体が存在しないと教えられたそうです。 

この「妻の日記」は、吉田氏が唯一の物証として挙げているものでこれがないとなると、吉田証言は完全にその根拠を失います。 

ならば、なぜ、32年間も裏付け調査を怠ってきたのでしょうか。記事にする前に裏付け調査をするのが報道の原則です。 

それを今回に限ってなぜ行わなかったのでしょうか。その理由はなんだったのでしょうか。

第4に、さきほど上げた朝日元ソウル特派員・前川恵司氏の、「82年頃に吉田氏から接触があり、証言を乗せてほしいということで取材したが、拉致した女性の数が毎回ちがうなどあまりに信用できずに掲載を断った」という証言がでております。 

ということは、朝日は少なくとも82年以降、この吉田清治証言の事実無根だと知り得たことになります。 

なぜ朝日はこのような社内情報を黙殺したのでしょうか。

第5に、挺身隊は誤用だった、当時は研究がそこまで行っていなかったとのことです。しかし、検証記事の中でこう述べています。 

検証記事の本文では「朝日新聞は93年以降、両者を混同しないよう努めてきた」と書いています。 

ならば、93年段階で、朝日は既にこの誤報を知っていたことになります。ならば、なぜ、その時点で「挺身隊報道は誤報であった」と報じなかったのでしょうか。 

第6に、この時点で誤報だったと報じていれば、以下にあるような事態は避けられたはずです。

朝日慰安婦報道によって大きな国際的影響が生じました。この国際的影響は朝日の今回の検証記事からスッポリ抜けています。

あたかも、クマラスワミ報告書も、韓国の反日政策も一切なにもなかったかのようです。 

まず1996年に国連人権委員会クワラスワミ報告が出されます。
※「女性に対する暴力報告」
http://www.awf.or.jp/pdf/0031.pdf  

このクワラスワミ報告書は、内容のほぼすべてが韓国側、ないしは日本の運動家の言論を基にして作られていて、吉田証言はこのように反映されています。

「28(略)挺身隊に推薦された少女が出頭しない場合は、憲兵隊ないし軍警察がその理由を調査した。氏ッ再女子挺身隊によって日本軍は地元の朝鮮人業者や警察官を利用して、地元の少女にウソの口実の下に戦争協力をするように圧力をかけたことは既に述べた通りである。
29それ以上にまだ女性が必要とされた場合は、日本軍はあからさまな力の行使や襲撃に訴え、抵抗する家族を殺害することもあった」(同報告書)

韓国政府・女性家族部の公式見解はこうです。

」とは戦時中に日本の旧植民地朝鮮台湾など)や占領地(中国フィリピンインドネシアなど)から強制募集され、意に反して性奴隷として奉仕させられた若い女性に対する婉曲表現である。日本軍、官憲及び民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って、日本の植民地や占領地の至る所で性奴隷として売春を強要した。これらの女性は「comfort women」、「comfort girls」、「従軍( military comfort women)」「military-serving women」などと呼ばれてきましたが、現在では性奴隷として犠牲になったことを意味する「military sex slaves」として定義されている」

ここにも「日本軍、官憲ないしは民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って」「性奴隷にした」とあります。

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(アングレーム漫画祭の韓国政府出展作品より TBS『情報7days ニュースキャスター』2013年2月1日)

 

また、近年になってもマイク・ホンダ議員が提案した米国下院121号決議の審議過程にも強く影響を与えています。(※翌年の日本政府の異議で当該部分は削除されています)
※http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d110:H.Res121:

ほんの2年前に書かれた韓国大手紙・朝鮮日報(2012年9月9日)は、「狩りをした日本人」という記事でこう書いています。

「強制連行の証拠はない」と主張する野田首相の発言に憤慨した読者のキム・ウォンテさんが、自身の所有する日本の本を送ってきた。吉田清治という日本人が1972年に書いた手記だった。
吉田氏は戦時中、下関で、労働者の徴用機関だった「労務報国会」の動員部長を3年間務めた。吉田氏は、数多くの朝鮮人を強制的に連行して戦地に送ったが、当時の蛮行を悔いて『朝鮮人と日本人』と題する本を執筆した。
 吉田氏の証言は、現場を見ているかのように詳細かつ具体的だ。吉田氏は、日本政府の指示を受けて韓半島(朝鮮半島)に渡り、朝鮮人を集めた。警察の護送車を先頭に慶尚北道永川一帯を回り、若い女性を連行したという。当時、吉田氏の一行は朝鮮人を強制的に徴用することを「狩り」と呼んだ。確かに、他人の家に押し入って人を連れていくという行為は、人間狩りにほかならない」

これらは、朝日が流布した吉田証言の「軍による強制連行・拉致」を認識の前提にしています。

これに対する朝日新聞が、「研究が足りなかった」あるいは、「吉田に騙された」では済まないものです。

おそらく朝日は、早ければ吉田証言を掲載する以前、遅くとも93年までには、慰安婦報道のすべてが虚偽だと気がついていたはずです。

にも関わらず朝日は長いスパンで30数年、短く見積もっても20年余の期間、嘘を承知で政府攻撃を続けていたことになります。

最後に、第7番目の疑問として今回の検証方法についてです。

2003年5月11日にニューヨークタイムスがジェーソン・ブレア記者が7か月で36本の捏造記事を出したとして、謝罪と徹底した検証を行なっています。

これは、マスメディアの自社誤報検証の世界スタンダードとでも言うべきものです。

これはしてもいないインタビューの捏造をしたことが発覚したものですが、地元検察局の指摘があったにもかかわらず、ブレア記者が編集局内部で重用されていたために握りつぶすような空気があって、発覚が遅れました。

ニューヨークタイムスの検証報告は、これらの社の内部構造まで明らかにして、なぜ誤報や捏造が生じてしまったのかを、国民に明らかにしています。

そしてこの結果を受けて、責任者の編集局長が辞任し、外部識者による再発防止委員会も設置し、世論から高い評価を受けました。

直近でも、朝日が当事者だった2012年10月の佐野慎一氏による週刊朝日における橋下市長差別事件の謝罪と検証記事は見事なものでした。

これにより神徳社長は引責辞任しています。

なぜ、今回の検証記事において、慰安婦のをめぐる事態は遥かに深刻かつ広大なものにもかかわらず、今回の検証記事と称するものは、これら一切がなく、すり替えと逃げに満ちたものです。

そして木村社長に至っては、内部メールで反転攻勢を宣言するなどもはや常軌を逸した対応を続けています。

以上、朝日新聞に置かれましては、これらの疑問にお答え頂くようにお願いいたします。

                                             敬具

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朝日はなぜ3度も同じパターンの誤報を繰り返すのか?

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朝日は特異な体質を持つ新聞社です。

左翼的だからどうのということではなく、何度となく同じタイプの大規模誤報を出して、その都度よせばいいのにその「スクープ」に社運を賭けてしまうのです。 

人は一度大ヤケドをしたら多少なりとも慎重になるもので、2回目はアレとおもうでしょうし、ましてや3回目ともなるとアレ、アレと思わねば嘘です。 

いうまでもなく1回目は吉田清治という詐話師の「小説」(当人談)をそのまま真実だと思って、従軍慰安婦キャンペーンを25年に渡って張ったあげく見事に完全破綻しました。

吉田は自分が労務報国会広島支部の動員部長だったと称して、済州島に兵隊を連れて出かけて若い女性ばかりを力づくで強制連行し慰安婦にしたというものでした。

ちょっと考えれば、管区の外に民間人が兵隊を指揮して人狩りに行ける道理がありませんが、歴史を調べない、現地にも行かないまま朝日はこの「吉田証言」を丸飲みします。

済州島などにソウル支局の記者を走らせれば、その時点でこの吉田の証言がデタラメだったことがすぐ分かったはずなのにまったくしないわけです。

それどころか、この純度100%のウソツキの話を「良心の告発」として祭り上げていき、政府に謝罪を迫っていきます。

追い詰められた政府は河野談話を発表し、慰安婦の強制性を認めて謝罪してしまいます。

そして韓国では慰安婦の嘘が完全に定着してしまい、今や疑うことを許さない国是にまで成長し、日韓関係は修復不可能な関係に陥ったままとなっています。

ところがこの慰安婦問題の発端となった吉田証言がなにからなにまでデタラメだったことが分かり、朝日木村伊量社長は謝罪し辞任するはめになってしまいました。 

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余談ですが現在、木村氏は成田の戦略特区に新設された「東の加計」こと成田の国際医療福祉大医学部に天下っておられます。 

文科省官僚もふたりほど天下っているようで、さてさて朝日がいかなる「報じない報道の自由」を行使するのか見物ですが、とりあえずそれは置きます。

実は木村社長が謝罪・辞任に追い込まれた直接の原因は、慰安婦誤報が原因ではありません。 

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もうひとりの吉田である吉田昌郎所長の聞き取りした「吉田調書」を、「所長命令に違反して9割の所員が撤退した」というフェークニュースに仕立て上げたためです。 

吉田調書は政府が全文を公開してしまったために、いかに朝日が恣意的に一部を切り取ってねじ曲げたのかが分かってしまいました。 

そこで朝日は、社内的にももう維持するのは困難だと言われていた慰安婦誤報と抱き合わせで、むしろ吉田調書を表に立てて謝罪するという姑息な謝罪方法をとりました。

Photo_32014年9月11日朝日新聞社長謝罪会見http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/11/asahi-shim...

そして今回の社運を賭けているといわれる、加計学園の「前川文書」です。

まだ現時点では「前川文書」についての結末は出ていませんが、私は似た軌跡を辿ると見ています。 

というのは、この三つの事件はパターンがまったく一緒だからです。

まずニュースソースを、裏取りをせずに飛びついてしまいます。

吉田清治の詐話は済州島で人狩りをしたというものでしたが、こんなことは調べればすぐに裏が取れるものです。

詳しくは当時書いた、「拝啓朝日新聞社様」という2014年9月8日の記事が残っていましたので、アップしておきます。

それを怠って、日本軍=悪という先入観だけで吉田清治の「証言」を盲信してしまいます。

二番目の吉田所長「調書」もまったく同じパターンです。

某所(菅直人氏だと言われていますが)からリークされた吉田調書を満足に読み解かずに、原発=悪、東電=悪という先入観に従って、恣意的な切り取りをしてしまいました。

しかしこれも、吉田所長と共に戦った69名の所員や、逃亡したがごとく書かれた700名ちかい9割の社員に簡単に取材できたはずです。

関わった福島第1の東電社員は人数が多い上に、逃げも隠れもしていないのですから、記者が取材に出向けば真実は容易に分かったはずです。

それを、もっともこの記事を読んで強く反論したであろう吉田所長が亡くなった後にスクープするという姑息さ。

朝日はここでも先入観でリークされたスクープ材料を盲信し、記者のイロハのイである足で取材していないのです。

今回の加計学園問題も同じパターンを繰り返しています。箇条書きにしてみましょう。

①某所(前川氏以外ありえませんが)からリークされたスクープ材料を盲信して地道な裏取り取材を怠る。
②リーク元を「正義の告発者」として礼賛し、証言の信憑性の検証を怠る。 
③スクープ文書の一部を恣意的にピックアップする。
④総理の意向=権力者が友人を優遇=悪、という「絵」を作り、反安倍キャンペーンに社運を賭ける。

つまりは朝日にとっては、初めから書きたい「絵」が存在して、それに事後的にスクープ文書をはめ込んでいくわけです。

こういう先入観で書く方法を朝日社内では「角度をつける」と称して推奨されていたと、木村社長謝罪事件を受けて作られた第三者委員会報告書は指摘しています。

このような無関係な、あるいは無関係かもしれない事象ふたつを、反アベ・イデオロギーで接着してしまい、足での裏取り取材をしないわけですから、かならずコケます。

加計に「総理の意向」がはたらいたと主張しているわけですから、現地の今治市や愛媛県を取材し、ついでに四国の産業系獣医師の現状も取材すればいいのです。

ところが市長、県知事といった第1級の当事者にも取材しません。

支局員も沢山いるでしょうし、大阪本社が動けばすぐにでも取材できるものを、自分の不利になる材料が出そうな所には寄りつかないというわけです。

これが「報道」と言う名でなさるからおかしくなります。

朝日はなにかといえば「メディアは国家権力を監視する」という言い方を好みますが、まずは地道に足で取材をして、その積み重ねから正しい報道をすることが大前提のはずです。

それを怠るなら、そんなものは報道の名に値せず、ただのプロパガンダにすぎません。メディアが政府の監視役だというなら、私たちネット言論はメディアの監役です。

かつての慰安婦の虚構が瓦解するまで実に30年近い時間がかかりました。ネットがなかったからです。

今や吉田調書は4カ月たらずで化けの皮が剥がれました。いかにネットの「集合知」がメディアを厳しく「監視」しているのかがわかります。

今回はいかなる速度で進行するでしょうか。

まぁ、政府は今週中に文科省の調査を終えるそうですから、「前川文書」がいかなる筋から出て、いかなる意図で書かれたのかが明白になるでしょう。

ちょうど「吉田調書」事件でいえば、政府が調書公開という思い切った手段で朝日の嘘を打ち砕いた直前の段階ということになります。

 

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行政文書の保管改正案が出る

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「前川文書」の再調査という報道を聞いていて思ったことは、なんだ官庁ってこんな文書管理のマニュアルもないのか、杜撰だなといういささかの驚きでした。

もちろんないわけはありませんから、穴だらけなものだったと思われます。

その「穴」を巡って、先だっての南スーダンの「戦闘」報告書もそうでしたし、森友でも同じように文書のあるないがメディアと野党の追及の焦点となりました。 

野党からすれば「文書がないだって。そりゃ不都合だから隠蔽したんだろう。国民に隠すな、見せろぉ」というわけです。 

たしかにおかしいことは事実です。 

スーダンは紙ではないが、電磁記録では残っていたという答弁になっていますが、国民は「なら初めから電磁記録だせや」という気分になるでしょう。 

森友の時も近畿財務局がそんな記録はないと言って、後から出すという不手際を演じました。 

今回はこれで味をしめた朝日と野党が三匹めのドジョウを狙って、リークされた「前川文書」に飛びついたわけです。 

朝日さんがこれでアベを叩けると欣喜雀躍したのは、これを持ち込んだのがほかならぬ前事務次官だった前川氏だったからですが、 

え、なぜ前川氏がリーク元と確定したのかって。いいですよ、別の現職官僚でも。そちらのほうがややっこしくなるだけですから。 

前川氏はあくまで、自分は政権に抱きつき自爆テロを敢行しているつもりですから、むしろ前川氏本人でなければかえって面倒なことになるだけです。 

それはさておき、行政文書を廃棄するなり、保管するなりすることのきっちりした基準があいまいだから、文書の有る無しが妙にクローズアップされてしまうことになります。

本質的な議論に深まらずに、表層の文書問題で止まったきりというのが国会審議でしたからね。

菅さんの答弁も「適正に処理されている」の一本調子でしたから、火がないところに火事を起こそうとしている野党に絶好の口実を与えてしまったようです。

結局、南スーダンPKOならば、現在PKO活動するこのリスクと意義を論じて、どのように国連スタンダードのPKOに対応していくのかということなど、まったく議論の外でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-6893.html

森友でも財務局の値引きの原因が何かという肝心要は、初めからカヤの外でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-cb23.html

今回も「総理のご意向」が入り込む余地があったのかなかったのかが問われるのではなく、「前川文書」の有無がさぞ大問題のように焦点化されてしまいました。

すべて的はずれです。

ただハズしているならともかく、この三つの問題の時期に起きた北朝鮮の弾道ミサイル発射という安全保障上の脅威をそっちのけにして、「疑惑」探しに明け暮れて、あげくに審議拒否ですからなんともかとも。

本質を意図的にハズして疑惑に見せかけるトリッキーな手段を、朝日と民進党は使っています。

自衛隊の「戦闘」報告書も、森友の財務局文書も、今回の「前川文書」も違法性はないと思います。

定められた様式で作成され、保管期限が切れた、あるいは保管指定からはずれたなどの理由で処分されたものだと思います。

ただし、こうもそこばかり突ついて「隠蔽工作」があったかのように騒ぎたて、審議拒否にもちこむのが目的な野党があるかぎり3度あることは4度、5度あると思ったほうがいいでしょう。

これを防ぐには政府関係の行政文書について、新たな線引きをすべきです。

つまり、行政法上は保管期間を過ぎても、なんらかの形で後に閲覧すべき理由が起きないとも限らないので、歴史資料として電磁的にでも保管しておくべきではないかと思います。

今回の「前川文書」などは、部局内メモにすぎず、こんなものまで保管対象になるのかと官僚の悲鳴がおきるでしょうが、今回のように文科省の前事務次官自らがこれを持ち出し野党とメディアにリークさせ倒閣の武器に使った以上、致し方ないですね。

そう思っていたところ、ドンピシャのタイミングで維新の丸山ほだか議員を中心として議員立法が出ましたので紹介しておきます。
https://mobile.twitter.com/maruyamahodaka/status/873038777857433600/photo/1

すでに維新からは正式に国会に提出されているようです。

Photo_2NHK6月8日

「大阪・豊中市の国有地売却をめぐる交渉記録を財務省が廃棄したとしていることなどを受けて、日本維新の会は、公文書の管理を強化するため、保存を義務づける文書の範囲を拡大するとともに、保存期間が満了したものは国立公文書館への移管を義務づけるとした法案を参議院に提出しました」(NHK6月8日)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170608/k10011010931000.htmlPhoto丸山議員のツィートを引用します。

「法案作成などの作業。ようやく完成し昨日提出できた公文書管理法改正案も丸山担当。森友や加計の件で公文書がない、真偽不明、廃棄もおかしいと文句を言うだけではまた同様案件を繰り返す。戦略特区そのものの廃止法案とか噴飯ものの法案ではなく、具体的不備を詰めて法案化」
「これらの森友や加計の公文書の件では、現行法に基づいて適切に管理をしているというのが繰り返される政府答弁だが、問題点は現行法そのものにあり、法自体が抜け穴だらけというのが問題の本質。抜け穴をかっちり埋めると提出の維新法案」

丸山氏が指摘するように、まさに政府は毎回、「現行法に基づいて適切な管理をした」というだけで「法自体の抜け穴」を放置しているだろうという指摘はまったく同感です。

改正案のツボは
①「組織的に用いる」適用範囲を拡大し、前川文書のような部局内メモにまで拡大する。
②保管機関について行政裁量を認めていたものを厳格化する。
③行政文書を歴史的資料として保管してこなかったものを、国立公文書館に保管する。
④国会議員の「特別の要求」について文書作成する。

まだもむ余地はあると思いますが、民進党も遅れて似た内容の改正案を提出したようです。
https://www.minshin.or.jp/article/112008

民進党のものも読みましたが、分かりにくいですね。どうしてもっとスッキリ説明できないんですかね。

さんざんぱら「隠匿文書」で騒ぎ立てた後になって今頃出すなら、南スーダンの後にすぐ出せばよかったのです。

[追記] 以下コメント欄から本文に移動し大幅加筆しました。

この文書保管改革が、結局は官僚たちのよき意志を奪い、怠惰なる山羊ばかり増えるというのはあり得ることです。

また、このような議員立法をする維新の「若さ」を、私も感じます。

ただ保守第2党は、このていどの青さがあってもいいかなとは思っています。そもそも野党は、「青い対案」を出すことが仕事なのです。

民進党は「青い」という意味をはき違えて、なんでも反対党に逆戻りすることが野党の仕事だと考えてしまっていますから、その意味で維新の「青さ」に肩入れしたい気分になることもあります。

それはさておいて、今回思うのですが、高橋洋一氏がツイッターで述べていたように、「政治任用官僚」の制度を導入するべき時期ではないかと思います。

高橋氏のツイートをアップします。

「政治任用公務員がほぼ皆無なのは先進国で日本だけ。政治任用公務員というとアメリカが典型例だが、たしかにアメリカの政治任用公務員は多く4000人くらい。でもヨーロッパの国でも数十人から百人程度の政治任用公務員はいる。前川氏のように主張はあるが公務員の雇用・天下りも守れはありえない」

「政治任用公務員=政権意思を迅速に反映させる公務員。ただし政権とともに辞める。普通の公務員=中立性を保ち法律に則して事務処理。政権が変わっても辞める必要なし。ただし政策についての意見はいわない。前者は即応性、後者は中立性を確保する公務員という分け方。日本で前者はほぼ皆無」

本来は政権の政策は行政官として忠実に実施るのが当然の責務のはずですが、現実はそうではありません。

それは<官僚階級>の独自利害が存在するからです。彼らの利害は省益として表現されます。

今回の加計で馬脚を露した文科省、その影の主役であり、もっとも多くの認可権限を持つ農水省、消費増税を省是とする財務省などなど。

彼らはみずからの利権を切り崩そうとするものには徹底して抵抗してきました。

政府は為す術がなかったのがいままでです。

法体系上、政策を官庁に下達する縦の命令系統が現実として不在であること、あるいは今回の文科省のように省益が別途に存在する場合、徹底的にサボタージュされてしまいます。

前川氏が堂々と悪びれることなく公然と、「面従腹背」といって憚らない体質が官僚内にあるわけで、政府が政策意図を通そうとすると「行政をゆがめた」などと前事務次官から言われる始末です。

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逆に、官僚が政府の決定に従うという至って当然のことをすると、今度は「総理のご意向を忖度した」と筋ちがいな批判をされることとなります。

世界に類例のない政府の決めたことを官僚が実行すると、メディアからめった打ちにされるという国、それがわが日本です。

日本は大統領制ではないとはいえ、このおかしな体質が政策執行の妨げになっていることは間違いありません。

政治家のように選挙で選ばれない、しかも民間企業のように責任を問われない官僚の任用の仕組みそのものメスを入れないと、<官僚階級>の利害にそぐわないことが起きるたびに「行政を歪められた」と言われることになります。

内閣人事局の次の一手は文科省改革となることでしょうが、公務員の政治任用制度の検討時期に入ったのではないでしょうか。

 

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唐木氏 今せねばならないことは新型感染症に対抗できる獣医学部の新設である

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snsn さん。興味深い資料に感謝します。

ご紹介いただきました唐木英明(元東大農学部教授)氏の、『加計学園「半世紀ぶり獣医学部」の本当の意味』(朝日新聞WEB RONZA)のsnsn氏による要約です。http://webronza.asahi.com/science/articles/2017052700001.html

・世界から大きく遅れた日本の獣医学教育、教員も学生も不足している、水準も低い、設備もしょぼい。

・各大学の定員を増やすことは現実的でない。すでに定員オーバーであり教室、設備などが不足、またライフサイエンスなどの分野は既存大学では対応が厳しい。そこで獣医学部新設の方向になった。

・何獣医師会は反対したのか?「獣医を一人たりとも増やさない方針だから」

・加計の獣医学部をが平成19年から15回にわたり今治市と愛媛県はが求めてきた、これは獣医学関係者の念願であった。

・日本獣医師会の”強い”希望で2校から1校になった(広域条件付きで京産は落選)

・<結び>「現在緊急に処置しなくてはいけないことは、獣医師の急激な減少を防ぐために私立獣医科大学を設置することである。

・そのときに筆者が望むことは、日本にせめて1校でいいから世界に通用する立派な獣医学部を作ることであり、それが刺激になって日本の極めて貧困な獣医学教育の改善が一気に進むことである。

・半世紀ぶりに新設される獣医学部は、小動物臨床ではなく公衆衛生、食の安全とライフサイエンス分野の専門家を育てるという。混乱を乗り越え、計画通りの先進的役割を果たすことを心から期待するものである。
※用語の修正をいたしました。

今回、「加計獣医学部新設」でこれだけ報道が溢れ返っているにもかかわらず、まったく触れられていないのは、獣医学部でありながらかんじんな疫学・防疫方面からの視点です。

このテーマはかつて私も宮崎口蹄疫で、長く追跡してきたテーマです。

このブログで「宮崎口蹄疫事件」あるいは「トリインフル」で検索されれば100本以上ヒットするはずです。 

おっしゃるように、日本は産業系獣医が決定的に不足しています。特に海外悪性伝染病の場合、初動の数日間で完全に制圧せねばなりません。

宮崎口蹄疫で感染拡大に失敗したのはこの初動の致命的遅れでした。 

なぜ遅れたのでしょうか。それは獣医師のマンパワーが足りなかったからです。

公務員獣医の指導の下に一般県職員も動員されて殺処分にあたりましたが、豚や牛などの大型家畜を触ったこともない人間に殺処分など絵空ごとです。 

確定診断は自治体レベルではできませんから東京の動衛研に送りますが、そこで口蹄疫と確定されれば一気に制圧活動に入らねばなりません。

確定診断ができる施設ももっと多く必要です。

実感としてわかりにくいかもしれませんが、初動制圧は時間との勝負です。

まずは初動においてサーベイランス(発生動向調査)をし、感染した患畜を見つけ出し、一帯を封鎖し殺処分をかけ、消毒するという一連の流は、驚くほど人手が必要です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-277c.html

なにせ、しらみ潰しに一帯の家畜農家を当たり、家畜を見て、管理者から聞き取りをするという作業ですから。

宮崎東部は川南のように家畜団地化していましたから、困難を極めました。

しかも素人ではなんの役にもたたないので、獣医師資格を持つ専門家が大量にいるのです。 

その上馬鹿げた東国原知事の駆け引きによって殺処分が遅れ、気がつけば蔓延の兆しが出始めていました。鹿児島、大分では、宮崎ナンバーの車両すら警戒されたほどです。

また牛と豚が近接して飼われていたために、豚と牛の単価の違い、感染の形の違いなどが顕在化しました。

宮崎県東部で食い止められたのは、今思っても奇跡としかいいようがありません。

全国各地からフル動員に近い形で送り込まれた家保獣医と、民間ボランティア獣医師の奮闘、そして家畜農家の自己犠牲によるものです。 

喉元過ぎれば熱さ忘れるで、この教訓は活かされませんでした。本来、宮崎口蹄疫をと対応した民主党政権が、責任をもって防疫体制の欠陥を明らかにし、対応策を考えるべきでしたが、おざなりに終わりました。

家伝法は改正されましたが、生産者に対する縛りだけが厳しくなっただけで、致命的な獣医師の育成は見落とされたままで放置されました。 

今回加計の計画はかならずしも産業獣医師育成を目的としたものではなく、ライフサイエンスといった流行もとりいれざるをえなかったようです。

そもそも特区諮問会議には獣医師が参加していません。防疫の専門家がいないところで獣医学部新設問題を論じる愚かしさは、当然批判されてしかるべきでしょう。

文科省役人に至ってはペーパーを読み上げるだけで、「どうして獣医を一人たりとも増やさない設置法基準方針」なのかという理由を明確に説明できませんでした。

特区諮問会議は反対理由を所轄官庁が諮問委員に納得させられなければ、それで終わりなのです。

しかし、愛媛県知事、今治市長のいうことを聞くと、やはり眼目は畜産系獣医師育成にあることは救いです。 

こういう時期に杉並のペット医者に、「獣医は足りている」と言わせる朝日はとことんズレきっています。

自分のところで出しているRONZAくらい読みなさい。

 

 

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日曜写真館 雲外蒼天

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「前川文書」など初めから政府は調査しておけばよかったのです

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昨夜夕方、よせばいいのにテレ朝を見ていたところ、キャスターがうわずった声で緊急ニュースをコールして官房長官の記者会見です。 

今度は北朝鮮が列島越しに弾道ミサイルでも撃ったのかとすわっとなりましたが、なんと菅さんが文科省にくだんの文書を調査するようにと命じたとのお話でした。

「菅官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で、「前回は、民進党から提出された8枚のペーパーについて速やかに調査を実施するということで、担当部局の共有ファイルの調査や関係者のヒアリングを行って、その時点ではできるかぎりの調査を行った。一方で、その後も、『文部科学省として追加調査を行うべきである』という国民からの声が多く寄せられており、そうした状況を総合的に判断して、今回、国民の声に真摯(しんし)に向き合い、改めて徹底した調査を行うと決断した」と述べました」(NHK6月9日)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170609/k10011012531000.html

どひゃ~、思いっきり脱力して、思わずビールを吹いてしまいましたね。 

あの文書は暗闇でこっそりとちょっとだけよ、と見せるから曰くありげですが、キチンと白日にさらして検証されればなんてこともない類のものです。 

Photo_3http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/20... 

元財務官僚の高橋洋一氏は、あの文書について、時期まで限定してほんものであるとした上で、こう述べています。

「マスコミは、文科省文書が本物かどうかに焦点を当てている。筆者の感覚では、おそらく本物であると思うが、そうであっても、それらが作成されたのは2016年秋である。とっくに、文科省への宿題2015年6月30日閣議決定(文科省部分)の期限(2016年3月)の後、しかも、(3)2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録の2016年9月の後でもある。」
(JCASTニュース6月8日)
https://www.j-cast.com/2017/06/08300108.html

高橋氏は議事録に登場するのは文科省課長クラスであって、彼らが諮問会議で規制緩和を求める委員たちに負けて書いた内部的「言い訳」メモだとしています。

「前川氏は、許認可を背景として天下り斡旋を行ってきた。そのために、獣医学部新設を拒んできたといわれても仕方なく、公務員として失格である。さらに、組織の幹部であったが、管理職として極めて不味い。
文科省が、特区で内閣府・特区有識者委員と交渉してきたのは、課長レベルである。交渉に負けたとき、負けた者は組織の幹部に報告するとき、いい加減なことをいう。筆者からみれば、それが「総理の意向」である」(同)

諮問会議の議事録を読んだ私の感想も同じで、文科省の課長連中は一般論をだらだらしゃべるだけで要領を得ず、あきらかな準備不足が露呈していました。 

議事録を読むと、いままであらかじめ結論が決まった会議で、上目線で一般人相手にやってきた報いでしょう。

いったん対等の立場となって、論客揃いの諮問委員相手にはさんざんでした。

特に需給見通しを明確に数値で押さえておらず、「農水省さんに言わせると獣医は足りてると言うことで、ペット獣医も足りていると言ってましたぁ」という調子では負けてあたりまえです。 

負けて本省に帰って「言い訳」に書いたのが、「総理の意向だと聞いている」という例の一節があったこのメモです。 

そもそも「総理の意向」などは、首相は規制改革で特区を進めているのですからあるのは当然。 

首相が「加計だけを独占的に特区に突っ込め」と言っていたら問題となるわけですが、その気配もありません。 

「総理の意向」を検証したかったら、こんな文科省メモではなく、それが決定され諮問会議と内閣閣議決定文書を読めばいいのです。 

2回の諮問会議の議事録には総理の「そ」の字も出てきませんがね。

第一、総理の意向と「聞いた」ですから、そりゃただの伝聞だろうって。

これを書いた役人が、直接になにかの会議で総理から、「おい、加計を特区に入れろ」と言われたわけでもなんでもなく、そう「聞いた」なんですから、法廷にでもなんでも提出してください。相手にされないでしょう。

またこれがただの部署内のメモにすぎないのは、ヘッダーに発信部署・発信者・宛て先部署・日時・印という公文書の「決まりごと」がひとつもないことからわかります。 

これでは公文書足り得ません。 

山羊のように紙を食う官僚とも思えない仕事ですから、これを書いた役人が直属上司などに宛てた状況報告ていどのものだったと思うのが妥当でしょう。 

毎日(6月9日)はこんなことを書いています。

「 再調査の表明に、ある同省職員は「遅きに失した感はある。もし文書が見つかればさらにダメージを受けるだろう」と肩を落とす。同省幹部は「息を潜めて国会の閉会を待っていたのだろうが、官邸がもう持たないと再調査を決めたのだろう。大臣は会見で『私が調査をしたいと総理に伝えた』と言ったが、誰もそんな話は信じない」と突き放した。
 別の職員は「文書問題にけりをつけ、認可をめぐる行政のゆがみがあったかどうかという本質の議論に向かってほしい」と話した。
 先月25日、前川喜平前事務次官が記者会見して「文書は確実に存在していた」と証言。現役職員が野党に内部告発したとみられる動きも相次いだ」

なにを文科省の役人は恐れているんでしょうか。「遅きに失した」もなにも、書いた当人にはとうに省内で特定されているでしょうに。

かつて朝日が社長謝罪に追い込まれた吉田所長調書の漏洩は、おそらく菅直人氏によるものだと言われていますが、この文科省メモもこれを入手しうる立場の文科省内部の官僚のリークです。

前川氏本人か、「喜平隊」残党によるもの以外に考えられません。 文科省の人が「息をひそめて閉会を待っている」のは、国会が終わった後にくる確実に来るであろう「文科省改革」を恐れているのでしょう。

もう8千万もらって辞めた前川氏はいいですが、現役で前川氏に乗ってしまった官僚にとっては死活問題でしょうからね。

いずれにしても菅元相も怨念、前川前事務次官も怨念。みんな怨念、恨み節。筋違いの逆恨み。

失脚を根に持つルサンチマンのお二人。リーク文書を手渡す新聞社まで一緒というのも、そぞろ哀れを誘います。

朝日もどうしてこうも毎回毎回、同じ穴にはまるんでしょう。

それはさておき、こんな「前川文書」に秘密が詰まっているとばかりに大仰に騒ぐメディアもメディアですが、ハッキリ言って、こんなことは初めから政府はやるべきでした。 

政府の危機管理ミスです。 

危機管理に強いと思われていた官邸らしくもなく、グダグダしているから「追い詰められて調査した」という図式に嵌まってしまいました。 

Photo_4http://www.asahi.com/articles/ASK682H7MK68UHBI00D....

そう言えば、先日の北朝鮮の対艦ミサイル発射についても「EEZの外だったので安全保障上の脅威ではない」として、NSCも開かなかったようですが、ダメです。 

「北朝鮮が国連決議に違反して、日本の方角に向けて発射した」という事実が大事なのであって、弾種は問題となりません。 

様々な国の様々な艦艇や漁船、貨物船が行き交う公海上に、無警告でミサイルを打ち込むという無法そのものが安全保障上の問題なのです。 

なんと二階さんが政府に噛みつきました。

「自民党の二階俊博幹事長は8日、北朝鮮による地対艦ミサイルの発射を受けて開かれた党北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部の幹部会合で「だんだんと慣れっこになり、対応がおろそかになる心配もある。今日は政府も十分な対応はしていないように思う」と不満を表明した。
 今回は弾道ミサイルではなく、落下地点も日本の領海や排他的経済水域(EEZ)の外で、政府は北朝鮮への抗議や国家安全保障会議(NSC)の開催を見送った。二階氏は「党はその都度、忘れずに(対策会合を)やる。それ自体がわれわれの抗議の意志を表す」と強調した」(産経6月8日)

まったく正解です(苦笑)。よもや二階さんから安全保障の正論を聞くことになろうとは思わなんだ。 

こういう政府の危機管理の弛緩こそ、野党はどんどんと菅さんや稲田さんを国会で追及すべきなのです。 

ところが、「政府追及」は与党幹事長がやっちゃうんですから、なんともかとも。

 

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加計問題の本質は官僚規制だ

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アホンダラ1号さんがこんなことを書かれていました。

「大型古本店で108円で買った『学問ノススメ』。明治維新後そこそこに出版されたこの本には、民が主体となり官はそれを後押しするべきであるのに、徳川時代のように官が主体となり民がそれに隷属する政府になりつつある、自主独立の精神を持てないような国民は今にヒドイ目に合うだろう、というような事が書かれていました。
その言葉は、旧大日本帝国崩壊を暗示していたし、今回のテーマにも繋がっています。もう150年近く経つというのに・・・」

まったく同感です。きょうは官僚と官僚規制について考えてみましょう。 

今回の加計事件の主役は安倍氏ではなさそうだ、ということにそろそろ国民も気がつき始めているようです。 

主役は<官僚>という、日本国家を運営するイニシャチブを握っていると考えている階層、いや<階級>です。もちろん比喩的表現です、念のため。 

さて、森友でも加計でも、メディアと野党がいくら叩いても安倍氏の「関与」の証拠はでてきませんでしたね。

ないから夫人が100万渡したからどーしたのこーしたの、首相に近いジャーナリストが準レイプしたのしなかったの、前川氏は「優しい夜回り次官」だからどうしたの・・・。

ああ、くだらない。なんの関係もありません。

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なぜなら第2次安倍政権は、「お友達」を優遇するような脇の甘い政権ではないからです。 

安倍氏のやり方は周到です。 

まず法制度の改革から入り、それを支える法体系を作り国会を通し、それを官僚に落し込んでいき、実行段階の是非の判断は各々の諮問会議民間委員たち有識者に丸投げします。 

もちろん首相の「ご意向」は明確に存在するのですが、それは法的手続きを重ねるごとに、より普遍化し、より強力に、しかし見えづらくなっていきます。 

何重もの行政法手順に忠実に従って執行されているが故に、官僚は「ご意向」とか「忖度」というような曖昧模糊とした表現しか使えなかったのです。 

その「ご意向」なるものに金銭でも絡んでいれば、あっせん利得罪ですから分かりやすかったのでしょうが、その影も形もありません。

むしろ出てきたのは、お気の毒にも民進党追及チームのリーダー格だった玉木雄一郎氏のほうでした。 

規制改革について例外なくすべての官庁は許認可権限を手離すまいと徹底抗戦しますから、規制改革の実行のためには「総理のご意向」というご老公様の印籠を取り出した者がいたというていどのことです。 

徹底抗戦している官僚たちからすれば、「なんかオレらプレッシャー感じるんだよな。権限どんどん削られているしさ。これもアベが意向を押しつけているからなんだぜ。クソっ!いつか見ていろ」ってところですかね。

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というわけで、逆に首相が何と戦っているのかが明確になってきました。

見えてきたのは、ひとことでいえば相手は<官僚>とその<官僚規制>です。 

なんども書いてきていますが、加計問題は、52年間もに渡って獣医学部の新設が認められなかったことが背景にあります。 

その原因は、獣医学部の新設を絶対に許さないことを業界の意志とする日本獣医師会と、文科省・農水省官僚の癒着構造があったからです。 

では官僚の強さの根っこはどこから来ているのしょうか?ズバリそれは許認可権にあります。 

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加計学園の場合、獣医学部新設を許可するハンコを、文科省官僚が押さねば建設できません。 

ところが笑えることには、文科省のお役人は、獣医師や防疫の分野にはど素人なのですな、これが。 

防疫の所轄は農水省です。しかし農水省は学校や学部新設についての許認可権限をもたないために、文科省に需給見通していどのデータ提供に止まって丸投げしています。 

ここに最初のねじれがあります。なぜ、獣医の育成機関を作るというテーマの諮問会議に防疫や獣医学の専門家が呼ばれないのか、です。 

それは文科省が許認可を握っており、それを突破するツールとして作った戦略特区は内閣府が管轄だからです。 

だから専門的知見を持つ獣医学や防疫の専門家には、お呼びが掛からないのです。 

つまり、素人にすぎない文科省官僚が許認可権限を握っていて、それが既得権者集団とつるんでまさに「岩盤」のような官僚規制を敷いていたということです。 

天下りが恒常化したのも、この既得利権集団の天下りを迎えることでいっそう利害関係を強化できたからです。

学校法人はなんらかの形で天下りを受け入れないと、不利益を被ると思っているから受け入れてきたわけです。

 「知識と経験を持つ官僚が天下るのは悪いことではない」という人がまれにいますが、そうでしょうか。 

一般論としては確かにそうですが、官僚は許認可権限を握っているということを忘れています。 

たとえば、タクシー業界は、米国を始めに世界の新たな業態になりつつあるUBER(ウーバー)を日本に導入することを拒んでいます。
 Uber - ウィキペディア

そしてその手段として、国交省の官僚をタクシー業界団体に天下りさせています。 

新しいサービスを受けられない不利益は、消費者たる国民が被るわけです。

いや、それが日本に定着するかどうかわからないし、タクシー業界はそれでなくても過当競争なのだという人もいますが、それは市場が決定することで、神ならぬ官僚が差配するべきことではありません。 

こう書くとお前は市場原理主義=新自由主義者かといわれそうですが、市場原理に委ねたほうがうまくいくことと、委ねてはならないことを区別して考えるべきだと私は言っているだけです。 

高速道路、鉄道、電気などの基幹生活インフラに、自由競争原理を持ち込むことは安全を代償にする可能性があるので反対です。 

しかしそれ以外についての官僚規制は、最低限にすべきです。

政治家もしかりです。新規参入者は政治家に「口利き」してもらうしかてがないという斡旋収賄の構造があるのも、この既得権者・官僚の「岩盤」が異常に堅いからです。 

許認可には一定の裁量権が加味されています。結局、官僚とて人ですから一定の幅で解釈をします。 

その案件の背景や事業主体について配慮することはありますから、この「幅」を拡げようとして政治家は「口利き」をするわけです。 

Photo_3http://nihon-hosyu.net/post-1881

その意味で、官僚規制と政治家の口利きは、原因であり結果なのです。

いうまでもなく、この利権構造を作ったのはほかでもない自民党でした。

そしていまやそれを変えようとしているのが自民党(安倍氏と数人にすぎませんが)で、野党や朝日などのメディアはいまや既得権の擁護者になってしまったのは皮肉です。

日本獣医師会は、「半世紀にもわたる獣医学教育の国際水準達成にむけた努力と教育改革に全く逆行するもの」(同11月28日付会長通知)という言い方で、獣医学部新設に反対していました。 

分かりにくい表現ですが、要は「獣医を増やせば、クォリティが下がるから52年間も反対してきたんだ」と言いたいようです。 

ならば新設獣医学部の品質管理を文科省がすればいいだけで、獣医数まで管理してくれとは国民は頼んでいません。 

獣医師数の管理などは、市場原理に任せればいいのです。 

朝日が「杉並のペット獣医が、これ以上獣医が増えたらピンチだとぼやいていた」というようなことを書いていましたが、あんたバカですか。 

そもそも今回の今治市の新獣医学部は、ペット獣医を増やす目的で作られたわけではありません。 

四国中国地方に不足している産業獣医師、つまりは牛豚の大型家畜のための獣医師養成と、口蹄疫やトリインフルなどの新型の国境を越えて侵入し猛威を振るった新型感染症に対して作られるものです。 

それに、仮に獣医が微増したとしも、いまは既存の獣医学部は定員オーバーして取っているのですから需給バランスに影響はでないでしょうし、そもそも増えたら市場原理が働きます。 

新設獣医学部によって獣医師が増加すれば、ペット獣医は勉強し直して大型家畜も診る「企業努力」をするかもしれません。 

実際、地方の民間獣医師の多くはペットと畜産の兼業です。 

これが一般的な職業動態であって、獣医学部を出れば、一生その資格で喰っていけると思う人たちを作ったのも、この官僚規制があったからです。

私たち国民は前川氏に感謝せねばなりません。

前川氏の身を呈しての自己犠牲的告発によって、<官僚>という国民の上で統治する影の主役の存在があぶり出されたからです。

 

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「加計疑惑」の流れを追ってみましょう

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「加計疑惑」で、文科省文書があったのなかったのと騒いでいますが、あろうがなかろうがそれは文科省内部のコップの中の嵐にすぎません。

文科省が、「どのように受け取った」かという受信機の側の問題にすぎません。

今日は「前川文書」が出てくるまでの流れを追ってみましょう。

さてここで「加計疑惑」の隠れた主役にご登場願います。日本獣医師会です。

私たちにはなじみが薄い団体ですが、「会長短信春夏秋冬」というHPを持っています。http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/aisatsu/shunkashuutou/log42.html 

Photo_5http://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/topics/gaiyou-...

この2017年1月30日に、42号として、会長の藏内勇夫氏の年頭所感がアップされていますのでご覧いただくと、ほ~業界はこんなことを文科省に「忖度」させていたんだと分かって興味深いものがあります。

冒頭からこんな悲壮感漂う書き出しから始まります。


「残念ながら本年最初の会長短信は、極めて不条理なお知らせから始めなければなりません。
昨年11月の「春夏秋冬(40)」でお伝えしましたが、119日、国家戦略特区諮問会議が開催され、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う。」ことが決定されました。
そして、1118日から1217日までの1カ月間、国家戦略特区による内閣総理大臣の認定を受けた獣医学部の設置について、獣医学部の新設・定員増を認めないとする大学設置認可基準の適用外とするための文部科学省告示改正についてのパブリックコメント募集が行われました。
この意見募集に対しては、皆様方から多数の怒りのコメントを提出いただき、総数976件の意見のうち83%が反対意見という結果でした 」

まぁPCは業界が申し合わせで入れた場合、そうなるでしょうな。

もうひとつ私も知らなかったのですが、「獣医学部新設を認めない大学設置基準」などというものもあったようです。

これについて日本共産党「赤旗」が説明しています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-13/2017031301_01_1.html


「文部科学省や農林水産省は、大学獣医学部の新設を抑制する方針をとっています。獣医師への社会的な需要と獣医数のバランスを図るのがその目的。文科省告示「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」は、歯科医師などとならんで獣医師養成の「大学等の設置若しくは収容定員増」を認めないとしています」(赤旗2017313日)

そしてこの「大学設置基準」の緩和を特区に限って可能とする国家戦略特区構想を安倍が作りやがって、という展開となってお後は「アベが友人をぉ」という定番的展開となります。

つまり半世紀にわたって獣医学部をつくらせないために築いた獣医師会と文科省の鉄壁の防壁を安倍氏が破壊したという恨みが、既得権益業界と官僚の中にふつふつとたぎっていたわけです。

ただし特に規制改革は、安倍氏が突如始めたわけではなく、前史として規制緩和の流れは小泉政権から始まり、民主党政権に引き継がれていき、むしろ民主党政権は目玉政策のひとつに据えました。

ただ残念ながら、民主党政権は「政治主導」といいながら、この業界-官僚の防壁を崩せなかっただけにすぎません。

「政治主導」、懐かしいキイワードですね。ところで「政治主導」って、官僚から国家運営の主導権を取り返すってことじゃなかったでしたっけ。

当時幹事長だった小澤一郎氏などは常日頃、「トップが決断すりゃなんでもできるんだ。官僚なんかをひれ伏させろ」みたいな景気のいいことを言っていたそうです。

安倍氏は内閣人事局を機能させることで高級官僚の人事権を握り、それをなし遂げました。

つまり、いま安倍氏がやっているのは見方を変えれば、ある意味、民主党政策の「政治主導」のパクリとも言えるわけです。

ついでにいえば、そもそも規制改革という3本目の矢は、アベノミックスの1の矢・金融緩和、2の矢・財政拡大とワンセットでした。

これらは、本来リベラル左派の経済政策だったものを、安倍氏がパクってしまったものです。

教育の無償化・官製春闘などもそうでした。春闘まで取られては左翼政党は用なしです。

第2次安倍政権の強さというのは、こういう本来はリベラル政党がやるべき政策を替わって実行してしまったことで、こうなると「ならばもう野党なんかいらないんじゃない」と国民に思わせてしまったことにあります。

まぁ今の民進党は、真逆な方向に突っ走り、「規制緩和は許せん。特区は全部廃止しろ」と主張する「官僚のベストフレンド」となっちゃっていますけどね(苦笑)。

民主党政権はこれ以下はないボトムだったと思っていましたが、いまや地下数十mまで掘削しているようです。

それはさておき首相は、岩盤のような業界益と文科省の省益にメスを入れて、突破口を今治であけたかったわけですが、日本獣医師会も負けてはいません。ゼッタイ反対、ダンコ粉砕の政治活動を行いました。

「赤旗」はこう報じています。

「日本獣医師会も「半世紀にもわたる獣医学教育の国際水準達成にむけた努力と教育改革に全く逆行するものと強く抗議しました。」(2016年11月28日付会長通知)

会長短信はこう書いています。

 「この間、私(※蔵内会長)や日本獣医師政治連盟の北村委員長を始めとした本会の役職員は、できれば獣医学部新設決定の撤回、これが不可能な場合でもせめて1校のみとするように働きかけをしました」

政府要人の名前がズラズラでてきます。

願いましては、山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣、麻生太郎自民党獣医師問題議員連盟会長、森英介同議員連盟幹事長などなどなどなど。

おっと、麻生さんの名前が上がりましたね。実は麻生氏は自民党の獣医師議員連盟会長なのです。

その麻生氏は201611月の特区会議で、「うまくいかなかった時の結果責任を誰がとるのか」とあの調子で凄んでいます。

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獣医師会が働きかけをしたのは与党だけではありません。ここにもうひとり獣医師会の直参旗本とでもいうべき議員がいました。

民進党幹事長代理の玉木雄一郎氏です。この間、加計疑惑調査チームのリーダーとして国会追及の先頭に建っていたので、一躍有名になりましたね。
玉木雄一郎 - Wikipedia

玉木氏は獣医師会が応援して政界に送り出したといってもいいキャラです。2012年には日本獣医師会から100万円の献金ももらっています。

玉木氏が釈明するようにこれ自体に違法性はありませんが、獣医師会の業界利益を「忖度」したといわれても致し方がない行動をしているわけですから、やや厳しいところです。Photo_8

父親は香川県獣医師会副会長で、自身は財務省官僚出身ですが、弟も獣医でいわば獣医一家ですので、家族ぐるみで反対の立場だったようです。

玉木氏は、安保法制審議時には領域警備法を代案を出したり、原発の基準を充たした再稼動を主張するなと民進党には貴重な保守の立場ですが、この「加計疑惑」ではなぜか共産党と組んでしまいました。


「日本獣医師会の会議報告によると、玉木氏は平成27年6月、東京都内の明治記念館で開かれた日本獣医師会の第72回通常総会に来賓として出席。あいさつの中で「教育の分野、あるいは医療の分野は、そもそも特区として、地域の例外を作り、進めるべき話ではない。おかしな方向に向かいそうになった際はしっかり止める」などと述べ、加計学園による獣医学部新設に反対する日本獣医師会を擁護する姿勢を鮮明にしていた」
(産経2017518日)
http://www.sankei.com/premium/news/170522/prm1705220008-n1.html

そして日本獣医師会の奮闘努力のかいもなく、今治に獣医学部ができることになるのですが、その時に妥協の産物として生れたのが「1校に限る」ということでした。

 「このような皆様方からの多数の反対意見、大臣及び国会議員の先生方への粘り強い要請活動が実り、関係大臣等のご理解を得て、何とか「1校に限り」と修正された改正告示が、本年14日付けで官報に公布・施行されました」(会長短信同)

この「1校に限って」ということで、いままで十数年間に渡り粘り強く四国に獣医学部をと申請してきた今治市に加計学園の獣医学部新設が認められたわけです。

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それはさておきこれで建設が着工となった時、いきなり出てきたのが「前川文書」あるいは「藤原メモ」と呼ばれる「首相の意向」と書かれた文書でした。

この「前川文書」は20176月初めに、朝日新聞と民進党・玉木議員の元に届けられたようです。
民進党HP
https://www.minshin.or.jp/article/111935/
 
藤原審議官との打合せ概要メール
 
藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)
 
加計学園への伝達事項添付メール

そしてしばらくすると、お待たせしましたとばかりに登場する千両役者が、ご存じ「夜回り先生」こと前文科省事務次官・前川喜平氏だったことは記憶に新しいことです。

状況証拠的にはとお断りしておきますが、誰がこの「藤原メモ」を朝日と玉木氏に送付したのか、考えなくても分かりますね。

そしてこの獣医師会に「忖度」された玉木氏が、民進党・加計疑惑調査チームのリーダーとなっていくという大変に分かりやすい流になっていきます。

と、このように流れを見てくると、どのような勢力とどのような勢力が戦っているのか、そしてどちらが負けて今その延長戦を意趣返しよろしくやっているのかがジワーとわかって来ると思います。

※今日はアップする直前に原稿がフリーズするというトラブルに見舞われて、泣き泣き修復しました。たまらんち。

 

 

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産業獣医師が足りない!

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加計学園獣医学部が特区構想の案件として提出されたのは、「新しいタイプの獣医学部」だったからです。

それはどのようなものでしょうか。特区諮問会議での本間正義委員の発言です。
2015年6月8日 特区諮問会議・国家戦略特区ワーキンググループ議事録http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf 

「医学教育及び獣医師養成としての獣医学部についてのみの説明であって、肝心の今治市が主張している国際水準ないしは新しいタイプの獣医学教育ですね、それには触れていない。
今治市は食の安全とか、人獣共通感染症あるいは越境国際感染症、そうしたものに対する対象が必要であるということを主張されているわけで、それがこれまでの獣医学教育とはかなり違うと私どもは受け取っているわけで、なおかつ、現在の獣医学の教育体制ではカバーし切れないと認識をしている」

①食の安全
②トリインフルエンザのような人獣共通感染症
③口蹄疫のような越境国際感染症
④バイオテロ対策

本間氏が述べるように、いまの日本は人畜共通感染症の大規模襲来という未曾有の事態に直面しています。

これは従来の獣医学部の枠内には収まり切れない新たな状況です。

下図は2016年のトリインフルの発生状況ですが、まさに全国的感染拡大の様相を呈しています。

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トリインフルエンザは初動制圧しないかぎり感染を拡大し、やがてはヒトに感染させる可能性があります。

それに対してそれを防疫側の主力である獣医師は、絶対的に不足しています。

今日はそれについて考えてみます。

獣医師の仕事は都市部ではペットの医者の姿しか見えないかもしれませんが、地方においては産業医と呼ばれる畜産に関わる獣医師が圧倒的です。

獣医が抱える問題は、前者の都市部の獣医は飽和傾向にあるのに対して、産業系獣医、あるいは公務員の獣医師は圧倒的に不足していることです。

産業系獣医のひとつである公務員獣医師について、朝日はこう説明しています。

「〈自治体の公務員獣医師〉 自治体の家畜保健衛生所や食肉衛生検査所、保健所で家畜の伝染病予防や改良、病気に関する研究(家畜衛生)▽食肉の検査や狂犬病予防、食品衛生の監視指導、動物の感染症に関する研究(公衆衛生)を担う。野生動物の保護・人工繁殖や動物愛護も担当する。2008年現在で全国に8604人」に(2010年6月17日)

農水省の統計を押さえておきましょう。

獣医師の届出状況(獣医師数):農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/zyui/pdf/juuishi_todokede_14.pdf

●獣医師の就職動態
・獣医師届け出者の総数      ・・・39,098人
・個人診療施設(民間の小動物医)・・・17,241(44%)
・国家公務員              ・・・518
・都道府県職員            ・・・7,121(18%)
・市町村職員             ・・・1,887

●獣医の地方分布状況
・福井県・・・163人
・東京都・・・4027

獣医学部を卒業した4割以上がペット医になってしまい、家畜衛生保健所(家保)などの地方公務員に就職するのはわずか14%にすきません。

しかもそれは東京などの都市部に集中し、地方には東京の数%しかいないのです。

それを報じる朝日です。

「ペットブームを背景に、毎年約1千人いる獣医学系大学の卒業生の半数以上が犬、猫などのペットを診る小動物獣医師になる一方、「公務員獣医師は完全な売り手市場」と岡本芳晴鳥取大教授はいう。家畜臨床や公衆衛生の教員が足りず、公務員の仕事を知らない学生も多いためだ。
1986年と比べ、2008年の獣医師数は小動物が2.6倍に増えたが、地方公務員は5%減。小規模畜産農家が減り、大型の産業動物を診る獣医師は13%減った」
(朝日2010年6月17日)

http://www.asahi.com/special/kouteieki/TKY201006170275.html

収入も自由診療のペット系医師より低めですし、せっかく競争率20倍という獣医学部の狭き門をくぐってまで、牛豚の糞尿にまみれたくはないんでしょうね。

特に獣医資格が必要な公務員職は、定員が充足していない深刻な状況が続いています。

「朝日新聞の調べでは公務員獣医師の定員を定める20都道県のうち12道県で定員に満たない。伝染病対策に遅れが出てはいけないと、自治体は獣医師確保に必死だ」
「498人の公務員獣医師がいる北海道は昨年度、74人を募集したが採用は34人。今後5年で79人が定年退職する。人手不足で時間外勤務が増え、検査や防疫に支障が出る懸念もある。畜産県の鹿児島県も昨年度は12人を募集して採用は8人だった。161人の公務員獣医師がいる宮崎県は獣医師の定員はないとしているが、昨年度の採用は14人の募集に対し12人にとどまった」(同)

Photo_5口蹄疫対策のため、殺処分されトラックで運び出される家畜 2010年5月22日、宮崎県川南町)=共同

ですから、獣医師の恒常的不足は、かつての宮崎県のように越境国際感染症の代表格である口蹄疫が大発生すれば、直ちに深刻な事態になります。

「口蹄疫が発生した宮崎県では、家畜保健衛生所の獣医師が農家に立ち入り検査をし、牛の検体を国の機関に送ることで感染が判明した。
薬物注射などで家畜を殺処分する防疫作業も公務員獣医師が担うが、宮崎県だけでは人手が足りず、16日までに全国からのべ約3500人の公務員獣医師が派遣された。現在も39都道府県の103人が支援を続ける。
 5月に宮崎県に入った埼玉県の獣医師は、約20人の獣医師とともに4カ所の農場を回り、家畜の殺処分を続けた。「口蹄疫は一番重要な病気と学んだが、症状を見たのは初めて。病気の家畜が見つかったとの報告が次々と届く中、少しでも拡大を食い止めたいと考えて作業した」と話す」(同)

このブログでも100回以上追跡した宮崎県口蹄疫において、初動制圧が遅れた最大の原因は、ひとえに殺処分する家保獣医が不足したために待機患畜が積み上がり、感染を広めたからです。

この時は全国の家保U動員がかかっただけではなく、民間の獣獣医師までもがボランティアで駆けつけて奮闘しています。

Photo_6http://www.saga-s.co.jp/news/national/10203/416366

またトリインフルにおいても殺処分する公務員獣医師が不足し、陸上自衛隊の協力を仰ぐことが慣例となってしまっています。

このような状況を知りながら日本獣医師会は、52年間に渡って獣医学部の新設に反対してきました。

巷間その理由と言われているのは、獣医師が自由診療であるために、獣医師が増えると競争が激化して、診療価格が低下するからだと言われています。

それが事実ならば、獣医師会の業界エゴと言われても致し方がありません。

Photo_4http://www.asahi.com/topics/word/%E7%8E%89%E6%9C%A...

その獣医師会から100万円の献金をもらい反対の旗振りをしたのが、民進党・玉木雄一郎幹事長代理です。

「日本獣医師会の会議報告によると、玉木氏は平成27年6月、東京都内の明治記念館で開かれた日本獣医師会の第72回通常総会に来賓として出席。あいさつの中で「教育の分野、あるいは医療の分野は、そもそも特区として、地域の例外を作り、進めるべき話ではない。おかしな方向に向かいそうになった際はしっかり止める」などと述べ、加計学園による獣医学部新設に反対する日本獣医師会を擁護する姿勢を鮮明にしていた」(2017年5月22日)
http://www.sankei.com/premium/news/170522/prm1705220008-n1.html

ちなみに玉木氏はの父親は香川県獣医師会副会長で、この父親からも多額の借金をしていることが分かっています。

香川県は今治市と同じ四国ですから、四国の産業獣医の不足状況はよく知っていなければなりません。

それを「しっかり止める」とタンカを切っているのですから、誰の利害を「忖度」したのでしょうか。

金と背後関係が明確なだけに、まさに「悪い忖度」の典型です。

長くなりましたので、今日はここでいったん締めくくりますが、獣医の構造的不足を招いた原因は、ひとえに獣医師会と癒着した文科省にあります。

そもそも本間委員が指摘するように、獣医学部の新設は獣医師の数と直結することで、「文科省のマターではない」のです。

だから議事録を読むと文科省の役人は、産業獣医師の現状を何も知らないで諮問会議にでてきていますから、このテーマになると「えー、農水省によりますと・・・と聞いています」という情けなさです。

反対したのなら、獣医師の需給予測見積もりのペーパー1枚くらい用意すりゃいいのです。

こういう連中が獣医学部の許認可を握って、52年間も獣医師を増やさなかったのだと思うと、なんともやりきれない気分になります。

そして今回野党とメディアは、彼らの擁護者となりました。

この度し難い既得権益の守護者たちは、国民を人畜共通感染症の危機にさらして恬として恥じないようです。

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特区諮問会議議事録に見る加計問題の本質

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昨日、HN「万人」という人からコメントがありました。きょうの本題である特区諮問会議についてお読みになりたい方は中段の波線に飛んで下さい。 

「週刊紙やテレビ番組のインタビューで前川氏が行ったお店に勤務していた女性(それぞれ別の女性)が明確に売春行為を否定して、なおかつ恩人だとも言っていましたけど、その件はブログで取り上げないのですかね。
確定前の情報で前川氏を破廉恥漢だと決めつけてたたいてけど、あなたが前川氏を売春したとほぼ断定した根拠って一体なに?
やはり単に無責任に情報を垂れ流して政権擁護したいだけの人だったようです」
 

この人は言っていませんが、これが嵩じると、前川氏を批判的に扱っただけで「安倍信者」と言われます。 

私はたった一回だけ前川氏の出会い系バーとの深い関わりについて書きましたが、以降まったく書いていないはずです。その時も「ばかばかしい」と書いていたはずです。 

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なぜなら、論点がズレるからです。 

この加計問題はいかなる意味でも属人的問題ではありません。 

つまり倒閣運動をしたい様子の前川氏も、「糺弾」されている立場の安倍氏もその人格が故に、この問題が起きたのではない、ということです。 

この問題の本質は、業界利権とつるんだ文科省の省益と、その癒着を断ち切り、正常な市場の働きに任せようとする、官邸が押し進めている規制改革とのバトルの一場面です。 

もちろん人間社会の出来事ですからキャラが関わってきますが、本質を見ないで「友人だ」「出会い系次官だ」と言い合っても不毛じゃないですかね。 

前川氏に関しては反安倍色を鮮明にしている文春が入れあげているようですが、記事では店の女性従業員が、売春を否定していたと書いていました。 

だからなに?メディアに「ハイ、うちは売春する店です」、と言うとでも思っているほうが滑稽です。

女性従業員が、そんな不用意なことを言えば、即座に警察が手入れに入り、店は潰れます。 

ただそれだけのことで、彼がメディアと野党が言うような、「正義の告発者」「清廉潔白な善意の人」「夜回り先生のように優しい人」だったとしても、いささかも私の主張には変わりがありません。 

ただし、彼がどういう経緯で文科省を追い出されることになったのかについては、本質とも関わることですので押さえておきます。 

前川喜平氏はこういう高級官僚でした。

①組織的天下りを斡旋したことで世論の批判を浴び、退職に追い込まれた。
②官邸が進める規制改革に公の席上ではひとことの反論もせずに「面従復背」した。
③閣議決定された獣医の需給見通しを提出しなかった。
③本来懲戒解雇されるべきはずが、なぜか依願退職として処理され、8千万の退職金を確保し世論の批判を浴びた。
④官房副長官から風俗店に通っていることを注意されていた。
⑤在任中は反対の意志をおくびも出さず、退職後になっていきなり「内部告発者」に華麗な変身を遂げた。

以上が前川氏のプロフィールです。

ひとことで前川氏を評せば、利権団体と省益の癒着を象徴する人格的代表者であって、官邸に敗北して恨みを呑んで辞めさせられた人物です。 

朝日、毎日、TBS、文春などが褒めそやすような、「正義の人」にはあまり見えません。 

経歴から透けて見えるのは、我が身かわいさの因循姑息と、国益より省益を重視する官僚階級のくさみです。 

なぜ、在任中に加計学園が「首相の一存で押し込まれた。行政が歪められた」と思ったなら抵抗しないのでしょうか。 

前川氏は事務次官として、抵抗が可能な立場にいたはずです。 

いや、この言い方は正確ではありません。文科省は新規獣医学部について特区諮問会議という決定する場で、ぬらりくらりと反対をしています。

新規獣医学部の選考過程の議事録はすべて公開されています。 今日はそれを読んでいきましょう。

                       ~~~~~

170221imgyamamoto22http://www.cao.go.jp/minister/1608_k3_yamamoto/pho...

2015年6月8日の特区諮問会議の下の国家戦略特区ワーキンググループの議事録http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf 

文科省の対応方針はこうです。

「北山専門教育課長
(略)獣医系大学の新設につきましては、近年の獣医師の需要の動向、分野別、地域別の獣医師の偏在なども踏まえまして、特定地域の問題としてではなく、全国的見地から検討しなければならず、国家戦略特区等の特区制度を活用した対応は極めて困難であると考えております」

つまりは、獣医学部新設には、この特別区制度は使えない、却下すべきだと文科省は言っているわけです。 

それに対しての民間委員が疑問を呈しています。

「本間正義委員 (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
ただいまの御説明だと、従来の医学教育及び獣医師養成としての獣医学部についてのみの説明であって、肝心の今治市が主張している国際水準ないしは新しいタイプの獣医学教育ですね、それには触れていない」

ここで本間氏が指摘しているのは、文科省が言う獣医学部は古い概念であって、いまやトリインフルの蔓延や、かつて宮崎を襲った口蹄疫の大発生、あるいはバイオテロの脅威といった新たな状況に対応した、新たな獣医学部が必要だが、文科省はそれをスルーしているということです。

「本間委員
今治市は食の安全とか、人獣共通感染症あるいは越境国際感染症、そうしたものに対する対象が必要であるということを主張されているわけで、それがこれまでの獣医学教育とはかなり違うと私どもは受け取っているわけで、なおかつ、現在の獣医学の教育体制ではカバーし切れないと認識をしている」

それに対して文科省は、いや、やっているとダラダラ返答していますが、本間氏は納得しません。

「今の御説明の中では、やられている、やられているというお話ですが、(略)量的な拡大、つまり供給の拡大が望ましいというように我々は受け取っている」

これは「量的拡大」、すなわら52年間新規の獣医学部の新設を握り潰してきた文科省に対しての批判と受け取っていいでしょう。

半世紀以上に渡って、日本獣医師会は獣医を増やすことに反対してきました。それは獣医師の分野が原則として自由診療だからです。

獣医師が自由に診療価格を決められるので、獣医師市場がハングリーであるほうが都合がいいという職業的利害です。

この獣医師会と文科省の癒着によって、実に半世紀以上も獣医師の増員は認められてこなかったのです。

「本間委員
今治市の(提案の)中でそういう体制をつくりつつあるということから出てきているのだと思うのですが、一般的に今おっしゃった中で獣医師の定員が決められている、あるいは獣医学部の学生の定員が決められている中で、あらゆることに対応しなくてはいけない。そういうことについて量的な確保がなされているのか。新しい需要がふえているという中の状況をどうお考えか」
「私が聞きたいのは、従来の犬、猫だとか、牛などの大動物の話ではなくて、こうした新しい分野に対する需要を満たすための人員をどう確保していくかということなのです」

委員は今までの「獣医師の増員は絶対に認めない」ありきの獣医学部行政では限界があると強く指摘します。

委員は学部新設を認めないという従来の文科省のやり方は特異であって、本来獣医師の量を調整したいのなら、国家試験で絞るなどやり方はいくらでもあるだろうとしています。

「八代尚宏委員( 国際基督教大学教養学部客員教授)
ただ、それは弁護士と逆で、弁護士は学部での調整はしていないけれども、司法試験で調整している。こちらは、いわゆる国家試験では調整していないけれども、事実上医学部で需給調整しているわけですね」

同じ議論は2016年9月16日の特区諮問会議でもされています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf

「磯貝課長
農水省のほうとしては、大学・学部を新設されたいということに対しては、特段コメントをする立場にはないと思っております。現実として産業動物、家畜の数というのは需要が伸びていた時代と違いまして需要自体も減ってきていて減少している。また、ペットのほうもある程度飽和してきて犬の数が減ってきているという実態があるという認識をしているだけでございます」

これについての本間委員の発言。

「本間委員
獣医師の定員管理をどうするかということは水かけ論になっていて、我々として定員管理は必要ないという立場であって、一定の技術を持ち、資格が認められれば、獣医師になるかならないか、試験を受けて獣医師になるか、その仕事に就くかというのはマーケットが決めればいい話だ」
「要するに獣医師が増えるか増えないかということは文部省のマターではないということです」

この特区諮問会議では文科省は獣医師の需給見通しの資料を出すことができず、認可権を持ちながら、「新設についてコメントできない」とか、犬猫を例に上げて「需要は減少している」などとぼけたことを言っています。

この諮問会議議事録を読めば、「総理の意向」などとはまったく別次元の、トリインフルなどの人畜共通感染症の蔓延、口蹄疫などの越境感染症対策、あるいは、バイオテロに対してのマンパワーが圧倒的に不足している現実から、今治市の提案した加計学園獣医学部新設問題が討議されたと理解できるはずです。

いまだ「総理の友人が理事長を務める加速学園獣医学部新設問題」と、枕詞に「総理の友人」をつけてしか報道できないメディアは、森も見ない、木も見ない人たちではないでしょうか。

 

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再エネはなぜダメか

安直に、原発を止めて、その勢いで化石燃料発電もやめてしまい、いっそ全部をクリーンな再生可能エネルギーにしてしまえば「安全・安心」だと言う人がいます。

もっぱら言っているのは、反原発派の人たちと野党ですが、たぶん原発問題を政局としてしか捉えておらずに、エネルギー問題だと考えていていないのではないのでしょうか。

菅直人氏の置き土産である、再生可能エネルギーの固定価格買い上げ制度(FIT)は崩壊の淵にあります。

直接の原因は電力会社の買い取り制限です。

太陽光による電力の急増による送電設備の容量オーバー、発電の気象条件による周波数の乱れによって大規模停電などの怖れが出たからです。

既に大手電力10社のうち、中部、北陸、中国以外の7社が、受け入れ中断、あるいは、制限を実施する事態となっています。これを受けて経産省は、固定買い取り制度の見直しに着手しました。

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そもそも菅首相は、「友人」である孫正義氏を「忖度」して、孫氏の言うがままに世界一高い買い取り価格を設定しました。

当初はなんと40~42円/kWh、現在は下がって32~37円/kWhです。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。

2014年に行われた経産省の見直しの内容は、以下です。

①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

しかし歯止めが掛からず、いまや半分本気で「発電税」をかけるしかないという声すらあがっています。

当初のウルトラ高値の買い取り価格を、市場価格にみあって平準化し、新規参入を抑制させることが狙いです。

それにしても当初から予測可能なことばかりで、初めから政治的に押し込まずに専門家が検討を繰り返していればよかったことばかりです。

たとえば、次の目玉とするつもりの地熱発電を電源の0.3%(2012年)であったのを、2030年までに1%にまで引き上げるということを言っていますが、これも失敗に終わるでしょう。

確かに太陽光や風力と違って安定していますが、火山地帯に集中すれば当然限られた水蒸気は枯渇し地盤沈下の恐れがあるとして温泉業者団体から強い反対があります。

2030年度までに再生可能エネルギーを2割にするなどという空論は止めて、一定の枠内で丁寧に育てていく方針に切り換えるべきです。

原子力発電はあたりまえですが、エネルギー問題であって思想問題ではありません。

エネルギーは社会インフラの基本中の基本なので、抽象的にイエスノーを言ってはいけない問題なのです。

電気が来なければ社会の生産活動がすべて止まります。来たり来なかったりすれば、工場のラインはそのつど停止、再起動をするためにオシャカの山を築きます。

周波数の安定が要求されている社会でこんなことが起きれば、日本の製造部門は壊滅状態になるでしょう。

実際にドイツは原発を半分止めただけで、企業の国外移転が相次ぎました。

それでもドイツはヨーロッパ広域送電網によって周辺国から電気をもらえるからマシでしたが,、日本はそれもできません。

こんな国からは生産部門は逃げ出し、やがて人も逃げ出すことでしょう。

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再生可能エネルギーが化石燃料や原発に代わる基幹エネルギーにというのはファンタジーに過ぎません。

再生可能エネルギーは正しく社会に位置づければ有意義な電源ですが、過剰な期待をかければ社会的ダメージは計り知れません。

それは自然由来故の、克服しようがない「ブレ」があるからです。これではベースロード電源になるはずがありません。

ですから、風力発電を持つ地域の電力会社は、大風が吹くと大量に送り込まれる電気を拒否したり、逆に風がなければ火力を増加させるというバックアップに振り回されています。

まぁ、制度の心配もさることながら、いまや太陽光パネルの大部分を占める中国製の安物が、簡単に故障しては修理部品もなくなっているようですので、野山にはパネルの残骸が醜く放置され環境破壊と自然災害のの原因となっています。

また太陽光発電を名目にした、中国の土地買い占めが大変な面積に登っていることがわかりました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170604-00000017-pseven-soci&p=1

「昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”(777ヘクタール)
4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。買収された森林の多くは北海道で、香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる。実は本州でも今、ある事業を名目とした中国系資本による土地取得が進んでいる。それが「太陽光発電」だ。電力事業関係者が説明する」

今日はその再生可能エネルギーのミズモノ性の本質から考えていきます。               

 

 

再エネ(再生可能エネルギー)がなぜ基幹エネルギーにならないのか、考えてみましょう。 

結論から言えば、発電量の「ブレ」の激しさが致命的なのです。「自然を資源」としているわけですから、気まぐれが激しいのです。  

下図は、東京電力浮島太陽光発電所の発電量の時間推移のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。  

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 (図 東電による) 

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 

ちなみに、このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。 

冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、反原発の皆さんがショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。  

春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。  

ただ残念ながら、これからの夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。  

燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。  

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。  

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。  

中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。  

ここまでを整理しておきます。

①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量にすぎない。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど
②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的
発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど
④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要
⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要

発電量のブレは宿命だとしても、最大の問題は蓄電コストてす。つまり、メーカーの日本ガイシさんに言わせれば、大規模蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。  

kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。  

したがって、1万人規模の街の電気を蓄電するためにはもっとも安いNAS電池ですら1日で約15億7千万円ほどかかってしまいます。  

1か月で約532億円ていどかかります。 もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。 

というのは、本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電する目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるからです。 

その日の予定以上に多く発電した場合は、多少貯めておいて、まったく発電できない時にそれを出すというような目的です。 

蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。  

そもそも、反原発派には、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。彼らの主張は、結局は「原発は危ない」のただ一点だけです。  

それが故に、予想される大災害時、あるいは夏のピーク時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だという自覚がないのです。 

現在、夏の電力予備率は関西電力で3%を切り1.8%という危機的状況です。  

まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという頭のネジが飛んでしまったような政策をとったら、絶望的な事態になります。 

電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、ピーク時や災害に極端に脆弱な国になっています。

国破れて太陽光パネルあり、では困るのです。

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日曜写真館 素顔の力士たち

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相撲が好きです。

世界の格闘技で
最速の当たり。
最強の衝撃力
最大の体重
最短の競技時間
手がつく、足が出た瞬間に勝つゲーム性

そしてプロ野球のペナントレースを圧縮したような15日間の長丁場。

初日の緊張、初日から3、4日目までのテイクオフタイムの重苦しさ。中盤の骨がきしむ苦しさ。そして終盤の死闘。

なによりフォルテシモが千秋楽となれば、いうことなしです。(先場所はガックリきましね)

巡業は力士にとって大変な負担になっているのはわかりますが、指を伸ばせば触れられる所に力士という存在を見ることができるのは、得難い体験でした。

私の相撲好きは、巡業を見たことから着火したみたいです。

高安、いい大関になって下さい。ケガだけは気をつけて。

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パリ協定は実現可能か?

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トランプがパリ協定の枠組みから離脱しました。メディアではトランプ批判一色ですが、あながちそうともともいえない部分があります。
パリ協定 (気候変動) - Wikipedia 

メルケルは自分がやってきたエコ政策に泥を塗られたと考えて、怒り心頭のご様子です。 

まぁ、トランプ就任以降ぶつかりっぱなしでしたからね。

3月の米独首脳会談では視線も交わさずたがいにガン無視。双方ともに握手の記念撮影だって、ああ手が汚れるってかんじでした。 

メルケルの怒りは、オバマが受け入れたパリ協定を、トランプがチャブ台返しにすると公約して当選したことです。

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G7では反対なのはあんただけじゃなのさ、とメルケルは言いたいようです。しかも帰国してから言うってなに?このヘタレ。 

とまぁ、この調子でメルケルのお怒りはボンボンと燃え盛り、とうとう5月28日のミュンヘンではビール・ジョッキを片手に演説を行い、「私はこの数日で、ヨーロッパが他国に完全に頼れる時代はある程度終わったと感じた。ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」と言っちゃいました。

とりあえずテーマは、外交-安全保障とは一線を画した地球温暖化対策ですが、これだけシコルと、後はどのようになるのでしょうか。 

トランプさんも大人げないというか、パリ協定なんか紳士協定にすぎない側面がありますから、離脱なんかせずに枠内でグチグチとネゴシエートするほうが得策だったと私なんか思いますが、政権基盤が大揺れしていますから、仕方がなかったのかもしれません。

それはさておき、この地球温暖化対策とはCO2排出制限をしようとするものですが、二酸化炭酸ガスは自然由来のものが多くを占め、人間の生活-生産活動由来は3%と限られています。

人間活動由来のCO2削減するには、エネルギー源転換をせねばなりません。

すなわち、もっとも多くの排出源のひとつである化石燃料から非化石燃料に切り換える必要があります。

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各種電源別のCO2排出量 出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010

そのために有効な手段は、ズバリ原子力発電の依存を高めることでした。

たとえばわが国は福島事故まで電源の約3割を原発に依存していました。

それが菅政権の全面停止政策によって、主要電源は一気に化石燃料となりました。

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2013年度のエネルギー源別の発電電力量の割合http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id035081.html

化石燃料を主体とした発電を続ける限り、わが国は二酸化炭素を削減することは不可能なのが分かるでしょう。

原発を止め、9割弱を化石燃料に依存している現状では、パリ協定目標を達成することは不可能です。

つまり、エコ政策を突き進もうとして二酸化炭素ガス削減するためには原発を一定割合で組み込まねばならず、組み込んだら今度は反原発派から「環境に危ない原発反対」とやられるという二律背反になってしまうわけです。

反原発派の運動家にどうやったら原発を止めたままで、CO2削減できるのかお聞きしたいものです。

どうせ再生可能エネルギーというのは分かりきっていますが、再エネについてはごっそり記事を書いていますので、そのうちまた論じます。

下図を見ると、1997年の京都議定書以降も、CO2は増加の歯止めがかかっていないのが現状です。
京都議定書 - Wikipedia

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Warming_chart01化石燃料などからのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010http://www.jnfl.co.jp/recruit/energy/warming.html

このように京都議定書は失敗し、パリ協定もまた実行が疑問視されていることは確かです。

地球が現時点で温暖化しているのは事実ですが、CO2主犯説について私はかねがね炭酸ガスもその一因だが、それは限られたものだと書いてきました。

それについては、7年前の2010年3月5日の旧稿を再掲載します。

ちょっと専門的な内容です。それにしても今日はグラフばかりでごめんね。

                                     ~~~~~~~~~~~~ 

CO2が海洋や植物に吸い込まれることを、自然界の緩衝作用といいますが、いったいどのくらいの時間かかって吸い込まれているのかも大事なポイントです。 

というのは、海洋や植物に吸収されるまでに長い時間がかかるのです。つまりですね、今この世界にあるCO2は、ただいま現在のものではなく、過去に由来して蓄積しているのです。
この蓄積期間にも説がいろいろとあるようですが、最短で5年間、長いもので200年間という学者もいるそうです。
 

このCO2が自然界に吸収されるまでの期間を、「滞留時間」と呼びますが、これを最短の5年間ととると、モロに人間の活動によるという証明となります。 

一方、200年ととると、真逆に人間の活動とはなんの関係もないということになってしまいます。 

では、5年~15年間の短期滞留期間説を取るとすれば、CO2が気温上昇の疑惑の真犯人扱いですから、思い出されるのが、CO2と気温上昇がパラレルで上昇するという、あのホッケースティック曲線です。 

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 最大の地球温暖化の根拠とした資料でした。ちなみにこれを採用したのは、彼の盟友であり、クライメイトゲート事件の主役であるCRSのフィル・ジョーンズ教授です。 

しかしあいにくと、このホッケースティック曲線には大きな誤りがありました。最大の誤りは、19世紀以前の気温をほぼ一定だとしてしまったことです。

これでは10C~14Cの中世温暖期は無視され、19世紀の小氷河期もなかったことになってしまいます。 

また、このホッケースティック曲線が衝撃を与えた20世紀からの極端な気温上昇の中にも、下図のように1940年から1980年まで続いた「寒冷期」が存在します。

そういえば思い出しました。1970年当時の世界の気象学会はどんな警鐘を鳴らしていたのでしょうか。「来る小氷河期に備えよ!」でしたっけね(苦笑)。

そのわずか20年後に真逆ですか、まさに「君子ハ豹変ス」の見本ですな。 

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それはさておき、上の地球の気温変化グラフに、下図のCO2の排出量グラフを 重ねてみましょう。1940年~1980年にかけて、大気中のCO2濃度に低下が見られたのでしょうか、下図をご覧ください。 

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 一目瞭然ですね。1940年のCO2排出量は50億トン弱、1980年には180億トン弱、つまり3.6倍になっているにもかかわらず、実際には寒冷期が来ているのです。

これをどのように、CO2の増大が地球の気温上昇につながったと整合性をもって説明するのでしょうか。 

CO2は20世紀以前にも大量に存在しました。

たとえば、日本の古代縄文期、古代ローマ時代、そして中世など、人類がこの地球上に現れてからもなんどとなくその増大をみました。現在のCO2濃度以上の時などザラなほどです。 

ではCO2増大と気温上昇には相関関係があるのでしょうか?そう、確かにあるにはあります。

ただし、一般に流布されているように「CO2増大によって気温上昇が起きた」のではなく、その真逆のプロセスによって、ですが。 

それでは次の図をご覧ください。 

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 上図の破線がCO2です。実線が気温です。一見パラレルですが、よく見ると面白いことに気がつきませんか。そうです、CO2の増大は気温上昇した「後」に発現していることが分かります。 

この現象はちょうどサイダーを温めるとブクブクと炭酸の泡が出てくるように、海水面の温度上昇により海水に含まれていたCO2が空気中に放出されるからです。 

現在の気温ですとCO2放出が支配的ですが、0.6℃C低下するとCO2濃度の上昇は止まるとの説もあります。 

つけ加えれば、CO2は自然界からも放出されており、人間活動由来なのは、そのうちたかだか3%しかないのです。 

このように考えると、私のような門外漢が素直に考えれば、大気中の質量比0.054%にすぎないCO2が、その6倍もの0.330%の質量比をもち、5.3倍の温暖化効果をもつ水蒸気より温暖化効果があるというのは不自然ではないでしょうか。 

なんらかの原因で地球が温暖化した結果、海水温が上昇し膨大な水蒸気が発生し、それに伴ってCO2も放出されたと考えるのが素直だと思われます。 

また、そのCO2排出量のわずか3%ていどしか人間由来でないとすれば、人間活動由来のCO2「こそ」が地球温暖化の主犯であると決めつけるのは、あまりに飛躍がありすぎるように思えます。 

 

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「よもや」という時期に考えよう

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北朝鮮の弾道ミサイル試射のテンポが加速しています。 

まぁそのわりには、実にのどかなわが国です。平和ボケといえばそれまでですが、ある意味しゃーないことなのかも知れないと思って見ています。 

実感がない、よもや自分に核ミサイルが降ってくることはあるまいというのは、唯一イスラエルとスイスを除けば世界共通した感情であることは事実のようだからです。 

イスラエルは各戸に防毒マスクが常備され、シェルターも完備して、そのうえにアイアンドームという、テロリストの小型ロケット弾まで弾き返すというとんでもないものまで装備しています。 

しかし、それは現に続く戦火によって現実に国民が弾道ミサイルの脅威を体験し、命の危険を悟ったからです。 

米国ですら冷戦期に作られたシェルターは、使われずに廃墟と化しているものもかなりの数あると聞きます。 

人間とはそんなものなのです。

佐藤優氏がなにかの中で、オウム事件を例えに上げていました。 

私たちはオウム真理教が人里離れた場所にサティアンという建物群を立て始め、そこをオウム国家と定め、統治機関まがいのものを作って生活していることは知っていました。 

いま思うと、オウムがISに酷似していることに驚きを覚えます。
オウム真理教事件 - Wikipedia 

模擬的な国家体制、宗教的共同体、縦割りの絶対服従関係、閉鎖的コンミューン生活、巧みな広報活動、そしてなにより武装計画とその実行。 

文化人の中にはオウムを評価するものもかなりいましたが、オウムがやりたかったほんとうのことは武装クーデターによる日本の乗っ取りでした。 

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実はサティアンの正体も化学工場であり、中ではVXやサリンを作っていたわけです。VXは北朝鮮が金正男暗殺に使った化学兵器です。 

北朝鮮こそ、シリアやISなどに化学兵器を売った張本人ですが、現在、欧州で次に起きるテロは化学兵器を用いた「地下鉄サリン事件」型になるのではないかとささやかれています。 

のちになってオウムも秘かに北朝鮮と連絡パイプを持ち、なんらかの連携があるのではないかという説も浮上しましたが解明されていません。 

オウムが初めて化学兵器を用いたのは、松本サリン事件でのことでした。この時、警察の不手際もあってオウムの姿がはっきりとしていたにもかかわらず、国民のおおよその受けた感想は「まさかね」でした。 

そう、その「まさか」です。現実があまりに生活感覚から乖離している場合、人はそれを認識できなくなります。 

頭の中の一部では警報がなっているのですが、「よもや自分の住んでいるところには起きまい」と考えてしまうのです。 

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ところが、その私たち国民の「よもや」をオウムが乗り越えてやったことが、「地下鉄サリン事件」でした。
地下鉄サリン事件 - Wikipedia 

満員の首都の地下鉄で化学兵器を散布するという、今なお世界テロ史上類例のない凶悪テロでした。 

それは死亡13名、負傷者6300名にも登る凶悪という言葉も当たらないテロでした。 

彼らは武装部隊を組織し、自家製の自動小銃を持ち、さらにはソ連製の大型ヘリで首都上空からサリンを撒く計画すら持っていました。 

さて、このような世界を震撼させた同時テロを起こしながら、オウムは破壊活動防止法にも問われず、いまでいうテロ準備罪も検討すらされませんでした。 

あの時点でなんらかのテロ準備罪を提出しておけば、国民の理解も容易だったはずですが、仕方がありません。

今回のテロ準備罪にあたっても、かつてあれだけ大規模なテロを受けた経験がありながら、オウムのオの字もでなかったのは不思議です。

オウム事件を分析していけば、どうしたらテロを食い止められるのか、どうしたら冤罪を防げるのかといったことが、もう少し具体的に見えてきたはずなのにと思います。

といっても、関わった文化人が有田芳生氏ですから、どないもなりませんが(苦笑)。

それはさておき、北朝鮮の「よもや」は、もはや「よもや」とも言っておられない段階に達しつつあります。 

北朝鮮はトランプ政権の足並みの乱れをついて、ほんものの「核保有国」になることを狙っています。 

いったん核を握れば絶対的な力を持ちます。一度握った核は手放しません。いかなる交渉によってもそれは不可能です。 

米露でなされてきた核兵器削減交渉は減らすことが目的であって、完全廃棄のための交渉ではありませんでした。 

核とその投射手段である弾道ミサイルを完成し、実戦配備した後に交渉によって完全放棄した国は皆無です。 

このまま北朝鮮の核開発を放置しておくなら、1年、いや半年以内に北朝鮮は「核保有国」宣言をし、国際社会もそれを追認することになります。

無力な米国は中国と密約を交わし、現状維持を選ぶかもしれません。

核を持ったと北朝鮮はありとあらゆる理不尽な要求を周辺国に突きつけてくるでしょう。

食料を寄こせ、金を寄こせ、原油を寄こせ、謝罪しろ・・・、特に彼らの主敵たるわが国に対しては。 

「よもや」という時期にこそこのような事態を食い止めねばなりません。

比喩的に言えば、いまの時期はオウムの松本サリン事件段階に相当するような気がします。

後の北朝鮮版「地下鉄サリン事件」に繋がる、あらゆる兆候は出揃っています。

この時期にあらゆる選択肢を排除せずに考えていかないと、その「よもや」はやがて地下鉄サリン事件のように現実のものとなるのです。

 

 

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「国連」を騙るな

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私たちは「国連」なるものを、漠然と考えすぎていやしませんか。そう思わせたのがグテレス事務総長の先だっての発言でした。 

国連「拷問禁止委員会」は、5月12日に2015年12月の慰安婦問題に関する日韓合意について「見直すべきだ」とする「勧告」を含む「最終見解」を公表しました。 

それを伝える産経新聞(5月13日)です。

「国連委員会が「慰安婦」日韓合意見直しを勧告 「補償や名誉回復は十分でない」 報告書で両政府に
勧告に法的拘束力はないが、韓国メディアは、事実上の合意再交渉を求めたと報じており、日韓合意の「再交渉」を公約に掲げる韓国の文在寅大統領が勧告を基に日本政府に再交渉を要求する可能性がある。
 報告書は韓国に対する審査を記したもので、同合意について「元慰安婦は現在も生存者がおり、被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘。日韓両国政府に対して、「被害者の補償と名誉回復が行われるように尽力すべきだ」と強調した」

Photohttps://www.youtube.com/watch?v=FYEKpM1df4Y

これで一気に日本と韓国の運動家たちは、日韓合意を廃棄せよという世論を作り出そうとしました。 

かつて慰安婦問題を「国連」に持ち込んだ日弁連は、「国連拷問禁止委員会は 日本政府に何を求めたか - 日弁連」と勢いづき、同じく国連をプロパガンダの舞台と心得ている伊藤和子氏を代表とするヒューマンライツナウは「国連拷問禁止委員会が日本に勧告 | ヒューライツ大阪」を公表しました。
伊藤和子 (弁護士) - Wikipedia 

Photo_2http://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E4%BC%8A%E8... 

さて、日本報道検証機構(GOHOO)代表の楊井人文氏は、「ファクト・チェック」でこの記事を誤った方向に誘導するものとして批判しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/

「この記事本文を注意深く読めば「国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会」と書いてあるが、見出しの「国連委員会」はあたかも国連内部の委員会で、その活動が国連を代表しているかのような誤解を与える可能性が高い。
実際、一部識者から 「
国連が当事者の『合意』に口を挟むのも異例だ」「断固として国連に抗議しよう」といった誤解に基づく国連批判が出ている。
ほかにも
読売新聞NHKなど多くの主要メディアが「国連委員会」あるいは「国連の委員会」といった誤解を与える表現で報じている」 

ではそもそも、この「拷問禁止委員会」(The Committee Against Torture、CAT)とはなんなのでしょうか?そこから押さえておきましょう。 

元外交官の美根慶樹氏は、『今度は「拷問禁止委員会」 慰安婦問題で日本に「勧告」が続くのはなぜ?』(5月24日)でこう述べています。
https://thepage.jp/detail/20170524-00000009-wordleaf 

おっとその前に、美根氏が「国連拷問禁止委員会」と書かなかったことに留意してくださいね。 

そうなのですよ、「拷問禁止委員会」は国連の正式な組織ではないからです。 

慰安婦問題を扱っている「国連」関係の組織は、「拷問禁止委員会」以外、実はかなりあります。

「国連人権理事会、国際労働機関(ILO)、女子差別撤廃条約(に基づく委員会)、国際人権規約「自由権委員会」「社会権委員会」、人種差別撤廃委員会などでも慰安婦問題が取り上げられており、全体の状況は非常に複雑ですが、いずれの「場」でもほぼ定期的に審議の結果が公表され、関係国に対して「勧告」が行われます」(前掲)

6つですか(ため息)。朝日新聞が蒔いた世紀の大誤報は、いまでもすくすくと一人歩きして大樹になったようだ、などと感心している場合じゃありません。 

この6ツの「国連」機関の中で正式な国連の機関として位置づけられているのは、たったひとつ「国連人権理事会」だけです。 

その辺を美根氏はこう説明しています。 

「このうち、国連の機関は人権理事会だけです。女子差別撤廃委員会や拷問禁止委員会などの会議は国連から独立した存在ですが、通常国連の施設を借りて行われるので、外見上国連の委員会と区別がつきません。
そのためか、報道では「国連の拷問禁止委員会」、さらには「国連拷問禁止委員会」などと呼ばれることがありますが、これは正確な呼称ではありません」(同)
 

なんというややっこしさ。

人権理事会以外は全部「独立した組織」であって、「委員会」と名乗っていますが、「国連の施設を使っているだけ」の組織だそうです。 

美根氏は、「拷問禁止委員会では、締約国の状況について順番に審査していき、今回の「最終見解」は、韓国に関する審査の結果として韓国政府に対して行われたもの」(同)としています。 

つまり、この「最終見解」は国連が主語なのではなく、1984年の国連総会で採択された「拷問禁止条約」締結国が主語なのです。 

違いが分かりますか。 

拷問禁止委員会のメンバーは国連から任命されたものではなく、あくまでも締結国の人間だということです。 

今回の拷問禁止委員会の委員には、中国、チュニジアなど自分の国の人権状況を言われるのを回避するために入っているとしか思えない締結国の代表も含まれています。 

「国連システム」と呼ばれるものがあります。システムには6つの主要機関や15の専門機関、その他補助機関などが存在しています。
国連広報センター「国連システム」http://www.unic.or.jp/info/un/unsystem/
Photo_3国連構成図http://www.unic.or.jp/files/organize.pdf クリックすると大きくなります。

人権委員会は、あくまでもこの「国連システム」とは別の「独立した組織」なのです。 

拷問禁止委員会とは別に、日韓合意について批判態見解を公表した組織に「女子差別撤廃委員会」があります。 

この女子撤廃委員会は、パン・ギムン事務総長が、日韓合意を歓迎する声明を出したことに対して日韓合意を批判したものですが、この時にも同様の摩擦がおきました。 

この差別撤廃委員会に対して、事務総長報道官のドゥジャリク氏は2016年3月8日の定例会見でこのように言っています。

「「あくまで独立した委員会の意見」としたうえで、「委員会は一つの意見を出し、潘氏は自身の見解を述べただけだ」と述べた」(産経2016年3月9日)http://www.sankei.com/world/news/160309/wor1603090017-n1.html

この中で国連事務総長報道官は、あくまでも女子差別撤廃委員会は別個の組織であって、「事務総長はこの委員会に何の権限も及ばず、無関係だ」と答えています。 

このように見てくると、確かに日韓の運動家たちによって国際社会に持ち出された慰安婦問題は、日本人が与り知らないところで肥大化し、ひとつの共通認識を形づくっていることは紛うことのない事実だと分かります。 

それは放置すべきではなく、それを正す外交努力を事実上放棄したに等しい外務省は猛省すべきです。 

そして日本国内においてあいもかわらず、メディアと運動家たちによって、「国連勧告」「国連最終見解」「国連報告者」「国連報告書」といった誤った表現が、堂々と罷り通っていることは大変に問題です。

たとえば暴行罪の容疑者として逮捕され、公判中の山城被告の拘留に対して、「国連報告者が批判」と報道されていました。

山城氏は初公判の日程が決まらなかったために、拘留が延びてだけにすぎません。

特に彼だけ「政治犯」だから差別したわけでもなく、通常の公判手続きに従っただけにすぎません。

そもそも暴力犯罪を問われて刑事訴追されているのであって、政治主張を問われているのではないのです。

それが山城氏を英雄扱いにする地元2紙ならともかく、NHKまでもがこういうふうに報じています。

「国連 沖縄の活動家の長期勾留に懸念示す
沖縄のアメリカ軍施設の建設に反対する市民団体の代表が公務執行妨害の罪などで逮捕・起訴され5か月余りにわたり勾留されていたことについて、国連人権理事会の特別報告者など4人が日本政府に送った緊急の声明が公表されました。声明では逮捕や長期間の勾留に懸念を示しています」(NHK5月28日)

「国連が懸念を示す」そうです。完全な誤報です。

また「国連」の名を騙り、政治利用するのは論外として、人権理事会という「国連システム」内の組織であっても、この報告書が採択されるまで、それは報告者の「個人的見解」にすぎないのは、グテレス事務総長の指摘とおりなのです。 

そしてその人権理事会すら、イスラーム研究者の池内恵氏はこうツイートしています。

「国連人権理事会というのはかなり曰く付きで、人権侵害を多くやっている国が結構理事国に選ばれている。その目的は、自分の国の人権問題を問題にさせず、よその国を非難することができるようにすること。主催する会議にいろいろ専門家を送り込んで報告書やら声明やらを出す」
https://twitter.com/chutoislam

日本人はただの戦勝国の戦後体制にすぎなかった国連を、主権国家を超越する「世界政府」と幻想した時期が長く続きました。 

実際の国連は創設時の集団安全保障の夢はとうに消え失せ、自国を有利にするために他国をこき下ろす国々、あるいは、政治利用目的の政治運動家たち、はたまた高給を食む国連官僚たちの巣窟になりさがってしまったようです。 

最後に一句。気をつけよう暗い夜道と、国連詐欺。

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