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拝啓 朝日新聞社様 

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参考として2014年9月8日の記事を再掲いたします。本日の記事は別にあります。

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拝啓 朝日新聞社様。貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 

さて、今回の貴紙8月4日付け検証記事を拝見し、数々の疑問を覚えました。つきましては、今回の慰安婦検証記事について多少質問させていただきます。 

朝日新聞はこう書いています。http://www.asahi.com/articles/ASG7X6753G7XUTIL053.html

「慰安婦問題に光が当たり始めた90年代初め、研究は進んでいませんでした。私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました。問題の全体像がわからない段階で起きた誤りですが、裏付け取材が不十分だった点は反省します。似たような誤りは当時、国内の他のメディアや韓国メディアの記事にもありました。
こうした一部の不正確な報道が、慰安婦問題の理解を混乱させている、との指摘もあります。しかし、そのことを理由とした「慰安婦問題は捏造」という主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できません」(朝日新聞8月4日)

この「他のメディア」ウンヌンは無視します。他のメディアは毎日、、NHKなどを除いてかなり前に訂正記事を出していますし、そもそもそのような相殺論法自体、朝日の罪を少しも軽くするものではありません。

慰安婦問題で朝日は長年、「よその国にも慰安婦がいたのに、なぜ日本だけが批判を受ける」という言い訳を断罪してきたはずです。 

最初の告発役を演じた朝日が誤報を認めずに牽引役を続けたために、ここまで事態は大きくなったのであって、その責任の重さは他社と比較になりません。

こういう態度を、世間では卑怯と呼びます。

さて、まず第1に、朝日は誤報の理由を「挺身隊」については研究が進んでいないため「全体像がわからなかった」時代状況のためとして、時代の研究水準が原因で、朝日には責任がなかったがごとく書かれています。

これも責任の転嫁、ないしは極小化と断じることが可能ですが、もう少し背景があります。

吉田証言は、遡ること1963年に週刊朝日の「私の八月十五日」で紹介されたのが最初です。

以降1983年の有名な「私の戦争犯罪」を経て、90年代にはたびたび紙面に登場し、92年には朝日新聞から「女たちの太平洋戦争」という書籍で大々的に取り上げています。

おそらくこの本で彼は朝日公認の生き証人となったと思われます。

金学順氏が裁判に踏み切ったことを受けて、状況は大きく拡大すると見て、今まで慰安婦報道を先行してきた大阪本社は、現地に元慰安婦団体の幹部ある梁順任氏の娘婿の植村隆氏を、急遽ソウルに派遣して記事にしたものだと思われています。

したがって、植村記者は吉田氏の証言をなんらかの形で知って、しかも大阪本社の上層部の意志でソウルに渡ったことになります。

元朝日ソウル特派員を務めていた前川恵司氏は、「植村氏が大阪社会部だったことをけげんに思った」「挺身隊が勤労動員だということは当時多くの生存者がいたので常識であり、すぐに修正されると思っていた」と述べています。

それが、朝日新聞(1991年8月11日)記事『元朝鮮人従軍 戦後半世紀重い口開く』です。

「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺(てい)身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦」』」(同記事)

この記事の致命的誤りは、当時日本国内でも実施されていた勤労動員である「女子挺身隊」と、従軍を意図的に混同して、それを「連行」という官憲の強制性としていることです。

女子挺身隊は1943年に実施された14歳以上25歳未満の女性の工場などへの勤労動員のことです。

これは当時の米英でも一般的であって、女性を「従軍慰安婦」にすることとはなんの関係もありません。

これは単なる表記ミスにとどまらず、後に勤労挺身隊の数が20万人だったことから「20万人の女性が挺身隊として慰安婦にされた」という捏造につながっていきます。

これは朝日が述べるような大げさな「当時の研究水準」などといったものに転化するべきでははなく、当時まだ大量に生存していた経験者に取材すれば済むことでした。

なぜかかる初歩的ミスをそのまま放置したのでしょうか。

第2に、また、吉田清治証言についても「見抜けなかった」、つまりは自分も騙された可哀相な被害者であったとしています。

「読者のみなさまへ
 吉田氏が済州島でを強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました」(同)

ではこの裏取り取材をしたのは、この「吉田証言」報道がなされて実に32年後です。ここには「再取材」と書かれていますから、前に一回したようです。 

その取材は、現地にいったが何も見つからなかったという実にとぼけたことを書いていますが、フジテレビ14年8月9日「真報道2001」の数時間の調査でもあっさりと否定されています。

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これでは朝日が極端に取材力が欠如していたのか、はじめからアリバイ作りをするために「行ってみた」だけにすぎないと思われます。

そこで、現地調査の実施年月日はいつでしょうか。92年の秦郁彦氏(当時千葉大教授)の現地調査の前でしょうか、後でしょうか。 

前ならば、いかなる調査結果が出たのか、今年の現地調査と当然異なって「吉田証言が真実である」という結果が出たから、後にも吉田証言を繰り返し使い続けていたわけですから、その調査結果と共に理由をぜひ教えて頂きたいものです。 

また後ならば、これまた秦調査を否定する内容だったとしか考えられませんから、その内容と、取材先、取材方法などと、なぜ当時紙面で公開しなかったのか、その理由をお聞かせ下さい。 

第3に、今回の検証特集記事を読めば、今年の取材で(32年前の裏取りを今やっていること自体が驚きですが)吉田氏の遺族から吉田氏の妻が書いたとされる日記自体が存在しないと教えられたそうです。 

この「妻の日記」は、吉田氏が唯一の物証として挙げているものでこれがないとなると、吉田証言は完全にその根拠を失います。 

ならば、なぜ、32年間も裏付け調査を怠ってきたのでしょうか。記事にする前に裏付け調査をするのが報道の原則です。 

それを今回に限ってなぜ行わなかったのでしょうか。その理由はなんだったのでしょうか。

第4に、さきほど上げた朝日元ソウル特派員・前川恵司氏の、「82年頃に吉田氏から接触があり、証言を乗せてほしいということで取材したが、拉致した女性の数が毎回ちがうなどあまりに信用できずに掲載を断った」という証言がでております。 

ということは、朝日は少なくとも82年以降、この吉田清治証言の事実無根だと知り得たことになります。 

なぜ朝日はこのような社内情報を黙殺したのでしょうか。

第5に、挺身隊は誤用だった、当時は研究がそこまで行っていなかったとのことです。しかし、検証記事の中でこう述べています。 

検証記事の本文では「朝日新聞は93年以降、両者を混同しないよう努めてきた」と書いています。 

ならば、93年段階で、朝日は既にこの誤報を知っていたことになります。ならば、なぜ、その時点で「挺身隊報道は誤報であった」と報じなかったのでしょうか。 

第6に、この時点で誤報だったと報じていれば、以下にあるような事態は避けられたはずです。

朝日慰安婦報道によって大きな国際的影響が生じました。この国際的影響は朝日の今回の検証記事からスッポリ抜けています。

あたかも、クマラスワミ報告書も、韓国の反日政策も一切なにもなかったかのようです。 

まず1996年に国連人権委員会クワラスワミ報告が出されます。
※「女性に対する暴力報告」
http://www.awf.or.jp/pdf/0031.pdf  

このクワラスワミ報告書は、内容のほぼすべてが韓国側、ないしは日本の運動家の言論を基にして作られていて、吉田証言はこのように反映されています。

「28(略)挺身隊に推薦された少女が出頭しない場合は、憲兵隊ないし軍警察がその理由を調査した。氏ッ再女子挺身隊によって日本軍は地元の朝鮮人業者や警察官を利用して、地元の少女にウソの口実の下に戦争協力をするように圧力をかけたことは既に述べた通りである。
29それ以上にまだ女性が必要とされた場合は、日本軍はあからさまな力の行使や襲撃に訴え、抵抗する家族を殺害することもあった」(同報告書)

韓国政府・女性家族部の公式見解はこうです。

」とは戦時中に日本の旧植民地朝鮮台湾など)や占領地(中国フィリピンインドネシアなど)から強制募集され、意に反して性奴隷として奉仕させられた若い女性に対する婉曲表現である。日本軍、官憲及び民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って、日本の植民地や占領地の至る所で性奴隷として売春を強要した。これらの女性は「comfort women」、「comfort girls」、「従軍( military comfort women)」「military-serving women」などと呼ばれてきましたが、現在では性奴隷として犠牲になったことを意味する「military sex slaves」として定義されている」

ここにも「日本軍、官憲ないしは民間業者が20万人もの女性を騙し、誘い、あるいは連れ去って」「性奴隷にした」とあります。

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(アングレーム漫画祭の韓国政府出展作品より TBS『情報7days ニュースキャスター』2013年2月1日)

 

また、近年になってもマイク・ホンダ議員が提案した米国下院121号決議の審議過程にも強く影響を与えています。(※翌年の日本政府の異議で当該部分は削除されています)
※http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d110:H.Res121:

ほんの2年前に書かれた韓国大手紙・朝鮮日報(2012年9月9日)は、「狩りをした日本人」という記事でこう書いています。

「強制連行の証拠はない」と主張する野田首相の発言に憤慨した読者のキム・ウォンテさんが、自身の所有する日本の本を送ってきた。吉田清治という日本人が1972年に書いた手記だった。
吉田氏は戦時中、下関で、労働者の徴用機関だった「労務報国会」の動員部長を3年間務めた。吉田氏は、数多くの朝鮮人を強制的に連行して戦地に送ったが、当時の蛮行を悔いて『朝鮮人と日本人』と題する本を執筆した。
 吉田氏の証言は、現場を見ているかのように詳細かつ具体的だ。吉田氏は、日本政府の指示を受けて韓半島(朝鮮半島)に渡り、朝鮮人を集めた。警察の護送車を先頭に慶尚北道永川一帯を回り、若い女性を連行したという。当時、吉田氏の一行は朝鮮人を強制的に徴用することを「狩り」と呼んだ。確かに、他人の家に押し入って人を連れていくという行為は、人間狩りにほかならない」

これらは、朝日が流布した吉田証言の「軍による強制連行・拉致」を認識の前提にしています。

これに対する朝日新聞が、「研究が足りなかった」あるいは、「吉田に騙された」では済まないものです。

おそらく朝日は、早ければ吉田証言を掲載する以前、遅くとも93年までには、慰安婦報道のすべてが虚偽だと気がついていたはずです。

にも関わらず朝日は長いスパンで30数年、短く見積もっても20年余の期間、嘘を承知で政府攻撃を続けていたことになります。

最後に、第7番目の疑問として今回の検証方法についてです。

2003年5月11日にニューヨークタイムスがジェーソン・ブレア記者が7か月で36本の捏造記事を出したとして、謝罪と徹底した検証を行なっています。

これは、マスメディアの自社誤報検証の世界スタンダードとでも言うべきものです。

これはしてもいないインタビューの捏造をしたことが発覚したものですが、地元検察局の指摘があったにもかかわらず、ブレア記者が編集局内部で重用されていたために握りつぶすような空気があって、発覚が遅れました。

ニューヨークタイムスの検証報告は、これらの社の内部構造まで明らかにして、なぜ誤報や捏造が生じてしまったのかを、国民に明らかにしています。

そしてこの結果を受けて、責任者の編集局長が辞任し、外部識者による再発防止委員会も設置し、世論から高い評価を受けました。

直近でも、朝日が当事者だった2012年10月の佐野慎一氏による週刊朝日における橋下市長差別事件の謝罪と検証記事は見事なものでした。

これにより神徳社長は引責辞任しています。

なぜ、今回の検証記事において、慰安婦のをめぐる事態は遥かに深刻かつ広大なものにもかかわらず、今回の検証記事と称するものは、これら一切がなく、すり替えと逃げに満ちたものです。

そして木村社長に至っては、内部メールで反転攻勢を宣言するなどもはや常軌を逸した対応を続けています。

以上、朝日新聞に置かれましては、これらの疑問にお答え頂くようにお願いいたします。

                                             敬具

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コメント

朝日はアエラなども使ってあれこれ別な話を前川に語らせていますね。だんだん第2の籠池みたいな胡散臭い人物になっていくなあ。

投稿: ednakano | 2017年6月13日 (火) 14時40分

朝日新聞はしきりに民進党をバックアップしていますね。

その民進党、法務委で日本維新の会・東徹の質疑中に金田大臣問責決議案を提出して質疑を妨害しました。気にいらない質疑は妨害するって議会制民主主義の否定でないの?

投稿: クラッシャー | 2017年6月13日 (火) 18時01分

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