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2017年6月12日 (月)

行政文書の保管改正案が出る

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「前川文書」の再調査という報道を聞いていて思ったことは、なんだ官庁ってこんな文書管理のマニュアルもないのか、杜撰だなといういささかの驚きでした。

もちろんないわけはありませんから、穴だらけなものだったと思われます。

その「穴」を巡って、先だっての南スーダンの「戦闘」報告書もそうでしたし、森友でも同じように文書のあるないがメディアと野党の追及の焦点となりました。 

野党からすれば「文書がないだって。そりゃ不都合だから隠蔽したんだろう。国民に隠すな、見せろぉ」というわけです。 

たしかにおかしいことは事実です。 

スーダンは紙ではないが、電磁記録では残っていたという答弁になっていますが、国民は「なら初めから電磁記録だせや」という気分になるでしょう。 

森友の時も近畿財務局がそんな記録はないと言って、後から出すという不手際を演じました。 

今回はこれで味をしめた朝日と野党が三匹めのドジョウを狙って、リークされた「前川文書」に飛びついたわけです。 

朝日さんがこれでアベを叩けると欣喜雀躍したのは、これを持ち込んだのがほかならぬ前事務次官だった前川氏だったからですが、 

え、なぜ前川氏がリーク元と確定したのかって。いいですよ、別の現職官僚でも。そちらのほうがややっこしくなるだけですから。 

前川氏はあくまで、自分は政権に抱きつき自爆テロを敢行しているつもりですから、むしろ前川氏本人でなければかえって面倒なことになるだけです。 

それはさておき、行政文書を廃棄するなり、保管するなりすることのきっちりした基準があいまいだから、文書の有る無しが妙にクローズアップされてしまうことになります。

本質的な議論に深まらずに、表層の文書問題で止まったきりというのが国会審議でしたからね。

菅さんの答弁も「適正に処理されている」の一本調子でしたから、火がないところに火事を起こそうとしている野党に絶好の口実を与えてしまったようです。

結局、南スーダンPKOならば、現在PKO活動するこのリスクと意義を論じて、どのように国連スタンダードのPKOに対応していくのかということなど、まったく議論の外でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-6893.html

森友でも財務局の値引きの原因が何かという肝心要は、初めからカヤの外でした。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-cb23.html

今回も「総理のご意向」が入り込む余地があったのかなかったのかが問われるのではなく、「前川文書」の有無がさぞ大問題のように焦点化されてしまいました。

すべて的はずれです。

ただハズしているならともかく、この三つの問題の時期に起きた北朝鮮の弾道ミサイル発射という安全保障上の脅威をそっちのけにして、「疑惑」探しに明け暮れて、あげくに審議拒否ですからなんともかとも。

本質を意図的にハズして疑惑に見せかけるトリッキーな手段を、朝日と民進党は使っています。

自衛隊の「戦闘」報告書も、森友の財務局文書も、今回の「前川文書」も違法性はないと思います。

定められた様式で作成され、保管期限が切れた、あるいは保管指定からはずれたなどの理由で処分されたものだと思います。

ただし、こうもそこばかり突ついて「隠蔽工作」があったかのように騒ぎたて、審議拒否にもちこむのが目的な野党があるかぎり3度あることは4度、5度あると思ったほうがいいでしょう。

これを防ぐには政府関係の行政文書について、新たな線引きをすべきです。

つまり、行政法上は保管期間を過ぎても、なんらかの形で後に閲覧すべき理由が起きないとも限らないので、歴史資料として電磁的にでも保管しておくべきではないかと思います。

今回の「前川文書」などは、部局内メモにすぎず、こんなものまで保管対象になるのかと官僚の悲鳴がおきるでしょうが、今回のように文科省の前事務次官自らがこれを持ち出し野党とメディアにリークさせ倒閣の武器に使った以上、致し方ないですね。

そう思っていたところ、ドンピシャのタイミングで維新の丸山ほだか議員を中心として議員立法が出ましたので紹介しておきます。
https://mobile.twitter.com/maruyamahodaka/status/873038777857433600/photo/1

すでに維新からは正式に国会に提出されているようです。

Photo_2NHK6月8日

「大阪・豊中市の国有地売却をめぐる交渉記録を財務省が廃棄したとしていることなどを受けて、日本維新の会は、公文書の管理を強化するため、保存を義務づける文書の範囲を拡大するとともに、保存期間が満了したものは国立公文書館への移管を義務づけるとした法案を参議院に提出しました」(NHK6月8日)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170608/k10011010931000.htmlPhoto丸山議員のツィートを引用します。

「法案作成などの作業。ようやく完成し昨日提出できた公文書管理法改正案も丸山担当。森友や加計の件で公文書がない、真偽不明、廃棄もおかしいと文句を言うだけではまた同様案件を繰り返す。戦略特区そのものの廃止法案とか噴飯ものの法案ではなく、具体的不備を詰めて法案化」
「これらの森友や加計の公文書の件では、現行法に基づいて適切に管理をしているというのが繰り返される政府答弁だが、問題点は現行法そのものにあり、法自体が抜け穴だらけというのが問題の本質。抜け穴をかっちり埋めると提出の維新法案」

丸山氏が指摘するように、まさに政府は毎回、「現行法に基づいて適切な管理をした」というだけで「法自体の抜け穴」を放置しているだろうという指摘はまったく同感です。

改正案のツボは
①「組織的に用いる」適用範囲を拡大し、前川文書のような部局内メモにまで拡大する。
②保管機関について行政裁量を認めていたものを厳格化する。
③行政文書を歴史的資料として保管してこなかったものを、国立公文書館に保管する。
④国会議員の「特別の要求」について文書作成する。

まだもむ余地はあると思いますが、民進党も遅れて似た内容の改正案を提出したようです。
https://www.minshin.or.jp/article/112008

民進党のものも読みましたが、分かりにくいですね。どうしてもっとスッキリ説明できないんですかね。

さんざんぱら「隠匿文書」で騒ぎ立てた後になって今頃出すなら、南スーダンの後にすぐ出せばよかったのです。

[追記] 以下コメント欄から本文に移動し大幅加筆しました。

この文書保管改革が、結局は官僚たちのよき意志を奪い、怠惰なる山羊ばかり増えるというのはあり得ることです。

また、このような議員立法をする維新の「若さ」を、私も感じます。

ただ保守第2党は、このていどの青さがあってもいいかなとは思っています。そもそも野党は、「青い対案」を出すことが仕事なのです。

民進党は「青い」という意味をはき違えて、なんでも反対党に逆戻りすることが野党の仕事だと考えてしまっていますから、その意味で維新の「青さ」に肩入れしたい気分になることもあります。

それはさておいて、今回思うのですが、高橋洋一氏がツイッターで述べていたように、「政治任用官僚」の制度を導入するべき時期ではないかと思います。

高橋氏のツイートをアップします。

「政治任用公務員がほぼ皆無なのは先進国で日本だけ。政治任用公務員というとアメリカが典型例だが、たしかにアメリカの政治任用公務員は多く4000人くらい。でもヨーロッパの国でも数十人から百人程度の政治任用公務員はいる。前川氏のように主張はあるが公務員の雇用・天下りも守れはありえない」

「政治任用公務員=政権意思を迅速に反映させる公務員。ただし政権とともに辞める。普通の公務員=中立性を保ち法律に則して事務処理。政権が変わっても辞める必要なし。ただし政策についての意見はいわない。前者は即応性、後者は中立性を確保する公務員という分け方。日本で前者はほぼ皆無」

本来は政権の政策は行政官として忠実に実施るのが当然の責務のはずですが、現実はそうではありません。

それは<官僚階級>の独自利害が存在するからです。彼らの利害は省益として表現されます。

今回の加計で馬脚を露した文科省、その影の主役であり、もっとも多くの認可権限を持つ農水省、消費増税を省是とする財務省などなど。

彼らはみずからの利権を切り崩そうとするものには徹底して抵抗してきました。

政府は為す術がなかったのがいままでです。

法体系上、政策を官庁に下達する縦の命令系統が現実として不在であること、あるいは今回の文科省のように省益が別途に存在する場合、徹底的にサボタージュされてしまいます。

前川氏が堂々と悪びれることなく公然と、「面従腹背」といって憚らない体質が官僚内にあるわけで、政府が政策意図を通そうとすると「行政をゆがめた」などと前事務次官から言われる始末です。

Photo_5

逆に、官僚が政府の決定に従うという至って当然のことをすると、今度は「総理のご意向を忖度した」と筋ちがいな批判をされることとなります。

世界に類例のない政府の決めたことを官僚が実行すると、メディアからめった打ちにされるという国、それがわが日本です。

日本は大統領制ではないとはいえ、このおかしな体質が政策執行の妨げになっていることは間違いありません。

政治家のように選挙で選ばれない、しかも民間企業のように責任を問われない官僚の任用の仕組みそのものメスを入れないと、<官僚階級>の利害にそぐわないことが起きるたびに「行政を歪められた」と言われることになります。

内閣人事局の次の一手は文科省改革となることでしょうが、公務員の政治任用制度の検討時期に入ったのではないでしょうか。

 

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コメント

 維新らしい法案(悪い意味で)だと思いますが、これ全部やるとなると相当役人に負担がかかるので人員を増大する必要もあるし、事実上不可能じゃないですかね。
 
 私は、政策や意思決定プロセスを明確にする手段として、現行法での議事録や公文書の公開で十分だろうと考えてます。
「線引き」は既にあるのに、そこをさらに拡大しようとするのは、「イタチの追いかけっこ」の果てしない対症療法みたいなもので、「国民の声」を利用する左派やマスコミが望むところでもありますね。
 意図はわかるのですが。

 それから役人の性質からいって「記録」に精力を費やす怠惰・保身的な変化や、ますますの意欲の阻喪も懸念があります。
 「何でも見える化」は大変結構なようでも、個々の優秀な役人の現場における「良い意思決定」(適切・妥当な裁量)も、根こそぎ摘んでしまいかねないと思うのです。
 
 問題は、役人が省庁や自己保存のために仕事をするのではなく「国民に奉仕する」義務を最高度に持つ事と、専門的知見をもとに(政治家と暗闘はしても)最終的には内閣の方針に合致させる努力をどのようにさせるか、という点にあると思うのです。

 まぁ、やるなら相当揉まないと無理でしょうし、実現するならそういう流れが脆弱な地方行政にまで波及するだろう事は必然で、そのときは丸山議員の趣旨と違う意味で、(左派主張的な)採用をされるであろう「恐ろしさ」を感じてしまいます。

 維新というのは「若い政党」だなぁ、としみじみ思います。
 そして、安倍総理ならこういう事には賛成するような気がしますね。

 
 


山路さん。
本文末へ追記として移しかえました。

原則論として官僚の文書管理がズサンであれば正す必要はあると思いますね、
一方で野党もメディアも公開情報を丁寧に読めばわかることをすぐに
「隠蔽ガー」「内部文書ガー」と陰謀論の方向に行くのはどうかと思います。公開情報ちゃんと読んでないんでしょうな〜

例えば昨日パラパラ見ていましたが
2014年12月26日国家戦略特区ワーキンググループ議事録 
P.3〜P4八代議員の「需給調整条項は小泉内閣で原則禁止になっていたはず」という発言
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/141226_gijiyoushi_06.pdf

2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録
P.6八代議員の同様の指摘、P10は文科省が挙証責任を農水省に転嫁した証拠
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

などを見ると、岩盤規制の状況が公開資料でちゃんと記録されています。
特に八代議員の需給調整条項は小泉内閣で廃止だったのではという指摘は重要だと思います。

これによれば役所が需給を前提に許認可できない仕組みだからです。需給は市場にまかせようという発想ですね。
役所が需給を言い出すと既得権益維持の方向にいきがちですから。

議事録では文科省はウニャウニャ言っていますが、高橋洋一氏もいう通り文科省は本来需給を根拠にできないにも関わらず、あろうことか需給予測を農水省に押し付けて逃げ延びた構造が見て取れます。

文科省の「需給調整を目的とした告示」は獣医学部、医学部、薬学部をカバーしています。
僕としては今回を機に医学部、薬学部の岩盤も明らかにすべきだと思っておりますので、野党の文書公開の追求が野党の浅はかな(単なる反安倍)想定を超えて、とんでもない暗部を明るみに出してしまうのではないかとワクワクしています。野党頑張ってくださいw


 保存文書の件については、山路さんのお考えに賛同します。保存文書の規定を厳しくしてゆくのは現実的に無理があると思うのですよ。完全な行政記録などはハナから望むことはできないのではないでしょうかね。諦めが必要なんでしょう。公務員にはもっと前向きな仕事にエネルギーを注いでもらいたいものです。維新は青いとも言えますが、公務員事務の内容を知らなさ過ぎる感じがします。

 「ありんくりん」さんがおっしゃる次の指摘は重要だと思うのですよ。

> 法体系上、政策を官庁に下達する縦の命令系統が現実として不在であること、あるいは今回の文科省のように省益が別途に存在する場合、徹底的にサボタージュされてしまいます。

 公務員は上意下達の組織だと皆さんが思っていられるでしょうが、これも同一省庁内での上意下達なのかもしれません。前川氏も漏らしていましたが、総理の意向がどこにあるか分からず総理に近い筋から働きかけしかなかったということでなにか不透明さがあるのですね。前川氏は総理の意向であれば、あるいは従ったのかな思わせる物言いではありましたよ。これは、「ありんくりん」さんのご指摘ですが、なるほどと納得できるものでした!!
 
 総理大臣は天下取りに成功した大親分なんですから、もっと堂々とした態度で良いのにと私はいつも思います。地方自治体の首長のほうがハッキリと親分風を吹かしますね。ですから、日本の首相は直接選挙に依るべきだと私は思っております。トランプ大統領のように大きな指導性を発揮してもらいたい。

> これは、「ありんくりん」さんのご指摘ですが、なるほどと納得できるものでした!!

 分かりにくい言い方になりましたが、真意は、「ありんくりん」さんがご指摘のこと、すなわち総理が直接に各省庁の事務次官などに指示するシステムがないということを言いたかったのです。

 

≫「若さを出すのが野党」

 (´・∀・)bなるほどですね~。

 私は(下地幹郎はのぞき)、橋下なきあとの維新は好感度大です。
そう言えば、善し悪しや実現可能性は別にしても、積極的にそれも素早く法案を提出するところなんか「若い党」ならではの長所ですね。
 馬場幹事長が雰囲気づくりのキーマンで、党の自由な風潮も馬場さんの人柄ゆえだと思います。

 安倍首相はやるべき事はやっていて、公務員制度改革は「内閣人事局」というカタチでもって、安倍政権下でようよう日の目を見たのでした。
 現在の局長以上の人事は、菅官房長官の手に委ねられているようなものなんですね。
それでありながら、前川のような「たった一人の満州事変」(池田信夫氏の命名)現象が起きる。

 そうなら高橋洋一氏の言われるように、政治任用も視野に入れなきゃならないかもです。
 「全文書保存化」など無理かどうかは別として(政治任用も含めて)、国会で議論する事が過敏で臆病な役人の「牽制」になりますね。

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