「よもや」という時期に考えよう
まぁそのわりには、実にのどかなわが国です。平和ボケといえばそれまでですが、ある意味しゃーないことなのかも知れないと思って見ています。
実感がない、よもや自分に核ミサイルが降ってくることはあるまいというのは、唯一イスラエルとスイスを除けば世界共通した感情であることは事実のようだからです。
イスラエルは各戸に防毒マスクが常備され、シェルターも完備して、そのうえにアイアンドームという、テロリストの小型ロケット弾まで弾き返すというとんでもないものまで装備しています。
しかし、それは現に続く戦火によって現実に国民が弾道ミサイルの脅威を体験し、命の危険を悟ったからです。
米国ですら冷戦期に作られたシェルターは、使われずに廃墟と化しているものもかなりの数あると聞きます。
人間とはそんなものなのです。
佐藤優氏がなにかの中で、オウム事件を例えに上げていました。
私たちはオウム真理教が人里離れた場所にサティアンという建物群を立て始め、そこをオウム国家と定め、統治機関まがいのものを作って生活していることは知っていました。
いま思うと、オウムがISに酷似していることに驚きを覚えます。
オウム真理教事件 - Wikipedia
模擬的な国家体制、宗教的共同体、縦割りの絶対服従関係、閉鎖的コンミューン生活、巧みな広報活動、そしてなにより武装計画とその実行。
文化人の中にはオウムを評価するものもかなりいましたが、オウムがやりたかったほんとうのことは武装クーデターによる日本の乗っ取りでした。
実はサティアンの正体も化学工場であり、中ではVXやサリンを作っていたわけです。VXは北朝鮮が金正男暗殺に使った化学兵器です。
北朝鮮こそ、シリアやISなどに化学兵器を売った張本人ですが、現在、欧州で次に起きるテロは化学兵器を用いた「地下鉄サリン事件」型になるのではないかとささやかれています。
のちになってオウムも秘かに北朝鮮と連絡パイプを持ち、なんらかの連携があるのではないかという説も浮上しましたが解明されていません。
オウムが初めて化学兵器を用いたのは、松本サリン事件でのことでした。この時、警察の不手際もあってオウムの姿がはっきりとしていたにもかかわらず、国民のおおよその受けた感想は「まさかね」でした。
そう、その「まさか」です。現実があまりに生活感覚から乖離している場合、人はそれを認識できなくなります。
頭の中の一部では警報がなっているのですが、「よもや自分の住んでいるところには起きまい」と考えてしまうのです。
ところが、その私たち国民の「よもや」をオウムが乗り越えてやったことが、「地下鉄サリン事件」でした。
地下鉄サリン事件 - Wikipedia
満員の首都の地下鉄で化学兵器を散布するという、今なお世界テロ史上類例のない凶悪テロでした。
それは死亡13名、負傷者6300名にも登る凶悪という言葉も当たらないテロでした。
彼らは武装部隊を組織し、自家製の自動小銃を持ち、さらにはソ連製の大型ヘリで首都上空からサリンを撒く計画すら持っていました。
さて、このような世界を震撼させた同時テロを起こしながら、オウムは破壊活動防止法にも問われず、いまでいうテロ準備罪も検討すらされませんでした。
あの時点でなんらかのテロ準備罪を提出しておけば、国民の理解も容易だったはずですが、仕方がありません。
今回のテロ準備罪にあたっても、かつてあれだけ大規模なテロを受けた経験がありながら、オウムのオの字もでなかったのは不思議です。
オウム事件を分析していけば、どうしたらテロを食い止められるのか、どうしたら冤罪を防げるのかといったことが、もう少し具体的に見えてきたはずなのにと思います。
といっても、関わった文化人が有田芳生氏ですから、どないもなりませんが(苦笑)。
それはさておき、北朝鮮の「よもや」は、もはや「よもや」とも言っておられない段階に達しつつあります。
北朝鮮はトランプ政権の足並みの乱れをついて、ほんものの「核保有国」になることを狙っています。
いったん核を握れば絶対的な力を持ちます。一度握った核は手放しません。いかなる交渉によってもそれは不可能です。
米露でなされてきた核兵器削減交渉は減らすことが目的であって、完全廃棄のための交渉ではありませんでした。
核とその投射手段である弾道ミサイルを完成し、実戦配備した後に交渉によって完全放棄した国は皆無です。
このまま北朝鮮の核開発を放置しておくなら、1年、いや半年以内に北朝鮮は「核保有国」宣言をし、国際社会もそれを追認することになります。
無力な米国は中国と密約を交わし、現状維持を選ぶかもしれません。
核を持ったと北朝鮮はありとあらゆる理不尽な要求を周辺国に突きつけてくるでしょう。
食料を寄こせ、金を寄こせ、原油を寄こせ、謝罪しろ・・・、特に彼らの主敵たるわが国に対しては。
「よもや」という時期にこそこのような事態を食い止めねばなりません。
比喩的に言えば、いまの時期はオウムの松本サリン事件段階に相当するような気がします。
後の北朝鮮版「地下鉄サリン事件」に繋がる、あらゆる兆候は出揃っています。
この時期にあらゆる選択肢を排除せずに考えていかないと、その「よもや」はやがて地下鉄サリン事件のように現実のものとなるのです。
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核ミサイル撃たせないようにする手段は限りがありますが、国内テロを起こさせない為の手段は、一切国内法で対応できるのでもっと手立てを打てますが、しないししようという声も何故か少ないです。
そんなことやってもミサイル打ち込まれたら全部パーだから、なんてことはないです。
最悪なのは、核配備が完了してから化学テロを起こされるパターンです。どんなに証拠が出揃っても遺憾の意を出すだけで、核の傘も使えない。
今年にって、金塊や麻薬
投稿: ふゆみ | 2017年6月 2日 (金) 08時51分
スミマセン、誤送信してしまいました。
今年に入って金塊麻薬の摘発が増えていますが、取引が増えているというより現場が摘発し始めたのだと想像しています。
総連や外国人を!とネトウヨ系の人達は沸き立つかもですが、それらと繋がる日本人のフェイク情報拡散への抗議がもっと必要です。
ウソつきなのはその人達なんです。
投稿: ふゆみ | 2017年6月 2日 (金) 09時00分
(1)韓国が北朝鮮にすり寄る⇒反米運動が起こる⇒在韓米軍撤退⇒朝鮮半島が反日反米の核保有国となる
(2)米軍が北朝鮮へ軍事介入⇒米軍の被害も拡大しアメリカで反戦運動⇒米軍撤退⇒残存勢力がテロリスト化⇒大量難民発生・日本各地でテロ発生(ヨーロッパと同じ事が日本にも)
どちらも数年内に起こりうる事で、北朝鮮による日本への工作活動は今より激化するでしょう。
個人や家族で出来る事の情報収集・準備・訓練は1年に1回ぐらいはやっておくべきだと思います。
また、在日韓国人をひとくくりに批難する意見を最近多く見かけますが、私は懐疑的です。日本メディア以上に韓国メディアは偏向しています。メディアは極端な意見を取り上げる傾向にあり、北朝鮮に近い意見をさらに日本メディアが拡幅したものと捉えておかないと本質を見誤り、まんまと北朝鮮の分断工作に乗ってしまうと思います。情報戦も戦闘行為であり敵の情勢を見定め分断し危険な所から各個撃破すべきでしょう。中国・北朝鮮・韓国に情報戦を仕掛けられても全く戦う意思のない外務省・政治家の腰抜けぶりには呆れますが。
先日の虎ノ門ニュースで我那覇真子さんが沖縄の危機を訴えられていましたので紹介しておきます。
https://youtu.be/-Z5gDpSlEV8?t=2846
投稿: め組 | 2017年6月 2日 (金) 12時13分
オウム真理教のサリン事件が起こったのが1995年の3月でしたか。
その年の1月にあの阪神淡路大震災が起こりました。
私事ではありますがその年の秋に父を亡くしているので
日本にとっても自分にとっても激動の一年ではありました。
オウム真理教の騒動以降、上九一色村が観光地になるなど
軽薄な人間の多さに驚かされたというか呆れた事を記憶してます。
確かに未曾有のテロ事件を経験しながら喉元過ぎればというのか、
どこか余所の世界で起こったことのように感じている人が
昨今多いように思えますね。
そのくせ、彼の国がミサイルを飛ばすとなると電車を止めたり、
号外を配るなど過剰とも思える反応を見せるというチグハグさ。
我が国民は楽天的なのか神経質なのかどうも理解に苦しみます。
あるTV番組で憲法改正に関する街頭インタビューを行っていて、
50代くらいの主婦と思われる人が次のようなことを語っていました。
「今の平和な時代がいいので憲法は変えないでほしい」
憲法9条改正か否かという話題だったと記憶してますが、
こういう考えの人は案外多いんでしょうね。
ここまで平和できたんだから、変に空気を変えないでほしいみたいな。
この先この考え方で果たして済むんでしょうか。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2017年6月 2日 (金) 12時37分
オウム真理教に関して。
地下鉄サリンの直前までメディアは報道の自由の誇示なんだか視聴率が稼げりゃいいんだかでオウムの幹部出演で儲けて、摘発中継の後はオウムこんなにキモかった悪い奴等だで儲け、テロ対策は儲からないから問題提起もロクにありませんでしたね。
>比喩的に言えば、いまの時期はオウムの松本サリン事件段階に相当するような気がします。
私も同感です。当時との唯一の違いがネットの普及なのですが、それこそ使う人間側の度量が試されます。
め組さんの在日ひとくくり反対のご意見にも賛成です。
右翼も左翼も大嫌いさんのインタビューにあるような多数派意見とされる人達。私は熱い正義漢でない方なのでなんとなく気持ちが分かるのです。
大声で叫ばれたり激情に突き動かされて日常がストップするのが嫌なんです。
だから死ぬ日までのんびりするよという訳ではなく、「今と同じ平和の為に必要ならば」改憲も共謀罪もシェルター作りも有りなんです。
その説明を、見下したり怒鳴りつけたり掴み合わないで出来ているのか。保守論壇でそういう品のあるスタンスで本質を突ける人が、もっと前に出て欲しいです。
投稿: ふゆみ | 2017年6月 2日 (金) 14時13分
言いたくないけど、ヒロシマ・ナガサキ・ソ連参戦と、
「どうするよ?皆んなおっ死んじまうぜ~」と追い詰
められないと決断できないのが、我が日本の決定
システムです。
全員同意の、ムラ寄合方式ですから仕方ないですわ。
わが日本は、追い詰めらてボロボロになった時に変身
するのが身上ですから。それまで個人で対応するしか
ありません。
私は日本人らしく、「なるようになってくでしょ」で、
何もしません。もし命中したら諦めます。黒電話に
化けて出てやる。
投稿: アホンダラ1号 | 2017年6月 3日 (土) 00時22分