農と島のありんくりん

移り変わる自然、移り変わる世情の中で、真実らしきものを探求する

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2017年7月

2017年7月31日 (月)

”ファクトチェック・イニシアティブ” (FIJ)立ち上がる

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ワイドショー政治が延々と続く中で、いったいなにが真実なのか、多くの国民に迷いが生じています。

前川氏は5月22日付け読売に出会い系バーの出入りを報じられると、こう述べています。

「国家権力とメディアとの関係には不安を覚える。私への個人攻撃。官邸の関与があったのだと思っている。背後には何があったのか、メディア関係者の中で検証されるべきだ」

ならば、読売はフェークニュースを流していることになります。

一方、閉会中審査において、当事者である加戸前愛媛県知事は、メディアが意図的な「報道をしない自由」をしたり、発言を歪めていることを指摘しました。

この加戸氏の発言において、念頭にあったのはこのメディアの報道状況でした。

この表をみると一目瞭然に、第1回めの青山委員と加戸参考人の意見は完全にカットされているのがわかります。

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2回目の閉会中審査においてもまったく同じことが繰り返されました。

Photo_2

上の表を見て深刻な事態だと思うのは、NHKが民報化してしまったことです。

本来、高度の中立性と客観性を要求され、しかも国民からの税金徴集に等しい形で運営されている「公共放送」NHKが、TBS化してしまったことです。

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加戸氏はこう語っています。
http://netgeek.biz/archives/100301

「加戸前知事「TBSの取材の後にNHKが東京からカメラをかついで取材に来たんです。『加戸さんは総理に頼まれて教育再生実行会議で獣医学部の話をしたんですか?』って聞くから『そんなわけないじゃないですか(笑)』と答えた。別の話になってまた同じ質問をしてくる。また別の話でまた『頼まれて言ったんじゃないでしょうか?』って同じ質問。4回も聞いてきて、うちの家内の『しつこいわね~あのNHKの人は』って。結局、報道は全くなし。私の話は1行も報道しない。NHKもTBS並みになってきたなって思いましたね」 

そして加戸氏はこう指摘します。

「安倍叩きは機密情報保護法、安保法制、テロ等準備罪でエスカレートした。安倍叩きが激しくなったときに加計というニンジンがぶら下がってきたのでみんな食いついた。マスコミも乗っかっていて、見ていて異常だと思う。一定の意図をもった方向性だ。特にNHKが変わりました。メディアの悪口はあまり言ってはいけないかもしれないけど、もう民間人だから言う。NHKは籾井会長が引いた後、朝日、毎日より酷くなった」

その結果、下図のような国民の意識が、いわゆる「情報弱者」と呼ばれる層を中心に形成されてしまいました。

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なんと前川氏のほうが、2倍以上加戸氏の発言より信用されているという衝撃的結果です。

Photo_7http://netgeek.biz/archives/100171

冒頭の前川氏の読売報道がフェークニュースならば、客観的にそれを審査する組織に訴えればいいわけです。

といっても新聞媒体ですからBPOは使えませんし、そもそもまぁ「あの」BPOですからね。

米国にはファクトチェックする多数ありますし、政治に対しても強い影響力をもっていますが、残念ながら日本には存在しません。

ファクトチェックについて、日本最大のフェークニュース発信源の朝日新聞自身に説明していただきましょう。

「政治家らの発言内容を確認し、「正しい」「間違い」など、その信憑性を評価するジャーナリズムの手法。米国では、ファクトチェック専門の政治ニュースサイト「ポリティファクト」があり、08年の米大統領選をめぐる報道ではピュリッツアー賞を受賞した。今回の米大統領選でも、ドナルド・トランプ氏に虚実ない交ぜの発言が多いこともあり、米メディアは積極的に取り組んだ」   (2016-12-09 朝日新聞 )          

さて、今年6月21日、「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)が立ち上がりました。 

フェークニュースはいわゆる「ネトウヨ」系にも多く見られますし、それ以上にメーンストリームのメディアはいまやフェークニュース一色といっていいような状況です。

政治的立場を表明することは問題ありませんし、むしろそうすべきです。

しかしその拠って立つ根拠たる情報や報道が間違っていたり、ましてや捏造されたものならば論説そのものの根底が瓦解します。

まさに、今、そういった状況に無自覚に報道・言論界は陥っています。

政治的立場にとらわれることなく、フェークニュースを審査する第三者的機関の誕生は大変に喜ばしいことです。

ファクトチェック・イニシアティブ - Home | Facebook
ファクトチェック・イニシアティブ (@FactCheck_Japan) | Twitter

BuzzFeed Japanの渡辺一樹氏の記事を紹介します。https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170621?utm_term=.goD0NAPjNL#.qnDebxzVrX

                       ~~~~~~~ 

20031938_255135258321529_64532633637月15日に開催した「世界のファクトチェック最前線 〜Global Fact 4報告会〜FIIJサイトより

 デマや真偽不明の情報がSNSなどで拡散する中、その情報が真実かどうかを検証することの大事さが再認識されている。6月21日、ジャーナリストや学者、弁護士らが団体「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)を立ち上げ、都内で記者会見した。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】   

 FIJ事務局長の楊井人文氏は「メディア関係者は、ファクトチェックに真剣に取り組むべきだ」と強調し、設立目的を次のように語った。   

「事実と異なる言説・情報に惑わされ、分断や拒絶が深まるような社会を望んでいません。そうならないためにも、ファクトチェックをジャーナリズムの重要な役割の一つと位置づけて推進し、社会に誤った情報が拡がるのを防ぐ仕組みを作っていく必要があると考えました」   

会見発表のポイントをお伝えする。 

なぜ、いま?
 昨年から「偽ニュース」問題が深刻化し、GoogleやFacebookなどの企業も、対策やファクトチェックの取り組みを始めた。現在、世界で116のファクトチェック・サイトがある。 
 

団体(FIJ)設立の目的は…
●誤報・虚報の拡散防止
 

●ジャーナリズムの信頼性向上
●言論の自由の基盤強化
 

そもそも、ファクトチェックって何?
(1)事実に関わる言明の
(2)真偽・正確性を調査・検証し、
(3)証拠等の判断材料を提供すること 
 

ファクトチェックの対象は?
●政治家の発言、当局の発表
●有識者の言説
●広告・企業発表
●一般人の発信情報
●メディアの報道 
 

FIJは何をするの?
●ファクトチェックの推進・普及
●ファクトチェックとは何か、ファクトチェックをどうやるか、理解と手法の共有
●ガイドライン・評価方法の検討
●ファクトチェックをする人を支援する(方法は検討中、近く法人化予定) 
 

より具体的には…
●メディアなどが実施した「ファクトチェック」について、第三者的にレビュー・評価する。
●端緒情報(ファクトチェックのきっかけとなる情報や、レビュー対象候補など)の収集の効率化、共有化
●ファクトチェック(レビュー)のデータベース化
 

 そのほか、国際交流やセミナー・シンポジウム開催などを考えているという。 

「データベース化」とは
FIJの発起人で、スマートフォン向けニュースアプリ「SmartNews」社執行役員の藤村厚夫氏は「偽情報は足がはやく広範囲に届くが、検証情報はそれに比べてなかなか広がらない」と指摘し、「テクノロジーを用いたファクトチェック支援体制」の必要性を訴えた。
 

 当面の具体的な取り組みとしては、SmartNews社、東北大学「乾・岡崎研」とFIJが連携しながら情報を集約し、「レビュー・データベース」を整備すると発表した。   

 誰でも参照できるオープンなデータベースへと整備し、将来的にはGoogleなど大手プラットフォームとも連携を進めたいとしている。今後、賛同団体を増やしていくという。

2017年7月31日 (月) | 固定リンク | コメント (28)

2017年7月30日 (日)

日曜写真館  路地を入れば

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038朝ドラ「ひよっこ」で有名なこのバス。元は山形交通で走っていました。

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2017年7月30日 (日) 写真館 | 固定リンク | コメント (0)

日誌「隠蔽」問題 防衛省の迷走と官僚の壁

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初め昨日の特別防衛監察全文に捕捉して書いていたのですが、稿を改めました。 

稲田大臣が隠蔽を支持したり、了承した事実はなかったのは明らかです。問題はもっと別の場所にあります。 

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ことの起こりは現地PKO部隊の司令部(CRF)が、日報開示要求に対して渋ったことから始まります。 

その理由は緊張状況の現地で、日報開示にその都度応じていれば隊員の安全が保障できないからだと思われます。その判断が陸幕に了承されたために削除しました。 

ところが、報告書にこのかんじんの削除した理由について言及がありません。 

こここそがキモのはずなのですが、なぜか省かれているために「どうして現地部隊は日報の開示に消極的だったのか?」ということが分からなくなってしまっています。 

このような日報は、後に戦史を編む上でもきわめて貴重な1次資料ですので、安易に現場判断で削除されてはならないものです。 

ただし、このような隊員の安全に関わる軍事情報が、無条件に一般開示されることもまた問題です。

このかねあいを判断するのが、統幕のはずだと思います。

三木由希子氏はWeb論座(2017年3月20日)でこう述べています。http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017022100006.html

「文書管理法は、文書の保存期間を、文書の種類や内容に応じて1年未満、1年、3年、5年、10年、30年とするとしている。このうち、1年以上の保存期間となる行政文書は、「行政文書ファイル管理簿」に記録されて公表されるとともに、廃棄した場合もこの管理簿に記録される仕組みになっている。また、1年以上の場合は、廃棄にあたり内閣総理大臣の同意が必要であり、実際には内閣府公文書管理課が審査を行っている。
 1年以上の保存期間文書は、明確な管理の対象となる一方で、1年未満の保存文書はそうなっていない。管理簿に記録されることもないので、廃棄されたか否かを客観的に確認する方法がない。
 そのため、1年未満の保存期間と規則上され、情報公開請求を受けて探した範囲が特に不当とは言えず、行政機関の説明に矛盾がなければ、存否を争ってもまず請求者側は勝てない。不存在という行政機関の判断が通ってしまうのが現状だ。PKO日報のように重要であると言えそうな文書であっても、「重要だ」ということだけでは存在することの証明にはならないからだ」

今回の日報は「重要だというだけでは保存の対象にならない」と判断されていたわけです。

まぁおそらくは、私が当初から言っていたように、現地の小競り合いていどで日本だけが引き上げるわけにもいかない苦衷があったのでしょうし、それは自衛隊としては文字化できないものだからです。

元々現実にそぐわないPKO5原則などを押しつけておきながら、「戦闘」という二文字に過剰に反応する、そしてその責任をすべて自衛隊に持ってくる・・・、たまらない日本の政治のあり方ですね。

それはさておき、この「削除されていたはずの日報」が、一躍脚光を浴びたから大騒ぎになりました。

しかも陸自の共有フォルダに「なかった」はずの日報ファイルが、いくつも残っていたわけです。後にCRF自身のPCにも残っていることがわかります。 

「PKO日報は、陸上自衛隊の「指揮システム」にある掲示板にアップロードされて、掲示板へのアクセス権限があれば誰でもダウンロードできるものだったことがわかっている。ここから日報の電子データを統合幕僚監部がダウンロードしており、今回見つかったのはこの統幕で保管していた日報だ」(同上)

これは情報管理としてはきわめて杜撰で、仮に日報が防衛秘密としての指定を受けていないにせよ情報管理がいかに穴だらけだったかわかります。陸自には猛省を望みたいところです。 

そして一回「なかった」と言ってしまったために、その「うそ」をその後も繰り返してしまうことになります。 

2017022100006_1防衛省が新たに公表した南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の「日報」http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017022100006.html

ここで、河野太郎氏がいる自民党行革本部が日報管理の改善に乗り出して、日報の有無を調査します。1日違いで稲田大臣も再調査を命じます。 

逃げ場がなくなった陸幕は、「あれは個人データであって公開に耐える行政文書ではない」という理由で「再調査したら実はあった」と報告します。 

実にまずい言い訳です、官僚的保身といわれても致し方ないでしょう。 

たしかに個人PC内部の機密指定ではない文書は「個人データ」かもしませんが(グレーゾーンですが)、それが今、防衛省を上げて大騒ぎして捜している当該日報なら行政文書もクソもありません。 

すいませんありましたと、率直に謝罪し、その経緯を明らかにすべきだったのです。 

それをあーでもないこーでもないと官僚的こねくり回したあげく、最悪の事態に防衛省を追い込んでしまいました。 

稲田氏は「再調査したらあった」と国会答弁して、袋叩きに合います。

しかもその答弁の前に、河野氏が個人的にSNSで情報を拡散させてしまいました。

河野氏は共同のフェークニュースで直ちに的確な反論をしているのですが、当該大臣の公表の前に出すなよと言いたいですね。

つまり、加計における前川文書(牧野メモ)と同じで、なかった、いやあったと信号機よろしく点滅させてしまったわけで、このような言辞は誰からも信用されません。 

ましてや初めから隠蔽疑惑を稲田氏にかけたくてしかたがないメディアは、待ってましたとばかりに一気加勢に責めたてることになります。 

これは稲田氏が、安倍内閣の弱い下腹だと思われていたからです(そのとおりですが)。

つまり、稲田大臣が隠蔽を命じたか、あるいはそれを了承したという想像が入り込む余地を自ら与えてしまったことで、内閣全体を窮地に陥れることになったわけです。

今回の稲田「隠蔽」疑惑と加計事件に共通することは、官僚が独自の利害をもっており、独自の論理で動く階層であるという事実です。

この「官僚の壁」の盟主であった守屋事務次官を敵に見立てて大立ち回りをやった防衛大臣が、かの小池百合子氏でした。

彼女は仕事らしい仕事はしませんでしたが、官僚の壁に引っかき傷を与えました。都知事になってからもこの成功イメージから抜け出せず、都官僚を叩くのが都知事の仕事だと勘違いしているようです。

一方稲田氏は、おそらく、会議でも「再調査するように」ていどの毒にも薬にもならないことしか言わず、官僚の報告を黙って聞いていたのでしょう。

それがある人たちには、「了承」ととられたのかもしれません。

今回の事件は不毛そのものでしたが、日本の「主権」を誰が握っているのかが段々と明らかになってきたことはたしかです。 

といっても、官僚覆面対談などをやらせて、大臣の大臣のマスカラがどーした、辻本に泣かされたからこーした、といった週刊文春のようなメディアにはどうでもよいことなのでしょうが。

稲田事件の後に霞が関の「覆面官僚」たちにしゃべらせるという神経自体が狂っていますが、伊藤惇夫氏もツケマツゲがどうのと、したり顔でしゃべっていたようです。

マティス長官が来日した時にリボンの服はないだろう、ということまでは国際儀礼ですからいえます。

しかし、どんな化粧をしようと言われる筋合いではありません。

このようなジェンダーを絡ませた女性政治家バッシングをすると、NTタイムズにこのように書かれることになりますからご注意ください。
https://www.nytimes.com/2017/07/28/world/asia/japan-women-politics-inada-murata.html

”Both women stepped down for reasons that had little to do with gender. Yet in a country that scores abysmally in global measures of gender equality and has experienced false hopes of change in the past, these women’s departures are seen as a setback.”

「どちらの女性もジェンダーとは関係のない理由で辞任した。 しかし、世界的なジェンダー平等尺度で評価されると、過去に偽の変化への希望を経験した国では、これらの女性への逸脱(した攻撃)は後退とみなされる」

 

2017年7月30日 (日) | 固定リンク | コメント (9)

2017年7月29日 (土)

速報 北朝鮮3発の弾道ミサイル発射 米国防総省ICBNと公表

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とりあえず速報します。詳細情報は、適時補強いたします。 

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現時点(午前2時50分)では断言できませんが、45分間という長時間の飛翔時間と、飛翔高度3700㎞というロフテッド軌道から、米本土に到達する弾道ミサイルです。

デビッド・ライト博士の計算によると

”If those numbers are correct, the missile flown on a standard trajectory the missile would have a range 10,400 km (6,500 miles), not taking into account the Earth’s rotation.
However, the rotation of the Earth increases the range of missiles fired eastward, depending on their direction. Calculating the range of the missile in the direction of some major US cities gives the approximate results in Table 1”

「これらの数値が正しい場合、ミサイルは標準軌道上を飛行し、ミサイルは地球の回転を考慮しないと10,400 km(6,500マイル)の射程範囲を持つ。
しかし、地球の回転は、その方向に応じて、東に発射されるミサイルの範囲を増加させると、米国のいくつかの主要都市の方向に向けられ、ミサイルの射程範囲は表1の近似結果が得られる。
」
.
http://allthingsnuclear.org/dwright/new-north-korean-icbm#.WXuLmAhDO7Q.twitter

Df2pkmrvwaazx77Table 1

発射数は同時に3発で。しかも深夜を狙っています。

ミサイルの種類は火星14号(上下写真)より高い高度に達しているために、その改良型のようですが、詳細は不明です。

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■追記AFP=時事】米国防総省は28日、北朝鮮が同日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したと発表した。北朝鮮によるICBM発射は2度目。
 国防総省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道官によると、ミサイル発射はグリニッジ標準時の午後2時45分(日本時間同11時45分)ごろに実施された。

 同報道官は「このミサイルは予想通り、大陸間弾道ミサイルだったと分析している」と説明。1000キロほど飛翔し、日本海に着水したとの見解を示した。

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Photo_2上写真は火星14号

「菅義偉官房長官は29日未明、首相官邸で緊急の記者会見を行い、「昨日午後11時42分、北朝鮮中部より弾道ミサイルが発射され、45分程度飛翔(ひしょう)し、日本海の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられる」と発表した。現時点で航空機や船舶への被害は確認されていないという。

 菅氏は「航空機や船舶の安全確保の観点から極めて問題のある行為であるとともに、安保理決議などへの明白な違反だ。このような北朝鮮による度重なる挑発行為を断じて容認できず、北朝鮮に対し、厳重に抗議を行い、最も強い表現で非難した」と語った。

 安倍晋三首相からは、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うことなど指示があったという。首相は29日未明、首相官邸で記者団に「北朝鮮がまたもや弾道ミサイルの発射を強行したとの第一報を受けた。直ちに分析をし、国民の安全の確保を第一に、万全を期していきたい」と語った。政府は官邸で国家安全保障会議(NSC)を開いて対応を協議した。防衛省関係者によると、ミサイルは北海道・奥尻島沖のEEZ内に着水した模様だ。

 一方、韓国政府によると28日午後11時41分、ミサイルは北朝鮮北部の慈江道(チャガンド)・舞坪里(ムピョンリ)から発射されたという。韓国政府は、文在寅(ムンジェイン)大統領が29日午前1時ごろからNSCを招集したと明らかにした。ミサイルは少なくとも3発発射されたとの情報もある。」(朝日7月29日)

2017年7月29日 (土) | 固定リンク | コメント (3)

特別防衛監察の結果  全文 

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防衛省から昨日、「特別防衛監察の結果について」が公表されましたのでアップします。http://www.mod.go.jp/igo/inspection/pdf/special04_report.pdf
(抜粋 太字は引用者による) 

詳細な報告ですので、煩雑な方は流れと稲田大臣に関する部分だけ抜粋しておきました(それでも長い)。

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メディアは恣意的なつまみ食いをしてフェークする可能性がありますので、あえて煩雑ですが全文をアップしました。

このフェークニュースの放火犯の共同は、シラっとしてこのような記事を発信しています。そうとうなモンですな。
https://this.kiji.is/263415468822644220

「南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題に関し、稲田朋美防衛相は28日の記者会見で、特別防衛監察の結果を公表した。稲田氏が2月13、15日、防衛省幹部らから陸上自衛隊の日報に関する説明を受けたと認定。その際、陸自側から日報のデータ保管の報告もあった可能性は否定できないとした上で、保管の事実を非公表とする方針を了承した事実はないと結論付けた。稲田氏が非公表を了承したとする複数の政府関係者の証言と異なり、大きな疑問が残る結果となった。」(共同7月28日)

実際はもっと錯綜しているようですが、全部読むのは大変でしょうから、流れだけ抜粋しておきます。

                   ~~~~~~

・平成28年7月19日付の開示請求における不適切な対応・・・ CRF副司令官(国際)は、本件日報の開示請求と関連する平成28年7月19日付の開示請求において、行政文書としての日報を含んだ複数の該当文書について報告を受けた際、日報が該当文書から外れることが望ましいとの意図をもって、日報以外の文書で対応できないか陸幕に確認するよう指導した。

・平成28年8月1日・・・CRF副司令官は、CRF司令部関係職員から日報が該当文書から外れることが望ましいとして、日報は行政文書ではないので、日報以外の文書で対応できないか陸幕に確認するよう指導し、了承される。

・平成28年12月12日・・・自民党行政改革推進本部、「不存在」について説明を求めた。

・平成29年1月27日・・・統幕総括官は、防衛大臣に対して、統幕において本件日報が存在すること、自民党行革推進本部に対して本件日報などを提出することを報告した。その際、陸自に日報が存在することについての発言はなかった。
陸幕運情部長は、統幕総括官に陸自に日報が個人データとして存在するとし、事務次官は、公表に耐えられる代物であるか不明であるとした。
統幕総括官はその事務次官の判断を踏まえて防衛大臣へ報告すると陸幕運情部長に報告した。

・平成29年2月8日頃・・・陸幕運情部長は、CRF司令部幕僚長に対し、適切な文書管理について依頼した。その後、CRF司令部において保有されている複数の本件日報が廃棄された。
また、同時期、陸幕運用支援課長は、陸幕運情部長の指導により、陸幕初対室に存在する本件日報を廃棄した。

・平成29年2月10日・・・統幕からの依頼により、陸幕から陸自通信団に対し、南スーダン派遣施設隊、CRF司令部、陸幕において使用している指揮システム端末における本件日報の取得及び削除履歴の確認の依頼がなされ、CRF司令部の一部の端末に本件日報が保有されている状況、2月上旬まで陸幕及びCRF司令部の複数の端末に本件日報が保有されていた状況が確認され、2月14日頃、陸幕運情部長は、陸幕長に対し、当該途中経過の状況について報告した。

・平成29年2月15日・・・事務次官は、陸幕長等に対し、陸自に存在する日報について、管理状況が不明確であるため、防衛大臣に報告する必要がない旨の判断を示した。

・平成29年2月15日・・・事務次官室での打合せ後に、事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官が、防衛大臣に対し陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。
また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。

・平成29年2月16日・・・平成29年2月21日、本件日報に係る論点の説明が行われ、防衛省として、本件日報を公表していることから、情報公開法上は問題ない旨の応答ぶりについても、防衛大臣に説明され了承された。その際、事務次官及び統幕総括官から陸自に本件日報が存在することについて触れられなかった。

・平成29年3月17日・・・特別防衛監察計画を承認。

                    ~~~~~~

まぁ監察文書を読む限り、「お客様」扱いをされているのはたしかで、省内をグリップしていないのは事実でしょうが、引責辞任したり、閉会中審査までされるような案件ではありませんね。

報告書の稲田大臣に関わる部分だけ抜き出しておきます。

「統幕総括官は、防衛大臣に対して、統幕において本件日報が存在すること、自民党行革推進本部に対して本件日報などを提出することを報告した。その際、陸自に日報が存在することについての発言はなかった」

「統幕総括官は、防衛大臣から本件日報の再探索の指示を受けたにも関わらず、陸幕等に対する再探索を指示することはなかった」

「防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。
さらに、平成29年2月15日の事務次官室での打合せ後に、事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官が、防衛大臣に対し、陸自における日報の情報公開業務の流れ等について説明した際に、陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。
また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった」

                       ~~~~~~~~

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             ■特別防衛監察の結果について
                                   平成29年7月27日
                                   防衛監察本部

 

第2 対象項目
本特別防衛監察の対象項目は、「平成28年10月3日付で行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)の規定に基づく開示請求のあった「南スーダン派遣施設隊が現地時間で2016年7月7日から12日までに作成した日報」(以下「本件日報」という。)の管理状況」であり、当該項目について主として以下の観
点から監察を実施した。
(1) 本件日報の取扱いについて陸上自衛隊(以下「陸自」という。)が実施する調査の検証を踏まえた本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係
(2) 本件日報の保管や廃棄についての行政文書管理関連規則の遵守状況
(3) 本件日報の情報公開法に基づく開示請求への対応についての情報公開関連規則の遵守状況
(4) 日報の取扱いに係る情報保全関連規則の遵守状況
(5) 上記(1)から(4)において法令、規則等の違反等が認められた場合
にはその原因と再発防止に資する事項
 

第3 対象機関等
本特別防衛監察の対象機関等は、本件日報の管理に関係する防衛省の機関等であり、事務次官、内部部局(以下「内局」という。)、統合幕僚監部(以下「統幕」という。)、陸上幕僚監部(以下「陸幕」という。)、CRF司令部を対象として監察を実施した。
 

(1) 本件日報の作成・配布(平成28年7月)
平成28年7月7日から7月12日(現地時間)、南スーダン派遣施設隊関係職員は、本件日報※1を作成するとともに、陸自指揮システム(以下「指揮システム」という。)の掲示板に本件日報データ※2をアップロードした。
当該掲示板には、当時、少なくとも平成27年12月頃からの日報が掲示されていたとともに、指揮システムの利用者※3は、本件日報の閲覧及びダウンロードが可能な状態であった。

※1 本件日報は、「注意」、「用済み後破棄」の取扱いであるが、これらに関連する標記の表示がなされておらず、関係者において、必ずしも認識が統一されていなかった。
また、平成28年8月3日付の日報からこれらの標記が表示された。
※2 日報データは、統幕、陸幕、CRF司令部において、モーニング・レポートなどの報告資料の一部として使用されているとともに、関係職員間において現地状況の把握のための情報共有資料として活用されていた。
※3 平成29年3月下旬に当該掲示板の閲覧者が制限された。

(2) 本件日報に関連する開示請求への対応(平成28年7月~9月)
ア平成28年7月19日、内局情報公開・個人情報保護室(以下「内局情個室」という。)は、「2016年7月6日(日本時間)~15日の期間に中央即応集団司令部と南スーダン派遣施設隊との間でやりとりした文書すべて(電子情報含む)」に係る開示請求書を受付した。内局情個室関係職員は、陸幕、統幕、防衛政策局関係職員に対し、開示請求書を
送付した。

イ平成28年7月20日以降、CRF司令部関係職員は、陸幕から送付された開示請求書に基づき該当文書の探索を実施した結果、CRF司令部において、行政文書としての日報が含まれた複数の該当文書の存在を確認した。

ウ平成28年8月1日頃、CRF副司令官(国際)は、CRF司令部関係職員から、日報を含む複数の該当文書を探索結果とする旨について報告を受けた際、日報が該当文書から外れることが望ましいとの意図※4をもって、日報は行政文書の体を成していないと指摘し、日報以外の文書で対応できないか陸幕に確認するよう指導した。
当該指導を受け、CRF司令部関係職員は、陸幕関係職員※5に対し、保有している日報は個人資料であると説明した上、日報を該当文書に含めないとする旨について確認し、含めなくてよいとすることで了承された。

エ平成28年8月3日、CRF司令部関係職員は、陸幕関係職員に対し、CRF司令部における探索結果として、日報が除かれた複数の該当文書を送信した。

オ平成28年8月5日、陸幕関係職員は、内局情個室関係職員に対し、日報が除かれた複数の該当文書を探索結果として提出した。

カ平成28年9月13日、陸上幕僚長(以下「陸幕長」という。)から防衛大臣に対し、日報が除かれた複数の該当文書について部分開示とする意見の上申※6がなされた。

キ平成28年9月7日、内局情個室関係職員は、統幕等関係職員に対し、日報が除かれた複数の該当文書を部分開示とする案を意見照会し、9月15日までに、統幕等関係職員は、意見がない旨を回答した。 

ク平成28年9月16日、防衛省として、日報が除かれた複数の該当文書について部分開示とすることを決定※7した。

※4 CRF副司令官(国際)は、部隊情報の保全や開示請求の増加に対する懸念により日報が該当文書から外れることが望ましいとしている。
※5 陸幕担当者が、部課長に対し、これらの調整経緯について報告していることは確認されなかった。
※6 当該文書の決裁は、陸幕監理部長に委任されているため、決裁者及び供覧者は、陸幕監理部長、陸幕運用支援・情報部長(以下「陸幕運情部長」という。)、
その他陸幕関係職員であり、これに陸幕長は含まれていない。
※7 当該決定に係る決裁は、大臣官房長に委任され、最終的に、内局情個室長が
代理決裁をしているため、これに防衛大臣は含まれていない。
 

(3) 本件日報の開示請求から不開示決定までの対応(平成28年10月~12月) 

ア平成28年10月3日、内局情個室は、本件日報に係る開示請求書を受付した。内局情個室関係職員は、陸幕、統幕、防衛政策局関係職員に対し、開示請求書を送付した。 

イ平成28年10月6日、陸幕関係職員は、CRF司令部関係職員に対し、開示請求書を送付した。その後、CRF司令部関係職員は、本件日報が存在しているにも関わらず、陸幕関係職員※8に対し、7月19日付の開示請求と同様の対応とすることについて確認し、同様の対応とすることについて了承された。 

ウ平成28年10月14日、陸幕関係職員は、内局情個室関係職員に対し、本件日報は用済み後破棄の取扱いであり、既に破棄されており、不存在であるとする探索結果を提出した。 

エ平成28年11月2日、陸幕長から防衛大臣に対し、文書不存在につき不開示とする意見の上申※9がなされた。 

オ平成28年11月28日、内局情個室関係職員は、統幕関係職員に対し、文書不存在につき不開示決定とする案を意見照会し、11月29日、統幕関係職員は、意見がない旨を回答した。 

カ平成28年12月2日、防衛省として、文書不存在につき不開示とすることを決定※10した。※11 

※8 陸幕担当者が、部課長に対し、これらの調整経緯について報告していること
は確認されなかった。
※9 当該文書の決裁は、陸幕監理部長に委任されているため、決裁者及び供覧者は、陸幕監理部長、陸幕運情部長、その他陸幕関係職員であり、これに陸幕長は含まれていない。
※10 当該決定に係る決裁は、大臣官房長に委任され、最終的に、内局情個室長が代理決裁をしているため、これに防衛大臣は含まれていない。
※11 本件開示請求と同時期の11月1日に、日報に係る開示請求として、「南スーダン派遣施設隊からCRF・防衛省などに送られている活動報告書「南スーダン日々業務報告」の第1 60 0~ 17 00号」を受付し、本件日報の開示請求と同様の手続により、12月1日不開示決定がなされた。
 

(4) 不開示決定以降の本件日報の取扱いに係る対応(平成28年12月~平成29年2月) 

○ 平成28年12月の経緯
ア平成28年12月12日、自由民主党行政改革推進本部(以下「自民党行革推進本部」という。)から本件日報の不開示決定に係る事実確認について資料要求がなされた。
 

イ平成28年12月13日、内局情個室は、本件日報の不開示決定について、取消しを求める審査請求を受付した。 

ウ平成28年12月13日頃、陸幕運情部長は、陸幕関係職員に対し、指揮システムの掲示板における日報の現状について確認した結果、掲示板に用済み後破棄となっている日報が存在しているとの報告を受けたため、掲示板の適切な管理について指導した。その後、陸幕関係職員は、CRF司令部関係職員に対し、当該指導を伝達し、CRF司令部関係職員により本件日報を含む、第10次隊までの日報※12が掲示板から廃棄された。 

エ平成28年12月16日、統幕総括官は、防衛大臣に対し、本件日報を不開示決定した件について報告した際、本件日報を再探索するよう指示を受けたが、陸幕等に対して、再探索について指示することはなかった。12月26日、統幕総括官は、統幕参事官付に本件日報が存在していることを確認した。 

オ平成28年12月26日、陸幕関係職員は、陸幕長に対し、自民党行革推進本部からの資料要求について報告した際、陸幕長から本件日報を再探索するよう指示を受けた。

※12 平成28年12月11日付までの日報。

○ 平成29年1月の経緯
ア平成29年1月17日、陸幕運情部長及び監理部長は、陸幕長に対し「陸幕初対室※13、統幕初対班※14、CRF運用室※15において、日報データの存在を確認」、「行政文書としては存在していないが、個人資料としてのデータを発見したとのスタンス」、「行政文書として取扱い、請求に対応すべきであった」等が記載された資料をもって報告した。
イ平成29年1月27日、陸幕運情部長は、統幕総括官からの陸自における本件日報の存在の有無の確認に対し、陸自に日報が個人データとして存在する旨を回答した。統幕総括官は、海外出張中の事務次官と連絡の上、陸自に存在する日報は、公表に耐えられる代物であるか不明であるとの事務次官の判断を踏まえ、陸幕運情部長に対し、統幕に存在する本件日報のみを防衛大臣に報告する旨を説明した。※16
同日、
統幕総括官は、防衛大臣に対して、統幕において本件日報が存在すること、自民党行革推進本部に対して本件日報などを提出することを報告した。その際、陸自に日報が存在することについての発言はなかった。

※13 陸幕初動対応室:陸幕運用支援・情報部運用支援課。
※14 統幕初動対応班:統幕運用部運用第2課。
※15 CRF司令部運用室:CRF司令部防衛部。
※16 統幕背広組に「今更あるとは言えない」と陸幕が言われたとの報道の事実
は確認できなかった。

○ 平成29年2月以降の経緯
ア平成29年2月6日、統幕総括官は、自民党行革推進本部に対し、本件日報などを提出した。2月7日、統幕は、統幕において本件日報を発見したことを公表するとともに、民進党国対ヒアリングにおいて、日報の管理状況等に関する質問に対して回答した。

イ平成29年2月8日頃、陸幕運情部長は、CRF司令部幕僚長に対し、適切な文書管理について依頼した。その後、CRF司令部において保有されている複数の本件日報が廃棄された。
また、同時期、陸幕運用支援課長は、陸幕運情部長の指導により、陸幕初対室に存在する本件日報を廃棄した。※17

ウ平成29年2月9日、防衛省として、本件日報の不開示決定の取消しに係る審査請求の認容を決定し、2月13日、改めて部分開示とすることを決定した。

エ平成29年2月9日、民進党国対ヒアリングにおいて、本件日報の削除のログについての※18 議論がなされた。これを契機として、2月10日、統幕からの依頼により、陸幕から陸自通信団に対し、南スーダン派遣施設隊、CRF司令部、陸幕において使用している指揮システム端末における本件日報の取得及び削除履歴の確認の依頼がなされ、CRF
司令部の一部の端末に本件日報が保有されている状況、2月上旬まで陸幕及びCRF司令部の複数の端末に本件日報が保有されていた状況が確認され、2月14日頃、陸幕運情部長は、陸幕長に対し、当該途中経過の状況について報告した。

オ平成29年2月15日、陸幕長等は、事務次官及び統幕総括官に対し、本件日報の取得及び削除履歴に係る確認の途中経過の状況として、CRF司令部の一部の端末に本件日報が保有されている状況、2月上旬まで陸幕及びCRF司令部の複数の端末に本件日報が保有されていた状況が確認されたことについて報告した。その際、陸幕運情部長は、陸自に存在している日報が、行政文書として管理されているか不明である旨についても説明した。
当該報告を受け、事務次官は、陸幕長等に対し、上記の陸自に存在する日報について、管理状況が不明確であるため、防衛大臣に報告する必要がない旨の判断を示した。
平成29年2月16日、事務次官は、陸幕長等に対し、陸自に存在する本件日報は個人データであるとの認識により、当該日報の取扱いについて、防衛省として本件日報を公表していることから、情報公開法上は問題ないとし、対外説明する必要はないとする旨の対外説明方針を示し
た
。※19
平成29年2月21日、本件日報に係る論点の説明が行われ、防衛省として、本件日報を公表していることから、情報公開法上は問題ない旨の応答ぶりについても、防衛大臣に説明され了承された。その際、事務次官及び統幕総括官から陸自に本件日報が存在することについて触れられなかった。

カ平成29年3月15日、陸自が一貫して日報を保管していたなどとする報道がなされた。同日、防衛大臣から特別防衛監察の実施についての指示がなされ、3月17日、特別防衛監察計画が承認された。

※17 この時期までに、陸自において継続的に日報が廃棄されていた模様。
※18 一般的には、コンピュータが保有するユーザの接続時刻や処理内容などを記録したファイルをいう。
※19 平成29年2月15日の事務次官室での打合せに先立つ2月13日に、統幕総括官及び陸幕副長が、防衛大臣に対し、陸自における日報の取扱いについて説明したことがあったが、その際のやり取りの中で、陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。
また、
防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事
実もなかった。
さらに、平成29年2月15日の事務次官室での打合せ後に、事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官が、防衛大臣に対し、陸自における日報の情報公開業務の流れ等について説明した際に、
陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。

2 本件日報の保有状況
(1) 陸自が実施する調査では、陸自に所属する職員を対象とした本件日報の保有状況に係る調査が実施され、陸自において過去約180名、現在約30名が本件日報を保有していると回答した。
また、統幕等に対する調査では、統幕において過去10名、現在8名、内局において過去6名、現在5名が本件日報を保有していると回答した。
当該回答に対して、各種システムにおける本件日報の取得等の履歴、アンケート調査、現場等確認により検証した結果、大きく矛盾する状況は確認されなかった。

(2) 本件日報について、探索を実施したCRF司令部防衛部、機関等開示担当課である陸幕運用支援課、文書不存在につき不開示決定とする案の意見を受けた統幕参事官付においても、平成28年12月の不開示決定時点に本件日報を保有していたことが確認された。

第6 監察結果
各機関等から取得した関係書類等、現場等確認及び面談により、本件日報の管理に係る行政文書管理、情報公開、情報保全関連規則の遵守状況等を確認した結果、主な問題点として、以下のような情報公開法違反につながる行為を含む、不適切な行為が確認された。
なお、平成28年7月19日付の開示請求への不適切な対応を契機とし、現状を十分に確認せず、それらと整合を図るため、防衛省として不適切な対応や説明がなされていったことが、本事案の原因であるとともに、本事案を拡大させる要因となったものといえる。

1 7月19日付の開示請求における不適切な対応
CRF副司令官(国際)は、本件日報の開示請求と関連する平成28年7月19日付の開示請求において、行政文書としての日報を含んだ複数の該当文書について報告を受けた際、日報が該当文書から外れることが望ましいとの意図をもって、日報以外の文書で対応できないか陸幕に確認するよう指導した。
当該指導により、陸幕及びCRF司令部関係職員の間において、行政文書としての日報が存在しているにも関わらず、日報は個人資料であるとし、日報を該当文書に含めないとする調整により、日報が該当文書より除かれた。
このような行為は、開示すべき行政文書としての日報を開示しないとするものであるといえるとともに、本件日報に係る開示請求において、行政文書不存在につき不開示とする契機となったことから、行政文書の開示義務(情報公開法第5条)違反につながるものであり、職務遂行の義務(自衛隊法第56条)違反に該当し、不適切である。

また、陸幕運用支援課においては、日報をダウンロードし、報告資料の一部として使用、他部署への共有をしていたことから、日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、陸幕運情部長及び陸幕運用支援課長等は、日報が除かれた文書のみを該当文書とする開示意見の上申を安易に了承したことは、適切ではなかった。
さらに、統幕参事官付においても、日報が共有され、報告資料の一部として使用していたことから、日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、統幕参事官付関係職員は、日報が除かれた文書のみを該当文書とする開示意見の案の意見照会に対し、意見なしと安易に回答したことは、適切ではなかった。

2 10月3日付の開示請求における不適切な対応
陸幕関係職員及びCRF司令部関係職員は、本件日報に係る開示請求において、本件日報が存在していたにも関わらず、平成28年7月19日付の開示請求において、日報を該当文書に含めなかった対応を踏まえ、本件日報を不存在とした。
このような行為は、開示すべき本件日報を開示しないとするものであった
といえることから、行政文書の開示義務(情報公開法第5条)違反につながるものであり、職務遂行の義務(自衛隊法第56条)違反に該当し、不適切である。
また、陸幕運用支援課においては、本件日報をダウンロードし、報告資料の一部として使用、他部署への共有をしていたことから、本件日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、陸幕運情部長及び陸幕運用支援課長等は、本件日報は不存在であるとする不開示意見の上申を安易に了承したことは、適切ではなかった。
さらに、統幕参事官付においても、本件日報が共有され、報告資料の一部として使用していたことから、本件日報の存在を認識できる状況であったにも関わらず、統幕参事官付関係職員は、本件日報を不存在につき不開示とする案の意見照会に対し、意見なしと安易に回答したことは、適切ではなかった。

3 本件日報の管理に関する不適切な対応
(1) 平成28年12月の本件日報の廃棄
陸幕運情部長は、不開示決定や自民党行革推進本部からの資料要求以降、陸幕関係職員から指揮システム掲示板にアップロードされた日報が存在している旨の報告を受けた際、本件開示請求において文書不存在につき不開示としたことを認識していたにも関わらず、本件日報の開示に係る処置を行うことなく、用済み後破棄を念頭に、掲示板の適切な管理について指導した。
その後、当該指導を受け、CRF司令部において、本件日報を含む、第10次隊までの掲示板の日報が廃棄された。
このような行為は、陸自に存在する本件日報について、開示に係る処置を行わず、文書不存在につき不開示決定とした対応に実態を合わせるよう指導したとみなされてもやむを得ないものであることから、行政文書の開示義務(情報公開法第5条)違反につながるものであり、職務遂行の義務(自衛隊法第56条)違反に該当し、不適切である。

(2) 平成29年2月の本件日報の廃棄
陸幕運情部長は、統幕に存在する本件日報のみを公表したこととの整合を図るため、CRF司令部関係職員に対し、適切な文書管理とした上で、日報の廃棄を依頼した。その後、CRF司令部において、複数の本件日報が廃棄された。
また、陸幕運情部長は、陸幕運用支援課長に日報の廃棄を指示し、陸幕初対室に存在する日報が廃棄された。
このような行為は、統幕において本件日報が確認され、防衛省としてこれを公表するとしていたことから、直ちに、情報公開法違反につながるものとならないものの、陸自において本件日報を不存在とした上で、掲示板の日報を廃棄させたこと、陸自に存在する日報を個人データであると説明した経緯を踏まえた場合、文書不存在につき不開示決定とした対応に実態を合わせるよう廃棄の依頼等がなされたといえることから、適切ではなかった
。

4 本件日報の存在に係る防衛大臣報告の遅れ及び対外説明を含む不適切な対応
陸幕運情部長は、統幕総括官に対し、陸自に存在する日報が行政文書である可能性を認識しつつ、当初は日報は不存在とし、1月下旬に日報が個人データとして存在すると説明したため、関係者の意思疎通に混乱を生じさせた。

一方、統幕総括官は、防衛大臣から本件日報の再探索の指示を受けたにも関わらず、陸幕等に対する再探索を指示することはなかった。
その後、統幕総括官は、統幕において本件日報の存在を確認したものの、陸幕に対する本件日報の存在の確認、統幕内での本件日報を特定する部署の調整、本件日報の明認作業などを実施しており、防衛大臣への報告に1か月を要し、かつ、陸幕運情部長から陸自に個人データとして日報が存在すると説明を受けた際、陸自の日報の状況について確認をせず、正確に把握できなかったため、事実関係と異なる対外説明資料を作成する等、防衛省として適切な対応をとれなかったことから、これらの行為は、職務遂行の義務(自衛隊法第56条)違反に該当し、不適切である。
なお、監察の結果明らかとなった事実関係と当時の対外説明の主要な相違点については、以下のとおりである。

・陸自に存在する日報をCRF司令部の幹部の指導により、意図的に該当文書から除いているにも関わらず、開示請求に対し行政文書不存在につき不開示と説明した。
・不開示決定の判断以降に掲示板から本件日報を廃棄したにも関わらず、開示請求以前に適切に廃棄されていると説明した。

5 対外説明スタンスの継続
事務次官及び統幕総括官は、陸幕長等から陸幕等において実施された、本件日報の取得及び削除履歴の確認の経過として、CRF司令部に、本件日報データが存在するが行政文書として管理されているか不明であるなどの説明を受けた。
事務次官は、当該データを個人データと認識したことから、陸自の日報の状況を確認せず、陸幕長等に対し、防衛省として本件日報を公表しているので、情報公開法上の対応としては問題ない旨の対外説明方針を示すとともに、防衛大臣に対し、本件日報に係る論点の説明が行われ、防衛省として、本件日報を公表していることから、情報公開法上は問題ない旨の応答ぶりについて説明され了承された。その際、事務次官及び統幕総括官から陸自に本件日報が存在することについては触れられなかった。
そのため、陸自における本件日報の取扱いの状況を確認することにより、対外説明スタン
スを変更する機会があったにも関わらず、陸自において本件日報は適切に取り扱われているとの対外説明スタンスを継続したことは、職務遂行の義務(自衛隊法第56条)違反に該当し、不適切である。

 

以下、今後の措置は略

2017年7月29日 (土) | 固定リンク | コメント (2)

2017年7月28日 (金)

稲田氏辞任

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おそらく今日は、蓮舫氏と稲田氏のダブル辞任で賑わうことでしょう。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170727/k10011077201000.html 

今日あたりワイドショーは面白おかしく稲田氏の化粧がケバイとか、ファッションがどうのとやくたいもないことを騒ぐことでしょう。

伊藤惇夫氏がなんていうのか、もう今からわかっちゃいますね(苦笑)。

稲田氏のガバナンス能力がないのは、目に見えていました。 

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例の文書が陸幕から出ようと、統幕から出ようと本質的にはどうでもいいことです。同じ文書なんですからね。 

いちおう説明しておきます。

南スーダンPKO部隊は陸自が主体ですが、空自も含めた統合幕僚監部(統幕)が責任主体です。 

日報には2016年7月に、首都ジュバで大規模な武装衝突があったとして「戦闘」と書かれてありました。 

自衛隊部隊が武装集団と「戦闘」したのではなく、そのような情勢にあったということを素直に書いたのです。 

これが現地部隊の上級司令部である中央即応団(CRF)に上がると、ややっこしいことになりました。「政治的思惑」が介在したからです。 

というのは、「戦闘」地域にはPKO部隊は派遣できない、PKO5原則に抵触する可能性が出たからです。 

5原則には「停戦合意の成立」が書いてあって、停戦後の紛争の再燃という事態は想定していなかったのです。 

そもそもPKO5原則というシロモノからして古色蒼然、一体いつ作ったんだという原則なのです。 

日本がカンボジアPKOの時に作った5原則を後生大事にかかえて、思考停止したままの日本を置いて世界は先に行ってしまったのです。 

本質的に9条と一緒です。日本を取りまく安全保障条件が変化すれば、それに合わせて原則は改訂していかねばなりません。 

さもなければ、派遣される自衛隊もいいツラの皮です。 

ところがそれをしない。自民は初めから騒ぎにしたくないからと沈黙し、野党は憲法学者を連れてくるだけというお粗末です。

なたかだかといえば語弊がありますが、こんなPKOていどの国際警察活動で9条2項の交戦権に引っかかる議論になっしまうからです。 

「停戦合意」が破られた地域に、自衛隊がいては困るのです。 

で、統幕は「戦闘」と書かれた文書を廃棄することにしたわけです。 

こういう政治的発想は、いわゆる「背広組」、つまり防衛官僚のものだと思われます。 

そこで稲田大臣に、「ない」と言わせたのです。それが隠蔽になるとメディアが大騒ぎ。 

後はご承知のように、あったのなかったのと迷走していきます。

加計と一緒で、やってはいけない「文書があったのなかったの」次元の泥沼に、ここでも政府は引きずり込まれたわけです。 

ただし、今回稲田氏が会議で隠蔽を了承したという事実はウソです。 

なぜなら、閉会中審査で青山繁晴委員が述べているように、稲田氏が出席したといわれる2月15日会議の1週間前の2月6日、7日に統幕は日誌を公開しているからです。 

いいでしょうか。PKO作戦の責任司令部はあくまでも統幕です。 

ここが会社でいえば営業本部にあたり、PKOという仕事にどのような部隊を出すのか決めるのが、人事部に相当する陸幕です。

ですから、統幕で開示すれば、それで決まり、オシマイなのです。

Photo
先の青山委員の質問に答えた、稲田大臣の答弁です。http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2086.html#sequel 

「昨年の秋に、開示請求があったこの日報について、12月に不開示し用済み後、破棄、不開示、という報告を受けました時に、私は、どこかに探せば、日報はあるんじゃないの、しっかりと探して公表するようにと、いう指示をいたしました。
そして、いま委員がご指摘のように、その統幕から日報が見つかって、2月6日に、開示請求されているものの日報の公表、そして13日には、不開示決定をしたものを取り消して、開示決定をしたわけであります」
 

ではここで稲田氏が述べている日誌不開示は違法なのでしょうか。 

いえ、既定方針どおりです。初めからスーダンPKOオペでは日誌は一定の期間をすぎると廃棄されることになっていたからです。 

決めたのは民主党野田政権です。そもそもガラス細工のように危うい「停戦合意」の地域であるスーダンにPKO部隊を出したのも民主党野田政権、日誌の廃棄を決めたのも野田政権です。 

いままで特にこの「戦闘」記録がある日誌に限らず、大量に日誌は廃棄されています。 

ただし、電磁的にはPCに残っていたわけです。 

ところでちょっと考えればわかることですが、こんなジュバの「戦闘」程度は何時どこでも起き得ます。 

今世界のあらゆる地域で、この程度の武装集団間の小規模摩擦は起き続けています。それが世界の現実です。 

仮に「停戦合意」したとしても、停戦を覆したくてウズウズしている武装集団は山ほどいますが、それは9条が想定しているような、「国権の発動たる」国家間戦争ではありません。 

いつでもどの地域でも起こり得る戦闘であって、私は区別する意味で、それを「摩擦」(フリクション)と読んでいます。 

こういう「摩擦」が起きる可能性がある地域に、いきなりNGOを出すわけにはいかないから、自己防衛の能力を持ち、完結した補給能力を有する自衛隊が行くわけです。

ですから、このていどの「摩擦」がイヤで憲法違反がどーたらと言いたいなら、そもそもPKOにはわが国は小指一本動かしません、と宣言するしかないのです。 

ついでにいえば、9条の「交戦権」という言葉に相当する概念は世界にありません。あれは日本人にだけ通じる「日本語」です。 

憲法制定時に無理矢理平和主義と書き込みたかったために、ひねり出した用語にすぎません。 

PKOにおいても、「住民保護」という新たな規定が国連で生れてから、停戦合意の原則は変化しました。 

停戦合意が破られて住民が武装集団に襲撃を受けている場合、それを保護することが、PKO任務に付与されたからです。 

ならば、「戦闘」はスーダンでもありえる想定だったはずでした。 

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稲田氏はたしかに能力不足でした。 それは事実です。

それは日誌うんぬんではなく、このような矛盾の中でPKOオペが遂行されている現実を国民に率直に伝えて、問題を喚起しなかったからです。

稲田さん、ご苦労様でした。あなたは思うような防衛大臣にはなれなかったかもしれませんが、この難しい時期によく耐えました。

スーダンにまで足を運んだあなたのことを悪くいう隊員は少ないと聞きます。

満身創痍でしょうが、最後まで防衛大臣職の任務をまっとうされて下さい。

 

2017年7月28日 (金) | 固定リンク | コメント (16)

2017年7月27日 (木)

第2回加計閉会中審査 青山委員後半 

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青山繁晴委員による閉会中審査・加計部分の後半です。

ここで加戸前愛媛県知事は、まさに涙と共に吐くような言葉を語っています。この加戸氏の血を吐く訴えをしっかりと受けとめねばなりません。

この加戸前知事の発言すら、メディアはきちんと伝えませんでした。

はっきり言いましょう。いまや日本のメディア全体が発狂しています。まともな人間が作るものとは到底思えません。

恐ろしいのは一部のメディアを除いて報道姿勢が、全体主義国家の如き一列だということです。

このなかには、本来高度の客観性を要求されているはずのNHKすら含まれています。

週刊誌は新聞の別動隊に堕し、テレビはワイドショーが世論をコントロールしている体たらくです。

Suzu15
そしていまや日本の世論は、上の写真のような芸人コメンティターたちが作っています。

低劣なコメンテイターたちが、報道対象の内面を宇宙からの神の眼のごとき眼で見透かして、おちゃらけた中傷に励んでいます。

たまにまともなことをゲストが言おうものなら、全部をいわせずに、「そんなこと楽屋で言って下さい」などと居丈高に押し潰すことも平気でやります。

今、テレビでは反アベでない芸能人は干されるようです。

日本のメディアは一部の例外を除き、腐敗堕落の段階を通過し、もはや「ない」ものと思って下さい。

今回も転載させて頂いた国会議事録は、「ぼやきくっくり」様からのものです。転載することにより、メディアが卑劣にも隠蔽している真実を拡散せねばなりません。

このようなくっくり様のような逞ましい草の根の記録者がいて、今の日本の政治と言論はかろうじて成立している状況なのです。

このモリカケ騒動で明らかになったことは、安倍政権の「忖度」ではありません。

ひとつは、日本のメディアが醜悪な自殺を遂げたこと。

今ひとつは、私たちネット言論が日本の正気を保つための最後の防衛ラインであるということです。

それはいまだ非力ですが、たしかに存在しています。

太字はくっくり様のものに私がつけたものも含まれています。口語ですので、長すぎる文節は適時切り、句読点も修正いたしましたが、文意は損ねていません。

赤字もくっくり様が施したものですが、あえてそのまま転載いたしました。

えー、ま、などは削除ました。写真もくっくり様ご提供のもです。

改めて「ぼやきくっくり」様には深く感謝いたします。
※
全文は「ぼやきくっくり」様ttp://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2086.html#sequel  

                 ~~~~~~ 

●2017年7月25日【予算委員会 加計学園】 閉会中審査2回目
※動画:
https://www.youtube.com/watch?v=1Bjoi4ZSga8

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●青山繁晴委員
「これまであの、昨日の衆議院の質疑をめぐって、お聞きいたしました。
さて、7月10日の、この本参議院における閉会中審査における、加戸参考人と、それから前川参考人の証言によって、客観的な経緯っていうものが、かなり明らかになったと、考えます。
加戸参考人にお尋ねしますが、加戸参考人がおっしゃった経緯というのは、ものすごく短く縮めますと、鳥インフルエンザ、口蹄疫、狂牛病、といった新しいリスクに対応するために、愛媛県と今治市で、たくさん大学にも声をかけたけれども、その中で唯一、加計学園だけが、誘致に応じてくれた。
これは、県議と、加計学園の事務局長の方の人間関係に、もともとは、よるものであったと。
で、ところが、加計学園がようやく手を挙げてくれたけれども、これは加戸参考人の言葉をそのままいただいて申せば、文科省の、岩盤規制という歪められた行政によって、実現していなかったと。
構造改革特区のノウハウをもってしても、難しかったと。あるいは民主党政権の時に、総合特区って試みもありましたけれど、それはおっしゃってなかったですけれども、いずれにせよ、そういう特区で突破口を開くってやり方が上手くいってなかったけれども、それがよくやく国家戦略特区というものが登場したことによって、いわばそれをドリルとして、ついに実現して、行政が正されたと、いうふうに証言されました。
いま、まとめたこの経緯でよろしいでしょうか。どうぞお願いします」

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●加戸守行参考人(前・愛媛県知事)
「まずあの、冒頭に、参考人としてお呼びいただきましたことを、心から感謝申し上げます。
私自身が、いまご指摘ありましたように、この今治へ、獣医学部の誘致に、一番先頭を切って旗を振った、首謀者でございますだけに、ま、今回、こういう形で安倍総理への疑惑、あるいは批判というような形で、議論が展開されていることを、大変悲しく思い、この濡れ衣を晴らす、せめてもの、いささかでも役に立ちたいと思って、参上いたしました。
 冒頭に申し上げますが、私は、加計理事長が安倍総理の友人であったってことは、昨年まで全く存じませんでした。
そして、いままでの間に、私は安倍総理を拝見しておりましたけれども、平成13年の2月に、えひめ丸事故が起きた時に、当時、安倍首相(※森首相)のもとで、官房副長官として危機管理を担当され、国内での調整、アメリカ在日米軍との関係、あるいは、さまざまな形での総合調整、便宜を計らっていただいた、私にとっての大恩人でありますから、それ以来の、安倍総理との、何十回にわたる様々な会合を通じて、加計のかの字も聞いたことはございませんし、私自身も申し上げたことはありません。
ただ、言及したのは、教育再生実行会議の委員になりまして、この、デッドロックに乗り上げてる状態を、側面射撃が、援護射撃ができないかなと思って、場違いではありましたけれども、その場で、愛媛県が獣医の問題で、こんなに、岩盤規制に面して、困っていると。で、当時、安倍総理の言葉を使いまして、愛媛県の小さなドリルでは、穴が開かないから、教育再生実行会議のドリルで、穴を開けてもらえないかというような、発言をいたしました。
しかしその時には、1回目は場所を言いませんでした。2回目は、愛媛県で、用地を準備してという言葉は言いましたけども、今治という言葉も触れておりません。
まして、加計学園のかの字も出しておりませんから、たぶん、私が発言した趣旨は、その時総理が、いらっしゃったから、この話は少しは気にしてもらえるかなと思ったんですけど、恐縮ですがあまり関心なさそうにお聞きになっておられまして、えー、それから間もなく、提案が下ろされ、また2回目に発言した時には、また提案はダメで、全く反応なかった。今にして思えばですね、そんな時の友人だったのか、もしご存知だったら、少しは反応が違ってたんだろうな、なんて、いまは想像してるところであります。
 ところで、誘致の問題に関しまして、先ほど総理もちょっと触れられましたが、昨日の予算委員会で申し上げましたように、
もともとは愛媛県の県会議員が、加計学園の事務局長と、今治での同級生で、ございました。
その関係で、平成17年の1月に、県会議員が話を持ちかけまして、今治での大学誘致、進出を。
それを2年間経て、検討の結果、昭和19年(※平成19年。後ほど訂正あり)の1月に、獣医学部で、つくりましょう、つくりますという構想が出てまいりまして、当時、安倍政権下でございました。
私も、安易に考えてましたのは、文部省は私の出身地でもありますし、後輩が少しは、私の意向を忖度して便宜を図らってくれるかなと思って(笑)、参上いたしましたが、言葉は、慇懃丁重でありましたけど、中身は、農水省の協力が得られないと難しい、特に、権益擁護の、既得権益の強力な団体があってと、いうような話で、ああ、一筋縄では行かないなと、これは、ということで、悩みながら、模索しておりましたら、ちょうど、小泉内閣時代からの、構造改革特区があるということを知りました。
そして中四国ブロックでの説明会、これは何回も何回もやってるようですけど、それに愛媛県の担当者と、今治の担当者で、聞きに行ってもらって、ひょっとしたら、この構造改革特区で道が開けるかもしれんという形で、福田内閣の時点で、申請をいたしました。
で、考えてみますと、このなかなか上手くいかなかった理由は、結局、構造改革特区で、特区の本部長は、総理大臣でありますけれども、実務は、全部、所管省がやりますから、文部科学省が仕切って、農林水産省と、お互いに、できませんできませんって返事がかかってくるから、とても総理の手の及ばないとこで、既得権益団体の岩盤に阻まれているんだっていうことを感じながら、しかもそれが15連敗いたしましたから、大相撲で言えば、15戦全敗だと引退と、こういふうになるわけでございます。
正直言いまして、構造改革の特区の時は愛媛県と、今治市がタイアップしてやりましたけど、愛媛県は15戦全敗で、成績悪しってことで引退して親方になりまして、構造改革特区の方は、今治市があえて、白星を得るべく、○○○○という形で、えー、特区の申請をして、そして、有識者会議の英明なる判断と、内閣府の、あるいは、虎の威を借るような狐が、発言を用いてでも、強行突破していただいたことを、私は大変喜んで今日に至っております。
けれども、さまざまな今日の情勢で、心配してることも、いくつもございますが、それは後ほど、時間ございましたら、私に申し上げる機会を、よこしていただければありがたいと思います。概略の経緯は、かようなところでございます」

●青山
「さらに補足もなさって、とてもご丁寧な説明いただきました。
で、そのうえで、ひとつだけ、付け加えて確認いたしたいことがありまして、それは、岡山理科大学獣医学部のための土地は、今治市に学園都市構想があって、すでに用意されながら、どこの大学も、あるいは大学関連も来なくて、空き地になっていた土地、そのことでよろしいですか」

●加戸
「このことにつきましては、私の思い入れもございますのは、知事に就任した時点で、もうすでに何十年か前から、今治には、学園都市構想を持っておられまして、そして、言うなれば新都市整備事業として、森林を開発して、整備して、そこに学園都市をつくろうという構想がありましたが、神棚に上がったままで眠ってました。
で、私は知事に着任早々、この問題を今治市と尻を叩いて、一緒にやろうよということで、旧建設省に参上し、土地整備公団に参上し、やっとの思いでご了解いただき、ゴーサインをいただきました。
その年には今治市も、土地の買収にかかりまして、翌年には、都市整備公団の現地事務所も設置されて、工事を、設計から開始いたしました。
そして造成ができて、土地はあるんですが、2つの地区がありまして、ひとつは、第1地区は産業地域、商業地域、第2地区が、学園都市構想地域でありました。
で、こちらの方が、地元の、大学の誘致等々って話がまとまりかかっては潰れというような状況で、全く整地をされて、スタンバイしておりますけれども、来ていただく大学が存在してないという空白地域の状態で、そこを何とかしたいというのがまず出発点でありました。
 と同時並行で、先ほども言いましたように、先生もご指摘のありましたような、鳥インフルエンザ、狂牛病、口蹄疫、等々との関係で何とか、公務員獣医師が足りない、来てもらえない。
この四国の空白地区という状況、また研究機関もないというような中で、何とかしなければ、という思いがあったところに、私の指南役でございますけれども、アメリカで、獣医学の発祥の地と言われております、コーネル大学に留学し、その後、ジョージタウン大学の客員教授として、6年間勤務された方が、アメリカとの往復をしながら、私にさまざまなアメリカの情報を教えていただきました。
加戸さん、このままでは日本は立ち後れると、まさにアメリカは、国の政策として、国策として、人畜共通感染症の防止、特にアメリカは、ま、もちろん当然、牛で、食べている国ですから、畜産業は生命線だということもありました。
国策として取り組んで、獣医学部の増員を図り、新設を認めていくと、こんな歴史の流れの中に、日本は遅れているんだよねぇって、ぼやきを言われたのを覚えておりますし、そんな意味で私は、まさに学園都市としての今治の、若者の活気あふれる街にしたいという今治の願いと、愛媛県が困っている、四国が困っている、公務員獣医師、大動物獣医師の確保の問題、それに、国際的な潮流に合わせて、いまは小さいかもしれない、これだけ難産なら立派に育つであろう。
世界に冠たる、感染症対策、あるいはライフサイエンス、等々、あるいは、動物実験を通じた創薬の分野で、鍛えられた若者が、愛媛のために、四国のために、日本のために、そして世界のために、活躍するんだと。今治が誇れる大学、と、その3つの願いを込めて、今治市民、愛媛県民の、夢と希望の未来を託して、チャレンジしてまいりましただけに、この10年の道のり、ある意味では、特区申請以来、悲願10年の手前で、
白紙に戻せだ何だと議論が出ていると、またあと10年待たされるのかなという。
アメリカより10年以上遅れてるんです。20年も遅らすようなことは、それは日本国家としての恥だと
、私は思っております」

●青山
「いま総理も、いわば初めての部分も含めて、この経緯をお聞きになったと思うんですけれども、総理として、この当事者の加戸参考人らから明らかにされた経緯については、いまどのようにお考えでしょうか」
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●安倍晋三内閣総理大臣
「えー、ま、加戸、前知事がおっしゃったように、まさに、昭和41年を最後として、その後、ま、獣医学部は全く新設されていない、わけであります。
それから半世紀が経過をして、鳥インフルエンザの問題、あるいは口蹄疫の問題、動物から動物、動物からヒトにうつる伝染病が大きな問題となっています。
この問題に対応するために、専門家の要請、あるいは、公務員獣医師の確保は、喫緊の課題であります。
それでもですね、それでも新設を認めない、時代の変化に対応できない制度であるならばですね、その制度こそが、歪んでいると、考えるわけでありまして、時代のニーズに合わせて、規制を改革をしていくことはですね、行政を歪めるのではなくて、行政を、歪んだ行政を正していくことであろうと、このように思います。
岩盤規制改革を全体として、スピード感を持って、進めていくことは、まさにいまも、そして今後も私の総理大臣としての強い意思であります。
 しかし当然ですね、当然、いま加戸さんも、一生懸命頑張ってきたけども、こんな議論になっていることは残念だということをおっしゃっておられました。
だからこそ、プロセス、は、適切、適正でなければならないわけであります。
国家戦略特区は、民間人が入った諮問会議、そして専門家も交えた、ワーキンググループで、これオープンな議論をし、そして、その議事録もちゃんと残していきます。
また、文部科学省もはじめ、関係省庁はそこに出て行って、主張すべき点は主張できるわけでございます。

そしてまた告示等を出しますが、告示もですね、関係省庁が合意をしながら進めて行くというプロセスになっているわけでございます。
まさにこの適正なプロセスの上、今回の規制改革も行われたもの、でございます。
ただ、まだ多くの国民の皆様に、ご納得いただいていないのは、事実でございますので、事実に、我々は基づいて丁寧に説明を続けていきたいと、このように考えております」
 

●青山
「えー、7月10日の連合審査、閉会中審査につきまして、もう一点だけ、加戸参考人のお話をお聞きしたいんですけれども、実は7月10日、加戸参考人が、経緯も含めて、とても分かりやすくお話しいただいたんですけれども、ほとんど報道されませんでした。ちなみに僕という国会議員は、この世にいないかのような扱いになっておりましたが(笑)、それは、まあ有権者には申し訳ないけど、はっきり言って、どうでも良いことであります。
問題は、当事者の前川参考人と並んで、一方の加計参考人、が、まるでいなかったが如くに扱われたと(議場ざわ)、いうことを、加戸参考人としては、前川さんの先輩の文部官僚でいらっしゃり、官房長までなさり、そして愛媛県知事をなさり、本当はですね、そして僕、加戸さんとも打ち合わせしてませんけれど、たとえば、このあと、拉致事件のことを、総理にもお尋ねしますけれども、愛媛県知事時代に、初めて、愛媛県として、拉致事件の取り組みを強化されて、それに感謝をしている特定失踪者の方々、実はたくさんいらっしゃるんです。
たくさんお声をいただきました。で、そのように、この、いままでできなかったことを打ち破ろうとする、政治をなさってきた、行政と政治をなさってきた、加戸参考人におかれては、今回のこのメディアの様子、を含めて、社会の様子、いまどのようにお考えでしょうか。どうぞご自由にお話し下さい」

Photo●加戸守行参考人(前・愛媛県知事)
「私もあの、霞ヶ関で30数年、生活してまいりまして、私の知る限り、いままで、メディア批判をして勝った官僚、政治家は、誰一人いないだろうと思っておりますし、ここで何を申し上げても詮無いことかなと感じますが、ただ、あの、今回、7月10日の証人喚問(参考人招致)ののち、私はその晩、イタリア旅行に出かけまして、日本のことは知りませんでした。
10日間、旅行して帰ってきましたら、いや、日本では報道しない自由っていうのが騒がれているよって。何ですかって聞いたら、何か、一覧表を見せられまして、加戸参考人の発言を紹介した、○、△、×で、新聞、メディア、テレビ等の勤務評定がありまして、ああそうだったの、というのを見て。
で、私、あの、役人時代から、慣れっこでございますから、ま、当然そうだろうなと、思いながら、えー、ただ、報道しない自由があるってことに関しても、有力な手段、印象操作も有力な手段、で、そのことはマスコミ自体が謙虚に受け止めていただくしかない
、ことでございますけれども、このことに関して、あえて申し上げなければならないことが、ひとつあります。
それは、いま、実はあるテレビ局の報道(※)で、報道された中身に関して、ま、そのこと自体は、私はどうこう言うわけじゃありませんが、その取材に応じられた前川参考人の発言で、報道の時にはカットされた部分があります。
※TBS金平キャスターによる「報道特集」のこと。https://anonymous-post.news/archives/916
で、このことについて、やはりこの場でおいて、安倍総理がこんなに窮地に立っている時に、このことはやっぱり私の、これは指導しなければ気が済まないから申し上げさせていただきます。
 ちょっと時間取って恐縮ですけれども、私が松山にいる時に、東京のテレビ局のキーステーションの、系列局から、話がありました。それは、私の知事時代の県政担当記者から、東京のキー局が、取材をしたいと、急いでるけどって。実は、連絡があった時に私は東京へ用事があって、上京する。
で、松山へ、テレビカメラかついで取材に来る時間ないでしょうと。
だから東京に着いたら、東京で、その、夜なら時間が取れますよと言ったら、テレビ局が、カメラ2台、記者が2名、そして私のあばら家に来ていただいて、立会人は私の妻一人でありますけど、その場で、何でカメラが2台かと思ったら1台は、前川参考人の、取材したビデオ取材の、映像で私に見せながら、このことに関して、加戸さんに取材をしたいんだってことでございました。
 ま、言うなれば、教育再生実行会議に、安倍総理に頼まれて私が、この加計問題を取り込む、という構図になってるわけでありまして、で、私が笑い飛ばした部分はカットされましたから、多くの国民には分かりませんけれども、あの獣医学部新設の疑惑追及かなんかっていうタイトルの番組であったようであります。
しかしその後、翌日のホームページに載ってまして、そのホームページには画面に、私の画像とテロップが流れ、その下にご丁寧に、教育再生実行会議の議事録のコピーまで載ってますから、よく見ていただくと分かるんですけれども、まずその、加戸さんは、『安倍総理と加計って友人関係ご存知でしたか』『あんなこと全く知りませんでしたよ』ってな話から始まって、それから『教育再生実行会議の委員には、どうしてなられたんですか』って、それは、いや、前川参考人が、『あの加戸委員は、安倍総理が直接頼まれたんですよね』って言って、記者のほうが、『え、何でご存知なんですか』『いや、私が、教育再生実行会議の委員の人選に関与してましたから、知っております』と。
そしてその次、カットされた、あ、そのあとから私に対するインタビューは、『何でお受けになったんですか』って言うから、『安倍総理から、教育の再生は安倍内閣の重要事項として取り組みたいから、加戸さんの力を借りたいというお話でしたので、喜んでお受けしました』って。
 で、
そのあとがカットされた部分ですが、前川参考人が、『あれはですね、安倍総理が、加戸さんに、加計学園の獣医学部の設置を、教育再生実行会議の場で、発言してもらうために頼まれたんですよ』って。
で、記者が『え、そうなんですか』って。
『だって、そのあと教育再生実行会議で、私も出席しておりましたが、唐突に、発言をされました。この加計学園の○○○○○○、それから、しかも2回にわたって』と、ありました。
で、『このことはどうですか』って言われて私は、ま、高笑いしました。『そんなことあるわけないじゃないですか』と(笑)。
そして、その部分がカットされたのは後で私は考えました。
このまま報道すれば、おそらく安倍総理から、名誉毀損の訴えを提起される恐れ無しとしない。
加戸先輩は、それは踏みつけられてもいいけれども、
そこまで想像をたくましくして、ものを言われる方なのかな。
でもこのことに関しては、総理補佐官ご発言メモが残っているわけでもあるまいし、何でそんなことをおっしゃるのかと。
安倍総理を叩くために、そこまで、全国に流れるテレビの画面の取材に応じて、私の取材がもしできてなければ、あのまま生で流れているかもしれない、ということを考えた時に、私は、自分の後輩ながら、精神構造を疑いました
(議場ざわ)。

 私は、彼を買ってます。
それは、私が愛媛県知事の時に小泉内閣が、三位一体改革の名のもとに、義務教育国庫負担金制度の廃止を打ち出して、大もめにもめて、球を丸投げして、全国知事会で、結論を出してくれと言われた時に、数少ない有志がかたらって、徹底抗戦しました。
10数人が反対しましたけれども、全国知事会の票決では、3分の2は多数決ですから、3分の2の多数決で、この理不尽な廃止制度が、全国知事会で認められました。
その時に、当時文部省の、初等中等教育課長として、前川参考人は、奇兵隊前へとブログの中で、徹底してこれを批判し、あえて職を賭してまで、この義務教育国庫負担金廃止に、論陣を張ってもらいました。
気骨のある、素晴らしい人材で、嘱望しておりました。
彼が事務次官になった時には、私一番嬉しかったです。本当に文部省を代表し、気骨を持ってチャレンジする、素晴らしい次官が誕生したなと思いました。
 
その彼が、何で虚構の話を全国テレビで話すんだろうと。
これはテレビ局が、放送をカットしてくれたから、彼は救われましたけれども、でも、その後の発言の様子を見ていると、想像が全部事実であるかのごとく発言されている。
同じ○○○○と言われてるんじゃないだろうなと。
でもそのことが、国民をそういう方向へ持っていくことになるんじゃないのか、という危惧を持ちながら、あえてこの場で、私は、報道の批判はしません。
良識を持ってその部分をカットした、テレビ局の見識には、感謝します。
でもそのリスクを冒してまで、言わなければならない、作り話をしなければならない、彼の心情が、私には理解できない
ので、でき得べくんば、青山委員からご質問いただければと思います(議場笑)」

●青山
「あっという間に時間がなくなってきてしまったんですけれども、やっぱりあの、フェアネスのために、予定外ですけど、前川参考人、お話しになることがあれば、すみませんが、時間が足りないので、できれば手短に…」

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●前川喜平参考人(前文科事務次官)
「いや、これは誤解だと思います。あの、私はメディアの取材に対しましてですね、加戸委員が、教育再生実行会議の委員になられたことにつきましては、これはもう、総理直々にお声がけがあったと。特にこの人にしたいという申し出があったと。
こういう経緯は確かに話したことはございます。
それから、あの、教育教育再生実行会議の席上ですね、愛媛県今治市に獣医学部をつくりたいと、こういうご発言が二度にわたり、私は、まあ自分で、その、陪席しておりましたので、聞いたわけですけども、ま、そういう発言があったと。
ま、この事実も伝えたことはございます。これは、ま、議事録に残ってるわけでございますけれども。
しかしそれをですね、総理に頼まれてその発言をしたんだ、というようなことは、私、言った覚えはございません(加戸参考人の方を見る。加戸参考人は首を横に振る。議場笑)。
あの、それはおそらく、私、あの、ま、まさかその、加戸先輩がですね、事実を捏造するとは思いませんので、誤解があると思います。
ま、その点はちょっと、あの、まあメディアもそれを、公開してくれるかどうかは分かりませんけれども、チェックすれば分かることだろうと思っております。
 あの、加戸前知事がですね、ほんとに熱意を持って、獣医学部、加計学園のですね、獣医学部の誘致に努められて、ま、その念願が叶ったと、いうことは本当に、あの、ご同慶の至りだというふうに思っておるわけでございますけども、しかし、その、いわゆる加計疑惑と言われるものはですね、やはり加計ありきで、国家戦略特区という仕組みがですね、そのために、まあ、曲がった形で使われたんじゃないかと。
さまざまな条件を付すことによってですね、結果的に、この、結論ありきのとこに持っていったと。そういうふうな、ところに問題があるわけでありまして、そこのところをきちんと解明することが大事であってですね、ま、あの、加計、その、加計学園ありきであったことはもう間違いないわけですけれども、愛媛県や今治市が一生懸命やっておられたと、これは事実として、認めなければならないと、思っております」

●青山
「はい。いま、前川参考人は加計ありきだったことは間違いないとまたおっしゃってて、えー、ずっとそうではないってことを、僕の質疑で明らかにしているわけです。
で、そのうえで、メディアの問題も指摘しましたけれども、政府にも大きな問題点が間違いなくありました。
こうした経緯であることを正面から、こうしたっていうのはさっき、短く申した、経緯であることを正面から説明せず、しかも経緯の中で現れる、文書を最初は見つからなかったと言い、あとで見つかったと言い、普通の国民からしたら当然、隠蔽やごまかしがあるのではないかと、むしろ正当に疑わせたことに大きな問題があります。なぜそのようなことが起きたのか、どう改善なさるのか、まず文科大臣にお聞きします」

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 ●松野博一文部科学大臣
「えー、お答えをいたします。文部科学省は、民進党等から、提示をされました文書について、調査を行いました。当該文書の存在は確認をできなかったという調査結果を5月に発表をいたしました。
その時点においてはこの調査方法に関して、一定の合理的調査であったと考えておりましたけれども、しかしながら、追加調査を行うべしという国民の声を真摯に受け止めまして、さらにファイルの、対象のファイルを広げ、またヒアリング対象を広げた結果ですね、前回確認できなかった文書の存在が明らかになったと、いうことが事実関係でございます。
しかしこの経緯に関しましては、もう大変申し訳なく思っておりますし、私としても真摯に受け止めているところでございます。
これらのことを受けてですね、今後、文書、の作成、管理のあり方の改善、職員の意識改革等に、取り組んでまいりたいと考えております」

●青山
「えー、いま文科大臣も反省を込めておっしゃった経緯と、改善策について、総理はどのようにお考えでしょうか」

●安倍
「ただいま文科大臣からも、ま、答弁させていただいたところでありますが、内部文書を巡るですね、ま、調査について、国民の皆様の政府への不信を招いたことは、率直に認めなければならないと思います。
その上で、それらの文書の記載を巡りですね、国民の皆様から大きな疑念を抱かれた、この原因を冷静に分析してみますとですね、内閣府と文部科学省の間で、さまざまな省庁間の調整が直接行われておりまして、第三者が加わっておりません。
当事者の間だけで、言った言わないのこの水掛け論になっているわけであります。
こうした省庁間の直接のプロセス、調整プロセスが、透明性に欠け、国民的な疑念を招く大きな要因であったと、考えております。
国家戦略特区制度の運営はもとより、政府だけでなく、この第三者である民間人が加わった、諮問会議やワーキンググループで議事も全て公開する、このオープンな形で議論を行っております。
そういう仕組みでありまして、民間人が入る、諮問会議、そしてまた、民間の専門家によって、民間人によって構成されるワーキンググループ等において議事録を残してオープンに議論をしている、という、透明性の高い仕組みになっています。
これが岩盤規制改革の大きな原動力となっておりますが、省庁間のですね、細かい点の調整も含め、さらなる透明性の向上に向けて、運用強化を検討していきたいと思います」

2017年7月27日 (木) | 固定リンク | コメント (15)

2017年7月26日 (水)

第2回加計閉会中審査 青山委員と前川参考人の応酬全文(前半)

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SNSN 様、丁寧な経済論説とお答え、ありがとうございました。またぜひお願いいたします。こんどは私の駄文はカットしますので(すいません)。 

さてまだホットなうちに、先日の2回目の閉会中審査についてお伝えしておきます。 

このようなマスヒステリー状況が続くのでは、真相など永遠に霧の中ですが、前川氏の言うこともそこかしこに綻びが見えてきたようです。 

ただし、例によってこのような前川氏に不利になるような報道は、コンプリートリー・ナッシングです。 

今回も驚異的な丹念さで全文書き起こしをされた、「ぼやきくっくり」様に心からお礼を申し上げます。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2086.html#sequel 

このようなサイトがなかりせば、メディアは加戸前愛媛県知事や、青山氏議員の発言はあたかも存在しないものとしてスルーされてしまいました。 

今回もテレビのワイドショーは、加戸前知事の発言箇所は、音声を止めてコメンテーターにしゃべらせていたようです。 

このようなメディアの狂態が続くかぎり、「疑惑は深まる一方」でしょう。 

私たちネット言論が、このようなブラックボックスを埋めていかねばなりません。

今回は前川氏への質問を掲載し、明日、加戸前愛媛県知事の陳述を掲載します。これも大変に興味深いものとなっています。

また、今回はスペースの都合でのせられませんでしたが、小野寺五典委員の追及も鋭いもので、この青山-小野寺両委員の質問で、前川氏は完全に論破されてしまいました。

こちらも産経が文字起こしをしていますのでぜひお読みください。
http://www.sankei.com/politics/news/170724/plt1707240044-n3.html

「加計疑獄」は、ボンボン燃えているようでいて、近づいてみればただの水蒸気みたいな蜃気楼でした。

なんのことはない、前川前事務次官は文科省内の情報ともいえない噂を基に、「今治市」だから勝手に「加計学園にちがいない」と妄想し、脳内で加計疑惑を作ってしまったようです。

青山氏が言うようにただの「思い込みで」す。

実はその時点で、今治市は公共事業の実施を公表して公募したにすぎず、したがって安倍氏が加計の参加を知るよしもなかったからです。

安倍さん、いくら丁寧に説明を尽くしても野党とメディアは絶対に承知しないでしょう。彼らは一行も報じないでしょうから、世論の風向きは変わりません。

典型的なマスヒステリーです。

事実上この第2回審議で彼らは完全論破されたわけですが、このまま延々と引き延ばして、2020年改憲へ向けてのタイムリミットである年末発議を潰そうとしています。

かくなる上は、「加計解散」をして信を問うのもいいのではないでしょうか。

                     ~~~~~~~~

●2017年7月25日【予算委員会 加計学園】 閉会中審査2回目
※動画:https://www.youtube.com/watch?v=1Bjoi4ZSga8

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 ●青山繁晴委員
「さて、愛媛県今治市に、岡山理科大学獣医学部を新設する件をめぐって、昨日も衆議院で、予算委員会が開かれました。恐縮ながら、まず、前川参考人にお尋ねします。
前川参考人におかれましては、和泉総理補佐官と会われた時の印象を、加計学園ありき、だったと主張されるうえでの、大きな根拠になさっています。
その会われた日時について、昨日の(自民党の)小野寺議員への質問のお答えで、昨年9月9日の午前10時頃とおっしゃいました。
ところが、その同じ小野寺議員に、9月9日の午後3時頃と、大幅に時刻が変わりました。さらに(民進党の)大串議員には再び、9月9日15時とおっしゃいました。
しかし前川参考人が、6月3日に毎日新聞のインタビューを受けられた際には、9月5日午前10時25分に和泉補佐官と会ったとおっしゃってます。
昨年の9月9日ではなくて、この場合9月5日です。今度は日にちも違います。また、時刻はなぜか午前に戻っています。

毎日新聞の紙面によれば、前川参考人は、ご自分のスケジュールを管理なさっているスマートフォンを記者にお示しになりながら、昨年9月5日午前10時25分にアポイントが入ったとおっしゃっています。恐縮ながら、一体どれが本当なのでありましょうか。お答え願えますか」 

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●前川喜平参考人(前文科事務次官)
「獣医学部新設の件で、和泉総理補佐官に最初に呼ばれましたのは、昨日、衆議院予算委員会で申し上げました通り、9月9日の15時頃、でございます。これが正しい日時でございます。
その日のうちの20時頃には、その様子につきまして、高等教育局専門教育課を呼びまして、えー、伝達したと、いう経緯でございます。えー、10時頃と、最初に申し上げたのは、これは言い間違いでございます。またあの、メディアのインタビューで、9月5日というふうに言ったこともございましたけれども、これは、手元の記録と記憶に基づきまして、再確認しましたところ、この日に和泉補佐官から、呼ばれましたのは、産業革命遺産の情報センターの件であったと、いうことでございます。これは私の単純ミスでございます」
 

●青山繁晴委員
「いま前川参考人がおっしゃった通り、当然言い間違いっていうのはあり得ると思います。但し、やはり社会の見方は、文科省の前事務次官でいらっしゃいますから、常に正確に、記録に基づいておっしゃってると、国民は思いますので、この神聖な国会審議において、信憑性に疑問を持たざるをえないような、ご答弁はやっぱりいかがなものかと思います。
 で、一方で、
前川参考人は、昨日の質疑では、率直なお答えもなさっています。
それは、加計ありきということを、事務次官として、総理に直接お尋ねになったのではなくて、また、和泉総理補佐官との面会でも、加計学園にしなさいと言われたのではなくて、前川参考人の持たれた印象として、そうだろうと思われたということを、きちんとお話しになりました。

そして、和泉補佐官と会われた日、いま前川参考人がいみじくもおっしゃった通り、その日の夜8時頃に、文科省の高等教育局の専門教育課に対して、和泉補佐官からこのような話があったと伝えたと、おっしゃったわけです。
つまり、文科省内に、総理のご意向によって、加計画に決まったとしまっているという情報が省内に作られたのは、前川参考人のあくまでも自分の印象を根拠にしてのことではありませんか。
前川さんは、和泉補佐官は、総理は自分の口からは言えないと、言えないからとおっしゃったと、証言なさり、一方、和泉補佐官はこれを全否定なさいましたが、いずれにしても、和泉補佐官も、加計と言ったという話は、前川さんの主張においても、ないわけですから。従いまして、たとえば、以下は仮にの話ですけれども、前川さんがお会いになった中に、木曽功さんという、加計学園の理事を務められ、あるいは同じように、文科省の先輩でいらっしゃる、方もいらっしゃいますから、そういう方と会われた、印象で、このような加計ありきという、前川さんの主張の一番大事な部分が作られたんではないですか。
はい、そこはいかがでしょう。つまり具体的な証拠に基づいておっしゃってるのか、そうではないのかということです」
 

●前川
「あの、私の理解では、初めから加計ありきでございました。ま、私、和泉補佐官に、呼ばれる以前に、8月の26日でございますけれども、内閣官房参与であり、かつ、加計学園理事である、文部省の先輩でもあります、木曽功氏の訪問を受けたわけでありまして、その際に、今治の、獣医学部の新設の件をよろしくと、言われたと、ま、こういう経緯がございます。ま、これは間違いなく、加計学園の獣医学部を早くつくってほしいという、こういうご要請であるというふうに受け止めたわけであります。
また、ま、その、後ですね、担当課である高等教育局の専門教育課から、その時点での、経緯を、説明してもらいましたけれども、ま、その、その説明におきましても、懸案となっているのは今治における加計学園の獣医学部の問題であるという認識を、文部科学省全体としては持っておりましたし、これは内閣府も共有していた、と、思っております。
 また、9月9日に、和泉氏に呼ばれまして、私が、国家戦略特区の獣医学部を早くつくれるようにしてほしいと、こういうご要請を受けた際に、いま、青山先生おっしゃったようにですね、総理は自分の口から言えないから私が言うのであると、こういう、お話がございました。
これは私は、どう受け止めたかと申しますとですね、一般的に、規制改革をスピード感を持って行えと、いう趣旨であれば、まあこういう台詞は出てこないわけでありまして、総理がおっしゃってるからやりなさいと、こういう話になるわけであります。
総理が自分の口からおっしゃれないと、いうことであれば、これは親友である加計孝太郎理事長の学校のことであると、それを早くしなさいと、まあそういう趣旨であるというふうに受け止めた。
私はこのようなことからその時点にも、これは加計学園のことであると、いうことは、明確に理解したわけであります。
またその後ですね、文部科学省の者が、内閣府から伝達された事項、これはペーパーになって残っております。
これはあの、私は極めて信憑性の高い物だと思っておりますけれども、9月の26日に、内閣府の藤原審議官から伝達を受けた事項、この中に、今治の獣医学部について、平成30年4月開学を前提に、最短のスケジュールをつくるように、これは、官邸最高レベルの言っていることであると、こういう記述がございます。
また10月に入ってからですね、えー、内閣府に対して、文部科学省の懸念事項を伝えた際に、その回答としてですね、これもペーパーに残っていますけれども、この開設の時期について、つまり30年4月という開設の時期について、これも今治というのは、このペーパーの中から明らかでございますけれども、今治の獣医学部の開設の時期については、総理のご意向であると聞いていると、ま、こういう藤原審議官の、言葉が記されている。
さらには、これもまた信憑性の高い文書だと思っていますけれども、10月21日の日付が入っております、萩生田官房副長官のご発言概要というペーパーがございます。ま、この中でもですね、総理は30年4月、開設とお尻を切っていたと、こういう、ま、言葉が入っておりましてですね。ま、こういったいずれの資料から、考えましてもですね、私が9月9日に得た、ま、理解というのは、正しかったというふうに思っております」

●青山
「いま丁寧にお話しいただいたんですけれども、要はいままで前川参考人がおっしゃってきたことと、寸分違わぬ、同じであります。
で、今の証言の中に、加計という言葉はひとこともでてこないんです。
それは、愛媛県今治市に、いままで空白だった四国に、獣医学部を早期につくる、えー、そして最短で、来年の春につくると、いうことは繰り返し、その根拠になってることを、根拠とされた側は、国会の質疑で否定なさってるわけですけど、でもそれは言った言わないの話ににもなるから、それを置いといても、もう一度言います、前川参考人の話に、一度も加計という話は出てこないんですよ。ね。だから、加計ありきって言葉は、むしろ、言い方は厳しいですけれども、むしろ、前川さんの胸の中で加速計画ありきあって、これを、一般的に言うと、残念ながら思い込みと言わざるを得ないですよ。はい(議場ざわ&やじ)。
 さて、昨日の答弁につきましては、総理にも一点、お尋ねしたいことがあります。
総理は特区に、加計学園が申請していることは、今年1月の特区諮問会議で初めて知ったと、おっしゃいました。もし違ってたら、あとでおっしゃって下さい(山本一太委員長が安倍総理の名前を呼びかける)。
続けて。えー、昨日の質問では、総理出席の国家戦略特区諮問会議がそれまで、何度も開かれて、…何度もって言葉はなかったですね、開かれているのだから、知らないはずはないと、いうご指摘がありました。
そこで議事録や、事実経過を調べてみました。
不肖ながら記者出身でありますから、関係者にも、複数当たっていきました。そうすると、たとえば、皆様がお読みになれる議事録で申せば、1月20日の国家戦略特区諮問会議ですね、これは19分間行われて居るんですけれども、この会議で山本大臣から、ご出席の山本大臣から、獣医学部の新設についても、ちょっと中略します、本事業が認められれば、昭和41年の、北里大学以来、わが国では52年ぶりの、獣医学部の新設が、実現しますと。
その全ての項目、これを含めた、他の項目もありましたから、今治も他の項目ありましたけれども、他の項目について、関係大臣の同意は得ております。
これらにつき、ご意見等はございますでしょうかと、お話があって、議事録によると、異議なしの声があって、それはそこで終わってるわけですね。
で、実は
この会議でも、議事録を拝読する限りは、加計学園って名前は出てこないんです。
しかし、関係者によれば、総理は、事前の事務方のブリーフィングで、加計に決まったことを知り、そして関係者の一致した証言によると、総理はこれまで、今治市が特区に指定され、その前に名乗りを上げて指定され、そして獣医学部の話があることはご存知であったけれども、そこに加計学園が申請してることは、知らなかったというふうに、関係者が、複数の関係者がおっしゃってます。

この経緯、総理、この経緯で、正しいでしょうか。日本の最高責任者として、お答え願います」

Photo_3
●安倍晋三内閣総理大臣
「えー、改めて、私がいつ、何をどのように知ったか、ということについて、ご説明をさせていただきたいと思います。
まず大前提として、獣医学部の提案者は、構造改革特区、でもですね、その後の国家戦略特区、においても、自治体である今治市であり、加計学園ではありません。
今治市の提案は、平成19年のですね、福田政権の時以来、構造改革特区として申請が行われてきました。第2次安倍政権になってからも、4度にわたって、申請がございました。その対応方針は、私が本部長を含める、構造改革特区本部、で決定しており、今治市からの提案については、私は知りうる立場にありました。
しかし、数十件ある、この案件の、ひとつに過ぎないわけでありまして、結果もですね、安倍政権、第2次安倍政権においては、4度とも、提案を、ま、事実上認めない、ま、事実上認めないってわけですから、却下と言ってもいいんですが、事実上認めないものでありましたので、実際には、今治市の提案については、全く認識をしていなかったわけであります。
 その後、国家戦略特区制度が誕生し、2年前の11月から、私が議長を務める、国家戦略特区諮問会議において、今治市の特区指定に向けた、議論が進む中、私は、今治市が獣医学部新設を提案していることを知りました。
しかしその時点においても、またその後のプロセスにおいても、事業主体が誰か、という点についてですね、提案者である今治市から、ま、説明はなく、加計学園の計画は承知をしておりませんでした。
 で、最終的には、本年1月に、事業者の公募を行い、加計学園から応募、があった、その後の分科会でのオープンな加計学園から応募があったわけであります。
その後、分科会でのオープンな議論を経て、1月20日に諮問会議で認定することにてりますが、その時、私は初めて、加計学園の計画について承知したところであります。

もちろん私と、加計氏は、政治家になるずっと前からの友人であります。
しかし、私と加計さんの間においてですね、いわば、お互いに立場が変わっていきますが、その立場を利用して、何かを成し遂げようとしたことは、ただの一度もないわけでありまして、具体的に、獣医学部をつくりたいとか、あるいは今治に、っていう話は、これは一切なかったわけであります。
まさにそういう関係であるからこそですね、そういう関係であるからこそ、友人としてお互いに、仲良く付き合いをすることができたと、私はこのように考えているところでございます
(議場ヤジ)」

●青山
「はい。いまのあの、総理のご答弁、僕は総理と事前に打ち合わせしたわけじゃありませんから、いま初めて伺いましたけれども、ご答弁の後半、実はそれ、いまからお聞きしようと思っていたことでありました(笑)。
と言いますのは、この、昨日の総理のご発言、ご答弁について、国民が普通に持つだろう疑問は、総理いま自らおっしゃった通り、長年の友人である、加計孝太郎理事長から、一度も聞いたことがないっていうのはなかなか普通信じられないんですよね。
で、これも、
関係者の証言をたどっていきますと、加計孝太郎理事長が、総理に教育論をぶつことはあったと。
しかし具体的にどの学部を、加計学園、たくさん学部チャレンジされてますけれど、どの学部をどこにつくりたいって話は、しないということだと。
で、ゴルフをなさっても食事をなさっても、政治家の利害に関わる話はしない習慣になっていた、だからこその友達だと
、まさしくいま総理がおっしゃったことと一致してますけれども、そういう友人関係、だったということでしょうか。もう一度、念のためお願いします」

●安倍
「彼は教育者として、時代のニーズに合わせ、新たな学部や学科の新設に、チャレンジしていきたいと、いう趣旨の話をしたことはありますが、具体的にどの学部をつくりたいと、いうことは一切私に話したことはございません。
いままで、彼はさまざまな、すでに、学部等をつくってきておりますが、そうした学部についてもですね、事前に一切、私に説明や話、はございません。
ですから獣医学部の新設について、相談やあるいはまた、以来は一切なかったということは明確に申し上げておきたいと思います。まさに友人として相手の立場をりようとしようとする、ということがあればですね、もう友人とは言えないわけあります
。その点はですね、きっちりと、ま、踏まえていたと、このように思います」

●青山
「はい。実はいま、総理が確認された経緯、すなわち、この、今年の1月20日に至るまで、総理が、加計学園のこの件に関するチャレンジを、ご存知じゃなかったということで、あればですね、実はこれまでの、加計ありきじゃないのかっていうことを最大の争点にしてきた国会審議、正直なところ、何だったのかと、いうように思います。
総理、あえてお聞きしますけど、なぜ最初から、そういうふうに正面から、おっしゃらなかったんでしょうか。あの、勝手に推測すれば、やましいことをしていないのだから、説明をする必要がないと、いうお気持ちもあって、いまのようなご説明をいままで、なさらなかったのでしょうか。お願いします」

●安倍
「ま、私も全く身に覚えのない、ま、話でありますから、ま、その意味においてですね、少し、至らぬ点があった、言葉足らずであったことは率直に認めなければならないと、思うわけであります。
しかし、昨日もですね、加戸委員(参考人)も証言をしていただいたように、第1次政権においてもですね、文科省に対して、この、今治市が、この獣医学部の新設について相談に行ったわけでありますが、これ第1次政権の時、であります、全くけんもほろろであったということでありますし、いまご紹介をさせていただきましたように、安倍政権、
第2次安倍政権の時に、4回、申請されております。
実は、民主党政権時代に1回申請されたものをですね、安倍政権で、認めなかった、というものを含めれば、ま、5回にわたって申請されたものを、第2次安倍政権においては、認めていない
、ということも、申し添えておきたいと思います」

                                            (続く)

 

 

今回は、改行してえーを削除した以外の「くっくり」様の施した太字、大文字、写真はそのまま収録し、太字は私が付け加えた箇所もあります。

2017年7月26日 (水) | 固定リンク | コメント (24)

2017年7月25日 (火)

snsn氏寄稿 アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ その3

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snsn氏の三回連載の最終回です。 

改めて論考を拝読すると、私と一緒の観点に立たれていることに、嬉しく思いました。 

私も金融緩和・財政拡大・規制緩和を、バランスよく展開すべきだという意見です。 

今、インフレ率が目標に達していないのでアベノミクスは失敗ではないか、という批判が財政拡大重視派からでています。 

たしかにその側面もあります。デフレという現象は、需要と供給にギャップが生じて経済が冷え込む現象のことです。 

これを需給ギャップ(GDPギャップ)と呼びます。かったるいようですが、定義からおえておきましょう。

「需給ギャップがマイナスになるのは、需要よりも供給力が多いときで、企業の設備や人員が過剰で、物余りの状態になります。これをデフレギャップといいます。
逆に、供給力より需要のほうが多いとプラスになり、物価が上がる原因になります。これをインフレギャップといいます。需給ギャップは市場メカニズムがうまくいっていないときに大きくなり、それを解消するためには、政府が景気刺激策などで需要を調整する必要があります」(SMBC日興證券 はじめてでも分かりやすい用語集)
http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/si/J0610.html

つまり、経済の過去の傾向からみて平均的な水準で生産要素を投入した時に実現可能なGDPを「潜在GDP」と呼びますが、それから実際のGDP を引いたものが、「需給ギャップ」というわけです。 

つまり本来これだけ作れるのに、思ったより需要が伸びない、作っても在庫が増えるだけだというような現象が経済の冷え込み現象であるデフレです。 

ちょっと思い出してほしいのですが、白川日銀の頃に急激に進んだデフレの時には、テレビCMは激安一色でしたね。牛丼が280円で食べられた時期です。 

2009年10月の消費物価指数(CPI)では、585品目のうち、62%が前年同月に比べて値下がりしました。 

国内では円高が進行し、価格破壊という安売り合戦が繰り広げられました。当然、消費物価指数は下がり続けていきます。 

いいことでしょうか。いや、このような不健全な消費物価指数の急落は、深刻な需要不足によって引き起こさされたものですから、企業は資金調達に苦労し、コストカットをするようになります。

結果、真っ先に切られるのは、はいそうです、賃金と雇用ですね。 

当時、厚生労働省がまとめた現金給与総額は、10月まで17カ月続けて前年割れとなっています。 

売れない⇒安売り⇒収益下落⇒コストカット⇒賃金下落・雇用悪化⇒個人消費下落⇒売れない・・・、以下無限ループ。 

これがもっとも怖いデフレ・スパイラルです。日本はこの重篤な症状に罹って苦しんできました。時期的には、白川日銀・民主党政権時にあたります。

民間需要が冷えきった時には、公的需要の温かいお湯で身体をほぐしてやらねばならないのです。

ところが2009年に誕生した民主党政権は、真逆に「コンクリートから人へ」というわけの分からないスローガンを掲げて公共投資に大鉈をふるいました。

このとき財務省から渡されたマニュアルを握りしめて、コストカッターをやったのが「仕分け人」蓮舫氏でした。

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やらねばならない公的需要の投入はしない、その上にデフレ不況期に増税をする、しかも貧しい者のほうが苦しむ逆進的な消費増税をするという、信じがたいほど愚かなことを決めたのが、2012年の野田政権時の三党合意でした。

これは今なお日本を苦しめています。 

もちろんすべての筋書きを書いたのは、財務省です。 財務省正面玄関には墨痕リンリと「大増税」という書が掲げてあるそうです(うそ)。

2014年、安倍首相は三党合意を受けて消費増税に踏み切りました。 

結果は、下図グラフでも分かるように、せっかく芽生えたデフレ脱却の芽を潰してしまい、再びデフレ・スパイラルへとまっさかさまに落ちようとしていました。 

Photohttp://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=554...

2014年の消費増税時をご覧ください。ピンクの個人消費が一気にマイナス2ポイント近辺に下落しているのがわかります。 

その翌年の2015年、安倍政権は財政拡大によって緑色の公的需要を手当てして需給ギャップを埋めようとしているのがわかりますね。 

そのことでかろうじてGDPは浮力を取り戻しています。 

おそらくこの消費増税が野田政権時にされていたら、金融緩和・財政拡大なき増税となるわけですから、わが国は二度と永久に立ち直れないほどの打撃を受けたことでしょう。

これは民主党だからというわけではなく、2013年に安倍氏と総裁選で争った石破氏が総理になったとしても、まったく一緒だったはずです。

それはさておき、この緑色の帯を注目してほしいのですが、順当に維持されたとはいい難い状況なのが見て取れます。 

伸びるどころか、2016年などは驚くほど公的需要は圧縮されてしまっていますし、個人消費の回復も弱々しいものです。

いかに消費増税が景気を直撃し、長きに渡って暗雲をもたらすのかわかります。

これではデフレ脱却は難しいと私も思います。しかも2019年10月1日には安倍氏が「もう再延長はしない」と言った消費増税が待ち構えているのです。

インフレ目標を設定し、量的緩和の継続をコミットメントすると、期待インフレ率が上がり、実質金利が下落し、デフレ脱却できるという金融緩和政策一本槍では救えないのは明白です。

おそらく金融緩和のアクセルを強く踏むだけではなく、同時に公的需要を大幅に、市場がゲっというくらい積み増さないと景気は刺激を受けないでしょう。

そして2019年10月の増税を延期ではなく、永久凍結すべきです。なんならゼロ消費税でもかまいません。

この部分に対して三橋貴明氏などの「財政拡大派」が不満を持つのはわかりますが、この派は強烈な反グローバリム傾向を持っているために、3本目の矢である規制緩和まで全否定してしまっています。

財政拡大派は口をきわめて金融緩和派を罵倒し続け、いまや自分たちはリフレ派ではない、アベは辞めろとまで叫ぶ始末です。いくらなんでもやりすぎです。

かくして、リフレ派は内部分解を起こしかかっています。

困ったもんです。デフレ脱却という大目標が挫折しそうな時に、内ゲバに夢中になるなよ、と思います。

もう少しバランスよく、アベノミクスは三つの矢のパッケーシだったことを思い出して欲しいというのが私の思いです。

すいません。また前座が長すぎました(汗)。 

                 ~~~~~~~~   

■アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ その3
                                            snsn
 

[承前]  

<後編>  

3. アベノミクスvs民進党、そしてリフレ派内部の意見の相違 (続き)  

私個人の考えですが、金融緩和だけで乗り切れるという硬直的な考えでは消費税増税を否定する論拠を弱めることになりそれこそ景気が大減速してしまいます。  

金融緩和は重要ですが、公共投資を含めた財政出動を積極的に推進する必要があると考えます。(無駄な箱物ではなく中身は十分に吟味する必要はありますが) 

また特区などの規制緩和、先端技術導入などの成長戦略も同時に重要になります。 

従って個人的には、①②③バランス派を支持しています。  

アベノミクスの完成は是々非々で三本の矢をバランスよく推進することではないでしょうか。

また、2%のインフレ目標を過度に強調しすぎると達成/未達成だけがクローズアップされてしまい、失業率の改善などせっかくの良い傾向が見えにくくなります。
 

企業にとって雇用は先行投資ですから、中長期的な成長期待は醸成されていると思います。  

そこでインフレターゲットを固定的な目標にするのではなく、名目経済成長率をターゲット(※1)にする方が企業の期待値の実感と合うでしょう。  

また、銀行が日銀に預けている超過準備金がいわゆる「ブタ積み」の状態にあることは悪いことではなくむしろゼロ金利解除のための売りオペ(※2)のハードルを上げているのであって、当面ゼロ金利解除されないだろうというシグナル効果がありますので、インフレターゲットだけがインフレをコントロールするチャンネルではありません。  

4. 今後のアベノミクス  

残念ながら経済政策ではポスト安倍で期待できる人材はいません。後任を是非育ててほしいものですが、、チルドレンのレベルがあれでは・・・。  

そうなると、日銀総裁人事を思い切って元FRB議長のバーナンキなどに依頼してほしいものです。 

もし仮に石破氏が首相にでもなったら、日本経済は確実に縮小するでしょう。石破氏も国防を考えるならば経済を強化することによる安全保障を考えてほしいものです。  

経済的パワーは、どんな武器よりも強い威力を発揮する場合があるのです。  

私はTPPやEUとの貿易協定についても経済的な安定による安全保障の構築という極めて大きな効果があると思っています。  

経済というのは単なるお金儲けだけの政策ではないのです。  

ここでは論じる余裕はありませんが、安倍さんの外交手腕はなかなかのものだと評価しています。  

現実的には日本が軍事予算を大幅拡大したり、核武装は世論や周辺国の反対から不可能でしょう、であれば経済的ヘゲモニーを握り世界をリードする存在になるしか生きる道はありません。

内閣支持率を見ていると正直先行きが不安ですが、唯一の希望は安倍さんがリフレ理論を実際にやってみたという動かしがたい事実です。
 

安倍さんが実行した、成果も出た、支持率も上がった、ハイパーインフレも国債暴落も起きなかった、まだ不備はあるけどもこの記憶は政治家の”身体感覚”として自民党内に強く残っているはずであると信じたい。  

政治家も人気商売ですから、国民に支持される政策を無視できないと思います。

以上、長々とお読みいただきありがとうございました。
                                              (完)
 

●編者注  

※1インフレターゲット 物価下落と不況のデフレ・スパイラルを 断ち切るために、一定の物価上昇率を目標とし、その目標を達成するまで金融を緩和すること。  

※2 売りオペ 国の中央銀行が市場において債券・CP・手形などの有価証券を売却する ことにより、市場の通貨量を減少させる公開市場操作(オペレーション)の一つこと。

 

2017年7月25日 (火) | 固定リンク | コメント (16)

2017年7月24日 (月)

 snsn氏寄稿 アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ その2

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snsn氏のアベノミクス論考3分割中の2回目です。 頂戴した論考はここから後編に入るのですが、分量の都合上ここで一回分割して中編とさせて頂きました。

さて私はこのまま推移すると、アベノミクスはデフレ脱却の一歩手前で分解する可能性が出てきていると思っています。

それは今回snsn氏が述べられているように、金融緩和・財政拡大・成長戦略といったアベノミクスの3ツの柱にギクシャクした相剋が生れつつあるからです。

私は安倍氏は日銀による金融拡大にのみに力を傾注した結果、2番目の財政拡大政策をおろそかにしているように見えます。

これが緊縮型の予算編成をもたらし、いまひとつ景気の浮揚に繋がらない結果をもたらしています。

政府はここで一気に財政アクセルを吹かせてデフレトンネルを脱出すべきなのに、出口がそこにありながらブレーキをこまめに踏んでしまっています。

これを早急に立て直さないと、危険な兆候が現れています。モリカケ騒動対策という政局ではなく、経済政策としての対応が必要です。

おそらく消費増税凍結は当然のことで、5%に戻すていどの荒技が必要です。

このような及び腰になっている原因は、安倍氏の意志というよりも、閣内における財務省の意志を汲んだ麻生財務相の緊縮財政志向の抑えが強力に効いているからです。

自民党内では、何度も同じことを書いて恐縮ですが、安倍氏はスタンド・アローンの存在です。

アベノミクスは自民党にとって異端の政策であり、本来はリベラルのものだからです。

安倍氏は最大派閥を率いているとはいえ、「盟友」麻生氏と敵対しては政権運営ができなくなります。

ですから、アベノミクスは与党内で総論賛成・各論反対という結果になり、すべてにおいて中途半端になりがちという弱点を持っていました。

Photo_4

https://dot.asahi.com/wa/2017052500085.html

この弱点に眼をつけたのが、朝日・財務省でした。

朝日は戦後リベラルの地位を根底から揺るがす「極右反動」のアベを政界から葬りたいと考え、財務省は官僚の盟主たる財務省に抵抗し、リフレなどという邪論を現実化したアベノミクスを抹殺したいと願いました。

まさに戦後の体制そのものである財務省を先頭とする官僚と、言論を支配することで世論を操作してきた朝日という二大エスタブリッシュメントにとって、アベこそが殺しても飽き足らない憎き存在だったのです。

この両者の思惑が一致して、アベという独立峰をへし折ってしまえば、アベノミクスは瓦解すると朝日と財務省の戦略が作られました。

短期的にはアベを倒した後に、自民党内緊縮・増税派を据えるのが当面の彼らの目標です。

今、起きている一連のモリカケ&隠蔽疑惑は、このアベ包囲網戦略から生れました。

アベノミクス三本の矢のうち、アベノミクス派内部でも意見が異なる規制緩和をターゲットに据えたのも偶然ではありません。

朝日は、規制緩和の中心である国家戦略特区を官僚のクーデターによってやり玉に上げただけではなく、アベノミクス派内部の亀裂に手を突っ込み、内部から瓦解させようとしました。

「アベは敵だ。敵を殺せ」、これが朝日と財務省の合い言葉です。

Photohttp://www.sankei.com/politics/photos/170723/plt17...

そしてそれを物語るように、今日の朝日のトップはこれてす。
自民に危機感 トップ代えねば

今まさに、アベノミクスは胸突き八丁を迎えています。政治と経済が密接に関わった状況が現在なのです。

                ~~~~~~~~ 

 ■ アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ その2
                                              snsn

[承前]

<中編>

3. アベノミクスvs民進党、そしてリフレ派内部の意見の相違
 

経済学上の大きな争点として成長派vs緊縮派が挙げられるでしょう。 

アベノミクスは成長を志向していますが、一方民進党は消費税増税、財政規律(緊縮)を志向しています。 

注意すべきは自民党がみんなアベノミクス支持かというと全くそうではないという事です。特に石破、麻生、小泉は緊縮派であり民進党と基本的には同じ政策になります。 

そして緊縮政策は財務省の意思なのです。 

党派関係なく成長志向の政治家を列挙すると、民進党馬渕澄夫、金子洋一、都民ファ渡辺喜美、自由党山本太郎と見事にバラバラです。 

経済学の世界ではリフレが支持されていますが、政治の世界では安倍さんはかなり異端であり周り中敵だらけの中で戦っていると言えましょう。 

それだけにアベノミクスの推進パワーが削がれ中途半端になっているのも事実です。

またリフレ派内でも意見の相違があり、このことが一般的にアベノミクスの議論を分かりにくくしています。

アベノミクスの3本の矢は 

①金融緩和→ゼロ金利、量的緩和
②財政出動→公共投資
③成長戦略→規制緩和

これらのどこを重視するかで、アベノミクス陣営の中で意見が分かれており論者により重視する政策が大きく異なります。
 

①金融緩和重視派:岩田規久男、浜田宏一、原田泰、高橋洋一
②財政出動重視派:藤井聡、三橋貴明
③成長戦略重視派:竹中平蔵、高橋洋一
①②③バランス派:飯田泰之

①の金融緩和重視派は理論的にはデフレ脱却には金融緩和のみ有効で、公共投資の効果は少ないと主張するマンデル=フレミングモデル(※)に立脚しています。
 

※編者注 財政赤字が拡大すると実質長期金利が上昇し、設備投資や住宅投資が減少する(クラウディング・アウト効果)。
また、実質長期金利が上昇すると国内への資本流入圧力が生じて自国通貨が
増価し、輸出が減少して輸入が増加するためGDPが減少する。よって、変動相場制のもとで景気回復や雇用を増やすには、財政政策よりも金融政策が効果的だという理論。ロバート・A・マンデルとJ・マルコス・フレミングが1963年に発表、1999年にノーベル経済学賞受賞。 

これについて
②の財政出動重視派からは、インフレターゲットが目標未達である現時点では金融緩和だけで本当に乗り切れるのか?という有力な疑問も提出されています。
 

また、過度にマンデル=フレミングモデルに依拠すると負の財政出動である消費税増税も悪影響がないことになってしまい、いつのまにか消費税増税を受け入れてしまいがちな(あるいは理論的に否定できない)危険な傾向にあります。 

岩田規久男、浜田宏一がインタビューなどで消費税増税について煮え切らない答弁をするのはこのためだと思われます。 

金融緩和&消費税増税許容論の伊東隆敏などもいます。 

③の成長戦略重視派については新自由主義的な色合いの政策であり、リフレ派としては効果が薄いとして冷淡な見解も見られます。 

特に②の財政出動重視派は、規制緩和を全否定する傾向にあります。

アベノミクスはこのように幅広い経済政策のパッケージであり、それはうまく回れば効果的なのですが八方美人的ともいえましょう。
 

現在アベノミクスが一定の実績を上げているものの、当初計画の2%のインフレ目標に達していないのはこのリフレ派内部の意見相違があり、政府としても自信を持って政策を決定できていないことも一因ではないでしょうか。 

下手をするとアベノミクスは空中分解します。 

                                          (続く)

2017年7月24日 (月) | 固定リンク | コメント (11)

2017年7月23日 (日)

日曜雑感  経済が成長することを止めた時、人を殺す

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昨日、炎天下にあぶられながら仕事をしていたら、みごと熱中症もどき。沖縄でやって以来、ひさびさにぶっ倒れました。

車でいえば、ラジエーターからモーモーと煙を吐いているってかんじでしょうか。

立っていられなくなって、炎天下にガタガタ震えがくるってかんじで、体内の熱がシャワーを浴びるていどでは引いていきません。

こうなったら、塩をなめながらら水をがぶ飲みして、水に漬かるしかありません。

もう若くねぇなと思っていたら、こんなことを上野千鶴子氏が書いていたことを思い出しました。

平等に貧しくなろう 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん

「日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。
ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない」(中日新聞2017年2月11日)

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なかなかスゴイいことをいいますなぁ、この人。

日本は少子化による人口減少によって衰退の一途を辿るから、みんな揃って貧しくなろう、ということのようです。

私は初級ジジィですから言っていいと思いますが、なにを勘違いしているんだこのバァさん。

典型的なゼロ成長論です。このテの人たちは、「成長しないであろう」という予測にとどまらず、むしろ「成長は悪だ」くらいの言い方をよくします。

その理由に原発をつけたり、少子化がついたりするだけで、中身は一緒です。

上野氏は1948年生れで今69か70歳ですから、高度成長の恩恵はたっぷりと受け取っている世代です。

小学校時代は、公共広告機構が「ライバルは1964年」なんて妙な褒めそやし方をしている、経済絶頂期。

空気や川は汚れ放題でしたが、ガキもうじゃうじゃいて、賃金は右肩上がり。

で、大きくなればまだまだ続く高度成長。そしてこの世代が管理職になったあたりであのバブルという壮大なキンキラ時代を満喫するわけです。

そしてそのツケを私たち後の世代に回して、退職金と年金、その上に企業年金まで満額もらって楽隠居。

そんな世代が「もう成長はしない」とか、「成長することは地球環境にとって害」みたいなことを平気で言うのを聞いていると、うんざりまします。

下図の年代別の政権に要求することをみると、「景気回復」が圧倒的に多いのが分かります。

これからの社会を支える青年層は当然のこととして、就職氷河期を痛いほど体験してきた30代から40代もまた、景気回復こそが日本国民最大の願望なのです。

Photohttp://saigaijyouhou.com/blog-entry-3979.html

安倍政権は消費増税という手痛い失敗をしました(あれをしなければ、とうにデフレ脱却は完了していたはずですから)が、基本において「景気回復」を軌道に乗せようとしています。

それこそがこの政権の最大の支持理由なはずで、右左のイデオロギーはスパイスていどのことで、本来は無視していいくらいなのです。

それを見ない脱成長論は、文明論に形を変えたただの「世代エゴ」にすぎません。

自分の世代は満喫して、その上に乗ってたぶん日本の歴史上もっとも豊かな老齢期を迎えている世代が後の世代に向かって、「オレたちの世代で成長はオシマイ。若い奴らはつましく清貧で生きろ」はないでしょうよ。

上野ばぁちゃんの言うように、「平等に、緩やかに貧しくなっていく」ならば、今の再分配の構造自体を変えろということですから、まずは魁より始めよで、自分たちの年金の何割かを自主返還しなさい、って。

今この人たちの多すぎる人口を、少子化の若者が支えているわけですから、そのていどやってもバチはあたりません。

人間はあってあたり前だと思ってきた既得権をヒッペがされるのが、なによりもイヤですから抵抗はあるでしょう。

共産党は、「アベの老人福祉切り捨てをゆるさないゾ」とデモのひとつもするでしょうし、上野氏がいう「平等に貧しくなる」ためには、国がバサバサと高齢者向け福祉を切らねば実現しないのです。

既得権益もバサバサ切らねばダメでしょうから、小泉氏が言っていた「聖域なき構造改革」が実現せねばなりません。

となると、獣医学部ひとつ新設したくらいで、わーわー言うなと言うことになります。

いったんこうやってまっサラな「平等社会」を実現してから(ゾッとしますが)、おもむろにそこから新たな再分配を考えていかねばなりません。

一種の社会主義革命です。

しかしおかしなことには、この人たちは規制緩和は大反対ですし、福祉の縮小にはもっと反対です。

つまりは自分たちの分け前は自分のもの、オレたちの世代があの世に行ってから「平等に、穏やかに貧しく」なれ、ということになりますね(笑)。

成長の果実はみんな自分たちの世代が食ったから、この残りを若い連中が平等に分配してくれという、まことに虫がいい考え方です。

つまりは「脱成長論」とは、このような世代エゴの変形なのです。

成長しなければ国は滅びます。

デフレが若い人たちの間に失業者と自殺者を増やし、内向きの時代を作ってきたのは、データからも明らかです。

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上のグラフは宮崎哲弥氏のものですが、年平均完全失業率と経済・社会生活を原因とする自殺者数の推移が正の相関関係にあることが分かります。 

宮崎氏によれば、「自殺者数が増加する。逆に、失業率を下げると自殺者数も減少し、両変数の差分を計算した相関係数は0.74」だそうです。

時系列で見れば、1990年からの26年間ピークは2003年と2009年だとわかります。
 
そして宮崎氏は現在の自殺者数が、1998年から1999年と同じだということを指摘します。
 
1998年は日本経済にとって、忘れ得ぬ地獄の釜を開けた年となりました。

下図は橋本龍太郎政権が、15年前の1997年に消費税増税増税時した前後の自殺者数推移を見たグラフです。 

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消費税増税の翌年の1998年にご注目ください。自殺者が急増します。 

1997年には年間約2万4千人だったものが、翌年には約3万3千人にと、なんと1万人もの増加します。 

覚えておいて下さい。消費税増税した翌年に日本は世界有数の自殺者を出す国になったのです。 

分水嶺とでもいうべき3万人の大台を突破した年が、この1998年なのです。

それに追い打ちをかけるように2003年はITバブル崩壊が開始され、2009年は全世界を覆ったリーマンショックが始まります。
そしてやがて、白川日銀のデフレ・円高容認政策が始まります。
白川総裁について、浜田宏一イェール大学教授はこう書いています。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34584

「日銀流理論」と、世界に通用する一般的な(そして歴史ある)金融論、マクロ経済政策との間には、大きな溝がある。その結果としてもたらされたのは、国民生活の困窮だ。とりわけ高校・大学の新規卒業者の就職率が大きく落ち込んでいることは深刻な問題である。経済問題は、庶民の生活、その原点から考えていかなくてはならないのだ。
〈若者の就職先がないことは、雇用の不足により単に現在の日本の生産力が失われるだけではありません。希望に満ちて就職市場に入ってきた若者の意欲をそぎ、学習による人的能力の蓄積、発展を阻害します。日本経済の活力がますます失われてゆきます〉」

 
こうしてわが国は、永遠に抜け出せないかにみえたデフレのトンネルを走り続けることになります。 

関口宏翁(73歳)の言うように「若者は安定よりも変化を求めるべきではないか」なんて、「青年層の保守化」を嘆いてみせても、そりゃあんたの世代から「変化」をもとめてくれ、と言いましょう。

経済が成長することを止めた時、若者の未来を奪い、人を殺すのです。

■写真 あくびをする千代丸。今場所はただのデブから、つよいデブになりました。

 

2017年7月23日 (日) | 固定リンク | コメント (13)

日曜写真館 朝5時の向日葵畑

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2017年7月23日 (日) 写真館 | 固定リンク | コメント (0)

2017年7月22日 (土)

 snsn氏寄稿 アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ その1

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snsn氏から寄稿を頂戴しましたので、掲載させて頂きます。

私は今の時機は、政治的には<保守vs戦後左翼>の戦後総決算的な戦いとなっていると思っています。

左翼勢力にとってもう後がありません。

特定秘密、安保法制、テロ等準備罪と連敗を重ねた上に、首相から左翼勢力の存立前提である憲法の改憲提案が出たことがメディアの暴走の始まりでした。

今回のモリカケ騒動が、首相の改憲発言時から始まっていることにご注意下さい。

左翼陣営、とりわけそれを率いる朝日は、首相「一強」の根源にあるのが、経済政策にあることを見抜いています。

いまのようなくだらない政治的出来事に眼を奪われていると忘れがちですが、あれだけの総メディアによるどしゃぶり的バッシングを受けても、政権支持率が30%台と底堅い理由は、経済がいいからです。

青年層の自民党支持の多さは、アベノミクスにより劇的に失業率が改善されたことにより長きに渡った就職氷河期が終わりを迎えたからです。

つまり、安倍氏の強さの根源には、経済政策の正しさがあるということです。

朝日などの戦後リベラルは、アベ憎しのあまり安倍氏ごとアベノミクスを葬り去ろうとしています。

つまり、今私たちの眼前で繰り広げられている白茶けた政治茶番の陰には、経済政策をめぐる戦いも天王山を迎えているということです。

何度となく書いていますが、安倍氏は自民党の異端です。

おそらく彼が失脚した場合、彼を継ぐ可能性がある石破氏、麻生氏など、主だった自民党領袖たちは一様にプライマリー・バランス(基礎的財政収支)規律派ですから、増税・緊縮財政策に復帰することでしょう。
基礎的財政収支 - Wikipedia

自民党領袖の多くが反アベノミクスだというのは、リフレ政策が元々はリベラル派の政策だからです。

米国をみればわかるように、オバマ民主党政権下のFRB議長はベン・バーナンキでしたが、彼はリベラル派にしてリフレ派経済学者です。

むしろ共和党保守のほうが、緊縮・財政規律派に属しています。

これが世界標準であって、唯一日本だけが左翼が財政規律派で、保守政権側のほうがリフレ派という逆転現象を起こしています。

だから、党内異端である安倍氏は、自らの経済政策を実現するために「一強」にならざるをえなかったのです。

この増税・緊縮路線は、実は自民反安倍派と朝日や民進、公明と共通しています。もっとも民進には、そもそも経済政策らしきものすらありませんが。

朝日の代表的論者の原真人氏は、「金融緩和はやめろ」「財政政策はバラまきだ」といったあげく、朝日社内では株価が下がると拍手が起きたそうです。

つまり彼ら共通の敵は、アベノミクスなのです。

本来、かつてのクリントン・オバマ政権がそうであったように、経済が好調な時に政権を代えろという声は起きないものです。

勝っているサッカーチームのレギュラーを代えるようなものですからね。

それを無理筋でやろうとしているのが、朝日などの反アベ・メディアです。

火のないところに煙を立てて大火にしようとしているわけですから、無理偏に無理、砂上の楼閣です。やがて虚偽はバレます。

しかしそうでもかまわないと彼らは思ってます。

政局評判家の伊藤惇夫氏が加計問題について「ひるおび」でいみじくも言ったように、「問題は印象の部分」だから事実であろうとなかろうと、視聴者に疑惑印象さえ与えられればメディアの勝ちなのです。

ここで改めて、アベノミクスとはなんであったのかを概観することは、意味あることだと思いsnsn氏に寄稿依頼した次第です。

大変に読みやすく優れた論考を頂戴したことを感謝します。語尾をですます調で統一し、改行を施した以外は原文ママです。なお図表類はブログ主が挿入しました。

ではどうぞ。

                      ~~~~~~~~

図表1日経株価平均推移

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 図表2 有効求人倍率推移

Photo_4図表3 失業率推移

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図表4 企業倒産年次推移Photo_2図表5 自殺者と完全失業率の相関

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■アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめその1
                                         snsn

アベノミクス、いわゆるリフレ派経済学についてのまとめ記事を書かせていただきます。

この分野の分析や理論は大変複雑であり、今回の記事の中ではとても紹介しきれませんのでかなりシンプルに語ることをご容赦くださいませ。

■<前編>

はじめに
私がリフレ=アベノミクスを支持する理由は、経済成長を重視しそれが現実に実績を上げつつあるからです。

経済の安定によって文化は育ち、人権が守られ、貧困が解消し、安全保障上優位性を確保することにつながるため、経済は最高度に優先されるべき政治課題だと思います。

クルーグマン、スティグリッツや浜田宏一といった世界的な経済学の権威によって提唱されていたリフレ理論が2000年初頭から日本でも紹介されてきました。

ただ当時は自民党も民主党もこの政策を採用することなく、2009年からの民主党政権の緊縮財政政策によって日本経済は崩壊寸前にまで至りました。

第二次安倍政権になって現実にリフレ理論を実行した結果多くの実績を残し日本経済は復活しつつあります。

しかしながら手放しで称賛しているわけではありません。まだまだ達成が不十分ですし、旧民主党の負の遺産である消費税増税問題を解決できていない。

それはアベノミクスが根本的に間違っているということではなく、アベノミクスが”まだ足りない”
あるいは”もっと改善する余地がある”ことであると考えています。

■1. アベノミクス成功の指標
参考文献としては、松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』、飯田泰之『マクロ経済学の核心』です。
松尾氏は実は思想的にはマルクス主義経済学者あり反安倍です。

しかしながら松尾氏は冷静にアベノミクスの成果を認めた上で、それを超える提案をしています。従って「御用学者」でないことがお分かりいただけるでしょう。

飯田氏はリフレ派で個人的に最もバランスが取れている経済学者だと思います。

●アベノミクスの成果、政権発足時 → 現在
・日経平均株価:1万230円(2012/12/25) → 2万118円(2017/7/14) 図表1
・経常利益:48.5兆(2012年度) → 68.2兆(2015年度) 
・有効求人倍率:0.8倍(2012/12)→ 1.49倍(2017/5) 図表2
・失業率:4.5%(2012/1) → 3.0%(2017) 図表3
・大卒就職率:65%(2012/4) → 70%(2015/4)
・15歳〜64歳正社員比率:40%(2013/2) → 42%(2015/7)
・名目雇用者報酬総額:245兆円(2012/10-12) → 255兆円(2015/4-6)
・企業倒産件数:950件/(2013/1) → 742件/(2015/10) 図表4
・設備投資額:66兆円(2012/4-6) → 70兆円(2015/4-6)
・対ドル為替レート:79円(2012年平均) → 119円(2017年平均) 

政権発足から現在において、これだけの確実な実績を残したことはアベノミクスの政策としての正しさを表しています。

ただこれを見てもまだ批判する人もいますので、よくある反論への回答をQ&A形式でで
説明します。

Q1.少子化なので失業率が改善して当たり前だ、しかも民主党政権時代から失業率は改善しているが?


A .確かにアベノミクス以前から失業率は改善トレンドにありました。

しかし民主党時代に失業率が下がった内容を見ると、当時不景気により正社員への道を諦めバイトしている人が就業者にカウントされてしまっている上、年齢的に仕事に就くことを諦めた人々(ディスカレッジドワーカー)も失業率の計算対象外です。

そのため見かけ上失業率が改善していたと考えらます。

そもそも少子化で就業人口が減っているのであれば、就業人口がアベノミクスで増加し続けている事象が説明できません。

これは仕方なく専業主婦していた人や、年齢的に就職を諦めていた人々(ディスカレッジドワーカー)が就職し始めたという解釈が最も妥当なものだと考えます。

有効求人倍率の上昇を考えてもアベノミクスによる景気回復を実感した企業および就業者の行動だと解釈できます。

Q2.一人当たり賃金が下がっているが?

A .定年後男女の就業が増えて、非正規や主婦パートが増えたことにより平均化すると下がって見えるだけです。

むしろこれにより世帯収入は増えています。また大卒新卒の就職率が上がったため、給与の低い層が平均を下げているだけであり中期的には上がってゆくと考えられます。

労働市場の改善については一人当たり賃金ではなく、上記のような報酬総額で見るべきでありこちらは上がっています。

また、デフレ状況から就業人口の伸びが一段落し、人手不足感の出てきた現時点以降に賃金アップが想定されます。

Q3.円安で輸出企業はいいが日本は輸入依存経済であり結果的に悪影響があるのでは?実際に2015年は貿易収支は2.2兆円の赤字だが?

A .経済学者飯田泰之によると、2016年の輸出入の差額である貿易黒字は5.6兆円なので円安の効果はプラスです。

さらに、第一次所得収支は18兆円の黒字です。

これは日本企業、個人が海外に持っている資産からの受取配当金などであり、今や日本は貿易立国ではなく海外に多くの資産を持つ巨大な債権国なのです。

円安効果によって海外通貨建ての資産が円換算した場合に増加します。

したがって貿易収支を過剰に気にする必要はありません。

Q4.金融緩和でハイパーインフレになるのでは?

A .ハイパーインフレは歴史的に見ても極端な供給能力不足の経済において発生します。

第一次大戦後のドイツのように戦争や内乱で国内資源が殆んど破壊し尽くされた状態の経済で起きる経済現象です。

今の日本はむしろ長引く不況で逆に供給能力は過剰だったわけであり、ハイパーインフレが起きることはありえません。

2. アベノミクスの課題

確かに上記のような実績は残しつつも、残る最大の課題はインフレターゲット目標が未達成だということでしょう。

2013年スタートした日銀の黒田総裁、岩田規久男副総裁体制の目標は2015年に2%のインフレターゲット達成でした。

しかしながら1%に満たない水準で留まっており、アベノミクスの最大の課題となっています。

この要因としては、金融緩和がまだ足りないこと、公共投資など財政出動ができていないこと、民主党野田政権が埋め込んだ消費税増税という地雷がアベノミクスの効果を減殺していることなどが挙げられます。

これらの問題は<後編>で詳しく説明します。

                                                (続く)

2017年7月22日 (土) | 固定リンク | コメント (25)

2017年7月21日 (金)

隠蔽疑惑事件 前川氏の防衛省版なのか?

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[追記]
共同の記事に対して、時系列の不整合が指摘されています
ので、冒頭に付け加えておきます。

ソースは河野太郎氏「南スーダンの日報問題」(7月20日)です。(欄外に全文)
http://blogos.com/outline/235601/

河野氏による時系列整理です。

・2016年12月16日・・・防衛省が稲田大臣に日報の破棄を報告
・同日        ・・・稲田大臣が再度調査を指示
・12月26日     ・・・防衛省が日報の存在を確認
・2017年1月27日 ・・・防衛省が稲田大臣に日報の存在を報告
・2月6日      ・・・稲田大臣の指示で日報公開・
・2月15日     ・・・稲田大臣が隠蔽を了承(共同)

となると共同が伝える2月15日に稲田大臣が隠蔽を了承したのは、日報を公開した後に「隠蔽を了承」したことになり、ありえないことになります。

なお当初アップしたM氏に対しての確定的な調子の部分と氏の写真は、不適切ですので削除しました。 申し訳ありませんでした。

                                        ブログ主 

                    ~~~~

今回の事件は一般的なメディアの偏向や、監視社会といったことで見ると見誤ります。

私がこの問題で恐れていることは、防衛省・自衛隊が流出元だということです。

これが文科省ならまだ許せます。獣医学部新設についての内部文書が見つかろうがどうしようが、外国に知られてそう困るわけでもないからです。

今回は安全保障マターです。

この最高幹部による会議録が流出したとすると、日本の自衛隊はいかなる国とも同盟を結ぶことができなくなるでしょう。

内部で知り得た安全保障情報をリークする軍人、ないしは官僚がいる国に情報を渡せば、かならずメディアに漏れるからです。

元空自の情報幹部だった鍛冶俊樹氏はこう述べています。

「こうした内部情報は特定秘密保護法の対象ではないが、幅広い意味で秘密と言うべき性質のものであり、情報公開法の対象でもないのである。
 
 端的に言えば、稲田防衛相を快く思わない陸自が意図的に情報をマスコミに流したのである」

流出元は現時点では判明しませんが、鍛冶氏の推論どおり自衛隊制服組から流出したとかんがえると、ゾッとします。

なぜならそれは、鍛冶氏がいうようにそれは「自衛隊のクーデター」だからです。

私は現時点では鍛冶氏の推測には立ちませんが、そうなった場合自衛隊の信頼は地に落ちます。

自らの意見が通らない、あるいは自らの利害が冒されたからといって、メディアに内部情報を漏らす軍人・官僚がいるなら、彼らの意見が通らないたびに前川氏のような「正義の内部告発者」が誕生することになるからです。

前川氏がそうであったように、高いセキュリティランクの人間による意図的リークは防げません。

なぜならそれは、組織的構造上の問題ではなく、すぐれて属人的なものだからです。 

その人物が刺し違える意識を持って「内部告発」した場合、そうとうに高いレベルの情報も流出します。

前川氏のように事務次官というランクなら、その官庁のトップセキュリティのすべてを知り得る立場にあるわけです。

だからこそ今なお古代から連綿として続くスパイが、インテリジェンスの世界で重用されているのです。

今回の衝撃は、前川氏の防衛省版がいた可能性が高いという一点に収斂されます。

この情報が正しいかどうか分かりませんが、もしそうならこの官庁と違って、国防情報の流出は国家を直ちに危機に陥れます。 

今回は陸幕長、副長、事務次官、省官房長官が列席する会議ですから、信じたくはありませんが、そのいずれかひとり、あるいはそれに陪席していたサポート官僚の誰かが漏らしたたのです。

今回のことが漏れるとすれば、この十数人のうちのひとりです。この流出犯を徹底して見つけ出して厳罰に処さないと、日本の安全保障の根幹が崩れます。

『選択』という情報紙によれば
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170704-00010000-sentaku-pol

「黒幕として「岡部俊哉陸上幕僚長と反目するM防衛部長」(統合幕僚監部関係者)との見方も強まっている。この関係者によれば、M氏は自己顕示欲の塊で、自分たちに都合がいいように事実を歪曲してNHKに垂れ流していた疑いでも特別防衛監察の焦点になっているという」※記事内実名

M陸将補が、防衛相という重責を自覚しているとは思えない稲田氏に激しく反発していたことは容易に想像できます。

また陸自現場にのみ隠蔽責任を被せようとする背広組の圧力に対して、やり場のない怒りを持っていたのも理解できます。
※追記この部分には憶測が混じっています。筆者

この情報が間違っていることを切に祈ります。

それにしても朝日は、安倍憎しのあまり、とんでもないことを官僚たちに教えこんでしまいましたね。

これから官僚たちは自分の利害や思惑と違ったら、そのたびに正義づらしてメディアにリークし、官庁クーデターをすることでしょう。

このような国を法治国家とは呼びません。

朝日はアベを倒したいばっかりに、とんでもないものを引っ張り出してしまったのです。慰安婦問題と一緒の構造です。

それを自覚していますか、朝日新聞さん。 

■お断り M陸将補佐の実名、写真、経歴は削除しました。フライング気味に乗せたことを反省しています。もうしわけありませんでした。(午前11時30分)

■河野太郎氏「南スーダンの日報問題」7月20日

自衛隊の南スーダンの派遣施設隊の日報は、二月六日にはその存在が明らかになっており、機密部分が黒塗りになっているもののすべて公開されている。繰り返すと、「二月六日には日報はすべて公開されている。
だから二月十五日に、防衛省で開かれた会議で、日報を隠蔽することはできないし、公開するかどうかを決めることはできない。
このニュースの中で、NHKにしろ、民放にしろ、二月六日に日報がすべて公表されているということに触れていないのは、視聴者に誤解を与える。
二月十五日の防衛省の会議で問題になることがあるとすれば、陸自で見つかった日報は、個人のものなのか、行政文書なのかという判断だ。
もし、日報がそれまでに見つかっていなかったら、行政文書だろうが、個人のものであろうが、陸自で見つかった文書は干天の慈雨のようなものであり、日報が見つかった、よかった、ということになっただろう。
ただし、もしそれが個人の文書だったら、それが改ざんされていないかということが問題になるだろうが。
しかし、それまでに日報が見つかって公表もされているのだから、問題は陸自で見つかった文書が個人の文書なのか、(その場合、特に問題はない)、行政文書なのか、(この場合、最初に開示請求をされたときに、探し方が足りなかった)ということになる。
個人の文書ならば、それが見つかったことを公表する必要もないだろうが、行政文書ならば、当初の探し方が足らなかったことが明らかになったことを公表する必要がある。
防衛省は、見つかった日報が個人の文書だと考え、特に発表の必要がないと考えた。
しかし、日報に関してはそれまでいろいろとあったわけだから、自分たちで判断するだけではなく、内閣府の公文書課や国立公文書館に、きちんとした判断を仰ぐべきだった。それがこの騒動の本質ではないか。
こうした説明もなく、あたかも日報を隠蔽する決定が行われたかのような報道は、間違っていないか。」

 

 

2017年7月21日 (金) | 固定リンク | コメント (17)

2017年7月20日 (木)

こんどは「稲田隠蔽疑惑再燃」ですか

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じっくり書かねばならないテーマは山積しているのですが、こうも阿呆な光景が続くと猛暑のせいもあって、脳味噌が白茶けてくるようです。 

まずは、昨日朝日・共同などで、蓮舫氏の記者会見を押し退けて一面に踊りだした稲田氏の「隠蔽工作」とやらです。 

事実関係をご承知の方は、朝日・共同の記事は飛ばして「さてさて」からお読みください。

Photo_2ひるおび 7月19日

まずは火元の共同(7月18日)が、全国に配信したものからいきましょう。 

今回は共同の「スクープ」の形で地方紙に流し、それを無検証のまま毎日、東京が掲載し、朝日はおっかけ記事をだしました。

「南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、稲田朋美防衛相が二月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、了承していたことが分かった。複数の政府関係者が十八日、明らかにした。防衛省・自衛隊の組織的隠蔽を容認した形になる」
(中日新聞7月19日)

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2017071902000214.html

この後は、今や報ステに並ぶフェークニュースの発信源となった「ひるおび」までが、蓮舫氏の記者会見などそっちのけにして、大きく「稲田隠蔽」を報じたのは、ご承知のとおりです。 

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ひるおび 7月19日

一方、稲田氏は即刻これを否定しました。

http://www.sankei.com/affairs/news/170720/afr1707200003-n1.html

「『日報を非公表にするとか隠蔽するということを了承したということはない』
稲田氏は19日、防衛省で記者団に対し、自らが「隠蔽」に関与したとの見方を強く否定した。2月15日に「緊急幹部会議」があったとの事実もないとした」(産経7月20日)

さてさて、モリカケで朝日とタッグを組んでいたはずのNHK(7月19日)は同日、それを否定する情報を報じました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170719/k10011065291000.html 

NHKも2月15日に岡部陸幕長と黒江事務次官というトップが出席して、会議を開いたところまでは一緒です。 

その会議では、破棄したとしていた日報のデータが陸上自衛隊司令部のパソコンに保管されていることが報告されたが、この保管データは隊員のPCに入っているものなので、公表は差し控えようということになった、としています。 

この対応自体は、後にこれを政局化しようと思わねば妥当なもので、個人の作成した文書・メモまで「行政文書」と見なすべきかどうかは意見が分かれるところです。 

文科省の例の前川文書(牧野メモ)と一緒で、現場職員のメモまで開示要求されるべきなのか私も迷うところです。 

当時の国会審議では、「戦闘」と日報に書いてあったから戦闘状態の場所にPKOを出していたんだろうと言いたかったわけで、そのツマに日報隠蔽を出してきたわけです。 

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PKO5原則が今やまったく時代遅れのものになっているのは明らかなことで、当時南スーダン首都のゴマジュバでは戦闘が頻発していました。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-6893.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-82c7.html

だから隊員は「戦闘」状態と常識的に判断したわけですが、なにも自衛隊が「戦闘」しているわけではありません。 

PKO5原則が崩壊している地域にPKO部隊を送り込む失敗をした、民主党政権の情勢認識が甘かっただけです。

民進党は稲田氏の更迭を求めていますが、2011年7月に 国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)を出した政権は、他ならぬ当時首相の民進党幹事長・野田佳彦氏です。

毎度のことながら自分のことは棚に上げてよー言うよと思いますが、この平和構築活動は重要なことなので、別稿で詳述します。 

では、この陸幕長・事務次官が出席した会議に稲田大臣が同席していたのでしょうか。 

NHKはこれを否定します。 

「一方、防衛省関係者によりますとこの会議とは別に、同じ2月15日に防衛大臣室で、稲田大臣と黒江事務次官や岡部陸上幕僚長らが会議を開いたということです。この中では陸上自衛隊の情報公開に関して説明が行われ、稲田大臣からは、今回、情報公開請求を受けてから日報を探すまでにどのような対応をとったのかなどについて質問があったということです」 

はい、共同のニュースを種ねあかしすれば、同じに日にふたつ会議があっただけなんですよ。 

NHKによれば、陸幕長・事務次官の会議の後に、大臣も入れた会議をしたのでしょうが、事務方は当然前段の会議の事務方合意に従って大臣に説明し、稲田氏はどのような経緯かあったのかを質問したに止まったようです。

同じく産経(前掲)です。 

「ある省関係者は報道を受けて稲田氏の会議記録を精査したが、該当する会議は見当たらなかったという。自衛隊最高幹部の一人は「(稲田氏は)絶対に承知していない」と否定する。別の幹部も「稲田氏は一貫して情報の公開を指示しており、隠蔽する理由がない」と語る」

NHK・産経と共同・朝日がまったく違うことを報じることとなったわけですが、もう少し情報が欲しいところです。

いずれにしても、防衛省内・前川フォロワーズからのリークでしょう。おそらく統幕の背広組です。

背広組とは防衛省の非制服組のことですが、彼らは官僚支配がシビリアン・コントロールだ勘違いしてきました。

シビリアン・コントロールとは、文民政府が軍をコントロールするという意味であって、軍を官僚が支配することではありません。

しかも背広組の多くは他の省庁からの出向組でした。

ところが、それが安倍政権になってゆっくりと制服組、つまり自衛隊現場組がその専門性が故に重用されるようになってきました。

このことに対して背広組は内心面白くないはずです。今回の「隠蔽」事件も、陸自現場に罪を被せたい背広組と制服組との暗闘があったと想像されます。

仮に隠蔽がほんとうだとすれば、それは「戦闘」と書いてしまうとPKO5原則に反してしまうと危惧したからで、そういう気の利かせ方は背広組特有のものです。

またこの時期を狙ったのは、稲田氏が内閣改造の一番手に登っているために、今リークしておかないと次の防衛相に問題を引き継いでしまうという危機感もあったのかもしれません。

加計と通底するのは、官僚層の揺らごうとしている自らの支配への焦りです。

たぶん似たような問題は、いまのようなメディアがありつづけるかぎり、また起きることでしょう。

いずれにしても隠蔽があったにせよなかったにせよ、官僚が自らの思惑や利害を通すためにこんなリークを繰り返して倒閣運動に加担するようになると、国民の「官」に対する信頼が根底から崩れることになります。

稲田さん、これについても特別防衛監察を実施して下さい。

それにしても勘弁してくださいよ。暑いなんてもんじゃないのに。

 

2017年7月20日 (木) | 固定リンク | コメント (17)

2017年7月19日 (水)

蓮舫氏会見 つくづくこの人は・・・

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昨日の蓮舫氏会見を見ての感想から。 

まずは政治的にどうのこうのはないと思います。与党はこの問題を劣勢回復の起爆剤にする気はありませんし、あればとうに使っています。 

むしろ問題は身内の党内でしょうが、この調子です。

「『今さら戸籍を見せられても関心はないし、どうでもいいことだ』(若手議員)」「『国内に二重国籍者はたくさんいる」(ベテラン議員」「『プライバシー情報は本来は政治がガードすべきものだ。公開がもたらす悪弊のほうが大きい』「『差別や排他主義につながりかねない』(党執行部)」(毎日7月18日)

主要メディアの小さな扱いと党内のこの微温的な空気がある限り、この問題はこれで幕引きでフェードでしょう。 

Photo_5http://www.sankei.com/politics/news/170718/plt1707180036-n1.html

まぁ、党首の次ぎのメはあるわきゃないですが、そもそもあの党に、「次の代表選」自体があるかどうかもわかりませんしね。 

ただひとつ言えるのは、政治家以前の蓮舫氏の人としての資質がたまらない。 

人格うんぬんは品下りになるのですが、この人に限っては政界広しといえどこれほどダブスタがひどい人も珍しいですな。 

テレビを見ていて、ああここの場に座っているのが稲田大臣じゃなくてよかったなと思ったのは私だけでしょうか。 

このケースなら蓮舫氏は、謝罪くらいじゃ許さずに、議員辞職要求くらいはキイキイ叫んだことでしょうからね。 

大方の人は忘れたでしょうが、同性である稲田大臣に対してもっとも口撃をしかけたのは蓮舫氏でした。 

なんと2007年から8年にかけての対談の一コマを取り上げて追及していました。 

まぁ内容はともかく、蓮舫氏そのいたぶり方がすさまじいこと、すさまじいこと。

「稲田氏は『10年前の一議員の発言』『長い対談の一部」と拒んだが、蓮舫氏の追及に、『どうしても読めというので読みます』と朗読。唇をかみ、声が震える場面もあった」(日刊スポーツ2017年1月31日)

防衛大臣に10年前に、女性の働き方についてしゃべったことを、罰ゲームよろしく朗読させて悦にいるわけです。 

まったく稲田氏を評価していない私も、こりゃ度がすぎると思いました。 

たぶんこの人は、自分の中に政治的サディストのバイアスがあることを自覚していないのです。

「政治的人間」という種族は、えてして自分の好悪にすぎない感情を政治的な装いで表現しますが、その意味で蓮舫氏はまことに「政治的」です。

稲田氏が都議選で派手にオーンゴールの決勝点を上げた時の、7月6日の蓮舫氏の発言。

「既遂で違法行為を行った大臣がその発言を訂正した所で違法行為が消える訳じゃない。法律違反をしてる大臣は一刻も早く罷免すべき」

 この発言の「大臣」を「党首」に入れ換えれば、蓮舫氏は昨日の記者会見はそのまま辞任会見となったでしょうな。 

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またこの人は、よせばいいのに子供を言い訳に使いましたが、こんなことも言っていました。 

「民進党の蓮舫代表は11日、東京都内で開かれた「ベストマザー賞」(NPO法人日本マザーズ協会主催)の授賞式にプレゼンターとして出席した。20歳になる双子の男女を育てた蓮舫氏は式後、「(子育てで)一番こだわったのはあいさつ。『ありがとう』『ごめんなさい』をちゃんと言えるように教えてきた」と記者団に振り返った」(産経2017年5月11日)

す、すいません、思わず口元がほころんでしまいました。「ごめんなさいを言える子に育てる」ですか。(爆)

じゃあ蓮舫さん、あなた、母親の教育が悪かったんだねぇ。

さて今回の会見は、戸籍謄本を見せたまでは常識的対応でしょうが、また余計なことを言ってしまっています。 

「手続きを怠っていたことは事実だ。私はずっと日本国籍だと思っていた。疑ってもいなかった」(産経7月18日)
http://www.sankei.com/politics/news/170718/plt1707180036-n1.html

 もちろん見え透いた嘘です。時系列を洗ってみます。 

こ事件は要するに、1985年の国籍法改正に伴って、当時18歳に達していた蓮舫氏が日本と台湾(中華民国)との二重国籍状態を解消する手続きをしていたのかどうかです。 

先日アップした法務省の「国籍選択の流れ」をもう一回見てください。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-3492.html 

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今回適切な重国籍解消の手続きをしていなかったことを認めていながら、「疑ってもいなかった」と言ってしまうサガが哀しい。

というのは、蓮舫氏は、ハーフであることを売りものにしたタレントであり、二重国籍であることを積極的に付加価値にしてきた政治家でもあるからです。

いまやネット言論によって過去の様々な言動がわかってきています。

週刊現代1993年月6日号では、「お母さんは日本人」という問いに答えてこうはっきりと答えています。

「私は二重国籍なんです」

この時点で彼女はとうに成人に達した25歳で、しかも国籍法改正で父系でも母系でも国籍取得できる緩和があったのですが、蓮舫氏そのまま放置していたことになります。

1985年以前の法改正以前だと、父系のみの血統主義でしたから、日本国籍は取得できなかったわけですが、すべての条件が揃っているにもかかわらず、知らんぷりをしていたわけです。

当時彼女はテレビタレントでしたが、同じ1993年にテレ朝のステーションEYEにキャスターとして起用された時の抱負の言葉も残されています。

「在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたい」(1993年3月16日朝日)

続いて1997年29歳の時の発言。

「日本語しか話せないのが自分の中でコンプレックスになっていました。自分の国籍は台湾なんです。父のいた大陸というものを一度この眼で見てみたい」(1997クレア)

2004年に民主党から立候補したときの選挙広報です。これは致命的です。

ちなみにここに虚偽を書くと公職選挙法違反で失職し、公民権停止となる可能性があります。かつて学歴詐称で失職した前例もあります。

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立候補する際に二重国籍を隠すことは可能です。それは戸籍謄本には国籍選択宣言が乗らないからだということは先日お話ししました。

しかしそれが「帰化」という表現までしてしまうと話は別です。「日本国籍を持っている」まではほんとうですが、同時に台湾国籍も持っていたのですから「帰化」はしていません。

すなわち虚偽記載です。

政治家となった後もむしろ得意気に「私は華僑」発言まで飛び出しています。

2010年、中国でのインタビューに答えての発言。

「ずっと台湾・中華民国籍を維持して、双子にも(中国語を)教えている。華僑であることを忘れずに何度も中国を訪れてきた」(中国国内線機内誌『飛越』)

これは逃げようがありませんね。蓮舫氏は意図的に重国籍を維持するメリットが、何かしら存在したのです。

後は、去年さんざん嘘を並べてきました。

2016年9月6日の、疑惑を追及されての発言。

「昭和60年に日本国籍を取得し、台湾籍の放棄を宣言した。台湾籍は有していない」

もうこのくらいでいいでしょう。

蓮舫氏は違法状態を長期間知っており、それを修正することなく放置してきました。

それによるなんらかのメリットがあったのだと考えられます。それがいかなるものなのかは、もう少し蓮舫氏に語ってもらわねばなりません。

まぁ、他人の10年前の雑誌の対談の一節を切り取って、口を究めて口撃した蓮舫氏のことですから、よもや忘れたとは言わないでしょう。

稲田さん、大臣辞めて、このことが国会審議の俎上に乗ったら、ぜひ蓮舫氏の発言録を朗読させて下さい。そのくらいやられてもバチはあたりませんからね。

2017年7月19日 (水) | 固定リンク | コメント (20)

2017年7月18日 (火)

蓮舫氏 重国籍問題雑感

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昨日のコメントに、官邸に統一協会が来たからどーたらという書き込みがありました。 

ひとことでいえば、だからどうしたとしか答えようがありません。 

おそらくこのような人たちは、安倍政権の裏に統一協会や日本会議がうごめていて、陰謀を巡らしているに違いがないと考えているのでしょうね。 

このような「○○の陰に○○あり」みたいな発想は、大はイングドールの『ロックフェラーの完全支配』から、小は菅野完氏の『日本会議の研究』までゲップが出るほどあって、一大ジャンルを成しています。 

思えば森友も加計も、ある種の陰謀論かもしれません。

朝日は決定的な証拠を提示できず、「首相の関与の疑いは晴れない」的な記事を今日も書きまくっています。 

肝心のネタ元の前川氏からして、参考人招致での発言は「~だと思う」という推測に終始しました。

なんのこたぁない、証拠はない、違法性も見つからない、「忖度」の気配もない。あるのは、ただ牧野課長補佐が「あたしはそう思った」という空想メモがあっただけです。

こんな空想メモを唯一の物証にして、朝日と野党は空想(というより妄想か)と「アベが背後で悪いことをしていて欲しい」という願望でキャンペーンを張っていたにすぎません。 

ところでこの人たちにかかると、蓮舫氏が今日あたりに公表すると言っている重国籍問題も、なにか政府の陰謀によって彼女が追い落されたように見えるのかもしれません。 

私は陰謀論に頼っていると薄っぺらになっちゃうよ、と忠告するだけです。社会を動かす力学は、そんなに単純ではありません。 

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私は今回の蓮舫氏の問題については冷やかです。特に熱くはなりませんが、見逃す気にもならないというかんじでしょうか。

こんなレベルの政治家の人気にすがって代表に祭上げた民進党を、気の毒に思うくらいです。 

要は、蓮舫氏が国籍選択宣言が記載された戸籍謄本を国民に開示し、国籍選択宣言日を明らかにすればいいだけの話です。 

これはこのコメント氏が言うような民主党がどうのという政局的なことなどどうでもいいことで、蓮舫氏が目指すと言っている共生社会、多元文化社会の実現のために必要不可欠だからです。 

私は今のヨーロッパの惨状を見ると多元文化社会に対してはなはだ懐疑的ですが、多元文化主義者の朝日や東京などのメディアが「世界の趨勢」とまで言っています。

半分は正しいでしょう。外国で誕生したりして出生国の国籍を持つ子供も多くなるはずです。

だから血統主義のわが国も1985年の法改正で父系、母系いずれにおいても、望めば日本国籍を取れるように改正したわけです。

そしてブラジルや台湾のように国籍離脱が難しい国もあるでしょうから、「努力義務」という言い方でセーフティネットをかけているのです。

しかし、蓮舫氏はそれすら怠って、国会議員選挙に出てしまい、なおかつ「日本国籍です」という嘘を言ってしまったから、問題視されたのです。

嘘がいちばんよくありません。

やるなら、「なぜ重国籍ではいけないのでしょうか」と反問し、その意義を明確に示せばよかったのです。

その上で、蓮舫氏が理念とする多元文化社会にするに当たって、どのようなルールが必要なのか、あるいはそもそもルールなどいらないのかをハッキリさせる議論をしましょうと言えば傷は浅かったどころか、この事件がポジティブなものになったのです。 

私は国民の主権を執行する国会議員の資格に重国籍は問われないとするというのも、賛成しかねますが、それはひとつの主張だと思っています。 

やりようによっては、日本において、国民主権に外国人、ないしは重国籍者をどのていどまで関与できる幅を与えていいのか、いけないのかというより本質的議論になり得たのではないかと思います。 

蓮舫氏は批判者をレイシストとまで罵りながら肝心なこの議論を回避したいようで、言を左右して、あるだのないだの、あっただのなかっただのという言い訳を1年間もし続けました。

アホかと思います。ほかにやりようはあったのに。

余談ですが、このひとの罵り文句は汚いですね。

岡田前代表は「つまらない男」、安倍氏には「同じ空気を吸いたくない」だもんな。痴話ゲンカかつうの。

家庭内でペット以下といわれている村田さんは、いつもコンナこと言われているんでしょうね。

言葉を選ぶ能力かない人は、政治家やっちゃダメです。

それはさておき、むしろこれは彼女の人格特性なのでしょうか、批判を受けるとハリネズミのようになって、首相のプライバシー交遊関係を厳しく批判して政局にしようとしました。

そういうことをすれば、天に唾する結果となるのは必定です。そういう政治の機微が、わかってないんだなぁ、この人は。

正義は常に自分だけで、批判できるのもまた自分だけだと思っているようです。

正義病に罹りやすい人たちによくある症状で、好き放題バッシングしながら、いったん反論されようもんなら「もの言えぬ雰囲気」なんていいだすわけです。

戸籍謄本を開示した上で、私は重国籍であるが、国会議員の資格には重国籍は問われるべきではないと明確に言えばいいだけの話です。

その上で、自分の理念の多文化主義を語ればいいのです。

それをやってからにしようね、蓮舫さん。

 

2017年7月18日 (火) | 固定リンク | コメント (8)

2017年7月17日 (月)

なぜ蓮舫氏はヌエ的に見えるのだろうか?

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蓮舫氏がヌエ的存在に見えるのは、日本-中国-台湾のいずれから見ても、「自国籍があるように見えてしまう」ことです。

ヌエ(鵺)とは、「平家物語」にでてくる妖怪で、サルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビだそうです。

タヌキの胴体にトラの手足つけてどうするんだと思いますが、2016年9月13日に蓮舫氏の発言です。

Photo鵺(ぬえ)

「1972年以降、私の国籍は形式上『中国』。中国の国内法では外国籍を取得した者は自動的に(中国籍を)喪失をしているので、二重国籍にはならない」

この場合の「中国」は中華人民共和国なことは明らかです。

中国しか外国籍取得と同時に自動的に国籍放棄になる法律を持つ国はないからですが、これでは彼女は自分が「中国人」といっていることになります。

この人の場合、顔は国籍不明、胴は台湾、手足は中華、尻尾が日本ですかね。

ではこの1972年という年はどのような意味でしょうか。それはたぶん1972年が日本と中華民国が断交した年だから、自分は「中国籍」だと言いたいようです。 

この人がわかって言っているなら危険、わかっていないのなら愚かです。 

日本の国籍で台湾出身者が「中国」と表記されるようになったのは、1972年以降ではありません。 

1952年(昭和27年)4月28日、つまり日本が戦後主権を回復した時から一貫しています。 

この日、日本は中華民国と「日華平和条約」に署名し、この7時間半後にサンフランシスコ講和条約が発効しました。 

同時に日本は、「外国人登録令」(昭和22年公布・施行)を廃止して、「外国人登録法」を制定し、台湾出身者を中華民国(中国)の国民とみなして国籍を「中国」と表記するようになったのです。 

1969年6月以降は、中華人民共和国出身者も同じく「中国」と表記されるようになり、現在に至っています。 

つまりこの場合の「中国」とは、必ずしも中華人民共和国を指しませんし、1972年の断交の年はこの問題とはなんの関係もないことなのです。 

あえて日本政府が「中国」と記しているのは、中国と台湾との関係で日本政府が取り続けている「あいまいな態度」があるからです。 

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日本政府は中華人民共和国と国交を樹立するにあたって、台湾が中国の一部だとする中国の主張を「尊重した」という微妙な表現をとりました。 

これは台湾を中国領土だと認めたわけではなく、そういう主張を中華人民共和国側がしているのを日本政府は「十分尊重している」(共同宣言)ていどの意味です。

実はこれでも中国に譲歩しすぎで、カナダのように「テーク・ノート(留意)する」、あるいはオーストラリアの「アクノレッジ(認識)する」程度の表現でよかったのです。

ここから、あたかも日本は「台湾は中国の一部」という中国の主張をすでに承認したかのような錯覚が日本国民の間で生れてしまいました。田中角栄の拙速による失敗です。 

ただし、「留意する」も外交的にはよく使われる表現で、相手の立場に同意はしないが、その立場だということは理解しているていどのニュアンスで止まっています。 

日本政府とて決して台湾を中国領土と認めたわけではないよ、漠然と「中国」と呼ぶことでその意志を表明しているんだ、というのがこの「中国」に込められた意味です。

それほどデリケートなガラス細工の関係があることを、どうやら蓮舫氏は知らないようで、彼女にかかると「中国」=中華人民共和国となってしまいます。やれやれ、困ったお人だ。

我が身かわいさのあまり、「中国」表記=中華人民共和国だと国民に説明してしまったわけで、この蓮舫氏の言い分が正しければ、現在の台湾(中華民国)は「中華人民共和国台湾省」という行政区となってしまいます。

したがって蓮舫氏の論法ならば、 中国軍(中国人民解放軍)の台湾侵攻は、中国の正統な領土への進駐にすぎないことになります。

このようにこの蓮舫発言は、在留台湾人の地位を貶めて危機にさらし、さらには日中台の微妙な含みを残したバランスを崩す結果となったのです。

蓮舫が台湾籍を持ちながら、共産中国との統一を望む統一派と同じ立場だと言われるのはそれ故です。

その彼女が、台湾民進党の名前をパクったのは、皮肉というか図々しいというか。

ところで、蓮舫氏の血脈を調べて分かったことは、彼女の祖母にあたる陳杏村という女傑は、魔都と呼ばれた戦前、戦中の上海を舞台にして、日本軍特務機関、蒋介石のテロ組織である青幇、あるいは中国共産党の特務をてんびんにかけて巨富を築いた人物だということです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-9e33.html 

陳杏村は阿片取引などで巨富を築き、これを元種にして戦後日本の政界工作をすることになります。 

これが戦後政界を揺るがせた「台湾黒いバナナ事件」です。 

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  父親の謝哲信と幼年期の蓮舫

この時に、日本政界工作に巨額の黒い資金をばらまく役割をしたのが、蓮舫氏の父親である陳杏村の息子・謝哲信でした。 

後に成人した蓮舫氏は、高野孟氏という中国派ジャーナリストの手引きで北京大学に留学します。 

蓮舫氏という人は、「国家」という存在そのものを根本的に理解できていないと思います。 

それは祖母や父親から受け継いだ、しょせん「国家」などは自分のために利用するものであって、帰属は上っ面だけでいいという考え方が、孫・蓮舫氏の中にも根強く存在するからです。

なるほど彼女は自分で言うように、「多様性の象徴」ではあることに間違いないでしょう。 

ただしそれは、今回の二重国籍事件で明らかになったように、極めて利己的な意味において、ですが。

さらに地域を選択する

 

 

 

2017年7月17日 (月) | 固定リンク | コメント (12)

2017年7月16日 (日)

戸籍謄本を開示せねば問題が終わらないわけ

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蓮舫氏と同じく二重国籍問題で、素早い戸籍謄本の開示をした小野田紀美議員のツイッターが大変に参考になります。 

私もお恥ずかしいのですが、認識が不足している部分が小野田議員の説明で理解できました。 

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この蓮舫氏は、安倍氏のプライバシーに属する交遊関係や配偶者については、ことのほか熱心に追及していましたが、みずからの戸籍問題となると、ご承知のようにダッチロールを繰り返したあげく、とうとうこんなことを言い出しました。 

蓮舫氏の7月13日の発言です。
https://thepage.jp/detail/20170713-00000004-wordleaf?utm_expid=90592221-74.59YB6KxJS6-oVPGhgabD7Q.0&utm_referrer=https%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20170713-00000004-wordleaf

「差別主義者やレイシストの方たちの声に私は屈しないし、世の中一般的に絶対にあってはいけない」(Jcast7月13日) 

「戸籍に関する公表は「個人のプライバシーに属するもの。差別主義者に言われて公開することは絶対あってはならない」と言明した。その上で、自らは野党第一党の代表で公人であることから「極めてレアケース」だと前置きし、戸籍そのものではないが「すでに台湾の籍を有していないことが分かる部分をお伝えする準備がある」と述べた。」(the PAGE 7月13日))

まるでレイシストに差別にあった受難者のようです(苦笑)。

レイシストという用語は、欧米においては最大級の反社会的非難ですから、わかって使っているんだろうかと思いますが、きょうは置きます。 

と、ここまでは既報でしたが、私が見落としていた部分がありました。それが、「すでに台湾の籍を有していないことが分かる部分」という箇所の重要性です。 

Photo小野田紀美氏 

小野田紀美議員がなぜ戸籍謄本の開示をしたのか、こう説明しています。https://mobile.twitter.com/onoda_kimi?p=s 

「つまり、国籍法に違反していないことを証明できるのは、国籍の選択日が記載されている戸籍謄本のみです。ルーツや差別の話なんか誰もしていない。公職選挙法および国籍法に違反しているかどうか、犯罪を犯しているかどうかの話をしています。日本人かそうでないかの話ではない。合法か違法かの話です」 (2014年7月14日)

国籍法は複雑なので、その立場になった人でないとなかなかうまく説明できないものですが小野田氏は的確に説明しています。

「外国籍喪失(離脱)の証明は、国籍法16条の“努力義務”を行ったかどうかの証明にしかなりません。私も米国籍喪失書類をお示ししましたがこれはあくまで補足です。国籍法14条の“義務”である日本国籍の選択を行ったかどうかは戸籍謄本にしか記載されません 」(同)

蓮舫氏が、7月18日の説明で、「戸籍そのものではないが、すでに台湾の籍を有していないことが分かる部分をお伝えする」といったのは、小野田氏の場合、米国籍喪失書類を指します。 

しかし、元の国籍離脱書類だけでは充分ではないのです。たしかに「日本国籍の選択をしました」という宣言がないからです。 

小野田氏自身にも錯覚があったと正直に述べています。

「私が自分自身について「日本に来てからアメリカと何も関わってないし自動的に日本国籍選択扱いにしてくれたんだろうな」と勘違いをしてしまった理由の一つがここにあります。私の戸籍謄本には米国籍所持などと一切書かれていなかったのです。つまり、選管も重国籍者を見抜けない。とんでもない事です。」

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小野田氏は、日本に来て米国とは関係なくなったので、「自動的に日本国籍選択扱いになっている」と錯覚したわけですが、ちゃうねん、それでは重国籍者のままなのです。 

国籍法ではではこうなっています。 

Photo_3※法務省 国籍の選択について  moj.go.jp/MINJI/minji06 

上の法務省の図の右側「日本国籍を選択する方」のフローのいちばん下をご覧ください。 

「外国籍を喪失していない場合は、外国籍の離脱の努力」(国籍法16条1項)が必要だと書いてありますね。 

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これが上の写真は小野田氏の戸籍謄本ですが、下から3行目に「国籍選択の宣言日」という項があって、平成27年10月1日とあるのが小野田氏の「国籍選択宣言日」です。 

お分かりでしょうか、蓮舫氏が「すでに台湾の籍を有していないことが分かる部分」と言っているのは、上の法務省のフロー図の2段目にある「2-1外国離脱」(国籍法14条2項前半)のことにすぎないわけです。 

蓮舫氏は当初(好意的に考えれば)、小野田氏と同じ錯覚をしていたのかもしれません。 

「自動的に重国籍は解消されて、日本国籍となっているはず」という思い込みがあったのかもしれません。 

ではないのですよ。「国籍選択宣言」(国籍法第14条2項後半)を行わねばならないのです。 

ここで蓮舫氏は大問題に遭遇したはずです。台湾は世界でもブラジルに並んで簡単に国籍離脱を認めない国だからです。 

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上の写真のように、台湾外交部(外務省)での審査が膠着していたと考えられます。

これがグダグダ引きずっていた原因です。これを見せるといっている以上、台湾国籍離脱は終了したのかもしれませんが、見るまでなんとも言えません。

小野田氏の説明です。

「ちなみに国籍法14条と16条の差について。 日本は二重国籍を禁止しているのに、なぜ「日本国籍の選択」は義務で「外国籍離脱」が努力義務にとどまるのか。それは、国籍離脱を認めない国があり(ブラジル等)外国籍離脱が法的に叶わない場合があるから。「日本国籍選択」は役所ですぐできます 」

いずれにしても、その後の「国籍選択宣言」までやり終えなければ、蓮舫氏は重国籍のままなのです。

これがなされたかどうか、その義務を果たしたのかどうかを知るには、蓮舫氏は戸籍謄本を開示せねばなりません。

戸籍謄本にしっかりと「国籍選択宣言日」があり、それがいつなのかを公人として明確にせねばなりません。

蓮舫氏か言うように、「2016年10月7日に国籍選択した」のなら、それで問題解決です。

ならば、去年の10月に見せればいいだけでした。

なぜそれをせずに、ここまで煮詰まっているのに、戸籍謄本を開示せずに、「台湾籍離脱の部分だけ見せます」というのは不思議としかいいようがありません。

最後に小野田氏は重要な提起をしています。 

「国籍について。 戸籍謄本を選管に提出して立候補OKが出てるのなら問題ないのだろうとお思いの方。それは違います。戸籍謄本には【重国籍者であることが分かる表記が何もありません】。国籍選択の義務を果たして初めて重国籍であった事が表記されます。スパイを送り込み放題の仕様になっています」(同)

そうか、この意図的に某国が国会議員にスパイを送り込み、本国の遠隔操作の下でその国の利益のために動かすという可能性をうっかり私は忘れていました。

某国の間諜(死語)が外国籍を持った重国籍者であっても、選管はチェック機能を持ちませんから国会議員になり、ゆくゆくは大臣や首相職にも就くことが、現行制度下では可能だということになります。

現に蓮舫は、かつての民主党政権下で閣僚にまで就任しています。

蓮舫氏は「多様性」うんぬんと言っているようですが、それならば自らが重国籍者だということを有権者に明らかにしてから選挙に出るべきなのです。

ひとたび違法性が問われかねない重国籍問題が発生すれば、「多様性」というキレイな言葉で飾り、批判者に向けては「レイシスト」「差別主義者」という最大限の侮辱を加えてはばからない・・・、ため息が出るくらいの自己肯定のすさまじさです。

とまれ、この重国籍問題は選挙法の盲点です。

蓮舫氏は故意か否かわかりませんが、この選挙法の盲点をくぐって首相になりえる立場になったことはたしかです。 

これを意図的にしたのなら、国民への背信行為とみられてもいたしかたがありません。

2017年7月16日 (日) | 固定リンク | コメント (11)

日曜写真館  朝露の蓮

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2017年7月16日 (日) 写真館 | 固定リンク | コメント (0)

2017年7月15日 (土)

中国爆撃機編隊 宮古海峡上空通過 「馴れれば済む話だ」

Photo_2防衛省 今回と同型のH6爆撃機


またもや中国爆撃機が宮古海峡を編隊で通過したので、クリップしておきます。

 

中国軍は大変に分かりやすくこの宮古海峡通過を説明しています。

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「宜野湾」さんのコメントにがっくりきててしまいました。
なんですと、EEZに侵入した中国漁船を沈めろだって、馬鹿か。
それをしたらいちばん喜ぶのは他ならぬチャイナですよ。
相手の愚かさは笑うことはできても、こちらのそれは凍ります。

今どんな時期にあたっているのか少し考えてみるがいいと思います。
今、中国が仕掛けているのは、

ちなみに今回は侵入していませんが、領空には領海と違って無害通航権はありませんので、侵入すれば直進しようがしまいがアウトです。

 

中国側コメントは、なかなか刺激的です。

「中国国防省の任国強報道官は14日、中国軍機による13日の宮古海峡上空の飛行について「関係各国は大騒ぎしたり、深読みしたりする必要はない。慣れれば済む話だ」

 

中国は宮古海峡は中国海軍・空軍が太平洋に出るための大通りだ、文句あるのか、お前らが慣れよ、と言っているわけです。

 

日本には中国の軍事的脅威に「馴れる」ための最良の装置があります。

 

首相のどーでもいい交友関係は根掘り葉掘りするくせに、加戸前愛媛県知事の証言は一行も伝えない事実切り捨ての主要メディアです。

 

                     ~~~~~~

■中国機の東シナ海における飛行について
29. 7.13
統合幕僚監部
1 期日
平成29年7月13日(木)
2 国籍等
中国H-6爆撃機6機

4 自衛隊の対応
戦闘機を緊急発進させる等して対応した。
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2017/press_pdf/p20170713_01.pdf

 

■「中国国防省の任国強報道官は14日、中国軍機による13日の宮古海峡上空の飛行について「関係各国は大騒ぎしたり、深読みしたりする必要はない。慣れれば済む話だ」とのコメントを発表した。
 日本の防衛省は13日、中国軍のH6爆撃機6機が沖縄本島と宮古島の間の公海上空を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したと発表していた。領空侵犯はなかったという。
 任氏は今回の飛行について「定例の訓練だ。宮古海峡上空での飛行活動は合法で正当なものだ」と主張。「中国軍は今後も任務の求めに応じて同様の遠海訓練を続ける」と強調した。」(2017年7月14日産経)

 

 

 

 

 

2017年7月15日 (土) | 固定リンク | コメント (1)

山路敬介氏寄稿 「奥茂治氏の人間と行動」  皆様の意見もふくめ「感想戦」で

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山路氏の奥茂治氏がコメントを寄せられましたので掲載いたします。


           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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■「奥茂治氏の人間と行動」  皆様の意見もふくめ「感想戦」で
                                           山路敬介

 
 ブログ主様のお誘いあって、とびつくようにすぐに記事を書く事を引き受けた理由は皆様に知って頂きたい強い思いのほか、今の保守論壇のぬぐい去れない脆弱性みたいなものに我慢出来ない思いもあったからです。

 私には、奥茂治氏の逮捕があってからしばらくの間、並み居る保守系知識人たちは「だんまり」を決め込んでいるようにみえ、中には率直に言って「それはねーだろ?」と言いたくなるような、かつて奥氏に散々世話になった人もいるワケです。

 その意味は、コメント欄でも度々指摘されておりましたように、先回りして奥氏の行為の「違法性」を考慮したもののようで、擁護する事による自身への批判を回避したい旨にしか思えなかったのです。

 しかしことさら「擁護」などしないまでも、「取り上げもしない」というのはどういう了見かと思い、彼らにはせめて奥氏の考えや人間性・事件の概要を伝える義務があったのではないか、という思いが強くわだかまってなりませんでした。

 産経新聞や夕刊フジ、世界日報などではもちろん報じられはしましたが、取り上げたジャーナリストとしては大高氏以外、櫻井氏がかなり時間がたって「ほんの少し」。

 知識人としては篠原章氏くらいなものです。 他に三浦小太郎氏も独自の視点から行動してくれているようでもあります。

 ところで、篠原章氏は保守派ではありません。
 けれども、その沖縄研究は政治状況や経済界の最深部に及びにつれ、そうなれば結局「奥茂治」に突き当たるのは必然だったと思います。

 ゆえに、南西諸島防衛に関するに限らず、県政財界に多大な影響力を持つ「奥茂治氏」の今回の事件は重大なトピックであると判断もし、これを論述することや積極的に取材する事は特に沖縄県人にとって「重大な公益性」を有している事は疑いない事実だから、批判もあろう事も甘んじて引き受けて「書いた」ものでしょう。

 大学先生が一番ジャーナリステックであるというのも驚きですが、であるのに「保守派論壇」ってのは一体なんなのか。いつからそんなに商売上手になったのか。 「風を食って逃げ出した」としか考えられなかったのです。

 
 奥氏の行動はふゆみさんがおっしゃるように、「海外の慰安婦像の隣にある説明版に変更を加える効果はない」とはそのとおりで、いつも痛いところを突かれます。(笑)

 つまり、(海外の慰安婦像に対する効果かどうか別にして)「奥氏の行動」と「期待されるべき効果」の間にはまだ距離がある、「それだけでは足りない」って事なんですね。

 それを効果的なものにするには昨日しゅりんちゅさんがコメントしたように、「朝日新聞が社運を懸けて自らが生み出した溝を少しでも浅くなるよう両国関係の軌道修正を促す活動」をさせるべきなのですよ。

 そのような働きかけを強力にする事にこそ、保守系知識人だとか論壇人の役割や存在価値があるのだと思うし、それは奥氏も望むところだと確信します。

 日韓友好の「橋」は本来二本かけられているべきで、すでにある一本は左派がかけた「腐った橋」ですよ。 

 かつて存在したにしろ、保守派のもう一本の「橋」はなくなったのだと思うのです。

 保守系日本人から見れば、韓国の保守派であっても左派と同じくその「歴史認識」に疑義がみられ同様同質に見がちですが、韓国国民というのも全部が全部歴史意識が強い人たちばかりじゃありません。 歴史を唱えて食っていけるわけではありませんから。

 地域差も相当あるし、一般人と(右左問わず)政治的リーダーとの間の価値観の違いは日本の比じゃありません。

 そういうところも見て、日本の保守派のリーダーは今回の機会を逃さずに「やるべき事をやる」べきなのだと思うのです。


 ところで、寄稿第一回目の冒頭のコメントで改憲派さんが、本ブログで取り上げる事自体に疑義を提し、「テロリスト」なる言まで用いましたが、上述どおり取り上げる意義は十分に存在し、いまだ起訴前であるにもかかわらず「テロリスト」なる表現をされた事は残念でなりません。

 一心に日本の防衛と沖縄の健全な発展のために、私心なく行動されてきた奥氏を思うと、非常に悔しい思いもありました。

 昨日のブログ主様の記事の通り、「テロリスト」なる理解は誤ったものである事は明らかです。
> これに法的な面から付け加えるならば、奥氏の逮捕理由はあくまで「公共物損壊」か、その類の容疑からのものにすぎません。

 韓国には既に「テロ防止法」がありまして、テロ危険人物として逮捕されたわけではないのです。

 私たちは人の行動や言説というものを評価する場合、その人の前科や前歴も判断の前提とするものだと思います。
 しかし、同時に「それのみ」であろうはずもありません。
 前川前次官が「女性の時間を金銭で買う」破廉恥漢だっととしても、私たちはその言うところを聞く事もします。

 山城博治はどうしようもないウソつきの卑劣漢になり下がりましたが、それは最近の事で、私など三年前までの山城を今でも懐かしみ、それまでは「いい男であった」と分別評価もします。

 奥氏の行為の違法性(しかも、それは確定されたものではありません)ゆえに、その評価を入口で固定し、それ以上考えたり知る事の意義も否定して「切って捨てる」事は人それぞれの自由です。

 ですが、それなら本質的な問題には永久にたどり着くことなど到底出来ないおそれもあるし、その先を見通すこともさらに出来ないでしょう。
 以上、乱文にて思いつくままの「感想戦」でした。

2017年7月15日 (土) | 固定リンク | コメント (4)

2017年7月14日 (金)

蓮舫氏、戸籍公開要求はレイシスト

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きょうも二本立てです。

蓮舫氏が戸籍を公開するそうですが、なかなか渋い言い草を言っておられるようです。

「多様性を否定するものでなく、わが党の仲間が私をどうのこうの、というものでもない。私は多様性の象徴だと思っている。その部分では共生社会を作りたいと民進党の理念には一点の曇りもない。ただ、そこに対して、若干の曇りが私自身の二転三転した説明にあるという疑念がなお残っているのであれば、それは明確にさせていただきたい。そのことに尽きる」
「差別主義者やレイシストの方たちの声に私は屈しないし、世の中一般的に絶対にあってはいけない」Jcast7月13日)

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12144-303212/

どうもこの人は、問題をたくみにそらす悪い癖がありますね。戸籍開示要求はレイシストだそうです。

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二重国籍(三重国籍という説さえ出てきましたが)だから国会議員になるな、と批判されているわけでもなく、ましてや台湾人を父親に持つから人種差別してやるなんて言っていません。

私は二重国籍や帰化人が国会議員になるのは、なんの問題もないと思っています。

帰化して素晴らしい日本人として生きている人は一杯いますし、血統は日本人でもどうしようもない反日活動家も大勢いますからね。

ただ、問題は本気で日本と向き合う気があるんですか、あなたには愛国心があるのですかという点です。

だから、国籍問題を言われるです。

あなたが泡沫政党党首だったら何も言われません。ただ総理になる可能性がある野党第1党だから問題となったのです。

総理職だけは二重では困ります。なぜなら、その国と最悪の外交関係(つまり端的に戦争状態ですが)になった場合、又裂きになるような人には任せられないからです。

おそらく蓮舫氏は、去年秋の台湾籍離脱証明書、ないしは離脱申請書を提出すると思います。たぶん後者だと推測されます。

というのは現時点では、下写真のように「外交部で審査中」の状況だからです。

Photo_22017年Jul11日 22:57

台湾はブラジルに並んで、国籍離脱に厳しいことで知られています。

また、仮に台湾国籍が離脱できているとしても、台湾を日本は国家として承認していない以上、日本政府はそれを受理することはできません。

それを報じる産経(2016年10月16日)です。http://www.sankei.com/politics/news/161015/plt1610150010-n1.html

「蓮舫氏は9月23日に台湾当局から台湾籍の離脱証明書を受け取り、区役所に提出。一方で、国籍法で義務づけられた日本国籍の選択宣言をした時期への言及は避けていた。
 国籍法14条は日本国籍の選択について、外国籍の離脱によるほか、戸籍法に従い、日本国籍を選択し、外国籍放棄の宣言をすることによると定めている」

で、彼女はどうしたのかと言えば

「不受理なのでどうすればいいかと(区役所に)相談したら、強く(日本国籍の)選択の宣言をするよう行政指導されたので選択宣言をした」(同)
「国籍法14条は日本国籍の選択について、外国籍の離脱によるほか、戸籍法に従い、日本国籍を選択し、外国籍放棄の宣言をすることによると定めている。
 日本政府は台湾を正式な政府として認めておらず、金田勝年法相は14日の記者会見で、一般論として「台湾当局が発行した外国国籍喪失届(国籍喪失許可証)は受理していない」と説明していた」(同)

う~ん、おそらく蓮舫氏は、戸籍開示に当たってこの「区役所に不受理にされた」という部分を強調すると思います。
※法務省 国籍の選択について  moj.go.jp/MINJI/minji06

彼女なら言わなくても、このていどは内心考えていそう。

「あたしは台湾籍を放棄したと証明(or申請)しているのに、日本政府はなによ、受理しないですって。あたしがいけないんじゃないのよ。不受理の政府が差別するのよ」。

しかし日本は外交政策上、台湾を承認していないのですから致し方ありません。

気の毒ですが、彼女の二重国籍状態は固定化されていると考えたほうがよいでしょう。

別にそれ自体はこの人の責任ではないので、それを最初から明らかにして説明しておけばよかっただけのことなのです。

安倍氏には、「明らかにしろ。逃げるのか。説明責任を果たせぇ」と言い募り、自分に不利なことには二転三転してやり過ごそうとする、こういう体質だから逃げきれずに最後は「あたしを追い詰める奴は、みんなレイシストだぁ」ということになるのです。

レイシストどころか、この二重国籍をよく知っていて黙っていた政府の紳士的な対応に感謝すべきです。

今回の開示も、お膝元の党内が騒ぎ立ててのことだということを、お忘れにならないように。

2017年7月14日 (金) | 固定リンク | コメント (13)

朝日の罪

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2014年6月24日の記事を再度掲載します。 昨日、コメント欄にあったように、この慰安婦問題の元凶はいうまでもなく朝日新聞という私企業です。

この報道企業がありもしない「従軍慰安婦強制連行説」をデッチ上げ、それを社是として延々約30年間に渡ってキャンペーンを続けたために、嘘が事実として固定化されてしまいました。

先日来取り上げている奥茂治氏が、なぜ「たったひとりの歴史戦」を戦わざるをえなくなったのかといえば、ひとえに吉田清治という詐話師を「良心の告発者」として祭り上げ、自作自演した朝日にあります。

朝日は当時、一国の官房長官談話に執拗に介入し、圧力をかけ、最後には全面降伏を強いました。

朝日はよく勘違いされていますが、報道機関ではなく「政党」なのです。しかも共産党以上にぶっ飛んだ。

本来、この謝罪碑を張り替えるのは当然で、世界の主要紙に自社が流したフェークニュースの謝罪広告を打つべきなのですが、朝日はそうするどころかあいもかわらずだんまりを続けています。

このフェークニュースの作り方は朝日の伝統芸、慰安婦問題の吉田に相当するのは、今回の加計事件の前川氏に当たります。

おそらく今回の前川告発もかつての吉田のように、一定の時間が経過すれば様々な検証が入って、前川告発がいかにいかがわしいものだったかが暴露されることでしょうが、生憎その時には朝日が作った政局は終了してしまっているでしょう。

ただし、吉田の時はネット言論不在でしたが、今は瞬時に嘘がネットで検証されて拡散していくので、案外時間はかからないかもしれませんが。

とまれ朝日と毎日、NHKは、加戸前知事の証言を完全スルーしたことで墓穴を掘りました。

さて、この記事は、政府が公表した「河野談話検討報告書を読む」シリーズの一回として書かれたものので、いちばんまとまって慰安婦問題の流れがご理解いただけると思います。 

今回再録したのは、朝日新聞が強く政局のみならず日韓関係に影響をおよぼした部分の回です。 

朝日は今回の加計事件のように、火のないところに煙を立てて政局化し、政治を支配しようとします。 

とりわけ慰安婦問題が悪質なのは、靖国参拝問題などと同じ手口で、外国政府を利用して政局化したことです。 

この方法を使ってしまうと、問題は国内政治のみならず、外交関係を直撃します。

朝日はなんどとなくこの「御注進」をしつづけ、日本が永遠に中韓の従順なシモベでいることを運命づけようとしました。 

結果、とうとう韓国にムン・ジェインという反日モンスターを生み出す有り様となりました。

ここまでくれば、もう朝日がどうのこうのというレベルではなく、政治力学の自律的運動で動くことになります。 

この「河野談話検討報告書を読む」シリーズは全8回で、政府が公表した検証報告書を一行一行読み込んでいったものです。 
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-60e7.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-68c6.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-2deb.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-97a2.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-b2c9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-628f.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e5a8.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-09c8.html

また朝日が当時出した社説を批判したものとしては
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-bf9b.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-4438.html

なぜ朝日が32年間も嘘だと知りつつ封印したのかについては
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-56b8.html 

植村隆元記者についても相当量書いています。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-0aec.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-d4d9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-c2a3.html

クマラスワミ報告については
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-51a9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-2adf.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-d3cf.html

※すいません。タイトルが決まらなくて・・・。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

報告書の前半は、いわゆる「従軍」問題を巡る日韓間のやりとりの経緯に割かれています。

これは1992年1月に予定されていた宮沢首相(当時)の訪韓を前に、問題が韓国国内で火を吹いていたからです。

「1991年8月14日に韓国で元が最初に名乗り出た後、同年12月6日には韓国の元3人が東京地裁に提訴した。1992年1月に宮沢総理の訪韓が予定される中、韓国における問題への関心および対日批判の高まりを受け、日韓外交当局は同問題が総理訪韓の際に懸案化することを懸念していた」

宮沢総理訪韓前に、これにさらに火を注ぐような衝撃的な記事が日本で出ました。

それが、朝日新聞(1991年8月11日)記事『元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く』(欄外資料参照)です。

「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺(てい)身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦」』」(同記事)

この記事の致命的誤りは上記のように、当時日本国内でも実施されていた勤労動員である「女子挺身隊」と、従軍を意図的に混同して、それを「連行」という官憲の強制性としていることです。

女子挺身隊は1943年に実施された14歳以上25歳未満の女性の工場などへの勤労動員のことです。

これは当時の米英でも一般的であって、女性を工場に「従軍」することとはなんの関係もありません。

しかし、この朝日記事によって、日本の官憲が暴力的に韓国婦女子を従軍にしたという認識が完全に固定し、後の日韓交渉での韓国側主張を裏付けることになります。

また記事の直後に、後に問題のシンボル的な人物となった金学順氏のソウルで記者会見がセットされており、この朝日新聞記事が韓国内の訴訟運動と連動していることは明らかでした。

事実、この「従軍」訴訟団は「太平洋戦争犠牲者遺族会」といい、その常任理事だった梁順任氏の娘婿が、朝日新聞韓国特派員だった植村隆記者です。

植村記者の義母は既に賠償訴訟の原告団長をしており、義母の訴訟を有利に運ぶために挺身隊を動員とこじつけて「日本軍の強制連行」説を作り出したようです。

ちなみに、その弁護人を務めたのは福島瑞穂議員(元社民党党首です。

つまり、この朝日記事は一方の利害関係者の情報提供によるインサイダー記事というだけではなく、新聞が記事の火元自体を作ってしまい、自分でそれを記事にするという自作自演的性格を持っています。

報道の客観性という次元ではなく、もはや報道倫理からの逸脱です。

この植村記事以外にも、ほぼ同時期に朝日新聞(大阪版)は、1991年5月22日に、吉田清治氏の「木剣ふるい無理やり動員」発言を掲載し、第2弾として同年10月10日に再度「には人妻が多く、しがみつく子供をひきはがして連行」したという「吉田証言」を掲載しました。

吉田氏は、1983年に「私の戦争犯罪」という本で、「1943年5月15日付の西部軍動員命令によって1943年5月17日に下関港を出発し、翌日済州島に着いて、兵士10人の応援で205人の婦女子を要員として強制連行したと狩りをした」という「証言」をした人物です。

この吉田氏の「日本官憲が韓国婦女子を暴力的に強制連行した」という「内部告発」の影響は、氏が韓国国内で「謝罪行脚」をしたことにより燃え広がっていきます。

なお、この吉田証言は、後に秦郁彦氏の現地調査で事実無根の捏造であったことが明らかになっています。

吉田氏当人も1996年5月に週刊新潮のインタビューで、自ら「創作」であったことを認めていますが、いったん世に出た捏造証言は修正されることなく、以降の韓国政府公式の「従軍は性奴隷だ」というプロパガンダの根拠となっていきます。

そもそもこの訴訟には、日本の人権派弁護士である高木健一氏などが立ち上げから関わっていました。 

いやむしろ、「従軍」の訴訟運動は韓国側の自然発生的運動ではなく、むしろ戦後補償を運動化したい高木氏などが、韓国人元に働きかけて始まったというのが実態のようです。 

たとえば、高木氏は同じサハリン残留韓国人訴訟においてこのようなことを言って、原告たちを集めていたことがわかっています。

「東京で大きな弁護士事務所を、開いている高木弁護士が、もっと日本から賠償をとれるから要求しなさいと教えてくれた」(サハリン残留韓国人訴訟会長談) 

つまり、この「従軍慰安婦」問題は、当初の「慰安婦」探しから訴訟団作りに至るまで日本人が大きく関わっていました。

そしてそれを一挙に大きな政治課題にしたのが朝日新聞です。

朝日新聞は従軍問題をあえて宮沢訪韓の前段にぶつけることで、韓国側の反発を作り出し、それを外交懸案にすることで自民党政権に痛打を与えることを狙ったわけです。

このような中韓政府を引き込むことで、社論を通そうという手法は、この新聞社が好むところです。

国内政治ならまだしも、外国政府まで巻き込んだ現実政治にここまで深く介入するとなると、朝日新聞はもはや報道機関というより立派な政治党派といっていいでしょう。

さて、この韓国国内の思わぬ従軍問題の炎上に驚いた宮沢政権に対して、「韓国は懸案化しないように」あらかじめ「日本側が例えば官房長官談話」のような形で何らかの謝罪をすることがいいと伝達してきます。

つまり、この後に出る加藤・河野官房長官両談話は、日本側の自発的なものであったというよりむしろ韓国側の入れ知恵だったわけです。

「1991年12月以降、韓国側より複数の機会に、問題が宮沢総理訪韓時に懸案化しないよう、日本側において事前に何らかの措置を講じることが望ましいとの考えが伝達された。
また、韓国側は総理訪韓前に日本側が例えば官房長官談話のような形で何らかの立場表明を行うことも一案であるとの認識を示し、日本政府が申し訳なかったという姿勢を示し、これが両国間の摩擦要因とならないように配慮してほしいとして、総理訪韓前の同問題への対応を求めた。」
 

しかし、これで朝日新聞のキャンペーンは終わったわけではなく、1992年1月13日第1面に吉見義明中大教授が、防衛研究所で「募集に関する日本軍の関与についての新資料が発見された」との記事が出されます。

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この資料を発見したとされる(※実際は現代史家には知られていた資料でしたが)吉見氏はこう書いています。

「この通達は、「派遣軍が選定した業者」が日本内地で誘拐まがいの方法で「強制徴集」をしていた事実を陸軍省が知っている事を示しており、日本軍に対する国民の信頼が崩れる事を防ぐために業者の選定をもっとしっかりするようにと指示している」。(「共同研究日本軍」)

「軍の威信を傷つけるこれらの問題点を克服するため陸軍省が指示しているのは、(ア)募集などは派遣軍が統制し、人選などは周到に行うこと(イ)募集実施の際は関係地方の憲兵・警察との連携を密にすること、の2点である。つまり各派遣軍はもっと周到に徴集に責任を持て、と指示しているのである」(同)

この吉見説については、多くの現代史家からの批判が存在します。朝鮮現代史研究家の西岡力氏は、これは強制連行をした証拠にはならず、むしろ悪質な斡旋業者を取り締まる内容であるとしています。

「合理的に考えるなら、戦地での民心離間を心配する軍が、一部で抗日独立運動が続いていた植民地朝鮮で強制連行を行い、朝鮮における民心離間を誘発するはずがない。吉見教授文書は、権力による強制連行を証明するものではなく、むしろそれがなかったことを示唆するものだった」
(「よくわかる問題」)

素直にこの吉見資料を読めば、むしろ斡旋業者が悪質な募集をしているので、このようなことを禁じるようにしか読めません。

吉見氏の意図とは別に、むしろ業者の誘拐まがいの「強制連行」に軍が関与しないようにすることを指示していたことを示した資料です。

歴史家の秦郁彦氏はこう述べています。

「このリード文を読めば、キャンペーン報道の意図が首相訪韓のタイミングに合わせて、それまで『国の関与』を否定していた日本政府に『偽証』の証拠をつきつける劇的な演出だったらしいことが読みとれる。
1月11日といえば、訪韓の五日前にあたる。今さら予定の変更もできず、かといって予想される韓国側の猛反発への対応策を立てる余裕もない。私はタイミングの良さと、『関与』という曖昧な概念を持ち出して、争点に絞った朝日新聞の手法に、『やるもんだなあ』と感嘆した」

この朝日記事でパニックに陥った当時の政府の状況を、報告書はこう述べています。

「日本側は、1991年12月に内閣外政審議室の調整の下、関係する可能性のある省庁において調査を開始した。1992年1月7日には防衛研究所で軍の関与を示す文書が発見されたことが報告されている。その後、1月11日にはこの文書について朝日新聞が報道したことを契機に、韓国国内における対日批判が過熱した。1月13日には、加藤紘一官房長官は、「今の段階でどういう、どの程度の関与ということを申し上げる段階にはありませんが、軍の関与は否定できない」、「いわゆる従軍として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた方々に対し、衷心よりおわびと反省の気持ちを申し上げたい」との趣旨を定例記者会見で述べた。

このように政府は、吉見氏の新資料発見の朝日記事の裏をとることもせずに、わずか2日後に慌てふためいて加藤紘一官房長官(当時)が早くも「軍の関与」を認めて「反省の気持ち」を表明してしまっています。

そして訪韓した宮沢首相は首脳会議の席上で、実に22分間で8回も謝罪するというギネス級のお詫び外交をしてしまったわけです。

ただし、この時点では、日本側は「関与」は認めても、「強制性」まで認めておらず、また賠償する気もなかったようです。

秦氏が皮肉まじりに指摘するように朝日新聞は、「関与」とは巧妙な表現をしたもので、まさにどうとでも取れる表現です。

しかし、この加藤談話で「軍の関与」を認めてしまった以上、「関与」を「強制性」と理解している韓国側主張まで首の皮一枚ということになってしまいました。

というか、何に韓国が怒っているのか、従軍問題とは何なのか日本政府はまったく理解していなかったというのが実態だったのでしょう。

そのために、とりあえず謝っておけばいいだろうという、いかにも日本人体質そのものの対応をした結果、更に悪い結果に引き込まれていきます。

ここにおいて日韓外交交渉の力関係は決定しました。朝日新聞を論拠にして強硬な主張を繰り返す韓国政府に防戦一方の日本政府という構図です。

全面的に韓国ペースでの河野談話作りへと進む助走が始まったのです。

以後、当時の宮沢政権は朝日新聞と韓国政府に挟撃されるようにして、韓国主導の強制性を認める謝罪への道へと踏み込んでいくことになります。 

                 :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+ 

●資料 朝日新聞1991年8月11日 
植村隆記者記事
 

「日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺(てい)身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」(尹貞玉・共同代表、十六団体約三十万人)が聞き取り作業を始めた。同協議会は十日、女性の話を録音したテープを朝日新聞記者に公開した。テープの中で女性は「思い出すと今でも身の毛がよだつ」と語っている。体験をひた隠しにしてきた彼女らの重い口が、戦後半世紀近くたって、やっと開き始めた。 

尹代表らによると、この女性は六十八歳で、ソウル市内に一人で住んでいる。(中略)女性の話によると、中国東北部で生まれ、十七歳の時、だまされてにされた。ニ、三百人の部隊がいる中国南部の慰安所に連れて行かれた。慰安所は民家を使っていた。五人の朝鮮人女性がおり、一人に一室が与えられた。女性は「春子」(仮名)と日本名を付けられた。一番年上の女性が日本語を話し、将校の相手をしていた。残りの四人が一般の兵士ニ、三百人を受け持ち、毎日三、四人の相手をさせられたという。「監禁されて、逃げ出したいという思いしかなかった。相手が来ないように思いつづけた」という。また週に一回は軍医の検診があった。数ヶ月働かされたが、逃げることができ、戦後になってソウルへ戻った。結婚したが夫や子供も亡くなり、現在は生活保護を受けながら、暮らしている。」

2017年7月14日 (金) 慰安婦問題 | 固定リンク | コメント (7)

2017年7月13日 (木)

奥茂治氏はテロリストではない

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奥茂治氏の韓国慰安婦碑張り替え事件について、山路氏に3回寄稿していただきました。 

奥氏の柔らかにして毅然とした人格と、それを実行できる強さに打たれます。 

私はあの行動はまったく正しいし、日本人は全面的に支持すべきだと考えています。 

ただし問題が一点残ります。 

おそらく山路氏の論考を読んだ多くの人が思ったように、あのような「実力行使」を正当化できるか、です。 

ここで私は又裂きになりました。山路氏に寄稿を依頼したのは、私自身結論がでなかったからです。 

また山路氏に依頼したのは氏が住む宮古島には、「アリランの碑」という慰安婦碑が現存しているからです。 

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まず、ここから解きほぐしていきましょう。 

この慰安婦碑文については大高未貴氏が取材しておられます。

「宮古島に慰安婦の碑が建てられたのは2008年。ソウルの日本大使館前に慰安婦の像を設置した反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)と日本の市民団体が中心となって私有地に建てられた、日本国も宮古島市もまったく関係はない」http://hosyusokuhou.jp/archives/34233197.html

この碑文には、「連行された少女・女性が性奴隷として生活することを強いられました」とあります。 

いうまでもなくフィクションです。慰安婦の虚構性については、このブログでも沢山記事を書いていますので、今日は触れません。 

では、なぜ近在に住む奥氏が、この「アリランの碑」を張り替えなかったのでしょうか。 

わざわざ韓国に出向くよりはるかに容易であり、しかも語弊がありますが「敵地」に乗り込むよりは容易だったはずです。 

その理由は「謝罪碑の所有権」にあります。 

あの宮古島の慰安婦碑は私有地に建てられ、おそらく所有権は韓国挺対協、ないしは日本の支援団体が持っていると思われます。 

これを張り替えることは出来ません。いくら腹が立とうと他人の所有物だからです。これを棄損することは刑法犯罪となってしまいます。 

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ひるがえって韓国の吉田清治が作った韓国国立墓地内にある謝罪碑は、一体誰の所有物でしょうか。 

まずこの謝罪碑なるものは、いったいどういった経緯で建てられたものか押さえておきましょう。 

桜井よし子氏はこう述べています。
http://yoshiko-sakurai.jp/2017/07/06/6917

「吉田氏は1983年12月に韓国人に向けて、「あなたは日本の侵略戦争のために徴用され強制連行されて(中略)貴い命を奪われました」、「私は徴用と強制連行を実行指揮した日本人の一人として謝罪いたします」と記した碑を建立した。
「朝日新聞」は、碑の除幕式で土下座する吉田氏の写真を掲載、「たった一人の謝罪」という見出しで報道した。「朝日」はその後も吉田氏の嘘を大々的に伝え続けたが、30年も過ぎた2014年8月に、吉田氏関連記事全ての取り消しに追いこまれた」

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その碑文にはこうあります。 

「あなたは日本の侵略戦争のために徴用され強制されて
 強制労働の屈辱と苦難の中で 家族を想い 望郷の念も空しく
 尊い命を奪われました
 私は徴用と強制連行を実行発揮した日本人の一人として
 人道に反したその行為と精神を潔く反省して
 謹んで あなたに謝罪いたします
 老齢の私は死後も あなたの霊の前に拝跪して
 あなたの許しを請い続けます 合掌
   1983年12月15日
      元労務報國會徴用隊長 吉田清治」

 まぁ、よくもまぁ、嘘八百。

肩書もウソなら、内容は100%混りっけなしのウソ。たった10行のうちでほんとうのことは設置日時だけです。

偽善というもおこがましい醜悪極まるシロモノです。 

それはさておき、謝罪碑とやらはこの詐話師が書いた「小説」(吉田談)の印税のあがりや謝罪行脚で稼いだ金からでているそうです。 

となると、この謝罪碑の所有権は、とうぜん資金を出した吉田清治にあります。 

そしてこの男が死亡した後は、吉田家に相続されたものと見なすべきでしょう。 

伊勢崎氏のコメントによれば、吉田の長男によれば吉田家には謝罪碑を韓国に寄贈したとの記録はなく、奥氏が墓地管理事務所に確認したところ、寄贈を証拠立てる文書の存在も示されていないそうです。 

つまり所有権はいまなお吉田家が保持しており、吉田氏長男の私有物件だと思うのが妥当です。 

韓国国立墓地は、この謝罪碑の管理権を有しているのみで、所有しているわけではないのです。 

そして所有者たる吉田のご長男は、このように意思表示されています。

「父が発信し続けた虚偽によって日韓両国民が不必要な対立をすることも、それが史実として世界に喧伝され続けることも、これ以上、私は耐えられません。
 吉田家は私の代で終わりますが、日本の皆様、そしてその子孫は後に遺されます。いったい私は吉田家最後の人間としてどうやって罪を償えばいいのでしょうか。今日に至るまでそのことをずっと考え続け、せめてもの罪滅ぼしに決断したことがあります」
「慰安婦像は彫像の権利問題もあり、一民間人が撤去することは事実上、不可能です。
 だが、父親が私費を投じて建てた謝罪碑であれば、遺族の権限で撤去することが可能なはずだと、長男は考えた」
(大高未貴 『父の謝罪碑を撤去します』)

たしかに外形的には、奥氏の行動は靖国神社に放火する行為に似ているとして、奥氏をテロリスト呼ばわりする人がいますが、本質的に異なります。 

それは、この謝罪碑は吉田家の私所有物件であり、その所有者たる長男の依頼により奥氏が行ったという点です。 

言い換えれば、奥氏は所有者の代理人、あるいは作業代行者であって、この張り替え作業をしたのは、まぎれもなく吉田家そのものだということです。

ここが決定的、かつ、本質的に違うことです。

奥氏を違法行為を犯したテロリストだという人にお聞きしたい。

韓国の放火犯は、靖国神社から依頼を受けて放火したのでしょうか?

そもそも靖国神社の施設は、その放火犯の私所有物件でしたか?

奥氏をテロリスト呼ばわりする人たちは大きな勘違いをしています。

この謝罪碑が吉田氏長男の私所有物件であることを知らず、 なにか公共物だとでも思っているのです。

同じように辺野古や高江で基地施設を棄損する者がテロリストと呼ばれたことを引き合いに出して、奥氏も同列だという者もいます。

これも違います。

在日米軍基地施設は、アメリカ合衆国政府の所有物たる公共財です。破壊すれば、相応の刑事罰を受けねばなりません。

奥氏はツイッターで明確にそのことを表明されています。 

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 ここに書かれているとおり、奥氏の行動は所有者たる吉田氏長男からの正当な依頼によるものであって、韓国警察当局は彼を逮捕したものの、なんの罪状で裁くべきなのか苦慮しているはずです。 

つまりこの事件は、正当な所有者たる吉田家が、代理人を通してみずからの所有物の碑文盤面を変更したにすぎないのです。

このなにが問題なのでしょうか?

たぶん管理権侵害ていどしか、罪状を貼ることはできないはずです。
※追記 韓国当局は器物破損容疑としたようです。

なぜならくどいようですが、所有者の撤去依頼に基づく正当な行動だからです。 

そして奥氏が張り替えた新たな碑文はこのようなものです。 

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 新たな碑文は、韓国語でこう書かれているそうです。 

「慰霊碑 吉田雄兎 日本国 福岡」 

なお雄兎は、清治の本名で、ここに嘘偽りがない慰霊碑に生まれ変わったのです。 

この作業については大高氏の著書と産経の報道によって知ることができます。http://www.sankei.com/politics/news/170605/plt1706050011-n1.html

 今回は謝罪碑の所有権を中心としてそこに絞り込んでお話ししましたが、本来奥氏の行動は日本政府がなすべきことをしなかった結果を、一民間人が行動によって是正したものです。

その意味で山路氏が書いておられるように奥氏の実践は、「先人の名誉は国益」だということを、私たちにしっかりと教えてくれた行動でした。

奥氏が逃亡する恐れがない以上、韓国当局は1日も早く出国禁止を解くべきです。

奥氏は今日も公園で、オバちゃんたちと気さくにゆんたくをしているのでしょうか。

稿を改めて、奥氏の「たったひとりの歴史戦」を書きたいと思いますが、今日はこれまでとします。

最後にソウルの方向に向かって、奥茂治、チバリヨー!

 

2017年7月13日 (木) | 固定リンク | コメント (9)

2017年7月12日 (水)

閉会中審査における青山委員、前川参考人、加戸前愛媛県知事とのやりとりの吟醸

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昨日アップした閉会中審査における青山繁晴議員と前川参考人のやりとりを、さらにダイジェストします。 

読みやすくするために、発言そのままではなく適時要約し、文末も「である」調で統一しました。

白眉は、青山氏の詳細な時系列の経過を踏まえた追及に対して、前川氏がまともな答えをだせず、官僚トップの座にいながら、「なんでも知っているわけではない」と居直ってみたり、挙証責任を問われると、こんどは「それは政府の責任だ」と言い逃れしてみたり、もっとも痛い天下りに至っては、「ほかのやつだってやっているゾ。加計にもいるぞ」といった苦し紛れの最後ッペまでかましていることです。

おーミゼラブル。おー赤恥です。メディアが青山質問をスルーしたので、よかったですね、前川さん。

こんな体たらくだと、青山氏は手控えていましたが、出会い系疑惑と相まって、子々孫々言われますよ。

青山氏がすべて言い尽くさずに、巧みに加戸前知事に語らせることで、見事な追及となりました。

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加戸氏の証言は押さえられ、なぶりものになってきた者たちの魂の叫びにも似て、聞く人の心を揺さぶりました。

今回、政府側が追い詰められたひとつの原因は、「ある」と主張している者に対して「ない」と反論することの難しさでした。

まさにドンピシャ「悪魔の証明」の実例そのもので、「悪魔がない」ことを証明してご覧と、メディアははしゃいだわけです。

そして門前払い対応をしてしまった菅氏の不手際もあって(キャラですな)、泥沼のような「悪夢の学園ドラマ」が日本を覆い尽くしました。

大臣、与党議員の失言・暴言もあったとしても、都議選大敗北の最大の原因は、この日本を覆う「なにかおかしい」加計ガスでした。

この加計ガスを拡げて政権を追い詰めたという意味で、朝日は社運を賭けた勝負に「勝った」わけです。

しかし、この彼らが望んだ以上の大勝利のために、毒ガスが引き起こした熱は急速に放冷されつつあります。

真実が追及される時間が来たのです。

メディアと野党は、北朝鮮が弾道ミサイルをぶっ放そうが、中国軍艦が領海侵犯しようが知ったことではなく、前川証人喚問を求めてきました。

おめでとうございます。ようやくその要求は閉会中審査で実を結びました。

では、「悪魔」は出たのでしょうか。ご覧のとおりです。

悪魔の証明も客観証言があれば解けます。

その時「オレは横で見ていた」という人たちが出てくれば、その時なにが起きたのか、起きなかったのか、誰がどのように動いたのか、動かなかったのか、その事実が分かってしまいます。

加計と与党の人物との関係を匂わせる報道はたっぷり聞きましたが、原点に戻れば、「疑惑」の初発は「総理の意向」があったのかなかったのかに絞られます。

今回その証人の役割を果たしたのが、加戸前愛媛県知事と、国家戦略特区諮問会議の民間議員でした。

特に、加戸氏は80歳を越えるご高齢をおしての証言で、内容的に私たちの心を打つものでした。あれをウソだというなら、その人の精神性まで疑われるほどです。

一方、「悪魔はいる。それはアベだ」と告発した前川氏ときたら・・・。メディアは落ち着いた答弁などと褒めそやしていますが、笑止です。

また例のフェークニュース発信源のひとつTBS「ひるおび」は、青山委員はおろか、なんと加戸前知事の証言までも番組から抹殺しました。

焦点は首相と官房長官の出席か否かだけのようです(苦笑)。

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さすが、青山委員の後ろでニタニタと嘲笑していた、杉尾秀哉民進党議員がつい先だってまで解説委員をしていたTBSだけのことだけことはあります。
https://www.youtube.com/watch?v=-rsdoW5Xdrk

Photo_16https://mobile.twitter.com/hashtag/%E6%9D%89%E5%B0%BE%E7%A7%80%E5%93%89

朝日と毎日も平然と、両者ともに「いない」ことになっています。

毎日(7月10日)は「<加計問題>『印象操作』空振り 前川氏、追及に淡々」と題して、こう書いています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170710-00000078-mai-soci

「前川氏は時折強い言葉を選びながらも冷静な受け答えを繰り返した。発言内容の信ぴょう性を低下させようとする与党側の「印象操作」をかわした格好だ」

下に吟醸を書き出した青山質問のやりとりを読んで、なお「印象操作をかわした」と書ける毎日はある意味スゴイ。

青山氏が「印象操作」!?そっくりそのまま、その言葉お返しします。

もはや彼らは報道機関ではなく宣伝機関です。

Katomedia1出典:https://twitter.com/take_off_dress/status/884694230844624896

netgeekはこう指摘します。

「明らかに偏向しているのは加戸守行氏の証言を1秒たりとも紹介しなかったメディアだ。NHK、テレビ東京、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞。これらは前川喜平氏の主張のみを取り上げるなどして情報を中立の立場で伝えなかった」
http://netgeek.biz/archives/99342

メディアと野党は今さら引っ込みがつかないでしょうから、今後も延々とやり続ける気でしょうが、国民の多くは憑き物が落ちてしまったのではないでしょうか。

前川リスペクターの皆さん、加戸前知事が人間関係で加計とつながったと述べたことを、またスキャンダラス発覚と騒いでいるようですが、虚しくありませんか。

誰それとどうのこのという周辺爆撃ばかりです。すべてゴシップのようなワイドショーネタばかり。本質は別にあります。

この加計問題で押さえるべき点は、ほぼすべて今回の青山追及に含まれています。

私も今まで書いてきたことと、ほぼ重なることを心強く思いました。

                  ~~~~~~~ 

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 ●青山委員
「日本に獣医師の不足がないから、愛媛県今治市に加計学園が、新たに獣医師学部をつくることは、行政をゆがめることであるという趣旨で発言されている、この実態を知っていたのか」
 

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●前川参考人
「獣医学部の新設について、一律に申請を受け付けなのは告示があるからである。
私が歪められたと、いうふうに思っているのは、規制緩和の結果として、加計学園だけに獣医学部の新設が認められるに至ったプロセスだ」
 

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●加戸前愛媛県知事
「(同じ青山委員の質問に答えて)10年間、愛媛県知事として、今治に獣医学部の誘致を、当時は構造改革特区の名のもとに、申請しつづけたが鼻も引っ掛けていただかなかった。
県民の生命、身体、財産、畜産業の振興、食品衛生をで一番苦労したのが、鳥インフルエンザ、口蹄疫の四国への上陸の阻止とBSEの問題だった。
(前川氏の)行政が歪められたと言う発言は、獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために、10年間我慢させられてきた岩盤を国家戦略特区というドリルで穴を開けていただいたとということであって、歪められた行政が正されたというのが、正しい発言ではないのか」
 

●青山
「獣医学部の現状は、930名の定員に、1200名まで23%の水増し入学が常態化している。これで需要が均衡してると、もしも文科省が判断してるのであれば、この点からも、おかしい。
水増しを是正すれば年間270名、約4分の1もの新しい獣医師か減ることになる。これは獣医師の教育が現状の学校では十分でないという証拠でもあり、獣医師養成の学校が足りないという証左ではないか」
 

●前川
「私立大学の定員超過の是正をどうするか一般的な問題。私学助成を活用するなど検討する必要がある。定員管理を、政策的に行っていくのが正しい方法だ。いっぺんにこれを撤廃するということは、望ましくない。
獣医学部をつくる方が、よほど困難で、その教員をどこから連れてくるか。既存の大学の定員を増やす方が、よりコストのかからない方法であり、実際にその方法で医師について供給数を減らしている」
 

●青山
「それは既存の体制の強化でやりたいということだが、それがもしできるなら、いまの水増しのような事態が起きるはずがないではないか」
 

●加戸
「特区の申請をしてから、何回も門前払いを食らった。一番強い反対は、日本獣医師会だった。
関東以東は8割の入学定員、以西は2割の入学定員しかない。しかも私学は、水増し入学はするから、実質的には、養成される獣医師の数は、関東以東は80数%、場合によっては90%で、四国は空白区だった。
米国など諸外国はは必死でやっているのに、日本の四国・今治だけは作るな作るなはひどいではないか。
私は、加計ありきでではなく、たまたま愛媛県会議員の今治選出議員と、加計学園事務局長が友人であったから、この話がつながってきて、飛びついた」
 

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 ●青山
「経緯をみれば分かる。省内のメモに依拠するのではなく、閣議決定や国家戦略諮問会議決定をめぐる議事録などを丹念に調べれば経緯ははっきりしている。
まず文科省は、先ほど前川参考人が言った告示、これは2003年にでている。告示は法律でも政令でも省令でもなく、役所が出す一種の命令だが、これは相当な力があるが、これを役所は出すことができる。
この2003年の告示によって、まさしく前川参考人が言ったとおり、獣医師などの大学新設を事実上差し止めてきた。
2003年の告示の前から獣医学部の新設は認めない姿勢だったが、この2003年の告示でそれが確認された。そのために獣医師の大学・学部は、半世紀の間まったく新設されなかった」
 

※注 関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/snsn-66ec.html
文科省・大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準 ttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/10/27/1260236_1.pdf

「第1条4項 歯科医師、獣医師及び船舶職員の養成に係る大学等の設置若しくは収容定員増又は医師の養成に係る大学等の設置でないこと。」

2007年、愛媛県と今治市が共同で獣医学部を誘致し、加計学園だけがこれに応じたのが、それから苦闘10年。
2015年の6月30日、この愛媛県、今治市の努力が実って、新しい需要があることなど、4つの条件を満たせば、国家戦略特区の中に獣医師の学校をつくって良しと、いう閣議決定がなされた。
 
この前年の2014年には、この国家戦略特区の基本方針が閣議決定され、
ある省庁が規制の緩和を困難とする場合には、その正当な理由を説明するのを挙証責任を義務とすると。
そのために文科省は4条件に基づいて、新しい需要が獣医師にあるのかないのか、2015年度末、つまり去年の3月31日までに説明する責任が実質的に生まれた。
ところが文科省は、年度末までにそれができなかった。
それを見てか、2016年3月に新たに京都産業大学が名乗りを上げた。

政府、これをもって文科省のいわば敗北とはせずに、半年挙証義務の期限を延ばして、2016年9月16日に、国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングを行った。

①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録
②2015年6月30日閣議決定(文科省部分)
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキ①ンググループ議事録

この席で、文科省の課長補佐は、『新しい需要があるかないかという挙証責任は、大学や学部を新設したいという側にあると』と述べた。
要するに文科省に挙証責任はないと言ったことになる。
しかしワーキンググループ側の原英史氏などが、いや、文科省にあると反論した。
このあとに文科省の反論は一切ない。
したがって議論はこの時点で決着してしまっている。
牧野メモが出たのは、その10日後の2016年9月26日のことだ。すなわち、課長級の交渉で決着してしまったことに、改めて内閣総理大臣が口を出すというのは、行政の現場にいる人間からしたら信じられないことである。
これは文科省が敗北したことであっても、それは総理のご意向だから仕方ないでしょうという内部向け、に弁明する文書だったと見るのが、一番真っ当な解釈だ。
 

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この決着を受けて日本獣医師会が動いた。獣医師会は、規制緩和が決まったあとは、新設を回避できないなら、せめて1校に限るべきだと運動した。、インタビューの、もとを確かめて下さい。

※日本獣医師会・蔵内勇夫会長は、最近、西日本新聞のインタビュー
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/340056/

京都産業大学、申請辞退。私の知り合いに確認すると、今回だめでも次回以降、期待できるっていうことで、無理をせずに、ここで矛を収めましたとのこと。
前川参考人はこの経過を知っていたのか」

※注 時系列整理
・2003年・・・文科省「獣医学部の新設は認めない」告示を発布。
・2007年・・・愛媛県・今治市の誘致に応じて加計学園が名乗りを上げる。
・2014年・・・国家戦略特区において規制緩和する場合当該官庁に挙証責任があるとする閣議決定
・2015年9月16日・・・石破4条件(新たな需要など)提示したために文科省に2016年度末まで「新しい需要があるか」についての挙証義務が発生したか、政府は期限を延長
・2016年・・国家戦略特区WG会議開催。文科省課長補佐「挙証責任は大学の側にある」と述べ、委員から論破。実質決着。
・2016年9月26日・・・前川文書(牧野メモ)出る
・20016年11月末・・・京都産業大学申請を辞退
・2017年1月・・・加計学園に決定

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 ●前川
「私が、現職で文部科学省で仕事をしてるなかでも見えない部分がたくさんあった。
どうして30年4月開学が、大前提なのかについて、合理的な説明がない。結局は官邸の最高レベルが言っている、あるいは総理のご意向だという説明しかない。
内閣府に説明してほしいが、文部科学省からはあずかり知らない部分はたくさんあるので、私が承知していないことは多々ある。
文科省はこの4条件をやはり満たす必要があるということを、ずっとこだわってきた。
文部科学省はそのひとつひとつについて、既存の大学でできている、すでに取り組まれていることであるとして今治市から出てきた提案は、この4条件を満たすものではないと、いうことを主張した。
挙証責任の在処(ありか)ということと、国民に対する説明責任とはまったく別物でありまして、国民に対する説明責任は政府一体として負わなければならない。
挙証責任があって、その議論に負けたから、文部科学省が説明するんだと、こういう議論にはならないはずだ」
 

●青山
「経緯について全部ご存知ないっていうのが伝わってきた。そうは言っていないが知っていれば知っているといったはずだ。
挙証責任を持つということと、国民に説明するってことは別だと言ったが、もし別だったら民主主義は終わりだ。何のためにこの審議やってるのかも分からなくなる。
挙証責任ということを、すり替えて言っているのはいまの前川さんの方だ」
 

●加戸
「日本国民にとって、自流の中で、どこか求められているのか、それに対応すればどうしたらいいのかをかんがえねばならない。私は本質的議論がなされないまま、こんな形で獣医学部がオモチャになっていることを残念に思う」
 

Photo_12日刊ゲンダイhttp://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/544.html 日刊ゲンダイだというのが笑わせる

●青山
「6月23日の記者会見で前川氏は、天下りの実態につい詳しい実態は知らないと言った。
これが事実だったら事務次官の責任放棄か、怠慢、と言わざるをえなし、事実でないんだったら、天下りあっせんの、そもそもの違法性について認識が足りない。
日本獣医師会は獣医師増につながる学校の増設には反対する意志で、獣医学部の学校許認可権はすべて、文科省にある。
だから学校は天下りの文科官僚を受け入れ、文科省は次官以下が、学校への天下りを法を犯してでも進めたから、前川参考人もこの問題で辞任したわけだ。
この獣医師会としては、既存の学校だけを守ろうとする姿勢と、天下り問題は密接につながってるんではないか。
すなわちこれは、既得権益を、政・官・財・民、ありとあらゆる所が一体で守ろうとする日本の闇につながっているのだと思う。
学校の設置許可も、良い学校が残っていくと良き競争に任せないで、既存の学校をとにかく守る、妥当な規制緩和であっても、やらないという姿勢が、現在の文部科学省ではないんではないか」
 

●前川
「この国家戦略特区における、今治市における、獣医学部設置の問題と天下り、再就職規制違反に係る問題を結び付けて議論をするのはおかしい。
仮に結び付けるのであれば、具体的な事例は、木曽理事は確かに、私の先輩であり、内閣府官房参与をしたうえで、内閣官房参与の身分を持ったまま、加計学園の理事になっている。
肩書きを持った状態の時に私のとこ来て、加計学園の獣医学部の新設に向けて働きかけをした。こういう、OBによる現役に対する働きかけこそがですね、やはり、いわゆる天下り問題の弊害の、ひとつの端的な例だと思っている。
天下り問題と、この獣医学部をめぐる問題とをですね、結び付けて議論することは誤りだと思う」

●青山
「 僕は結び付けなればいけないと思う。文科省はこのほど、文部科学白書を発表し、その冒頭の3ページに異例な言葉が入っている。
『組織的な天下りの問題について、省をあげて猛省する。国民に謝罪し、3人の事務次官経験者は、(すなわち前川さん、あなたを含めてだが)あっせんの構造づくりや、運用について関わっていた責任を、極めて重く受け止め、停職相当の評価にした』と。
後輩の方々が苦しんで書かれた、この文章を今のご答弁は裏切っている」

●加戸
「特に今回の規制緩和に関して心に一点の曇りもなく、やったということで、これが今回の大きな事件の結論だったんだろうと思う。
これが国民に知ってもらうべき重要なことだと、私は思う。
たくさん今まで私のところに取材があったが、都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことは取り上げていただいたメディアは極めて少なかったことを残念に思うが、あのYouTube(※)がすべてを語り尽くしているのではないかなと思う」 

※
(全録)加計学園・獣医学部新設 有識者が会見 その1
(全録)加計学園・獣医学部新設 有識者が会見 その2 

2017年7月12日 (水) | 固定リンク | コメント (22)

山路敬介氏寄稿 奥茂治氏 その人間と行動 その3

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山路氏寄稿の3回目です。ありがとうございました。 

なお参考資料として私から3点ほど上げておきます。http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170706/soc1707060005-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170626/wor1706260007-n1.html
https://news.goo.ne.jp/article/fuji/politics/fuji-soc1707060005.html 

私の意見は明日にさせて頂きます。 

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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奥茂治氏 http://www.sankei.com/premium/news/170605/prm17060... 

          ■奥茂治氏 その人間と行動 その3                   
                       ~「先人を含む日本の名誉」の国益性
 
                                              山路 敬介                                                            

                                               
■ 宮古島の慰安婦碑問題と奥茂治氏
 

 平成24年の事でしたが、沖縄県史(沖縄県発行)に刻まれた与那国島慰安婦虐殺のウソ、そのポイントとなる池村証言がどう取り扱われたのか? 宮古島に居住する当時の執筆者・編集者らに長時間インタビューを敢行し、事の真相を明らかにしたのはチャンネル桜の番組でした。
https://www.youtube.com/watch?v=8M7Z2oXRvmI 

 同番組はさらに、宮古島市内の全くの私有地に任意の団体が建てた慰安婦碑を米国内で慰安婦像を建立せんとする支援団体が、あたかも宮古島市が主体となって建てられたかのような詐話を用い、その顛末を副市長へのインタビューの中で明らかにしている優れた番組も制作しました。
https://www.youtube.com/watch?v=rEyLbbMCzmo 

 碑の案内板には「史跡」とありましたが、こんなものは公とは何の関係もない、「史跡」でも何でもなく一部好事家の趣向にすぎない事も明らかになりました。
 
 ※奥氏にしてはめずらしく、大高未貴氏とインタビューに同道してその姿が写っています。
 

 こうした濃密な取材が実現した背景には、奥氏の強力な宮古島人脈があった事は言うまでもありません。

Photo_82017年6月29日

■ 韓国当局に逮捕されに行った奥茂治氏の「2つの理由」 

 理由のひとつ目は、しごく個人的な奥氏の人間性に基づくものです。 

 吉田清治氏の長男の意向を汲んで深く同情もし、碑の書き換えの実行をしたわけですが、それだけでは奥氏の中で奥氏の考える「行動」には決着が着きません。 

 たとえそれがどのようなものであれ、行動によって起こり得る結果を正しく受け入れてこそ奥氏の行動は完結するのです。 

 奥氏の渡韓を一言で言えば、奥氏の「知行合一」と言う事です。

 二つ目の理由は、奥氏が韓国国民を信頼している事に由来します。
 

 事実を知れば人は必ず正しい判断をするという信念がまずあり、それを少しでも知らしめる事に大きな意義を持っています。

 私の拙い経験で恐縮ですが、一般的に韓国人は「日本人は、はっきりしない曖昧な態度を取る変な人たち」と考え、苛立つ事が多いようです。
 

 彼らと邂逅しようとする場合、徹底的に批判を加え、口角泡を飛ばしつつ激しくやり合う経過が必要です。 

 彼らはころっと態度を変えることの出来る長所も持っているので、通常は後に引きずるようなことはありません。 

 このような韓国人の国民性は筑波大の古田博司氏も類似に指摘するところで、間違ってはいないと思います。

Photo_76月30日

■ 結局、問題は「先人を含む日本の名誉」を国益と捉えられる事ができるかどうか?に尽きる 

 私は、慰安婦問題も南京問題もブザマにこうなった原因について、結局は日本の為政者が「日本の名誉」を国益として捉えてこなかった事が原因であろうと結論づけました。 

 そのような申し様をしますと、なにやら右翼的・精神主義的な不合理な感じもしますので何とか避けたいとずっと考えていましたが、とうとう揺るぎない信念に至りました。 

 この事については、またブログ主さまに機会が与えられれば詳細に立証して行きたいと思います。 

こうした奥氏の行動(それは全体としてみれば、とても小さいものですが)を他所に、韓国内では強烈な反日映画「軍艦島」が封切られる由です。 

 これなど外務省がユネスコで世界産業遺産登録とバーターで取引した、「forced to work」(強制的に働かせた)と認めた結果である事は明らかです。 

 そのうえ、その事を記憶し続けるするために「情報センター」なるものの設置まで約束している。 

 目の前のエサにつられ、先人の名誉や国家の誇りまで傷付けて恬として恥じない姿勢、これを私は「国家観がない」と呼称します。 

 「以後、後世の日本人に謝り続けることはさせない」というのは、日韓合意のさいの安倍総理の感動的な言葉でしたが、同じ政府内においてかような事も行われているのです。

 

                                                 (了)
                               
                                文責:山路 敬介

2017年7月12日 (水) | 固定リンク | コメント (11)

2017年7月11日 (火)

閉会中審査 青山繁晴議員の質問(抜粋)

126
参考資料として、昨日の閉会中審査の青山繁晴議員の質問を転載いたします。一部抜粋いたしました。まことに理路整然たる見事な追及です。

出会い系うんぬんを捨てて、本筋に迫った追及方法にも好感が持てます。

青山氏は自分ひとりで追及をすることなく、いメディアによって意図的に存在を無視されてきた「もうひとりの当事」たる、加戸元愛媛県知事の言い分を引き出しています。

「ぼやきくっくり」様による丹念な書き起こしに感謝いたします。あー、えーは省略しました。http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2080.html#sequel 強調は引用者です。

動画はこちらからhttp://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?ssp=31131&type=recorded

  • 赤池誠章(文教科学委員長)
  • 蓮舫(民進党・新緑風会)
  • 櫻井充(民進党・新緑風会)
  • 田村智子(日本共産党)
  • 青山繁晴(自由民主党・こころ)
  • 里見隆治(公明党)
  • 清水貴之(日本維新の会)
  • 森ゆうこ(希望の会(自由・社民))
  • 松沢成文(無所属クラブ)
  •                              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

    ・青山繁晴参議院議員
    ・参議院文教科学委員会・内閣委員会連合審査会閉会中審査 前川前事務次官証人喚問
    ・7月10日(月)午後3時37分から約40分間
    ・『国家戦略特区における学部新設に関する件

    Photo_5青山繁晴委員

    ●青山繁晴委員
    「現在の日本では、鳥インフルエンザ、口蹄疫、そしてBSE、狂牛病という深刻な新しい危機が生まれています。(略)
    (産業獣医師の不足に言及した後、農水省に質問たところ)
    産業動物獣医師の確保が困難だと言えます、という回答でした。そして、こうした学資の貸与は、愛媛県では、9件あります。全国で3番目に多くなっています。東京にはこうした貸与は一切ありません」
    「(農水省小川大臣官房審議官に確認した後)
    「えー、前川参考人にお尋ねします。あなた様におかれては、日本に獣医師の不足がないから、愛媛県今治市に加計学園が、新たに獣医師学部をつくることは、行政をゆがめることであるという趣旨で発言されていると思いますが、この、いま申し上げた実態はご存知なのでしょうか(議場ざわ)」

    Photo_4前川喜平参考人(前文科事務次官)

    ●前川喜平参考人(前文科事務次官)
    「えー、違います。獣医学部の新設について、一律に申請を受け付けないという、これは告示があるわけでございますが、その告示に対して特例を設けるかどうか、あるいは告示の撤廃を考えるかどうか、獣医学部の入学定員について、定員管理をするというポリシーを捨てるか捨てないか、これは政策論議をすべき問題でありまして、それは、ま、国家戦略特区を舞台にして議論することもできるでしょうし、あるいは一般論として議論することもできます。
    で、この規制緩和をすべきかどうかという問題と、その規制緩和の結果として、加計学園に獣医学部の新設を認めるかどうかという問題とは、これは次元の違うことでございまして、私がゆがめられたと、いうふうに思っております部分というのは、規制緩和の結果として、加計学園だけに獣医学部の新設が認められるに至ったプロセスであります。その部分が問題であるし、不公平な部分があるんじゃないか、また不透明な部分があるんじゃないか、そこの解明が必要だというふうに考えてるところでございます」
     

    ●青山繁晴委員
    「(予想どおりの答えだったと述べた後に)いま、加戸参考人におかれては、自治体の最前線でこの獣医師不足に直面してこられました。どのような実態でしょうか。また、前川参考人の先ほどのご答弁、お答えをどのようにお聞きになりましたでしょうか」

    Photo_3 加戸守行参考人(前・愛媛県知事)

    ●加戸守行参考人(前・愛媛県知事)
    「お答えいたします。まず、参考人でお呼びいただいたことに心から感謝申し上げます。もう、10年前に、愛媛県知事として、今治に獣医学部の誘致を、当時は構造改革特区の名のもとに、申請した当時のことを思い返しまして、鼻も引っ掛けていただかなかったこの問題が、こんなに多くの関心を、10年後に持っていただいてるということに、不思議な感じがいたしております。
     当時、愛媛県知事として、たくさんの仕事を預かりながら、県民の生命、身体、財産、畜産業の振興、食品衛生、その他で、一番苦労しましたのが、鳥インフルエンザ、あるいは口蹄疫の、四国への上陸の阻止、あるいは、BSEの問題の、日本への波及の阻止、言うなれば四国という、小さな、島ではありますけれども、こういった感染症対策として、一番防御が可能な、地域という意識もございました。
    そしてアメリカが、この問題で狂牛病の体験を受けて、先端切って国策として、これからはライフサイエンスと感染症対策をベースとした、獣医学の教育の充実ということで、大幅な獣医学部の入学者の増加、そして3つの獣医科大学の新設という形で、懸命に取り組んでいる姿を、横で見ながら、なんと日本は関心を持っていただけない国なんだと。
    私は少なくとも10年前に、愛媛県民の、そして今治地域の、夢と希望と関心を託して、チャレンジいたしました。
    厚い岩盤規制で、はね返されはね返され、やっと国家戦略特区という枠の中で、実現を見るようになった。いま本当にそれを喜んでもおります。
     先ほどの、話にございました(前川氏の)行政が歪められたと言う発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で、強烈な岩盤規制のために、10年間我慢させられてきた、岩盤にドリルで、国家戦略特区が穴を開けていただいたと、いうことで、歪められた行政が正されたというのが、正しい発言ではないのかと、私は思います。(議場ざわ)」

    青山繁晴委員
    「(略)これまでの獣医師養成には別の問題もあります。実は現在、930名の定員でありますけれども、1200名まで、水増し入学が行われています。
    これで需要が均衡してると、もしも文科省が判断してるんであれば、この点からも、おかしいのではないでしょうか。これは23%もの水増し入学が横行してるってことでありますから。実は現場の方々にずいぶん尋ねていきました。そうしますと、たとえば教室に入りきれない学生が廊下にあふれて、ま、授業を一種、見学してる、覗き込んでるって実態もある。一番大切な実習も、実は背後から覗くだけという、状態が、これ、大学によって変わりますけれども、起きてる所がかなりあると。
     で、文科省は現在、大学の定員超過の是正に取り組んでいる、とも聞きました。文科省に聞きました。ただ、もしも獣医学部の水増しが正されれば、年間270名、なんとほぼ4分の1もの新しい世代の獣医師が減ることになります。
    これは獣医師の教育が現状の学校では十分でないという証拠でもあり、獣医師養成の学校が足りないという証左ではないでしょうか。前川参考人、この点については、ご見解いかがでしょうか」

    ●前川喜平参考人(前文科事務次官)
    「ま、私立大学の定員超過の是正をどうするか、ということは一般的な問題としてあると思います。
    これは私学助成をどのように活用するかというようなことも含めまして、検討する必要がある問題であろうと思いますが、ただこのー、獣医師の需要がどのぐらいあるのか、それに対してどのくらいの、獣医学部の、入学定員が望ましいのか、これはやはり政策的に考え、また、定員管理を、政策的に行っていくと、いうことが当面、正しい方法だろうと思っておりまして、いっぺんにこれを撤廃するということは、望ましくないだろうと、私は個人的に思っております。
     ただ、その獣医師に関してましてもですね、もし、その、今後養成を増やす必要があるというのであればですね、それはまだ確認されたことではございませんが、もし、今後、獣医師の養成を増やす必要があると、言うのであればですね、それは、既存の大学の定員を増やすという方法もあるわけでありますし、既存の大学には、十分なスタッフが揃っている場合もありますし、さらに十分なその、定員、その、教官組織をですね、さらに充実させるということもあると思います。
    まっさらに新しく、獣医学部をつくる方が、よほど困難でありまして、その教員をどこから連れてくるかという問題は非常に、難しい問題のはずであります。既存の大学から、その新しい学部に、教員を連れてくるのであれば、既存の大学の教員組織が弱体化いたします。そこをどうするのかという問題ございますから、単に、養成数を増やすということであれば、あー、通常はですね、既存の大学の定員を増やす方が、よりコストのかからない方法であります。
    で、実際、医師についてはそういう方法をとって、供給数を減らしているわけであります。そういった選択も含めて、政策的に考えるべき問題であるというふうに考えます。
    ※加戸知事が苦笑しながら頭をさかんに横に振っている。(NHK中継より)」

    ●青山繁晴委員
    「はい。いま前川参考人がおっしゃったのを、謙虚にお伺いしましたけれども、要は、既存の体制の強化でありたい。で、それがもしできるならいいんですけれども、それだったら、いま水増しのような事態が、この獣医師養成機関はみんな志を持ってやってるわけですから、起きるはずがないと思います。ま、そのうえで、もう一度、いまの件について、加戸参考人はいかがでしょうか」

    Photo_9

    ●加戸守行参考人
    「特区の申請をしてから、何回も門前払いを食らいました。いろいろな方策で模索しましたが、一番強い反対は、日本獣医師会でありました。当時、直接の接触はございませんでしたけど、ホームページでは、専務理事が、まあ、今治の、獣医学部新設に関して、ケチョンケチョンの論陣を張ってられました。
    で、その中でも、要するに、要請はちゃんとするから、余分なことをするなっていうのが基本であります。
     で、当時から私が大変疑問に思いましたのは、まず、獣医師の要請が、私は、こういう言葉を使いましたけれども、箱根の関所から東を関東と言ってました。箱根の関所から東で、8割の入学定員があり、箱根の関所から西の方には、2割の入学定員しかなくて、しかも、私学は、水増し入学はしますから、実質的には、養成される獣医師の数は、箱根の関所から東は、80数%、場合によっては90%近くが、そちらで、空白区は、四国であります。
    獣医師が確保できない。県知事として、いろんな対応をしても、たとえば、地方公務員は、競争試験が原則ですけれども、獣医師はもう、無試験でもいいから、どうぞどうぞと言っても、来ていただけない。
    で、獣医師会の反対は何かと言ったら、処遇しないからだと。
    じゃあ、愛媛県だけは、あるいは四国は、獣医師の給与体系を、国家公務員の獣医師よりも、上回る体系を作ることができるのか。
    それは、じゃあ、獣医師が充足された時は給料を下げるのかと。給料の問題は、愛媛は給料が安いから行かないんだよとか、奨学金を出さないから行かないんだよと。全部東京へ来たら、養成して帰すからと。そういうことでいいのかなってことがひとつ。
     それから、新しい学部はできないという、それも反対されながら見てました。
    でも、自分達はどうであったのかと申し上げると大変恐縮ですけれども、大学教授の定員は、10年前と今日と、変わらないままで、アメリカは必死にやってるのに、据え置いたままで、新しいのはつくるなつくるなと。
    で、今回のケースにしましても、はるかに多い獣医学の教官をつくって、感染症対策なり、あるいは、ライフサイエンスなり、あるいは動物実験による創薬の研究なりと、幅広い学問をやるスタッフを揃えようと思っても、それにブレーキをかけるっていうのが、私には理解できない。
    それならば自分達で、なぜこの10年の間に、アメリカに遅れないように、スタッフを揃えないんですかと。

    いまのままで置いておいて、今治にはつくるなつくるなって言う。これはあまりにもひどいではないかっていうのが、私の思いでありました。
     少し時間をちょうだいしてよろしければ、
    私の知事の任期の終わりの方に、民主党政権が誕生して、自民党じゃできないわ、私たちがやるといって頑張ってくれました。
    対応不可の門前払いから、実現に向けての検討とレベルアップしました。ああよかったね。
    私は次の知事にバトンタッチしました。ところが自民党政権に返り咲いても、なにも動いていない。なにもしない。ただ今治だけプレーキをかけている。それが既得権益の擁護団体なのかと、
    悔しい思いを抱えながら、参ってまいりました。
     そして国家戦略特区で取り上げられ、私も昔取った杵柄(きねづか)で、いま今治市の商工会議所の特別顧問という形で、この応援団の一員として、参加しております。
    それを眺めながら、大切なことは、欧米に後(ご)した、先端サイエンスと、感染症対策と、封じ込めと、
    私たち日本人の生命がかかる、この問題を、欧米に遅れないような、獣医師を養成しなけりゃならないことに、手を加えないでおいて、今治はだめ今治はだめ、加計ありきと、言うのは、何でかなと思います。
    私は、加計ありきではありません。たまたま愛媛県会議員の、今治選出議員と、加計学園事務局長がお友達であったから、この話がつながってきて、飛びつきました。(議場ざわ)
    これもだめなんでしょうか。

     お友達であれば全てだめなのか。そんな思いで眺めながら、今日やっと、思いの一端はこの場を借りて、申し上げさせていただきました(議場ざわ)」

    ●青山繁晴委員
    「(略)経緯です。愛媛県の今治市に加計学園の岡山理科大学獣医学部を新設することについては、ま、今日の審議でもさまざまな文書が議題になりましたけれども、省内のメモで、そういうことに依拠するよりも、閣議決定や、あるいは国家戦略決定をめぐる議事録、公に公開されているものを丹念に調べていけば、これ私の個人見解ですけれども、経緯は非常にはっきりしていると考えています。
     まず文科省は、先ほど前川参考人がおっしゃった告示、これを西暦2003年に最初に、この件について出しております。
    で、この告示というのが、実は今日の部屋にいらっしゃる方はご存知であっても、一般国民は非常になじみが薄いものであって、法律でも政令でも省令でもなくて、いわば役所が出す、一種の命令というのは言いすぎかもしれませんけれども、相当な力を持ってるものを、役所が実は出すことができると。
    そういうものが存在してること自体、実はマスメディア、僕は元記者なので、この告示のチェックまで正直やったことないです。
    ということは、国民の方々がこの告示の実態に触れるのは、関係者になった時だけですね。
    したがって、この告示にまず注目せざるをえないんですけれども、その告示によって、これまさしく前川参考人がおっしゃったとおり、獣医師などの大学新設を事実上差し止める、告示が、2003年に出されました。
    これは公平のために言っておくと、獣医師だけではなくて、お医者さま、歯医者さま、獣医師の方々、そして船員の方々、この4種についてですけれども、そういう差し止めが行われたわけです。で、この、ごめんなさい、2003年の告示の前からこういう姿勢だったですけれども、告示で改めて確認したということですから、そのために獣医師の大学、学部は、半世紀の間、実に新設されていないわけです。
     これに対して、いま加戸参考人がおっしゃった通り、愛媛県と今治市が共同で獣医学部を誘致し、加計学園だけがこれに応じたのが、告示の3年後の2007年です。ですからさっき加戸参考人は、10年の苦闘と。苦闘というお言葉ではありませんでしたけどもそういう趣旨でおっしゃったのは非常に正確な、時系列をおっしゃってます。
    その後8年間にわたって、加計学園だけではなくて、ここにいらっしゃるまさしく加戸さん、当時の愛媛県知事ら自治体の働きかけがあって、では、新しい需要があることなど、4つの条件を満たせば、国家戦略特区の中に獣医師の学校をつくって良しと、いう閣議決定がなされた。これが、一昨年の、2015年の6月30日です。
     で、この前年には、この国家戦略特区の基本方針がやはり閣議決定されていて、だから、どんな方も読むことができます。
    その中に、こういう趣旨があります。これは先ほど、山本大臣(地方創生担当大臣)がおっしゃったことでもあると思いますけれども、答弁は必要ないですが、
    ある省庁が規制の緩和を困難とする場合には、その正当な理由を説明するのを義務とすると。これを、ま、難しい言葉だと、挙証責任と言ってるわけですけれども、そういう趣旨が盛り込まれました。
    そのために先ほど申しました4条件に基づいて文科省は、新しい需要が獣医師にあるのかないのか、2015年度末、つまり去年の3月31日までに説明する責任が実質的に生まれました。
    ところが文科省は、年度末までにそれができなかった。
    で、それを見てなのか、そこで新たに京都産業大学が名乗りを上げました。つまりちょうどその頃、2016年の3月です。

     しかし政府、この場合は安倍政権は、これをもって文科省のいわば敗北とはせずに、半年延ばして、2016年9月16日に、国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングを行いました。
    この席で、文科省の課長補佐の方は、こうおっしゃった。新しい需要があるかないかという挙証責任は、大学や学部を新設したいという側にあると。
    要するに文科省にないってことをおっしゃったわけです
    ところがワーキンググループ側に、今日たとえば衆議院で、参考人でいらっしゃった原(英史)さんなどが、いや、文科省にあると。
    原さんの言葉、正確に言うと、逆さまになってる。むしろ挙証責任があるのは文科省のほうなのに、逆さまに言っていることをおっしゃって、この議事録をどなたでも読めますから議事録を見ていただくと、このあとに文科省の反論は一切ないんですね。
    で、したがって議論はそこで決着してしまっている。
    で、なぜ挙証責任が文科省にあるかといえば、これは大学や学部新設の許認可はすべて文科省が握っているからです。
    文科省も、それが分かっているから反論しなくて、いわばそれで決着してるわけです。
    もう一回申します。これ僕の推測とか、勝手な組み立てで申してるんじゃなくて、こういうものを、メディアも読み込んでいけば、本当は分かることです。

    R            ※青山議員が質問で使ったものではありません。

     で、この文科省が、いつも話題、問題になる総理の意向があるという内部文書、前川参考人のご答弁におかれても、これがメモであるという趣旨は、感じられますが、これを作成したのは、この決着した、事実上決着したわずか10日後の2016年9月26日のことです。すなわち、課長級の交渉、この場合、ま、直接は課長補佐ですけど、クラスで言うとだいたい課長級の交渉じて決着してしまったことに、改めて内閣総理大臣が口を出すというのは、行政の現場にいる人間からしたら信じられないことです。
    これ実は、あの、外務省、防衛省に至るまで、僕の記者時代の知り合い全部に聞いていきましたけど、一人もそんなことはありませんと、ね、いうことで、どうして国会でこういう議論になるんでしょうか、という疑問がむしろ僕に提示されました。
     で、これはすなわち、ここは僕の推測ですよ、フェアに申しておきますが、文科省の内部向けに、敗北、したことであっても、それは総理のご意向だから仕方ないでしょうという内部向け、に弁明する文書だったと見るのが、一番真っ当な解釈ではないでしょうか(議場ざわ)。
     で、この解釈が当たっているかどうかは別にして、現実に動いたのが、日本獣医師会です。先ほど加戸参考人がおっしゃった。

    Photo_7蔵内勇夫・日本獣医師会会長

    獣医師会の蔵内勇夫会長は、最近、西日本新聞のインタビューに答えて、こうおっしゃってます。
    規制緩和が決まった後は、つまりこの、ワーキンググループのヒアリングで事実上決着したってことを、当事者の獣医師会が一番、痛切にお感じになったわけですから、規制緩和が決まったあとは、確かに1校にしてくださいと、せめて1校にしてくださいとお願いしました、と。
    新設を回避できないなら、せめて1校に限るべきだと思ったからですと。これもどうぞ、インタビューの、もとを確かめて下さい。
    https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/340056/
     で、これを受けて、この年、まさしくこの年の11月秋になって新規参入の、京都産業大学が、次回以降に期待をつなぐ形で、これも、すみません、お名前申せませんが、京都産業大学、あの、取材に応じてないようですけれども、僕の知り合いに確認しましたら、今回だめでも次回以降、期待できるっていうことで、無理をせずに、ここで矛を収めましたと。ね。これは但し、非公式な発言ですから、あの、信憑性は確認できません。で、個人の発言ですから分かりませんが、しかし、皆さんお聞きになってどうですか、これごくまっとうな話ですよね。(そうだの声)
     そして、その京都産業大学の撤退を、直接受ける形じゃないと思いますけど、翌年、つまり今年の1月に、加計学園が、特区事業者に認定されたわけです。
    そして、獣医師会の強い希望、そしてこれ、僕は自由民主党のために質問してるんじゃありませんから、国益のために質問してますから申しますが(議場ざわ)、獣医師会による自由民主党を含めた正解への働きかけによって1校に絞られた時に、もしも去年に、初めて参入したのが、京都産業大学になっていれば、それこそ何があったのか大変な問題似なったのではないでしょうか。
    逆に言えば、京都産業大学が、今回については断念なさったのは、獣医師会の、強い働きかけがあったことも、一因ではないかと考えられます。これが、正直、公開された文書を何度も何度も読み返し、隅々まで全部調べたら、この経緯しかないんです(議場ざわ)。
     この経緯について、前川参考人にお尋ねします。ちょっと失礼な、物言いになることは許して下さい。そもそもこういった経緯について、現職の時に、こうやって国会にお出でになるような時の前に、詳細にご存知だったでしょうか」

    Photo_10
    ●前川喜平参考人(前文科事務次官)
    「私が、まあ、現職で文部科学省で仕事をしてるなかでもですね、見えない部分がたくさんございました。
    どうして30年4月開学が、大前提なのかですね。ここについては、合理的な説明はどこにもございませんでして、結局は官邸の最高レベルが言っていること、あるいは総理のご意向であるというような説明しかなかったと、いうようなことがございまして、これはあの、内閣府の方で、ご説明いただかなければならない部分だろうと思いますけれども、文部科学省からはあずかり知らない部分はたくさんございますので、私が承知していないことは多々ございます。
    しかし、その日本最高戦略改訂2015でですね、平成27年の6月に閣議決定された4条件てのがございます。これはやはり閣議決定でございますから、閣議決定である以上、政府部内にあるものは、何省であれ、何府であれですね、あるいは、特区諮問会議であれですね、これは内閣の一員として守らなければならないものだと思っています。
    で、この閣議決定の中でですね、4つの条件があるわけでありまして、文部科学省としてはこの4つの条件をやはり満たす必要があるということを、ずっとこだわったわけでありましす。
     その第一は、現在の提案主体による、既存の獣医師養成でない構想が具体化すること。で、これは今治市からそういう構想が出てくるということを想定していたわけであります。で、今治市から確かに何らかの物は出てまいりました。これに対して文部科学省側は何と言ったか。あの、ワーキンググループの、おー、議事録をお読みいただければ分かりますけれども、文部科学省はそのひとつひとつにつきましてですね、これは、既存の大学でできている、すでに取り組まれていることであると、ということを言っとります。
    で、それに対して、何ら反応はなかったわけであります。
    ですから、この、文部科学省としてはですね、この4条件に照らして、この今治市から出てきた提案は、この条件を満たすものではないと、いうことを主張しておるわけでありますけれども、そこから先の議論になっていないわけであります。
    そこからあとは、もう、とにかく、決めると。4条件は満たしたと。誰かが決めてしまったと。ま、そういうことでありましてですね。文部科学省として、その、ワーキンググループで、満たしていないという主張はしていることは、お読みになれば分かります(議場ざわ)。
     で、これをもって、その、挙証責任うんぬんと言われるのはおかしい話でございますが、あの、まず、その政府内での議論のなかで、どちらが先に、その必要性を述べるかと。これは確かに、議論の順番として挙証責任をまずどちらに負わせるかということあるかもしれませんが、その結果としてですね、内閣府が勝った、文科省が負けた、だから国民に対しては、これをやるんだと説明すると。
    これでは国民に対する説明にはなりません。この挙証責任の在処(ありか)ということと、国民に対する説明責任とはまったく別物でありまして
    、国民に対する説明責任はやはり、政府一体として負わなければならないわけでありまして(ヤジ)、えー、挙証責任があって、その議論に負けたから、文部科学省が説明するんだと、こういう議論にはならないはずであります」

    Photo_8

    ●青山繁晴委員
    「あの、僕は骨のところで、前川さんという人をなるべく信用したいんですけど、いまのお話は非常に不可思議な話で、まずあの、全体としておっしゃってるのは、いま僕が申し上げた、経緯について全部ご存知ないっていうのが伝わってきました。
    そうはおっしゃってませんけれども。ご存知であればご存知だとおっしゃるはずです。
    それから、たとえば、その、挙証責任を持つということと、国民に説明するってことは別だとおっしゃいましたが、これ別だったら民主主義は終わりです(「そうだ」と声が飛ぶ)。はい。何のためにこの審議やってるのかも分かりません。
     それから、挙証責任っていうことを、むしろ、こう話を、こういう言葉使いたくないけど、すり替えておっしゃったのはいまの前川さんの方であって(議場ざわ)。ね。だからそういうことは、その、何かの志を持って、いまお話しされてるんであれば、なるべく避けていただきたいと思います。
     で、そのうえで、時間も迫ってきますから、この件もやっぱり加戸参考人にお考えをお聞きします。どうぞ」

    ●加戸守行参考人
    「(略)ただ、それからもうひとつ感想を述べさせていただきますと、私は霞ヶ関で30数年生活いたしました。省庁間折衝というのはあります。自分の思いを、省を代表して激しい言葉も使い、場合によっては虎の威を借る狐のような発言もあり、でも事柄が決着したあとは、酒を酌み交わして、そして、お互いの、ああ、あんたもきつい言葉を使ったねと言いながら、決まったことに向かっての次の政策へ向かって行く。これが、霞ヶ関の文化でした。
    今回は霞ヶ関の文化が感じられません。時代が変わったんでしょうか。
    少なくとも、日本国民にとって、時代の潮流のなかで、どこが何を求めているのか、それに対応するにはどうすればいいのかを、考えることであって、私は本質の議論がなされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることに、はなはだ残念に思います」

    ●青山繁晴委員
    「はい。時間はあと6分になったんですけれども、前川参考人が、文科省の不正な天下り事件に関わられて、お辞めになったことはまあ、公然たる事実であります。
    で、この天下りの実態について、この日本記者クラブで、前川参考人が6月23日に、記者会見なさった時に、自分はその詳しい実態を知らなかったと、いうことを、その、お話になってます。

    で、これは正直、あの、僕は大変驚きを持って、その記者会見を拝見しました。動画でも、記録でも拝見したんですけれども。
     これが事実だったら事務次官の責任放棄か、怠慢、と言わざるをえませんし、事実でないんだったら、天下りあっせんの、そもそも違法性について、認識が足りないんではないかと、いう根本問題につながりかねないと思います。
    前川さんにちゃんとお答えいただきますけれども、たとえば獣医師会の蔵内会長は、この医師会内の春夏秋冬というご自身のエッセイで、何を書かれていらっしゃるかというと、既存の獣医師の改善待遇に、意を砕かれていると。そのためにも獣医師が増えることには反対すると。
    直接的には獣医師増に、つながる学校の増設には反対する意志、これエッセイで明確にお書きになってます。で、この獣医師養成の機関を含めて学校の許認可権はすべて、文科省にあるわけです。
    だから学校は天下りの文科官僚を受け入れ、文科省は次官以下が、学校への天下りを法を犯してでも進めたから、前川参考人におかれても、この問題で辞任なさったわけです。

     この獣医師会に見られるような、これも、獣医師の方が全部そうだとは僕はとても思いません。
    しかし会としては、既存の学校だけを守ろうとする姿勢と、天下り問題は密接につながってるんではありませんか。
    すなわちこれは、既得権益を、政・官・財・民、もうとにかくありとあらゆる所が一体で守ろうとする日本の闇につながっているんではないでしょうか。
    学校の設置許可も、良い学校が残っていくと良き競争に任せないで、既存の学校をとにかく守る、妥当な規制緩和であっても、やらないという姿勢が、現在の文部科学省ではないんでしょうか
    。その懸念を、今日の審議でも大変感じました。
     あと4分あります。すみません、前川参考人、できれば加戸参考人と、2分ずつ割っていただいて、えー、すみません、簡潔にですが、前川参考人のご見解をどうぞ」

    ●前川喜平参考人
    「えー、この国家戦略特区における、今治市における、
    獣医学部設置の問題、この問題をめぐる議論とですね、この、いわゆる天下り、再就職規制違反に係る問題と、これは結び付けて議論をするのはやはりおかしいと思います(議場ざわ)。
    ま、仮に結び付けるのであればですね、えー、具体的な事例は、木曽理事の問題です。木曽理事は確かに、私の先輩でですね、えー、内閣府官房参与をしたうえで、えー、内閣官房参与の身分を持ったまま、あー、加計学園の理事になっておられまして、その2つの肩書きを持った状態の時に私のとこにお出でになりまして、えー、まあ、加計学園の獣医学部の新設に向けてですね、働きかけをされたと。
    こういう、その、OBによる現役に対する働きかけこそがですね、やはり、いわゆる天下り問題の弊害の、ひとつの端的な例だと思っておりますが、私はこの木曽理事の働きかけにつきましては、それをもって、何らかの政策判断に影響させるということは、いたしませんでした。ま、その事実だけは、担当から伝えましたけれども、それをもってですね、何かその、忖度をするとかですね、便宜を図るとかですね、審査を甘くするとか、態度を軟化させるとか、そういったことはすべきでないと思っておりましたし、実際にそういうことにはなっておりません。
    この天下り問題と、この獣医学部をめぐる問題とをですね、結び付けて議論することは誤りだと思います」

    ●青山繁晴委員
    「いや、僕は結び付けなればいけないと思っています。そこが一番違うところですが、前川さん、最後に、加戸さんの話をいただく前に、一言だけ申せばですね、文科省はこのほど、文部科学白書を発表しました。
    その冒頭の3ページに異例な言葉が入っていて、組織的な天下りの問題について、省をあげて猛省する。そして国民に謝罪して、3人の事務次官経験者は、すなわち前川さん、あなたを含めてです。
    あっせんの構造づくりや、運用について関わっていた責任を、極めて重く受け止め、停職相当の評価にしたと。そういうふうにお書きになっているわけです。
    この後輩の方々が苦しんで書かれた、この文章を今のご答弁はちょっと裏切っているんじゃないかと思いました。

     すみません、あと1分になりましたが、加戸参考人、どうぞ。よろしくお願いします」

    ●加戸守行参考人
    「ありがとうございます。若干感情が高ぶって、思いの丈を申し上げすぎました。ただひとつだけ、触れていなかったことがございます。
    さまざまなことがございましたけれども、眺めながら。6月13日の国家戦略会議、諮問会議の民間有識者の委員の方々が記者会見をされて、私は人に知らされて、インターネットの、あの中継ではなくて、何て言うんですかね、あ、YouTubeで1時間半拝見させていただいて感激しました。
    (全録)加計学園・獣医学部新設 有識者が会見 その1
    (全録)加計学園・獣医学部新設 有識者が会見 その2
    特に今回の規制緩和に関して心に一点の曇りもなく、やったということで、これが今回の大きな事件の結論だったんだろうと思とます。
    これが国民に知ってもらうべき重要なことだと、私は思いました(略)たくさん今まで私のところに取材がありましたが、都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことは取り上げていただいたメディアは極めて少なかったことを残念に思いますけれどあのYouTubeがすべてを語り尽くしているのではないかなと思います。」 

    ●青山繁晴委員
    「ありがとうございました。終わります」

    2017年7月11日 (火) | 固定リンク | コメント (21)

    山路敬介氏寄稿 奥茂治氏 その人間と行動 その2

    010

    山路氏の論考の2回目です。昨日の前川喚問については山路氏による奥氏の人となりを掲載してからにいたします。

    前川喚問についは連載終了後にいたします。

               ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    Photohttp://www.sankei.com/politics/news/170512/plt1705120011-n1.html

     ■奥茂治氏 その人間と行動 その2                   
                  ~「先人を含む日本の名誉」の国益性
                                                                   

                                                 山路 敬介 

    承前                                                             

    ■「謝罪碑」の文面 

     「あなたは日本の侵略戦争のため徴用され、強制労働の屈辱と苦難の中で家族を思い、望郷の念もむなしく尊い命を奪われました。
     私は徴用と強制連行を実行指揮した日本人の一人として、人道に反したその行為と精神を潔く反省して謹んであなたに謝罪します。
     老齢の私は死後もあなたの霊の前に拝跪して、あなたの許しを請い続けます。 
                            
                                                    合掌
              
         1983年12月15日 元労務報国会徴用隊長  吉田清治 」

         篠原章 「吉田清治の謝罪碑を書き換えたのは私です--「実行犯」奥茂治  
         氏の告白」 新潮45 7月号66pより


    言うまでもありませんが、これほど事実に反する文章を石に刻みつけてまで後世に残す事は日本人にはもとより、韓国国民にとってこれ以上の屈辱はないでしょう。

     そのうえ、ここに額づきして見せた土下座のパフォーマンスの意味を鑑みるに、私にはこれこそ「朝鮮人差別」だった、と思われてなりません。

    > 戦時中、朝鮮人の多くが日本軍人にあこがれ尊敬し自からこれに投影しようとましたが、戦後になって日本人の方が「何か得体の知れない人間たち」として変化して行ったのであって、朝鮮人の目から見たらイケテない民族に写っているのではないかと考えられます。

     
     余談でしたが、つまるところ「日韓友好」というものが今後あるとすれば、健全な相互批判を持って行われる以外になく、その第一歩は韓国内の「事実の訂正」からによる他はありません。

     韓国内の報道を考えれば奥氏の企図するところが正就する確率は低く効果の点でも覚束つきませんが、奥氏のような日本人は韓国人には本来的に好まれるところでもあります。

     彼らを信頼し尊敬に値する民族として尊重するならば、少なくも奥氏の行動の方向性は間違ってはいず、むしろ安倍氏までの日本の外交方針に決定的な誤謬があったと言えます。

    Photo_2奥茂治氏

    ■奥茂治という人間

     
     個人的には「容貌魁偉」などという言葉がうかんできてしまうのですが、沖縄のオジさんはゴッツイ感じの人が多いので、外見だけでそんな風に思われる人は多くないかも知れません。 

    茫洋とした人物に見える時もあります。

     普段から小ざっぱりした服装を好まれる方ですが、麦わら帽子に島ぞうりを履いてキビ畑にいれば、そのまま「近所の農家のおじさん」と言った感じでもあります。

     話し方などもとても流暢とはいえず穏やかなもので、沖縄人としても訥弁の方かも知れません。

     奥氏という人は、反目に回った議論の相手の前に出ても気色ばむ事もなければ、声を荒げる事もありません。

     むしろ「公平」以上に相手の話をじっくり聞きますので、主張の全体的な骨子を理解するのがかえって早いようです。 

     相違点とポイントをしっかりおさえ、その事について丹念に議論しながら時には持ち帰り、後日再び会って納得を得てのち、初めてまた別の次の相違点に移る、といった具合で、やり方が常に「ひとつひとつ」なのです。

     結局最後は相手も真意を話すようにならざるを得なく、すっかり説得を受け入れてしまう仕儀となります。

     奥氏の人間理解の深さが、その説得術の根幹にあります。

     これは私の考えに過ぎませんが、近年の沖縄防衛局の地権者に対する効果の高い粘り強く着実な交渉方法は、この奥茂治方式によるものと思っています。

     また、奥氏は沖縄における「保守派のフィクサー」などと言い囃される事もありますが、その行動が金銭を伴ったものであった事は一度もなく、自衛隊OB会や協力会には入っているものの、団体の意向を笠に着る交渉を行なったことはありません。

     それでも喜界島の通信施設設置や、与那国島の自衛隊設置問題などで地域との交渉の面で重要な役割を果たして来ました。

     それらはすべて交通費からして手弁当で、交渉そのものがすべからく「個人行為」である事もこの人の魅力です。

     なおかつ、こうした功労を影で称える人こそ存在しますが行為が公表されるわけでなく、本人自身それを望んでもいないし、したがって「知る人ぞ知る」の状態で、少しも鼻にかける事もありません。

     青山繁晴氏がよく西郷南洲の言を引いて、「命もいらぬ、金もいらぬし、名もいらぬ~」云々の事を政治家の矜持としてよく言われますが、奥茂治氏の場合はそのような言葉に寄らず全く意識しないでも、これを自然に行動に結び付けられる点で突出しています。

     飄々としていますが、「飄々としておりましょうよ」という事で飄々としているのではなく、つまり「作った部分が何もない」人です。

                                                (続く)

    2017年7月11日 (火) | 固定リンク | コメント (9)

    2017年7月10日 (月)

    翁長知事過半数割れ/ 山路敬介氏寄稿 奥茂治氏 その人間と行動   その1

    033_2

    那覇市議会選挙の結果です。

    「那覇市議会議員選挙は9日投開票され、即日開票の結果、城間幹子市政を支える与党の当選者は16人で、1議席を減らし、過半数には届かなかった。野党は現有4議席から3議席伸ばし、7人が当選した。市政に対して中立を標榜する当選者が17人で最も多かった。投票率は51・20%で、2013年の前回選挙より8・94ポイントを下回り、補選を除き戦後最低だった。」(沖タイ7月10日)
    http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/110807

    翁長与党1減、野党1増です。

    ・翁長与党・・・16名
    ・自公合計・・・14名

    党派別増減
    ・自民7(+3)
    ・共産7(+3
    ・公明7(+1)
    ・維新2(+2)

    12大山たかお氏

    トップ当選は自民・奥間亮氏です。2位はあの翁長ジュニア。自民公認中第2位は、大山たかお氏でした。http://okinawa-mirai.com/

    元自衛官、準備期間の短さをはねのけての堂々の当選です。おめでとうございます。

    翁長氏の親衛隊である新風会は2減です。翁長氏にとってはこれは痛いでしょう。

    ・与党系・・・16人
    ・野党系・・・8人
    ・中立系・・・16人

    「オール沖縄」の発祥の地であり、翁長氏の磐石であるべきお膝元でのことだということに留意下さい。

    朝日系のハフィントンプレス(7月6日)にさえこう書かれる始末です。

    「6月中旬、沖縄政界のある関係者が、「新風会は消滅します」と言い切った。
    新風会とは、2014年夏、辺野古移設反対を表明していた翁長雄志那覇市長(当時)に知事選出馬を要請し、自民党から除名などの処分を受けた元自民党那覇市議会議員グループである。言わば、翁長氏の親衛隊であった。
    所属議員12名を擁し、那覇市議会の最大会派であったが、その後、副知事(安慶田氏)や県議選への転進(2名とも落選)の他、脱落者も相次ぎ、現在では5名のみである。
    さらに7月9日に迫る那覇市議選でも、苦戦が伝えられている。5名の候補者しか立てられず、そのうちの1人は知事の次男、翁長雄治氏である。
    彼に票が集中して同会の他候補の票を奪い、新風会の当選者は2~3名に止まるとの予測がある。そのような事態に陥れば、新風会の存続そのものが危うくなる。
    翁長氏は、那覇市議2期、那覇市長4期などを含め、30年近くにわたって那覇市を拠点に政治活動を展開してきた。那覇市こそ、翁長知事の最大の支持基盤のはずである。その同知事を直接支えてきた新風会がこれほど凋落したのはなぜか」(

    http://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-meguro/all-okinawa-shinpukai_b_17355512.html

    そしてこのように指摘しています。

    「7月9日の那覇市議選で新風会が敗北すれば、「オール沖縄」内での保守系の存在感が一挙に薄れ、共産党の比重が増す。そして共産党の影響力の増大は、保守派を知事から遠ざけ、保守派の支持を失った知事はますます共産党に依存する「悪循環」に陥りかねない。」

    翁長ジュニアを立てるという戦術が裏目に出ました。オヤジが知事だというだけでなんの政治経験もない人物が、新風会の現職の票を食ってしまったわけです。

    結果、新風会全体としてはまさにハフィントンが懸念する通りの「消滅の危機」ルートに乗ってしまったようです。

    これで翁長氏は、来年の知事選まで、共産党の力なくしてはまったく再選が望めなくなりました。

    かくて「オール沖縄」は、「共産党&アザーズ」となる模様です。

    Photo_4

    さて山路敬介氏から頂戴した論考を掲載します。

    寄稿依頼をしたときに、私の意見を言い忘れて失礼をしましたが、もちろん奥茂治氏の行動については深く共鳴しています。

    今回山路氏に寄稿依頼したのは、本土人の眼からではなく、沖縄県人の眼を通してこの奥氏の行動を捉えたかったからです。

    3回分割として、一部読みやすくするために改行を施した以外は、原文ままです。

    あらためて、優れた論考を寄せられた山路氏に感謝します。

    Photo_3奥茂治氏 https://www.youtube.com/watch?v=jU3j-Hw3PLE

                ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

     ■奥茂治氏 その人間と行動              
                  ~「先人を含む日本の名誉」の国益性その1

                                                 山路 敬介

     
    奥茂治氏の事について何か書く気があるかどうか、ブログ主様からメールを頂戴し、直ちにお受けしました。
     ブログ主様がその役を私に振るのは奥氏が「沖縄の人」である事からでしょうが、現時点でブログ主様自身の奥茂治氏への評価は一切不明です。
     もしかするとブログ主様の見解と真逆な論述になるかも知れず、だからと言って全面的な「ボツ原稿」にはなりはすまいと考えつつ、前例どおり自由自在に語らせて頂きます。

    ■韓国警察に逮捕された奥茂治氏

     
    もうご存知の方も多くおられるでしょうから説明は不要とは思いますが、奥茂治氏が去る6/24仁川国際空港で逮捕されました。

     http://www.sankei.com/world/news/170626/wor1706260007-n1.html

     このような顛末に至る経緯は先刻ご承知の方も多いだろうし、皆様に今更説明する必要もないと事と思いますが、より詳細・明確に問題の本質を理解するためにも、ぜひともこのふたつをお読みください。

     ひとつは『父の謝罪碑を撤去します 慰安婦問題の原点「吉田清治」長男の独白』 大高未貴著(産経新聞出版)、今ひとつは、本ブログコメント欄に登場された事もある篠原章氏の、奥氏と長男へのインタビューのうえでの論考『吉田清治の謝罪碑を書き換えたのは私です--「実行犯」奥茂治氏の告白』 (新潮45 7月号66p~)をお読み頂きたく思います。

     
     上記著作と篠原氏のツイッター情報などを参考とし、概要をごく簡単に説明します。

     事件は、慰安婦問題で日本国と多くの韓国民にとって「致命的」となる詐欺行為を犯した吉田清治氏の長男にあたる方の苦悩によるところが発端です。

     結果的にとてつもない愚劣な行為を犯した吉田清治ですが、大高氏の新刊本によれば、ご長男はじめ子供らには子煩悩で深い愛情をそそいでいた事実は切々と胸に迫る部分もあり、だからこそ「長男の苦悩を解いてあげたい」と考えるのは同感です。

     父吉田清治の詐欺的行為が今や明瞭となり、朝日が一連の記事を取り消してなお、全体的な状況は日本にとっても韓国にとっても好転せず、その事で彼の苦悩はむしろ倍加します。

     朝日新聞や反日人権団体、マスコミなどに利用されたとはいえ、この騒動の源・火付け役となったのは父吉田清治の本や、「強制連行」をもとにした韓国内謝罪行脚にある事は疑いようもなく、今現在でさえも韓国人一般の多くに「強制連行」が信じられている現状が彼に重くのしかかるのです。

     苦悩のすえ、吉田清治が詐話本の印税で建立したとされる韓国天安市望郷の丘の、ウソで固められた「謝罪碑」だけは、せめて吉田清治の相続人・長男としてクレーン重機を用いてでも「撤去したい」と言う考えが強くなりました。

    Photo_2http://www.sankei.com/world/news/170626/wor1706260...

     その実行行為を引き受けたのが、奥茂治氏です。

     奥氏はクレーン車を用いる事こそ断念したものの、文面を「慰霊碑」とだけ書いた重さ90キロにも及ぶ石版を三層に分けて、たった一人で運搬・強力接着しました。

     その後、公園管理者あてに「碑文変更届」を郵送で提出します。

     変更届けの内容はこのようなものでした。

     「吉田清治の御子息から碑の処置を一任された事。 碑文に書かれてある事は虚偽だと判明したので慰霊碑と書き換えた事。朝日新聞も当該謝罪碑に関する記事を取り消した事。虚偽の謝罪碑は日韓友好を妨げる事などを書き、氏名や連絡先も書き添えました」(篠原章 「吉田清治の謝罪碑を書き換えたのは私です--「実行犯」奥茂治氏の告白」 (新潮45 7月号 p70より)

     住所氏名を明記したのですから、当然韓国当局から「呼び出し」が掛かります。

     おめおめそんな要請に答え韓国に入国しようものなら、産経の加藤支局長のように長期の出国禁止が課される事は想像に難くありませんでした。

     大高氏はもちろん、櫻井よしこ氏も韓国行きを止めたようですが、奥氏の決心は固く今回の顛末に至ったものです。

     拘束も解かれ当局の扱いも今のところフェアなものであるようで、検察の取り調べを受けながらも意気軒昂に見えます。

     現在は公開されるべき情状証拠として用いるべく朝日新聞社から「吉田清治の一連の慰安婦に関する発言はウソであり、朝日新聞もそれを取り消した事」、そうした旨の証明文の発行を欲し、各方面より朝日新聞社に働きかけている最中です。

     奥氏は「違法なら、刑に服する覚悟」とし、「法治国家韓国を蔑んではいません」とも言っています。

     この事に関する二人の法的解釈は簡単で、相続人であるゆえに「碑」の所有権は長男に属すものと考え、従ってその「処分権」も長男にあると言うものです。

     韓国警察当局の逮捕容疑は「公共物損壊」のようなものらしく、「碑」の所有権はすでに「寄付」により韓国側に移ったものとの解釈に基づいているようです。

     奥氏側は寄付行為を示す書類も何もなく、これを「不当」とします。

     しかし、主張する所有権の存否問題はともかくも、現に公園管理者の管理の下にある物件ですので、奥氏側の主張が100%受け入れられる可能性は低いでしょう。

     ただ、実はそのような事は奥氏にとってほとんど問題ではありません。

     わざわざ韓国まで出向いて逮捕覚悟の「出頭」をしたのは、いや「逮捕されに行った」のは後で述べるように二つの理由からでした。

     

                                                 (続く)

                                             文責:山路 敬介

    2017年7月10日 (月) | 固定リンク | コメント (26)

    2017年7月 9日 (日)

    日曜雑感 日本型ポスト真実 わが国の政治は気分で動く

    024

    政治が気分で動くのを毎日のように見せられています。

    捉えどころのない<感情>が相手ですから、理性的批判を受け付けません。

    思えば、去年から延々とこうです。

    私たちが豊洲の地下水を基準値から掘り下げて安全性を検証しているときに、メディアは「謎の地下空間」がでたと「疑惑」の追及に夢中でした。

    私たちが森友の周辺地域を洗っている時に、メディアは昭恵夫人の「100万円寄付」をなにか意味があるかのように連日報じ続けました。

    私たちが加計の諮問会議の議事録を読むというしんどいことをやっている時には、メディアは文書があるないという低次元の「疑惑」にうつつを抜かしていました。

    こういう空気の中で生れた「気分」が、アベは何かおかしい、何か隠している、どこか増長している、どこか威張っている、お灸を据えてやらにゃならん、という支配的雰囲気でした。

    そして気がつけば、それはもやもやとした梅雨の空のように、なんとなく日本を覆い尽くしていたわけです。

    どこかのツイッターに、こんな母娘の会話が乗っていたので笑ってしまいました。

    母「なんか安倍って気分悪いわ。やめさせるわけにいかへんの」
    娘「どこがおかしいねん」
    母「どこかや」
    娘「だからどこかってどこや」
    母「どこかはどこかや」
    母「安倍さんやめさせて、誰が替わりになるんや」
    母「誰かや」

    森友は「どこか」怪しかったが、安倍が強引に幕引きした、加計は「どこか」おかしいが、安倍は強引に国会審議を打ち切った、「共謀罪」は「どこか」危険だが、安倍は強行採決した・・・。

    みんな漠然とした「どこか」です。定形がない空気に漂う気分みたいなものです。

    なにが原因なのかわからないまま、この人たちの中に不信の澱が溜まっていっているのでしょう。

    森友の用地が伊丹空港の騒音区域にあり、極めて特殊な歴史的経過をもった利権まみれの土地だということなど、まったく報じられませんでした。

    それが分かれば、あの値引き理由など簡単に分かるのですが。

    加計などに至ってはもっとシンプルです。

    全部、公開された文書に書いてあります。それも文科省・内閣府のフォルダーに膨大にあるわけではなく、加計に関わる文書はたった2本です。

    この特区諮問会議の議事録を時系列に沿って読めば、前川文書などただの省内の言い訳・伝聞メモにすきないことなど容易に理解できるはずです。

    「共謀罪」など、世界99%の国が同じような法律を持っており、持たないのはわが国くらいのものです。

    ところが多くの人は、それを知らぬまま「なにかおかしい」と思っているのです。

    なぜでしょうか?

    そのひとつの理由は、メディアが馬鹿だからです。信じがたいほど不勉強、信じがたいほど薄っぺら、信じがたいほど腐っています。

    おまけにメディアは、子供の時から勉強ばかりしてきた高学歴エリートの巣窟ですから、それに気がついたとしても認めません。

    彼らは生れてこのかた馬鹿なんて呼ばれたことがないでしょうから、私からもう一回言ってやります。

    お前たちメディアは大馬鹿だ。ほんとうはとっくに死んでいるのに、生きている顔をしている死人だ。

    お前たちの愚かさが、今回を逃したら二度とないデフレ脱却の機会をつぶそうとしている。

    お前たちが望む増税論者の石破が政権を握ったら、もう二度と日本はデフレから立ち直れないだろう、と。

    ただし、常に味方を背中からしたり顔で批判するだけの彼が、次期総裁になる可能性はコンマの確率でしょうがね。

    そしてメディアは他者には倫理を要求するくせに、みずからには「ひるおび」よろしく「それでは次ぎ」とばかりに大甘なのですから、彼らの自浄など百年清河を待つ類となります。

    私は日本のメディアには、一回滅びてもらうしかないと思うようになってきつつあります。

    そしてワイドショーを見て党の方針を決めている野党第1党もまた。

    「オックスフォード英語辞典」が選んだ「2016年の言葉」は、「ポスト真実」(post-truth) でした。

    これは客観的事実より、自分たちが信じたいと思っている信念や思い込みのほうが、世論を作っているという現代の風潮ということのようです。

    トランプの登場、ブリグジットなどを見ると、世界はポスト真実で動いているようです。

    そして、小池氏が「どこか」かっこいいと思って、票を投じたわが国もまた。

    2017年7月 9日 (日) | 固定リンク | コメント (52)

    日曜写真館 初夏の日差しの中の脇役たち

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    2017年7月 8日 (土)

    ケーススタディ2 秋葉原選挙妨害事件にみるメディアの病理

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    都議選最終日に秋葉原で該当演説に出た安倍首相に対して、「安倍やめろ」のコールが起き、首相が「あんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言したことから、メディアは待ってましたとはかりにそれを報じています。 

    本日はメディアのフェーク・ニュースを追及し続けているnetgeek様を参考にして、見ていきましょう。http://netgeek.biz/archives/99004 

    Photo
    上の写真で、開票翌日の7月3日、テレ朝・報道ステーション(7月3日)が指さしているのが、その時の写真です。 

    朝日系列の日刊スポーツ(7月2日)が、ワイドショー的に「キレた首相「こんな人たちに負けない!」国民に応酬」と題して報じています。

    「国政の逆風に吹かれる自民党は安倍晋三首相が、秋葉原で今回の都議選初の街頭演説に立った。聴衆から「安倍ヤメロ」のコールに包まれる中、森友学園の籠池泰典前理事長まで乱入し、大荒れとなった。(略)
    ヤジが激化するにつれ、首相も「憎悪や誹謗(ひぼう)中傷からは、何も生まれない!」と語気を荒らげ、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と、自身に批判的な聴衆を「こんな人たち」と呼び、国民のヤジに応酬。首相としては異例の行動で、「自分への批判を許さないという空気も感じられ、大丈夫かと思った」との声も聞かれた。」

    東京新聞(7月2日)です。

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    メディアは一斉に「キレた安倍」というトーンで報じ、ワイドショーを見て党の方針を決めている民進党・蓮舫代表は、「「こんな人たち」訂正を要求」(時事7月6日)しているそうです。http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070600996&g=pol 

    事実、朝のワイドショー「モーニングショー」(テレ朝7月6日)で、コメンティターの高木美保氏がこうしゃべっています。 

    Photo_3

    「(森友学園問題や加計学園問題など)政権内の緩みがあったことは事実。それにもかかわらず有権者に対して『こんな人たち』と言ってしまったのは政治家として、総理として、民主主義や多様性の重要さを軽んじている」

    もうひとつご紹介します。フジテレビ「バイキング」(7月3日)での司会者坂上忍氏と東国原氏の発言です。
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170703-00000542-sanspo-ent 

    Photo_4

    「スタジオで議論する中で坂上は、「僕、一番印象に残っていることとして1日の安倍首相の発言を挙げ、「一国の首相ですよ、マイクを通して一部の聴衆の方々に『こんな人たち』と批判された。その奥で石原伸晃さんが手を叩いてあおっていたあの目を見たときに、『ああ、今の自民党っていうか安倍内閣って、これなんだろうな』って生意気ながらに思った。『理解されてますか?』っていう気になった」と批判した。
     タレントの東国原英夫(59)も「ものすごい鋭いですね」と同調。「あの言葉っていうのは、今までの不祥事の全部を合わせたぐらいの、本当は言ってはいけない言葉。この言葉が大問題にならないことがおかしい」と断罪し、「あれこそが撤回しなきゃいけない言葉」とコメントした」

    引用しているだけでゲンナリしますが、これが今週初めの地上波を埋めつくしたトーンでした。 

    ではしたり顔でコメンテイターは、「有権者に『こんな人たち』と言ってしまった」としていますが、一体どんな人たちだったのでしょう。 

    この日、大きな横断幕まで持ち出して拡声器でガナりたてる集団が目撃されています。

    Photo_21

    安倍氏が、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言した際に振り向いた方向も明らかになっています。

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     その集団を拡大してみます。 

    Photo_5

    上の写真はは引いて撮っていますが、メディアはこの横断を持ってマイクでガナる集団のみを拡大して流します。

    すると、上の写真がこういう具合の<絵>に仕上がります。

    Photo_6
    まるで自然発生的に安倍氏に抗議の声が起きて、首相が孤立してキレたという<絵>というわけです。 

    これがメディアがフェークニュースを作る常套手段にしている、一点拡大手法です。 

    Photo_11

    そしてこれでもまだ飽き足らずメディアは、この<絵>の中に、なんとあの剽軽者の籠池夫妻をハメ込むあざとさまで演出しています。

    まるで「被害者」の理事長夫妻の「一太刀なりともアベに」といった遺恨試合の<絵>を作りたかったようです。

    ここに前川氏もいたら、シビレルるような<絵>になったはずなのに惜しいことです。

    メディアは、森友・加計が都議会議員選のテーマだと誘導したかったわけです。 

    Photo_13
    それにしても選挙演説の妨害に来て、言うに事欠いて「民主主義がきちっとしなきゃあかん」ですって(爆)。詐欺の実行犯に言われたくないよ。 

    Photo_10
    籠池夫人は、「携帯を返せ」とわけのわからないことを怒鳴っているようです(またまた爆)。 

    きっと携帯には辻本氏の関わりが入った記録があったのを押収されて、怒っているんでしょうか。 

    ちなみに後ろでニタニタしている黒シャツの男が、有名な過激派「しばき隊」のリーダーの野間易通氏です。 

    この人物がこの秋葉原選挙妨害事件の現場指揮者だということがわかっています。

    野間氏は我那覇氏を脅迫したことでも知られており、彼の迫力に満ちた写真も公開されています。

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    ちなみに野間氏の左にいる女性も、山本太郎氏や三宅洋平氏の選挙ボランティアをした運動家のようです。

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    そのほか中核派のプラカードが多く掲げられており、彼らの全学連委員長もいたことが判明しています。http://netgeek.biz/archives/99219

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    では、この籠池夫妻は誰がこの秋葉原に連れてきたのでしょうか。
     

    一連の籠池氏の動きを追った写真が残されています。 

    Photo_12https://twitter.com/nsr173 

    籠池氏にはTBS社員が寄り添って、タクシーにまで同乗している様が撮影されています。 

    断定的なことは言えませんが、TBSがなんらかの形でこの秋葉事件に関与しているという指摘もあります。 

    では改めて、この秋葉原選挙妨害事件の実行部隊は誰でしょうか。 

    これもそうとうまで明らかになっています。有り難いことに、民進党・有田芳生議員がカミングアウトしてくれています。 

    Photo_14
    netgeekさんはこう指摘しています。

    「もしも集団の正体を全く知らなければ関与を否定するだけで「共謀罪に反対する市民のクラウド的なもの」という説明はできないはずだ。正体は民進党だったかもしれないし、新たにできた団体だったかもしれない。様々な可能性が考えられる中で集団の正体を歴史的経緯を踏まえて断言できたのは集団に関与しているからに他ならない。
    公的には共産党としての活動ではないにしろ、有田芳生氏が誠実に説明しないのは卑怯であろう。否定はするものの真実は隠す。こうして猪瀬直樹氏をうまく操り、大衆を騙した」

    まったくそのとおりです。このツイッターで有田氏はよせばいいのに、「しばき隊」とその周辺の歴史的形成過程まで語ってしまっています。 

    有田氏は一貫して「しばき隊」に寄り添って様々な過激行動に参加していることが確認されています。 

    推測の域を出ませんが、秋葉原事件の原案は野間氏から「代表」と呼ばれている有田議員が書き、実行部隊を野間氏に指揮させたと考えられます。

    部隊メンバーには、しばき隊と共産党系、中核系など雑多な活動家の姿が写されています。

    彼らはメディアと太いパイプを持っているとされていますから、前もって「安倍の演説に合わせて何か起こす」という情報がメディアに流されていたとしても不思議ではありません。

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    そしてこの秋葉原選挙妨害事件で大音量で「安倍ヤメロー」とガナっていた携帯メガホンは「しはき隊」の使っているものだとわかっています。 

    Photo_16

     この大きな横断幕さえしばき隊が常用しているものです。野間氏のツイッターです。 

    Photo_17
    などとネットが傍証を押さえている最中に、現場指揮官と目される野間氏みずからが堂々とその事実を認めていまいました。 

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    Photo_18netgeekさんはこのように締め括っています。まったくそのとおりです。

    「自分たちの都合のいいように日本を内部から崩壊させようとする団体をこのままのさばらせていいものか。今回の騒動で誰が日本国民の敵なのかはっきりと知ることができた。報道ステーションは安倍やめろコールを大々的に映して「安倍政権支持の潮目が変わった」と報じたが、しばき隊が騒いでいたのは昔からの話で今に始まったことではない。メディアが少数派の派手なパフォーマンスを映して全体の総意と報じるのは間違っている。
    既存の大手マスコミはこの真実を報じないだろう。せめてネット上でだけでも真実を記しておきたい」

    最後に公平を期する意味で、TBS金平茂紀キャスターのご意見を追加しておきます。

    金平さんは、あの秋葉原の選挙妨害とルーマニアのチャスセスクを倒したヤジになぞらえてこう述べています。
    https://mainichi.jp/articles/20170707/dde/018/070/029000c

    「当日、TBSのニュースはこの秋葉原演説を「激しいヤジが飛ぶなかで」と明言して報じていたが、なぜかNHKの午後7時のニュースでは、このヤジが報じられず、安倍首相の演説の音をメインにして放送されていた。あれらの人々の声はどこに行ったのか? あの場所で起きていたニュースとは一体何だったのか?
     1989年12月、ルーマニアのチャウシェスク政権が首都ブカレストで政権支持派の10万人集会を開き、国営ルーマニア放送が生中継していた。チャウシェスク大統領の演説の最中、1人の男がヤジを叫んだ。それをきっかけに集会は大混乱となり、さらに治安警察が鎮圧に動いたことで反政府暴動に発展、ルーマニア革命が起きた 」(毎日新聞7月7日)

    金平氏の現状認識では一党独裁の共産国家だった当時のルーマニアと、議会制民主主義国家の日本とは同じで、ルーマニアの民主化運動家としばき隊は同じ、安倍氏はチャウシェスクだそうです。

    特に私からは論評しません。

    こういう人物が、テレビ局の報道トップにいるということを、あらためて再認識しただけの話です。

    2017年7月 8日 (土) | 固定リンク | コメント (16)

    2017年7月 7日 (金)

    ケーススタディ 「ひるおび」フェークニュース事件

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    今回の都議選ほど私たちネット言論が、「フェークニュース」と呼んでいるメディアの狂態が露わになった時はないでしょう。 

    「ニュース女子」がBPOに提訴されるくらいなら、この事例などどうなることか。 

    おそらく提訴されてもBPOはその性格からスルーを決め込むか、すでに謝罪して訂正しているからおとがめなしで済ませるでしょうが、ならばもうBPOの組織自体いりません。 

    さて具体的に、今、ネット界で話題になっている代表的事例を取り上げてみます。 

    地質学者・藤原かずえ氏の「マスメディア報道のメソドロシー」を参考にさせて頂いて、見ていきます。
    http://ameblo.jp/kazue-fgeewara/ 

    藤原氏はこう述べています。

    「センセーショナリズムをビジネスに多用するマスメディアがスケイプゴートを悪魔化する際には、ある事実に対して【情報操作】【心理操作】【倫理操作】を行うことでその内容を見かけ上変質させるのが常ですが、ときにこれが行き過ぎて事実自体を捻じ曲げることがあります」

    大変に的確な指摘です。 

    現在メディアは、「悪魔」と見なす安倍首相・自民党を<悪魔化>したいという大きな目標に沿って、番組や紙面を大量生産しています。 

    その場合、もっとも有効な手段は印象報道です。調査した事実を積み上げて認識を共有していくのではなく、あらかじめある強烈な印象の<絵>をぶつけてきます。 

    そして視聴者・読者に「えっ」と言わせたらしめたもの。後は、見る人の意識にフェーク情報を注入し、流す側の思うままの一定の方向に誘導していくことができます。 

    古典的手法ですが、お手軽にしてすこぶる強力であるが故に、今なおメディアは使い続けています。 

    では、印象報道のケーススタディとして都議選開票翌日の2017年7月3日、TBS昼のワイドショー「ひるおび」を分析した藤原氏によって見ていきます。 

    まず、司会者の恵俊彰氏が都議選の結果を、コメンテイターの三雲孝江氏に振ります。

    ・三雲孝江 「やっぱり初登庁の時のあのイメージの悪かった方達がみんな落ちたというか、あのイメージのまんまちょっと来ちゃったんだなと」
    ・恵俊彰 「「写真撮らない」って方、落ちちゃったんでしょ」
    ・三雲 「落ちました。はい」

    Photo

     ここで三雲氏と恵氏が取り上げている「握手を拒んだ」と名指しされているのは、自民党都連の、川井重勇東京都議会議長のことです。 

    この「事件」は2016年8月2日、東京都庁初登庁時に各会派に挨拶に回った小池東京都知事との間に起きています。 

    思い出して頂きたいのですが、当時から川井氏は「握手を拒んだ」としてメディアに報じられていました。私も大人げないことをするな、と当時思った記憶があります。 

    「ひるおび」でも流された映像がこれです。 

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    ジャバザハット内田が支配する都議会という名の魔宮に、ひとり敢然と立ち向かう白馬のジャンヌダルク小池。

    これがメディアが見せたかった、<悪の権力者vs白馬の騎士>という絵です。 

    情報ではなく、ましてや調査報道でもなく、<絵>で百聞は一見にしかずで理解させる、これが電波媒体の特技です。

    当時からメディアは繰り返しこの映像を使い続けます。内田-川井コンビは何も真相がわかっていないうちから、「権力に奢った政治家」とされてしまったわけです。

    ちなみに、この後約1年間かけた小池氏の疑惑追及にもかかわらず、内田-川井氏たちの不正はなにひとつ見つかりませんでした。

    私は内田都政には批判的ですが、彼の問題はそんな利権構造ではなくもっと別のことです。

    それはさておき、メディアにとってはこれでいいのです。証拠が見つかろうが見つかるまいが、「どこか怪しい」という印象を国民に与えてしまえば、勝ちなのですから。

    この印象操作をえぐいばかりに徹底して使ったのが、キャスター出身の小池氏でした。 

    では、この場面は実際にどうだったのでしょうか。 

    もう多くのネチズンは知っていると思いますが、川井氏は常識的に握手をしています。 

    Photo_3
    川井氏が「握手をしていない」といわれたのは、実はこの後の記念写真の撮影時のことです。 

    「昼おび」はこの動画を流す時に、巧みに握手した瞬間のコンマ何秒を切り取ってスキップ編集して放映しています。 

    これは「ひるおび」にかぎらず、多くのメディアも一緒です。 

    朝日系列のハフィントン・プレス(7月3日)です。
    http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/02/kawai-loses_n_17372858.html

    「議会自民党の重鎮で、小池百合子知事の就任直後、挨拶回りに来た小池氏との握手を拒否した川井重勇・都議会議長(69)が、7月2日に開票された東京都議選(中野区)で落選した。
    川井氏が小池氏との握手
    握手や一緒に写真に写ることを拒んだのは2016年8月。それ以降は、「反小池」の急先鋒とされていた。」

    もっともハフィントンのほうは、川井氏の「握手を拒否したことは1回もない。写真はお断りしましたけれど。議長としては写真撮影に応じることはできなかった」という言い分も報じているだけまだましというべきでしょう。

    ただし、これはすべてが終わり自民党の壊滅的打撃が決定した後に、言い訳のように書き添えたところが味噌ですが。

    実際の小池氏と川井氏の別れ際の写真が下です。特になんということもなく、川井氏は大人の常識を持って小池氏に接しているのが分かります。

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    「ひるおび」は池に落ちた犬は叩けとばかりに、いっそう言い募ります。

    この意図はいうまでもなく、自民党中枢にまでこの都議会選ショックを及ぼし、あわよくば安倍政権を打倒したいからです。

    かつて保守系と誤解されてきた週刊文春まで、この浮かれ調子の波に乗じてで「安倍に鉄槌」ときたもんです。 花田さん 泣きよるで(苦笑)。

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    続いて「ひるおび」は、二階幹事長のマスコミ批判の部分を切り取って流します。

    ・アナウンサー 「さらにマスコミについて問われて二階幹事長、「どういうつもりで記事を書いているのか知らないが、我々はお金を払って買っている。そのことを忘れてはダメだ。落とすなら落としてみろ。マスコミが左右すると思ったら大間違いだ。」という発言もありました」
    ・恵 「大変なことになってまいりました」
    ・コメンテイター 「だんだんトランプ大統領みたくなってきましたね。
    ・恵 「ね~、メディア対大統領みたいなそんな感じになってきましたね」

    そしてこの陽気な浮かれ調子のまま、次ぎなる標的を麻生太郎副総理に据えます。

    麻生氏の発言は、いかにもこの人らしく警戒感ゼロです。「ひるおび」はこの発言を動画で流します。

    「政治家は発言と同時に責任も伴う。だがマスコミは好き勝手言うだけで間違っていても何の責任もとらない。
    書かれている情報はかなりが間違っている。俺が書かれている本人だからよく分かるよ。たぶん他の人も違うんだよ。だからそんなものにお金まで払って読むか」

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    ・恵 「だんだん矛先が変わってきましたね。確かに」
    ・田崎史郎 「いつもそうなんですけれども、マスコミ批判したっていうこと自体がダメなんですよ。困り果てるとすぐマスコミの批判をしているんですね。でも本来なら自分たちが種をまかなければそういうことにはならなかったわけですよ」
    ・恵 「そこで小泉さんのおっしゃった「自分たちがまいた種なんですよ」は拍手なんですけれども」
    ・田崎 「これだと失笑買うだけでしょ」
    ・恵 「書いてることが嘘だもんってなったらね」
    ・伊藤惇夫 「そうですね。フェイクニュースが流行っているからって、あぁいうこと言われるとですね、むしろ反発が強まるし」

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    田崎さん、なにが「マスコミを批判したこと自体がダメだ」ですか。いかにもあなたたのような訳知り顔の古株記者がいいそうなことです。

    伊藤さん、「フェークニュース」そのものを流しながら、ヨー言うよ、です。これについては麻生氏と二階氏の批判はまったく正解です。

    その発言を選挙戦末期に言ってしまう政治判断と、ニュース内容自体は本来別次元なことです。

    しかし伊藤氏は意識的にそれを混同して、自民は負けたからフェークニュースではないとでも言いたげです。

    こういう政局に始まり政局に終わるような政局漫談家たちが、「政治評論家」と名乗って電波にしゃしゃり出て、政治をワイドショー化させてきたのです。

    それでも評論家ならまだまし。

    ただの芸人や自称小説家に好き放題しゃべらせているのがワイドショーで、彼らが主婦層の意識を作ってしまっています。

    「マスコミ批判をした」どころか、しなかったために招いた事態です。

    菅氏が加計問題を朝日がぶつけてきた時に、「怪文書」のひとことで蹴るのではなく、丁寧に調査する姿勢をしていたら、かくも馬鹿馬鹿しい結果にエスカレーションしなかったはずです。

    メディアの意図を見破り、いかに賢く対応すればいいのか、というメディア対策があったならこうはなりませんでした。

    すべてに後手後手に回り、メディアに敗北したのが政権です。

    それはさておき、この数カ月、日本はワイドショー政治一色に染まりました。

    森友から加計、そしてその総決算としての都議選は、メディアが新聞、電波、週刊誌を総動員して、「なにが実際に起きたのか」ではなく、「何か怪しい」「絶対に何かを隠している」という曖昧模糊とした「疑惑」を多量に流す中から作られてきました。

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    Photo_9上のテロップを見ると、前川文書のあるなしということだけで「疑惑」が作られていて、その文書内容のどこが「総理の意志」に当たるのか、まったく触れられていません。

    一貫して、課長補佐が書いた前川文書がいかなる時期に、いかなる動機で、いかなる内容で、どこに向けて書かれたのかなどは一片たりとも報じられず、「政府は何事か隠している」といったトーンで強烈に印象させました。

    今回の都議会選でも、小池氏の施政1年間の審判であったにも関わらず、知事の政策のプロセスと結果の報道はまったくなく、あるのはひたすら与党の人間性を問う倫理的裁断でした。

    ならば、イメージ形成だけでいいわけで,小池氏が都議選翌日に代表交替をしたことすら、「こういう国民の声を敏感に察する小池さんの果断さがいいですねぇ」となるわけです(あほくさ)。

    同じことを安倍氏がやったら、「卑劣なアベ隠し」と言われるでしょうな。

    藤原氏はこう述べています。

    「三雲氏の見解によれば、「今回の都議選は小池都知事の初登庁の時のイメージで決まった」とのことです。こんな不条理が真実ならば日本にマトモな政治家は育たず、国は滅びていくかもしれません。
    しかしながら、残念なことに、都議選の結果を見れば、この三雲氏の見解をけっして否定することはできません。
    ここで、私達が最も注意すべき点は、小池都知事の初登庁の時に自民党議員に対して悪いイメージを造ったのは、記念撮影を拒否する映像を繰り返し流し、それを徹底的に批判した「ひるおび」に代表されるワイドショーであると言うことです。
    まさに、ワイドショーによる情報操作・心理操作・倫理操作に見事にハマった可能性がある有権者の投票行動の結果を、有権者の重い意思であるとして今ワイドショーが報道しているのです」

    まことにそのとおりです。

    付け加えることはありませんが、こういうワイドショー政治を続けるならば、かならず日本は戦前の政党政治の頽廃と崩壊を招くことでしょう。

    いや正確に言いなおしましょう。招くではなく、もう既にそれは始まっています。

    Photo_13
    なおTBSは「ひるおび」について、こんな「訂正」を出しています。

    ・アナ 「今週月曜日の放送で、去年8月の小池知事就任挨拶の模様を紹介しました。自民党の川井都議会議長が、挨拶に来た小池知事の握手を拒否したとお伝えしましたが、拒否したのは写真撮影でした。失礼致しました」
    ・恵 「さっ、続いては」

    与党の政治家が失敗すれば、執拗に批判し続け、自分のフェークニュースがバレれば、アシスタントに軽く頭を下げさせて、「さ、続いては」です。

    さすが、TBS。BPO対策には、これで充分だと読んでいます。

    本来ならば、検証委員会を設けて検証番組をするべきで、なぜこのような誤報を出したのか自己切開するべきなのです。

    それを、「さ、続いて」てすか(苦笑)。

    安倍降ろし、皆んなで渡れば怖くない、というわけです。

    次回はもうひとつのケーススタディとして、秋葉原「あの人たち」事件を見ます。

    ※「昼おび」は「ひるおび」でした修正しました。

    ■追記速報
    前川前事務次官の証人喚問に、青山繁晴議員と加戸元愛媛県知事が登場するそうです。
     

    ■参議院 文教科学委員会・内閣委員会連合審査会
    7月10日(月)14時~17時 @第1委員会室
    テーマ『国家戦略特区における学部新設に関する件』http://shiaoyama.com/essay/detail.php?id=680

    俄然おろしろくなってきました。

    2017年7月 7日 (金) | 固定リンク | コメント (25)

    2017年7月 6日 (木)

    中露合作かもしれない北朝鮮弾道ミサイル

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    中国は北朝鮮の共犯者です。この立場は不変です。 

    中国は、戦略的に北朝鮮を「鋭いナイフ」として利用し続けており、いまもその立場は変わりません。 

    そうでないと、今年2月から12発ものミサイルを発射し、今回とうとう準ICBMを完成の域まで驚くべき速度で進化させたことは不自然に過ぎます。 

    ミサイルの形状から容易に分かるように、あれらは北朝鮮で多少の手は加えられているものの中国製のフルコピーです。 

    Photo

    上の写真は中央日報(2017年4月21日)が撮った太陽節の写真ですが、潜水艦弾道ミサイル(SLBM)北極星1号を乗せた大型特殊トレーラーについたブランドには、中国「SINOTRUK」(中国重汽)と読めます。

    初めは材木搬出用として輸出されましたが、今は、中国と中北合弁会社として平壌に会社を置いて現地生産しています。

    「金日成広場で開かれた閲兵式では北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である「北極星1号」がトレーラに載せられて登場した。このトレーラの油類タンクと推定される部分には「SINOTRUK(中国重汽)という文字が鮮明に見える。
      対北朝鮮軍事消息筋によると、SINOTRUKは北朝鮮軍部と機械工業省が生産工程をまるごと北朝鮮に持ち込もうと長い間交渉を続けてきたトラックメーカーだ。SINOTRUKの性能が優れていて、中国だけでなく北朝鮮の輸送関連機関や業者の間で高い評判を得ている点などが考慮された。実際、SINOTRUKは2014年9月に平壌で開かれた10次秋季国際商品展覧会に出品して好評を受け、コストパフォーマンスに優れているため安定した販売量を維持していることが分かった。
      北朝鮮軍部と機械工業省はこのような状況を勘案してSINOTRUKの生産ラインを導入して北朝鮮内で生産することに合意し、2014年に施設の導入を終えた 」(中央日報 同)

    この移動式発射装置(TEL)は、米軍の探知を逃れて山中から随時発射できる恐るべきものです。
    輸送起立発射機 - Wikipedia

    このような重要な戦略兵器を合弁でノックダウン製造していること自体、中国にはまったく制裁などする気は皆無ということを現しています。
    ノックダウン生産 - Wikipedia

    また、この間北朝鮮のサイバー攻撃が全世界規模で行われ、大規模な社会的混乱を呼んだことは記憶に新しいと思います。 

    北朝鮮の通信回線は、すべて中国を経由しています。 

    したがって、中国は北朝鮮のサイバー攻撃をリアルタイムで知っており、それを放置したということになります。 

    なによりもその時点で、中国が北朝鮮の回線を遮断しなかったことに、作為的意図すら感じます。 

    未確認情報では、北朝鮮のサイバー部隊を教育したのも中国、そしていまも北サイバー部隊の一部も中国国内に拠点を構えていると言われています。 

    中国はトランプの警告、いや哀願を平然と無視して、弾道ミサイルの生産とサイバー攻撃にまで手を貸していると思われます。 

    軍事評論家の鍛冶俊樹氏はこう述べています。

    「北朝鮮がICBMを発射した昨日7月4日は米国の独立記念日に当たり、米国への挑戦的な姿勢が明白だが、問題はその時、習近平はどこにいたかである。彼はモスクワに居てロシアのプーチンと会談していたのである。
    つまり、この日に北朝鮮にICBMを撃たせる事をプーチンに知らせた上で、来るべき米中対立においてロシアに、中国側に立つよう要請したのは火を見るよりも明らかだ。中朝露対日米欧となれば、これは紛れもなく世界大戦だ。習近平は世界大戦を意識して行動しているのである」

    鍛冶氏の分析は未確認情報が多数あって、必ずしも同意できないものもありますが、この指摘は真実の一部を指摘していると思います。 

    Photo_2
    鍛冶氏の世界大戦に突入するという言説には同意しかねますが、習が事前にICBM発射を知らされてきた可能性は高く、それをプーチンに知らせて中露が何事かを意志一致した可能性は大いにありえることです。 

    ちなみにロシア専門家の中村逸郎・筑波大教授は、北朝鮮に核技術を教え、なおかつプルトニウムを与えたのは、旧ソ連から連綿と続き、いまもなおロシアの一貫した姿勢だと述べています。 

    つまり、北朝鮮の弾道ミサイルは、核兵器部分はロシア、ミサイル本体は中国から供与されたのかもしれません。 

    となると、習が求めた「100日間猶予」とは、党大会までの猶予を意味せず、北朝鮮にICBMを完成させるまでの時間稼ぎであったということになります。

    このような中国に「頼った」不明を、トランプには大いに恥じてもらわねばならないでしょう。

    やっと迷妄から覚めたトランプは、遅まきながらいくつかの手当てを開始しました。

    ①中国がもっとも嫌がる台湾へ14 億ドルの武器供与。
    ②中国がこれまたもっとも嫌がる人権問題批判。劉暁波の米国亡命受け入れ示唆。
    ③北朝鮮のマネーロンダリングをしていた中国・丹東銀行への制裁。
    ④中国の鉄鋼製品にダンピング報復関税400%。
    ⑤南シナ海における「航行の自由作戦」再開。
    ⑥米韓ミサイル演習。

    いずれも小業ですが、やらぬよりマシです。

    なお、長距離ミサイル技術を北朝鮮が持ったことは疑う余地がありませんが、最後の関門ふたつのうちひとつ、再突入技術まで獲得したかとうかは意見が分かれています。 

    韓国情報当局は持ったとしているようです。

    「韓国紙、中央日報は17日、北朝鮮が14日発射した弾道ミサイル「火星12」に関し、弾頭部分が大気圏に再突入した後も内部の装置が作動していた形跡があり、再突入に成功したようだと報じた。
    韓国情報当局者が、弾頭と管制センターの交信が再突入後も行われており、弾頭が破壊されなかったとの見方を示したという」(産経5月17日)

    ただこの根拠は、北朝鮮国営メディアが報じた写真の中で、弾頭から送られたデータを記録する装置に「30分11秒」と飛行時間を示すものがあったというだけにすぎず、米韓当局が実際にシギント(電子諜報)で傍受したかどうかは不明です。 

    またもうひとの最期の関門である核の小型化も、成功したかどうか実証されていません。(多弾頭技術も残っていますが、置きます) 

    このふたつの核弾道ミサイル最終技術まで中国が渡したとは、にわかには思えないのも事実ですので、冷静に判断する必要はあります。

    Photo_3
    最後に、本日のフェークニュースのコーナーです。

    テレ朝の報道(7月4日)。

    「北朝鮮のICBM発射は都議選で大敗した自民・安倍政権への牽制ではないかと専門家が 述べています」

    とうとう通常ニュースでも、北がミサイルを撃ったのもアベのセイダーですか。もう重症ですね。

    2017年7月 6日 (木) | 固定リンク | コメント (5)

    2017年7月 5日 (水)

    北朝鮮準ICBM発射実験の意図とは

    046
    昨日速報したとおり、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験をして、成功しました。 

    なお米国では、太平洋軍は「中距離」とする一方、ティラーソン国務長官は「ICBM」とするなどなぜか分裂しています。
    https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2017070500129/

    あらかじめお断りしておきますが、わが国のEEZに落ちようとどうしようと、そんなことはどうでもいいことです。 

    わが国にとって直接の脅威となりうるのは、既に実戦配備済みのノドン及び新型の量産中と言われる固体燃料式中距離弾道ミサイル「北極星2号」です。 

    今回実験した「火星14号」(KN-14)は日本に向けた弾道ミサイルではなく、米本土に対してのものです。 

    Photo_2火星12号 http://www.sankei.com/world/news/170515/wor1705150...

    したがって、 自ずと脅威の質が異なります。 

    結論から先に述べます。 

    今回の準ICBMは、北朝鮮が米国に「核保有国」であることを認知させ、相互確証破壊ロジックに入ることを宣言したものです。
    相互確証破壊 - Wikipedia
     

    北朝鮮が望むことは非常にシンプルです。北朝鮮のやることに米国はいかなる干渉もできないことを認めさせ、その拮抗状態を固定化・永続化させること、これに尽きます。 

    この相互確証破壊という関係に入ると、北朝鮮が今後いかに弾道ミサイル実験をしようと、核実験を繰り返そうと、はたまた通常兵器で日本や韓国を攻撃しようと、米国はまったくそれを制止できなくなります。 

    なぜなら、そのような米国の軍事行動は、北朝鮮の米本土への核攻撃を招く恐れがあるからです。

    その時、私たち日本人の心に、 「ロスアンジェルスを犠牲にして、米国が東京への核攻撃に報復できるか」という古くて新しい懐疑が頭をもたげるでしょう。

    この懐疑こそが、かつてドゴール・フランスが、NATOを離脱して独自核武装という茨の道を選んだ最大の理由でした。

    まだ決定的とは言えませんが、このままトランプが今のような腰が引けた対応を続けた場合、年内に核実験が行われ、さらに長距離を狙った本格的ICBMが完成します。 

    かくして、東アジアにおける米国の「核の傘」に大きな綻びが生じ、好むと好まざるとにかかわらずそれに守られてきた日本は、北朝鮮の核の脅威に真正面で対峙せねばならなくなるでしょう。 

    Photo_7

    では、ファクトから洗っていきます。 

    防衛省の発表です。
    http://www.mod.go.jp/j/press/news/2017/07/04b.html

    「北朝鮮は、本日9時39分頃、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。詳細については現在分析中ですが、現時点で発射が確認された弾道ミサイルは1発で、2,500kmを大きく超える高度に達し、約40分間、約900km飛翔し、我が国の排他的経済水域(EEZ)内の日本海上に落下したものと推定されます。我が国の安全保障に対する重大な脅威であり、断じて容認できません」

    今回の北朝鮮の準長距離弾道ミサイル(ICBM)は、北朝鮮側の発表で、高度2802キロ上昇しました。
    大陸間弾道ミサイル(ICBM)

    発射方式は移動式で、整地をすれば山中からも発射可能です。

    ミサイル燃料は注入に時間がかかる液体燃料ではなく、固形燃料を使用していますから、北朝鮮は任意の時間を選んで、任意の場所から発射することが可能です。

    しかもコールドローンチによる固形燃料は打ち上げ熱量が少ないために、探知がしにくいと言われています。おそらく予防的空爆は不可能にちかいと思われます。
    コールドローンチとは - 航空軍事用語

    Photo

     打ち上げ軌道は、耳なじみになってきた例のロフテッド軌道です。ロフテッドは高くロフトするとい意味で、高度400㎞の国際宇宙ステーションよりも約7倍もの高度まで上昇したことになります。 

    このロフテッド軌道の運動エネルギーを高度にではなく、地球の自転方向に素直に用いたのがミニマム・エナジー軌道と呼びます。 

    このミニマム・エナジー軌道で撃つと、効率的に長距離を飛ばすことができます。
    弾道ミサイル防衛 - 防衛省

    それで撃ったと仮定した場合、ロケット専門家は水平距離933キロ、飛行時間39分となると推測しています。 

    さらに米国には、さらに長い距離を飛翔できるとする意見も存在します。

    Union of Concerned Scientists(懸念する科学者連合)のデビット・ライト氏はこう述べています。
    http://allthingsnuclear.org/dwright/north-korea-appears-to-launch-missile-with-6700-km-range

    ”Assuming a range of 950 km, then a flight time of 37 minutes would require it to reach a maximum altitude of more than 2,800 km (1700 miles).
    So if the reports are correct, that same missile could reach a maximum range of roughly 6,700 km (4,160 miles) on a standard trajectory.
    That range would not be enough to reach the lower 48 states or the large islands of Hawaii, but would allow it to reach all of Alaska.”
     

    950kmの範囲を想定すると、37分の飛行時間は、それが2,800km(1700マイル)以上の最高高度に達することを要求する。
    したがって、報告書が正しいならば、同じミサイルは、標準軌道上で約6,700km(4,160マイル)の最大範囲に達する可能性がある。その範囲は、ロワー48州やハワイの大きな島々には届きませんが、アラスカのすべてに届くはずです。

    ライト氏は、ロワー48州(ハワイ、アラスカを除く北米大陸)には届かないが、アラスカには現状でも標準軌道を用いれば着弾すると考えています。 

    では、この「準」ICBMの発射実験に対して、トランプはどのように出るでしょうか。 

    日本人にとっては大いに悩ましいですが、微妙です。 

    少なくともこれを、いわゆる「レッドライン;」とは考えてはいないことは確かです。

    口では強く非難し、制裁強化を言うでしょうが、軍事的オプションを含む対応を排除した「冷静な対応」をする可能性が高いと思われます。 

    というのは、今回の発射でも先ほど述べたように、米本土には直接届かないからです。 

    顔を狙った危険球だが、顔をかすめたという判断ができる余裕が、今の米国にはあります。 

    だから米国太平洋軍の今回の北朝鮮弾道ミサイルの判定は、”intermediate range ballistic missile ”(中距離弾道ミサイル)です。
    http://www.usfk.mil/Media/Press-Releases/Article/1236848/us-pacific-command-detects-tracks-north-korean-missile-launch/

    ”CAMP H.M. SMITH, Hawaii --
    U.S. Pacific Command detected and tracked what we assess was a North Korean missile launch at 9:40 a.m. Korea standard time, July 4.  The single launch of a land-based, intermediate range ballistic missile occurred near the Panghyon Airfield.”
    ”The North American Aerospace Defense Command (NORAD) assessed that the missile launch from North Korea did not pose a threat to North America. ”
     

    「CAMP H.M. スミス、ハワイ
    米国太平洋司令部は、7時4分午前9時40分、韓国標準時に北朝鮮のミサイル発射を査定し、追跡した。陸上、中距離弾道ミサイルの一発射はパンギョン飛行場付近で発生した。」
    「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、北朝鮮からのミサイル発射は北米に脅威を与えなかったと評価した。」
    最後に小川和久氏の意見を紹介しておきます。おそらくこのあたりが正解なのかもしれません。
    https://newspicks.com/news/2347546/
    となると、緊急に開かれた日米韓の首脳会議においても、北朝鮮との繋がりがある中国系銀行への制裁というていどで終わるかもしれません。
    いずれにしても、この極めて重要な日米韓の首脳会議をしている首相を呼び返して、「前川証人喚問」に出席させろ、「こんな人」発言許すなと叫んでいられる民進とメディアの脳味噌を開けて虫干ししたいものです。 
    「北朝鮮が強硬に見える姿勢を示し続けるのは、話し合いの方向に向けて、米国の圧力に屈したのではなく、北朝鮮の強硬姿勢の前に米国が話し合いを望んできた、ということをアピールし続ける必要があるからです。
    また、米国の神経を逆なでしない範囲で発射を繰り返すことは、ミサイル技術の向上と保有ミサイルの多様化によって、話し合いのカードを強力なものにしていくという狙いがあります。 (略)
    一方、「周辺諸国に危険が及ぶことに配慮して(ロフテッド軌道で)発射した」という「理性的」な姿勢によって、米国を軍事挑発したのではないということを証明し、米朝間の話し合いの路線から逸脱しないですみます」
     
     

     米国、日本、韓国、関係国すべてが煮え切らないまま、正恩のみひとり、「レッドライン」を無視するかのように「核保有国」への道を疾走しています。

               ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

    ■7月4日 AFP ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、北朝鮮が4日に弾道ミサイル1発を発射したことを受け、中国に対して「こうした愚行を終わらせる」ため北朝鮮に断固とした措置を講じるよう促した。韓国当局によれば、ミサイルは北朝鮮西部の平安北道(North Pyongan Province)のバンヒョン(Banghyon)付近から発射された。同ミサイルの発射については米軍も確認している。

    韓国軍がミサイルは日本海(Sea of Japan)に落下したと発表した後、トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長について、「この男は他にましなことはやれないのか」とツイッター(Twitter)に投稿。さらに、「韓国と日本がいつまでも我慢しているとは思えない」とし、「場合によっては中国が北朝鮮に対して厳しい態度に出て、こうした愚行を終わらせてくれるだろう」と述べた。

    トランプ氏はこれまで中国に対して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に圧力をかけるよう要請してきたが、ここへ来て、中国の取り組みは「これまでのところうまくいっていない」との持論を展開していた。

    一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は3日、トランプ氏が中国の習近平(Xi Jinping)国家主席と2日に行った電話会談で、米軍は北朝鮮に対して一方的な行動を取ることも辞さない構えであることを告げたと報じている。匿名の政権高官らは同紙に対し、トランプ氏は中国が対北朝鮮政策を大幅に変えるとはもはや思っていないとの見方を示している。

     

     

    2017年7月 5日 (水) | 固定リンク | コメント (5)

    2017年7月 4日 (火)

    速報 北朝鮮ICBM発射実験成功と報じる

    Photo_5火星14号

    第1報だけアップします。詳細は明日記事で。

    Photo_7
    ■北朝鮮ミサイル 日本海の排他的経済水域に落下 官房長官
    NHK7月4日 11時57分

    菅官房長官は、閣議のあと臨時の記者会見を行い、北朝鮮西岸から弾道ミサイルが発射され、およそ40分間飛しょうしたあと、日本のEEZ=排他的経済水域に落下したと見られるとしたうえで、北朝鮮によるたび重なる挑発行為は断じて容認できないとして、厳重に抗議したことを明らかにしました。

    この中で、菅官房長官は、「本日9時39分ごろ、北朝鮮西岸より弾道ミサイルが発射され約40分間飛しょうし、日本海のわが国の排他的経済水域に落下したと見られる。現時点で、付近を航行する航空機や船舶への被害などの情報は確認されていない」と述べました。

    そのうえで菅官房長官は、「安倍総理大臣には直ちに報告を行い、安倍総理大臣からは、情報収集、分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速的確な情報提供を行うこと航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、不測の事態に備え、万全の態勢をとることの3点について指示があった」と述べました。

    そして「総理大臣官邸の官邸危機管理センターに設置している官邸対策室で情報集約をするとともに、緊急参集チームを招集し、対応を協議している。さらにこのあと国家安全保障会議を開催し、情報集約、および対応について協議する」と述べました。

    また菅官房長官は「今回の弾道ミサイルの発射は、航空機や船舶の安全確保の観点から極めて問題のある行為であるとともに、国連の安保理決議等への明白な違反だ。このような北朝鮮によるたび重なる挑発行為を断じて許すことができず、北朝鮮に対し、厳重に抗議を行い、強く非難した」と述べました。

    さらに「引き続き、情報の収集・分析に全力を挙げ今後、追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表する予定だ」と述べました。

    ■NSC終了「総理からきぜんと対応せよとの指示」

    菅官房長官は2回目の記者会見で、午前10時半すぎから開かれた、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合について、「情報の集約および対応について協議を行った。安倍総理大臣からすでに指示のあった3点を改めて確認するとともにわが国として引き続き国際社会と連携しつつ北朝鮮に強く自制を求め、関連措置を実施することなどを通じて、き然と対応していくこととする旨の新たな指示があった」と述べました。
    ■「日米韓で強固な結束を示す」
    菅官房長官は、2回目の記者会見で、日米韓3か国の首脳会談について、「先般の日米電話首脳会談では、国際社会における北朝鮮に対する圧力の強化を主導するため、日米、日米韓が緊密に連携していくことで合意した。日米韓首脳会談では突っ込んだ話し合いを行って、対北朝鮮方針をしっかりすりあわせ、国の内外に日米韓の強固な結束や連携を示していきたい」と述べました。

    また、菅官房長官は、中国やロシアとの協議に関連して、「すでに国連での制裁決議が行われており、そうしたことをしっかりと行っていく中で、特に中国、ロシアは北朝鮮に影響力があり、北朝鮮に対する圧力を強化し、北朝鮮問題解決に向けた具体的な行動を強く求めていきたい」と述べました。
    Photo_6

    【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の朝鮮中央放送などは4日午後3時(日本時間同3時半)、「特別重大報道」で大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと伝えた。

     北朝鮮はこの日午前に西部の平安北道・バンヒョン付近から東海に向け弾道ミサイルを発射。これについて韓国政府の消息筋は「最高高度は5月14日に発射した(新型中長距離弾道ミサイル)『火星12』(最高高度2111.5キロ)より高かった」として、「高度は2300キロ以上と分析しているが、最高高度はさらに高い」と話した。別の消息筋は最高高度が2500キロ以上の可能性もあるとしている。

     韓国軍の合同参謀本部はミサイルが約930キロ飛行したと発表した。日本の防衛省によると、約40分間飛行したという。

     専門家らはミサイルが通常の角度で発射される場合、飛行距離は7000~8000キロ以上となり、米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)級と推定していた。

    2017年7月 4日 (火) | 固定リンク | コメント (2)

    中国軍艦、日本領海をまたまた通過

    Dsc_5171
    「都民ファ」の代表から小池氏が下りて、代わって特別秘書をしていた野田数(かずさ)氏が就任しました。野田数 - Wikipedia 

    二元代表制うんぬんと言っていますが、ならば選挙前に小池氏は代表から下りるべきで、党の顔に野田氏を押し立てるべきでした。

    というか元々「都民ファ」の代表は野田氏が代表だったのを、選挙期間1カ月間だけ小池氏に替わったというだけのことです。よーやりますよ、この人。

    野田新代表はフランス国民戦線のような思想の持ち主で、安倍氏よりもはるかに右です。

    2012年には都議会に「大日本帝国憲法復活」という渋いものを提出したご仁です。

    野田氏当人は「都民ファ」はこの立場をとらないと言っているようですが(あたりまえだつうの)、「都民ファ」に逃げ込んだ民進党脱走組や応援団長の朝日新聞などが眼を剥くような人事なのには失笑させられます。 

    小池氏と野田氏は長いつきあいですし、どこか思想的親和性があるのはたしかでしょう。

    メディアは「安倍一強」批判の受け皿欲しさに、ピタリと「見えません、見えません」をしていましたが、小池女史の発言録はなかなかのものです。参考までに欄外に貼っておきます。

    特に都知事絡みで興味深いのは、2016年06月30日の発言で、「都内の韓国学校設立は白紙化しなければならない」「外国人参政権反対」という部分です。

    知事就任直前の発言ですので、よもや忘れてはいないでしょうから、本気でやるとなると内田自民都連が温存してきた都と朝鮮総連・民団との癒着構造にメスを入れることになって、大変にいいことです。

    また、小池氏は東京都の法人税率引き下げや、オリンピックなどで国と協調せざるを得ませんから、「賢い」彼女は安倍氏とは波風たてたくないはずです。

    人間関係的にも良好で、安倍氏は都知事選には小池氏を推したかったようです。

    ですから朝日の熱烈なラブコールをよそに、安倍氏とは協調路線をとるのではないかと思えます。

    「都民ファ」が「小池リスペクト」の気分だけで結合しているにすぎない、烏合の衆だということが早くもバレてしまいました。 

    とまれ、これでは将来的に国政政党を作った場合、民進党も顔負けの統一した安全保障政策、憲法観、マクロ経済政策不在のヌエ政党になること必至でしょう。 

    Photo_4朝日が悶死するツーショット

    さて、日本人の多くが都知事選に眼を奪われている時に、中国軍艦が日本領海を通過しました。これで通算3回目です。 

    それを報じるロイター(7月2日)とNHK(7月2日)です。
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170702-00000015-reut-cn
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170703/k10011039011000.html

    「[東京 2日 ロイター] - 防衛省の統合幕僚監部は2日、津軽海峡を航行中の中国軍艦1隻が、日本の領海に侵入したと発表した。中国海軍の艦艇が日本領海に入ったのは3回目。無害通航かどうかを確認できないことから、日本政府は海上警備行動を発令しなかったが、外務省が中国に対し、関心を持って注視していることを伝えた。
    統合幕僚監部によると、津軽海峡を東へ航行中の中国情報収集艦が午前10時40分ごろ、小島(北海道松前町)南西の日本領海に侵入。約1時間半に渡って領海内を航行し、午後0時10分ごろ領海外へ出て太平洋に抜けた。
    日本側は国連海洋条約で認められた無害通航かどうかを確認できなかったため、治安維持のために海自に命じる海上警備行動を発令しなかった。
    中国軍艦による日本領海への侵入が確認されたのは、2004年の原子力潜水艦、16年の情報収集艦に続いて3回目。日本は今回、抗議までは至らないものの、外務省が関心を持って注視していることを中国側に伝えた」
     

    「(略)中国海軍の艦艇が日本の領海に入ったのは、去年6月に情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部島の沖合で確認されて以来、3回目となります。また、過去2回は南西諸島方面での領海侵犯で、津軽海峡で中国海軍の艦艇が領海に入ったのが確認されたのは今回が初めてです。(略)」

    Photo_2

    統合幕僚監部7月2日のプレスリリースです。
    http://www.mod.go.jp/js/Press/press2017/press_pdf/p20170702_01.pdf

    「7月2日(日)午前10時40分頃、海上自衛隊第4航空群所属「P-1」
    (厚木)が、津軽海峡を東航中の中国海軍ドンディアオ級情報収集艦1隻が小島(北海道松前町)南西の我が国の領海に入域するのを確認しました。
    同日午後0時10分頃、当該情報収集艦は小島の南東の我が国の領海から出域し、その後、津軽海峡を東航し太平洋に進出したことを「P-1」及び第4
    5掃海隊所属掃海艇「いずしま」(函館)が確認しました」

    Photo_3
    さて、今回の問題は、統幕監部の発表では、領海と公表されています。 

    領海であっても「無害通航権」はありますから、①直進する、②滞留はできない、③兵器を旋回させない、④航空機を飛ばさない、⑤潜水艦は潜水して通過できないなどの義務を果たせば航行可能です。
    無害通航 - Wikipedia 

    一方同時期の7月2日に、米海軍は南シナ海で「航行の自由作戦」を展開しました。トランプ政権になって5月に続いて2回目です。 

    「米海軍の駆逐艦「ステザム」は西沙(英語名パラセル)諸島のトリトン島から12カイリ以内の海域に入った」(BBC7月3日)
    http://www.bbc.com/japanese/40477371 

    同時期に起きた米海軍のケースと、今回の中国海軍のケースを較べてみましょう。 

    共に、主権を主張する沿岸国からは抗議を受けています。(日本の場合、「関心をもって注視」ですが) 

    日本の場合はここが津軽海峡中央部に設定された国際海峡水域ではなく、あえて領海部分に侵入したことです。 

    日本は領海内国際海峡という国際海洋条約で保障された権利を放棄し、海峡中央部は公海として開放しています。

    Photo_2

    「海洋の区分」http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/mg000824.htm

    これはこれで領海を狭めてしまっているので問題なのですが、今回はその海峡中央部からさらに沿岸に接近して、完全に領海内に入っています。
    関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/7-bf02.html 

    あらたな中国による挑発と見ていいでしょう。おそらく中国は、瀬踏みをしています。

    ちょうどサラミソーセージを少しずつ薄く切っていくように、初めは領海内国際海峡の通過、次ぎに領海の一時的通過、そして今回は領海内を堂々と「無害通航」してみせるという具合です。

    艦種も今は情報艦という非武装軍艦を侵入させていますが、遠からず駆逐艦あるいはフリゲート艦といった武装軍艦を入れてきて、やがては空母を侵入させることでしょう。

    今回の情報艦も、自衛隊の電波やレーダー波を傍受して軍事目的に利用するためのスパイ船ですから、日本にとってはそこにいるだけで充分に「有害」です。

    逆に中国ならば、米海軍がこのようなスパイ船を領海内に入れれば、ためらうことなく「有害通航」として攻撃をしかけることでしょう。

    要は日本は、中国から甘く見られているのです。

    水域も首都東京に接する沿岸部とか、尖閣、宮古海峡などにエスカレートさせていくことでしょう。

    これを繰り返し反復することで、日本世論に「またか」という気分を与えていこうとしています。ちょうど今の北の弾道ミサイル実験と同じやり方です。

    一方、米国の場合、こんな南シナ海の当該水域には「島」などない。

    従って主権もクソもない、この海域はただの公海として国際海図には乗っているから、「有害通航」してなんの問題があるんだ、「島」があることのほうがおかしいんだ、という政治的立場です。

    「小池劇場」の華々しい裏で、こういうことが静かに進行していることを忘れてはならないでしょう。

                             ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    ●小池氏の過去の発言
    http://oboega-01.blog.jp/archives/1066735969.html「みずきの女子知韓宣言」様に感謝します。なお、私の採取したものも付け加えてあります。

    ・2001年05月06日
    「金正男という絶好のカードを正しく活用していたら、北朝鮮は拉致日本人送還のための対話に出ざるをえなくなっていただろう。」
    (日本に不法入国した北朝鮮金正男を日本当局が追放したことについて批判)

    ・2001年11月29日
    「単純な金融事件ではなく、国家の安全保障にかかわる問題だ。」
    (朝鮮総連と日本の金融機関の北朝鮮送金問題と関連して)

    ・2001年12月08日
    「私たちは、彼ら(北朝鮮)にお金をあげて、テポドンミサイルを領収書として返された。」

    ・2003年11月01日
    「日本の核武装を検討しなければならない。」(メディアの記者質疑への回答)

    ・2004年11月15日
    「前にも言ったように、北朝鮮に対し、経済制裁など、様々な圧力をかけなければならない。怒るべきときに怒らなければ、北朝鮮に意思が伝わらない。」

    ・2006年10月08日
    「北朝鮮の核実験は国際社会に対する重大な挑戦である。国際社会と協力し、核実験阻止のために総力を傾けるつもりだ。」

    ・2006年10月09日
    「日本人が最も驚くのは、韓国人が日本の軍国主義を心配しているという話をしていることだ。軍国主義復活などありえないことだ。日本は戦後、国際平和のためにたくさんの貢献をしてきたし、地域の安全のために、いつも一歩退いて寄与してきた。」

    ・2007年01月25日
    「北朝鮮の核野心を阻止するのが優先だ。実質的な結果もないのに6者会談を継続するのは、北朝鮮に核開発の時間を与えることである。」

    ・2007年01月27日
    「今まで多くのニンジンが与えられたが、そのニンジンは、核兵器やミサイルを作るために使われた。国連制裁を解除すれば、北朝鮮の住民が苦痛を受ける期間が増えるだけだ。」

    ・2007年02月12日
    「米議会が慰安婦決議案を採択すれば、日米友好関係が悪化する可能性がある。」
    (ワシントン訪問時、米行政府関係者との会談で)

    ・2007年08月09日
    「韓国が南北首脳会談を推進するのが、果たして核問題の解決に役立つのか分からない。重要なのは決断を引き出す成果ある対話が、どのようにどの程度まで行われるのかという点である。」

    ・2010年04月15日
    「北朝鮮とイランの核取引がアジアを威嚇している。今年、北朝鮮にヨンガクサン貿易会社が設立された。この企業はイランにミサイルや核技術を輸出する業務を総括するものと見られる。対北制裁にもかかわらず、北朝鮮は対イランの核ミサイル事業を通じて莫大な外貨を稼いでいる。」

    ・2011年01月26日
    「韓半島有​​事の際など、海外での紛争や災害が発生したとき、その地域の日本人を救出するため、自衛隊の飛行機や船の派遣を積極的に推進する考えがあるのか?」(国会において、菅直人首相に質疑)

    ・2011年12月
    「韓国が竹島を不法占拠している。」

    ・2013年3月(党国防部会の発言)
    「沖縄の先生(=自民党議員)方が何と戦っているかというと、沖縄のメディアなんですよ。今日はこちらに地元メディアもいると思うが、しかしながら、あれと戦って今回のご当選をされてきたということは、むしろ沖縄のメディアの言っていることが本当に県民をすべて代表しているとは、私ははっきり言って思いません。これからも堂々と地元と国会議員としての役割を果たして頂けるように後押しをさせていただきたい」

    ・2014年07月(ワシントンポストへの寄稿文の中で)
    「韓国の指導層は今、親米と親中で別れている。秘密の中立が韓国の外交政策の基調になってきている。韓国はまるで冷戦時代のフィンランドのようになっているようだ。最近、習近平中国国家主席の訪韓があったが、裏で中国は、韓国を親中国家に変化させようとして、大胆かつ体系的な試みをしている。韓国は中国に接近し、孤立の道を甘受しようとしている。」

    ・2014年10月15日
    「河野談話を見直す必要がある。慰安婦強制連行の誤解を解くために、国際社会に向けて大々的な情報発信をしなければならない。」

    ・2016年06月30日
    「都内の韓国学校設立は白紙化しなければならない」

    ・2016年7月14日(東京都知事選挙)
    「(外国人地方参政権は)反対だ。地方だからいいと思っているのは大間違いだ。何らかの意図を持った人が押し寄せてきたらどうなるのか。地方自治だからと外国人参政権をむやみに与えるのは反対だ。
    」

    2017年7月 4日 (火) | 固定リンク | コメント (3)

    2017年7月 3日 (月)

    小池党が自民・民進を食う構図は国政に反映するか?

    087
    ご承知のとおりの結果です。悪い意味で、予想どおりだと思います。

    小池氏が自民と民進を喰ってしまい、公明、共産は現状維持で精一杯でした。

    全メディアが数カ月にわたってネガティブ・キャンペーンを張る一方、小池氏に対しては逆に1年間ものマドンナ扱いを続ければ結果はこう出ます。

    安倍政権も休みなしで突っ走ってきことによる綻びが顕在化したことは間違いないはずで、建て直しが必要でしょう。

    もちろん自民の古い利権体質は批判されねばなりませんし、私はあんなものが一掃されて清々する気分です。

    特にオールド自民党の体質そのものの内田系が壊滅したのはいいことです。

    そもそも、前回の都知事選で小池氏を出しておけばよかったものを、それを潰したノビテル氏と内田氏は万死に値します。

    Photo_2https://www.asahi.com/?iref=com_gnavi_top

    さて国政への影響は読めません。朝日は改憲の流れ止まるとばかりにはしゃいでいますが、お気の毒ですが、そうはならないでしょう。

    というのは、民進が壊滅状態になったからです。

    代わって浮かび上がったのは、<自民vs小池新党>という新たな構図です。これ自体は、私は保守第2党必要論者ですから歓迎すべきことです。

    ただし、小池党を「保守第2党」と呼ぶかどうかは、はなはだ悩ましい限りですがね。

    民進党は「埋没した」などといっていますが、そんな可愛いものではなく、都民からその存在そのものを飽き飽きされてクズ籠に入れられたのです。

    あんな古くさい第2社民党などはいりません。いっそう民進の分解は加速することでしょう。

    ところで小池氏はこの1年間、まったく国政のことを封印してきましたが、今後どのようなスタンスで臨むのかが注目されます。

    とりあえず、今の日本政治の争点となっている9条加憲について、小池氏がいかなるご意見か拝聴したいもので、それ次第では随喜の涙を流している朝日の顔色が変わることでしょう。

    都知事になるまで小池氏は改憲論者だったはずですが、言っていたことをするっと変えたり、不利になると沈黙するのがこの人のやり方なので、いかなることになりますか。

    それ次第では、首相の改憲戦略は戦術的手直しはあっても、大きな戦略には変化がないでしょう。

    ただし、小池氏は自民党時代、財政条項(プライマリーバランス・PB黒字論)を加憲しろとも言っていたので、今回の結果に内心ほくそ笑んでいるだろう石破氏などの自民党内反リフレ派(財務省派)と共鳴されるとちょっとやっかいなことになります。

    石破氏は「自民党憲法草案」にご執心のようですが、そこには「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない」という恐るべき一項があります。

    これはとりもなおさず「PB黒字化」を意味しますから、憲法でアベノミクスを否定しろという話になってしまうわけです。

    というわけで、ひとことで改憲といっても、安倍氏と小池氏や石破氏とは大きな隔たりがあると思われます。

    それはさておき、小池氏が国政に出る意志があるのは周知の事実ですので、その場合この石破氏や野田聖子氏を引き抜くことはありえます。

    そして既に小池党に加わっている若狭勝氏と長島昭久氏、あるいは維新から脱走した渡辺喜美氏などと「国民ファースト」を作るかもしれません。

    するとかつての日本新党のようなものが、出来上がってしまう可能性があります。

    その場合、かつての社会党崩壊現象と同じことが民進を襲い、長島氏を追って大量の脱走者がでることでしょう。

    こうなると国政においても、<自民vs小池新党>という構図が作られるかもしれません。

    まぁ、考えようでは、改憲にとっては、ただの抵抗政党になり下がった民進より、いいかもれません。

    となると朝日さん、小池氏という野心家を神輿に乗せたことを大いに悔やむことになるかもしれませんから、ご注意下さいね。

    とまれ都議会多数派になった以上、小池氏はいままで押さえてきたものを色々とやりだすでしょうから、見物ではあります。

    かくして都政は、長い停滞と混乱の時期に入ろうとしているかに見えます。

    ただし、見ようによっては、これも小池氏が自らの与党を持たない哀しさからきているともいえなくもありません。

    ならば、絶対多数を握った小池氏が正気に戻ってくれれば、わずかに救いは残っているというべきでしょうか。(←言いながら自分で信じていない)

    私としては、彼女が有頂天から正気に戻って真っ先にやるべきは、遅れ遅れた五輪の突貫工事です。これ以上遅れたら間に合いませんからね!

    PhotoNHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170702/k10011038461000.html

    以下、日曜に書いたものですが、小池氏の危うさについて警鐘を鳴らしたものです。選挙結果がわかっても、変化する内容でもないので、アップしておきます。

                          ~~~~~~~

    「小池劇場」という言われたかをよくしますね。

    小池氏がかつての師匠であった、小泉純一郎氏譲りの劇場型政治家であることは間違いありません。 

    ここでいう「劇場型」というのは、思うところの<政治目標>があって、そのためにあえて白黒コントラストのハッキリした<敵>を設定し、それを<抵抗勢力>と決めつけて正義の味方が大衆の面前で斬って捨てるような治スタイルを言います。 

    小泉氏は、郵政改革選挙においてこのスタイルを貫いて大勝しました。 

    これをやるには、政治家のキャラが地味では成り立ちません。華があって旬をかんじさせる色気がなければなりません。

    ま、そうでしょう。 菅さんや、二階さんにやれといってもむりですからね。 

    ですからこれができる人は限られていて、今のところ、似たような「劇場型」パーフォーマンスを演じたのは橋下氏しかいません。 

    一見ワンマン型に見える石原氏や安倍氏ですら、周到な根回しや合意を裏舞台でしているものです。

    この橋下氏ですら延々と府議会との議論を経て都構想をぶち上げ、くだけ散って政治家を引退しました。 

    この橋下氏は当初小池氏の私塾の講師に呼ばれましたが、それを拒否し、今や手ごわい批判者のひとりになっています。 

    彼は「小池劇場」をこう評しています。

    「結論や中身ではなく、今回の豊洲移転・築地活用方針決定のプロセスは完全にアウト。前回の市場の在り方戦略本部の議論からなぜ今回の方針決定になったのか全くブラックボックス。今回の小池さんの方針について行政的な検討は全くなされていない」
    「小池さんは、歴代知事やこれまでの都庁の意思決定の在り方をあれだけ散々批判していたのに、小池さん自身がとんでもない意思決定をやってしまった。小池さん自身、結局巨大組織の意思決定の在り方について全く無理解であり、都庁の意思決定方法の改革は何も進んでいなかった」
    (6月20日ツイッター)

    橋下氏が批判しているのは、行政における民主主義のルールは壊すなということです。

    そうです。この小池百合子という政治家は、議会との合意はおろか、議会にかけることすらしない人なのです。 

    議会がいかに知事の敵となろうとも、自らの政治目標を実現するには、手続きをきちんと踏んで合議していかねばダメだということで、中学生でも分かる行政官たる者の常識です。Photo

    呆れたことには、小池氏にはこれがわかっていません。 

    そもそも今回の豊洲移転の混乱劇の始まりだった移転延期は、わずか2カ月先に迫っていた移転を議会に諮らずに、たったひとりで独断したことから始まりました。 

    できるんですかね、こんなこと、と当時私は思ったものです。 

    当時私はこのブログの当時の記事を探していただければわかるように、小池氏に都市型第2保守政党を期待していたせいもあって、ぎょっとしました。 

    ここで彼女が言い出した論理にま二重に驚かされました。 

    小池氏はチャラとして、「専門家会議が言っているのは『安全』にすきず、私は『安心』ができるまで移転は延期とする」と言い放ったわけです。 

    専門家会議が述べた科学的データを基礎にして、「安心」を説得するのが知事の仕事のはずで、移転するならするで、それを議会にかけて合意を得られなければ、行政官として移転は不可能だと判断すべきです。 

    あの翁長知事ですら、県議会与党を握っているから一定の合法的枠内にはいるわけですが、小池氏にはそれすらしないわけです。 

    20年間営々と積み重ねてきた豊洲移転問題を、ひとりで誰にも諮ることなく、一瞬にしてちゃぶ台返ししたのです。

    このへんはハト首相に酷似しています。 

    それも「安心」という、曰く言い難い「気分」を根拠にして、です。 やっちょれんナー。

    なにせ大元が科学的根拠を欠いた「気分」ですから、どこまで行っても気分は気分。自分が納得いかない限り、気分的にズっとイヤダになるのですから、たまったもんじゃありません。 

    以後小池氏はかつて自民党政調会長まで務めた経歴を持ちながら、共産党や、生活者ネットのような左翼運動家たちと急速に間合いを詰めていきます。

    今や共産党からは、「小池さんありがとう」とまで言われる始末です。 

    そして共産党と手を組んで、「黒い頭のネズミ捜し」に夢中になります。

    初めは自分を公認しなかった都連ボスの内田氏、そして五輪のドンと見立てた森氏、最後は選挙戦で政敵に回って「厚化粧のばばぁ」呼ばわりをした石原元知事でした。

    彼らへの隠微な復讐劇だけが、この1年間の彼女の知事としての「実績」のすべてでした。

    結果は五輪では負け、豊洲移転はなにひとつ手続き上は問題がなく、工事入札にも不正がなかったことが改めて立証されただけでした。 

    別に百条委員会なんかやらなくてもそんなことは、とっくに内部資料からわかっていたはずで、それをマスコミの前にあえて老人を引きづり出してつるし上げてみせる、というパーフォーマンスを演じて見せての「小池劇場」なのです。 

    まことにあざとい人です。

    Photo_2
    後は私から見れば、ひたすら自爆コースです。

    豊洲を切り捨ててしまえば、後は築地に固定化となるしかないのは小学生でも分かる算数ですが、その安全性がどうなのだ、という古くて新しい問題が蒸し返されました。

    だけど、小池さん、老朽化して安全ではないから豊洲を巨費を投じて作ったんじゃなかったでしたっけ。

    いままで築地で営業を続ける業者への影響を考慮して見ないふりをしていたはずの、築地の安全性についても検査が入りました。

    築地の業者からすれば、1年間待たされて損害をこうむった上に、築地の「安全・安心」までほじくり返されたのですから、どのような気分でしょうか。

    当然、築地の地下水からも化学物質が出たわけですが、これを小池氏はチャラとしてこう言ってのけます。

    「コンクリートでカバーされているから法令上も問題ない」(爆笑)。

    おいおい、それなら豊洲も同じでしょう。自分で自分言っていた豊洲移転延期を、「論破」してどうするんですか。 

    結局、公約に掲げていたオリンピック会場の経費負担の軽減においても、IOC委員長と密室で丸呑みしてしまい、周辺県への負担移転も同じ結果に終わりました。

    そして今回の都議選ギリギリで出してきたのが、豊洲移転・築地再開発という折衷案でした。

    この時期に移転問題の「答え」を出したのは都議選もあるでしょうが、オリンピック道路建設がもう待ったなしだったからにすぎません。

    例によって議会にはなんの相談もありませんでした。

    これこそが小池氏が批判してやまなかったはずの、「都政のブラックボックス」そのものではないのでしょうか。

    選出されたのは、小池リスペクターと、沈む船から逃げ出した民進党のネズミ政治家の皆さんたちです。

    そしてこの小池チルドレンを与党とした都政に大統領の如く君臨するのが、小池氏です。

    2017年7月 3日 (月) | 固定リンク | コメント (17)

    2017年7月 2日 (日)

    日曜写真館 蘭 妖艶にして清楚

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    2017年7月 2日 (日) 写真館 | 固定リンク | コメント (1)

    2017年7月 1日 (土)

    小池都政に審判を

    Dsc_5209

    今回の都議選ほど、メディアの誘導が露骨だった選挙はまれです。

    かくも執拗な一政党に対する揚げ足取り、言葉狩り、あらぬ疑惑追及が公然と行われ、一定方向に投票を向かわせようとする報道が行われた選挙を、私は知りません。 

    そもそも豊洲市場の安全性にはなんの問題もないと専門家会議が答申しているにもかかわらず、共産党の尻馬に乗ってあげつらったのは小池氏とメディアでした。 

    小池氏は、マスコミ出身者らしく巧みにメディアを操縦しました。 

    就任直後の8月に最初にした仕事は、 「安全性」「不透明な予算」「情報公開不足」の3点を理由にした11月豊洲移転の延期でした。

    曰く、「ヒ素が基準の4割も出た」、曰く「謎の地下空間」・・・。

    2
    全部フェークです。既に合理的説明はなされていたし、少し調べれば都庁の文書記録にその理由が残っていたはずです。

    決定プロセスになんの違法性もなかったし、各種会議の過程の積み上げの中で少しずつ変化してきただけで、誰かの意志を「忖度」したわけではありませんでした。

    以後、都庁を舞台にする光景は、行政の場ではなく裁判所でした。まるで都民は行政官を選んだのではなく検事を選んだかのようです。

    小池審問官は、まるで巨悪が隠蔽されているが如く石原元知事を100条委員会に召還しましたが、逆に氏の毅然たる答えを前にすると、今度は退職した職員の中から「犯人探し」をしようとしました。

    マスコミは毎日話題を提供してくれる小池氏に、さぞ感謝したことでしょう。

    小池氏が「巨悪」を攻め、メディアがそれを増幅し、その声をまた拾って小池氏が世論形成する、という持ちつ持たれつの関係が、両者に出来上がったのです。

    事実、メディアは連日まるで巨悪に立ち向かうヒロインのように囃し立て、センセーショナルに報じたものです。

    1年前の知事選で、小池氏を右翼呼ばわりした左翼メディアまで、いまやこぞって"コイケ・ザ・ヒロイン"です。

    丸々一年、これで空費されました。 

    Photo_2

    その間、豊洲新市場のイメージには泥を塗られ 、周辺地価まで下がるほどでした。

    そしてその結果、なにか進展があったのでしょうか?

    ありません。まったく1年前からなんの進展もないどころか、ぎりきリになって出してきた小池氏の結論は、今度はなんと築地と両方を開発するというのですから啞然とします。

    正気ですか、小池さん。

    結局、豊洲を開場するなら、あなたが言っていた豊洲市場の地下水は浄化されたのでしょうか?

    いいえ、まったく手つかずです。ではなんですか、今度言い出したその「無害化」とは?

    浄水においてそんな概念はありません。「安全性を高めて基準値に合わせる」ならありえますが、「無害化」とは有害物質のゼロ化のことでしょうか。

    東京都地下水において「無害化」できるような土地などまったくない以上、いままでの「安心」という空論の上にさらにもうひとつタチの悪い空論を載せただけです。

    そもそも豊洲地下水の基準は使用しないで排水路に流すのですから、初めから排水基準にするべきだった性格です。

    それを「安心」のために飲水基準にしてしまったため、過剰な安全対策が必要だったのです。

    これをさらに「無害化する」んですって。ふざけるのもいい加減になさい。

    この言いぐさが崩壊して、豊洲に再度戻らねばならなかったのは、築地市場も調べると豊洲以上に「安全」でもなければ、「安心」でもなかったからにすぎません。

    築地の危険性はオープンエアな上にネズミが大量に生息し、元占領軍のクリーニング工場の跡地ですから推して知るべしでした。

    ただそれを知る人たちは、現況で多くの市場関係者が築地で営業しているために、批判するのを手控えていたにすぎません。

    それをいいことに1年間も空費したあげく両論併記とは。決められないにもほどがあります。

    その間、何百億円もの無駄な維持コストが空費され、オリンピック道路の建設にまで悪影響がでるほどでした。

    そういえば、オリンピック施設も東京都が負担する約束をチャブ台返しして、周辺自治体知事から猛反発をうけて撤回をしたのもあなたでした。

    小池氏は追い詰められて、豊洲・、築地の並立というコスト計算をしたことがない幼稚な案を出してきましたが、これが実効不可能なのは目に見えています。

    なぜなら、豊洲の開発費は、築地の売却費用で賄う予定であり、かつ市場法で数が制限されているからです。

    小池氏は議会自民党を悪の伏魔殿の如く言っていますが、この一連の経過はすべて小池氏とその部外者の側近によって決められてきたものです。

    議会に諮らないで、独善的にものごとを決定していく、これが小池流でした。

    ところが小池氏は、 ここまで都民に迷惑をかけ続け、なかんずく貴重な1年間を浪費させた市場関係者に謝罪するどころか、メディアのみこしに乗って凱旋将軍のような顔をしています。

    そして小池が破れれば、次は自分が危ないとばかりに、メディアは選挙戦の終盤になって揚げ足取りのような小さな「疑惑」を中吊り広告を使ってまき散らし、一方的なメディアスクラムで押し出そうとしています。

    今や小池党はズブの素人と、沈む泥船である民進党からの無節操な鞍替え組で溢れかえっています。

    そして今や共産党こそが、最大の党外のパートナーという有り様です。

    小池さん、あなたには政治理念もなければ、政策もない。あるのはメディアを使って「気分」を操る手練手管だけです。

    小池氏に必要なものは票ではなく、一年間に及ぶ都政停滞を招いた謝罪です。

    都民の皆さんの賢明な判断を望みます。小池党に力を与えてはなりません。

    ※ 朝アップした記事を差し替えました。

     

    2017年7月 1日 (土) | 固定リンク | コメント (39)

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