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北朝鮮準ICBM発射実験の意図とは

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昨日速報したとおり、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験をして、成功しました。 

なお米国では、太平洋軍は「中距離」とする一方、ティラーソン国務長官は「ICBM」とするなどなぜか分裂しています。
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2017070500129/

あらかじめお断りしておきますが、わが国のEEZに落ちようとどうしようと、そんなことはどうでもいいことです。 

わが国にとって直接の脅威となりうるのは、既に実戦配備済みのノドン及び新型の量産中と言われる固体燃料式中距離弾道ミサイル「北極星2号」です。 

今回実験した「火星14号」(KN-14)は日本に向けた弾道ミサイルではなく、米本土に対してのものです。 

Photo_2火星12号 http://www.sankei.com/world/news/170515/wor1705150...

したがって、 自ずと脅威の質が異なります。 

結論から先に述べます。 

今回の準ICBMは、北朝鮮が米国に「核保有国」であることを認知させ、相互確証破壊ロジックに入ることを宣言したものです。
相互確証破壊 - Wikipedia
 

北朝鮮が望むことは非常にシンプルです。北朝鮮のやることに米国はいかなる干渉もできないことを認めさせ、その拮抗状態を固定化・永続化させること、これに尽きます。 

この相互確証破壊という関係に入ると、北朝鮮が今後いかに弾道ミサイル実験をしようと、核実験を繰り返そうと、はたまた通常兵器で日本や韓国を攻撃しようと、米国はまったくそれを制止できなくなります。 

なぜなら、そのような米国の軍事行動は、北朝鮮の米本土への核攻撃を招く恐れがあるからです。

その時、私たち日本人の心に、 「ロスアンジェルスを犠牲にして、米国が東京への核攻撃に報復できるか」という古くて新しい懐疑が頭をもたげるでしょう。

この懐疑こそが、かつてドゴール・フランスが、NATOを離脱して独自核武装という茨の道を選んだ最大の理由でした。

まだ決定的とは言えませんが、このままトランプが今のような腰が引けた対応を続けた場合、年内に核実験が行われ、さらに長距離を狙った本格的ICBMが完成します。 

かくして、東アジアにおける米国の「核の傘」に大きな綻びが生じ、好むと好まざるとにかかわらずそれに守られてきた日本は、北朝鮮の核の脅威に真正面で対峙せねばならなくなるでしょう。 

Photo_7

では、ファクトから洗っていきます。 

防衛省の発表です。
http://www.mod.go.jp/j/press/news/2017/07/04b.html

「北朝鮮は、本日9時39分頃、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。詳細については現在分析中ですが、現時点で発射が確認された弾道ミサイルは1発で、2,500kmを大きく超える高度に達し、約40分間、約900km飛翔し、我が国の排他的経済水域(EEZ)内の日本海上に落下したものと推定されます。我が国の安全保障に対する重大な脅威であり、断じて容認できません」

今回の北朝鮮の準長距離弾道ミサイル(ICBM)は、北朝鮮側の発表で、高度2802キロ上昇しました。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)

発射方式は移動式で、整地をすれば山中からも発射可能です。

サイル燃料は注入に時間がかかる液体燃料ではなく、固形燃料を使用していますから、北朝鮮は任意の時間を選んで、任意の場所から発射することが可能です。

しかもコールドローンチによる固形燃料は打ち上げ熱量が少ないために、探知がしにくいと言われています。おそらく予防的空爆は不可能にちかいと思われます。
コールドローンチとは - 航空軍事用語

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 打ち上げ軌道は、耳なじみになってきた例のロフテッド軌道です。ロフテッドは高くロフトするとい意味で、高度400㎞の国際宇宙ステーションよりも約7倍もの高度まで上昇したことになります。 

このロフテッド軌道の運動エネルギーを高度にではなく、地球の自転方向に素直に用いたのがミニマム・エナジー軌道と呼びます。 

このミニマム・エナジー軌道で撃つと、効率的に長距離を飛ばすことができます。
弾道ミサイル防衛 - 防衛省

それで撃ったと仮定した場合、ロケット専門家は水平距離933キロ、飛行時間39分となると推測しています。 

さらに米国には、さらに長い距離を飛翔できるとする意見も存在します。

Union of Concerned Scientists(懸念する科学者連合)のデビット・ライト氏はこう述べています。
http://allthingsnuclear.org/dwright/north-korea-appears-to-launch-missile-with-6700-km-range

”Assuming a range of 950 km, then a flight time of 37 minutes would require it to reach a maximum altitude of more than 2,800 km (1700 miles).
So if the reports are correct, that same missile could reach a maximum range of roughly 6,700 km (4,160 miles) on a standard trajectory.
That range would not be enough to reach the lower 48 states or the large islands of Hawaii, but would allow it to reach all of Alaska.”
 

950kmの範囲を想定すると、37分の飛行時間は、それが2,800km(1700マイル)以上の最高高度に達することを要求する。
したがって、報告書が正しいならば、同じミサイルは、標準軌道上で約6,700km(4,160マイル)の最大範囲に達する可能性がある。その範囲は、ロワー48州やハワイの大きな島々には届きませんが、アラスカのすべてに届くはずです。

ライト氏は、ロワー48州(ハワイ、アラスカを除く北米大陸)には届かないが、アラスカには現状でも標準軌道を用いれば着弾すると考えています。 

では、この「準」ICBMの発射実験に対して、トランプはどのように出るでしょうか。 

日本人にとっては大いに悩ましいですが、微妙です。 

少なくともこれを、いわゆる「レッドライン;」とは考えてはいないことは確かです。

口では強く非難し、制裁強化を言うでしょうが、軍事的オプションを含む対応を排除した「冷静な対応」をする可能性が高いと思われます。 

というのは、今回の発射でも先ほど述べたように、米本土には直接届かないからです。 

顔を狙った危険球だが、顔をかすめたという判断ができる余裕が、今の米国にはあります。 

だから米国太平洋軍の今回の北朝鮮弾道ミサイルの判定は、”intermediate range ballistic missile ”(中距離弾道ミサイル)です。
http://www.usfk.mil/Media/Press-Releases/Article/1236848/us-pacific-command-detects-tracks-north-korean-missile-launch/

”CAMP H.M. SMITH, Hawaii --
U.S. Pacific Command detected and tracked what we assess was a North Korean missile launch at 9:40 a.m. Korea standard time, July 4.  The single launch of a land-based, intermediate range ballistic missile occurred near the Panghyon Airfield.”
The North American Aerospace Defense Command (NORAD) assessed that the missile launch from North Korea did not pose a threat to North America.
 

「CAMP H.M. スミス、ハワイ
米国太平洋司令部は、7時4分午前9時40分、韓国標準時に北朝鮮のミサイル発射を査定し、追跡した。陸上、中距離弾道ミサイルの一発射はパンギョン飛行場付近で発生した。」
「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、北朝鮮からのミサイル発射は北米に脅威を与えなかったと評価した。」
最後に小川和久氏の意見を紹介しておきます。おそらくこのあたりが正解なのかもしれません。
https://newspicks.com/news/2347546/
となると、緊急に開かれた日米韓の首脳会議においても、北朝鮮との繋がりがある中国系銀行への制裁というていどで終わるかもしれません。
いずれにしても、この極めて重要な日米韓の首脳会議をしている首相を呼び返して、「前川証人喚問」に出席させろ、「こんな人」発言許すなと叫んでいられる民進とメディアの脳味噌を開けて虫干ししたいものです。 
「北朝鮮が強硬に見える姿勢を示し続けるのは、話し合いの方向に向けて、米国の圧力に屈したのではなく、北朝鮮の強硬姿勢の前に米国が話し合いを望んできた、ということをアピールし続ける必要があるからです。
また、米国の神経を逆なでしない範囲で発射を繰り返すことは、ミサイル技術の向上と保有ミサイルの多様化によって、話し合いのカードを強力なものにしていくという狙いがあります。 (略)
一方、「周辺諸国に危険が及ぶことに配慮して(ロフテッド軌道で)発射した」という「理性的」な姿勢によって、米国を軍事挑発したのではないということを証明し、米朝間の話し合いの路線から逸脱しないですみます」
 

 米国、日本、韓国、関係国すべてが煮え切らないまま、正恩のみひとり、「レッドライン」を無視するかのように「核保有国」への道を疾走しています。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■7月4日 AFP ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、北朝鮮が4日に弾道ミサイル1発を発射したことを受け、中国に対して「こうした愚行を終わらせる」ため北朝鮮に断固とした措置を講じるよう促した。韓国当局によれば、ミサイルは北朝鮮西部の平安北道(North Pyongan Province)のバンヒョン(Banghyon)付近から発射された。同ミサイルの発射については米軍も確認している。

韓国軍がミサイルは日本海(Sea of Japan)に落下したと発表した後、トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長について、「この男は他にましなことはやれないのか」とツイッター(Twitter)に投稿。さらに、「韓国と日本がいつまでも我慢しているとは思えない」とし、「場合によっては中国が北朝鮮に対して厳しい態度に出て、こうした愚行を終わらせてくれるだろう」と述べた。

トランプ氏はこれまで中国に対して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に圧力をかけるよう要請してきたが、ここへ来て、中国の取り組みは「これまでのところうまくいっていない」との持論を展開していた。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は3日、トランプ氏が中国の習近平(Xi Jinping)国家主席と2日に行った電話会談で、米軍は北朝鮮に対して一方的な行動を取ることも辞さない構えであることを告げたと報じている。匿名の政権高官らは同紙に対し、トランプ氏は中国が対北朝鮮政策を大幅に変えるとはもはや思っていないとの見方を示している。

 

 

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コメント

発表された写真を見る限り、このTELは数年前に「工事用重機運搬用」として中国から北朝鮮に闇輸出された8軸16輪の大型車輌の改造ですね。
あくまで中国は北のバックに付き続けるのか?
その辺の本音がどうなのか悩ましいところです。北の坊やが暴れれば標的はスカッドERなりノドンなりで北京に向かうことすらありえるのですがねぇ。

トランプも「このままでは韓国や日本が黙っていないだろう」という、まことに微妙な評言をしています。自国はどうするのかはボカしてますね。

なんともキナ臭いことになってきましたが、現状の日本は数少ないイージスと、500発程度の拠点防空用のPAC-3しか持っていません。

政局云々なら稲田さんは論外で交代させるにしても、んじゃ誰なら国を守れるのか!?

投稿: 山形 | 2017年7月 5日 (水) 08時01分

 (誰の説であるか、すっかり失念してしまったのですが)、 中国は抜本的に北への援助をやめる事はないし、ロシアも北の労働力を排除する事はない。
 けれども、米国は近いうち北を一網打尽にする情報と能力を持つに至るし、戦闘による周辺国への被害も極小に抑えられる作戦も現実味を帯びて来ている。
 
 しかしそうなっても、米国は別の懸念の存在を憂慮している、と。
それは韓国・日本・米国内に広がる「親北」ネットワークの存在で、仮に北の国土を制圧しても、ゲリラ化したそれらとの新たな「非対称」の戦いに転換する重要な憂いが米国を戸惑わせるのだ、との事。
 
 そのためのテロ等準備罪などの「法整備」が急務だったと思うものですが、首相をして「五輪のため」とか言わざるを得ない状況が日本の内実です。
 我が身そのものから腐れゆくこのような現状を「民主主義の病」と捉え、縦横に私権を制限する事の出来る国々の指導者は、決して民主主義を採用する事のない由来でもありますね。

投稿: 山路 敬介(宮古) | 2017年7月 5日 (水) 15時11分

山路さん

> けれども、米国は近いうち北を一網打尽にする情報と能力を持つに至るし、戦闘による周辺国への被害も極小に抑えられる作戦も現実味を帯びて来ている。

 これが事実であれば、アメリカは近いうちに北朝鮮を攻撃するのではないでしょうか。私はそう思っております。

 色々と考えるのですよ。

 北朝鮮が在日米軍基地を攻撃すれば米軍は全面的な反撃をする筈ですね。これで、北朝鮮は終わりです。

 または、どういう理由かは分かりませんが、北朝鮮が東京にミサイルを発射したとすれば、それも北朝鮮の終わりになるでしょう。アメリカ軍は北を攻撃するでしょう。そのとき、自衛隊は北朝鮮を攻撃しないのでしょうか? 私は、攻撃に参加するだろうと思うのです。非現実的な憲法は、非常時には何の役にも立たないことが分かることでしょう。

 万一にも、東京がミサイル攻撃をされてもアメリカが反撃をしないとなれば、日米同盟は崩壊する筈ですね。そうなると、日本は現憲法を破棄し新憲法をつくり、核装備もすることでしょう。

 要するに、北攻撃のチャンスは目前に横たわっているのではないかということです。ブッシュのイラク攻撃よりも、今般の北朝鮮攻撃の方が世界の評価は格段に高くなるのだと思いますね。国民を苦しめて顧みない金王朝は抹殺されるべき時が来たと思っております。

投稿: ueyonabaru | 2017年7月 5日 (水) 18時06分

私も山路さんと同じ角度のコメントを書こうと思いながら、今日は家庭防災グッズの点検に追われています。
本記事にある北の意図、米の意図、そして米のレッドラインはオバマのシリアの時とは少しニュアンスがちがうラインがプラスされています。
米の攻撃は、日韓いずれかに北由来の化学テロが起きた時。それは未然に防ぐに越したことはなく、だからこそ法整備が必要なのだと私は考えています。
だって、米大陸が射程に入ったからと先制攻撃をして、報復が日韓にとんできたら日韓は米のせいだと騒ぐでしょう。順番が逆であれば話は別です。最初の一手を米朝に委ねている現状をここから打破する事できます(決してこれでテロがゼロになる訳ではないですよ)。

努力は改憲はもとよりスパイ防止法を一刻も早く作りテロ準とセットで、公安から切り離した組織を発動させる事でできます。

投稿: ふゆみ | 2017年7月 5日 (水) 18時17分

国内に余りまくっているプルトニウムを利用する時
が来たのです。これから北朝鮮をオール・ジャパンで
キャッチアップです。JAXAさん、ロケット頂戴!

「米国本土までICBMが届くのは、あとわずかな時間しか
ありません」とNHKまで言っているけど、他人事みたい
です。もう何発でも日本本土まで届くんですけど・・ 
平和ボケもいいとこ、日本本土が月面にあるとでも思っ
ているのか?

トランプ親ビンはリアリストだから、「北朝鮮?基地外
には関わらないのが一番。中共・ロシアに比べりゃ小物
だから放っておけ、狂犬を飼うリスクはあっち側にある
んだからな」「こっちの関与は噛まれるリスクだけだ」

「それよか、米国が儲けることがファーストだ」とも
なれば、日本・韓国はマジに自前で防衛プランを可及
的速やかに構築しないといけない。結局、自分を助ける
のは自分しかいない、大昔からのアタリマエです。
米国が助けてくれるったって、火ダルマにされてから
じゃあ、あまり意味がありません。(米国のホンネ?)

日本は外国の威力行使によって進化してきた国です。
今回もそれを信じるしかありませんわ。

投稿: アホンダラ1号 | 2017年7月 5日 (水) 22時47分

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