中露合作かもしれない北朝鮮弾道ミサイル
中国は北朝鮮の共犯者です。この立場は不変です。
中国は、戦略的に北朝鮮を「鋭いナイフ」として利用し続けており、いまもその立場は変わりません。
そうでないと、今年2月から12発ものミサイルを発射し、今回とうとう準ICBMを完成の域まで驚くべき速度で進化させたことは不自然に過ぎます。
ミサイルの形状から容易に分かるように、あれらは北朝鮮で多少の手は加えられているものの中国製のフルコピーです。
上の写真は中央日報(2017年4月21日)が撮った太陽節の写真ですが、潜水艦弾道ミサイル(SLBM)北極星1号を乗せた大型特殊トレーラーについたブランドには、中国「SINOTRUK」(中国重汽)と読めます。
初めは材木搬出用として輸出されましたが、今は、中国と中北合弁会社として平壌に会社を置いて現地生産しています。
「金日成広場で開かれた閲兵式では北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である「北極星1号」がトレーラに載せられて登場した。このトレーラの油類タンクと推定される部分には「SINOTRUK(中国重汽)という文字が鮮明に見える。
対北朝鮮軍事消息筋によると、SINOTRUKは北朝鮮軍部と機械工業省が生産工程をまるごと北朝鮮に持ち込もうと長い間交渉を続けてきたトラックメーカーだ。SINOTRUKの性能が優れていて、中国だけでなく北朝鮮の輸送関連機関や業者の間で高い評判を得ている点などが考慮された。実際、SINOTRUKは2014年9月に平壌で開かれた10次秋季国際商品展覧会に出品して好評を受け、コストパフォーマンスに優れているため安定した販売量を維持していることが分かった。
北朝鮮軍部と機械工業省はこのような状況を勘案してSINOTRUKの生産ラインを導入して北朝鮮内で生産することに合意し、2014年に施設の導入を終えた 」(中央日報 同)
この移動式発射装置(TEL)は、米軍の探知を逃れて山中から随時発射できる恐るべきものです。
輸送起立発射機 - Wikipedia
このような重要な戦略兵器を合弁でノックダウン製造していること自体、中国にはまったく制裁などする気は皆無ということを現しています。
ノックダウン生産 - Wikipedia
また、この間北朝鮮のサイバー攻撃が全世界規模で行われ、大規模な社会的混乱を呼んだことは記憶に新しいと思います。
北朝鮮の通信回線は、すべて中国を経由しています。
したがって、中国は北朝鮮のサイバー攻撃をリアルタイムで知っており、それを放置したということになります。
なによりもその時点で、中国が北朝鮮の回線を遮断しなかったことに、作為的意図すら感じます。
未確認情報では、北朝鮮のサイバー部隊を教育したのも中国、そしていまも北サイバー部隊の一部も中国国内に拠点を構えていると言われています。
中国はトランプの警告、いや哀願を平然と無視して、弾道ミサイルの生産とサイバー攻撃にまで手を貸していると思われます。
軍事評論家の鍛冶俊樹氏はこう述べています。
「北朝鮮がICBMを発射した昨日7月4日は米国の独立記念日に当たり、米国への挑戦的な姿勢が明白だが、問題はその時、習近平はどこにいたかである。彼はモスクワに居てロシアのプーチンと会談していたのである。
つまり、この日に北朝鮮にICBMを撃たせる事をプーチンに知らせた上で、来るべき米中対立においてロシアに、中国側に立つよう要請したのは火を見るよりも明らかだ。中朝露対日米欧となれば、これは紛れもなく世界大戦だ。習近平は世界大戦を意識して行動しているのである」
鍛冶氏の分析は未確認情報が多数あって、必ずしも同意できないものもありますが、この指摘は真実の一部を指摘していると思います。
鍛冶氏の世界大戦に突入するという言説には同意しかねますが、習が事前にICBM発射を知らされてきた可能性は高く、それをプーチンに知らせて中露が何事かを意志一致した可能性は大いにありえることです。
ちなみにロシア専門家の中村逸郎・筑波大教授は、北朝鮮に核技術を教え、なおかつプルトニウムを与えたのは、旧ソ連から連綿と続き、いまもなおロシアの一貫した姿勢だと述べています。
つまり、北朝鮮の弾道ミサイルは、核兵器部分はロシア、ミサイル本体は中国から供与されたのかもしれません。
となると、習が求めた「100日間猶予」とは、党大会までの猶予を意味せず、北朝鮮にICBMを完成させるまでの時間稼ぎであったということになります。
このような中国に「頼った」不明を、トランプには大いに恥じてもらわねばならないでしょう。
やっと迷妄から覚めたトランプは、遅まきながらいくつかの手当てを開始しました。
①中国がもっとも嫌がる台湾へ14 億ドルの武器供与。
②中国がこれまたもっとも嫌がる人権問題批判。劉暁波の米国亡命受け入れ示唆。
③北朝鮮のマネーロンダリングをしていた中国・丹東銀行への制裁。
④中国の鉄鋼製品にダンピング報復関税400%。
⑤南シナ海における「航行の自由作戦」再開。
⑥米韓ミサイル演習。
いずれも小業ですが、やらぬよりマシです。
なお、長距離ミサイル技術を北朝鮮が持ったことは疑う余地がありませんが、最後の関門ふたつのうちひとつ、再突入技術まで獲得したかとうかは意見が分かれています。
韓国情報当局は持ったとしているようです。
「韓国紙、中央日報は17日、北朝鮮が14日発射した弾道ミサイル「火星12」に関し、弾頭部分が大気圏に再突入した後も内部の装置が作動していた形跡があり、再突入に成功したようだと報じた。
韓国情報当局者が、弾頭と管制センターの交信が再突入後も行われており、弾頭が破壊されなかったとの見方を示したという」(産経5月17日)
ただこの根拠は、北朝鮮国営メディアが報じた写真の中で、弾頭から送られたデータを記録する装置に「30分11秒」と飛行時間を示すものがあったというだけにすぎず、米韓当局が実際にシギント(電子諜報)で傍受したかどうかは不明です。
またもうひとの最期の関門である核の小型化も、成功したかどうか実証されていません。(多弾頭技術も残っていますが、置きます)
このふたつの核弾道ミサイル最終技術まで中国が渡したとは、にわかには思えないのも事実ですので、冷静に判断する必要はあります。
テレ朝の報道(7月4日)。
「北朝鮮のICBM発射は都議選で大敗した自民・安倍政権への牽制ではないかと専門家が 述べています」
とうとう通常ニュースでも、北がミサイルを撃ったのもアベのセイダーですか。もう重症ですね。
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まったく嫌になるひどい現実ですね。
しかし、これが現実の「世界」ってやつですか。
北朝鮮ごとき問題が第三次大戦を引き起こす引き金になるなどという事は考えづらいですが、なるほど中共らしい演出です。
恫喝としてビジネス経験しかないトランプ氏に世界大戦を意識させ、想像させる狙いの演出効果を狙った「習・プーチン会談」だった側面がアリアリです。
弱者や悪者にとって「時間」は常に重宝に使える「味方」です。
今、米国に必要なのは「トンキン湾事件」であり「アロー号事件」なのかも知れません。
中共は二枚どころか四枚も五枚も舌を持っているので、「ディール」はつねに「実力」をすぐ背後にチラつかせないワケには行きません。
「韜光養晦」の時代は過ぎたのです。
「口直し」とおっしゃいますが、日本以外の世界の何処に、これほど間抜けなジャーナリズムが存在するのでしょうかね?
ただただ脱力してしまって、全然笑う元気も出て来ません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2017年7月 6日 (木) 09時28分
>北朝鮮のICBM発射は都議選で大敗した自民・安倍政権への牽制ではないかと専門家が 述べています
これ本当ですか。山路さんには申し訳ありませんが笑ってしまいました。
マスゴミの劣化ここに極まれりで確かに笑ってる場合ではないですけどね。
もはやテレ朝も日刊ゲンダイやリテラなみにまで堕ちてきたということですか。
投稿: | 2017年7月 6日 (木) 16時16分
北朝鮮はアメリカ独立記念日へのお祝いだっていっていますけれどね。
自意識過剰ですよね。マスゴミって。
※以前も民進党議員が、イギリスの風刺漫画を安倍だといって大恥かいていましたが、どこまで見たいものしか見ない人たちなんでしょうかね?
投稿: かつて(以下略)… | 2017年7月 6日 (木) 16時28分
> 今、米国に必要なのは「トンキン湾事件」であり「アロー号事件」なのかも知れません。
アメリカにとっては、それ以上の材料がもう備わっていると見るべきでしょう。ここで動かなければ、アメリカへの信頼感は極端に下がります。
もしも中国への経済制裁圧力の方へ力点を移すのなら、中国との関係は悪くなりますね。それでも粘り強く中国を介しての問題解決をトランプ大統領は狙っていくのでしょうか? それは私には考えにくいのです。トランプ大統領のことですから、一気に勝負に行くのではないでしょうか。
習近平がプ-チン大統領とあってどんな話し合いをしたのか分かりませんが、両国が組むことがどのようなメリットがあるのかは甚だ疑問です。
ともかく、日本が主体的なプレ-ヤ-ではなくて、他国の思惑に翻弄されている小舟のようなものですね。今は、トラン大統領の采配に期待をするのみです。
投稿: ueyonabaru | 2017年7月 6日 (木) 20時36分
済みません。
二番目の名無しの権兵衛は私です。
今頃になって気づくとはなんとも情けない。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2017年7月 7日 (金) 07時41分