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2017年7月30日 (日)

日誌「隠蔽」問題 防衛省の迷走と官僚の壁

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初め昨日の特別防衛監察全文に捕捉して書いていたのですが、稿を改めました。 

稲田大臣が隠蔽を支持したり、了承した事実はなかったのは明らかです。問題はもっと別の場所にあります。 

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ことの起こりは現地PKO部隊の司令部(CRF)が、日報開示要求に対して渋ったことから始まります。 

その理由は緊張状況の現地で、日報開示にその都度応じていれば隊員の安全が保障できないからだと思われます。その判断が陸幕に了承されたために削除しました。 

ところが、報告書にこのかんじんの削除した理由について言及がありません。 

こここそがキモのはずなのですが、なぜか省かれているために「どうして現地部隊は日報の開示に消極的だったのか?」ということが分からなくなってしまっています。 

このような日報は、後に戦史を編む上でもきわめて貴重な1次資料ですので、安易に現場判断で削除されてはならないものです。 

ただし、このような隊員の安全に関わる軍事情報が、無条件に一般開示されることもまた問題です。

このかねあいを判断するのが、統幕のはずだと思います。

三木由希子氏はWeb論座(2017年3月20日)でこう述べています。http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017022100006.html

「文書管理法は、文書の保存期間を、文書の種類や内容に応じて1年未満、1年、3年、5年、10年、30年とするとしている。このうち、1年以上の保存期間となる行政文書は、「行政文書ファイル管理簿」に記録されて公表されるとともに、廃棄した場合もこの管理簿に記録される仕組みになっている。また、1年以上の場合は、廃棄にあたり内閣総理大臣の同意が必要であり、実際には内閣府公文書管理課が審査を行っている。
 1年以上の保存期間文書は、明確な管理の対象となる一方で、1年未満の保存文書はそうなっていない。管理簿に記録されることもないので、廃棄されたか否かを客観的に確認する方法がない。
 そのため、1年未満の保存期間と規則上され、情報公開請求を受けて探した範囲が特に不当とは言えず、行政機関の説明に矛盾がなければ、存否を争ってもまず請求者側は勝てない。不存在という行政機関の判断が通ってしまうのが現状だ。PKO日報のように重要であると言えそうな文書であっても、「重要だ」ということだけでは存在することの証明にはならないからだ」

今回の日報は「重要だというだけでは保存の対象にならない」と判断されていたわけです。

まぁおそらくは、私が当初から言っていたように、現地の小競り合いていどで日本だけが引き上げるわけにもいかない苦衷があったのでしょうし、それは自衛隊としては文字化できないものだからです。

元々現実にそぐわないPKO5原則などを押しつけておきながら、「戦闘」という二文字に過剰に反応する、そしてその責任をすべて自衛隊に持ってくる・・・、たまらない日本の政治のあり方ですね。

それはさておき、この「削除されていたはずの日報」が、一躍脚光を浴びたから大騒ぎになりました。

しかも陸自の共有フォルダに「なかった」はずの日報ファイルが、いくつも残っていたわけです。後にCRF自身のPCにも残っていることがわかります。 

PKO日報は、陸上自衛隊の「指揮システム」にある掲示板にアップロードされて、掲示板へのアクセス権限があれば誰でもダウンロードできるものだったことがわかっている。ここから日報の電子データを統合幕僚監部がダウンロードしており、今回見つかったのはこの統幕で保管していた日報だ」(同上)

これは情報管理としてはきわめて杜撰で、仮に日報が防衛秘密としての指定を受けていないにせよ情報管理がいかに穴だらけだったかわかります。陸自には猛省を望みたいところです。 

そして一回「なかった」と言ってしまったために、その「うそ」をその後も繰り返してしまうことになります。 

2017022100006_1防衛省が新たに公表した南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の「日報」http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017022100006.html

ここで、河野太郎氏がいる自民党行革本部が日報管理の改善に乗り出して、日報の有無を調査します。1日違いで稲田大臣も再調査を命じます。 

逃げ場がなくなった陸幕は、「あれは個人データであって公開に耐える行政文書ではない」という理由で「再調査したら実はあった」と報告します。 

実にまずい言い訳です、官僚的保身といわれても致し方ないでしょう。 

たしかに個人PC内部の機密指定ではない文書は「個人データ」かもしませんが(グレーゾーンですが)、それが今、防衛省を上げて大騒ぎして捜している当該日報なら行政文書もクソもありません。 

すいませんありましたと、率直に謝罪し、その経緯を明らかにすべきだったのです。 

それをあーでもないこーでもないと官僚的こねくり回したあげく、最悪の事態に防衛省を追い込んでしまいました。 

稲田氏は「再調査したらあった」と国会答弁して、袋叩きに合います。

しかもその答弁の前に、河野氏が個人的にSNSで情報を拡散させてしまいました。

河野氏は共同のフェークニュースで直ちに的確な反論をしているのですが、当該大臣の公表の前に出すなよと言いたいですね。

つまり、加計における前川文書(牧野メモ)と同じで、なかった、いやあったと信号機よろしく点滅させてしまったわけで、このような言辞は誰からも信用されません。 

ましてや初めから隠蔽疑惑を稲田氏にかけたくてしかたがないメディアは、待ってましたとばかりに一気加勢に責めたてることになります。 

これは稲田氏が、安倍内閣の弱い下腹だと思われていたからです(そのとおりですが)。

つまり、稲田大臣が隠蔽を命じたか、あるいはそれを了承したという想像が入り込む余地を自ら与えてしまったことで、内閣全体を窮地に陥れることになったわけです。

今回の稲田「隠蔽」疑惑と加計事件に共通することは、官僚が独自の利害をもっており、独自の論理で動く階層であるという事実です。

この「官僚の壁」の盟主であった守屋事務次官を敵に見立てて大立ち回りをやった防衛大臣が、かの小池百合子氏でした。

彼女は仕事らしい仕事はしませんでしたが、官僚の壁に引っかき傷を与えました。都知事になってからもこの成功イメージから抜け出せず、都官僚を叩くのが都知事の仕事だと勘違いしているようです。

一方稲田氏は、おそらく、会議でも「再調査するように」ていどの毒にも薬にもならないことしか言わず、官僚の報告を黙って聞いていたのでしょう。

それがある人たちには、「了承」ととられたのかもしれません。

回の事件は不毛そのものでしたが、日本の「主権」を誰が握っているのかが段々と明らかになってきたことはたしかです。 

といっても、官僚覆面対談などをやらせて、大臣の大臣のマスカラがどーした、辻本に泣かされたからこーした、といった週刊文春のようなメディアにはどうでもよいことなのでしょうが。

稲田事件の後に霞が関の「覆面官僚」たちにしゃべらせるという神経自体が狂っていますが、伊藤惇夫氏もツケマツゲがどうのと、したり顔でしゃべっていたようです。

マティス長官が来日した時にリボンの服はないだろう、ということまでは国際儀礼ですからいえます。

しかし、どんな化粧をしようと言われる筋合いではありません。

このようなジェンダーを絡ませた女性政治家バッシングをすると、NTタイムズにこのように書かれることになりますからご注意ください。
https://www.nytimes.com/2017/07/28/world/asia/japan-women-politics-inada-murata.html

”Both women stepped down for reasons that had little to do with gender. Yet in a country that scores abysmally in global measures of gender equality and has experienced false hopes of change in the past, these women’s departures are seen as a setback.”

「どちらの女性もジェンダーとは関係のない理由で辞任した。 しかし、世界的なジェンダー平等尺度で評価されると、過去に偽の変化への希望を経験した国では、これらの女性への逸脱(した攻撃)は後退とみなされる」

 

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コメント

 防衛大臣は辞任しなくてもよかったと思う。陸上幕僚長を処分して、文民統制の実を示せば良かった。小池さんが防衛大臣をしていた時にも秘密漏洩の問題があった。この時も小池大臣が辞任している。担当者を処分するか守屋事務次官を処分すればよかったのではないか。なにか、私たちの知らない事情でもあるのか?

 ueyonabaru さんの言うように、稲田氏は辞任するにしても「日報問題」では辞任する必要はなかったと思いますよね。
 
 それに「私たちの知らない事情でもあるのか?」ってのも同感です。
 私たちは加計問題では、本質にせまった報道がきわめて少ないながらも全体の構図を知る事が出来ました。
特に、獣医師会=文科省=既存の大学経営者の既得権受益者と一体となって、ここに石破茂が加担・暗躍した構図が明らかとなった事は大きかったです。

 しかし、防衛相の場合は任務の性質上、明らかに出来ない事が多すぎるような気がしています。
そこの本質に焦点が向かないための「辞任」のように思え、なんだか釈然としませんね。

まあ、日本の組織のトップは基本的に「お飾り」ですから、不祥事があった場合は切られるのが運命です。そして、トップが変わっても何も変わらず「正常」に組織は運営されていきます。また、切られたほうも大して影響は受けません。

歴史的には、ときおり「強いリーダ」が表れますがたいていは「悲劇的な最期」ですよね。

軍事部門である防衛省が(庁の頃よりはマシとはいえ)他の行政と同じように政府の枝から垂れ下がっている扱いがおかしな状況を生んでいます。やはり、軍は同じ扱いではない形でトップから軍規をしっかり持ってコントロールしないと、只々得体の知れないグレーな、しかも役割を災害でしか果たせない存在になってしまいます。
今回それを痛感できた国民がどれ程いるのか、どうやって増やしていくか、少しずつでもできることをやりたいものです。

防衛大臣の引責辞任って、鈴木善幸内閣以来でしたっけ?あれは露骨にソ連スパイ問題でしたけど。

稲田さんが無能なのはよく分かっていますが、
話の経緯から見る「文民統制」「省庁クーデター」の問題と、北のミサイルの徴候を知らされている中で辞める必要は無かったと思います。どうせ今週にも内閣改造で交代するんですから。。
実際に早速毎日新聞では岸田大臣兼務に「有事対応に遅れの恐れが・・・」と、きてますしね。もう、内閣叩ければなんでもいいというポジション。酷いメディアスクラム。集団ヒステリー。
NHK福井の街角インタビューでも「あれだけテレビで騒がれてるし・・・」なんての流すし。
テレビは神様かっての。

モリ・カケ等も含めて、そんなもんは「コップな中の嵐」というか「ショットグラスになんでもぶちこんでスプーンで捏ね回して遊んでる」のが、現在の日本の野党とマスコミですね。
全く何をやってんだか。このハゲェーッ!!

そんな暇なことに浪費(国会だけで毎日数億単位で国費が飛ぶ)していないで、世界情勢を見回して審議するなり報道するなりしてほしいもんですよ。

おっと、Ueyonabaruさんが書いてた。古池さんも引責でしたね。

あと、代表辞任前に蓮舫さんが言ってた「第三者委員会による検証を」は論外。
もちろん情報はできるだけ公開されるべきですが、特別防衛監察の最中でありました(だから余計に結果が出る前に稲田さんは辞任すべきではなかった) 。

まず「第三者」 って誰よ?どこまで権利認めるのよ?
ろくでもない弁護士とかを送り込んで「防秘」覗こうとしたいだけじゃね?と。

自衛隊にはやはり別に「軍事法廷」のような物が必要だと思いますね。

いつも拝見しています。

元陸上自衛官で中央の情報部門にいた者です。
立ち上がったばかりの中央即応集団の情報部にモーニングレポートの在り方をレクチャーしに行った経験があります。
もともとモーニングレポートというのは、陸幕の運用支援情報部情報課(旧陸幕調査部調査二課)で陸幕長の状況判断に資する国内外情報を日々まとめて分析報告するということを行っていたものが起源です。
行政文書管理がやかましくなってきた約15年ほど前から提出資料の右端に保存期間を記入するようになりました。このようないわば業務資料に近い報告書ではありますが、各部隊は、陸幕長と同じ頭揃えをしなければならないという要求があるため各部隊長あてに指揮システムで配信しており、各部隊の情報部門が管理しておりました。(私がいた5年前までは)
陸自の文書管理というのは非常に煩雑なもので、文書受け入れすれば、それを簿冊に登録し、閲覧などすればその者の名前・日付を書き込み、部屋から持ち出せば、やはり記述し、文書破棄するとなれば必ず一名以上の立会者を立ち会わせ、指定サイズにカットできるシュレッダーで破棄し、その結果を書き込みます。しかもそのいずれの行動にも部隊長及び管理責任者の印鑑が必要というものです。
モーニングレポートはそれこそ毎朝配信されるもので、それを部隊長が日々受け入れから破棄までの業務を細々とできるものではありません。
制度に不備があるといえばそうですが、16万人が所属し半年ごとにその十分の一の者が人事異動する組織でデータ化された文書をその日限りで破棄するというのは、まず困難です。
また16万人の組織では日々それこそ数万件の文書がこさえられています。
その一件一件を上述のやり方で管理すべきでしょうか。

私は、在職当時から日々発簡される報告文書などは、行政文書管理の外にするべきだと考えておりました。
つまり秘密文書扱いとして、開示請求の対象外とするか、外交文書のように長期の時間経過後の開示対象とするべきです。
近々の状況を逐一伝えることに、防衛上の問題がないと言い切ることができるでしょうか。

文書を細々管理するということは、デスクワークする人ばかりの他省庁ならできるかもしれませんが(おそらく彼らも不可能と思いますが)、我々幹部自衛官といっても半現業の公務員です。

隊員及びその家族、武器車両、弾薬、糧食の管理は本分といえますが、他省庁と同じように機密でもない文書、パソコンデータまでを微に入り細に入り管理しろというのは、少々酷だと思います。

皆さんが陸自がたるんでいるといえばいうほど、おかしな規則が出来、我々はいよいよそれを守れなくなるということになっています。

いかにも官僚的と言えますが、この一件以後、必ず屋上屋を重ねるような規則ができるはずです。
そして自分で決めた規則を自分たちで守れないという状況が露呈し、皆さんからまた叩かれるということになるでしょう。

元自衛官様。大変に貴重な国防現場のコメントに感謝します。

「日々発簡される報告文書などは、行政文書管理の外にするべきだと考えておりました。
つまり秘密文書扱いとして、開示請求の対象外とするか、外交文書のように長期の時間経過後の開示対象とするべきです。」

仰せの通りです。私にもその危惧はあります。防衛関係資料にかんしての情報開示はきわめて慎重になされるべきで、おかしなレギュレーションをつくるとかえって守れなくなる事態になるという貴兄のご意見はよく理解できます。

結局、隊員の安全確保や、防衛機密の漏洩にもつながり、まずいとかんじていました。

稲田問題をこのように掘り下げて頂いたコメントに改めて感謝いたします。

自衛官の制服組が堂々と国会で発言できるようにならないと行けません。
前川喜平なんぞに話させるくらいなら、自衛官の生の声を国会へ!

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