« 「加計ありき」ですよ。だから? | トップページ | 北朝鮮の「平和攻勢」と米国の現状凍結路線が一致したら »

河野太郎外務大臣を迎える東アジア情勢とは

046

内閣改造が行われました。 

面白いのは石破派から農水大臣に齋藤健氏が入閣したことです。経済産業省出身で、党農林部会長をしていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170802/k10011085121000.html 

2016年6月の改造では、これも石破派の山本有三氏が入っていますから石破派の指定席となっています。 

政局しか見ないメディアは、「アベによる石破派の分断だ」と報じるでしょうが、石破氏の日本農業改造論には評価すべきものも多く含まれていて、安倍氏は案外そのあたりを見ているのかもしれません。 

政局的にひとつ上げれば、岸田氏が党政調会長に入ったことで、いわば自民党株式会社の専務となりました。

もし安倍氏の念頭に後継禅譲があるなら、あんがい岸田氏かもしれませんね。

Index5
驚いたのは野田聖子氏ではなく(どーでもいいです、あの人は)、河野太郎氏が外相の要職に入ったことです。 

ムンジェイン大統領がこのクセ球人事をどう見るのか、はなはだ見物です。 

河野太郎氏の父親こそ、日本側で慰安婦問題という超巨大フェーク・アイコンを作ってしまった最大の責任者のひとりですからね。 

父は父、息子は息子ですから、その堪能な英語力と外国人脈を活用して、ガラス細工の平和の上に立っている日本を支えて下さい。 

さて、眼を政局から東アジア全体に移します。 

私は再び朝鮮半島情勢が、きわめて緊張した局面に入ったと考えています。 

その理由は三つあります。 

Hqdefault

 ひとつはいうまでもなく、金正恩の異常な原爆への愛です。映画のタイトルではありませんが、彼はもう心配するのを止めて、核兵器による均衡へとまっしぐらに進んでいるようです。 

つまり、煮え切らない周辺国とは違って正恩の目的は明確で、相互確証破壊(MAD)の関係に米国を引き込むことです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/index.html 

いったんこの関係に入ると、「核による平和」が訪れます。相互に相手の核報復能力を軽視できないために、核戦争を恐れて通常兵器による戦争も回避するようになるからです。 

米中露の関係がこれです。小規模なものでは、印パ関係もこれにあたります。 

正恩はこの相互確証破壊という、「核による平和」に手が届こうとしています。 

これはわが国においては悪夢です。核を持った北朝鮮が、ありとあらゆる難題をわが国吹っ掛けてくるだろうことは目に見えているからです。

もしこれを米国が手をこまねいていたならば、日米同盟の意義も色あせるでしょう。 

韓国にとっても悪夢なはずですが、この国の国民はニュークリア・ナショナリズムという民族宗教をもっていますから、「核を持った朝鮮」の到来はむしろ嬉しいのかもしれません。 

Rケリー長官とトランプ大統領 

第2に、米国の状況に大きな変化が現れました。 

ジョン・ケリー前国土安全保障長官が、首席補佐官に就任しました。ケリー氏は海兵隊退役大将で、国防長官マティス氏の後輩に当たります。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-kelly-idJPKBN1AD2Q3 

ゴタゴタ続きのトランプ政権を支えているのは、旧軍人グループです。 

そのボス格のマティス国防長官は口舌の徒でない証拠に、2月に中東のISを10か月間で壊滅する作戦計画をトランプに提出し、そのとおり実行しました。 

2017071200000005wordleaf0787e6debc5モスル陥落 

ご承知のように、7月9日には、IS第2の都市モスルが陥落し、首都ラッカは陥落は時間の問題となっています。 

ISは中東戦線から退き、フィリピンのミンダナオ島などに拠点を移動しようと目論んでいますので、ISの脅威は去ったわけではありませんが、少なくとも今中東方面に貼り付け状態にあった空母打撃群をシフトすることが可能となりました。 

いままで、朝鮮半島の米国海軍力は、事実上横須賀を母港とするロナルド・レーガンの1個空母打撃群だけが朝鮮半島をケアしていましたが、一挙に状況が変化します。 

最新型空母であるジェラルド・R・フォードを含む、空母打撃群3セットを一挙に朝鮮半島海域に投入できる余裕が生れました。 

3から4セットの空母打撃群が、朝鮮半島海域で作戦できることになり、これにより、少なくとも海軍力の準備を完了出来る条件が整いました。 

一方ムンジェインも、いつものように朝令暮改ですが、今のところTHAADの追加配備に合意しました。 

また米国は、大陸間弾道ミサイル迎撃実験に成功しています。http://www.bbc.com/japanese/40102464 

Photo2016年1月にカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から発射された、長距離地上発射型迎撃ミサイル BBC

かくして、米国は朝鮮半島に軍事力を集中できる条件が、急速に整いつつあります。
 

このまま推移すれば、数カ月後には北朝鮮に対する軍事攻撃が可能となります。 

そして3番目には、トランプの支持率が落ちてきていることです。

米国の有力な世論調査会社てあるラスムセン社は、このような最新レポートを出しています。 

”The Rasmussen Reports daily Presidential Tracking Poll for Wednesday shows that 38% of Likely U.S. Voters approve of President Trump’s job performance. Sixty-two percent (62%) disapprove.

ラスムセン社は、水曜日の毎日の大統領支持率が、米国人投票者の38%がトランプ大統領を支持するとした。一方、 62%が不支持である。
http://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/trump_administration/prez_track_aug2#

この人気の陰りに対してコアな支持者を食い止めるために、トランプができることは大変に限られてきました。

内政的には、オバマケア廃止法案のように手詰まり感が充満しているために、外交・軍事方面に行くこともありえます。

だとするなら、トランプにとって選択肢はひとつしかありません。

当座、ティラーソン国務長官は、中国をにらみながら北朝鮮との交渉を模索するでしょうが、正恩がこの段階で受けるとは思えません。

ティラーソンはワシントンポストが主張するような、北朝鮮を除く関係国会議をしたいのかもしれません。

”Here’s a contrarian thought: President Trump had the right instinct to insist that China help resolve the nightmare problem of North Korea. A peaceful solution is impossible without help from the other great power in East Asia.”

トランプ大統領は、中国が北朝鮮の悪夢の問題を解決する助けとなることを主張する正しい動物的本能を持っていた。東アジアの他の大国からの助けがなければ、平和的な解決は不可能だ。
https://www.washingtonpost.com/opinions/trump-is-right-about-china-and-north-korea/2017/08/01/66a1a5f6-7700-11e7-8839-ec48ec4cae25_story.html

しかしこのまま時間ばかり稼がれてしまえば、年内にもう数回のICBM発射実験と核実験を実施されて、ゲームオーバー、ウィナー・キム・ジョンウンということになります。

いずれにしても、ここ数カ月以内にその答えは分かるでしょう。

そしてわが国にとっては、戦後最大の国難が待ち構えています。

河野太郎外務大臣を迎えるのは、さわやかな「湘南の風」ではなく、このような東アジアなのです。 

|

« 「加計ありき」ですよ。だから? | トップページ | 北朝鮮の「平和攻勢」と米国の現状凍結路線が一致したら »

コメント

小野寺防相はどう思いますか?私は平和安全法制の時に頑張ったように経験豊富な人を選んだことは正しい人選だと思っています。

投稿: 中華三振 | 2017年8月 3日 (木) 09時32分

昨日山本一太議員と青山繁晴議員のネット放送見てたが、軍事ヲタクが防衛大臣に向くとは限らないという話が出ていて、暗に石破元防衛相批判かなと思いました。
稲田大臣も現場は回る方で、服装とかは「?」ということはあったようですが、回った部隊のでは必ずしも評判が悪くなかった。ある大臣はあちこち回った末に護衛艦の手すりが低いのは危険ではないかといって、海自の現場が激怒したという話です。観光船じゃあるまいし、乗っているのは海のプロなにのということのようで、執務室の大量のプラモについても批判があり、青山氏は直接言いに行って、半分ぐらい撤去されたが、残ったのが全部船で、怒っていた海自の抗議に皮肉な結果になった模様。

投稿: ednakano | 2017年8月 3日 (木) 09時53分

在韓米軍がソウルから南方80キロ先にある平沢に移転、ソウルより北に残る在韓米軍は砲兵一個旅団だけになったそうですね。
とりあえず、アメリカの北爆準備は着々と進んでいるようで、
河野さんの外相内定は、それも見据えてのものかと思います。

毎日うだるような暑さですね。
管理人さん、コメントのみなさん、夏風邪や腹痛、熱中症には気をつけて、暑~~~い夏を乗り切ってください。

投稿: やもり | 2017年8月 3日 (木) 10時56分

日経記事ですが、参考程度にどうぞ。

「北爆」準備は着々と進む
北朝鮮の反撃に備えを固めた日米
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/072900116/?P=1&prvArw

テレビ新聞はカケカケするまえに、上記のようなものをパネルつきで、わかりやすく報道して欲しいものです。

投稿: やもり | 2017年8月 3日 (木) 11時19分

 河野太郎が外務大臣とは、ちょっと面白い人事ですね。

 この人は決して「反安倍」ではないし、反米要素もないです。
前回もキチンと自身の持論である「原発再稼働禁止」を封印出来ました。
 
 慰安婦問題については「和解済み」という原則を守る事が重要で、そのうえで何をどう韓国と付き合うかという事になりますね。
 河野氏はむしろ融通がきかないくらいで、そういう部分では日和るタイプじゃないと思います。

 あと、岸田さんがああいう昼行灯タイプだったので、むしろ河野氏のように能動的に発信して行く傾向の方が期待出来ると思いますね。
 紳士的なだけが取り柄の外務省に、河野太郎のような異物を放り投げるのは、うまい人事と思います。

 野田氏に「高市大臣のように猛勉強しろ!」と言っても無理でしょうが、とりあえず妄言吐いてるNHKはいなせるだろうし、マスゴミの標的にもなりづらい利点はあります。
 「石破潰し」の人事と言うなら、こっちの人事の方にこそ、その意味があるのでは。

 
 やもりさん紹介の鈴置氏の記事は、そろそろ日本国民も覚悟を決めておかなくてはならない、という事に尽きるのだろうと思います。


投稿: 山路 敬介(宮古) | 2017年8月 3日 (木) 13時09分

ツイッター情報ですが、トランプ大統領が北朝鮮に旅行している米国人に対して、1か月以内の退去を通達したと言う情報がありました。真偽はわかりませんが、そのような情報が出始めたということは、もしかするともしかするかも?の事態ではないのではと思います。
河野さんは、熊本地震の時の対応をみていて、以外にもしっかりした人の印象があります。外務大臣としてその手腕にきたします。小野寺防衛大臣は適任なのではないでしょうか。

投稿: 一宮崎人 | 2017年8月 3日 (木) 15時29分

中華三振さん。小野寺さんはいいとおもいますし、ほかには佐藤さんくらいしか適任もいないのですが、あれだけリークが出たという防衛省のリーク体質を変えるのはそうとうに大変です。
その意味で、佐藤さんは元自衛隊の幹部でしたから逆に難しいでしょう。

前川氏以降ズルズルとそこかしこで出るリークによる「官僚クーデター」を、ここで止めないと大変なことになります。
官僚の意に沿わなければ、メディアにリークして首を取れる、政権に痛打を与えられるということになれば、国の根幹に関わります。
前川氏と朝日はとんでもない前例を作ってくれました。

投稿: 管理人 | 2017年8月 3日 (木) 18時14分

半島に関しては、条件は整ったようですね。もし一朝ことあらば、もりかけで大騒ぎの「この国」は、というか、この国の大メディアは、どう対処するのか、不謹慎ですがちょっと楽しみでもあります。不幸にして国民に犠牲者が出た場合、平和ボケの我々は、どう対処するのか、すべきか、肚決めが必要です。

投稿: ぼびー | 2017年8月 3日 (木) 20時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「加計ありき」ですよ。だから? | トップページ | 北朝鮮の「平和攻勢」と米国の現状凍結路線が一致したら »