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2017年8月20日 (日)

山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その4 国と「呼吸」を合わせているかの翁長知事

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山路氏の論考の4回目です。 

                     ~~~~~~ 

          ■沖縄県の政治状況と翁長知事の実相 その4  
                                           
山路敬介                                                                     

 承前 

二紙の論調と乖離しつつある「県民の意識の変化」に耳目を閉ざす翁長知事 

私は沖縄県民意識の特殊性があるのだとすれば、「閉ざされた情報・言論空間に置かれている事」が、その原因の第一にあげられると考えるものです。 

ですが、それであっても翁長知事就任以来起こった様々な出来事から、「県民意識」の変化は確実に起こっています。

それは、「コザ騒動」以来、基地反対派が長く封印してきた「暴力行為容認路線」に転換した事への嫌悪感や、本来基地問題とは何ら関係のない本土からの異様なゴロツキ紛いの「反差別暴力集団」の来襲などによる危機感もあるでしょう。
 

話がそれますが、2016年4月26日の琉球新報コラム「金口木舌」はひどかった。 

「ヘイト行動への反抗」という題で男組(しばき隊)のイベントなどを紹介し、「超圧力・武闘派 男組の再結成だ!」などと、最大限に持ち上げた有様は反吐が出そうでした。 

その後、香山リカ氏や安田浩一氏などしばき隊応援団の有名人の論説がしげく紙面に載るようになり、「マイノリティの沖縄が、マジョリティの本土に差別されている」という構図をつくり、その証明として「沖縄の基地問題」があるのだというキャンペーンを行いました。 

 
このような、これまで思ってもみなかった「差別」の存在を外部者に勝手につくられた事に県民は当惑しはしましたが、明治時代じゃあるまいし、本土の人たちに沖縄への差別意識など毛頭ないのは明らかで、それゆえ当の沖縄県民自身も「被差別者」になる気など全くありません。
 

「沖縄人は劣った民族なのだから、米軍基地を押し付けてもよい」と考える国民など見た事もありません。 

だいいち都道府県人気ランキングで4位なのだし、移住希望者が引きも切らないのですから、わずかその点からだけでも全くお話になりません。 

年寄り左翼の皆さんはいざ知らず、沖縄の若者でこのような薄っぺらい「差別論」に乗っかり、その果の「暴力容認論」に傾く恥知らずは全く存在しません。 

 
それでも二紙は今だに、深刻な暴力事案による逮捕者を正当化する試みを続けていますが、ネットをほんの少しくぐれば「真実を目の当たりに出来る時代になった」のです。
 

沖縄でも他県同様に、特に若い連中ほど報道に惑わされることなく自分から積極的に事実を拾いに行く傾向が「二紙との乖離」を生んでいると言って差し支えないでしょう。

ところで、知事の「アイデンティティー」の押し売りにも辟易しました。
 

生まれた島を個々人が恋うるのは当然にしても、知事がそれを言う事の「政治的臭み」には耐え難いものがあります。 

また「魂の飢餓感」などと馬鹿げて浮いた物言いは、その知的レベルの低さも露呈しましたが、これには若者に限らず失笑・「赤面もの」でした。 

 
同じように政治家の中身のないワードだとしても、小池知事の「ダイバーシティー」だの「サステイナブル」だの聞くにつけ、せめて格好だけでもいいから考えて言葉を使って欲しいと願わずにおれません。
 

そのような中、かつて「最低でも県外」と主張したバカな総理の自身の妄言に固執する行動がなお混迷を深め、その流れに乗り翁長雄志という「普天間の即時返還と辺野古移設阻止が同時に出来る」 と公約する知事候補が保守系から現れたのですから、米軍基地の減少に加速度が着くと期待して票を入れる県民が多かったのは当然です。 

結果、粛々と法に則って許可をした仲井眞氏が落選し、出来ない事を「出来る」とウソを言って県民を騙した翁長知事が誕生したのです。 

  
誰が知事であれ、法に基づいて行政を行っておれば、「埋め立て承認許可」は必ず行われなければならず、その当然の事をなしたに過ぎない仲井眞氏の「埋め立て承認許可」には一切の違法性がない事が最高裁によって明らかになりました。

いくら二紙が県民に向かって本質を隠し闇に向かって吠え立てても、以上のような諸々の事実がようやくにして徐々に県民の間に広がり、その結果の「オール沖縄」首長戦3連敗なのだという事実を、翁長知事はもっと厳粛に受け止めるべきです。


国と「呼吸」を合わせているように見える翁長知事

「取り消し訴訟」の完全敗北と高裁和解条項によって「辺野古移設問題」は、国と県の間の行政機関間においては決着をみました。
 

ところが問題は「辺野古移設を絶対阻止する」とした翁長知事と、それを信じた県民の間の決着がまだついていないのです。 

 
そこをファクトによって、県民の前に明らかにするのが新聞本来の役割ですが、沖縄ではそういう報道は期待出来ません。
 

中華人民共和国の新聞は中国共産党の機関紙ですが、沖縄の新聞は運動体の機関紙なので、国民の知る権利・言論の自由を実現する新聞本来の目的を果たすものではないからです。 

考えようによっては、人民日報や環球時報よりもまだ悪い。 

 
信念はないが、もともと世故に長けた翁長知事は「県民には真実を隠しておく」方が得なので、いちおうそこに乗って時間稼ぎを試みます。
 

しかし、そこはそれ。少なくも国・県の間において「取消訴訟の完全敗北」=「辺野古問題の終結」は揺るぎない真実ですから、行政の長としてそのように振舞わねばなりません。 

敗訴直後から「完全敗北の事実」をまるで認めず、他にも手段が存在するように見える幾多の言動を繰り返してきた翁長知事ですが、それは単に言動であって、以後の「行政行為」としては今回の訴訟提議までありませんでした。 

絶えず威勢のよいラッパを吹き鳴らす事は、県民や運動体向け。そのスピーカーとして新聞の存在があるようです。

しかし実は注意深く和解条項を守り、判決の趣旨に逸脱しないように慎重に国との呼吸を合わせているのが真実と思われます。

以降、主観的部分もあろうかと思いますが、私がそう考える理由を縷々述べて見たいと思います。 

また、いろいろ見方はありましょうが、私は今回の訴訟はギリギリ高裁和解内容に抵触しないものと考えています。 

むしろ、和解内容は翁長氏において十分正しく意識され、今回の岩礁破砕訴訟は全面敗訴を承知のうえであり、そこまでして「「撤回」を回避する道を選んだ」という事だと考えます。

① 敗訴直後から翁長知事は「岩礁破砕更新許可」や「河川の付け替え許可」、文化財法護法(これは名護市ですが)などの、あらゆる手段を用いて「辺野古移設を阻止する」とブチあげました。
 

しかし、本気で「辺野古移設を阻止」したい人間が、そうやすやすと自分の手の内を晒すものでしょうか? 

実際、今回も岩礁破砕許可権限を利用して来るだろうと警戒をされて先手を打たれたのは、事前に県からそういうサインが出ていたからにほかなりません。

② そもそも「更新許可申請」を行わない事が国の「違法行為」だというのならば、なぜ、その事を理由にして「承認の撤回」を行わなかったのか?
 

水中ドローンを想定してまでの軽微な工事の瑕疵の発見さえ、その理由とするべく身構えていた点を考えると非常な矛盾です。 

 
③ 政府が決定した例年どおりの補助金3000億円超えの決定は、これまでのような度重なる折衝が見えず実に唐突感のあるものでした。
 

補助金要請を強く言えない翁長知事の政治的立場を慮った「政府の配慮」がそこにあった事は明らかで、持ちつ持たれつの両者の気脈を感じないワケには行きません。

④5月に菅官房長官が、これも唐突に「「沖縄振興計画」の延長をやる方向だ」と発表しています。
 

その方向性に向かうまでの議論が明らかでなく、国と県との折衝が行われたのは当然としても、それがどのように行われたのか全然明らかではありません。

この事について篠原章氏は、3月に「「撤回」は必ずする」と宣言した翁長氏が今だにしないのは、まさに菅氏が発表した「沖縄振興計画」のゆえだ、と推察しています。
 

爾来、振興計画の延長こそ翁長氏の悲願だったのであり、「翁長氏はそのために日の丸保守という立場を捨て、「辺野古反対」まで訴えて政府に圧力をかけた」という見立てです。 

延長を示唆した菅氏発言を受けて、これまでの強力な反政府姿勢を取れなくなったもので、「埋め立て承認を撤回」しない理由もここにあるという見解です。 

 
詳しくは新刊書の到着を待ちたいと思いますが、なるほどそう考えれば数々の疑問は氷解します。
 

また、今回の訴訟の存在ともバッティングしないどころか、細部で非常に整合性があります。

本題から外れますが、しかし私は「沖縄振興計画」の延長には大反対です。
 

この種の補助金計画が沖縄の社会構造にどういう影響を与えてきたか?、保守も左翼も一緒になってそこから利益を吸い上げつつ、今だに最低賃金で働く人々がとにかく多いのはなぜか? 

行政の金に頼る意識を持ってしまえば補助金ひも付きの分野のみ伸長し、本来あるべき産業構造をいびつにします。 

雨後のタケノコのように補助金を配分したり消化したりするための外郭団体が設立されて来たし、それらは結局「行政の肥大化」となって民間活力を奪います。

そこを沖縄自民党は言わないし、むしろ補助金を引っ張って来られるウデを集票の源泉にしているところがあります。

                                  (次回最終回)

 

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コメント

おはようございます。
ここ数年の反基地報道によって沖縄県への印象低下は大きいのでは無いでしょうか。

過去10兆円にのぼる復興予算の成果として、沖縄で産業がどれほど成長し、沖縄の中で既得権を持たない普通の人々の生活や教育などがどれほど改善されたのかが全く見えません。見えるのは反基地を人質に取り復興予算を吊り上げているシーンばかりです。沖縄に対する嫌悪感などは産まれなくとも、沖縄県人対する生産性の無い印象は強いと思います。

私の育った時代の大阪では、被差別部落解放運動も同和予算・事業も既得権となっていて、逆差別的になっていました。多くの市民は部落差別に終止符を打たねばと思っているのに、逆に解放運動を通じて利権を得る者が産まれてしまい解放に終止符を打たさないという不幸があります。沖縄の反基地運動、人権擁護運動、環境保護運動も既得権にならない事を、願うところです。

イチローさん

 今のところ本土の方の意識は、政治状況と一般県民を分けて評価していただけているようですが、長引くと嫌悪感が広がってくるのではないかと心配します。

おっしゃるような「生産性向上」ももちろんですが、潤沢な補助金が県民一般の所得の向上に繋がっていないことは明かなのです。

私はむしろ補助金が、競争力のある本来あるべき産業の育成を阻んでいるし、「絶対あきらめない」とか「自力で頑張り抜く」というような県民の意識にも影響を与えているような気がしています。

>沖縄の反基地運動が~、既得権にならない事を、願うところです。

いえもう、そうなってますね。
本土からのお金が、県から外郭団体を経由して人権団体や研究機関へ、最終的には運動側へと環流している事実さえありますね。

山路 敬介様
いつもコメントや寄稿を読ませていただいております。コメントも戴きましてありがとうございます。
沖縄の立地はアジアの物流ハブとして大変な優位性があると聞いておりましたので期待していたのですがその手の報道はキー局などでは全く無くて、あらゆるメディアが反基地しか伝えません。ところが調べてみると全日空がこのハブ事業を開始した為、魚介類などを中心に2017年の輸出量は2010年比でなんと46倍に上ったとか! 香港のように24時間稼働ハブとして、東京の築地に優る市場が那覇に出来ても良さそうに思います。躍進めざましい元気なアジアの各都市に最も近く美しい日本の県としての沖縄は羨ましい可能性のある県ですね。

 仲井眞前知事は3000億円を獲得できたときに非常に喜びました。翁長知事もそうなんだろうと思います。予算は多いほどイイわけですから、それは誰も歓迎するところでしょう。

 問題点は国からの補助金が沖縄県予算の大半を占めていることでしょう。本来は、県民の働きで富は生み出すべきなのですからその方向へ県民は努力すべきだと思います。自立ですね。自助努力ですよ。

 仲井眞前知事は3000億円を獲得できたときに感謝の言葉を述べ、今後は沖縄も自助努力をしたい旨のコメントを出しました。一方、翁長知事は自助努力をする気はあるのでしょうか? 翁長知事に独自のグランドデザインはあるのでしょうかね。この方に政治哲学らしきものはあるのでしょうか、疑問です。

 翁長知事は日本国の沖縄県であると意識が希薄であると思えて仕方がありません(屈折したものがある)。

 この方の心象風景を想像すると、中国に強い親しみの感情があることが窺えますね。習近平に親近感を持ち、また中国の未来は明るいという見方をしているのでしょう。こんな方が知事でいる状況は早いうちに排除したいものです。

 ueyonabaruさん

 翁長知事は7/23山本元地方創生大臣に対して、「国家戦略特区として離島で、外国人の農業就労が可能になる特区の創設などを要請」しました。

離島は国防の要です。
理由が農業振興のためとはいえ、このような馬鹿げた考え方は到底受け入れられません。
しかも、決して離島たる「地元」から吸い上げられた要望ではないのです。

私は翁長知事が「中共のスパイだ」などと言う意見には組みしません。
しかし結果的に、観光業での発展しか経済政策のない翁長知事政権下では、韓国の例におけると同じように、その観光経済の帰趨は中国共産党のコントロール下にあるのと同義です。

穿った見方かも知れませんが、そうであれば中共の要望が「沖縄離島への植民」であったとしても無下には出来ません。
多くの東南アジアの国々のごとく中共独特の人口戦略から離島の開放を迫られても、安全保障問題を省みる事のない翁長氏が断るハズがありません。

もちろん「中共の未来は明るい」と考えてもいるでしょうし、中国経済の実態など知る由もないでしょう。

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