速報! 茨城県知事選 自公推薦候補が勝利
正直言って、驚きました。
私の住む地域でもよくて僅差、おそらくはかなりの差をつけられて負けるだろうと思われていた自公民推薦の新人・大井川氏が約7万票差で当選しました。
■茨城知事選確定
投票率 43・48%(前回31・74%)
当 497,361大井川和彦 無新〈自〉〈公〉
427,743橋本 昌 無現
122,013鶴田真子美 無新〈共〉
橋本知事の磐石ぶりはハンパではなく、なんと6期めで全国最長です。ただし、なにをやってきたのか「磐石」以外実績が思い出せないというタイプの知事でした。
橋本氏は従来の県の大型集票マシーンである県農業団体・県医師会・県連合をほぼすべて掌中に納めていました。
自民党は、当初は推していたのですが、前々回5期めからは推薦を取りやめていましたが、5期めは独自候補を擁立して敗退、6期めは独自候補すら立てられない有り様でした。
橋本氏にすれば、一般的には負けるはずのない選挙体制のはずでしたが、支持層を拡げるつもりか、安易に共産党の主張に相乗りして、「東海第2原発再稼動反対」、反安倍を掲げて自ら墓穴を掘った形になりました。
ただし、私は福島第1事故の後の対応は妥当であったと評価しています。
2017年6月の茨城県議会の一般質問において、健康影響調査についての答弁です。
「本県では、事故直後に移動式のモニタリングポストを設置したほか、食品や水道水の検査を早くから細かく実施し、早期に農作物などの出荷制限や水道水の乳幼児への飲用自粛を呼びかけるなどの必要な措置を講じてきた。
これら細かい食品検査の結果や、モニタリングポストのデータに加え、福島県で内部被ばく検査として実施したホールボディカウンタの検査でも、極めて少ない被ばく線量であったことなどを基に、専門家から内部被ばく検査は、必要ないとの意見を踏まえ県として判断した」
このように最大の風評被害を被った県のひとつである茨城県の、ともすれば過剰過敏になりがちな県民の対応を抑制しながら具体策を打ってきた橋本氏が、なぜ、今になって反原発派とみまがうようなことを言い出したのか理解に苦しみます。
風評被害を拡大したのは、なにを隠そうこの反原発派の人達だったのをお忘れになったのでしょうか。
また、私も地元で橋本氏と大井川氏の両者の立ち会い演説を聞いたのですが、橋本氏の「地方に中央は介入させない」という主張は、明らかに今のモリカケ倒閣運動に便乗した底の浅いものでした。
奇しくも橋本氏の主張は、JA・労組・医師会という規制緩和反対の岩盤体制に乗った上で、反原発・反安倍という流行に片足を置いた、「この頃、都で流行るもの」の流れに乗ろうとしたことになります。
つまり橋本氏の政治主張は、
①規制緩和阻止
②反原発
③反安倍
ということになりますね。
どこか既視感がありませんか。はい、そうです。なんのことはない、橋本氏の言うことは、あの朝日・民進党の主張そのものになってしまうのです。
多くの県民は、「メンドーだから、橋本さんでいかっぺ」と思いつつ、よく聞くと保守だったはずの橋本氏がいつのまにやら民進党と口を揃えていることにたまげて、大井川氏に一票を投じたのかもしれません。
なお、今回は自民と公明との連携が密であり、地方選においても公明が二度と東京都議会議員選の繰り返しはしないと意志表明したことになります。
ちなみに、今日の日経(8月27日)によれば、
「日本経済新聞社とテレビ東京による25~27日の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率は46%となり、内閣改造を受けた3、4両日の緊急調査から4ポイント上がった。
不支持率は3ポイント低下して46%で、支持、不支持が拮抗した。政府が導入を目指す、働く時間ではなく成果に応じて賃金を払う「脱時間給制度」に関しては、賛成が43%と反対の35%を上回った」
一度下がった支持率は再度上昇しないといわれているそうですが 、国民もいまや「ワインセラーがぁ」などと騒ぐ輩のいかがわしさに、気がつき始めているようです。
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「大井川氏は橋本氏の多選阻止を掲げ、県政の刷新を訴えた。自民党の岸田文雄政調会長や野田聖子総務相ら与党幹部や閣僚が次々と応援に入り、陣営は総力戦を展開。公明党は都議選でぎくしゃくした自民党との関係を修復するため、大井川氏を積極的に支援した。
橋本氏は、同県内の農業団体や医師会、連合茨城などから推薦を受け、「中央政界の介入」「かいらい政治」と安倍政権との対決姿勢を強めた。日本原子力発電東海第2原発(同県東海村)の再稼働を認めない考えも表明し、支持層を広げようとしたが、多選批判をかわせなかった。
鶴田氏は同原発の再稼働阻止を前面に押し出したが、激しい保守分裂選挙で埋没した」(毎日8月27日)
「茨城県知事選は27日、投開票され、無所属新人の大井川和彦氏(53)=自民、公明推薦=が、いずれも無所属で、現役知事最多となる7選を目指した現職の橋本昌氏(71)と、新人の鶴田真子美氏(52)=共産推薦=を破り、初当選を確実にした。3日の内閣改造後初の大型地方選を制した自民党は10月22日投開票の3つの衆院補欠選挙に向けて弾みをつけた。
7月の東京都議選で大敗し、与野党対決となった同月の仙台市長選でも敗れた自民党は、茨城県知事選を青森4区、新潟5区、愛媛3区の衆院「トリプル補選」の前哨戦と位置付けていた。負の連鎖を断ち切るため、閣僚や党幹部を大井川氏の支援に続々と投入し、国政選挙並みの総力戦を展開した。
公明党も都議選で対立した自民党と関係修復を図るため、党本部主導で大井川氏の推薦を決定し、自公両党が足並みをそろえて支援態勢を固めた。
選挙戦は、6期24年にわたる橋本県政の評価や多選の是非が争点になり、自公両党と大井川氏は多選の弊害を強調。大井川氏は「大きな挑戦には国との連携が必要だ」と政府・与党とのパイプをアピールした。
与党の攻勢にさらされた橋本氏は安倍晋三政権による「介入」と批判を強め、対決構図を作り出した。さらに日本原子力発電東海第2原発(同県東海村)の再稼働を認めない方針も訴えて反原発層の取り込みを図ったが、及ばなかった」(産経8月27日)
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コメント
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過疎地の家付き村長さんでもあるまいし、7選ではさすがに異様だろうと思いましたね。
また、多選批判をかわすためもあって新しさを出す必要の駆られたのが、思いつきの「再稼働阻止」だったのでしょう。
翁長氏はじめ新潟の米山知事なんかもそうですが、国との関係性の中での「行政の目的」を履き違えた首長が多くなって来ている事に危惧します。
そうした流れの延長線上に橋本氏の「新らしい主張」の本質があったように見ておりました。
小池知事のように都議選に勝ったら、良くも悪くもあっという間に前言を翻して、さらに自身のカラーを打ち出す例もあります。
橋本氏もその心中はわかりませんが、選挙のための試みだったとしても、それゆえに惨敗したのでは晩節を汚す事になってしまったと言わざるを得ませんね。
投稿: 山路 敬介 | 2017年8月28日 (月) 05時58分
民間に出てからの経歴で目を引くのが、ドワンゴ取締役(ニコニコ動画の会社)ですね。
どんな手腕を発揮するのか、興味津々です。
…それにしても東京は…以下略。
投稿: ふゆみ | 2017年8月28日 (月) 12時44分
かつて程の集票力が農業団体や医師会や連合組織にあるのでしょうか?組織された人員は多数でも、その組織に属している個々人は、果たしてその組織の決定に満足しているのか?正直、自分は否だと思います。直近では、加計騒動の後、愛媛県の獣医師連盟での会費納入拒否騒動を見れば明らかではないかと思います。今回もそのような要因があるのかもしれないなと思っています。逆に、今の日本で強靭な組織力集票能力を持つのは、創価学会(公明党)である事の証明にもなってしまったのが今回の結果ではないでしょうか?
投稿: 一宮崎人 | 2017年8月28日 (月) 15時52分