« snsn氏寄稿 今、これからのアベノミクスに必要なこと その2 公共投資を実施せよ | トップページ | 山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その1 翁長知事の「戦っているふり」とは »

snsn氏寄稿 今、これからのアベノミクスに必要なこと その3 規制緩和

Img_0643_edited
snsnさんの3回目です。 

内閣府から新しい経済統計が公表されました。

「ことし4月から6月までのGDP=国内総生産は、物価の変動を除いた実質の成長率が前の3か月と比べてプラス1.0%、年率に換算してプラス4.0%となりました。GDPがプラスとなるのは6期連続で、個人消費や企業の設備投資が全体を押し上げる形となりました。
内閣府が発表したことし4月から6月までのGDPの速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べてプラス1.0%となりました。この伸びが1年間続いた場合の年率に換算した成長率はプラス4.0%となりました。GDPのプラスは6期、1年半にわたって続いていることになり、6期連続となるのは11年ぶりです。
主な項目では、GDPの半分以上を占める「個人消費」が、雇用や所得の改善を背景に新車や家電製品などの販売が好調だったことから、前の3か月と比べて0.9%のプラスとなりました」(NHK8月14日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170814/k10011099011000.html96958a9e9381949ee3e69a869d8de3e6e2ehttp://www.nikkei.com/article/DGXLASFL14HTO_U7A810C1000000/

これ自体は、たいへんに素晴らしいことで、日本も数キロ先にデフレの長いトンネルの出口が見えたことは、素直に嬉しく思います。 

とくに、実質国内総生産が前期比1%増、年率換算4%増になった原因として、長年懸案となっていた個人消費や設備投資などの内需に活発な動きが復活したことです。 

その一方で、政府内部ではまたぞろ、この堅調な景気に乗じてプライマリーバランス黒字論=財政健全化方向を加速しようという動きもみられます。 

とんでもないことであって、デフレ脱却の崖からようやく指がかかったにすぎない状況で、財政拡大=大型補正予算を回避すれば、元の木阿弥になるのは明らかです。

というのは、実質成長3%と名目成長4%は、GDPデフレーター(物価指数)1%増が、政府目標だったはずで、デフレーター変化率は前期比0.2%、前年比-0.4%と決して改善していません。
GDPデフレーター - Wikipedia

反アベノミクス論者が、デフレの加速によってデフレーター(物価指数)が下がり、実質賃金を押し上げただけだ、つまりはデフレ脱却したのではなく加速したのだ、という論法も部分的には正しいといえます。

長くなりそうなので、ここで止めますが、今、プラマリーパランス(※)黒字論=財政健全化論に騙されて、アベノミクスの前進を止めてはなりません。
プラマリーパランス財政収支において、 借入金を除く税収などの歳入と過去の借入に対する元利払いを除いた歳出の差のこと。

                    ~~~~~~

       ■今、これからのアベノミクスに必要なこと その3 規制緩和
      
                                        snsn 

承前 

3.規制緩和  

本稿の最後はアベノミクス3本の矢③成長戦略→規制緩和です。これについては官邸のHPに成長戦略の資料がアップされていますね。http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html 

この分野は経済思想史上の混乱があり、少し回り道ですが整理したいと思います。 

(1)規制緩和に関する経済思想的なごちゃごちゃの整理

アベノミクスにおいて
①金融緩和、②財政出動が<需要>刺激策であるのに対し、③規制緩和は<供給>側の効率化であると言う性質の違い があります。
 

従って、①金融緩和②財政出動とは独立事象として実行することができます。

一部にはリフレ派は規制緩和を否定しているような見られ方もしますが、そんなことはありません。 

マクロ経済学の野口旭教授は、「エコノミストの歪んだ水晶玉」(2006年)で、規制緩和を含む構造改革について必要なことであり賛同するとし、しかしそれでデフレを脱却できるわけではなく規制緩和は中長期的な成長ドライバーであると述べています。 

かつてリフレ派が、小泉ー竹中構造改革を批判したのは、それだけで景気を回復させようとしたからであって”必要”な構造改革はやれば良いのです。 

この規制緩和については市場の効率性を重視し、小さな政府を志向する、いわゆる”新自由主義”的な経済思想が背景にありますが、この”新自由主義”という言葉は相当不毛なレッテル貼り攻撃を受けてきたと言えます。  

新自由主義の理論的な支柱であるミルトン・フリードマンについては、小さな政府、市場原理主義、人種差別主義者、保守派のナショナリストという イメージがこびりついており正しく理解されていません。
ミルトン・フリードマン - Wikipedia
シカゴ学派 (経済学) - Wikipedia

136140331539713228622_miltonfriedmaミルトン・フリードマン

田中秀臣氏、若田部昌澄氏の考証によって明らかになって いますが、日本では宇沢弘文氏や内橋克人氏がフリードマンの悪評を流し人種差別主義者と断定したり、アメリカでも ナオミ・クラインが独裁者ピノチェトの顧問をしたと悪評を書いていますが、いずれもデマや誇張、曲解に基づくものです。 

私の考えでは、左派知識人はケインズ型の大きな政府を志向する傾向にあるため、小さな政府を志向する市場原理は右派だという短絡的な認定に基づいているのでしょう。 

経済学説の対立はあってしかるべきですが、デマはいけません。  

経済理論的にみてフリードマンは”なんでも市場原理主義”ではなく、大恐慌の分析においては金融緩和と財政出動を主張しています(「米国金融史」)し、上で説明したような社会保障と税の統合を構想しましたのでケインズ的な側面を持っていた人物でもあります。 

このような金融緩和を主張するフリードマンはマネタリストと呼ばれ、これまた変なレッテルが長きに渡り貼られることになりました。

単純な語感からは お金の亡者的なイメージもありましたが、マネタリストが主張しているのはアベノミクスの金融緩和と同じことですからなんら特異な思想ではないのですが・・・。 

お恥ずかしながら、私自身若い頃は宇沢弘文ファンだったこともあり、フリードマンを批判する文章も読み、フリードマン=悪の権化というイメージ を持っていました。 

しかしその後自分でいろいろ調べて実態がわかってきました。自戒を込めて言いますが、レッテル貼りには注意深くありたいものです。 

(2)藤井聡・三橋貴明グループについて 

自民党の若手議員の研究会で講師を務めるなど藤井聡グループ(青木泰樹、三橋貴明等)の存在感が増していますね。  

特に三橋氏はネットなどで活発に情報発信していますね。 

私は三橋氏の主張で、公共投資をもっとやれ、国の借金は問題ない、財政ファイナンスをやれなどについては全く同意見です。 

というよりこれらはリフレ派が15年前から主張していたことであり、リフレ派にとっては馴染み深い政策パッケージになります。

しかしながら三橋氏の政策の底流に流れる思想面には非常に危ういものがあり、我々読者はそこに自覚的に彼の説を読むべきだと考えています。 

このブログでも三橋氏の名前をよく聞くようになったので、一度私見ではありますが整理させてください。まず三橋氏は3本の矢のうち、公共投資にもっとも力点をおいています。 

一方で金融政策については、やってもいいけど効果は薄いとし、規制緩和については完全否定です。 

また注目すべきは、彼の言う公共投資は60ー70年代によく見られた旧自民党的公共投資型ケインズ主義であり、かなり古いタイプの経済思想が今蘇って きていることに驚きを禁じ得ません。 

ここからわかることは、三橋氏は徹底的に統制経済型なのです。市場の機能をできるだけ排除したがるのです。 

それがよくわかるのが金融緩和政策の評価です。  

金利をコントロールするために日銀は国債を市場を通じて買っていますが、三橋氏はこれに反対であり日銀はダイレクトに国債を買えと言っています。 

つまり、財政ファイナンスです。この財政ファイナンス自体は私も賛成なのですが、三橋氏の世界観が市場を通すことを徹底的に嫌うことがわかる事例でしょう。 

この三橋氏の考え方を延長するとモロに社会主義になります。 

政治信条としては、天皇を「国体」と認識しており、また強硬な反グローバリズム、対米独立論を主張します。 

穏健派の中道右派とは言い難い極右思想の持ち主です。フリードマンを徹底的に嫌うのも、その考え方と整合します。 

ただここは、三橋氏も意図的な(?)誤解があり、上で述べた通りフリードマンとケインズにはそれほど違いは ありません。(市場の歪みを”短い短期”で見るか、”長い短期”で見るかの違いがありますがそれはまたいつかお話ししましょう) 

極右思想と社会主義というセットは、意外感がありますでしょうか?

いえ、実は戦前で岸信介とヒトラーが推進した政治経済モデルであり、珍しいことではないのです。  

現在三橋氏に勢いがあるのは、批判勢力だからだと思います。 

批判する人間は常に強い立場にいられる。しかし将来三橋的な世界観の政権ができた場合は、まず日本が社会主義になることを受け入れる覚悟がいります。 

このような国家像は、私個人としては受け入れがたい。 

従って現時点での三橋評価は、批判者としての論点は正しいが三橋政権になることは到底受け入れられないということになります。 

(2)今後の規制緩和分野  

今後巨大な産業になると想定されるのが人工知能(AI)です。 

特に汎用型AIの分野は、第四次産業革命と言われており、ビッグバンになる可能性があります。 

これについては゛人工知能研究者から経済学者に転じた井上智洋氏の著作が参考になります。 

2030年ごろにはシンギュラリティと言われる技術的特異点に到達し、汎用型人工知能が商用稼働すると言われています。 

これに向けて科学技術の投資を増加させる必要があるのですが、同時にいくつかの規制緩和あるいは規制の強化が必要となるのです。 

まず、汎用型AIが自動車や列車、航空機の運転をできるようにする必要がある。

また介護や医療、手術などの分野も同様な検討が必要です。 

それ以外にも要するに、人間の免許が必要な分野についても、汎用型AIで代替できるような規制緩和が必要になります。 

一方で汎用型AIのリスクを鑑みた規制の強化、ルールづくりも必要でしょう。 

汎用型AIが人間に対抗してきた場合の対応や個人情報の保護、汎用型AI間での対立などのリスク回避です。 

遠い未来のことではありません。私も個人的にあるセミナーに出ましたが、法律家やエンジニアが真剣に議論しており、その時代の到来を リアルに予感させました。 

重要な問題としては、相当数の失業者が出るということです。

「少子化が進むので深刻な労働力不足がー」といっている人がいますが、おそらく将来の事態は全く逆で、日本には労働力はなくともモノやサービスを自動的に生産し続けるような環境になるということです。 

この極端な供給過剰の時代には、低金利、円安など大規模金融緩和が必要となるでしょうし、政府紙幣によるベーシックインカムも必要でしょう。 
ベーシックインカム - Wikipedia

こう書くとSF的になりますが、その時代には汎用型AIがほとんどの生産をするので国民はアーティストのような人間ならではの仕事についたり消費をすればいいような時代になるかもしれません。 

私が最後に汎用型AIを持ってきたのには意図があります。  

汎用型AIについて読んでいただければお分かりの通り、ここでは金融緩和(円安、低金利)、財政政策(ベーシックインカム、科学技術投資)、 規制緩和(ルール緩和と強化)という3本の矢がバランスよく必要なのです。 

言い換えると汎用型AIのような巨大産業の推進において3本の矢は互いに矛盾せず、排除し合う関係でもない、むしろ協力し合う関係性なのです。 

3本の矢をめぐる無用な対立は終わりにして、新しい時代に向けた制度設計を考えたいものです。  

以上最後は夢みたいな話になりましたが、このような前向きな話題で終わりたいと思います。長文読んでいただきありがとうございました。

 

                                                 (了)

|

« snsn氏寄稿 今、これからのアベノミクスに必要なこと その2 公共投資を実施せよ | トップページ | 山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その1 翁長知事の「戦っているふり」とは »

コメント

>現在三橋氏に勢いがあるのは、批判勢力だからだと思います。

何となく小池百合子と都民ファーストを思い出しました。都民ファーストよりは中身ありそうですが。

投稿: ednakano | 2017年8月16日 (水) 09時22分

 この三日間の記事やコメントを読んで考えたのは、アベノミクスが我々に問うのは「前向きであるか、否か」って事でもあるし、私自身においても「後ろ向きの思考のクセを脱却するのはいかに難しいか」って事でもありましたね。

 かつてTPP議論はなやかなりし頃、保守派の人士は「絶対反対」から入ったのでしたが、(私もそうでしたが)そういう風にしか考えられない、それも一種のデフレ脳であったのだと思うのです。
 
 今TPPはそのものが頓挫しましたが、かつての報道や反対派の議論は如何に前提が間違っていたか? 米国の実態すら読み誤っていた事がここに来て実にハッキリしたと思うのですね。
 (もちろん、三橋氏のようにもう少し右寄りの観点から「絶対反対」も有り得るわけですが)

 「アベノミクスはTPPの頓挫で終わった」などと嘯く人が自民党にもいますが、これはむしろ逆で、TPP加入の判断が「正しかった事が証明された」のであって、やり方を変えたり、ここで心を冷やしたりしては元の黙阿弥なのですね。

 ところが現内閣の布陣を見ると、かけ声と違い攻めの経済政策を推し進めるには、どうも不十分に思えてなりません。
 まぁ、とりあえずそれどころではなかったのでしょうが。

 

投稿: 山路 敬介 | 2017年8月16日 (水) 11時44分

私は子育て世代真っ最中の世代ですが子供の
将来について、今何をした方がよいかアドバイスするのに
悩むのがsnsnさんのおっしゃるAI時代の到来です。

国内のGDPは失われた20年と言われるなか名目で20兆円
増加しているにも関わらず失業率が高く、所得もあがらない
状況が続きました。
これらの生産が人から機械に変わったことによるものと
想像できますが、便利・豊かさが向上した一方、人間から
生産能力を奪っていったのも事実だと思います。

今後はAIの発達によりマックジョブやバックオフィスと
いわれる仕事から先にAIへ代替され、より安い賃金しか得られなく
なる恐れもあり本当にそれが幸せに繋がるものなのか
と疑問をもちますが、その発展は誰にも止められないと
思います。

恐らく中間層は壊滅的になりAIによる代替が難しい職種につかなければ、
高い所得は今以上に得られなくなり超格差社会が到来するのでは
ないかと正直不安ですし、子供達や後輩達にどのようにアドバイス
すればよいか本当にわかりません。

生産はAIに任せ、人間は娯楽・消費するだけの社会。
全く想像できない社会です。

AIの社会到来を見据えて私のような凡人は今何をしなければ
ならないのか、子供達や後輩にどのようにアドバイスしたらよいのか
とんちんかんな相談ですが、もしよければアドバイスいただけたらとおもいます。

投稿: 普通の沖縄の人 | 2017年8月16日 (水) 12時10分

規制緩和が表題にありましたので期待していましたが、「AI」とあって???です。AI(人工知能)の開発、あるいは発展のどこにこれを妨げる規制があるのでしょうか?意味不明です。成長分野の一つではありますが。

現在、AIが注目されている分野は囲碁、将棋等のルールが明確な分野が中心です。過去のデータの蓄積と将来の予想から最適解を見出す、しょせん、と言ってはなんですが、コンピュータ技術、プログラミングの世界です。

思い出して下さい。80年代から90年代にかけ、ロボット技術が注目された時も,今のAIと同じよな議論がありました。人の仕事がロボットに置き換えられると。今どうなっているかと言えば、工場の機械的な単純作業が置き換えられただけにすぎません。人間の頭脳の代替えには程遠いというのが現実でしょう。

本欄の著者もそうでしょうが、いわゆる文系の人から見た自然科学、技術といった理系の出来事が正しく認識されていないように思います。昨日私が「トヨタの7つのムダ」の話をした時の反応もそうでした。直接的には生産工学・IE(インダストリアルエンジニアリング)の話ですが、その真髄は経営手法に昇華している所にあるのです。

福島原発事故の放射線の話についてもそうです。どうってことはないものを、文系脳によりグシャグシャにされてしまいました。国家の歴史的な大損失です。

ところで、今回のアベノミクスといった分野、つまり経済学とは本当に学問の分野として成立しているのでしょうか?論理的に検証(再現)可能な体系になっているでしょうか?甚だ疑問です。なんだか、様々な学説があって、その流派がグタグタと青臭い議論をしているようにしか感じられませんでした。

今ある課題としての分析と対策を議論するリアリティがないのです。
例えば、規制が障害となっている飲食業や宿泊業(民泊として少し緩和)の分野。農地法による農業分野の強固な規制。さらには一連の学園モノ騒動で明らかになった教育分野分野など、まだまだ成長する分野が多くあると思います。

もう一つ気になったのは三橋氏に対して極右、社会主義といった言葉を使った批判はどうかと思います。一般に極右=ナチスでしょうが、ナチスドイツが批判される点はユダヤ民族を抹殺したところです。自らの民族、文化を守るため自国に流入する移民を規制することのみで批判されるべきではないと思います。異民を抹殺するのは許されませんが、移民を規制するのは自国のありようとして当然の権利だと思います。

西欧がキリスト教を国体とした国家ならば、日本が天皇の存在を国体とした国家、といった対比した議論は普通の議論として成立するものだと思います。

投稿: 九州M | 2017年8月16日 (水) 12時18分

九州Mさん。たいへんに興味深く読ましてもらっています。捨てアドでかまいませんので、お願いしたいことがあります。寄稿依頼です。どこかのコメントに添付してもらえれば幸いです。

といっても同意見というわけではないので、すいません。
消費税の逆進性は、私もsnsnさんと同意見です。これについては、そのうち記事にしてもいいのですが、たいへんに問題のある税制です。
あなたのご意見は、財政規律派=増税派の皆さんの論拠です。
ロジックに「こつこつと貯める庶民」と「パーと使う蕩児」という極端な設定を使っています。
これはありえない極端な設定です。
いわゆる合成の誤謬で、日本国民が節約という美徳に走れば、日本は個人消費が先細りになって、永久にデフレ地獄に首まで漬かって死滅します。

文系批判は、一部当たっています。福島第1事故当時、私は徹底的に「フクシマ文学」を排除したが故に、かつての仲間からボロクソに言われました。

しかしあの時、狂っていたのは文系ばかりではありませんでした。
そもそも菅直人首相は「原子力に強い」と自称して、なーんと東工大出でしたし、反原発論者には掃いて捨てるほど理系の人は存在します。
理系は、なまじ理系脳だけに狂うと秩序正しく狂っていき、知見があるだけに一般人に対しては、なまじな文系脳より有害でした。
というわけで、九州Mさん、例示を間違えておられます。

AIについて、理系脳、文系脳で敷衍するのは性急です。言いたい気分はわかりますが、まぁ、ほどほどに(笑)。

今日の記事に関して言えば、たぶんsnsnさんは、規制緩和を因循姑息な「障害の排除」ではなく、新たな成長分野の障害排除として捉えておられると思います。
私はなるほど、そういう見方もあったのかと新鮮な驚きをかんじました。

AIに関しては、九州Mさんの意見もリアリティがありますし、snsnさんのご意見にも納得できる部分も少なくありません。
とまれ、アベノミクスがテーマである以上、AIは深堀りすることではないんじゃないかと思いますね。

三橋氏についてですが、実は私も似た感想を持っています。
snsnさんは「極右」と評されましたが、大型空母保有、独自核武装を一方で唱えつつ、アンチ・グローバリズムを唱えればどうなるでしょうか。
snsnさんがいみじくも三橋氏の強さは、「批判勢力としての強さ」と仰せでしたが、まさにそうです。
批判者だからこそ強く言えるのです。
現実にそれを彼が首相になってやれば、反米愛国主義に容易に転化します。
実際、彼は一時期、強烈な田母神氏の支持者でした。ヨーロッパなら国民戦線の亜流と呼ばれるでしょうね。
それならそれでいいのですが、ならば自民党員を止めて、すっきりと自分は政治的には極右だと自称することです。
いい悪いではなく、発言者として責任において、そうすべきです。

snsnさんも書いておられますが、三橋氏のフリードマン批判は、米国のリベラル学者のナオミ・クラインの『ショックドクトリン』から得ています。
三橋氏の「新自由主義」(この概念自体リベラル由来のものですが)批判、つまりはアンチ・グローバリズムの内容は9割がた共産党系と重なります。

移民問題については、原則私も反対です。
ただし、三橋氏がいうような「世界第2位の移民大国」というような危機感の煽り方はいかがなものかと思います。
一定の限定的な範囲においての海外からの労働力移動はありえることですし、それについては細かくみていくべきです。

いわゆる「残業代ゼロ」についても、三橋氏は特殊な職種ではなく、それを突破口にしてやがて全職種に押しつけられるとアジっています。

九州Mさん、私から見れば、こういうやり方はあなたも私も経験した左翼運動家のやり方とそっくりなんですよ。
極端なことをアジって危機感を煽り、自分の主張にひれ伏させようとしているのです。

つまりは、三橋氏は左と右のアマルガムなのです。それも両極端の。
私は経済評論界の小林よしのりだと思っています。


投稿: 管理人  | 2017年8月16日 (水) 15時53分

はい、どちらかといえば文系脳です。
最近たまたま読んでいた本に機械論について触れてる箇所があったから、興味深く拝読しました。

まとめるのが下手だから、ちゃんと伝えられるかわからないけど、その本では、機械が人間の労働の手助けをすることで、手に入れることが出来る時間を、芸術だとか祈りだとか思考に、使うことによって、豊かな社会を作ることができるというようなことが書かれていたと思います。

たまたま偶然にSNSで流れてきた記事にもAIについて希望的観測なのを読んでいたところだったから、(ひとつは中世の哲学の専門の先生、もうひとつはどこだっけ、企業の偉い人へのインタビューでした。)今日のsnsnさんの論考は、今はまだ少数派だけどこれからスタンダードになるものだろうなぁと、予感しました。

投稿: 那覇市民 | 2017年8月16日 (水) 16時09分

 九州Mさん

 記事に対するコメントとして、「やや辛辣だなぁ~」と思いながら読んでいたのですが、おそらく消費税含めアベノミクスのあり方について、九州Mさんなりの強い異見がおありゆえなんじゃないかと思うのですね。
 
 ぜひ、そこを記事にて十分に開陳なさっていただければ、私らも楽しみつつ考えられると思うので是非お願いいたします。
 
 そのさい、九州Mさんの個人的な体験など踏まえた考察など差し支えない範囲で伺えますと、非常に興味も増すように思います。

 善し悪しは別にして、なにか他に見えて来るものがあるものと期待します。

投稿: 山路 敬介 | 2017年8月16日 (水) 17時16分

>みなさま
ちょっとバタバタしているので夜に回答させていただきます
7月の記事は概論的なものでしたが、今回は具体論だったので賛否は別にしていろんなご意見をいただけますね。
想像してなかった視点もあり勉強になりました!

>管理人さん
交通整理ありがとうございます

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 17時50分

snsnさんの寄稿文の、人工知能(AI)についての考察、面白かったです。
人工知能については見えない部分が多すぎて、普通の沖縄の人さんと同じように、不安を感じている部分が多かったので、今回のテーマは有意義のあるものでした。
あと、九州Mさんの論考というか、考察も興味深いなと思いました。

投稿: やもり | 2017年8月16日 (水) 19時15分

 たくさんの秀逸な論考、色々とためになるものです。

 一つだけsnsnさんにご教示いただきたいのですが、ヒトラ-が悪かった点はユダヤ人虐殺ですよね。一方で、ヒトラ-の経済政策は成功したと考えられませんか? 岸信介も私の一目置く政治家です。岸さんのどこが悪いのでしょうか。岸さんがケインズ主義で突っ走ったのでしょうか?それとも、彼の統制主義的な思考が問題なのでしょうか?

 戦時体制下では、戦争の当事国はみな統制主義であり、国民の自由を許さないのではないかと思うのです
よ。

 アメリカは当時どうだったのでしょうか? 戦時体制下の統制型になっていたのではないでしょうか? 浅学であり、まずはsnsnさんのご見解を参考にもしたいのです。 

投稿: ueyonabaru | 2017年8月16日 (水) 19時25分

  ueyonabaruさん

 snsnさんはヒトラーの経済政策や戦前の岸信介の経済政策の善し悪しを論じてはおらず、三橋氏の国家社会主義的な経済政策を「類似性あり」と見ておられるのだと思いますよ。

 おっしゃるとおり、戦時においては何処の国だろうと多少の統制経済は避けられません。
 しかし、自由を束縛するやり方はあくまで一時的な処置にすべきで、平時では民間活力が阻害されます。
 
 ヒトラーだって確かに途中までは良かったのでしょうが、あれはヒトラーじゃなくて帝国銀行総裁のシャハトが行った政策でした。
 しかも戦費調達の為の大量の国債の発行を渋った為にヒトラーによって解任され、中央銀行は国有化されてしまいました。

 ヒトラーはケインズ理論の実践者だと言う人もいますが、そうではなく、国家社会主義経済に行くつく他はなかったのですね。

投稿: 山路 敬介 | 2017年8月16日 (水) 20時25分

snsnさん、今回の3回シリーズも大変勉強になりました。ありがとうございます。
前に確かベーシックインカムへのコメントをされていたかと記憶していましたので、今回初日に絡めてないなと思いながら質問したい心を抑えていたら、今日言及されていてハッとしました。
税制とのセットでなく、未来世代の社会形態(働き方や過ごし方)を支えるシステムとしてのベーシックインカムは、今の人口流動を見極めながら程よい減少のタイミングでテストできるよう、もっと国やシンクタンクがデータを集めておいて欲しいと個人的に思っています。
snsnさんが今日の締めにAI、2030年という鍵を持ってこられたのは、アベノミクスの先にある、その〆切を踏まえた国のグランドデザインの提案と受け止めました。

私は2030年に還暦過ぎです。子ども達は学業を終える頃。今、上の子は高校生ですので今目の前に見える国際情勢への好奇心に溢れています。
下の子はまだ6年生ですが、流行りのキャリア教育という授業で将来の夢に語ったのが「AIと道徳について語り合いながら無重力空間で植物を育てたい」でした。
ごった煮だなぁと親子で笑ったのですが、恐らく彼にとってAIは、私達がイメージするマシンとは違う何かなのだと思います。
クリエイティブであるという事は、案外コツコツとした全身全霊の体操の繰り返しの上にこそ生まれるというのが私の持論ですので、日本人的な個性は汎用型AIへの魅力的なコマンダーになれるのではないかと、未来に期待しています。

投稿: ふゆみ | 2017年8月16日 (水) 22時46分

>ednakanoさん

さすがに小池氏よりは三橋さんは勉強していると思いますが、ちょっとカリスマ的な雰囲気があり小池氏同様確かに人を惹きつける要素はあるんですよね、それだけに三橋さんを認める部分と批判する部分は持っておきたいと思います。

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時18分

>山路さん(1)

デフレ脳というのは言い得て妙ですね、そのような現象は広く見られると思います。
単純な話ですが、前向きな言葉よりも深刻な言葉のほうが重みがあって知的に見えるところはありますよね、たとえそれが錯覚であっても。

私は前向きにまず考えてみることが必要だと思います。TPPについても陰謀論などから一歩離れて、参加国にとって効用があるのかどうかロジカルに考えてみることから評価が始まると思いますし、契約の条件が大事ですので細部をみることも重要ですね

政権がやや頼りないのは事実ですが、他に選択肢がないしなあ、、、

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時23分

>普通の沖縄の人さん

あくまでもAI特に汎用型AIがシンギュラリティを超えてくると過程した場合の話ですが、、、
おっしゃる通りAIによる失業は将来的に深刻化する可能性があります。
またAI先進国に富が集中しAI後進国が窮乏化するリスクもあります。

まず最低限国力維持の観点では他国にAIで負けない技術開発は必要でしょうね。
また極端に供給力が向上するため、それに見合う金融緩和も必要でしょう。
失業対策は正直思いつかないのですが、ベーシックインカムで最低限の暮らしができていれば、趣味と仕事の境目が無いような生き方ができるかもしれません、、あ、、これは多分に願望が入っていますけどねw

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時32分

>九州Mさん
論点が多岐にわたるので簡潔に拙稿に沿った内容で回答しますね
AIについては、特化型でなく汎用型のイメージです。もちろんそんな社会は来ないという反証もたくさんありますので私自身確証があるわけでは無いです。
現時点で言えることはそんな社会が来るか/来ないかという議論をしている間に、アメリカ、中国は本気でやってきますので安全保障面でも負けないようにする必要はあるでしょうねということです。

経済学の再現性、有効性についてはコメント欄で答える範囲を超えているのですが、近代経済学の100年近い蓄積から社会科学系では最大の勢力となっていると考えています。全てを計算・ロジックで置き換えて考える経済学的方法論は、法学、社会学、政治学の分野に大きな影響を与えています。また経済学から派生したゲーム理論は生物学でも使われておりますし、認知科学と融合した行動経済学の分野も盛んです。

確かに学派対立はありますが、これは健全な学問であればどんな分野でもありますよね。カール・ポパーの言う反証可能性ってやつですよ

文系脳はまあ本題から外れますので、、、一言だけ。私も福島の放射能デマには九州Mさんと同様に憤りをおぼえていますよ。

移民については私も自由すぎる政策は反対ですよ、これも九州Mさんと同様です。


投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時49分

>那覇市民さん

私も芸術が大好きなので、AIが単純労働をやってくれて人間本来のクリエイティビティを発揮できる世の中になればなあと夢想しています。

こればっかりは本当にそうなるのか??と言われても証明はできないのですが、行動としてやるかやらないかだと思います。
未来は決定していませんので、第一歩を踏み出すかどうかで決まって来るでしょうね

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時53分

>やもりさん

AIは上で述べた通り、やるかやらないかと言う行動を問われてるのでしょう、、、未来は作るものなので

どうせなら早めに準備して明るい未来になるようにしたいものです

投稿: snsn | 2017年8月16日 (水) 23時54分

>ueyonabaruさん、山路さん(2)

ヒトラーの政策を簡単に良い悪いと言い切れないものがあります。歴史の教訓として言えるのは3点かと
1)独裁政権と社会主義的統制型経済が合体するとやばい
2)そもそも第一次大戦後の莫大な賠償金によってドイツ経済が崩壊したのがヒトラー誕生の遠因であり、経済は絶対に崩壊させてはならない。なのでアベノミクスは成功させなければならない
3)当時はアメリカもニューディール経済だったし、戦時統制経済はよく見られたので即=悪では無い。しかしケインズや石橋湛山のような人は統制と市場と貿易をバランスよく志向する現代のアベノミクスのような先進的な考えをしていた

以上です

投稿: snsn | 2017年8月17日 (木) 00時04分

>ふゆみさん

6年生のお子さんの想像力は素晴らしいですね!!そのような自由な発想は本当に宝ですよ
今の子供達が幸せに暮らせるように、私のようなおっさん世代としては社会を整備しなければw

ベーシックインカム(BI)とは言い換えると大規模な需要喚起型財政政策ですので、AIと言う供給力の爆発的な向上とセットが考える必要があるのです。

井上智洋教授が、AIとBIと言い続けているのもそれが車の両輪だからですね。私個人としてはAIが経済学と結びつくとは思っていなかったので、井上さんの本を読んで感動しましたしリアリティーを感じました。

もちろんそんな未来をディストピアと考える人もいると思いますし、その感情も自然なものです。
しかし、どのみちそうなっちゃうのであれば周到な準備をすべきであろうと言うのが現時点の私のスタンスです

投稿: snsn | 2017年8月17日 (木) 00時12分

snsnさん。丁寧な返答ありがとうございます。
コメント数ばかりが増えるので、アンサーをひとつにまとめて頂いてもかまいませんよ。

投稿: 管理人 | 2017年8月17日 (木) 04時21分

おくればせながら拝読いたしました。
いつも濃い内容の記事をありがとうございます。

AIに対して素朴な疑問があるのですが、想定される精度のAIが開発されたとしてこれを開発した企業が得られる莫大な利益を国民に分配する流れをどのように作るのかという点があまり触れられていないところが気になっています。
ともすれば新しい利権を生み出すだけではないかという不安感すらあります。

投稿: しゅりんちゅ | 2017年8月17日 (木) 07時59分

>しゅりんちゅさん

管理人さんがコメントで簡潔にまとめてくれてる通り、私は岩盤規制の緩和だけでなく、新しい産業を育成する場合は規制緩和と規制構築の両方が必要だと思っています。

AIのような全く新しい産業であれば利益分配や、個人情報の保護などについては一定の規制を構築することも必要でしょうね
そのように利権を排除する仕組みが必要だと思います。

投稿: snsn | 2017年8月17日 (木) 09時01分

文科省が量子コンピューター開発支援に長期予算を付けるというのは、良いニュースですね。

あとは出来るかどうか。
「特許問題」で出来ても作れなかったり、逆に日本の特許だけでネット公開されて海外から真似されるような事態になったら目も当てられません!

投稿: 山形 | 2017年8月17日 (木) 09時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« snsn氏寄稿 今、これからのアベノミクスに必要なこと その2 公共投資を実施せよ | トップページ | 山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その1 翁長知事の「戦っているふり」とは »