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2017年9月

小池新党 リベラル大絶滅なのか?

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すさまじい破壊力としかいいようがありません。私はこのような光景を初めて見ました。 

私は小池女史を支持できないとする立場ですが、それとは別に彼女が引き起こしたことは、「リベラル大絶滅」という現象です。 

まずは小池氏の発言から押さえておきましょう。

「●記者 民進党の前原誠司代表が「(民進党から希望の党に)公認申請すれば、排除されない」と発言したことに関し、小池氏は「安全保障、憲法改正で一致した人のみ公認する」と明言している。前原氏をだましたのか? リベラル派“大量虐殺”なのか?
●小池 前原代表がどういう発言をされたのか承知していませんが、排除されないということはございません。排除致します。
というか、絞らせていただくということです。それはやはり、安全保障や憲法観という根幹部分で一致していくことが政党の構成員として必要最低限のことではないかと思っています。
一人一人のお考えを踏まえながら判断したい。現下の北朝鮮情勢もこれまでの議論に加えて、リアルな対応を取っていこうという方々も(民進党には)いるようなので、そういったこともしっかりと希望の党で、今回出馬されたいという人は絞り込ませていただくということです。
ちなみにその作業は私どもからは若狭勝(前)議員、先方からは玄葉光一郎(前)議員が絞り込みの作業に入るということで実務的に任せていきます。
●記者リベラル派大量虐殺だ。「寛容な保守」ならハト派まで包み込まないと
小池 多様性に富んでいるということは、これで証明しているのではないですか。とても寛容な記者クラブで」(産経ビズ9月29日)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170929/mca1709291544020-n2.htm

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小池氏は、聞き間違いがありえないほど明瞭に、「(新党から)リベラルは排除する」、リベラル議員の「大量虐殺」だと言われるのなら甘んじて受けると言っています。 

すごいですね。絞り込みの責任者と言われている若狭氏などには言えない冷酷な台詞です。 

では、このような小池氏の意志を受けて出された民進党本部の通達です。

「民進党が希望の党に事実上の合流方針を示したことを受け、動向が注目される大阪10区(大阪府高槻市、島本町)で立候補を予定している元国交副大臣の辻元清美氏(57)は、慎重に今後の行動を検討している。
陣営幹部によると、辻元氏は28日夜に大阪に戻り、29日も大阪府内で関係者らと接触している。29日朝、民進党本部から衆院選の立候補予定者に対し、10月1日までに離党届と希望の党への公認申請の書類を提出するよう指示があったという。
陣営幹部は「無所属で闘うのか、希望から出るのか、本人から伝えられていないので分からない。ただ、期限があるので一両日中に態度を決めないといけないと思う」と話した。」(朝日9月29日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170929-00000045-asahi-pol

民進党本部は、「離党して、改めて希望に公認申請して絞込みを受けろ」と言っています。 党に残留して民進党ででることは許されないということです。

これで、私が当初考えていたような、小選挙区における野党陣営が、希望・民進残留組、共産に3分裂することはなくなりました。

具体的にどのような絞込みをされるのかは不明ですが、常識的に考えて下の写真のようなことをした議員たちは「排除され」て、「大虐殺」されるということになると考えていいでしょう。 

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菅、枝野、辻元などのような、日本への帰属意識が希薄な諸氏が「排除される」かどうかが注目です。彼らが新党にくるようなら「絞込み」はザルだったということです。 

まぁ、いったん受け入れて、比例下位に回してしまうという手もあることはありますけどね。 

さて「希望」の絞込みをパスした議員は、民進党から「支援金」として持参金をつけてもらうことになります。 

民進党は「希望」から公認された候補に対して、選挙事務所や選挙作業を「支援」するでしょう。 

民進党の金庫には、政党交付金が一説で100億超眠っているわけですから、残して国庫に返還するくらいならキレイさっぱり使い切ってしまうつもりかもしれません。 

つまり、「希望」と民進(もはや「旧」をつけるべきですが)は、資金提供は民進、「希望」は公認の看板を提供するという住み分けになります。 

独自公認を放棄した民進党に現状でできることは、いかに多くの候補者を「希望」に送り込んで、選挙後の新たな政治地図の中に生き残りを計ることしか残されていません。 

選挙の専門家によれば、衆議院の場合は1人の候補者当たり600万が必要最低限な選挙資金だと言いますから、民進党はその数倍の数千万を持参金で持たせることで、影響力を行使しようとすると思われます。 

一方、「希望」にとっても、政党交付金がない以上、この「支援」は決して悪くはない話でないはずで、おそらく民進党はこれをカードとしてひとりでも多く突っ込むことを狙うことになります。 

 
さて、面白いのはメディアです。
 

彼らがモリカケ騒動で追及してきた反安倍運動の結果生れたのが、この状況だというのは、そぞろアイロニーを感じまないわけにはいきません。 

いままでのように反安倍だけで突っ走るなら、なにがなんでも小池に都知事を辞任してもらって衆院選に出馬してもらわねばなりません。 

ひょっとしたら自民過半数割れ、安倍辞任という大戦果もないわけではないからです。 

その立場で盛んに小池出馬を煽っているのが、毎日、TBS、テレビ朝日などです。 

毎日などは先走って、9月28日朝刊では一面に「小池氏が出馬も、『受け皿』で高まる待望論」とぶち上げています。

小池氏当人が否定しているのに、もう出馬が決まったみたいですね(苦笑)。 

彼らのはしゃぎっぷりに対して、「加計疑惑」の火付け役だった朝日は、同日の9月29日朝刊一面には、「小池氏の出馬も焦点」と妙に客観的なスタンスをとっています。 

勘が悪い毎日・TBSと違って、どうやら気がついたようですね、朝日さん。 

朝日の9月29日の社説です。

「新党には右派色の強い議員が目立つ。憲法改正や歴史認識などで、自民党よりさらに『右』に位置する可能生もある。リベラルな議員の多い民進党とは明らかに立ち位置が違う」

朝日さん、そのとおりです。次の総選挙は、<保守vs保守>の戦いに収斂されます。 

「希望」が政権の座につくことまでは想定しにくいですが、自民を過半数割れに追い込むことはあながち夢想ではありません。 

とすると、選挙後の新たな政治地図は、自民・公明・維新・希望の連立政権の可能性がでてきます。 

政権に長くいた小池氏は、政権に加わらねばなんの力もないことを熟知しているはずですから自民が大敗した場合、「希望」は必ず連立に参加します。 

そして従来と決定的に違うことは、国会のレフトウイングが、共産党と社民だけになってしまうことです。 

そしてこの国会における戦後リベラル「大絶滅」現象は、狭い国会だけに止まらず、所属議員を失った日教組や官公労などの既存左翼勢力や市民運動にも大きく波紋を拡げて行くと思われます。 

他ならぬ朝日が火をつけた反安倍倒閣運動が、なにをもたらしたのか朝日さん、分かりましたか。

あなた方は安倍憎しのあまり、自分の頭に銃を向けたのです。

なお、まだこの現象は始まったばかりであって、状況は日々変化し続けていますから、あくまでも現時点における感想だということをお含みおき下さい。 

 

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セウォル号状態の民進丸の沈没と小池氏のゆくえ

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民進党は沈みかかったセウォル号状態のようです。 

下の写真の記者会見に出てくる前原氏の顔は既に涙目で、こんな時期に苦労して代表になってしまった我が身の不幸を呪っているようです。

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そもそも去年、なにひとつ定見もなくキャンキャン政府に噛みつくだけが政治だと勘違いしている蓮舫氏を代表に据えたのが大間違いでした。死期を早めましたね。

こんなお座敷犬ではなく、それなりに政策らしきものを持っていた前原氏がやっていれば、多少寿命は伸びたのですが、ま、結果は同じだったろうけどな。

ただし前原船長は、隣国とは違って、なんとか小池救助船に丸ごと救助できないだろうかと打診はしていたようです。

前原さんは、民進党両院議員総会のあいさつで、安保法制を憲法違反と断言し、「誰一人仲間を排除しないで選挙を戦う」と威勢のいいことを言っていました。 

ところが即日、小池側から帰ってきた答えがこれてす。

「関係者によると、実は28日夜に小池代表と前原代表の会談が予定されていたのだが、急きょ、中止になった。
 2人の会談については、どの立候補予定者に希望の党の公認を出すのか調整を急ぐ必要があり、「さっそく会わないと公認の作業が間に合わない」との声があった。
 中止の理由だが、ある希望の党関係者は、「前原代表が『すべての民進党議員の希望の党での公認を目指す』と発言したことが、小池代表のかんにさわったのでは」などと推測している。
 小池代表は、民進党出身者の公認の是非を個別に判断する考えを示していて、希望の党の議員も「全員なんか入れない」と話している。
 この点について民進党幹部も、「議員の1割ぐらいはこぼれるだろう」と指摘している。」(NNN9月28日)

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まことに悲惨の一語です。丸ごとなどは引き受けないと、鼻先でバタンとドアを締められてしまいました。

さぁ丸ごと抱きつき作戦が失敗した前原氏は窮したあげく、こんな常任幹事会名義の文書を出しました。 

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おいおいです。「民進党議員の諸氏よ、公認はなしだ。小池新党を支援しろ」だそうです。 

つまりは、小池新党に個別面談に行って難民申請してくれということのようです。 

小池側からすれば、難民に紛れて浸透しようとする武装難民はお断りだということのようです。 

左翼革命家くずれが佃煮にするほど生息する民進党など丸ごと引き受けたら、頭数が多いだけにグチャグチャにされてあげく、共に海底にまで引き込まれるのは目に見えていますからね。 

で、窮した前原船長は「皆んなを見捨てたわけじゃないよ。オレが率先して漂流民になるからさ」とばかりに無所属立候補宣言を発して、泳ぎ出してしまいました。

悲壮というか、馬鹿というか。前原さんなら無所属でも当選するでしょうが、大部分の救助拒否組は落選間違いなしですよ。 

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馬鹿正直に民進党の「安保法制白紙撤回・改憲阻止」の旗を握りしめていた人たちからすれば、さっさと先に逃げた細野・長島両氏など許せない裏切り者です。

しかし、先に逃げた連中からすれば、「お前ら、つい先日まで小池は改憲極右だと言っていたじゃないか。どのツラ下げて極左が極右にしがみつくんだ。その手を放しやがれ」というわけで、なにやら修羅場です。

ニュートラに見れば、どちらもどちら、しっかり両方とも「裏切り者」です。

したがって、小池新党は「裏切り者の希望の党」、あるいは「逃げそこなった者の絶望の党」と言うことになります。

なんと小池さんの昔の師匠だった小沢一郎氏まで合流するとか。

もう闇鍋ですな。新鮮な「改革保守」かと思ったら、小沢のジィ様が出てくるんですから(苦笑)。

Photo_6http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/12/yuriko--st...

ところで金の面でいえば、小池新党には金がないわけです。 

ところが民進党の金庫にはいまだ100億近いとの噂も流れる金や本部ビルなどの資産が丸々残っています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-2273.html 

やや古い民主党時代の2012年の資料ですが、いかにこの党が裕福だかお分かりいただけるでしょう。 

岡田時代など金持ちの吝嗇そのままで、ぜんぜん金庫を開かなかったようです。Photo_4

本来なら、金もない、事務所もない小池新党にとって喉から手が出そうなもので、今後それをどうやって新党に引っ張ってくるのかを思案中といったところでしょうか。 

現況では、残された左翼議員たちは、使い残しの100億と10月20日に交付される最後の政党交付金21億8千万円が入る予定なので、民進党の看板は降ろすわけにはいかないことになります。 

組織はなくなったが、金だけは有り余るほどある残留組は、選挙区に民進党の看板で出ますから、野党陣営は全選挙区擁立を決めた共産党・希望・民進残留組の3ツに別れて、自公連合に挑むことになってしまいます。

※[追記
民進党本部は以下のことを所属議員に通達したようです。となると、残留は少なくとも衆院に関しては許さないということのようです。

「民進党が希望の党に事実上の合流方針を示したことを受け、動向が注目される大阪10区(大阪府高槻市、島本町)で立候補を予定している元国交副大臣の辻元清美氏(57)は、慎重に今後の行動を検討している。
陣営幹部によると、辻元氏は28日夜に大阪に戻り、29日も大阪府内で関係者らと接触している。29日朝、民進党本部から衆院選の立候補予定者に対し、10月1日までに離党届と希望の党への公認申請の書類を提出するよう指示があったという。
陣営幹部は「無所属で闘うのか、希望から出るのか、本人から伝えられていないので分からない。ただ、期限があるので一両日中に態度を決めないといけないと思う」と話した。」(朝日9月29日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170929-00000045-asahi-pol

そうなった場合、一気に自民党を過半数割れに追い込み、政局のキャスティングボードになる腹積もりの小池氏はこれではパンチに欠けると思うことでしょう。 

ならば、小池氏は都知事を辞任して衆院に「希望」の党首として出るしかなくなります。 

今の新党国会議員団の幹部は、負け犬根性が染みついた民進敗残兵ですから、小池人気を爆発させて、「都議会議院選よ、もう一度」とするためには、小池女史本人が出るしかないでしょう。 

となると、とうぜんのこととして、小池都政とはなんだったんだぁ、ということになりますね。 

なんのことはない小池都政とは築地移転の先行きを見えなくした上に余計な「浄化」工事の追加をさせ、オリンピック準備のための2号線着工を遅らせ、石原氏をつるし上げるために都政を1年空転させただけ、ということですから。 

彼女からすれば、もう築地の市場関係者に土下座するしかなくなった移転問題は、次の知事に任せて、自分はさっさと国政へ華麗なる転身を計るのもオツではないか、というわけです。 

一部報道では、小池氏が小泉ジュニアに都知事の後任を打診したとの話もあります。

そもそも、小池氏の2代目師匠にあたる小泉パパが、影の振付師だという噂さえありますから、百鬼夜行というか、茶番というか。

既にメディアは、小池氏の右寄りのいままでの発言を隠して、今回の選挙の対抗軸を、「増税+原発推進」vs「増税凍結+原発反対」にシフトして大応援を開始しています。

まぁこんな小池氏のような思いつきキャッチでいいなら、真面目に政策を考えるだけバカバカしくなります。

といっても、首相の解散演説は行政責任者としての限界でわかりにくかったのは確かですから、キャッチフレーズだけをスマートに並べる小池氏に説得される有権者も相当にいるかもしれません。

いずれにせよ仮にそうならば、都政など野望の踏み台にすぎなかったわけで、都民の皆さん、そうなったら、こんなことを許していいのでしょうか。 

イメージ産業のディレクター謙主演女優の小池氏ですから、どうカッコよく都政から足抜きするのか毎日思案中といったところでしょうか。

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山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 最終回

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山路敬介氏の投稿の第5回を掲載いたします。これで完結しました。 

連載の真っ最中に政局の大激動があったために、静謐な環境で読んでいただけなかったことが残念でしたが、篠原氏の深い論旨と響きあったような内容でした。

優れた論考に感謝します。

篠原氏の著書は、すでに沖縄の書店でもベストセラーになっていると聞きます。ぜひお手に取って読んでいただくことをお勧めします。

                       ~~~~~~  

山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  ~ 疎外される本土の納税者~          最終回 
                                               山路敬介
 

承前 

■ それでも20年後の沖縄は明るいだろう事 

 
つい先日も20代の若者たちと親しく話す機会がありまして、歴史の話になったので少々意地の悪い質問をぶつけてみました。
 

「明治新政府はグラント将軍の助言もあって、清との領土問題の決着を宮古島以南の割譲をもってつけようとした。清においてこれが受け入れられ、かつ日清戦争もなければ私たちは中国人だった可能性もある訳だが、これをどう思うか?」というものです。

これに対して彼らは「そうした設問はバカバカしく、建設的ではなくナンセンスだ」、「そういうイフを言うならば、その後中国の一員として有り続けたか?という設問も成立する事になるので、議論として無意味」としつつ、どうしても答えるならば「その時の明治新政府にとって、宮古島以南は不必要だと判断したのだと考えるべき」で、「そこから現在にとって何が言えるか、が設問されるべき」というのです。

これは実にそのとおりで、ハイデカーの「存在と時間」の中の「我々は記録(歴史)に向かうとき、過去へと手探りで戻って行くのではなく、記録の意味は未来から到来するのである」という一節の意味のとおりです。

こうした若者の考え方こそが「歴史を有為に用いる」という事であり、「歴史の先見」という意味合いであろうと深く考えさせられました。

同時に、今「日本にとって必要な宮古島になる事」を考えるとき、それが具体的に何を指すか言うまでもないでしょう。

沖縄の若者はまだまだ大人しいですが、もう東京の若者と遜色ないレベルに来ていると思います。
 

東京の若者と同じく長引くデフレ不況の中で揉まれ、良くも悪くも個人主義的ですが、苦労はちゃんと身に着いていて、意見が簡単に揺らぎません。 

これだけ偏頗な沖縄の言論空間におかれても一様の歴史観というものを持ちませんし、結論を出すことを急ぎ過ぎもしません。 

それがともすれば「意見がない消極性」に見える事もありますが、賢明さは沖縄の前世代とは比べものになりません。

「外連の島」でも述べられていますが「琉球独立」志向がすこしづつ増えているのが事実だし、二紙の記者たちの中には「琉球独立」を報道の目的とする、と公言するバカもいるようです。
しかし私は、今ここを乗り越え、もう二十年して若者たちがリーダー世代になれば、やがて沖縄も変わるだろうと思います。
 

 沖縄は「世代交代」が急がれるべきです。

■「誰もが見る事が出来る」のに見ようともせず、「誰も見たことがない沖縄」だけが、どんどん作られていく

「外連の島」の中ほどで、唯一おどろくほど詩情あふれる一節が登場します。

「漆黒の夜にわずかな光陰が滲み出す暁方の那覇港に臨み、重々しい塩の香りとともに、水面から蜉蝣(かげろう)のごとく沸き立ってくる海霧の中に身を置けば、朦朧と浮かび上がる海岸線の佇まいに、ただただ息を呑む」

 「東シナ海の光と闇と香りが、乾いた心の中に狂おしく重なる ~誰も見た事がない、そして誰もが見る事の出来る本物の沖縄」

これが著者(篠原氏)の沖縄に対する原体験であり、原風景なのでしょう。

沖縄の青い海と青い空、人々の人懐こい笑顔と親切心。
これは紛う事なき真実だし、このような麗しいイメージを持って頂く本土の方々は多いと思います。

ですけれども、沖縄県民も本土の人と同じような悩みを抱えつつ生き続けている人間の集合体なので、迷いもし、間違いもします。

しかし、考察の結果を無理に一口に総括するならば、沖縄は本土にくらべ「民主主義」が足らないと言わざるを得ません。

私には、そこに行き着くほか考えはありませんでした。

そこを「良いイメージ」だけでくるんで終結させるのでは、残念ながら沖縄はダメになる一方です。
これも甘えるようですが、本土の方々の批判が必要だし、「それに飢えている」と言ってもいいのです。

批判がなくて飴だけ貰ったのでは、「沖縄」は一人きりのヨチヨチ歩きで、本当にどっかへ行ってしまいます。

「誰もが見る事が出来る」のに見ようともせず、「誰も見たことがない沖縄」だけが、どんどん作られていく現状は無念でなりません。 

                                              (了)

※お断り 最終節は山路氏のコメントの転載です。本稿の結語にふさわしい文章でしたので、編者の独断で付け加えさせていただきました。ご了承ください。

 

 

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小池新党の誕生 朝日さん、改憲派の大合流だと気がついていますか

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政局はあまり書きたくないのですが、まぁスゴイことになっていますね(苦笑)。これで、正式に解散が宣言されたら、もう政界液状化現象、真っ盛りと言うことになりそうです。 

日本の心、旧みんなの党は既に合流しましたし、維新も合流するとかしないとか。 

なんとまぁ、前原民進党までもが事実上、「希望」との合流を決めてしまったようで、おいたわしや、代表が党運営を投げ出したので事実上の民進党瓦解です。

「前原代表は、希望の党との合流も含め、連携していく意向を固め、28日の両院議員総会で提案する方針。
これを受けて、27日夕方まで民進党のリベラル系議員は、国会内で緊急の集会を開き、対応を協議した。」(FNN9月27日)

ちょっと前までは「受けて立つ」と豪語されていたと思いましたが、殿、いかがなされたのですか。よもや「小池氏と一緒に受けて立つ」ということだったのでしょうか。 

自民・公明・共産のようなしっかりした後援会組織がないところは、雪崩を打ってドタバタと右往左往するしかないわけで、その場合、誰もが予想しえたように、安全保障、改憲といった党の背骨となる政策を欠いていた民進党が草刈り場となるのは当然すぎるほど当然です。

これでもまだ所属議員たちが東京にいる今日明日ならともかく、これで解散となったら議員はまっしぐらに選挙区に駆け戻らねばなりませんから、絶望的に党の意見集約は不可能となります。 

いまや議員の頭の中には、自分が生き残ることしか念頭にないはずですから、民進党は一気によくて分裂して個々に「希望」に吸収されるか、あるいは合流を拒否された左派だけが看板を守るかという瀬戸際にいます。 

たぶんため込んだ政治資金の処遇を巡って、政党分裂時の定番の金庫分捕り合戦が起きるでしょう。 

Photohttps://dot.asahi.com/wa/2017092500060.html

思わず意地の悪い笑みが漏れてしまいますが、民進保守派を迎い入れる立場となった小池氏は余裕でこんなことを言っているようです。

「希望の党代表の小池百合子・東京都知事は27日夜、BSフジの番組に出演し、同党参加の条件について「基本的には憲法(改正)への対応。それは安全保障にも関わる」と述べ、改憲と安全保障に対する姿勢を重視する考えを示した。「一人一人の考え方を確認する」とも話し、個別に選別する意向を明かした。
小池氏は、安全保障政策について、「いざという時、党内で右だ左だというのは正しくない」「リアルな安全保障が必要。北朝鮮の危機が迫る中でどうするのか。同じ方向性を持っていないと、党としての対応が揺れてはまずい」などと指摘。希望の党と連携する方向の民進党議員の安全保障政策について、「(これまでは)議論のための議論と、野党としての対案というニュアンスが多かったと思う。それを超えてリアルな形での対応ができる安全保障政策を共有したい」と語った。
 出演後、民進党内の旧社会党出身議員との合流について記者団に質問され、「そういう方は、そもそも(希望の党に)来られないんじゃないか」と話した。」(朝日9月27日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170927-00000086-asahi-pol

一体朝日はどういう気持ちで、この記事を配信しているのか知りたいほどです。 

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いいですか、朝日さん。あなたたちが社を上げてさんざん持ち上げて反アベのヒロインに仕立て上げた小池氏は、改憲と安全保障政策がしっかりしていない者は来られないとはっきり言っているわけですよ。

安全保障政策については抽象的にしか言っていませんが、「安保法制に反対される方は一緒にというわけにはいかない」と元防衛大臣だった小池女史が言う以上、いまさら今の民進党が言っているような「戦争法案反対」では通らないということです。 

小池新党に個々の資格で合流する民進党議員は、護憲・安保法制反対を捨てて来いと言われるわけです。

そして気の毒にも紛れ込もうとしていた民進左派の旧社会党グループは、「そもそも来られない」と言われてしまった以上、さて困りましたね、有田さん、辻本さん。

彼らがどうなろうと知ったことではありませんが、政界の冥王星・小沢氏と合流して民進党の旗を守るしか生き残る道はないでしょう。

ただし、いまや小池新党という難破救助船ができた以上、野党共闘の美称である「オリーブの木」もあったもんじゃありませんかね。 

もはや彼ら党内左派にとって、守るべきは看板と金庫だけです。 

かの小沢翁など、旧自由党解党時には、文字通り党の金庫の札束をかき集めて逃げたという伝説がありますから、翁に聞けばその手口を教えてくれるでしょう。

たぶん早ければ来週にも、新たな政界の構図が急速にでき上がることでしょう。 

それがどのようなモノになるか私には分かりませんか、ひとつハッキリしているのは、これは改憲派の大合流現象の始まりにすぎないということです。 

だってそうでしょう。小池新党はなにをしたいのかよくわかりませんし、どうせポピュリズム丸出しなことは想像がつきますが、今の段階で明確な結集軸は「改憲・安保強化・消費税凍結」ということです。 

ここらへんはさすが腐っても百合子と言ってあげましょう。 小池さんは保守しか救助船に乗せないと言っているんですから。

とまれ、いままで民進党という左右寄り合いの野合所帯の中で、改憲や安保について旗幟鮮明にできなかった保守系議員にとって、新しい依代ができたということかもしれません。 

ところで、朝日さん。あなた方が作り出した「小池百合子」という反アベのジャンヌダルクが、今回の総選挙で野党第1党になるようなことがあれば、改憲発議するには充分な数を充たせるということになりますが、そのことに気がついていますか。 

安倍氏にとって、多少自民の議席を落しても、野党第1党に「改憲・安保強化」、ついでに消費税凍結を言ってくれるような小池新党が座ってもらうほうが有り難いはずですから。

 

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山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 その4

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山路敬介氏の投稿の第4回を掲載いたします。次回最終回です。  

                        ~~~~~~ 

書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  
              ~ 疎外される本土の納税者~      その4

                                             山路敬介
 

  ■ 歴史(試論)

「賢者は歴史に学ぶ」などと申しますが、歴史ほど厄介なものはありません。
 

歴史の捉え方が明らかに後世の人たちの「気質」の形成において、重要な影響を及ぼす事例は少なくありません。 

歴史に保守的に拘泥すれば進歩は有り得ず、自己都合に引き寄せて誤った解釈を採用するならば道を誤ります。 

ここでも明らかな証明をする事は困難なのですが、私は現在の沖縄の過ちの原点はここにあると思い、以下のように以前から考えています。

そもそも「琉球藩」となった時点で正式に明治日本の一員となるべく両者の決着は着いており、その点尚泰自身は見切りも諦めもついていたのですから、その後の士族の不満は本土なみに処理すべきでした。
 

本土では「無血開城」などと言って穏便な政体変革が行われたように美化されますが、会津連藩同盟の反逆や彰義隊の乱、秋月の乱や新風連、西南の役に至るまで徹底的に反抗士族は殲滅されました。

沖縄において同様に出来なかった理由は多々ありますが、本土との環境の違いがあまりにも大きかった要因が大で、その点で明治新政府は琉球国を「封建制」以前の存在であると認識していたと概略思われるのです。 

少なくも、本土におけるような狭義の「封建制」が確立されていなかった点が躊躇の原因だったと思われます。

結果、沖縄での明治新政府は杣山事件等で見られるような士族優先をやらざるを得なく、それら士族のあまりにも苛烈な民衆支配に憤った新潟の中村十作たちが現れる明治36年までも、「旧慣温存政策」を続けました。
 

この「旧慣温存」の撤廃こそが沖縄の新時代の実質的な幕開けなのに、それが十分にドラステックでなかった為に、「時代の区切り」が完全に行えなかった点が最重要な歴史の観点だと考えます。

これこそ本土との差異であり、明治新政府による沖縄一般民衆に対する本土との「差別」の歴史だったと言えるかも知れませんが、問題は転換点が明確でなかった為に「気質的」に封建時代の残滓を後々まで引きずる原因になったのではないか、と考えられやしないかと思うのです。

それでも大正時代や昭和恐慌あるいは先の大戦前までは、リーダーとしての鹿児島県人や薩摩商人が数多く土着していたので、これを打ち破り改善する原動力にもなっていたのではないか。
 

遅くとも先の大戦を期に、それら日本型リーダーが帰郷した事が戦後の沖縄の様相に大きな影を落としたと仮定出来ないか、と考えています。

旧慣温存が沖縄の近代化を送らせた原因である事は本書でも触れられております。
 

現在においても一般民衆と王朝との関係性に留意することなく、あたかも当時においてすらも琉球王国が一般大衆に支持されうる素晴らしいものであったように描かれるバカバカしくも一面的な歴史認識が存在します。 

またそれに付随して反抗士族らの言い分をも「了」とする考え方が、本土ようなスマートさのない単純な沖縄の支配者層の頭をかく乱させ、結果的に進歩を妨げ、まるで封建制琉球に逆戻りするような様相を見せる遠因を作っている面もあるんだろう、と考えざるを得ません。

つまるところ補助金の存在を通して、日本政府による「旧慣温存」は今も続いているようにも思えるし、それをして結局のところ旧慣温存時代と等しく一般県民を苦しめている一因となっていると思わざるを得ないのです。
 


■ 沖縄はどこまで「被害者」か?

第二次大戦での「沖縄戦」は県民にとって悲惨であった事は間違いありません。
 

ですが、戦争の悲惨は沖縄だけにあった事ではない事実は度々このブログでも取り上げられているとおりで、そこに絶対的な差異はないのです。

確かに本土に比べ比率的に多くの方々が亡くなりましたが、原爆を落とされた事はなく、ソ連兵による略奪陵辱はなく、沖縄からシベリアに連れて行かれたわけでもありません。
唯一の地上戦が行われた地域ですらもありません。

米軍統治が悲惨であったように二紙では今でも喧伝しますが、事実はかなり異なります。
 

むしろ戦前の日本による統治よりも遥かに良好だったし、戦後の立ち上がりも本土の悲惨さにくらべ、かなり優位であった事は間違いありません。 

その後も本土のような苦労や血の滲むような努力を必要とする体験をする事なく、生活や福祉、経済の基盤作りまで、もれなく米軍が与えてくれたのです。

沖縄を主体的に捉えられない人たちの考えでは、日本と分断された事が沖縄の成長阻害要因だったと考えるむきもありますが、それは違います。
 

本来なら、米軍施政下を経験し復帰時には日本本土よりもさらに成長しているべきであったと言うべきです。

60年代後半までは米国サマさまで経済界を中心とした米領推進論なども見られましたが、ベトナム戦争の帰趨が見えて米国が落ち目になり関与の拡大が望めなくなった事と、日本の高度経済成長が眩しく映った事が復帰運動が盛り上がった原因である側面も見逃せません。

そういう経緯の沖縄ですから今度は中国の経済成長に色目を使い、これに接着していく事もまた歴史的に自然と言えるかも知れません。

本土の皆さん方や日本政府はこうした経緯を正しく見て、都合よく作られた沖縄の歴史(「外連」の根幹)を見抜き、本質はどこにあるか精査して考えてもらいたいと願います。

一時的に日本国の統治を離れた事は確かに遺憾ではありましたが、その事によって米軍から奴隷的な地位を強いられたり虐待を受けた事実も全然ありませんし、それどころか遥かに人道的以上の援助を施され、米軍は民主主義の根幹を沖縄に教えようと熱心でした。
 

ですが、沖縄の為政者側では援助は常に要求し歓待するも、民主主義を行うに必要な前提としての責任感や、自己を規律する高い道徳心や公共心、フェアネスなどの一番大事な点が身につかなかったように思えるのです。 

 
そうした、民主主義を行う上での大前提は、本土では戦前から持ち合わせていた当たり前の「言うに及ばない」感覚の事でもあったのでしょう。
 

ですが沖縄では、明治の出来がかりの大事な時点で頓挫してしまった事が始まりで、米軍統治によっても十分に民主主義を理解できなかったのだ、とも思うのです。 

                                             (続く) 

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麻生発言は、今年冬からの朝鮮半島情勢の爆発を念頭にした発言だった

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誤解を受ける書き方をしてしまったようですが、麻生氏が難民について警鐘を鳴らした意義は大きいと思います。 

政局ではなく、大状況からこの発言を見ていきます。

安倍氏が日常的に、時には1日に数回に渡ってトランプと意見交換していることは知られた事実で、いまや盟友といってもいい間柄と評してもいいようです。 

日本ではまったく報道されませんでしたが、訪米時にはサプライズでバースデイパーティまでひらかれるという歓待ぶりだったようです。 

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先日の訪米は北朝鮮情勢についての膝を突き合わせての最終調整であることは明らかで、その中でなにを告げられたのか、です。 

それについて昨日、ラジオ「ザ・ボイス」で石橋文登・産経新聞政治部長は、今年の冬から来年いっぱいにかけての朝鮮半島リスクは極大になる可能性があるとしています。

石橋氏は、「周知のことだから」という前置きをつけた上で、「安倍氏はトランプから直接に、北朝鮮に対する軍事オプションの実施時期を聞いたのではないか」と述べていました。 

もちろん、米国はいくつもの外交シナリオを持った上で、当面は経済制裁を可能な限りで実施して外交圧力をかけるでしょうが、それでもなお核開発がやめないのなら・・・・、ということのようです。 

米国が最後の手段として軍事オプションを選択せざるをえなくなった場合、いままでの湾岸・中東戦争時の例から見ても、徹底した兵力の集中を行うでしょう。 

ルトワックが指摘するように、北朝鮮はイラクとは違って濃密な軍事力を有しています。 

これを無力化するためには、空母打撃群の最低で3セット、できるなら6セットを集中せねばなりません。
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上の写真は北朝鮮が今年3月24日にやった「ソウル火の海作戦」のデモンストレーションの模様です。 

見た目はスゴイですが、ある自衛隊関係者は、こんなに近距離で大口径自走砲を配置することは軍事常識ではありえない、弾道が干渉してしまうとした上で、「北が絵を作りたかったのだろう」としています。 

それはさておき、米国は既に北が豪語する「38度線越しに砲撃をくわえて100万人の死者をださせる」という常套句が、実は北朝鮮と韓国の合作によるただのブラフだと見抜いていると思われます。 

ある軍事専門家は、ソウルとオサン米空軍基地の攻撃を割り振られた北朝鮮の240mm自走多連装ロケット発射機と170mm自走砲は、装備の老朽化、劣悪な整備状況、崩壊しかけている補給状況による弾薬の保有数から見て、到底「ソウルを火の海」にできるようなシロモノではないと考えています。
http://sorceress.raindrop.jp/blog/2017/09/#a001878

おそらく一回撃って再装填する間もなく、米軍の対砲レーダーで察知されて、たちどころに沈黙を余儀なくさせられると思われます。

Photo_4http://www.1freewallpapers.com/northrop-grumman-b-...

ちなみに、いまギリギリまで北朝鮮領空に接近したB-1B の任務は、よく間違って報じられるように核攻撃をチラつかせたブラフではありません。

B-1Bには条約上の制限から、核爆弾も核巡航ミサイルも搭載する能力はありません。

大な航続距離を利して敵目標地帯上空に滞空し、桁違いの量の通常爆弾を正確に落すことが本来の任務です。

マティスは9月18日に、「ソウルを重大な危機にさらさずに北朝鮮に軍事力を行使する選択肢はある」と発言しましたが、トランプならともかく誇大なゼスチャーを嫌う彼が言った重みを考えるべきでしょう。 

さて、その時期ですが、トランプが来日する予定の11月まではありえませんから、それ以降から1年間が、きわめて危険な時期になるでしょう。 

これは、北朝鮮が米国に到達しうるICBMの完成時期と重なります。

安倍氏は一部の報道と違って8月中は解散を考えておらず、改憲日程との絡みで来年秋ていどを構想していたようですが、これが一気に1年前倒しとなったのは、来年はまさに選挙など呑気にやっていられる状況ではなくなるからです。

まったくどうでもいいですが、こんな状況では、ピョンチャン五輪は絶望的ですな。韓国も内心ほっとしているでしょうが。

米国政府中枢とのパイプを持たない野党やメディアは、これを「野党が弱体化しているから」程度の国内政局だけで判断しているようですが、近視眼的です。 

かといって、来年末で衆院は任期切れですから、やるならまさにピンポイントで今年10月下旬の時期しかないことになります。 

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このような外的状況であることを頭に置いて、麻生氏の発言を考えて下さい。 

siさんがおっしゃられるように、北九州、北日本を中心として数万と予想される難民が押し寄せる可能性があります。 

その中に中国のような武装した海上民兵が混ざっていたとしても不思議ではありません。 

青竹さんが仰せのようにヨーロッパですらシリア難民に紛れ込ませてISはテロリストを浸透させたのですから。 

日本は先進国の人道主義が足かせになってふゆみさんが危惧するような悪い意味でソフトな対応をすると思います。 

ただ、それは記事でも書きましたが、朝鮮人民軍の軍事行動ではなく、組織的抵抗を粉砕された後の敗残兵にすぎない以上、対応すべきは一義的に海保と警察の対テロ特殊部隊であって、自衛隊ではありません。 

では、そこまで米国が北を追い詰めるかと言われれば、ないか、あるいはそうとうに確率は低いと思います。 

というのは、そこまでするということは地上軍の大規模侵攻なくしてはありえないし、それは中国の介入を招きかねない危険な賭けだからです。 

ただし日本政府としては、その場合のシナリオを想定しておくべきでしょう。 

しかし日本政府と当該自治体は、なにも準備はおろか検討すらしている気配がありません。 

ならば、それを啓発するが政治の役割じゃないかという麻生氏の意見は、まったく正しいと思います。 

おそらく、麻生氏は安倍氏から米国の意向を聞いていたのは確実でしょうから、それを念頭において平和に慣れきったわが国の空気を引き締めるために言ったのでしょうね。 

朝日はそれを、麻生は難民は射殺しろと言ったとお約束の誤報してみせて、朝鮮半島有事に備える諸準備を妨害するという、平常運転だったわけです。 

麻生さん、ならばなおさら慎重に言葉を選んで下さい、と私は思った次第です。 

 

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山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 その3

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山路敬介氏の投稿の第3回を掲載いたします。  

当初4回完結と思っていましたが、内容的なまとまりを重視して、5回分割にいたしました。

                    ~~~~~~ 

書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  
              ~ 疎外される本土の納税者~      その3

                                             山路敬介
 

承前  

■ いかに多額の補助金を得ても、多くの県民の生活は一向に良くなる事はない。

沖縄とは不思議な県です。
 

基地があるゆえの本土からの潤沢な補助金は使い切れないほどなのに、貧困率は日本一です。 

一方、一千万円以上の所得者の率は日本で五指に入ります。 

それでありながら常に平均所得は全国最下位辺にあるのですから、いかに多くの人が貧困ランクであるかがわかります。 

つまり沖縄は抜きん出た「格差社会」なのだ、という事です。 

そうした問題から語られるのは常に政策の不備の観点からですが、沖縄においてはもう少し複雑で、歴史的・社会風潮的な面からの観点も外せません。

本書において著者の篠原氏は「支配者層」というワードを二回用いました。
 

最初はエスタブリッシュメントとしての意味で、「外連」を仕組んだのは彼らであったと指摘します。 

二度目は沖縄の「支配者層」の範囲として、そこに公務員までを含めた定義をしました。

これをお読みになる皆様は「支配者層」とか「被支配層」という表現を「古臭い」と思う方もいらっしゃるでしょうし、「左翼用語ではないか」と目を剥く人もいるでしょう。
 

あるいは、「沖縄であれ、民主主義国家システムを採用した日本の一地方なのだから、そのようなヒエラルキーが今や存在するハズがない」と断ずる方もいるでしょう。

確かにそれもそうですが、それでも私は沖縄を考えるときは例え一旦は二分論的誤謬に陥るとしても、現在においても歴史的観点からも「支配者・被支配者」的問題の立て方も有為であろうと考えています。

本書では上掲以上多くの意味を込めて述べられていませんが、補助金を軸に支配者は「補助金を持ってくる者、それを配分する者、直接的に補助金の恩恵を受ける者、税の軽減などを受ける事業者」と雑駁に規定出来ると思います。
 

対する被支配者はそれ以外の普通の一般労働者で、その両者の溝や所得格差は本土におけるよりも金銭的だけでなく精神的にも深く、それが貧困の実態をもたらしている要因となっている面が大きいのです。

また沖縄は本書で指摘されるとおり生産性が低く、付加価値が高い商品を生み出す産業構造になっていない不安定さがあります。
 

そこから沖縄では経済学でいう「トリクルダウン理論」が下層まで行き届きづらい社会だと考えますが、それだけではありません。

証明困難ですが、私は支配被支配いづれの層にも前時代的で封建制の残滓みたいなメンタリティーを許容する雰囲気があると思っています。
 

そこへ生産性の低さゆえに不安定を憂慮する保守的姿勢も加わることで、資本の回転や長期的人材投資に振り向けるよりも、蓄財と家族優先主義的な守りの経営を好み、賃金の手当が最下位課題にしかならない原因が融合されて来るのだと考えます。

問題は、過度な補助金の存在や税金の軽減措置が本来あるべき基幹的で生産性の高い産業の育成を結果的に阻害しているのだという事、精神的にも旧弊を拭い去れない方向に作用してしまっている事を認識する事だと思います。
 

                                            (続く)

 

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麻生さん、煽るのはよくありません

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山路敬介氏の連載は本日同時にアップしておりますので、そちらをご覧ください。 

昨夕、首相が解散すると記者会見しました。 

この間、首相の解散の意向が伝えられてからメディアは、モリカケ騒動の延長戦に入ったようで、毎度のことながらご苦労さまなこってす。

とうぶんの間、イっちゃったようなメディアの馬鹿騒ぎを聞かされるかと思うと、うんざりします。 

その中で、麻生副総理の「難民射殺暴言」が出たようで、メディア御用達の左翼文化人は喜びをこらえて怒って見せているようです。http://www.sankei.com/politics/news/170924/plt1709240017-n1.html 

まずは麻生氏がなにを言ったのかについて、2017年9月24日の共同です。 

「麻生太郎副総理兼財務相は23日、宇都宮市で講演し、北朝鮮で有事が発生すれば日本に武装難民が押し寄せる可能性に言及し「警察で対応できるか。自衛隊、防衛出動か。じゃあ射殺か。真剣に考えた方がいい」と問題提起した。
 北朝鮮有事について「今の時代、結構やばくなった時のことを考えておかないと」と指摘。「難民が船に乗って新潟、山形、青森の方には間違いなく漂着する。不法入国で10万人単位。どこに収容するのか」と強調した。その上で「対応を考えるのは政治の仕事だ。遠い話ではない」と述べた。」

これについて孫崎氏など、「麻生氏の狂いよう常軌を逸する。どこに難民を射殺する国があるか」などと述べています。 

ネットでは「武装難民は便衣兵だから、この発言のどこが問題なのだ」、との声が多いようです。 

まぁたしかに麻生氏は「武装難民」といっていますし、そのように報じられているわけですから、それを孫崎氏のように難民一般と混同するのは相当に色眼鏡がかかっているのは確かです。

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では、麻生氏の発言は正確なのでしょうか。いいえ、いつものことですが、誇張された漫談です。 

特に「射殺」などという生な表現を軽々に使ってしまう軽薄さ加減には、私もイラっとするほどです。

そんなに言いたいなら、「排除する」とか「無力化する」とか、曖昧に言いなさいよ。 

言った人が、政権ナンバー2だということが問題とされて、海外まで「日本政府要人、難民は射殺」として拡散してしまいました。やれやれです。 

朝鮮半島有事において難民対策は不可欠のテーマですし、今から備えておかねばならないことは麻生氏の言うとおりですが、「武装難民」とはなんのことかわかりません。 

おそらく、難民に紛れて武装ゲリラが侵入するぞ、と麻生氏は言いたいのだと思いますが、トンチンカンです。 

麻生氏は、武力紛争初期のいわゆる「ゲリコマ」(ゲリラ・コマンド)の浸透とゴッチャにしているのではないでしょうか。 

紛争初期に北朝鮮のゲリコマが、国内に築き上げた「土台人」と呼ばれる支援団体の手助けで、国内のインフラや行政施設、自衛隊・在日米軍基地を攻撃することは、ありえるシナリオです。
土台人 - Wikipedia

松島悠佐元陸将と福山隆元陸将補の両氏はこう述べています。

「在日工作員や、潜入した武装工作員・特殊部隊の力量次第では、警備が行われる重要防護施設を狙うとは限らず、在日工作員などによる暗殺・拉致・日本国民の拘束・毒物散布などの違法行為や、武力攻撃の一形態である潜入破壊工作など、様々な形で起きることが予想される」(防衛システム研究所「朝鮮半島が危ない」

この場合、北のゲリコマは工作船か潜水艦で侵入するので、難民が乗った船は関係ありません。

では、ゲリコマが「武装難民として漁船に乗って襲来する」という想像はどこから生れたのでしょうか。 

いままで、世界でも海からの難民事例には事欠きません。

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しかし、武装難民のケースはなかったと記憶します。 

武装ゲリラが拠点とするのは多くは、難民キャンプです。

Photo     シリア難民を収容しているザータリ難民キャンプ

難民たちの故郷や財産・家族を戦争で失った悲しみと、未来が見えない絶望につけこんで、イスラム原理主義過激ゲリラは、難民キャンプを教育-洗脳-リクルートの場にしました。
 

「世界中の難民キャンプに住んでいる人たちの15~20%が難民戦士であり、キャンプでの食事と治療の合間に戦争を遂行しているのだ。」 (「クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実」リンダ・ポルマン)

過激ゲリラの温床となった難民キャンプからは、多くの難民がリクルートされて自爆テロに参加したわけです。

このようにたしかに日本国内においても難民キャンプができた場合、暴動に備えた警戒をする必要はあるかもしれませんが、それは組織された北によるゲリコマとは一線を画して考えねばなりません。

またそこからさらに過激分子がテロを起こすことも否定しきれませんが、それは自衛隊が対処する事案ではありません。

国内治安は警察の領分であって、SATなどの対テロ特殊部隊が当たればいいだけのことで、なにもこんなことに自衛隊の防衛出動とか言い出さないでください。

麻生さん、危機感を訴えるのは大事ですが、煽るのはよくありません。

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山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 その2

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山路敬介氏の投稿の第2回を掲載いたします。

篠原氏と山路氏の分析の眼は、翁長氏を戴く「オール沖縄」を批判するに止まらず、なぜ「翁長知事」のような異形のものが生れてしまったのかという原因まで遡って見ようとしています。

いや、異形ではない、翁長氏はあたりまえの既得権益を配分する「保守」のあり方なのだとしています。

その意味で、翁長氏は「根っからの保守」だといまでも自己認識しているだろうということです。

「オール沖縄」は、いままで隠然としてあった保革の「二人羽織」関係を、一歩進めて潜在化させブランド化しただけだともいえるのかもしれません。

ただし、誤解なきようにお断りしておけば、翁長氏がいう「保守」とは、我那覇氏の運動にみられるような本土の保守と共有可能な価値観を持つ理念的保守ではまったくないことです。

言ってみれば、本土にもよくいる橋が掛かったの、道路ができたのが政治だと思っている村の保守系議員に、国策規模の金を40数年に渡って与えて、ジックリ熟成させたスピリッツのようなものが「翁長知事」なのかもしれません。

もっとも熟成ではなく、いまや腐敗になっているようですが。

そしてその原因を作ったのは、むしろ本土政府が、基地を受け入れることの見返りに、ジャブジャブと与え続けてきた金にあるのではないかと捉えています。

その意味で、「オール沖縄」をうみだしたのは、沖縄と本土政府との関係そのものなのです。

かつて私も「沖縄の二人羽織」と題して、沖縄保革のいわく言い難い相利共生関係について書いたことがありましたが、それをさらに緻密に論証していただきました。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-b7a8.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-f1f9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-c63b.html

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書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  
              ~ 疎外される本土の納税者~      その2

                                    山路敬介
 

承前 

■ 沖縄の「真正保守」たる翁長知事の目的と、安倍政権の失敗 

 
本書において筆者が到達した重大な結論のひとつは、翁長知事は就任当初から「辺野古阻止が出来る」などとは考えていず、その目的は「2022年度からの沖縄振興計画の延長にある」というものです。
 

翁長氏の普段の言動から考えると信じがたい説のように思えるでしょうが、本書を読めば合理的で説得力のある結論だと良くわかります。 

裏付けとなる詳細な事実群は本書をご覧頂くとして、雑駁に私の持論を中心に説明します。

そもそも翁長氏は就任直後から、「根っからの保守である」と言っています。
 

それはもうそのとおりで、ここで勘違いしやすいのは概して、「沖縄の保守」は本土で言われるような保守とは意味合いが違うという事です。

もちろんそれは、我那覇真子氏らが標榜するある種の普遍性を有した「普通の保守」を意味しません。
 

また、そもそも我那覇氏らと沖縄の伝統保守勢力とは、「保守」する目的も対象も違うのです。 

我那覇氏らは旧態依然とした既得権護持を保守の目的としないので、(一時的に反翁長で一致点を見出すとしても)本来的な守旧派が大部分を占める沖縄自民党県連を忌避・批判してもそれは当然なのです。

歴史上、対日本政府であれ米軍統治時代の米国からでもあれ、補助金を要請し、交渉し、これを拡大するのが沖縄の保守たる沖縄自民党の目的であり役割でした。

それを「反抗」という手段で、結果的産物であったとしても「妥協」という名状の下に共闘・側面支援してきたのが「沖縄革新」の役割であり、これが口さがない連中の言う「沖縄政治の伝統芸能」と揶揄される「外連」の歴史です。 

 
早い話が、本土に対して補助金を「頼む」沖縄自民党、補助金を「脅して取る」翁長知事、両者の違いはこの「手法」の違いしかありません。

ですので、この「反抗」の手段を内側におき、目的達成に向けよりラジカルに原点回帰して補助金獲得を希求するのが翁長知事なので、著者が言うように翁長知事はまさに沖縄の「真正保守」なのです。
 

 
沖縄県内でも「翁長知事はいくら何でもやり過ぎだろう」という声が出始めましたが、「その目的は補助金獲得にある」と薄々勘づいている県民も多く、それゆえあれだけ不道徳で違法な行為をやりたい放題でも県民から大きな批判もなく、支持率も落ちないのです。

「3000億円、7年間」の仲井眞知事との約束を安倍政権は忠実に守っています。
 

安倍総理はこれを約束した当時は仲井眞知事再選の助力とし、強力な側面支援としたつもりだったのでしょう。 

本来ならば仲井眞氏は県民の大多数が望むところの偉業を達成したのですから、論功行賞として再選して当然だったでしょうが、第一には沖縄のメンツの問題があり「外連による塗り込め」が足りなかった。 

「沖縄の心を金で売った」、というような馬鹿げた論調が県内マスコミによって徹底的に流布され、結果は裏目に出てしまいました。 

私は仲井眞知事がした「承認」と「補助金」との取引に見えさえする、一連の行政を了とします。 

「基地の存在」とそれを承認する「対価」を顕在化させ、そこを数値化し可視化する未来への第一歩になると思ったからです。

第二に、仲井眞知事の失脚の原因は、表向き県民が辺野古反対にもかかわらず「埋め立て承認」を成した事から始まったもののように見えますが、本当のところは承認しそうな大分以前から革新側から「革新外しの疑いあり」と捉えられ、共闘を拒んだように理解された事が二紙からの批判の原因です。

あの当時、保革両者において重要だったのは「過程」なのであり、結果的な「辺野古移設」ではなかったのです。

それゆえ二紙は死に物狂いの再選阻止報道を打ちまくり、一連の事象を慧眼をもって鋭く見ていたのが翁長現知事です。

革新の力を用いる事なく歴史的振興資金が実現するなら、革新の以後の立ち位置は狭まらざるを得なく結果的に保革のバランスが崩れる危険性がありました。
 

これまで阿吽の呼吸で巧妙に按分されてきた補助金使途に対する発言権にも影響します。 

国から金をむしり取る場合でも常に体面を繕いつつ、キチンと「革新と共闘」の結果である事が手続き上の必須だし、歴史にならう旧来からの沖縄の鉄則です。 

そして、その結果達成されるのは、あるいは最初からの目的や意味合いは、既得権者の利益保護にほかなりません。。

「外連」のせいで安倍政権と仲井眞前知事は翁長知事にまんまと油揚(3000億 7年間)だけさらわれてしまい、2022年までの最低3000億円は約束されたものとして実行される見通しとなりました。
 

翁長知事や県は積み増しのための儀礼だけは取りあえず怠りなくするものの、それまでの間はフリーハンドを手に入れたも同然です。 

だからこそ高裁和解を破ろうが、国連に行ってデマを言い放題で日本政府をこき下ろそうが、何も憂慮する必要がないのです。

しかも無明に見える訴訟合戦は翁長知事の狙いどおりに効果が上がっており、念願の2022年以降の補助金についても5月に菅官房長官が示唆した通りに行くならば、百点満点でお釣りも来る出来栄えとなるでしょう。
 

ここはさらに緩急自在にスラップ訴訟でも用い、日本政府を脅しながら上手に革新の顔を立てつつ、ウラで出来かかっている2022年からの補助金の交渉を巧みに行い「確定」に持ち込もうとする場面です。 

だから、今ここで直ちに「承認の取り消し」カードを切るなどは、最も愚策で論外なのです。

櫻井よしこ氏が講演会か何かで、「沖縄の政治家は保守も革新も皆、とても悪い」と言った事がありました。
 

その意味を具体的にハッキリとは説明されませんでしたが、前後の文脈から「沖縄の保革が一致する地点としての補助金の問題」を指しての事だったのは明らかでした。

衆院選後、小選挙区で惨敗し比例区で復活当選した沖縄自民党議員たちを東京に集めて、石破茂氏(当時の幹事長)が「辺野古容認」へと転じさせた事がありました。
 

ほとんど全ての報道によれば、「辺野古がダメなら、普天間固定化しかない」と脅し上げたゆえの翻意であったように書かれていて、当時の私は「石破幹事長もさすがやるもんだなぁ」と妙に感心したものでした。 

しかし、後でその時の当事者の一人に聞くとそうではなく「仲井眞知事との約束を誠実に実行する事」と、「その後の振興計画についても手応えがあった」ので辺野古容認を受け入れたのだと説明しました。 

それはそうでしょう。そうでなければ沖縄自民党県連に持ち帰っての説明など出来やしません。 

 
安倍総理が迂闊にも7年間もの長期にわたる約束をしてしまった事が原因で、翁長知事が(違法でも何でも)やりたい放題の自由を手にしてしまった、とは言えます。
 

ですが、もしそれを内示しなかったらなら当時の仲井眞知事は容易に「承認」を下ろさなかったでしょうし、その後に(3000億円 7億円を)留保するならば、沖縄自民党はさらに壊滅的な打撃を受けたでしょう。

そもそも沖縄の「外連」は最初から沖縄県や翁長知事だけのものではなくて、歴代日本政府や自民党全体をも含めた一切に責任の所在があるという事だと言えるでしょう。

 

                                        (続く)

 

 

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山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 その1  

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山路敬介氏の投稿を掲載いたします。 

篠原章氏の新刊、『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』(飛鳥新社)の書評に止まらず、山路氏の鋭い分析が加わってたものになっています。 

優れた著作に、優れた書評に恵まれたことを心から感謝します。 

4回分割でお届けします。その間、私の通常記事は別途掲載といたします。

              ~~~~~~~~~~
 

書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  
              ~ 疎外される本土の納税者~      その1

                                    山路敬介

■はじめに
 

ベストセラーとなった前作「沖縄の不都合な真実」から2年半。 8/31篠原章氏の新著「外連の島・沖縄」(飛鳥新社)がようやく出版されました。 

概略のご紹介と私個人の持論も入れて、沖縄とは何なのか?、沖縄の何が問題か? 少々感じた事を論じたいと思います。 

 
篠原氏は「保守派」という括りのある言論人ではありません。
 

沖縄の問題を語る知識人として異例で、左右いずれにも後ろ盾となるような団体性はなく、権力的な方向に寄る傾きもありません。 

強いて言えば、他の人よりも思想的には個人・自由・民主主義的傾向を強く矜持としているように見る事が出来ますが、その書いたものから特段の「色付け」は伺えません。

かく言う私も保守派とは言えませんが、篠原氏の「米軍基地を(さらに本格的に)減らすためには~云々」との命題を掲げる発言を度々されるところから印象し察するところ、「SACO合意以上の米軍基地の削減はやるべきではない」と考える私とは根本的に意見の相違があるのだろうと考えています。

しかし本書での沖縄の深奥に迫る現状認識や歴史的経緯への洞察はきわめて深く、しかも完全に納得出来るものだし、かつ様々の理由から結論として「補助金は沖縄の為にならない」と言わざるを得ないのであって、そこも完全に一致します。

日本人は沖縄に多年にわたる特別の愛情を注ぎ込みながらも、彼我の違いを簡略化した一面的理解しか持つことはなく、要するに「自分好みの絵ヅラ」に当てはめて考えて来たのではないだろうか?
 

日本政府は沖縄の本質的問題を理解せず、あるいはそこをスルーして対峙して来なかったゆえ、今だに安全保障を一地方に人質として取られ続ける失態を補助金で糊塗し続けるが、もはや限界を越えているのではないか? 

沖縄県や沖縄の為政者の「外連」は明らかだが、主権者である沖縄県民自身が果たして民主主義の義務と責任を果たして来たと言えるのか?  

また、その結果として自主的・主体的な生き方を見いだせていないとすれば、それを阻害し縛り付けているものを歴史的要因の中からも正して行かなくてはならないのではないか?

これらの問いは非常に深刻な意味を含み、本書は多額の補助金の交付を中心とした従来型の中央の沖縄関与の方法が、「基地の問題」とはまったく別の次元で沖縄をダメにし、交付する金員の意味を曖昧にしてやればやるほど、結果的に日本と沖縄を「別個の意識下」に置く事になる構造を明らかにしたものです。

無理にでも本書の難点をあげるならば、著者は普通一般の沖縄県人よりも沖縄の事を深く理解して在りながら、自身が沖縄県人ではないだけにいわゆる被支配層一般へ向けた責任の言及が少なかった事になるかと思います。
 

なお、「外連」(けれん)とは、簡単にいえば「ごまかし」、「はったり」、「いかさま」と言う意味だそうで、私はこれを膝を打って得心するほどに「当を得た表現」であると思い、
ほぼ全編にわたりその事例が十二分に実証性をともなって行き届いている事が特筆される点と思います。
 

 
本書が、(これまでの沖縄関連本を見ればわかるように)公平に論じられた本格的な類書もなく、土台となる先行した研究や評論もほぼ皆無の中で、飛び級的に問題の核心に迫る事が出来たのは奇跡的です。

それは、多種多様の「ニセ沖縄愛」を表明する知識人・言論人・マスコミ人・本土からの運動家らとは違い、長年にわたり好悪を越えた深い地点から沖縄の「酸い甘い」に浸り切って来た著者の経験からの結果からによるのだろうと思います。
 

それだけでなく左右いずれにも属さない立ち位置も必須条件であったし、沖縄取材において特に重要な事は「嘘つきたちの言う建前」からでも、「本音」を的確に拾い上げる悟性が必要で、筆者にそれが備わっていた点が大きかったと言えます。

 普天間基地跡地利用に関する経済効果評価書は「ウソのかたまり」
 

 
すでに良く知られるように沖縄県議会事務局が普天間跡地利用の経済効果を野村総研に依頼して、その結果の馬鹿げた数値を公表し日本中に恥を晒した事がありました。
 

そもそも一見して実にお粗末な代物で、県民なら誰もが「そんなハズはないだろう」と直感的に肌で感じられるものでした。

それでも議会が責任持って発出した数値だし、シンクタンクのネームバリューもあったのでしょう、この調査結果を根拠とした論説が本土でも多数出始めました。

しかし、財政学者でもある篠原氏が前作その他において徹底的にその問題点を指摘され、以来この調査結果を論拠に使う言論人は、イデオロギーに塗れた厚顔無恥の輩しかおらなくなりました。
 

 
このようなイカサマで恣意的な調査結果を得るために多額の税金が使われたのですから、県民は誰がどういう目的で、どういう前提を付して野村総研に依頼したか、その点を明らかにして責任を問うべきところでした。
 

しかし、そもそも県議会・県庁・知事・マスコミ総出の一丸となった「外連」だし、沖縄県ではこの手の「責任追及」は二紙が乗り出してこない限り望むべくもなく、そうした声はとうとう起こりませんでした。 

 
この例の場合、保守も革新もその垣根はなく、「公」はともかく「民」も同調するような「一体性」を見せたは事は特に留意が必要です。
 

県議会がこうした欺瞞的な調査・発表を行った理由は、表向き「普天間の早期返還を促すため」ですが、それだけでなく各人各派の思惑は様々でした。

ただ、そこに通底する「補助金獲得に資する」ための共通了解は暗黙のうちに確固としてあり、それが全県的にあのような「ウソ」を平然とまかり通らせた原因だと言えます。
 

何事につけ暗黙のうちに「金づるとしての日本政府」を横目で見た、要するに日本を対位的視点から見る事を離れられず物事を捉える事、それをそうは見えないように宣伝と嘘でくるみ、そうする事によって利益を得る「身についた体質」がこの「外連」を行わせしめたと思うのです。 

 
■ 沖縄は「優遇」されている
 

 
近年は本土の保守派を中心に「基地が在るからといって、沖縄県は優遇されすぎているのではないか?」という、きわめて健全で当然の疑念が発せられるようになりました。

こうした声を警戒する、反論となる沖縄県庁の公式見解はこうです。
 

≫「平成27年度決算ベースで、沖縄県の国庫支出金は全国10位。
 地方交付税まで含めた国からの財政移転は全国12位。
 また、人口ひとりあたりで比較すると5位で、復帰後一度も全国1位にはなっていない。」
 と、します。

本土の有識者やマスコミ関係者など一般のリベラルな人たちは、一部本土保守派の論調に対し、この沖縄県庁の見解を口を揃えてなぞります。
 

しかしそれは無知とはいえ、明らかに沖縄県による「事実の隠蔽」にまんまと引っかかり、もしくはそれに意図的に加担する行為です。

この事は本書第7章で詳しく論じられているとおり、県による「沖縄への批判をかわすため」の詭弁にすぎません。
 

合算する必要のない地方交付税を合算し、高率補助や一括交付金の存在に一切触れもせず「沖縄県は特に優遇されているとは言えない」と言い抜ける事で、問題を顕在化させないように隠蔽・糊塗する念入りに工夫された「操作された論述」です。 

 
沖縄県への優遇措置はそんなものだけでなく、酒税、揮発油税、航空機燃料税、石油石炭税、NHK受信料の軽減措置、別口の防衛省からの補助金事業等々、数え上げたらキリもありません。
 

しかし私はこれを「全て無くせ」などと言っているのではありません。 

必要で妥当な政策ももちろん多いし、「米軍基地が存在する事の対価」である事が明瞭となり、そのうえで数量的な妥当性が国民的に認識される限りこれを容認する立場です。 

しかし、こうした事実を隠して物事を運ぼうとする県の姿勢が「外連だ」という事は言わなくてはなりません。

本書によれば同種の沖縄県庁による統計上のトリックは、沖縄経済の基地依存度を5%とした点にも現れています。
 

これも事実上、基地が存在するがゆえ支払われている振興予算をすっかり除外する事による「意図的に操作された数値」だと言えます。

翁長県政の目玉、法廷闘争

なお本書は第2章から約100P分にわたりこの2年半の翁長県政のイカサマぶりを克明に追っており、その解説としても記録としても秀逸です。
 

これにくらべて、これまで私が「ありんくりん」で度々書かせて頂いた沖縄県・翁長知事の馬鹿げた訴訟合戦とその法廷戦術についての解説は非常に分かり辛かったと反省しきりでして、お恥ずかしい限り。 

本書では特段の法律知識がない場合でも、とてもわかりやすく時系列的に要点も簡潔にまとまっていて、もう私の多量の手持ちの資料も捨ててもいいかなと思いました。

ここで詳細は書けませんがご興味ある方はここをじっくり読まれる事で、その表出される言葉や行動とは裏腹に翁長氏がいかに愚劣なハッタリ屋か、司法制度を目的外利用し、果たして日本の司法そのものを汚し、いかに日本中に「沖縄の品位」を貶める所業を行ったか良くご理解頂けるものと思います。

あわせて、それならなぜ翁長氏はそういう愚劣な行動をとったのか? それを県民はやや容認しているように見えるのは何故なのか? と、考える所からこそ沖縄理解の端緒が開かれても然るべきだと考えます。

沖縄の為に何をしてくれるのか?
 

 
 「お前はいったい沖縄の為に何をしてくれると言うのか?」、「いやなら米軍基地をすべて本土に持って帰れ!」等々。
 

このような言葉を当の県民から投げつけられたら、あなたならどうしますか?

答えを発する以前の問題として、そういう問いを臆面もなく投げつける事の出来る相手の傲岸にして恥知らずな人間性をまず疑うでしょうし、そのような異常にたじろぎ、ひるんで、かかわり合いになりたくないゆえに、黙してこれを遠ざけるようにするでしょう。
 

 
しかし、本土のリベラル系の知識人はじめマスコミ関係者や、自分勝手な正義を標榜する人たち、似非反差別者たちやネットスラングでいう「意識高い系」は違います。
 

彼らは狭小で偏頗な民主主義理解しか持たず出来ず、かつ浅薄で一面的な歴史理解ゆえ、機会主義的で自己拡大欲求を満たす事の出来る「お手軽な道具」として沖縄問題をあつかい、あるいは「長いものには巻かれろ」精神から深く考えもせずに、このような言質に簡単に迎合してしまうのであって、迎合しないまでも「一理ある」と簡単に考えてしまうのです。 

まことに「軽い正義」であるとしか言いようがありません。 

彼らは、そのほとんどが自己の利益のためにする目的なのであって、ニーチェが言う「同情する事によって至福を覚えるような、哀れみ深い人たち」でもあるのです。

こうした言葉を投げかけられるのは沖縄に多少の疑義を言う知識人達の宿命のようなもので、いわば「踏み絵」だし、被害者ヅラした人間が行う「被害者優位の論法」に立ったある種のマウンティング行為でもあります。

著者(篠原氏)もそうした洗礼を受けた例外ではありませんでした。
 

問題は、このような薄汚い言葉を実際に吐くのは運動家相当の人達とまず相場は決まっておりますが、言葉にせずとも「本土に何かをしてもらうのは当然だ」と、漠然と考える県民がまだ多くある事なのだと思うのです。

著者はそうした場面に遭遇するたびに考え、結果として「沖縄の心」とは都度公式に説明されるような「平和を愛する心」などでは決してなく、「愛されたい心」こそ「沖縄の心」なのだと確信するに至ります。
 

これもまた仮象の姿であり、「外連」の一節です。 

                                           (続く)
 





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日曜写真館 メコンデルタにようこそ

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日本学術会議 「9.1報告」の画期的意義

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日本における最も権威ある学術団体である日本学術会議が、福島第1原発事故の子供に対する影響について「9.1報告」を公表しました。 

今なお、反原発運動家、自主避難者、そして朝日、毎日、東京などのメディアを中心として、「フクシマはチェルノブイリだった」とか「甲状腺ガンが激増した」という風聞が後を断ちません。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-b4b4.html 

「特定の集団の不安が孤立化、先鋭化してきている」(「9.1報告」)傾向は今なお続いています。

どうしたことかこの人たちは、特定秘密法、安保法制、共謀罪、モリカケ、そして今の北朝鮮との対話派と完全にダブってしまっています。

それはさておき、このような悪質なプロパガンダは、復興を目指す福島県民に対して深刻な影響を与えました。

「9・1報告」はこう記述しています。

「ソーシャルメディアを介して、チェルノブイリ原発事故の再来とか、チェルノブイリや福島で観察されたものとして、動植物の奇形に関するさまざまな流言飛語レベルの情報が発信・拡散され、「次世代への影響」に関する不安を増幅する悪影響をもたらした。実際に、県民健康調査や長崎大学が川内村で実施したアンケート調査では、回答者の約半分が「次世代への影響の可能性が高い」と答えている。
また平成25(2013)年1月に福島県相馬市の医師が市内の全中学校で放射線の講義を行い、その後アンケート調査を行った結果、女子生徒の約4割が「結婚の際、不利益な扱いを受ける」と回答した。」

相馬市の女子生徒たちがアンケートの4割に、「将来結婚で差別される」と答えたことに愕然とさせられます。

反原発運動家たちは、福島の住民に甲状腺ガンのような次世代への影響がでると主張しました。

それが嵩じると、某女性作家のように「フクシマには子供を行かせない」と叫んだり、某女性歌人のように沖縄まで自主避難してしまったり、果ては某漫画原作者のように「フクシマから逃げることが勇気だ」などと声高に主張するあり様です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-8fd9.html

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おそらくそのような言説は、あなたもどこかで聞いたことがあるはずです。

実はこのような流説に対して、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)やIAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)などの関連国際機関や、福島県立医科大学などが緻密な報告書を出して全面否定しています。

科学界や医学界では、発見された甲状腺がんが、原発事故に伴う放射線被曝によるものではないということは既に結論づけられています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0ca3.html 

しかし、科学的客観報告の積み上げが整った6年後の現在も、原発事故当時の煽り報道は訂正記事を載せられないまま、あたかも「真実」のように流布されています。 

このような状況に対して、最終的決着をつける意味でも、今回の日本学術会議の「9.1報告」は画期的な意義があります。

報告書は長文なために、一部を抜粋して掲載いたしました。ぜひ原文にあたられることをお勧めします。 

■福島民友新聞【9月7日付社説】放射線と復興/不安にこたえる情報発信を 2017年09月07日 08時32分
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20170907-202074.php
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                    ~~~~~~~~~~

 

日本学術会議・臨床医学委員会放射線防護・リスクマネジメント分科会 

            子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題(抜粋)
               -現在の科学的知見を福島で生かすためにー

                                            2017年9月1日
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170901.pdf 

P15 「3) 福島原発事故による子どもの健康影響に関する社会の認識
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は、福島原発事故による公衆の被ばく線量とリスクの評価を行い、甲状腺がんについては、最も高い被ばくを受けたと推定される子どもの集団については理論上リスクが増加する可能性があるが、それ以外の影響(先天性異常や遺伝性影響、小児甲状腺がん以外のがん)に関しては、有意な増加は見られないだろうと予測している。」
 

「① 次世代への影響に関する社会の受け止め方
胎児影響は、福島原発事故による健康影響の有無がデータにより実証されている唯一の例である。福島原発事故に起因し得ると考えられる胚や胎児の吸収線量は、胎児影響の発生のしきい値よりはるかに低いことから、事故当初から日本産科婦人科学会等が「胎児への影響は心配ない」と言うメッセージを発信した。
これはチェルノブイリ事故直後、ギリシャなど欧州の国々で相当数の中絶が行われたことによる。福島原発事故から一年後には、福島県の県民健康調査の結果が取りまとめられ、
福島県の妊婦の流産や中絶は福島第1原発事故の前後で増減していないことが確認された。
そして死産、早産、低出生時体重及び先天性異常の発生率に事故の影響が見られないことが証明された。
専門家間では組織反応(確定的影響)である「胎児影響」と生殖細胞の確率的影響である「遺伝性影響 (経世代影響)」は区別して考えられており、「胎児影響」に関しては、上記のような実証的結果を得て、科学的には決着がついたと認識されている。」
 

P16 「福島原発事故後、主にはソーシャルメディアを介して、チェルノブイリ原発事故の再来とか、チェルノブイリや福島で観察されたものとして、動植物の奇形に関するさまざまな流言飛語レベルの情報が発信・拡散され、「次世代への影響」に関する不安を増幅する悪影響をもたらした。実際に、県民健康調査や長崎大学が川内村で実施したアンケート調査では、回答者の約半分が「次世代への影響の可能性が高い」と答えている
また平成25(2013)年1月に福島県相馬市の医師が市内の全中学校で放射線の講義を行い、その後アンケート調査を行った結果、女子生徒の約4割が「結婚の際、不利益な扱いを受ける」と回答した。
こうした回答の割合は時間経過や継続的な授業の実施により下がる傾向が見られている。もし全国でこうした誤認が浸透しているのであれば、誤った先入観や偏見を正す必要があり、次世代への影響の調査や、正しい情報発信を継続して行う必要性がある
と考えられる。」 

P16 (福島で甲状腺ガンが増加したという風聞に対して)
我が国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い小児甲状腺がんが発見されている]。
これは一方が健常児の全数調査(悉皆調査)、他方は病気の徴候が出現して診断を受けたがん登録という異なる方法でのそれぞれ異なる結果であり、本来比較されるべき数字ではない。」
 

P17 「平成28(2016)年12月末日までに185人が甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と判定され、このうち146人が手術を受けたという数値が発表されている。
こうした数値の解釈をめぐりさまざまな意見が報道され、そのたびに社会の不安を増幅した。福島県県民健康調査検討委員会は、中間とりまとめにおいて、これまでに発見された甲状腺がんについては、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、放射線の影響とは考えにくいと評価した。」
 

P18「③ 放射性セシウムと発がんに関する社会の受け止め方
ア 外部被ばく由来
「事故由来の放射性セシウムによる被ばく量で言うと、内部被ばくに比べ外部被ばくの方がはるかに大きい。」
「子どもの被ばくを心配し、転居を選択した自主避難者の中には、経済的不安や家族内の問題(家庭内別居や意見の不一致)、転居先のコミュニティへの不適応と言った問題(例:避難先でのいじめ)を抱えている場合もある。こうしたデメリット因子は、健康影響への懸念の度合いと同様、個人、地域、事故後の経過時間による差が大きく、一概に子どもの外部被ばくとのトレードオフを議論することは難しい。」
 

P19 「イ 内部被ばく由来
「実際に流通する食品を収集して行うマーケットバスケット調査や一般家庭で調理された食事を収集して行う陰膳調査の結果を見る限り、食品中の放射性セシウムから人が受ける放射線量は、現行基準値の設定根拠である1mSvの1%以下であり、極めて低いことが明らかとなっている。
こうしたことから、現在行われている学校給食の検査には、被ばく低減の効果はほとんどないと言える。」
 

P19 「④ 福島原発事故による子どもの健康リスクの相対値
ア チェルノブイリ事故との比較
「ベラルーシ、ウクライナの避難者のうち14歳以下に限って言うと、99%以上が50mSv以上の被ばくを受けた。」
 

「福島原発事故では、甲状腺等価線量が高くなる可能性がある地域で小児甲状腺簡易測定調査が行われ、その結果、50mSv以上の被ばくと推定されたのは、検査した子どもの0.2%であった。」 

P19~20 「イ 日常生活における被ばく線量やリスクとの比較
「福島県の県民健康調査によると、事故から4か月の間に受けた外部被ばく線量の中央値は0.6mSv(県全体)、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査では被験者の99.9%が預託実効線量1mSv未満であった。これらは、日本人が1年間に自然界から受ける外部被ばく線量の平均値(0.63mSv)や経口摂取による内部被ばく線量(0.99mSv)に比較的近い。」
 

「また国立がん研究センターによると、高塩分食品や野菜不足と言った食習慣や非喫煙女性の受動喫煙は、100mSvの被ばくと同程度の発がんリスクを持つとある。従って、5年間で100mSvの追加被ばくによって算定される生涯がん死亡リスクの0.5%の増加を、疫学研究により検証するのは難しい。」 

P23「3 提言に向けた課題の整理
「一方、福島原発事故による追加被ばくに関しては、科学的事実が蓄積され、実際の被ばく線量が明らかにされつつあるものの、子どもへの健康影響に関する不安がなかなか解消されない。
そこで、被ばく低減効果の大小にかかわらず、社会から強く要望があった場合は、防護方策を強化する方向で対応してきた。
その結果、社会全体に関して言えば、健康不安は鎮静化の方向に向かっているが、その分、自主避難者、大規模な甲状腺超音波検査で甲状腺がんが見つかった子どもや家族など、特定の集団の不安が孤立化、先鋭化してきている
また放射線防護の原則に従うと、容認されうると判断される程度の検出限度以下の放射線リスクが、必ずしも被災者にとって理解・容認されてはいない現状も明らかになってきた。」
 

以下、諸提言については報告書をご覧下さい。

 

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北朝鮮に時間と金を与えてはなりません

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先日9月20日、国連総会における安倍首相の演説は、優れたものでした。 

全文はこちらからご覧になれます。
平成29年9月20日 第72回国連総会における安倍内閣総理大臣一般 ...

「冷戦が終わって二十有余年、我々は、この間、どこの独裁者に、ここまで放恣にさせたでしょう。北朝鮮にだけは、我々は、結果として、許してしまった。
それは我々の、目の前の現実です。」(前掲)

首相の演説は一点に集約されるでしょう。 

「北の独裁者に時間を金を与えた」ことこそがこの危機的状況を生んだ原因である以上、彼らに猶予を与えるなということ、それに尽きます。 

そして演説において、時系列で「対話」の努力がいかに破壊されてきたのかを丹念に説明しています。 

いい機会ですから、いまなお「対話」を叫ぶ皆さんのために、首相が国連演説で言及した「対話」の歴史を時系列に沿って整理して見ておきましょう。

Kedo_2http://www.sankei.com/world/news/160928/wor1609280...

●北朝鮮の核開発と国際社会の「対話」の歴史 

1994年10月 北朝鮮のIAEA(国際原子力機関)の査察体制からの脱却宣言をうけての米朝枠組み合意

Photo北朝鮮北東部の琴湖KEDO)が進めていた軽水炉建設プロジェクト(2002年8月7日撮影)AFP 

1995年3月 核開発計画放棄の代償として軽水炉2基を作るKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)創設。北朝鮮のエネルギー不足を支援するために年間50万トンの重油を供与
KEDO創設国・米、日、韓
同参加国 EU、NZ、豪州、カナダ、インドネシア、チリ、アルゼンチン、ポーランド、チェコ、ウズベキスタン
 

・1995年~2002年までKEDOを窓口として原油の支援が継続される
日本はKEDOに無利息資金の10億ドルの貸与を約束し、4億ドルを実行
 

・2002年3月 北、ウラン濃縮のための核開発関連施設の開発やめず、IAEA査察官を追放 

2003年8月 日米韓中露+北による六者会合始まる 

Photo_2第5回六者会合第3セッションで握手する六者の首席代表(2007年2月13日、北京 共同) 

2005年 六者合意に達し、北朝鮮は全ての核兵器製造・既存の核計画を放棄すること、NPT(核兵器の不拡散に関する条約への復帰、IAEAの保障措置への復帰を約束 

2005年2月 北朝鮮、既に核保有国と宣言 

2006年5月 KEDO廃止正式決定  

2006年10月 第1回核実験実施 

2007年2月 再び六者合意 IAEAの査察団、寧辺(ヨンビョン)にある核関連施設の閉鎖を確認し、その見返りとして、北朝鮮は、重油を受け取る

Photo_3
2007年外務省・外交青書http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2007/html/h2/h2_06.html

2009年 北朝鮮、二度と参加しないとして六者会合から脱退
弾道ミサイル実験頻発
 

以上の経過を見れば、いかに北朝鮮との口先の合意が破られ続けたのか、国際社会の善意が裏切られてきたのかわかるでしょう。

まさに首相が言うように、「対話とは、北朝鮮にとって、我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」わけです。 

北朝鮮が現在行っている弾道ミサイル実験と核実験は、技術的に未完成の部分を補う段階に達しています。 

したがって、いままでのように記念日に合わせた政治的モニュメントではなく、実戦配備を前提にした最後の追い込みです。 

この正恩のタイムテーブルを無効にするためには、もはやこれ以上の時間と金を与えてはならないということです。

それが北朝鮮に騙され続けた私たちの苦い教訓です。

これだけ北朝鮮の「やめます詐欺」にあいながら、今も対話を唱える人たちは、もはや正恩が核武装を完成させるとなにかの得になる利害関係者だと思われても致し仕方ないでしょうね。

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朝鮮半島核危機 最悪のシナリオに備えよう

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昨日リンクした、エドワード・ルトワックの「外交カード無きいま、北朝鮮にどう対処すべきか」をお読みになりましたでしょうか。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170916-00004156-bunshun-pol  

なんとも滅入る内容で、ルトワックは「米国打つ手はもはやない。日本は北の核が容認された世界に対処しろ」というもので、訳者の奥山真司氏もラジオで「救いのないこと言うなぁ」といった意味のことを漏らされていました。 

私は長年のルトワックの読者でしたので、今回の彼の見立てはすこぶる陰鬱ですが、もっともありえるシナリオであると感じました。 

ただし、何度となく私は書いてきましたが、北の核武装を米国が容認した瞬間、日米同盟に対する日本側からの懐疑が噴出し、その流れは押しとどめることができなくなるだろう、と思っています。

なぜなら、それは、米国の日本に対する外交的裏切りであって、それのみならず、米国の核の傘が無法者国家の核武装を認めてしまった破れ傘であったということの証明になってしまうからです。
 

日米同盟における日本の立場は、NATOに於けるドイツの位置と似た部分があります。 

NATOは西ヨーロッパ自由主義国が集団安保体制を共有して、旧ソ連の侵攻に備えるという建前の裏に、二度と金輪際ドイツを暴発させないという暗黙の掟がありました。 

日米同盟も、日本との同盟によって列島を米国の戦略的拠点として提供すると同時に、在日米軍が「瓶の蓋」となって日本の再度の暴発を防ぐという意味も付与されていました。 

米国が日本に核を渡さずに核の傘を信用しろと繰り返すのは、核を持った日本が、米国の国際戦略のまま動くとは限らないモンスターに成長する可能性が、ごくわずかですが残るからです。 

このように核兵器というカードは、ただ保有するだけで巨大な脅威となりえるのです。 

いかなるテロリスト国家でさえも核さえ持てば万能で、やりたい放題できるのだという21世紀の新たな神話を、正恩は今、作り出そうとしているわけです。 

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この北朝鮮に振り回されている国際情勢を興味津々で眺めている国際テロリストたちは、「核保有とはこんなにオールマイティのカードだったのか。早く北朝鮮から買わねばならンな」としっかり学習したことでしょう。

正恩はとんでもないことを、世界に発信したのです。そして売る気もムンムンです。

いままでさんざんぱら、中東には武器、化学兵器、弾道ミサイルを売ってきたのですからね。

この核爆弾だって、初めから輸出商品として作ってきている下心もあるのですよ。

かくして核兵器は世界に分散していき、遠からずブラックマーケットを通じて、テロリストの手に落ちることでしょう。 

テロリストにとって、国家と違って核抑止という概念に拘束される必要はないわけですから、弾道ミサイルなどという高級品を持つ必要はありません。 

たとえばISがトラックに核爆弾を積んで、どの国のどこの都市にも自由に核爆弾を持ち込み、都市ごと壊滅させることも充分に可能なのです。

いや、都市を狙わなくとも、無人島で核爆発を起こしてみせるだけで、世界はテロリストの要求に屈するでしょう。

対岸の火だとばかりに懐手していたヨーロッパも、やっと遅まきながら、この核の拡散という危機に気がつき始めたようです。

ところがメルケルときたら、同盟国でありながらトランプの国連演説を批判しているから困ったものです。

「メルケル首相はドイチェ・ヴェレ放送に対し、「こうした警告には賛同できない」とし、「いかなる軍事行動も完全に不適切であると考えており、ドイツは外交的な解決を主張する」と述べた。
そのうえで「北朝鮮問題に対しては制裁措置の実施が正しい対処法で、それ以外のすべては誤った手法となる」と語った。」(ロイター9月21日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170921-00000004-reut-kr 

困った朝日オバさんだ。シリア難民の欧州流入は、そもそもあなたの偽善が引き起しのでしょうが。

北朝鮮問題において「話し合い」を延々と30年間続けてきた結果が、今の核保有だということをメルケルも見てきたはずです。

軍事的圧力と外交的制裁が一体のものだというのは、国際政治の自明の理であって、なにをいまさらです。

要は、大好きな中国にすり寄りたいのでしょうが、いいかげんにしていただきたいものです。ベルリンが核テロにあってから、ああ、あの時に・・・、などと騒がないように。

このようにシナリオをいくつか描いた上で、最悪の事態に備えるべき時期に入りつつあります。 

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そしてもう一点、指摘しておきます。 

おそらく韓国は、米国から核保有の承認を取り付けるでしょう。今の情勢ならば、米国は韓国の核保有は、有効な核抑止だと認識する可能性があるからです。 

今回、韓国という国の存在のために、北朝鮮に対する軍事オプションは事実上封じられた形になっています。 

ルトワックはこう書いています。

「アメリカの統合参謀本部も、在韓米軍も、太平洋軍司令部も、軍事的なオプションを何も提示しておらず、目の前の問題とは関係のない「韓国を守る」ことしか宣言していない。
 もちろんこの理由は、ソウル周辺が北朝鮮の(非核)ロケットや砲撃に弱いからだ。この事実は韓国を麻痺させているわけだが、同時に米軍の指揮系統にもそれ以上の非合理的な問題をおこしている。」(前掲)

かつてルトワックは、韓国政府に対してこのような忠告をしたそうです。

 
「韓国政府は、1975年から78年の危機の後も、政府機能や企業のソウル以外への分散化について何も行動を起こしていない。
韓国政府は、攻撃にさらされる危険が高い地域があるにもかかわらず、そこに対する防御策を講じていない。
韓国政府は、技術的にも可能であった対空兵器等の購入を拒否している。」(同上)

韓国は、北の境界線上に展開するロケット砲群が、ソウルに突きつけられた刃であることを知りつつ、段階的に中部の安全地帯へと首都移転することをしませんでした。

そのくせ、韓国政府は1994年にクリントンが核施設へのピンポイント爆撃を決意したと知ると、 泣きついてやめてくれるように懇願したそうです。

Photo_2             金泳三

当時韓国大統領だった金泳三は、こう回想しています。

「私がビル・クリントン米大統領の(1994年)北朝鮮寧辺(ニョンビョン)核施設爆撃計画を阻止していなければ、今ごろ韓半島は非核化されていたはずだが…」。
  金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が08年に当時のバーシュボウ駐韓米国大使に会い、このように打ち明けたという米国務省の外交公電が内務告発サイト「ウィキリークス」を通して公開された。」(中央日報 2011年9月6日)http://japanese.joins.com/article/532/143532.html
 

金泳三自身が悔恨の念をもって追憶するように、この時韓国が決断すれば、今の解決不能となった北の核武装は停められていたのです。 

そしてそれ以降、首都を中部に移転する努力をしたならば、いくつもの解決オプションが残っていたはずです。

すなわち北朝鮮の核武装の影の立役者は、韓国なのです。 

ムン・ジェインは今回もまた、そっくりなことを繰り返すでしょう。 

いやそれどころか北朝鮮にこの時期に800万ドルの支援を送るそうですから、呆れてものが言えません。

そして米国が韓国の核保有を承認した場合、北朝鮮よりも遥かに自制心なく日本を標的にしたがる国は残念ながらこの国しかいないのです。

その場合、日本は中国、北朝鮮、韓国の核の脅威の下で生存することになります。

 

 

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解散は狭い幅での選択だったようだ

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解散についてもう少し続けます。 

選挙の「大義」がないとか、はたまた「モリカケ隠し」の党利党略だとかメディアは言っていますが、まったく関係ありません。 

モリカケのうち、モリは当事者の理事長夫妻が詐欺師であったことがバレるわ、詐欺で捕まるわで完全終了。 

カケは朝日が社運をかけたにしては、この間、新事実は2か月以上でてきません。おそらくもう種切れです。 

よしんば出てきても、首相の関与と直接結びつくものはもはや出ようがありません。 

つまりは、モリカケはジ・エンドなのです。

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ついでに言えば、党利があるのはあたりまえ。いちばん、都合のいい時期に首相が持つ最大の武器である解散権を行使するのもあたりまえ。

野党第1党が、自壊しかかっている今を狙うのはしごく当然です。 

「政治空白」といっている連中が、いままでさんざんモリカケ祭で政治空白を作ってきた野党なのですから、いまさらナニ言ってんだか。 

そもそもどの時期にやっても総選挙が「政治空白」を生むのは、これまたあたりまえのことで、今、取り立てて騒ぐのもヘンを話です。 

ワイドショーが面白おかしく解説するように、国内政局が解散の決定的動機ではありえないのです。

アホンダラさんも言っていましたが、解散のテーマはほぼ唯一です。対北朝鮮抑止力の強化、それ以外に考えられません。 

Photo_2http://toyokeizai.net/articles/-/189175

それは米国との関わりでみるとはっきりします。今、首相は国連総会に出席するため、米国に向かっていますが、ここで日米首脳会談が開かれる予定です。 

トランプと話す内容は、北朝鮮情勢の膝詰めの調整のはずです。

それ次第で解散を最終決定するわけで、あんがい総選挙をしないということもないわけではありません。 

つまり、あまりありえない選択肢ですが、トランプが9月末から10月にかけて軍事オプションを取ると秘かに首相に告げた場合、選挙どころではなくなるからです。

解散はあくまで、今のうちにやっておかないと、やる時がなくなるという狭い幅での決断だったはずです。 

たぶんモリカケ騒動もなく、北朝鮮が狂ったような核軍拡に走らねば、首相は改憲だけに的を絞った政局運営が可能でした。 

つまり現在の衆議院の任期いっぱいあと1年2か月を使い切るか、あるいは、今年の春に衆参同時選挙をやってしまうということも念頭にあったと思われます。 

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その思惑を根底から崩したのは、世界の誰もが予測し得なかった北朝鮮の急テンポの核軍拡でした。 

朝鮮半島情勢はパンパンに膨らんだ風船のような状態になっています。一発のミサイルがグアムにむけて発射された瞬間、戦争が始まります。 

あるいは海上臨検において、なんらかの武力衝突が起きた場合も同じです。 

佐藤優氏は「旗国が北朝鮮である以上、臨検は受け入れるはずがない」と言っていましたが、氏は今や北朝鮮の密輸商船団はジャマイカやパナマの国旗を翻して跋扈していることを知らないのでしょうか。 

そして正恩はこの危険な賭けをやめようとはしません。今後も自らミサイル開発と核開発を断念することはないはずです。 

一方、米国はこのまま状況が推移すれば、核容認で手打ちをするしかなくなります。 

米国NSC(国家安全保障会議)のメンバーだったエドワード・ルトワックは、こう述べています。
「外交カード無きいま、北朝鮮にどう対抗すべきか」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170916-00004156-bunshun-pol 

「最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国として認め、金正恩が思いついた時に、いつでも韓国と日本を脅せるようになることを受け入れることだ。
 さらに、北朝鮮はイランに対して行ったように、核兵器や弾道ミサイルの部品などをいつでも海外の国々に売却できるようになる。
 これは私がいう「降伏」の一つの形態だ。われわれは核武装して周辺国を脅すことのできる北朝鮮を受け入れて、その脅威の下で生き延びるしかないのだ」

このような凱歌を正恩に上げさせたならば、ルトワックが言うようにそれは端的に米国の外交敗北であり、世界盟主の地位を明け渡すに等しいということです。 

つまりは、この秋以降さらに情勢が煮詰まることはありえても、緊張が緩むことはありえないはずです。 

また、トランプが11月に訪日を予定していると伝えられますが、常識的に見れば、ここまで軍事的オプションはないと首相が判断したのかもしれません。 

ということになれば、可能な限り早く解散を打つとなると、予算審議が始まる前で、しかもトランプが来日する前までということに絞られます。 

というわけで、補欠選挙の日程である10月22日の一択だけが残ったというわけです。

 

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総理解散を決意 ちょうどいい節目です

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総理が解散を決意したそうです。多少驚きましたが、まぁ、妥当ではないでしょうか。 

「大義がない」とか野党やメディアは言っているようです。

朝日新聞社説(9月18日)です。

「小学校の名誉校長に首相の妻昭恵氏が就いていた森友学園の問題。首相の友人が理事長を務める加計学園の問題……。
 臨時国会で野党は、これらの疑惑を引き続きただす構えだ。冒頭解散に踏み切れば首相としては当面、野党の追及を逃れることができるが、国民が求める真相究明はさらに遠のく。そうなれば「森友・加計隠し解散」と言われても仕方がない。」

朝日によれば、大義なき「森友・加計隠し解散」だそうです。

倒閣一歩手前まで追い込んだと思って早めのシャンパンを抜いていた朝日の歯ぎしりがモロに伝わってくるような社説ですね。

では、なんなんでしょう、その「大義」とは?

ちなみに大義とは、辞書で引くと、「人間が行うべき大切な道義のこと」、または「重要な意義のこと」だそうです。

それをメディア・野党は「政権がやりたいこと」ていどで解釈しています。

逆ではないですか。

政権にとって「大義」とは、今まで政権がこだわってきた政策の「重要な意義」のはずです。

したがって「大義を問う」とは、政権にとって「これからなにをするか」といった政策目標ではなく、その施策の結果、すなわち「これまでなにをしてきたのか」について、その成否を問うことでなければなりません。

「これからなにをするか」が大義なら、かつての民主党の始まりのように総花的なあれもタダにします、皆んなにお金を配ります、といったような無責任なことを、いくらでも言えるからです。

そのようなものは「大義」とは言えません。

一方、現政権にとって「重要な意義」とは、政権奪取後の口先三寸ではなく実績しかないはずです。

私はそれが「節目」にあたって国民の信を問うという意味ならば、「大義」は大いにあると思います。

ちょうど国民の声を聞くいい節目じゃないですか。 

まずは、メディア-野党連合が、首相を退陣寸前までに追い詰めたと喝采を叫んだモリカケ事件についての国民の判断を仰ぐ節目にあたります。

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私は一貫して、モリカケは問題ですらない、人工的に作られた蜃気楼のようなものだと書いて来ました。 

首相の斡旋疑惑、あるいは便宜供与なら延々と春からやってきたんですから何か動かぬ証拠でもあるのかと思いきや、ただの蜃気楼でしたという幕切れに国民の多くは気がついてしまいました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/snsn.html

加計などは、6万円の冷蔵庫がワインセラーだからどーのとか、建設費が高いの安いのがどーたらと、とっくに首相から離れて宇宙空間にさまよい出てしまいました。 

森友に至っては、虚言癖のある詐欺容疑者夫婦の言うことを真に受けて首相夫人に100万円を献金したからどーのと、もうどうでもいいようなことで国会を空費させてきました。 

そして今や、もはや撃ちたくても弾がなしです。

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さて、このモリカケ騒動の背後にどのような状況が進んでいたのでしょうか。それを思い出して下さい。 

北朝鮮が弾道ミサイルを撃ち続け、核実験を強行していた、まさにその時にこんなくだらないことで国会を空転させていたのは、一体どこの誰だったのでしょうか。

Photo_2http://www.asahi.com/articles/ASK5K552DK5KUTIL01X....

「国会は朝鮮半島有事を論議しろ」という国民の声に対して、民進党は「モリカケ隠しだ」と言ってのけましたね。お忘れですか。 

ならば、いまさら民進党や共産党に、「解散の大義名分がない」とか「北朝鮮の脅威が強まっているとき政治空白をつくるべきではない」などといった聞いたようなことを言われたくはありません。

首相が北朝鮮問題を国際社会に訴えに行ったG20の時も、閉会中審査に出ないのは「加計隠しだ」などと言っていたのは誰でしたかね。

そしてこんどの臨時国会も、あいもかわらずモリカケを追及をするとか。出涸らしのお茶を絞って馬のションベンのようになってしまった「追及」をまだしたいようです。

おいおい、民進党さん、ならばここでひとつモリカケ問題と、朝鮮半島有事のどちらが国民にとって焦眉の課題なのか、国民に問うてみたらいかがでしょうか。

次の節目が経済です。アベノミクスの成功によって、経済は個人消費を除いて劇的に回復しました。

反安倍の立場をとるマル経学者の松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』からアベノミクスの成果をみていきましょう。(snsnさんの提供による)
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-34d9.html

アベノミクスの成果の政権発足時と現在の比較
日経平均株価 1万230円(2012/12/25) → 2万118円(2017/7/14)

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経常利益    48.5兆(2012年度) → 68.2兆(2015年度) 
有効求人倍率 0.8倍(2012/12)→ 1.49倍(2017/5) 

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失業率 4.5%(2012/1) → 3.0%(2017) 

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大卒就職率         65%(2012/4) → 70%(2015/4)
15歳〜64歳正社員比率 40%(2013/2) → 42%(2015/7)
名目雇用者報酬総額   245兆円(2012/10-12) → 255兆円(2015/4-6)
企業倒産件数        950件/(2013/1) → 742件/(2015/10)

Photo_2設備投資額    66兆円(2012/4-6) → 70兆円(2015/4-6)
対ドル為替レート 79円(2012年平均) → 119円(2017年平均) 

いまよく言われる青年層の「保守化」は、このような大学就職率・有効求人倍率の劇的改善によるものです。

Photohttp://www.sankei.com/smp/premium/news/170205/prm1...


ところがアベノミクスには最大の問題が眠っています。それは安倍氏の後継政治家がいないことてす。

もし仮に次期総裁に石破氏がなった場合、かつての増税・緊縮路線に復帰するでしょう。

民進党の経済政策はそのうち詳述したいですが、増税して景気回復だというようなトンデモです。

そもそもアベノミクスは欧米において、標準的なリベラルの経済政策でした。

メディアと野党は、アベ憎しの余りに、アベノミクスと真逆な増税・緊縮路線を選んでしまったというお粗末です。経済政策には政治の色がないのに愚かなことを。

かくして野党の経済政策は、米国における共和党最右翼のティーパーティと瓜二つというていたらくです。

日本の経済政策の悲劇(というか喜劇)は、保守がリベラル経済政策で景気と雇用を重視し、自称リベラルが増税と財政再建を叫ぶ財政右翼だというネジレにあります。

つまり安倍政権がここで終了し、野党に政権交替した場合、増税・緊縮路線に復帰する結果となり、日本の景気回復は永遠にないことになります。

その意味で、ちょうど様々な経済指標が出揃ったいま、アベノミクスをこのまま継続するのか、止めて増税・緊縮に戻るのかを国民に問うべきです。

三番目に、改憲です。長くなりそうですからひとことでいえば、自衛隊の存在を憲法に加えることに反対なら、要は自衛隊を認めたくないわけですから、どうぞ自衛隊解体・安保廃棄が党是である共産党にお入れ下さい。

四番目に、朝鮮半島有事です。これも長くなりそうなので、ひとことで言えば、現下の国難級危機において、まさに今、安倍氏にとって代わるべき指導者がいるか否かの選択です。

米のトランプ、露のプーチン、中の習といった超大国とガップリ四つでネゴシエーションできる政治家が、もし日本に彼以外いるなら、ぜひ教えて下さい。その人こそポスト安倍の最適任者ですから。

安倍氏を辞めさせて、民進党が言うように安保法制や特定秘密法などを、この有事前夜の状況で廃止したいのならば、どうぞ野党に投票して下さい。

というわけで、朝鮮半島危機なのに選挙なのかと言う台詞は、少なくともモリカケに興じていたようなメディア・野党にだけは言われたくはありません。

最後に野党が言っている「政治的空白」ですが、モリカケ追及に精をだすような国会ならばあってもなくても一緒です。

第一、弾道ミサイルは10分以内に着弾するのですから、国会が「空白」であろうとなかろうと、政府の危機管理体制がしっかりしていればいいだけのことです。

国会ができるのは、防衛出動に対しての20日以内の事後承認だけです。http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i2311000.html

様々なことを考える、いい節目の選挙になりそうです。

 

 

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国連安保理閣僚会合の裏で

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最後の外交的努力が続けられているようです。 

私が「最後の」としたのはあくまでも外交的手段としてです。この安保理閣僚会議が不調に終わると、後はほとんど米国の一国的な制裁強化しかなす術がなくなることになります。

■北朝鮮核問題 国連安保理の閣僚会合 21日に開催で調整 | NHKニュース (9月18日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170917/k10011142811000.html

「国連の外交筋によりますと、アメリカの要請に基づいて、この期間中の今月21日午後(日本時間22日午前)に北朝鮮とイランをめぐる核不拡散をテーマにした安保理の閣僚会合を開催する方向で調整しているということです。
会合には日本の河野外務大臣やアメリカのティラーソン国務長官、それに中国の王毅外相やロシアのラブロフ外相らの出席が見込まれています。
安保理では今月3日の北朝鮮による6度目の核実験を受けて、11日に北朝鮮への原油の輸出は過去1年分を上限に認めるものの、ガソリンや重油などの輸出を半分以下に制限する新たな制裁決議を全会一致で採択しました。
しかし、北朝鮮への対応では圧力の強化を主張する日本やアメリカと対話の重視を主張する中国やロシアの立場は異なり、国連大使よりハイレベルの閣僚会合を開催することで、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決の糸口を見いだせるのか注目されます」

Photo_24月28日 安保理閣僚会合で発言するティラーソン国務長官http://www.asahi.com/articles/ASK4X4S0XK4XUHBI018.html

いうまでもなく焦点は、前回の国連安保理制裁決議に中露をより強固な包囲網に取り込むために取り逃がした原油の完全禁輸です。 

米国は国際世論を作るために、実質的制裁を海上臨検などに絞って、譲った形になりました。 

ようやく知られてきた事実ですが、国連制裁はザルでした。要は、加盟国が国連決議に罰則規定がないことをいいことにして、馬耳東風と聞き流しているからで、その傾向はアジアやアフリカで酷いといわれています。

たとえば、つい先だって中国は北朝鮮の石炭の輸入を止めたと言われていました。しかし、止まっていません。 

北朝鮮は中国向け石炭を、自国船舶にパナマ国旗やジャマイカ国旗で偽装して積み出し、西ではなく反対の東のウラジオストクへ向い、そこで一泊した後に、出港地をウラジオストックに偽装して、中国に陸揚げしていました。 

すると書類上は、ただのロシア・ウラジオストック出港のジャマイカ船籍の貨物船となってしまうわけです。 

このような迂回偽装工作はいままで盛大に行われていていて、フィナンシャルタイムズによれば、北朝鮮はそのために香港にトンネル会社を設立し、そこに所属する船舶は数百隻に登ると述べています。 

このような、北朝鮮のトンネル会社は様々な分野に張りめぐらされており、金融取引、原油、繊維はもとより、ミサイルや核弾頭の部品の調達にまで広く利用されてきました。 

中国は知っていたかって?もちろんです。そもそも海軍が密輸に手を染めているような国が、そんな北の手口を知らないほどウブなはずがありません。 

中国は表面的には制裁強化に渋々同調したような顔をして米国の譲歩を引き出し、実際はこのような船籍偽装や密輸ネットワークを放置して、たぶんあの国ですから、袖の下のひとつももらっていたのでしょう。 

だからいままで北朝鮮は、制裁など痛くもかゆくもない顔ができたのです。

ですから、米国国連大使のニッキー・ヘイリーが、とりあえず石油禁輸を譲っても、船舶臨検を先に合意に持ち込んだのです。 

そしてもうひとつは、このような尻抜けを可能にさせているのは、国際社会のぬるい態度があります。

日本国内にも、「悪いのは戦争屋のアベだ」といっている某大学教授がいるくらいですから、国際社会にいたってはもっと怒っていないのです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-ba2d.html 

ヨーロッパさえ危機感はゼロに等しく、対岸の火事のようにみていた有り様です。 

なぜでしょうか。理由は簡単。自分の国は北朝鮮の弾道ミサイルの射程外だからで、しかもそれなりの経済関係があるからです。 

ヨーロッパの繊維産業は北朝鮮を下請けにして、法外な安値で作らせていました。 

このようなことが、北朝鮮の独裁体制を延命させ、核実験や弾道ミサイル発射といった横車を押し続けてこられた原因のひとつとなっていました。 

これを停めるには、それらの国に「恥ずかしいことだ」という自覚を持ってもらわねばなりません。 

それが国際世論の形成ということの意味です。 

特に最大の関係国であり、金一族をここまで育ててきた中国には大いに恥じ入ってもらわねばなりません。 

これまたもちろん,中国は世界最強の鉄面皮国ですから、素直に「恥じ入る」タマではありません。

Photottp://jp.reuters.com/article/column-mnuchin-idJPK...ムニューシン財務長官

だからこそ、米国は独自制裁としてムニューシン財務長官に、金融制裁を命じたのです。

 ムニューシンはこう述べています。

「国連決議違反の場合、中国当局に経済制裁=米財務長官 ムニューシン米財務長官は12日、国連安全保障理事会が11日に採択した対北朝鮮追加制裁決議に従わなければ、当局による米金融システムや国際ドルシステムへのアクセスを禁止するなど対中経済制裁を強化すると発言した。
 長官は12日、CNBC放送局がニューヨーク市で主催した「デリバリング・アルファ・カンファレンス」に出席。長官は、11日に国連安保理で、中国とロシアを含む全会一致で採択された対北朝鮮制裁決議について「歴史的だ」と述べた。
 長官は「中国(当局)がこの制裁決議を遵守しなければ、われわれは中国に対して追加制裁を課し、米国および国際ドルシステムへの進出を禁じる」と述べた。
 中国当局は長年、北朝鮮の貿易を支えてきた。北朝鮮の対外貿易の9割は中国向けだ。
 米メディアは国連関係者の話として、国連の制裁措置で北朝鮮からの石炭など輸出を禁止したにもかかわらず、今年2~8月末まで、北朝鮮は中国などに約2億7000万ドル規模の石炭や鉄などを輸出したと伝えた。」(ロイター9月15日)https://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20170915_01320170915
 

「中国が国連制裁を徹底的に履行しない場合、我々は中国を追加で制裁する。中国が国際ドル通貨システムに接近できないようにする」だそうです。スゴイですね。

中国を名指しの上に、「制裁を履行しないなら国際ドル通貨システムに関わらせない」というのですから。基軸通貨国でなくては言えないブラフです。

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その上に、さらに細かく下院外交委員長ロイスは9月12日に開かれた外交委公聴会で、中国の招商銀行、農業銀行、建設銀行、丹東銀行、大連銀行、交通銀行、錦州銀行などを名指しで制裁候補にリストアップしたと言っています。

これらはすべて中国の国営の大銀行です。

彼らがいままでのように、のほほんと北朝鮮、密輸貿易の決済に関与し、マネーロンダリングしてきた長年の代償を払っていただこうじゃないか、ということてす。

その代償とは、国際決済通貨のドルに「接近させない」、つまりはドル決済を一切認めないということです。

それが実施された場合、確実に中国の金融秩序は崩壊の危機に瀕します。名指しされた中国の各銀行は慌てて、対策を講じているようです。

「[上海 12日 ロイター] - 中国の4大国有銀行は、北朝鮮の新たな顧客への金融サービスの提供を停止した。支店の行員らが明らかにした。
中国建設銀行(CCB)の遼寧省にある支店で窓口業務を担当する行員は、同行が8月28日に「北朝鮮との業務を完全に禁止した」と語った。
また、中国工商銀行(ICBC)は7月16日以降、北朝鮮人とイラン人を対象に口座開設を停止しているという。顧客相談通話サービスに応答したスタッフが明らかにした。理由は説明せず、これ以上の質問にも回答しなかった。
中国銀行の行員によると、同行の遼寧省・丹東市にある支店は昨年末に北朝鮮の個人・企業の口座開設を停止した。既存口座については預金や引き出しができなくなっているという。
同じく丹東にある中国農業銀行の支店の行員によると、同行でも北朝鮮顧客の口座開設はできないという 」
http://jp.reuters.com/article/china-banks-northkorea-idJPKCN1BN0QS

これが、前回の国連制裁決議について、トランプが「これはただの小さな1歩に過ぎない」と述べた真意です。

米国は今回の国連安保理閣僚会合で、もう一回原油の全面禁輸を中露に提案し、従わなければ規定方針どおり中国への独自制裁に踏み切ることになります。

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日曜写真館 なぜか寂しげな彼岸花

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ほんとうに、毎日書いていて、我ながらほとほとうんざりしています。テーマを変えたいと思うと、核実験をされ、気を取り直しすと、こんどは列島越えのミサイル実験です。

かんべんしちくれぇ。セットミーフリーってかんじ。どなたも似た感情をこらえて生きているのでしょうね。

こういう時は彼岸花もなぜか寂しげに見えます。

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今こそ北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するべきです

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再び北朝鮮が日本列島越えの弾道ミサイル発射をしました。 

現時点でわかっている事実関係から整理しておきます。 

撃った弾道ミサイルは、「火星12」という中距離弾道ミサイル(IRBM)です。 

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・発射地点・平壌市の順安付近
・午前6時57分発射。東向きに発射された。
・午前6時57分頃。日本列島の頭上を通過。
・午前7時00分。Jアラートを通達。
・午前7時06分。北海道から太平洋に抜ける。
・午前07時16分頃。襟裳岬沖2200kmの海に落下。

・飛翔距離・水平に約3700km
・最高到達高度は750~800km(ミニマムエナジー軌道)
・飛翔時間・約20分
 

飛行経路は以下です。 

Photo「海国防衛ジャーナル」様より引用させていただきました。感謝します。
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50795311.html 

今回の弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会決議169517181874への明確な違反です。

メディアには、「北朝鮮は日米の圧力や米韓合同軍事で追い詰められて、やむなく撃ったんだ、本心は話しあいが欲しいだけなんだよぉ」という正恩の代弁者が多数出没しているようですが、2009年の国連安保理決議1874を読んでから言いなさい。

■外務省 国際連合安全保障理事会決議第1874号 抜粋 
(官報告示外務省第328号(平成21年6月19日発行))
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/anpori1874.html
「(国際連合憲章第7章の下の同憲章第41条に基づく措置)
2 北朝鮮に対し、いかなる核実験又は弾道ミサイル技術を使用した発射もこれ以上実施しないことを要求する。
3 北朝鮮が、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止し、かつ、この文脈において、ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束を再度確認することを決定する。
5 北朝鮮に対し、NPTからの脱退に関する発表を直ちに撤回することを要求する。
8 北朝鮮が、すべての核兵器及び既存の核計画を、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄し直ちに関連するすべての活動を停止すること。
NPTの下で締約国に課される義務及びIAEA保障措置協定(IAEA INFCIRC/403)に定める条件に厳格に従って行動すること、並びに、これらの要求に加え、透明性についての措置(IAEAが要求し、かつ、必要と認める個人、書類、設備及び施設へのアクセスを含む。)をIAEAに提供することを決定する。
29 北朝鮮に対し、すみやかに包括的核実験禁止条約に加盟するよう要請する。」

つまりここで国連安保理決議が北朝鮮に要求していることは、北朝鮮は国連加盟国である以上、以下の国連安保理の決議を遵守する義務があるということです。

①北朝鮮の核実験・弾道ミサイル実験の停止
②核実験・弾道ミサイル計画の廃棄
③NPTへの復帰
④IAEAによる核査察の受け入れ
⑤包括的核実験禁止条約(CTBT)への加盟

説明する必要はありませんが、これらすべての義務を履行せず、逆に加速させているのが、現在の北朝鮮です。 

北朝鮮は、北を擁護する人たちが言うように、米韓軍事演習や国際制裁に反発してまたもや撃ったのではなく、国連決議1695にあるように1993年から弾道ミサイル実験を繰り返し、度重なる警告を受けてきたいわば確信犯です。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/abd/un_k1695.html

これほどまでに国連決議から逸脱し続けるのなら、北朝鮮はかつての国際連盟から脱退した日本のように受難のキリストを気取って、国連から脱退し自滅することです。 

また、ほんとうにイヤになる反応ですが、「日本上空」を通過したという報道に対して、数百kmの大気圏外だから領空ではないとか、スレスレだからセーフだとか解説している者がいるようですが、そんなことは枝葉末節です。 

重要なことは、「お前の国を焦土としてやる」と宣言した国が、事前通告なしに日本に向けて弾道ミサイルを発射したこと、あまつさえ列島を超えたこと自体にあります。 

これはわが国の安全保障に対する重大な脅威であって、こんな無謀なことをする国は世界広しといえども北朝鮮だけです。 

諸外国ならこのような行為自体が宣戦布告、あるいは、戦争行為そのものだと解釈され、即時反撃の要件足り得ます。 

北朝鮮の肩を持って「話あい」を叫ぶのは勝手ですが、こういう国際秩序への挑戦と他国への武力による挑発と圧迫を許してしまうことが戦争に繋がるのです。

もし、「平和と話しあいを愛する」諸君らが、真に北朝鮮の友人ならば、このような愚かな暴走の先には戦争しかないのだと友情をこめて忠告することです。

B1_lancer_stratejik_bombardman_ua_
それはさておき、米国内には「予防攻撃」として核施設や弾道ミサイル基地を限定攻撃するというプランもあるようです。

米国の朝鮮半島問題の専門家である、ジョージワシントン大学教授・ラリー・ニキッシュ氏はこのように見ています。(正論5月号 古森義久氏論考抜粋)

ニキッシュ教授は、「米国の年来の北朝鮮への米軍のいかなる軍事攻撃も、北側の全面戦争への開始により韓国側に大惨事をもたらすため、現実的オプションにはなりえないとする大前提が崩れてきている」としています。

ただし現実には、相当に困難であることも確かです。

「●当面、もっとも現実的な軍事オプションとしては、北朝鮮の北西部の弾道ミサイル発射基地などへのミサイル攻撃、あるいは空爆による限定爆撃。
●核施設はは20~40箇所あると推測されるが、北朝鮮の核弾頭や核燃料の再処理・濃縮施設の位置が確認できていていない。」

撃ち損じが出た場合、わが国が核弾頭を搭載した弾道ミサイルの反撃をもらう可能性を否定できません。

Gbi米本土から発射される GBI(Ground-based Midcourse Defense:地上配備型ミッドコース防衛)

一方、宮家邦彦氏はこのように提言しています。宮家氏の意見はこのようなものです。

「●いまこそ米国は、北の弾道ミサイルを迎撃するという選択肢を改めて検討すべきだ。
●米国は、北朝鮮によるすべての弾道ミサイル発射を米国に対する直接敵脅威だき宣言する。
●迎撃は正統な自衛行為であり、仮に失敗しても米国の強い決意を示すことができる。
同案のポイントは、ミサイル迎撃が不力行使でありながら、自衛権行使の側面が強いため、北朝鮮が全面戦争に踏み切る可能性は低く、北の核兵器の抑止力を大幅に減殺する効果が期待できることだ」(産経オピニオン9月14日)

私は妥当な考えであると評価します。

米国に向けた弾道ミサイルであるために、一義的には米国が迎撃主体となりますが、わが国もイージス艦による探知などできる限りの協力をするべきでしょう。

それがわが国を守ることに繋がるからです。 

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日本の安全保障は米国との情報共有システムがあって初めて成り立っている

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HN「かつて・・・」さんからのしばらく前のコメントに、ニュークリア・シェエリングがだめなら、もう独自核武装の道しかないのかというようなご意見がありましたので、お答えします。 

まず、誤解していただきたくないのは、ニュークリア・シェアリングは、まったく閉ざされた道ではありません。 

私が言っているのは、米国側に軍事的必然性が乏しく、彼らなりに比較衡量をして、てんびんにかけてみるわけですね。 

たとえば、こうです。

置くこと自体は技術的には難しくないが、日本国民で反米ヒステリーを起こす人が大量に出るだろうから、高江や辺野古みたいな政治的シンボルにされたらタマランな、とか。 

今さら半世紀前の核戦略であるニュークリア・シェアリングをリバイバルしたら、日米同盟に対して日本が信用してないってことになるじゃん、とか。 

でも、トランプ親分は、日韓に核を置くのは、軍事コスト削減にもなるから米外交の勝利だと言ってるぜ、けどなぁ、あいつ軍事・外交はど素人だしなぁ・・・、とか。 

となると結局、独自核武装テーマとは煎じつめると、<日米同盟とどれだけ距離をおくか>にかかっていることになるわけです。 

するとあんがい選択肢は少なくて、こんな感じです。 

①ウイスキーの一気飲み。日米同盟からいちばん距離を置く、つまり同盟の一方的廃棄を宣告し、独自核武装の道を歩む。
②ウイスキーの水割り。日米同盟を現状維持しながら、ニュークリア・シェアリングを要請する。
 

では、日米同盟は解消できるでしょうか。 

これについては、防衛大学の武田康裕・武藤功両氏が書かれた『コストを試算 日米同盟解体』というおそるべき著書があって、日本がいかに米国によって最小のコストで、世界最強の軍事力を手にしているのかがわかります。

その結果、自衛隊は在日米軍と一体化して運用するのが前提となっているわけです。 

トータルな一般論は置いて、今の北朝鮮情勢に落して考えてみましょう。

北朝鮮の太平洋平和なんじゃら委員会が、「日本列島を核ミサイルで沈めてやる」というしびれるほど「平和」的なことを宣言していますので、早ければ今週中にでも東京上空を弾道ミサイルを通過させるかもしれません。 

そうなった場合、どこの誰が真っ先に探知するのでしょうか。米海軍か海自のイージスでしょうか? 

残念ながら違います。北朝鮮の弾道ミサイル発射はいかにイージス艦であっても捕捉できません。

イージス艦を万能のように言う人が多いのですが、イージスとて自分の艦の監視エリアである約400㎞以内にミサイルが接近しなければ探知できません。

仮に550㎞を通過された場合、イージスはまったく対応できないのです。 

Photo_2

捕捉するのは米軍の早期警戒衛星です。これが発射を捕捉して、ネットワークで情報を各所に伝達します。

その中に自衛隊は組み込まれて一体化しています。

Photohttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170829/k10011116651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_006

この情報ネットワーク・システムをNCW(Network-Centric Warfare)と呼びますが、この米軍との相互情報共有があるから、自衛隊はかろうじて北朝鮮のミサイル発射を察知し、弾道を捕捉可能なのです。

ホリエモンに「うるさい起こすな」と怒鳴られたJアラートも、これと一体化されて運用されていますから、当然日本は迎撃はおろか警報も出せないのです。

Photo_3
NCWとは、「ネットワークを中心とした戦闘形態」を指します。

日立はこう説明しています。
NCW関連システム:防衛・社会インフラ安全保障:日立

「ネットワークを中心とした戦闘形態:高次元の情報ネットワークにより、情報を伝達・共有することで、意思決定を迅速化すると共に戦力運用を効率的に行うことを目的とした戦闘形態のこと」

日本も偵察衛星を保有していますが、いまだ初歩的な展開状況です。

とてもではありませんが、弾道ミサイル発射を警戒することに特化した偵察衛星を持てるほど進化していません。

つまり、現状において日本の安全保障は米国との情報共有システムがあって初めて成り立っているのです。

これを解消するということは、冒頭の例えでいえばいわばウイスキーのラッパのみであって、一時的に異常にハイを気分になれるでしょうが、翌日にはひどい二日酔いになるのは必定です。

私はぬるいことを言いますが、ウイスキーの水割りで我慢して、なんとかニュークリア・シェアリングに合意できる道を探らねばならないと思っています。

別に、欧州と一緒のスタイルでなければならないことはないので、智恵を絞りましょう。

 ■謝辞 小川和久氏 『NEWSを疑え!』第617号(2017年9月14日号)を参考にさせていただきました。

 

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NHKスペシャル『沖縄と核』のヨタ

017
先日のNHKスペシャル『沖縄と核』(9月10日)は、逆説的な意味で「タイムリー」なものでした。
http://toyokeizai.net/articles/-/187336 

もし、NHKが北朝鮮の弾道ミサイルが頭上を通過する時期に合わせたかのように放映しなければ、また意味も違ったでしょう。 

しかしあいにく、首都圏に鳥越氏の表現を借りれば「空襲警報」が鳴り響いた後に出してしまっては、お笑い草になってしまいました。 

Photo_2

 内容については、沖タイが放送直後の9月12日に、「ミサイル、沖縄で1959年誤発射「爆発なら那覇は吹き飛んでいた」という記事にしています。

「米軍統治下時代に核ミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ」が配備されていた米軍那覇サイト(現・那覇空港)で、1959年6月19日、核弾頭を搭載したミサイルが誤って発射されていたとNHKが10日、報じた。
爆発はせず、那覇沖合に着水したミサイルは米軍が回収したという。沖縄タイムスは事故発生翌日の紙面に、米軍発表として「ミサイル発射寸前に発火」と誤発射を報じているが、米軍から「核弾頭搭載」との広報はなかったとみられる。「NHKスペシャル 沖縄と核」では、当時、整備担当の元米兵の証言として「核弾頭は搭載されていた」「発射に備える訓練中に兵士が操作を誤り、ブースターが点火した」「核爆発を起こしていたら那覇が吹き飛んでいた」との内容を放送。」
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/140986

『沖縄と核」は副題に、仰々しく『沖縄と「核」の知られざる歴史』とありますが、ほとんど知られていることばかりです。 

強いて言えば、核弾頭装備のナイキ・ミサイルが事故を起こしていたということくらいなものですが、このスクープがヨタです。

まず、NHKは「核爆発をしていたら那覇が吹き飛んでいた」などと言っていますが、燃えたくらいでは核爆発はしません。 

NHKには科学記者がいないのでしょうか。初歩的誤りです。 

こんなていどのことは別に科学専門家ではなくとも、少しネットを調べればわかることなのに、NHKは意図的に「那覇が核爆発で壊滅するところだった」などという流言蜚語を拡散したいとみえます。

核爆弾を蹴っても叩いても、はたまた弾頭を爆発させても、核爆発が起きる可能性はありません。 

なぜなら、極初期の広島型(ガンバレル方式)を除いては、インプロージョン(爆縮)方式と言って爆縮で起爆する方式だからです。 

Photo_4原子爆弾 - Wikipedia

マンハッタン計画の頃から、原爆の起爆方法には悩みがつきまといました。 

広島型の原爆の起爆方法は実に単純で、ウランを火薬でドカーンとぶつけるので、ガンバレル(銃身)方式と呼ばれていました。 

この方式はすぐに廃れました。なぜなら、危ないからです。

「ガンバレル型では元々臨界量を超える核物質が組み込まれており、核爆発事故の阻止のためには核物質の厳重な隔離が安全性につながるが、これは核物質を衝突させるという基本原理に反している。
このため、核物質の厳重な隔離構造とすることが容易ではない。事故や墜落などにより爆弾に衝撃が加わり、核物質同士が衝突・近接した場合に核爆発事故の可能性はあり、洋上に墜落し爆弾内部に海水が浸入した場合でも、
中性子の減速により臨界に達する可能性がある」
ガンバレル型 - Wikipedia

ね、大きなショックで核爆発をするようなものは怖くて使えません。そもそも運搬すら命がけなんですからね。 

ですから、極初期を除いて米軍はガンバレル式を採用しなくなりました。

「装置の大きさ・重量や核反応の効率、安全性の問題などにより、ガンバレル型の核兵器は初期の核兵器に用いられたのみであり、以降はインプロージョン型が用いられるようになった。アメリカ合衆国の核兵器では1950年代を最後にそれ以降実用化されていない」(同上)

一方、インプロージョン方式は、起爆コントロールが高度なために、仮に迎撃ミサイルで撃ち落とした場合ですら、起爆装置も破壊されてしまうために起爆しません。 

よく北の核ミサイルを迎撃すれば、核爆発が起きてチュドーンだという馬鹿なことを言う人がいますが、そんなことはありえないのです。 

もちろん、Nスペで言っていた1959年頃の核弾頭には、ガンバレル方式といった旧式の起爆装置は使っていませんから、海中に落ちようが、ブースターに点火しようが、火にくべようが、なんの関係もありません。 

Photo_5NHKスペシャルより

またこの番組で出てくる「核ミサイル」は、ナイキ・ミサイルといって迎撃ミサイルです。

確かにこの冷戦期には核弾頭を装備したナイキ・ミサイルも用意されていたのは事実です。(自衛隊も同型のナイキを使っていますが、とうぜん通常弾頭です)

これは原子力戦略爆撃機などという仰天兵器まで作っていた、アトミックエイジの産物でした。 

戦車には核地雷、兵隊の持つ大砲にも核砲弾、潜水艦にも核爆雷、飛んで来る敵爆撃機にも核迎撃ミサイル・・・、とこんな原爆花盛りの時代の産物にすぎません。

こんなことになったのは、今と違ってピンポイント誘導技術が幼稚だったために、まったくミサイルが当たらなかったからです。

ならば、そこらじゅうまとめて原爆でドーンだという、実にアバウトな発想から生れた時代の産物なのです。

ちなみに、北朝鮮が開発したと自称している「水爆」は、1950年代当時のやたら威力を大きくして悦に入る旧式の発想で、今このような発想を取る国は皆無に等しい状況です。

それはさておき、施政権が返還される前の沖縄には、一説で1300発の核爆弾が弾薬庫に眠っていたと言われています。

これもまた、哀しいことですが、時代の産物としか言いようがありません。

というのは、米国は現在、既に迎撃ミサイルはおろか、地上配備型および水上艦艇装備型の核兵器を米本土のICBMを除いてすべて廃止してしまったからです。

今、米国に残された核兵器は、海中からの戦略原潜搭載のSLBMと、空中からの戦略爆撃機搭載のものに限定されています。

つまり、半世紀も前の米国の核戦略を今思い出したように「暴露」(といっても知られたことばかりでしたが)してどんな意味があるのか、私には理解しかねます。

なお、当時、沖縄に配備されていた核兵器は、日本政府の沖縄返還の実施と共に撤去されました。

しかし、米国は欄外資料のように有事においては「持ち込ませる」ことを認めるようにという密約を日本政府に要求し、佐藤首相もそれに合意していたようです。

佐藤首相はこのように合意しています。

「極めて重大な緊急事態の際の米国政府の諸要件を理解して、かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの要件を満たすであろう」

一定時期まで(たぶん冷戦終了まで)この密約合意は有効だったようですが、皮肉にもそれは、今、日本で湧き起こりつつある非核三原則への懐疑を先取りしていたことになります。

先日書いたように、米国はすでに日本に核を「持ち込む」軍事的合理性を失っています。

一方、現在の日本の政治状況は、石破氏が述べるような議論があたりまえになりつつあります。

「北朝鮮による6回目の核実験を踏まえ、日米同盟の抑止力向上のため、日本国内への米軍核兵器配備の是非を議論すべきだ。
米国の核で守ってもらうと言いながら、日本国内に置かないというのは議論として本当に正しいのか。
(日本の非核三原則を踏まえ核兵器を)『持ち込ませず』というのと、拡大抑止力の維持は、本当に矛盾しないのか。そういう状況に日本は置かれているのではないか」
(日本による核兵器保有は)唯一の戦争被爆国である日本が持てば、世界のどこが持ってもいいという話になる」

石破氏はどうにも好きになれない政治家ですが、この問題ではほぼ同意見です。

ただし、それは半世紀前への逆行ですから、力のある政治家が与党内をまとめきり、さらに国民に納得のいく説明をし、それを背景にして米国とネゴシエーションできる実力がないと無理ですよ、自民党内からも信用されていないあなたにできますか、と申し上げておきます。

                  ~~~~~~~~

■[文書名] 一九六九年十一月二十一日発表のニクソン米合衆国大統領と佐藤日本国総理大臣による共同声明に関する合意議事録http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPUS/19691119.O2J.html

[場所] ワシントンDC
[年月日] 1969年11月19日
[出典] 外務省,いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書,74-75頁.米合衆国大統領

 われわれが共同声明で述べたとおりて、米国政府の意図は、実際に沖縄の施政権が日本に返還されるときまでに、沖縄からすべての核兵器を撤去することである。そして、それ以降は、共同声明で述べたとおり、日米安全保障条約と関連する諸取決めが沖縄に適用される。

 しかしながら、日本を含む極東諸国の防衛のため米国が負っている国際的義務を効果的に遂行するために、米国政府は、極めて重大な緊急事態が生じた際、日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと、沖縄を通過させる権利を必要とするであろう。米国政府は、その場合に好意的な回答を期待する。米国政府は、沖縄に現存する核兵器貯蔵地である、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、何時でも使用できる状態に維持しておき、極めて重大な緊急事態が生じた時には活用できるよう求める。

 日本国総理大臣

 日本国政府は、大統領が述べた前記の極めて重大な緊急事態の際の米国政府の諸要件を理解して、かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの要件を満たすであろう。 

  

 

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国連制裁決議 ニッキー・ヘイリーは取るものを取った

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ご存じのように昨日、国連の制裁決議が成立しました。 

それを伝える時事(9月12日)です。ご承知の方は引用したからお読みください。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170912-00000013-jij-int

「【ニューヨーク時事】北朝鮮による6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日午後(日本時間12日午前)、北朝鮮への原油・石油精製品輸出に上限を設ける米国作成の対北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。  

安保理の制裁決議は9回目だが、北朝鮮への原油輸出が制裁対象となるのは初めて。核ミサイル開発を急速に進める北朝鮮への懸念の強まりを背景に、米国が調整を急ぎ、核実験から約1週間という異例の早さで採択に至った。

 米国は当初「最強の制裁」(ヘイリー国連大使)を主張し、戦略物資である石油の全面禁輸や、金正恩朝鮮労働党委員長を渡航禁止や資産凍結の制裁対象とすることを求めていた。ただ、北朝鮮の不安定化を懸念する中ロとの交渉で米国が譲歩し、いずれの措置も見送られた。
 

 ヘイリー氏は採択後の演説で、「北朝鮮はまだ引き返せない状況ではない。北朝鮮が核計画の停止に同意すれば、未来を取り戻せる」と強調。その上で、「危険な道を進み続けるなら、さらなる圧力をかけ続ける」と警告した。中国の劉結一国連大使は、「北朝鮮は核ミサイル開発停止を求める国際社会の意志を真剣に受け止めるべきだ」と要請し、平和解決を改めて訴えた」

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ニッキー・ヘイリー国連大使は、元サウスカロライナ州知事でインド系の女性です。
ニッキー・ヘイリー - Wikipedia 

ヘイリー大使は、州知事をしていただけあって、政治的場数を踏んでいて、機転がきいて姐御肌。 

特に選挙期間中はトランプを支持していたわけでもないのに、その気っぷのよさを買われて国連大使に任命された人物です。

Photo_8ニッキー・ヘイリー国連大使

ヘイリー氏は、容姿はキャロライン・ケネディに似ていないこともありませんが、性格は真逆で、実にタフなネゴシエーターです。 

現在、外交素人であることがバレつつあるティラーソンより、彼女が米国外交を代表しているとみられています。 

「アメリカ外交のメッセージを発信すべきティラーソン国務長官は、メディアに対して極めてネガティブな姿勢を貫いている。通常は外国訪問の際にメディアを同行させ、そこで記者懇談会などを行うのだが、ティラーソン国務長官は同行記者の数を極端に制限し、しかも代表取材のような形ではなく、メジャーとは言えないメディアの経験の浅い記者を同行させるといった形で、メディアを遠ざけている」(Foresight4月20日) 

ティラーソンがこんな引きこもり状態な上に、本来ヘイリー大使をサポートすべき国務省が、機能不全に陥っています。 

「国務省の高官ポストが(これは国務省に限らないが)ほとんど埋まっていない上、各国の大使もオバマ政権で任命された大使は一斉に辞任させられたにもかかわらず、新たな大使がほとんど任命されていないなど、国務省が機能不全に陥っているという状況がある。また、国務省は意思決定過程から外され、職員の士気は下がっており、具体的な仕事もないため、食堂でコーヒーばかり飲んでいると『アトランティック』紙の記事でも報じられている」(同上)

 こんなていたらくでは、まともな本国からの訓令(インストラクション)がこないので、彼女の裁量で取り仕切っているという状態のようでてす。 

やれやれですが、逆に分かりやすいとも言えます。 

今回の国連安保理決議のキモは、中露を北朝鮮包囲網に引っ張り込むことです。 

そのためにヘイリーは、絶対に中露が呑めないような高めのハイボールを上げて見せました。 

それが原油全面禁輸と金一族の資産凍結です。中露にこれに食いつかせてガス抜きをして、本命であったと思われる海上臨検を飲ませてしまいました。 

中国の意志は明瞭です。

できるだけこの混迷する北朝鮮状況を引き延ばし、南シナ海・尖閣への膨張から眼を逸らすことです。 

混乱が進めば進むほど、中国は米国が経済制裁などですり寄って来ると見ていますから、習にとってこれほどおいしい話はないはずです。 

できるなら、6カ国協議を再び再開して、延々と北朝鮮をどうするかで「対話」を持ちたいはずです。 

そのような「対話」の場ができてしまえば、その間米国は北朝鮮への軍事オプションが封じられたままで、中国に妥協を重ねねばならなくなります。 

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一方、ロシアの腹づもりも明瞭です。 

ひとことでいえば、米国からウクライナ侵攻以降の経済制裁を解除させる妥協を得ることです。 

北朝鮮はそのための道具にすぎません。ハネさせて、まぁまぁと抑えるふりをして、米国に見返りを求めるヤクザだと思えば、やや近いのではないでしょうか。 

プーチンの国は今や半ば沈没しかかっています。原因は唯一の外貨の稼ぎ頭の原油価格が暴落したからです。 

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ロシアの景気は2016年中頃に底打ちし、いまは多少回復して今年第一四半期の経済成長率は0.5%で、どうにか2四半期連続でマイナス成長という悪夢を出したような状況です。 

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こんなていたらくのロシアの足下を見て、ヘイリーが繰り出したのが今回の制裁決議でした。 

彼女の獲得したいものは2点です。 

まずひとつめは、安保理全会一致という鉄板の構えで、以後の米国の行動についてのお墨付きをもらうことです。 

これはやるかやらないかは別にして、仮に軍事オプションをとらねばならない時に、大きな国際法上の合法性を担保します。 

次に、海上臨検です。これで北朝鮮に流入するミサイル部品の流れを食い止めることができ、逆に北朝鮮の唯一の輸出品であるミサイルや麻薬の流出を止めることが可能です。 

これで北朝鮮のブラック・ビジネスは、壊滅状態になることでしょう。北朝鮮の覚醒剤や麻薬は日本社会を汚染し尽くしていますから、まことにざまぁみろです。 

そしてなにより、この海上臨検をするのが実質上米海軍だけだということです。 

北朝鮮が不用意な抵抗をして「一発目」を撃てば、正当防衛の条件が成立します。 

労働者派遣についても安保理届け出義務が認められたので、中露にとって既にゴマンと流入している北朝鮮労働者の措置に苦慮するはずです。 

このように見てくると、米国はしっかりと取るべきものは取ったと評すべきでしょう。

           ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

【ニューヨーク時事】国連安保理が11日、全会一致で採択した北朝鮮制裁決議の要旨は次の通り。
 一、北朝鮮の核実験を最も強い言葉で非難する。
 一、北朝鮮情勢の平和・外交・政治解決を強調する。
 一、北朝鮮へのコンデンセート(超軽質原油)と天然ガス液(NGL)の供給、販売、移転を禁止する。
 一、北朝鮮への石油精製品の供給、販売、移転の上限量を2017年10~12月は50万バレル、以降は年間200万バレルとする。
 一、北朝鮮への原油の供給、販売、移転について、過去12カ月分を年間上限量とする。
 一、北朝鮮による繊維製品(生地や衣料品の完成品、パーツ品に限定されない)の供給、販売、移転を禁止する。
 一、海外で働く北朝鮮労働者への就労許可発給を制裁委員会が認めた場合を除き禁止する。ただし、決議採択日以前に締結された雇用契約書がある場合は除くが、加盟国は制裁委に17年12月15日までに該当する労働者の人数と、契約満了予定日を報告しなければならない。
 一、公海上で船舶が決議違反の物資を運んでいるという合理的な情報がある場合、旗国の同意の下、加盟国が臨検を行うことを要請する。
 一、北朝鮮の個人・団体との合弁企業(JV)の開設、維持、運営を禁止する。
 一、既存のJVは120日以内に閉鎖する。
 一、朴永植人民武力相と朝鮮労働党組織指導部、中央軍事委員会など3団体を資産凍結などの対象に指定する。
 一、北朝鮮の履行状況に応じ、制裁措置を強化、緩和、停止、解除する用意があることを確認する。
 一、さらなる核実験や発射にはさらなる重大な措置を取る決意を表明する。

 

 

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内閣支持率 加計前に回復

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最新の読売新聞(2017年9月11日)の世論調査が出ました。 

「安倍内閣の支持率は50%で、前回調査(8月3~4日)の42%から8ポイント上昇した。不支持率は39%(前回48%)に下がり、3か月ぶりに支持が不支持を上回った。ただ、今回の支持率は、前月比で12ポイント下落した6月調査の49%とほぼ同水準にとどまっている。
北朝鮮の核実験やミサイル発射をやめさせるために、国際社会が北朝鮮に対し、対話と圧力のどちらを重視すべきかを聞くと、「圧力重視」51%が「対話重視」38%を上回った。北朝鮮問題への対応を巡る安倍首相の一連の首脳外交を「評価する」は50%、「評価しない」は37%。陸上型イージスシステム「イージスアショア」の導入方針は「賛成」64%、「反対」22%だった」

 整理しておきます。

・内閣支持率  前回42%⇒今回50%
・内閣不支持率 前回48%⇒今回39%
・北朝鮮対応 圧力重視51%
・北朝鮮対応 対話重視38%
・首相の北朝鮮対応 評価する50%
・首相の北朝鮮対応 評価しない37%
・イージスアショアの導入 賛成64%
・イージスアショアの導入 反対22%

政府の北朝鮮対応に支持する人たちと、内閣支持率が同率ですから、国民の半分が政府の北朝鮮対応を支持していることになります。

一方、支持しない人は対話重視だそうで、対話派のうち22%の人はなんとイージスアショアという防衛専門の装備すら反対だとのことです。

つまり、わが国の2割強の人たちは、北朝鮮から核ミサイルを打ち込まれても、それを撃ち落とすことすらイヤな対話至上主義者の皆さんだということのようです。

続いて内閣支持率の推移をみておきます。

支持率の推移を見てみましょう。 まずはNHK政治意識調査からです。

Photo_5https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/political/2017.html

次に、読売(7月9日)のグラフの政治的出来事と支持率動向を重ねてみると、いっそう分かりやすくなるでしょう。

数字は調査主体によって異なりますが、このていどの差はノイズだと思って下さい。

Photo_3https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170709-00050093-yom-pol 

内閣支持率は今年6月の水準に復帰したわけですが、この今年6月とは森友に続き、加計の「便宜供与疑惑」が始まった月で、同時並行でテロ等準備罪の審議が始まっています。 

また、その一月前には、首相が憲法記念日で加憲を表明した月でもありました。 

ここを境にして、朝日、TBS、NHK、文春を中心とするメディアの、狂瀾怒濤のようなアベ憎し攻撃が始まったのは、記憶に新しいところです。

今回の調査で内閣支持率が、この加計騒動が始まる前の時点に、V字復活したことがわかりました。 

誰も同じことを言うでしょうが、理由は北朝鮮による弾道ミサイル危機です。

民進党の山尾志桜里氏のスキャンダルによるオーンゴールといった事態があろうとなかろうと、結果は似たものになったはずです。

山尾氏スキャンダルは触れるのもバカバカしい話で、同じ情報は他のメディアも握っており、文春がフライングして幹事長就任前に出してしまうことで、民進党を危ういところで救ってあげたのです。

前原さん、文春を恨んではいけません。文春は完全破局から救ったのですから、お間違いなく。

あ、そうそう山尾氏はいままで自民議員に言ってきたように、離党だけてはなく、議員辞職しなさいね。

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どぎつい表現で与党議員のプライバシーをバッシングすることだけが、政治だと思ってきた報いです。

私は与野党議員間の応酬は政策論議に限定すべきだと思っていますが、その則を越えてしまった張本人が、他ならぬ山尾氏と 蓮舫ですからいたしかたありません。

また、いままで朝日などがポスト安倍に考えていた小池新党も共同の9月の調査では、こんなていたらくです。

・小池新党に期待する ・・・38.4% 
・小池新党に期待しない・・・51%。

メディアがベタベタに甘やかした小池都政の結果が明らかになるにつれ、ブームは去ろうとしています。

だいたい小池都政も、その新党とやらも、いったい何をしたいのか皆目わからない政策なきムードですから仕方ありません。

それはさておき、ワイドショー政治は終わりました。というか強制終了させたのは、安倍氏ではなく、正恩です。

このような国難級危機において、奔走する指導者の足を引っ張るメディアや野党ほど国民は愚かではなかっただけです。

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核武装した北朝鮮と共存していく道はあるのか?

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ロイター(9月7日)の記事を転載します。特にこの部分に注目ください。

「ある米高官は、経済制裁、特に中国からの制裁と対話合意を組み合わせれば北朝鮮に核開発を抑制するよう説得できるばかりか、1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名させることさえ可能かもしれない、と述べた。

この高官は「CTBTへの署名は、北朝鮮の核保有国入りを黙認することになるが、実験を止めさせられる。それと相互確証破壊を組み合わせることが、考え得る限りで最良かもしれない」と見ている」

北朝鮮に対して、経済制裁を強化しつつ核保有国間の「包括的核実験禁止条約」(CTBT)に導き、相互破壊確証関係に持ち込むという案です。

つまりは、今、朝鮮半島水域に展開している米空母戦闘群も、韓国に飛来したB-1も、北朝鮮に核を放棄させるための軍事的圧力ではなく、経済制裁強化もまた、なんのことはないCTBTに導く圧力にすぎないということになります。

とまれ、もはや国際政治の関心は、北朝鮮に「核を持たせない」から、「持った核を使わせない」に移行しているということです。

これが容赦ない国際政治の現実だと認識しましょう。

いわば米国は日本にこう言っていることになります。

「日本よ、米国は北朝鮮に核兵器の使用を思いとどまらせることによる抑止を選んだのだ。諸君らも核武装した北朝鮮と共存していく覚悟を持ちなさい」

予想したこととはいえ、こうもはっきり言われるとたじろぎます。

ホワイトハウスの意志はこの線でほぼ固まったと思われますが、後はトランプの意志だけのようです。

明らかな米国外交の敗北であり、オバマと変わらない腰抜けと彼の支持層に罵られるのは見えていますからね。

それにしてもオバマの「戦略的忍耐」という愚策が、この袋小路を生んだのです。オバマの時代だったら充分に止められたのです。万死に値ましす。

この核保有容認路線は必ず北朝鮮の裏切りで頓挫することは目に見えていますが、それしかないということのようです。

一方、私たちの国できることは限られていますが、まったくないわけではありません。

まず、防衛大・倉田秀也教授が述べるように

「いきなり核使用から始まるとは考えにくい。核使用は通常兵力による戦闘がエスカレートした後に想定される。
だとすればICBMを実戦配備しても、韓国は北朝鮮に対南武力行使をためらわせる強い意志を示さねばならない」(産経・正論 9月8日)

この韓国の部分を日本と読み換えれば、そのまま当てはまります。

次に、わが国に「核の刃を」向ける国の工作機関である朝鮮総連とその資金源に対して厳しい経済制裁の対象とすることです。

総連については、資産凍結を含む厳しい処置をとるべきです。

朝鮮総連を聖域に祭り上げた左翼メディアは大反発するでしょうが、今やらねばいつやるのでしょうか。

立ち止まって、考えてみて下さい。

このような喉元に「核の刃を」突きつけられた状況下で、諸外国からの情報提供に必須だった特定秘密法がなく、また米軍との緊密な危機対応をよりスムーズにする集団的自衛権も許されず、かつ、北朝鮮のテロを事前防止するテロ等準備罪がなかったとしたら・・・・。

今となっては、メディアと野党の逆上したような反対を押し切って、諸外国では既に常識以前の諸法制の守りを固めておいた政権の先見性に感謝せねばならないでしょう。

私もここまで短期間に危機的状況が煮詰まるとは、思っていませんでした。

そしてわが国は安全保障の根幹である日米同盟自体のあり方についても、再検討に入るべきなのかもしれません。

とまれ、米国に国際戦略の判断のすべてを委ねて思考停止できた牧歌的時代が終わりつつあることだけは確かなようです。

それにしても非核三原則が根底から揺らぎ、いかにして「持ち込んでもらうか」がアクチュアルなテーマになりつつある今、半世紀も前の冷戦期の核持ち込み疑惑をことさらに騒ぎたてるNスペの神経がわかりません。

                     ~~~~~~~~

米政権に残された選択肢、北朝鮮の核保有容認か 

[ワシントン 7日 ロイター] - トランプ米大統領は、対話や経済制裁、軍事的圧力のいずれを通じても北朝鮮に核開発を放棄させるのは不可能だと悟り、同国を封じ込めて核兵器の使用を思いとどまらせるほかないとの結論に至るのかもしれない。 

2日に北朝鮮が6回目の核実験を強行したことで、米国およびその連合国との緊張は一気に高まった。  

米高官らは軍事行動の計画を明らかにしていないが、既存の先制攻撃計画では、どれをとっても北朝鮮からの猛烈な反撃を免れる保証がないと言う。 

マティス国防長官は先週記者団に対し「外交的な解決策が尽きたわけでは決してない」と述べ、軍事的な選択肢は非現実的で短絡的だとの考えをにじませた。  

米国とアジアの当局者らは、対話と経済制裁の強化が必要だとの考だが、それによって北朝鮮が自らの存続に不可欠と考えている核・ミサイル開発を抑えたり、いわんや放棄するとは考えられないとも認めている。  

つまり米国と韓国、日本など同盟国は、目を背けたい質問を突きつけられている。「核武装した北朝鮮と共存していく道はあるのか。封じ込め、核兵器の使用を思いとどまらせることによって 

トランプ大統領は7日の記者会見で、交渉の手の内は明かさないとした上で、米国の軍事行動によって問題が解決されれば、北朝鮮にとって「非常に悲しい日」になると発言。「軍事行動は間違いなく選択肢だ」が、何事も不可避ということはないと述べた。  

<抑止は可能か>  

ただ、冷戦時代の抑止力モデルが北朝鮮のようなならず者国家相手にも適用できるかどうかは不明だと、トランプ政権高官は言う。  

高官はトランプ氏の会見後、記者団に対し、「大統領はその選択肢を採りたくはないだろう」と述べ、「われわれは、北朝鮮は抑えが利かないのではないかと非常に懸念している」と続けた。  

抑止力を強める選択肢の1つに、米国の老朽化した核兵器を近代化し、北朝鮮が米国や米軍基地、同盟国に核弾頭搭載ミサイルを発射した暁には同国が破滅する状況を確保することが挙げられる。 

もう1つは、米国のミサイル防衛を強化すること。特に多数のミサイルを迎撃できる技術の試験、調査、開発への投資を増やすことだ。  

専門家によると、いずれも中国、ロシアとの軍拡競争を誘発しないよう配慮する必要がある。  

ホワイトハウスが封じ込め戦略の準備を整えている兆候は見られない。

ある米高官は、経済制裁、特に中国からの制裁と対話合意を組み合わせれば北朝鮮に核開発を抑制するよう説得できるばかりか、1996年の包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名させることさえ可能かもしれない、と述べた。  

この高官は「CTBTへの署名は、北朝鮮の核保有国入りを黙認することになるが、実験を止めさせられる。それと相互確証破壊を組み合わせることが、考え得る限りで最良かもしれない」と見ている。

残る疑問は、トランプ氏がその選択肢を採るかどうかだ。

「自制と手堅さという言葉は普通、ドナルド・トランプという名前が出てくる文中では使われない」と語るのは、ブルッキングス研究所のロバート・アインホーン氏。

「いずれは他に選択肢がないことを悟るだろうか」と案じる。  

マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ理事長は、もっと楽観的だ。「衝動的な行動を起こすのではなく、(北朝鮮に対する)抑止と封じ込めという難しい手順を進める忍耐力がトランプ氏にあるだろうか。私はあると思う。彼が物にした商談のいくつかは、結実に数年間を要している」  

(Arshad Mohammed記者 Phil Stewart記者)

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ニュークリア・シェアリングは米国が反対するでしょう

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野暮は大の承知で、アホンダラ1号さんのコメントにお答えしておきます。

「日本の技術の総力を挙げて、半径50km地下1000kmまで、核兵器自体が地面を掘り進めて完全破壊する新型の核バンカーバスターを研究検討しています、どうだ、ザマーみやがれ!」とか言ってやればいいのに・・・」

アホンダラ1号さんのコメントはいつもすごくおもしろいのですが、今回は笑えませんでした。 

日本はいままで歴代1960年代から1990年代の30年間、その年代ごとに、繰り返し核武装について議論を続けてきているのです。

その意味で三味線は弾いていた過去があります。

だからいまでも欧米の識者には、「日本は数カ月ていどで核武装可能だ」という意見がでるわけです。

1970年代には中曽根氏が正式に防衛庁に研究させたことすらあります。

勘違いされるかもしれませんが、この研究は「できないことを立証する」ためにやられたのではなく、「核保有するにはどうしたらいいのか」を前提に研究されたのです。

この経過については、杉田弘樹『検証非核の選択』を参照してください。

最大の障壁は以下だとされています。

①現在の核不拡散の条約的根拠である、NPT体制を日本が主導して破壊することになる。

②米国の核の傘からの離脱を意味し、日米同盟の分断を日本が主導してしまう。

③周辺国との摩擦の激化。

④国内政治的な摩擦の激化。

以上を踏まえて、当時の日本政府はコストに合わないと比較衡量したのです。

ですから、今改めて日本が深深度核バンカーバスターを開発すると「三味線を弾く」となると、まずその根拠から考え直さねばなりません。

だって三味線を弾くにも、初めから諸外国に見透かされていては意味がありませんもんね。

では改めてなぜ、現状の北朝鮮が日本にとって巨大な脅威なのでしょうか? 

中国も北など及びもつかないほど大量に核兵器持っていますが、その中国ですら、核兵器は通常兵器のサブ的位置づけなのです。

通常兵器が米国より周回遅れだから、核兵器で補うという発想です。冷戦時のNATOもそうでした。 

しかし北朝鮮は違うのです。かつてこれほど真剣に核兵器を国是として追及した国は、毛沢東時代の中国ていどしか思いつきません。

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そしてその毛は、フルシチョフに核兵器技術の供与を要請し、こう言ってのけたそうです。

「世界が死んでも、中国には3億残る」

フルシチョフは驚倒し、絶対にこの国核技術は渡さないと決意しました。

そしてそこから毛の、「パンツをはかないでも原爆を持つ」という「苦難の行軍」が開始されたというわけです。

毛が最初の原爆実験を、東京オリンピック開催期間中にぶつけたのは偶然ではありません。

その中国もいまや肥満した超大国におなりになって、贅肉がつきすぎました。もはや通常兵器による領土拡張しか考えていないでしょう。 

その意味で、中国の核はまだ「理性的」と言えて、いわば「飼い馴らされた核戦力」、つまり相互破壊確証の範疇で考えられるのです。 

だから、米国の核の傘論・拡大抑止論も有効に使えます。 

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では北朝鮮に、この核のパワーゲーム理論があてはまるでしょうか。残念ですが、厳しいと思います。 

理由はお分かりですね。中国さえ「民主的」にみえるほどの極端な個人独裁であり、しかもその男は病的なニュークリア・パラノイアに罹っているからです。 

米国内でも、かつてのソ連や中国と結んだ核のゲーム理論が通用するという人たちがいます。 

彼らは「なに、心配ないさ。今の状況はかつてキューバ危機前と同じで、そこを通過すれば安定した状況になるさ」と言います。 

米国の賢者には生憎ですが、私はそう思いません。正恩は「冷静な狂人」だからです。そして習と違って、失うものが少なすぎるからです。 

自分の命と引き換えに、北朝鮮国家を、いや世界を道連れにしかねない人物だからです。

正恩が、父親の正日に言った言葉が残っています。

「朝鮮がない世界など滅びるがいい」 

たぶん正恩は、今でも本気でそう思っているでしょう。

彼は世界を北朝鮮と共に地獄に落してもかまわないと思っているはずで、その「北朝鮮」とは、つまるところ金正恩自身のことなのです。

では、米国はどう考えているでしょうか。 

米国はニュークリア・シェアリングに反対するでしょう。軍事の素人のトランプがうんと言おう、マティスやマクマスター、ケリーなどの軍事専門家は強く否定するはずです。 

なぜならば、ニュークリア・シェアリングは冷戦期の古臭い核戦略概念だからです。

今の欧州でも止める寸前ですし、その必然性について懐疑論が常識化しています。 

まず米国にとっては核兵器の進歩で、かつてのように同盟国に「持ち込む」必然性が消滅しました。 

核巡航ミサイル・AGM-129空中発射核巡航ミサイル(ALCM)の射程は3400㎞あります。 

ですからそれを搭載するB-52やB-2戦略爆撃機(B-1は核を搭載できません)は、北朝鮮を攻撃する場合、遥か海上から発射するだけで済みます。 

わざわざ、同盟国を刺激して「持ち込む」軍事的合理性など、皆無なのです。 

しかも日本は北朝鮮の中距離弾道ミサイルの射程範囲内ですから、なおのこと「持ち込む」意味がありません。 

あとは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ですが、これはもう説明する必要がありませんね。 

先日、巡航ミサイル搭載原潜が釜山に寄港したのは、デモンストレーションにすぎません。第一これは通常弾頭です。 

米空母には初めから核は積んでいません。

つまり米国のほうから日本に「持ち込む」必然性は、限りなくゼロなのです。 

仮に安倍氏が日本国内の反対論を抑えて米国に要請しても、米国は韓国に答えたようにしか答えられないはずです。

「米国防総省は『わが国の核兵器の配置について言及するのは不適切だ」(マニング報道官)としてこの問題にはコメントしない立場を貫いている。
一方、米制作研究期間『太平洋フォーラムCSIS』の会長で核問題の専門家のラルフ・コッサ氏は『韓国へ戦術核の導入は国内の反米勢力の猛反発を招き、韓国の対北制作の亀裂を深めるのは確実で、北朝鮮のおもうつぼともなる』と指摘する。
また配備された戦術核自体が北朝鮮の通常兵力や破壊工作の標的となるのは確実で、管理のためのコストが膨らむのは必死である」(産経9月8日)

つまりは、「余計なことを考えずに、米国の核の傘を信じなさい」ということです。

というわけで残念ですが、もっとも現実可能性が高いニュークリア・シェアリングも、米国の拒否に会う可能性が9割9分といったところです。

だから私は、B-2がたまに日本に飛んで来るローテション配備ていどがやっとだと思っています。

それすらも東京新聞や朝日が発狂するでしょうが、その場合、米国にお約束の「わが国の核兵器の配置について言及するのは不適切だ」と言ってもらえばいいのです。

実際、かつて米海軍空母に核が配備されていた時にも、そう言い続けてきましたからね。

浅学非才の私には、現状それしか思いつきません。

■日曜写真館は休載します。

 

 

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ニュークリア・シェアリングは消去法の産物だ

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昨日の記事について続けます。 

ニュークリア・シェアリングということは、誰でも思いつくことで、特に珍しい発想ではありません。というのは消去法でこれしか残らないからです。 

古くは田母神氏がいますし、今ではかなりの論客たちが同じことを言い出しています。 

田母神氏は論客としてはどうにも好きになれない人ですが、軍事官僚出身だけあって他の右翼の人と違ってただの精神論で終わらないのはさすがです。 

日本の右派論客の核論議や敵地攻撃能力というテーマの悪い点は、とかく「持たねばならない」という精神論で終始していていることで、現実的技術的ネックを考えていないことです。 

田母神氏の場合、氏は対米従属を止める方途のひとつとしての核武装を強く主張しているので、米国の核前方展開であるニュークリア・シェアリングと相いれないのではないかと思います。 

だって田母神さん、米国の核戦略の枠内で配備してもらって、対米従属の鎖を断つも断たないもないでしょう。 

ま、それはともかく、私は去年の8月4日に「日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは」で、日本の独自核武装の難点を縷々解説したことがありました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-9519.html 

もう一度お読みいただければ幸いです。幸か不幸か、技術的状況にはなんら変化はありません。 

特に兵器級プルトニウムといって、Pu-239の割合が約93%以上に精製する設備を日本が持たないことが最大のネックです。 

そりゃ民生用原発から出るプルトニウム(Pu240)でも、1キロトン級のミニ原爆はできますが、日本が必要なのは相手の首都に到達できる戦略核、ないしは準戦略核です。 

トランクに入るようなミニ原爆など、テロリストご愛用です。

また、原発推進派の論客で核武装推進派という人は、実は自己矛盾しています。 

今の原発が使用済み核燃料処理をもう一回使う核燃料サイクルにするといっていますが、その理由はなんでしょうか。 

ひとつは直接処分の候補地が見つからないこと。

二番目に核燃料の国内自給率を高めるということ。

忘れているのは三番面として、原発でプルトニウムを消費してしまうことで、軍事転用の可能性をなくしてしまうということです。
六ヶ所再処理工場 - Wikipedia
 

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ですから、前に一度書いたことがありましたが、民主党が「原発ゼロ」を言い出した時に、ホワイトハウスはそれを軍事転用するのかと疑ったのです。 

巨額の税金を呑み込んだ核燃料リサイクル施設は、軍事転用の可能性を疑われないためにできたのです。 

言い換えれば、日本はIAEA(国際原子力機関)から、「軍事転用の可能性なし」というお墨付きをもらうためにどれだけ巨額のコストと努力を重ねてきたかで、それを無にするということになります。 

来年に日米地位協定の改訂がありますから、ゴリゴリの反原発派の河野太郎外相がどのようなことを言い出すのか今から楽しみにしています。 

ただし、これらの先人の軽水炉にかけた歴史的努力をすべて無に帰し、国際世論からの深刻な孤立を覚悟し、なおかつ小型核兵器でがまんし、核実験はしなくてもメイド・イン・ジャパンの信頼性で突撃するなら、やってやれないことはないとはいえます。

私はこのような精神論的「竹槍核武装」には、とうてい賛成しかねます。

このように独自核武装のオプションがひとつひとつ消えていくと、残るのは米国の「核を持ち込んでもらう」しか残らなくなります。 

また、ニュークリア・シェアリングは、当然のこととして米国の賛成が必要ですが、ホワイトハウスはトランプと他のスタッフが分裂しているようです。

もちろんトランプは「いいんじゃないの」で、他のスタッフは「とんでもない」だそうですが、これについては別稿とします。

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「核の共同管理」はいかが?

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手詰まり感満点な北朝鮮の核ミサイル情勢ですが、そうでもないかなと思い始めています。 

とりあえず、ラフスケッチしておきます。 

私は核武装を「議論」することに対して、オープンであれと主張し、「核武装」といってもいろいろなやり方かあるとコメント欄に書きました。 

ひとことで「核武装」といっても、これだけの種類があります。 

①製造から投射手段まで一貫した独自核武装
②それを供与された核武装
③製造も投射手段も持たず、核爆弾の配置のみを許す核武装。いわゆる非核3原則の「持ち込ませない」を削除する。
④核爆弾の管理まで含めた「共管」体制。ニュークリア・シェアリング。独伊で既に実施。
 

このようにいろいろなタイプがあるので、いきなり①の「さぁ、核武装するぜ」といった議論はかえってまずいんじゃないかと思います。

ハードルが高すぎるのですよ。③④あたりの議論から始めてはどうでしょうか。 

それですらアベノセイダーズには充分に刺激的で、どんなことを言いそうか、いまから眼に浮かびます。 

たぶんチャイナと声を揃えて、「アベは核武装して軍事大国になるつもりだぁ」なんて言いそうですね。 

ならば安全装置をつけてあげればいいのです。それが「核の共同管理」、つまりニュークリア・シェアリングです。

既にドイツやイタリアでもかなり前から実施されている検証済の方法です。

Photo_2海国防衛ジャーナル様より引用http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstanc...

ただし、これはNATOという集団安保体制があってのことで、その枠内で実施されていることを忘れてはいけません。

独伊のニュークリア・シェアリングもあくまで攻めてくる東側戦車軍団を想定したものですから、小型戦術核だけのものです。

長射程の戦略核は除外されています。

核弾頭の所有権と管理権はあくまでも米国にありますから、NPTには抵触しません。

公平を期すために書いておくと、独伊ベルギー、オランダはニュークリア・シェアリングから脱退したがっています。

というのは、現実に想定されていた「東側」、つまりソ連を盟主とするワルシャワ条約軍がなくなってしまったからです。

冷戦の終結を受けて、「もう戦術核なんか置かないでくれ」というわけですが、冷戦が終わったのはヨーロッパだけだったんですね。

実は1991年までは米国は在韓米軍に戦術核を配備していました。ところが、アジアでも冷戦が終わったと早とちりして撤去してしまったわけです。

当時、よもやクレージー・キムみたいな奴が登場するとは、誰も思わなかったのですね。痛恨の失敗です。

ならば、もうだめかというとそうでもないんですよね。

やりようはあります。

<東アジア集団安全保障体制>みたいなものを作ってしまうのです。なんだ日米韓の軍事協力体制かと思わないでください。

私のプランは核管理に特化したもので、一般的な軍事協力は度外視します。

まず日韓が同時に、米国とニュークリア・シェアリングを結びます。

「同時に」という部分が大事で、同じ北の核ミサイルの脅威の下にあって、なおかつ、韓国自身が核配備を要請している今しかチャンスはありません。

戦術核ですが、我慢しましょう。

なんなら常時配備しなくても、グアムにいる空中発射巡航ミサイル(ALCM)を装備できる、B-2のような戦略爆撃機に定期的にローテーションで前方展開するだけでも抑止力になります。

B-2は弾倉に武器を収納しますから、見た目では核巡航ミサイルを積んでいるともいないとも判別できないので、日本政府も「分からない」というファジーの答弁で済ますことができます。

Alcm空中発射巡航ミサイル(ALCM)

この時期を逃すと、韓国の左翼政権は日本の単独核武装を疑いだすからです。

そしてもうひとつ仕掛けをします。正恩は死んでも核を手放さないだろうというのは、大方の見方ですから、持たせてやりましょう。

え、あのクレージー・キムに核を持たせるのか、とお思いでしょうが、まぁそうです。

ただし手放さない以上、キムにも「核の共同管理」をしてもらいます。

つまり中国、ロシアが北朝鮮の連帯保証人となって、「核の共同管理」をする仕組みを作ればよいのです。

もちろん大国の干渉を嫌うクレージー・キムですから、簡単にウンといわないでしょうが、ここは北の核武装を幇助してきた中露に責任をとってもらわねばなりません。

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プーチンあたりが凄味を効かせて、「お前、俺らの許しなく核をオモチャにしたら、便所に隠れていても息の根を止めてやる」と脅かして下さい。

なお、こちらのほうは相当に成立に難しい上に、できても中露朝の同盟関係を作ってしまいかねないので、難ありプランだと思います。 

ニュークリア・シェアリングは、日本にとって唯一の現実的な方法ですが、中露朝をそれにアナロジーするのは難しいのです。

既に北は「自主開発」で持っていますからね。既に持っているものを、「共同管理」することができるかどうか。

また最大の難点は、中露朝同盟を作ってしまうことです。

この三者同盟はきわめて危険ですので、私も書いてはみたものの相当に難しい、いや別種の危険があると感じていています。 

とまぁこのように、こちらもあちらも「核の共同管理」をすることで、相互破壊確証ブロックをふたつ作ってしまおうというわけですが、どんなものでしょうか。 

なにぶんラフスケッチですから、ごかんべん。

 

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北朝鮮再度のICBM実験か

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韓国政府は再び北朝鮮がミサイルを撃つ兆候があると発表しました。 

それを伝えるロイター(9月4日)です。
http://jp.reuters.com/article/nk-more-possible-missile-idJPKCN1BF0MP?il=0 

「ソウル 4日 ロイター  韓国国防省は4日、国会の公聴会で、北朝鮮が弾道ミサイルをさらに発射する可能性が残されているとの認識を示した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性もあるとしている。
国防省高官は「弾道ミサイルの追加発射の可能性の兆候が引き続きみられる。ICBMも発射可能と予測している」と述べた」
 

このところ正恩は、先を急ぐせいか、記念日発射にはこだわらなくなってきているのですが、とりあえずあるとすれば9月9日の北朝鮮建国記念日ということになります。 

発射する可能性が高いのは、核保有国への最後の扉であるICBM(長距離弾道ミサイル)だと、推測されています。 

Photo火星14http://www.sankei.com/smp/world/photos/170704/wor1...

というのは、北朝鮮が保有するICBM・「火星14」は、ロフテッド軌道、つまり垂直に打ち上げる実験だけは済ましていますが、通常の遠くに飛ばすミニマム・エナジー(最小エネルギー)軌道での実験はまだだからです。 

前回日本を越えて撃った弾道ミサイルは、中距離弾道ミサイルで、最大射程5000㎞でもグアムには届いても、米本土には到達しないわけです。 

あたりまえですが、実戦では国際宇宙ステーションより高く飛ばしても意味がないので、通常の遠距離用のミニマム・エナジー軌道で撃つ実験をせねばなりません。 

というのは、ICBMの技術的難関は二つあります。

ひとつは「大気圏再突入」で、今ひとつは「核弾頭小型化」です。

おそらく後者の核弾頭の小型化はクリアしたと思われていますが、大気圏再突入を実証していません。

打ち出された弾道ミサイルはいったん大気圏外に飛び出してから、再突入します。

下の写真は、われらが「はやぶさ」の再突入時の想像図です。

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大気圏への再突入時に発生する高温はハンパではなく、7000度にも達するといわれています。

この高熱に耐え、しかも激しい振動からカプセルや弾頭を守る必要があります。

角度が少し浅ければ大気圏に弾き返されますし、カプセルの耐熱保護が甘ければ燃え尽きてしまうからです。

「はやぶさ」の場合、スッタモンダ7年間の苦闘の末に、母なる地球に再突入したわけですが、JAXAは正確無比にオージーの着陸予定地点からわずか500mの地点に着地を成功させました。

「はやぶさ」は惑星間航行速度である毎秒10㎞という超高速で大気圏に再突入したために、毎秒数㎞ていどのICBMよりはるかに過酷な条件にさらされていました。

しかし「はやぶさ」の耐熱シールドは完全に機能し、内部を保護しました。

日本人は、この奇跡の帰還を私も含めて心熱く迎えたでしょうが、国際社会の軍事技術者たちは別の見方をしたはずです。

つまり、日本はICBM技術に必要な、大重量弾頭の発射、精密誘導、再突入時の姿勢制御、耐熱シールド、これらすべてを完全に備えている、ということです。

好むと好まざるとに関わらず、日本はICBM技術を保有していると見られて致し方がないわけです。

さて、話を北朝鮮に戻します。

北朝鮮側は「過酷な大気圏再突入でも弾頭の誘導、姿勢制御が正確に行われた。高温条件でも構造的安定性が維持された」と主張しています。

ただし、眉唾でした。というのは、北朝鮮は高角度のロフテッド軌道発射を繰り返していたからです。

この発射方法だと、再突入技術を検証しにくいのです。

北朝鮮がICBMの再突入の成功を国際社会に知らしめるためには、ぜがひでも(余計なお世話ですが)、通常のミニマムエナジー軌道で発射する必要があるのです。

そしてそれは、再び日本列島上空をまたぐような軌道で、太平洋に落す軌道をとることになります。

え、なぜ日本列島をまたぐ軌道かって。わかりきったことを聞かないでください。

日本海に落せばロシアが怒り、東シナ海に落せば中国が怒るのからにきまっています。

彼らを不必要に刺激すると原油を止められる可能性がありますが、怒ってもいささかも怖くないのが「草食国家」日本だけだからです。

ですから、次回のICBMの発射実験では、必ず日本を再び飛び越えることになるのはまちがいありません。

このICBM発射実験によって長射程と、再突入が確証されれば、北朝鮮の核保有はほぼゴールにたどり着いたということになります。

では、米国はどのように出るでしょうか。

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よく1962年のキューバ危機を例に上げる人がいますが、ちょっと状況は違います。

キューバ危機はケーススタディとして改めて詳述したいのですが、キューバに核弾頭を装備した弾道ミサイルを配備された場合、アラスカを除く全米が射程に入ります。

しかも今のようなミサイル防衛システムが存在しない時代に、わずか数分で核攻撃を受けてしまうわけです。

ソ連は折れて弾道ミサイルを撤去したわけですが、キューバ側には強い不満が残りました。

誕生したばかりの革命国家・キューバにとって、米国の干渉をはねのけて政権を保存するためには核が必要だと考えていたからです。

この論理は今の北朝鮮とまったく同じです。ただし違ったのはその地理的位置です。

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いわばキューバ危機において、今の日本の地理的位置に米国があったために、米国はあくまでも自国の安全のために強面の交渉をおこなったのです。

今回、米国はこのような地理的位置にいません。

北朝鮮が現実にいきなりグアムや米本土を核攻撃する可能性がミニマムな以上、核攻撃をもっとも受ける可能性か高いのは、あくまで日本です。

次のICBM実験が成功したとしても、それが量産されて実戦配備されるまで相当時間かかるでしょう。

それまでは撃ってしまったらオシマイの政治的武器にすぎません。すなわち、米国にとって直接的脅威といっても、たかだかそのていどのものなのです。

強いていえば、キューバ危機の相手方は、それなりの戦略的会話が通じるフルシチョフでしたが、こんどは何をしでかすか読めない正恩だということの差くらいはあるでしょうが。

ですから、米国が今している外交的努力は、軍事オプションをとるためのエクスキューズ作りです。

いきなり先制攻撃をすれば、いかに予防攻撃だと主張しても、戦後に国際社会から批判を浴びる可能性があります。

そのためには、「先に撃たせる」か、「ギリギリの外交的努力をしたがダメだった」という言い訳が必要なのです。

このたびの国連安保理の決議に中露が難色を示すか、実行しないならば、米国にとって「外交的努力をし尽くしたが、しかし・・・」という言い訳が成立することになります。

というわけで、今の情勢は、パンパンにはち切れんばかりの風船に、どちらが先に針を刺すのかという段階になっているわけです。



 
 

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日本人は正しく怒っていい時期だと思う

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今年の夏の終わりのような、憂鬱な日々が続きます。 

もちろん北朝鮮のことです。私自身こんな長期間、あの国のことについて書くつもりなどなかったために、正直やりきれない気持ちです。

書き続けてわかったことは、リスクのない解決方法は存在しないという冷厳な事実でした。 

このやりきれない不透明感、何もできない無力感、どこに何をぶつけていいのかわからない苛立たしさというのは、今のわが国全体の「気分」であるような気がします。 

その「気分」の根っこには、日本が当事者でありながら、いやそれどころか「三回目の被爆国」になりかねないにもかかわらず、なすすべもないことにあります。 

問題はあまりにも明瞭です。  

日本は北朝鮮によって国土をまたがれた弾道ミサイルの通過を受けた上に、ご丁寧にも水爆実験まで行われてしまいました。 

このように書くと、いやあれは米韓合同演習を強行したからだ、高高度だから領空ではない、などと聞いたような口を叩く人がいるようですが、馬鹿なことを。

それは北朝鮮の代弁そのままです。 

わが国は無通告で核弾頭が装着されている可能性すらある弾道ミサイルに、国土を蹂躙されたのです。 

そもそも、弾道ミサイル発射自体が国連安保理決議違反ですし、いかに高高度であろうと主権国家の領土上空を事前通告なしに通過するミサイル投射は戦争行為に準じるものと国際常識では理解されます。 

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逆を考えてご覧なさい。 

米国が無通告で日本海から朝鮮半島をまたいで渤海に落す弾道ミサイル訓練をしたら、正恩はためらいもなくこれを宣戦布告だと受け取って、ただちに戦争に突入するでしょう。 

そうならなかったのは、ひとえにやられた相手が世界に稀なる「草食国家」の日本だから、こんななめたまねが出来ただけです。

残念ですがひとつの国家として考えた場合、日本のほうが異常であって、北朝鮮のほうがまともな主権国家の態をなしています。 

Jアラートにすら「アベは空襲警報を鳴らした」とどちらを向いているんだという者がいるかと思えば、北朝鮮の言い草を平気でしゃべり散らす北朝鮮のエージェントまがいのコメンテーターものさばる、そんな腑抜けな国、それがわが日本です。 

もっと日本国民は怒っていいのです。日本人には怒る権利があります。

自戒をこめて言いますが、この私のように対北朝鮮対策を1週間も悩んだあげく、「リスクとコストを比較衡量せねばならない」などという思考の袋小路に入り込む必要はないのです。 

そんなことは、言われなくてもわかりきっているからです。

今現在、圧倒的に優位な力関係に立っているのは正恩の国のほうであって、日米は打つ手がありません。

たぶん年内に核保有国宣言を発し、世界もそれを追認せざるをえないこととなるはずです。

うなった場合に、日本に何ができるのか、何をすべきか、真剣に考えねばなりません。

こういう袋小路の状況において、幕末の草莽の志風にいえば「狂を発する」必要があります。

合理性とは別次元で、正しく怒ることによって状況そのものを揺さぶって突破口を見つけ出すことです。

正しく怒り、その怒りを、日本の独自核武装論の議論につなげて行くべきです。 

この際できるできない、国際社会からどう見られるといった議論はとりあえず置いておくべきです。 ここに引っかかると、私のように一歩も先に行かないからです。

ご承知のように、私は一貫して独自核武装反対論者でしたが、ことここに至って、それを度外視した対北・対中核抑止はありえないのではないかと思うに至っています。 

したり顔でやり過ごすのではなく、立ち止まって真剣に議論すべき時期に入ったのです。 

そして合わせて、憲法前文及び9条2項についても、改めてこのような規定を持ちつづけるべきなのかどうか、いったん安倍加憲論を横において、国民的議論をすべきです。 

戦後最大のタブーであった独自核武装論をリアルに議論できる時期は、今しかないはずですから。 

このような議論が起きれば、政府はそれを受けて、「わが国は核武装をする意志はありませんが、このような怒りが充満していることは抑えきれません」とシラっとして言えばいいのです。

国民が黙っているから、スーザン・ライスのような北の核容認論があたりまえのように米国内部から飛び出すのです。

もし日本国内で核武装論議が盛んになされていたら、まちがってもライス言うようなことは出ないはずです。

なぜなら、それは日本が米国の核の傘を離れて核武装するという、ある意味、米国の悪夢そのものに繋がるからです。

それとまったく同じことは中国にもいえることです。習の悪夢もまた、日本の核武装です。

つまり、独自核武装論の議論自体が抑止効果を持つのです。

私は独自核武装を望ましい未来だとはまったく思っていません。むしろ逆です。

しかし、その議論まで封じることはありません。

それがこのなんともたまらい時期の、唯一の救いではないでしょうか。 

 

 

 

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北朝鮮対策はリスクとコストを比較衡量せねばならない

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経済制裁は最弱の対抗措置です。

イランに対しての経済制裁は効果をあげるまで大変な時間がかかりましたが、確かにイラン経済には大きな打撃を与えました。

ロシアはウクライナ侵攻による経済制裁に苦悶し、その解除を切望しています。

しかし、ここで留意せねばならないことは、イランはとりあえず民主政体ですし、プーチンですら選挙で選ばれた指導者なことです。

かのプーチンや習ですら、世論を気にしているのです。

その意味で北朝鮮は、イランやロシアとは決定的に異なる、いわば「カルト宗教国家」なのです。

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そもそも北朝鮮には「世論」などという近代民主主義概念のかけらもない、彼らの言葉を使えば「主体主義で一色化された社会」です。

だからこそ北朝鮮三代の独裁者たちは、世論はおろか国民の餓死すら考慮からはずして、核武装に半世紀かけて邁進できました。

中露をはるかに凌ぐ、世論はおろか餓死すらも無視できる完成された独裁体制国家、それが北朝鮮なのです。

ですから、あらゆる経済制裁は短期的な効果がないでしょう。

日本が強く要請している原油供給停止すら、実現が非常に困難なうえに、仮に成功しても短期的には備蓄で突っ走って核保有国のゴールに飛び込まれてしまうかもしれません。

ただし、わが国ができるのはこの経済制裁強化しか、当面ないのも事実です。

ましてや、リベラル派が好んで口にする「話あい」などは、その「話あい」期間には軍事オプションが封じられてしまうわけで、北朝鮮にとってこれほど好ましい状況はありません。

そして当然、経済制裁は軍事オプションが経済制裁の背後にあって初めて成立するものですが、この軍事的封じ込めすら時間稼ぎにすぎません。

米軍ですらそここで火を吹いている世界情勢の中で、朝鮮半島のみに軍を貼り付けておけないからです。

それをわかっているからこそ、北はすさまじい勢いで既成事実を積み上げるために急いでいます。

まさに駆け込み核武装です。 

したがって、英国防衛安保研のブロンク氏が述べるように、いかなるオプションも不確実で、リスクがあります。

まさに米国は、「コストとリスクを比較衡量しなくてはならない」のです。

このような時に、アジアから離れて利害関係をもたない英国人の醒めた眼でながめるのもいいことです。

ブロンク氏の分析を参考にして、今、国際社会がとり得る対北オプションを整理しておきましょう。

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話あいバージョン1。日本の左翼リベラル派が主張。北朝鮮の主張する「小国の核武装自決権」=核武装容認論を前提とした、北朝鮮にのみ有利なオプションで、北朝鮮の主張そのもの。⇒北による恫喝外交の開始を容認。これを選択すると自動的に他のオプションは消滅する。

話あいバージョン2。米国の対北宥和派が主張。米国に対するICBMのみを制限しようとするオプション。⇒日米同盟崩壊。日本の単独核武装の可能性浮上

経済制裁。日本政府の主張。中露が抜け穴という宿命。短期間では効果が出ない。⇒北の駆け込み核武装を完成させてしまう。

軍事的封じ込め。一定有効だが、長期間米軍を貼り付けておくことが出来ない。

ピンポイント攻撃。一定有効だが、効果が限定的で、北の報復を受ける可能性がある。

全面攻撃。地上軍の侵攻まで含んだものだが、現況ありえない。

すべてのオプションに、リスクとベネフィット(利益)が存在するのがおわかりいただけたでしょうか。

BBCが英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)研究員・ジャスティン・ブロンク氏の論説を掲載しておりましたので転載させていただきます。ありがとうございました。
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-41144422

大変に参考になりますので、長文ですが引用させていただきました。太字と写真は引用者によるものです。

                  ~~~~~~~~~

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ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮が水爆実験に成功した後、攻撃するのかと問われ、「今に分かる」と答えた。ならば、金正恩体制への軍事行動とは実際に、どのようなものになるのか。

北朝鮮は国連制裁や国際的圧力をものともせず、米国本土に到達するかもしれない核兵器を開発し、ミサイル発射実験を実施した。

北朝鮮が日本の北海道上空を通過するミサイルを発射した際、日本の住民は避難し、トランプ大統領は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と述べた。

米国の軍事力は確かに比類ないものだが、孤立して引きこもってきた北朝鮮に実際に使える選択肢は限られている。

■オプション1 「封じ込め強化」

最もリスクが少ないが、ややもすれば最も効果が少ない選択肢だ。単に既存の兵力配備を強化するだけで、既存の配備はこれまで北朝鮮の弾道ミサイル・核兵器開発の抑止にほとんど成功してこなかったからだ。


つまりこのオプションは非常に高価で、かつおそらく持続不可能で、その上、直接的な軍事対決に事態を悪化させ得る危険なものだ。

米国は韓国に地上部隊を増派することができる。批判の多い地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」など、地上ミサイル防衛システムや重火器、装甲車も含めて韓国に増派し、言葉による要求を武力で裏打ちする用意があるのだと示すというわけだ。

しかし韓国はTHAADの配備を一時的に中止したし、北朝鮮を不用意に挑発する懸念から、在韓米軍の地上部隊増加には強く反対してきた。

実際に米国がそのような動きをとれば、北朝鮮はほぼ間違いなく、地上からの進攻作戦の前段階だと受け止めるだろう。現に毎年恒例の米韓合同軍事演習にも、北朝鮮は強く反発してきた。

中国とロシアも、強く抗議するのは必至だ。さらに両国は、東欧や南シナ海、東シナ海など他の地域で米国を困らせることができる。

米海軍は弾道ミサイルを撃墜できる巡洋艦や駆逐艦を増派したり、第2の空母打撃群を派遣したりと、朝鮮半島周辺でのプレゼンスを拡大することもできる。

海軍のほか、米空軍はグアム、韓国、日本の基地で戦闘攻撃飛行隊や補給タンカー、哨戒機や重爆撃機を増やし、前方配備型の空軍力を強化することも可能だ。

しかし
世界中に展開している米国の海軍と空軍はただでさえ大きい負担を抱えている。イラクやアフガニスタンなどでの戦闘支援が10年以上、途切れることなく高レベルで続いていることも、両軍の負担を大きくしている。

時間は北朝鮮に有利に働いている
というのが、より重要なのかもしれない。米軍の展開を強化したとしても、北朝鮮の急速に成熟する核開発計画や弾道ミサイル実験のプロセスは、それだけでは自動的に止まったりしないからだ。

北朝鮮の領空外を飛ぶ弾度ミサイルは撃破すると公約するには、半島周辺の米海軍配備を大幅に拡大しなくてはならない。

北朝鮮は多数の弾道ミサイルを保有しているのに対して、米国の迎撃ミサイルは非常に高価で、艦ごとに限られた数しか搭載していない。ゆえに、北朝鮮は米海軍に迎撃ミサイルを使い切らせ、防衛力を奪うことができる。そうなれば米艦艇は基地に戻るしかなくなる。

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■オプション2 「ピンポイント空爆」

米空軍と海軍は、世界最先端の局所空爆、ピンポイント空爆の能力をもつ。

北朝鮮の主要核施設や弾道ミサイル拠点に対し、北朝鮮沖の潜水艦からトマホーク・ミサイルを次々と発射し、B2ステルス戦略爆撃機で空爆を実施するという案は、一見すると魅力的なものに思えるかもしれない。

重要標的に大損害を与えられるのは間違いない。地下深い強化施設は、3万ポンド級の大型貫通爆弾で攻撃できる。

攻撃直後の米軍機がどのような被害を受けるかは、複数の要因次第だ。北朝鮮がどれほど事前情報を得ているか、爆撃飛行の回数、レーダー探知を受けないステルス型ではない戦闘機がどれだけ参加するかなどによる。

しかし北朝鮮の防空力は、非常に把握しにくい。50年の間に入手した、ソ連・ロシア製と中国製と自国製の地対空ミサイルとレーダーシステムを組み合わせたものだからだ。

北朝鮮の防空網は地上でも特に密度の高いものだが、どの程度まで改良刷新されてきたのか、どの程度まで臨戦態勢にあるのかは、把握しにくい。

もし敵の攻撃や事故で米軍機が墜落したら、米国は乗務員の救出を試みるか、あるいは世間の目前で悲惨な目に遭うのを放置するか、選択を迫られるという悪夢のシナリオに直面することになる。

しかし、たとえ核・ミサイル施設への空爆が成功したとしても、軍司令本部や国家指導部そのものが反撃を命令するだろう。そのことの方がはるかに重要だ

核・ミサイル拠点が破壊されても、朝鮮人民軍はただちに韓国に報復攻撃する能力を残すだろう。米国の主要同盟国の韓国は、否応なしに大打撃をこうむることになる。

朝鮮人民軍には、正規兵が100万人以上いる。そして、予備役と準軍事部隊は推定600万人超と言われる。

軍事境界線沿いの非武装地帯を中心に配備されている、大量の通常兵器やロケット砲の多くは、韓国の首都ソウルを射程圏に収めている。ソウルの人口は約1000万人だ。

使用可能な核兵器を持たず、積極的に韓国を侵攻しなかったとしても、金体制は壊滅的な打撃をもたらすことができる。そうすれば、これまでのような米韓相互防衛同盟はおそらく終わりとなるだろう。

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■オプション3「全面侵攻」

朝鮮人民軍の規模と火力と密度の高い防空力に加え、韓国は米国の軍事行動を支持したがらないだろう。となると、米軍による北朝鮮全面侵攻というオプションは、きわめてあり得ない。

そして双方で何十万人もの人命が失われる。

重火器による爆撃に加え、朝鮮人民軍はかねてから特殊奇襲部隊による大がかりな韓国潜入作戦の訓練を重ねている。レーダー探知されにくい速度の遅い、低空飛行の複葉機や小型艇、小型潜水艦などを使う作戦だ。

大規模な軍事紛争となれば、この潜入部隊によって混乱に拍車がかかり、人命はさらに失われる。技術的にははるかに高度でも人数の少ない米軍や韓国軍は、その対応に四苦八苦する羽目になる。

米国と同盟軍が前回、北朝鮮に進攻したのは1950年からの朝鮮戦争のことだ。中国は自分たちの国境沿いに、米国寄りの統一朝鮮半島が成立しないよう、北側を支援して参戦した。

今の中国も同じだ。国境の向こうに米国と同盟した朝鮮半島が出現することを、中国はまだ検討しようとしていない。だからこそこれほど長く、金王朝を支援してきたのだ。

最後に、並べてきたような大問題が何らかの形で克服でき、米軍主導の北朝鮮侵攻が成功したとしても、破壊された国の再建は米国の責任ということになる。

北朝鮮は過去60年間、比類のない心理操作と慢性的な経済のひっ迫、そして孤立状態の中で生きてきた。

冷戦終結後の東西両ドイツ再統一はすさまじい努力を要した一大事業だったが、北朝鮮再建に伴う困難を思うと、かすんでしまう。

北朝鮮に対して米国が使える軍事的オプションはいずれも、高いコストと相当なリスクを伴う。それが現実だ。何をどうすればどうなるか、いずれも不確実で難問山積の未来を前にして、米国はコストとリスクを比較衡量しなくてはならないのだ。

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北朝鮮はなぜこの時期を狙ったのか?

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たぶん今日あたりのメディアでは、北朝鮮の核実験の情報が洪水のように溢れると思います。 

といっても、肝心なことはわずかで、やれメンツを潰された中国激怒とか、トランプ怒りのツイッターといった、やくたいもい情報が大部分でしょうが。 

ちょうど私はブログで朝鮮半島情勢を、あーでもないこーでもないと粘土を捏ねるようにして考えていた矢先なので、その延長となってしまいました。 

今回の核実験を、北朝鮮は水爆だと自称しています。 

まずこの核爆弾の規模について、小野寺防衛大臣は推定で70ktと発表しています。

「今回、北朝鮮が実験の爆発の威力について、初期値とはしながらもおよそ70キロトンとの分析を示し、過去最大規模の実験だったとの認識を明らかにしました。
このマグニチュード5.8をもとに試算すれば、今回の核実験の推定出力は約70キロトンになると考えられ、過去の核実験に比べてはるかに大きなものと私ども認識しております(略)
また、小野寺大臣は今回の核実験が「水爆実験であるということも否定できない内容だ」と述べました。」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3147293.html

自称水爆の核弾頭を視察する正恩の写真がこれです。 

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この核弾頭の内部構造を解説したのが下図です。

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簡単に説明しておきます。

水爆はリチニウム6、ウラニウム235を核融合して作られる核爆弾のことです。一方、原爆はウランやプルトニウムを核分裂させ、そのエネルギーを爆弾にしたものです。

実はこの原爆が、水爆ではいわば起爆剤に使用されています。

上図のヒョウタンの下の部分に当たるのが、起爆装置の原爆部分です。

これが爆発してそのエネルギーで、上の部分を起爆する仕組みです。図と説明を修正しました。

核融合を起こすためにはとてつもないエネルギーがいるので、なんと起爆装置にも核爆弾を使っているわけです。

ですから、水爆は原爆とは比較にならない規模の破壊をもたらします。

しかし現実には水爆というのは廃れつつある技術です。なぜなら、皮肉にもあまりにも威力が大きすぎて現実的ではないからです。

1951年に旧ソ連は「ツァーリ・ボンバ」という50メガトンという途方もない水爆を作ったことがあります。実に広島型原爆の3300倍に相当します。

こんなバケモノはかえって現実には使えません。むしろ小型戦術核が主流になりつつあります。

そう考えると、今回の北朝鮮の自称水爆は、コメントにあったような将来の輸出向けではなく、純粋に政治目的のデモンストレーション用核爆弾と考えてよいでしょう。

ノドンのような中距離弾道ミサイル(MRBM)に積めるていどの核弾頭なら、買い手がつくでしょうが、このような裏市場での核拡散こそ米国がもっとも警戒することです。

それはさておき、水爆とするには規模が小さすぎるという指摘もあるので、現時点では断言できません。

さて、次になぜこの時期を狙ったのかについてですが、私は北朝鮮が核実験を実施するなら、「今」を置いてないと思っていました。

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なぜなら、この時期は関係各国とも、揃いも揃って何も出来ない時期だからです。 

周辺各国の状況を、ちょっと眺めてみましょう。 

元KGBのプーチンは、なんらかの情報源を北朝鮮内部にもっているふしがありますから、早々と万景峰号の帰港を取り消しました。

詮索されると、ロシアは旧ソ連時代には公然と、ロシアになってからも今回の火星14のロケットエンジン供与疑惑のように、影に日向に北朝鮮に核技術を流出させていた状況証拠が上がっています。

ここはいちばん、脛に傷持つプーチンとしては、「関係ないもん」を決め込みたかったようです。

いずれにしても、今のロシアに何かできることはありません。

中国は、お気の毒にもBRICs5カ国首脳会議を北京でやっていた時にぶつけられました。

習は、このクソガキめと罵ったことでしょう。

またそれ以上に、来る10月18日に中国共産党大会を控えています。

巷間伝えられるところでは、習は反対派にカリスム的指導者がいないことをいいことに、一挙に反対派を粛清し、毛沢東ばりの個人独裁の完成を狙っていると言われています。

このような微妙な時期に米国に軍事攻撃をされると、米国からの容認圧力と、共産党内部の「中朝血の同盟」派からの突き上げに挟まれかねないことになります。

つまり習もまた、当分の間なにも出来ないのです。

Photo_5産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/news/170830/sty1...

では、トランプはどうでしょうか。 

とうにレッドラインは踏み越えているので、今回のダメ押しのような核実験は、米国向けICBM用だと正恩が公言している以上、軍事オプションをとるべき時期であることはたしかです。

その声はすでに米国内にも高まっています。

先日私は中国の地上部隊投入の容認がなければ、米国は軍事オプションを取れないと書きましたが、今の習の置かれた国内政治で手一杯で身動きが取れない状況を見ると、やるなら今しかないとトランプが考えてもなんの不思議はありません。

トランプは間違っても、オバマのシリア攻撃のような腰砕けは晒したくないはずですからね。

やるなら、短期間の空爆と特殊部隊の投入で終了するつもりでしょうから、なんとか中国の容認も後追い的に取り付けられるかもしれません。

しかしそのためには、軍事作戦の開始時に兵力の集中を行う必要があります。

その折も折、イージス艦2隻大破して戦線離脱して、横須賀ではその対応で軍事作戦どころではないと伝えられています。

また中東の対IS作戦が完了していないために、中東水域から朝鮮半島水域に空母打撃群をシフトできていません。

マティスはやる以上、絶対に負けない準備を整えて開始するはずです。

私はかねがね、米国が軍事オプションを取るには早くて半年の猶予が必要で、とうてい現況では無理だと思っています。

その上にテキサスを襲った巨大ハリケーンで、大統領も副大統領も被災地に縛られていますので、ちょっとこの時期に事を起こすのは難しいと思われます。

正恩はなんとか記念日にとらわれるのではなく、まさにこのような各国首脳のエアポケットを狙ったのです。

このような国際状況の中で、とうぶんの間、北朝鮮の独走は続くのではないでしょうか。

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速報 政府、北朝鮮の核実験と断定

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北朝鮮が核実験を強行した模様です。これでもうまったく読めなくなりました。

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■韓国聯合ニュース(2017年9月3日 13:11)です。

「北朝鮮の核実験場がある北東部の豊渓里で3日午後、6回目と核実験の可能性が高いとみられる人工地震が感知された。

 韓国軍合同参謀本部は「きょう午後0時36分ごろ、北朝鮮(北東部の咸鏡北道)豊渓里一帯で、マグニチュード(M)5.6の人工地震を感知した。核実験かどうかを分析している」と発表した。

 国防部と合同参謀本部は北朝鮮が6回目の核実験を実施した可能性が高いと判断し、危機措置班を緊急召集した。

 韓国気象庁もこの日午後0時36分ごろ、北朝鮮北東部の咸鏡北道・吉州郡付近でマグニチュード(M)5.6の地震が発生したと発表した。震源の深さは0キロで、これまで核実験が行われた地域と一致していると説明した。

 米地質調査所と中国地震局も北朝鮮での地震を感知した。

 青瓦台(大統領府)高官は「北で発生した地震は6回目の核実験によるものと推定できる」と話した。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日午後、国家安全保障会議(NSC)の全体会議を主宰し、北朝鮮の核実験による対応を協議する予定」

Photo_6豊渓里 2017年4月18日撮影 38noth

■時事9月3日13時1分

「安倍晋三首相は3日午後、北朝鮮で地震が観測されたことに関し、「核実験を強行したとすれば断じて容認できず、強く抗議しなければならない」と表明した。

 この後、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開催、対応を協議する。官邸で記者団に語った。

 菅義偉官房長官は緊急で記者会見を開き、「核実験を行った可能性がある」と明言。首相は関係省庁に対し、情報の収集・分析を行い、国民に対し的確な情報を提供するとともに、米国、韓国、中国、ロシアといった関係国と連携するよう指示した。

 首相官邸には関係省庁の幹部が参集。北朝鮮に関する官邸対策室が情報を収集した」 

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■ソウル時事(9月3日 7:07)

「水爆弾頭化」誇示=ICBM開発で北朝鮮―電磁パルス攻撃に初言及  

「北朝鮮国営の朝鮮中央通信は3日、金正恩朝鮮労働党委員長が新たに製造された大陸間弾道ミサイル(ICBM)の弾頭部に装着する水爆を視察したと報じた。

 同通信は開発した核弾頭について、電子機器をまひさせる電磁パルス(EMP)攻撃も可能な多機能弾頭と伝えた。北朝鮮がEMP爆弾を開発している可能性は指摘されていたが、当局が公式に認めたのは初めて。

 金委員長は「強力な核兵器を思い通りにどんどん製造できるようになった」と述べた。水爆を弾頭化したことを誇示し、米国をけん制する狙いがありそうだ。

 同通信は、2016年1月6日に実施された「初の水爆実験」で得た成果に基づき「水爆の弾頭の技術的性能が最先端の水準で更新(アップグレード)された」と強調し、「攻撃対象によって、威力を数十キロトン級から数百キロトン級まで任意に調整できる」と主張。さらに「大きな殺傷・破壊力を発揮するだけでなく、戦略目的により、高高度の空中で爆発させ、広い地域に極めて強力なEMP攻撃まで加えられる多機能化された核弾頭だ」と伝えた」 

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■NHK(9月3日 14時06分)

政府 北朝鮮が核実験と断定

河野外務大臣は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合に出席したあと、記者団に対し「さきほどの地震は、気象庁その他の情報を分析した結果、北朝鮮が核実験を行ったと政府として断定する。北朝鮮に対し、午後1時14分、北京の大使館ルートを通じて、核実験であるならば、極めて許しがたく、安保理決議などに違反するものだとして、最も強い言葉で非難した」と述べました。

そのうえで、河野大臣は「国連では、安保理の緊急会合の召集を要請するため、アメリカや韓国と調整するよう指示をした。アメリカや韓国をはじめ、関係各国の外相との電話会談の調整を始めている」と述べました。さらに、河野大臣は「北朝鮮に対話の意思がないということなので、各国と新たな安保理決議の採択に向けて、調整していく。制裁の中身は、すべての選択肢をテーブルにのせて、これから調整する」と述べました。

韓国軍は、3日昼ごろ、北朝鮮北東部で人工的な揺れを観測したと発表し、北朝鮮による6回目の核実験の可能性もあ  るとして詳しい分析を進めています。

韓国軍の合同参謀本部によりますと、日本時間の3日午後0時29分ごろ、北朝鮮北東部ハムギョン(咸鏡)北道キルジュ(吉州)郡のプンゲリ(豊渓里)で、人工的な揺れが観測されたということです。韓国軍は、マグニチュードは5.6と推定されるとしています。プンゲリには核実験場があり、韓国軍が北朝鮮による核実験かどうか詳しい分析を進めているということです。

気象庁によりますと、3日午後0時29分ごろ、北朝鮮北東部でマグニチュードに換算すると6.1と推定される揺れが1回、観測されました。深さはごく浅く、地震の波形が過去の核実験の波形と似ているということで、気象庁は「何らかの人工的な爆発があった可能性がある」として詳しい分析を行っています。         

 

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北朝鮮に対する軍事オプションは中国の思うつぼなのか?

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ぜんぜんコメントが入らない不人気なシリーズですが、山路さんのご意見を参考に、朝鮮半島情勢について、もう少し考え続けてみます。(われながらしつこい) 

まず山路さんの、「中共こそが、ほぼ全ての国際問題の中心的根源地である、という共通認識を世界が持たない限り、あらゆる問題の解決はこの先もないかも知れません」、という情勢認識は同意します。 

「ほぼすべて」というのがどこまで指すのかわかりませんが、アジアでは特に顕著であり、アフリカも各地の大虐殺の素地を与えたのがかの国であり、南米においてもその醜悪な足跡は残っています。 

また朝鮮半島情勢が残念ながら、「現在のところ有利に事態を迎えているのは日米では当然ないし、北朝鮮でもなく、正に中露なんです」という指摘も、中国という部分は正しいと思います。 

露となるとわかりません。ロシアは北朝鮮自体を作った創造主であり、毛に習って核を欲しがった金日成に核とミサイル技術を教え、プルトニウムすら与えた形跡があるという過去の因縁絡みです。

しかし現在どのていどの影響力が北朝鮮に残っているのかは不明ですし、プーチンの大国気取りは極東でも発揮されるでしょうが、なにぶん中国との国力の差が比較になりません。 

おそらくプーチンは、口先介入しかできないでしょう。 

さて悩ましいのは、次のことです。 

「もとより正恩は速やかに除かれるべきだし、正直言って米軍による軍事攻撃に期待するのが私の本心ですが、それはそれで中共の思うツボだと思うわけです」 

私は米国の軍事オプションを、出来るできないという次元ではなく、強く期待していません。

というか、私はむしろ米国の軍事行動には反対です。

それはえてして、日本人の他力本願の北朝鮮に対する懲罰願望でしかありません。

というのは、米国が北朝鮮に対して軍事攻撃をした場合、そのことによって本来はるかに大きい危機のはずの、中国との対峙関係が影に隠れてしまう可能性が高いからです。 

Photo_2ロイターhttp://jp.reuters.com/article/china-trump-idJPKBN1... 

簡単に言えば、この間の「トランプ100日の空白」に現されているように、米国が北朝鮮を攻撃しようとすると、必ず中国の「承認」が前提となることです。

このことが多くの日本の論評では度外視されているために、安易に「さぁ、米空母が来たから開戦だ」といった浮ついた見方に繋がっています。

先日紹介しましたが、現在、中国はこういっています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-6b5b.html 

「しかし、米国と韓国の軍隊が北朝鮮の政権を壊滅させる直接的な目的で非武装地帯(DMZ)を地上から侵略するならば、中国は警鐘を鳴らし、直ちに軍隊を増強するだろう。中国は、外国の軍隊が北朝鮮の政権を転覆させるのを座視することは決してない」 (環球時報4月22日) 

これを額面どおりに受けとめれば、 

①米国が北朝鮮の核ミサイル関連施設を攻撃することは容認する。
②北朝鮮への地上部隊の侵攻や、北朝鮮政権の転覆は容認しない。
 

問題は②の「地上部隊の侵攻」という部分です。これは、米国が北朝鮮に対しての核施設を攻撃した場合、空爆だけにしろと言っていることになります。

お恥ずかしい話ですが、 実は私もダマされました。これを中国の攻撃容認と捉えてしまったのです。

しかしよく考えてみれば、それでは地上部だけの攻撃に終わり、地下深く設置されている核ミサイル貯蔵施設や、製造施設、そして司令部を破壊できません。

北朝鮮はかつての朝鮮戦争の折りに、米空軍の空爆の恐ろしさが身に沁みているために、祖父の代から重要軍事施設はほぼすべて地中深くに設置しています。

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よく安易に米軍はバンカーバスター(地中貫通爆弾)を持っているから大丈夫だというひとがいますが、ナンセンスです。
地中貫通爆弾 - Wikipedia

バンカーバスター GBU-28は上図のように60m地下を破壊すると言われていますが、ではその目標地点を誰が指示するのでしょうか。

それは、潜入した特殊部隊が受け持ちます。彼らが場所を特定し、なんらかの方法で航空機に指示しなければどこに落したらいいのかわかりません。

また成果確認と残った施設の破壊を兼ねて、多数の特殊部隊を投入しなければ、ミッションは終了しないのです。

これはかつて、英米の特殊部隊を多く投入した、湾岸戦争時の「スカッド狩り」の時からなにも変わっていない現実です。

つまり、空爆と地上部隊侵攻(ないしは浸透)はワンセットであり、中国が言う「地上部隊の投入は認めない」とは、一見米国に妥協して、北を締め上げているように見えますが、実は「なにもするな」というに等しいことになります。

米国としては、中国に対して経済制裁の強化のみならず、一定規模の地上部隊の投入を容認するように頼まねばならないわけです。

さて、このように中国に頭を下げ続けているということが、いかなる結果になるのかは、「トランプ100日の空白」でわかりました。

米国は中国に対して制裁をしてもらうために、南シナ海において「航行の自由作戦」を手控えたのです。再開したのは、習が嘘をついてだましたことが発覚した後の話です。

このように考えてくると、北朝鮮に対する軍事オプションは、中国に対する力関係を弱める結果を招きかねない危険な誘惑だとわかります。

まさに山路さんの言うとおり、「中共の思うつぼ」なのです。

まずは地道に、今、安倍氏が言っているような石油の完全停止を徹底追及することが、急がば回れなのではないでしょうか。

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なお、HN「通りすがり」氏のコメントに、「中朝は一枚岩」というコメントがありましたが、間違っています。

祖父の代から北朝鮮は、「大国の干渉をはねのける」ということを国是としてきました。

金日生の生涯は、延安派(中国派)との熾烈な内部闘争であり、援助は貰うが、干渉はさせない、というのが一貫した北朝鮮の外交姿勢でした。

それは3代目になると、いっそうプラグマチックなまでに鮮明になりました。

祖父の代にあった中国コンプレックスは消滅し、正恩は就任してから一回も外国に出たことのない特異な指導者となりました。

そしてあろうことか彼は、中国型改革開放経済を求めた叔父の張成沢を殺しました。兄の正男も張との関わりを疑って殺したのです。

そんな正恩が、「中国との一枚岩」を外交方針とするはずがありませんし、中国もまた、この夜郎自大の肥満児を忌み嫌っていることは有名な話です。

ですから、「北朝鮮の裏に中国あり。糸を引いているのは中国だ」と短絡して考えないほうがいいと思います。

正恩は中国も含めて大国に対抗できる核戦力を持つことを願望し、一方中国はそれが日米同盟を分断し、米国に対する「鋭いナイフ」の範囲で北朝鮮を利用しているにすぎないのです。

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日曜写真館 アンコールワット散策

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中朝同盟は維持されていると見るべきです

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アホンダラ1号さんのコメントはいつも腹をかかえるほど軽妙で、常々なるほどとうならされています。 

「ジョンウンは消しておきたいが北朝鮮 国家はそのままにして、中共の支配下に組み込みたい。 しかし、ジョンウンは米国によく噛み付いて頼もしいので まあしばらく様子見で」 

「嫌いだが、しばらく様子見」、なるほど、私もそうかなと思います。 

中朝は互いに牽制しながら、中朝同盟は形を変えつつ、いまだ維持されていると見るべきです。 

山路さん仰せの、「中国の苛烈な支配を恐れて米国に」ということは、私は考えにくいと思います。

ですから、せっかくの山路さんの見立てですが、安倍-正恩会談は今の段階ではありえないと思います。

日本は拉致被害者の奪還が最重要テーマですが、今の段階で正恩が返す可能性は限りなくゼロですし、それがない以上安倍氏がピョンヤンに行くことはありえません。

私が中朝同盟が維持されている考える理由は、中朝の戦略的利害が大枠で一致するからです。 

この間の米中の北朝鮮を巡る駆け引きも、大きな眼でみれば決定的な中分断ではなく、よくある政治的フェイントかもしれません。 

習の願望は、中朝露同盟で反米スクラムを組むことでした。 

しかしいかんせんプーチンは、ロシアをのけものにして国際情勢が動くことに耐えられない大国意識の権化ですが、気の毒にもデフォールト寸前です。 

とてもじゃありませんが、シリア・ウクライナ・極東といった3正面作戦をする国力はありません。

すると、中国が極東で組む相手は自ずと限られます。それは昔も今も変わらずに北朝鮮なのです。

自分に向けないという暗黙の取り決めの下に、北朝鮮に対して核武装を容認したと見るほうが素直です。 

中国は北朝鮮の核武装を陰ひなたで支援してきました。核武装関連技術が、瀋陽軍区から流出することを黙認すること自体、中国は政治カードに使ってきたはずです。 

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たとえば、今回の日本上空を飛び越えた弾道ミサイルは、針の穴を通すように津軽海峡から襟裳岬に抜けました。 

専門家は陸地への最小投影面積で通過するには、あの津軽海峡ルートしかないと述べています。 

なぜあのように精確に誘導されているのでしょうか。それは中国製のGPS誘導装置がついているからです。 

いつでも中国は、そのGPS誘導をシャットアウトできるはずですが、しようとしませんでしたね。なぜでしょうか? 

中国にとって、北朝鮮が日米を恫喝してくれていっこうにかまわないからです。 

米朝全面戦争になると渤海湾の輸出ルートが閉鎖されると困るでしょうが、こんなていどの恫喝ならドンドンやってほしいくらいだと思っているからです。 

よく北朝鮮の核ミサイルが、中国を狙うのではないかと言う人がいますが、ありえません。 

理屈では北京や、北海艦隊の司令部がある青島も射程範囲に入りますが、自分の心臓部に飛んでくるのを指をくわえて眺めているほど、中国はお人好しではありません。 

とうぜん、GPS誘導装置には、なんらかのキャンセルするコードが仕込んであるはずです。

ただし、正恩も中国と同じことを考えているとは考えにくいですし、そもそも同盟などというものは同床異夢があたり前です。 

いかに裏をかき、いにかに自国に都合よく同盟を利用するかが肝要であって、日米同盟という、「身も心も捧げます」的依存型同盟関係のほうが世にも稀なのです。 

さて、そういったことを念頭にして、大きく朝鮮半島情勢を眺めてみましょう。 

朝鮮半島において現在進行している事態は、かつて金日成が提唱した「高麗連邦共和国構想」そのものです。 

「赤化統一」という半世紀前のスローガンが、今や現実になろうとしています。 

それは朝鮮半島に何をもたらすでしょうか。 

まずそれは、有事統制権の放棄であり、続いて在韓米軍そのものの撤収です。

それだけで、中国共産党にとっては充分に偉大な外交的勝利ですが、さらに北朝鮮主導の朝鮮半島統一が始まれば、いうことはありません。

韓国の政治体制は、音を立てて崩壊しつつあります。それも自らの手によってですから、処置なしです。 

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別稿で詳述したいと思いますが、ムン・ジェイン(文在寅)という男は、いままでの韓国政治を否定し、ついでに韓国そのものも北朝鮮に献上しようとしています。

ひとつだけ例示しておきましょう。

上の写真でムンが紹介している首脳のうち、いちばん右にいる若い男が、大統領秘書室長のイム・ジョンスク(任鐘哲)です。

彼は十代から北朝鮮の主体思想の狂信的信者で、日本でいえば全学連に当たる全大協の3代目議長を務めました。

このポジションは歴代、北朝鮮労働党支配下にあることは公然の事実です。逮捕歴も刑務所経験もあります。

ムンやイムにとって、自力で「日帝」を追い払った金日成が作った北朝鮮こそが正統な政府で、韓国などは米国の傀儡にすぎません。

したがって儒教思想に従って、韓国は正統な政権である北朝鮮に大政奉還すべきだというのが、この人たちの考えです。

一方、北朝鮮の正恩体制は残念ながら磐石です。既に祖父・父親からの老幹部たちは粛清されるか隠居させられ、最後の超大物・張成沢は高射砲で吹き飛ばされました。

金正男が暗殺されたのは、中国のガードがつかずに外国で活動したからですが、それは張成沢なき今、すでに正男が中国の傀儡として使い物にならなくなったと習に見捨てられたからです。

Nkoreaguamphotoロイター 2017年8月23日 https://jp.reuters.com/article/guam-nkorea-missile-idJPKCN1B307Q

正恩の独裁体制は、すでに完成しています。もはや正恩を阻むのは、唯一米国だけなのです。

その米国のアジアにおける最大拠点はグアムであり、横須賀、岩国、そして沖縄です。

上の写真のモニターには、グアムのアンダーセン空軍基地が詳細に写し出されています。

ここを公然と攻撃すると叫ぶ正恩を、習が可愛いと思わないはずがないではありませんか。 

 

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北朝鮮の戦略を読む

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今、現在進行中の事態を確認しておきます。 

北朝鮮の独裁者金正恩は、弾道ミサイルの発射目標をグアムに設定し、その周辺に複数の弾道ミサイルを打ち込むと宣言しました。 

またそれとほぼ同時期に、日本を「焦土としてやる」とも言っています。 

このような北朝鮮の一連の行動は、状況の限定的エスカレーションと呼びます。 

そして北朝鮮が先日の8月29日早朝に、中長距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」を発射しました。 

いままで5回ほど列島越えをしていますが、今回のように始めから軍事目的だとした上での、発射は初めてです。 

防衛省によれば、北海道の渡島半島と襟裳岬の上空を太平洋に向けて通過、水平距離2700キロを14分間で飛行し、最高高度は約550キロに達しました。 

高高度なために領空侵犯には該当しませんが、国連安保理決議違反であり、重大な挑発です。 

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留意していただきたいのは、3点です。 

ひとつはあえて、弾道ミサイルの射程を短くした可能性があることです。この「火星12」がグアムに着弾するには、直線で約3300km飛ばなければなりませんが、今回は2700kmで落ちました。

原因は不明ですが、推測するなら三分解したことから分離の技術的失敗か、あるいは、政治的な意図です。

政治的意図だとすれば、現時点で米国を過剰に刺激しないために、ここで意図的に「落した」のです。

もう一点は、平壌国際空港滑走路から発射したことです。

もしこの弾道ミサイルがグアムを標的にしていた場合、米国は即応で反撃します。

その場合、外国民間機、あるいは民間人に被害が及ぶということです。北朝鮮はおそらく、このような米軍の反撃を「民間人を標的にした無差別爆撃である」と主張するでしょう。

つまり、このような発射地点を選ぶということ自体の政治的意味は、「全面戦争のハードルを一気に下げるぞ、いいのか」ということになるのです。

3点目は、これが日本を標的にしたことです。

正恩は醒めた狂人です。マッドマン・セオリー(狂人理論)を演じられる、政治的狂人です。

一見狂気に満ちた行動をとりますが、一定の戦略目標に沿ってやる狂態だから始末に悪いのです。

それは林吉永元空将補によれば、その目的は以下です。

「金正恩の選択は、米国相手に引き分けの「名誉」と「代償」を得ることである。選択は、米国相手に引き分けの「名誉」と「代償」を得ることである。
代償の第1が「現体制維持」、第2が「核兵器保有の認知」、第3が「国際社会における地位の向上」、第4が「無償経済援助」ではないか。思いが叶えば暴力国家の面目躍如である」(Foresight2017年8月30日)

北朝鮮はこの目的を達成するために、金王朝三代の時間を費やしてきました。

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金家にとって、毎夜うなされる悪夢があります。

蜂の巣になったルーマニアの独裁者チャウシェスク、排水管を逃げ回って撃ち殺されたリビアのカダフィ、そしてテレビ中継で裁判にかけられて絞首刑になったイラクのフセイン。

独裁者の惨めな最後です。

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ここから金王朝三代の悲願が生れました。

独裁者たちがこんな無残な死を遂げたのは、米国を脅せる核を持っていなかったからだ。ならば人民が食えなくとも核を持ってやる・・・。 

そして現在、すでに北朝鮮は日本に到達できる核ミサイルを多数保有しています。 

北朝鮮はいきなりグアムをねらうことはないでしょう。順番を踏むはずです。 

まず、北朝鮮が戦争を開始する場合、ノドンのような射程の短い中距離弾道ミサイルから使います。 

そして米国に攻撃を停止せねば、グアムを直接標的にするぞ、と警告するでしょう。 

つまり、真っ先に攻撃されるのはわが日本なのです。韓国は後に南北統一した場合に、同族を核攻撃したら処理がやっかいですからしません。 

この日本を標的にして米国に譲歩を迫る戦略を、今回も北朝鮮はとったことになります。

8月29日の弾道ミサイル発射は、北朝鮮が米国に対して、「全面戦争は辞さないが、今はこのくらいにしておいてやる」と言ったことになります。 

さて、今よくメディアで「北朝鮮と対話をしろ」と言っている孫崎享氏などにお聞きしたいのですが、これもまた広い意味での「対話」ではありませんか。

空母打撃群を朝鮮半島水域に遊弋させているのは、軍事オプションも辞さないという米国の意思表示です。

一方、北朝鮮が「火の海にしてやる」「戦争を教えてやる」などと叫びながら弾道ミサイルを撃ちまくるのも「オレを核保有国として認めて、さっさと妥協しろ」と言う意思表示です。

米朝はただいま現在、アグレッシブに「対話」をしているのです。

孫崎氏のような外務官僚出身には言うまでもないことのはずですが、このように二国間関係においてすべてのふるまい、言辞は「対話」です。

孫崎氏が言う狭い意味での「対話」、すなわち交渉会談で、米国が北朝鮮と一体なにを話しあえというのでしょうか?

マティスと正恩が抱き合って、「さぁ、共に肩を組んで平和な世界を築こう!」と言うとでも夢想しているのですか。

仮に孫崎氏が熱望するような狭い意味での「対話」、すなわち交渉会談がもたれるとしても、米国は、間違っても「グアムを撃たないでくれ」などとは言いませんよ。

言うならば、「北朝鮮の核弾頭、及びその製造施設を廃棄せよ」しかありえないはずです。

逆に北朝鮮も、「われわれを攻撃するな」などと口が裂けても言いません。言うならば、「米国は韓国から撤退し、いかなる敵対行為もとらないと確約しろ」といったところでしょう。

この両国の主張の妥協点はありません。

したがって、妥協点がないまま交渉は膠着状態になり、結果的に現状を固定することになります。

これだけでも北朝鮮にとっては大きな収穫で、正恩は「世界一の強国相手に妥協を勝ち取ったぞ」と宣伝するでしょう。

あるいは、ムン・ジェインというピエロに花を持たせて、わずかばかりの妥協の仕種をしてみせるかもしれません。

あの馬鹿な男にはその程度の使い道しかないと、正恩はわかっているはずです。

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ほんとうにこの話しあいに「成果」が出るなら、それはスーザン・ライスのような「北朝鮮の核容認論」であって、それは日米同盟への重大かつ、致命的な裏切りとなります。

ちなみにライスは、南シナ海で習に外交的敗北を続けた札付きのパンダ・ハガー(※)です。※米国の政治スラング。パンダに抱きつく者。中国の外交に盲従するの親中派の意味。反対語はドラゴンスレイヤー。龍を殺す者の意味。

日本の有名なパンダ・ハガーである高野孟氏は、北の核を容認するところから外交が「始まる」と言ったそうですが、高野氏におかれましては、ぜひ頭のネジを修繕することをお勧めします。

北朝鮮の核を容認するということは、裏返せば日米同盟が米国の裏切りによって崩壊し、分断されたということなのです。

すなわち、それはここから外交が「始まる」のではなく、外交の失敗の「結果」なのです。

さらに、日米同盟の崩壊が何をもたらすのでしょうか。

端的に言いましょう。それは日本が米国の核の傘から離れて、一人立ちした核保有国を目指すということです。

ここに戦前によく似た構図が誕生します。

日本にとって米中露朝、そして韓といった敵対諸国に包囲された軍事強国を目指すオプションが現実味を帯びてきます。

いったい高野氏たちのような左翼リベラルはわかっていて、こんな危険なことをしゃべっているのかと思います。

地獄への道は、平和主義者たちで敷きつめられているのかもしれません。

いずれにせよ、わが国は今、岐路に立っていることだけは確かです。

 

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