「核の共同管理」はいかが?
手詰まり感満点な北朝鮮の核ミサイル情勢ですが、そうでもないかなと思い始めています。
とりあえず、ラフスケッチしておきます。
私は核武装を「議論」することに対して、オープンであれと主張し、「核武装」といってもいろいろなやり方かあるとコメント欄に書きました。
ひとことで「核武装」といっても、これだけの種類があります。
①製造から投射手段まで一貫した独自核武装
②それを供与された核武装
③製造も投射手段も持たず、核爆弾の配置のみを許す核武装。いわゆる非核3原則の「持ち込ませない」を削除する。
④核爆弾の管理まで含めた「共管」体制。ニュークリア・シェアリング。独伊で既に実施。
このようにいろいろなタイプがあるので、いきなり①の「さぁ、核武装するぜ」といった議論はかえってまずいんじゃないかと思います。
ハードルが高すぎるのですよ。③④あたりの議論から始めてはどうでしょうか。
それですらアベノセイダーズには充分に刺激的で、どんなことを言いそうか、いまから眼に浮かびます。
たぶんチャイナと声を揃えて、「アベは核武装して軍事大国になるつもりだぁ」なんて言いそうですね。
ならば安全装置をつけてあげればいいのです。それが「核の共同管理」、つまりニュークリア・シェアリングです。
既にドイツやイタリアでもかなり前から実施されている検証済の方法です。
海国防衛ジャーナル様より引用http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstanc...
ただし、これはNATOという集団安保体制があってのことで、その枠内で実施されていることを忘れてはいけません。
独伊のニュークリア・シェアリングもあくまで攻めてくる東側戦車軍団を想定したものですから、小型戦術核だけのものです。
長射程の戦略核は除外されています。
核弾頭の所有権と管理権はあくまでも米国にありますから、NPTには抵触しません。
公平を期すために書いておくと、独伊ベルギー、オランダはニュークリア・シェアリングから脱退したがっています。
というのは、現実に想定されていた「東側」、つまりソ連を盟主とするワルシャワ条約軍がなくなってしまったからです。
冷戦の終結を受けて、「もう戦術核なんか置かないでくれ」というわけですが、冷戦が終わったのはヨーロッパだけだったんですね。
実は1991年までは米国は在韓米軍に戦術核を配備していました。ところが、アジアでも冷戦が終わったと早とちりして撤去してしまったわけです。
当時、よもやクレージー・キムみたいな奴が登場するとは、誰も思わなかったのですね。痛恨の失敗です。
ならば、もうだめかというとそうでもないんですよね。
やりようはあります。
<東アジア集団核安全保障体制>みたいなものを作ってしまうのです。なんだ日米韓の軍事協力体制かと思わないでください。
私のプランは核管理に特化したもので、一般的な軍事協力は度外視します。
まず日韓が同時に、米国とニュークリア・シェアリングを結びます。
「同時に」という部分が大事で、同じ北の核ミサイルの脅威の下にあって、なおかつ、韓国自身が核配備を要請している今しかチャンスはありません。
戦術核ですが、我慢しましょう。
なんなら常時配備しなくても、グアムにいる空中発射巡航ミサイル(ALCM)を装備できる、B-2のような戦略爆撃機に定期的にローテーションで前方展開するだけでも抑止力になります。
B-2は弾倉に武器を収納しますから、見た目では核巡航ミサイルを積んでいるともいないとも判別できないので、日本政府も「分からない」というファジーの答弁で済ますことができます。
この時期を逃すと、韓国の左翼政権は日本の単独核武装を疑いだすからです。
そしてもうひとつ仕掛けをします。正恩は死んでも核を手放さないだろうというのは、大方の見方ですから、持たせてやりましょう。
え、あのクレージー・キムに核を持たせるのか、とお思いでしょうが、まぁそうです。
ただし手放さない以上、キムにも「核の共同管理」をしてもらいます。
つまり中国、ロシアが北朝鮮の連帯保証人となって、「核の共同管理」をする仕組みを作ればよいのです。
もちろん大国の干渉を嫌うクレージー・キムですから、簡単にウンといわないでしょうが、ここは北の核武装を幇助してきた中露に責任をとってもらわねばなりません。
プーチンあたりが凄味を効かせて、「お前、俺らの許しなく核をオモチャにしたら、便所に隠れていても息の根を止めてやる」と脅かして下さい。
なお、こちらのほうは相当に成立に難しい上に、できても中露朝の同盟関係を作ってしまいかねないので、難ありプランだと思います。
ニュークリア・シェアリングは、日本にとって唯一の現実的な方法ですが、中露朝をそれにアナロジーするのは難しいのです。
既に北は「自主開発」で持っていますからね。既に持っているものを、「共同管理」することができるかどうか。
また最大の難点は、中露朝同盟を作ってしまうことです。
この三者同盟はきわめて危険ですので、私も書いてはみたものの相当に難しい、いや別種の危険があると感じていています。
とまぁこのように、こちらもあちらも「核の共同管理」をすることで、相互破壊確証ブロックをふたつ作ってしまおうというわけですが、どんなものでしょうか。
なにぶんラフスケッチですから、ごかんべん。
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管理人さんの提案に大賛成です!
投稿: 那覇市民 | 2017年9月 8日 (金) 09時45分
「ありんくりん」さんのご意見に基本的に賛成です。
ただいまの北朝鮮情勢、もしも日本に核ミサイルが撃ち込まれたら、アメリカは必ず報復してくれると信じております。30発の核弾頭ミサイルが北朝鮮に落ちるでしょう。
早急に、核装備をどんなカタチであれ実行すべきですね。
投稿: ueyonabaru | 2017年9月 8日 (金) 10時35分
高橋洋一氏もラジオで同じような意見をされていました。
核は論議自体が対抗圧力になり得ますが、法整備は施さないと効力がありません。
それ以前に、現行法でも摘発逮捕できるものを手加減癒着していた部分にきちんと手立てをするという事で、出入国やパチンコ関連など、少し明るい兆しがありますね。
注視すべきは結託している日本人達です。何の手足も縛られず大活躍です。
私は正しく怒りを向けるべき相手はこの人達だと思います。
投稿: ふゆみ | 2017年9月 8日 (金) 23時23分
ふゆみさん。そうですか、高橋さんも言っていましたか。聞きたかったな。
追記で中露朝について簡単に書き加えておきました。
投稿: 管理人 | 2017年9月 9日 (土) 02時20分
管理人様、一理ありますね。かつては、戦術核だけでなく、イタリアの巡洋艦にポラリスを載せる案もありました(実現はしませんでしたが)。状況に応じて、枠組みは変わりますが、極東は欧州とは違うことは認識すべきでしょう。この状態を目指すとしても、やはり「場合によっては、ことここに至っては、日本も核武装を考えざるを得ない」というのは、カードとして見せるくらいのことをしないと、今の極東情勢ではやっていけません。議論ぐらいはしてみるべきです。かつて中川昭一がそう述べただけで危険思想扱いされましたが、国際政治とはそういうものです。
投稿: ぼびー | 2017年9月 9日 (土) 05時08分