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« 速報 政府、北朝鮮の核実験と断定 | トップページ | 北朝鮮対策はリスクとコストを比較衡量せねばならない »

2017年9月 4日 (月)

北朝鮮はなぜこの時期を狙ったのか?

Img_0745_2

たぶん今日あたりのメディアでは、北朝鮮の核実験の情報が洪水のように溢れると思います。 

といっても、肝心なことはわずかで、やれメンツを潰された中国激怒とか、トランプ怒りのツイッターといった、やくたいもい情報が大部分でしょうが。 

ちょうど私はブログで朝鮮半島情勢を、あーでもないこーでもないと粘土を捏ねるようにして考えていた矢先なので、その延長となってしまいました。 

今回の核実験を、北朝鮮は水爆だと自称しています。 

まずこの核爆弾の規模について、小野寺防衛大臣は推定で70ktと発表しています。

「今回、北朝鮮が実験の爆発の威力について、初期値とはしながらもおよそ70キロトンとの分析を示し、過去最大規模の実験だったとの認識を明らかにしました。
このマグニチュード5.8をもとに試算すれば、今回の核実験の推定出力は約70キロトンになると考えられ、過去の核実験に比べてはるかに大きなものと私ども認識しております(略)
また、小野寺大臣は今回の核実験が「水爆実験であるということも否定できない内容だ」と述べました。」
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3147293.html

自称水爆の核弾頭を視察する正恩の写真がこれです。 

Photo
この核弾頭の内部構造を解説したのが下図です。

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簡単に説明しておきます。

水爆はリチニウム6、ウラニウム235を核融合して作られる核爆弾のことです。一方、原爆はウランやプルトニウムを核分裂させ、そのエネルギーを爆弾にしたものです。

実はこの原爆が、水爆ではいわば起爆剤に使用されています。

上図のヒョウタンの下の部分に当たるのが、起爆装置の原爆部分です。

これが爆発してそのエネルギーで、上の部分を起爆する仕組みです。図と説明を修正しました。

核融合を起こすためにはとてつもないエネルギーがいるので、なんと起爆装置にも核爆弾を使っているわけです。

ですから、水爆は原爆とは比較にならない規模の破壊をもたらします。

しかし現実には水爆というのは廃れつつある技術です。なぜなら、皮肉にもあまりにも威力が大きすぎて現実的ではないからです。

1951年に旧ソ連は「ツァーリ・ボンバ」という50メガトンという途方もない水爆を作ったことがあります。実に広島型原爆の3300倍に相当します。

こんなバケモノはかえって現実には使えません。むしろ小型戦術核が主流になりつつあります。

そう考えると、今回の北朝鮮の自称水爆は、コメントにあったような将来の輸出向けではなく、純粋に政治目的のデモンストレーション用核爆弾と考えてよいでしょう。

ノドンのような中距離弾道ミサイル(MRBM)に積めるていどの核弾頭なら、買い手がつくでしょうが、このような裏市場での核拡散こそ米国がもっとも警戒することです。

それはさておき、水爆とするには規模が小さすぎるという指摘もあるので、現時点では断言できません。

さて、次になぜこの時期を狙ったのかについてですが、私は北朝鮮が核実験を実施するなら、「今」を置いてないと思っていました。

Photo_4
なぜなら、この時期は関係各国とも、揃いも揃って何も出来ない時期だからです。 

周辺各国の状況を、ちょっと眺めてみましょう。 

元KGBのプーチンは、なんらかの情報源を北朝鮮内部にもっているふしがありますから、早々と万景峰号の帰港を取り消しました。

詮索されると、ロシアは旧ソ連時代には公然と、ロシアになってからも今回の火星14のロケットエンジン供与疑惑のように、影に日向に北朝鮮に核技術を流出させていた状況証拠が上がっています。

ここはいちばん、脛に傷持つプーチンとしては、「関係ないもん」を決め込みたかったようです。

いずれにしても、今のロシアに何かできることはありません。

中国は、お気の毒にもBRICs5カ国首脳会議を北京でやっていた時にぶつけられました。

習は、このクソガキめと罵ったことでしょう。

またそれ以上に、来る10月18日に中国共産党大会を控えています。

巷間伝えられるところでは、習は反対派にカリスム的指導者がいないことをいいことに、一挙に反対派を粛清し、毛沢東ばりの個人独裁の完成を狙っていると言われています。

このような微妙な時期に米国に軍事攻撃をされると、米国からの容認圧力と、共産党内部の「中朝血の同盟」派からの突き上げに挟まれかねないことになります。

つまり習もまた、当分の間なにも出来ないのです。

Photo_5産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/news/170830/sty1...

では、トランプはどうでしょうか。 

とうにレッドラインは踏み越えているので、今回のダメ押しのような核実験は、米国向けICBM用だと正恩が公言している以上、軍事オプションをとるべき時期であることはたしかです。

その声はすでに米国内にも高まっています。

先日私は中国の地上部隊投入の容認がなければ、米国は軍事オプションを取れないと書きましたが、今の習の置かれた国内政治で手一杯で身動きが取れない状況を見ると、やるなら今しかないとトランプが考えてもなんの不思議はありません。

トランプは間違っても、オバマのシリア攻撃のような腰砕けは晒したくないはずですからね。

やるなら、短期間の空爆と特殊部隊の投入で終了するつもりでしょうから、なんとか中国の容認も後追い的に取り付けられるかもしれません。

しかしそのためには、軍事作戦の開始時に兵力の集中を行う必要があります。

その折も折、イージス艦2隻大破して戦線離脱して、横須賀ではその対応で軍事作戦どころではないと伝えられています。

また中東の対IS作戦が完了していないために、中東水域から朝鮮半島水域に空母打撃群をシフトできていません。

マティスはやる以上、絶対に負けない準備を整えて開始するはずです。

私はかねがね、米国が軍事オプションを取るには早くて半年の猶予が必要で、とうてい現況では無理だと思っています。

その上にテキサスを襲った巨大ハリケーンで、大統領も副大統領も被災地に縛られていますので、ちょっとこの時期に事を起こすのは難しいと思われます。

正恩はなんとか記念日にとらわれるのではなく、まさにこのような各国首脳のエアポケットを狙ったのです。

このような国際状況の中で、とうぶんの間、北朝鮮の独走は続くのではないでしょうか。

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コメント

見事なまでに世界各国の間隙を突く、冷静な狂人ですね。黒電話頭の独裁者は。

ところで本題ではありませんが、水爆の図で「二重/三重水素」が組み込まれているほうが「原爆」で、ウランを中心にしている方が「水爆」なのはどうしてなのでしょうか。技術的にそう呼ぶのでしょうか。
些末な疑問ですが、気になったのですみません…。

今回の核実験(水爆?)を受けて、中ロを含む全世界的に北に対する非難が沸き起こっていますが、果たしてそれが、禁油を含む効果的な制裁に繋がるのでしょうか?また、確かに石油を止めることが一番効果的なことは事実ですが、そうした際、北は「分りました、ごめんなさい」と素直に言うことを聞くのでしょうか?自分の知っている歴史では経済制裁によって戦争が回避できたことって無い様に思うのですが。石油を止められたら、北の将軍様は一か八かの勝負に打って出るような気がします。そうなれば真っ先に被害を受けるのは間違いなく日本(米軍施設)、グアム辺りですよね。日本の核武装が取りざたされていますが、そんな悠長なこと言ってる場合ではないのではないかと思います。また、アメリカが先制軍事オプションを取るにしても、北からの報復がなくなる程の打撃を与えない限り、同様に日本は大被害をこうむるのも間違いないことかと思います。朝鮮戦争の際は、日本が直接攻撃を受ける可能性が低かったですが、今回は、全く逆で可能性マックスな訳で、どう転んでも一番貧乏くじ引きそうな今の日本はどうしたら良いものなのでしょうか?

都下人さん。プライマリーとセカンダリーを入れ換えていました。修正しました。ありがとうございます。

宮崎人さん。本質的な疑問ですね。私も考えてみます。

https://www.youtube.com/watch?v=Qge71tekM_E

 青山繫晴氏が、北朝鮮とアメリカの戦争は確実に起こるということを言っております。また、住民が危険を避けるための避難訓練などについても説明しております。

今朝の虎ノ門ニュースも観ましたが、確実に起こるではなく、明日起きても不思議ではなく可能性がどんどん高まる、と青山氏は言っています。
私達は固唾をのんで仕様や次の打ち上げがいつか攻撃がいつか見守るしかできない訳では決してないです。
jアラート避難訓練や地下道のシェルター機能強化。そして山路さんも書かれていた国内法整備と総連の資産凍結、改憲論議もですがスパイ防止法が急務だと思います。
スパイ防止法がないまま来年を迎えるのは私は嫌です。草案をまとめ直して成立すれば、公務員からの共産党へのリークが激減し、総連本部へも行動がおこせます。
どれも米国が攻撃しようがしまいが、中露が石油を止めようが止めまいが、日本人の危機感だけで国内でやって当たり前の事ばかりです。
だからこそマスコミは危険視するな安心してろ世界か抗議しているぞと毎日火消しし続ける訳です。
政府は情報を発信しています。テレビが伝えないだけで。
曰く特定秘密保護法以降、米国から機微なデータをもらえている、
曰くテロ等準備法追加以降、シーシェパードが撤退声明するなど、外国人による暴力行為の抑止に役立っている。
そして何よりもBBCや海外の主要国メディアから日本の武装強化への否定的な記述が消えました。

今だからこそ、政府は慎重になっているのでしょうが、傍観や実利のない空論で1日先送る事で自分だけでなく子や孫の死のリスクも高まっていく事を、何となくアベ赦さない集会に行ったり何となく反戦してる人達は噛み締めて欲しいです。

日本の平和と不戦の誓いの為にも改憲して自衛隊法改正が必要、という共通認識を避難訓練しながら老若男女で持ちたいです。

誤解がありそうなので追記しますね。
本記事シリーズのような具体的な北の戦略読みや武器の情報解析は勿論重要で、その上でできることと言ったら、というコメントをしたものです。

 そうなんですよね、政府は国民に必要と思われる情報はちゃんと出してます。
平和安全法制や特定秘密保護法もしかり、発効とほぼ同時に効果が出てるのです。

 スパイ防止法もなく軍事攻撃が行われるなら、日本はミサイルを喰らわないとしても、ゲリラ活動による戦場に陥る危険性が大きいです。
朝鮮戦争時の日本国内の混乱の経験を忘れるわけには行きません。
 またぞろ出てきた徴用工問題や、関東大震災における朝鮮人殺害事件などのフレームアップも、まるで無関係とは考えられません。

日本政府のやる事は、まず国内を固める事。
 そのうえでブログ主様が言われるように、拉致被害者救出に資するなら、その時の判断で安倍さんは北に行くなら行けばいい。
 そういう機会をためらう安倍さんではないでしょうし。

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