• 20250119-145554
  • 20250119-142345
  • 20250119-142345_20250119150101
  • 20250119-150249
  • 20250119-152051
  • 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014

« ニュークリア・シェアリングは消去法の産物だ | トップページ | 核武装した北朝鮮と共存していく道はあるのか? »

2017年9月10日 (日)

ニュークリア・シェアリングは米国が反対するでしょう

Dsc_0336
野暮は大の承知で、アホンダラ1号さんのコメントにお答えしておきます。

「日本の技術の総力を挙げて、半径50km地下1000kmまで、核兵器自体が地面を掘り進めて完全破壊する新型の核バンカーバスターを研究検討しています、どうだ、ザマーみやがれ!」とか言ってやればいいのに・・・」

アホンダラ1号さんのコメントはいつもすごくおもしろいのですが、今回は笑えませんでした。 

日本はいままで歴代1960年代から1990年代の30年間、その年代ごとに、繰り返し核武装について議論を続けてきているのです。

その意味で三味線は弾いていた過去があります。

だからいまでも欧米の識者には、「日本は数カ月ていどで核武装可能だ」という意見がでるわけです。

1970年代には中曽根氏が正式に防衛庁に研究させたことすらあります。

勘違いされるかもしれませんが、この研究は「できないことを立証する」ためにやられたのではなく、「核保有するにはどうしたらいいのか」を前提に研究されたのです。

この経過については、杉田弘樹『検証非核の選択』を参照してください。

最大の障壁は以下だとされています。

①現在の核不拡散の条約的根拠である、NPT体制を日本が主導して破壊することになる。

②米国の核の傘からの離脱を意味し、日米同盟の分断を日本が主導してしまう。

③周辺国との摩擦の激化。

④国内政治的な摩擦の激化。

以上を踏まえて、当時の日本政府はコストに合わないと比較衡量したのです。

ですから、今改めて日本が深深度核バンカーバスターを開発すると「三味線を弾く」となると、まずその根拠から考え直さねばなりません。

だって三味線を弾くにも、初めから諸外国に見透かされていては意味がありませんもんね。

では改めてなぜ、現状の北朝鮮が日本にとって巨大な脅威なのでしょうか? 

中国も北など及びもつかないほど大量に核兵器持っていますが、その中国ですら、核兵器は通常兵器のサブ的位置づけなのです。

通常兵器が米国より周回遅れだから、核兵器で補うという発想です。冷戦時のNATOもそうでした。 

しかし北朝鮮は違うのです。かつてこれほど真剣に核兵器を国是として追及した国は、毛沢東時代の中国ていどしか思いつきません。

Photo

そしてその毛は、フルシチョフに核兵器技術の供与を要請し、こう言ってのけたそうです。

「世界が死んでも、中国には3億残る」

フルシチョフは驚倒し、絶対にこの国核技術は渡さないと決意しました。

そしてそこから毛の、「パンツをはかないでも原爆を持つ」という「苦難の行軍」が開始されたというわけです。

毛が最初の原爆実験を、東京オリンピック開催期間中にぶつけたのは偶然ではありません。

その中国もいまや肥満した超大国におなりになって、贅肉がつきすぎました。もはや通常兵器による領土拡張しか考えていないでしょう。 

その意味で、中国の核はまだ「理性的」と言えて、いわば「飼い馴らされた核戦力」、つまり相互破壊確証の範疇で考えられるのです。 

だから、米国の核の傘論・拡大抑止論も有効に使えます。 

Photo_2
では北朝鮮に、この核のパワーゲーム理論があてはまるでしょうか。残念ですが、厳しいと思います。 

理由はお分かりですね。中国さえ「民主的」にみえるほどの極端な個人独裁であり、しかもその男は病的なニュークリア・パラノイアに罹っているからです。 

米国内でも、かつてのソ連や中国と結んだ核のゲーム理論が通用するという人たちがいます。 

彼らは「なに、心配ないさ。今の状況はかつてキューバ危機前と同じで、そこを通過すれば安定した状況になるさ」と言います。 

米国の賢者には生憎ですが、私はそう思いません。正恩は「冷静な狂人」だからです。そして習と違って、失うものが少なすぎるからです。 

自分の命と引き換えに、北朝鮮国家を、いや世界を道連れにしかねない人物だからです。

正恩が、父親の正日に言った言葉が残っています。

「朝鮮がない世界など滅びるがいい」 

たぶん正恩は、今でも本気でそう思っているでしょう。

彼は世界を北朝鮮と共に地獄に落してもかまわないと思っているはずで、その「北朝鮮」とは、つまるところ金正恩自身のことなのです。

では、米国はどう考えているでしょうか。 

米国はニュークリア・シェアリングに反対するでしょう。軍事の素人のトランプがうんと言おう、マティスやマクマスター、ケリーなどの軍事専門家は強く否定するはずです。 

なぜならば、ニュークリア・シェアリングは冷戦期の古臭い核戦略概念だからです。

今の欧州でも止める寸前ですし、その必然性について懐疑論が常識化しています。 

まず米国にとっては核兵器の進歩で、かつてのように同盟国に「持ち込む」必然性が消滅しました。 

核巡航ミサイル・AGM-129空中発射核巡航ミサイル(ALCM)の射程は3400㎞あります。 

ですからそれを搭載するB-52やB-2戦略爆撃機(B-1は核を搭載できません)は、北朝鮮を攻撃する場合、遥か海上から発射するだけで済みます。 

わざわざ、同盟国を刺激して「持ち込む」軍事的合理性など、皆無なのです。 

しかも日本は北朝鮮の中距離弾道ミサイルの射程範囲内ですから、なおのこと「持ち込む」意味がありません。 

あとは潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)ですが、これはもう説明する必要がありませんね。 

先日、巡航ミサイル搭載原潜が釜山に寄港したのは、デモンストレーションにすぎません。第一これは通常弾頭です。 

米空母には初めから核は積んでいません。

つまり米国のほうから日本に「持ち込む」必然性は、限りなくゼロなのです。 

仮に安倍氏が日本国内の反対論を抑えて米国に要請しても、米国は韓国に答えたようにしか答えられないはずです。

「米国防総省は『わが国の核兵器の配置について言及するのは不適切だ」(マニング報道官)としてこの問題にはコメントしない立場を貫いている。
一方、米制作研究期間『太平洋フォーラムCSIS』の会長で核問題の専門家のラルフ・コッサ氏は『韓国へ戦術核の導入は国内の反米勢力の猛反発を招き、韓国の対北制作の亀裂を深めるのは確実で、北朝鮮のおもうつぼともなる』と指摘する。
また配備された戦術核自体が北朝鮮の通常兵力や破壊工作の標的となるのは確実で、管理のためのコストが膨らむのは必死である」(産経9月8日)

つまりは、「余計なことを考えずに、米国の核の傘を信じなさい」ということです。

というわけで残念ですが、もっとも現実可能性が高いニュークリア・シェアリングも、米国の拒否に会う可能性が9割9分といったところです。

だから私は、B-2がたまに日本に飛んで来るローテション配備ていどがやっとだと思っています。

それすらも東京新聞や朝日が発狂するでしょうが、その場合、米国にお約束の「わが国の核兵器の配置について言及するのは不適切だ」と言ってもらえばいいのです。

実際、かつて米海軍空母に核が配備されていた時にも、そう言い続けてきましたからね。

浅学非才の私には、現状それしか思いつきません。

■日曜写真館は休載します。

 

 

« ニュークリア・シェアリングは消去法の産物だ | トップページ | 核武装した北朝鮮と共存していく道はあるのか? »

コメント

米国のアクション分析はその通りだと思います。
しかし日本国民のリクエストというのは、それとは別に常にあってよいし、70年封印していた紐を結果が見えない限り解かないというのはおかしな話です。

65%が核武装容認というアンケート結果が出ている韓国とまではいかないとしても、日本でもし4割でも容認が出たら、それこそ世界が居住まいを正すでしょう。
ブチ切れたら本当にやってのける伝説は、実は日本が本家認定(海外の勝手な誤解なんですがね)なんですから。何十年も吠えてる金一族より人知れず堪忍袋に何か溜めている私達の方が、外から見たら危険で不気味なんです。

アホンダラ1号さんの話はいつも面白いんですけど・・・
現実的に、管理人さんが仰る終盤のB-2ローテーション配備くらいがせいぜいだと思います。それもこちらから要請する形でです。

この問題はなんとも無図痒いのですが、敵国(政治的にはせいぜい仮想敵○ですけど)が近くにあって核もミサイルも持ちつつあるというのが事実なのです。

そりゃ、現実逃避したくもなりますよね。
私もそうですし。諦め感ですね。
では、実際に核攻撃受けたらどうするのか?
核攻撃されないように、どうするのか?ですよね。
もちろん、まずは外交ですけど。「アメリカさんお願いします」と言っても思うようにならない。中国との関係もあるし。

軍事的に考えたら核武装によるMAD能力取得は無理として、当然スタンドオフ兵器による敵策源地攻撃能力の付加となります。あと勿論迎撃能力。

ところが先日安倍総理が「敵地攻撃能力は持たない」と答えてしまいました。そこで私はゲッソリ。おいおいそこはボカシといて若手の適当な議員にでも言わせとけ!と。
続く報道で叩かれて、そんなことやってるうちにミサイル飛来ですよ。警報鳴りましたよ。
なんですか?ホリエモンとかテレビのコメンテーターが「そんなんで起こすな」とか「軌道くらい知らせろ」とか騒いでるのにさらにゲッソリです。
あまりの危機感の無さ(別に煽ってる訳ではないっすよ)に呆れてもうポワーっとしてます。
自らそれこそ酒飲みながら話して仲良くなれればそれでいいという、大嫌いな拳法9条堅守左翼連中みたいになってきたな。いよいよヤバいなあ・・・と。

皆さま。冒頭を大幅に削除して、新たに書きかえましたので再読ください。

前にコメントしていた高橋洋一氏の核シェアが現代の記事になっていたので一応貼っておきます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52857
雑誌にも床屋にもネットにも、独自核武装是非も併せて口の端に上ることが、北へというより、国内の一部勢力への圧力になると私は思います。

ふゆみさん。ありがとうございます。よみました。隔靴掻痒ですね。もっと突っ込まないと・・・。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ニュークリア・シェアリングは消去法の産物だ | トップページ | 核武装した北朝鮮と共存していく道はあるのか? »