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« 首都の国際空港から弾道ミサイルを発射する国 | トップページ | 中朝同盟は維持されていると見るべきです »

2017年9月 1日 (金)

北朝鮮の戦略を読む

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今、現在進行中の事態を確認しておきます。 

北朝鮮の独裁者金正恩は、弾道ミサイルの発射目標をグアムに設定し、その周辺に複数の弾道ミサイルを打ち込むと宣言しました。 

またそれとほぼ同時期に、日本を「焦土としてやる」とも言っています。 

このような北朝鮮の一連の行動は、状況の限定的エスカレーションと呼びます。 

そして北朝鮮が先日の8月29日早朝に、中長距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」を発射しました。 

いままで5回ほど列島越えをしていますが、今回のように始めから軍事目的だとした上での、発射は初めてです。 

防衛省によれば、北海道の渡島半島と襟裳岬の上空を太平洋に向けて通過、水平距離2700キロを14分間で飛行し、最高高度は約550キロに達しました。 

高高度なために領空侵犯には該当しませんが、国連安保理決議違反であり、重大な挑発です。 

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留意していただきたいのは、3点です。 

ひとつはあえて、弾道ミサイルの射程を短くした可能性があることです。この「火星12」がグアムに着弾するには、直線で約3300km飛ばなければなりませんが、今回は2700kmで落ちました。

原因は不明ですが、推測するなら三分解したことから分離の技術的失敗か、あるいは、政治的な意図です。

政治的意図だとすれば、現時点で米国を過剰に刺激しないために、ここで意図的に「落した」のです。

もう一点は、平壌国際空港滑走路から発射したことです。

もしこの弾道ミサイルがグアムを標的にしていた場合、米国は即応で反撃します。

その場合、外国民間機、あるいは民間人に被害が及ぶということです。北朝鮮はおそらく、このような米軍の反撃を「民間人を標的にした無差別爆撃である」と主張するでしょう。

つまり、このような発射地点を選ぶということ自体の政治的意味は、「全面戦争のハードルを一気に下げるぞ、いいのか」ということになるのです。

3点目は、これが日本を標的にしたことです。

正恩は醒めた狂人です。マッドマン・セオリー(狂人理論)を演じられる、政治的狂人です。

一見狂気に満ちた行動をとりますが、一定の戦略目標に沿ってやる狂態だから始末に悪いのです。

それは林吉永元空将補によれば、その目的は以下です。

「金正恩の選択は、米国相手に引き分けの「名誉」と「代償」を得ることである。選択は、米国相手に引き分けの「名誉」と「代償」を得ることである。
代償の第1が「現体制維持」、第2が「核兵器保有の認知」、第3が「国際社会における地位の向上」、第4が「無償経済援助」ではないか。思いが叶えば暴力国家の面目躍如である」(Foresight2017年8月30日)

北朝鮮はこの目的を達成するために、金王朝三代の時間を費やしてきました。

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金家にとって、毎夜うなされる悪夢があります。

蜂の巣になったルーマニアの独裁者チャウシェスク、排水管を逃げ回って撃ち殺されたリビアのカダフィ、そしてテレビ中継で裁判にかけられて絞首刑になったイラクのフセイン。

独裁者の惨めな最後です。

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ここから金王朝三代の悲願が生れました。

独裁者たちがこんな無残な死を遂げたのは、米国を脅せる核を持っていなかったからだ。ならば人民が食えなくとも核を持ってやる・・・。 

そして現在、すでに北朝鮮は日本に到達できる核ミサイルを多数保有しています。 

北朝鮮はいきなりグアムをねらうことはないでしょう。順番を踏むはずです。 

まず、北朝鮮が戦争を開始する場合、ノドンのような射程の短い中距離弾道ミサイルから使います。 

そして米国に攻撃を停止せねば、グアムを直接標的にするぞ、と警告するでしょう。 

つまり、真っ先に攻撃されるのはわが日本なのです。韓国は後に南北統一した場合に、同族を核攻撃したら処理がやっかいですからしません。 

この日本を標的にして米国に譲歩を迫る戦略を、今回も北朝鮮はとったことになります。

8月29日の弾道ミサイル発射は、北朝鮮が米国に対して、「全面戦争は辞さないが、今はこのくらいにしておいてやる」と言ったことになります。 

さて、今よくメディアで「北朝鮮と対話をしろ」と言っている孫崎享氏などにお聞きしたいのですが、これもまた広い意味での「対話」ではありませんか。

空母打撃群を朝鮮半島水域に遊弋させているのは、軍事オプションも辞さないという米国の意思表示です。

一方、北朝鮮が「火の海にしてやる」「戦争を教えてやる」などと叫びながら弾道ミサイルを撃ちまくるのも「オレを核保有国として認めて、さっさと妥協しろ」と言う意思表示です。

米朝はただいま現在、アグレッシブに「対話」をしているのです。

孫崎氏のような外務官僚出身には言うまでもないことのはずですが、このように二国間関係においてすべてのふるまい、言辞は「対話」です。

孫崎氏が言う狭い意味での「対話」、すなわち交渉会談で、米国が北朝鮮と一体なにを話しあえというのでしょうか?

マティスと正恩が抱き合って、「さぁ、共に肩を組んで平和な世界を築こう!」と言うとでも夢想しているのですか。

仮に孫崎氏が熱望するような狭い意味での「対話」、すなわち交渉会談がもたれるとしても、米国は、間違っても「グアムを撃たないでくれ」などとは言いませんよ。

言うならば、「北朝鮮の核弾頭、及びその製造施設を廃棄せよ」しかありえないはずです。

逆に北朝鮮も、「われわれを攻撃するな」などと口が裂けても言いません。言うならば、「米国は韓国から撤退し、いかなる敵対行為もとらないと確約しろ」といったところでしょう。

この両国の主張の妥協点はありません。

したがって、妥協点がないまま交渉は膠着状態になり、結果的に現状を固定することになります。

これだけでも北朝鮮にとっては大きな収穫で、正恩は「世界一の強国相手に妥協を勝ち取ったぞ」と宣伝するでしょう。

あるいは、ムン・ジェインというピエロに花を持たせて、わずかばかりの妥協の仕種をしてみせるかもしれません。

あの馬鹿な男にはその程度の使い道しかないと、正恩はわかっているはずです。

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ほんとうにこの話しあいに「成果」が出るなら、それはスーザン・ライスのような「北朝鮮の核容認論」であって、それは日米同盟への重大かつ、致命的な裏切りとなります。

ちなみにライスは、南シナ海で習に外交的敗北を続けた札付きのパンダ・ハガー(※)です。※米国の政治スラング。パンダに抱きつく者。中国の外交に盲従するの親中派の意味。反対語はドラゴンスレイヤー。龍を殺す者の意味。

日本の有名なパンダ・ハガーである高野孟氏は、北の核を容認するところから外交が「始まる」と言ったそうですが、高野氏におかれましては、ぜひ頭のネジを修繕することをお勧めします。

北朝鮮の核を容認するということは、裏返せば日米同盟が米国の裏切りによって崩壊し、分断されたということなのです。

すなわち、それはここから外交が「始まる」のではなく、外交の失敗の「結果」なのです。

さらに、日米同盟の崩壊が何をもたらすのでしょうか。

端的に言いましょう。それは日本が米国の核の傘から離れて、一人立ちした核保有国を目指すということです。

ここに戦前によく似た構図が誕生します。

日本にとって米中露朝、そして韓といった敵対諸国に包囲された軍事強国を目指すオプションが現実味を帯びてきます。

いったい高野氏たちのような左翼リベラルはわかっていて、こんな危険なことをしゃべっているのかと思います。

地獄への道は、平和主義者たちで敷きつめられているのかもしれません。

いずれにせよ、わが国は今、岐路に立っていることだけは確かです。

 

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コメント

 様々な報道や多くの解説を読みましたが、本記事ほど、簡潔で分かりやすく中身の濃い「腹に落ちる」分析は見ませんでした。
 情報や論説の収集から選択まで、えらいご苦労されて書かれた賜物と感謝いたします。 正直、さすが年季が違うなぁと感服しきりです。

 さて、昨日ueyonabaru さんが疑問を呈しておられました、
≫「習近平は北の核保有を認めているのでしょうか、私は疑問があります。どのようなメリットが中国にあるというのでしょうか?」

今日の記事を読んで、答えではなくこの「問い」自体が非常に重要と考えました。
 
 なぜなら私には、北が米国に対して断末魔的ではあるけれど、「強烈なラブコール」を送っているようにどうしても見えてしまうのです。

 正恩の立場に立って考えてみると、習の在り方を見て中共の覇権主義は近い将来、米国よりも苛烈なかたちで必ず北朝鮮に向けられるのは自明だ、と考えた結果の行動である部分が相当あるのではないかと。

 核所有容認前提での会話など論外ですが、ロシアやEU諸国が表面的にでも中共に乗っている現状で駒にならないとすれば、水面下のチャンネルを構築する以外なく、それでもなければ日本外交として「体制を保証する」という意味で、正恩と安倍総理の直接的接触もありうるかも知れません。
 
しかし、そのような動きが表面化した場合、必ず中共は邪魔するでしょう。
そもそもの間違いは、朝鮮戦争史観にとらわれすぎて北朝鮮を中共に委ねた所から始まっていると考えるものです。


 山路さん、ご返答ありがとうございます。
 
> なぜなら私には、北が米国に対して断末魔的ではあるけれど、「強烈なラブコール」を送っているようにどうしても見えてしまうのです。

 なんだか、そのようにも考えられます。しかし、よく分かりません。

 先ほど友人と北朝鮮問題について議論しておりました。友人は中朝同盟が気になる旨のことを言っておりましたね。

 この同盟はもはやかつてのような重要な意味は持たないと私は考えております。当時の中国は共産主義を理想としており真剣な気持ちで朝鮮戦争に参戦したのでしょうが、今は違うと思うのです。共産主義の理想を求めるのではなくて大中華主義が中国の国是となった感じです。自国の勢力の拡大に執心しておりますね。ですから、北朝鮮にも今後どんな仕打ちをするのか分かったものではありません。

 中国は南シナ海の領有権を主張したいようですが、これは実に乱暴なことです。アメリカがこれを許容することがあり得るのでしょうか? オバマ時代の失地をトランプ大統領は回復しようと今後行動するでしょうか?

> 正恩安倍総理の直接的接触もありうるかも知れません。

 これについては、今はひたすらにトランプ大統領の動きを見てゆくべきだと思っております。国益のためなら、首相はなんでもやっていいとは思いますが・・・・・。
 

アメリカは自国の安全のために北朝鮮を攻撃できるというのは一つの正当な理屈だと思います。アメリカは北朝鮮を攻撃する可能性はあるということなんですね。

しかしまあ、核兵器を持つという事は、なんて素晴らしい
事なんでしょう!北朝鮮が今度の試練を乗り越えて、つい
に世襲制独裁国家の安全保障を手に入れたなら、そらもう
他国も押し寄せるようにして核を持とうとするのはガチ。

売れるでしょうね、MADE IN NORTH KOREA の核製品群。
経済も立て直す事が出来ると思います。

そんなこと覇権国家USAは絶対に許せないハズですから、
攻撃する口実を探しているだけ。前から思っていること
ですが、それは同盟国日本の大被害だと思いますわ。

なにかにつけて米国が「同盟国と共に・・」と強調するの
がコワい。真珠湾やらトンキン湾やら、民主国家らしく
世論を大切にする国です。日本でもモリ・カケ騒動で世論
の恐ろしさ・いい加減さ・熱狂度をさらけ出したところです。

中共は、最初は利用してやる小者がモンスター化してしまい、
ジョンウンを大嫌いになったのでは?マジ北京に撃ってこない
とも限らないので、ジョンウンは消しておきたいが北朝鮮
国家はそのままにして、中共の支配下に組み込みたい。
しかし、ジョンウンは米国によく噛み付いて頼もしいので、
まあしばらく様子見で・・

ロシアは口だけ出しておいて当事者を装い、最後の最後に
出兵して取れるものはみんな取ろうとしてる様子。

あっ、最後に韓国。核兵器こそ使用されないと思いますが、
通常兵器でボコボコでしょう。一番当事者意識に欠けている
国だからです。まあ、日本が存在する限り言い訳はいくら
でもできますからねぇー

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