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山路氏寄稿 沖縄選挙戦に見る沖縄自民党の問題点その1

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山路敬介氏から今回の沖縄選挙戦の分析レポートをいただきましたので、2回にわけて掲載させていただきます。鋭い論考ありがとうございました。

なおタイトルと小見出しは編者がつけたものです。

                 ~~~~~~~~~~~
 

              ■沖縄選挙戦に見る沖縄自民党の問題点その1
                                          山路敬介

■「訴える力」なき沖縄自民党 

 
今回の衆院選で沖縄県において自民党は二議席減。 「半減」ではあります。

本土の状況に比べれば沖縄自民は「惨敗した」ように言われる場合もありますが、そうでもなく、「4:4が3:2になった」という数字通りにとらえれば良いのだと思います。

注目点は翁長県政誕生の陣営の基盤であり、その象徴でもあった仲里利信氏が敗退した事です。
 

この事について10月23日の沖縄タイムス二面の解説では「オール沖縄の勢い堅持」と提灯をつけながら、「オール沖縄の「保革を超える」という言葉の根拠は薄れつつある」とし、今後「オール沖縄内の革新色が濃くなる傾向」、と指摘しています。

今後の県内政治に与える影響はどんなものになるか? 私も沖縄タイムスの見解とおりになると考えています。

その四区での沖縄自民党はたしかに一矢報いましたが、私が知る四区に限らず、その戦い方は「仲良しクラブ」的で面白くなかったし、散慢で刺激的要素もなくアピール度の乏しいものだったと感じられた支持者が多かったようです。

私自身も最後までイマイチ高揚感がなかったです。

こういう選挙は「悔しさ」を持続出来ず、再起を期す意味でも「次」につながりません。

もっとも、そうした傾向は今に始まったものでもありませんが、民主党政権が終わり自民党政権になってからでも続くこの傾向の意味は、沖縄自民党に「重大な何か」が欠けているからです。

米軍犯罪や事故などの逆風はあります。 

そういうものに一々打ちひしがれ、またそれを言い訳として順次「訴える力」をなくしてしまっているのが沖縄自民党の現状だろうと考えます。

ところで私の記事での選挙予想は大幅に外しましたが、それは開票前一週間より以降はヘリ事故の影響が収束するどころか、日を追って刻々と自民党に逆風となって増大・拡大してしまった事が読みきれなかったという事になるでしょう。

■「オール沖縄」批判を回避しようとする沖縄自民党 

しかし、自民党の敗退の原因はそれだけではありません。 

この選挙に限らず以前から沖縄自民党は特に後半の選挙戦に弱く、目先の勝ち負けに対して淡白にさえ見えるし、「戦い方」そのものに関しても重大な欠陥があるようです。

自民党は前回選挙の反省として流れ出した組織票を固める事には尽力をしておりましたし、その点は一定の効果は見られたと思います。
 

しかし、浮動票や無党派層の流れが終盤に来て前回以上にほとんど相手候補に行ってしまったように感じます。 

この「弱さ」の原因は、常に基地問題を前面に出される事に対する「沖縄自民党の対処の仕方」に根本があると考えられますが、一方では対立を回避する「甘さ」がどうしても感じられてしまうのです。

安倍総理は「愚直に政策を訴える」を表向きのスローガンにしましたが、池袋や秋葉原での演説では壮絶なまでの民主党政権批判を展開しました。 

彼我の違いを鮮明にし、それを選挙人の植え付け徹底的にすり込んでいったのです。

選挙戦はひとつの「物語」です。こうした訴え方は終盤に行けば行くほど熱くあらわに、聴衆との一体感を演出して実際の投票行動まで導くべきなのです。 

こうした緩急自在、応援弁士と自民党総裁としての「使い分け」などは、選挙の戦い方、有権者心理を熟知しているからこそで、非常に感心させられました。

「共通の敵を作って、味方の同質性を作り出す事が政治の本質」(カール・シュミット)であるならば、沖縄自民党の戦い方は最後まで「オール沖縄批判」を手控えた「おぼっちゃま風」の腰の引けたものであったと言わざるを得ません。
 

なにも候補者本人が相手を批判するのではなくともいいのですが、次から次へと出る弁士皆が皆、誰も相手を批判しないのでは気勢も何も上がりはしません。

沖縄において自民党はチャレンジャーなのであり、政策を云々する以上に「断言」や「反復」、「感染手法」等あらゆる手段を駆使し、相手批判を展開して「粉砕」すべく努めなければならない局面であったはずですが、最後まで「政策を愚直に訴えた」だけの官僚的な「言い訳選挙」に終始しました。

沖縄の有権者には風変わりで不合理な部分があって、オール沖縄側に常に投票する人々にあってさえ、「辺野古を阻止できる」と考える人は実は非常にまれです。
 

「辺野古絶対阻止」がオール沖縄の公約で、そんなものは最初から実現しようもないものだと分かっていて「一票」を投じているという事実が重要なのです。

その意味はおもに、翁長知事が言うような「言いようのない米軍基地への反感」などではなくて、「沖縄自民党が辺野古推進へと寝返った」と考える事で生じた自民党に対するマイナス感情、あるいはもっと言えば、家父長的権威を失った者への侮蔑的感情が育ってしまっているから自民党は弱いのです。
 

「辺野古移設の善し悪しの問題」ではとっくにない、のです。 

                                           (続く)


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沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

 山路さんの論考、正解だと思います。

 東京における首相の熱烈な演説のことは知りませんでした。沖縄でも、対立軸を明らかにして県連は戦うべきですね。

 国防問題を取り上げていただきたい。また、沖縄戦の位置づけも県民の課題であり、ここも乗り越える必要がありますね。

投稿: ueyonabaru | 2017年10月27日 (金) 13時05分

へり事故の影響については事故そのものや、「米軍機はやはり危険」といった感覚的なものより、事故後の対応の方が問題だったのだと思います。冲国大での墜落事故の時と全く変わっていない、ここは一体どこの国なんだという怒りです。

ヘリ事故の時にヘタレてないで、「こういう事態が人口密集地域で起きないようにするためにも、早急に移設すべき」と堂々と主張すれば良かったんですよ。普天間移設がいよいよ現実となってきたらオール沖縄の存在意義は自然と薄らいできます。自民党は早急な移設を主張すべきです。その方がその先を見据えた未来を語れるというもんです。

沖縄は「防衛の島」にならざるをえない。それは沖縄がここにあるからです。日本という国の防衛のためには沖縄の防衛を一義に考えざるを得ない。自衛隊だけでは不可なので米軍も当面必要です。我々でできることはします、しかしそれではあまりに不十分なのでそのため御助力くださいとでも主張した方がいいのではないでしょうか。沖縄がさらに発展し守るべきものが増えるほどに自力で己を守る意識も強くなるでしょうし、自力で無理なことは正当に要求すればいい。

沖縄の最先端を突いてくる勢力がいるのに、そちらの非難はせず、日本に不平不満ばかり述べるのはおかしいです。薄々気づいてきている人も増えてきたとは思いますが、何故オール沖縄になびいてしまうのか。沖縄県のトップやメディアがこぞって「沖縄が日本に蔑ろにされている」という空気を意図的に醸し出しているからだと思います。そんな澱んだ空気を洗い流すためにも、沖縄自民ははっきりと、移設容認を主張し、その先の具体的な沖縄振興を見据えた議論を真向から相手に挑むべきだと思います。

前にも書きましたが、最近は米軍という存在がなければ先島あたりは今頃日本じゃなかったかもしれないと思うようになってきました。

ちょっと吐き出したくなりまして、長々と駄文失礼しました。

投稿: クラッシャー | 2017年10月27日 (金) 15時43分

山路さんの寄稿論に対するコメント、長々と書いたのに消してしまった。ショック。

大部分はクラッシャーさんと同じなのでここでは省きます。
少々付け加えとして、沖縄自民は根性が足らんというか、覇気が足りない。
嫌われる根性、心を鬼にする根性も足らん!

まだ選挙の結果で心が荒んでます。 
あの、土井たか子のお膝元である神戸でさえ、社民共産は全滅なのに、玉城デニーまで通った沖縄ってことでショックでした。

投稿: やもり | 2017年10月27日 (金) 15時56分

クラッシャーさん

>前にも書きましたが、最近は米軍という存在がなければ先島あたりは今頃、日本じゃなかったかもしれないと思うようになってきました。

終戦直後の話ですが、中国の人民解放軍の軍用機が前の石垣空港に不時着したことがあったそうです。たまたまいた米軍機に追っ払われたそうですが。

投稿: やもり | 2017年10月27日 (金) 16時26分

 クラッシャ-さん、駄文ではなくて名文であります。そして正論です。

 ともに国家の安泰のため努力精進してまいりましょう。

投稿: ueyonabaru | 2017年10月27日 (金) 18時10分

沖縄自民が翁長知事とオール沖縄をストレートに批判したら、有権者はどんな反応を取ったのか。
都民の私からはちょっと想像がつかないので、明日の続きを読んで少しでもわかればと、お待ちしています。

>安倍総理は「愚直に政策を訴える」を表向きのスローガンにしましたが、池袋や秋葉原での演説では壮絶なまでの民主党政権批判を展開しました。
毒舌は麻生氏が吐ききってましたね。
安倍氏もホームファイナルという事で語調は強くなりましたが、
政策を訴え実績を出した私達に比べて野党はなんだ!離反を繰り返して一見民進、という様に本筋にくっつけてのものでした。
山路さんがお書きのように、それは秋葉原最終日がホームで自分達が与党だからこれ位のトーンだったと思います。
沖縄でチャレンジする場合、敢えてこの秋葉原演説論法をなぞるなら、前半部分にあたる基地政策と実績を語り現沖縄与党を嘘つきと県民への裏切り者と断じる説得力が持てるなら、力強く言う価値があるのではと思います。
それは敵も明確にし自らを追い込むので、半端な責任感では取れない姿勢なのでしょう。

投稿: ふゆみ | 2017年10月27日 (金) 18時20分

沖縄自民が本気で戦う気が無いという意見はまったく同意です。

今回は比例順位も下げられ国場氏以外の復活当選すら出来なかった時点で自民党県連は中央からはあまり期待されていないという現実が見て取れます。
彼らに直接オール沖縄を倒してもらうよりも、このままじわじわと予算を削り取り「翁長では金を引っ張って来れない」という危機感を地元に植え付け内部分裂を狙っているのではないかと感じてしまいます。

当然その間、一番ワリを食う県民にとっては迷惑以外のなにものでもありませんが。

投稿: しゅりんちゅ | 2017年10月27日 (金) 20時27分

クラッシャー さんのコメは滲みましたね。
全く同感です。

私のヘボ記事も、こうした秀逸なコメに救われまる事度々。
ありがたいです。(拝)

また、 やもりが言うように「沖縄自民は根性が足らんというか、覇気が足りない。」って、軽い精神論に聞こえる方々もおられるんでしょうが、ホントの実感ですよ、これ。
「お前ら、やる気があんのか、アホ!」って言いたくもなります。(泣)

投稿: 山路 敬介(宮古) | 2017年10月27日 (金) 23時18分

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