小池新党 急いで成功しようとする人は急いで失敗する
snsnさんの第2回目は別にアップしておりますので、ご覧ください。今回も面白いですよ。
本質的なことはsnsnさんにお任せして、私のほうはやや政局的なことをテーマにします。
さてさて、当初総選挙を席巻するかと思われていた小池新党は、急速にその勢いを弱めつつあります。
理由はsnsnさんに習っていえば、小池新党の「支持基盤」がメディアだったからです。
小池新党は実社会の中に支持基盤を持ちません。
旧民進党のように連合という労組を選挙基盤にしているわけでもなく、自民党のように強固な土着的後援会を持っているわけではないのです。
あるのはフワフワとした「安倍がキライだ」というただの「気分」であって、それを醸成していたのはメディアでした。
こういう綿菓子のような芯がない「党」でもいったん風さえ吹けば政権を狙うことが可能だということが、今の政党制度のおかしさだというのは、snsnさんのご指摘のとおりです。
今、都議選でメディアが拝まんばかりにしていた小池観音は、慌てて「党」を作ろうとしたためにそこかしこでボロが噴出させています。
安倍氏は街頭演説で、解散初期の消費税の説明の失敗をとり返すべく、北朝鮮危機を全面に押し出しています。
首相はある会合で箴言のようなことを言っていますが、言い得て妙です。
「急いで成功しようとする人は急いで失敗する」 (読売10月2日)
まずなによりも、国民を呆然とさせたのは、哀れな民進党議員たちの集団転向でした。
The main rival to Japan's ruling party is really 'extreme rightist,' analyst( 米 CNBC)
いや~、私もさすが、百人を越える棄教の風景など見たことがありません。
私が悩み抜いて10数年かけて徐々にやってきたことを、わずか数日でやったわけですから初めは唖然、そして爆笑しました。
彼らが踏まされた踏み絵が下の誓約書です。
内容的には、小池氏の「保守思想」そのままですが、反原発が抜けた替わりに、5番目に「外国人参政権反対」が飛び出しました。
これは安保法制賛成以上に効くかもしれませんね。
微苦笑させられるのは、7番目の「党の指示する金額を提供しろ」という項目と、最後に「党の公約を遵守しろ」という項です。
公認候補に遵守条項つき誓約書を書かせるという党など、なかなか見られるもんじゃありません。
この誓約書にサインして、大量の民進党員が小池新党にどどっと流入しました。
「民進から合流する候補と希望独自の候補の選挙区を調整してきた希望の若狭勝前衆院議員と、民進の玄葉光一郎総合選対本部長代行らが3日、発表した。
若狭氏らによると、小選挙区の公認候補者の出身政党は民進109人、希望74人、日本維新の会5人、自由党3人。前職は56人、元職45人、新人90人で、全体のうち女性は35人。」(毎日10月3日)
若狭氏はちょっと前まで、立候補者数について「次の次の選挙で確実に政権交代出来ればよく、233人が必要とは思わない」(NHK)と言っていました。
金なし、党組織なし、支持基盤なし、なにより政策なしの千早城政党ですから、常識的にいきなり政権党を目指すのはあまりに無謀だと思ったのでしょうが、いきなり小池女史に否定されました。
小池女史の言い草がまた奮っています。「宝くじは買わないと当たらない」。そりゃそうだ(苦笑)。
なるほど、それでいきなり233名という目一杯背伸びした数を公認することに決めたようです。
となると固く「希望」独自候補だけで固められず、大量の集団転向組で水脹れすることとなりました。
その配分は以下です。
●小選挙区公認候補・・・191+比例区単独1名計192名
・民進党・・・110名
・希望独自・・・74名
・日本維新・・・5名
・自由党・・・3名
この面々について、安積明子氏は東経オンラインでこのように分析しています。
http://toyokeizai.net/articles/-/191632
「安全保障政策と憲法改正を踏み絵にした『政策協定』でふるいにかけたにもかかわらず、野党共闘派が残っていることだ。日本共産党と野党共闘を組むことに賛成していたということは、安保法制に反対ということ。小池知事の「排除の論理」どおりに選定したのであれば、希望の党に参加できるわけがない。」
(安積明子氏「希望望の党『「公認候補リスト』の残念すぎる面々」 本日は大変に参考にさせていただきました。感謝します。)
安積氏はその一例として、たとえば、どこからどう見ても左翼街道まっしぐらの人生だった櫛淵(くしぶち)万里元衆議院議員までもが公認をとったことを挙げています。
上の写真の中央でピンクのシャツを来て反アベのプラカードを掲げている女性が櫛淵氏です。
櫛淵氏はピースボートの元事務局長で、代表だった辻元氏の共同者でした。民進党最左派だった人物です。
「櫛淵氏もリベラル派で知られているが、希望の党の設立メンバーである細野豪志元環境相に近いために残ったと思われる。」(前掲)
細野氏と民進党内で昵懇だったために残ったとされています。つまりは、縁故です。
このような縁故人事は随所に見えます。
「身内」に対する優遇は露骨だ。たとえば東京7区に出馬予定の荒木章博氏。熊本県議の荒木氏は荒木千陽(ちはる)都民ファーストの会代表の父親である。
千陽氏の選挙区である中野区は東京7区に含まれる。いわば荒木氏は娘の地盤に降り立った落下傘候補といえるのだ。」(前掲)
もう恥も外聞もなく、バリバリの左翼だろうと、縁故者だろうと受け入れて、金を絞って選挙運動をやらせるということのようです。
しかし、これで肝心の選挙運動ができるのかと言えば、安積氏は「希望」の残念な選挙体制をこう報じています。
「希望の党の党本部は、何の準備もしていない。出馬するには戸籍謄本をとらなくてはいけないことすら知らなかった。このような状態で、我々は選挙を戦いぬくことができるのか」。ある候補者が頭を抱える。
実際、希望の党は選挙準備が全くできていない。筆者が入手した資料によると、10月1日現在ではポスターやビラなどの作成すら、とりかかっていない。ある前職議員も「希望の党は政党として全く機能していない。民進党の県連に全部任せるつもりのようだ」と述べている。要するに、しわ寄せはすべて民進党側にくるということだ。」(前掲)
結局、水増しされた「希望」候補者たちが頼りにするのは、あいも変わらず民進党の支持基盤だった連合というお粗末です。
しかし、あいにく連合ときたら麻痺状態で、分裂回避のために傘下組合に対して個別候補で判断しろといっているようですから、どうなりますことやら。
かくしてNHK世論調査の結果は、このようなことになりました。
●政党支持率
・自民党 ・・・30.8%(9月28日毎日調査 自民29%)
・希望の党 ・・・5.4%(同上 希望18%)
・民進党 ・・・3.9%
・公明党 ・・・3.8%
・共産党 ・・・3.3%
・日本維新の会・・・1.0%
・自由党 ・・・0.3%
・社民党 ・・・0.6%
どうやら、メディアが「小池首相」とまで持ち上げた小池観音への風は、ピタリと止まってしまったようです。
« snsn氏投稿 ニセモノ政治時代の終わり その2 | トップページ | snsn氏投稿 ニセモノ政治時代の終わり 完結 »
コメント
« snsn氏投稿 ニセモノ政治時代の終わり その2 | トップページ | snsn氏投稿 ニセモノ政治時代の終わり 完結 »
宝くじ、買ってもハズレが圧倒的の件。
投稿: ポテ珍3号 | 2017年10月 5日 (木) 09時08分
>「急いで成功しようとする人は急いで失敗する」
同意です。私も現実社会でそういう実例をたくさん見てきました。小池新党に吹く追い風も早々に止みそうですね。先ほど他サイトにて希望の党のHP紹介されてましたので拝見すると冒頭の動画に吹いてしまいました(汗)
希望の党HP→ https://kibounotou.jp/
snsnさんの記事も私のような者に対して大変解りやすくてありがたく拝読させてもらってます。普段は管理人さんやコメントの皆様のレベルの高い書き込みに単語をググりながら読んでいるので解りやすい言葉使いに感謝します。
最近の2本立て投稿、すごく楽しみにしていますが、管理人さんにおかれましてはお怪我の件もありますのでお身体の調子を優先なさってくださいね。
投稿: ナビー@沖縄市 | 2017年10月 5日 (木) 11時20分
今朝のフロント記事で示された小池新党の「政策協定書」を読み、小池氏の思想がはっきりと示されているものと思いました。小池さん、信念を貫き「希望の党」を是非とも推進していただきたい。原発の項目も消えたようですので、私としては歓迎だ。消費税凍結も歓迎したい。
写真に写っている玄葉氏は、外務大臣をしていた頃、沖縄の辺野古問題で氏が沖縄左翼の運動に対して苦々しい思いをしていることが分かるような発言をしていたこともあり、私は好感をもったことがある。また、細野氏については、当時の民主党内では左翼イデオロギ-に依らない普通の人間のように思えたことがある(細野氏の過ちは1ミリシ-ベルトを言い出したこと)。
小池新党問題により、左翼と右翼が明瞭になっていきそうな気がする。議論することのテーマがはっきりしてくるのだ。憲法は改正するかどうか、消費税は景気に影響するかしないかなど私たちは結論を出さねばならないのだ。
安倍さんの掲げる解散の理由である消費税の使途変更など笑止であり、憲法改正などを理由にしない解散をせずに本質をぼかすようなやり方が嫌いだ。
投稿: ueyonabaru | 2017年10月 5日 (木) 12時36分
ueyonabaruさん、希望の党の政策はこれとは全く違う(リセットされた?)公約が今朝流れてますよ。
9条についてはぼやけ、
幼〜高無償化、
ベーシックインカム、
金融緩和と財政出動に過度に依存しないコイケノミクス
消費税は凍結ではなくぼやかし、
議員報酬削減と国会の権限強化、
道州制実現
なんですって。こ、こいけのみくす!
ベーシックインカムはこんなんじゃ無理です。
細かいことはどうでもいいとか以前の問題ですね。ホント変な顧問ばっか付いてそうです。
投稿: ふゆみ | 2017年10月 5日 (木) 13時29分
ふゆみさん
情報ありがとうございました。確認はしておりませんが、そうであればとても残念なことです。
議員報酬問題など小さいものです。消費税と憲法改正をぼかすなどもってのほかです。
もう少し見させてください
投稿: ueyonabaru | 2017年10月 5日 (木) 13時47分
今回の選挙は今までにない魑魅魍魎とした感じがします。大義が無い解散と言われたが、メディアのせいなのか政策が話題になっていない気がします。希望の党と民進党の合流、分裂の話が中心になって、自民党が埋没しまっている感じがします。瀕死なると思われたリベラル派の立憲民主党がツィーターのフォロワー数13万を超え、燻っているような不気味さが感じます。
投稿: さばっち | 2017年10月 5日 (木) 19時40分
今わかっている範囲で見るかぎり、政策はブレーンの影響が強いように思われますね。
特に、唐突に出てきた道州制あたり。
あと、政治塾・党の集金システムとか、全体像が維新の国政政党立ち上げのときと非常に似ており、ネット界隈の在阪政治オタたちはツイッター等ですでにこれを指摘しています。
希望の党、特に小池氏主導というわけでもなく、むしろ維新と共通のブレーンが、相互連携を前提に仕掛けたのかもしれません。
そもそも小池氏に、是が非でも自ら国政復帰してやろうという気迫と執念が感じられるでしょうか。
よほど大勝ちできそうなら別として、基本は二足のわらじでよいというふうに考えているように私には思えます。
ここまではあくまでも憶測なので、とりあえず上山信一、橋下徹両氏、竹中平蔵氏、政策工房関係者あたりの直近の発言をチェックしておくとよいかも。
そういえば、自民の中でもなぜか菅官房長官が突出して小池氏を批判してますね。
なぜでしょうか。
ここらへんも、色々ありそうです。
投稿: 元大阪府民からの伝言 | 2017年10月 5日 (木) 21時30分
何か今回の小池騒動は、左翼排除、あるいは別の意味の出来レースのように思えてきました。
民進党代表選の時に、BSで「前原さんと石破さんは党は違っても、二人は鉄道マニア」って番組やってて、千葉のローカル線に乗って、ワンカップなど飲みながら仲良く鉄道談義してるのを微笑ましく思って観ていましたが・・・(^^;)
投稿: アミノ酸 | 2017年10月 5日 (木) 23時07分