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« 速報 北朝鮮ICBM発射 | トップページ | 北朝鮮「火星15」の発射についてその1 北の弾道ミサイルはどこまで進化したか? »

2017年11月30日 (木)

山路敬介氏寄稿 トランプ大統領は北朝鮮への武力行使を決断していない その3

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連載中に「火星15号」の発射という展開になりましたが、今回が最終回となります。 

秀抜な寄稿に感謝します。 

                  ~~~~~~~~~ 

トランプ大統領は北朝鮮への武力行使を決断していない その3
              ~ 北朝鮮問題は優れて「米中問題」でもある 
                                            山路敬介
 

承前 

■ 国務省派の正体 (なぜ「対話」は日本に不利か?)

「正体」などとは大げさなようですが、ヒラリー国務長官時代にこそ「アジアピポット戦略」を許容しましたが国務省の大勢の考え方はまだ「G2」であり、中国に対して緩やかにアジア全域の覇権の移譲を行う事が「世界の安定」と「米国の国益」に資する、との考え方を根強く有しています。

「国務省派」とは端的に言えば、「日米同盟」よりも、「米中関係を重視」する派だとも言えます。
そうした彼らが北朝鮮問題について何を言っていたか、それが何故中国と結び付くのか、ここを描きたいと思います。

スーザン・ライス(オバマ政権時の国家安全保障担当補佐官)
「北朝鮮の非核化は無理。そのための戦争を回避するために、アメリカは実利的な戦略として北朝鮮の核武装を受け入れ、伝統的な抑止力でそれを抑え、防衛力を強めるべきだ。」

ジェームス・クラッパー(オバマ政権時の国家情報長官)
「北朝鮮の核武装はそれを受け入れたうえで、コントロールする方法を考えるべきだ」

ロバート・ガルーチ(クリントン政権時の元米国務省北朝鮮核問題担当大使)
「制裁よりもまず最初に対話と交渉があるべきで、そのさい北朝鮮の核武装を容認すべきだ。北朝鮮の核武装も抑止は可能だからだ」


こうした言論に対し、現在の国家安全保担当障補佐官であるハーバート・マクマスター氏は、「明らかに北朝鮮には従来の核抑止(相互確証破壊概念)はあてはまらない。 

だから、ライス氏らの主張は間違っている。北朝鮮が一般の国家のような理性や合理性に従わない異様で無法な国家である事は明白で、米ソ間で存在したような伝統的な抑止は全く適用出来ない」と一蹴しました。

ですが、ミドルベリー国際大学のジェフリー・ルイス氏(東アジア核兵器拡散防止プログラム所長)らのグループは意気軒昂です。(そもそもこの人、本分の職責を全く果たして来なかったと思われますが)
 

「米国は現実的な方法で、たとえ公式な方法でなくとも北朝鮮が核軍事力である事を受け入れなければならない」と言い、つまり北朝鮮との間で「裏での核所有合意」をも排除するなと主張します。 

「核武装した北朝鮮を武装解除しようと試みるなど、狂気の沙汰だ。たとえ何人かの政治家にとって、その事実を認める事があまりにも彼らを無気力に感じさせるものであったとしても、だ。」と切って捨てます。

しかし、どのみち北の核所有を隠蔽しようなどと言う企ては困難な事です。沖縄相手とは違うのです。
 

北の「核開発の動機」は、そもそもアメリカからの武力攻撃に備える自衛の手段ではなく、「朝鮮半島の赤化統一」のためであって、その必要から「朝鮮半島から米軍を撤退」させる目的が発生し、さらにその目的の為に北朝鮮は万難を排し核開発に邁進したので、北朝鮮は機会を置かずに目的に着手するのは確実で、「隠蔽」はあっという間に顕在化して米国の無能が全世界に隈なく知れ渡る事でしょう。

氏の理屈は「主客転倒した理論」というか、「泥棒に縄を結わせる」式の滑稽な理論です。
 

このような理論は、演繹的に「絶対的に戦争を避けなければならない」という至上命題的地点から逆算して考えたところから誤謬が発生し、結果的に愚にもつかない「辻褄あわせ」に陥ったものでしかありません。

 

(あるいは、朝鮮半島から米軍を撤退させる事は中・朝・露の共通の利益となる事は明らかなので、そのような観点からのものかも知れません。)

ですが、氏のような東アジアの専門家が北朝鮮の核開発の意図を見誤るはずもありません。

ここで考えなければならないのは、こうした理論の裏側にあるのは「日米同盟軽視」や「米韓同盟不要論」に強く結びついているのだ、と言う事です。

この事の本質はすでに、「ありんくりん」11/13号の「北朝鮮が秘密交渉テーブルで主張している事とは」で、北核の「一部放棄」の問題として取り上げられています。 
少し引用します。

≫「はっきりと北朝鮮は秘密チャンネルにおいても「核を手放す気はないが、今後核装備の充実は考慮してもいい」」としている事。

つまり、
≫「米国に届くICBM開発は寸止めしてもいいが、開発済の中距離弾道ミサイルは保持し続ける」 という事。

≫「わが国はその射程にすっぽり入っていますから、今後北朝鮮の核の脅威の傘の下で永久に暮らし続けよ、という意味となります。」 、「逆に言えば、米国の核の傘はこれを防ぎ得ないほど無力であったということの告白ともなりますから、日米同盟は分断されることになります。」
 と、非常に重要な指摘をしています。
 

端的に言えば、対話による北核の「一部容認」で解決に舵を切りたい人たちや、国務省派の「核均衡」論者たち、ジェフリー・ルイス氏のような北核の「隠蔽」論者に至るまで、すべて日米同盟を毀損する方向に傾いているのです。

そして、中国は「今はまだ、米国とは決定的な衝突は避けなければならない」と考えて表面的には行動していますが、「G2」あるいは「太平洋の二分化」の実現、そのための(日本を含む)アジア全域に浸透する中国の「覇権国化」を必須の目標として隠しもせず、地域からの米軍の撤退を力強く目指しています。

中国の意思と動きは上記「国務省派」の意思とも合致しており、朝鮮半島問題の解決策を通しても顕著に現れていると言えます。

北朝鮮の「対話」による問題の落としどころは、ICBMの放棄と引換にした「朝鮮半島からの米軍の撤退」です。(この部分の武貞秀二氏の見解は正しいと思われます)
 

そうすると結局、国務省派や中国・北朝鮮の間ではもはや問題は解決済みで、リベラルから「伝統的米国主義」とも揶揄されるNSC派のみが抵抗しているといった図柄が見えます。 

■ トランプ大統領

ここのところホワイトハウスに繁く呼ばれているジョン・ボルトン元国連大使は、「中・露の妨害や不履行にあいながら一歩一歩進めていく経済制裁では、もはや間に合わず、軍事オプション発動を決断すべき時だ」としています。

マット・ポティンジャーNSCアジア上級部長は、「いかなる枠組みであれ、北朝鮮と公式の対話を始めると、必ずどこからか「制裁を緩めるべき」という圧力が掛かって来る。従って、制裁中にオープンな交渉をしてはならない」と国務省派を牽制しています。

トランプ大統領は、朝鮮半島問題に限らず現在の米国の窮地の原因を作ったのは、民主党・共和党にわけて考える事よりも、「(いわゆる)エスタブリシュメントたちのせいだ」と考えているようです。
 

そうした部分もあって、国務省派でないとしても上記二名のような意見に一致しているとも言えず、まして完全なNSC派とも言えないようです。 

今はただ経済制裁を中心とした「圧力」を徹底追求していく事のみに注力して、この先は予想出来ません。

制裁の成果は一にも二にも中国の動向にかかっており、そのためには「協力」という次元では最早難しく、どのように中・露を従わせるかに掛かって来ると思われます。
 

北貿易の9割を占める中国に言い訳はできず、「経済制裁は効果がない」とか、「締め付ければ暴発の危険がある」などとの主張に耳を貸すべきではありません。 

                         
                                   
                                                (了)

 

 

 

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コメント

>このような理論は、演繹的に「絶対的に戦争を避けなければならない」という至上命題的地点から逆算して考えたところから誤謬が発生し、結果的に愚にもつかない「辻褄あわせ」に陥ったものでしかありません。

全くその通りですが、日本でも、そのような考えの人が多すぎて困ります。一種の洗脳です。

 トランプ大統領が決断してくれることを期待している。アメリカのエスタブリッシメントたちがこのような弱いアメリカを招いてしまったのだろうが、このままではアメリカのリ-ダーシップは失われてしまう。アジアでは中国が覇権を握ってしまうだろう。

 中国のアジア覇権、世界覇権は阻止したいものだ。アメリカが覇権を握るのは仕方がないが、中国が世界のリ-ダ-となっては困るのだ。アメリカが過去どのようなアクドイことをやってきたとしても中国よりはまだマシである。

 西尾幹二氏の「保守の真贋」を読むと、オバマ大統領が出てから、あるいはその前後からアメリカ人(白人)の自信が失われてきているというのだ。ポリティカル カレクトニスという観念が社会全体を支配しているという。普通には考えられないようなことが実際に行われているとのことである。この観念は、アメリカの伝統である自由な社会を棄損し不自由な社会にしてしまっているようである。アメリカ社会も狂ってきているようです。

 トランプ大統領は、そのようなアメリカ社会にノ-を突き付けたのではないのだろうか。もしかすると、トランプ大統領は、大方の予想に反して、北朝鮮を実際に叩くかもしれないと私は思う。

 トランプ大統領が今回北朝鮮を叩かねば、今後の日米同盟は日本が核装備をすることを前提にした上での同盟関係になるのではないでしょうかね。北朝鮮が正式な核保有国となれば、そのようにするしかありません。韓国も自ら核装備をするか、北朝鮮の核の下に統一されるしかありませんね。

 私は、日本国民を危険な立場に置きたくはないのですが、北朝鮮の核兵器が認められるよりは、アメリカが北朝鮮に攻撃をしてもらいたいと思いますよ。

 嗚呼、防衛をおろそかにしてきたわが国の大失策を反省するしかありません。そして我が国の今後の防衛は中国の恫喝にも耐えうるもにしなければならないことを希望したい。

 さきほど国会討論を少し見ましたが、モリトモの国有地処分の問題を議論しておりました。国会でそんな議論をしている段階なのでしょうか。安倍首相も普段通りの応答でしたよ。世の中は、そんなに深刻なことはなくて、国有地が不当に安売りされたことを真剣に討論するのが筋であり、私たちが心配をしすぎているのでしょうか? 安倍さんだって、アメリカとの連絡は取っている筈でそんな中であの穏やかな表情を保っておられる。戦争は起こらないのだと考えるべきなのか?

「対話をすべし」と主張する方々はどこぞのマスコミと同じく自分の間違いを認める事とが出来ずにいる間に、対話へこぎつける事だけが目的と化してしまっているように感じます。
そこから先に待っている世界から目を背け、きれい事だけを語るのはもはや責任逃れではないでしょうか?
北朝鮮を正常化するのは核開発の凍結ではなく金政権の首のすげ替えです。
(理想は民主政権への転換ですがこれはほぼ不可能でしょう)
オバマやクリントンではこの選択をする事はまずありませんトランプにおいては武力行使をしてでもこの結果を選択する可能性が大いにあります。
これは日本にとって不幸中の幸いだと思わずにはいられません。

米国に「日本を見捨てる」という選択肢が存在する以上、日本側もそうなった時の「自力防衛」へ覚悟をしなければいけない訳ですが、こんな状況でも日本のマスコミや論客には「対話ガ〜」という色が濃いというのは本当に理解不能です。
シビアに考えると今の日本には制裁に苦しむ北朝鮮の弱い立場の人間の心配なんてする余裕なんて無いはずなのですが。


ueyonabaruさんへ
総選挙の結果やその後に出てきた新情報をもってしてもなお「モリカケ」を連呼するしかない成長しない野党連中を見ているのは、ある意味心休まる一時なのかもしれもせんね。

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