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スリーパー・セルはそこにいる

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ふゆみさんがおっしゃるように、スリーパー・セルの活動は当然あるでしょう。スリーパー・セルとは直訳すれば休眠細胞のことですが、テレビドラマにもなったみたいですね。 

豪邸に住みレクサスに乗ったセレブ夫婦が、実は秘密破壊工作員だったというお話です。 

Photo

 潜伏破壊工作員、あるいは潜伏テロリストといったところです。 

あたりまえですが国籍も持ち、いつもは表面上まったく一般市民と同じ暮らしをしているわけで、社会的地位もあったりします。 

日本人の私たちには、どこかお話の世界のように感じますが、実在します。

実際に旧ソ連はかつての冷戦期に、多くのスリーパー・セルを米国や欧州に埋め込んでいました。 

彼らはいわゆるスパイではありませんから、諜報活動にはタッチしませんので、FBIなどのスパイ・ハンターの眼にも止まりにくいというやっかいな存在です。 

その上に「セル」、つまり細胞と呼ばれるくらいに独立して潜伏しているために、他にどのような同類のスリーパー・セルがいるのか、当人たちにも知らされていないわけです。 

ですから仮にひとりが捕まっても、芋づる式に組織が壊滅することはありません。 

では彼らはいったい何のためにスリープしているのでしょうか。それは有事の際の破壊工作です。 

いっそうお話じみてくるので恐縮ですが、事実旧ソ連のスリーパー・セルの実態は一部が冷戦後に解明されていますが、彼らの任務は米国内の軍事基地、道路、通信、港湾、空港などの生活インフラの破壊、そしてエネルギー・インフラの破壊などであったとされています。 

彼らは、有事において本国からの暗号指令ひとつで、あらかじめ定められた目標を淡々と破壊に向かいます。 

ある会社経営者は冷蔵庫からC4爆薬を取り出し、ある芸能プロダクション社長は犬小屋の下の密封コンテナから銃器とRPG7を取り出します。 

そうですね、オーム真理教のシナリオを思い出して下さい。

彼らの台本によれば、麻原教祖がゴーサインを出せば、信徒は働いている豚骨ラーメン店の冷蔵庫からサリンを取り出し、倉庫から自動小銃を教徒のコマンドに配って大規模テロをする手はずだったのです。

スリーパー・セルもまた同様に、武器類をゴルフバッグに詰めて、レクサスに乗り定められた目標に向かうことでしょう。

冷戦期のスリーパー・セルの日本における実態は公表されていませんが、わが国にも埋め込まれていたと考えるのが妥当でしょう。 

なぜなら、わが国は米軍の世界最大の策源地だからです。米軍は日本を根拠地にして、地球の半分の軍事力を展開しています。

日本は歴史的に朝鮮半島との交流が長いために、国内にはスリーパー・セルを潜伏させる諸条件は充分すぎるほど揃っています。 

名指しは避けたいのですが、朝鮮総連はかつて拉致事件において「土台人」と呼ばれる彼らの組織リソースを提供したことが分かっています。
土台人 - Wikipedia
 

北朝鮮が日本国内にスリーパー・セルを埋め込もうと考えた場合、この総連系リソースを使わないと考える方が不自然です。 

ただし、これは裏をとりようがない憶測だとお断りしますし、在日朝鮮人・韓国人一般をそのような眼で見るべきではありません。 

では、仮に日本にもスリーパー・セルが潜伏しているとして、なにが攻撃目標になるでしょうか。 

かつての冷戦期の旧ソ連のそれを参考にすれば、横須賀基地の攪乱もありえないことはないでしょうが、それ以上に危険度が高いのはなんの防備もないソフトターゲットです。 

空港・鉄道・道路・橋などの交通インフラ、火力発電所や水力発電、石油精製基地などのエネルギーインフラ。 

通信施設、電磁記録保管所などの電力・通信インフラが、最大のターゲットになります。

渋谷、新宿などの繁華街のテロもありえるでしょう。 

新幹線は防ぎようがないので、トンネルに差しかかるあたりで爆破された場合、大惨事になります。 

そして書くことも憂鬱ですが、なによりここをターゲットにされるともっとも困る施設が原発です。

Photo_2原子力関連施設警戒隊の訓練風景 

本来、原発がソフトターゲット(警備の薄い施設)であっては困るのですが、わが国では残念ながら1900人といわれる原子力関連施設警戒隊が警備しているに留まっています。
原子力関連施設警戒隊 - Wikipedia 

これでもかつてよりましで、2002年のFIFAワールドカップ以前はただの民間ガードマンでした。 

この原子力関連警戒隊はH&K機関拳銃などで武装しています。

また、「原子力発電所は自衛隊によって重要防護施設に指定されており、有事が発生する危険性が高くなった場合は内閣総理大臣の命令により中央即応集団もしくは方面総監が指定した部隊が出動し警備に当たる。」(ウィキ) 

上の写真は2013年5月11日に行われた原発警備訓練時の写真だろうと思われますが、2013年5月12日付けの産経新聞によれば、このような想定でした。

原発の正門にテロリスト三人を乗せた乗用車が猛スピードで接近。完全武装で待ち構える銃器対策部隊に手榴弾を投げ込むなど強行突破を試みて銃撃戦になる。

応援の指示を受けた千葉県警のSATを乗せたヘリが到着。

隊員がファストロープでテロリストの背後に降下、拳銃を乱射し抵抗するテロリスト二人にMP-5短機関銃で応戦し、肩を撃ち抜き取り押さえる。残る一人は抵抗を諦めて両手を上げる。

Photo_3

失礼ながら、想定が甘い。甘すぎます。

日本の警備陣は、国内の過激派か、それに毛が生えたような拳銃や小型爆弾ていどで武装するテロリスト程度しか想定していないのです。

日本警察特有の発想ですが、これでは重武装したスリーパー・セル集団の攻撃、それに呼応した北朝鮮特殊部隊をまったくブロックできません。

これはSATが弱いからではなく、彼らには「警察比例の原則」が課せられているからです。

素手には素手、ピストルにはピストルというわけですが、相手が初めから戦争行為をする目的で侵入した軍事組織だった場合には通用しません。

上の写真で警察犬が登場するのも、あくまでも逮捕するという司法行為が大前提になっているからてす。

ですから、テロリストが手榴弾を投げると、「武器を捨てなさい」などとのどかなことを警告しています。

これらは諸外国ではありえない対応で、爆弾を投げる者は、原発に限らず即時射殺されても文句はいえません。

米国やヨーロッパの警察特殊部隊なら、躊躇なくそうするでしょう。

スリーパー・セル、あるいは北朝鮮特殊部隊は、警備陣にRPGを数発発射し、機関拳銃で数百発の弾をばらまきます。

おそらくSATていどの警備部隊では、警告を発する余裕すら与えられずに、瞬時にして全滅し、原発は短時間で占拠されることになります。警備犬など出る幕すらありません。

占拠された後になってから、自衛隊に防衛出動が下命され、特戦群(特殊作戦群SFGp)が投入されるでしょうが、占拠されてからでは遅すぎるのです。

それ以降は想像にお任せします。全電源ブラックアウトにするかもしれないし、作業員を楯にして立て籠もって警察と自衛隊を引きつけておくかもしれません。

いずれにしても、わが国は米軍の後方支援や難民対策どころの騒ぎではなくなることだけは確かです。

相手方が「戦争」を仕掛けてきているのに、平時の警察活動の延長で対処しようとするのどかな国。それがわが国です。 

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コメント

最近の鉄道停電事故など、???と思う事例が増えているように思います。

投稿: アミノ酸 | 2017年11月17日 (金) 08時35分

平成元年製のインフラが30歳になろうとしていますので、事故やほころびはあって当然とはいえ、事故対応のケーステイクを沢山与える事でテロの助けになっていると思います。

密命を受けた極少数によるテロの一発目は、防ぎようがない事は理解できます。そして記事にある例の銃火器による占拠や爆破よりも更に解決困難なのは細菌などの生物テロで、第三国の空港のラウンジで行き先が分かっている搭乗待ちの人に感染させてしまえば完了です。
犯人すら分からないまま爆発的感染が起きた場合、そして記事にあるような占拠やソフトターゲットテロが起きた場合、地獄絵図を収束させる力は旧民主党の面々には全く無い上、野党としてとんでもなく政府の足を引っ張ります。メディアも同じくです。
何かしらが起きることは100%防げたりはしませんが、それに立ち向かえずに、列島の人の身も心も社会の信頼もボロボロに崩れたりしないようには、私達は幾らでも努力できると思うのです。
6年前に崩壊の淵から引き返せて今がある、というのは、今の世代にとっての貴重な心の支えです。
奇しくもこの絆を断ち切りたいと集う者達が分裂してひとかたまりになりました。あの集団に力を与えない事です。

投稿: ふゆみ | 2017年11月17日 (金) 16時06分

アミノ酸さん。そりゃ、考えすぎです。
社会不安定化戦略といってないわけじゃないが、そこまでやる力量があるのはロシアと米国くらいです。

北にはそこまで同時展開する力量はないし、そんなことで足がついて司直の追及にあったら元も子もないし。
だからスリーパー・セルはほんとうの有事にまで温存しておきます。

それも使うか使わないかは、かなり高度な政治判断ですから。
ただ、かつての第1次朝鮮戦争時には使った歴史があるので、教訓としてありえるということを肝に命じましょう。

ふゆみさんのコメントと入れ違いになったので続けます。
同感です。

現代のテロの進化形は感染症を使うテロです。
かつてエボラの時にもしつこく書いた記憶があります。まさに「貧者の核」です。
ですから、世界でもっとも進んだウイルス研究の総本山である米国疾病対策センター(CDC)は、米軍の細菌兵器研究と一対になっています。

感染症はいつ軍事転用されてもおかしくないし、金もかからず、足跡もつきにくい「兵器」です。
しかしおおっぴらにできないという致命的欠陥があるために、正式な「兵器」にはなりませんでした。
したがって抑止力としては、「相手が持っていそうだから、こちらも持つ」程度の位置づけですまされました。
人類は幸運を喜ぶべきです。

現代において、正規軍同士の戦闘において使う国は皆無でしょう。

しかし非対称戦争としてとらえた場合、そのようなドス黒い悪意をもった国は、東アジアにはひとつあります。
それを米国は知っているから、記事にした統合参謀本部の議会への回答に「北は生物・化学兵器を使うかもしれない」というくだりがあるのです。

ただ、繰り返しになりますが、それを実施するか、しないかはその国の為政者の判断ですから、なんともわかりません。

ひとつ言えそうなことは、スリーパー・セルによるテロを実行する場合、大きな前提があります。
それは社会がもう一突きで流動化しそうな場合です。
テロはこういう時期を狙ってきます。

2009年7月21日からの3年半がまさにそうでした。
この期間は、本当に危なかったと思います。
福島事故が人為的なものだとは思いませんが、菅氏の無能と専横ぶりはまさにテロでした。

だから、社会を変に流動化させないこと、つけ入らせないことこそが最大のテロへの備えなのです。


投稿: 管理人 | 2017年11月17日 (金) 16時12分

菅氏がテロ、には笑いました。
地震は防ぎようがありませんが、少なくとも原発の安全管理は徹底してもらいたいものです、限界はあるでしょうが。想定していなかったなどと後からいっても遅いのです。
朝鮮有事が危ぶまれるなか、北朝鮮に圧力をと迫る日本、今まさに社会の流動化危機?とも思いますが、米中の思惑はどうなのか。
とりあえず、日本はじめアジア各国で商談をまとめたトランプは、ビジネスマンとしては満足なのでしょうが。
軍事大国である米国にとって、遠く太平洋の向こうの有事は、周辺国ほどの危機感がないのは仕方ないのかもしれませんね。
日本はもっとリアルに有事をとらえなければならず、人的な被害の他にも経済的損失はどれほどかと思うとゾッとします。

投稿: 改憲派 | 2017年11月17日 (金) 20時09分

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