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2017年12月14日 (木)

ティラーソンの「前提なしの会談」発言の裏側にあるものとは

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米国の北朝鮮(以下北)に対する交渉方針が、正式に切り替わったようです。
 

このレックス・ティラーソンの「前提なしの会談」発言と前後して、トランプがエルサレムを首都と認める「宣言文」を出しています。 

ティラーソンは前提条件なしの北朝鮮(以下北)との交渉に応じると言明しました。
※NSCが否定しました。追記をご覧ください。

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「ティラーソン米国務長官は12日、ワシントンで講演し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮との対話に関し、『前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある』と述べた。米国はこれまで北朝鮮が非核化の意思を示すことを対話の前提としてきたが、ティラーソン氏は「非現実的だ」とし、トランプ大統領も現実的な判断をしていると強調した。
 米朝対話の議題について、ティラーソン氏は『天気の話でもいい』としたが、最初は、今後の協議の行程を決めるものとする意向を示した。ただ、『協議中に(核・ミサイル)装置を実験すれば協議は厳しくなる。静かな期間が必要だ』とし、核実験や弾道ミサイル発射の中止を求めた」(産経12月13日)

別稿で詳述しますが、米国は明らかに「封じ込め」路線にシフトしました。米国は北の脅威度が低いと読んだのです。 

だから軍事力行使の必要はなく、外交的手段で解決可能だと考えたのでしょう。 

現時点で北に対して軍事力行使をしてしまえば、中国と宥和を図ることが前提な以上、代償として中国の南シナ海での軍事拡張を容認するはめになりかねません。

スティーブン・バノンは調子がおかしい人物でしたが、ことこの読みに関してはまともで、一貫して北より中国が脅威だと主張して、ホワイトハウスを追われました。

また、中東での新たな危機的状況にも対応不可能になります。

また、朝鮮半島に全戦力を投入してしまえば、いつ起きてもおかしくないと言われるロシアのバルト諸国への侵攻にも対処不能になります。 

結局、米国にとって北相手の戦争などなにひとついいことはないのです。地上軍を入れて泥沼にでもなれば目も当てられませんしね。

このことに関しては、実は日本も同様です。軍事オプションをとられたら、弾道ミサイルの数発は覚悟すべきですし、日本経済は大打撃を受けます。 

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なるほど、北は核保有国に向けて、進行表に沿って着々と進んでいるかに見えます。 

北が望むものは「米国を話し合いの場に引き出す」こと一般にあるのではありません。

米国と相互確証破壊(もどき)の関係を結び、米国の介入を排除して、あくまで「民族の内部問題」としてムン・ジェインの登場で熟柿同然となった韓国との統一を果たすことです。 

そこまではいかに民が飢えようと、石油が底をつこうと眼をつぶる、国連の言うことなど馬耳東風、宗主国づらした中国の特使など追い返し、一気に米国に「核戦力保有国」だと認めさせるところまで突っ走るぞ、と考えているはずです。 

ですから、その一歩手前で止めてしまっては、一切が台無しになる、たぶん正恩はそう思っています。

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ではこの正恩の言うことは、ほんとうなのでしょうか? 

もちろん、フェークです。それも真実が8割くらいの嘘ですから、困るのです。 

全部嘘ならすぐバレるのに、真実と嘘をまぜこぜにしていちびるから始末が悪いのです。

米国はノース38など読むと、冷静に評価していると思いますが、そもそも北の核戦略技術は初歩的段階に止まっています。

比喩的にいえば、米露英仏の核戦力技術が高級スポーツカーとするなら、中国のそれは中古車、印パは軽自動車、北などはママチャリか電動アシストつきチャリに進化したていどの水準にすぎません。 

たとえば、核ミサイルの核心技術であるロケットエンジンは、ロシアのRD250という70年代の旧式を密輸入して焼き直したにすぎません。 

焼き直し技術で打ち上げたとしても、かんじんの再突入に際してマッハ24、表面温度7000度という超高温に耐えられなかったのは、バラバラになって墜落しているのが民間旅客機のパイロットに目撃さたことでわかってしまいました。 

バラバラになったことを多弾頭化だと考えて、必要以上に怯える必要はありません。 

そもそも再突入ができない弾道ミサイルなど、単なる巨大打ち上げ花火にすぎないのですから。 

Photo_4火星15の移動式発射装置

正恩は移動式発射装置が新型なのが得意そうでしたが、小川和久氏によればICBMクラスのものをあのような移動式で運ぶとなると随行車両だけで十数台となってしまい、そんな大名行列で静々と運んでいたら、たちまち警戒衛星に探知されてしまいます。

今回もかなり前から探知されていて、発射時期まで分かっていたようです。

また多弾頭化や米国に到達するICBM完成のためには、核弾頭の小型化が必須ですが、成功していないと見るべきです。 

成功したと証明したいなら、北は率先して弾頭重量を公表しているはずですし、おそらく前回の火星15は弾頭重量を軽くして飛距離を伸ばしたにすぎないと、軍事専門家は見ています。 

というのは、小型化の達成のためには核実験が必要ですが、この間できていないからです。 

プンゲリ(豊渓里)核実験場は、度重なる酷使で坑道が崩落を起こして使用不能の状態だと観測されています。 

崩落などしていないと北は言っていますが、ならばどうして新たな坑道を11月から12月にかけて掘り進めているのか説明がつきません。 

12月9日にはプンゲリ周辺を震源地とするM3.0の「自然地震」がありましたが、またどこかの坑道が崩落した可能性すらあります。 

また、前回の核実験は水爆実験をしたと称していますが、いま北の核技術に必要なことは水爆のような時代錯誤の巨大化ではなく、むしろ使える700㎏以下の小型化なのです。

小型化ができないので、水爆でめくらましをしているのです。 

したがってあくまで現時点でとお断りしておきますが、北が正規の弾頭重量を搭載し、燃料を満載して発射した場合、米本土、グアムはおろか日本にすら届くかも怪しいものだと思われます。 

このように見てくると、北が「核保有国」を宣言したのは、ただの北特有の政治プロパガンダ、いわば「吹かし」にすぎません。 

米国は、既に北の核の脅威度は低いと見始めています。 

でなければ、この時期にトランプがエルサレム首都認知などをするわけがありません。 

池内恵東大准教授は、昨日のラジオ『ザ ボイス』の中で、新たなインティファーダは起きないだろう、中東諸国は口では非難してもかつてのように一枚岩でイスラエルと敵対できるような国内状況ではないと述べられていました。

Photo_32012年のインティファーダ 

おそらく池内氏と似た観測を前提にして、トランプはエルサレム首都認知をしたと考えられます。 

米国の真の敵はイランです。今回のことでインティファーダを叫んでロケット弾を発射しているのはしょせんハマースだけで、他の中東諸国がいちばんおそれるのは自国内の反乱です。 

ですから、一時は民衆にガス抜きさせてやっても、かつてのような大規模デモや騒乱を起こすことは許さないでしょう。 

しかもハマースがイランの紐付きだというのは有名である以上、サウジとその同盟諸国は断じて彼らを支援することはしないはずです。 

したがって、中東は今回のエルサレム首都認知によって、大きく動揺することは考えにくいと、池内氏は見ます。 

もし、動くとすればそれはあくまでも、<サウジ+同盟国VSイラン>の構図の内であって、かつてのような<イスラエルVSすべてのアラブ諸国>という図式ではありません。 

今回この新たな図式で戦端が開かれた場合、イスラエルはサウジに対して好意的中立を保ち、米国はサウジを支援します。 

トランプの今回の宣言は、米国は同盟国を見捨てないというネバー・デカップリング(切り捨てない)を世界に示したものに思えます。

とするなら、なおのこと北を協議の場に引きずり出して、「封じ込め」て檻に入れておかねばなりません。

世界は日本人が見るように、北だけを軸にして回っているわけではないのです。

■追記

おいおいです。アップした後に、こんなニュースが入ってきました。ティラーソンの解任覚悟の最後ッ屁でしょうか。(午後5時)

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「ティラーソン米国務長官が核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と前提条件なしに対話を行う用意があると発言したことについて、ホワイトハウス当局者は13日、「トランプ政権の北朝鮮政策に変更はない」と本紙に語った。
 「北朝鮮がまず挑発行為をやめ、非核化に向けた誠実で意味ある措置を講じなければならない」とし、ティラーソン氏の発言を軌道修正した。
 同当局者は「朝鮮半島を非核化する目的で、北朝鮮と対話する可能性についてはオープンだ」と述べる一方、北朝鮮が11月29日に新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を発射したことを挙げ、「今は明らかに(対話の)時期ではない」と話した。
 その上で「北朝鮮が根本的に態度を改めるまで対話に応じないことで政権内は一致している」と強調した」(読売2017年12月14日 11時06分)

 

 

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コメント

ここまできて解任の噂まであったティラーソンがこんな発言をするということは、トランプ政権もなかなか良いとこでバランスを保っているのかもしれませんね。
今度は今更ブームに乗るかのようにトランプはセクハラ疑惑なんて出て来てて足下がまだまだ危うさを感じますが・・・。ま、90年代の破産繰り返してた時代にアダルトビデオに出演したりしてましたけど(どんな需要かは知らん)。

立憲民主党の枝野幸男さんは「スタンドオフミサイル」に過剰反応して「政府は北朝鮮しか見ていないのではないか?」といった発言をしましたが・・・そりゃ、あんたでしょう?と、またものブーメラン。本気で北朝鮮の基地攻撃だったら迷わずトマホーク1択になります。
F-35Aに登載する対艦アウトレンジならJSMしかなく、それでなければ国産開発するか、韓国のように弾道弾を保有するしか無くなります。

 トランプ政権は北朝鮮とイランを「核問題」を軸にして、「一つながり」で見ているのだと思いますね。
北朝鮮とイランに既に生じてしまっている関係から、(米国は軍事的に二正面作戦は取れないのはもちろんですが)同時並行的に考えざるを得ない点があります。

イランの核の脅威はサウジやエジプトとしても大問題で、そこに解決のための領土問題を絡めた「首都宣言」があって、それは色分けの為の米国の改正中東政策の一丁目一番地だったと思います。

フランスや英国などがトランプ大統領の首都宣言を追認しない理由そのものは「建前」であって、自国内でのテロを回避する事が本音の理由ですね。
私はエルドアン大統領が言うように、時間をかけて「これから米国に続く国々が出てくる」のではないかと考えてます。

どのみちトランプ政権方式で行っても中東問題の解決はまだまだ先だし、刺激的な行動を伴った宣言でもなかったので、「北朝鮮問題よりも比重を置いている」とは私は思いませんで、それゆえ北に対して「対話路線」に転換したとは言えないと思います。

ただ、北核完成が思いのほか進んでいない事実が「対話カード」を促進したのだろうとは考えますし、一服する時間は出来ました。

けれど、それも軍事力行使の最終決断までにプロセスとして「一枚カードを差し込んだ」くらいの価値しかないのではないでしょうか。


ところで私は現時点で正恩は対話に応じないのではないか、と思います。
少なくも、正恩自身が会う事はないでしょう。

正恩が対話に応じるとすれば、その時は「米国が北朝鮮の核保有を認めた」段階でしかありません。
北の言う「無条件の対話」とは「核保有を認める事が前提の対話」を言うのだし、トランプ大統領は絶対に「戦略的忍耐」には行きません。

米国内では、ここ2ヶ月で北に対する軍事攻撃に賛成する世論が、51%から58%に上昇しています。
海上遮断行動にも出ずにいて、とても対話の結果として、取引で解決出来る気運が醸成されてもいません。
まだしばらくは緊張状態は続くのでしょう。

訂正

エルドアン大統領=×

ネタニヤフ首相=○ でした。

昨日の広島高裁の差し止め判決についても記事を書いて欲しいです。裁判長が誰かはわかりませんが樋口の悪夢再びという感じですかね。

阿蘇山の火砕流が伊方原発まで届くリスクが考慮されてないからダメってそれはないでしょ

 産経新聞によると、NSCの報道官がティラーソン発言を打ち消しましたね。
「北朝鮮をめぐる政権の政策に変更はない」「今が対話の時期ではないのは明白だ」と述べ、「対話開始には金正恩体制が根本的に態度を改めるのを待つ必要がある」と強調した。としています。

国務省のナウアート報道官も会見で無条件対話を否定して、ティラーソン国務長官が北朝鮮に前提条件なしの対話を呼び掛けたことに関し「新しい方針を打ち出したわけではない」と述べ、政策転換を否定したそうです。

一体、どうなってるのか。
国務省派とNSC派の方針の相違は深刻です。

山路さん。らしいですね。ありえないことですが:そのようです。世界唖然。
だとすると、深刻な政権内部の分裂が起きているとしか思えません。

としても、ティラーソンは「トランプの了解」も口にしているわけで、ここまでなるともう解任しかないのではないでしょうか。

中華三振さん。あの高裁判決ですか。う~ん、運悪く裁判所に一定数生息する馬鹿にあたっちゃったんだね。
法曹界は放送界とならんで、ああいう純粋培養馬鹿が大量にいるんですよ。
かつて沢山書いて、あまりに不毛なんで心底ゲンナリしたんですよ。

ズブの素人が短期間で、電力会社が長期間、巨額の金をかけて安全性対策をして、それを規制委員会の専門家が年単位で審査したものを一瞬で馬鹿で無知で傲慢など素人が裁判官様だからとひっくり返してしまえるなんて、常識ではありえません。
法治国家ではなく人治国家です。

ならば、再稼働の安全審査は裁判所が責任をもって全部やればいいのです。
できますか。その知見をもった人的資源がありますか?安全審査の経験がありますか?
まったくないくせにエネルギー問題に、司法だというだけで上目線で介入出来ると思うこと自体がおかしいのです。

どうしようかな、書くかナ。ちょとかんがえさせて。
馬鹿批判って、食欲でないテーマなんですよ。

13日ザボイスのモーリー&池内のやり取りは刺激的でしたね。
モーリーロバートソンはミュージシャンやっていた頃も聴いていましたが、昨日既にティラーソンはもう覆ると思って相反する中であれを盛りで言ってると言い放っていたのが印象的でした。外すことも多々あるのですが、わざとふっかけると池内氏のコメントの鋭さが増すのが良いです。
彼が言っている、国務省とティラーソンの溝の方がトランプーティラーソンの溝より深いかもしれません。解任されるなら前者の溝が埋められなかった(適切なスリム化に失敗した)事による咎の部分が半分強なのではと思っています。

 ブログ主様

今回のティラーソンの行動も前回もですが、トランプ大統領の「概ねの了承」すら経ていない事は考えづらいですね。

今回の騒動は正恩から見れば、「もう少し頑張れば光明が見える」との意を強くしたことでしょうから、これまでの「圧力」を台無しにした面が強いですよね。

どだいトランプ氏の個性は、「軍事行動を決断する事」のプレッシャーに耐えられるだけの、強い精神構造を持っていないのだろうと思われます。

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