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2017年12月 2日 (土)

ティラーソン更迭が意味すること

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既報のように、ニューヨークタイムズがティラーソン国務長官更迭をスクープしました。 

後任はいまCIA長官やってるポンペオだそうです。知る人ぞ知る北朝鮮問題の最右翼です。 

もしほんとうにこの人事がなされた場合、戦争の危険性は飛躍的に高まります。
※追記 トランプは更迭を否定しました。 http://www.afpbb.com/articles/-/3153864

これが真実だとすると、いうまでもないことですが、ティラーソンの国務省がバックチャンネルで模索していた、米朝秘密協議を表に出し、正式の米朝会談として「管理された危機」のフェーズに移行しようとする路線が否定されたことになるからです。 

従来のトランプは、意味、こう言ってきました。 

「喜んで米朝協議をする用意はあるよ。ただし、それはお前が核を放棄すると宣言すればだが」 

北からすれば、要はイエスかノーの2選択しかないことになります。 

実はこのように、初めから高いハードルを出してしまうやり方は外交的には得策ではありません。 

相手国の出方に応じた対応が困難になって、硬直した対応しかできなくなるからです。 

保守論客の中には「対話」すること自体を敗北として否定する人もいるようですが、米国は冷戦期にも一貫して対話チャンネルを作っていました。 

それは相互の誤解によって、全面核戦争になるかもしれないという現実的脅威があったからです。 

これを、セカンドトラックとかバックチャンネルと呼びます。 

今回、米国は北に対してもこの伝統的方法を踏襲しています。互いに民間学者、あるいは引退した政治家を出して第3国で秘密交渉をしてきたことが明らかになっています。 

ただし北は、高位の外務官僚を出してきているようで、北なりにこの秘密チャンネルを重視しているのが窺い知れます。 

このように米国は、国務省主導で米朝協議をしていいというシグナルを出していたわけです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-2db5.html

Photoジョセフ・ユン朝鮮担当特別代表

既報ですがワシントン・ポスト電子版(11月9日)は、こう伝えています。

「国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が、北朝鮮が核・ミサイルの実験を60日間凍結すれば、米朝対話に応じる考えを10月末に示していたと報じた。米政府当局者はティラーソン国務長官の考えと一致すると指摘している。
北朝鮮が最後に実験したのは9月15日。北海道上空を通過する弾道ミサイルを発射した。
ただ『60日』は北朝鮮側から凍結の意思表示を受けてから数え始めることにしており、北朝鮮側の連絡を待っているという。」(太字引用者)
 

この「凍結を宣言してから60日」という言い方は微妙ですが、とまれ明確に弾道ミサイルと核実験の凍結だけで、話しあいに乗ろうと米国は申し入れしていたわけでした。 

そして今回のICBM発射は、この米国の外交で解決しようとする平和的解決のオファーを足蹴にしたことになります。

Photo_2

まったく正恩とは信じがたい愚か者です。狂人のふりをしているのではなく、真のマッドマンです。 

ティラーソンと国務省は頭を抱え、トランプは得意のブラフを口にしなくなり、妙に静かになりました。 

トランプからすれば、「ティラーソンに最後のチャンスをやったが、正恩、これでお前のかんがえはよく分かった」というところでしょうか。当たらずとも遠からずだと思います。 

そしてティラーソン解任、ポンペオ後任です。常識的に見て、これは軍事行動に移行する可能性が極めて高いことを意味します。 

おそらく12月中旬から始まるクリスマス休暇に事寄せて、在韓米軍家族の大多数は実質的なNEO(非戦闘員避難計画)を実施するでしょう。 

決しておおっぴらにはしませんが、ちょうど2011年3月に静かに行われた米軍家族・民間人のNEOのようになると思います。 

気がつけば在韓米軍基地のハウジングエリアには人影がまばらになっているというわけです。 

在沖米軍のハウジングエリアは、逆に活況を呈することになるかもしれません。 

これからの季節の朝鮮半島は、零下数十度の厳しい酷寒期を迎えます。 

朝鮮では床下暖房を焚きますが、北の軍事施設といえど暖房くらいはつけないと死にますから、上空の偵察衛星やグローバルホークからはサーモグラフィを使って軍事拠点の位置が手にとるように分かってしまうことでしょう。

攻撃開始するには、最適の条件だとはとりあえず言えるかもしれません。 

ただし、なんどとなく書いてきたように、よく保守系言論人が威勢よく言うような瞬殺などはまったくの空論だと言っておきます。

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コメント

情報を付け加えておきます。

トランプ氏、米国務長官の更迭を否定 「偽ニュース」と一蹴http://www.afpbb.com/articles/-/3153864

真偽は沙汰かではありませんが、どうもホワイトハウスの中のティラーソン追い落しのためのリークだったようですが、ホワイトハウスの中でさえ、入り組んだ勢力構図になっているようです。

米国では任期途中で国務長官が代わるというのは、そうめずらしい事ではなく例えばヒラリーさんもそうでした。

トランプ大統領もまたそのように、「意見や方針の違いによる更迭」と言うような捉え方をされない「交代の仕方」をしたいだけで、実際には交代はするのだと思います。

記事でいう、「正式の米朝会談として「管理された危機」のフェーズに移行しようとする路線」とは必ずしも意味が明確ではありませんが、要するに「北核を全廃させる前提を有しない路線」を含む事に違いなく、少なくもこれは理論上はオバマ政権以上の譲歩です。
トランプ大統領だけでなく、共和党主流派であっても容認出来ない相談じゃないでしょうか。

ともあれ、そうした提案を蹴り、中共の特使をも追い返した正恩に対しては、最早「軍事力オプション」しか残されていないように見えます。

ただ、ミサイルの着地点がハワイ近海やグアム近くでなかった事、これも一種のメッセージでした。
その意味はまさに「北核の排除前提条件なしの対話」の督促であり、ゆえにティラーソン氏の更迭話が米国からのその答えになりうるのだと思いますね。

山路さん。
「正式の米朝会談として「管理された危機」のフェーズに移行しようとする路線」とは必ずしも意味が明確ではありません」とのことですが、それは昨日の記事で説明してあります。

「『東アジアのミニ冷戦』として、北と米国がかつてロシアと交渉したような核戦力制限交渉(START)と包括的核実験禁止条約(NPT)を同時進行で進めようという考え」のことです。

貴兄は反対でしょうが、私はあながら間違っているとも言い切れないので、悩ましい限りです。

私は軍事行使は最後の最後、本当にそれしかないなら致し方がないという最後のカードにして欲しいと思っています。

今回のロフテッド軌道、日本海落下を見ると、正恩はそこまではイっていないと思われます。
ティラーソン更迭報が同時に入ったので驚いたわけです。

今この時点で、トランプが切れるのはまだ早いのです。
これからやりようはいくつもあります。

 
 北朝鮮とアメリカとの冷戦というのはすこし無理があるような感じを私は持つのですが・・・・・。中国とは将来そのようなことも考えられます。

 金正恩が無血開城するか、アメリカが攻撃をしてしまうのかという二者択一で、現在私は考えております。

 あと一つ、北朝鮮への制裁が大方で言われておりますが、これは戦争の一形態ではないでしょうか。過度の制裁は攻撃と同じではないでしょうか?

 

私は東アジアのミニ冷戦という表現に腑に落ちるものがあります。
それは北ー米という単体の対立でなく北は戦端としての局地危機の進化形です。キューバの時のようにソ連主体で持ち込むのでなく、迂回した援助をじっくり続けながら親分が手をこまねくような振りをして、民主主義の手続きの多さを利用して攻撃を引き延ばしてきました。
経済制裁をある種の戦争と呼ぶなら、既にその前にサイバー戦争はガチンコ勝負で交錯した大戦状態にあります。

この危機の行方は中国が大きな鍵を握っている、誰もが知るところです。米国領土内の中華系がここ10年ほどでとんでもなく増えている事も、どうやって合衆国が折合いや決着点を見つけるのかに大きく関わっています。
G2と言いながら何を中華帝国が目指しているのかを、合衆国の人々はなかなか理解出来ないが故に、半端な取引に何度も応じてしまう。彼等の方法論を良く知る山路さんの警笛が大きい訳を、そのように思いながら半分同感であります。
何故半分かというと、戦闘で核を不拡散させずに除去できるとは思えないからです。すっきり取り除く解決策がない問題について有効なのは、いかに手酷くだまし討ちにするかです。

 ブログ主様

書こうと思って長くなるからやめたのですが、正恩氏の行動を見ていると私たちが考えるよりも、正恩氏の中共への憎悪は凄まじいものがあるのではないでしょうか。
対して中共はそのような激しさに気づかず、「北朝鮮の操縦は後で何とでもなると高をくくっている」(興梠氏)油断があります。
以下、かなり推論であり暴論でもありますが。

この事は「中共は米と接着したから」と巷間簡単に説明されますが、不十分です。
これまでのミサイル発射のタイミングを見てもそうだし、正男氏殺害の本質も中共がらみでした。

つい先日も軍のNO2が粛清されましたが、その事の理由を自民党の松川るい参議院議員は、「問題の解決に関して、中国の力を借りようと提案した事に正恩氏が激怒したから」と説明しています。

また、先のブログ記事にもありましたが、問題解決後の北朝鮮は中共の影響下に置く事で米中の合意はなされており、この事は証拠はないけれども先進国間では公知の事実です。
(だから中共は「左うちわ」で、余裕を持って二股かけていられるワケで、逆に北核を排除する事を要する日米が矢面になってしまったとも言えます。
特使の宋濤氏訪中は到底問題に誠実に取り組んだとは言えず、そもそも中共に問題を解決する確固たる信念も伺えませんでした。遠藤誉氏が取り上げたような四つのカードをチラつかせるつもりさえあったかどうか疑問です)
しかし、これらを正恩氏が見ていないはずはありません。

また、10月の党大会で示されたように習氏の「中華帝国復興の夢」に朝鮮半島全体、わけても近々の北朝鮮の統治の実現が含まれている事も明白です。
それに暗に合意しているのが、北朝鮮問題における「米中合意」なのだと正恩は理解しているのでしょう。

そうすると、金三代の野望としての「朝鮮半島統一」の阻害要因は米国ですが、そこを乗り越えたとしても正恩氏の次なる戦いは「中共」にならざるを得ないのであって、防衛という側面で正恩氏から見れば、北核の価値は「対中共にこそある」と言えるのかも知れません。

トランプ氏の盟友であるバノン氏の先の講演内容からは北朝鮮よりも「中共」をこそ危険視している事がうかがえ、トランプ氏自身も戦後には「漁夫の利」を得る結果になる中共だからこそ、しつこく協力を強要している姿に見えます。

しかし、従来の国務省派は「いわゆる親中派」が基軸だと私は思っていて、それなら一も二もなく「対話」には反対です。

ですが、ポンぺオ長官のもと、局面を変えて朝鮮半島を中共の影響下に置くことを撤回して合議するなら、「正式の米朝会談」は本当の意味が出て来ると思います。

昔は敵対国の主敵を振り変えるなどという悪戯はCIAがしたものですが、今回はお互い腹を割さえすれば可能かも知れません。
(しかし、その先まで考ればどうか分かりませんが)

あるいは「米中離間は北朝鮮の掌に乗る事だ」との批判もありましょうが、歴史的に米中離間こそ日本の利益なのであって、その点では北朝鮮と奇妙に一致するのですね。

何だか私の言っている事が真逆になるようですが「軍事オプションを取るべきだ」との考えは残しつつも、問題は完全にはクリアーにされておらず、どう考えてもこのまま武力攻撃があるようにも思えません。

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