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2017年12月 8日 (金)

異教徒はユダヤ教に改宗できるか?

080

アホンダラ1号さんの、「ユダヤ教徒になるのはあんがいカンタン」かどうかということをパン種にして、ユダヤ民族について少し考えてみます。 

まず、ユダヤ教徒というのは「ユダヤ人」ということを指します。 

したがって、イスラエル国籍とは関係なく、血統的に母親がユダヤ人であることを求められます。 

キャッツ邦子さんという日系ユダヤ人女性の、『スカースデール村から』というブログを参考にしていくことにします。
http://www.scarsdalemura-kara.com/kaishuu.htm 

彼女はユダヤ人男性と結婚したのですが、彼女はアメリカ人と結婚したという意識であって、ユダヤ人と結婚したという意味をあまり考えていなかったようです。 

子供が生れるまで四季折々のユダヤ教の儀式には参加していましたが、あまり関心がなかったそうです。 

その夫が子供が生れて、3歳になった時とつぜん、「やっぱりユダヤ人のアイディンティティを教えないといかん」と言い出しました。 

さてここからが、大変な道のりでした。 

スカースデール村に越したことを機に、その土地のユダヤ教会(シナゴーグ)に行こうとするのですが、なんと2つの教会から拒否されてしまいます。 

その理由は、「非教徒の母親から生まれた子供たちはユダヤ人ではないという理由」だったそうです。 

はい、でてきました。これがユダヤ教の大原則のひとつである、「母親がユダヤ人でなければ、ユダヤ人とは呼ばない」です。 

Photoディアスポラ 

ユダヤ教はかつては異教徒と結婚すると、勘当した時代があったそうです。 

それもただ出て行けではなく、葬式まで出して死んだと思うということまでしたのですからハンパないですね。 

これには理由があります。 

2000年前、ユダヤ民族はディアスポラとして父祖の地を追われ、諸国に離散していきました。
ディアスポラ - Wikipedia
 

ディアスポラとは「まき散らされた種」というヘブライ語ですが、現代の難民と違うのは故郷の地に二度と戻れない境涯になったということです。 

ユダヤ民族の故郷の地とは、ユダヤ人が「カナン」と呼んだパレスチナです。
パレスチナ - Wikipedia 

この地に戻り再び離散したユダヤ民族が集まって、国家を作ろうとする運動のことをシオニズム運動といいます。
シオニズム - Wikipedia

いうまでもなく、その闘争の結果生れたユダヤ人国家が、今のイスラエルです。

これを潰そうとする周囲のアラブ諸国との戦争が延々と続き、その和平の道として生れたのがオスロ合意ですが、別稿に譲ります。

さて離散したユダヤ民族は西欧、東欧を中心にして定住していき、そこでユダヤ・コミュニティを作っていくわけですが、その結束の中心となったのがユダヤ教でした。
ユダヤ教 - Wikipedia 

ユダヤ教はアブラハム(ユダヤ民族の始祖)の宗教として、キリスト教と同じルーツをもちますが、大きな違いは、ユダヤ教には「布教」あるいは「宣教」という概念自体がないことです。 

ちなみに、同一のルーツからいちばん遅く分離したのが、イスラム教です。これも説明しだすと長くなるので省きます。 

Photo_2
日本は男系社会ですが、ユダヤ民族は完全な女系主義です。 

これも、ユダヤ民族の血脈を絶やさないという意味があったようです。

 

Photo_3ニューヨークのシナゴーグ

ですから、子供が生れてその子供をユダヤ教会に入れようとしたキャッツ邦子さんは、思いもしなかった壁にぶつかることになります。
 

まず訪れたのが保守派の教会でしたが、あっさりと拒否されます。  

「子供が生まれる前に改宗をしなかった私が保守派の教会を訪ねたことは明らかに私たちの勉強不足でしたが、密かに子供たちをユダヤ系アメリカ人に育てるための環境作りに尽力していると自負していた当時の私にとってかくもあっさりと断られたことはショッキングな出来事ではありました」(前掲) 

母親がユダヤ人でないとユダヤ教徒にはなれない、逆に言えば母親がユダヤ人ならば父親が他宗派でも子供はユダヤ人とみなされるというわけです。 

日本国籍の血統主義の女系版だと思うと分かりやすいでしょう。 

ただし、改革派教会はもう少し柔軟な対応をしてくれました。 

「次は改革派の教会へ行ったところ、ここでは両親の一方がユダヤ人で家庭でユダヤの習慣を取り入れているのであればもちろん子供はユダヤ人と言われ、大手をあげて歓迎されました。それ以来我が家はこの教会のメンバーとなり、子供たちは13歳の成人の祝い(バル・ミツバとバット・ミツバ)もここで受け、高校を卒業するまでユダヤ教を勉強しました」 

で、子供たちを立派な「ユダヤ人」として育てた彼女は、子供を送り出して夫ふたりの食事をしている時に、こう言います。 

「安息日の準備など既に私の生活の一部になっていることに気づいたのです。子供たちのためと思っていた様々なユダヤ教の習慣が今ではいつの間にか自分のものになっていたのでした。夫と結婚して既に26年が経っていましたが、改宗する時が来たと思いました。
『あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です』、」ある安息日の夜二人で食事をしているとき私は笑いながらルツ記の一部を夫に暗誦してみせました。(略)
夫は突然のことで何のことか分からず、怪訝そうにしていましたので、「改宗することにしたのよ。」と言ったら、「え、君はまだユダヤ人じゃなかったけ?」と驚き、しばらくして「ようこそ!」と嬉しそうに叫びました。
それからラビと相談してあらためて改宗のための勉強をして、教会での式では夫や子供たちだけでなく、教会のメンバーにも祝ってもらいました」
 

いい話です。夫婦愛と子供への思いが26年たって、ようやく彼女をひとりの「ユダヤ教徒」にしたのです。

このように他宗派はその宗教に信仰を持って、その教えどおりに生活を送れば改宗できますが、ユダヤ教だけは血統主義なので、そうとうにハードルが高いと思います。

やるとすれば、ユダヤ教徒の女性と結婚し、子供をユダヤ教徒して育ててユダヤ教の戒律を守り、よきユダヤ人となったことを周囲のユダヤ人から認められれば可能かもしれません。   

しかし男性の場合、もうひとつの「正式なプロセス」である宗教儀礼を受ける必要があります。 

これもがなんとあの割礼です。そう、割礼は男性器の包皮を切り取る儀式のことです。 ゾゾっ。

他宗派にはばかげてみえますが(※)、ユダヤ民族の始祖であるアブラハムとの契約として定められている重要な儀式です。 ※ムスリムにも割礼の儀式はあります。 

米国においてはユダヤ教への改宗者はかなりいますが、キャッツ邦子さんのようにいずれも夫がユダヤ教徒、つまりはユダヤ人であるケースです。 

日本にも改宗者はいますが、こちらもほぼすべて夫がユダヤ人です。  

たまにユダヤ教に関心をもってなりたいという人もいるようですが、ラビに相談すると大方「止めなさい」と言われるようです。

 

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コメント

 いつも興味深く拝見させて頂いております。初めて投稿いたします「権太坂」と申します。
 母親がユダヤ教徒ならば父が異教徒でも子がユダヤ人と見なすの件、たしか東郷茂徳の子息(双子で外務省のお偉いさんと朝日新聞の人)がイスラエル関係者からそういう扱いを受け。「アナタは祖国に『帰還』できますよ」と言われた、との話を聞いたことがあります。母親のエヂ婦人がドイツ系ユダヤ人でしたので。また、イスラエルでは、改革派会堂で改宗したユダヤ教徒は、ほんものと見なされず、苦労するとかいう話も耳にしたことがあります。

ユダヤ教の話、大変参考になります。ユダヤ教が女系と云う下りは、キリストのマリア受胎とかに関係していそうで興味深かったです。

昔イスラエルが親会社の会社で働いたけど、人によって、戒律に対する意識はかなり違う。
まあ、会社にユダヤ教の司祭がいて、困ると彼のところで食事する敬虔な人もいるし、一緒に豚骨ラーメン食べるやつもいる。ユダヤ系と言え世界中に散らばっていた民族で、その辺は様々でしたね。

ednakano さん。はい、そうです。ユダヤ人ほど個人主義というかバラバラな人種はいません。かつて同民族だったといっても、黒人もいれば、東欧系もいます。

日本人で収束できるわが民族と違って、あまりに長きに渡って、ディアスポラ、すなわち「撒き散らされた種」状態になってしまったために、見た目も考え方も違います。
だからこそ、これ以上拡散しないために民族のアイディンティティとしてのユダヤ教の戒律が必要なのです。

ユダヤ教の宗派も、正統派・保守派・改革派とあって、今日の記事でもふれたように相当にちがいがあるようです。
考え方も右翼からリベラルまで千差万別です。
米国ではガリガリの左翼にはメディアや映画界を中心にしてユダヤ人が多く、逆にクシュナーがそうであるように保守陣営にも多くいます。
ただし、一定のユダヤ系の基礎票はあるということです。

特に外国に出てきている人となると、ムリスムもそうですが、その傾向が激しくなります。
私の安宿旅行の相部屋はジューでしたが、豚肉のソーセージ喰っていましたよ(笑い)。

しかし、一定のユダヤコミュニティがあるところでは、そのようにユダヤ教と無縁・無戒律で生きられるかというと、さてどうなんでしょうか、ということです。
私はやはりユダヤ人を見るときに、ユダヤ教をみないとわからなくなると感じています。

管理人さん

そうですね。なんせ亡国の民ですから、コミュニティを維持するためのユダヤ教は民族のアデンティティですからね。

一方コミュニティの外ではその社会の基準で生きたほうが生きやすいですし。

だから常に2面性も対なものはありますね。

ご紹介のブログ主さんのお住まいの地区の近くに4年住み、ユダヤ教の礼拝施設に間借りする日本人幼稚園に子等を通わせていたので、おっしゃる事は分かる部分があります。
推察に使うには日本人に中々理解できない部分がありすぎてブログの文章からそのまま読解すると日本人のユダヤミステリーが薄いカーテンを下ろしてしまうように思います。
全米でユダヤ系が住むのはほぼニューヨーク市とそのすぐ北の高級住宅地と隣接するグリニッジ辺りで、多数派は改革派です。
正統派や超正統派の敷居の高さと改革派のオープンさに加味してイメージすると、特殊性や宗派のそれぞれ果たしている役割が当時の私には感じられました。
ユダヤ教のしきたりを守って暮らすと他教の行事とずれて休んだり食べたり着たりと生活が変わりますし、皆んながスポーツ大会に参加する日に自分だけ休んだりして育った記憶が嫌な子達はどんどん抜けていく事もあり、様々な工夫をして分母自体が減らないように改革派の人達は活動していました。
そして日ユの夫婦で妻子が入信を希望しない数の方が多いです。
ただ、総資産や権力ではクシュナー氏のいる正統派など敬虔な派が圧倒しています。トランプはニューヨークのユダヤ教徒というより、ニューヨークのユダヤ系金持ちと力を合わせているのは確かです。
宗教文化背景は見落としてはならない部分ですが、もっと濃厚な動きが見えるまでは少し薄く様子見というのが私の意見です。

>一定のユダヤコミュニティがあるところでは、そのようにユダヤ教と無縁・無戒律で生きられるかというと、さてどうなんでしょうか、ということです。
この部分に関しても上に書かれている通り、個人の判断で皆さん振舞ってました。
若い頃はユダヤ教からの自由を求めてたけど子どもができたらアイデンティティが、と気持ちが変わる場合もあり、知り合いのカップルは息子に割礼だけ施して無宗派な暮らしを送ったり。
親の家には9本ロウソクが掲げてあっても息子は嫁と自分の家でクリスマスツリーを楽しみ、お菓子やお小遣いだけ貰いにハヌカの時だけ孫が祖父母の家でユダヤ行事するような例も。
そういうマイルドな人たちもアメリカ内では飛び抜けて几帳面で真面目な部類なので、日本人と気があう事が多いようです。
私の知る彼等中流日ユ夫婦は皆ヒラリー支持でした。

昨日はハンドルを忘れてしまい、申し訳ないです。つい本文
から書き始めると、名前を失念して「送信」ポチッしてしまい
ます。短い文章でも書き終えると「ヤレヤレだぜ」と集中力が
無くなるようで、毎日長文の記事を書く管理人さんには頭が
下がりますわ。改めて日々のブログ更新ありがとうございます。

「案外カンタンに・・なれる」のは、あくまで昔からの正統な
手続きに比べて今日的なゆるい解釈を述べたものであって、
私が戒律を100%守るとしたから明日はユダヤ人、というもの
ではないのですね。まあ、そんなだったら敵民族がトロイの
木馬作戦で偽ユダヤ人になって、腹の内部から食い破られ
ますもんね。

「西洋の事を知るには、ギリシャ・ローマ神話と旧新聖書を読ま
ねば理解できない」と言われ旧約を読み始めたものの、天地創造
などの物語性は面白いとしても、神殿の建て方を寸法ひとつから
延々と書かれていたのには閉口し投げ出しました。この時確かに
アチラはロジカルというかプリンシプルというか筋があるけど、
コチラにはそれが無くて義理人情や空気で筋が変わるという事
だけは理解できたのでした。記紀神話は物語で、アアせいコウ
せいという神の決め事に人が同意した契約書ではありません。

あの有名な偽ユダヤ人イザヤ・ベンダサンが何故誕生したのか、
その理由も旧約を少し眺めるだけでも想像がつきました。

とてもわかりやすく暖かな気持ちになりました。
管理人さんの解説のユダヤ教とキリスト教とイスラム教のシリーズをぜひ読みたいです。

日本も古代は女系だったようです。お盆や正月の起源、また言語、神社等々のことを調べると、日本は古ユダヤ民族の伝統を受け継いでいる、つまり古代に古ユダヤ人の渡来があったと思います。
ユダヤ人の顔つきは日本人に似てませんか?マサダ砦の玉砕、日本も玉砕は美徳ですか。鉄板と思われる、徐福集団の渡来、出雲王朝から統治権を奪取したことも、まともに議論されていないようです。なお徐福集団は今の中国という概念とは別物です。道教はユダヤ教が変質したものとすれば、古神道は道教の影響があり、つまりユダヤ教の影響があると思います。神道とは日本版道教ではないでしょうか。

日本は男系社会とありますが…ん〜これは少し違いますね。
皇室以外は、武家であれ一般の平民であれ男系女系あまり拘り無いのが日本です。単に家督継承するのが男子ってだけでした。その場合は養子で良かったわけですから血は女系って家系は日本ではザラです。というか…日本の場合は伝統的に民間人は男系女系はどうでも良かったのが実情ですね。日本は血より「お家存続」の方が重視されて来ましたから。お家さえ存続させられれば男系女系は(武家も含めて)どうでも良かったんです。島国で日本人しか住んでいなかったので男系であれ女系であれ日本人にしか成りようがない。だから拘る必要性が無かったのでしょう。それだけ日本人は幸運な民族だったのです。
しかし日本民族の長である皇室は絶対男系ですね。これは日本民族の生存と日本国存続の為に必要だからそうなっています。また皇室は日本に「お家意識」という概念が無かった古い時代から存在していますしね。
自分の国の事なのに表面だけ見て勘違いしている日本人が多いです。男性上位父権社会と男系社会は意味が違ってきますし。

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