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2017年12月 1日 (金)

北朝鮮「火星15」の発射についてその2 軍事オプションか北の核容認かの沸点へ

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北朝鮮がミサイルを発射したことで、再び正恩からの球がトランプに戻ってきたことになります。

ある種のキャッチボールだろうなと思わせるのは、正恩が弾道ミサイルをロフテッド軌道にしたこと、そして日本海に落したことです。

ミニマムエナジー軌道で、グアムや米国西海岸近くに落さなかったのは賢明だととりあえず褒めてあげましょう。やったらシャレになりません。

あれほどうるさかったトランプは妙に静かになり、12月18日月曜日新月の夜、米国は軍事攻撃に踏み切ったでしょう。

正恩からすれば、ただ淡々とICBMの完成への工程を歩んでいるのかもしれないし、さもなくば、米国がなんらかの「核保有」容認オファーを出してくることを期待しているのかもしれません。

いずれにせよ、米国がこれで軍事オプションへ突入すると考えていないのは、中国の習に電話会談をもちかけて、いっそうの圧力を要請したことです。 

一方中国は、米国が中国に圧力を要請してくるという関係が、少しでも長く続くことを願っています。 

国際外交において、いかなる理由があるにせよ、他国に何かを頼む時には、反対給付、つまり見返りを用意せねばなりません。 

中国が相手ならば南シナ海軍事基地化の黙認することですし、漁夫の利を狙うプーチンに対してならば経済制裁の緩和しかないでしょう。 

前者はともかくとして、後者のロシアへの譲歩は制裁法に議会承認の一項がある上に、ロシア政府による米大統領選介入疑惑で紛糾している今承認されるはずもなく、米露中の3ケ国の足並みが揃うことは相当に難しいといわざるをえないでしょう。 

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では米国単独の軍事オプションが可能かどうかですが、私は極めて困難だと見ています。 

これについては、「北朝鮮の核施設破壊のためは地上部隊を投入するしかない」という記事にまとめてありますので、お読みください。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-1ea4.html 

大規模な地上軍を北に投入せねばならないとなると、中国の承認が必要となりますが、それは現時点では不可能に等しいと思われます。 

もしトランプが軍事攻撃を選択するなら、それは「予防戦争」として安保理での非難決議を今度は米国が中露から受けることになる可能性すらあります。
予防戦争 - Wikipedia

まさに外交的賭けで、失敗した場合、米国は南シナ海での中国の軍事膨張をブロックするどころか、世界の覇権国家の地位そのものを失いかねません。 

つまりは拳をふりあげたが振り降ろせない、できるのは中国に頭を下げることだけというなんともしまらない状況が続くことになります。 

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このような北に対する手詰まり感こそが、中国に取ってもっとも望ましい状況です。 

中国には急ぐ理由はいささかもありません。 

爆発するに爆発できず、中国に圧力を依存してこさせる状況に拘束することこそが、中国の利害なのです。

それについて小泉悠氏は、「北朝鮮有事『米空爆作戦』のオプション」の中でこう述べています。

したがって中国には急ぐ必要はまったくありません。少しでも長く北に米国の鼻面を引っかき回させて、多くの米国の譲歩を引き出そうとすることでしょう。

これはさらに悪い状況を呼び込みかねません。

なぜなら、目先の北への対応に追われて、本来は主敵であるはずの中国との悪しき宥和路線に転がり込む可能性があるからです。

ここでひとまず北については「損切り」しておくことも考慮すべきです。

「しかしいわゆる核容認論は北朝鮮の核保有を不問に付そうというものではなく、北朝鮮を核保有国であると認めた上で、なんらかの軍備管理を呑ませる、あるいは北朝鮮の核戦力に対する抑止体制を構築しようとするものである。
いうなれば核容認論とは、東アジアにおける『小さな冷戦』を継続するオプションなのであり、したかって軍事オプションは今後とも存在し続けると考えられよう。」

私はこの小泉氏の見立てが、好むと好まざるとにかかわらず、もっとも現実性があると思います。

つまりは、「東アジアのミニ冷戦」です。

「東アジアのミニ冷戦」として、北と米国がかつてロシアと交渉したような核戦力制限交渉(STARTと包括的核実験禁止条約(NPT)を同時進行で進めようという考えです。
新戦略兵器削減条約 - Wikipedia
包括的核実験禁止条約 - Wikipedia
 

ただし誤解なきように言えば、旧ソ連との「冷戦」がそうであったように、厳しい軍事的緊張を維持するのが前提で、決して宥和的な「対話路線」一般ではありません。

軍事封鎖・経済封鎖・金融封鎖・貿易封鎖で北を締め上げながら、核を放棄させる「封じ込め」をしていくという政策です。

これについての詳述は明日に回しますが、軍事攻撃に頼らず軍事攻撃に等しい破壊力を持つもうひとつのオプションです。

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一方、米国国内政治にも動きが出ました。 

ティラーソン国務長官が更迭される模様です。後任は右派として知られるポンペオ中央情報局(CIA)長官のようです。ティラーソンの属する「国務省派」と私が「NSC派」と呼ぶグループの軋轢は、覆いがたいものになっているのは確かなようです。 

「【ワシントン時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は30日、政府高官の話として、ティラーソン国務長官の数週間以内の更迭をトランプ政権が検討していると報じた。
 後任にはポンペオ中央情報局(CIA)長官を充てる見通しという。北朝鮮の核・ミサイル問題など重要な外交課題を抱える国務長官を交代させれば、米国の対外政策に影響を及ぼす恐れもある。
 ティラーソン氏は、イラン核合意やカタール断交問題をめぐり、トランプ大統領と対立。さらに米メディアが10月、ティラーソン氏がトランプ氏を「能無し」と呼んだと報じ、確執が深まっていた。ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏が更迭を最終決定したかどうかはまだ明らかではない。」(12月1日時事)

少し前から伝わってきている更迭話で、北朝鮮問題において結果が出せなかったわけであり、更迭の理由としては充分なものです。 

この二つの米国内の潮流については、「北朝鮮に対する米国内の二つの考え方」として記事にまとめましたので、お読みください。山路氏も昨日の寄稿で適格な分析をされています。
関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-47f1.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-cb58.html   

これは、表向き「核を放棄しない限り対話はない」とする建前の後ろで、ティラーソンの国務省が北と様々なバックチャンネルで対話の機会を探ってきたことに対する、トランプの最終決断とも受け取れますが、私にはなんともいえません。 

このように北を巡る国際状況は、北の核容認に向かうか、軍事オプションを決断するのかのギリギリの沸点に向けて進行し続けています。 

このような中で、わが国にできることは少なく、ミサイル防衛の強化は当然の前提として、具体的にはこの程度のことです。 

①在韓邦人の避難保護問題の強化
②韓国への渡航制限条件の設定
③朝鮮総連と在日朝鮮人に対する金融規制強化
④韓国避難民への対応
⑤スリーパー・セル対策の強化

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-bc8f.html 

スッキリした解など、北の核については存在しません。

あらゆる情報に兎のように耳を立て、犬のようにそれを検証し、決して慌てずに着々と今できることを準備することが、日本人の今するべきことです。


 

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コメント

コメントがまったく伸びませんね。この件については、私
もずっと前から脱力感というか、無力感というか、カヤの
外の疎外感というか、「どうせえーっちゅーの?」です。

日本として直接的にはヤル事が無い、ほんとうに無い。核
シェルターを掘ることぐらいが直接的な行動ですが、それ
すら受け身な行動であって、なんか情けない・・

日本人の中にはサヨク脳な方達が少なからずいて、核保有
準備の第一歩さえままならない。外交では「日本国民の死活
問題である!国際社会の批判を受けてでも、我々は独自に
核兵器を可及的速やかに開発・実配備する。つつがなきや」
と言えよーと思いますわ。空気を読んではイカン、日本ファー
ストは生存権においてアタリマエの権利です。カネもテクも
持っているのだから。

デジャヴだ!どこかでこんな虚しい思いをした思い出がある
なー、と探したら・・有りました。コレです。
https://www.youtube.com/watch?v=D19j45W9Jd0

アホンダラ1号さんがコメントトップに(^^)
しかし、山路さんの3記事と今回の発射を見ると、書く前にともかく検索している間にここ数日1日のネット時間が終わる感じです。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO24129680R01C17A2EAF000?s=1
対話路線のドイツも国論は割れているようですが今回の発射に非難の声明と外交部門の一部引きあげをするようです。

クリスマス休暇がリミットといわれるならあと3週間、私達にできることは何があるでしょう。
今朝の記事にある①〜⑤の国として出来ることを妨害させない事、
各自の家庭毎に必要な非常用物資などを再チェックすること(地震グッズや備えを戦時避難にリメイクする:例えば直下地震には風呂水を貯め置くのは必ずしも良くないのですがサリンなどの除去には有効)
…非力ですね。

アホンダラ1号さん、懐かしい。

日本科学の粋を集めてコスモクリーナーDを開発してくれないかなあ。
やっぱりイスカンダルまで行かなければダメなんですかね。
しかしそれなら波動エンジンをまず開発しなければならないし、
なかなかうまくはいきませんな。

平和ボケというのは、この状況下でも、戦争にはなんとなくならない。という感覚なのでしょうかね?

ちなみに米国では、ICBMといっても核弾頭は積めないだろうから脅威でない。トランプの対応がこの事態を産んだんだ。というメディアの論調も激しいらしいです。

日本も米国も、一つにまとまって対峙するというより、内部争い、足の引っ張り合いに忙しい感じです。

この理由は、やっぱり長い平和でしょうか?

米国は戦争しまくりですが、本土が攻撃されたことはないので、どこかトンチキなのかもしれません。

いや、実際には911がありますが、所詮テロなので、それさえ警戒して飛行機の搭乗チェックさえ厳しくしさえすれば大丈夫という感覚なのでしょうか?

北朝鮮もそれを見越しているのでしょうかね?

青山議員が北朝鮮からの天然痘の流入に対する質問をされていましたが、そういうことも含め、危機管理がない我が国の状況には、いかんともし難いものを感じます。

出来るだけのことはしたいです。

私は核容認論には懐疑的です。
旧ソ連と違って「抑止体制の構築」に期待できないからです。
自国民の窮乏を看過し、極めて安易に粛正・処刑を繰り返す金政権にとって、自国民が報復攻撃によって多数死亡しても、どうってことはないのではないでしょうか。一か八か、戦争に掛けてみるという選択肢を取る危険が小さくない。

加えて、世界的に核拡散が急速に進んでしまう恐れが大きい。日本でも韓国でも核武装議論が高まるでしょうし、追随しようとする国が世界中に出てくるでしょう。それらに対し北朝鮮が核技術や核兵器の輸出をおこなう危険もあります。

米軍を撤退させて南北統一、は米国が同意すれば有り得るでしょう。でも同意するはずがない。金正恩としてもせっかく開発した核兵器を手放す手はない。事実上、交渉の余地はない。

金正恩の考え方は、ある意味で日本の政治家たちと似ていて、道義的に自分が正しいことをしているかどうかが基準であって、予測される結果から逆算して物事を判断してはいないように見えます。死にたくはないけれど、統一のため戦って死ぬなら、死に方としては最善でしょう。

経済崩壊で動乱が起きて金正恩が亡命を余儀なくされる事態にでもならないまま、ICBM完成までこぎつければ、トランプ政権は軍事オプション止むなしと判断するのではないかと見ます。

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