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2018年2月 7日 (水)

AH-64Dの事故続報

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自衛隊AH-64Dの事故の続報です。 

今回多くの目撃情報から、メーンローターが脱落して機体制御ができなくなったことが報告されています。 

正常に飛行していた機体が、突然殴られたようにほぼ垂直に落下しています。 

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 「陸自によると、ヘリは通常、25時間や50時間の飛行時間ごとに定期点検を実施。事故機は平成18年3月に配備され、飛行時間が規定の約1750時間前後となったため、メインローターヘッド全体を初めて交換したという」(産経2月6日)http://www.sankei.com/affairs/news/180206/afr1802060045-n1.html

自衛隊はそのつど修理する米海兵隊と違って(※)、一定時間経過すると劣化しているいないを問わず部品を交換するという厳しいメンテナンス体制を敷いています。
※海兵隊もメーカー指定の時間で部品交換しています。ただし、砂塵などの原因によって消耗が激しい場合にはその都度交換しているようです。

これが自衛隊機の整備不良による事故を世界トップレベルまで引き下げ、稼働率の高さに貢献しています。

今回、メーンローターヘッドを定期交換して試験飛行した時に墜落したわけですから、なんらかの因果関係が疑われます。 

メーンローターヘッドとは、下の写真で見えるマスト(軸)の上に乗っている部分です。 

Photo海上自衛隊の哨戒ヘリコプター・SH-60Kのローター・ヘッド部。いろいろなメカニズムや配線・配管が取り付いていて、いかにも複雑そうである
https://news.mynavi.jp/article/aero_tech-55/ 

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朝日新聞2月6日より引用いたしました。ありかとうございます。

井上孝司氏「ヘリコプター(4)ローター・ヘッドとトランスミッション 」によれば、ローター・ブレード(回転翼)は、ヘリのもっとも重要な部品です。
 

この回転する翼で、ヘリは複雑な飛行をこなしています。
https://news.mynavi.jp/article/aero_tech-55/ 

このローターがないと、ヘリはただの箱です。ローターが仰角を取って機体を持ち上げているわけですから、この時のヘリの重量はこのローターひとつにかかってきます。 

今回のAH-64Dは約10tですから、その重量はこの薄いローターが支えているわけです。 

上の写真で下から4本のロッド(棒)が延びているのが見えますね。これがローターの複雑な運動を司っています。

このようにローターヘッドは、ヘリの心臓部とも言える部品なためにたいへんに微妙な調整をします。

「複数の自衛隊のヘリパイロットによると、メインローターヘッドを含む整備後の点検飛行では、ローターの回転で生じる振動のチェックが重要になる。4枚の羽根のバランスが悪いと好ましくない振動が起こり、ボルトが緩んだりして飛行に悪影響を及ぼす。
 このため点検飛行では、着陸状態▽ホバリング状態▽さまざまな速度での飛行-の順に、振動が許容範囲内にあるかをチェックし、飛行後にはボルトの緩み具合などを確認するという」(産経前掲)

ですから、機長は異常な振動がないことを確認して離陸したと思われます。

なお、「なぜテスト飛行で民家の上を飛んだのか」とわけのわからないことを言っている人がいますが、小川和久氏が述べているように、「かりに試験飛行の空域が設定されており、そこへ向かう場合でも、今回の事故が起きたような空域は通過する」のです。

では、パイロットがローターブレードの異常に気がつかなかったのでしょうか。

機長の斉藤謙一2等陸佐はこのAH-64Dの日本でも屈指のプロフェショナルでした。

「斉藤さんは防衛大学校を経て20年前に陸自へ入り、主に航空部門で勤務した。飛行経験は計約2700時間。うち約1600時間が、事故機と同型のAH64D戦闘ヘリで積み重ねたものだった」(産経2月6日)
http://www.sankei.com/west/news/180206/wst1802060087-n1.html

このような高い技量を持つパイロットが、ローターの異常に気がつかず離陸することはありえません。

となると、この交換したローターヘッドの品質、あるいは取り付け方法に問題があったということになります。

現時点ではここまでの情報しかありません。

さて事故発生直後、軍用機の事故を政治的に利用するノイズのような言説が飛び交っています。

朝日の事故直後の報道は、「ヘリ直撃の住民『許せない』」というものでした。

墜落地点周辺の住民の気持ちは理解できますが、このような感情的な言葉で一括りにして代表させていいものかどうか冷静に考えることです。

当時まだ斉藤2佐の遺体は発見されておらず、事故原因はおろか事故の全容さえつかめていない時期でした。

このような時期に、メディアが率先して住民感情を煽っていいのでしょうか。

そして続けて「佐賀へのオスプレイ配備に暗雲」とつなげます。たちが悪いとしかいいようがありません。

たとえば、あるメディアは某軍事評論家にこういわせています。

「オスプレイは事故の常連です。地元の漁業関係者や住民の不安はよりいっそう高まるでしょう。佐賀の配備はいったんペンディングになる可能性があります。そうでなくても、オスプレイ配備にあたっては安全面などから慎重な検討が求められるでしょう」(日刊ゲンダイ2月6日)
https://www.excite.co.jp/News/politics_g/20180206/Gendai_440281.htmll

この人物は専門家を自称しながら、「オスプレイが事故の常連だ」と決めつけています。こういう言い方をするだけで、この人物の専門性に疑問符がつきます。

オスプレイの事故はシビアな訓練の中で発生したものであって、機体構造に事故原因がなかったことは事故報告書に明らかです。

自衛隊機の住宅地への墜落という衝撃にひれ伏させて、無関係なオスプレイ配備に結びつけようとする印象報道です。

このような報道は沖縄では日常茶飯事ですが、本土の事故までも安易な政治利用をすることは止めていただきたいものです。

またコメントにあったような、テロの疑いも先走りです。

この時期にできることは、事故原因を知ること、それに尽きます。落ち着いて下さい。

 

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コメント

これは単純なローターのハブナットの本締めの締め忘れか、規程トルクで締めなかったかとしか考えられない。

部品不良なら必ず一件の事故だけなどあり得ない、工場の工程でも同様の異常が見つかるか、交換作業の前後で見つかるなどしていて事故が起きる前から重大な問題になっていたはず。いきなりの市場事故など製造では無い事だ。

イチローさんに同感です。

過去にAH-64系でのメインローター飛散事故は起きていますが、その度に問題が洗い出されてマニュアルは書き換えられているはずです。なにしろ米軍以外も含めて1,000機近くが有るわけで。
目達原基地でのマスト全交換は初めてだったとのことで、何らかの整備ミスがあったのではないか?と。
本締め忘れや設定トルクの人的ミスは、いかにもありそうですね。
まあ想像の域を出ませんけど、離陸時は問題無かったのに・・・というのは、次第に緩んだ可能性があります。
あとは、交換した部品(それこそナットやワッシャー)が不良品だった可能性もあります。。

結局は続報待ちですね。

なんですう、欠陥品のオスプレイ配備に影響だとかとツイートどころかテレビで堂々とやらかすコメンテーターや評論家(笑)さんって、そんなんでメシ食えるなら羨ましいわ!

奄美大島オスプレイのリムピース記事は良いと思います、というか黙認です。
善し悪しや好き嫌いはともかく、連中は共産党の資金力で綿密な調査をしていますから。それこそそんなことやっててメシ食えるのか!です。貴族様は違いますね。

今日の佐賀新聞によれば、ヘリの破片は墜落地点から800mの広範囲に飛散していて、中には「第三対戦車ヘリコプター隊」と書かれた交通安全のお守りもあったそうです。

昨日のサガテレビでは、風防とみられる枠やガラス、操縦桿らしき破片もVTRで映し出されていましたので、空中で何らかが機体に当たって、操縦席も壊れたんじゃないかと想像できました。
外れたメインローターが機体を叩いたのかどうかはわかりませんが、空中で機体に大きな損傷があったのは間違いなさそうです。

飛行ルートも、場周経路と言われる駐屯地上空のルートを2分間飛んだ後、異常がないことを確認してから通常の飛行ルートに向かったとのこと。
ここまできちんと手順を踏んでるのに事故が起きてしまったことは残念でなりません。

いずれにしろ、事故の原因究明が待たれますね。


今のところ、佐賀県での報道はそんなに過熱していないように思えます。
これが沖縄だったら、特集に次ぐ特集。何十年前に落ちた米軍機から最新の予防着陸までいろんな事故が報道されるんでしょうけどね。

まぁ、佐賀は民放1局(フジ系)、地方紙1紙(社会面は共同通信配信頼み)なのが幸いしているのかもしれませんが。

「大きな音がした」という証言やそれがあったからこそ撮影できたであろう動画が存在しているので、単純な閉め忘れやそれに準ずる部品不良だけではないように思えます。

軍事機密に関わる事なので公開できない部分は多いと思いますが事故原因だけは明るみになる事を希望します。

今回は事故直後の現場を空撮しにいく報道メディアの無神経ぶりには唖然としました。

今朝の朝刊からですが、ヘッド本体に不具合が発生していた可能性が浮上してきたようです。

同紙内容からの抜粋ですが、「水路から引き上げた主力回転翼にはヘッドの一部が残り、ヘッド中央部分からもげて離脱したような跡があった。一方、翼のヘッドとの結合部に目立った損傷は見られなかった。」そうです。

まだ、正式な発表ではないので変わる可能性は十分にありますが、これはこれで問題ありですね。

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