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2018年2月

2018年2月28日 (水)

ムン閣下の「非核化への包括的アプローチ」とは

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ムン閣下がこんなことを言い出しています。

「【ソウル時事】韓国の文在寅大統領が25日、平昌冬季五輪の閉会式出席のため訪韓した金英哲朝鮮労働党副委員長ら北朝鮮高官代表団との会談で、朝鮮半島の非核化を実現する必要性を強調したことが分かった。韓国大統領府当局者が26日、記者団に明らかにした。
 詳しい発言内容は公表されていないが、聯合ニュースなど複数の韓国メディアによると、非核化に向けた具体的なロードマップ(行程表)にも言及した。
文大統領はこれまでに、北朝鮮の核・ミサイル活動の凍結を当面の目標とし、第2段階として完全放棄を目指す「段階的、包括的アプローチ」を打ち出しており、この2段階構想を説明したとみられる」
(時事2月25日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018022600304&g=prk

Photo平昌オリンピックスタジアムの平昌冬季五輪の閉会式文在寅(ムン・ジェイン)大統領(中央左)、イヴァンカ・トランプ大統領補佐官(中央右)、北朝鮮朝鮮労働党の金英哲(キム・ヨンチョル)中央委員会副委員長(後列右)2018年2月25日AFP/WANG Zhao http://www.afpbb.com/articles/-/3164056

やれやれ、大騒ぎして制裁破りのキム・ヨジョンや、キム・ヨンチョルがきたり、はたまた美女軍団とやらが来たにしては、なんともしまらないムンの北朝鮮への「新提案」です。 

「非核化へのロードマップ」ときましたね。かつての民主党政権か、今の立民党の原発ゼロのロードマップよろしく名称だけ聞くと、なんか出来ちゃいそう(笑)。

昨日、NHKが米韓合同軍事演習をすれば、北が反発してミサイルを撃ち、戦争になるようなことを報じていたと聞きましたが、メディアは今の朝鮮半島危機のパワーバランスを読み間違っています。 

ひとことでいえば、圧倒的に米国が北朝鮮を土俵際まで追い込んでおり、北は待ったをかけさせてくれぇと叫んでいる状況です。 

正恩が、閉会式に人もあろうに天安沈没事件とヨンピョン島砲撃事件の主犯であるキム・ヨンチョルを送った意味は、私にはひとつしか思いつきません。 

2金英哲

「閉会式にわが国で最も凶悪な手下を送った。何卒、穏便に済ませたいと望むわが国の指導者の真意をお汲み取りくだされ」 

絵柄としては、トランプ保安官の前でホールドアップしたといったところですが、参ったふりをして隙を狙って眼に砂をかけてやるくらいのことは企んでいるはずです。 

今、北が渇望しているのはムンが仕掛けた「米朝対話」以外にありえません。 

ヨジョンを送ったのはそのための瀬踏みだとすれば、ヨンチョルの役割は、ムンの口から正式に冒頭の「対話によるロードマップ」とやらを言わせることでした。 

こればっかりは、北の口からは言えませんから、ぜひとも仲介者ヅラしたムンに言わせる必要があったわけです。 

さて、トランプはキワモノ呼ばわりされていますが、実はオーソドックスな正攻法で北を締め上げています。 

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 去年12月には国家安全保障戦略を策定し、翌1月には国防戦略、そして2月には新核戦略を公表しました。 

この「核体制見直し」(NPR)については『「米国の「核体制見直し」の対象は北朝鮮です』という記事にしてありますので、よろしければご覧になって下さい。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/22-5e08.html 

これは決してトランプが個人の思いつきで言っているのではなく国防総省との緻密な練り上げの結果です。 

したがって、充分に短期間で実行可能となるリアルな戦略であるが故に、正恩は恐怖したのです。 

そして一方で、国連制裁決議を積み重ね、いまや第2段階の徹底した経済制裁に進もうとしています。 

「瀬取り」阻止を理由とした海上封鎖が実施されれば、北はあらゆる密輸入も密輸出も不可能になります。 

抵抗しようものなら、それ自体が軍事攻撃の口実を米国に与えることになります。

米国は米国本土への直接の脅威とならなければ、一定の核武装は許容した可能性がありました。

中距離弾道ミサイルノドンは、現況でも充分に日本を射程に納めていますが、その放棄を米国が真剣に考えたことはありませんでした。

オバマ流「戦略的忍耐」で充分に対応可能だと考えたからで、米国との全面戦争になる日本への核攻撃をするほど、正恩が馬鹿ではないと思っていたからです。

この段階で正恩は、核開発を停止しておけばよかったのです。

しかし「米本土を火の海にする」と言い出して、現実に火星14、15を打ち上げてしまっては投了です。

米国は伝統的に、自国領土への攻撃をきわめて重く考える国です。

かつての日米戦争の発端となった真珠湾攻撃、キューバ危機、対テロ戦争のきっかけとなった9.11同時テロ、すべて米本土、ないしは領土が直接の攻撃対象となったものだということを思い出して下さい。

そんな国に対して、言うに事欠いて「米本土を火の海にしてやる」と言ってしまってはもうシャレになりません。

正恩は米国を本気にさせたのです。

正恩は遅まきながら、やっとこの事実に気がついたようですが、脳味噌がゆるいムンは理解が足りていないようです。

ですから、ムンの「包括的アプローチ」には、第1段階の「北朝鮮の核・ミサイル活動の凍結を当面の目標」とすると言いながら、どのように「凍結」が検証されるのか、ムンは明らかにしていません。

核開発凍結を検証するには、北朝鮮国内をIAEAなどの国際機関の査察官が、一切の制限なしに調査活動する自由が認められねばなりません。

いかなる秘密研究施設であろうと、軍事基地であろうと査察官は立ち入って、無制限に調査する権限を認められねば核開発の「凍結」の担保たりえないのです。

今の北が、そんなことを許すはずもありません。

したがって、よしんば米国がこの「包括的アプローチ」を呑んだとしても、北は絶対に呑まないでしょう。

ところで、時事はムンの「新提案」だけを伝えていますが、米国の対応も伝えねばバランスを欠きます。

即座に米国は、浮かれ気味のムンにこんな釘を刺しています。

「【ワシントン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスは25日、北朝鮮代表団が韓国の文在寅大統領との会談で米国と対話する「十分な用意がある」と表明したことに関し、「非核化に進む第一歩であるかを見極める」とする声明を発表した。
 声明はまた、米国と韓国および国際社会は「北朝鮮との対話は、非核化という成果を伴うものでなければならないとの立場でおおむね合意している」と指摘した上で、「北朝鮮が非核化するまで最大限の圧力をかける路線を維持しなければならない」と強調した」
(産経2月25日)

http://www.sankei.com/world/news/180226/wor1802260003-n1.html

つまりは、米国は北が非核化の担保を入れれば、話あってやってもいいということです。

それは先ほど述べたように、核開発の放棄宣言と、それを検証する実効措置のことなのです。 

2018年2月27日 (火)

トランプ 制裁の第2段階を宣言

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時間が限られた中でのせめぎ合いが続いています。米国が「史上最大の制裁」と銘打って新たな独自制裁を始めました。

「ドナルド・トランプ米大統領は23日、核武装を進める北朝鮮と関与しているとして海運会社、船舶、貿易企業50以上を対象とした独自制裁を発表。「史上最も重い制裁だ」と自賛した。 米政府によれば、新たな制裁は北朝鮮に核開発計画を中止させることを目的としており、北朝鮮の他、中国、シンガポール、台湾、香港、マーシャル諸島、タンザニア、パナマ、コモロに拠点を置いているか登記している企業などが対象となる」(AFP2月25日)

これはいわゆる「瀬取り」と呼ばれる、公海上での荷物の受け渡しに対応したものです。 

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この「瀬取り」監視任務には、海自、海保の航空機、船舶も、黄海・日本海のパトロールに参加しており、米国沿岸警備隊も派遣される大規模なものになるようです。 

本来はエリアから言っても、当事者である韓国海軍・海洋警察が主力となるべきですが、韓国が参加しているという情報は聞こえてきません。

どうやら韓国海洋警察は、竹島専用のようです。 

今回、制裁対象となるのは、北朝鮮の19隻を含む中国、台湾、シンガポール、香港、パナマなどの船舶計28隻や27海運会社、1個人の56件です。 

既に今年1月、スティーブン・ムニューチン米財務長官は、北朝鮮船籍の船舶6隻、中国やロシアなどで活動する16個人、北朝鮮原油工業省など9団体を米独自の制裁対象に指定していますから、大変に大規模なものになります。 

国連制裁決議は、「瀬取り」を想定していませんでしたが、この盲点をついた悪質な手口で、当然、背後には中露の意図的制裁破りが存在します。 

制裁を決議した国連安保常任理事国が率先して破ってはシャレにならないと思いますが、まぁそういう国なんだと思うしかありません。

「ロイター通信は昨年末、複数のロシア船籍タンカーが昨年に少なくとも3回、北朝鮮船舶に洋上で石油精製品を引き渡していたと報道。昨年10月には韓国の港を出た香港籍の船が公海上で北朝鮮の船に約600トンの石油精製品を移し替えたことも明るみに出ている」(聯合2018年1月29日)

北朝鮮の密輸を幇助している中国は、当然反発しています。 

耿爽(こう そう)副外務省報道局長は2月24日、今回の追加制裁について「米国が国内法に基づいて中国の組織や個人に独自制裁を科すことに断固反対する」としていますが、今、中国にできることは少ないと思われます。 

もしこれで米国に抗議などすれば、山のような中国の制裁破り幇助の証拠資料を積み上げられるでしょうからね。 

この米国の「史上最大の制裁」は、いままでと決定的に違っているのは、今回は実力を伴っていることです。 

今回は国連制裁決議を国際法上の根拠とする独自制裁ですから、国連安保理での中露のサボタージュに邪魔されません。 

したがって、今回の追加制裁はただの監視ではなく、2017年9月11日の国連安保理決議で認められた海上臨検を念頭に置いたものなります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-ba2d.html 

これをトランプは、2月23日、マルコム・ターンブル豪州首相との共同記者会見でこう述べています。 

「北朝鮮への制裁の効果がなければ、荒っぽい第2段階に入らなければならないだろう」 

今回の「第2段階」は、一見トランプの無茶ぶりに思う人もいるでしょうが、実は米国外交のゴールドスタンダードである、キューバ危機をひな型にしていると思われます。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-fb5b.html 

オーソドックスな外交を好む宮家邦彦氏にかかるとトランプはど素人のマッドマンにすぎないようですが、案外やっていることは米国外交の正統派です。

ツイッター内容はぶっ飛んでいますが、現実の軌跡は国連決議の積み重ねで追い詰めていき、やっと海上臨検にまで到達したわけですから、米外交の王道です。

さて、1962年のキューバ危機と今回の北朝鮮危機には、大きな共通点があります。

それは脅威の対象が、同盟国の安全保障一般にあるのではなく、米国本土に到達し得る核ミサイルにあることです。

つまり韓国がどうのではなく、米国の心臓を直接に核で狙っていることこそが問題だということです。

キューバ危機の場合、キューバというフロリダから目と鼻の先に核ミサイルを配備された場合、米本土全域が射程内に納まってしまいます。

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米国にとって到底これは許せないことでした。米国は核ミサイルを配備したソ連との交渉に入ります。

その交渉圧力として米国は、キューバに搬入されるミサイルを阻止するための海上封鎖行動を開始します。

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ケネディはキューバを直接に爆撃・侵攻しろという政府内部の強硬意見を退けて、海上封鎖というカードを選びます。なかなか渋いカードです。

海上封鎖もまた広義の軍事行動の一種ですが、「監視」よりも強く「爆撃」よりも弱い、「軍事行動未満・非軍事制裁以上」という中間的性格を持っています。

つまり、相手に翻意させる時間を与えて妥協を引き出すことが可能です。爆撃してしまっては、いきなり戦争となりますからね。

臨検前には空から海軍の哨戒機が低空でぴったりと並走して、停船することを求めます。

船舶が停船したら、武装した海軍ないしは沿岸警備隊員が相手方に乗り込んで強制的に臨検します。

これを拒んで停船に応じなかったり、船員が抵抗すれば物理的な衝突に発展する危険性があります。

つまり、相手方が制裁逃れを断念すればよし、しなければ・・・、という「含み」を残しているのが味噌です。

この「含み」こそが、外交が活躍できる狭い余地です。

韓国や中国は盛んに「対話」を主張していますが、キューバ危機の場合に置き換えれば分かるはずです。

米国は米本土に到達する核ミサイルがキューバにある以上、いかなる妥協も排除しました。

ただ、その手段に爆撃か海上封鎖かという濃淡があるだけです。

かつてのキューバ危機において米国は核ミサイルを残した形で、危機の終結を宣言することはありえませんでしたが、今回もしかりです。

 

2018年2月26日 (月)

韓国の「戦時統制権」から見えるもの

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国政治を眺めていると必ずでてくる用語に、「戦時統制権」という概念があります。 

かねてから、韓国のプライドが許さないから返せ、いやよく考えたら返されたら米軍も撤退されるかもしれないから返さないでくれ。 

ええい、中とって韓国軍人が司令官で米軍人が副司令官の「未来連合司令部」じゃどうだ、なんて韓国はダッチロールしています。 

え、こんな案なんか米軍が呑むわきゃないって、ああ、どうするんだぁぁぁ(エコー)。 

今のように、いつあってもおかしくない朝鮮半島有事がリアルな状況では、ちゃんと押さえておいたほうがいいでしょう。 

まぁ、漠然と「戦時の統制権限」だくらいは分かりますが、どうして韓国軍だけに適用されているのでしょうか? 

はたまた、「戦時」があるなら、「平時」ではどうしているのでしょうか? 

また、日本は無関係なのでしょうか? 

ね、けっこう謎に満ちているでしょう。 

まず、戦時統制権なるものが、米国の同盟国は数あれど、韓国軍だけに適用されているのかといえば、イエスです。 

では誰が「統制」しているのでしょうか。米軍と言いたくなるでしょうが、正確ではありません。 

統制する主語はあくまでも「国連軍」であって、在韓米軍はその権限を継承しただけです。 

ここで、現在の朝鮮半島が、戦争が終結した状態ではなく、延々と続いていて、韓国すらも忘れかかっている節がある「休戦」状態だということを思い出して下さい。 

朝鮮戦争は1950年6月25日午前4時に北朝鮮が一発目の砲撃を開始してから、少なくとも形式的にはまだ終わっていないのです。
朝鮮戦争 - Wikipedia 

国連安保理は、7月7日に「国連軍」を発足させました。これが歴史上最初にしておそらく最後の、「国連」という世界機関が加盟各国に軍隊の提供を求めた多国籍軍です。 

7月25日には東京に国連軍司令部が立ち上がり、あたりまえの顔をしてマッカーサーが最高司令官に納まります。

Photoインチョン(仁川)上陸作戦。1950年9月15日。革ジャンで決め決めなのがマッカーサー。

「国連軍司令部」と名乗っていても、要は日本の戦後処理のためのGHQがそのまま別の看板を掛けただけです。
 

ご承知のように、「国連」も美しい誤訳で、"United Nations"とは連合国のことです。だから日本は「敵国」指定されています。 

それはさておき、16カ国によって構成される「国連軍」といっても、内実は米国以外は100人以下の国が圧倒的で、陸軍の10%、海軍は7%、空軍に至ってはわずか1%でしたから、米軍の代名詞でしかなかったわけです。

途中経過は省きますが、1953年7月27日にパンムンジョム(板門店)で、休戦協定が結ばれて今に至ります。

1978年に米韓連合軍司令部が作られると、そのまま在韓米軍が統制権を継承したのですが、国力がついてくるにしたがって韓国内には「これじゃあ、まるで属国だろう」というプライドがフツフツと沸き上がったわけです。

で、1988~93年のノ・テウ(盧泰愚)政権時代に、韓国は正式に統制権の返還を求め、いちおう返ったことになっています。

ただし、それは「平時」統制権であって、「有事」は別でしたから、米国は本気で韓国を信用していたわけではないのがわかります。

まぁ、うるさいからちょっとなだめただけで、あいかわらず「戦時」統制権という実体のほうは在韓米軍が握っていました。

というか、米軍には戦時統制権、平時統制権という区別自体がないのです。

すると今度は韓国は、「戦時」のほうも返してくれと言い始めたのが昨今です。

米国が今でも「戦時統制権」を握っているのは、有体に言って、韓国を信じていないからです。

まずもって、韓国単独では北朝鮮が本気になったらとてもじゃないが、かなわないと見ています。

まして核ミサイルなどを持った今の北に対しては、なす術なしと考えています。

もうひとつの理由は、韓国をひとりにすると、米国の了解もとらずに勝手に戦争を初めてしまう可能性が残るからです。

というのは、韓国軍は玄武2短距離弾道ミサイルなんてもの騒がせなものをもっているからです。
玄武 (ミサイル) - Wikipedia

2玄武2短距離弾道ミサイル

これは米国が供与しなかったので、どうやらロシアの9K720イスカンダル(←宇宙戦艦ヤマトかって)をスパイに盗ませたものだと言われています。

ちなみに韓国の弾道ミサイル技術は、北と比較して大幅に遅れていますが、今は、日本も保有を検討したばかりの巡航ミサイル玄武3まで持っています。

Missile_2玄武3 http://capricciosoassai.blog51.fc2.com/blog-entry-141.html

2016年にはこの2種類のミサイルを800基、2020年代半ばには2千基もつと、言っています。

現時点では、韓国はこんなことを言っているようです。

「【ソウル聯合ニュース】韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官は12日、米軍から韓国軍への有事作戦統制権の移管について、「時期と条件に合わせて迅速に移管する」と表明した。
 国会の国政監査で述べた。有事作戦統制権の移管は「韓国軍の体質と能力を飛躍的に発展させる機会になる」と強調。「韓国軍主導の戦争遂行能力を備えることで、韓米同盟を相互補完的かつ強固に発展させる」とした」(中央日報2017年10月12日)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/12/2017101201268.html

言って いるのは、土曜の記事にも出たおでこに青筋のソン・ヨンム長官です。

景気のいいお話ですが、こんな勝手に戦争を始められるような敵地攻撃能力をもたせたくないというのが、米国の本音です。

たとえば、玄武を独断でぶッ放してしまったら、自動的に停戦が破られ、在韓米軍までも望まない戦争に巻き込まれることがありえます。

さらに、韓国が本気で戦争したいと考えている仮想敵国は、他ならぬ日本です。

日本は頼まれても二度と韓国と戦争などしたいなどとは思っていませんが、日本をすっぽり射程にするミサイルを持ったら、なにを考えるかわからんん、という危惧が米国にはあるようです。

韓国は激しく左右にブレまくったあげく今のような容共政権すら生み出してしまうのですから、首根っこは押さえておかにゃならんということです。

ちなみに、これは韓国だけではなく、わが国の「敵地攻撃能力」問題にも言えることで、巡航ミサイルや空母を配備をすれば、米国から独立した攻撃能力を持つことになります。

その場合、米国はここでも日米同盟のために巻き込まれる可能性がでてくるわけです。

よく左派の人は「米国の戦争に巻き込まれる」といいますが、現実には逆で、米国が「巻き込まれる」ことをいやがっているのです。

保守派の人たちも、空母だ、核だというならば、このことについて真剣に整理しておく必要があります。

さて、今後ムン政権が戦時統制権を返還することを強く求め、仮に米国がそれを呑んだとした場合、米国が他国の指揮下に入ることは絶対にありえない以上、「未来連合司令部」などといったバッチモンができるはずはありません。

米国は「戦時統制権」だけ手放し、米韓同盟は温存したうえで基地施設は同盟条約に基づいて独自判断で使うということになるでしょう。

もちろん事前協議や通告という枠組みは形式的には残すでしょうが、米国本土が攻撃される可能性が出た場合、ムン政権の頭越しに先制攻撃することはありえます。

そう考えると、韓国は戦時統制権についてトーンダウンするのが賢いとは思いますが、もっとも米国という国はやるときには勝手にやりますから一緒かもしれませんが。

 

2018年2月25日 (日)

日曜写真館 ちょっとストレンジ

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2018年2月24日 (土)

五輪閉幕 祝祭の後の虚しさは・・・

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祝祭というのは、かならず終わりがくるもんです。 

ピョンチャン五輪が明日で閉幕してしまいますが、さぁ、どうしましょう、ムン閣下。 

楽しかった五輪という冬休みの後には、かねてからの宿題の米韓合同軍事演習が待っています。 

宿題を出した米国は、やるに決まっているだろうと言っています。これに関しては米国内部の意見の食い違いはありません。

「米国務省のナウアート報道官は20日の記者会見で、平昌冬季五輪・パラリンピック期間(2月9日~3月18日)中の実施を延期した毎年春の米韓合同軍事演習について「(パラリンピック後に)実施しないと考える理由はない」と述べ、計画通り実施されるとの認識を重ねて示した。
 北朝鮮は関係改善を進める韓国に対し、米韓軍事演習の中止を要求。韓国の宋永武国防相は20日、演習の日程などをパラリンピックが閉幕する3月18日から同月末までの間に発表すると表明している」(産経2月21日)

http://www.sankei.com/pyeongchang2018/news/180221/pye1802210011-n1.html

一方、韓国は建前では、「やる」といわざるをえない立場に追い込まれています。 

あたりまえです。同盟国間の取り決めはいったん決めた以上履行するか、関係そのものを白紙にするかの二択択一しか残らないからです。 

さもないと、同盟の基盤である信頼関係がなくなってしまいます。

これは日本とて同じで、普天間移設は日本政府が言い出したことを、米国が合意し政策化されたものです。 

したがって、政策化の途中で白紙化することはもとより、鳩山氏のように一方的変更を加えることは、同盟関係そのものを棄損することになります。 

どうも移設反対派の人たちは、移転問題が国家間取り決めを根拠にしているということに気がついていないようです。 

国家間取り決めですから、地方自治体には口を突っ込む余地は本来まったくありません。 

これは国際常識であって、地方自治体がキャスティングボードを握ってしまっているかにみえる日本のほうがおかしいのです。 

閑話休題。 

Photo宋永武長官 聯合ニュース 

さて韓国は、当事者であるソン・ヨンム(宋永武)国防部長官までもがモゴモゴと煮え切らないことを言い始めています。

「【ソウル聯合ニュース】韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官は20日、平昌冬季五輪・パラリンピック期間と重ならないよう実施を延期した韓米合同軍事演習と関連し、「パラリンピックが終了する3月18日から4月より前に韓米両国の長官が正確に発表する」と述べた。両国は演習について、発表までは肯定も否定もしないことにしたと伝えた。
宋氏はまた、北朝鮮が五輪参加の条件として韓米演習の延期を要請したのかと問われ、「事実ではない」と否定した。演習の延期で韓米同盟に亀裂が生じるとの懸念には「(同盟は)1ミリも誤差がない」と述べた。韓米両軍は朝鮮半島有事に備えた合同軍事演習を毎年春ごろ実施している」(聯合2月20日)

まぁ、ソン長官は日本でいえば防衛大臣ですから、こう答えるしかなかったのでしょう。
宋永武 - Wikipedia 

ソン長官のおでこにひや汗がにじむような苦しい言い分ですが、「3月18日から4月まで」と期限を切ったところで、米国は冒頭の国務省報道官が「実施しないと考える理由はない」とまでいう以上、回答を一月延ばしただけにすぎません。 

冬休みの宿題ができなかったので、一月待ってというわけで、おおよそ国家が言うことじゃありません。 

ソン長官は海軍参謀総長を経験していますから、いまこの時期に米韓合同軍事演習を韓国側が拒否したらどのようなことになるのか、よく分かっているはずです。 

ただし、ソン長官は、ムン政権の非主流派です。昨日紹介した「対北対応ファイブ」にはお呼びがかからず、国防の責任者でありながらプリンセス・ヨジョンには会わせてもくれませんでした。 

その冷や飯ぶりが忍ばれます。 

かてて加えて、あしたの閉会式にやって来る北の代表は、なんと韓国に散々テロを仕掛けてきたテロリストの親玉格であるキム・ヨンチョル(金英哲)党副委員長です。
金英哲 - Wikipedia 

キムがかつて偵察総局のボスだったとは有名で、この部署は対外テロ・内部工作・内部攪乱の大本締めだったところです。
朝鮮人民軍偵察総局 - Wikipedia

Photo_2金英哲

「金氏は対韓国政策を統括する党統一戦線部長も兼務しているとされる。一方、かつて工作機関、偵察総局のトップとして、2010年の韓国哨戒艦撃沈事件や延坪(ヨンピョン)島砲撃事件などのテロを主導したとみられており、韓国や米国の独自制裁の対象となっている」(産経2月20日)

http://www.sankei.com/pyeongchang2018/news/180222/pye1802220063-n1.html

韓国政府は天安沈没事故を、北のテロと断定しています。 

ソン長官がまともな海軍軍人だったのなら、自分の部下が殺された天安沈没事件や、ヨンピョン島砲撃事件を忘れているはずありませんから、複雑な心境とお察しします。
天安沈没事件 - Wikipedia
延坪島砲撃事件 - Wikipedia 

Avn_koreaship_109561f5b75d天安沈没事件

 ソン長官は青ざめたことでしょう。こともあろうに、うちの国を散々破壊して回ってくれた張本人がのうのうと「平和の祭典」の締めくくりにやって来るというのですからね。 

とまれ、もう引き延ばしは効きません。 

いちおう建前では、昨日書いたムン政権主流のチョ・ミョンギュン(趙明均)統一相もこう述べています。 

「趙氏はこの日、国会法制司法委員会の全体会議に出席し、五輪終了後に合同軍事演習を実施するかとの問いに、「韓米の軍事当局間で軍事演習を再開する方向で協議を進めていると聞いている」と答え、反対する考えはないとした」(聯合2月20日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/pgm/9810000000.html?cid=AJP20180220001200882

私にはとうてい本心だとは思えませんが、いちおう頭では分かっているようです。 

ここまで煮詰まれば自ずと、ひと月間にムン政権が仕掛けられる選択肢は限られてしまいます。 

イエスと言って、例年どおり米韓軍事演習を実施して、自由主義陣営にとどまるのか、あるいはノーと言って、ピョンヤン詣でに行くかです。

ちなみに、ピョンヤン詣でに行くとムンが言い出せば、米国は激怒するでしょうが、それを同盟解消の理由にはしないはずです。

在韓米軍を引き上げることも、今この時期にすることはありえません。

なぜなら、米国の対北軍事攻撃を実施する場合、韓国軍はアテにしていないでしょうが、オサン(烏山)空軍基地などは重要な前線基地ですから、米国のほうから手放す理由がありません。

仮に 同盟解消となるなら、その手袋を投げるのは韓国側にさせるはずです。

決められないムンとしては、さらにグダグダと半年ほども引き延ばしたいのでしょうが、イヴァンカ・マリー・トランプ補佐官は、その釘を押しにいくのです。

間違っても北側代表団と握手はおろか眼すら合わせず、ワンショット写真におさまることすらないはずです。 

ああ、祝祭は一時、その終わりは虚しいもんです。

※改題しました。いつもすいません。

 

 

2018年2月23日 (金)

チョ・ミョンギュン統一相の動きを見ると、韓国政府の思惑が理解できます

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一昨日、ペンス副大統領となんとしてでも会談をもたせたかったムンの願いも虚しく、米側はおろか、北朝鮮側にも拒否されていたことが分かって一部で大騒ぎになりました。 

それを伝える産経(2月22日)です。

「【ソウル=名村隆寛】韓国で設定されていたペンス米副大統領との会談を結果的に拒否し、表向きは米国との対話を拒絶してきた北朝鮮だが、実際は米国との接触を自ら求めていたことが明らかになった。
 北朝鮮外務省局長は北朝鮮代表団の訪韓2日前の7日、朝鮮中央通信の質問に対し、平昌五輪を機にした韓国訪問期間に「米国と会う意向はない」と明言。「わが方は米国に対話を物乞いしたことはなく、今後も同じだ」とまで断言していた。
 米国との対話を拒み、五輪を「政治的に利用しない」(同局長)とまで強がっていたにもかかわらず、本音では米国側との会談を切望していたわけだ」

昨日22日のニッポン放送朝ラジで、佐藤優氏が「これは私もハズしました」と驚いていましたね。 

キャスターの高島某が驚くのはいたしかたないとしても、私は「知の巨人」が驚いたことに驚きました。 

私も紹介しましたが、朝日新聞・牧野愛博記者は既に2月19日に速報を出していますが、佐藤氏はお読みにならなかったようです。
http://diamond.jp/articles/-/160285
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-0b90.html

「北朝鮮側も米国との会談に関心を示さなかった。情報関係筋によれば、北朝鮮も米側に嫌われていることは9日の行事から感じており、「自尊心を傷つけられた」という」(牧野前掲)

この「自尊心を傷つけられた」という見方は、韓国政府当局者のものでしょうが、いかにもいかにものコリア風表現で微苦笑してしまいます。 

韓国政府を籠絡し、世界に雪解けムードを演出したのだから、深追いはしないということのようで、ヨジョンというゴールドカードの「自尊心」を傷つける可能性があることは一切しないということのようです。 

産経名村記者が伝えるように、当初から北朝鮮は「物乞いはしない」(前掲)という態度を明確にしており、ペンスも安倍氏と詳細な打ち合わせをしていました。 

菅官房長官の弁です。

「安倍晋三首相とペンス副大統領は十分な時間をかけて、訪韓する北朝鮮代表団への対応などについて綿密にすりあわせを行い、必要な情報共有はしている」と強調し、事前に米国から情報がもたらされていたことを示唆した」(産経前掲)

さて、2月10日、青瓦台でヨジョンとの会談に臨んだのは、牧野氏の記事によれば、この5名でした。

「文大統領のほか、趙明均統一相、徐薫国家情報院長、任鍾晳大統領秘書室長、鄭義溶国家安保室長の計5人だった」(牧野前掲)

これがムンのいわば「北朝鮮対応ファイブ」です。韓国外交部を通さず、彼らは大統領直轄で動いています。

米側と接触する時には、「この内容は外交部に伏せておいてほしい」という要望を出して、米国を呆れさせたこともあります。

2趙明均統一相

チョ・ミョンギュン(趙明均)統一相は、イ・ジョンソク(任鍾晳)秘書室長と並ぶ対北融和派の筆頭格の人物で、かねてから北の五輪参加を積極推進していた人物です。
任鍾晳 - Wikipedia

なお、大統領の右腕と称されるイ・ジョンソクは学生時代には全大協(≒日本の全学連)議長として越北し逮捕という経歴の持ち主で、確信犯的な主体主義者と見られています。

それはさておき、流れでこのチョの言動をみてみましょう。

2017年11月17日付朝鮮日報です。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/11/27/2017112703026.html

まずは北朝鮮兵士亡命事件の折のものです。

Photo2017年11月13日北朝鮮兵士亡命事件https://www.jiji.com/jc/d4?p=dmz118&d=d4_bb

「【ソウル聯合ニュース】韓国統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は27日、南北間の偶発的な軍事衝突の防止に向け連絡チャンネルを確保することが急務だとの考えを示した。
ソウルで開かれた平和財団創立13周年記念シンポジウムに祝辞を寄せ、「先ごろ板門店で起きた(北朝鮮兵士の韓国亡命)事件を機に、その必要性をあらためて痛感した」と述べた」

同時期にチョは、ロイターにこう語っています。
https://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-southkorea-minister-idJPKBN1DS0RA

「[ソウル 28日 ロイター] - 韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は28日、北朝鮮が1年以内に核開発プログラムの完了を宣言する可能性を指摘した」

そして、北の五輪参加を目指すと発言しています。

政府はいつでも北の平昌冬季五輪参加を歓迎する。国際機関と協力しながら北の参加に必要な支援を行う準備もできている」と強調した
(朝鮮日報2017年11月17日)

また同時期に、チョ自身ではないでしょうが、ピョンヤンで韓国政府関係者が北と秘密交渉をしていたことも明らかになっています。

この秘密交渉が、北の五輪参加と南北会談にあったとは明らかで、秘密交渉からわずか数十日後の2018年1月9日、南北高官級会談が開かれます。

Photo_21月9日、南北高官級会談

そして「南北統一」五輪が開かれ、ヨジョンとキム・ヨンナムといった北代表団と直接会談を持つことになります。

U_l2018年2月10日韓国大統領府 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3161944?pid=19799930

この流れの中で、チョは北に核を捨てさせるという発言を一回もしていません。

むしろ、きわめて早い時期に北が核を完成させるだろうと言いながら、北と南北ホットラインを結ぼうと主張しています。

これは、チョが少なくとも核保有国となった北と平和共存し得ると考えているか、あるいはその「先」も念頭に置いているかのいずれかです。

「先」とは、ムンが全代協活動家だった頃からの持論であり、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時における大統領秘書室長時代の「高麗連邦」制への移行であるとことはいうまでもありません。

なおこのムンの主張は、キム・イルソンの「高麗民主連邦共和国」構想のまんまパクリにすぎません。

朝鮮半島における「1国家2体制2政府」を想定し、南北の地方政府がそれぞれ国防、外交権を持つ構想で、地方政府の上位に連邦国家の中央政府が位置するとういう建て付けになっています。
高麗民主連邦共和国 - Wikipedia

とまぁ今は、このような麗しきユートピアへの流れを現実のものとしたいと熱望するムン政権と、「そう簡単に米朝会談をするものか、さらにお前らの掛け金を高くしてやるぞ」と考える北との揉み合いの時期のようです。

佐藤優氏はこの番組で米国はやがて裏切るだろうというようなニュアンスでしたが、さてどうなりますか。

 

2018年2月22日 (木)

ムン閣下が描くファンタジー

019
ちょっと前の韓国映画に、『トンマッコルにようこそ』というものがありました。 

どんな映画かといえば、これがなかなかの「感動の」ひと品なのです。

「時代は熾烈極まる朝鮮戦争。森で道に迷った2人の<韓国軍>、敗走する3人の<人民軍>、偵察飛行で墜落した1人の<アメリカ軍>パイロット。彼らが偶然出会ったのは戦争が起こっていることさえ知らない村”トンマッコル”。
国も立場も異なる男たちは互いに反発しあうが、トンマッコルでの平和な生活を送るうちに、やがて友情を育んでいく。そんな時、トンマッコルがアメリカ軍の空爆を受けることを知った男たちは、村を守るために立ち上がる。
国を超えてひとつになった男たちの熱い勇気と友情が、アメリカ軍大部隊の前に立ちふさがる!
https://matome.naver.jp/odai/2133422989052260701/2134849133907796003  

Photo
北と韓国の兵士が、逃げこんだ鄙びた村で、やがてひとつ民族であることに気がつき、堅い友情で結ばれていくというお話。 

村民も初めは恐れていた北の兵士を温かく迎い入れ、笑顔をかわしながら農作業に励む・・・、それを一瞬で破壊したのが米国の空爆だったのであったぁ(棒)。 

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米国は爆弾の雨を降らせ、一瞬にして村を消滅しようとしますが、それを防ごうと必死に戦う南北の兵士たち・・・! 

おお、なんという香ばしさ! 

まるで、今やっているピョンチャン五輪そのものです。

ムン閣下がこの五輪で発信したかったメッセージのひとつは、「米国さえ邪魔しなければ、南北は統一できる」ということです。

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南北は同じ民族、それを阻むのは悪い米国。かつての朝鮮戦争だって、米国というこの悪の帝国が南北を戦わせたんだ、冷戦の谷間に咲く白百合の花一輪、いまもなお続く悲哀の民族・・・、そうムンは言いたいようです。

「文大統領は、2つのコリアを1つにし、北朝鮮のミサイル・核プログラムを巡る緊張の高まりを緩和させるのに役立つとして、平昌冬季五輪を「平和五輪」と称している」(ロイター2月22日
http://toyokeizai.net/articles/-/209673

ぜひともこの映画を、やりたくもない戦争で5万の若者を死なせた米国で公開していただきたいものです。

朝鮮戦争をやりたがったのは金王朝初代、当時のソ連や中国を勝てるとダマして了承をえて大量の武器をせしめたのも初代、米国は韓国政府滅亡寸前に介入しただけです。

そして米国は、武器を放り出して逃げまどう韓国兵の代わりに、中国義勇軍の人海戦術に一身で耐える損な役割をするはめになります。

南北分断もこの初代のバクチ的侵略の結果でしかないわけです。

『イムジンガン』というコリアの歌には、「誰が祖国を分けてしまったの」という嘆きの一節が入っていますが、その答えは米国でもましてや日本でもなく、金日成にすべての責任があります。

というわけで朝鮮戦争は世界史的にも珍しい、小国が大国を巻きこんで世界的大戦争にしてしまったという特異な例なのです。

これがコリアにかかると、「大国にやられた哀れな被害者」ということに主客転倒してしまうから不思議で、この国には歴史学者はいないのでしょうか(←修辞疑問)

さて、金メダルを獲得した小平選手と、惜しくも2位となってイ選手の美しい抱擁が日韓で話題となっているようです。

Photo_2
ロイターは前掲記事でこう書いています。

「また、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が称賛する南北関係の雪解けよりも、2人の方が本当の意味で「平和五輪」を象徴しているとたたえる人たちもいる」

私は冷笑家にはなりたくないので、このおふたりの美しい友情は信じますが、残念ですがそれだけでしょう。

このふたりの友情だけで変化するほど、日韓の歪みきった構造はヤワではない以上、この美談は閉会式から一月も立たないうちに忘れ去られ、またいつもの見慣れた景色が顔を出すはずです。

私たち日本人が現状で韓国を応援できるとすれば、それは朝鮮半島の非核化という難問に真正面から取り組む姿しかありません。

北朝鮮の核保有国化こそが、日韓両国の平和の最大の脅威なのは疑う余地がないからです。

このテーマで日韓が支え合うことができるのなら、私たちは心から韓国に声援を惜しみません。

これが、まさにふゆみさんが言う「戦略的交流」というものではないでしょうか。

そのためには日韓両国が互いに共有し合える価値観を持ち、目指す外交・安全保障戦略の一致が大前提です。

現状で日韓はこの双方を欠いていますので、ただの「交流」は可能ですが「戦略的交流」はそうとうに困難だといわざるをえません。

2_2ミュンヘン安全保障会議(MSC)http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/0714...

それどころか、ムン政権は北の核を議題としたミュンヘン安全保障会議(MSC)に代表をすら送りませんでした。

「北朝鮮核問題を集中的に議論したミュンヘン安全保障会議(MSC)がドイツで開かれたが、本来北核脅威の当事者である韓国政府は参加しなかった。MSCは世界最大の例年安保フォーラムだ。今年は16~18日に開催された。
今度は北核懸案に関する国際的共感を集める場だった。
このような重要性を意識して米国ではハーバート・マクマスター米国家安保補佐官、日本は河野太郎外相など、各国の外交安保責任者が参加した。MSC側は康京和(カン・ギョンファ)外交部長官にも招待状を送ったが、康長官は平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)を理由に参加しなかったという。」(中央日報2月20日)
http://japanese.joins.com/article/834/238834.html

各国は、外交・安保の中枢を送り込みました。

米国からはマティス国防長官、マクマスター安保担当補佐官、バイデン前副大統領、英国からはメイ首相、日本からは河野外相などです。

そのような重要会議に、こともあろうに当事者中の当事者であるはずの韓国はひとりの代表も送らないというのですから、これはこれで強烈な外交メーセッジですね。

解説の必要もないでしょうか、このミュンヘン会議の欠席が意味するものは、軽く評価しても当事者意識の重大な欠落、重く受け止めるならは韓国はもう私たちと共通の土俵には乗っておらず、アチラへ行ってしまった、ということのようです。 

 

2018年2月21日 (水)

米国の「同盟国」から外された韓国

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米国は韓国に疲れています。「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という現象です。 

今に始まったことではなく、もうかれこれ一年前になりますが、日経新聞の鈴置高史記者がこの米国の気分を紹介しています。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/032100099/

「米国の外交界には「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という言葉があります。日本の足を引っ張ろうと韓国政府が「日本の首相を米議会で演説させるな」などと無理難題を言うようになったからです」(日経ビジネスオンライン2017年3月23日)

「韓国疲れ」ですか、言い得て妙です。 

この鈴置記者の記事が書かれたのは、ちょうど1年前の春のことです。 

そのとき、韓国は決定的な外交上の失敗をしでかしています。THAADの地上配備について、米国を裏切り、中国の意のままになったのです。 

2016年10月の末に韓国は、中国と既にTHAAD配備撤回とワンセットになった関係修復の密約をしてしまいます。 

内容はいわゆる「三不の誓い」といわれるもので、韓国は中国に三つの起請文を取られています。 

第1の誓い 中国様がお怒りになるTHAADの追加配備をいたしません
第2の誓い 中国様がお怒りになる日米韓の三国同盟など結びません
第3の誓い 中国様がお怒りになる米国のミサイル防衛システムには参加いたしません
 

重大な裏切り行為で、さすが米国もこれには驚き、米国の首脳が対応策に追われます。以下経過は、鈴置氏の前掲記事から経過を引用させていただきます。 

■米国のTHAADを巡る対韓圧力
2016年
12月20日 安全保障補佐官に内定のフリン元陸軍中将、訪米した韓国政府高官に「THAAD配備は米韓同盟の強固さの象徴」
2017年
1月31日 訪韓を前にしたマティス国防長官、韓民求国防長官に電話し、THAAD配備を確認
2月2日 マティス国防長官、訪韓し「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明、THAAD配備も再確認
3月1日 マクスター安全保障補佐官と金寛鎮・国家安保室長、電話会談し「THAAD配備を再確認」
3月1日 マティス、韓民求の米韓両国防長官、電話で会談しTHAAD配備を再確認
3月6日 米軍、THAADの一部機材を烏山空軍基地に搬入
3月17日 訪韓したティラーソン国務長官、会見で「韓国の次期政権もTHAADを支持することを期待する」

 米国は、一貫して東アジアの安全保障体制は、米国をハブにした日米韓三国軍事同盟(のようなもの)で維持してきたと考えていました。 

ところが、この3か国の中で韓国だけがモンスター・クレーマーでした。 

常々ことあるごとに、「ひどいや、日本のほうをひいきにしているんだーい」とか、「日本は歴史問題を解決していないから一緒にやれないやーい」といった、まるで子供のようなダダをこねては米国オジさんを困らせていたわけです。 

米国は、それが韓国の媚中外交に真の理由があると百も承知の上で、「なぁ、日本さんよ、慰安婦問題でツノを突き合わせるのは不毛だ。韓国さんはあの調子だから、ここはひとつ大人の日本から折れてくれないか」ということで、結ばれたのが慰安婦合意です。 

ま、結果はご承知のとおりで、これもひっくりかえすのですが、それはもう少し後のお話。 

この外交的小児病は、THAAD騒動という米韓関係が瓦解する危機の際ですら、遺憾なく発揮されました。 

Aflo_owdg897016http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/032100099/

韓国に立ち寄り、慌ただしく中国に飛ぼうとしていたティラーソンに対して韓国が言ったセリフがなんと、「日本とは飯を一緒に食ったのに、ボクとは食べてくんないのか(泣)」です。 

冗談で言っているのではなく、中央日報(2017年3月18日)はマジメにこう怒っています。
http://japanese.joins.com/article/018/227018.html?servcode=A00&sectcode=A20&cloc=jp|main|top_news 

「予想されていた尹長官との夕食会がなかった。韓国側は今回の訪韓を契機に両国外相間のスキンシップ強化を内心望んでいた。
このため外交部は当初、夕食会の日程を構想していたが、ティラーソン長官は個人の日程を消化するという立場だった。外交部は招待を断られる格好となった。ティラーソン長官は岸田外相とは16日午後5時40分から1時間ほど業務協議を兼ねて夕食会をした」

このように常に日本と比較したがるわけで、「三不」裏切りをした国が、なんの関係もない日本と比較して、「ひどい、冷たくされたぁ」と泣きじゃくるのですから、米国もたまったもんじゃありません。 

安倍氏が米国議会で演説した時も妨害に精出してみたり、先日のトランプの訪韓時にも、日本より1日多いだの少ないの・・・、もう笑うしかありません。 

鈴置氏によれば、もはや米国外交当局者は怒るという段階を通りすぎて、呆れる、あるいは疲れるからコリアのことは考えたくないといった段階にまで至ってしまったようです。 

「米国の外交担当者は一時は韓国人に会うのも嫌がるようになった」(前掲)そうで、そして決定打が今回のどっちの味方かわからない「ピョンヤン五輪」におけるムン閣下の異常なハッスルぶりです。 

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さて米国はさる2月16日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限案の具体的な検討に入った模様です。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-18/P4APXT6S972801 

この措置自体は貿易戦争を引き起こしかねていもので決して好ましくありませんが、商務省の最大のターゲットは中国です。

一方米国は、カナダ、ドイツ、台湾、日本といった同盟国は除外するとしています。

あれれ、韓国は?

はい、韓国はこの「同盟国」指定から漏れているのです。

「問題は米国の主な友好国のうち、対象12カ国・地域に含まれたのが韓国だけだという事実だ。米国に鉄鋼を最も輸出しているカナダ、韓国とほぼ同水準のメキシコをはじめ、日本、ドイツ、台湾などは全て対象から外れた。
韓国政府は軍事同盟国であり、自由貿易協定(FTA)の締結国である韓国がリストに含まれた理由すら把握できずにいる」
(朝鮮日報2月19日)http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/19/2018021900978.html

 これに対して、ムンは「米国の対韓通商圧迫、文大統領は強硬対応を指示」だそうです。 

「米国は最近、同盟国の中でも韓国だけを対象に、化学・半導体・洗濯機など主力輸出品目について全方位的に通商圧迫の水位を高めてきた。
これをめぐって、韓国の財界や外交関係者の間で「韓国が新政権発足以降、対中外交を強化し、米国との調整がなされない状況で急激に北朝鮮との関係改善に乗り出したことから、米国側が安全保障と通商問題をリンクさせようとしているのではないか」という疑問が持ち上がっている。
 文大統領の「堂々、かつ決然とした対応」という指示も、こうした中で出た。これは、韓米間の通商上の懸案をめぐり米国との対立も辞さない、という意味だと解釈されている」(朝鮮日報2月20日)http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/20/2018022001275.html

というわけで、米国は韓国をもはや「同盟国」とは見なさない、準敵国として想定し始めているということのようです。 

 

 

2018年2月20日 (火)

米朝の仲人オバさんになろうとして失敗したムン

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私が韓国情報の仕入れ先に指定しているのが、朝日ソウル支局長の牧野愛博記者です。 

牧野氏は、私たち公開情報に頼るしかないブロッガーがなすすべもない、韓国政権内部の貴重な情報を伝えてくれる情報源です。 

たぶん牧野氏は、記者の生命である情報源を青瓦台内部に持っているのでしょうが、朝日特有の「あるべき」論に足をとられない情報を送ってくれます。 

昨日紹介した朝日のスクープもクレジットされていませんでしたが、おそらく牧野氏のものでしょう。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180218-00000007-asahi-int 

さて、牧野氏は、昨日のダイアモンド・オンラインで、『韓国五輪外交、北朝鮮を利するだけに終わった「大失策」の裏側』(2月19日)という注目の記事を書いています。
http://diamond.jp/articles/-/160285 

まずはリードの部分です。

「南北友好対話ムードを演出してのピョンチャン・オリンピックの“主役”は、金正恩の妹で、朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)だった。
その「微笑み外交」の陰で、韓国・文政権の「5人組」と米国との間ではぎくしゃくした関係が目立った格好になった。それには理由がある」(前掲)

牧野氏は「ピョチャン五輪の主役はヨジョンだ」と書いていますが、私もこのヨジョン・カードを切ったことに驚きを感じました。 

形式的にはキム・ヨンナムのほうがはるかに序列上位ですが、彼は全体主義国家特有の「応答要領」どおりのことしか言えないパペットにすぎません。 

100人を超えた北の使節団で、唯一自分の意志で発言できるのはこのヨジョンしかいません。 

ですから、下の写真でヨジョンは青い表紙の正恩の親書を、ムンに手渡していますが、なにが「書いてあるか」などどうでもいいことで、この時彼女がなんと「言ったか」こそが重要です。 

ヨジョンがムンに直接告げた、「文大統領と早期に会う用意があります。都合のいいときに来てください」(日経2月10日)という発言こそが重要なのです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26791540Q8A210C1MM8000/ 

これがまがうことなく正恩自身の意志であると、「白頭山の血脈」が裏書きしたからです。 

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「金永南氏の場合も、2009年8月にクリントン米大統領と会談した際、「労働新聞の社説と全く同じ応答をした」(同行したストラウブ元米国務省朝鮮部長)ことで知られる。
自由にモノが言えるのは、「白頭山血統」と呼ばれる最高指導者の直系血族しかいないのだ。
文大統領との会談では、案の定、金与正は「(金正恩)国務委員長の意思を受けてやってきた」と切り出し、文大統領が早期に訪朝して南北首脳会談に応じるよう求める、金正恩の言葉を口頭で伝えた」(牧野記者前掲)

では、迎えたムン・ジェインは、一体なにを画策していたのでしょうか。 

牧野記者によれば、どうやら米朝接触を考えていたようです。

「五輪開会式のあった9日夜に開かれた歓迎レセプション。韓国はペンス米副大統領が文大統領の隣に座るよう提案していた。
同じテーブルには北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長もいた。米側は「北朝鮮に誤ったメッセージを送るのを避けたい」と判断し、レセプションへの不参加を決めた。ペンス氏は会場に来たが、関係者にあいさつだけして引き揚げた。
続く開会式でも米韓の摩擦は続いた。
韓国は当初、最前列に文在寅、ペンス、金永南らが座り、第2列に金与正らが座る案を提示。これに対し、米側は「北朝鮮と同じ列には座れない」と拒否し、金永南は第2列に座ることになった」(前掲)

心中を察するにあまりありますが、ムンはなんとか米国と北との仲を取り持とうとする仲人オバさんと化して、ヨンナムとペンス副大統領を同じテーブルにする予定だったそうです。 

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ご承知でしょうが、このムンの目論見は、ペンスの事実上欠席という一撃で拒否されました。 

ペンスが安倍氏と事前に現地ホテルで綿密な段取りをして、一緒の車でレセプション会場に向かったことは、産経が伝えています。

「(ペンスは)フォトセッションに出席した後、すぐに帰る予定だったが、文大統領が『友人らに挨拶したらどうか』と勧めたため、レセプション会場に立ち寄った」と釈明した。彼は「ペンス副大統領は日程の協議の過程から欠席の意向を示唆した」と付け加えた」(ハンギョレ新聞2月10日)
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/29751.html 

「事前に調整された首脳級要人の公式行事で、予期せぬ波紋を広げたペンス副大統領の行動は、外交的な常識を外れた非礼と言える」(同上)

ムンの歯ぎしりが聞こえてきそうですが、逆恨みです。

五輪開会式を名目に米国首脳を招待しておきながら、五輪とは無関係な米朝接触を企むから、それ相応の対応を取られただけです。 

それどころか、ペンスは訪韓した初日である9日に平沢市の韓国海軍第2艦隊基地で北によって抑留され釈放後に死亡した米国人オットー・ワームビアの父親のフレッド・ワームビア氏と、脱北者のチ・ソンホ氏と面会しています。 

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これほど分かりやすい外交メッセージはありません。 

米国は北と接触する気はない。眼も合わせたくない。米朝会談はやぶさかではないが、それは核を放棄するという前提があった場合だけだ、ということです。

オバマ時代なら、ここまで明瞭なメッセージは出せなかったでしょう。

米国は北を非人道国家だと認定したうえで、「訪韓前に日本で安倍首相と行った首脳会談でも、「近日中に北朝鮮に最も強力かつ攻撃的な制裁を加える」(ハンギョレ前掲)ということを、あらためて韓国政府と北に示したのです。 

しかしなおもムンは懲りません。 

翌10日に、ペンスとヨジョンの直接会談をセットしようとしました。この辺の空気の読めないしつこさは、日本人にはなかなかマネできないものでいい勉強になります(苦笑)。

「青瓦台は当初、「金与正は南北合同女子アイスホッケーチームの試合を見に行かず、別に行動する」と記者団に説明。その間に、米側に「金与正と会談してはどうか」と誘ったのだ。
だが米国側はこの誘いを一蹴したという。
「制裁破り」に絡むやりとりや9日の行事での混乱から、米国の韓国に対する不信感は頂点に達していたからだ」(牧野前掲)

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ペンスは後ろにいるヨジョンに目もくれず、ジッと真正面を見ています。これも外交シグナルです。 

ちなみに、この仲人オバさんのエピソードには、エピローグがついています。

「北朝鮮側も米国との会談に関心を示さなかった。
情報関係筋によれば、北朝鮮も米側に嫌われていることは9日の行事から感じており、「自尊心を傷つけられた」という」(牧野前掲)

 仲人オバさん・ムン、哀れ!

 

 

2018年2月19日 (月)

昨年秋から南北は平壌で秘密交渉を重ねていた

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韓国が昨年段階から北朝鮮と秘密接触していたと、朝日(2018年2月18日)が伝えています。

「北朝鮮と韓国、秘密接触を重ねる 昨年、五輪参加協議か

 韓国と北朝鮮の両当局者が昨年秋から年末にかけ、少なくとも2回、平壌で接触した。
ソウルの情報関係筋が明らかにした。韓国は基本的に北朝鮮との交流を禁じており、当局者の訪朝は異例。接触を通じ、北朝鮮は平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加と南北対話路線を決めるに至った。米国は南北対話の行方を不安を持って注視しているという。
 米国内には韓国の動きに対する不満の声も出ており、ペンス米副大統領が訪韓した際に北朝鮮との接触を拒む事態につながった。
 南北の接触は、五輪を契機に関係を改善したい韓国側が求めた。昨年11月以降、中国経由で訪朝し、北朝鮮の五輪参加問題を巡って協議した。北朝鮮は参加の条件として米韓合同軍事演習の中止を求めたという」

これは朝日のスクープで、他の媒体は触れていませんので、追加で情報確認する必要があります。 

朝日が書いている「ソウルの情報筋」とは、韓国国家情報院(国情院)だろうと推測できます。 

大昔、権勢を誇った時には、その名もKCIAと呼ばれていましたが、文民政府になってからは見るも無残な残骸と化しています。 

ムン政権になっては、国家情報院は、「政治への関与など否定的なイメージから脱皮し、積弊との断絶を通し、国家安保と国益を守ることに専念する」として解体の危機にあります。 

名称も「対外安保情報院」に代えられ、職務権限から国内の保安情報を剥奪されました。

ムン政権が継続すれば、この対外情報収集についても横やりが入ることは必至で、遠からず事実上の取りつぶしに合うと予想されます。 

さて、この朝日の報道が事実なら、ムン政権は北朝鮮との間で、既に半年前後前から細かな戦略について合意済みだということになります。 

さもありなんと思わせるのが、この間のムン政権の素早い動きでした。

五輪をダシにして南北会談を開きました。韓国はなすすべもなく屈したと見せて、北の条件を丸飲みします。

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そして合意どおり、韓国世論の抵抗を押し切って、北とムンは南北合同チームを作らせます。

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北は選手団だけではなく、それを10倍する代表団と美女軍団を送り込み、一気に融和ムードを演出しました。

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彼らは板門店から陸路で来ればいいものを、わざわざ入港禁止措置がでているはずの万景峰号で乗り付けるという制裁破りを堂々としますが、もちろん韓国は制止するどころかもみ手せんばかりの歓迎ぶりでした。

あげく、韓国世論は「怖いと思っていたけど、会ってみりゃみんな美人だし、やさしそうだし」とデヘデヘと相好をくずすことになります。

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とどめは、プリンセス・ヨジョンをムンと握手させ、ピョンヤンにムンを招待します。

あの奇妙な髪方の兄ちゃんの強面ぶりしか知らなかった韓国民は、またもやへろへろと軟化します。

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かくてもはや「五輪の政治利用」なんて生易しいもんじゃなく、政治そのものですが、この音頭取りを他ならぬIOCのバッハ会長がとっているのですから処置なしです。

ちなみに、この南北の五輪の政治ショー化を喜ぶ人たちは、首相が羽生選手に電話したことを「政治利用」などと言っているようですが、まったくもう。

それはともかく、これらの一連の出来事は、今、思えば事前の打ち合わせなくてはできないことでした。 

それまで唐突な南北合同チームづくりに反対が多かった韓国世論は、美女軍団とヨジョンの微笑にころっととろかされて、いまや南北会談賛成が7割だそうです(苦笑)。

この打てば響くような南北の融和の茶番劇には、台本があらかじめあったということになります。

当然のこととして、南北は五輪以後に予定されている最大の山場である米韓合同軍事演習をぐだぐだと引き延ばすか、ネグレクトすることでしょう。 

それは「北朝鮮は (五輪)参加の条件として米韓合同軍事演習の中止を求めた」(前掲)以上、逆にいえば北が五輪に参加しているわけですから、韓国が南北秘密交渉でこの条件を丸飲みしていたということです。

北はある意味、たいへんに「正直」な国です。五輪期間中であるにもかかわらず、北は「核大国」宣言をしました。

「世界最強の核大国」とは吹いたものですが、まったく核武装の道は不動だということです。

「【12月13日 AFP】(更新)北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が12日の式典で、北朝鮮を「世界最強の核保有国」にすると表明したと伝えた。
最近実施され、北朝鮮が米国に到達可能だとしているミサイルの発射実験に関わった作業員らを前に行った演説で述べた。
金委員長は、北朝鮮は「勝ち誇って前進し、世界最強の核大国、軍事強国として躍進する」と語ったという」

Img_02ac46c1da9c02a828e6a6372135d6fAFPhttp://www.afpbb.com/articles/-/3155168?cx_part=latest&cx_position=20 

南北首脳会談は、米国の強い反対を押して開催される可能性が高くなりました。

その場合、米国は力づくで押しとどめることは不可能ですから、会談準備期間まで含めて規模の大小を問わず米国は軍事オプションを取ることが難しくなります。

北が話し合いをすると言っており、なおかつその南北協議の成果が判明しないに関わらず、一方的に先制攻撃をかけた場合、米国の国際的な道義的立場が悪くなるからです。

ですから、ムンか米国の反対などを理由にして、準備期間を引っ張りまくって今年の秋などにもつれこんだ場合、「非核化の道は南北会談しか突破口はない」といった奇妙な期待感が醸成されてしまいます。

日本のメディアは、この「平和のため話し合い」に随喜の涙を流すことでしょう。

米国はその間、打つ手が限られてしまいます。

いや限られるどころか、いまや悪いのは北を追い詰め、南北で話し合って平和を達成しようとしている流れを阻む「戦争勢力」米国ということになります。

弱い北と韓国が助け合って、強大な米国の軍事圧力に健気に抗しているという構図は、コリアお家芸の被害者ぶりっこです。

いったいどこの誰が始めたんだということを忘れて、いつのまにか「大国の横暴に泣くウリナラ」という得意のパターンになっていくかもしれません。

その兆候は今回の田舎芝居で見えました。

こんな立場の逆転を実現できただけでも、正恩からみればなんとコスパのいい謀略だったことでしょうか。

それにつけても、いつの世の中でも一番危険なのは、敵の顔した敵ではなく、味方の顔した敵ですな。

 

2018年2月18日 (日)

日曜写真館 風車のある湖

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今週は体調最悪で、原稿書きながらまったく構想がまとまりません。はて、オレ、なにを書いていてたんだっけと初めから読み直すはめに。

週中など一時はインフルかと疑ったほどだったのですが、その情けない勢いで一昨日の羽生のショートと昨日のフリーを見るはめになってしまいました。

しかし、すごい!圧巻!いまのところ、風邪でボケた脳味噌には他に形容詞を思いつきません。

われながら語彙が貧弱になるほど感動しました。まさか日本のフィギュアが金銀に輝くとは!

これで羽生に元気をもらったといいたいところですが、テレビの前で緊張たえきれずに消耗し、始まると声を枯らして声援してまたまた消耗し、一気に寝込みそうになってしまいました(笑い)。

ああ、また熱が出てきそう。

さぁて、これでピョンチャン五輪も終わったぞ。え、まだ終わってなかったっけ。





2018年2月17日 (土)

北朝鮮非合法密輸の実態の一端が見えた

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日米の制裁強化が、洋上にも及んでいることが分かりました。 

「政府は14日北朝鮮籍タンカーが13日未明に東シナ海の公海上で中米ベリーズ籍タンカーに横付けしていたのを確認したと発表した。北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議で禁止された「瀬取り」と呼ばれる洋上での密輸を行っていた疑いが強いとみている。既に国連に通報し、関係国とも情報を共有した。
 政府は先月、同じ北朝鮮籍タンカーがドミニカ籍タンカーに横付けしている現場を確認している。今回の横付けは海上自衛隊のP3C哨戒機が中国・上海の東約250キロ沖合で発見。北朝鮮が国際的な監視網をかいくぐって瀬取りを続けている疑いがあることが浮き彫りとなった」(時事2月15日)
 

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この「瀬取り」とは、港に寄港して荷を降ろすのではなく、洋上で船から船に受け渡しをすることです。 

国連の制裁強化によって、北朝鮮籍船舶は外国の港に寄港した後に北に戻ることが禁じられているために、このような抜け道を使っているわけです。 

同じような瀬取りは頻繁に行われているようで、米国の監視衛星もキャッチしています。 

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これで分かってきたことは、海自のP-3C がたいへんに広範な洋上監視を行っていることです。 

今回、海自はなんと日本海から黄海洋上まで空から監視していました。 

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これはかつて領海内とその周辺に限られていた海自の哨戒活動のエリアが、この朝鮮半島危機によって、米軍と共同して一気に東シナ海を超えて黄海まで延びていたことを表しています。 

この危機が長引けば長引くほど、中国の内海である渤海近辺まで日米の航空機や艦船が頻繁に入って活動することになります。 

仮に北朝鮮に対して米国が軍事攻撃を仕掛けた場合、米国は黄海に空母打撃群を置いた上で、海上封鎖を実施するでしょう。 

その場合、渤海に面する中国最大の工業地帯である天津からの輸出が困難になることがありえます。 

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さて、古川勝久『北朝鮮 核の資金源』によれば、中国は北朝鮮が常時国際制裁をくぐり抜けていることをよく知っています。 

国連制裁決議がザルをであることの実態が、本書の丹念なドキュメントにつづられいます。

まず古川氏たち国連北朝鮮制裁専門家パネルの調査官たちは、各国の無関心に悩まされます。

「国連決議完全履行には実に多くの困難がつきまとう。ほぼすべての国連加盟国での国内法が未整備なあるために、安保理が定める制裁義務に加盟国が追いつけないのだ。
制裁の履行には、各国の並々ならぬ尽力が欠かせないが、ほとんどの国ではそのための動機も意志も欠けている」(前掲書)

たとえばムドゥポン号事件では、この船を保有するOMM(オーシャン・マリタイム、マネージメント社)という船会社が、北朝鮮の非合法活動に関わっていました。 

「2013年7月、パナマ政府によって北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」が拿捕(だほ)された事件が契機となり、北朝鮮海運事業に関与する香港企業が浮上した。
拿捕された船舶は北朝鮮の海運大手「オーシャン・マリタイム・マネジメント」( 本社・平壌)の所有で、キューバから北朝鮮へ向けミグ21戦闘機の胴体など大量の武器を運搬していた」(産経2017年5月20日)
http://www.sankei.com/politics/news/170507/plt1705070006-n1.html

OMMは非合法活動を隠蔽しようとこのようなことをしています。

「OMMが自社で直接管理する貨物船は、外国船籍をのぞいてすくてくとも14隻あった。その後、OMMはこれらすべての貨物船について、船名を次々に変更し、それぞれの所有・運行会社たるフロント企業もすべて一新したのである」(前掲書)

そしてOMMが国連からマークされるや、OMMに代わる新会社3社に変えます。

「1隻ずつ、名称と国際海事期間(IMO)へ登録をしていく。こうして公式記録からは、これらの貨物船とOMMの関係を示す情報ウすべて消去していくのである。文字通りOMMは貨物船を『洗浄』したのだ」(前掲書)

この事実が発覚した以上、OMMの資産を国連安保理制裁決議の資産凍結対象とすることは可能です。

少なくとも専門家パネルの一致した意見はそうてした。

ところが、これを平然と認めない国がありました。それが中国とロシアです。

両国はOMMが北朝鮮に密輸を繰り返す常習犯であることを専門家パネルが通知しても聞く耳をもたず、簡単に入港を認めています。

そもそも中露には制裁する気などはなく、抜け穴を作づくりに積極的に加担しているのです。

米国が海上臨検を国連安保理で通したのはこのような背景があるからです。

このような抜け道をひとつひとつ丹念に塞いでいくという、実に気の長い仕事を今、日米はやっているわけです。

これは北朝鮮ばかりではなく、制裁を実行しない中国への圧力強化でもあるのです。

 

2018年2月16日 (金)

拉致被害者の救出に自衛隊をつかうことはできるのか?

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青山繁晴氏は私からみれば、評価が分かれる論客です。 

手練のジャーナリストとしての側面と、この人は情に引きずられ過ぎているのではないかと思える部分があります。 

今日は後者の代表例として、青山氏の持論のひとつである自衛隊を拉致被害者救出に使え、という主張を考えてみましょう。 

氏はこのようなことをさまざまな場で述べています。 

2017年3月の予算委員会の質問です。

「自衛隊による編成と実効性のある訓練実施は重要です。 訓練を繰り返し行うことで、北朝鮮に伝わる。 自衛隊の活用が、話し合いに効果がある」

2017年6月9日、桜井よしこ氏の「言論テレビ」での発言要旨です。
https://www.genron.tv/ch/sakura-live/archives/live?id=401

「青山氏は拉致被害者の救出についてハワイでハリス米太平洋軍司令官と通訳を挟まず会談をした、しかし内容は話せないと前置きして「米軍の作戦に拉致被害者の救出を必ず入れて欲しい。
ただし、米軍に助けて下さいと言っているわけでない。法制上の問題は僕ら国会議員が乗り超えるという前提で、自衛隊、警察官、消防官、海上保安官、医師、看護師、保健師、通訳まで入れた包括的部隊と米軍が極限的な作戦であっても連携する。
拉致被害者の救出は、日本国民の『sacred obligation(神聖な任務)』です」と訴えた」

Deu_jcaumaab5rh青山繁晴氏

青山氏がかねてから拉致被害者問題を、切実な日本のテーマとしていることに異議はありません。
 

自国民を北朝鮮によって暴力的に拉致されながら、自力で解決できない原因を作ったのが憲法にあるのは明らかです。 

青山氏は、自衛隊を用いた実力奪還を考えていると思われます。

これと似た主張は、『自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正』(荒木和博・荒谷卓・伊藤祐靖2016年10月)も主張しています。

ちなみに著者のひとりの伊藤氏は、元海自特別警備隊初代先任小隊長です。 

結論から先に言いましょう。

自衛隊には、他国に侵入し、自国民を救出する能力が備わっていません。

したがって、自衛隊による拉致被害者救出作戦は空理空論にすぎません。

ただし、日本の拉致問題の窓口をしている外務省は北朝鮮からなめられきっていますから、日本の拉致被害者奪還の「強い国家意志」をあくまでも外交シグナルとして伝えることは可能です。

では、現実にどうか考えてみます。

まず、実力奪還を阻むのは法制的な壁です。日本は新しい安保法制によって在留邦人救出に自衛隊を使うことを認めました。

え、できなかったのという感想を持った国民も当時多くいたでしょうが、自衛隊は仮に朝鮮半島有事で日本人が救出を叫んでも、手も足も出ませんでした。

法改正により現地政府の了解があれば可能となりましたが、韓国は現状自衛隊の国内での活動を一切認めていませんから、有志連合でやろうという検討を行っているようです。
関連記事「朝鮮半島有事の邦人国外脱出は絶望的だ」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-da74.html

現実問題として、ムン政権が自衛隊の韓国国内での活動を容認するとはおもえません。

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米軍の非戦闘員退避行動訓練

それが可能な外国軍隊は、唯一米軍です。

朝鮮半島有事の場合、仁川国際空港などは閉鎖されているでしょうから、ソウルの大使館に逃げ込んだ邦人をピックアップして国外に脱出させることができる機体は、米軍のオスプレイか、大型ヘリしかありません。

米軍が幸運にも戦力を割いてくれればという前提ですが、米第7艦隊の空母が制空権を確保し、強襲揚陸艦から飛び立つオスプレイが滑走路のない市街地に着陸し、武装した米海兵隊員によって、群衆を排除しつつ大使館から日本人を救出するでしょう。

この任務に自衛隊は、後方支援の形でしか参加できません。理由は先に述べた現地政府の容認という条件が備わっていないからです。

「友好国」韓国の在留邦人救出ですらこのありさまですから、北朝鮮における拉致被害者オペレーションなどは考えるだけで憂鬱になります。

具体的に考えてみましょう。なお、ここでは法律的障壁がないことを前提にしておきます。憲法を言い出したら、話がまったく進みませんので。

Photo自衛隊特殊作戦群

まず、自衛隊の特殊部隊「特殊作戦群」(SFGp)の発足は諸外国の中でももっとも遅く、いまだヨチヨチ歩きの段階です。
特殊作戦群 - Wikipedia

ほかにも海自、海保にも類似の組織はありますが、最大にして最精鋭はこの特戦群だといわれています。

2004年3月に創設され、隊員数は300人、うち戦闘要員は200人程度だと言われています。

これでは絶対数が絶望的に不足しています。

たとえば、日本と同じ敗戦国のドイツは、KSK(特殊作戦師団)として編成されていますが、日本の2倍の580名です。
KSK (ドイツ陸軍) - Wikipedia

なによりもの違いは、自衛隊の特戦群には理念が明確に与えられていないことです。

ドイツKSKは、当初から国外での活動を任務に付与されていました。

  • ・自軍及び同盟国軍人の救出(解放)に関する作戦
  • ・敵後方における移動の自由の制限に関する作戦
  • それに対して、自衛隊特戦群は、国内のテロ事件において警察特殊部隊(SAT)が手におえなくなったら出動することを想定して作られていますから、初めから国外への投入手段を欠いています。

    自衛隊には初めから政治的理由によって、海外展開をできなくさせているのです。

    自衛隊に「足」をもたせると、すぐに勝手に侵略を開始するといった馬鹿馬鹿しいデマゴギーの犠牲になったのです。

    そのために自衛隊の航空機は、あえて空中給油装置をはずしたり、初めから航続距離を制限しました。

    無理にやれというなら、特戦群とペアになっているヘリ部隊は第1ヘリコプター団のCHか、第1空挺団が空挺降下に使う輸送機を使用するしかありませんが、航続距離不足です。

    これでは北朝鮮に到達し、帰ってくることができませんし、そもそも丸腰の輸送機を針鼠のような対空砲火網を持つ北朝鮮に行かせるということ自体、死んでこいと命じるようなものです。

    すると、地上の対空砲火網を制圧する航空機をつけねば自殺行為ですが、これも北朝鮮に到達できる足が足りません。

    これも一機二機では無意味で、いわゆる「ストライク・パッケージ」と呼ばれる他種類の軍用機の70機ほどのセットを編成せねばならず、当然のことながら、そのような力は自衛隊にはありません。
    ストライクパッケージ - 航空軍事用語辞典++ - MASDF

    可能性としては、前掲書にあるように「いずも」型1隻 イージス艦「あたご」型2隻を使うという想定をすることですが、この本が考えている朝鮮有事の状況下で、海自の主力をこれほど引き抜くのは不可能です。

    そもそも、どこに拉致被害者がいるのかという情報がありません。

    唯一分かっているのは「FLASH」が伝えた清津市の施設にいるとされた松本京子さんだけで、これも確定情報ではありません。

    もし、本気で自衛隊を使うなら、現地の拉致被害者情報を綿密に収集する情報組織が必要で、朝鮮語エキスパートも相当数必要です。

    このように自衛隊特殊部隊を拉致被害者救出に使うには、あまりにもないない尽くしだというのが現実です。

    そこから変えようと青山氏は言うのでしょうが、となるとまずは安全保障に対する日本国民の意識自体から変えねばなりません。

    2018年2月15日 (木)

    続・三浦瑠璃氏発言について

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    もう少し三浦瑠璃氏のスリーパーセル発言について、特に氏の擁護というわけではなく続けることにします。 

    前もってお断りしておきますが、私は三浦氏の発言に全面的に賛成ではありません。 

    三浦氏はスリーパーセルを、今パンパンに弾けそうな風船状態となっているような朝鮮半島有事と絡んで発言しています。 

    三浦氏自身に「真意」を語ってもらいます。

    「もともとの私の発言の趣旨であるところの、米軍の先制攻撃はたとえ米国に犠牲をもたらさなくても日本や韓国に犠牲が出るのでやめてほしい」

    これでは失礼ながら、国際関係論の研究者としては過剰にナイーブです。武者小路公秀氏と五十歩百歩です。
    武者小路公秀 - Wikipedia

    日韓に被害がでるから止めてほしいで済むならば、国際政治学者の出番はありません。国会前でデモでもしていればよいのです。 

    国際関係論は、こうあって欲しい、こうあるべきだという当為から離れて、冷厳に国家間の力学と戦略を「読む」ことにあります。 

    そしてその分析の前提に「やめてほしい」というような自分の価値観をもぐり込ませるべきではありません。

    当為を排除して初めて、国益を客観的に考えられる条件が揃うのですから。 

    国家間の意志と戦略を多元方程式の変数として捉えて、いくつかのシミュレーションに収斂させていくのが、今、求められている国際政治学者の仕事なはずです。

    私は今日は詳述しませんが、、米国が夏前になんらかの限定的先制攻撃に踏み切る可能性はきわめて高いと思っています。

    そのときに日本人が、自国の被害がないほうが望ましいと願っても無意味で、米国や北朝鮮は日本人の平和願望を一切考慮することなく、やるときにはやるでしょう。

    ただしそれは確率論です。必ずあるとは言えない代わりに、ないともいえません。

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    したがって、その意味で三浦氏自身『山猫日記』で、こう言っていることは、まったく正当でした。
    http://lullymiura.hatenadiary.jp/ 

    「安全保障は確率論の世界です。国の安全に100%ということはあり得ないからです。専門家は、リスクを1%でも減らし、危機に対する対応力を1%でも増やす努力をしているのです。
    そのような安全保障の営みを可能とさせるためには、専門家に対してあらゆる事態を想定し、テーブルに乗せる裁量をあたえねばなりません」

    この「あらゆる事態」にスリーパーセルが含まれるというのが、三浦氏の今回の発言です。

    もちろん三浦氏に、民族差別の意図など微塵もなかったのはいうまでもありません。

    ならば、三浦氏は場所を選ぶべきでした。

    あのようなワイドショーなどを使うべきではありません。それが今回の失敗の最大の原因です。

    それについて、三浦氏はメールマガジンでこう書いています。

    「ワイドショーでは社会問題だけやっていればよいと思うかもしれません。
    けれども私が懲りずに政治問題を解説するのは、みなさんに腹落ちしてほしいからです。なぜ、戦争による解決が無理なのかを。核武装し挑発する北朝鮮を「問題解決」するイージーな方法なんてないんだと悟った、あの時スタジオに広がった無力感は、私が日々感じているものだったのです」

    「イージーな解決方法などない」、まさにそうですが、ならばなおさらのこと複雑なことをことを言えないワイドショーなどという媒体を使うべきではありませんでした。

    ワイドショーはいわばアサ芸のようなものです。まともな安全保障の議論をしたいわけでもなく、どぎついスキャンダラスな煽りの「絵」がお望みなのです。

    こんな三浦氏を、美人の色物学者タレントとしてしか見ていないような連中が仕切る場で、複雑な安全保障問題、しかも公的には認知されていないスリーパーセルに警鐘を鳴らしてもセンないじゃありませんか。

    本気でテレビで言いたいのなら、BS「プライム9」くらいしか場所はなかったでしょうが、よりによってワイドショーなんかを選ぶかね・・・!(ため息)

    だから、その脇の甘さにつけ込まれます。待ってましたとばかりにさっそく来たのが、定番の在日差別糾弾です。

    朝日新聞・鮫島浩記者はこうツイートしています。
    https://twitter.com/SamejimaH 

    「三浦瑠璃氏の東大の上司である藤原帰一 教授は部下の差別扇動を黙認するのか。そうなら国際政治を語る資格はない。他の東大教授たちも黙って見過ごすのか。そうなら東大は差別扇動大学として世界の嘲笑の的になろう。差別黙認は加担に等しい。学者として恥ずべき行為だ」

    恐れ入ったことにはこの鮫島記者は、彼女の勤務先の上司に、三浦を解雇しろとまで言っているのです。

    「三浦を辞めさせないなら、東大は差別煽動大学だ」ときたもんです。スゴイですね。これがジャーナリストの言うことだというのですから、二重に驚きます。

    小川氏栄太郎氏への訴訟沙汰でも思いましたが、朝日は自分の主張と違うと、すぐにこんな言論外圧力を加えるのです。

    これで朝日新聞が立場が違う者には、「植村隆元記者迫害事件」とまったく同一の迫害を実行することが分かりました。

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    植村氏は慰安婦報道の捏造の責任を一身でとらされて、朝日からも体よく追い出され、むき身になったところを右派によって徹底的に痛めつけられました。

    就職先には抗議の声が行き、そこう辞めると北海道にまでつきまとわれます。

    まったく無残な迫害で、このようなことは厳に慎むべきたと当時から私は書いてきました。
    関連記事「植村記者を「受難のヒーロー」に祭り上げさせるな」
    http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post.html

    今、これと同じことを鮫島記者はしています。

    当時この植村受難劇を報じた、TBSのNEWS23(2014年12月23日)のキャスターはこう述べています。

    「暴力によって言論を封殺して大学の自治を脅かすって、これ絶対に許しちゃいけないことですからね」

    この言葉を、そっくり鮫島記者に進呈しましょう。

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    三浦さんもこう言い返しましょう。「脅しや暴力に屈してはならない」 

     

    2018年2月14日 (水)

    三浦瑠璃氏のスリーパー・セル発言について

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    コメント欄でふゆみさんと「かつて」さんが議論していたスリーパー・セルについて、かつて記事化したことのある者として、少し書くことにします。 

    かつて「スリーパー・セルはそこにいる」といういささか刺激的タイトルでアップしたことがありますが、この数日異常な訪問数があったので何事かと思っていましたが、そうか三浦瑠璃氏の発言があったんですね。
    関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-bc8f.html

    三浦氏の発言は、このようなものだったそうです。

    「三浦 実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルといわれて、もう指導者が死んだ、っていうのが分かったら、一切外部との連絡を絶って、都市で動き始める、スリーパーセルというのが活動される、活動すると言われている。
    同席者 普段眠っている、その暗殺部隊みたいのが・・・
    三浦 テロリスト分子がいるわけです。それがソウルでも、東京でも、勿論大阪でも。いま結構大阪がヤバいって言われていて。
    同席者 潜んでいるって事ですか?
    三浦 潜んでます。というのは、あの、いざというときにその最後のバックアップですよ。
    そうしたら首都を攻撃するよりかは、正直他の大都市が狙われる可能性もあるので。東京じゃないからという風に安心はできない。というのがあるので、正直我々としては核だろうがなんだろうが戦争して欲しくないですよ、アメリカと」

    これについて複数の批判があるようです。

    Miura1660x322三浦瑠璃氏

    池田信夫氏の「アゴラ」の短い論評を読みましたが、特にスリーパセルについて述べたものではなく、「(金)政権が倒れたら戦争になり、工作員なんてたいした脅威ではない」という短い論評に止まっています。

    これはこれは池田氏とも思えない、現代戦争の非対象性を無視した書きようです。

    現代における戦争は、戦場だけで行われません。

    戦争が市民社会のなかにもテロという形で持ち込まれて、かなりの時間が経過してます。

    ましてやパルチザン国家を自認する北朝鮮が、朝鮮有事における最大の策源地であるわが国を後方攪乱の埒外に置くと考えるほうがナイーブです。

    むしろ氏は、メディアが北朝鮮危機で一転して右から煽るということを危惧しているようです。
    http://agora-web.jp/archives/2031058.html 

    池田氏は1930年代の日中戦争突入の時期と現在をアナロジー(類推適用)していますが、その比較の前提が間違っています。 

    日米同盟が安全保障の大前提としてある現在と、国際社会を敵に回してしまった30年代とはまったく違います。 

    ですから、今のメディアのうすら甘い左翼体質は、団塊の世代中心の経営上層部が入れ替わらない限り、いやそれでもなお、変わらないと思います。

    Photo古谷経衡氏

    さて古谷経衡氏の噛み付きが、とりあえずもっともスリーパー・セルについて論及しているようなのでこれをとりあげます。 

    古谷氏はバランスのとれたことを論じる人で、氏自身もバイアスがかかった物言いが嫌いなようで何冊か書いています。

    常識的、現実的であることを大事にする点、私と共通していますが、今回はどうでしょうか。 

    古谷氏の批判は「広がる「工作員妄想」~三浦瑠麗氏発言の背景~」として読むことができます。
    https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20180213-00081557/ 

    古谷氏は三浦氏を「工作員妄想」でバッサリ切り捨てています。

    「北朝鮮の特殊工作員が常に日本の大都市部に潜んでいて、有事の際には事前の想定通り、独自に日本で破壊活動を行う・・・というある種の観念は、小泉訪朝に揺れた、ゼロ年代中盤におけるネット右翼の典型的対北朝鮮工作員観をトレースしたモノで、これを私は「工作員妄想」と名付けている。」

    う~ん、古谷氏は根本的に勘違いしていますね。

    スリーパー・セルは、いわゆるネットスラングの「特亜の工作員」とは別次元のものです。

    この「工作員」という表現は、ゼノフォビア(異民族嫌悪)の亜種だと私は思っていますが、それと三浦氏が指摘したスリーパー・セルはまったく違います。

    三浦氏があえてスリーパー・セルという国際的に認知されている用言を使った意味を、古谷氏は見落としています。

    おそらく三浦氏は(私もそうですが)、「特亜の工作員」レベルの発言と混同されたくなかったのではないかと思います。

    古谷氏は、言ってもいないことや、発言したことを歪めて批判対象にするストローマン論法に陥ってしまっています。
    ストローマン - Wikipedia 

    今回の三浦氏の言説について「在日差別だ」というお定まりの批判もあるようですが、違うと思います。

    たしかに三浦氏はテレビ空間の通俗性の気安さのためか、俗耳に入りやすい表現をとってしまったのは失敗でした。

    とくに「大阪が危ないといわれている」などという具体的な都市名は、無責任に言うべきではありませんでした。

    このような在日朝鮮人・韓国人が多い地域を明示すれば、必ず「在日差別」という範疇の批判に遭遇するのは目に見えています。

    現に古谷氏からも、「これは大阪外から勝手に大阪のイメージを逞しくした妄想の一種であり、実際に大阪は犯罪者や工作員が隠れるのに適した無法地帯、警察権力の空白地帯では当然無い」(前掲)という、それ自体は正しい批判を受けることになります。

    また同席者が「暗殺部隊」ということを言ったことは、ただちに修正するべきでした。スリーパー・セルは、イコール要人暗殺部隊ではありません。

    暗殺行為も含みますが、むしろ米国で明らかになったソ連のスリーパー・セルの攻撃対象は、通信・交通・エネルギー・軍事インフラなどへの攻撃でした。

    これはいわゆる後方攪乱と呼ばれるもので、暗殺は従の任務でしかありません。

    前掲記事で私はこう書いています。

    名指しは避けたいのですが、朝鮮総連はかつて拉致事件において「土台人」と呼ばれる彼らの組織リソースを提供したことが分かっています。
    北朝鮮が日本国内にスリーパー・セルを埋め込もうと考えた場合、この総連系リソースを使わないと考える方が不自然です。
    ただし、これは裏をとりようがない憶測だとお断りしますし、在日朝鮮人・韓国人一般をそのような眼で見るべきではありません」

    ここにも書いたように、仮に北朝鮮がスリーパー・セルを埋伏させているとしても、それは一般人には裏をとりようがないことなのです。

    古谷氏が三浦氏を「工作員妄想」と決めつける根拠は、公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」(平29年)の、”金正恩党委員長への忠誠強化と組織の活性化に取り組む朝鮮総聯”をという部分のようです。

    「(公安は)朝鮮総連内部の詳しい動きに逐一目を光らせている。とすると、「ソウル、東京、特に大阪がヤバイ」と三浦氏が断定したスリーパーセルなる特殊工作員の存在も、国際政治学者たる三浦氏が公の場で堂々と発言する位の水準で知っているのだから当然、公安の報告書の中にさらなる詳細記事があると思うのが妥当だが、公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊工作員や活動家の記述は一切存在していない」

    困りましたね。古谷氏は「公安」の組織体質を理解していません。

    公安がスーパー・セルの存在について、不用意な記述を公的な文書に載せることはありえません。

    なぜなら、日本にスパイ防止法がない以上、彼らがなにか法律に触れるような具体的破壊活動をとらない限り一切手出しができないからです。

    いや仮にそのような法律があったとしても、スリーパー・セルを公安が追跡してマークしていることが露顕する可能性がわずかでもあれば、沈黙して一般刑事事件で処理してしまいます。

    公安警察は刑事警察と違って、大きな枠組みの中で反国家犯罪を抑止するために存在しています。

    ですから、監視対象者の背後関係を突き止め、その意図や組織構造・人脈・資金源を暴くことが主任務であって、逮捕そのものには重点を置いていません。

    ある極左の監視対象者が犯罪を犯して刑事警察が逮捕状を取ったところ、公安警察から「こいつは公安のマルタイだから手をだすな」とストップがかかったという話もまことしやかに伝わっているほどです。

    したがって、国民が目にする白書の類にスリーパー・セルを載せるはずがないではありませんか。

    というわけで、スリーパー・セルが存在するのか、しないのかについて決定的なことを言うことはできません。

    ただ私は欧米の現実から見ていて、存在していてもまったく不思議ではなく、相当の蓋然性であるだろうと推測しているだけです。

    そして三浦氏が朝鮮半島有事と連動して、これに警鐘を鳴らしたことは正当に評価されるべきだと思います。

     

    2018年2月13日 (火)

    ムンとバッハの真冬の笑劇

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    なにが困ったといって、自覚がない存在ほど手に負えないものはありません。 

    たとえば、今はしゃいでいるムン・ジェインやIOCのバッハ会長などです。 

    ムンのほうはとりあえず置くとして、バッハ会長はこの調子です。
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00000037-jij_afp-spo 

    「AFP=時事】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が12日、北朝鮮が政治目的で平昌冬季五輪を「乗っ取ろうとしている」という懸念を一蹴した。IOCは同日、五輪終了後にバッハ会長が北朝鮮を訪問すると発表している」(AFP2月12日)

    ため息が出ます。 

    バッハこそが北朝鮮を冬季五輪に呼び込んだ、中心人物のひとりでした。 

    Photo

     上の写真で、ムン・ジェイン、、キム・ヨンナム、キム・ヨジョンと並んで、南北合同チームを前にして悦に入っているのがトーマス・バッハです。
    トーマス・バッハ - Wikipedia
     

    バッハは西ドイツ時代のフェーシング選手で、1991年からIOC委員、2006年から副会長、2013年に念願の会長に就いています。 

    ひとことでいえば、前任者と違って政治臭が強い人物で、とりわけ韓国との癒着関係が問題視されている人物です。 

    バッハはピョンチャンへの誘致にひときわ熱心でした

    あの「凶暴なまでに無能」と呼ばれた前国連事務総長のパンギムンを、こともあろうにIOCの次期倫理委員長に指名して、さすがこれには韓国内ですら嘲りの声が上がったようです。
    http://www.sankei.com/world/news/170616/wor1706160041-n1.html 

    今回のピョンチャンでは、バッハはこう述べています。

    「これはスポーツだ。IOCはこのことを明確にしている。橋をかけ、ドアを開けるのはスポーツの役割であり、それ以上のものではない。それこそスポーツの象徴であり、その橋を渡れば前向きな結果がやってくる可能性があるという事実をシンボル的に示している」
    「スポーツは平和を作り出すことはできないが、橋をかけることができる。われわれには扉を開け、対話がポジティブな結果につながるということを示すことができる。われわれは何年もかけて議論し交渉してそのことを示してきた」(前掲)

    「スポーツが平和の架け橋」ですか。やれやれ。朝日か東京、毎日の社説でも読んでいるような気分になりますね。 

    Photo_2https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/2018010...

    無前提に「平和」は来ません。話あいは外交の一手段であって、その全体ではないのです。 

    北朝鮮のような全体主義国家の暴走には、圧力があって初めて有功な手段となりえるのであって、そもそも北が対話路線に入ったという裏付け情報自体がありません。

    では、当の北朝鮮がなんと言っているのか見てみましょう。 

    1月1日元旦の新年の辞で正恩はピョンチャン五輪へ参加しすると明言した上で、こう述べています。 

    「これ以上情勢を激化させてはらない。軍事的緊張の緩和と平和的環境づくりのため共同で努力すべきだ」として一見平和路線に転じると見せて、なにひとつ従来の主張と変わらない主張を続けています。 

    「昨年、我が党と国家と人民が得ためざましい成果は、国家核武力完成の歴史的大業を成就したことだ」
    「わが国はついにいかなる力によっても後戻りさせることのできない強力で頼もしい戦争抑止力保有した」
     

    つまり、ここで正恩が言っていることは、我々は強力な核兵器を手に入れた、今後も手放す気がないどころか、じゃんじゃん量産して実戦配備する予定だ、もうなにをもってしても逆戻りすることはないと言っているのです。

    そして新年の辞にはひとことも米国との交渉をほのめかす文言はない一方で、ひたすら韓国に南北融和を説いています。

    「南朝鮮当局は、全同胞の運命とこの地の平和と安定を脅かすアメリカの無謀な北侵略戦争策動に加担して情勢を激化させるのではなく、緊張緩和のためにわれわれの誠意ある努力に応えねばならない」

    ここでいう「われわれの誠意ある努力」が、今回のピョンチャン五輪への北代表チームの派遣であることは明らかです。

    韓国はこの北の「誠意ある努力」に答えよというわけですが、一体それはなんでしょうか。

    「この地に火炎をあげ、神聖な国土を地味染める外部勢力との一切の核戦争演習を中止し、アメリカの核装備と侵略兵力を引き入れる一切の行為を止めるべきだ」

    実に具体的で分かりやすいですね。それは米韓合同軍事演習の中止です。

    北朝鮮はあんがい正直な国で、日替わり定食よろしくで相手次第で言うことをくるくる変えるムンよりもよほど「誠実」です。

    正恩の言っていることは、市民語に翻訳すれば、ざっとこんなことです。ふんぞり加減で腹を上にしてお読み頂くと実感がわきます。

    「わしは核武装を止めると一度たりとも言ったことはない。ムンよ、近こう寄れ、苦しゅうないぞ。ピョンチャンの御礼にピョンヤンに来るか。よしよし。ウイ奴よ。
    ところでムン、お前はこの恩をなにで返すのだ。土産だ土産。わしに言わすな。もちろん、米韓合同軍事演習の中止であることは分かっておろうな」

    おそらくムンは乗るでしょう。そしてこの珍道中に、バッハ会長までが同道するというのですから、もはや真冬の笑劇です。

    ただ、ムンに忠告したいのですが、ピョンヤンに行くのは勝手ですが、米韓合同演習を了承したら最後、水の泡となりますよ。

    北もあれほどくどく要求している以上、この話はチャラでしょうし、一方米国の制止を振り切って行ったら最後、今度は米国は韓国におかまいなしにムンの頭越しに撃つことを躊躇しないでしょう。

    行くも地獄、退くも地獄、さてどうしますかね、ムンさん。

    さて、会長が会長なら部下も部下なようです。

    「国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めるアンジェラ・ルッジェーロ氏(米国)が、平昌五輪のアイスホッケー女子に出場した南北合同チームに関して、「ノーベル平和賞に値する」と発言した」(産経2月11日)

    ぶっはは。やれやれ、この女性委員は、IOCの恥の上塗りをしたいようです。

    バッハ氏にあたえられるべきは、オリンピック憲章第50条違反の査問会です。

    ま、もっとも倫理委員長がパン・ギムンですから、どうにもならんか(笑)。

    とうぶん私たちは、この三流の田舎政治芝居を見させられるようです。

     

    2018年2月12日 (月)

    ムンジェインの三跪九叩頭外交

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    さすがに私、あまりの「らしさ」に感銘を受けております。もちろん、われらがムン・ジェイン大統領閣下のことです。

    北朝鮮にとって、なんというコスパのよさでしょう。 

    北はこの「民族の祭典」にプリンセス・ヨジョンと、なんの決定権もない金永南最高人民会議常任委員長を送っただけで、下写真のように閣下御自ら三跪九叩頭の礼をとってくれるのですから。
    さんききゅうこうとう三跪九叩頭の礼 - Wikipedia 

    Photo産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/news/180209/sty1... 

    プリンセスの玉座も、ムンを足下に従えるようにして貴賓席中央奥に設置され、いやまったく分かりやすい構図です。 

    Sty1802090023f1産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/expand/180209/st... 

    閣下、せっかく恍惚となっておられるのに余計なお世話ですが、外交プロトコール上、まがいなりとも一国の元首であられる閣下が、一段下からプリンセスに握手を賜るのはいかがなものかとおもいますが、ま、いいのか(苦笑)。 

    国家間外交というのはディグニティ(威厳)が重視されます。いきなりころりと腹みせちゃマズイっしょ。

    このように相手を上段に置いてしたから握手をしたのでは、初めから従属、ないしは負けている意志表示ととれてしまいます。 

    これほどまでに露骨に喜ぶと、このような顔でプリンセスに見下されることになります。

    それにしても、生まれてこのかた他人に頭を下げたことのない人物のご尊顔を拝するこができました。ああ、タメになる。 

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    しかしそこはプリンセス。奢ることなく、しっかりとおやさしいお言葉をおかけになっておられます。 

    Photo_2産経新聞

    「平昌冬季五輪に合わせて訪韓した北朝鮮の三池淵管弦楽団が11日夜、ソウルで公演を開き、金正恩朝鮮労働党委員長の特使として訪韓した妹の金与正党第1副部長が、韓国の文在寅大統領の隣の席で観覧した。
    文氏は公演直前に与正氏と面会し、「この出会いの小さな火がたいまつになるよう南北が協力しよう」と述べ、対話・交流の継続、拡大を求めた。
    韓国大統領府によると、与正氏は公演に先立ち韓国の任鍾晳・大統領秘書室長が主催した送別夕食会であいさつし「これほど急に来ることになるとは思わなかった。平壌で再びお会いしたい」と述べ、文氏の訪朝を改めて促した」(共同2月11日)

    実はこの前の会談でヨジョンは、ムンにこう述べています。

    「韓国大統領府が10日発表した。金与正氏は「文大統領と早期に会う用意があります。都合のいいときに来てください」と金正恩氏のメッセージを口頭で伝えた」
    (日経2月10日)
    「会談では朝鮮半島情勢について意見交換した。文氏は「南北関係発展のためには米朝間の早期対話が必ず必要だ」と強調し、北朝鮮に積極的な対応を促した。韓国大統領府の関係者によると、核問題は話題にならなかった。北朝鮮は米韓合同軍事演習の中止を韓国に要求した可能性がある」(同上)

    北との統一国家をライフワークとするムンにとって、正恩から「早期に会う」といわれりゃ、それは天にも昇る心地だったでしょうが、周辺国としては絶句しますね。

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    いま、南北会談するというならば、テーマはひとつしかないはずです。 

    「朝鮮半島の非核化」、これ以外ありえないはずで、北のナンバー2を入れた代表団に対して「核武装を即時停止しろ」という以外に何か言うことが別にあるのか、かえって不思議なくらいです。 

    しかも北への非核化要求は、なにも国連安保理が言っている、米国からも言われた、安倍氏からも釘を押された、中国からも望まれているということではなく、国際社会の総意です。 

    この会談でムンは「南北関係発展のためには米朝間の早期対話が必ず必要だ」と言っていますがナンセンスです。

    米国は核問題以外で、北朝鮮と「対話」などやる気などこれっぽっちもありません。

    米国が仮に米朝会談をやるとしても、現状の核開発のフリーズが最低の前提条件であって、米韓合同軍事演習もフリーズするfreeze-freeze方式などありえません。

    ま、もっともムンも多少は立場を分かっているとみえて、こうも述べています。 

    「北朝鮮の招請に文氏は「これから条件を整えて実現していきましょう」と答えた。前向きに応じながらも現時点では首脳会談の環境が整っていないとの認識をにじませた。韓国が南北対話への傾斜を強めることを警戒する日米などに配慮した」(同上)

    「条件を整えていく」というのは、この1カ月のスパンで考えた時、ひとつしか思いつきません。

    米韓合同軍事演習の拒否です。

    ただしムンさん、これは代償が大きいですよ。なぜなら、米国は韓国が米韓同盟を裏切ったと認識しますからね。

    アングロサクソンは裏切り者には冷酷です。

    したがって、米国はいつ実施するかは分かりませんが、韓国を無視して独力で軍事行動をとる覚悟を決めることになります。

    ただしその場合でも、米国側からの米韓同盟の一方的廃棄はないでしょう。

    韓国内基地は軍事的策源地として利用価値がありますし、廃棄するなら韓国から手袋を投げさせたほうが有利だからです。

    三浦瑠璃氏は、米国が米韓同盟から脱落することを恐れて、予防攻撃はしないだろうと見ていますが、米韓軍事演習すら拒否し北朝鮮と「解決のための対話」をするような韓国は、その時点で身限られているのです。

    そもそもムンごときが正恩と会談しても、非核化のヒの字も口にできないに決まっていますから、結果は同じですが。

    このようにムンは、中国には三不の誓いを立て主権を放棄し、米国には裏切り者認定一歩前となり、日本とは慰安婦合意で1ミリも動かない関係を作ってしまいました。

    その上、今度は北朝鮮と「解決のための対話」ですか。ルーピーですな。

    なにも日米の圧力路線に従わないからという意味だけではなく、米中日そして北にもお愛想をしたあげく、ニッチもサッチも首が回らなくなったのですから。

    まことにルーピー・ムンは出たとこ勝負の御仁です。

    ただひとつ意志強固なのは北朝鮮へのあふれんばかりの愛情、いや尊崇の念だけでしょうか。

    かくてムンさんはにこやかに笑いながら、まっしぐらに蟻地獄へと落ちていくのでしたぁぁぁぁぁ(エコーかけてね)。

     

     

    2018年2月11日 (日)

    日曜写真館 もうそこまで春なはず

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    2018年2月10日 (土)

    米国の「核体制見直し」の対象は北朝鮮です

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    この2月2日に米国の今後5~10年間の米国の核戦略の指針となる「核体制の見直し」(NPR・Nuclear Posture Review)を発表いたしました。 

    肝は二つです。

    ひとつめは、小型核を再び巡航ミサイル(SLCM)に搭載するということ、二つ目は自国、あるいは同盟国に対する攻撃があった場合に使用するとしたことです。 

    色々な議論が起きていますが、朝日はお約束の論調です。
    ※朝日社説 「米国の核戦略 歴史に逆行する愚行」
    https://www.asahi.com/articles/DA3S13345084.html?ref=editorial_backnumber 

    佐藤優氏も似たようなことを、2月8日ニッポン放送朝ラジで述べていましたね。

    氏は例の荘厳な口調で、「これは軍産複合体のための軍拡であって、これが民間テロリストや紛争国家にトリクルダウンして拡散していく危険なもの」と決めつけました。 

    トリクルダウンは元来が経済学用語で先行して豊かになる階層から富がより下の階層に「滴り落ちる」現象のことですが、佐藤氏はテロリストが先端軍事技術をブラックマーケットで手にする、という意味で使っているようです。 

    核兵器技術が漏洩したのは、ソ連崩壊以降のウクライナですが、佐藤氏は米国がかつてのウクライナのような崩壊国家になって核技術を漏洩させるという意味で使っておられるのでしょうか。 

    次に「軍産複合体のため」と仰せですが、巡航ミサイルに小型核を搭載する技術は枯れた技術です。 

    米国にとって何ら新しい技術的ブレークスルーは必要としませんし、核弾頭製造によって儲かる企業は一握りにすぎません。 

    とてもじゃないが、軍拡によって景気を刺激する軍事ケインズ主義にはなりえないでしょう。
    軍事ケインズ主義 - Wikipedia

    今回のトランプの「核体制の見直し」の標的は、北朝鮮とロシアに対応したものです。 

    背景にあるのは、ロシアがINF条約(中距離核戦力全廃条約)に違反する地上発射型巡航ミサイルを開発配備した疑いです。
    中距離核戦力全廃条約 - Wikipedia

    そもそもこのINF条約は、ヨーロッパ全域を射程に入れるソ連の核ミサイルが大量配備されたことによって、欧州での核戦争の危険性が現実化したために米ソ間で結ばれました。

    なぜって?

    ソ連のこの中距離弾道ミサイルは米国には届かないが、ヨーロッパには届くわけですから、ソ連は米国との全面戦争は避けながらヨーロッパを核で脅すことができるようになるからです。

    ここで言われる核は、ICBMなどに搭載されている長距離・大威力の核と、戦場使う小型戦術核との中間の中距離・中規模威力のものを指します。

    これは「戦域核」と呼ばれています。

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    スッタモンダの結果、米ソは互いの本土を狙う戦略核戦力(射程5500キロ以上)と、射程500キロ未満以外の、中距離核戦力(戦域核)は全廃してしまおうということで手打ちしました。

    つまり、長距離と近距離は残して、中距離は禁止しようということですね。

    ちなみに日本にニュークリア・シェアリングを導入せよと主張している人たちは、北朝鮮、ないしは中国へ発射できる弾道ミサイルを米国に日本へ配備させろと言っています。

    むりです。なぜならこれは500キロ以上の戦域核(中距離核)ミサイルの範疇に入ってしまって、INF条約に引っかかるからです。

    やりたいなら、航空機搭載型しかありません。

    また独自に核保有するとしても、(日本は締結していませんが)このINF条約との関係を問われるでしょう。

    それはともかく、これが1988年8月に発効したINF条約です。

    ところが近年、ロシアはINF条約に反して、SS-C-8地上発射型巡航ミサイル(GLCM)を開発してきました。

    条約では、配備することはおろか製造試験すら認められていないのですから明確な条約違反だろーと、米国は怒りました。

    ロシアは、「なに言ってやがる、そんな事実はない。お前のイージスアショアのほうがよほど危険だ」などと説得力を欠いた反論をしましたが、米国は「よーくわかった。方針転換する」と決めてしまったようです。

    これが今回の新しい「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)」です。

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    今回の「見直し」で特徴的なのは、ロシアとの核軍縮協定で全廃していた海軍の戦術核兵器を復活させたことです。

    え、今は米国海軍は核を搭載していないの、と驚かれる諸兄。

    していません。空母からもイージス艦からも核兵器はすべて廃棄処分されました。

    おっと、ひとつだけ例外を忘れていました。戦略原潜の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)だけは、長距離ですので条約に抵触しないために残してあります。

    廃棄されたトマホーク巡航ミサイルの核攻撃型も、2012年までは保管していましたが、いまはこれもすべて廃棄しています。

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    ですから、再度作ることになりますが、もともと6年前まで保有していたのですから、改良を加えるにしてもそう困難なことではありません。

    ではなぜ、いまの時期に「見直し」を言い出したのでしょうか。

    米国の中間選挙目当てにトランプが、「オレはやわなオバマとは違うぜ」というところを見せつけたかったという国内事情もあるでしょうが、それだけではありません。 

    もちろん一貫して米国の主敵の座を譲らない、ロシアに対する対抗措置であるのはあたりまえです。

    今回、この時期にということを考えると、私にはこの「見直し」の最大の眼目は、北朝鮮にあると思っています。

    北朝鮮は、核施設や弾道ミサイル発射基地、司令部、正恩の隠れ家などを深深度に設置しています。

    おそらく数十メートル地下に、コンクリートで固めて要塞化していると憶測されます。

    米国にはバンカーバスターを保有していますが、確実に仕留めたいと思う中枢施設に対してはバンカーバスターでは役不足です。
    地中貫通爆弾 - Wikipedia

    そこでこの「見直し」です。改良された新たな小型核を搭載した巡航ミサイルは、バンカーバスターのようにコンクリート壁を食い破って爆発します。

    その威力は通常弾頭とは比較になりませんし、地下核爆発なために地上を汚染することも避けられます。

    そして、これは北朝鮮がいかなる方法で米国、同盟国を攻撃しようと、相応の覚悟をしておけという意味です。

    このNPRはこう述べています。誰に対して言っているのか、考える必要はないでしょう。
    https://admin.govexec.com/media/gbc/docs/pdfs_edit/2018_nuclear_posture_review_-_final_report.pdf

    "Accordingly, the United States will maintain the range of flexible nuclear capabilities needed to ensure that nuclear or non-nuclear aggression against the United States, allies, and partners will fail to achieve its objectives and carry with it the credible risk of intolerable consequences for potential adversaries now and in the future."

    「したがって、現在そして将来的に潜在的な敵が米国、同盟国、およびパートナーを核兵器または通常兵器に攻撃、侵略しても、その目標を達成することができず耐え難い結果を招くという高いリスクを確実に負わせるような、柔軟な核戦力を確保することがアメリカに必要である」

    正恩が妹をピョンチャンに送ったのは、この米国のメッセージに背筋が薄ら寒くなったためです。

    2018年2月 9日 (金)

    北朝鮮に乗っ取られたピョンチャン・オリンピック

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    世間は北朝鮮に乗っ取られたピョンチャン・オリンピックで浮かれています。 

    まさにオリンピックの政治利用そのものですが、韓国と日本のメディアは進んでこの企てに飛び込んでいっています。

    オリンピック精神は、平和でよりよい世界をつくることにある、とされています。

    したがって国家間のいさかいの原因となる政治の持ち込みは、かたく禁じられています。

    オリンピック憲章をみてみましょう。第50条にこうあります。http://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2015.pdf

    50 Advertising, demonstrations, propaganda
    2. No kind of demonstration or political, religious or racial propaganda is permitted in any Olympic sites, venues or other areas.
    50 広告、デモンストレーション、プロパガンダ*
    2. オリンピック区域、競技会場、またはその他の区域では、いかなる種類のデモンストレーションも、あるいは政治的、宗教的、人種的プロパガンダも許可されない。

     

    ムン・ジェインは、このオリンピック憲章第50条に定められた「政治的プロパガンダの持ち込み禁止」に反して、北朝鮮の政治宣伝の場を提供してしまいました。

    まずは美女軍団が国連決議によって入港禁止対象であるはずの万景峰号から、意気揚々とやってきました。

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    その上に燃料まで寄こせという恥ずかしい要求も堂々と(これがミソですが)要求しています。

    入港禁止船から意気揚々と下船する美女軍団の皆さんです。

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    なにも制裁破りの船で来なくとも、北京経由の空路でやってくればいいものを、わざわざ海路を選ぶのは、これ自体が「オレたちは韓国を巻き込んで制裁破りをしまくるぞ」というプロパガンダをやりたかったからです。

    ムンは、本来このような措置は国連と事前協議すべきはずですが、独断で認めてしまっています。

    またIOCは国連の傘下ではありませんが、北と韓国による国連制裁破りと政治プロパガンダを認めてしまっています。

    ちなみにこの美女軍団は、さっそくこんなことをしています。

    「【江陵共同】平昌冬季五輪に合わせ韓国入りした北朝鮮の「三池淵管弦楽団」が8日夜、北東部江陵の「江陵アートセンター」で公演を開いた。楽団は北朝鮮の曲を披露した際、本来の歌詞を変えて「独島(島根県の竹島)もわが祖国」などと歌った(共同2月9日)

    Jalo_jalohttp://toyokeizai.net/articles/-/205604

    まず女子ホッケーの南北合同チームを認めてしまったこと自体に、オリンピック憲章第5条違反の疑いがあります。

    いきなり北チームを加えたためにルールで決められた登録選手23人枠を超える韓国選手23人、北朝鮮選手12人、計35人という12名オーバーの登録を認めてしまっています。

    アイスホッケーは「氷上の格闘技」とよばれるほど激しいスポーツで1チーム23人で、5人1組のセットを作り、試合中にセット単位で頻繁に交代するそうですから、控えが他のチームより12名も多い統一チームが圧倒的に有利になります。

    いわば国際サッカー試合を、11人対22人でやれというようなものです(苦笑)。
    ※間違いました。頂戴したコメントよれば「メンバー登録は特例として35人まで許可されるが、試合のベンチ入りは他のチームと同じ22人に限定。うち最低3人は北朝鮮選手とする」だそうです。すいません。

    IOCが、こんな競技ルールを無視した非常識な要求を認めたことに驚かされます。

    また南北統一旗には、竹島が独島として描かれています。

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    かつての統一旗には竹島は登場せず、今回の措置がムンの意志であることは明らかです。

    菅官房長官が直ちに抗議したのは当然です。http://www.sankei.com/politics/news/180205/plt1802050031-n1.html

    これについて韓国オリンピック組織委員会はこう答えています。

    「平昌五輪の大会組織委員会は、竹島の韓国側呼称「独島(ドクト)」の統一旗での扱いについて、開会式の南北合同入場行進に関しては「前例に基づき表記されない。日本と摩擦が生じる余地は全くない」としていた」(産経2月2日)
    http://www.sankei.com/politics/news/180205/plt1802050031-n1.html

    もっともなぜ入場行進で乗せないのかと、日本大使館へのデモが起きたそうで、行くなら自分の国の組織委員会に行けよ、といいたくなります。.

    私は、かつてのヒトラー以外にこれほど露骨なオリンピックの政治利用をした例を知りません。

    ところで、この芸術団や南北統一チームは、ほんの露払いにすぎません。

    本隊は金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と、正恩の妹の金与正(ヨジョン)氏です。

    「【ソウル時事】韓国統一省は7日、北朝鮮が高官級代表団の一員として、金正恩朝鮮労働党委員長の妹・与正氏を韓国に派遣すると通知してきたと発表した。代表団は金永南最高人民会議(国会に相当)常任委員長が団長を務め、9日から11日まで韓国に滞在。金永南氏は平昌冬季五輪の開会式に出席する見通しで、与正氏も同席する可能性がある」(時事2月7日)
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2018020700947

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    与正は正恩と共通の母親・高英姫から生まれた「輝かしい白頭山の血脈」、金王朝のプリンセスです。
    金与正 - Wikipedia

    しょせん暗殺された正男は、彼らからみれば異母兄にすきません。 

    米ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース(38North)」のマイケル・マッデン氏はこの間の動きを、「与正の立場と権威が以前よりもはるかに高まったことを示している」と述べています。 

    とまれ、母親に似てアイドル並にキュートな北のプリンセスがこの祝祭を言祝ぎにやって来るというのですから、韓国が喜ぶまいことか。
    http://todaynews01.com/467.html

    おまけで、ふたりの母親である高英姫の写真(写真中央)もアップしておきましょう。大阪鶴橋生まれの在日朝鮮人です。.与正とそっくりです。
    高英姫 - Wikipedia

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    彼女が訪韓しようものなら、韓国メディアは下にも置かないおもてなし取材をすることでしょう。

    まさにコリアのツボを押さえた融和政策です。たいしたもんだ~と、思わず私も言いたくなります。 

    一方、北は実に冷徹です。 

    五輪と同時平行で、朝鮮人民軍創設70周年慶祝閲兵式の軍事パレードをやってみせました。 

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    これは予定されたことであるとはいえ、明らかに五輪後に予定されている米韓合同軍事演習に対抗したもので、やるならやるぞといったところです。

    やれやれこれでは、「平和の祭典」の裏側で核ミサイルを作り続け、軍事パレードをやってのける北のための政治の祭典となるでしょう。

    まぁムンがこんな体たらくだから、米国はペンス副大統領をを派遣し、安倍氏と共にあのひとり浮かれている馬鹿に釘を刺して来いということになったのでしょうね。

     

    2018年2月 8日 (木)

    そもそも「辺野古」は争点ではなかった

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    名護市長選の結果についての朝日新聞2月6日の社説です。

    「米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市の市長選で、安倍政権の全面支援を受けた新顔が、移設反対を訴えた現職を破り初当選した。
    たび重なる選挙で示された民意を背景に、辺野古移設阻止を訴えてきた翁長県政の痛手は大きい。ただ、政権側が「これで移設が容認された」と考えるなら、単純すぎる。
    選挙結果は辺野古容認の民意と思いますか。当選した渡具知(とぐち)武豊氏はそう問われると、「思わない」と答え、「市民の複雑な意見は承知している」「国とも一定の距離は置かないといけない」と続けた」

    たぶんこんなことを言うだろうなと思っていたところ、まんまテンプレ的社説をお書きなので、失礼ながら微苦笑してしまいました。 

    これで移設が容認されたと考えるな、というわけですが、ならば稲嶺氏が当選した場合、得たりとばかりに「これぞ民意」と言うのでしょうから、困ったものです。 

    そもそも「民意」という、超越的な意志などこの世の中に存在しません。 

    民意は常その時、その場の状況で揺らぎます。

    その揺らぎが民主主義であって、己の信じる正義だけが唯一の民意なら、選挙などやる必要すらないのです。

    もし名護市民に「移設は容認か否か」と問えば、ほとんどの人は「そりゃイヤに決まっています」と答えるでしょう。 

    他地域のトラブルを背負いこむわけですから、よほど利害が絡んでいない限り推進する立場にはなりようがありません。 

    ではこんどは、「稲嶺市政で置き去りにされた地域振興についてどうかんがえますか」と問えば、少なくとも半分以上の人は「もういまの市長は勘弁してほしい」と答えるでしょう。 

    この二つの答えに、どこにも矛盾はありません。ただの強弱と軽重の選択の問題なのです。 

    名護市民はまともな民政をせずに、政治闘争と化した「辺野古反対政治」にうつつをぬかす稲嶺氏に愛想が尽きただけです。 

    ともかく長すぎました。 

    実に8年間、18で投票権を得た青年が小学生の時からズッと「辺野古反対政治」一本槍だったのですから。 

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    これが前2回なら、まだ少ないながらも阻止できる可能性は残されていました。 少し振り返ってみましょう。

    2016年春、翁長氏が前知事の決定を取り消したことについて、国との間で訴訟合戦になったことを覚えていますか。 

    訴えを審理した地裁が双方に示したのが、国と県の両者が受け入れた「暫定和解案」(2016年3月4日)と呼ばれるものでした。
    関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-08d4.html

    ●要旨
    ①国は代執行訴訟を取り下げる
    ②国は県の違法性を確認する裁判を提起する
    ③国は工事を一時中止とする
    ④県は裁判の結果に従う

    要は、「よく話し合って落とし所を見つけなさいね、。一回合意したら誠実に履行してください。そして二度と蒸しかえすのは止めなさい」という妥協プロセスです。 

    重要なのは、誠実条項が入っていることです。

    「9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する

    私人ではなく、行政機関同士の合意ですから「誠実」の重みが違うはずです。

    もし辺野古移設を阻止できる最後のチャンスがあるなら、この半年以上あった協議期間に官邸から全権委任されて菅氏が毎月定期的に来訪沖していたのですから、何か対案を提示すべきでした。

    国は筋からいえば止めなくてもいい工事をあえて止めて話あおうと言っているのですから、このチャンスを棒に振るテはありません。

    国がゲッというような提案を、県の方からがぶつければよかったのです。 

    たとえば、小川和久案と呼ばれる「ハンセン陸上案」があります。 

    このプランならば、既存の基地内ですから辺野古海岸線埋め立て案の最大のネックだった美しい海を埋め立てる必要がなくなります。

    国は米国との信頼関係もありますから簡単にうんと言わないでしょうが、県がこれしかありませんとプッシュすれば、やってみる価値があったはずです。

    仮に国が小川案のような現実的案を拒否すれば、ここぞと国の非道を責められます。

    実は私はかつて、「結果が出なければ政治じゃない」とミエを切って見せた翁長氏の寝業に密かに期待していたのですよ。

    しかし翁長氏は、硬直したデクノボーのようにこの貴重な10カ月を空費してしまいます。 

    それにはいくつもの理由がありますが、最大のものは名護市長稲嶺氏と最大与党である共産党の「いかなる新基地にも反対」という立場でした。

    これではもはや反対のための反対、いわば原理主義的反対ですから、初めから解決することは念頭にありません。 

    未来永劫反対運動をしていたいというのは個人や左翼政党ならばご勝手にですが、行政官である首長がすることではありません。 

    結局この和解期間は空費され、調停委⇒那覇地裁⇒福岡高裁とえんえんと続いた司法判断は2016年12月の県の取り消しの訴えを退けた最高裁判決で完全決着しました。
    関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-f5a3.html

    Hlm_hlm琉球新報2016年12月13日 

    この瞬間、辺野古紛争は終結したのです。

    翁長氏の完敗です。国は約束どおり休工し、和解プロセスを経て、最高裁で勝訴したという民主的手続を踏んだ以上、これ以上一歩も譲る理由はありません。 

    その後、翁長氏は見苦しくも「あらゆる手段で阻止する」と息巻いていましたが、代案を出せず最高裁判決が出てしまった以上、もはやゴールポストは動かないのは分かりきっていたはずです。

    合意と手続きを踏んで行政機関同士が決めたことを、覆したくてたまらないようなことを平気で言うわけで、これではどこぞの国と一緒です。

    この経過をご覧いただければ、もう容認か反対かというに選択の時期は1年以上前に終わっていたと納得されるのではないでしょうか。

    そうです、もはや「辺野古反対」は、名護市長選の争点たりえなくなったのです。 

    それについて、「すでに県による埋め立て許可は下ろされ、工事は着々と進んでいる」という山路氏の問いに対して、自民党はこう述べています。
    関連記事 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/3-596e.html 

    「だから、現時点において移設推進論者とか容認論者とか言う括り方をするのがそもそもおかしいのだし、そうする事で逆に相手の土俵に乗ってしまっている事も考えるべきだ。
    議論の逆回しだ。
    さっきも言ったが、辺野古移設を決める場合の決定権は既に名護市にはなく、意見を言う機会はあったが、すでに同意されていて決着が着いている。
    現時点において移設推進論者とか容認論者とか言う括り方をするのがそもそもおかしいのだし、そうする事で逆に相手の土俵に乗ってしまっている」

     正しい判断です。 選挙は正しい判断をして、それに基づいて選挙戦略を組んだ側が勝利するのは自明です。

    政府もまた徹底して経済振興に的を絞りきりました。

    正直に言えば、政府はこの名護市長選に勝てるとは思っていなかったはずです。同じ負けでも天王山の知事選に繋がる惜敗にとどめたかったと思います。

    ところが、選挙戦をするにしたがって稲嶺氏の背中が見えてきたのです。

    応援に来沖した、菅官房長官、二階幹事長、小泉副幹事長はいっさい移転問題を口の端にも乗せず、名護東道路の工事加速などのインフラや経済振興を訴えました。

    内閣府副大臣・松本文明氏の26日の国会での愚かな野次に対して、首相は野党の追求が始まる前に抜く手も見せずに解任しました。

    この時期は、渡具知候補は10ポイント前後の水を開けられていたという観測があっただけに、この松本発言によって国会が紛糾したならば、市長選への影響は避けられなかったでしょう。

    とまれ、翁長氏や朝日、地元紙が「民意」と認めようと認めまいと、これが新しい現実であることに違いはありません。

    ※お断り スマホでは正常ですが、記事真ん中までフォントが大きいようです。朝日社説を引用したらおかしくなったみたいで、なおそうとすると別の場所がおかしくなって修正できません。
    まことにこの新聞社らしい現象だと思し召して、ご了承ください。

     

     

    2018年2月 7日 (水)

    AH-64Dの事故続報

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    自衛隊AH-64Dの事故の続報です。 

    今回多くの目撃情報から、メーンローターが脱落して機体制御ができなくなったことが報告されています。 

    正常に飛行していた機体が、突然殴られたようにほぼ垂直に落下しています。 

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     「陸自によると、ヘリは通常、25時間や50時間の飛行時間ごとに定期点検を実施。事故機は平成18年3月に配備され、飛行時間が規定の約1750時間前後となったため、メインローターヘッド全体を初めて交換したという」(産経2月6日)http://www.sankei.com/affairs/news/180206/afr1802060045-n1.html

    自衛隊はそのつど修理する米海兵隊と違って(※)、一定時間経過すると劣化しているいないを問わず部品を交換するという厳しいメンテナンス体制を敷いています。
    ※海兵隊もメーカー指定の時間で部品交換しています。ただし、砂塵などの原因によって消耗が激しい場合にはその都度交換しているようです。

    これが自衛隊機の整備不良による事故を世界トップレベルまで引き下げ、稼働率の高さに貢献しています。

    今回、メーンローターヘッドを定期交換して試験飛行した時に墜落したわけですから、なんらかの因果関係が疑われます。 

    メーンローターヘッドとは、下の写真で見えるマスト(軸)の上に乗っている部分です。 

    Photo海上自衛隊の哨戒ヘリコプター・SH-60Kのローター・ヘッド部。いろいろなメカニズムや配線・配管が取り付いていて、いかにも複雑そうである
    https://news.mynavi.jp/article/aero_tech-55/ 

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    朝日新聞2月6日より引用いたしました。ありかとうございます。

    井上孝司氏「ヘリコプター(4)ローター・ヘッドとトランスミッション 」によれば、ローター・ブレード(回転翼)は、ヘリのもっとも重要な部品です。
     

    この回転する翼で、ヘリは複雑な飛行をこなしています。
    https://news.mynavi.jp/article/aero_tech-55/ 

    このローターがないと、ヘリはただの箱です。ローターが仰角を取って機体を持ち上げているわけですから、この時のヘリの重量はこのローターひとつにかかってきます。 

    今回のAH-64Dは約10tですから、その重量はこの薄いローターが支えているわけです。 

    上の写真で下から4本のロッド(棒)が延びているのが見えますね。これがローターの複雑な運動を司っています。

    このようにローターヘッドは、ヘリの心臓部とも言える部品なためにたいへんに微妙な調整をします。

    「複数の自衛隊のヘリパイロットによると、メインローターヘッドを含む整備後の点検飛行では、ローターの回転で生じる振動のチェックが重要になる。4枚の羽根のバランスが悪いと好ましくない振動が起こり、ボルトが緩んだりして飛行に悪影響を及ぼす。
     このため点検飛行では、着陸状態▽ホバリング状態▽さまざまな速度での飛行-の順に、振動が許容範囲内にあるかをチェックし、飛行後にはボルトの緩み具合などを確認するという」(産経前掲)

    ですから、機長は異常な振動がないことを確認して離陸したと思われます。

    なお、「なぜテスト飛行で民家の上を飛んだのか」とわけのわからないことを言っている人がいますが、小川和久氏が述べているように、「かりに試験飛行の空域が設定されており、そこへ向かう場合でも、今回の事故が起きたような空域は通過する」のです。

    では、パイロットがローターブレードの異常に気がつかなかったのでしょうか。

    機長の斉藤謙一2等陸佐はこのAH-64Dの日本でも屈指のプロフェショナルでした。

    「斉藤さんは防衛大学校を経て20年前に陸自へ入り、主に航空部門で勤務した。飛行経験は計約2700時間。うち約1600時間が、事故機と同型のAH64D戦闘ヘリで積み重ねたものだった」(産経2月6日)
    http://www.sankei.com/west/news/180206/wst1802060087-n1.html

    このような高い技量を持つパイロットが、ローターの異常に気がつかず離陸することはありえません。

    となると、この交換したローターヘッドの品質、あるいは取り付け方法に問題があったということになります。

    現時点ではここまでの情報しかありません。

    さて事故発生直後、軍用機の事故を政治的に利用するノイズのような言説が飛び交っています。

    朝日の事故直後の報道は、「ヘリ直撃の住民『許せない』」というものでした。

    墜落地点周辺の住民の気持ちは理解できますが、このような感情的な言葉で一括りにして代表させていいものかどうか冷静に考えることです。

    当時まだ斉藤2佐の遺体は発見されておらず、事故原因はおろか事故の全容さえつかめていない時期でした。

    このような時期に、メディアが率先して住民感情を煽っていいのでしょうか。

    そして続けて「佐賀へのオスプレイ配備に暗雲」とつなげます。たちが悪いとしかいいようがありません。

    たとえば、あるメディアは某軍事評論家にこういわせています。

    「オスプレイは事故の常連です。地元の漁業関係者や住民の不安はよりいっそう高まるでしょう。佐賀の配備はいったんペンディングになる可能性があります。そうでなくても、オスプレイ配備にあたっては安全面などから慎重な検討が求められるでしょう」(日刊ゲンダイ2月6日)
    https://www.excite.co.jp/News/politics_g/20180206/Gendai_440281.htmll

    この人物は専門家を自称しながら、「オスプレイが事故の常連だ」と決めつけています。こういう言い方をするだけで、この人物の専門性に疑問符がつきます。

    オスプレイの事故はシビアな訓練の中で発生したものであって、機体構造に事故原因がなかったことは事故報告書に明らかです。

    自衛隊機の住宅地への墜落という衝撃にひれ伏させて、無関係なオスプレイ配備に結びつけようとする印象報道です。

    このような報道は沖縄では日常茶飯事ですが、本土の事故までも安易な政治利用をすることは止めていただきたいものです。

    またコメントにあったような、テロの疑いも先走りです。

    この時期にできることは、事故原因を知ること、それに尽きます。落ち着いて下さい。

     

    2018年2月 6日 (火)

    AH-64Dが墜落しました

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    陸自のAH-64Dが墜落しました。 

    落ちたのは民家で、幸いにも女児が軽傷だったということで、もし家族が在宅していれば大惨事になるところでした。 

    乗員2名は死亡されたようです。

    原因の究明が待たれますが、現時点で分かる範囲の情報を整理します。 

    陸自のプレスリリースです。

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    操縦士は、第3対戦車ヘリ隊に所属する43歳の2等陸佐と26歳の1等陸曹でした。飛行時間は明らかになっていませんが、共にベテランであったと推測されます。 

    断言は出来ませんが、操縦ミスの可能性は少ないと思われます。 

    落ちた地点をみます。 

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    墜落場所は、佐賀県吉野ヶ里町にある陸上自衛隊目達原駐屯地の滑走路から直線で、離陸から7分後の4㎞離れた場所でした。 

    事故は自衛隊の飛行50時間ごとの定期点検後の試験飛行で起きていますので、重大な整備ミスがあったと思われます。 

    墜落状況は、佐賀テレビのYouTubeで見ることができます。https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20180206-00000083-fnn-soci
    https://www.youtube.com/watch?v=U_gOOXJXqRA 

    映像では平常に水平飛行していた機体が、いきなり深い角度で急降下を始めきりもみに入っています。 

    管制塔などの目撃者によると、メーンローターが吹き飛んでいると報告されています。

    これの映像を切り取ったものが下です。

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    メーンロータを失い、機体がグラつきはじめ、急角度で機首から急降下を開始し、やがて、スピンしています。

    こうなっては、いかにベテランのパイロットでもテールローターひとつで制御することは不可能だったと思われます。

    ちなみに、AH-64系はいままでメーンロータ脱落事故を2回起こしています。

    1件目は2015年2月2日に米国で、AH-64Eがメーンローターの脱落で墜落しています。
    http://www.theleafchronicle.com/story/news/2017/09/21/fort-campbell-army-apache-guardian-helicopter-crash/637941001/

    下の写真は、この事故で脱落したメーンローターです。

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    2件目は、同じく米国で2016年12月28日に、テキサスにおいてメーンローターの脱落により墜落事故を起こし、機体は水没しています。

    AH64系に共通する機体欠陥なのか、偶然がかさなったのかは分かりませんが、前者なら全世界の同系列の機体が飛行停止となります。

    あるいは、この機種は自衛隊がわずか13機しか保有しない希少機体なために、予備パーツの不足によって過度の部品の消耗があったのかもしれませんが、現時点ではなんともいえません。

    なお、安倍晋三首相は5日、陸上自衛隊ヘリが佐賀県で墜落した事故を受け、小野寺五典防衛相に対し、同型機の当面の飛行停止と自衛隊ヘリ全機の徹底的な整備点検を指示したそうです。

    佐賀への自衛隊オスプレイ配備について影響が出るとメディアは報じていますが、ヘリとオスプレイは別次元の機体ですので無用な煽りは止めてほしいものです。

    また、沖縄でよく海兵隊ヘリが予防着陸をすることを批判しますが、パイロットは警報ひとつ点いただけで、飛行場に引き返すか、ヘリの場合安全な場所に降ろすことの判断を求められます。

    それはマニュアルに定められた正しい処置なのです。

    ヘリの場合、どこにでも降りられるわけですから、安全な空き地に降りることもできます。

    しかし沖縄メディアのように、その都度これを「墜落」と誇張し、「ほら見たことか、こんなに危険だ」というような叩きかたをすれば、無理にでも飛行場に引き返そうとして墜落する可能性をかえって高めてしまいます。

    軍用機のみならず航空機全般に安全を求めるのは当然のことですが、その状況をよく分析してから批判するべきです。

    今回の事故の場合、エンジントラブルていどならば、機長は安全な水田に降ろすことを選んだはずです。

    しかし、それもかなわなかったことが残念です。亡くなられた2名の乗員のご冥福をお祈りします。

     

    2018年2月 5日 (月)

    速報 名護市長選 渡具知氏が当選

    K10011315181_1802042243_1802042244_https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180204/k10011315181000.html

    速報です。渡具知氏が勝利しました!

    また渡具知氏の欠員に伴う補選も仲尾ちあき氏が、ヘリ基地反対協共同代表の安次富浩氏を破って当選しました。ダブル勝利です。
    http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/204873

    そして票差は、3458票の堂々の勝利でした。

    ■名護市長選(2018年2月4日投票) 開票終了
    投票率 76・92%
    とぐち武豊 候補 20,389
    稲嶺  進 候補 16,931 
    投票者数 37,534(前回35,733よりも+1,801)
    有権者数 49,372(前回46,582よりも+2,790)
    投票率  76.92%(前回76.71%よりも+0.21%) 

    どしゃぶりのような地元メディアの稲嶺候補一辺倒報道に、名護市民が惑わされることのない判断をされたことを心から祝福します。  

    おめでとうございます。1_3_1_66521_0_0_2
    翁長知事は、移転先の受け入れの名護市が反対しているという事を大義名分としてきました。

    受け入れ県と建設用地がある名護市が反対であること、そして移設反対派の一部に旧自民議員団がいることの二点が、「オール沖縄」、すなわち沖縄の総意であるとする根拠としてきたわけです。

    この数年間で旧自民脱党グループはみるかげもなくすり減り、そして今回、名護市も脱落しました。

    このことで翁長氏が、「オール沖縄」と自称する根拠はほぼ消滅しました。

    まさに「県幹部は、県民投票で民意を示しても、地元が容認と判断すれば何の意味も成さない、と指摘。その上で、負ければ知事の不出馬も現実的になる、と語った」(沖縄タイムス2月4日)事態が現実のものとなってしまったのです。

    翁長さん、これがほんとうの「民意」です。再選はあきらめなさい。

    もうあなたのような「反対しているふり」をして、利権にあぐらをかく者の出番は終わったのです。

    さて、渡具知新市長には、この8年間、止まったままの名護市の時計を確実に前へと動かしてもらわねばなりません。  

    いままで稲嶺市政によって放置され続けてきた名護市のインフラ整備、地場産業の再興など問題は山積しています。  

    この結果は、若者たちが自らの未来を描けない名護の現状から脱する道を、渡具知新市長に託したことによって生まれました。

    今回の市長選でもっとも特徴的なのことのひとつは、青年層が圧倒的に渡具知氏を支持したことです。

    18歳以上の青年層は、稲嶺市政の8年の長きに渡った「辺野古反対政治」による名護市の荒廃を肌で感じて育ってきた世代です。

    今回18で選挙権を行使した若者は、小学校から「辺野古反対政治」のど真ん中で大きくなりました。

    一回彼らの目線に腰を落として、名護を見てみたらどうでしょうか。

    さびれていくばかりの商店街、つぶれていく地場産業、地元での就職口はない、県内最悪の賃金水準、東海岸の進む過疎化、そして名護自慢のプロ野球チームのキャンプ地にも逃げられるようなガタガタのインフラ・・・。

    唯一元気なのは、我が物顔に村を封鎖し、私的検問をする外来者たちの群れだけ。全国ニュースで名護の名が出るのは警官との揉み合いだけ。うんざりしませんか。

    これが青年層が、子供の頃から見てきた日常的風景ではなかったのですか。

    そして青年たちは、この沈滞しきった名護の突破口を市長選に求めました。

    年代別得票率をみます。

    ・年代別の投票先
    10代 稲嶺37% 渡具知63%
    20代 稲嶺38% 渡具知62%
    30代 稲嶺39% 渡具知61%
    40代 稲嶺41% 渡具知59%
    50代 稲嶺38% 渡具知62%

    60代 稲嶺65% 渡具知35%
    70代 稲嶺68% 渡具知32%
    80代 稲嶺67% 渡具知33%
    90代 稲嶺86% 渡具知14%
    『出典 OTV開票速報』 

    投票率が8割弱という高率で、50代以下は自公候補、60代以上が稲嶺候補という明確な差が見て取れ、しかも10代から20代の渡具知氏支持率が56%~66.6%にも登ったことでわかります。

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    かつて稲嶺氏が名護市長になった時に特徴的だったのは、後に「オール沖縄」になっていく那覇市市会議員団・新風会の議員たちが名護市長選に大量に投入されたことでした。

    また、公明も当時は創価学会票を、フル動員したと伝えられています。

    そしてお約束の選挙マシーンである共産党もフル稼働しました。

    つまりは、政党と一握りの政治家の野心でどうにでも転がる、典型的な政党主導型選挙だったわけです。

    これが沖縄の政治に、いわく言い難い停滞感と閉塞感をもたらしました。

    今回の市長選の新しい息吹は、青年層がこの垂れ込めた「沖縄的沈滞」の空気を破ったことです。

    この流れは次の知事選にも受け継がれるべきです。

    かといって名護市長選はそのまま知事選へと続く、なだらかなものではありえませんが、ひとつの方向性は見えてきたようです。

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    まずそれは、市であろうと県であろうと地方自治体が抱える特有の問題に着目することです。特に地域経済の浮揚を通して地域の再興を強く訴えねばなりません。

    これこそが、「辺野古反対」のスローガンにあぐらをかいて、県民の経済など見向きもしなかった左翼勢力に対するもっとも強い対抗軸となることは証明されました。

    次に中央との和解です。

    平気で「日本政府に抗議する」というような外国人まがいの言い方をする首長に、国と組んで経済を盛り立てていくことなど不可能に決まっています。

    そのためには基地縮小・再編計画に単純に反対していくだけではなく、いかにそれを新たな自立経済に活用していくのか、わかりやすい経済活性化ビジョンを用意せねばなりません。

    翁長・稲嶺氏に代表されるような「辺野古反対政治」が賞味期限切れであることは、誰の目にも明らかです。

    しかしそれをただ批判するだけでは勝てません。何によってこの「辺野古反対」政治を克服するのか、新鮮な対抗軸が必要な時なのです。

    名護市長選は、その原型をかいま見せてくれたような気がします。

    新市長、チバリヨー!

                                         ~~~~~~~~~~

    ■NHK 2月4日 22時57分
    沖縄 名護市長選 新人の渡具知氏 当選

    沖縄県名護市の市長選挙は4日に投票が行われ、自民・公明両党などが推薦し、地域経済の活性化を前面に掲げた新人の渡具知武豊氏が、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴えた現職を破って初めての当選を果たしました。

    名護市長選、安倍政権支援の渡具知氏が初当選確実 稲嶺氏の3選阻む 辺野古移設加速へ

    米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の同県名護市辺野古移設問題が最大の争点となった名護市長選は4日、投開票され、無所属新人で元市議の渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏(56)=自民、公明、維新推薦=が、3期目を目指した無所属現職の稲嶺進氏(72)=民進、共産、自由、社民、沖縄社大推薦、立民支持=を破り、初当選が確実となった。 

    安倍晋三政権が全面支援した渡具知氏の勝利で、辺野古移設を加速させる環境が整い、移設の早期実現へ大きく前進しそうだ。  

     投票率は76・92%で、前回(76・71%)を0・21ポイント上回った。  名護市長選は、辺野古移設を着実に進めたい安倍政権と、反基地を貫く「オール沖縄」勢力の象徴、翁長雄志(おなが・たけし)知事による「代理戦争」の構図だった。 

    今秋に控える知事選の前哨戦にも位置づけられ、両陣営は国政選挙並みの総力戦を展開した。   

    移設阻止を訴えてきた稲嶺氏が敗北したことで、翁長氏がこれまで移設反対の大義としてきた「民意」が崩れた格好。安倍政権にとっては、秋の県政奪還に向けて大きな弾みとなった。

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    ■沖縄タイムス 2月4日
    翁長県政「負ければ知事不出馬も現実的に」 政府「県政奪還への弾みに」 名護市長選それぞれの思惑

    名護市辺野古の新基地建設阻止を県政運営の柱に据える翁長雄志知事にとり、名護市長選は「絶対に負けられない戦い」(県幹部)だ。仮に稲嶺進氏が敗れれば辺野古反対の主張を支える「民意」の一角が崩れることになり、翁長氏は危機感を強めている。 

     辺野古反対を訴え、再選を果たした4年前の稲嶺氏の勝利は、その後、保守系や企業などが辺野古阻止で団結した「オール沖縄」勢力結集の原動力となった。 

     辺野古阻止を掲げ、前知事に10万票の大差で勝利した翁長氏は、工事を止めるため埋め立て承認を取り消すなど知事権限を行使してきた。だが、2016年12月に最高裁が取り消しを「違法」と判断。政府は、17年4月に護岸の建設工事に着手した。 

     政府が工事を着々と進め「あきらめムード」を醸成する中、翁長氏の訴えのよりどころは民意だ。これまでも、新基地建設を強行する政府に対し、翁長氏は名護市長選や衆院選などの結果を挙げ「民意に背いている」と批判してきた。 

     名護市長選で敗れれば、反対の根拠の柱が失われる。県幹部は「辺野古阻止の姿勢に変わりはないが、戦略の大幅な変更は避けられない」と吐露する。 

     埋め立て承認の撤回に向け、支持者の間では県民投票実施の動きもある。 

     別の県幹部は「県民投票で民意を示しても、地元が容認と判断すれば何の意味も成さない」と指摘。その上で、「負ければ知事の不出馬も現実的になる」と語った。

    2018年2月 4日 (日)

    日曜写真館 熱帯の妖しき植物

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    2018年2月 3日 (土)

    山路敬介氏寄稿 名護市長選の争点は何か その4

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    山路氏寄稿4回目、これで完結です。  

    タイトルと小見出しはブログ主のものです。

    なお、本日18時30分から小泉進次郎衆議院議員が、稲嶺市政の8年間にも及ぶ停滞のシンボルとなった名護市役所前で演説します。

    8年間も市政を預かっておきながら、なにひとつ公約を達成できなかった稲嶺市長に、さらに後4年間もの時間を与えるのか否かが問われるのは明日です。 

    投票にいきましょう。

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                                             ~~~~~~  

                                ■名護市長選の争点はなにか  その4
                                                                                      山路敬介 
     

    承前 

    県議会全会一致の「海兵隊撤退決議」はSACO案に戻っただけだ 

    Q:沖縄県議会は11月に「海兵隊撤退決議」を採択したが、これは自民党も賛成しての全 会一致だった。これには非常に驚いた
    名護市長選の争点は辺野古移設問題ではないというが、どう整合性が取れるのか?
    この決議を聞いてすぐに思い出したのは、民主党政権時代に辺野古移設に回帰した民主党側と、反対し続ける民主党県連側のねじれ 現象を痛烈に批判した河井克行(現自民党総裁外交特別補佐)氏の国会質問だ。 
    そこでの河井氏は「頭がどうにかなりそうだ!」とまで言って、政権と県連の不一致を糾弾した。

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    A:報道では当初は「海兵隊撤退決議」とされたようだが、そうではない。
     

    「早期の国外、県外への移転決議」だ。 自民党がそのように修正した。両者の文言の違いは安全保障上の意味合いが重要に異なる 

    また、政府の立場との不一致はなく日米特別行動委員会(SACO)合意の範疇に落とし込めたと考えている。 

    要は再発防止に向けて効果あるメッセージを発する事が重要で、その意味では与党側と決議の意味付けに相違する部分がある。 

    決議の動機となったのは、言うまでもなく米兵飲酒運転による死亡事故だ。 

    自民県議の間でも様々な意見があったが県民・市民にしてみれば、たまらない無情観を感じた事だろう。 

    そういう声を政府や米軍に届けるのも、県議会の役割だと認識している。

    また、民主党時代にあった「ねじれ不一致」とは全然違う。 

    私たち地方議員は別個に選挙された者たちであって、何もかも党中央と意見を一致させなければならない拘束があるわけでもない。 

    だが、民主党の場合は国会議員まで含めて民主党政権と対峙したのだし、その政権自体が手のひら返して食言的転換をした経緯がある。

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    与党「オール沖縄」案を通させないギリギリの判断だった

    Q:それにしても分かりづらい。
    選挙はきれい事では出来ない、という事か?

    A:そのような受け取り方をされるのならばそう取ってもらっても結構だが、いづれにしても「ギリギリの判断だった」という事だ。
     

    今後、北朝鮮問題が煮詰まれば訓練も多くなるだろうし、実戦となればなおさら事故も起こり得る。

    そうした中でこれを未然に防ぐために、私たち地元議員が出来る最大限の事をしたつもりだ。

    県民は、本質的・根本的に米国民としての米兵を嫌っているわけではない。それは事故さえ起こさなければ県民感情も好意的に変化するという事でもある。

    それと、少し考えて貰いたいのだが、我々は県政では少数野党なのだ。

    反対一本槍では、目も当てられない与党案がそのまま通ってしまっただろう。

    そこを全会一致という条件をつき付けながら、種々修正に応じさせてきた中身や経緯も含めて評価してもらえれば幸いだ

    筆者の感想。

    この時はこれで一応納得もしたのですが、この直後の1/15には今度は、「普天間撤退決議」をしました。

    「(米軍は)2019 /2/末までに普天間基地を撤退せよ」という内容を含む決議です。

    取って付けたようなものであっても与党には与党の主張があり、自民党はいくらでもへ理屈をこね回す事が出来るでしょう。

    ですが、革命でも起こさない限り「100%実現不可能な事」を県議会が決議したのです。

    このような事が実際に私たちのリーダーたちの間で行なわれた事に目が眩みます。

    はっきり言って、米軍機の窓が落ちたり不時着したりした事が決議の主要因ではありません。

    決議の理由は選挙選が近いからです。

    このような嘘っぱちで票を得ようとしているのですから、「県民を低く見、馬鹿にしている」としか申せませんが、投票の機会があれば私も一票の権利は必ず行使せざるを得ないのです。

    翁長知事の眼目は辺野古移転を「反対しながら作らせる」ことだ

    Q:県民投票はあると見るか?
    昨年12月の二紙の紙上では、知事選と同時の県民投票で民意を再確定させ「撤回」の理由として用いようとする論調が連日続いた。
    ポイントは、知事選以降まで「撤回」を引き伸ばす事にある。
    すぐに撤回しない翁長知事に対して不満を持つ、「本心から辺野古を阻止したい勢力」を抑え、自動的に再選への道筋を付ける事だと思う。 
    はっきり言って、翁長知事は「辺野古移設を阻止」する事が出来ないと理解しているし、その気もないのだろう。
    県民も県民投票となれば「移設反対」に投じるだろうが、阻止出来るとは考えていない。
    その事も翁長知事は熟知していて、阻止出来ない事が知事としての失点となる事はないとわかっている。

    辺野古に関しては「反対しながら作らせる」、これが翁長知事の眼目だ。

    結局のところ翁長知事の目的は、日本政府や自民党本部あるいは本土世論の「沖縄との関係性の再構築」にその目的があるのだろう。

    そして、そうした言われぬ思惑の底には自民県連と共通した部分も多々あり、呉越同舟の側面も強いのではないか?

    A:県民投票があるのかないのかわからない。

    市町村長の結果次第でもあるのだろう。
    以下については一つの意見として聞くが、自民党県連内にも様々な意見もあり回答は差し控える。

                                                                                                                                       文責 山路敬介

     

                                                                                                         了

     

     

    2018年2月 2日 (金)

    山路敬介氏寄稿 名護市長選の争点は何か その3

    152

    山路氏寄稿3回目となります。3回の予定でしたが、もう1回延長して次回が完結です。

    タイトルと小見出しはブログ主のものです。 

                                             ~~~~~~ 

                                ■名護市長選の争点はなにか  その3
                                                                                      山路敬介 
     

    承前  

    ■渡具知陣営の士気は上がっている

    Q:高木さん(産経那覇支局長)の記事によれば、自民党の調査で稲嶺市長との支持率の差が6ポイントまで詰め寄っている、としている。
    産経ではないが4ポイントというのもある。これは本当か?

    A:確たる数字は承知していない。 
     

    ただ、早くから10ポイントは切っていると報告を受けている。公示までに5ポイント差以内に追い詰められれば勝機は出て来る。  

    間違いなく手応えは増していて、士気も上がっている。
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    Q:渡具知候補の擁立までの過程だが、二紙を見ていると自民党の候補者選定作業は大分難航したような印象があった 

    報道のように自民党本部が「勝てる候補を」と希求して、「当初は渡具知氏を嫌った」などとの軋轢が生じた場面があったのか?

    A:その報道は私も見たが、事実と違っている。
     

    渡具知候補を推すにあたり、自民党本部が難色を示した事はない。 

    公明党と共同歩調を取れるような候補者が望ましいとの申し入れはあったと思うが、それは県連も前提としていた条件だ。 

    自民党本部に「誰某はいいが、誰某は不可だ」というような介入の仕方はなく、終始、県連の意向が尊重されたかたちでの候補者決定経緯だった。 

    自民党本部の圧力はなかった

    Q:その関連で、これは二紙ではなく本土の報道なのだが、「二階幹事長が県連に圧力をかけ、渡具知氏の主張を曲げさせて公明との接着を図った」という記事が複数あった。
    (二紙においても、二階幹事長という部分が自民党本部と変わっただけで、同様の論調も見たが)

    A:さっきも言ったように、「自民党本部からの圧力」と言えるようなものは何もない。
     

    二階氏が来県した時は、官房長官が来県した時と同じように士気を鼓舞するためのシャンシャン大会だった。

    本部の県連への関与の仕方というのは経験上、時代状況によって違うし政権によっても違って来たが、安倍政権になってから非常に緩やかだ。
     

    安倍政権だからどうのと言うわけじゃなく、そういうふうに自民党本部が変わって来たのだろう。 

    公明党は温和で合理的な判断ができる党だ 

    それと、公明党には公明党の事情がある。 

    今年は名護市長選をはじめ県内では各市町村の選挙が目白押しで、公明党としても今後を見据えた場合、自民党と協力しなければ戦えないという判断もあった。 

    公明党支持者というのは共産党や社民党支持者と違い円満だし、一種の落ち着きがある。一部でも反社会性に振れる事もない。 

    「取り消し訴訟」における司法の判断を整理して合理的に受け入れ、その事で流れも変わったのだと思う。 

    Q:渡具知氏はわりあいはっきりした辺野古移設容認論者だったとの印象があるが、二紙の報道を見るがぎり、選挙のためにこれを封印したかの如く印象づけられている
    渡具知氏は変節したのか?
     

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    もう移転容認論、反対論で括ると時計を逆まわししてしまう

    A:すでに県による埋め立て許可は下ろされ、工事は着々と進んでいる。
     

    だから、現時点において移設推進論者とか容認論者とか言う括り方をするのがそもそもおかしいのだし、そうする事で逆に相手の土俵に乗ってしまっている事も考えるべきだ。 

    議論の逆回しだ。 

    さっきも言ったが、辺野古移設を決める場合の決定権は既に名護市にはなく、意見を言う
    機会はあったが、すでに同意されていて決着が着いている。
     

    沖縄側の最後の判断が仲井眞知事がなした「埋め立て承認」であり、それに疑義を呈した翁長知事は「取り消し訴訟」で完敗した。 

    それでもまた別の角度から裁判をやろうという中で、どう大目にみても「その結果次第」という事だろう。 

    だから渡具知氏も「裁判の結果で」と言っている。 

                                                                                               (続く)

     

     

    2018年2月 1日 (木)

    山路敬介氏寄稿 名護市長選の争点は何か その2

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    山路氏寄稿の2回目です。 

    タイトルと小見出しはブログ主のものです。 

                                    ~~~~~~ 

                                ■名護市長選の争点はなにか  その2
                                                                                      山路敬介 

     

    承前  

    借入を原資にしてまで歳入拡大を主張する稲嶺市政 

    Q:28年度、名護市は30億円以上の起債(借金)をし、これも帳簿上の歳入に組み
    込まれている
     

    借金まで含めたかたちで自身の実績としての「財政の拡大」と称するのはおかしいのではないか?と批判を浴びると、「他の自治体と比して財政健全化率は高い」と言って論点をずらす。

    言うまでもなく批判の中身は借金をした事自体にあるのではなく、借金をして歳入を大きく見せかけようとした点にある。
     

    しかし一方では、「市の預金(基金積立金)は増えている」と胸を張る。そもそも預金がふえるなら、借金はいらないハズだ。

    借金を歳入拡大を見せかかるための原資とし、一方で「再編協力金など不要である」と見せかけるために、市民生活に必要な投資もせずに預金を増やして見せた。
     
    まるで、国威を維持するために見せかけの外貨準備高を増やす目的で、外国からの借
    >入金を増やし続ける中国共産党のやり方とウリ二つだ。
     

    ■争点は経済政策だ

    A:名護市に財政拡大の実質はない。
     

    「市民にどう見えるか」という事だけを考えて作った数字だろう。しかし、念が入っている。 

    必要なのは名護市全体の経済の底上げであって、民間経済の活性化だ。 

    革新首長になると何処でもそうだと思うが、また常にそうなのだが、市民が自助努力によって豊かになる機会を削ぐのだ。 

    「資本主義を理解していない」という程度ではなく、本質的に資本主義を嫌悪しているからだろうと考えもする。 

    だから焦点は「経済政策」で、そこが名護市長選の争点なのだ。 

    もう「辺野古反対」云々を主張する時期は過ぎた。 

    辺野古は経過的にも既に名護市がどうこう言うマターではないのだし、県がまた新たな訴訟を提議した。 

    辺野古移設を反対する市民の気持ちもわかるが、県が訴訟による解決の道を選んだ以上、名護市にやれる事はもうない。 

    そうであれば、「辺野古反対」は名護市長選の争点には成り得ないという事だ。 

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    Q:稲嶺氏は「パンダを誘致する」と言っている。
    このような公約の根源は「まず中国側からの提案があったものだ」と言う人もいるが?
    いうまでもなくパンダは中国の「生きる外交戦略物資」だ。
     
    A:翁長知事=稲嶺市長のラインでは、外務省を通さずともパンダを誘致する手はずがつくのだろう。
     

    中国側からの発案かどうかはわからないが、そんな事もないだろうと思う。 

    けれど大事な事は、つがいで年6億円とも言われるレンタル料や維持費が採算に乗るのかどうかだろう。 

    ペイしないからといって、一年や二年で中国に突っ返すというワケにはいかない。そうすれば国際問題になる。 

    選挙目当てで計画も議論もなく決定されたパンダ誘致

    渡具知氏は「パンダ誘致」を頭から否定しているものではないと承知しているが、稲嶺知事の提案の方法がすこぶる悪い。 現職の市長としての則を超えている。

    >稲嶺氏は新人候補ではなく現職なのだから、まず採算面を含めた誘致計画をたてて、それを議会に図って政策を実現する道が取れるのだ。
     

    にもかかわらず、わざわざ選挙戦に当てるような発案の仕方は市長の立場を有する者のする事とは思えず、人気取りの「付け焼刃的政策」としか受け取られない。

    実際のところ、稲嶺市長の核心的支持者の間でもこの件は評判が悪い。
     

    それでも黙っているのは、100%選挙用の宣伝だと理解しているからで、後から潰されるのは目に見えている。

    Q:稲嶺市長は「鉄軌道導入」も公約としているが?

    A:これこそお笑い草だ。鉄軌道の導入は我々自民党の悲願だ。 仲井眞前知事もそうだった。

    しかし、初期投資が莫大的すぎて現状では50年かけても採算ラインに乗らないのだ。

    実現のためには、この初期投資の大部分を国に頼るしかないが、対立関係の中で政府が話に乗るはずもない。

    政府がこの話に乗る時というのは信頼関係以外にも、北部一体の開発計画とセットで示す事が必須で、そうでなければ説得力がまるでない。

    革新である稲嶺市長にこれが出来ようはずもなく、最初の一歩も踏み出せないだろう。

                                                                                                (続く)

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