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三浦瑠璃氏のスリーパー・セル発言について

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コメント欄でふゆみさんと「かつて」さんが議論していたスリーパー・セルについて、かつて記事化したことのある者として、少し書くことにします。 

かつて「スリーパー・セルはそこにいる」といういささか刺激的タイトルでアップしたことがありますが、この数日異常な訪問数があったので何事かと思っていましたが、そうか三浦瑠璃氏の発言があったんですね。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-bc8f.html

三浦氏の発言は、このようなものだったそうです。

「三浦 実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルといわれて、もう指導者が死んだ、っていうのが分かったら、一切外部との連絡を絶って、都市で動き始める、スリーパーセルというのが活動される、活動すると言われている。
同席者 普段眠っている、その暗殺部隊みたいのが・・・
三浦 テロリスト分子がいるわけです。それがソウルでも、東京でも、勿論大阪でも。いま結構大阪がヤバいって言われていて。
同席者 潜んでいるって事ですか?
三浦 潜んでます。というのは、あの、いざというときにその最後のバックアップですよ。
そうしたら首都を攻撃するよりかは、正直他の大都市が狙われる可能性もあるので。東京じゃないからという風に安心はできない。というのがあるので、正直我々としては核だろうがなんだろうが戦争して欲しくないですよ、アメリカと」

これについて複数の批判があるようです。

Miura1660x322三浦瑠璃氏

池田信夫氏の「アゴラ」の短い論評を読みましたが、特にスリーパセルについて述べたものではなく、「(金)政権が倒れたら戦争になり、工作員なんてたいした脅威ではない」という短い論評に止まっています。

これはこれは池田氏とも思えない、現代戦争の非対象性を無視した書きようです。

現代における戦争は、戦場だけで行われません。

戦争が市民社会のなかにもテロという形で持ち込まれて、かなりの時間が経過してます。

ましてやパルチザン国家を自認する北朝鮮が、朝鮮有事における最大の策源地であるわが国を後方攪乱の埒外に置くと考えるほうがナイーブです。

むしろ氏は、メディアが北朝鮮危機で一転して右から煽るということを危惧しているようです。
http://agora-web.jp/archives/2031058.html 

池田氏は1930年代の日中戦争突入の時期と現在をアナロジー(類推適用)していますが、その比較の前提が間違っています。 

日米同盟が安全保障の大前提としてある現在と、国際社会を敵に回してしまった30年代とはまったく違います。 

ですから、今のメディアのうすら甘い左翼体質は、団塊の世代中心の経営上層部が入れ替わらない限り、いやそれでもなお、変わらないと思います。

Photo古谷経衡氏

さて古谷経衡氏の噛み付きが、とりあえずもっともスリーパー・セルについて論及しているようなのでこれをとりあげます。 

古谷氏はバランスのとれたことを論じる人で、氏自身もバイアスがかかった物言いが嫌いなようで何冊か書いています。

常識的、現実的であることを大事にする点、私と共通していますが、今回はどうでしょうか。 

古谷氏の批判は「広がる「工作員妄想」~三浦瑠麗氏発言の背景~」として読むことができます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20180213-00081557/ 

古谷氏は三浦氏を「工作員妄想」でバッサリ切り捨てています。

「北朝鮮の特殊工作員が常に日本の大都市部に潜んでいて、有事の際には事前の想定通り、独自に日本で破壊活動を行う・・・というある種の観念は、小泉訪朝に揺れた、ゼロ年代中盤におけるネット右翼の典型的対北朝鮮工作員観をトレースしたモノで、これを私は「工作員妄想」と名付けている。」

う~ん、古谷氏は根本的に勘違いしていますね。

スリーパー・セルは、いわゆるネットスラングの「特亜の工作員」とは別次元のものです。

この「工作員」という表現は、ゼノフォビア(異民族嫌悪)の亜種だと私は思っていますが、それと三浦氏が指摘したスリーパー・セルはまったく違います。

三浦氏があえてスリーパー・セルという国際的に認知されている用言を使った意味を、古谷氏は見落としています。

おそらく三浦氏は(私もそうですが)、「特亜の工作員」レベルの発言と混同されたくなかったのではないかと思います。

古谷氏は、言ってもいないことや、発言したことを歪めて批判対象にするストローマン論法に陥ってしまっています。
ストローマン - Wikipedia 

今回の三浦氏の言説について「在日差別だ」というお定まりの批判もあるようですが、違うと思います。

たしかに三浦氏はテレビ空間の通俗性の気安さのためか、俗耳に入りやすい表現をとってしまったのは失敗でした。

とくに「大阪が危ないといわれている」などという具体的な都市名は、無責任に言うべきではありませんでした。

このような在日朝鮮人・韓国人が多い地域を明示すれば、必ず「在日差別」という範疇の批判に遭遇するのは目に見えています。

現に古谷氏からも、「これは大阪外から勝手に大阪のイメージを逞しくした妄想の一種であり、実際に大阪は犯罪者や工作員が隠れるのに適した無法地帯、警察権力の空白地帯では当然無い」(前掲)という、それ自体は正しい批判を受けることになります。

また同席者が「暗殺部隊」ということを言ったことは、ただちに修正するべきでした。スリーパー・セルは、イコール要人暗殺部隊ではありません。

暗殺行為も含みますが、むしろ米国で明らかになったソ連のスリーパー・セルの攻撃対象は、通信・交通・エネルギー・軍事インフラなどへの攻撃でした。

これはいわゆる後方攪乱と呼ばれるもので、暗殺は従の任務でしかありません。

前掲記事で私はこう書いています。

名指しは避けたいのですが、朝鮮総連はかつて拉致事件において「土台人」と呼ばれる彼らの組織リソースを提供したことが分かっています。
北朝鮮が日本国内にスリーパー・セルを埋め込もうと考えた場合、この総連系リソースを使わないと考える方が不自然です。
ただし、これは裏をとりようがない憶測だとお断りしますし、在日朝鮮人・韓国人一般をそのような眼で見るべきではありません」

ここにも書いたように、仮に北朝鮮がスリーパー・セルを埋伏させているとしても、それは一般人には裏をとりようがないことなのです。

古谷氏が三浦氏を「工作員妄想」と決めつける根拠は、公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」(平29年)の、”金正恩党委員長への忠誠強化と組織の活性化に取り組む朝鮮総聯”をという部分のようです。

「(公安は)朝鮮総連内部の詳しい動きに逐一目を光らせている。とすると、「ソウル、東京、特に大阪がヤバイ」と三浦氏が断定したスリーパーセルなる特殊工作員の存在も、国際政治学者たる三浦氏が公の場で堂々と発言する位の水準で知っているのだから当然、公安の報告書の中にさらなる詳細記事があると思うのが妥当だが、公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊工作員や活動家の記述は一切存在していない」

困りましたね。古谷氏は「公安」の組織体質を理解していません。

公安がスーパー・セルの存在について、不用意な記述を公的な文書に載せることはありえません。

なぜなら、日本にスパイ防止法がない以上、彼らがなにか法律に触れるような具体的破壊活動をとらない限り一切手出しができないからです。

いや仮にそのような法律があったとしても、スリーパー・セルを公安が追跡してマークしていることが露顕する可能性がわずかでもあれば、沈黙して一般刑事事件で処理してしまいます。

公安警察は刑事警察と違って、大きな枠組みの中で反国家犯罪を抑止するために存在しています。

ですから、監視対象者の背後関係を突き止め、その意図や組織構造・人脈・資金源を暴くことが主任務であって、逮捕そのものには重点を置いていません。

ある極左の監視対象者が犯罪を犯して刑事警察が逮捕状を取ったところ、公安警察から「こいつは公安のマルタイだから手をだすな」とストップがかかったという話もまことしやかに伝わっているほどです。

したがって、国民が目にする白書の類にスリーパー・セルを載せるはずがないではありませんか。

というわけで、スリーパー・セルが存在するのか、しないのかについて決定的なことを言うことはできません。

ただ私は欧米の現実から見ていて、存在していてもまったく不思議ではなく、相当の蓋然性であるだろうと推測しているだけです。

そして三浦氏が朝鮮半島有事と連動して、これに警鐘を鳴らしたことは正当に評価されるべきだと思います。

 

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コメント

公安とは警察内部でも秘密主義であり、重要な情報は他部門の身内にも漏らさないため、不信感すら持たれていると現職の警察官は言っていました。
まあ、「公安警察が●●と言っている。」、「公安警察は●●はないと言っている。」という話が出たら話半分かそれ以下、都市伝説程度で考えた方がよいでしょうね。

津田大介氏といえば、12日に辺野古で見かけました。
休日で人のいないテントで、僅かに居る反対派に話を聞いていましたが、一般市民や辺野古区民には話を聞いたのか、キチンとニュートラルな立場で話を聞けるのか不信感を持ちました。

投稿: ゆき | 2018年2月14日 (水) 07時11分

個人的には古谷氏はほとんど評価していません。大体の発言がヤマ勘と個人の感覚に基づいているように思えます。

一方の三浦氏も専門家としては底が浅いので評価はしていませんが、まだ多少マシだと思います。

まあ、2人とも言論人というよりテレビタレントですしね。

そのうえでいえば今回は古谷氏の完敗でしょう。ピントはずれすぎですよ。

投稿: ednakano | 2018年2月14日 (水) 08時50分

すいませーん。ゆきさん。津田大介氏のはくだらないんでカットしちゃいました。

ednakanoさん。三浦氏は最近テレビに出すぎですが、しっかりした国際政治学者ですよ。テレビタレントはちょっと気の毒。
美人なのでかえって色物扱いにされています。

投稿: 管理人 | 2018年2月14日 (水) 10時25分

今日の記事はアゴラに全文転載されるべきでしょう。
それでこそ「言論アリーナ」ってもんです。(笑)

池田氏の懸念は「歴史の学習」としては面白いが、ナンセンスにしか思えません。

当時のような条件や環境が今日の日本で現出する可能性はなく、読者の情報ソースも多様化する中で、「戦争の推進」に類するような馬鹿げた論調が新聞の販売部数を伸ばす事につながるはずがありません。

新聞社側の内部事情も全然異なり、反戦至上主義に没した主流派記者連中は、かねて「経営と言論の分離」こそ、社内的主要命題としてきました。
朝毎や東京・共同などの主要新聞社がするその言論は、もはや社主や株主のものではないです。
ですから部数拡大なんぞのために、論調が180度転換することも有り得ないし、叩きやすい「アメリカの非」を打ち鳴らし続ける事がせいぜいです。

 
また、私は古谷経衡氏の著書の哲学解釈の部分や人間理解にしても、どう読んでも旧態然としたペンクラブ的な底の浅い論考しか見当たらず、その点はブログ主様と評価を異にします。著書はともかく、方々で書き散らす記事で伺えるこの人の問題点は、その立ち位置からしてネトウヨを悪魔化するあまり、その反対勢力に容易に組みしてしまう事にあると考えています。
ですが、「スリーパーセルを局所理解しかしていない」というブログ主様の指摘には全く同意です。


三浦氏発言問題で最も重要なのは三浦氏がつぶやくように、「この程度の発言が批判されるなら、日本はいつまでたっても安全保障問題を語れない」という点です。

三浦氏発言への批判は、おしなべて在日朝鮮人への人権問題に抵触すると考える人たちからの意見です。
ですが、三浦氏は「在日はスリーパーセルだ」などと言っているワケでは全くありません。

本来、「人権」と「安全保障」は二項対立する問題ではないはずですが、テレビのような公の場では「人権」が肥大的拡大解釈され過ぎて来た為に、「安全保障議論」まで台無しにされている事実をこそ憂うべきです。


投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年2月14日 (水) 13時30分

日本でも戦国の昔から草と言われたスリパーセル(休眠細胞)が存在していましたし、世界各国でも同様な事例は事欠かないと思います。今の日本の中にスリーパーセルが存在しているのは当然のことではないでしょうか?それは日本だけと言う話でなく、全世界的な話だと思います。半島系大陸系だけでなく、いろんな人種のスリーパーセルが存在してると考えるのが常識的だと自分は思います。その全てを公安が把握しているか否かは知りませんが、その存在を一般国民に知らしめることは絶対ないと言うのは、また至極当然です。
ネットや限られた空間での話でなく、テレビと言う空間での発言だから、これほど炎上しているだけで、内容そのものは、なんということはないと自分は思います。

投稿: 一宮崎人 | 2018年2月14日 (水) 16時00分

>かつて日本をミスリードした主役は、今のワイドショーのような新聞だった。
短い中に不同意の部分もある池田氏の記事の中で、この最後の一文が示唆の光を放つと私は読みました。
今ミスリードの主役を張るのはテレビです。そして新聞社と紐付けされています。儲けの主体は部数の伸びではなく、特集番組でのスポンサー料です。新聞はデジタル記事の配信や権威づけとして使い道があります。

かつてさんとの昨日やりとりのように、ネット環境がある人達には効果が薄いと思います。友達連絡line ではないSNSをやっているかどうかで更にぱっきり別れるのではないでしょうか。

ドラマは予約録画して結構観る+パソコンは持っていなくてスマホでは友達とlineやメール、好きなジャンルのネット記事を時々読むだけ、それ以上の情報はテレビをつける。
テレビと新聞だけを情報源とする人数に、↑この案外中年層に多いグループを足すと、あと5年位は随分大勢であり、一笑に付すよりは1つ石を置いておきたいと考えておりました。

今回三浦氏がテレビで言及した経緯は局外に出るかどうか分かりませんが、ある程度の話題になりそれでどれくらい数字が取れるのか。視聴者にとってはそんなことより内容自体の是非を闊達に正確にとしか願わないのですが、右で何%取れてスポンサーつくのかだけ彼等はみています。

投稿: ふゆみ | 2018年2月14日 (水) 17時47分

三浦氏のツイートの「正直、このレベルの発言が難しいなら、この国でまともな安保論議は不可能」は的を射た発言だと思います

投稿: 中華三振 | 2018年2月14日 (水) 20時30分

徴兵制があり各家庭に銃をおくスイスのような国なら
スリーパーセルはあまり恐くない存在かも知れませんが、
兵役の経験もなく銃も扱えないケンポー第9条の化身の
ような私達がいる国では、彼等は結構強いと思いますわ。

当然のこと、それなりの人数が潜んでいるのは確実だし、
実際モンダイ、有事には事実上の更衣兵と民間人の区別
がつかないのはガチです。「人権ガー」なんて言ってると、
殺されかねないです。パニックになると関東大震災の時の
(民間)朝鮮人虐殺が又繰り返されるかも知れませんわ。

私はヴィジュアル系なせいか三浦さんのヒイキです。彼女
がサヨク脳にボロクソ言われるのを覚悟して、近いうちに
現実化するかも知れない重要な課題を示してくれたことに
は「さすが、三浦の姉御だ!」と感謝したいです。

コラ!霞が関の事ナカレ役人ども!姉御によって提示され
たぞ、いざその時知りませんでした、では済まさんぞー


大阪は戦前、東京より経済力があるくらいで、実質的に大陸
・半島への玄関でした。なので旧朝鮮系日本人もゴッタ返
していた歴史があります。現在でもアジア系の観光客が押し
寄せています。姉御がそんな大阪を名指ししたとしても、
「大阪や言うて、なにが悪いねん?」ですわ。

投稿: アホンダラ1号 | 2018年2月14日 (水) 23時14分

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