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チョ・ミョンギュン統一相の動きを見ると、韓国政府の思惑が理解できます

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一昨日、ペンス副大統領となんとしてでも会談をもたせたかったムンの願いも虚しく、米側はおろか、北朝鮮側にも拒否されていたことが分かって一部で大騒ぎになりました。 

それを伝える産経(2月22日)です。

「【ソウル=名村隆寛】韓国で設定されていたペンス米副大統領との会談を結果的に拒否し、表向きは米国との対話を拒絶してきた北朝鮮だが、実際は米国との接触を自ら求めていたことが明らかになった。
 北朝鮮外務省局長は北朝鮮代表団の訪韓2日前の7日、朝鮮中央通信の質問に対し、平昌五輪を機にした韓国訪問期間に「米国と会う意向はない」と明言。「わが方は米国に対話を物乞いしたことはなく、今後も同じだ」とまで断言していた。
 米国との対話を拒み、五輪を「政治的に利用しない」(同局長)とまで強がっていたにもかかわらず、本音では米国側との会談を切望していたわけだ」

昨日22日のニッポン放送朝ラジで、佐藤優氏が「これは私もハズしました」と驚いていましたね。 

キャスターの高島某が驚くのはいたしかたないとしても、私は「知の巨人」が驚いたことに驚きました。 

私も紹介しましたが、朝日新聞・牧野愛博記者は既に2月19日に速報を出していますが、佐藤氏はお読みにならなかったようです。
http://diamond.jp/articles/-/160285
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/post-0b90.html

「北朝鮮側も米国との会談に関心を示さなかった。情報関係筋によれば、北朝鮮も米側に嫌われていることは9日の行事から感じており、「自尊心を傷つけられた」という」(牧野前掲)

この「自尊心を傷つけられた」という見方は、韓国政府当局者のものでしょうが、いかにもいかにものコリア風表現で微苦笑してしまいます。 

韓国政府を籠絡し、世界に雪解けムードを演出したのだから、深追いはしないということのようで、ヨジョンというゴールドカードの「自尊心」を傷つける可能性があることは一切しないということのようです。 

産経名村記者が伝えるように、当初から北朝鮮は「物乞いはしない」(前掲)という態度を明確にしており、ペンスも安倍氏と詳細な打ち合わせをしていました。 

菅官房長官の弁です。

「安倍晋三首相とペンス副大統領は十分な時間をかけて、訪韓する北朝鮮代表団への対応などについて綿密にすりあわせを行い、必要な情報共有はしている」と強調し、事前に米国から情報がもたらされていたことを示唆した」(産経前掲)

さて、2月10日、青瓦台でヨジョンとの会談に臨んだのは、牧野氏の記事によれば、この5名でした。

「文大統領のほか、趙明均統一相、徐薫国家情報院長、任鍾晳大統領秘書室長、鄭義溶国家安保室長の計5人だった」(牧野前掲)

これがムンのいわば「北朝鮮対応ファイブ」です。韓国外交部を通さず、彼らは大統領直轄で動いています。

米側と接触する時には、「この内容は外交部に伏せておいてほしい」という要望を出して、米国を呆れさせたこともあります。

2趙明均統一相

チョ・ミョンギュン(趙明均)統一相は、イ・ジョンソク(任鍾晳)秘書室長と並ぶ対北融和派の筆頭格の人物で、かねてから北の五輪参加を積極推進していた人物です。
任鍾晳 - Wikipedia

なお、大統領の右腕と称されるイ・ジョンソクは学生時代には全大協(≒日本の全学連)議長として越北し逮捕という経歴の持ち主で、確信犯的な主体主義者と見られています。

それはさておき、流れでこのチョの言動をみてみましょう。

2017年11月17日付朝鮮日報です。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/11/27/2017112703026.html

まずは北朝鮮兵士亡命事件の折のものです。

Photo2017年11月13日北朝鮮兵士亡命事件https://www.jiji.com/jc/d4?p=dmz118&d=d4_bb

「【ソウル聯合ニュース】韓国統一部の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は27日、南北間の偶発的な軍事衝突の防止に向け連絡チャンネルを確保することが急務だとの考えを示した。
ソウルで開かれた平和財団創立13周年記念シンポジウムに祝辞を寄せ、「先ごろ板門店で起きた(北朝鮮兵士の韓国亡命)事件を機に、その必要性をあらためて痛感した」と述べた」

同時期にチョは、ロイターにこう語っています。
https://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-southkorea-minister-idJPKBN1DS0RA

「[ソウル 28日 ロイター] - 韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は28日、北朝鮮が1年以内に核開発プログラムの完了を宣言する可能性を指摘した」

そして、北の五輪参加を目指すと発言しています。

政府はいつでも北の平昌冬季五輪参加を歓迎する。国際機関と協力しながら北の参加に必要な支援を行う準備もできている」と強調した
(朝鮮日報2017年11月17日)

また同時期に、チョ自身ではないでしょうが、ピョンヤンで韓国政府関係者が北と秘密交渉をしていたことも明らかになっています。

この秘密交渉が、北の五輪参加と南北会談にあったとは明らかで、秘密交渉からわずか数十日後の2018年1月9日、南北高官級会談が開かれます。

Photo_21月9日、南北高官級会談

そして「南北統一」五輪が開かれ、ヨジョンとキム・ヨンナムといった北代表団と直接会談を持つことになります。

U_l2018年2月10日韓国大統領府 AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3161944?pid=19799930

この流れの中で、チョは北に核を捨てさせるという発言を一回もしていません。

むしろ、きわめて早い時期に北が核を完成させるだろうと言いながら、北と南北ホットラインを結ぼうと主張しています。

これは、チョが少なくとも核保有国となった北と平和共存し得ると考えているか、あるいはその「先」も念頭に置いているかのいずれかです。

「先」とは、ムンが全代協活動家だった頃からの持論であり、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時における大統領秘書室長時代の「高麗連邦」制への移行であるとことはいうまでもありません。

なおこのムンの主張は、キム・イルソンの「高麗民主連邦共和国」構想のまんまパクリにすぎません。

朝鮮半島における「1国家2体制2政府」を想定し、南北の地方政府がそれぞれ国防、外交権を持つ構想で、地方政府の上位に連邦国家の中央政府が位置するとういう建て付けになっています。
高麗民主連邦共和国 - Wikipedia

とまぁ今は、このような麗しきユートピアへの流れを現実のものとしたいと熱望するムン政権と、「そう簡単に米朝会談をするものか、さらにお前らの掛け金を高くしてやるぞ」と考える北との揉み合いの時期のようです。

佐藤優氏はこの番組で米国はやがて裏切るだろうというようなニュアンスでしたが、さてどうなりますか。

 

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コメント

 佐藤氏の見解は半分は正しいと思いました。
つまり、与正は「米国が対話に乗るかどうか瀬踏みをしただけ」で、「それが役割だった」という部分ですね。

しかし、その後の見立ては誤りじゃないですかね。
彼は常に「米国の方こそ対話による解決を希求している」という地点から考えるので、最後は「日本は梯子を外される危険性が大」という結論に必ず結ぶのですね。

むしろ本記事後段にも書かれているように、韓北の綿密で計画的な接着によって現在の状況があるのであり、そこをアメリカが見ていないはずはないし、黙って目をつむるはずもありません。

私は武藤元大使の言うように、韓北がこのような状態を作り出す事こそが、米国の軍事攻撃を現実に近づける事態になっていると思わざるを得ません。

対話の姿勢は必ずしも米国の譲歩を示すものではなく、逆に軍事行動の前段として恣意的に用いられる場合も往々にしてあります。
「対話の決裂」と、「決裂の原因」が事後の開戦責任回避のためのアリバイ作りに最も有効だからです。
(だからこそ北朝鮮は「核所持が前提の対話」にこだわるのです。)

にもかかわらず、北の側から対話をキャンセルするならば、「対話の意思が見られなかった」という口実を米国に与えてしまいます。
しかも、これに韓国が深く加担していた事実が、韓国にも被害をもたらしかねない一応否定されたかに報道された「鼻血作戦」をやりやすく「誘引」する危険性が生じた、と考えます。

韓北は米国を舐めすぎで、逆に米国が「軍事行動を起こさなければ国際社会に示しがつかない」地平に追い込んでいるかのように見えます。

投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年2月23日 (金) 08時36分

平壌に建物2棟だけ残した「韓国戦争北爆の悪夢」…1カ月に3回飛来した「死の白鳥」
http://s.japanese.joins.com/article/810/233810.html
米軍戦略爆撃機の頻繁な出撃は韓国戦争の悪夢を活用した抑制力次元という話だ。

絶対ないとはもちろん言えませんがアメリカが韓国を裏切ったり米韓同盟破棄をすることはかなり非現実的だと思います。韓国に様々な心理戦を仕掛けて防衛や保守の台頭をサポートしているともとれます。また北朝鮮に関してもアメリカの軍事行為はかなり慎重でしょう。日中戦争と朝鮮戦争のどちらを考えても旧ソ連の後方基地攻撃と秘密裏な参戦を考えればロシアと平和条約を結ぶ前に事を起こすのは少々考えにくいと思っています。


金正恩氏、ベトナム戦争の再現目指している…亡命の北朝鮮高官
https://www.google.co.jp/amp/s/www.zakzak.co.jp/soc/amp/171107/soc1711070001-a.html

北朝鮮がアメリカに勝つためにはゲリラ戦しかない。抗日パルチザンで鍛えたゲリラ戦は得意技なわけで、ベトナム戦争にも参戦しています。アメリカにとってもベトナム戦争はトラウマでしょうし。

ミサイルだけではない北朝鮮の攻撃力 実際はどれくらい?
https://www.google.co.jp/amp/news.livedoor.com/lite/article_detail_amp/13716138/
最終的な勝利が望めない「烏合の衆」でも、兵器の老朽化や燃料不足で能力を100パーセント発揮できなくても、朝鮮半島を混乱させて戦争を長引かせることはできる。戦争が長引けば中国軍の介入があるかもしれない。こうなると北朝鮮軍にもチャンスが巡ってくる。

投稿: いろは | 2018年2月23日 (金) 11時41分

https://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-idJPKCN1G6026?il=0
文大統領が右手を上げて僕大丈夫だよんと微笑んでいます。怖いです。
ニューズウィーク日本版にも平昌五輪外交の主役は文大統領の韓国!というものすごい提灯記事が出ましたね。こんなの記名で世界に出すんだ。いや、日本版だけかな。

この出鱈目な破綻さ加減を北も米も最大限利用して、結局は力が大きな米が戦禍やむなしに国際基調をずらしていくのではと私も思います。

投稿: ふゆみ | 2018年2月23日 (金) 14時03分

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