ムンジェインの三跪九叩頭外交
さすがに私、あまりの「らしさ」に感銘を受けております。もちろん、われらがムン・ジェイン大統領閣下のことです。
北朝鮮にとって、なんというコスパのよさでしょう。
北はこの「民族の祭典」にプリンセス・ヨジョンと、なんの決定権もない金永南最高人民会議常任委員長を送っただけで、下写真のように閣下御自ら三跪九叩頭の礼をとってくれるのですから。
さんききゅうこうとう三跪九叩頭の礼 - Wikipedia
産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/news/180209/sty1...
プリンセスの玉座も、ムンを足下に従えるようにして貴賓席中央奥に設置され、いやまったく分かりやすい構図です。
産経新聞http://www.sankei.com/photo/story/expand/180209/st...
閣下、せっかく恍惚となっておられるのに余計なお世話ですが、外交プロトコール上、まがいなりとも一国の元首であられる閣下が、一段下からプリンセスに握手を賜るのはいかがなものかとおもいますが、ま、いいのか(苦笑)。
国家間外交というのはディグニティ(威厳)が重視されます。いきなりころりと腹みせちゃマズイっしょ。
このように相手を上段に置いてしたから握手をしたのでは、初めから従属、ないしは負けている意志表示ととれてしまいます。
これほどまでに露骨に喜ぶと、このような顔でプリンセスに見下されることになります。
それにしても、生まれてこのかた他人に頭を下げたことのない人物のご尊顔を拝するこができました。ああ、タメになる。
しかしそこはプリンセス。奢ることなく、しっかりとおやさしいお言葉をおかけになっておられます。
「平昌冬季五輪に合わせて訪韓した北朝鮮の三池淵管弦楽団が11日夜、ソウルで公演を開き、金正恩朝鮮労働党委員長の特使として訪韓した妹の金与正党第1副部長が、韓国の文在寅大統領の隣の席で観覧した。
文氏は公演直前に与正氏と面会し、「この出会いの小さな火がたいまつになるよう南北が協力しよう」と述べ、対話・交流の継続、拡大を求めた。
韓国大統領府によると、与正氏は公演に先立ち韓国の任鍾晳・大統領秘書室長が主催した送別夕食会であいさつし「これほど急に来ることになるとは思わなかった。平壌で再びお会いしたい」と述べ、文氏の訪朝を改めて促した」(共同2月11日)
実はこの前の会談でヨジョンは、ムンにこう述べています。
「韓国大統領府が10日発表した。金与正氏は「文大統領と早期に会う用意があります。都合のいいときに来てください」と金正恩氏のメッセージを口頭で伝えた」
(日経2月10日)
「会談では朝鮮半島情勢について意見交換した。文氏は「南北関係発展のためには米朝間の早期対話が必ず必要だ」と強調し、北朝鮮に積極的な対応を促した。韓国大統領府の関係者によると、核問題は話題にならなかった。北朝鮮は米韓合同軍事演習の中止を韓国に要求した可能性がある」(同上)
北との統一国家をライフワークとするムンにとって、正恩から「早期に会う」といわれりゃ、それは天にも昇る心地だったでしょうが、周辺国としては絶句しますね。
いま、南北会談するというならば、テーマはひとつしかないはずです。
「朝鮮半島の非核化」、これ以外ありえないはずで、北のナンバー2を入れた代表団に対して「核武装を即時停止しろ」という以外に何か言うことが別にあるのか、かえって不思議なくらいです。
しかも北への非核化要求は、なにも国連安保理が言っている、米国からも言われた、安倍氏からも釘を押された、中国からも望まれているということではなく、国際社会の総意です。
この会談でムンは「南北関係発展のためには米朝間の早期対話が必ず必要だ」と言っていますがナンセンスです。
米国は核問題以外で、北朝鮮と「対話」などやる気などこれっぽっちもありません。
米国が仮に米朝会談をやるとしても、現状の核開発のフリーズが最低の前提条件であって、米韓合同軍事演習もフリーズするfreeze-freeze方式などありえません。
ま、もっともムンも多少は立場を分かっているとみえて、こうも述べています。
「北朝鮮の招請に文氏は「これから条件を整えて実現していきましょう」と答えた。前向きに応じながらも現時点では首脳会談の環境が整っていないとの認識をにじませた。韓国が南北対話への傾斜を強めることを警戒する日米などに配慮した」(同上)
「条件を整えていく」というのは、この1カ月のスパンで考えた時、ひとつしか思いつきません。
米韓合同軍事演習の拒否です。
ただしムンさん、これは代償が大きいですよ。なぜなら、米国は韓国が米韓同盟を裏切ったと認識しますからね。
アングロサクソンは裏切り者には冷酷です。
したがって、米国はいつ実施するかは分かりませんが、韓国を無視して独力で軍事行動をとる覚悟を決めることになります。
ただしその場合でも、米国側からの米韓同盟の一方的廃棄はないでしょう。
韓国内基地は軍事的策源地として利用価値がありますし、廃棄するなら韓国から手袋を投げさせたほうが有利だからです。
三浦瑠璃氏は、米国が米韓同盟から脱落することを恐れて、予防攻撃はしないだろうと見ていますが、米韓軍事演習すら拒否し北朝鮮と「解決のための対話」をするような韓国は、その時点で身限られているのです。
そもそもムンごときが正恩と会談しても、非核化のヒの字も口にできないに決まっていますから、結果は同じですが。
このようにムンは、中国には三不の誓いを立て主権を放棄し、米国には裏切り者認定一歩前となり、日本とは慰安婦合意で1ミリも動かない関係を作ってしまいました。
その上、今度は北朝鮮と「解決のための対話」ですか。ルーピーですな。
なにも日米の圧力路線に従わないからという意味だけではなく、米中日そして北にもお愛想をしたあげく、ニッチもサッチも首が回らなくなったのですから。
まことにルーピー・ムンは出たとこ勝負の御仁です。
ただひとつ意志強固なのは北朝鮮へのあふれんばかりの愛情、いや尊崇の念だけでしょうか。
かくてムンさんはにこやかに笑いながら、まっしぐらに蟻地獄へと落ちていくのでしたぁぁぁぁぁ(エコーかけてね)。
« 日曜写真館 もうそこまで春なはず | トップページ | ムンとバッハの真冬の笑劇 »
最悪ですね。この大統領が就任したときから懸念されたことではありますが、現実化しようとしています。日米の努力をすべて破壊して回られたのではたまったものではありません。
投稿: あいうえお | 2018年2月12日 (月) 10時29分
北朝鮮は相当に弱ってますね。
ここまでにしたのは「圧力」の効果であり、米軍の軍事力のゆえです。
その効果を一気に抜いて、あるいは「トンビに油揚」状態で搾取して、北朝鮮に実質的な援助の手を差し伸べる事は国際社会の合意に反しているし、日米に対する完全な裏切りです。
それと、三浦氏の見立ては誤っているだろうと思います。
逆に韓国と北朝鮮の接着が軍事攻撃をしやすくする側面を生み出してしまうのでないか、と思えて仕方ないし、米国に対して早期の軍事攻撃の口実を与えてしまうのではないでしょうか。
1994年の金泳三の哀願当時と状況が違い、米国自身が直接に北の核の危機に晒されているのだし、当時の日本の総理は細川護煕氏であって、日韓関係も良かった。
金泳三には先に日本の態度を少なくも曖昧にしておく事にして、クリントンと交渉する知恵がありました。
こう考えていくと、文在寅はソウルの危機より以前に「北朝鮮に対する圧力」そのものを嫌ったのではないか? という疑念が沸いて来てしまいます。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年2月12日 (月) 10時31分
2018年2月11日の「ワイドナショー」(フジテレビ系)の五輪特集での松本人志の発言が「言い得て妙」と話題に。
「だから僕は、本当にこれは平昌オリンピックなのかと、平壌(ピョンヤン)オリンピックじゃないのか、と思っていたんですが――さらに突き詰めて考えたら『文(ムン)ちゃんオリンピック』だよね」
https://www.j-cast.com/2018/02/11321010.html
確かに「自分の思い」を伝えるためにオリンピックをどう利用するかに腐心しているようにみえる。壮大な自爆になりそうだけど。これが選ばれ指し一国の指導者ねぇ。オリンピック終了後はどうなるんだろう。今でもいろいろとひどい状況が漏れ伝わるし、パラリンピックなんてなかったものにされそうで選手があまりにも気の毒です。
投稿: クラッシャー | 2018年2月12日 (月) 12時43分
IOCのバッハ会長がオリンピック閉幕後に北朝鮮に行くようです。韓国の文大統領と一緒に人間の盾にでもなるつもりなのでしょうか。朝鮮半島有事はいよいよ煮詰まってきているようです。
オリンピックの政治利用ではなく、オリンピックで政治をやるようです。最悪の大会になるのかもしれません。
投稿: 九州M | 2018年2月12日 (月) 20時59分
このプリンセスは日本語がたいそう上手だそうで、母が在日韓国朝鮮人だったからだけではなく、誰かがきちんと教えたのではとabema TVで話題になっていました。
一体誰に教わったのか、ぜひ知りたいものですと、元軍人の韓国人出演者がゆっくり喋った時、拉致被害者のことを思い浮かべたのは私だけではないと思います。
娘の知り合いの韓国人の話では、ソウルの一般の人達はあまり悲壮感なく困ったなーと思いながら日常に追われているようです。軍事衝突の有無に関わらず、こういう人達は連邦化で弾圧が始まったら脱出して日本を目指すのではと想像します。
その人達を総連や民団左翼仲間に取り込ませない、脱・恨の日本暮らしパターンをどうやって作るか。
今朝の記事に出てくるようなお国柄とは別個のコリアンの若い世代を日本が感化していく情報戦略が、今年こそ出てくると良いと思います。
投稿: ふゆみ | 2018年2月12日 (月) 21時51分