昨年秋から南北は平壌で秘密交渉を重ねていた
韓国が昨年段階から北朝鮮と秘密接触していたと、朝日(2018年2月18日)が伝えています。
「北朝鮮と韓国、秘密接触を重ねる 昨年、五輪参加協議か
韓国と北朝鮮の両当局者が昨年秋から年末にかけ、少なくとも2回、平壌で接触した。
ソウルの情報関係筋が明らかにした。韓国は基本的に北朝鮮との交流を禁じており、当局者の訪朝は異例。接触を通じ、北朝鮮は平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加と南北対話路線を決めるに至った。米国は南北対話の行方を不安を持って注視しているという。
米国内には韓国の動きに対する不満の声も出ており、ペンス米副大統領が訪韓した際に北朝鮮との接触を拒む事態につながった。
南北の接触は、五輪を契機に関係を改善したい韓国側が求めた。昨年11月以降、中国経由で訪朝し、北朝鮮の五輪参加問題を巡って協議した。北朝鮮は参加の条件として米韓合同軍事演習の中止を求めたという」
これは朝日のスクープで、他の媒体は触れていませんので、追加で情報確認する必要があります。
朝日が書いている「ソウルの情報筋」とは、韓国国家情報院(国情院)だろうと推測できます。
大昔、権勢を誇った時には、その名もKCIAと呼ばれていましたが、文民政府になってからは見るも無残な残骸と化しています。
ムン政権になっては、国家情報院は、「政治への関与など否定的なイメージから脱皮し、積弊との断絶を通し、国家安保と国益を守ることに専念する」として解体の危機にあります。
名称も「対外安保情報院」に代えられ、職務権限から国内の保安情報を剥奪されました。
ムン政権が継続すれば、この対外情報収集についても横やりが入ることは必至で、遠からず事実上の取りつぶしに合うと予想されます。
さて、この朝日の報道が事実なら、ムン政権は北朝鮮との間で、既に半年前後前から細かな戦略について合意済みだということになります。
さもありなんと思わせるのが、この間のムン政権の素早い動きでした。
五輪をダシにして南北会談を開きました。韓国はなすすべもなく屈したと見せて、北の条件を丸飲みします。
そして合意どおり、韓国世論の抵抗を押し切って、北とムンは南北合同チームを作らせます。
北は選手団だけではなく、それを10倍する代表団と美女軍団を送り込み、一気に融和ムードを演出しました。
彼らは板門店から陸路で来ればいいものを、わざわざ入港禁止措置がでているはずの万景峰号で乗り付けるという制裁破りを堂々としますが、もちろん韓国は制止するどころかもみ手せんばかりの歓迎ぶりでした。
あげく、韓国世論は「怖いと思っていたけど、会ってみりゃみんな美人だし、やさしそうだし」とデヘデヘと相好をくずすことになります。
とどめは、プリンセス・ヨジョンをムンと握手させ、ピョンヤンにムンを招待します。
あの奇妙な髪方の兄ちゃんの強面ぶりしか知らなかった韓国民は、またもやへろへろと軟化します。
かくてもはや「五輪の政治利用」なんて生易しいもんじゃなく、政治そのものですが、この音頭取りを他ならぬIOCのバッハ会長がとっているのですから処置なしです。
ちなみに、この南北の五輪の政治ショー化を喜ぶ人たちは、首相が羽生選手に電話したことを「政治利用」などと言っているようですが、まったくもう。
それはともかく、これらの一連の出来事は、今、思えば事前の打ち合わせなくてはできないことでした。
それまで唐突な南北合同チームづくりに反対が多かった韓国世論は、美女軍団とヨジョンの微笑にころっととろかされて、いまや南北会談賛成が7割だそうです(苦笑)。
この打てば響くような南北の融和の茶番劇には、台本があらかじめあったということになります。
当然のこととして、南北は五輪以後に予定されている最大の山場である米韓合同軍事演習をぐだぐだと引き延ばすか、ネグレクトすることでしょう。
それは「北朝鮮は (五輪)参加の条件として米韓合同軍事演習の中止を求めた」(前掲)以上、逆にいえば北が五輪に参加しているわけですから、韓国が南北秘密交渉でこの条件を丸飲みしていたということです。
北はある意味、たいへんに「正直」な国です。五輪期間中であるにもかかわらず、北は「核大国」宣言をしました。
「世界最強の核大国」とは吹いたものですが、まったく核武装の道は不動だということです。
「【12月13日 AFP】(更新)北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が12日の式典で、北朝鮮を「世界最強の核保有国」にすると表明したと伝えた。
最近実施され、北朝鮮が米国に到達可能だとしているミサイルの発射実験に関わった作業員らを前に行った演説で述べた。
金委員長は、北朝鮮は「勝ち誇って前進し、世界最強の核大国、軍事強国として躍進する」と語ったという」
AFPhttp://www.afpbb.com/articles/-/3155168?cx_part=latest&cx_position=20
南北首脳会談は、米国の強い反対を押して開催される可能性が高くなりました。
その場合、米国は力づくで押しとどめることは不可能ですから、会談準備期間まで含めて規模の大小を問わず米国は軍事オプションを取ることが難しくなります。
北が話し合いをすると言っており、なおかつその南北協議の成果が判明しないに関わらず、一方的に先制攻撃をかけた場合、米国の国際的な道義的立場が悪くなるからです。
ですから、ムンか米国の反対などを理由にして、準備期間を引っ張りまくって今年の秋などにもつれこんだ場合、「非核化の道は南北会談しか突破口はない」といった奇妙な期待感が醸成されてしまいます。
日本のメディアは、この「平和のため話し合い」に随喜の涙を流すことでしょう。
米国はその間、打つ手が限られてしまいます。
いや限られるどころか、いまや悪いのは北を追い詰め、南北で話し合って平和を達成しようとしている流れを阻む「戦争勢力」米国ということになります。
弱い北と韓国が助け合って、強大な米国の軍事圧力に健気に抗しているという構図は、コリアお家芸の被害者ぶりっこです。
いったいどこの誰が始めたんだということを忘れて、いつのまにか「大国の横暴に泣くウリナラ」という得意のパターンになっていくかもしれません。
その兆候は今回の田舎芝居で見えました。
こんな立場の逆転を実現できただけでも、正恩からみればなんとコスパのいい謀略だったことでしょうか。
それにつけても、いつの世の中でも一番危険なのは、敵の顔した敵ではなく、味方の顔した敵ですな。
« 日曜写真館 風車のある湖 | トップページ | 米朝の仲人オバさんになろうとして失敗したムン »
国情院の解体だけではなく、軍事統制権の移管も進んでいますね。
要は「統一を阻害するものはことごとく排除」していこう、というのが文政権の方針です。
その点から本丸はやはり「米韓同盟の廃棄」で、文在寅と一心同体と言える文正仁補佐官がすでに「米韓同盟不要論」を唱えています。
「同盟によって望まない戦争に巻き込まれる必要はない」がその理由ですが、本音は統一の前提となる北朝鮮の要望を満たすためです。
ただ、米韓同盟を廃棄する事は文在寅大統領支持層であっても少数派です。
それならば、米国から米韓同盟の廃棄を言い出させれば国民を黙らせる事が可能なワケで、その為の行動が南北会談なり、北との対話継続推進なのでしょう。
だから米国の顔色を見ずに、ガンガン行きます。
米国は北のICBM完成までに北核を諦めさせるか、正恩を排除するしか選択肢はありません。
米国は韓国の協力を得なくとも北を攻撃出来ますが、理論的には韓国が北に宥和政策を取っている間は「米韓同盟」が邪魔して北を攻撃出来ません。
米国は韓国との同盟を解除してでも北に攻撃するかも知れませんが、その場合は韓国民が北朝鮮の人質となります。
そうしたどこかのタイミングで、眠ったフリをしていた中共が仲介に出て来るのでしょう。
米国に中共の責任でICBMの開発凍結を担保する事にして、和解を段取ると思います。
まさに中共にとっては「漁夫の利」で、米国には恩を売れ、日本を孤立させて東アジアの覇権も同時に手に入れる事が出来ます。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年2月19日 (月) 09時29分
文在寅大統領、南北会談にさらに傾斜 世論には警戒論根強く
https://www.google.co.jp/amp/www.sankei.com/world/amp/180213/wor1802130046-a.html
韓国では、北朝鮮の接近攻勢に前のめりになる文政権に、保守派はもちろん、当初は文政権を支持した20、30代の若い世代に強い警戒感が出ている。
韓国ではまだまだ太極旗デモが活発に行われており毎週土曜日にアメリカの国旗とともに左派政権に対するデモが行われています。
同族対決に狂った特大型の挑発者らは無慈悲な懲罰を免れない
http://naenara.com.kp/ja/news/?0+100902
問題は日々熱していく北南和解の雰囲気に不安を覚えたトランプ一味が「脱北者」のくずまで抱えて反共和国「人権」謀略騒動に熱を上げていることと時を同じくして保守団体の乱暴が次々と繰り広げられている_
韓国保守の動きを知るには北朝鮮のメディアを読むのが最も最適でしょうね。残念ながら日本のメディアはほぼ韓国の信用を下げる報道しかしませんので。
朝鮮戦争 知られざる日本の貢献
http://www.zakzak.co.jp/smp/society/politics/news/20130919/plt1309190750000-s.htm
在日米軍兵士などを運ぶ海上輸送でも船舶やその乗員には日本人が多数含まれており_
金日成は朝鮮戦争に負けたのは日本の工作が足りなかったからと言い、日韓離反工作で韓国の信用を貶め、韓国保守の報道を制限し、嫌韓が広まり日韓の連携を強化しようとする総理大臣に反発が広まるのは北朝鮮にとって有利なものと言えます。
北朝鮮の等距離外交は対立(中ソ対立)している隙間に上手く入り込んで支援を引き出してきました。ですので韓国から支援を引き出したいのであれば韓国世論を反米、反日に傾けさせ、日本に嫌韓を広める工作に邁進し、日米韓の連携を徹底的に邪魔するでしょう。
また米韓同盟廃棄論は戦後アメリカが韓国から軍事顧問だけを残し韓国から米軍を撤退させようとしていたことで朝鮮戦争勃発へと進んだことを思いださせるわけですから韓国保守の大きな原動力になっているのかもしれませんね。軍事に関することは全く分かりませんが、アメリカが米軍を撤退させたのは地位協定を結ばなかったイラクくらいなものと認識しており、そう簡単に韓国から撤退するかはちょっと疑問に思えますが…まぁ可能性はゼロではないですよね。
投稿: いろは | 2018年2月19日 (月) 10時42分
>そう簡単に韓国から撤退するかはちょっと疑問に思えますが…まぁ可能性はゼロではないですよね。
撤退じゃなくて米韓同盟廃棄をアメリカが言い出すかはちょっと疑問の間違いでした。
投稿: いろは | 2018年2月19日 (月) 10時56分
ムン韓国政府がやりたいことって、結局は何なのですか?
南北統合・・・って北の独裁者様を倒さない限りは実現できないし、まさか独裁者の下に統合されるなんてありえないでしょう。
まかり間違って独裁者様が政権を放り投げてしまって本当に統一できたとしたら、今度は北の国民たちとの経済格差をどう解決するのか。南北の貧富の差なんて東西ドイツ統一よりも悲惨な状態でしょうし、経済政策に失敗したら政権はつぶれますよ。
そもそも、南北統一って本気で韓国国民は願っているのでしょうか?
日本の反戦平和、護憲みたいなもので、出来ないとわかってるからこそ、自分が政権を取るためには国民感情に訴えやすいものを利用する!ってだけなんでしょうかね。
韓国も民主主義国家であるわけで、正当な選挙で選ばれた国民の代表が国の方針を決めているわけですから、独裁国家や共産党一党支配国家の下に組み込まれることはないと信じてるんですけどね。
とにかく、韓国って国はよくわかりません。
投稿: ひこ~ | 2018年2月19日 (月) 16時58分
韓国大統領府は誤報だと言ってますが、どっちが正かは藪の中ですね。
http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2018021900946
猫の目のように目まぐるしい米韓朝の関係を日米離反の糧にさせてしまうのが日本にとっての一番の損失だと思います。
損失に喜ぶのは勿論中国ですね。
最近の子どもはドッヂボールを1球でなく2〜4球で目まぐるしくやったりするのですが、ほんとアレみたいです。1球投げた相手から飛んでくる訳でなくあらぬ横や後ろから回った球が飛んでくる。かわして逃げてる間にいつのまにか陣内最後の一人になってたり。
投稿: ふゆみ | 2018年2月19日 (月) 17時20分
ひこ〜さんと同じで私も韓国の人達がどのような国にしたいのか、よくわかりません。慰安婦だ、何だかんだと言って、日本に反発するのは、まぁ仕方ないとして、だからといって今の北朝鮮と一緒になる方がいい、なんて気持ちは本当にあるのでしょうか?
そこが最大のナゾなんですね。“敵の敵は味方”だとしても、あの独裁国家で70年にもなる北朝鮮を味方、とどう考えても思えません。民主主義のその先に共産主義がある、なんて思える人は、根っからの共産主義者だけのはずです。今の韓国にそんなに多いとは思えません。何か重大な勘違いをしているのでしょうか?
投稿: 九州M | 2018年2月19日 (月) 17時31分
ひこ~さん、九州Mさん、
南北統一というのは韓国民にとって、常に「善」(道徳的正しさ)なんですね。
「韓国に何らの責任なく、民族が分断された」という視野狭窄的解釈しか出来ず、世界もほぼこれを受け入れて来たからですね。
南北統一を「正しいかどうか?」で考えれば、答えは「今は正しくない」のですが、普遍の真理たる「善」の前では「統一反対」を言えるメディアも国会議員も少ないのです。
「善」(現在は「恨」の慰謝も含む)は常に「正」の前に来るのが朝鮮半島の伝統的思考形態でして、不合理ではあります。
「正」と「善」は常に合致するわけではないのですが、韓国では「善」の前に何者も立ちはだかる事は出来ず、それを実現する事が天から与えられた為政者たる者の使命なのですね。
(「辺野古反対」が華やかなりしころの沖縄にも、その傾向があったと思います。)
文在寅ら親北主義者らは、そこを利用してこそ売国的政策を次々に繰り出せるんでしょう。
あと、統一のためだけではなく、絶対的平和思想の誤謬も当然そこに絡まってますね。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2018年2月19日 (月) 20時10分
アメリカが日本を見捨てる可能性が出て来ましたね。
韓国政府の動向よりアメリカ政府の動きを観察分析する方に興味があります。
やはり米国第一主義のトランプさんにとって、北朝鮮は米国にむけた核兵器さえ作らなければ、放置するっていう主義かもしれません。
やることはやった。戦争は、国民がゆるさねーからできねーな。って感じになりそうです。
米国は米国本土まで撤退できますが、日本はそうはいきません。
韓国は望んで北朝鮮の支配下になりたいのですが、何故韓国がそうなったのか?よくよく分析して、日本も二の舞にならないように、親北勢力は排除するようにすべきだと思います。
思想信条の自由も、国家滅亡の危機に際しては抑制せねばなりません。
投稿: かつて… | 2018年2月19日 (月) 20時31分
何というか、社会のクセというか慣習というのか文化と
いうのか、サル山のサル社会から連綿とつづく人間社会
の特徴は、簡単には変わらなくて少しずつ少しずつ本当
にわずかしか変化していかないのだと思いますわ。
逆にカンタンに変化できるものなら、社会が連続しない
こととなり、そのような人間集団は生き残りという意味
から社会の停滞が引き起こされて不利になるので、伝統
を捨て去る集団は歴史から消えてしまったのでしょう。
保守の意味はここにもあります。
共産主義こそ革命であり、伝統(宗教さえも)を捨て去り、
まったく科学的?に正しい社会にチェンジする運動です
が、それは表向きで、中共はまさしく清王朝の次の共産
党皇帝の納める三千年(四千年でも五千年でもお好きに)
の伝統ある王朝です。朝鮮は中華王朝の舎弟国ですから、
生き残りの為に事大主義を取って、長い物には巻かれろ
式の処世術で今日までやってきました。その為には儒教
を妄信して、三跪九叩さえ苦にはしなかったのかも?
韓国はその意味で、今どこへ向かって頭を打ち付けたら
良いのか?と伝統的な思考をしているだけだと思います。
中共・北朝 vs 米国・日本の天秤、左陣営が共産主義で
なかったら迷わず昔ながらの陣営の方へ。だが自由主義
の方が気楽だし儲かりそうなので、まっ右陣営でいいか
なんて考えてる。こんな火遊びをするから、伝統的には
ヒドイ目に合ってきたのも事実(直近では清vs日本)だけ
ど、クセは治らない。
福沢さん式に韓国抜きで北朝鮮問題にあたった方が、結果
的には良くなると、米国・日本も考え始めているのではと思
いますわ。
核を使って朝鮮の宿痾を治そうとする北の首領様は、その
意味では偉大な朝鮮王ですが、21世紀の独裁国家ではお
話になりませんやね。
投稿: アホンダラ1号 | 2018年2月19日 (月) 22時44分