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2018年2月26日 (月)

韓国の「戦時統制権」から見えるもの

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国政治を眺めていると必ずでてくる用語に、「戦時統制権」という概念があります。 

かねてから、韓国のプライドが許さないから返せ、いやよく考えたら返されたら米軍も撤退されるかもしれないから返さないでくれ。 

ええい、中とって韓国軍人が司令官で米軍人が副司令官の「未来連合司令部」じゃどうだ、なんて韓国はダッチロールしています。 

え、こんな案なんか米軍が呑むわきゃないって、ああ、どうするんだぁぁぁ(エコー)。 

今のように、いつあってもおかしくない朝鮮半島有事がリアルな状況では、ちゃんと押さえておいたほうがいいでしょう。 

まぁ、漠然と「戦時の統制権限」だくらいは分かりますが、どうして韓国軍だけに適用されているのでしょうか? 

はたまた、「戦時」があるなら、「平時」ではどうしているのでしょうか? 

また、日本は無関係なのでしょうか? 

ね、けっこう謎に満ちているでしょう。 

まず、戦時統制権なるものが、米国の同盟国は数あれど、韓国軍だけに適用されているのかといえば、イエスです。 

では誰が「統制」しているのでしょうか。米軍と言いたくなるでしょうが、正確ではありません。 

統制する主語はあくまでも「国連軍」であって、在韓米軍はその権限を継承しただけです。 

ここで、現在の朝鮮半島が、戦争が終結した状態ではなく、延々と続いていて、韓国すらも忘れかかっている節がある「休戦」状態だということを思い出して下さい。 

朝鮮戦争は1950年6月25日午前4時に北朝鮮が一発目の砲撃を開始してから、少なくとも形式的にはまだ終わっていないのです。
朝鮮戦争 - Wikipedia 

国連安保理は、7月7日に「国連軍」を発足させました。これが歴史上最初にしておそらく最後の、「国連」という世界機関が加盟各国に軍隊の提供を求めた多国籍軍です。 

7月25日には東京に国連軍司令部が立ち上がり、あたりまえの顔をしてマッカーサーが最高司令官に納まります。

Photoインチョン(仁川)上陸作戦。1950年9月15日。革ジャンで決め決めなのがマッカーサー。

「国連軍司令部」と名乗っていても、要は日本の戦後処理のためのGHQがそのまま別の看板を掛けただけです。
 

ご承知のように、「国連」も美しい誤訳で、"United Nations"とは連合国のことです。だから日本は「敵国」指定されています。 

それはさておき、16カ国によって構成される「国連軍」といっても、内実は米国以外は100人以下の国が圧倒的で、陸軍の10%、海軍は7%、空軍に至ってはわずか1%でしたから、米軍の代名詞でしかなかったわけです。

途中経過は省きますが、1953年7月27日にパンムンジョム(板門店)で、休戦協定が結ばれて今に至ります。

1978年に米韓連合軍司令部が作られると、そのまま在韓米軍が統制権を継承したのですが、国力がついてくるにしたがって韓国内には「これじゃあ、まるで属国だろう」というプライドがフツフツと沸き上がったわけです。

で、1988~93年のノ・テウ(盧泰愚)政権時代に、韓国は正式に統制権の返還を求め、いちおう返ったことになっています。

ただし、それは「平時」統制権であって、「有事」は別でしたから、米国は本気で韓国を信用していたわけではないのがわかります。

まぁ、うるさいからちょっとなだめただけで、あいかわらず「戦時」統制権という実体のほうは在韓米軍が握っていました。

というか、米軍には戦時統制権、平時統制権という区別自体がないのです。

すると今度は韓国は、「戦時」のほうも返してくれと言い始めたのが昨今です。

米国が今でも「戦時統制権」を握っているのは、有体に言って、韓国を信じていないからです。

まずもって、韓国単独では北朝鮮が本気になったらとてもじゃないが、かなわないと見ています。

まして核ミサイルなどを持った今の北に対しては、なす術なしと考えています。

もうひとつの理由は、韓国をひとりにすると、米国の了解もとらずに勝手に戦争を初めてしまう可能性が残るからです。

というのは、韓国軍は玄武2短距離弾道ミサイルなんてもの騒がせなものをもっているからです。
玄武 (ミサイル) - Wikipedia

2玄武2短距離弾道ミサイル

これは米国が供与しなかったので、どうやらロシアの9K720イスカンダル(←宇宙戦艦ヤマトかって)をスパイに盗ませたものだと言われています。

ちなみに韓国の弾道ミサイル技術は、北と比較して大幅に遅れていますが、今は、日本も保有を検討したばかりの巡航ミサイル玄武3まで持っています。

Missile_2玄武3 http://capricciosoassai.blog51.fc2.com/blog-entry-141.html

2016年にはこの2種類のミサイルを800基、2020年代半ばには2千基もつと、言っています。

現時点では、韓国はこんなことを言っているようです。

「【ソウル聯合ニュース】韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官は12日、米軍から韓国軍への有事作戦統制権の移管について、「時期と条件に合わせて迅速に移管する」と表明した。
 国会の国政監査で述べた。有事作戦統制権の移管は「韓国軍の体質と能力を飛躍的に発展させる機会になる」と強調。「韓国軍主導の戦争遂行能力を備えることで、韓米同盟を相互補完的かつ強固に発展させる」とした」(中央日報2017年10月12日)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/12/2017101201268.html

言って いるのは、土曜の記事にも出たおでこに青筋のソン・ヨンム長官です。

景気のいいお話ですが、こんな勝手に戦争を始められるような敵地攻撃能力をもたせたくないというのが、米国の本音です。

たとえば、玄武を独断でぶッ放してしまったら、自動的に停戦が破られ、在韓米軍までも望まない戦争に巻き込まれることがありえます。

さらに、韓国が本気で戦争したいと考えている仮想敵国は、他ならぬ日本です。

日本は頼まれても二度と韓国と戦争などしたいなどとは思っていませんが、日本をすっぽり射程にするミサイルを持ったら、なにを考えるかわからんん、という危惧が米国にはあるようです。

韓国は激しく左右にブレまくったあげく今のような容共政権すら生み出してしまうのですから、首根っこは押さえておかにゃならんということです。

ちなみに、これは韓国だけではなく、わが国の「敵地攻撃能力」問題にも言えることで、巡航ミサイルや空母を配備をすれば、米国から独立した攻撃能力を持つことになります。

その場合、米国はここでも日米同盟のために巻き込まれる可能性がでてくるわけです。

よく左派の人は「米国の戦争に巻き込まれる」といいますが、現実には逆で、米国が「巻き込まれる」ことをいやがっているのです。

保守派の人たちも、空母だ、核だというならば、このことについて真剣に整理しておく必要があります。

さて、今後ムン政権が戦時統制権を返還することを強く求め、仮に米国がそれを呑んだとした場合、米国が他国の指揮下に入ることは絶対にありえない以上、「未来連合司令部」などといったバッチモンができるはずはありません。

米国は「戦時統制権」だけ手放し、米韓同盟は温存したうえで基地施設は同盟条約に基づいて独自判断で使うということになるでしょう。

もちろん事前協議や通告という枠組みは形式的には残すでしょうが、米国本土が攻撃される可能性が出た場合、ムン政権の頭越しに先制攻撃することはありえます。

そう考えると、韓国は戦時統制権についてトーンダウンするのが賢いとは思いますが、もっとも米国という国はやるときには勝手にやりますから一緒かもしれませんが。

 

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コメント

韓国軍はかつて老朽化した長射程地対空ミサイルナイキ(日本でも訴訟沙汰になったり、米国統治下の那覇での誤発射事故がやたらクローズアップした報道番組が未だにありますね)を勝手に弾道弾化してアメリカの逆鱗に触れた過去がありますしね・・・。

玄武3シリーズともなると、明らかに北朝鮮攻撃だけではなく日本が標的だとしか(あともしかしたら北京もですね)思えない射程距離です。
そりゃアメリカは警戒モードになりますわな。政権次第では佐世保や横須賀に撃ち込んで来る能力が有るわけですから。。

軍事の最低限の基本で「相手の思想ではなく能力に備えよ!」です。
韓国は不思議なことに『未だに戦時中』である北朝鮮ではなく他国(まあ日本ですわな)への牙を磨いているというのが現実です。全く不思議な国ですね。
そうなると、国民保護の為には当然コストを掛けても対抗手段としての防空網を敷かざるを得ません。
もちろん「外交交渉」こそが大前提となりますけど。。

統制権問題は韓国の北朝鮮に対する目標がハッキリしないから悪い。「北朝鮮が侵攻した場合、韓国の最終目標は何かを決めなければならない」と、以前から問われてることです。韓国軍が北朝鮮の攻撃に反撃する場合、北朝鮮軍を非武装地帯まで押し返すことを最終目標とするのか、それとも北朝鮮政府を倒し、南北統一を目指すのか、明確にしろというのが本質です。統制権を返還するなら韓国は国防を強化せざるを得ない。そういう動きはあるようですが、当然経済を圧迫します。だから韓国国民が反対するでしょう。またTPPへの打診でも変更を考えていないと言われたことからみても経済的な事情で統制権返還は現実的に難しいと思います。

また藩基文が過去、作戦統制権返還は「北朝鮮と平和体制の協議をする場合、肯定的な条件になる」と言っていたことを考えると、アメリカも北朝鮮との対話を望んでるってことじゃないですか。前回対話をキャンセルしてきたのは北朝鮮なんですから。

韓国の左派は「「未来連合司令部」などといったバッチモン」が実現可能」、との自己中心的なファンタジー史観を前提に戦時統制権返還を推進してしまうのですから深刻です。

松川るい氏も言ってましたが、戦時統制権の存在は韓国側の暴発を抑える目的で設定され、事実そのように機能して来ました。
また、米韓同盟も韓国の北進を防ぐ目的から発行された米韓軍事協定がその前身であり、同盟に進化した今でも同様の要素を色濃く含んでいます。

とすれば、韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官が言う、「韓国軍の体質と能力を飛躍的に発展させる機会になる」事は米軍の目的に合致していないし、「韓国軍主導の戦争遂行能力を備えることで、韓米同盟を相互補完的かつ強固に発展させる」などとは、オバマ時代までの軍事費削減路線のままの思考停止状態を示していると思われます。

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