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2018年3月20日 (火)

山路敬介氏寄稿 「財務省文書書き換え問題」、私はこう考える その1

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山路敬介氏の寄稿を頂戴いたしました。ありがとうございます。

                                       ~~~~~~~ 

                       ■「財務省文書書き換え問題」、私はこう考える その1
                                                                                    山路 敬介
 
私はこの問題についてはハナから興味がありませんでしたし、今も内閣を揺るがすような「重大な問題」などではありようはずがないと認識しています。
 

この件は、いわば財務省という「コップの中の嵐」に過ぎません。 

そもそも財務省の失態を、そのまま予断をもって政局に結びつけるような今日の馬鹿げた風潮は到底理解が出来ませんし、まるで韓国政界を見ているような気がして嫌気がさします。

ですが、事実として各種調査では内閣支持率は10%程度は下落しており安直にそうも言っておれなくなったし、私の考えも少しは述べておこうと思います。
 

このバカバカしい状況に心底から呆れすぎて、ちゃんとした記事としてまとめる努力が出来そうもなく、皆様には大変読みづらい文章になろうかと思いますがどうかご勘弁下さい。

森友文書問題の捉え方

朝日の3月6日の初出報道以降の「問題のありか」を整理しておくと、まず第一に「書き換えがあったか、なかったか?」であり、第二に内容の点で「書き換え前の文書と、書き換え後の文書にどのような相違点があったか」という事に尽きます。
(そう考える理由は最後まで読んでもらえれば理解して頂けると思います)
 

そこを押さえたうえでの「動機の解明」や、「法的問題点の検証」、「責任の所在」、「再発防止策」等々があるべき順序なのです。

しかし、「書き換えがあった」という事実だけで浮き足立って、ほとんどのマスコミ報道は印象操作を繰り返し、果は扇情的な取り上げ方になっているのは物事の本質を分からなくする危険な行為と言わざるを得ません。 

後で詳しく述べますが、この件はもとより政局に発展するような「疑獄事件」などではなく、少なくも「書き換え問題」での財務省の法的責任を問えるものでもありません。

法的には「改ざん」ではない

しかし斯く言う私も、山口真由氏がテレビで再三述べたように当初は「よもや財務省が決済後の文書を書き換えしている可能性は無いだろう」と考えていましたし、もしそれがあったならば財務省解体に匹敵するような大事件ではないかと考えていました。

ですが、当初の朝日報道にあった部分からは決裁内容を左右するような「重大な書き換え」は伺えず、NHKのHPから70Pもの文書を印刷してざっと確かめてみましたが、決裁そのもの「有効性」に影響を与えるような部分はありませんでした。
 

また、書き換えられた部分からは何ひとつ「新しい事実」の発見や、「変更された事実」の存在を明確に示すものはなにひとつありませんでした。

くわえて、文書そのものが一様に決裁文書に含まれるとはいえ、「書き直し」の大部分は添付付属書類にすぎない部位に集中されているので、結論として決裁権者の裁量の範囲内である可能性が極めて高いものと考えられます。 

少なくも、とても違法性を示す「改ざん」などと言えるような書き換えではない事は明らかです。 

法的にいう「改ざん」を決裁権者の側の財務省が行い得るというのは、それそのものが言語矛盾であって再決裁手順を踏んだ財務省あげての「書き換え」である事が明白になりつつある中で、佐川氏「個人としての改ざん」の線も消えたと思います。 

しかしながら結果的に財務省が公的文書の「公信力」を貶めた事はたしかで、これが密かに隠されて行われた事は、国民の信頼を損なう大問題だと言えます。 

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「書き換え」の動機は、佐川氏のキャリア財務官僚の完璧癖か

佐川氏が中心となって行われた「書き換え」の動機が何であったか、それを私が明確に分かるはずもありませんが、麻生大臣は「自分の国会答弁に合わせた」と言いました。
 

それはそのとおりだと思います。 しかし単純に、それよりも成績優秀で順調な出世を遂げてきた完璧主義者の佐川氏にとって、国会対策以前に前任者の行った決裁内容が杜撰で稚拙すぎて気に食わなかった。 

さらに高踏な佐川氏基準では「裁可水準を満たしていない」と判断したのかも知れません。 

普通に考えて「書き換え前文書」は不出来な代物で、「こんなものを元に国会対応なんか出来るか!」って感じだったのではないかと思います。それほどひどい文書です。 

しかも「書き換え前文書」が決裁されたのは、2016年6月14日で迫田元理財局長の離任数日前です。その点でも佐川氏が我慢ならなかったのも理解できます。 

公的文書の「記録」という観点からしても、また高級公務員の習いとして後日を期して書類をきれいにしておく事、「伝聞が些かでも決裁に影響を与えた」と取られそうな部分も消したかったのだとも思います。

安倍夫人の動静を籠池が語った部分などは記録しただけのもので、元より信ぴょう性も決裁要因としても価値がないものですが、これを公文書として後日に残すことの方が普通では考えられません。
 

国民から見ればそれが「証拠隠滅」のように取られても仕方のない面もありますが、「行政文書として適正化」したという要因も動機として大きいと思います。

そこで、もとより決裁書類の後日の書き換えは想定されておらず、従ってそれを禁止する規定もないところに目をつけて「書き換え」に踏み切ったものと思います。
 

佐川氏が「書き換え」が公的文書の「公信力」を失わしめる結果につながるとは思いもしなかっただろう事は、財務省のキャリアでありながら競売物件に手を染める行為でも「佐川氏らしく」現れていると思います。 

池田信夫氏は「国会答弁に合わせたというよりも、首相答弁に合わせた」、という見立てをする中で、根拠としてそれは「主に昭恵夫人の部分を除く行為に現れている」としています。
(3月16日の国会答弁で太田現理財局長も、その可能性を否定しませんでした)

そう考えるのも一定の合理性がありますし、そういう面もあるでしょう。
 

しかし、池田氏のそこにもある種の「勘ぐりすぎ」な面も入っていると思うのです。 

「「首相答弁を受けて」と仮定すると時期的にも良く合う」と池田氏は述べますが、それは局所的見方であって、変更箇所全体と答弁全体がすべて良く平仄が合っているので、麻生氏の言う事の方がまだ近いと思います。

蛇足ですが、池田氏は別に非常に面白い仮説も立てています。

杉田官房副長官はかなり早くから「書き換え」を知っており、3月2日の朝日報道が予算案の衆議院通過の直後だったことも考え合わせると、種々言うことをきかない財務省に業を煮やして官邸が朝日にリークしたというものです。 

それだと「肉を切らせて骨を断つ」戦法を財務省に対して官邸が使った、と言う事になって大変面白いのですが、果たしてどうでしょう。

結果的に自民党は財務省をひたすら叩く方向に舵を切り、これで財務省は消費税値上げが相当に困難になったと思えるので、全く有り得ない話でもないのかと思います。
 

■「忖度」は、財務省の問題ある組織性と意思決定過程にある

我がかつて敬愛した筆坂秀世氏が3月13日のJBpressの中で、「忖度」についてめずらしく朝日言論人のような綺麗事の建前論を開陳しているので取り上げてみます。
 

文章自体も随所にアヤを配置した、一見さすがに説得力に富むと思わせる巧妙な出来です。

要約すれば、「行政とは、本来的に忖度など入り込む余地がなく」、しかし「実態はそうではなく、「忖度」はある」としています。
 

役所の忖度は「上下関係」から発生し、「どういう場合に役人・官僚が忖度するか」と言えば、「上層部の意向に従う場合」であって、「ここから忖度が生まれる」とします。 

「(部下が正しさを主張するのは)「なかなか出来る事ではなく」、「人事権を握っている人に逆らうには、身を捨てる覚悟がいる」ので、「我が身大事さ」に「不公正と知りながら、捻じ曲げてしまう」のだそうです。

おいおい、「ちょっと待って欲しい」(朝日風)です。
 

ここまでで既に現役・公務員経験者としては、「侮辱」を感じるのではないでしょうか。 

一般化して語られる風は多くの公務員への印象に誤解を与えますし、だいいち話が簡単にすぎます。

公務員は法を執行するのが仕事ですが、前例があればそれに則って執行判断の用は足ります。 
 

しかし事案の状況は様々で案ずる時には上司に相談して方針を決めますが、往々にして上司と解釈をめぐって意見の相違は有り得ます。 

そんなものは避けては通れません。しかし、そこから「「忖度」がどうの~」、とか、いかにもわかったような結論に結びつけるのは間違いです。

部下は「執行すべき法律の解釈」について、より以上に上司の方がその「正しさ」に権限を持っているので結局はその判断に従いますが、「逆らう」とか「人事権を持っているから」などと考えるのはモロに「昭和の人」だと思います。
 

それに役所の忖度も普通の会社のように「上下関係」から生まれるだけじゃありません。専門的能力から生まれる事もあるし、実績から生まれる場合もあります。

筆坂氏の言われるケースでも、現在は市役所レベルさえもそうでしょうが、意思決定の過程のほとんどを様々な方法で記録化しているので、下の者は言うべき事を言い、やるべき事をやりさえすれば無用の責任を被らなくて良いようなシステムになっています。
 

つまり「筆坂風忖度」などしなくて良いようにシステムの方が改変されているのです。

この種の話をするなら、財務省独特の組織性や問題のある意思決定過程を前提として、事実上「法律の最終解釈権」を持つ理財局長の立場にそって議論を進めるべきです。

ここから筆坂氏は、「昭恵夫人が名誉校長だったり、籠池と親密な関係だったりする」と見てとった佐川氏が「忖度」判断して「特例的な扱いをした」とし、その佐川氏もまた「トカゲの尻尾切り」にあって、「巨悪は責任をとろうとしない」と結びます。
 

しかしまぁ、こういう逆下克上的判断というか、「弱者VS強者」あるいは「部下VS上司」、「支配者VS被支配者」的史観から物事を捉える向きには飽き飽きします。

私は、佐川氏が何らかの部分で安倍首相に忖度した可能性を完全には排除しませんが、それが主な原因であろうとも全く考えていません。
 

筆坂氏は9億5千万の価値の土地が1億3千4百万で売られ、その差額がそっくり「忖度」の結果であり(この認識がすでに誤り)、賃貸を含め財務省以外の学校許可の関係まで「忖度」に結びつけようとしますが、これには相当に無理があります。 

それは簡単にいえば、筆坂氏が言うように「悪事はいつか必ずばれる」からです。 

省をあげてこれを隠蔽しようとした事も、「「忖度した」と疑われないようにするため」との考えは私にもありますが、それは逆に「無用の忖度の疑いを持たれる事を予め避けるため」だと思われます。 

したがって、一般大衆の判断力を信頼しないエリート意識の発露こそが墓穴を掘ったと考えたほうが、その「書き換え」を隠蔽する手法の杜撰さを見ればしっくり来ます。

仮に佐川氏が目いっぱい「忖度」したとして、私のようなタイプの人間がもし佐川氏ならば、必ず先方にコンタクトを取り確認しつつ行為したと思いますね。
 

その上で、何らかの意思表示を相手方から貰う手立てを尽くすと思います。 

しかし、それはもう「忖度」ではないし、そのような考えは佐川氏にはなかったと思いますが、基本的に安倍政権なんて財務省から見ればはっきりした「敵」ですから、「忖度」が主たる理由なら苦労した案件に対して反対給付を求める事も有り得たと思うのです。 

「内閣の人事権との関連についてどうの~」、と言う人がいますが、それも関係ないでしょう。 

振るい落とすだけのシステムとしては出来上がっていますが、財務省が容易に大事な人事権を手放すはずもなく、現在人事について実効性のある成果はあがっていません。
(ただ、官僚でも下位の人たちは勘違いしているフシもあるそうですが、それは今回は関係ありません)
 

むしろ政府自民党は今回の事件を奇貨として、人事について口を出せる方向に持っていこうとしているところなのではないでしょうか。 

                                                                                            (続く)

 

 

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コメント

山路様
記事ありがとうございます。興味深く読ませて頂きました。

役人というか事務方は、前例に沿って仕事するものと思っております。
(伝統や風習という意味で)間違いたくないからであり、前例通りに正しくやれば仕事が通りやすい=たくさん仕事をこなせて、評価される、からです。
だから悪しき風習も残りやすいです。

それが表に見えるようになったということは大きな進歩と考えます。見つからなければ正しようがないですから。

続き記事楽しみにお待ちしております。

私も、この件では、改ざんというよりむしろ添削に近いのではと感じます。会社でも、あんなに冗長で寄り道の多い決裁文章書くと、普通は要旨がわかりにくいので簡単にしろと上司に怒られます。

神経質で几帳面な佐川氏であれば、あの決裁文書に不快感をもってもおかしくないと思います。官僚経験者からは、あれは本省に上がるような何案件じゃなく、文書も本章では通用しない書き方だということです。国会で騒がれて本省の目に触れた時に、「なんだこれは」という印象があったのは事実でしょう。

また、太田理財局長が答弁で指摘しているのですが、佐川前理財局長は「予定価格」交渉はしていないという答弁をしている。それを「価格」交渉を一切していないとねつ造報道されたあたりから財務省側も野党やメディアにかなりの反感を感じていると思いますけどね。

  ednakanoさん

≫佐川前理財局長は「予定価格」交渉はしていないという答弁をしている。それを「価格」交渉を一切していないとねつ造報道された」

そうなんですよ。
私が書き忘れた大変良い指摘をして頂いてありがとうございます。
一般で言う「価額交渉」と、法解釈上の「予定価格交渉」は違いますからね。
重要な指摘です。

山路さん。たとえば太田局長の答弁のこの部分なんかですね。

「太田充理財局長
「お答えを申し上げます。あの、今ほどおっしゃられてる、大変申し訳ないことをした時期は、平成29年の2月から下旬から4月にかけて。要すれば、国会で審議をして、その過程で答弁をして、その答弁に誤解を生じさせないようにという風に申し上げました。
で、冒頭、委員からご質問がいただいて、難しい質問だったと思ってるんですが、私は、国会での答弁は大変責任が重いし、ものすごく緊張してると、いう風に正直に申し上げました。あの、人の心の中を全部覗ききることは難しいのかもしれませんが、同じ理財局長として思うに、あの、前局長もそうだったろうと思います。ただ、その話が、そのことが、それをもって決裁文書を書き換えるという方向に進んだのは、それはもう全然方向が間違ってるんで、そういう意味では私は理解できないんですが、その、やっぱり国会の審議をものすごく、ある意味では重く思ってる、それについての対応がものすごく間違った方向に行ってしまってると。そういうことだと思っております」

この太田答弁だと佐川氏が「国会審議を重くおもって」書き換えたというストーリーになるわけです。
更に進めると「誰かを守って」ということになり、その守ったのは麻生大臣という流れです。

今、財務省はトリアージをしているんです。

被害を極限化して、助けようがなくて切り捨てる者は切り捨てて、あらたなストーリーを出そうとしています。

そう見ると、今の局面は野党vs与党ではなく、なんとしてでも安倍政権を倒したい財務省・メディア増税連合vs安倍氏の戦いだと思います。

安倍政権解散・財務省温存・石破政権誕生なら、まちがいなく金融引き締め・財政再建路線に転換し、そして消費増税となだれ込むでしょう。


ほとんど駄々っ子のような野党のPJを相手にする役人が、政治家を腹の中で小ばかにするのも理解できる面はあります(賛同はしませんが)。筋の通った話ができれば、議員と役人という緊張関係にあっても、もう少しお互いを尊重することも、協力することもできるんでしょうけどね。

しかし、こういう議員を選んでしまう有権者のレベルや、報道機関のインチキを見破れない視聴者という意味では、日本人の責任でもあるんでしょうね。

もう一つ思うことは、現政権が憲法改正の他に電波法改正も手掛けようとしていることで、メディアの報道は相当偏向するので、ここしばらくはいつもに増してテレビ報道を眉唾で見ざるを得ないでしょうね。

電波オークションなどが盛り込まれれば、明らかに既存メディアの死活問題になるでしょうし、新聞とテレビの資本関係排除等の改正が行われる可能性もありますから。まあ、必死に骨抜きにするためにいろいろと圧力かかるでしょうけどね。

>それは逆に「無用の忖度の疑いを持たれる事を予め避けるため」だと思われます。
私もこれではないかなと思っております。
そういう完璧主義が祟って今に至るのでは。26日証人喚問となった場合、彼の刃が何処に向かうのかで更に見えてきますね。ちっとも嬉しくないですが!
答弁を端折られて世界中に流布され、買い物盗撮で奥さんの顔まで無修正で晒されていますので、これでマスメディアと握れる役者なら恐竜番付上位の凄みを来週国会で見せつけることになります。

籠池、前川、そして佐川。たぶん野党とって憎き安倍首相の首を取ったヒーローになりそうですね。
ストーリーは、総理が関与したら(正確には土地取引なのでしょうが)責任を取ると言う言質を野党に与えたために、要らぬ誤解を招かぬよう忖度して文章を書き換えたでしょうね。まんま野党のストーリーですが、それが一番自身のダメージが少なく、かつ自身のプライドを守る方法だと思います。その点が見え隠れしてるので、官邸サイドが佐川の証人喚問を止めているのではないでしょうか?私たちからは見えないところで、今、官邸と財務省のパワーゲームが繰り広げられているのではないでしょうか?どこかに財務省の首根っこを押さえられるネタないのでしょうかね?安倍政権は経産省の内閣だと思うのですが、そこら辺りに財務の嫌がるネタないもんでしょうかね?

山路さん、筆坂さんというと「日本共産党」を書いた人ですね

 中華三振さん

はい、その人です。

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