近畿財務局は昭恵氏を知る前から森友に国有地売却方針だった
昭恵氏の「関与」が争点となっているようですが、それについて産経のよくまとまった記事が出ましたので紹介しておきます。
「近畿財務局は「安倍昭恵」名を知る前から森友に国有地売却方針 決裁文書改竄」産経3月26日
http://www.sankei.com/politics/news/180326/plt1803260006-n1.html
新たに脚光を浴びているのが近畿財務局の作った2015年(H27)2月4日、同じく4月30日の「特例承認の決裁文書」です。
この文書には、森友学園に土地を10年間貸し付けるために作られたものです。
ここでこの事件を、時系列に沿って遡ってみましょう。
そもそも籠池容疑者が,小学校用地としてくだんの国交省大阪航空局所有地を、近畿財務局に申し出たのが、2013年(H25)6月のことでした。
この時点で、籠池容疑者は購入を前提にした貸し付けを希望しましたが、小学校の許認可を持つ大阪府は、借地じゃ認可は難しいとの対応をします。
ここで早く土地を処分したい近畿財務局・航空局と、早く土地を利用して校舎を建てたいという籠池容疑者の思惑が一致したようです。
2カ月後の2015年8月、籠池容疑者は鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)に陳情し、近畿財務局から、大阪府私学・大学課を動かしてもらうことを依頼しました。
これについては、鴻池事務所の2013年年9月9日付「陳情整理報告書」に、以下のような記載があります。
「小学校用地の件、先週、財務局より、7~8年賃借後の購入でもOKの方向。本省および大阪府と話し合ってくれる」
これは、鴻池側が近畿財務局に働きかけたことの記述で、実際に近畿財務局は大阪府に直接赴いて働きかけています。
鴻池議員秘書は、この2013年3月ころから何度か籠池容疑者の陳情を受けて、近畿財務局に問い合わせをしていることは、下写真の陳情報告書で明らかになっています。
なおこのような議員の陳情を聞いての行政への働きかけ自体は贈収賄が絡まない限りまったく合法で、国会議員の泥臭い仕事でもあります。
なお、籠池容疑者は現金を鴻池氏に手渡そうとして断られています。
これを記録したのが近畿財務局が作成した2013年年9月12日付「大阪府私学・大学課に訪問し、今後の連携について要請」と、同年10月30日付「認可の状況について照会」の2本の文書です。
この経過を見ると、近畿財務局はわざわざ大阪府私学課にまで訪問して籠池容疑者のために積極的に動いていたことが分かります。
さて、この2013年10月末の時点で、いかなる公的文書にも「安倍昭恵」の名は登場しないことにご注意ください。
初めて昭恵氏の名が登場するのは、削除されて話題となったそれから半年後の2015年4月28日付の近畿財務局の籠池容疑者との面談記録です。
ここで籠池容疑者が言ったのが、いまや有名になったあのセリフとして近畿財務局文書に記載されます。
「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」
籠池容疑者は写真も持参していたようで、この写真を2014年4月25日に撮ったと述べています。
ただし、もう知れ渡ってしまったことですが、2017年3月23日の参院予算委の籠池証人喚問では「田んぼにいい土地ですね」と昭恵氏が言ったとされており、おそらく何も知らない夫人を現地に強引に招いて自分に有利な発言を引き出そうとしたと思われます。
また同じ国会証言では、昭恵氏に「働きかけた」内容として、こう述べていたはずです。
「このような副読本はどうかとお見せしたこともあるし、こういうカリキュラムですけどと話したこともある。教育的なことをお願いした」
このどこが国有地払い下げに昭恵氏が「関与」した証拠になるのか、私にはまったく理解できません。
ちなみに、この写真を撮ったのは、『日本会議の研究』という本を書いた元しばき隊幹部の菅野完氏です。
この人物は後に、事実上の籠池のスポークスマンとして怪情報の発信源となります。
それはさておき、昭恵氏が籠池容疑者の小学校の名誉校長にされたのが2015年9月ですから、この写真は名誉校長にされる1年以上前のものだとわかります。
この名誉校長に強引に仕立てた手口は、事前になんの相談もなく、児童を前にした講演で壇上に上げてから、「昭恵さんに名誉校長になってもらいましょう」と児童の拍手を促したために断りきれなくなったということがわかっています。
逃げ場をなくして追い込み、思いのまま動かす、典型的詐欺師のやり口、といわれてもいたしたかがないでしょう。
この時点で、籠池容疑者は人のいい昭身恵氏を、ガッチリとトラップしたと確信したはずです。
さて、昭恵氏が谷査恵子政府秘書を通じて、財務省に問い合わせたのが2015年10月~11月だとされています。
上の写真は、谷秘書が書いた財務省本省に照会した籠池容疑者宛ての回答文書ですが、「現状ではご希望に沿えない」と記されています。
なお、この本省問い合わせは、近畿財務局側文書には見当たらず、あれほどくどくどと書かれた文書になにもないということは、出先の近畿財務局に照会することなく、本省で断ってしまったようです。
以上の時系列を整理すると
・2013年9月~10月・・・近畿財務局が大阪府私学課に働きかけ。
2013年10月末の時点までに「安倍昭恵」の名は登場せず。
・2014年4月・・・夫人と籠池容疑者の写真撮影。
・2015年9月・・・名誉校長。
・2015年10月~11月・・・谷秘書の財務省問い合わせ
自民党竹下亘総務会長はこれについて25日、こう述べています。
「時系列を見ると、すべて決まった後に昭恵さんが動いた形になっている。それを見ないで『昭恵さんが…』と言うのは政治が取るべき姿ではない」(前掲)
佐川氏が今日の国会でどのような証言をするかわかりませんが、この時系列を頭に入れてご覧になるとよいでしょう。
« いつまでこんな詐欺容疑者の言うことに振り回されているのだろうか | トップページ | 速報 佐川前理財局長国会証人喚問 »
コメント
« いつまでこんな詐欺容疑者の言うことに振り回されているのだろうか | トップページ | 速報 佐川前理財局長国会証人喚問 »
すみません、確認なんですが、
昭恵さんを中心としたスリーショットの写真。
菅野完が撮影者とのことですが、
昨年3月時点で敵対関係にあった両者(菅野と籠池夫妻)が数年前既に
既知の間柄であり、なおかつ良好な関係であったことを思わせます。
しかしそうなると、菅野に対する籠池夫妻のあの時の態度は
狂言だったということになると思うんですが、どうなんでしょう。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2018年3月27日 (火) 16時15分
右翼も左翼も大嫌いさん。あの写真については私も伝聞情報に基づいて書いてしまっていましたので消し線で訂正しました。ごめんなさい。
おっしゃるとおり、ウィキによれば2017年3月の記者会見でこのふたりはもめています。
したがって、2014年4月段階でこの写真を撮るような関係とは考えにくいと思われます。
籠池-菅野関係については、よく分からないことが多いと申し上げておきます。
当然、当初は籠池容疑者も一時いた日本会議叩きをしていた菅野氏と友好関係なはずはありませし、ウィキによれば、事実2017年3月の記者会見ではもめた後に、「ああ、きみが菅野くんか」というようなことを籠池容疑者が口にしています。
後のふたりの関係をみると、これすら狂言にみえますが、真相はわかりません。
ただ、このふたりは体質的によく合ったのではと思います。
その乗りのいい絵を好む受け狙いのハッタリ体質、それを材料にしてのし上がりたいと望むような脂ぎった体質、そしてそのためには自分でも嘘だとわかっていることを公然と口にするコンマン的傾き・・・。
この森友事件はこのコンマンに引っかき回されて泥沼化したのでしょうね。
投稿: 管理人 | 2018年3月27日 (火) 17時03分
いらぬ手数をお掛けしたみたいで恐縮です。
籠池一家と菅野完の繋がりってなんとも奇妙ですよね。
狂言ということも十分考えられるとは思います。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2018年3月27日 (火) 20時44分
橋下氏が規制緩和を提唱し、松井府知事が実行して籠池容疑者の小学校設立の話が本格的に動き始めたんですよね。
近畿財務局は籠池容疑者と一緒に大阪府私学課へ出向くほど土地処分に熱心であった。
籠池容疑者は議員でもなんでも利用してやろうとアチコチに声をかける。
この辺りで昭恵さんも絡むことになった。
議員たちや昭恵さんなどにお金が渡ってたり、関係のある企業が建設を請けていれば一大事ですが何もない。
いい田んぼが出来そうですね、同時にいい土地ですから進めてくださいとも言った。
普通は建設予定地ですと案内されれば前述のようなお世辞こそ言うでしょうが、悪くは言わない。
投稿: 多摩っこ | 2018年3月28日 (水) 11時37分